(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025042408
(43)【公開日】2025-03-27
(54)【発明の名称】包装機における原反ロール装着装置
(51)【国際特許分類】
B65H 19/12 20060101AFI20250319BHJP
【FI】
B65H19/12 B
B65H19/12 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023149410
(22)【出願日】2023-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】山中 幸弘
【テーマコード(参考)】
3F064
【Fターム(参考)】
3F064AA03
3F064EA03
3F064EB01
3F064EB09
(57)【要約】
【課題】 台車を包装機のフィルム供給装置に対して位置固定決めする原反ロール装着装置を提供する。
【構成】 原反ロール9を支持する支持軸を備えた台車11と、包装機側に設けられ台車をフィルム供給装置4側に引き寄せる位置決め装置13とストッパー部材71を備える。台車は、前端側に位置決め用孔部61を有する位置決め用プレート60を有する。位置決め装置は、位置決め用孔部内に進入の可能な位置決めピン65と、位置決めピンを取付けるアーム部63と、アーム部を前後進移動並びに揺動して位置決めピン側を昇降させる駆動装置70を備える。位置決め用孔部の位置決めピンが進入される第1領域61aは広く、前側に続く第3領域61cは狭くし、一時停止時の位置決め誤差があっても、位置決めピンが確実に進入し、位置決めピンが第3領域に至り、前方に引き寄せ可能にする。位置決め用プレートがストッパー部材に接触し、位置決めする。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装フィルムが巻き取られた原反ロールを着脱可能に支持する支持軸を備えた台車と、
包装機のフィルム供給装置側に設けられ、前記台車の停止位置を位置決めする位置決め装置を備え、
前記支持軸は、前記台車の前側であって、前記フィルム供給装置の前記原反ロールを支持する回転支持軸に応じた高さに配置し、
前記台車は、前方側に設けられる位置決め用プレート部材を備え、
前記位置決め用プレート部材は、第1位置決め部を有し、
前記位置決め装置は、前記フィルム供給装置の手前側に一時的に停止する前記台車の前記第1位置決め部と相対移動可能に連係される第2位置決め部と、その第2位置決め部を前記第1位置決め部に相対移動可能に連係させた状態で前記フィルム供給装置側に引き寄せる引き寄せ手段を備え、
前記引き寄せ手段により引き寄せられた前記第2位置決め部位が前記第1位置決め部と接触し、前記台車を前記引き寄せ方向に付勢するようにし、
前記引き寄せ方向に移動する前記台車の前側の位置決め用部位がストッパー部位に接触し、前記台車のそれ以上の移動を抑制して前記台車の停止位置を位置決めするように構成することを特徴とする原反ロール装着装置。
【請求項2】
前記位置決め用部位は、前記位置決め用プレート部材の前端縁である請求項1に記載の原反ロール装着装置。
【請求項3】
前記位置決め用孔部は、左右に2個設け、
その左右の前記位置決め用孔部の前端位置を結ぶ仮想線と、前記支持軸の軸方向が平面視で直交する請求項1に記載の原反ロール装着装置。
【請求項4】
前記引き寄せ手段は、前記台車に向けて進退可能に設けられるアーム部を備え、
前記位置決めピンは、前記アーム部の先端側の上面または下面に備え、
前記位置決めピンが前記位置決め用孔部内に位置する状態で前記アーム部の前記先端側が、前記フィルム供給装置側に移動することで前記引き寄せを行うように構成する
請求項1に記載の原反ロール装着装置。
【請求項5】
前記アーム部は、平面視でL字状に構成され、
前記アーム部の前記先端側は、前記アーム部の進退方向に対して直交する方向に延びるように配置し、
前記先端側の下面には、前記位置決めピンを所定の間隔をおいて2個設け、
前記位置決め用孔部は、左右に2個設け、前記位置決めピンがそれぞれの前記位置決め用孔部に進入可能に構成する請求項4に記載の原反ロール装着装置。
【請求項6】
前記L字状の前記アーム部は、前記進退方向に沿って延びる部位が垂直平面内で所定角度範囲内で正逆回転するように構成し、
その正逆回転により前記先端側に設けた前記位置決めピンが昇降する
請求項5に記載の原反ロール装着装置。
【請求項7】
前記位置決め用孔部は、前記位置決めピンが進入するメイン領域と、
前記メイン領域の前方側に位置決め領域を備え、
前記メイン領域と前記位置決め領域は繋がり、前記位置決めピンが前記メイン領域から前記位置決め領域に移動可能に形成され、
前記メイン領域は、前記位置決めピンの平面の寸法形状に比べて広くし、
前記位置決め領域の横幅は、前記位置決めピンの横幅と等しくする請求項1に記載の原反ロール装着装置。
【請求項8】
前記メイン領域と前記位置決め領域をつなぐ領域の横幅は徐々に狭くなりように設ける請求項7に記載の原反ロール装着装置。
【請求項9】
前記台車は、前記支持軸に支持される前記原反ロールを前記支持軸の前端から押し出す押し出し手段を備える請求項1に記載の原反ロール搬送装置。
【請求項10】
前記第1位置決め部は、位置決め用孔部であり、
前記第2位置決め部は、前記位置決め用孔部内に進入可能な位置決めピンであり、
前記引き寄せ手段により引き寄せられた前記位置決めピンが前記位置決め用孔部の内側面に接触し、前記台車を前記引き寄せ方向に付勢するように構成する請求項1に記載の原反ロール搬送装置。
【請求項11】
前記台車は、自走機能を備えず、
前記台車は、自走する搬送装置に連結された状態で前記フィルム供給装置の手前側まで搬送されるように構成する請求項1から10のいずれかに記載の原反ロール装着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装機における原反ロール装着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
包装機は、包装機本体に対して原反ロールに巻き取られた帯状の包装フィルムを連続して供給するフィルム供給装置を備えている。このフィルム供給装置は、原反ロールを回転可能に支持する回転支持軸を1または複数本備える。回転支持軸は、フィルム供給装置の奥側に配置される取付板に、軸周りに自転可能に片持ち支持状で取付けられる。取付板は、固定されて回転支持軸の位置が不変のものや、特許文献1に開示されるリボルバー式のように、回転する円板から構成されるもの等がある。何れの場合も、片持ち支持状の回転支持軸の先端側から原反ロールをセットする。
【0003】
原反ロールは、両端が開口された円筒状の紙管の周囲に帯状フィルムが巻き取られて構成される。そして、原反ロールを回転支持軸にセットする場合、通常、作業員が台車等を用いて原反ロールをフィルム供給装置の付近まで搬送し、人手にて原反ロールを持ち上げ、回転支持軸の先端に紙管の一方の開口部を合わせるとともに、原反ロールを奥側に押し込むことで行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
原反ロールは重いため、人手で回転支持軸の設置位置まで持ち上げたり、持ち上げた状態で回転支持軸に対して水平に押し込んだりする作業が煩雑である。そこで、装置を用いて装着の一部または全部を自動化したいという課題がある。
【0006】
また、係る自動化を行うにあたり、装置構成が複雑化すると制御も煩雑になるとともに、装置が大型化するため、好ましくない。よって、簡単な構成で実現したいという課題もある。
【0007】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できればよい。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[本発明に至った経緯]
自動化に当たり、本発明者は、原反ロールを水平状態で一時的に保持する支持軸を備えた台車を、AGV(AUTOMATIC GUIDED VEHICLE:無人搬送車)等の自走する搬送装置により搬送し、包装機(フィルム供給装置)の付近に移動する。そして、台車に設けた支持軸と、包装機のフィルム供給装置の回転支持軸とを対向させ、支持軸に保持されている原反ロールを回転支持軸に移し替えることを考えた。
【0009】
原反ロールの紙管の内径は、回転支持軸の外径とほぼ等しく、紙管の内径が若干長くなっている程度である。よって、回転支持軸と台車に設けた支持軸の相対位置関係は、精度良く位置合わせをする必要がある。これに対し、台車を運ぶAGV等の搬送装置は、例えば10mm程度の位置決め誤差がある。よって、単にAGV等で搬送するだけでは、台車を包装機の所定位置に位置決めすることができない。すなわち、回転支持軸と支持軸の間で10mmの誤差があると、原反ロールを移し替えることができず、原反ロールの装着の自動化ができない。
【0010】
そこで、発明者は、台車に設けた支持軸と、包装機側の回転支持軸との位置決めを精度良く行えるようにしたいという課題を見出し、それに基づき鋭意工夫して以下に示す各解決手段を創案した。
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明の包装機における原反ロール装着装置は、(1)包装フィルムが巻き取られた原反ロールを着脱可能に支持する支持軸を備えた台車と、包装機のフィルム供給装置側に設けられ、前記台車の停止位置を位置決めする位置決め装置を備え、前記支持軸は、前記台車の前側であって、前記フィルム供給装置の前記原反ロールを支持する回転支持軸に応じた高さに配置し、前記台車は、前方側に設けられる位置決め用プレート部材を備え、前記位置決め用プレート部材は、第1位置決め部を有し、前記位置決め装置は、前記フィルム供給装置の手前側に一時的に停止する前記台車の前記第1位置決め部と相対移動可能に連係される第2位置決め部と、その第2位置決め部を前記第1位置決め部に相対移動可能に連係させた状態で前記フィルム供給装置側に引き寄せる引き寄せ手段を備え、前記引き寄せ手段により引き寄せられた前記第2位置決め部位が前記第1位置決め部と接触し、前記台車を前記引き寄せ方向に付勢するようにし、前記引き寄せ方向に移動する前記台車の前側の位置決め用部位がストッパー部位に接触し、前記台車のそれ以上の移動を抑制して前記台車の停止位置を位置決めするように構成する。
【0012】
本発明によれば、支持軸に原反ロールを装着した台車を、包装機のフィルム供給装置の手前側に位置させ、一時停止する。この一時停止した位置は、特定の固定された位置にする必要は無く、第1位置決め部と第2位置決め部が相対移動可能に連係可能な位置とする。この一時停止した台車に対し、位置決め装置は、第1位置決め部と第2位置決め部を連係させるとともにフィルム供給装置側に引き寄せる。すると、引き寄せ当初は、第1位置決め部と第2位置決め部は相対移動するが、位置決め用プレートには非接触のため台車は一時停止した位置に留まる。そして、第1位置決め部と第2位置決め部が接触すると、位置決め用プレートひいては台車に対し、第2位置決め部の移動方向に対する付勢力を与える。この付勢力を受けて台車がフィルム供給装置側に接近移動する。そして、台車の前側に設けた位置決め用部位がストッパー部位に接触するとそれ以上の移動が抑止される。よって、一時停止した位置が定まらなくても、最終的に台車が停止する位置はストッパー部位に接触する位置で一意に定まり、位置決めされる。支持軸は、原反ロールを着脱可能に支持しているため、所定の手段により支持軸に支持されている原反ロールを前方に押し出すことで、原反ロールを回転支持軸に装着することができる。所定の手段は、例えば(9)に記載の押し出し手段等を用いるとよい。
【0013】
支持軸を回転支持軸に応じた高さに配置するとは、例えば、支持軸と回転支持軸が同じ高さになり、同一直線上に配置可能にするとよいが、これに限ることはなく、少しずらした位置にしてもよい。何れの位置にしても、位置決めされた状態で支持軸から押し出された原反ロールが回転支持軸側に移し替えられるような位置関係となっているとよい。
【0014】
ストッパー部位は、実施形態ではストッパー部材71に対応する。実施形態では、包装機・フィルム供給装置とは別部材として別途配置しているが、例えば、包装機等に設けられている側板や機枠その他の部材の表面等を兼用するようにしてもよく、一意に位置決めできる部位であればよい。同様に、台車側の位置決め用部位も、実施形態では、位置決め用プレート60の前端面としているが、それに限るものではなくストッパー部位に接触する部位であればよい。
【0015】
(2)前記位置決め用部位は、前記位置決め用プレート部材の前端縁とするとよい。位置決め用プレート部材は、位置決めピンが進入される位置決め用孔部が設けられており、位置決めピンによって直接引き寄せられる部材である。よって、その位置決め用プレート部材の前端縁を位置決め用部位にすることで、位置決めピンによる引き寄せ方向の前方にストッパー部位を配置することができる。また、別途位置決め用部位を用意する必要もなくなる。
【0016】
(3)前記位置決め用孔部は、左右に2個設け、その左右の前記位置決め用孔部の前端位置を結ぶ仮想線と、前記支持軸の軸方向が平面視で直交するように構成するとよい。このようにすると、位置決めされた際に、支持軸がフィルム供給装置に向けて直交する姿勢となる。よって、回転支持軸と平行になり、原反ロールをスムーズに移し替えることができる。
【0017】
(4)前記引き寄せ手段は、前記台車に向けて進退可能に設けられるアーム部を備え、前記位置決めピンは、前記アーム部の先端側の上面または下面に備え、前記位置決めピンが前記位置決め用孔部内に位置する状態で前記アーム部の前記先端側が、前記フィルム供給装置側に移動することで前記引き寄せを行うように構成するとよい。
【0018】
このようにすると、アーム部を進退移動することで位置決めピンをフィルム供給装置或いは台車に向けて接近離反移動することができる。また、位置決めピンをアーム部の上面または下面に固定した場合、アーム部の先端側を上下することで位置決めピンを位置決め用孔部内に進入させたり、離脱させたりすることができる。また、位置決めピンの位置決め用孔部に対する出し入れは、アーム部の上下移動に基づくものに限らず、位置決めピンがアーム部に対して相対的に昇降するように構成してもよく、各種の構成を採りうる。また、位置決めピンの取り付け位置は、実施形態ではアーム部の先端側(第1部位)の下面としたが、これに限るものではなく上面に設けてもよい。但し、上面に設けた場合には、位置決めピンを位置決め用孔部の下方から進入させることになるので、例えばアーム部の昇降にともない位置決めピンを進入される構成の場合、アーム部の先端側を下降させる空間を確保しにくい場合がある。これに対し、下面に設けるとアーム部の移動空間を確保しやすいので良い。また、位置決めピンとアーム部は、別部材で構成してもよいし同一部材で一体に形成してもよい。
【0019】
(5)前記アーム部は、平面視でL字状に構成され、前記アーム部の前記先端側は、前記アーム部の進退方向に対して直交する方向に延びるように配置し、前記先端側の下面には、前記位置決めピンを所定の間隔をおいて2個設け、前記位置決め用孔部は、左右に2個設け、前記位置決めピンがそれぞれの前記位置決め用孔部に進入可能に構成するとよい。このようにすると、アーム部を移動する装置を位置決めピンに対して横にずらして配置することができる。よって、フィルム供給装置にセットされる原反ロールや、回転支持軸やその周囲に配置される部材と干渉することを抑止できる。
【0020】
(6)前記L字状の前記アーム部は、前記進退方向に沿って延びる部位が垂直平面内で所定角度範囲内で正逆回転するように構成し、その正逆回転により前記先端側に設けた前記位置決めピンが昇降するとよい。このようにすると、簡単な構成で位置決めピンを昇降させることができる。進退方向に沿って延びる部位は、実施形態では第2部位66bに対応する。
【0021】
(7)前記位置決め用孔部は、前記位置決めピンが進入するメイン領域と、前記メイン領域の前方側に位置決め領域を備え、前記メイン領域と前記位置決め領域は繋がり、前記位置決めピンが前記メイン領域から前記位置決め領域に移動可能に形成され、前記メイン領域は、前記位置決めピンの平面の寸法形状に比べて広くし、前記位置決め領域の横幅は、前記位置決めピンの横幅と等しくするとよい。
【0022】
このようにすると、台車が一時停止する位置がばらついても位置決めピンを位置決め用孔部に進入することができる。また、位置決め領域の横幅と位置決めピンの横幅が等しいため、位置決めピンが位置決め領域に入り込むことで位置が定まる。メイン領域は実施形態では第1領域61aに対応し、位置決め領域は実施形態では第3領域61cに対応する。
【0023】
(8)前記メイン領域と前記位置決め領域をつなぐ領域の横幅は徐々に狭くなりように設けるとよい。このようにすると、メイン領域に進入された位置決めピンは、引き込み方向に移動することでスムーズに位置決め領域に案内される。
【0024】
(9)前記台車は、前記支持軸に支持される前記原反ロールを前記支持軸の前端から押し出す押し出し手段を備えるとよい。押し出し手段は、例えば原反ロールの軸方向の後方端側に接触するプッシャー部材と、プッシャー部材を前記支持軸に沿って前後進移動させる駆動機構を備えるとよい。そして、駆動機構は、実施形態では協働ロボットが操作ハンドルを回すことでプッシャー部材を前後進移動するようにしたが、これに限るものではなく、例えば台車側に駆動モータやシリンダその他の駆動源を配置し、その駆動源の動力を利用してプッシャー部材を前後進移動させるなど、各種の構成を採りうる。また、プッシャー部材は、実施形態では、プッシャー板部材41に対応する。
【0025】
(10)前記第1位置決め部は、位置決め用孔部であり、前記第2位置決め部は、前記位置決め用孔部内に進入可能な位置決めピンであり、前記引き寄せ手段により引き寄せられた前記位置決めピンが前記位置決め用孔部の内側面に接触し、前記台車を前記引き寄せ方向に付勢するように構成するとよい。
【0026】
このようにすると、支持軸に原反ロールを装着した台車を、包装機のフィルム供給装置の手前側に位置させ、一時停止する。この一時停止した位置は、特定の固定された位置にする必要は無く、位置決めピンが位置決め用孔部内に進入可能な位置とする。この一時停止した台車に対し、位置決め装置は、位置決めピンを位置決め用孔部内に進入するとともにフィルム供給装置側に引き寄せる。すると、引き寄せ当初は、位置決めピンは位置決め用孔部内を移動するが、位置決め用プレートには非接触のため台車は一時停止した位置に留まる。そして、位置決めピンが位置決め用孔部の内側面に接触すると、位置決め用プレートひいては台車に対し、位置決めピンの移動方向に対する付勢力を与える。この付勢力を受けて台車がフィルム供給装置側に接近移動する。そして、台車の前側に設けた位置決め用部位がストッパー部位に接触するとそれ以上の移動が抑止される。よって、一時停止した位置が定まらなくても、最終的に台車が停止する位置はストッパー部位に接触する位置で一意に定まり、位置決めされる。
【0027】
(11)前記台車は、自走機能を備えず、前記台車は、自走する搬送装置に連結された状態で前記フィルム供給装置の手前側まで搬送されるように構成するとよい。
【0028】
また、上述した(1)から(11)に示す構成は、適宜組み合わせて構成することができ、そのように組み合わせた構成を前提として、実施形態や図面に記載の構成要素を組み合わせるとよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、フィルム供給装置の手前側に台車を一時停止する際の位置決め誤差があっても、台車を包装機のフィルム供給装置に対して所定位置に位置固定決めできる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明に係る原反ロール装着装置の好適な一実施形態と、原反ロールが装着される逆ピロー包装機を示す図である。
【
図3】原反ロール装着装置の好適な一実施形態における台車を示す斜視図である。
【
図8】その台車の一部を拡大して示す斜視図である。
【
図9】その台車の一部を拡大して示す平面図である。
【
図10】その台車の一部を拡大して示す左側面図である。
【
図11】支持軸33と原反ロール9・紙管9aの関係を示す図である。
【
図12】その台車の一部を拡大して示す正面図である。
【
図13】その台車の一部を拡大して示す斜視図(その1)である。
【
図14】その台車の一部を拡大して示す斜視図(その2)である。
【
図15】主に、原反ロール装着装置の好適な一実施形態と示す斜視図である。
【
図17】原反ロール装着装置の好適な一実施形態における位置決め装置を示す斜視図(その1)である。
【
図18】その位置決め装置を示す斜視図(その2)である。
【
図20】その位置決め装置を示す斜視図(その3)である。
【
図22】原反ロール装着装置の作用を説明する図である。
【
図23】その位置決め装置の引き寄せた状態を示す斜視図(その1)である。
【
図24】その位置決め装置の引き寄せた状態を示す斜視図(その2)である。
【
図25】その位置決め装置の引き寄せた状態を示す平面図である。
【
図26】その位置決め装置で台車を引き寄せた状態の原反ロール装着装置を示す斜視図である。
【
図28】位置決め用孔部の一例を示す平面図である。
【
図29】位置決め装置の別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0032】
図1,
図2は、本発明の好適な一実施形態に係る原反ロール装着装置10と、その原反ロール装着装置10により原反ロールが装着される包装機の一例である逆ピロー包装機1の一部を示している。逆ピロー包装機1は、包装機本体2と、その包装機本体2の上流側に配置される被包装物搬送装置3と、被包装物搬送装置3の下方に配置されるフィルム供給装置4を備える。図では、包装機本体2の搬入側に配置される製袋器5が示されており、製袋器5以降の図示を省略している。フィルム供給装置4は、原反ロール9に巻き取られた帯状の包装フィルム6を連続して繰り出し、下側から製袋器5に供給する。
【0033】
被包装物搬送装置3は、所定のコンベア装置からなり、被包装物(図示省略)を所定間隔で搬送し、製袋器5に順次供給する。これにより、製袋器5で筒状に製袋される包装フィルム6内に被包装物が等ピッチで位置し、包装フィルム6とともに包装機本体2内を進む。
【0034】
本実施形態に用いられるフィルム供給装置4は、例えば特許文献1(特開2023-36479号公報)に開示されたフィルムサプライ装置等を用いることができる。すなわち、詳細な構成の説明は省略するが、原反ロール9を装着する回転支持軸7が、円板8に取付けられる。回転支持軸7は、2本用意され、円板8の前面の所定の径方向の反対側、すなわち、円板8の中心から等距離の位置に配置される。そして、個々の回転支持軸7は、軸受部を介して軸周りで自転可能に取付けられる。円板8は、中心位置を回転中心として垂直平面内で回転し、その回転に伴い回転支持軸7も円板8の円周方向に回転移動する。
【0035】
2つの回転支持軸7のうちの一方(
図1中、右側)は、包装機本体2に包装フィルム6を供給する原反ロール9を支持し、他方は予備の原反ロール9を支持する。そして、現在供給中の一方の原反ロール9の残量が少なくなると、適宜のタイミングで供給中の包装フィルムの終端部位に、予備用で待機していた他方の原反ロールの包装フィルムの先端を接続することで、予備用の原反ロールから連続して包装フィルムを包装機本体に供給する。そして、予備用の包装フィルムが接続されて包装機本体2に供給されるようになると、円板8が回転し、その予備用の包装フィルムが巻き取られていた原反ロール9を装着している回転支持軸7が、今まで包装機本体2に包装フィルムを供給していた原反ロール9を装着していた回転支持軸7が存在していた位置に移動するように制御する。これにより、包装機本体に包装フィルムを供給中の原反ロール9と、予備用に待機した原反ロール9の位置関係を同じにすることができるので、予備用の包装フィルムを接続するための機構・処理を同一にすることができるようにしている。
【0036】
なお、図示省略するが、フィルム供給装置4は、このフィルムサプライ装置から製袋器5までの間に、原反ロール9から繰り出される帯状の包装フィルム6の搬送経路が配置され、搬送経路の途中に包装フィルム6を引き出すためのフィードローラなども備えている。
【0037】
本実施形態の原反ロール装着装置10は、原反ロール9を搬送する台車11と、台車11を移動させる搬送装置12によりフィルム供給装置4の手前側所定位置に移動してきた台車11を引き寄せて所定位置に位置決めする位置決め装置13と、協働ロボット90を備える。
【0038】
搬送装置12は、自走機能を備えており、例えばAGV(AUTOMATIC GUIDED VEHICLE:無人搬送車)或いはAMR(AUTONOMOUS MOBILE ROBOT:自律走行搬送ロボット)などを用いるとよい。本実施形態では、AGVを用いる。搬送装置12は、台車11を連結・保持したり、開放・解除したりする連結機構を備え、台車11を保持した状態では、搬送装置12の搬送に伴い台車11も一体になって移動する。
【0039】
台車11は、
図3以降に拡大して示すように、荷台部15を備え、その荷台部15の上面の後ろ側にハンドル部17を備える。荷台部15は、平板状で左右両側縁の中央部位が凹状に切り欠きされた平面形状を有し、荷台部15の四隅、すなわち、上記の凹状に切り欠きされずに外側に突出した部位の下面に、連結部材26を介して取り付けられるキャスタ19を備える。キャスタ19は、フォーク20に回転軸21を介して2つの車輪22が回転自在に支持された構成となる。車輪22が回転軸21周りに回転することで、台車11が前後方向に移動するのを案内する。また、車輪22は、円周方向に沿って複数の回転体22aを有し、各回転体22aは、回転軸21の軸方向へ移動するのを許容する構成となる。これにより、台車11は前後並びに左右方向へ移動可能となる。そしてこの台車11には移動するための駆動源を備えておらずに自走できない。そして台車11は、外部から受ける付勢力に従い車輪22が回転し、付勢力の方向へ台車11が移動する。
【0040】
また、荷台部15の下面には、前後に所定の間隔を置いて2本のピン23が垂下状態で配置される。搬送装置12の上面に設けられた連結機構が、このピン23を利用して台車11に連結したり、台車11との連結を解除したりする。そして連結して一体化した状態で搬送装置12が移動すると、一体となった台車11も移動する。一方、連結機構の連結が解除され、台車11と搬送装置12が分離した状態で搬送装置12が移動すると、台車11はその位置を留め、搬送装置12が台車11から離反する。
【0041】
また荷台部15の上面には、原反ロール9を一時的に支持する支持機構30を備える。この支持機構30は、荷台部15の上面前方側に取付けた矩形平板状のベースプレート31上に、起立形成された複数部材を組み合わせて形成される柱部32と、その柱部32の前面に片持ち支持状に固定される支持軸33を備える。支持軸33は、荷台部15と平行な水平面内に位置し、平面視で荷台部15の前端縁から前方に向けて直交方向に延びるように配置される。また、支持軸33は、予備用で待機する回転支持軸7の高さ位置に応じた高さに設けられる。応じた高さは、回転支持軸7の高さを同じにするとよく、さらに、回転支持軸7よりも少し低い位置にするとよりよい。
【0042】
支持軸33は、
図8~
図10に拡大して示すように、一端が連結部材34を介して柱部32に連結される細長な矩形状のベースプレート35と、そのベースプレート35の左右両側面にL字プレート36を介して取付けられる複数のローラ37と、ベースプレート35の上面にL字プレート38を介して取付けられる円盤39とを備える。ローラ37は、例えばベアリングから構成され、L字プレート36の水平方向に延びる面に下方に向けて延びるように取付けられた軸40に対して回転自在に支持され、軸40を中心に自転する。これにより、左右の複数のローラ37は、それぞれ水平面内で前後一列に並ぶ。また、円盤39は、L字プレート38の垂直方向に延びる面に平行に固定設置される。これにより、円盤39は、垂直平面内で前後に一列で並ぶ。
【0043】
そして、左右のローラ37及び円盤39が接する外接円の直径は、原反ロール9の紙管9aの内径よりも小さくする(
図11参照)。これにより、支持軸33は原反ロール9の紙管9a内に進入可能となる。そして、紙管9aの一方の開口部側から原反ロール9を支持軸33の先端(柱部32と反対側)を挿入することで、支持軸33に原反ロール9をセットし、支持可能となる。
【0044】
また、支持軸33におけるローラ37並びに円盤39を取付けた区間の長さは、原反ロール9の軸方向の長さ、すなわちフィルム幅よりも長くしている。これにより、原反ロール9を支持軸33の奥まで押し込むと、支持軸33の先端は、原反ロール9の外に突出する(
図12参照)。左右のローラ37並び円盤39は、垂直平面内で直交する3方向に延びるように配置されており、支持軸33に直交するある垂直平面で見た場合、支持軸33に装着した原反ロール9の紙管9aは、上述した外接円の直径と紙管9aの内径との差にもよるが、内周面の円周方向で、円盤39の一点或いは、一方または両方のローラ37を加えて2乃至3点で接触して支持されることになる。
図11では、図示の便宜上、上方に位置する円盤39が紙管9aの内周面の最上方地点に接触し、紙管9aが左右にぶれることなく支持した状態を描画するため、左右のローラ37は、両方とも紙管9aの内周面から離反した状態となっている。そして、搬送時等で原反ロール9が揺れると、左右いずれかのローラ37が紙管9aの内周面に接触する。
【0045】
さらに、支持軸33の軸方向、すなわち、長手方向に見た場合、ローラ37並び円盤39の配置ピッチ間隔で点接触する。よって、軸方向に原反ロール9を移動する際の接触抵抗が小さくなる。これにより、小さい力で原反ロール9を支持軸33に対して装着したり、取り出したりすることが可能となる。さらに、上に向けて突出する円盤39は、回転不能にL字プレート38に固定設置されているため、原反ロール9の軸方向に対する接触抵抗が小さいとはいえ、移動時にある程度の抵抗力を発生する。よって、台車11が、支持軸33に原反ロール9を装着した状態での移動中に、支持軸33から原反ロール9が離脱してしまうのを可及的に抑制する。
【0046】
また、支持軸33にセットされた原反ロール9を押し出すプッシャー板部材41が、支持軸33に沿って往復移動可能に設けられる。プッシャー板部材41は、略U字状すなわち平板状の本体41aを備え、その本体41aの上下方向に延びる一辺の中間部位に凹状切り欠き部41bを有する形状からなる。そして、プッシャー板部材41は、その凹状切り欠き部41b内に、支持軸33が位置するように配置される。
【0047】
プッシャー板部材41は、往復直線運動をさせる駆動機構42に連結され、支持軸33に沿って往復移動する。駆動機構42は、以下に示す構成を備える。
図13,
図14等に拡大して示すように、第1リニアガイド45を構成する第1レール46の先端側の側面に取付板47を固定する。そして、その取付板47の外面(第1レール46との接触面の反対側の面)に、L字型の連結プレート48を上下2箇所に取付ける。さらに、その上下2枚の連結プレート48の先端前面に、プッシャー板部材41の背面側を取付けて一体化する。第1レール46は、第1リニアガイド45を構成する2個の第1キャリッジ50に連係される。2個の第1キャリッジ50は、荷台部15の上面の左側縁側に起立形成される支持プレート51に、同一高さで前後一列に配置されるように取付けられる。これにより、2個の第1キャリッジ50は、所定位置に固定される。よって、第1レール46は、2個の第1キャリッジ50にて安定して支持された状態のまま、長手方向すなわち、台車11の前後方向に沿って往復移動可能に設置される。この第1レール46の往復移動に伴い、第1レール46に取付けられたプッシャー板部材41も前後進移動する。
【0048】
一方、第1レール46の長手方向と平行に延びるようにボールネジ52が配置される。すなわち、ボールネジ52の両端が、軸受部54により回転自在に軸受支持される。そしてこのボールネジ52に沿って前後進する移動体53に、第1レール46の後端側が連結される。移動体53は、内部にボールネジ52に噛み合うナットを備え、ボールネジ52が正逆回転するのに伴い、前後進移動する。この移動体53の前後進移動に伴い、第1レール46ひいてはプッシャー板部材41が前後進移動する。
【0049】
ボールネジ52の前端側には、所定の歯車機構などの回転方向を変更する動力変換機構57を介して操作ハンドル55が連係される。そして、この操作ハンドル55を正逆回転することで、ボールネジ52が正逆回転する。
【0050】
また、支持プレート51には、第1キャリッジ50を取付けた面と反対側の面に、操作ハンドル55の回転を抑止するためのロック機構56を設ける。このロック機構56は、蝶番部56aを基点として先端側のロック板56bが開閉し、
図13等に示す閉じた状態では、ロック板56bが操作ハンドル55の取っ手部55aを上下から挟み込んだ状態になり、操作ハンドル55の回転が抑止される。一方、ロック板56bを開いた状態に変位すると、ロック板56bは、操作ハンドル55並びに取っ手部55aから離反し(
図27等参照)、操作ハンドル55の回転が許容される。
【0051】
そして本実施形態では、荷台部15の前面側に、前方に突出するように位置決め用プレート60を備える。位置決め用プレート60の前端縁60aは、荷台部15の前端縁と平行に配置される。よって、その前端縁60aは支持軸33の軸と平面視で直交する。
【0052】
位置決め用プレート60は、左右2箇所に位置決め用孔部61を備える。本実施形態では、2つの位置決め用孔部61は、同一の寸法形状からなる。位置決め用孔部61は、前後方向に延び、前端(先端)側が狭く奥側が広い形状とする。具体的な一例としては、例えば、位置決め用孔部61は、略円形状の第1領域61aと、この第1領域61aの前方側に第1領域61aよりも前方に行くほど横幅が徐々に狭くなる第2領域61bと、第2領域61bの前端に続いて設けられる第3領域61cを備える。左右の位置決め用孔部61のそれぞれの第3領域61cは、位置決め用プレート60の前端縁60aから等距離に形成される。
【0053】
位置決め装置13は、主に逆ピロー包装機1,フィルム供給装置4側に設置され、具体的な構成の一例は、以下のようになる。
図15以降に示すように、位置決め装置13は、台車11に設けた位置決め用プレート60の位置決め用孔部61内に進入可能な2本の位置決めピン65を前端側に備えるL字状のアーム部66と、そのアーム部66の前端側を昇降させるとともに、アーム部66を前後進移動させる駆動装置70と、逆ピロー包装機1(フィルム供給装置4)の前端縁側に配置されるストッパー部材71等を備える。
【0054】
アーム部66は、逆ピロー包装機1の前側に突出した状態で、その前面に沿って延びるように配置される棒状の第1部位66aと、その第1部位66aの一端から後方に向かって延びる第2部位66bを備える。そして、第1部位66aの下面に平板72を設け、その平板72の下面に位置決めピン65を垂下するように取付ける。2本の位置決めピン65の配置間隔は、位置決め用プレート60に設けた2つの位置決め用孔部61の配置間隔と一致させている。また、2本の位置決めピン65の直径は、位置決め用孔部61の第3領域61cの横幅と同じか、若干小さくする。
【0055】
駆動装置70は、アーム部66を前後進移動させる駆動源となる第1シリンダ73と、アーム部66の前端側すなわち第1部位66aを昇降させる駆動源となる第2シリンダ75を備える。この駆動装置70は、床板68の上面所定位置に取り付けられる。より具体的には、床板68の上面にベース板69を連結し、そのベース板69上に設ける。そして、第1シリンダ73のシリンダロッド73aは、前後方向に移動するように設けられ、シリンダロッド73aの先端は、移動板76に連結される。移動板76は、矩形状の平板からなり、左右に所定の間隔をおいて配置される一対の第2リニアガイド77にガイドされ、第1シリンダ73の駆動を受け前後進移動する。すなわち、第2リニアガイド77を構成する第2レール78を左右に配置し、その左右の第2レール78にそれぞれ第2キャリッジ79を取付ける。そして、移動板76が、一対の第2キャリッジ79を跨ぐように配置し、移動板76の下面に第2キャリッジ79を固定する。
【0056】
また、第1シリンダ73は、2段階で動作するエアシリンダからなる。この第1シリンダ73の動作は、アーム部66を前方に移動させるための往動作のときに2段階動作し、アーム部66を後方に移動させるための複動作のときには1段で行うように制御する。
【0057】
さらに、移動板76の上面の左右に一対の軸受部80を設け、その間に配置するブロック体81の回転軸81aを所定角度範囲内で回転自在に支持する。ブロック体81の前面側には、アーム部66の第2部位66bの端部を連結する。
【0058】
第2レール78より前方の所定位置に、第2シリンダ75が起立して取付けられる。第2シリンダ75のシリンダロッド75aは、上下方向に移動するように設けられ、シリンダロッド75aの先端は、前後が開口する箱形の枠体83が連結される。そして、この枠体83内に、アーム部66の第2部位66bを挿入する。枠体83の内部の上下方向の距離は、第2部位66bの高さよりも長くしてアーム部66の枠体83内での相対的な上下方向の移動を許容する。そして、第2シリンダ75の駆動を受けて枠体83が昇降移動するのに追従してアーム部66の第2部位66bが昇降する。これにより、アーム部66は、ブロック体81の回転軸81aを回転して、所定角度範囲内で正逆回転し、第1部位66aひいてはそれに取付けられた位置決めピン65が昇降する。
【0059】
さらに本実施形態では、第2シリンダ75の前方に、第2部位66bと付合するガイド部材85を設ける。ガイド部材85は、上面中央部位に凹部85aが形成され、その凹部85a内にアーム部66の第2部位66bが挿入配置される。凹部85aの横幅が、第2部位66bの横幅と等しくし、アーム部66の横揺れを防止する。さらにガイド部材85の前面上方には、上抑え部材86が連結され、第2部位66bが上昇しすぎるのを抑制する。
【0060】
また、位置決め装置13に隣接して協働ロボット90を設ける。この協働ロボット90は、本実施形態との関係では、ロック機構56の開閉並びに操作ハンドル55を正逆回転する処理を行う。これにより、操作ハンドル55を正回転させ、プッシャー板部材41を前方に移動させ、原反ロール9を支持軸33から前方に押し出し、回転支持軸7への移し替えを行う。
【0061】
ストッパー部材71は、L字型のプレートからなり、ベース板69の上面の前端所定位置に水平部位71aを固定し、垂直部位71bがベース板69の前端縁から上方に起立するように装着する。前端所定位置は、アーム部66の第1部位66aの配置位置に合わせており、位置決め用プレート60が接触可能な高さに設けている。
【0062】
上述した構成の原反ロール装着装置10は、以下のように動作し、回転支持軸7に原反ロール9を装着する。まず、搬送装置12が台車11の底面側に入り込み、連結機構により荷台部15の下面に設けた2つのピン23を利用して台車11を連結して一体化する。この状態で搬送装置12が移動すると、一体となった台車11も移動する。そして、原反ロールの保管場所に位置すると、搬送装置12ひいては台車11は一時停止する。このとき台車11は、プッシャー板部材41が後退して柱部32の近くで待機した姿勢となっている。この台車11に対し、作業員が原反ロールを支持軸33にセットする。
【0063】
このように支持軸33に原反ロールがセットされた後、搬送装置12は、所定の経路で移動し、台車11を逆ピロー包装機1のフィルム供給装置4の手前に移動し、一時停止する。本実施形態で用いられる搬送装置12は、AGVであり、このAGVの停止位置の位置決め精度は高くなく、例えば10mm程度の誤差を有する。その結果、フィルム供給装置4の手前で停止した際の台車11の位置は、必ずしも同一位置にならず毎回異なることがある。
【0064】
そして、この台車11を停止するフィルム供給装置4の手前側の位置は、台車11の前端縁側に取り付けた位置決め用プレート60の前端が、ストッパー部材71から少し離れて対向する位置としている。このときの位置決め装置13は、アーム部66が前方位置(第1シリンダ73の往動作によりシリンダロッド73aが延びた状態)で第1部位66aが上昇した待機姿勢となっている(
図21等参照)。
【0065】
この待機姿勢では、位置決めピン65の下端は、位置決め用プレート60の上面よりも上方に位置している。よって、上記のように台車11がフィルム供給装置4の手前側で停止した場合、位置決め用プレート60はアーム部66の第1部位66aの下方に位置する(
図17~
図19,
図22(a)等参照)。そして、平面視で位置決め用プレート60に設けた2つの位置決め用孔部61の第1領域61a内に、2つの位置決めピン65がそれぞれ位置する。上述のように搬送装置12の位置決め精度は高くなく、台車11を一定の位置に停止させることはできないが、第1領域61aは位置決めピン65に対して十分広く、位置決め誤差により位置ずれする範囲内をカバーする広さにしている。
【0066】
次いで、搬送装置12は、台車11に対する保持を解除し、退避する(
図22(b)等参照)。そして、第2シリンダ75が駆動してシリンダロッド75aが復動作して本体内に収納され枠体83が下降移動する。これにともないアーム部66の第2部位66bが回転して第1部位66aが下降し、位置決めピン65が位置決め用プレート60の位置決め用孔部61の第1領域61a内に進入する。
【0067】
このアーム部66がこの下降した姿勢を維持したまま、第1シリンダ73が複動作し、アーム部66が後退移動、すなわち、第1部位66aがフィルム供給装置4側に近づく方向に移動する。これに伴い、位置決めピン65が位置決め用孔部61内を第1領域61aから第2領域61bを進んで第3領域61cに到り、最終的に第3領域61cの先端に接触する。
【0068】
その状態でさらにアーム部66が後退移動すると、位置決めピン65により位置決め用プレート60ひいては台車11をフィルム供給装置4側に引き寄せる。そして、位置決め用プレート60の前端縁60aが、ストッパー部材71に接触すると、それ以上の移動が抑止され、台車11はその位置で停止する(
図23~
図25等参照)。この停止位置は、位置決めピン65と、位置決め用孔部61の第3領域61cと、ストッパー部材71の位置関係で、必ず同一位置になり、台車11の停止位置を位置決めすることができる。
【0069】
そして、このようにして停止した台車11の支持軸33は、回転支持軸7と所定の位置関係、例えば同一直線上に位置するように対向する(
図26,
図27等参照)。なお、所定の位置関係は、これに限ることなく、例えば支持軸33を少し低い位置に来るなど、適宜の態様をとれる。いずれの態様を取るにしても、停止位置が同一位置に特定されるため、必ず設定した位置関係で停止する。
【0070】
次に、協働ロボット90が操作ハンドル55を所定方向に回転させる。これにより、プッシャー板部材41が前進し、支持軸33に支持されている原反ロール9を前方、すなわちフィルム供給装置4の回転支持軸7に向けて押しだし、プッシャー板部材41が回転支持軸7まで到ると、原反ロール9を回転支持軸7に移し替え、回転支持軸7への原反ロール9の装着が完了する(
図26等参照)。
【0071】
ついで、協働ロボット90は、操作ハンドル55を逆方向に回転する操作を行い、プッシャー板部材41を後退移動して待機位置に位置させる。また、第1シリンダ73は、2段階で往動作する。すなわち、まず一段目の往動作により引き寄せた位置からアーム部66ひいては位置決めピン65を少し前方に戻す。この戻す際の距離は、例えば15mm程度とするとよい。これにより、位置決めピン65は、第3領域61cの先端から離反し、第3領域61c或いは第2領域61bに到る。この状態で第2シリンダ75を往動作して枠体83を上昇させる。これにともない、アーム部66の第1部位66aひいては位置決めピン65が上昇し、位置決めピン65は、位置決め用孔部61から離脱して位置決め用プレート60の上方に位置する。この位置決めピン65の上昇移動は、アーム部66の回転動作に伴い発生するので、垂直方向ではなくフィルム供給装置4側に近寄る方向に旋回しながら移動する。本実施形態では、一段目の往動作により位置決めピン65は、第3領域61cの先端から離反しているため、その先端と干渉することなくスムーズに上昇する。これにより台車11は、フリーな状態になる。
【0072】
その後、第1シリンダ73が二段目の往動作により、位置決めピン65は、第1領域61aの上方の所定位置まで移動する。また、搬送装置12は、フリーになった台車11の下降に進入するとともに連結し、台車11を次の原反ロールを受け取る位置まで移動する。以後、上述した作業を繰り返し行うことで、台車11の支持軸33にセットした原反ロール9を、自動的に回転支持軸7に装着することを行うことができる。
【0073】
また、フィルム供給装置4にセットされ、現在包装機本体2に対して包装フィルム6を供給中の原反ロール9の残量が一定以下になると、現在供給中の包装フィルム6に、原反ロール装着装置10により予備用の回転支持軸7に装着された原反ロール9を接続し、以後、連続して包装機本体2に対して連続して包装フィルム6を供給する。そして、上述したように円板8が180度回転し、2つの回転支持軸7の位置を入れ替える。従って、新たに予備用の位置に来た回転支持軸7には、今まで包装機本体2に供給していた原反ロール9、すなわち少しの包装フィルム6が巻きついた紙管9aが装着された状態となる。
【0074】
よって、上述した原反ロール9をセットされた台車11がフィルム供給装置4の手前に到った際には、予備用の回転支持軸7には上記の使用済みの原反ロール9(紙管9a等)が装着された状態にある。そこで、上述した原反ロール9の装着作業を行うに先立ち、使用済みの原反ロール9を取り外す必要がある。本実施形態では、係る取り外し作業も自動的に行う。すなわち、協働ロボット90は、ロボットアーム91とその先端に取り付けられたハンド部92を備える。そしてそのハンド部92は、開閉する2本の爪部材を備えており、そのハンド部92にて、使用済みの原反ロール9を把持するとともに、ロボットアーム91が所定の軌跡で移動することで把持した原反ロール9を回転支持軸7から取り外す。そして、協働ロボット90は、取り外した原反ロール9の長手方向の一端を、台車11に用意したカップ状の回収容器部95に差し込み、ハンド部92の把持を解除して移し替える。これにより、予備用の位置にある回転支持軸7は、原反ロール9がなく空の状態になるため、上述した処理を行うことで、新たな原反ロール9を回転支持軸7に装着する。
【0075】
また、搬送装置12の位置決め精度は高くないため、フィルム供給装置4の手前で台車11が停止したときの位置はばらつき、位置決めピン65は、平面視で位置決め用孔部61の第1領域61a内には位置するものの領域内で様々な位置に到る。そして、第3領域61cの延長線上に位置する場合には、アーム部66の後退移動に伴い位置決め用孔部61は、そのまま位置を変えて第3領域61cに進入する。一方、第3領域61cの延長線上に存在しない場合には、位置決めピン65は、先端先細り状の第2領域61bの内側面に接触し案内されて第3領域61cに進入する。
【0076】
また、台車11がフィルム供給装置4に対して斜めに停止した場合、位置決め用孔部61の第1領域61aは広いため、台車11ひいては位置決め用プレート60が斜めになっていて2本の位置決めピン65は、それぞれの位置決め用孔部61内に進入する。そして、一旦進入すれば、2本の位置決めピン65で位置決め用プレート60ひいては台車11を引き寄せ、仮に斜めの姿勢のまま台車11がフィルム供給装置4に接近したとしても、位置決め用プレート60の前端の先行する部位がストッパー部材71に突き当たり、その先行する側の前進が抑止され、さらに位置決めピン65で引き寄せることで、最終的には位置決め用プレート60の前端がストッパー部材71に面接触し、台車11は、フィルム供給装置4に正対する。また、斜めに止まった台車11の位置決め用プレート60の位置決め用孔部61への位置決めピン65の進入位置によっては、2つの位置決めピン65が位置決め用孔部61の先端側に移動することで、位置決め用プレート60がストッパー部材71に接触する前に、それぞれ第3領域61cの先端に到ることもある。その場合には、位置決めピン65の移動時に台車11の向きが修正されることになり、以後、正対した姿勢のまま台車11はフィルム供給装置4側に引き寄せられ、ストッパー部材71に接触して位置決め固定される。
【0077】
上述した実施形態では、円形状の第1領域61aの先端側をテーパー状にした第2領域61bを介して先端の第3領域61cに到るようにしたが、位置決め用孔部61の形状は各種のものがとれる。すなわち、位置決めピンが進入する領域は、搬送装置による台車11の位置決め精度を考慮して広くし、前端の第3領域61c(位置決め領域の一例)の幅は位置決めピン65の直径に応じた長さ(例えば、同一)にし、位置決め用孔部の内側面が、進入側の広い領域から先端の領域に導くガイド面を有する形状とするとよい。一例としては例えば
図28(a)に示すように、進入側領域は円形にし、その円形の領域の先端側に位置決めする先端領域(第3領域61c)を配置する。図示の例では、第3領域61cは、位置決めピン65の直径と同じ略半円形状となり、第3領域61cに進入して位置決めされる位置決めピン65の一部は第1領域61a内に存在することになる。また、
図28(b)に示すように、先端領域(第3領域61c)を帯状の長穴にしたり、
図28(c)に示すように、第3領域61cの長穴の形状を先端先細り状のテーパー面を有するようにしたりするなどの他、各種の形状を採り得る。
【0078】
さらには、図示したように第1領域61aの前方に突出した領域を設けるものに限ることはなく、突出する領域を備えない形状としてもよい。例えば、円形とするとよい。円形の場合、内側面に接触した位置決めピンは、円周方向に沿って移動し最終的に円周上の最も前方に位置する部位に到り、位置決めされる。また、三角形その他の多角形としてもよく、係る形状の場合、1つの頂角が前方を向くように形成する。このようにすると、位置決めピン65は、位置決め用孔部61内を前方に移動し、内側面のいずれかの辺に接触すると、その辺に沿って前方に移動し、最終的に前方に位置する1つの頂角に到り、位置決めされる。
【0079】
また、上述した実施形態では、位置決めピン65を取り付けるアーム部66の上下は、回転により行っているが、垂直に昇降するものでもよい。垂直に昇降すれば、位置決めピン65を上昇させる際に、位置決め用孔部61との干渉もないため、上述した実施形態のように2段階で戻すことなく、位置決め固定した位置で上昇させてもよい。
【0080】
また、アーム部66を昇降するのでなく、位置決めピン65をアーム部66に対して上下移動可能に取り付け、位置決めピン65を昇降するようにしてもよい。
【0081】
また、上述した実施形態では、位置決めピン65を取り付けるアーム部66は、平面視でL字状にしているが、本発明はこれに限ることはなく、例えば
図29に示すように前後方向に延びる2本のアーム部96を備え、アーム部96の先端に下方に延びる位置決めピン97を設ける。そして図示の例では、アーム部96と位置決めピン97を一体に形成している。すなわち、棒状のプレートの先端が下方に折れ曲がった構成にするとよい。
【0082】
そしてアーム部96の後端側を回転軸98に連結し、回転軸98の両端を軸受部99に回転自在に支持させる。図示省略するが、この軸受部99は、上述した実施形態における移動板76の上面に起立形成し、その移動板76を前後進移動させる駆動装置に連係するとよい。さらに、回転軸98を回転中心としてアーム部96を所定角度範囲内で正逆回転可能に構成する。これにより、アーム部96の先端が上方に位置する状態(
図29(a-2)中二点鎖線参照)では位置決めピン97は、位置決め用プレート60の上方に位置し、アーム部96の先端が下方に位置する状態(
図29(a-2)中実線等参照)では位置決めピン97は、位置決め用孔部61内に進入する。
【0083】
さらにこのアーム部96は、上述した実施形態と同様に前後進移動し、位置決めピン97が位置決め用孔部61内に存在している状態でアーム部96を後退移動すると、位置決めピン97が位置決め用孔部61の第3領域61cに入り込み、さらに後退移動を続けることで、位置決め用プレート60をフィルム供給装置4側に引き寄せ、ストッパー部材71に接触させて位置決め固定する(
図29(b-1,b-2)等参照)。
【0084】
なお、上述した実施形態のようにアーム部66を平面視でL型にした構成にすると、アーム部66を前後進並びに昇降させる駆動装置をフィルム供給装置4におけるフィルムサプライ装置等の横に設置することができ、フィルムサプライ装置の設置位置が低くその下方に駆動装置が配置できない場合でも、設置スペースを確保できるので好ましい。
【0085】
また、上述した実施形態では、位置決め用プレート60に位置決め用孔部61を設け、アーム部66に位置決めピン65を取付けるようにしたが、その配置を逆にし、台車11が備える位置決め用プレートに位置決めピンを設け、位置決め装置13側にその位置決めピンが挿入可能な位置決め用孔部を備える部材を設け、その部材を昇降並びに前後進移動することで台車11を所定の位置まで引き寄せるようにしてもよい。
【0086】
また、上述した実施形態では、台車11に支持軸33に装着した原反ロール9を前方に押し出す押し出し手段を構成するプッシャー板部材41及び駆動機構42を設け、包装機側に設けた協働ロボット90にて駆動機構42を操作させるようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、駆動機構42を動作させるための駆動モータ等の駆動源も台車11に装着してもよい。但し、上述した実施形態のように台車11側には駆動源を設けず、包装機側に設けた協働ロボット90を用いて駆動機構42を動作させるようにすると、台車11の軽量化が図れるのでよい。特に、台車11を複数台用意し、その複数の台車11を用いて原反ロール9の搬送・移し替えるようにした場合、複数の台車11に設けられた駆動機構42の駆動を協働ロボット90で共通化できるのでよい。
【0087】
さらには、駆動機構42を設けず、協働ロボット90等の台車11の外部に設けた装置にてプッシャー板部材41を前後進移動させるようにすると、駆動機構42を省略する分、さらなる軽量化を図ることができる。さらにまた、協働ロボット90等により原反ロール9を直接押し出すように構成するとよい。このようにすると、プッシャー板部材41やプッシャー板部材41の前後進移動を案内する機構等の押し出し手段が不要となり、さらなる軽量化並びに構成の簡易化を図ることができる。
【0088】
以上、本発明の様々な側面を実施形態を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0089】
1 :逆ピロー包装機
4 :フィルム供給装置
5 :製袋器
7 :回転支持軸
9 :原反ロール
9a :紙管
10 :原反ロール装着装置
11 :台車
12 :搬送装置
13 :位置決め装置
30 :支持機構
33 :支持軸
41 :プッシャー板部材
42 :駆動機構
60 :位置決め用プレート
60a :前端縁
61 :位置決め用孔部
61a :第1領域
61b :第2領域
61c :第3領域
65 :位置決めピン
66 :アーム部
66a :第1部位
66b :第2部位
70 :駆動装置
71 :ストッパー部材
90 :協働ロボット
91 :ロボットアーム
92 :ハンド部