(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025042372
(43)【公開日】2025-03-27
(54)【発明の名称】多層管
(51)【国際特許分類】
B32B 1/08 20060101AFI20250319BHJP
B32B 5/18 20060101ALI20250319BHJP
F16L 11/12 20060101ALI20250319BHJP
F16L 59/147 20060101ALI20250319BHJP
【FI】
B32B1/08 B
B32B5/18
F16L11/12 Z
F16L59/147
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023149340
(22)【出願日】2023-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 裕次郎
【テーマコード(参考)】
3H036
3H111
4F100
【Fターム(参考)】
3H036AA02
3H036AB18
3H036AB25
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(57)【要約】
【課題】断熱性能及び安定した耐火性能を両立する多層管の提供。
【解決手段】発泡層2と、前記発泡層2の内側に位置する内層1と、前記発泡層2の外側に位置する外層3と、を有する多層管10であって、前記内層1、前記発泡層2及び前記外層3の少なくとも一つは、熱可塑性樹脂、熱膨張性黒鉛及び固体金属(亜)リン酸塩を含む含黒鉛層である、多層管10。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡層と、前記発泡層の内側に位置する内層と、前記発泡層の外側に位置する外層と、を有する多層管であって、
前記内層、前記発泡層及び前記外層の少なくとも一つは、熱可塑性樹脂、熱膨張性黒鉛及び固体金属(亜)リン酸塩を含む含黒鉛層である、多層管。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂は、塩化ビニル系樹脂及び塩素化塩化ビニル系樹脂の少なくとも一方を含む、請求項1に記載の多層管。
【請求項3】
前記含黒鉛層における前記熱膨張性黒鉛の含有量は、前記含黒鉛層に含まれる前記熱可塑性樹脂100質量部に対して、2質量部以上15質量部以下である、請求項1又は2に記載の多層管。
【請求項4】
前記含黒鉛層における前記固体金属(亜)リン酸塩の含有量は、前記含黒鉛層に含まれる前記熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下である、請求項1又は2に記載の多層管。
【請求項5】
前記発泡層が前記含黒鉛層である、請求項1又は2に記載の多層管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層管に関する。
【背景技術】
【0002】
建築技術の高度化に伴い、建築物に張り巡らされる空調ドレン用の配管材には、優れた断熱性能を付与するための発泡層を有する配管材が提案されている。
例えば特許文献1には、内面スキン層と外面スキン層との間に発泡層が形成された発泡管が開示されている。
【0003】
しかし、このような従来の配管材では、ISO(International Organization for Standardization)により規定される耐火性能を満たすために、上記配管材を設置する際に特別な処理を施す必要があり、コスト面や作業面での負担が大きい。
【0004】
そこで、配管材自体に耐火性能を有する層を新たに設け、燃焼時に配管材が膨張して配管自体を閉塞させ、配管材を通じた火の燃え移りを防止する方法が提案されている。
しかし、耐火性能を有する層を設ける場合、当該層の存在を考慮して、発泡層の厚みを薄く設計せざるを得ない。その結果、耐火性能を得ることができても、十分な断熱性能が得られにくくなるという問題が生じる。
【0005】
そのため、断熱性能及び耐火性能を両立可能な配管材が求められている。
例えば特許文献2には、発泡層に膨張黒鉛を含有させることで、断熱性能及び耐火性能を両立可能にした配管材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-283733号公報
【特許文献2】特開2020-159476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載の配管材は、燃焼時に膨張した黒鉛の残渣が飛散し、発現する耐火性能が安定しにくいという問題点がある。
本発明は、断熱性能及び安定した耐火性能を両立する多層管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の態様を有する。
[1] 発泡層と、前記発泡層の内側に位置する内層と、前記発泡層の外側に位置する外層と、を有する多層管であって、
前記内層、前記発泡層及び前記外層の少なくとも一つは、熱可塑性樹脂、熱膨張性黒鉛及び固体金属(亜)リン酸塩を含む含黒鉛層である、多層管。
[2] 前記熱可塑性樹脂は、塩化ビニル系樹脂及び塩素化塩化ビニル系樹脂の少なくとも一方を含む、前記[1]の多層管。
[3] 前記含黒鉛層における前記熱膨張性黒鉛の含有量は、前記含黒鉛層に含まれる前記熱可塑性樹脂100質量部に対して、2質量部以上15質量部以下である、前記[1]又は[2]の多層管。
[4] 前記含黒鉛層における前記固体金属(亜)リン酸塩の含有量は、前記含黒鉛層に含まれる前記熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下である、前記[1]~[3]のいずれかの多層管。
[5] 前記発泡層が前記含黒鉛層である、前記[1]~[4]のいずれかの多層管。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、断熱性能及び安定した耐火性能を両立する多層管を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る多層管の一例を模式的に示す断面図である。
【
図2】多層管を製造するための製造装置の一例を示す平面図である。
【
図3】多層管を製造するための製造装置の一例を示す正面図である。
【
図4】多層管を製造するための製造装置に用いる金型と管外面成形用チューブを示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明は後述する実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し可能である。
なお、以下の図は、その構成をわかりやすく説明するための模式図であり、各構成要素の寸法比率等は、実際とは異なる場合がある。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの総称である。
【0012】
[多層管]
本発明の多層管は、発泡層と、前記発泡層の内側に位置する内層と、前記発泡層の外側に位置する外層と、を有する。
図1は、本発明の一実施形態に係る多層管を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態の多層管10は、内層1、発泡層2及び外層3が、多層管10の内側からこの順に積層した3層の積層構造を有する配管材である。
発泡層2は、内層1の外表面上に存在する。外層3は、発泡層2の外表面上に存在する。内層1は最内層であり、表面層である。発泡層2は中間層である。外層3は最外層であり、表面層である。内層1と、発泡層2と、外層3とはそれぞれ管状である。
多層管10が発泡層2を有することにより、断熱性能を発現する。
【0013】
内層1、発泡層2及び外層3の少なくとも一つは、熱可塑性樹脂、熱膨張性黒鉛及び固体金属(亜)リン酸塩を含む含黒鉛層である。すなわち、内層1、発泡層2及び外層3の少なくとも一つは、熱可塑性樹脂、熱膨張性黒鉛及び固体金属(亜)リン酸塩を含む。
含黒鉛層は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、必要に応じて、熱可塑性樹脂、発泡剤、熱膨張性黒鉛及び固体金属(亜)リン酸塩以外の成分(任意成分)を含んでいてもよい。
【0014】
内層1、発泡層2及び外層3の少なくとも一つが熱膨張性黒鉛を含むことで、火災時の熱により熱膨張性黒鉛が膨張することにより多層管が閉塞し、多層管を介した火の燃え移りを防ぐことにより耐火性能を発現する。
その一方で、上述したように、熱膨張性黒鉛は燃焼時に残渣が飛散するため、発現する耐火性能が安定しにくい。
しかし、本実施形態の多層管10であれば、内層1、発泡層2及び外層3の少なくとも一つが、熱膨張性黒鉛に加えて固体金属(亜)リン酸塩を含むので、燃焼時に熱膨張性黒鉛の残渣が飛散することを抑制できる。よって、熱膨張性黒鉛の残渣が多層管10に留まるので耐火性能を維持でき、発現する耐火性能が安定しやすい。
【0015】
内層1、発泡層2及び外層3のうちの一つが含黒鉛層であってもよいし、内層1、発泡層2及び外層3のうちの二つが含黒鉛層であってもよいし、内層1、発泡層2及び外層3の全てが含黒鉛層であってもよい。
一例として、発泡層2が含黒鉛層である態様;内層1及び外層3が含黒鉛層である態様;内層1、発泡層2及び外層3の全てが含黒鉛層である態様等が挙げられる。これらの中でも、耐衝撃性等の物性を良好に維持できる観点から、発泡層2が含黒鉛層である態様が好ましく、発泡層の成形性を良好に維持できる観点から、内層1及び外層3が含黒鉛層である態様が好ましく、その中でも特に、発泡層2が3層のうち体積を最も大きくでき、所望量の熱膨張性黒鉛等の含有による耐火性の効果を発揮しやすい観点から、発泡層2が含黒鉛層であることがより好ましい。すなわち、少なくとも発泡層2が、熱可塑性樹脂、熱膨張性黒鉛及び固体金属(亜)リン酸塩を含むことがより好ましい。
【0016】
<発泡層>
発泡層2は、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
発泡層2が含黒鉛層である場合、発泡層2は、熱可塑性樹脂、熱膨張性黒鉛及び固体金属(亜)リン酸塩を含む。
発泡層2は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、必要に応じて、熱可塑性樹脂、発泡剤、熱膨張性黒鉛及び固体金属(亜)リン酸塩以外の成分(任意成分)を含んでいてもよい。
【0017】
発泡層2は、発泡層用樹脂組成物を発泡させて形成される層である。
発泡層用樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
発泡層2が含黒鉛層である場合、発泡層用樹脂組成物は、熱可塑性樹脂に加えて、熱膨張性黒鉛及び固体金属(亜)リン酸塩を含む。
発泡層2を化学発泡により形成する場合、発泡層用樹脂組成物は化学発泡剤を含有する。
発泡層2を物理発泡により形成する場合、発泡層用樹脂組成物は物理発泡剤を含有する。
発泡層用樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、必要に応じて、熱可塑性樹脂、発泡剤、熱膨張性黒鉛及び固体金属(亜)リン酸塩以外の成分(任意成分)を含んでいてもよい。
【0018】
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル系樹脂、塩素化塩化ビニル系樹脂、アクリル樹脂、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン共重合体(MBS樹脂)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリブテン、塩素化ポリエチレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)等が挙げられる。これらの中でも、熱可塑性自体の自己消化性に優れる観点から、塩化ビニル系樹脂、塩素化塩化ビニル系樹脂が好ましい。
これら熱可塑性樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0019】
塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル単量体に由来する構成単位を有する単独重合体又は共重合体を意味する。
塩化ビニル系樹脂を構成する全ての構成単位の層質量に対して、塩化ビニル単量体に由来する構成単位の含有量は、40質量%以上100質量%以下が好ましく、50質量%以上100質量%以下がより好ましく、80質量%以上100質量%以下がさらに好ましい。
【0020】
塩化ビニル系樹脂としては特に限定されないが、例えば、(1)塩化ビニル単量体の単独重合体;(2)塩化ビニル単量体と、塩化ビニル単量体以外の重合性単量体(以下、「他の重合性単量体」ともいう。)との共重合体;(3)塩化ビニル系樹脂以外の重合体(以下、「他の重合体」ともいう。)に、塩化ビニル単量体、(1)の単独重合体又は(2)の共重合体をグラフトさせたグラフト共重合体等が挙げられる。
これら塩化ビニル系樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0021】
(2)の共重合体は、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
(2)の共重合体を構成する他の重合性単量体としては、塩化ビニル単量体と共重合可能であれば特に限定されないが、炭素数2以上16以下のα-オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等);炭素数2以上16以下の脂肪族カルボン酸のビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等);炭素数2以上16以下のアルキルビニルエーテル(例えば、ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等);炭素数1以上16以下のアルキル(メタ)アクリレート(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート等);アリール(メタ)アクリレート(例えば、フェニルメタクリレート等);芳香族ビニル(例えば、スチレン、α-メチルスチレン等);ハロゲン化ビニル(例えば、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等);N-置換マレイミド(例えば、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等)が挙げられる。
これら他の重合性単量体は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0022】
(3)のグラフト共重合体を構成する他の重合体としては、塩化ビニル単量体、(1)の単独重合体又は(2)の共重合体にグラフト重合可能な重合体であれば単独重合体及び共重合体を問わず、いかなるものも含まれる。具体的には、α-オレフィンとビニルエステルとの共重合体(例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体等);α-オレフィンとビニルエステルと一酸化炭素との共重合体(例えば、エチレン-酢酸ビニル-一酸化炭素共重合体等);α-オレフィンとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体(例えば、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体等);α-オレフィンとアルキル(メタ)アクリレートと一酸化炭素との共重合体(例えば、エチレン-ブチルアクリレート-一酸化炭素共重合体等);異なる2種以上のα-オレフィンの共重合体(例えば、エチレン-プロピレン共重合体等);不飽和ニトリルとジエンとの共重合体(例えば、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体等);ポリウレタン;塩素化ポリオレフィン(例えば、塩素化ポリエチレン塩素化ポリプロピレン等)が挙げられる。
これら他の重合体は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0023】
塩化ビニル系樹脂の平均重合度は特に限定されるものではないが、400以上1600以下が好ましく、600以上1400以下がより好ましい。塩化ビニル系樹脂の平均重合度が上記下限値以上であれば、多層管10の物性低下を抑制できる。塩化ビニル系樹脂の平均重合度が上記上限値以下であれば、溶融粘度が高くなりにくく、成形時に高温下にする必要がなくなり、成形性がより良好となる。
塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、塩化ビニル系樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、濾過により不溶成分を除去した後、濾液中のTHFを乾燥除去して得た樹脂を試料とし、JIS K 6720-2:1999「プラスチック-塩化ビニルホモポリマー及びコポリマー(PVC)-第2部:試験片の作り方及び諸性質の求め方」に準拠して測定した平均重合度を意味する。
【0024】
塩素化塩化ビニル系樹脂は、上述した塩化ビニル系樹脂を塩素化したものである。
塩素化塩化ビニル系樹脂としては、例えば、上述した(1)の単独重合体を塩素化した樹脂;(2)の共重合体を塩素化した樹脂;(3)のグラフト共重合体を塩素化した樹脂等が挙げられる。
これら塩素化塩化ビニル系樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0025】
塩素化塩化ビニル系樹脂の塩素含有率は特に限定されないが、塩素化塩化ビニル系樹脂の総質量に対して、58質量%以上72質量%以下が好ましく、60質量%以上70質量%以下がより好ましい。
塩素化塩化ビニル系樹脂の平均重合度は特に限定されず、塩素化塩化ビニル系樹脂を含む樹脂組成物の加工方法や、該樹脂組成物の成形体の使用用途に応じて選択することができる。
【0026】
塩素化塩化ビニル系樹脂としては、市販品を用いることができる。市販品としては、株式会社カネカ製のカネカCPVCシリーズ(例えば、H829、H716S、H727、H527、H516A、H547、H536、H305(以上、商品名));積水化学工業株式会社製のセキスイPVC-HAシリーズ(例えば、HA-15E、HA-05E、HA-15F、HA-24F、HA-22H、HA-36F、HA-05K、HA-24K、HA-24L、HA-31K、HA-54K(以上、商品名))等が挙げられる。
【0027】
発泡層用樹脂組成物中の熱可塑性樹脂の含有量は、発泡層用樹脂組成物の総質量に対して40質量%以上100質量%以下が好ましく、50質量%以上100質量%以下がより好ましい。すなわち、発泡層2中の熱可塑性樹脂の含有量は、発泡層2の総質量に対して40質量%以上100質量%以下が好ましく、50質量%以上100質量%以下がより好ましい。
【0028】
(熱膨張性黒鉛)
熱膨張性黒鉛は、グラファイトの粉末を無機酸と強酸化剤とにより、グラファイトの層間に無機酸を挿入する酸処理をした後、pH調整して得られる、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。
グラファイトとしては、例えば、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等が挙げられる。
無機酸としては、例えば、濃硫酸、硝酸、セレン酸等が挙げられる。
強酸化剤としては、例えば、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等が挙げられる。
【0029】
熱膨張性黒鉛の膨張開始温度は特に限定されないが、200℃以上350℃以下が好ましく、200℃以上300℃以下がより好ましい。熱膨張性黒鉛の膨張開始温度が上記下限値以上であれば、層の成形時に膨張しにくく、燃焼時に耐火性能の効果をより発揮できる。熱膨張性黒鉛の膨張開始温度が上記上限値以下であれば、火災時、加熱による膨張前に燃焼が進行することを抑制でき、耐火性能を良好に維持できる。
【0030】
熱膨張性黒鉛の平均粒子径は特に限定されないが、100μm以上400μm以下が好ましく、120μm以上350μm以下がより好ましい。熱膨張性黒鉛の平均粒子径が上記下限値以上であれば、多層管10の膨張率が高くなる。熱膨張性黒鉛の平均粒子径が上記上限値以下であれば、加熱により組織が過剰に熱膨張することを抑制でき、形状を保持しやすく、燃焼時に残渣が脱落して耐火性能が低下することを防止できる。加えて、多層管10としたときの引張強度や偏平強度などの物性が向上し、配管材として必要な機械的強度が得られやすくなる。
熱膨張性黒鉛の平均粒子径は、レーザー回折散乱法粒子径分布測定装置を用いて測定した、体積基準のメジアン径(D50)、すなわち体積平均粒子径である。
【0031】
発泡層用樹脂組成物が熱膨張性黒鉛を含む場合、発泡層用樹脂組成物中の熱膨張性黒鉛の含有量は、発泡層用樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂100質量部に対して、2質量部以上15質量部以下が好ましく、4質量部以上12質量部以下がより好ましい。すなわち、発泡層2が含黒鉛層である場合、含黒鉛層である発泡層2における熱膨張性黒鉛の含有量は、当該発泡層2に含まれる熱可塑性樹脂100質量部に対して、2質量部以上15質量部以下が好ましく、4質量部以上12質量部以下がより好ましい。
熱膨張性黒鉛の含有量が上記下限値以上であれば、燃焼時に多層管10全体として、十分な膨張倍率を発現でき、耐火性能がより向上する。熱膨張性黒鉛の含有量が上記上限値以下であれば、十分な発泡倍率及び機械強度を発現できる。
【0032】
(固体金属(亜)リン酸塩)
上述したように、火災時の熱により熱膨張性黒鉛が膨張することで多層管が閉塞し、多層管を介した火の燃え移りを防ぐことにより耐火性能を発現する一方で、熱膨張性黒鉛は燃焼時に残渣が飛散するため、発現する耐火性能が安定しにくい。
同一層内に熱膨張性黒鉛と固体金属(亜)リン酸塩とを含むことで、燃焼時に熱膨張性黒鉛の残渣形成能力が向上し、すなわち残渣強度が高まり、残渣が飛散しにくくなる。よって、熱膨張性黒鉛の残渣が多層管10に留まるので耐火性能を維持でき、発現する耐火性能が安定しやすくなる。
なお、本発明において「(亜)リン酸塩」とは、リン酸塩、次亜リン酸塩、及び亜リン酸塩の総称である。すなわち、固体金属(亜)リン酸塩は、固体金属リン酸塩、固体金属亜リン酸塩及び固体金属次亜リン酸塩から選ばれる1種以上である。
【0033】
燃焼時の熱膨張性黒鉛の残渣の飛散をより抑制できる観点から、固体金属(亜)リン酸塩としては、燃焼時に固化するものが好ましく、そのような固体金属(亜)リン酸塩としては、例えば、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸一ナトリウム、亜リン酸二ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等のナトリウム塩;リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウム、次亜リン酸カリウム等のカリウム塩;リン酸一リチウム、リン酸二リチウム、リン酸三リチウム、亜リン酸一リチウム、亜リン酸二リチウム、次亜リン酸リチウム等のリチウム塩;リン酸二水素バリウム、リン酸水素バリウム、リン酸三バリウム、次亜リン酸バリウム等のバリウム塩;リン酸一水素マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸三マグネシウム、次亜リン酸マグネシウム等のマグネシウム塩;リン酸二水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、次亜リン酸カルシウム等のカルシウム塩;リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、次亜リン酸亜鉛等の亜鉛塩;第一リン酸アルミニウム、第二リン酸アルミニウム、第三リン酸アルミニウム、亜リン酸アルミニウム、次亜リン酸アルミニウム等のアルミニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、亜リン酸アルミニウム、亜リン酸一ナトリウム、亜リン酸二ナトリウム、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウムが好ましく、亜リン酸アルミニウムがより好ましい。
これら固体金属(亜)リン酸塩は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0034】
発泡層用樹脂組成物が固体金属(亜)リン酸塩を含む場合、発泡層用樹脂組成物中の固体金属(亜)リン酸塩の含有量は、発泡層用樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下が好ましく、1質量部以上8質量部以下がより好ましい。すなわち、発泡層2が含黒鉛層である場合、含黒鉛層である発泡層2における固体金属(亜)リン酸塩の含有量は、当該発泡層2に含まれる熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下が好ましく、1質量部以上8質量部以下がより好ましい。
固体金属(亜)リン酸塩の含有量が上記下限値以上であれば、十分な残渣強度を発現できる。固体金属(亜)リン酸塩の含有量が上記上限値以下であれば、十分な発泡倍率及び機械強度を発現できる。
【0035】
(発泡剤)
発泡層用樹脂組成物を化学発泡させる場合、化学発泡剤としては、例えば、重炭酸ナトリウム(炭酸水素ナトリウム)、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、アジド化合物、ホウ水素化ナトリウム等の無機系発泡剤;アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸バリウムなどのアゾ系発泡剤、ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のアミン系発泡剤である有機系発泡剤が挙げられる。
これら化学発泡剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0036】
化学発泡剤の含有量は、発泡層用樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.2質量部以上7質量部以下が好ましく、0.4質量部以上6質量部以下がより好ましい。化学発泡剤の含有量が上記範囲内であれば、発泡倍率を良好にすることができ、また、破泡を効果的に抑えることができ、その結果、多層管10の断熱性能をより高めることができる。
【0037】
発泡層用樹脂組成物を物理発泡させる場合、物理発泡剤としては、炭化水素が熱可塑性樹脂内に内包された熱膨張性カプセル等が挙げられる。
熱可塑性樹脂に内包される炭化水素としては、例えば、プロパン、ブタン(ノルマルブタン、イソブタン)、ペンタン(ノルマルペンタン、イソペンタンなど)等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロへキサン等の脂環族炭化水素等が挙げられる。
これら炭化水素は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0038】
なお、発泡層用樹脂組成物を物理発泡させる場合、物理発泡剤として発泡用ガスを用いてもよい。
発泡用ガスとしては、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素等の無機ガス;ブタンガス、フロン系ガス等の有機ガス等が挙げられる。
これら発泡用ガスは、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0039】
(任意成分)
任意成分としては、例えば、熱安定剤、滑剤、加工助剤、衝撃改質剤、耐熱向上剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、光安定剤、着色剤、難燃剤、充填剤、可塑剤等の各種添加剤が挙げられる。
これら任意成分は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0040】
熱安定剤としては特に限定されず、熱安定剤及び熱安定化助剤などが挙げられる。
熱安定剤としては特に限定されず、有機錫系安定剤、鉛系安定剤、カルシウム-亜鉛系安定剤、バリウム-亜鉛系安定剤、及びバリウムーカドミウム系安定剤等が挙げられる。これらの中でも、成形性が向上する観点から、有機錫系安定剤が好ましい。
有機錫系安定剤としては、例えば、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート、及びジブチル錫ラウレートポリマー等が挙げられる。
これら熱安定剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0041】
熱安定化助剤としては特に限定されず、例えば、エポキシ化大豆油、リン酸エステル、ポリオール、ハイドロタルサイト、ゼオライト等が挙げられる。
これら熱安定化助剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0042】
滑剤としては、内部滑剤及び外部滑剤が挙げられる。
内部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂の流動粘度を下げ、摩擦発熱を防止する目的で使用される。
内部滑剤としては特に限定されないが、例えば、ブチルステアレート、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、エポキシ大豆油、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸、ビスアミド等が挙げられる。
これら内部滑剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0043】
外部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂と金属面との滑り効果を上げる目的で使用される。
外部滑剤としては特に限定されないが、例えば、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、エステルワックス、モンタン酸ワックス等が挙げられる。
これら外部滑剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0044】
充填剤としては、無機充填剤及び有機充填剤が挙げられる。
無機充填剤としては特に限定されないが、例えば、タルク、炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、クレー、マイカ、ウォラストナイト、ゼオライト、シリカ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、カーボンブラック、グラファイト、ガラスビーズ、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維等が挙げられる。
有機充填剤としては特に限定されないが、例えば、ポリアミド等が挙げられる。
これら充填剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0045】
(発泡倍率)
発泡層2の発泡倍率は、3.5倍以上が好ましく、4.5倍以上がより好ましい。また、発泡層2の発泡倍率は、20.0倍以下が好ましく、18.0倍以下がより好ましい。発泡層2の発泡倍率が上記範囲内であれば、多層管10に十分な断熱性能を付与できる。
発泡層2の発泡倍率は、樹脂の種類又は量、発泡剤の種類又は量、製造条件等により調節することができる。
【0046】
発泡層2の発泡倍率は、以下の方法で測定することができる。
多層管10から円周方向10mm以上、軸方向50mmを切り出し、内層1及び外層3をフライスで切削し、発泡層2だけを長さ約50mm程度の板状に加工したものを試験片とする。なお、試験片は内周方向に均等に4分割した点を中心に4個作製するものとする。
試験片をJIS K 7112:1999に従い、23℃±2℃の条件で、水置換式比重測定機で見かけ密度を小数点以下3桁まで求め、下記式(1)により発泡倍率(m)を算出する。
m=γc/γ ・・・(1)
(式(1)中、mは発泡層2の発泡倍率であり、γは発泡層2の見かけ密度(g/cm3)であり、γcは発泡層2の未発泡時の密度(g/cm3)である。)
【0047】
<内層及び外層>
内層1及び外層3は、それぞれ熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
内層1が含黒鉛層である場合、内層1は、熱可塑性樹脂、熱膨張性黒鉛及び固体金属(亜)リン酸塩を含む。
外層3が含黒鉛層である場合、外層3は、熱可塑性樹脂、熱膨張性黒鉛及び固体金属(亜)リン酸塩を含む。
内層1及び外層3は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、必要に応じて、熱可塑性樹脂、発泡剤、熱膨張性黒鉛及び固体金属(亜)リン酸塩以外の成分(任意成分)を含んでいてもよい。
【0048】
内層1及び外層3は非発泡層である。
ここで、非発泡層とは樹脂組成物が発泡剤を含まず、発泡剤の膨張による気泡が形成されていない層を指す。すなわち、内層1及び外層3は、発泡剤を含まない非発泡層用樹脂組成物より形成される層である。
なお、内層1を「非発泡内層」ともいい、外層3を「非発泡外層」ともいう。
また、非発泡層用樹脂組成物のうち、内層1を形成するための組成物を特に「非発泡内層用樹脂組成物」ともいい、外層3を形成するための組成物を特に「非発泡外層用樹脂組成物」ともいう。
【0049】
非発泡内層用樹脂組成物は、発泡剤を含まない。
非発泡内層用樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
内層1が含黒鉛層である場合、非発泡内層用樹脂組成物は、熱可塑性樹脂に加えて、熱膨張性黒鉛及び固体金属(亜)リン酸塩を含む。
非発泡内層用樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、必要に応じて、熱可塑性樹脂、熱膨張性黒鉛及び固体金属(亜)リン酸塩以外の成分(任意成分)を含んでいてもよい。
【0050】
非発泡外層用樹脂組成物は、発泡剤を含まない。
非発泡外層用樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
外層3が含黒鉛層である場合、非発泡外層用樹脂組成物は、熱可塑性樹脂に加えて、熱膨張性黒鉛及び固体金属(亜)リン酸塩を含む。
非発泡外層用樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、必要に応じて、熱可塑性樹脂、熱膨張性黒鉛及び固体金属(亜)リン酸塩以外の成分(任意成分)を含んでいてもよい。
【0051】
非発泡内層用樹脂組成物及び非発泡外層用樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂としては、発泡層用樹脂組成物の説明において先に例示した熱可塑性樹脂が挙げられる。特に、塩化ビニル系樹脂、塩素化塩化ビニル系樹脂が好ましい。
発泡層用樹脂組成物、非発泡内層用樹脂組成物及び非発泡外層用樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂は、それぞれ同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
非発泡内層用樹脂組成物中の熱可塑性樹脂の含有量は、非発泡内層用樹脂組成物の総質量に対して40質量%以上100質量%以下が好ましく、50質量%以上100質量%以下がより好ましい。すなわち、内層1中の熱可塑性樹脂の含有量は、内層1の総質量に対して40質量%以上100質量%以下が好ましく、50質量%以上100質量%以下がより好ましい。
非発泡外層用樹脂組成物中の熱可塑性樹脂の含有量は、非発泡外層用樹脂組成物の総質量に対して40質量%以上100質量%以下が好ましく、50質量%以上100質量%以下がより好ましい。すなわち、内層1中の熱可塑性樹脂の含有量は、内層1の総質量に対して40質量%以上100質量%以下が好ましく、50質量%以上100質量%以下がより好ましい。
【0052】
非発泡内層用樹脂組成物及び非発泡外層用樹脂組成物に含まれる熱膨張性黒鉛としては、発泡層用樹脂組成物の説明において先に例示した熱膨張性黒鉛が挙げられる。
発泡層用樹脂組成物、非発泡内層用樹脂組成物及び非発泡外層用樹脂組成物に含まれる熱膨張性黒鉛は、それぞれ同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
非発泡内層用樹脂組成物が熱膨張性黒鉛を含む場合、非発泡内層用樹脂組成物中の熱膨張性黒鉛の含有量は、非発泡内層用樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂100質量部に対して、2質量部以上15質量部以下が好ましく、4質量部以上12質量部以下がより好ましい。すなわち、内層1が含黒鉛層である場合、含黒鉛層である内層1における熱膨張性黒鉛の含有量は、当該内層1に含まれる熱可塑性樹脂100質量部に対して、2質量部以上15質量部以下が好ましく、4質量部以上12質量部以下がより好ましい。
非発泡外層用樹脂組成物が熱膨張性黒鉛を含む場合、非発泡外層用樹脂組成物中の熱膨張性黒鉛の含有量は、非発泡外層用樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂100質量部に対して、2質量部以上15質量部以下が好ましく、4質量部以上12質量部以下がより好ましい。すなわち、外層3が含黒鉛層である場合、含黒鉛層である外層3における熱膨張性黒鉛の含有量は、当該外層3に含まれる熱可塑性樹脂100質量部に対して、2質量部以上15質量部以下が好ましく、4質量部以上12質量部以下がより好ましい。
熱膨張性黒鉛の含有量が上記下限値以上であれば、燃焼時に多層管10全体として、十分な膨張倍率を発現でき、耐火性能がより向上する。熱膨張性黒鉛の含有量が上記上限値以下であれば、十分な機械強度を発現できる。
【0053】
非発泡内層用樹脂組成物及び非発泡外層用樹脂組成物に含まれる固体金属(亜)リン酸塩としては、発泡層用樹脂組成物の説明において先に例示した固体金属(亜)リン酸塩が挙げられる。
発泡層用樹脂組成物、非発泡内層用樹脂組成物及び非発泡外層用樹脂組成物に含まれる固体金属(亜)リン酸塩は、それぞれ同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
非発泡内層用樹脂組成物が固体金属(亜)リン酸塩を含む場合、非発泡内層用樹脂組成物中の固体金属(亜)リン酸塩の含有量は、非発泡内層用樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下が好ましく、1質量部以上8質量部以下がより好ましい。すなわち、内層1が含黒鉛層である場合、含黒鉛層である内層1における固体金属(亜)リン酸塩の含有量は、当該内層1に含まれる熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下が好ましく、1質量部以上8質量部以下がより好ましい。
非発泡外層用樹脂組成物が固体金属(亜)リン酸塩を含む場合、非発泡外層用樹脂組成物中の固体金属(亜)リン酸塩の含有量は、非発泡外層用樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下が好ましく、1質量部以上8質量部以下がより好ましい。すなわち、外層3が含黒鉛層である場合、含黒鉛層である外層3における固体金属(亜)リン酸塩の含有量は、当該外層3に含まれる熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下が好ましく、1質量部以上8質量部以下がより好ましい。
固体金属(亜)リン酸塩の含有量が上記下限値以上であれば、十分な残渣強度を発現できる。固体金属(亜)リン酸塩の含有量が上記上限値以下であれば、十分な機械強度を発現できる。
【0054】
非発泡内層用樹脂組成物及び非発泡外層用樹脂組成物に含まれる任意成分としては、発泡層用樹脂組成物の説明において先に例示した任意成分が挙げられる。
発泡層用樹脂組成物、非発泡内層用樹脂組成物及び非発泡外層用樹脂組成物に含まれる任意成分は、それぞれ同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
【0055】
<厚さ>
内層1の厚さは、1.0mm以上5.0mm以下が好ましく、1.5mm以上3.0mm以下がより好ましい。内層1の厚さが上記範囲内であれば、多層管10の内部に排水等の水が通過する際に、水が発泡層2へと浸透する恐れがなく、断熱性能を良好に維持できる。加えて、多層管10の強度を高めることができる。
発泡層2の厚さは、1.5mm以上20.0mm以下が好ましく、3.0mm以上18.0mm以下がより好ましい。発泡層2の厚さが上記範囲内であれば、多層管10の断熱性能を良好に維持しつつ、耐衝撃性能を高めることができる。
外層3の厚さは、0.5mm以上7.0mm以下が好ましく、1.0mm以上6.5mm以下がより好ましい。外層3の厚さが上記下限値以上であれば、多層管10の表面硬度を高めることができ、外部からの衝撃により強くすることができ、表面の傷つきを効果的に抑えることができる。外層3の厚さが上記上限値以下であれば、多層管10を軽量にできる。また、発泡層2の厚さを厚くできるため、多層管10の断熱性能をより高めることができる。
【0056】
多層管10の外径は、例えば、20mm以上120mm以下が好ましい。
多層管10の内径は、例えば、10mm以上100mm以下が好ましい。
内層1、発泡層2及び外層3を合わせた多層管10の厚さは、例えば、3.0mm以上30.0mm以下が好ましい。
内層1、発泡層2及び外層3と、多層管10の外径、内径及び厚さは、それぞれノギス等を用いて測定可能である。
【0057】
<多層管の製造方法>
図2及び
図3は、三層管構造の多層管10を製造するための製造装置20の全体構成図である。製造装置20は、内外層押出機11、発泡層押出機12、金型13、冷却水槽15、引取機16、及び切断機17を備えることが好ましい。図示例の内外層押出機11、及び発泡層押出機12には金型13が接続されており、金型13には冷却水槽15が接続されている。また、冷却水槽15には引取機16が接続されており、引取機16には切断機17が接続されている。
さらに、
図2及び
図3に示すように、ガスボンベ18と定量ポンプ19が発泡層押出機12に接続されていてもよい。
【0058】
ガスボンベ18及び定量ポンプ19は、発泡層押出機12のベント孔から、気体の発泡剤を供給するものである。気体の発泡剤としては、発泡層用樹脂組成物の説明において先に例示した発泡用ガスが挙げられる。
内外層押出機11は、内層及び外層を形成する非発泡層用樹脂組成物を溶融混錬し、金型13に押出すものである。
発泡層押出機12は、発泡層を形成する発泡層用樹脂組成物を溶融混錬し、金型13に押出すものである。
金型13は、内外層押出機11から注入された発泡層用樹脂組成物と、発泡層押出機12から注入された発泡層用樹脂組成物から、三層構造の未硬化の多層管を成形するものである。
冷却水槽15には、未硬化の多層管を所定寸法に成形するための管外面成形用チューブ14が取り付けられており、金型13で成形された未硬化の多層管の外面を管外面成形用チューブ14に接触させた状態で冷却するものである。
引取機16は、冷却水槽15で冷却された多層管10を受け取るものである。
切断機17は、引取機16から送られてきた多層管10を所定の長さに切断するものである。
【0059】
まず、非発泡層用樹脂組成物を内外層押出機11に供給し、溶融混練する。これとは別に、発泡層用樹脂組成物を発泡層押出機12に供給し、溶融混練する。このときガスを発泡剤として使用する場合には、発泡層用樹脂組成物を溶融混練しているところに、ガスボンベ18内の発泡用ガスを定量ポンプ19のポンプ動作によりベント孔から供給する。固体又は液体の発泡剤を使用する場合には、発泡層用樹脂組成物に上述した化学発泡剤又は物理発泡剤を予め配合しておいてもよい。
【0060】
そして、
図4に示すように、内外層押出機により溶融混練された非発泡層用樹脂組成物21と、発泡層押出機により溶融混練された発泡層用樹脂組成物22を、金型13に注入し、金型13内部で合流させて、三層構造の未硬化の多層管10aを成形する。未硬化の多層管10aは、非発泡層用樹脂組成物21から形成される未硬化の非発泡層31と、発泡層用樹脂組成物22から形成される未硬化の未発泡層とから構成される。
さらに、三層構造の未硬化の多層管10aを金型13より吐出すると、未発泡層の樹脂が発泡し、未硬化の発泡層32となる。
【0061】
未硬化の多層管10aを管外面成形用チューブ14内に挿入し、未硬化の多層管10aは所定寸法に型成形されながら、
図2及び
図3に示すように、冷却水槽15内で冷却されて多層管10となる。さらに 冷却成形された多層管10を引取機16に引き渡して切断機17に送り、切断機17において所定の長さに切断する。
【0062】
金型13で成形するときの温度は、140℃以上200℃以下が好ましく、160℃以上190℃以下がより好ましい。
また、金型で成形するときの時間は、10分以上30分以下が好ましく、10分以上20分以下がより好ましい。
【0063】
<作用効果>
本実施形態の多層管は、多層管を構成する内層、発泡層及び外層の少なくとも一つが、熱可塑性樹脂、熱膨張性黒鉛及び固体金属(亜)リン酸塩を含む含黒鉛層であることにより、断熱性能及び安定した耐火性能を両立できる。
【0064】
<用途>
本実施形態の多層管は、空調ドレン用管として好適に用いられる。
本実施形態の多層管は、空調ドレン用管であることが好ましい。
【0065】
<他の実施形態>
本発明の多層管は、上記実施形態に限られず、中心から外側に向かって、内層と発泡層と外層とをこの順で備えるものであればよい。
例えば、多層管は、内層と発泡層と外層との3層構造を有していてもよく、4層以上の構造を有していてもよい。
上記内層は、最内層であってもよく、最内層でなくてもよい。上記内層の内側には、他の層が存在してもよい。ただし、上記内層は、最内層であることが好ましい。
上記外層は、最外層であってもよく、最外層でなくてもよい。上記外層の外側には、他の層が存在してもよい。ただし、上記外層は、最外層であることが好ましい。
上記内層と上記発泡層との間、又は、上記外層と上記発泡層との間には、他の層が存在してもよい。ただし、上記内層と上記発泡層との間、及び、上記外層と上記発泡層との間には、他の層が存在しないことが好ましい。
上記他の層は塩化ビニル系樹脂及び塩素化塩化ビニル系樹脂の少なくとも一方からなることが好ましい。
【実施例0066】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0067】
[測定・評価]
<断熱性能の評価>
多層管から円周方向10mm以上、軸方向50mmを切り出し、内層及び外層をフライスで切削し、発泡層だけを長さ約50mm程度の板状に加工したものを試験片とした。なお、試験片は内周方向に均等に4分割した点を中心に4個作製した。
試験片をJIS K 7112:1999に従い、23℃±2℃の条件で、水置換式比重測定機で見かけ密度を小数点以下3桁まで求め、下記式(1)により発泡倍率(m)を算出し、以下の評価基準にて多層管の断熱性能を評価した。
m=γc/γ ・・・(1)
(式(1)中、mは発泡層2の発泡倍率であり、γは発泡層2の見かけ密度(g/cm3)であり、γcは発泡層2の未発泡時の密度(g/cm3)である。)
【0068】
<<評価基準>>
〇(合格):発泡倍率が3.5倍以上。
×(不合格):発泡倍率が3.5倍未満。
【0069】
<耐火性能の評価>
(膨張倍率の測定)
多層管から厚さ約10mmの輪切り状に切り出し、扇状に四分割したうちの一つを試験片とした。多層管の外径及び内径と、輪切り幅(10mm)から、膨張前の試験片の体積を求めた。
試験片を950℃に昇温した電気炉に4分間入れて、膨張させた。その後、電気炉から取り出して常温で放冷した。放冷した膨張後の試験片は、概ね直方体であり、各辺の長さをノギスで計測して膨張後の試験片の体積を求めた。
下記式(2)より膨張倍率(R)を算出し、以下の評価基準にて多層管の耐火性能を評価した。膨張倍率が5倍以上であれば、実用上十分な熱膨張率を有し、耐火性能に優れると判断した。
R=膨張後の試験片の体積/膨張前の試験片の体積 ・・・(2)
【0070】
<<評価基準>>
〇(合格):膨張倍率が5倍以上。
×(不合格):膨張倍率が5倍未満。
【0071】
(残渣強度の測定)
多層管から円周方向30±1mm、軸方向30±1mmを切り出し、試験片とした。同様にして、合計5個の試験片を作製した。
各試験片の端に1mm程度の穴を空けて針金を通し、金属架台にぶら下げ500℃に昇温した電気炉に3分間入れ燃焼残渣を作製し、取り出した。以下の評価基準にて多層管の耐火性能を評価した。残渣強度が低いと金属架台から落下することから、5個の試験片のうち、落下した個数が2個以下であれば、実用上十分な残渣強度を有し、耐火性能が安定していると判断した。
<<評価基準>>
〇(合格):落下した個数が0個。
△(合格):落下した個数が1個以上2個以下。
×(不合格):落下した個数が3個以上。
【0072】
<総合評価>
総合評価の評価基準はそれぞれ以下の通りである。
<<評価基準>>
〇(合格):断熱性能の評価及び耐火性能の評価が全て〇又は△である。
×(不合格):断熱性能の評価及び耐火性能の評価において、1つ以上の×がある。
【0073】
[実施例1]
<内層の材料及び外層の材料>
内層の材料及び外層の材料として、以下の配合組成を有する非発泡層用樹脂組成物を調製した。非発泡層用樹脂組成物のうち、熱可塑性樹脂、熱膨張性黒鉛及び亜リン酸Alの配合量を表1に示す。
・PVC(塩化ビニル系樹脂、徳山積水工業株式会社製、商品名「TS-1000R」):100質量部、
・CPVC(塩素化塩化ビニル系樹脂、徳山積水工業株式会社製、商品名「HA-05K」):0質量部、
・アクリル樹脂(株式会社カネカ製、商品名「PA-40」、重量平均分子量300万以上):1質量部、
・MBS樹脂(株式会社カネカ製、商品名「B-564」):1質量部、
・熱膨張性黒鉛(エア・ウォーター株式会社製、商品名「CA-60N」、pH2.5~3.5、平均粒子径250μm、膨張開始温度220℃):0質量部、
・亜リン酸Al(亜リン酸アルミニウム、太平化学産業株式会社製、商品名「APA100」):0質量部、
・有機錫系安定剤(オクチル錫系安定剤、日東化成社株式会社製、商品名「TVS-8832」):1質量部、
・滑剤(ポリオレフィンワックス、三井化学株式会社製、商品名「ハイワックス220MP」):1質量部、
・滑剤(エステルワックス、エメリーオレオケミカルズジャパン株式会社製、商品名「ロキシオール259」):1質量部、
・炭酸カルシウム(白石工業株式会社製、商品名「CCR」):1質量部、
・着色剤(レジノカラー工業株式会社製):1質量部。
【0074】
<発泡層の材料>
発泡層の材料として、以下の配合組成を有する発泡層用樹脂組成物を調製した。発泡層用樹脂組成物のうち、熱可塑性樹脂、熱膨張性黒鉛及び亜リン酸Alの配合量を表1に示す。
・PVC(塩化ビニル系樹脂、徳山積水工業株式会社製、商品名「TS-1000R」):100質量部、
・CPVC(塩素化塩化ビニル系樹脂、徳山積水工業株式会社製、商品名「HA-05K」):0質量部、
・アクリル樹脂(株式会社カネカ製、商品名「PA-40」、重量平均分子量300万以上):20質量部、
・熱膨張性黒鉛(エア・ウォーター株式会社製、商品名「CA-60N」、pH2.5~3.5、平均粒子径250μm、膨張開始温度220℃):3質量部、
・亜リン酸Al(亜リン酸アルミニウム、太平化学産業株式会社製、商品名「APA100」):5質量部、
・炭酸水素ナトリウム(永和化成工業株式会社製、商品名「セルボンSC-855」):3質量部、
・有機錫系安定剤(オクチル錫系安定剤、日東化成社株式会社製、商品名「TVS-8832」):1質量部、
・滑剤(エステルワックス、エメリーオレオケミカルズジャパン株式会社製、商品名「ロキシオール259」):1質量部、
・着色剤(株式会社ヘキサケミカル製、商品名「D-13486」):1質量部。
【0075】
<多層管の製造>
非発泡層用樹脂組成物及び発泡層用樹脂組成物を、
図2~4に示す内外層押出機11、発泡層押出機12、金型13、管外面成形用チューブ14が取り付けられた冷却水槽15、引取機16、切断機17とから構成されている製造装置20を用いて押出成形を行った。
具体的には、非発泡層用樹脂組成物を180℃で内外層押出機11にて混練し、金型13に注入した。また、発泡層用樹脂組成物を発泡層押出機12にて170℃で混練し、金型13に注入した。金型13として、製品外径89mm、製品内径69mmの金型を用いた。金型13から吐出した組成物を、管外面成形用チューブ14内に挿入し、冷却水槽15内で冷却し、引取機16で引き取った後、切断機17で所定の長さに切断して、三層構造を有する外径89mm、内径69mm、厚さ10mmの多層管を得た。
内層の厚さは2.5mmであり、発泡層の厚さは5.5mmであり、外層の厚さは2.0mmであった。
得られた多層管について、断熱性能及び耐火性能を評価した。結果を表1に示す。
【0076】
[実施例2~8、比較例1~3]
内層の材料及び外層の材料のうち、PVC、CPVC、熱膨張性黒鉛及び亜リン酸Alの配合量を表1に示す値に変更した以外は、実施例1と同様にして非発泡層用樹脂組成物を調製した。
また、発泡層の材料のうち、PVC、CPVC、熱膨張性黒鉛及び亜リン酸Alの配合量を表1に示す値に変更した以外は、実施例1と同様にして発泡層用樹脂組成物を調製した。
得られた非発泡層用樹脂組成物及び発泡層用樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして多層管を製造し、断熱性能及び耐火性能を評価した。結果を表1に示す。
【0077】
【0078】
表1中、「熱膨張性黒鉛の含有量」は、熱膨張性黒鉛を含む層に含まれる熱可塑性樹脂100質量部に対する熱膨張性黒鉛の含有量(質量部)であり、便宜上、小数点第2位を四捨五入した。「亜リン酸Alの含有量」は、亜リン酸Alを含む層に含まれる熱可塑性樹脂100質量部に対する亜リン酸Alの含有量(質量部)であり、宜上、小数点第2位を四捨五入した。
なお、表中の空欄は、その成分が配合されていないこと(配合量0質量部)を意味する。
【0079】
表1の結果に示されるように、実施例1~8の多層管は、断熱性能及び安定した耐火性能を両立できた。なお、実施例1~7の場合、発泡層が含黒鉛層であり、実施例8の場合、内層及び外層が含黒鉛層である。
一方、内層、発泡層及び外層のいずれも熱膨張性黒鉛及び固体金属(亜)リン酸塩を含まない比較例1の多層管は、耐火性能に劣っていた。
発泡層が熱可塑性樹脂及び熱膨張性黒鉛を含み、固体金属(亜)リン酸塩を含まない比較例2の多層管は、断熱性能及び耐火性能を有していたが、残渣強度が不十分であり、耐火性能は安定しにくかった。
発泡層が熱可塑性樹脂及び固体金属(亜)リン酸塩を含み、熱膨張性黒鉛を含まない比較例2の多層管は、耐火性能に劣っていた。なお、比較例3の多層管は熱膨張性黒鉛を含んでいないため、十分な残渣強度を有していた。