IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アヴァヴァ、 インク.の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004249
(43)【公開日】2025-01-14
(54)【発明の名称】組織治療のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/20 20060101AFI20250106BHJP
【FI】
A61B18/20
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024180939
(22)【出願日】2024-10-16
(62)【分割の表示】P 2022155474の分割
【原出願日】2018-12-31
(71)【出願人】
【識別番号】520204630
【氏名又は名称】アヴァヴァ、 インク.
【氏名又は名称原語表記】AVAVA, INC.
【住所又は居所原語表記】275 2nd Avenue, 3rd Floor, Waltham, Massachusetts 02451, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【弁理士】
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【弁理士】
【氏名又は名称】田端 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【弁理士】
【氏名又は名称】梶谷 美道
(72)【発明者】
【氏名】ドレッサー、 チャールス、 ホーランド
(72)【発明者】
【氏名】バーウォルカー、 ジャヤント
(72)【発明者】
【氏名】ティング、 ヨセフ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】EMRベース(例えば、レーザベース)の組織治療のための改善された方法、システム、及び装置を提供する。
【解決手段】冷却要素150は、1つ以上のデータムを含むフレームを含む。冷却要素はまた、第1近位面及び第1遠位面を含む第1窓112を含む。第1窓は、フレームに封止される。冷却要素は、フレームに封止された第2窓118をさらに含む。第2窓は、第2近位面及び第2遠位面を含む。第2窓は、第2遠位面を介して標的組織又は標的組織に隣接する組織と接触するように構成される。冷却要素はまた、第1窓の第1遠位面と第2窓の第2近位面との間に配置され、冷却剤116を受け入れるように構成された冷却剤チャンバを含む。第1窓、第2窓、及び冷却剤チャンバは、電磁放射(EMR)を受光し、受光したEMRの一部を標的組織に送信するように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
電磁放射(EMR)を受光し、EMRを光軸に沿って標的の焦点領域に集束させるように構成された光学要素と、
前記標的の経路に沿って前記焦点領域を案内するように構成されたコントローラと、
前記光学要素からダウンビームの冷却要素であって、3以上のデータムを介して前記システムに取り外し可能に取付けられ、集束されたEMRを受光するように構成された冷却要素と、を含み、
前記冷却要素は、
第1近位面及び第1遠位面を含む第1窓と、
前記第1窓からダウンビームの第2窓であって、第2近位面及び第2遠位面を含み、前記第2遠位面を介して前記標的又は前記標的に隣接する物体と接触するように構成され、前記経路が100ミリラジアン~0.001ミリラジアンの範囲で前記第2遠位面に平行である、第2窓と、
前記第1窓の前記第1遠位面と前記第2窓の前記第2近位面との間に配置され、冷却剤を受け入れるように構成された、冷却剤チャンバと、
を含む、
システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記光学要素と前記第2窓の前記第2遠位面との間の第2距離を前記光学軸に沿って変化させることによって、前記焦点領域と前記第2窓の前記第2遠位面との間の第1距離を前記光軸に沿って変化させるように構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1距離は、前記焦点領域が前記標的の前記経路に沿って横断するときに、第1所定値と第2所定値との間で変化する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1所定値と前記第2所定値との差が0.25mm未満である、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1所定値が0.001mmであり、前記第2所定値が10mmである、請求項3
に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラが、EMRに関連する発散を変化させることにより、前記焦点領域と前記第2窓の第2遠位面との間の第1距離を光軸に沿って変化させるよう構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
走査装置をさらに含み、前記走査装置が、前記コントローラから制御信号を受信し、前記制御信号に基づいて治療経路に沿って前記焦点領域を移動させる、ように構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラが、EMRの強度を変化させるように構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記コントローラが、前記冷却剤チャンバ内の前記冷却剤の流量を変化させるように構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記光学要素が0.1から1.0の範囲の開口数(NA)を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記EMRが1Wから100Wの範囲の平均電力を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記EMRが、400nmから4000nmの範囲の波長を有するパルス型レーザビームを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記EMRが、前記焦点領域に熱電子プラズマを生成するよう構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
ガスを第1窓に向けるように構成されたガス源をさらに含み、前記ガスは、前記第1窓の凝結を防止するよう構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1窓が第1熱浸透率を有し、前記第2窓が前記第1熱浸透率よりも高い第2熱浸透率を有する、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
特定の波長の光又は光エネルギーを適用して様々な症状が治療され得る。標的構造に隣接する組織構造を損傷することなく、適切な標的構造(例えば、皮膚などの組織)にエネルギーを伝達することには、多くの課題が存在する。これらの課題には、光又は光エネルギーを使用して標的構造を効果的かつ効率的に走査する機能だけでなく、十分なフルエンスを備えた適切な波長でエネルギーを伝達する機能も含まれる。
【背景技術】
【0002】
肝斑は、病因不明の皮膚疾患の1つの例であり、多くの場合、顔面領域に斑状の色素沈着過剰を引き起こす。この症状は、男性よりも女性に多く見られる。肝斑の特定の原因はあまりよく理解されていないが、肝斑の色素沈着は、妊娠、日光露出、経口避妊薬などの特定の薬物、ホルモンレベル、遺伝的要因などのいくつかの条件によってさらに悪化することがある。肝斑の典型的な症状には、一般に上頬、鼻、上唇、及び額に見られる、暗くて不規則な形状の斑点又は斑紋が含まれる。このような斑点は、時間の経過とともに徐々に大きくなる。肝斑は、外見上の変色以外の他の症状を引き起こしたり、他の有害な影響を及ぼしたりすることはない。
【0003】
皮膚の表皮領域(例えば、組織表面又はその近く)に通常存在する多くの色素性構造とは異なり、真皮(又は深部)肝斑は、多くの場合、下層真皮の一部又は領域でメラニン及びメラノファージ(例えば、過度に色素沈着した細胞を含む)の広範囲な存在を特徴とする。従って、真皮肝斑の治療(例えば、色素沈着した暗い領域の外観の淡色化)は、皮膚内のより深い位置にあるそのような色素沈着した細胞及び構造にアクセスして影響を与えることが非常に困難であるため、特に困難な場合がある。従って、主に表皮に影響を与えるフェイスピール(レーザ又は化学物質)、皮膚切除術、局所剤などのような従来の皮膚若返り治療は、真皮肝斑治療に効果的でないこともある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特定の波長の光又は光エネルギーの適用は、色素沈着細胞(pigmented cell)によって強く吸収され、それによってそれらに損傷を与え得ることが観察された。しかし、光エネルギーを利用した真皮肝斑の効果的な治療は、いくつかの障害を招く。例えば、真皮の色素沈着細胞は、細胞を破壊又は損傷させるのに適切な波長の十分な光エネルギーを対象にしなければならず、これは色素沈着(pigmentation)の一部を放出又は破壊して色素沈着を低減し得る。しかし、このようなエネルギーは、表皮及び上部真皮などの上にある皮膚組織中の色素(例えば、発色団)によって吸収され得る。このような表面近くの吸収は、皮膚の外側部分の過剰な損傷を招き、より深い真皮へその内部の色素沈着細胞に影響を与えるためのエネルギー伝達が不充分となる。また、表皮の基底層に位置するメラニン細胞に対する熱的損傷は、メラニン生成の増加を引き起こす可能性があり、メラニン細胞の破壊を招く熱的損傷は、色素沈着の低下を引き起こす可能性がある。従って、標的化されていない組織、特に真皮斑点の真上に位置する色素性表皮組織を冷却(即ち、熱を逃がす)ことが望ましい。理想的には、冷却は、治療放射線と同時に、放射線と同じ組織表面上で行われる。
【0005】
治癒を促進するために健康な組織によって分離された皮膚上の小さな個別の治療位置に光エネルギーを適用する部分的アプローチ方式が開発された。治療位置(例えば、表皮層)周辺の健康な組織への損傷を回避しながら、望ましい特異性で治療位置(例えば、皮膚層に位置)を正確に標的にすることは、困難な場合がある。これは、例えば、レーザビー
ムを治療位置に集束させるための高開口数(NA)を備えた光学システムを必要とする。また、光学システムは、大きな影響を受ける領域(例えば、数平方センチメートル)にわたって集束されたビームを走査できる必要がある。従って、高開口数を有することができ、大きな影響を受ける領域を走査することができる光学システムを開発することが望ましい。また、境界面が治療領域との強固な接触を確立して治療領域を安定化させ、集束されたレーザビームの深さを治療領域内で保持できるようにすることが望ましい。さらに、望ましくない熱的損傷を防ぐために、境界面が治療放射線と同時に治療領域を冷却させることが有利なこともある。少なくとも、上記の理由により、EMRベース(例えば、レーザベース)の組織治療のための改善された方法、システム、及び装置が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、システムは、電磁放射(EMR)を受光し、EMRを光軸に沿って標的組織の焦点領域に集束させるように構成された光学要素を含む。このシステムはまた、光学要素からのダウンビームの冷却要素を含み、集束EMRを受光するように構成される。冷却要素は、第1近位面及び第1遠位面を含む第1窓を含む。第1窓は、フレームに封止されている。冷却要素は、フレームに封止された第2窓をさらに含む。第2窓は、第2近位面及び第2遠位面を含む。第2窓は、第2遠位面を介して標的組織又は標的組織に隣接する組織と接触するように構成される。冷却要素はまた、第1窓の第1遠位面と第2窓の第2近位面との間に配置され、冷却剤を受け入れるように構成される冷却剤チャンバを含む。第1窓、第2窓、及び冷却剤チャンバは、電磁放射(EMR)を受光し、受光したEMRの一部を標的組織に送信するように構成される。
【0007】
一実施形態では、コントローラは、光学要素と第2窓の第2遠位面との間の第2距離を光軸に沿って変化させることによって、第2窓の焦点領域と第2遠位面との間の第1距離を光軸に沿って変化させるように構成される。他の実施形態では、第1距離は、焦点領域が標的組織の治療経路に沿って横断するときに、第1所定値と第2所定値との間で変化する。さらに他の実施形態では、第1所定値と第2所定値との間の差が0.25mm未満である。また他の実施形態では、第1所定値は0.001mmであり、第2所定値は10mmである。
【0008】
一実施形態では、コントローラは、EMRに関連する発散を変化させることによって、光軸に沿って焦点領域と第2窓の第2遠位面との間の第1距離を変化させるように構成される。他の実施形態では、システムは、さらに走査装置を含む。走査装置は、コントローラから制御信号を受信し、制御信号に基づいて第1走査経路に沿って光学要素を移動させるように構成される。さらに別の実施形態では、第1走査経路は、第2窓の第2遠位面と実質的に平行である。
【0009】
一実施形態では、コントローラは、EMR放射の強度を変化させるように構成される。他の実施形態では、コントローラは、冷却剤チャンバ内の冷却剤の流量を変化させるように構成される。さらに他の実施形態では、光学要素は、約0.1から約1.0の範囲の開口数(NA)を有する。
【0010】
一実施形態では、EMRは、約1Wから約100Wの範囲の平均電力を有する。他の実施形態では、EMRは、約400nmから約4000nmの範囲の波長を有するパルス型レーザビームを含む。さらに他の実施形態では、EMRは、焦点領域で熱電子プラズマを生成するように構成される。他の実施形態では、冷却要素は、ガスを第1窓に向けるように構成されるガス源をさらに含み、ガスは、第1窓の凝結を防止するように構成される。
【0011】
一実施形態では、方法は、集束電磁放射(EMR)を生成するステップと、冷却要素を介して集束EMRを送信するステップとを含む。冷却要素は、第1近位面及び第1遠位面
を含む第1窓を含む。第1窓は、フレームに封止される。冷却要素は、フレームに封止された第2窓をさらに含む。第2窓は、第2近位面及び第2遠位面を含む。第2窓は、第2遠位面を介して標的組織又は標的組織に隣接する組織に接触するように構成される。冷却要素はまた、第1窓の第1遠位面と第2窓の第2近位面との間に配置され、冷却剤を受け入れるように構成される冷却剤チャンバを含む。この方法は、集束EMRを標的組織の焦点領域に向けるようにするステップをさらに含む。
【0012】
一実施形態では、集束EMRを生成するステップは、EMRの光軸に沿って光学レンズを配置することを含む。他の実施形態では、この方法は、光軸に沿って光学レンズの位置を変化させることによって、標的組織内の焦点領域の深さを変化させるステップをさらに含む。他の実施形態では、焦点領域の深さは、約0.001mmから約10mmの範囲である。
【0013】
一実施形態では、この方法は、標的組織の治療経路に沿って集束EMRを走査するステップをさらに含む。他の実施形態では、集束EMRビームは、光学要素を第2窓の第2遠位端に実質的に平行に移動させることによって、治療経路に沿って走査される。
【0014】
一実施形態では、冷却要素は、1つ以上のデータムを含むフレームを含む。冷却要素はまた、第1近位面及び第1遠位面を含む第1窓を含む。第1窓は、フレームに封止される。冷却要素は、フレームに封止された第2窓をさらに含む。第2窓は、第2近位面及び第2遠位面を含む。第2窓は、第2遠位面を介して標的組織又は標的組織に隣接する組織と接触するように構成される。冷却要素はまた、第1窓の第1遠位面と第2窓の第2近位面との間に配置され、冷却剤を受け入れるように構成された冷却剤チャンバを含む。第1窓、第2窓及び冷却剤チャンバは、電磁放射(EMR)を受光し、受光したEMRの一部を標的組織に送信するように構成される。
【0015】
一実施形態では、1つ以上のデータムは、データム平面に配置される。第2窓は、データム平面に対して第1角度で配置される。第1角度は、1.0mrad未満である。他の実施形態では、冷却剤チャンバは、冷却剤が冷却剤の流動源から冷却剤チャンバに向かうように構成されたポートを含む。また他の実施形態では、第1窓は、第1シールを介してフレームに封止され、第2窓は、第2シールを介してフレームに封止される。第1シールは、接着剤、溶接、はんだ、ろう接、ポリマー、及びエラストマーのうちの1つ以上を含む。
【0016】
一実施形態では、第1窓に関連する第1熱浸透率は、第2窓に関連する第2熱浸透率より低い。他の実施形態では、第1窓に関連する第1厚さは、第2窓に関連する第2厚さより厚い。さらに他の実施形態では、冷却要素は、ガスが第1窓に向かうように構成されたガス源をさらに含む。ガスは、第1窓での凝結を防ぐように構成される。
【0017】
一実施形態では、第2窓の第2遠位面は、平面形状、凸形状、凹形状のうちの1つ以上を有する。他の実施形態では、冷却要素は、ファスナをさらに含む。ファスナは、第2窓の第2遠位面をフレームに固定するように構成される。また他の実施形態では、ファスナは、ねじ、クランプ、スナップ、保持リング、及びタブのうちの少なくとも1つを含む。
【0018】
一実施形態では、第2窓は、サファイア、石英、又はダイヤモンドのうちの少なくとも1つを含む。他の実施形態では、第1窓は、第2窓に対して第2角度で配置され、第2角度は、10mrad未満である。さらに他の実施形態では、第2窓は、第1窓からダウンビームする。他の実施形態では、受光されたEMRの一部が標的組織の焦点領域に送信される。
【0019】
一実施形態では、方法は、EMRを冷却要素に向けるステップを含む。冷却要素は、1つ以上のデータムを含むフレームを含む。冷却要素はまた、第1近位面及び第1遠位面を含む第1窓を含む。第1窓は、フレームに封止される。冷却要素は、フレームに封止された第2窓をさらに含む。第2窓は、第2近位面及び第2遠位面を含む。第2窓は、第2遠位面を介して標的組織又は標的組織に隣接する組織と接触するように構成される。冷却要素はまた、第1窓の第1遠位面と第2窓の第2近位面との間に設けられ、冷却剤を受け入れるように構成される冷却剤チャンバを含む。第1窓、第2窓及び冷却剤チャンバは、電磁放射(EMR)を受光して、受光されたEMRの一部を標的組織に送信するように構成される。
【0020】
一実施形態では、EMRの一部を標的組織に送信するステップは、EMRを標的組織の焦点領域に集束させるステップを含む。他の実施形態では、1つ以上のデータムは、データム平面に配置される。第2窓は、データム平面に対して第1角度で配置され、第1角度は、1.0mrad未満である。さらに別の実施形態では、冷却剤チャンバは、冷却剤が冷却剤の流動源から冷却剤チャンバへ向かうように構成されるポートを含む。他の実施形態では、第1窓は、第1シールを介してフレームに封止され、第2窓は、第2シールを介してフレームに封止される。
【0021】
本開示の実施形態は、添付された図面と共に、後の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】いくつかの実施形態による、組織を放射及び冷却するためのシステムを概略的に示す。
図2A】いくつかの実施形態による、電磁放射ビームの焦点の作動距離を変化させるためのシステムを概略的に示す。
図2B】いくつかの実施形態による、電磁放射ビームの焦点の作動距離を変化させるための異なるシステムを概略的に示す。
図3】いくつかの実施形態による、少なくとも1つの軸にわたって電磁放射ビームを走査するためのシステムを概略的に示す。
図4A】いくつかの実施形態による、放射と同時に組織を冷却するためのシステムを多数の観点で概略的に示す。
図4B】いくつかの実施形態による、放射と同時に組織を冷却するためのシステムを多数の観点で概略的に示す。
図4C】いくつかの実施形態による、放射と同時に組織を冷却するためのシステムを多数の観点で概略的に示す。
図4D】いくつかの実施形態による、放射と同時に組織を冷却するためのシステムを多数の観点で概略的に示す。
図5】いくつかの実施形態による、組織を照射及び冷却するための方法を示すフローチャートである。
図6】皮膚の真皮層の色素沈着領域に集束されたレーザビームの概略図である。
図7A】メラニンの例示的な吸光度スペクトルのグラフである。
図7B】ヘモグロビンの例示的な吸光度スペクトルのグラフである。
図8】メラニン及び静脈血の吸収係数、及び皮膚における光の散乱係数対波長のプロットを示す。
図9A】複数の例示的な冷却要素の冷却性能を示すグラフである。
図9B】例示的な冷却要素の概略図を示す。
図9C】例示的な冷却要素の概略図を示す。
図9D】例示的な冷却要素の概略図を示す。
【0023】
図面は、必ずしも縮尺の通りではないことに留意されたい。図面は、本明細書で開示された主題の典型的な態様のみを示すことを意図しており、従って、本開示の範囲を制限するものと見なされるべきではない。当業者は、本明細書に具体的に説明され、添付の図面に示されるシステム、装置、及び方法が非限定的な例示的実施形態であり、本実施形態の範囲が特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解するであろう。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書に開示される装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全般的な理解を提供するために、特定の例示的な実施形態がここに説明される。これらの実施形態の1つ以上の例が添付の図面に示されている。例示的な一実施形態と関連して図示又は説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。そのような修正及び変形は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0025】
本発明の実施形態は、このような色素沈着症状(pigmentary condition)の外観を改善するために、肝斑などの皮膚の色素沈着症状の治療に関して以下で詳細に論じる。しかしながら、開示された実施様態は、他の色素沈着及び非色素沈着症状、並びに他の組織及び非組織標的の治療のために制限なく使用されてもよい。色素沈着症状の例には、炎症後色素沈着、目の周囲の色黒の皮膚、黒目、カフェオレ斑(cafe au lait patches)、ベッカー母斑(Becker’s nevi)、太田母斑(Nevus of Ota)、先天性色素細胞性母斑(congenital melan℃ytic nevi)、小斑点(freckles)/黒子(lentigo)、ヘモシデリンが豊富な構造、色素胆石、ルテイン、ゼアキサンチン、ロドプシン、カロチノイド、ビリベルジン、ビリルビン及びヘモグロビンが豊富な構造、及びタトゥーを含む組織を含むことができるが、これらに制限されない。非色素沈着症状の例には、毛嚢、毛幹、血管病変、感染状態、皮脂腺、にきびなどを含むことができるが、これらに限定されない。非皮膚組織の例示には、軟骨、粘膜、及び漿膜などの軟組織、及び骨や歯のエナメルなどの軽躁職が含まれるが、これらに限定されない。
【0026】
さらに、本開示では、実施形態の同様の名称の構成要素は、一般に同様の特徴を有し、特定の実施形態内では、それぞれ同様の名前の構成要素の各特徴は、必ずしも完全に記述されているわけではない。また、開示されたシステム、装置、及び方法の説明において、直線又は円形の寸法が使用される限り、そのような寸法は、そのようなシステム、装置、及び方法と組み合わせて使用できる形態の類型を制限することを意図しない。当業者は、そのような直線及び円形の寸法と同等の寸法が任意の幾何学的形態に対して容易に決定され得ることを認識するであろう。システム及び装置、並びにそれらの構成要素のサイズ及び形状は、システム及び装置が使用される構成要素のサイズ及び形、システム及び装置が使用される方法及び手続は、システム及び装置が使用される対象の解剖学的構造に少なくとも依存し得る。
【0027】
一般に、電磁放射(EMR)(例えば、レーザビーム)を組織の治療領域に集束させることができるいくつかの高開口数(NA)光学治療システムが記述されている。集束レーザビームは、周辺組織を損傷することなく治療領域に光エネルギーを伝達することができる。伝達された光エネルギーは、影響を受けない非標的領域(例えば、上皮層、皮膚層の他の部分など)に囲まれた皮膚又は組織の周辺領域又は他の色素沈着標的領域に影響を及ぼすことなく、例えば皮膚の皮膚層の治療領域で色素沈着発色団(chromophores)及び/又は標的を破壊することができる。他の実施形態では、伝達された光エネルギーは、タトゥーの除去又は変更、又はヘモグロビン関連の治療を誘発することができる。通常の治療中に、大量の放射線(例えば、波長に応じて1W、5W、10W、20W、又は30Wを超える平均電力)が組織に照射され得る。これらの放射レベルは、最終的に組織のバルク加熱を引き起こし、熱的損傷を引き起こす可能性がある。組織のバルク加熱
を防ぐために、組織の冷却を実行する必要がある。冷却を最も効果的に行うために、照射と同時に同じ場所で冷却を行う。以前の冷却方法では、同じ場所で冷却が行われても、同時には実行されなかった(例えば、極低温冷却)。同時に冷却を行っても、照射と同じ領域では冷却を行わない、さらに他の方法が実行されてきた。
【0028】
光又は光エネルギーで皮膚状態を治療するための例示的な方法及び装置は、「真皮肝斑を治療するための方法及び装置」と題する米国特許出願公開第2016/0199132号、及び「真皮肝斑の選択的治療のための方法及び装置」と題する米国仮出願第62/438,818号に開示されており、これらの各々は、その全体が参照として本明細書に組み込まれている。
【0029】
図1は、組織101を照射及び冷却することができる治療システム100の例示的な実施形態を示している。レーザなどの電磁放射(EMR)源102は、EMRビーム104を生成する。いくつかの実施形態によれば、EMRビーム104は、100ナノメートル(nm)から15000nmの間(例えば、400nmから4000nmの間)の範囲の波長を有する。例示的なEMR源102は、フランスのレジュリス(Les Ulis)のQuantel社のQ-smart450であり得る。Q-Smart450は、1064nmの波長、6nSから20nS(ナノ秒)の間のパルス持続時間、最大40Hzの繰返し率及び最大450mJのパルスエネルギーを有するEMRビーム104(例えば、パルスビーム)を生成することができる。他の例示的なEMR源102は、カリフォルニア州サンタクララのコヒレント社(Coherent)のCoherent Diamond FLQファイバレーザである。Diamond FLQファイバレーザによって生成されたEMRビーム104は、最大10W、20W、50W、又は100Wの平均電力、約100nSのパルス持続時間、最大1mJのパルスエネルギー、及び20KHzから100KHzの間のパルス繰返し率を有することができる。EMRビーム104は、光学要素106によって集束され、EMRビーム104が光軸110に沿って伝播するときに、EMRビーム104が焦点108(又は「焦点領域」)に収束するようにできる。いくつかの実施形態によれば、EMRビーム104は、0.1から1.0の間(例えば、0.5)の開口数を有する焦点108に収束する。
【0030】
治療システム100は、第1窓112、冷却剤116(例えば、流体冷却剤)の流れを受容/収容するように構成されたチャンバ114、及び第2窓118を含む冷却要素150を含むことができる。冷却要素は、光学要素106からダウンビーム(dowmn-beam)に配置することができる。「ダウンビーム」という用語は、EMRビーム104が最初に光学要素106に衝突し、次に冷却要素150に衝突することを意味する。言い換えれば、光学要素106は、冷却要素150からアップビーム(up-beam)に配置される。
【0031】
EMRビーム104は、第1窓112、冷却剤116の流れを受容/収容するように構成されたチャンバ114、及び第2窓118を含む冷却要素150を介して透過することができる。例えば、第1窓112、冷却剤116、及び第2窓118は、EMRビーム104を実質的に透過することができる。いくつかの実施形態によれば、EMRビームは、第1窓112、チャンバ114、冷却剤116の流れ、及び第2窓を介して透過するときに収束する(例えば、集束)ことができる。EMRビーム104は、第2窓118の遠位面120を介して伝播した後に、焦点108に到着することができる。焦点108と第2窓118の遠位面120との間には、作動距離122が存在する。いくつかの実施形態によれば、作動距離122は、0.001mmから100mm(例えば、0.5mm、1.0mm、及び10mm)の範囲の値を有することができる。
【0032】
いくつかの実施形態によれば、冷却剤の流動源124は、冷却剤116の流れを誘導す
ることができ、これは、第1窓112と第2窓118との間(例えば、第1窓112の遠位面及び第2窓118の近位面)に位置する。例示的な冷却剤の流動源は、ニューヨーク州ワッピンガーズフォールズ(Wappingers Falls)のSteady State Cooling Systems社の小型冷却装置(部品番号UC160-190)である。UC160-190は、9psigで500ml/min±50ml/minの流量、30psigの最大圧力、2℃から45℃の間の冷却剤温度を有する冷却剤の流動124を生成することができる。冷却剤は、一般にEMRビーム104の波長で透過性であり得る(例えば、50%を超える透過率)。例えば、プロピレングリコールと水の混合物は、一般に、可視光線及び1064nmを含む波長範囲で透過性がある。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、治療システム100は、コントローラ126をさらに含む。コントローラは、EMR源102及び冷却剤の流動源124、EMRビーム104の送信方向、光学要素106の位置/運動(例えば、冷却要素150に対する光学要素106の経路)などを制御するように構成し得る。いくつかの実施形態によれば、冷却剤116の温度は、設定点の摂氏数度以内に制御される。例示的な冷却剤の温度設定点は、-10℃、0℃、5℃未満の温度、及び10℃を超える温度を含む。いくつかの実施形態によれば、コントローラ126は、冷却剤の設定点温度及び冷却剤の流量を含む、冷却剤の流動源124の1つ以上のパラメータを制御する。いくつかの実施形態によれば、コントローラ126は、パルス持続時間、繰返し率、EMRインターロック又はゲート信号、パルスエネルギー、平均電力などを含むEMR源102の1つ以上のパラメータを制御する。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、治療システム100は、焦点108の位置又はその近くの組織101内にプラズマを生成するように構成される。いくつかの実施形態では、プラズマは、光イオン化などの光学的手段を介して生成され得る。光イオン化を介してプラズマを生成するに、大きなエネルギー密度が必要となる場合がある(例えば、ナノ秒範囲のパルス持続時間を有するEMRパルスの場合)。例えば、水の光イオン化の放射照度の閾値は、1013W/cm2まで高くなる可能性がある(例えば、105W/cm2から1013W/cm2の間)。他の実施形態では、プラズマは、電子の熱電子放出によって生成され得る。プラズマの熱電子生成は、EMRビーム104の焦点108又はその近くに位置する発色団(例えば、EMRビーム104を吸収するように構成された材料)の存在下で起こり得る。焦点における高いエネルギー密度は、発色団のイオン化、及び発色団と場合によっては発色団に近い材料への選択的な熱損傷をもたらす可能性がある。例えば、ナノ秒範囲のパルス持続時間を有するEMRパルスの吸収媒体における熱電子イオン化の放射照度の閾値は、109W/cm2まで低くなる可能性がある。収束するEMRビーム104及び焦点108の選択的な性質は、非標的組織の即時の加熱を防止できるが、バルク加熱は、依然として1つ以上の焦点108の位置の上又は近くの多くのEMRパルスにわたって発生する可能性がある。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、冷却要素150は、EMRビーム104によって照射されるときに組織101を冷却することができる。いくつかの実施形態では、熱経路は、焦点108から(例えば、光軸110と平行/同一線上に)組織101、組織101の外面、第2窓118の遠位面120、第2窓118を通り、最後に冷却剤116の流動まで延びることができる。この熱経路は、組織101からの焦点108から第2窓118の遠位面120までの最短経路(例えば、組織101を介する最短経路)であり得る。このため、組織101のバルク熱は、効率的に(例えば、焦点108の位置から)冷却剤116に伝達され得る。冷却剤及び窓は、どちらもEMRビームの波長で透過性があるため、冷却は照射と同時に実行してもよい。いくつかの治療は、組織内の焦点108の位置を注意深く制御し、時には変更を必要とし得る。これらの場合、焦点108に対する第2窓118の遠位面120の位置が既知であり、及び/又は制御されることが望ましい場合がある。例えば、センサ(例えば、加速度計、位置検出器など)は、第2窓118(又は冷却要素
150)の位置及び/又は動きを検出することができ、この情報をコントローラ126に伝達することができる。これにより、第2窓118(又は冷却要素150)の位置及び/又は動きを追跡することができる。
【0036】
真皮肝斑は、真皮を含む色素中の選択的熱電子プラズマによって治療され得る。この治療を実施するために、EMRビーム104の焦点108を真皮内の色素の深さ(例えば、組織101の表面下100μmから1mm)又はその近く(例えば、レイリー範囲の2倍)に置くことが望ましい場合がある。図2A図2Bを参照すると、焦点108位置の深さの変化200が示されている。図2Aは、いくつかの実施形態による焦点108の深さの変化200を概略的に示している。光軸110(例えば、z軸)に沿って第2窓118に対して光学要素106を並進210すると、焦点108の深さに対応する変化200が生成される。いくつかの実施形態によれば、光学並進210は、ステージによって生成され、コントローラによって制御され得る。例示的なステージは、ニューヨーク州ビクターのニュースケールテクノロージー社(New Scale Technologies)のM3-FSフォーカスモジュールである。いくつかの変形例では、コントローラ126は、加速度、速度、及び位置を含むステージの1つ以上のパラメータを制御する。
【0037】
いくつかの実施形態によれば、焦点108の深さは、発散するEMRビーム222の発散220の対応する変化(例えば、変化200)変えることができる。図2Bを参照すると、深さは、第1焦点位置224から第2焦点位置226まで変化200し得る。第1焦点位置224は、無視できる発散を有する第1EMRビーム228上に光学要素106によって導入された波面変化によって生成される。第2焦点位置226は、同じ光学要素106によって生成されるが、追加された発散220によって第1焦点位置224とは異なる位置に生成される。いくつかの実施形態によれば、発散220の変化は、焦点可変レンズなどの補償光学から提供される。例示的な焦点可変レンズは、Optotune Switzerland AGのOptotune部品番号EL-10-42-OFである。焦点108の極端な横方向(例えば、x軸及びy軸)の選択性(例えば、狭さ)のために、組織101内の複数の場所にわたって焦点108を走査することが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、コントローラ126は(例えばEMRビームの発散を変化させるために)補償光学の1つ以上のパラメータを制御することができる。
【0038】
図3を参照すると、ビーム走査装置300を含むシステムの実施形態が概略的に示されている。光学/EMRビームの走査301は、走査幅302にわたって焦点位置の並進(又は回転)をもたらすことができる。走査幅302は、焦点位置が横(即ち、x軸及び/又はy軸)に変化する距離である。いくつかの実施形態では、ビーム走査装置300は、EMR焦点、光学、及び光軸(又はEMRビーム)を走査(例えば、移動)301することができる。図3は、第1EMRビーム位置314、第1光学位置316、及び(光軸320に沿った)第1焦点位置318から第2EMRビーム位置304、第2光学位置306、及び(光軸310に沿った)第2焦点位置308への走査301を示す。いくつかの実施形態によれば、EMRビーム及び光軸は、走査幅全体にわたって第1窓112、チャンバ114及び第2窓118に入射したまま保持される。いくつかの実施形態では、組織内の焦点の深さが制御され得る。例えば、周知の仕様の範囲内において、走査301の方向又は平面が第2窓118の遠位面120と平行であることが望ましい場合がある。これは、上記のように、光学装置と第2窓の遠位面120との間の光軸に沿った距離の変化が作動距離122及び組織内の焦点の深さの変化をもたらす可能性があるためである。いくつかの実施形態によれば、第2窓118は、指定された角度(例えば、10mrad、1mrad、0.5mrad、又は0.1mrad)内で走査運動と平行に保持される。あるいは、いくつかの実施形態では、走査幅302にわたる作動距離122の変化は、許容可能な範囲に制限され得る(例えば、10mmの走査幅にわたる0.25mmの作動距離122の変化)。ビーム走査装置300は、コントローラ(例えば、コントローラ126
)によって制御され得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、ジャンプ速度、加速度、位置、滞留時間などを含むビーム走査装置の1つ以上のパラメータを制御することができる。
【0039】
例示的な冷却要素400は、図4A図4Dに多数の観点で概略的に示されている。図4Aは、冷却要素400の上面等角図を示す(例えば、EMR源に面する/標的組織から遠ざかる方向に面する冷却要素400の一部分)。図4Bは、冷却要素400の底面等角図を示す(例えば、標的組織に面する/EMR源から遠ざかる方向に面する冷却要素400の一部分)。図4Cは、冷却要素400の底面図を示す。図4Dは、図4Cに示される断面線に沿った冷却要素400の断面図を示す。例示的な冷却要素400は、フレーム402を含む。図4A及び図4Cに示すように、フレーム402は、3つのデータム404を有する。データム404は、照射を生成することができるエネルギーベースの装置上のマウントに対応し、これにより、冷却要素400をエネルギーベースの装置に着脱可能に取り付けて交換することができる。いくつかの実施形態によれば、データム404は、1つ以上の幾何学的形態、例えば平面、線、及び点に近似することができる。いくつかの変形例によれば、データム404は、運動学的マウント(例えば、マックスウェル(Maxwellian)マウント)の一部を含む。例示的な冷却要素400の3つのデータム404は、平面内に配置することができる。例示的な冷却要素400は、第1シール408によってフレーム402に封止された第1窓406及び第2シール412によってフレーム402に封止される第2窓410をさらに含む。いくつかの実施形態によれば、第1シール408及び第2シール412は、接着剤を含む。接着剤の例には、光硬化性接着剤、シリコーン、及びエポキシを含むことができる。他の実施形態によれば、第1シール408及び/又は第2シール412は、溶接、ろう接、又ははんだを含み、対応する第1窓406及び/又は第2窓410の端は、このようなタイプの封止を可能にする材料(例えば、金属)で金属化、スパッタリング、又はコーティングすることができる。さらに、第2窓410は、1つ以上のファスナ414でフレーム402に固定される。図4C及び図4Dに示すように、例示的な冷却要素400のファスナ414は、3つの機械ねじによって所定の位置に保持されるクランププレートを含む。ファスナの追加の例には、ねじ、クランプ、スナップ、保持リング、タブ、又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。第2窓410をフレームに取り付けることにより、第2窓410の遠位面の曲面又は移動をもたらす可能性のある第2シール412に対する追加応力を加えることなく、第2窓410の遠位面416を組織と固く接触するように位置することができる。
【0040】
上記のように、遠位面416とEMRビーム104を集束する光学要素106との間の距離の変化は、ビームの作動距離122及び組織101内の結果として生じる焦点108の位置に影響を与える。いくつかの実施形態によれば、第2窓410の遠位面416は、データム404に対して所定の幾何学的構造(例えば、配向、位置など)で配置し得る。例えば、いくつかの変形例では、第2窓410は、1つ以上のデータム404によって近似される平面に平行に、所望の許容誤差(例えば、0.5mrad)内に配置される。さらに、第2窓410は、所望の許容誤差(例えば、0.05mm)内で、光軸(例えば、z軸)に沿った正確な距離に配置することができる。さらに、いくつかの実施形態によれば、第1窓406及び第2窓410は、両方が平行に配置され、それらの間の所定の距離は、所望の許容誤差(例えば、0.5mrad及び0.05mm)内であり得る。いくつかの実施形態では、第1窓406及び第2窓410は、互いに対してある角度で(例えば、10mrad未満の角度で)配置することができる。様々な理由で、いくつかの実施形態における第2窓の遠位面416は、非平面形状(例えば、凸形状又は凹形状)を含む。例えば、凸形状の遠位面416は、組織と接触して配置されたときに組織を圧縮するのに有利なこともある。
【0041】
図4Dは、冷却要素400内のチャンバ418を示す。チャンバ418は、フレーム4
02、第1窓406、及び第2窓410によって画定される。チャンバ418は、第1シール408及び第2シール412によって封止され得る。チャンバ418は、冷却剤を含むように構成される。いくつかの実施形態によれば、冷却剤の流れは、チャンバ418と流体連通する1つ以上のポート420を介してチャンバ418に供給される。いくつかの実施形態によれば、ポート420は、冷却剤の流動源からの冷却剤の流れを提供することができ、ポート420と流体連通する。いくつかの実施形態において、冷却剤の流動源は、1つ以上の継手422を介してポート420と流体連通し得る。図4A及び図4Bは、チャンバ418に冷却剤を供給し、チャンバ418から冷却剤を戻すための冷却剤供給継手422a及び冷却剤戻り継手422bの両方を示す。
【0042】
いくつかの実施形態によれば、第2窓は、高い熱浸透率を有する材料(例えば、石英、サファイア、ダイヤモンドなど)を含む。より高い熱浸透率は、より多くの熱が組織表面から冷却剤の流れに伝達されることを可能にできる。同様に、いくつかの実施形態によれば、第1窓406は、より低い熱浸透率を有する材料(例えば、ガラス又はポリマー)を含む。より低い熱浸透率材料を備えた第1窓406を有する実施形態は、より少ない熱を、第1窓を介して冷却剤の流れに伝達することができる。結果として、第1窓406が高い熱浸透率材料を含む場合よりも凝結がよりゆっくり発生する可能性がある。さらに、いくつかの実施形態では、第1窓は、第2窓の厚さ(例えば、0.5mm)よりも大きい厚さ(例えば、1mm)を有し、熱エネルギー伝達が第2窓を介してより自由に起こることを可能にする。一部の例によると、きれいな乾燥した空気、窒素、二酸化炭素、又はアルゴンなどの非凝縮ガスを第1窓に吹き付けることで、凝結をさらに防ぐことができる。
【0043】
図5を参照すると、いくつかの実施形態による組織を照射及び冷却するための方法500を説明するフローチャートが示されている。502では、EMR源を使用して電磁放射(EMR)ビームが生成される。504で、波面変化がEMRビームに導入され、EMRビームが光軸に沿って伝播するときにEMRビームを収束させる。506において、収束するEMRビームは、第1窓、第1窓に隣接する冷却剤、及び冷却剤に隣接する第2窓510を介して透過する。最後に、収束するEMRビームは、組織512の表面積に入射するように配向される。同時に、熱は、組織の表面領域から第2窓を介して冷却剤に伝達514される。
【0044】
方法500のいくつかの実施形態によれば、収束するEMRビームは、最終的に組織の表面積より下の深さで組織内の焦点に到達する。他の変形例では、焦点の深さは時間によって変化する。上記のように、組織内の焦点の深さを変化させることにより、例えば真皮肝斑治療において、エネルギーがある深さの範囲にわたって送達されることを必要とする治療が可能になる。いくつかの変形例では、深さは0.001mmから10mmの範囲で変化する。いくつかの変形例では、焦点のあるEMRビームは、着色された組織で熱電子化を引き起こすのに十分なエネルギー密度を有する(例えば、100ナノ秒のパルス持続時間及び1064nmの波長で約10J/cm2を超えるエネルギー密度)。
【0045】
いくつかの実施形態によれば、方法500は、1つ以上の軸の走査幅にわたって収束するEMRビームを走査し、EMRビームを組織の第2表面領域に向けさせるステップ512をさらに含む。通常、EMRビームは、パルスエネルギー源であり、各パルスは、EMRビームが走査されるときに新しい表面領域に向けられる。いくつかの変形例では、ビーム走査は、焦点の深さが走査幅にわたって所望の許容誤差(例えば、0.25mm又は0.05mm)を超えて変化しないように、第2窓の遠位面に概ね平行である(第2窓/第1窓に平行なx-y平面に沿って)1つ以上の軸で実行される。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、502において、EMRビームは、少なくとも1W、5W、10W、又は30Wと同じ大きさの平均電力で生成される。いくつかの実施形態によ
れば、EMRビームは、400nmから4000nmの間の範囲の波長で生成される。いくつかの実施形態によれば、波面変化は、EMRビーム504に導入されて、少なくとも0.3の開口数(NA)に係る比率のEMRビームの収束をもたらす。
【0047】
いくつかの実施形態による例示的なパラメータ及びパラメータ範囲を要約するために、以下の表が提供される。
【表1】
【0048】
[治療放射線の特性]
図6は、皮膚組織で真皮層の色素沈着領域に集束されたレーザビームの例示的な概略図である。皮膚組織は、皮膚表面600及び上部表皮層610、又は表皮を含み、これらは、例えば、顔面領域において約30から120μmの厚さであり得る。真皮は、身体の他
の部分では、わずかに厚くなることもある。例えば、一般に表皮の厚さは、約30μm(例えば、まぶた)から約1500μm(例えば、手のひら又は足の裏)の範囲であり得る。このような表皮は、皮膚の特定の状態、例えば乾癬により、上記の例よりも薄い又は厚い場合もある。下部真皮層620又は真皮は、表皮610の下からより深い皮下脂肪層(図示せず)まで延びる。深部又は真皮の肝斑を示す皮膚は、過剰な量のメラニンを含む色素沈着細胞又は領域630の集団を含むことができる。電磁放射(EMR)650(例えば、レーザビーム)は、真皮620又は表皮610内に位置し得る1つ以上の焦点領域660に集束することができる。EMR650は、メラニンによって吸収される1つ以上の適切な波長で提供されてもよい。EMR波長は、以下で説明する1つ以上の基準に基づいて選択されてもよい。
【0049】
色素沈着症状及び非色素沈着症状などの特定の皮膚状態の治療に望ましい波長の決定は、例えば皮膚に存在する様々な競合する発色団(例えば、発色団、ヘモグロビン、タトゥーのインクなど)の波長依存吸収係数に依存することができる。図7Aは、メラニンの例示的な吸光度スペクトルのグラフである。メラニンによるEMRの吸収は、約350nmの波長でピーク値に到達した後、波長の増加とともに減少することが観察されている。メラニンによるEMRの吸収は、メラニン含有領域630の加熱及び/又は破壊を促進するが、非常に高いメラニン吸光度は、表皮610における色素による高い吸収をもたらし、EMRの真皮620又は表皮610への浸透を低減させることができる。図7Aに示すように、約500nm未満のEMR波長におけるメラニン吸収は相対的に高く、その結果、約500nm未満の波長は、真皮620内の色素沈着領域630を加熱及び損傷又は破壊するのに十分に真皮620に浸透するのに適していない可能性がある。より小さい波長でのそのような増強された吸収は、表皮610及び真皮620の上部(表層)部分に望まない損傷をもたらす可能性があり、吸収されていないEMRが組織を通過して真皮620のより深い部分に入ることは相対的に少ない。
【0050】
図7Bは、酸素化又は脱酸素化ヘモグロビンの例示的な吸光度スペクトルのグラフである。ヘモグロビンは、皮膚組織の血管に存在し、酸素化(HbO2)又は脱酸素化(Hb)される。ヘモグロビンの各形態は、わずかに異なるEMR吸収特性を示すことができる。図7Bに示すように、Hb及びHbO2の両方の例示的な吸収スペクトルは、約600nm未満のEMR波長でHb及びHbO2の両方の吸収係数が高く、より高い波長では、吸光度が大幅に減少することを示している。ヘモグロビン(Hb及び/又はHbO2)によって皮膚組織に向けられたEMRの強い吸収は、ヘモグロビンを含む血管の加熱をもたらし、希望する治療がメラニンの豊富な組織又は構造である場合、これらの血管構造への不要な損傷を引き起こし、メラニンによる吸収に利用できるEMRが少なくなり得る。
【0051】
EMRに適切な波長の選択は、EMRと相互作用する組織の波長依存散乱プロファイルにも依存することができる。図8は、波長に対するメラニン及び静脈血液の吸収係数のプロットを示している。図8は、皮膚における光の散乱係数と波長のプロットも示している。メラニンの吸収は、波長によって単調に減少する。メラニンが色素沈着症状の治療の対象である場合、メラニンの吸収率が高い波長が望ましい。これは、光の波長が短いほど治療の効率が上がることを示唆している。しかし、血液による吸収は、800nmよりも短い波長で増加するため、意図しない血管の標的化のリスクが増加する。さらに、意図した標的が皮膚表面の下に位置することがあるため、皮膚(例えば、真皮層)による散乱の役割が重要になり得る。散乱は、意図した対象に到達する光の量を減らす。散乱係数は、波長の増加とともに単調に減少する。従って、より短い波長はメラニンによる吸収に有利に働くことができ、より長い波長は散乱が減少するため、より深い浸透に有利に働くことができる。同様に、長い波長は血液による吸収が低いため、血管を保護するのに適している。
【0052】
上記の考慮事項を念頭に置いて、波長は、約300nmから約3000nm、より具体的には約800nmから約1064nmの範囲であり得、真皮中の特定の構造(例えば、メラニン)を標的化するのに使用され得る。特に、約800nm及び約1064nmの波長は、このような治療に有用であり得る。800nm波長は、この波長のレーザダイオードが安価で容易に利用できるため、魅力的である。しかし、1064nmは、この波長での散乱が少ないため、より深い病変を標的とする場合に役立ち得る。1064nmの波長は、表皮メラニンが大量にある色黒の皮膚のタイプにも適合し得る。このような個体では、表皮のメラニンによる低波長EMR(例えば、約800nm)の吸収が高いほど、皮膚への熱的損傷の可能性が高くなる。従って、1064nmは、一部個人の特定の治療のための治療放射線のさらに適切な波長であり得る。
【0053】
EMR生成には、様々なレーザ源を使用することができる。例えば、1064nm EMRを提供するネオジム(Nd)を含むレーザ源は容易に利用可能である。このようなレーザ源は、約1Hzから100KHzの範囲の反復速度で、パルスモードで動作することができる。QスイッチNdレーザ源は、1ナノ秒未満のパルス持続期間を有するレーザパルスを提供し得る。他のNdレーザ源は、1ミリより長いパルス持続期間を有するパルスを提供し得る。1060nm波長EMRを提供する例示的なレーザ源は、米国、コネチカット州のイーストグランビー(East Granby)に所在のNUFERN社の20W NuQファイバレーザである。20W NuQファイバレーザは、約20KHzから約100KHzの範囲の反復速度で約100nsのパルス持続期間を有するパルスを提供する。他のレーザ源は、フランス、レジュリス(Les Ulis)に所在のクァンテル社(Quantel)のNd:YAG Q-smart850である。Q-smart850は、最大約850mJのパルスエネルギーと、約6nsのパルス持続期間を最大約10Hzの反復速度で有するパルスを提供する。
【0054】
本明細書に説明されたシステムは、EMRを非常に集束性の高いビームに集束させるように構成することができる。例えば、システムは、約0.3から0.9(例えば、約0.4から約0.9)から選択される開口数(NA)を有する焦点又は集束レンズ構成を含むこ
とができる。EMRの対応する大きい集束角は(皮膚内に配置可能)レンズの焦点領域で高いフルエンス及び強度を提供し、焦点領域上の上部組織では低いフルエンスを提供できる。このような焦点幾何構造は、色素沈着した皮膚領域上の上部組織の望ましくない加熱及び熱的損傷を低減するのに役立つ。例示的な光学的配列は、EMRを放出配列から焦点レンズ配列に向けるように構成されたコリメートレンズ配列をさらに含んでもよい。
【0055】
例示的な光学治療システムは、約200μm未満、例えば、約100μm未満、又は約50μm未満、例えば、約1μmと小さい幅又はスポットサイズを有する焦点領域にEMRを集束するように構成してもよい。例えば、スポットサイズは、約1μmから約50μm、約50μmから約100μm、及び約100μmから約200μmの範囲を有することができる。焦点領域のスポットサイズは、例えば空気中で決定されてもよい。このようなスポットサイズは、焦点領域でEMRの高いフルエンス又は強度を提供するのに十分に小さく(真皮の色素構造を効果的に照射するために)、適切な治療時間で皮膚組織の大きい領域/体積の照射を容易にするのに十分な大きさに選択されてもよい。
【0056】
例示的な光学的配列は、EMRの焦点領域を皮膚表面下の深さ、例えば約30μmから約2000μmの範囲(例えば、約150μmから約500μmの間)にある真皮組織内の位置に向けるように構成することもできる。このような例示的な深度範囲は、真皮肝斑又は他の目的の標的を示す皮膚の色素沈着領域の典型的な観察された深度に対応することができる。この焦点深度は、皮膚表面に接触するように構成された装置の下面からの距離及び焦点領域の位置に対応することができる。さらに、いくつかの実施形態は、表皮内の標的を治療するために構成することができる。例えば、光学的配列は、EMRの焦点領域
を、例えば、皮膚表面下の約5μmから2000μmの範囲の表皮組織内の位置に向けるよう構成してもよい。また他の実施形態は、真皮の深部の標的を治療するために構成され得る。例えば、タトゥーアーティストは、通常、皮膚表面の下約1mmから約2mmの深さまで皮膚を貫通するようにタトゥーガンを調整する。従って、いくつかの実施形態では、光学装置は、皮膚表面の下の約0.4mmから2mmの範囲の真皮組織内の場所にEMRの焦点領域を向けるように構成してもよい。
【0057】
[実施例]
図9Aは、複数の例示的な冷却要素(例えば、図9B図9Dの冷却要素)の冷却性能を示す複数のプロットを示す。図9Aに示されるデータは、冷却要素920,930,940を用いて実施された試験中に収集された。グラフ900は、縦軸910に沿って摂氏温度が表示され、横軸912に沿って時間(分及び秒)が表示される。
【0058】
各冷却要素は、テスト固定ブロックに配置され、熱電対は、冷却要素の第1表面の中央に配置されている。放熱グリスを使用して、冷却要素の第1表面と熱電対との間の熱伝導を確保した。冷却要素は、第1表面がドライバスと接触するように配置された。ドライバスは37℃に設定し、各冷却要素をドライバスと熱平衡に近づけた。最後に5℃の冷却流体が冷却要素に提供され、熱電対は窓が冷却されるときに第1表面の温度測定値を取得する。
【0059】
図9B図9Dは、上記の実験の一部として試験された例示的な冷却要素の概略図を示す。冷却要素の例示的な実施形態は、第1単一窓タイプ冷却要素920、第2単一窓タイプ冷却要素930、及び二重窓タイプ冷却要素940である。図9Bは、冷却剤926がその内部を流れるアルミニウム熱交換器924と接触する(例えば、サファイア窓の端部に沿って)単一サファイア窓922を含む単一窓タイプ冷却要素920を示す。熱は、ドライバス928からサファイア窓922の第1表面(例えば、ドライバス928に隣接した表面)の中央まで流れ、サファイア窓922を介してサファイア窓922の端部に流れ、アルミニウム熱交換器924を介して冷却剤926に流れる。窓922の第1表面の温度は、熱電対929によって測定される。
【0060】
図9Cは、冷却剤936が流れるマニホールド934に封止された単一サファイア窓932を含む単一窓タイプの冷却要素930を示す。単一窓タイプの冷却要素930は、冷却剤936が窓932の端部周辺に単一サファイア窓932と直接接触するように構成される。熱は、ドライバス938から窓932の第1表面の中央(例えば、ドライバス938に隣接する表面)に流れ、窓932の端部を経て冷却剤936に直接流れる。窓932の第1表面の温度は、熱電対939によって測定される。
【0061】
図9Dは、第1窓942、第2窓943、フレーム944、及び第1窓942と第2窓943との間を流れる冷却剤946を含む二重窓タイプ冷却要素940を示す。熱は、ドライバス948から第1窓942の第1表面の中央(例えば、ドライバス948に隣接した表面)に流れ、第1窓942を通って垂直に冷却剤946に流れる。第1窓942の第1表面の温度は、熱電対949によって測定される。
【0062】
図9Aに戻ると、冷却要素920,930,940に対する冷却データが示されている。プロットの最初のセット(920A~D)は、第1単一窓タイプ冷却要素920に対する冷却データを示し、プロットの2番目セット(930A~B)は、第2単一窓タイプ冷却要素930に対する冷却データを示し、3番目目プロット940Aは、二重窓タイプ冷却要素940に対する冷却データを示している。プロットは、第1単一窓タイプアセンブリ920よりも第2単一窓タイプ冷却要素930の冷却が改善されていることを示す。しかしながら、二重窓タイプ冷却要素940は、第1単一窓タイプ及び第2単一窓タイプの
アセンブリに比べて大きな改善を示している。二重窓タイプ冷却要素940のデータは、約13.4℃の定常状態温度に近づく冷却を示す。第2単一窓タイプ冷却要素930の測定された最低の窓の表面温度は、約25.9℃の定常状態温度に近づく。二重窓タイプ冷却要素940は、最高の性能を発揮する単一窓タイプアセンブリよりも低温になることができ、12.5℃の温度まで冷却することができる。グラフ900はまた、二重窓タイプの冷却要素940を使用すると、冷却がより速く起こることを示している。第1及び単一窓タイプアセンブリに対する熱時定数(例えば、窓が初期温度の約63.2%まで冷却する時間)は、データを基づいて約4秒と推定される。そして二重窓タイプのアセンブリの熱時定数は、約2秒又は単一窓タイプアセンブリの半分と推定される。
【0063】
美容目的などの様々な皮膚症状を治療する方法は、本明細書に記載されたシステムを使用して実行することができる。このような方法は、医師が実施することができるが、エステティシャン及びその他の適切に訓練された要員などの非医師が、本明細書で説明したシステムを使用して、医師の監督の有無に関わらず、様々な皮膚症状を治療できることを理解できる。
【0064】
当業者は、上記の実施形態に基づく本発明のさらなる特徴及び利点を理解するであろう。従って、本発明は、添付の請求の範囲によって示される場合を除いて、特に図示及び説明されたものに制限されない。本明細書で引用されている全ての刊行物及び参考文献は、その全体が本明細書に明示的に参考として含まれる。
【0065】
本明細書に記載の主題は、デジタル電子回路、又はコンピュータソフトウェア、ファームウェア、又はハードウェアで実現することができ、ここには、本明細書に開示された構造的手段及びそれらの構造的均等物、又はこれらの組み合わせが含まれる。本明細書に記載の主題は、データ処理装置によって実行されるか、データ処理装置(例えば、プログラミング可能なプロセッサ、コンピュータ又は様々なコンピュータ)の動作を制御するために情報キャリア(例えば、機械可読記憶装置)に有形的によって実現されるか、又は伝播された信号によって実現された1つ以上のコンピュータプログラムなど、1つ以上のコンピュータプログラム製品で実現され得る。コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、又はコードともいう)は、コンパイル済み又は解釈済みの言語を含む任意の形式のプログラミング言語で作成されることができ、独立実行型プログラム又はコンピューティング環境で使用するのに適したモジュール、構成要素、サブルーチン、又はその他の装置を含む任意の形式で配布され得る。コンピュータプログラムが必ずしもファイルに該当するわけではない。プログラムは、他のプログラムやデータを保持するファイルの一部、該当プログラム専用の単一ファイル又は複数の調整ファイル(例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラム、又はコードの一部を格納するファイル)に格納されてもよい。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ又は1つのサイトの複数のコンピュータで実行されるように配布されたり、複数のサイトに分散して通信ネットワークで相互接続されたりしてもよい。
【0066】
本明細書に記載の主題の方法のステップを含み、この明細書に記載のプロセス及びロジックフローは、1つ以上のコンピュータプログラムを実行することによって、入力データ及び出力の生成に対して動作することにより、本明細書に記載の主題の機能を実行する1つ以上のプログラム可能なプロセッサによって実行され得る。プロセス及びロジックフローは、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)のような特殊な目的の論理回路によって実行され得る。また、本明細書に説明された主題の装置は、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)のような特殊な目的の論理回路として実装され得る。
【0067】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサには、例えば、汎用及び特殊目的のマイクロプロセッサの両方、及び任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサを含む。一般にプロセッサは、読み出し専用メモリ又はランダムアクセスメモリ、あるいはその両方から命令とデータを受信する。コンピュータの必須要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令及びデータを格納するための1つ以上のメモリデバイスである。一般に、コンピュータはまた、データを格納するための1つ以上の大容量記憶装置、例えば、磁気、光磁気ディスク、又は光ディスクからデータを受信するか、データを送信するか、又は両方を含んで動作可能に結合される。コンピュータプログラムの命令及びデータを具体化するのに適した情報媒体には、例えば、半導体記憶装置(例えば、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイス)、不揮発性メモリ磁気ディスク(例えば、内部ハードディスク又はリムーバブルディスク)、光磁気ディスク、及び光学ディスク(例えば、CD及びDVDディスク)を含む全ての形態の不揮発メモリの形態を含む。プロセッサとメモリは、特殊な目的の論理回路によって補完又は組み込まれ得る。
【0068】
ユーザとの相互作用を提供するために、本明細書に記載の主題は、例えば、ユーザに情報を表示するためのCRT(陰極線管)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニタ、ユーザが入力を提供できるキーボード及びポインティングデバイス(例えば、マウス又はトラックボール)、コンピュータのディスプレイ装置を有するコンピュータ上で実現し得る。他の種類の装置を使用してユーザとの相互作用を提供することもできる。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック(例えば、視覚的フィードバック、聴覚的フィードバック、又は触覚的フィードバック)であり、ユーザからの入力は、音響、音声又は触覚入力を含む任意の形態で受信されてもよい。
【0069】
本明細書に記載の技術は、1つ以上のモジュールを使用して実現されてもよい。本明細書で使用される場合、「モジュール」という用語は、コンピューティングソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、及び/又はこれらの様々な組み合せを意味する。しかし、少なくとも、モジュールは、ハードウェア、ファームウェアに実装されていない、又は非一時的なプロセッサで読み取り可能記な記録可能な記憶媒体に記録されていないソフトウェアと解釈されるべきではない(即ち、モジュール自体はソフトウェアではない)。実際に、「モジュール」は、プロセッサ又はコンピュータの一部など、少なくとも一部の物理的な非一時的なハードウェアを常に含むと解釈される。2つの異なるモジュールが同じ物理的ハードウェアを共有することができる(例えば、2つの異なるモジュールが同じプロセッサ及びネットワークインタフェースを使用することができる)。本明細書に記載のモジュールは、様々なアプリケーションをサポートするために、結合、統合、分離、及び/又は複製されてもよい。また、特定のモジュールで実行されることによって、本明細書に記載の機能は、1つ以上の他のモジュールで及び/又は特定モジュールで実行される機能の代わりに、又はそれに加えて1つ以上の他の装置によって実行されてもよい。また、モジュールは、様々な装置及び/又は他の構成要素にわたってローカル又はリモートで実現し得る。また、モジュールを1つの装置から移動して他の装置に追加したり、両方の装置に含めたりすることができる。
【0070】
本明細書に記載の主題は、バックエンドコンポーネント(例えば、データサーバ)、ミドルウェアコンポーネント(例えば、アプリケーションサーバ)、又は、フロントエンドコンポーネント(例えば、ユーザが本明細書に記載の主題の実装と相互作用することができるグラフィクユーザインタフェース又はウェブブラウザを有するクライアントコンピュータ)、又はそのようなバックエンド、ミドルウェア、及びフロントエンドコンポーネントの組み合わせを含むコンピューティングシステムで実現され得る。システムの構成要素は、デジタルデータ通信の全ての形態又は媒体、例えば、通信ネットワークによって相互接続されてもよい。通信ネットワークの例には、ローカルエリアネットワーク(「LAN
」)と広域ネットワーク(「WAN」)(例えば、インターネット)が含まれる。
【0071】
本明細書の明細書及び請求の範囲の全体にわたって使用される近似言語は、関連する基本機能の変更をもたらすことなく許容可能に変化し得る任意の定量的表現を修正するために適用され得る。従って、「約」、及び「実質的に」などの1つ又は複数の用語によって変更された値は、指定された正確な値に制限されるべきではない。少なくともいくつかの例では、近似言語は、値を測定するための機器の精度に該当し得る。明細書及び請求の範囲の全体にわたって、範囲の制限は、組み合せ及び/又は相互交換することができ、そのような範囲は識別され、文脈又は言語で別段の指示がない限り、そこに含まれる全ての下位範囲が含まれる。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C
図9D