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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025042388
(43)【公開日】2025-03-27
(54)【発明の名称】遠心圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/44 20060101AFI20250319BHJP
【FI】
F04D29/44 X
F04D29/44 P
F04D29/44 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023149367
(22)【出願日】2023-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】岡本 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】田川 雅也
(72)【発明者】
【氏名】波多野 高斗
(72)【発明者】
【氏名】薄田 重浩
(72)【発明者】
【氏名】小川 佑世
(72)【発明者】
【氏名】照井 敏文
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 翔平
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB27
3H130AB47
3H130AC14
3H130BA03A
3H130BA17A
3H130CA03
3H130CA13
3H130CB00
3H130DA02Z
3H130DD09Z
3H130EA06A
3H130EA07A
(57)【要約】
【課題】ケーシングトリートメントを備えた遠心圧縮機における気流音の音量を低減することを課題とする。
【解決手段】遠心圧縮機は、インペラに向かって空気を導入する空気導入孔を備え、空気導入孔の内側に配置された環状部と、空気導入孔の内周壁面と前記環状部とを接続するスポーク部とを備えたコンプレッサハウジングと、空気導入孔において環状部よりも空気の導入方向の上流側に設けられた筒状部と、筒状部から空気の導入方向の下流側に向かって延びる翼状部とを備えたケーシングトリートメントとを有する。筒状部の内側は、空気の主流路を形成し、翼状部は、環状部に係合して環状部及びスポーク部と共に主流路から分岐して再び主流路に合流する副流路を形成する。スポーク部の数と翼状部の数は同数であり、スポーク部の環状部の周方向に沿った配置位置と翼状部の環状部の周方向に沿った配置位置は同位置である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にインペラを収納し、前記インペラに向かって空気を導入する空気導入孔を備え、前記空気導入孔の内側に配置された環状部と、前記空気導入孔の内周壁面と前記環状部とを接続するスポーク部と、を備えたコンプレッサハウジングと、
前記空気導入孔において前記環状部よりも前記空気の導入方向の上流側に設けられた筒状部と、当該筒状部から前記空気の導入方向の下流側に向かって延びる翼状部とを備えたケーシングトリートメントと、
を有し、
当該ケーシングトリートメントにおいて、前記筒状部の内側は、前記空気の主流路を形成し、前記翼状部は、前記環状部に係合して前記環状部及び前記スポーク部と共に前記主流路から分岐して再び前記主流路に合流する副流路を形成し、
前記スポーク部の数と前記翼状部の数は同数であり、前記スポーク部の前記環状部の周方向に沿った配置位置と前記翼状部の前記環状部の周方向に沿った配置位置は同位置である、
遠心圧縮機。
【請求項2】
前記翼状部の前記環状部の周方向に沿った厚さ寸法は、前記スポーク部の前記環状部の周方向に沿った厚さ寸法以下である、
請求項1に記載の遠心圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遠心圧縮機に空気を吸入する主流路から分岐し、再び主流路に合流する副流路を形成するケーシングトリートメントを備えたターボチャージャーが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-264339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ケーシングトリートメントは、遠心圧縮機に吸入される空気を還流させることで見かけ上の空気の流量を増やすことができる。これにより、ターボチャージャーの低回転域におけるトルクが向上する。しかしながら、その一方で、ケーシングトリートメントを備えたターボチャージャーは、高回転域における空気の吸入に伴う高周波の気流音を発生させる。車両に搭載されるターボチャージャーでは、気流音が小さいことが望ましい。特許文献1は、気流音の音量を低減させる提案をしていない。
【0005】
そこで、本明細書開示の発明は、ケーシングトリートメントを備えた遠心圧縮機における気流音の音量を低減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、内部にインペラを収納し、前記インペラに向かって空気を導入する空気導入孔を備え、前記空気導入孔の内側に配置された環状部と、前記空気導入孔の内周壁面と前記環状部とを接続するスポーク部と、を備えたコンプレッサハウジングと、前記空気導入孔において前記環状部よりも前記空気の導入方向の上流側に設けられた筒状部と、当該筒状部から前記空気の導入方向の下流側に向かって延びる翼状部とを備えたケーシングトリートメントと、を有し、当該ケーシングトリートメントにおいて、前記筒状部の内側は、前記空気の主流路を形成し、前記翼状部は、前記環状部に係合して前記環状部及び前記スポーク部と共に前記主流路から分岐して再び前記主流路に合流する副流路を形成し、前記スポーク部の数と前記翼状部の数は同数であり、前記スポーク部の前記環状部の周方向に沿った配置位置と前記翼状部の前記環状部の周方向に沿った配置位置は同位置である遠心圧縮機によって達成される。
【0007】
上記構成の遠心圧縮機において、前記翼状部の前記環状部の周方向に沿った厚さ寸法は、前記スポーク部の前記環状部の周方向に沿った厚さ寸法以下である態様とすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本明細書開示の発明は、ケーシングトリートメントを備えた遠心圧縮機における気流音の音量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は実施形態の遠心圧縮機の軸線AXに沿った断面図である。
図2図2図1におけるX部の拡大図である。
図3図3Aはインサートリングの側面図である。図3Bはインサートリングの平面図である。図3C図3BにおけるY1-Y1線断面図である。
図4図4はコンプレッサハウジングに形成された空気導入孔にインサートリングを装着する様子を模式的に示す図である。
図5図5はスポーク部と翼状部との接続部分を図3BにおけるY2-Y2線に相当する切断線で切断した拡大断面図である。
図6図6は実施形態の遠心圧縮機が発する気流音の音量を示すグラフを比較例の遠心圧縮機が発する気流音の音量を示すグラフとともに示す図である。
図7図7Aは変形例におけるインサートリングの側面図である。図7Bは変形例におけるインサートリングの平面図である。
図8図8は変形例においてコンプレッサハウジングに形成された空気導入孔にインサートリングを装着する様子を模式的に示す図である。
図9図9は変形例におけるスポーク部と翼状部との接続部分を図7BにおけるY3-Y3線に相当する切断線で切断した拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。ただし、図面中、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。また、図面によっては、細部が省略されて描かれている場合もある。
【0011】
(実施形態)
[遠心圧縮機]
本実施形態の遠心圧縮機10は、ターボチャージャーの一部を構成する。ターボチャージャーは、タービンユニットと、遠心圧縮機10を備える。タービンユニットと遠心圧縮機10は連結ユニットによって連結されている。ターボチャージャーは、内燃機関に組み込まれる。タービンユニットは排気流路に位置し、遠心圧縮機10は吸気流路に位置する。図1は、遠心圧縮機10のみを示している。遠心圧縮機10は、コンプレッサハウジング20とインペラ30を備える。
【0012】
<コンプレッサハウジング>
コンプレッサハウジング20は、内部にインペラ30を収納している。コンプレッサハウジング20は、インペラ30に向かって空気を導入する空気導入孔21を備える。コンプレッサハウジング20は、インペラ30に向かって導入された空気を圧縮するスクロール流路22を備える。スクロール流路22は、インペラ30の径方向外側に形成されている。コンプレッサハウジング20は、空気導入孔21の内側に配置された環状部23を備える。
【0013】
環状部23は、インペラ30に対して、空気の導入方向の上流側に配置されている。環状部23は、スポーク部24を介して空気導入孔21の内周壁面21aと接続されている。スポーク部24によって支持された環状部23の周囲には空間が形成されている。この空間は、空気を循環させる副流路25を形成する。副流路25は、後に詳細に説明される。
【0014】
スポーク部24は複数設けられている。スポーク部24は、環状部23の周方向に沿って等間隔に配置されている。例えば、スポーク部24が2箇所に設けられている場合、スポーク部24の配置位置は、周方向に180度隔てられた位置となる。スポーク部24が3箇所に設けられている場合、スポーク部24の配置位置は、周方向に120度ずつ隔てられた位置となる。スポーク部24が4箇所に設けられている場合、スポーク部24の配置位置は、周方向に90度ずつ隔てられた位置となる。スポーク部24が5箇所に設けられている場合、スポーク部24の配置位置は、周方向に72度ずつ隔てられた位置となる。スポーク部24が6箇所に設けられている場合、スポーク部24の配置位置は、周方向に60度ずつ隔てられた位置となる。スポーク部24の数は、これらに限定されない。本実施形態のスポーク部24は、図4に示すように6箇所に設けられている。スポーク部24の環状部23の周方向に沿った厚さ寸法は、図4に示すようにt24である。なお、スポーク部24は、必ずしも等間隔に配置されていなくてもよい。
【0015】
<インペラ>
インペラ30は、回転軸部材11の一端部に設けられている。インペラ30は、筒状の装着部30aと、装着部30aの周囲に形成されたインペラ翼30bを備えている。インペラ30は、装着部30aが回転軸部材11に固定されることで、回転軸部材11と一体化されている。なお、図示していないが、回転軸部材11の他端側には、タービン翼を備えたタービンロータが設けられている。タービンロータは、タービンハウジング内に収納されて、タービンハウジングと共にタービンユニットを形成している。タービンユニットと遠心圧縮機10との間には、これらを連結する連結ユニットが設けられている。連結ユニットには、軸受部が設けられている。この軸受部は、回転軸部材11を回転可能に支持する。
【0016】
<ケーシングトリートメント>
つぎに、ケーシングトリートメント40についての説明がされる。ケーシングトリートメント40は、遠心圧縮機10に導入される空気の主流路12から分岐して再び主流路12に合流する副流路25を形成する。ケーシングトリートメント40は、インサートリング41がコンプレッサハウジング20に形成された空気導入孔21に嵌め込まれることによって形成される。図3Aから図3Bに示すように、インサートリング41は、筒状部41aと複数の翼状部42を備えている。インサートリング41は、図3Aに示された上流側が図1に示され上流側と一致するようにコンプレッサハウジング20の空気導入孔21に装着される。なお、図3Bは、インサートリング41の平面図であり、インサートリング41を図3Aに示す下流側から見た状態を示している。
【0017】
筒状部41aの軸線方向は、回転軸部材11の軸線AXと一致している。筒状部41aは、空気の導入方向の下流側に位置する周縁部に傾斜面41a1を備えている。この傾斜面41a1は、図3Aに示された側面図において筒状部41aの径方向外側から径方向内側に向かう上り傾斜となっている。翼状部42は、この傾斜面41a1から空気の導入方向の下流側に向かって突出するように設けられている。翼状部42は、板形状を有している。翼状部42は、その厚さ方向が筒状部41aの周方向と概ね一致するように傾斜面41a1に設けられている。翼状部42は、筒状部41aの径方向外側に位置する部分と筒状部41aの径方向内側に位置する部分とで、空気の導入方向に沿う方向の寸法が異なる形状を有している。翼状部42において、筒状部41aの径方向外側に位置する部分の空気の導入方向に沿う寸法は、筒状部41aの径方向内側に位置する部分の空気の導入方向に沿う寸法よりも長い。これにより、翼状部42には、筒状部41aの径方向内側が切り欠かれた切り欠き部42aが形成されている。
【0018】
翼状部42の筒状部41aの概ね周方向に沿う厚さ寸法は、図3Bに示すようにt42である。筒状部41aの周方向は、ケーシングトリートメント40をコンプレッサハウジング20に装着したときの環状部23の周方向と一致する。翼状部42の厚さ寸法t42は、スポーク部24の厚さ寸法t24以下とされる。これにより、渦の発生が抑制される。本実施形態では、翼状部42の厚さ寸法t42とスポーク部24の厚さ寸法t24とは、同一である。
【0019】
翼状部42の数は、スポーク部24の数と同数である。また、翼状部42の環状部23の周方向に沿った配置位置は、スポーク部24の環状部23の周方向に沿った配置位置と同位置である。本実施形態のスポーク部24は6箇所に設けられている。このため、本実施形態における翼状部42の数は、6個である。翼状部42は、スポーク部24と同様に、周方向に60度ずつ隔てられた位置に配置されている。なお、スポーク部24は、等間隔に配置されていない場合もある。この場合であっても、翼状部42の環状部23の周方向に沿った配置位置は、スポーク部24の環状部23の周方向に沿った配置位置と同位置とされていればよい。
【0020】
インサートリング41は、図4に示された矢示100bのようにコンプレッサハウジング20が備える空気導入孔21に圧入される。このとき、翼状部42が空気の導入方向下流側に位置するように、インサートリング41は空気導入孔21に嵌め込まれる。
【0021】
このとき、各翼状部42の環状部23の周方向に沿った配置位置は、各スポーク部24の環状部23の周方向に沿った配置位置と一致させられる。つまり、各翼状部42と各スポーク部24の周方向の位相位置が一致するように、インサートリング41は空気導入孔21に嵌め込まれる。これにより、図5に示されるように、翼状部42の切り欠き部42aが、スポーク部24に係合した状態となる。なお、スポーク部24の配置位置と翼状部42の配置位置とが一致する状態は、設計値として一致していればよい。例えば、製品において、僅かな位置ずれが認められる場合がある。しかしながら、この位置ずれが各部の加工精度や組立精度に起因するものであるとき、スポーク部24の配置位置と翼状部42の配置位置は一致しており、同位置とされる。
【0022】
相互に接合されたスポーク部24と翼状部42は、副流路25を周方向に沿って区分けする仕切り部として機能する。このため、複数個の副流路25が周方向に沿って形成されている。スポーク部と翼状部42は、環状部23の周方向に沿って等間隔に配置されている。このため、各副流路25の周方向の長さは同一である。
【0023】
上述のように、翼状部42の厚さ寸法t42とスポーク部24の厚さ寸法t24とは、同一である。このため、翼状部42とスポーク部24とは、その接合箇所において面一とされている。
【0024】
インサートリング41が空気導入孔21に嵌め込まれることで、インサートリング41の筒状部41aの内側は、主流路12の一部を形成する。また、空気導入孔21に嵌め込まれたインサートリング41は、環状部23及びスポーク部24とともに副流路25を形成する。図1図2において、主流路12を通過する空気は、矢示100aで示されている。主流路12を通過する空気の一部は、矢示100a1で示されているように副流路25側へ分岐し、主流路12へ合流する。これにより、遠心圧縮機10に吸入される見かけ上の空気の流量が増える。
【0025】
図2に示されるように、主流路12を通過する空気の一部は、環状部23の下流側で環状部23の径方向外側に向かって流れる。そして、空気は、副流路25内で筒状部41aの傾斜面41a1に向かって流れる。傾斜面41a1に衝突した空気は、環状部23の内側に向かって流れる。環状部23の内側に向かって流れた空気は、主流路12に合流し、再び主流路12を流れる。
【0026】
副流路25を循環する気流の剥離及び渦の発生は、気流音の音量を増大させると考えられる。本実施形態の遠心圧縮機10は、気流の剥離を抑制し、流れ場の渦度、つまり、渦の強さが小さくなる。
【0027】
複数の副流路25を形成するスポーク部24と翼状部42とは、同数である。スポーク部24の周方向の配置位置と翼状部42の周方向の配置位置は同一である。これにより、副流路25の内部に凹凸が形成されることがなく、副流路25の内周面は滑らかに形成される。このため、気流の剥離が抑制され、流れ場の渦度が小さくなる。この結果、副流路25に流れ込み、主流路12に合流する空気の気流音の音量の増大が抑制され、気流音が小さくなる。
【0028】
[効果]
図6は実施形態の遠心圧縮機10における気流音の音量を示すグラフを、比較例の遠心圧縮機における気流音の音量を示すグラフとともに示している。各グラフにおいて、縦軸はターボ回転数(rpm)を示している。横軸は、周波数(Hz)を示している。気流音の音量は、プロットされた点の大きさによって示されている。つまり、各グラフにプロットされた点は、その大きさが大きいほど、気流音が大きいことを示している。
【0029】
比較例1は、6箇所のスポーク部と8箇所の翼状部を備えている。このため、スポーク部の配置位置と翼状部の配置位置は、ずれている。この結果、副流路内に凹凸が存在する。気流は、副流路内の凹凸で剥離すると考えられる。この結果、比較例1の気流音の音量は大きい。
【0030】
比較例2は、6箇所のスポーク部と6箇所の翼状部を備えている。つまり、スポーク部と翼状部は、同数である。ただし、スポーク部の周方向に沿う配置位置と翼状部42の周方向に沿う配置位置は異なっている。スポーク部と翼状部の位相が不一致であると、空気が副流路内を通過するときに渦が発生し、気流音が大きくなると考えられ得る。この結果、比較例2の気流音の音量は大きい。
【0031】
これに対し、本実施形態におけるスポーク部24と翼状部42は同数である。また、スポーク部24と翼状部42の周方向に沿う配置位置は一致している。これにより、本実施形態における気流音の音量は、比較例1や比較例2と比較して小さい。
【0032】
本実施形態の遠心圧縮機10は、スポーク部24の数と翼状部42の数が同数である。スポーク部24の環状部23の周方向に沿った配置位置と翼状部42の環状部23の周方向に沿った配置位置が同位置である。これにより、遠心圧縮機10における気流音の音量を低減することができる。
【0033】
(変形例)
つぎに、図7Aから図9を参照して変形例について説明する。図7Aは変形例におけるインサートリング141の側面図である。図7Bは変形例におけるインサートリング141の平面図である。図8は変形例においてコンプレッサハウジング20に形成された空気導入孔21にインサートリングを装着する様子を模式的に示す図である。上述の実施形態と共通する構成要素には、図面中、同一の参照番号が付されている。同一の参照番号が付された構成要素の詳細な説明は省略されている。
【0034】
図8に示すように、コンプレッサハウジング20は、空気導入孔21の内側に配置された環状部123を備える。環状部123は、スポーク部124を介して空気導入孔21の内周壁面21aと接続されている。スポーク部124によって支持された環状部23の周囲には空間が形成されている。この空間は、空気を循環させる副流路25を形成する。
【0035】
スポーク部124は複数設けられている。ただし、上述の実施形態におけるスポーク部24と異なり、スポーク部124は、環状部123の周方向に沿って不等間隔に配置されている。
【0036】
図7A及び図7Bに示すように、インサートリング141は、筒状部141aと、翼状部142を備える。翼状部142の数は、スポーク部124の数と同数である。また、翼状部142の環状部123の周方向に沿った配置位置は、スポーク部124の環状部123の周方向に沿った配置位置と同位置である。
【0037】
翼状部142の環状部123の周方向に沿った配置位置とスポーク部124の環状部123の周方向に沿った配置位置はどのような配置であってもよい。つまり、図7Aから図8に示した例は、翼状部142及びスポーク部124の配置の一例に過ぎず、他の配置位置であってもよい。
【0038】
図7A及び図7Bに示すように、変形例の翼状部142は、実施形態の翼状部42が備えていた切り欠き部42aを備えていない。また、環状部123とスポーク部124のインサートリング141と対向する面は、面一になっている。このため、図9に示すように、翼状部142は、環状部123及びスポーク部124と密着した状態となる。
【0039】
このような変形例であっても、遠心圧縮機における気流音の音量を低減することができる。
【0040】
上記実施形態は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、これらの実施例を種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。
【符号の説明】
【0041】
10 遠心圧縮機、11 回転軸部材、12 主流路、20 コンプレッサハウジング、21 空気導入孔、21a 内周壁面、22 スクロール流路、23 環状部、24 スポーク部、25 副流路、 30 インペラ、40 ケーシングトリートメント、41、141 インサートリング、41a,141a 筒状部、41a1 傾斜面、42 翼状部、42a 切り欠き部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9