(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004239
(43)【公開日】2025-01-14
(54)【発明の名称】結晶形
(51)【国際特許分類】
C07K 5/083 20060101AFI20250106BHJP
C12N 9/99 20060101ALI20250106BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20250106BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20250106BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20250106BHJP
A61K 38/06 20060101ALI20250106BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
C07K5/083
C12N9/99
A61P1/16
A61P35/00
A61P31/14
A61K38/06
A61P43/00 111
【審査請求】有
【請求項の数】34
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024179614
(22)【出願日】2024-10-15
(62)【分割の表示】P 2023064709の分割
【原出願日】2015-06-05
(31)【優先権主張番号】62/008,786
(32)【優先日】2014-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512212195
【氏名又は名称】アッヴィ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュワン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー・ディー・ゲイツ
(72)【発明者】
【氏名】アフマド・ワイ・シャイフ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】HCV感染を治療するための新しい薬物を提供する。
【解決手段】粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて特徴的ピークを有する、下記に示す化合物Iの結晶形が提供される。前記化合物Iは、強力なHCVプロテアーゼ阻害剤であってよい。前記結晶形を含む組成物、及び前記結晶形を溶解させることを含む前記化合物Iを含む医薬組成物の作成方法も提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PXRDパターンにおいて表1a、2a、3a及び4aのいずれか1つに記載されている2θの値に特徴的ピークを有する化合物Iの結晶形。
【請求項2】
図1~4のいずれか1つに記載されているようにPXRDパターンにおいて特徴的ピークを有する化合物Iの結晶形。
【請求項3】
PXRDパターンにおいて明細書中に記載されている特徴的ピークを有する化合物Iの結晶形。
【請求項4】
PXRDパターンにおいて8.4、8.9、11.1、12.2、14.5、15、15.9、17.4、17.8及び22.2の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有する化合物Iの結晶形。
【請求項5】
PXRDパターンにおいて8.4、8.9、10.2、11.1、12.2、12.5、13.2、13.7、14.5、15、15.5、15.9、17.4、17.8、19.6、19.9、21.1、22.2、22.7及び23.9の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有する化合物Iの結晶形。
【請求項6】
PXRDパターンにおいて6.7、8.4、8.9、9.9、10.2、11.1、12.2、12.5、13.2、13.7、14.5、15、15.5、15.9、17.4、17.8、18.1、18.9、19、19.6、19.9、21.1、21.8、22.2、22.7、22.8、23.2、23.9、24.6及び25.1の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有する化合物Iの結晶形。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載されている結晶形を含む組成物。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載されている結晶形を溶解させることを含む化合物Iを含む医薬組成物の作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物Iの結晶多形体、前記多形体を含む医薬組成物、及び医薬組成物を製造するための前記多形体の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
C型肝炎ウイルス(HCV)はフラビウイルス科のヘパシウイルス属に属するRNAウイルスである。エンベロープHCVビリオンは、1つの連続したオープンリーディングフレーム中のすべての公知ウイルス特異的タンパク質をエンコードするプラス鎖RNAゲノムを含んでいる。このオープンリーディングフレームは約9500個のヌクレオチドを含み、約3000個のアミノ酸の1つの大きいポリタンパク質をエンコードする。ポリタンパク質は、コアタンパク質、エンベロープタンパク質E1及びE2、膜結合タンパク質p7、及び非構造タンパク質NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5A及びNS5Bからなる。
【発明の概要】
【0003】
HCV感染は肝硬変及び肝細胞癌を含めた進行性肝病変を伴っている。C型慢性肝炎はペグインターフェロン-αをリバビリンと一緒に用いて治療され得る。多くの使用者が有害事象を被るので有効性及び耐容性が依然として実質的に限定されており、身体からのウイルス排除はしばしば不完全である。従って、HCV感染を治療するための新しい薬物が要望されている。
【0004】
図面を限定することなく例示のために提示する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】化合物Iの結晶形Iの実験的PXRDパターンを示す。
【
図2】化合物Iトリメタノール溶媒和物の実験的PXRDパターンを示す。
【
図3】化合物Iジメタノール一水和物の実験的PXRDを示す。
【
図4】化合物I脱溶媒和物の実験的PXRDを示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、化合物I(
【0007】
【化1】
)の結晶多形体に関する。化合物1は強力なHCVプロテアーゼ阻害剤であり、参照によりその全体を本明細書に組み入れる米国特許出願公開第2012/0070416号明細書に記載されている。
【0008】
化合物Iの結晶形は、非限定的に挙げられる物性(例えば、結晶度、吸湿性、融点、または水和)、医薬特性(例えば、溶解度/溶解速度、安定性、または相容性)、及び結晶化特性(例えば、純度、収率、またはモルホロジー)を含めた化合物の物理化学特性をモジュレート/改善するために使用され得る。
【0009】
1つの態様において、本発明は、
図1に示すように粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて特徴的ピークを有する化合物Iの結晶形に関する。
【0010】
別の態様において、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて表1aに示す2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有する化合物Iの結晶形に関する。
【0011】
表1a、2a、3a及び4a、及び
図1~4中の各ピークの相対強度及び2θ値は、たとえ結晶形が同一でも、ある条件下で変化またはシフトし得る。当業者は、それらのPXRDデータを比較することにより所与の結晶形が
図1~4、または表1a、2a、3a及び4aの1つに記載されているのと同一の結晶形であるかを容易に調べることができるべきである。
【0012】
さらに別の態様において、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて8.4、8.9、11.1、12.2、14.5、15、15.9、17.4、17.8及び22.2の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有する化合物Iの結晶形に関する。
【0013】
さらに別の態様において、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて8.4、8.9、10.2、11.1、12.2、12.5、13.2、13.7、14.5、15、15.5、15.9、17.4、17.8、19.6、19.9、21.1、22.2、22.7及び23.9の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有する化合物Iの結晶形に関する。
【0014】
さらに別の態様において、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて6.7、8.4、8.9、9.9、10.2、11.1、12.2、12.5、13.2、13.7、14.5、15、15.5、15.9、17.4、17.8、18.1、18.9、19、19.6、19.9、21.1、21.8、22.2、22.7、22.8、23.2、23.9、24.6及び25.1の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有する化合物Iの結晶形に関する。
【0015】
さらに別の態様において、本発明は、
図2に示すように粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて特徴的ピークを有する化合物Iの結晶形に関する。
【0016】
さらに別の態様において、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて表2aに示す2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有する化合物Iの結晶形に関する。
【0017】
さらに別の態様において、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて8.2、10.9、14.1、14.3、14.9、15.5、15.8、17.5、21.8及び22.2の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有する化合物Iの結晶形に関する。
【0018】
さらに別の態様において、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて8.2、8.7、10.9、14.1、14.3、14.6、14.9、15.5、15.8、17.3、17.5、18.7、19.7、20.7、21.4、21.8、22.2、22.8、23.5及び23.7の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有する化合物Iの結晶形に関する。
【0019】
さらに別の態様において、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて6.4、8.2、8.7、10.1、10.9、12、12.3、13、13.4、14.1、14.3、14.6、14.9、15.2、15.5、15.8、17.3、17.5、18、18.7、19.4、19.7、20.2、20.7、20.9、21.4、21.8、22.2、22.8、23.1、23.5、23.7、24.2、25、25.4、26.5及び26.8の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有する化合物Iの結晶形に関する。
【0020】
さらに別の態様において、本発明は、
図3に示すように粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて特徴的ピークを有する化合物Iの結晶形に関する
さらに別の態様において、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて表3aに示す2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有する化合物Iの結晶形に関する。
【0021】
さらに別の態様において、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて8.4、8.8、11.1、14.4、15、15.8、17.4、17.7、22.2及び23.8の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有する化合物Iの結晶形に関する。
【0022】
さらに別の態様において、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて8.4、8.8、10.2、11.1、12.2、13.2、13.6、14.4、15、15.4、15.8、17.4、17.7、18.8、19.8、21、22.2、22.7、23.2及び23.8の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有する化合物Iの結晶形に関する。
【0023】
さらに別の態様において、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて6.6、8.4、8.8、9.8、10.2、11.1、12.2、12.4、13.2、13.6、14.4、15、15.4、15.8、17.4、17.7、18.1、18.8、19.5、19.8、20.7、21、21.7、22.2、22.7、23.2、23.8、24.5、25、26.8及び27.4の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有する化合物Iの結晶形に関する。
【0024】
さらに別の態様において、本発明は、
図4に示すように粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて特徴的ピークを有する化合物Iの結晶形に関する。
【0025】
さらに別の態様において、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて表4aに示す2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有する化合物Iの結晶形に関する。
【0026】
さらに別の態様において、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて8.4、9.1、11.2、14.5、15.1、15.6、16、16.3、17.5及び17.9の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有する化合物Iの結晶形に関する。
【0027】
さらに別の態様において、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて8.4、9.1、10.2、11.2、12.3、13.3、14.5、15.1、15.6、16、16.3、17、17.5、17.9、18.2、19、19.4、20、21.2及び24の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有する化合物Iの結晶形に関する。
【0028】
さらに別の態様において、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて6.7、8.4、9.1、9.6、9.9、10.2、11.2、12.3、13.3、13.7、14.5、15.1、15.6、16、16.3、17、17.5、17.9、18.2、19、19.4、20、20.9、21.2、21.9、22.4、22.8、23.3、24、24.6、25.1、25.6、27及び27.8の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有する化合物Iの結晶形に関する。
【0029】
本明細書中で使用されているPXRDデータは、カーブ位置センサー及び平行ビームオプティクスを備えたG3000回折計(Inel Corp.,フランス国アルトネ)を用いて集めることができる。回折計は銅陽極管(1.5kWファインフォーカス)を用いて40kV及び30mAで操作する。入射ビームゲルマニウムモノクロメーターは1.54178Åの波長を有する単色Cu-Kα放射線を与える。回折計は減衰直接ビームを用いて1度間隔で較正する。較正はケイ素粉末線位置参照基準(NIST 640c)を用いてチェックする。計器をSymphonixソフトウェア(Inel Corp.,フランス国アルトネ)を用いてコンピューターコントロールし、データをJadeソフトウェア(バージョン9.0,Materials Data,Inc.,カリフォルニア州リバモア)を用いて分析する。サンプルをアルミニウムサンプルホルダーに充填し、ガラススライドと同じ高さにする。PXRDピーク位置測定エラーは典型的には±0.2度2θ(°2θ)である。
【0030】
別の態様において、本発明は、実質的に純粋である上記した結晶形に関する。本明細書中で使用されている用語「実質的に純粋」は、所与の結晶形に関して使用されているとき少なくとも約90%の純度を有する結晶形を指す。これは、該結晶形が化合物Iの他の形態を約10%を超えて含有していないことを意味する。より好ましくは、用語「実質的に純粋」は、少なくとも約95%の純度を有する化合物Iの結晶形を指す。これは、化合物Iの結晶形が化合物Iの他の形態を約5%を超えて含有していないことを意味する。さらにより好ましくは、用語「実質的に純粋」は、少なくとも約97%の純度を有する結晶形を指す。これは、化合物Iの結晶形が化合物Iの他の形態を約3%を超えて含有していないことを意味する。
【0031】
1つの実施形態では、本発明は、
図1に示すように粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形に関する。例えば、結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0032】
別の実施形態では、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて表1aに示す2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形に関する。例えば、結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0033】
別の実施形態では、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて8.4、8.9、11.1、12.2、14.5、15、15.9、17.4、17.8及び22.2の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形に関する。例えば、結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0034】
別の実施形態では、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて8.4、8.9、10.2、11.1、12.2、12.5、13.2、13.7、14.5、15、15.5、15.9、17.4、17.8、19.6、19.9、21.1、22.2、22.7及び23.9の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形に関する。例えば、結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0035】
別の実施形態では、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて6.7、8.4、8.9、9.9、10.2、11.1、12.2、12.5、13.2、13.7、14.5、15、15.5、15.9、17.4、17.8、18.1、18.9、19、19.6、19.9、21.1、21.8、22.2、22.7、22.8、23.2、23.9、24.6及び25.1の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形に関する。例えば、結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0036】
さらに別の実施形態では、本発明は、
図2に示すように粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形に関する。例えば、結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0037】
さらに別の実施形態では、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて表2aに示す2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形に関する。例えば、結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0038】
別の実施形態では、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて8.2、10.9、14.1、14.3、14.9、15.5、15.8、17.5、21.8及び22.2の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形に関する。例えば、結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0039】
別の実施形態では、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて8.2、8.7、10.9、14.1、14.3、14.6、14.9、15.5、15.8、17.3、17.5、18.7、19.7、20.7、21.4、21.8、22.2、22.8、23.5及び23.7の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形に関する。例えば、結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0040】
別の実施形態では、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて6.4、8.2、8.7、10.1、10.9、12、12.3、13、13.4、14.1、14.3、14.6、14.9、15.2、15.5、15.8、17.3、17.5、18、18.7、19.4、19.7、20.2、20.7、20.9、21.4、21.8、22.2、22.8、23.1、23.5、23.7、24.2、25、25.4、26.5及び26.8の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形に関する。例えば、結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0041】
さらに別の実施形態では、本発明は、
図3に示すように粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形に関する。例えば、結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0042】
さらに別の実施形態では、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて表3aに示す2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形に関する。例えば、結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0043】
別の実施形態では、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて8.4、8.8、11.1、14.4、15、15.8、17.4、17.7、22.2及び23.8の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形に関する。例えば、結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0044】
別の実施形態では、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて8.4、8.8、10.2、11.1、12.2、13.2、13.6、14.4、15、15.4、15.8、17.4、17.7、18.8、19.8、21、22.2、22.7、23.2及び23.8の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形に関する。例えば、結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0045】
別の実施形態では、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて6.6、8.4、8.8、9.8、10.2、11.1、12.2、12.4、13.2、13.6、14.4、15、15.4、15.8、17.4、17.7、18.1、18.8、19.5、19.8、20.7、21、21.7、22.2、22.7、23.2、23.8、24.5、25、26.8及び27.4及び32.45の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形に関する。例えば、結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0046】
さらに別の実施形態では、本発明は、
図4に示すように粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形に関する。例えば、結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0047】
さらに別の実施形態では、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて表4aに示す2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形に関する。例えば、結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0048】
別の実施形態では、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて8.4、9.1、11.2、14.5、15.1、15.6、16、16.3、17.5及び17.9の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形に関する。例えば、結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0049】
別の実施形態では、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて8.4、9.1、10.2、11.2、12.3、13.3、14.5、15.1、15.6、16、16.3、17、17.5、17.9、18.2、19、19.4、20、21.2及び24の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形に関する。例えば、結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0050】
別の実施形態では、本発明は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて6.7、8.4、9.1、9.6、9.9、10.2、11.2、12.3、13.3、13.7、14.5、15.1、15.6、16、16.3、17、17.5、17.9、18.2、19、19.4、20、20.9、21.2、21.9、22.4、22.8、23.3、24、24.6、25.1、25.6、27及び27.8の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形に関する。例えば、結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0051】
さらに別の態様において、本発明は、化合物Iを含む組成物を作成するための本発明の結晶形の使用方法に関する。この方法は本発明の結晶形を溶媒中に溶解させることを含む。
【0052】
本明細書中に記載されている本発明の方法において本明細書のいずれかの態様、実施形態または実施例に記載されている結晶形を含めた本明細書中に記載されている結晶形が使用され得る。
【0053】
1つの実施形態では、溶媒は揮発性溶媒、例えばエタノールまたはメタノールである。適当な賦形剤、例えば下記する親水性ポリマーまたは糖アルコールを溶媒中に溶解させてもよい。次いで、こうして生じた溶液を例えば噴霧乾燥、凍結乾燥または他の溶媒蒸発技術により乾燥して溶媒を除去して、化合物I及び賦形剤を含む固体分散体を作成し得る。好ましくは、化合物Iは固体分散体中に非晶質形態で存在する。より好ましくは、固体分散体は固溶体またはガラス状溶液である。多くの場合、溶媒を除去する前に下記する医薬的に許容され得る界面活性剤を溶液に添加し得る。その結果、この実施形態に従って作成される固体分散体/固溶体/ガラス状溶液は界面活性剤をも含む。
【0054】
別の実施形態では、溶媒は溶融またはゴム状の賦形剤、例えば下記する親水性ポリマーまたは糖アルコールである。化合物Iの結晶形を溶融またはゴム状賦形剤中に溶解させる。化合物Iの結晶形の溶融またはゴム状賦形剤中への溶解及び混合を促進させるために加熱してもよい。化合物Iの結晶形を賦形剤中に溶解し、混合するために溶融押出しを使用することが好ましい。こうして生じた溶液または溶融物を冷却し、固化して、化合物I及び賦形剤を含む固体分散体を形成し得る。好ましくは、化合物Iは固体分散体中に非晶質形態で存在する。より好ましくは、固体分散体は固溶体またはガラス状溶液である。固体分散体、固溶体またはガラス状溶液を摩擦し、粉砕し、または顆粒化した後、場合により他の添加剤を含む錠剤または別の適当な固体投与形態に圧縮し得る。固体分散体、固溶体またはガラス状溶液を直接錠剤または別の適当な固体投与形態に成形または形成してもよい。多くの場合、固化する前に溶液または溶融物に下記する医薬的に許容され得る界面活性剤を添加し得る。その結果、この実施形態に従って作成される固体分散体/固溶体/ガラス状溶液は界面活性剤をも含む。
【0055】
さらに別の実施形態では、加熱と揮発性溶媒の両方を使用して、化合物Iの結晶形を適当な賦形剤を含む溶液中に溶解させる。
【0056】
本明細書中で使用されている用語「固体分散体」は、少なくとも2つの成分を含み、そのうちの1つの成分が他の1つ以上の成分の全体にわたって分散している固体状態(液体または気体状態とは対照的)の系を規定している。例えば、活性成分または活性成分の組合せを医薬的に許容され得る親水性ポリマー及び医薬的に許容され得る界面活性剤からなるマトリックス中に分散させ得る。用語「固体分散体」は1つの相の小粒子が別の相中に分散されてなる系を包含する。系が(熱力学的に規定される)1つの相の全体にわたって化学的・物理的に均一または均質であるか、または1つの相から構成されているような成分の固体分散体の場合には、その固体分散体は「固溶体」と称される。ガラス状溶液は、溶質がガラス状溶媒中に溶解している固溶体である。
【0057】
本発明の方法において使用するために適している賦形剤の非限定例には、多数の親水性ポリマーが含まれる。本発明の方法において使用される親水性ポリマーは、好ましくは少なくとも50℃、より好ましくは少なくとも60℃、非常に好ましくは少なくとも80℃(例えば、非限定的に80℃~180℃、または100℃~150℃が挙げられる)のTgを有している。有機ポリマーのTg値の測定方法は、INTRODUCTION TO PHYSICAL POLYMER SCIENCE(第2版,L.H.Sperling編,John Wiley & Sons,Inc.,1992発行)に記載されている。Tg値は、個別ポリマーの各々から誘導したホモポリマーのTg値の加重合計として計算され得る。すなわち、ポリマーTg=ΣWi・Xi(ここで、Wiは有機ポリマー中のモノマーiの重量%であり、Xiはモノマーiから誘導したホモポリマーのTg値である)。ホモポリマーのTg値はPOLYMER HANDBOOK(第2版,J.Brandrup及びE.H.Immergut編,John Wiley & Sons,Inc.,1975発行)から採用し得る。上記したTgを有する親水性ポリマーにより、機械的に安定であり、通常の温度範囲内で十分温度安定性である固体分散体を作成することができ、この固体分散体は更に加工することなく投与形態として使用され得るか、またはほんの少量の錠剤化助剤を用いるだけで錠剤に圧縮され得る。50℃以下のTgを有する親水性ポリマーを使用してもよい。
【0058】
好ましくは、本発明で使用される親水性ポリマーは水溶性である。本発明の固体組成物は難水溶性または水不溶性ポリマー、例えば架橋ポリマーをも含み得る。本発明の固体組成物中に含まれる親水性ポリマーは、20℃で2%(w/v)で水溶液中に溶解させたとき、好ましくは1~5000mPa・s、より好ましくは1~700mPa・s、最も好ましくは5~100mPa・sの見かけ粘度を有している。
【0059】
本発明の方法において使用するために適している親水性ポリマーには、N-ビニルラクタムのホモポリマーまたはコポリマー、例えばN-ビニルピロリドンのホモポリマーまたはコポリマー(例:ポリビニルピロリドン(PVP)、またはN-ビニルピロリドンと酢酸ビニルまたはプロピオン酸ビニルのコポリマー);セルロースエステルまたはセルロースエーテル、例えばアルキルセルロース(例:メチルセルロースまたはエチルセルロース)、ヒドロキシアルキルセルロース(例:ヒドロキシプロピルセルロース)、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース(例:ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、及びフタル酸またはコハク酸セルロース(例:酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、または酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース);高分子量ポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、及びエチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー;ポリアクリレートまたはポリメタクリレート、例えばメタクリル酸/アクリル酸エチルコポリマー、メタクリル酸/メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸ブチル/2-ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、ポリ(ヒドロキシアルキルアクリレート)及びポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート);ポリアクリルアミド;酢酸ビニルポリマー、例えば酢酸ビニルとクロトン酸のコポリマー、及び部分水解ポリ酢酸ビニル(部分けん化「ポリビニルアルコール」とも称される);ポリビニルアルコール;オリゴ糖または多糖、例えばカラゲナン、ガラクトマンナン及びキサンタンガム;ポリヒドロキシアルキルアクリレート;ポリヒドロキシアルキルメタクリレート;メタクリル酸メチルとアクリル酸のコポリマー;ポリエチレングリコール(PEG);またはその混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0060】
本発明の方法において使用するための好ましい親水性ポリマーの非限定例には、ポリビニルピロリドン(PVP)K17、PVP K25、PVP K30、PVP K90、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)E3、HPMC E5、HPMC E6、HPMC E15、HPMC K3、HPMC A4、HPMC A15、HPMCアセテートスクシネート(AS)LF、HPMC AS MF、HPMC AS HF、HPMC AS LG、HPMC AS MG、HPMC AS HG、HPMCフタレート(P)50、HPMC P 55、エトセル4、エトセル7、エトセル10、エトセル14、エトセル20、コポビドン(ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー 60/40)、ポリ酢酸ビニル、メタクリレート/メタクリル酸コポリマー(オイドラギット)L100-55、オイドラギットL100、オイドラギットS100、ポリエチレングリコール(PEG)400、PEG 600、PEG 1450、PEG 3350、PEG 4000、PEG 6000、PEG 8000、ポロキサマー124、ポロキサマー188、ポロキサマー237、ポロキサマー338及びポロキサマー407が含まれる。
【0061】
これらの中で、N-ビニルピロリドンのホモポリマーまたはコポリマー、例えばN-ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマーが好ましい。好ましいポリマーの非限定例は60重量%のN-ビニルピロリドンと40重量%の酢酸ビニルのコポリマーである。他の好ましいポリマーには、非限定的にヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC,米国薬局方でヒプロメロースとしても公知)、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースグレードE5(HPMC-E5);及び酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC-AS)が含まれる。
【0062】
本発明の方法において使用される医薬的に許容され得る界面活性剤は、好ましくはノニオン性界面活性剤である。より好ましくは、ノニオン性界面活性剤は2~20のHLB値を有する。HLBシステム(Fiedler,H.B.,ENCYLOPEDIA OF EXCIPIENTS,第5版,Aulendorf:ECV-Editio-Cantor-Verlag(2002))は界面活性剤に対して数値を割り当て、親油性物質にはより低いHLB値が付与され、親水性物質にはより高いHLB値が付与されている。
【0063】
本発明の方法において使用するために適している医薬的に許容され得る界面活性剤の非限定例には、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、例えばポリオキシエチレングリセロールトリリシノレートまたはポリオキシ35ヒマシ油(Cremophor(R)EL; BASF Corp.)、またはポリオキシエチレングリセロールオキシステアレート、例えばポリエチレングリコール40硬化ヒマシ油(ポリオキシ40硬化ヒマシ油としても公知のCremophor(R)RH 40、またはマクロゴールグリセロールヒドロキシステアレート)、またはポリエチレングリコール60硬化ヒマシ油(Cremophor(R)RH 60);またはポリオキシエチレンソルビタンのモノ脂肪酸エステル、例えばポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween(R)80)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(Tween(R)60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート(Tween(R)40)またはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween(R)20)のようなポリオキシエチレン(20)ソルビタンのモノ脂肪酸エステルが含まれる。適当な界面活性剤の他の非限定例には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えばポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ステアリルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、例えばポリオキシエチレン(2)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(3)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(4)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(3)オクチルフェニルエーテル;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、例えばPEG-200モノラウレート、PEG-200ジラウレート、PEG-300ジラウレート、PEG-400ジラウレート、PEG-300ジステアレート、PEG-300ジオレエート;アルキレングリコール脂肪酸モノエステル、例えばプロピレングリコールモノラウレート(Lauroglycol(R));スクロース脂肪酸エステル、例えばスクロースモノステアレート、スクロースジステアレート、スクロースモノラウレート、スクロースジラウレート;ソルビタン脂肪酸モノエステル、例えばソルビタンモノラウレート(Span(R)20)、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート(Span(R)40)またはソルビタンステアレートが含まれる。他の適当な界面活性剤には、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーとしても公知のエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマー、またはポリオキシエチレンポリプロピレングリコール、例えばPoloxamer(R)124、Poloxamer(R)188、Poloxamer(R)237、Poloxamer(R)388またはPoloxamer(R)407(BASF Wyandotte Corp.)が含まれるが、これらに限定されない。
【0064】
本発明の方法において使用するための好ましい界面活性剤の非限定例には、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、Cremophor RH 40、Cremophor EL、Gelucire 44/14、Gelucire 50/13、D-α-トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート(ビタミンE TPGS)、プロピレングリコールラウレート、ラウリル硫酸ナトリウム及びソルビタンモノラウレートが含まれる。
【0065】
本発明において使用される医薬的に許容され得る界面活性剤は医薬的に許容され得る界面活性剤の混合物、例えば10未満のHLB値を有する界面活性剤と10以上のHLB値を有する別の界面活性剤の組合せであり得る。
【0066】
1つの実施形態では、少なくとも10のHLB値を有する界面活性剤を本発明の方法において使用する。別の実施形態では、10未満のHLB値を有する界面活性剤を本発明の方法において使用する。さらに別の実施形態では、2つ以上の界面活性剤の混合物(例えば、少なくとも10のHLB値を有する界面活性剤と10未満のHLB値を有する別の界面活性剤の組合せ)を本発明の方法において使用する。
【0067】
1つの実施形態では、本発明の方法は、本発明の結晶形、上記した親水性ポリマー及び上記した界面活性剤を溶解して、溶液(例えば、溶融物)を形成することを含む。親水性ポリマーは、例えばN-ビニルラクタムのホモポリマー、N-ビニルラクタムのコポリマー、セルロースエステル、セルロースエーテル、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルポリマー、オリゴ糖及び多糖からなる群から選択され得る。非限定例として、親水性ポリマーは、N-ビニルピロリドンのホモポリマー、N-ビニルピロリドンのコポリマー、N-ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー、N-ビニルピロリドンとプロピオン酸ビニルのコポリマー、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸セルロース、コハク酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー、メタクリル酸/アクリル酸エチルコポリマー、メタクリル酸/メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸ブチル/メタクリル酸2-ジメチルアミノエチルコポリマー、ポリ(ヒドロキシアルキルアクリレート)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、酢酸ビニルとクロトン酸のコポリマー、部分水解ポリ酢酸ビニル、カラゲナン、ガラクトマンナン及びキサンタンガムからなる群から選択される。好ましくは、親水性ポリマーは、ポリビニルピロリドン(PVP)K17、PVP K25、PVP K30、PVP K90、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)E3、HPMC E5、HPMC E6、HPMC E15、HPMC K3、HPMC A4、HPMC A15、HPMCアセテートスクシネート(AS)LF、HPMC AS MF、HPMC AS HF、HPMC AS LG、HPMC AS MG、HPMC AS HG、HPMCフタレート(P)50、HPMC P 55、エトセル4、エトセル7、エトセル10、エトセル14、エトセル20、コポビドン(ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー 60/40)、ポリ酢酸ビニル、メタクリレート/メタクリル酸コポリマー(オイドラギット)L100-55、オイドラギットL100、オイドラギットS100、ポリエチレングリコール(PEG)400、PEG 600、PEG 1450、PEG 3350、PEG 4000、PEG 6000、PEG 8000、ポロキサマー124、ポロキサマー188、ポロキサマー237、ポロキサマー338またはポロキサマー407から選択される。より好ましくは、親水性ポリマーは、ビニルピロリドンのホモポリマー(例えば、12~100のフィケンチャーK値を有するPVP、または17~30のフィケンチャーK値を有するPVP)、または30~70重量%のN-ビニルピロリドン(VP)と70~30重量%の酢酸ビニル(VA)のコポリマー(例えば、60重量% VPと40重量% VAのコポリマー)から選択される。界面活性剤は、例えばポリオキシエチレングリセロールトリリシノレート、ポリオキシル35ヒマシ油(Cremophor(R)EL;BASF Corp.)またはポリオキシエチレングリセロールオキシステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンのモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アルキレングリコール脂肪酸モノエステル、スクロース脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸モノエステルからなる群から選択され得る。非限定例として、界面活性剤は、ポリエチレングリコール40硬化ヒマシ油(ポリオキシ40硬化ヒマシ油としても公知のCremophor(R)RH 40、またはマクロゴールグリセロールヒドロキシステアレート)、ポリエチレングリコール60硬化ヒマシ油(Cremophor(R)RH 60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンのモノ脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween(R)80)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(Tween(R)60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート(Tween(R)40)またはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween(R)20))、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(2)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(3)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(4)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(3)オクチルフェニルエーテル、PEG-200モノラウレート、PEG-200ジラウレート、PEG-300ジラウレート、PEG-400ジラウレート、PEG-300ジステアレート、PEG-300ジオレエート、プロピレングリコールモノラウレート、スクロースモノステアレート、スクロースジステアレート、スクロースモノラウレート、スクロースジラウレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート及びソルビタンステアレートからなる群から選択される。好ましくは、界面活性剤はポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、Cremophor RH 40、Cremophor EL、Gelucire 44/14、Gelucire 50/13、D-α-トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート(ビタミンE TPGS)、プロピレングリコールラウレート、ラウリル硫酸ナトリウムまたはソルビタンモノラウレートから選択される。より好ましくは、界面活性剤はソルビタンモノラウレートまたはD-α-トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネートから選択される。
【0068】
別の実施形態では、本発明の方法は、本発明の結晶形、上記した親水性ポリマー及び上記した界面活性剤を溶解して、溶液(例えば、溶融物)を形成することを含む。親水性ポリマーはN-ビニルピロリドンのホモポリマーまたはコポリマー(例えば、コポビドン)である。医薬的に許容され得る界面活性剤は、例えばビタミンE TPGS、またはソルビタンモノラウレートであり得る。
【0069】
本発明の溶融押出し方法は、典型的には(1)本発明の結晶形、(2)上記した親水性ポリマー(または、別の適当な結合剤)、及び(3)好ましくは上記した界面活性剤から溶融物を作成することを含む。次いで、溶融物を固化するまで冷却し得る。最初に使用した化合物Iの結晶形は溶融物の形成時に消失する。溶融物が他の添加剤を含んでいてもよい。「溶融」は、1つの成分が他の1つ以上の成分中に埋め込まれ得、好ましくは均一に埋め込まれ得る液体またはゴム状態への転移を意味する。多くの場合、ポリマー成分は溶融し、化合物Iの結晶形及び界面活性剤を含めた他の成分は溶融物中に溶解して、溶液が形成される。溶融は通常ポリマーの軟化点以上に加熱することを含む。溶融物の作成は各種方法で行い得る。溶融物の形成の前、その間またはその後に、成分の混合を行い得る。例えば、成分をまず混合した後、溶融するか、または混合と溶融を同時に行い得る。化合物Iを効率的に分散させるために溶融物をホモジナイズさせてもよい。加えて、まずポリマーを溶融した後、化合物Iを混合し、ホモジナイズすることが便利であり得る。1つの例では、界面活性剤を除くすべての材料を混合し、押出機に供給し、界面活性剤は外部で溶融し、押出し中に圧入する。
【0070】
別の例では、溶融物は化合物I及び上記した親水性ポリマーを含み、溶融温度は100~170℃、好ましくは120~150℃、非常に好ましくは135~140℃である。溶融物に上記した医薬的に許容され得る界面活性剤を含めてもよい。
【0071】
さらに別の例では、溶融物は化合物I、少なくとも別の抗HCV剤(例えば、HCVポリメラーゼ阻害剤、NS5A阻害剤、またはHCVポリメラーゼ阻害剤とNS5A阻害剤の組合せ)、及び上記した親水性ポリマーを含む。溶融物に上記した医薬的に許容され得る界面活性剤を含めてもよい。
【0072】
溶融押出し方法を始めるために、化合物Iは本発明の結晶形、例えば本明細書の態様、実施形態または実施例に記載されている結晶形で使用する。本発明の結晶形をまず適当な液体溶媒、例えばアルコール、脂肪族炭化水素、エステル、または場合により液体二酸化炭素中に溶解させ得る。溶媒は溶融物の作成時に除去、例えば蒸発され得る。
【0073】
溶融物中に各種添加剤、例えば流量調整剤(例えば、コロイドシリカ)、滑沢剤、フィラー、崩壊剤、可塑剤、着色剤、または安定剤(例えば、抗酸化剤、光安定剤、ラジカルスカベンジャー、及び微生物の攻撃に対する安定剤)をも配合し得る。
【0074】
溶融及び/または混合はこの目的のために慣用されている装置中で行い得る。特に適当な装置は押出機またはニーダーである。適当な押出機には、一軸スクリュー押出機、かみ合い型スクリュー押出機、または多軸スクリュー押出機、好ましくは同方向または逆方向に回転し得、場合によりニーディングディスクを備え得る二軸スクリュー押出機が含まれる。操作温度は押出機の種類、または使用する押出機内の構成の種類により決定され得ると理解される。押出機中で成分を溶融、混合及び溶解させるために必要なエネルギーの一部は加熱素子により与えられ得る。しかしながら、押出機中の材料の摩擦及び剪断によっても混合物に対して大量のエネルギーが与えられ、成分の均質溶融物の形成が助けられ得る。
【0075】
溶融物は低粘性、ペースト状から粘性の範囲であり得る。押出物の成形は通常その表面上に相互に整合する窪みを有する2つの逆回転ローラーを備えたカレンダーにより実施し得る。押出物を冷却し、固化し得る。固化前(ホットカット)また固化後(コールドカット)に押出物をピースに切断してもよい。
【0076】
固化した押出生成物は更に摩砕、粉砕、または他の方法で顆粒に縮小され得る。固化した押出生成物及び生じた各顆粒は、親水性ポリマー及び場合により医薬的に許容され得る界面活性剤からなるマトリックス中の化合物Iの固体分散体、好ましくは固溶体からなる。顆粒が界面活性剤を含んでいない場合には、上記した医薬的に許容され得る界面活性剤を顆粒に添加し、混合し得る。顆粒に摩砕または粉砕する前に、押出生成物を他の活性成分(例えば、リトナビル)及び/または添加剤と混合してもよい。顆粒を更に適当な固体経口投与形態に加工してもよい。
【0077】
1つの例では、コポビドン及び上記した界面活性剤を混合し、顆粒化した後、アエロジル及び本発明の化合物Iの結晶形を添加する。混合物はリトナビルをも含み得る。次いで、例えば5重量%の化合物Iを含有し得る混合物を摩砕する。次いで、混合物を押出しにかけ、こうして生じた押出物をカプセル剤または錠剤を作成するための追加加工のために摩砕し、篩い分けし得る。この例で使用する界面活性剤を押出中に液体投入を介して添加してもよい。
【0078】
例えば噴霧乾燥による溶媒蒸発の方法は、所要により低温で加工することができる利点を与え、粉末特性を更に改善するために方法に他の改変を加えることができる。次いで、噴霧乾燥粉末を所要により更に処理し得、最終薬物生成物はカプセル剤、錠剤または他の固体投与形態が所望されるかに関して自由である。
【0079】
噴霧乾燥方法及び噴霧乾燥装置の例は、K.Masters,SPRAY DRYING HANDBOOK(Halstead Press,New York,第4版,1985)に記載されている。本発明のために適当な噴霧乾燥デバイスの非限定例には、Niro Inc.、またはGEA Process Engineering Inc.、Buchi Labortechnik AG及びSpray Drying Systems,Inc.製の噴霧乾燥機が含まれる。噴霧乾燥方法は通常、液滴からの溶媒の蒸発のために強い推進力がある容器(噴霧乾燥装置)において液体混合物を小さい液滴に分割し、その液滴から溶媒を急速に除去することを含む。噴霧化技術には、例えば二流体または圧力ノズルまたはロータリーアトマイザーが含まれる。溶媒蒸発のための強い推進力は、例えば噴霧乾燥装置中の溶媒の分圧を乾燥液滴の温度での溶媒の蒸発圧よりもはるか下に維持することにより与えられ得る。これは、(1)噴霧乾燥装置中の圧力を部分真空下に維持する;(2)液滴を温乾燥ガス(例えば、加熱窒素)と混合する;または(3)その両方によりなされ得る。
【0080】
乾燥ガスの温度及び流速、並びに噴霧乾燥機の設計は、装置の壁に達するまでに液滴が十分に乾燥するように選択され得る。これにより、乾燥液滴が本質的に固体であり、微粉末を形成し得、装置の壁に粘着しないことが確保される。噴霧乾燥生成物は、材料を手動、空気圧を用いて、機械を用いて、または他の適当な手段により取り除くことにより集められ得る。好ましい乾燥レベルを得るための実際の時間は液滴の大きさ、処方及び噴霧乾燥機の操作に依存する。固化後、固体粉末から溶媒を更に蒸発させるために該固体粉末を噴霧乾燥チャンバ中に追加時間(例えば、5~60秒間)滞留させてもよい。乾燥機を出た固体分散体中の最終溶媒含有量が最終生成物の安定性が改善されるように十分に低レベルであることが好ましい。例えば、噴霧乾燥粉末の残留溶媒含量は2重量%未満であり得る。非常に好ましくは、残留溶媒含量は規制調和国際会議(ICH)ガイドラインに記載されている限度の範囲内である。加えて、残留溶媒を更に低レベルに低下させるために噴霧乾燥組成物を更に乾燥することも有用であり得る。溶媒レベルを更に低下させるための方法には、流動床乾燥、赤外乾燥、タンブル乾燥、真空乾燥、及びこれらの組合せ、並びに他の方法が含まれるが、これらに限定されない。
【0081】
上記した固体押出物のように、噴霧乾燥生成物は上記した親水性ポリマー及び場合により上記した医薬的に許容され得る界面活性剤からなるマトリックス中の化合物Iの固体分散体、好ましくは固溶体を含有している。噴霧乾燥生成物が界面活性剤を含有していない場合には、更に加工する前に上記した医薬的に許容され得る界面活性剤を噴霧乾燥生成物に添加し、混合し得る。
【0082】
噴霧乾燥機に供給する前に、本発明の化合物Iの結晶形、上記した親水性ポリマー、及び他の任意の活性成分または賦形剤、例えば上記した医薬的に許容され得る界面活性剤を溶媒中に溶解させ得る。適当な溶媒には、アルカノール(例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノールまたはその混合物)、アセトン、アセトン/水、アルカノール/水混合物(例えば、エタノール/水混合物)、またはその組合せが含まれるが、これらに限定されない。噴霧乾燥機に供給する前に、溶液を予め加熱してもよい。多くの場合、リトナビルを化合物Iの結晶形と一緒に溶解させる。
【0083】
溶融押出し、噴霧乾燥または他の手法により作成した固体分散体は適当な固体経口投与形態に作成され得る。1つの実施形態では、溶融押出し、噴霧乾燥または他の手法により作成した固体分散体(例えば、押出物または噴霧乾燥粉末)が錠剤に圧縮され得る。固体分散体を直接圧縮しても、また圧縮前に顆粒または粉末に摩砕または粉砕してもよい。圧縮は2つの可動パンチ間のスチールダイのような錠剤プレスを用いてなし得る。固体組成物が化合物I及び別の抗HCV剤を含んでいる場合には、個々の活性成分の固体分散体を別々に作成し、場合により摩砕または粉砕した固体分散体を混合した後、圧縮することができる。化合物I及び別の抗HCV剤を同一の固体分散体で作成し、場合により摩砕し、及び/または他の添加剤と混合した後、錠剤に圧縮してもよい。また、固体組成物が化合物I及びリトナビルを含んでいる場合には、個々の活性成分の固体分散体を別々に作成し、次いで場合により固体分散体を摩砕または粉砕した後、圧縮してもよい。化合物I及びリトナビルを同一の固体分散体で作成し、場合により摩砕し、及び/または他の添加剤と混合した後、錠剤に圧縮してもよい。
【0084】
流量調整剤、滑沢剤、フィラー、崩壊剤または可塑剤から選択されるような少なくとも1つの添加剤を固体分散体の圧縮時に使用し得る。これらの添加剤を圧縮前に粉砕または摩砕した固体分散体と混合し得る。崩壊剤は圧縮物の胃での急速崩壊を促進し、遊離した顆粒を相互に分離して保つ。適当な崩壊剤の非限定例は、架橋ポリマー、例えば架橋ポリビニルピロリドン、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロースまたはクロスカルメロースナトリウムである。適当なフィラー(増量剤とも称される)の非限定例はラクトース一水和物、リン酸水素カルシウム、結晶セルロース(例えば、アビセル)、シリケート、特に二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、タルク、ジャガイモまたはトウモロコシ澱粉、イソマルトまたはポリビニルアルコールである。適当な流量調整剤の非限定例には、高分散性シリカ(例えば、アエロジルのようなコロイド状シリカ)、及び動物性または植物性油脂が含まれる。適当な滑沢剤の非限定例には、ポリエチレングリコール(例えば、1000~6000の分子量を有するもの)、ステアリン酸マグネシウム及びカルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム等が含まれる。
【0085】
本発明の方法に従って固体組成物を製造する際に各種の他の添加剤、例えばアゾ染料のような染料、酸化アルミニウムまたは二酸化チタンのように有機または無機顔料、または天然起源の染料;安定剤、例えば光安定剤、ラジカルスカベンジャー、微生物攻撃に対する安定剤も使用し得る。
【0086】
1つの実施形態では、(いずれかの態様、実施形態、実施例または好みに記載されている方法を含めた)上記した本発明の方法は、
図1に示すように粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形を使用する。例えば、使用する結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0087】
別の実施形態では、(いずれかの態様、実施形態、実施例または好みに記載されている方法を含めた)上記した本発明の方法は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて表1aに示す2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形を使用する。例えば、使用する結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0088】
別の実施形態では、(いずれかの態様、実施形態、実施例または好みに記載されている方法を含めた)上記した本発明の方法は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて8.4、8.9、11.1、12.2、14.5、15、15.9、17.4、17.8及び22.2の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形を使用する。例えば、使用する結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0089】
別の実施形態では、(いずれかの態様、実施形態、実施例または好みに記載されている方法を含めた)上記した本発明の方法は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて8.4、8.9、10.2、11.1、12.2、12.5、13.2、13.7、14.5、15、15.5、15.9、17.4、17.8、19.6、19.9、21.1、22.2、22.7及び23.9の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形を使用する。例えば、使用する結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0090】
別の実施形態では、(いずれかの態様、実施形態、実施例または好みに記載されている方法を含めた)上記した本発明の方法は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて6.7、8.4、8.9、9.9、10.2、11.1、12.2、12.5、13.2、13.7、14.5、15、15.5、15.9、17.4、17.8、18.1、18.9、19、19.6、19.9、21.1、21.8、22.2、22.7、22.8、23.2、23.9、24.6及び25.1の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形を使用する。例えば、使用する結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0091】
さらに別の実施形態では、(いずれかの態様、実施形態、実施例または好みに記載されている方法を含めた)上記した本発明の方法は、
図2に示すように粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形を使用する。例えば、使用する結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0092】
さらに別の実施形態では、(いずれかの態様、実施形態、実施例または好みに記載されている方法を含めた)上記した本発明の方法は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて表2aに示す2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形を使用する。例えば、使用する結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0093】
別の実施形態では、(いずれかの態様、実施形態、実施例または好みに記載されている方法を含めた)上記した本発明の方法は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて8.2、10.9、14.1、14.3、14.9、15.5、15.8、17.5、21.8及び22.2の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形を使用する。例えば、使用する結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0094】
別の実施形態では、(いずれかの態様、実施形態、実施例または好みに記載されている方法を含めた)上記した本発明の方法は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて8.2、8.7、10.9、14.1、14.3、14.6、14.9、15.5、15.8、17.3、17.5、18.7、19.7、20.7、21.4、21.8、22.2、22.8、23.5及び23.7の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形を使用する。例えば、使用する結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0095】
別の実施形態では、(いずれかの態様、実施形態、実施例または好みに記載されている方法を含めた)上記した本発明の方法は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて6.4、8.2、8.7、10.1、10.9、12、12.3、13、13.4、14.1、14.3、14.6、14.9、15.2、15.5、15.8、17.3、17.5、18、18.7、19.4、19.7、20.2、20.7、20.9、21.4、21.8、22.2、22.8、23.1、23.5、23.7、24.2、25、25.4、26.5及び26.8の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形を使用する。例えば、使用する結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0096】
さらに別の実施形態では、(いずれかの態様、実施形態、実施例または好みに記載されている方法を含めた)上記した本発明の方法は、
図3に示すように粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形を使用する。例えば、使用する結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0097】
さらに別の実施形態では、(いずれかの態様、実施形態、実施例または好みに記載されている方法を含めた)上記した本発明の方法は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて表3aに示す2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形を使用する。例えば、使用する結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0098】
別の実施形態では、(いずれかの態様、実施形態、実施例または好みに記載されている方法を含めた)上記した本発明の方法は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて8.4、8.8、11.1、14.4、15、15.8、17.4、17.7、22.2及び23.8の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形を使用する。例えば、使用する結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0099】
別の実施形態では、(いずれかの態様、実施形態、実施例または好みに記載されている方法を含めた)上記した本発明の方法は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて8.4、8.8、10.2、11.1、12.2、13.2、13.6、14.4、15、15.4、15.8、17.4、17.7、18.8、19.8、21、22.2、22.7、23.2及び23.8の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形を使用する。例えば、使用する結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0100】
別の実施形態では、(いずれかの態様、実施形態、実施例または好みに記載されている方法を含めた)上記した本発明の方法は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて6.6、8.4、8.8、9.8、10.2、11.1、12.2、12.4、13.2、13.6、14.4、15、15.4、15.8、17.4、17.7、18.1、18.8、19.5、19.8、20.7、21、21.7、22.2、22.7、23.2、23.8、24.5、25、26.8及び27.4の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形を使用する。例えば、使用する結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0101】
さらに別の実施形態では、(いずれかの態様、実施形態、実施例または好みに記載されている方法を含めた)上記した本発明の方法は、
図4に示すように粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形を使用する。例えば、使用する結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0102】
さらに別の実施形態では、(いずれかの態様、実施形態、実施例または好みに記載されている方法を含めた)上記した本発明の方法は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて表4aに示す2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形を使用する。例えば、使用する結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0103】
別の実施形態では、(いずれかの態様、実施形態、実施例または好みに記載されている方法を含めた)上記した本発明の方法は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて8.4、9.1、11.2、14.5、15.1、15.6、16、16.3、17.5及び17.9の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形を使用する。例えば、使用する結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0104】
別の実施形態では、(いずれかの態様、実施形態、実施例または好みに記載されている方法を含めた)上記した本発明の方法は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて8.4、9.1、10.2、11.2、12.3、13.3、14.5、15.1、15.6、16、16.3、17、17.5、17.9、18.2、19、19.4、20、21.2及び24の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形を使用する。例えば、使用する結晶形は90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0105】
別の実施形態では、(いずれかの態様、実施形態、実施例または好みに記載されている方法を含めた)上記した本発明の方法は、粉末X線回折(PXRD)パターンにおいて6.7、8.4、9.1、9.6、9.9、10.2、11.2、12.3、13.3、13.7、14.5、15.1、15.6、16、16.3、17、17.5、17.9、18.2、19、19.4、20、20.9、21.2、21.9、22.4、22.8、23.3、24、24.6、25.1、25.6、27及び27.8の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、実質的に純粋である化合物Iの結晶形を使用する。例えば、使用する結晶形は少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。
【0106】
さらに別の態様において、本発明は、本発明の化合物Iの結晶形を含む組成物に関する。本発明の組成物を作成するために(いずれかの態様、実施形態または実施例に記載されている結晶形を含めた)本明細書中に記載されている結晶形が使用され得る。好ましくは、結晶形は実質的に純粋であり、例えば少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度を有し得る。1つの実施形態では、本発明の組成物は少なくとも5重量%の本発明の実質的に純粋な結晶形を含む。別の実施形態では、本発明の組成物は少なくとも10重量%の本発明の実質的に純粋な結晶形を含む。さらに別の実施形態では、本発明の組成物は少なくとも5重量%の1つ以上の本発明の結晶形を含む。さらに別の実施形態では、本発明の組成物は少なくとも10重量%の1つ以上の本発明の結晶形を含む。
【実施例0107】
[実施例1]
結晶形I(水和物)の製造
粗な化合物I及びメタノール(12容量)を反応器に装入し、55±10℃に加熱して、固体を溶解した。この溶液に>50℃の温度を維持する速度で水(12容量)を添加した。生成物を約10℃/時で室温(RT)に冷却し、RTで30分間混合した。生成物を濾過により単離し、ウェットケーキを1:2(v/v)メタノール:水(2容量)で洗浄した。生成物を真空オーブン中で加湿窒素(約30~90%の相対湿度)オーブンを用いて50℃で乾燥した。
【0108】
こうして製造した結晶形の粉末X線回折パターン及びPXRDピークの相対強度をそれぞれ
図1及び表1aに示す。結晶形の結晶プロフィールを表1bに要約する。
【0109】
【0110】
【0111】
[実施例2]
化合物Iトリメタノール溶媒和物の製造
化合物I(532mg)を約55℃でMeOH(7.67g)中に溶解させた。生じた溶液を室温まで放冷した。溶液から結晶が形成し、生成物を濾過により単離した。
【0112】
こうして製造した結晶形の粉末X線回折パターン及びPXRDピークの相対強度をそれぞれ
図2及び表2aに示す。結晶形の結晶プロフィールを表2bに要約する。
【0113】
【0114】
【0115】
[実施例3]
化合物Iジメタノール一水和物の製造
粗な化合物I及びメタノール(12容量)を反応器に装入し、55±10℃に加熱して、固体を溶解した。この溶液に>50℃の温度を維持する速度で水(12容量)を添加した。生成物を約10℃/時で室温に冷却し、RTで30分間混合した。生成物を濾過により単離し、ウェットケーキを1:2(v/v)メタノール:水(2容量)で洗浄した。
【0116】
こうして製造した結晶形の粉末X線回折パターン及びPXRDピークの相対強度をそれぞれ
図3及び表3aに示す。結晶形の結晶プロフィールを表3bに要約する。
【0117】
【0118】
【0119】
[実施例4]
化合物Iの脱溶媒和物の製造
粗な化合物I及びメタノール(12容量)を反応器に装入し、55±10℃に加熱して、固体を溶解した。この溶液に>50℃の温度を維持する速度で水(12容量)を添加した。生成物を約10℃/時で室温に冷却し、RTで30分間混合した。生成物を濾過により単離し、ウェットケーキを1:2(v/v)メタノール:水(2容量)で洗浄した。生成物を真空オーブン中で乾燥窒素をパージしながら50℃で乾燥した。
【0120】
こうして製造した結晶形の粉末X線回折パターン及びPXRDピークの相対強度をそれぞれ
図4及び表4aに示す。結晶形の結晶プロフィールを表4bに要約する。
【0121】
【0122】
【0123】
本発明の前述の記載は例示及び説明を提供するが、網羅的であるとも、本発明を開示されているまさにそのものに限定するとも意図するものではない。修飾及び改変は上記教示にてらして可能であり、または本発明の実施から習得し得る。よって、本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等物により規定されることに留意されたい。
PXRDパターンにおいて8.4、8.9、10.2、11.1、12.2、12.5、13.2、13.7、14.5、15、15.5、15.9、17.4、17.8、19.6、19.9、21.1、22.2、22.7及び23.9の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、それぞれのピーク位置は±0.2°2θである、請求項11に記載の結晶形。
PXRDパターンにおいて6.7、8.4、8.9、9.9、10.2、11.1、12.2、12.5、13.2、13.7、14.5、15、15.5、15.9、17.4、17.8、18.1、18.9、19、19.6、19.9、21.1、21.8、22.2、22.7、22.8、23.2、23.9、24.6及び25.1の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、それぞれのピーク位置は±0.2°2θである、請求項11に記載の結晶形。
PXRDパターンにおいて8.2、8.7、10.9、14.1、14.3、14.6、14.9、15.5、15.8、17.3、17.5、18.7、19.7、20.7、21.4、21.8、22.2、22.8、23.5及び23.7の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、それぞれのピーク位置は±0.2°2θである、請求項14に記載の結晶形。
PXRDパターンにおいて6.4、8.2、8.7、10.1、10.9、12、12.3、13、13.4、14.1、14.3、14.6、14.9、15.2、15.5、15.8、17.3、17.5、18、18.7、19.4、19.7、20.2、20.7、20.9、21.4、21.8、22.2、22.8、23.1、23.5、23.7、24.2、25、25.4、26.5及び26.8の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、それぞれのピーク位置は±0.2°2θである、請求項14に記載の結晶形。
PXRDパターンにおいて8.4、8.8、10.2、11.1、12.2、13.2、13.6、14.4、15、15.4、15.8、17.4、17.7、18.8、19.8、21、22.2、22.7、23.2及び23.8の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、それぞれのピーク位置は±0.2°2θである、請求項17に記載の結晶形。
PXRDパターンにおいて6.6、8.4、8.8、9.8、10.2、11.1、12.2、12.4、13.2、13.6、14.4、15、15.4、15.8、17.4、17.7、18.1、18.8、19.5、19.8、20.7、21、21.7、22.2、22.7、23.2、23.8、24.5、25、26.8及び27.4の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、それぞれのピーク位置は±0.2°2θである、請求項17に記載の結晶形。
PXRDパターンにおいて8.4、9.1、10.2、11.2、12.3、13.3、14.5、15.1、15.6、16、16.3、17、17.5、17.9、18.2、19、19.4、20、21.2及び24の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、それぞれのピーク位置は±0.2°2θである、請求項20に記載の結晶形。
PXRDパターンにおいて6.7、8.4、9.1、9.6、9.9、10.2、11.2、12.3、13.3、13.7、14.5、15.1、15.6、16、16.3、17、17.5、17.9、18.2、19、19.4、20、20.9、21.2、21.9、22.4、22.8、23.3、24、24.6、25.1、25.6、27及び27.8の2θの値(°2θ)に特徴的ピークを有し、それぞれのピーク位置は±0.2°2θである、請求項20に記載の結晶形。
請求項1~22のいずれか1項に記載されている結晶形を溶融親水性ポリマーに溶解し、それによって溶融物を形成することを含む、化合物Iを含む医薬組成物の作成方法。