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特開2025-42514スターリング機関の熱交換器、熱交換器の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025042514
(43)【公開日】2025-03-27
(54)【発明の名称】スターリング機関の熱交換器、熱交換器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F28D 7/16 20060101AFI20250319BHJP
   F02G 1/055 20060101ALI20250319BHJP
【FI】
F28D7/16 C
F02G1/055 E
F02G1/055 F
F28D7/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023149579
(22)【出願日】2023-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 佑太
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 恒雄
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA36
3L103BB15
3L103CC27
3L103DD53
3L103DD56
(57)【要約】
【課題】スターリング機関の出力性能を向上させたスターリング機関の熱交換器、及びその熱交換器の製造方法を提供する。
【解決手段】スターリングエンジン1の熱交換器6は、作動ガスの流れ方向において直列に接続された加熱器67、再生器69、及び冷却器68を備え、膨張室21と圧縮室22とを加熱器67、再生器69、及び冷却器68を介して連通させている。加熱器67は、作動ガスが流通する作動ガス流路671と、作動ガスと熱交換を行う熱源流体が流通する熱源流体流路672と、作動ガス流路671及び熱源流体流路672を区画形成する隔壁60と、を有する。熱源流体流路672には、螺旋状の流れを発生させる螺旋状流れ発生部55が設けられ、作動ガス流路671には、螺旋状流れ発生部55が設けられていない。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体の流れ方向において直列に接続された加熱器、再生器、及び冷却器を備え、膨張室と圧縮室とを前記加熱器、前記再生器、及び前記冷却器を介して連通させたスターリング機関の熱交換器であって、
前記加熱器は、
前記膨張室及び前記再生器に連通し、前記作動流体が流通する第1流路と、
前記作動流体と熱交換を行う第1流体が流通する第2流路と、
前記第1流路及び前記第2流路を区画形成する隔壁と、を有し、
前記第1流体が前記第2流路を流通するときの熱伝達率は、前記作動流体が前記第1流路を流通するときの熱伝達率よりも小さく、
前記第2流路には、前記第2流路が延在する方向に沿って螺旋状の流れを発生させる螺旋状流れ発生部が設けられ、
前記第1流路には、前記螺旋状流れ発生部が設けられていない、
スターリング機関の熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載のスターリング機関の熱交換器であって、
前記冷却器は、
前記圧縮室及び前記再生器に連通し、前記作動流体が流通する第3流路と、
前記作動流体と熱交換を行う第2流体が流通する第4流路と、
前記第3流路及び前記第4流路を区画形成する隔壁と、を有し、
前記第1流体が前記第2流路を流通するときの熱伝達率は、前記作動流体が前記第1流路及び前記第3流路を流通するときの熱伝達率、並びに前記第2流体が前記第4流路を流通するときの熱伝達率よりも小さく、
前記第1流路、前記第3流路、及び前記第4流路には、前記螺旋状流れ発生部が設けられていない、
スターリング機関の熱交換器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスターリング機関の熱交換器であって、
前記螺旋状流れ発生部は、前記隔壁から立設された複数のフィンにより構成され、
前記複数のフィンは、前記第2流路が延在する方向に沿って所定の間隔に配置され、前記第2流路の流路断面の中心を軸にして螺旋状に設けられている、
スターリング機関の熱交換器。
【請求項4】
請求項3に記載のスターリング機関の熱交換器であって、
各フィンは、前記隔壁に接続される基端部を有し、
前記基端部は、前記第2流路が延在する方向と垂直な面に対して所定の角度傾斜して前記隔壁に接続されている、
スターリング機関の熱交換器。
【請求項5】
請求項4に記載のスターリング機関の熱交換器であって、
前記第2流路が延在する方向において、隣り合うフィンは重ならない位置に設けられている、
スターリング機関の熱交換器。
【請求項6】
請求項3に記載のスターリング機関の熱交換器であって、
前記第2流路は、前記第2流路が延在する方向から見て、各フィンが配置されない貫通領域を有する、
スターリング機関の熱交換器。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のスターリング機関の熱交換器であって、
前記加熱器は、金属粉末が積層された積層造形体である、
スターリング機関の熱交換器。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の熱交換器の製造方法であって、
金属粉末を積層造形することによって前記加熱器の前記第1流路、前記第2流路、前記隔壁、及び前記螺旋状流れ発生部を一体に形成する、
熱交換器の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スターリング機関の熱交換器、及びその熱交換器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能且つ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する研究開発が行われている。
【0003】
熱エネルギーと動力との変換を行う熱機関として、スターリングエンジンが知られている。スターリングエンジンは、作動ガスを加熱器、再生器、及び冷却器を介して加熱器側の膨張室と冷却器側の圧縮室の間で往復移動させて、膨張室及び圧縮室の容積変化を繰り返すことにより熱エネルギーと動力の変換を行う(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-126185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スターリングエンジンのようなスターリング機関では、その出力性能が熱交換器の熱交換性能に大きく依存する。熱交換器の熱交換性能を向上させ、優れた出力性能を有するスターリング機関の実現が望まれていた。
【0006】
本発明は、スターリング機関の出力性能を向上させたスターリング機関の熱交換器、及びその熱交換器の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
作動流体の流れ方向において直列に接続された加熱器、再生器、及び冷却器を備え、膨張室と圧縮室とを前記加熱器、前記再生器、及び前記冷却器を介して連通させたスターリング機関の熱交換器であって、
前記加熱器は、
前記膨張室及び前記再生器に連通し、前記作動流体が流通する第1流路と、
前記作動流体と熱交換を行う第1流体が流通する第2流路と、
前記第1流路及び前記第2流路を区画形成する隔壁と、を有し、
前記第1流体が前記第2流路を流通するときの熱伝達率は、前記作動流体が前記第1流路を流通するときの熱伝達率よりも小さく、
前記第2流路には、前記第2流路が延在する方向に沿って螺旋状の流れを発生させる螺旋状流れ発生部が設けられ、
前記第1流路には、前記螺旋状流れ発生部が設けられていない。
【0008】
また、本発明は、
上記熱交換器の製造方法であって、
金属粉末を積層造形することによって前記加熱器の前記第1流路、前記第2流路、前記隔壁、及び前記螺旋状流れ発生部を一体に形成する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、スターリング機関の出力性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のスターリング機関の一例であるスターリングエンジン1を示す断面図である。
図2】熱交換器6の要部構成を示す断面図である。
図3図2のIII-III線の断面図である。
図4】加熱器67に設けられる作動ガス流路671及び熱源流体流路672を模式的に示す図である。
図5】隔壁60により区画形成された加熱器67の作動ガス流路671及び熱源流体流路672の断面を模式的に示す図である。
図6】(a)は、加熱器67の作動ガス流路671に設けられた螺旋状流れ発生部55を示す図であり、(b)は、熱源流体の流れ方向から見た作動ガス流路671を示す図である。
図7】(a)は、熱源流体導入室80を流れる熱源流体の流れ(破線)を示す図であり、(b)は、膨張室21側から見た天井壁27を示す図である。
図8図2のVIII-VIII線の断面図である。
図9】冷却器68に設けられる作動ガス流路681及び冷却流体流路682を模式的に示す図である。
図10】蓄熱体71の斜視図である。
図11図10の白抜き矢印方向から見た蓄熱体71の側面図である。
図12】蓄熱体71の単位構造体72の斜視図である。
図13】蓄熱体71の辺要素73を第2方向から見た図(上図)と第1方向から見た図(下図)である。
図14】蓄熱体71が筐体70に収容された状態の再生器69の上面図である。
図15】蓄熱体71が筐体70に収容された状態の再生器69の側面図である。
図16】一体に形成された熱交換器6、熱源流体導入室80、及び熱源流体排出路51の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態であるスターリング機関について、添付図面に基づいて説明する。以下では、スターリング機関として、β型のスターリングエンジンを一例に説明する。
【0012】
[スターリング機関]
図1に示すように、スターリングエンジン1は、作動ガスが封入されるシリンダ2と、シリンダ2内に内挿されるディスプレーサピストン3及びパワーピストン4と、ディスプレーサピストン3及びパワーピストン4に接続されるピストンクランク機構5と、シリンダ2内の作動ガスの温度を昇降させる熱交換器6と、を備える。作動ガスは、例えば高圧の空気やヘリウム、水素である。
【0013】
スターリングエンジン1は、例えばハーメティック形式のエンジンであり、ピストンクランク機構5の軸回転出力を電力として取り出す発電機11がクランクケースの内部に配置される。
【0014】
シリンダ2は、一端に天井壁27が設けられ、他端が開口した略円筒形状を有する。以下では説明のため、シリンダ2の軸方向を上下方向とも称し、軸方向において天井壁27側を上側、開口側を下側とも称す。
【0015】
シリンダ2には、上側にディスプレーサピストン3が配設され、下側にパワーピストン4が配設される。ディスプレーサピストン3と天井壁27との間は、作動ガスが高温となる膨張室21を構成し、ディスプレーサピストン3とパワーピストン4との間は、作動ガスが低温となる圧縮室22を構成する。以下では、シリンダ2内の膨張室21及び圧縮室22を作動空間20とも称す。
【0016】
シリンダ2は、上側に位置する第1シリンダ23と、下側に位置し、第1シリンダ23と同径の第2シリンダ24とを有し、第1シリンダ23と第2シリンダ24とは、互いが有するフランジ部25,26にて同軸上で連結される。
【0017】
第1シリンダ23の上側の外周面には、熱交換器6の後述する複数の第1出入口部(出入口部)61aのそれぞれと連通する複数の第1連通部23aが設けられる。第1連通部23aは、第1出入口部61aと同数設けられる。各第1連通部23aは、対応する各第1出入口部61aと略同形状のスリット状に形成されるとともに、対応する第1出入口部61aと対向配置されており、複数の第1連通部23aが膨張室21への出入口となる。
【0018】
第1シリンダ23の下側の外周面には、熱交換器6の後述する複数の第2出入口部(出入口部)61bのそれぞれと連通する複数の第2連通部23bが設けられる。第2連通部23bは、第2出入口部61bと同数設けられる。各第2連通部23bは、対応する各第2出入口部61bと略同形状のスリット状に形成されるとともに、対応する第2出入口部61bと対向配置されており、第2連通部23bが圧縮室22の出入口となる。
【0019】
ディスプレーサピストン3及びパワーピストン4は、シリンダ2内で同軸上に配置される。ディスプレーサピストン3は、シリンダ2とパワーピストン4とで構成される空間を上下方向に2分割する。言い換えると、ディスプレーサピストン3は、ディスプレーサピストン3の上方に形成される膨張室21と、ディスプレーサピストン3とパワーピストン4との間に形成される圧縮室22とを構成する。膨張室21及び圧縮室22の内部空間(即ち作動空間20)は、複数の第1連通部23a及び複数の第2連通部23bを介して熱交換器6の内部空間と繋がっており、熱交換器6の内部圧力と略同一の圧力となる。このように、膨張室21と圧縮室22とは、熱交換器6を介して連通しており、作動ガスは、後述するディスプレーサピストン3の移動により熱交換器6を通って膨張室21と圧縮室22との間を繰り返し往復移動する。
【0020】
ディスプレーサピストン3とパワーピストン4とは、パワーピストン4が90度先行して動く位相(位相差が90度)となるように、それぞれが異なるコネクティングロッド30,40を介してクランクシャフト10に接続されており、パワーピストン4がコネクティングロッド40を介してピストンクランク機構5に回転力を出力する。クランクシャフト10は、カップリング14を介してリコイルスタータ15の出力軸16に連結される。
【0021】
ディスプレーサピストン3は、シリンダ2内の作動ガスを移動させるために用いられ、シリンダ2内の作動ガスを移動させて膨張室21及び圧縮室22の容積比率を変化させる。例えば、膨張室21に高温の作動ガスが大量に存在する場合にはシリンダ2の内部圧力が高くなり、圧縮室22に低温の作動ガスが大量に存在する場合には、シリンダ2の内部圧力が低くなる。この圧力変動のタイミングに合わせて、高圧時にはパワーピストン4が上死点付近から押し下げられることでピストンクランク機構5に出力する軸回転力が得られ、低圧時には、ピストンクランク機構5によりパワーピストン4が押し上げられ、これを繰り返すことで連続した回転力を得ることができる。
【0022】
以上説明したように、スターリングエンジン1は、作動ガスを膨張室21と圧縮室22との間で熱交換器6を介して移動させて、膨張室21及び圧縮室22の容積変化を繰り返すことにより熱と動力との変換を行うスターリングサイクルを構成する。
【0023】
[熱交換器]
図2に示すように、熱交換器6は、第1シリンダ23の外周面に沿って軸方向(即ち上下方向)に延在した二重円筒状に設けられおり、内周側に設けられた内周壁61と、外周側に設けられた外周壁62と、を有する。
【0024】
熱交換器6は、膨張室21側に設けられ、作動ガスと熱源流体との間で熱交換を行う加熱器67と、圧縮室22側に設けられ、作動ガスと冷却流体との間で熱交換を行う冷却器68と、加熱器67と冷却器68との間に配置され、作動ガスの熱を蓄熱可能な再生器69と、を備える。例えば、熱源流体は高温の気体(例えば高温空気)であり、冷却流体は低温の液体(例えば冷却水)である。
【0025】
加熱器67、再生器69、及び冷却器68は、内周壁61と外周壁62との間に配置され、シリンダ2の軸方向において直列に接続されている。
【0026】
加熱器67、再生器69、及び冷却器68には、膨張室21と圧縮室22とを連通させ、作動ガスが流通する連通路600が設けられている。連通路600は、後述する加熱器67の複数の作動ガス流路671、再生器69の内部空間、及び冷却器68の作動ガス流路681により構成される。
【0027】
(加熱器)
図3に示すように、加熱器67は、径方向に延び、周方向に所定間隔をあけて設けられた複数の第1隔壁60aと、第1隔壁60aの対向面同士を繋ぎ、作動ガス及び熱源流体の流れ方向(即ち上下方向)に延在して設けられた複数の第2隔壁60bと、を有する。
【0028】
加熱器67には、第1隔壁60aを隔てて、作動ガスを流通させる作動ガス流通層63及び熱源流体を流通させる熱源流体流通層64が周方向に交互に形成されている。加熱器67は、作動ガスと熱源流体とが第1隔壁60aを介して熱交換を行うプレート式の熱交換器である。本実施形態では、熱源流体が作動ガスよりも高温であるので、加熱器67は、第1シリンダ23の第1連通部23aを介して膨張室21に出入りする作動ガスを加熱する。
【0029】
図2に示すように、作動ガス流通層63が位置する内周壁61の上端部には、前述した第1出入口部61aが設けられる。第1出入口部61aは、対応する第1連通部23aと略同形状のスリット状に形成されるとともに、対応する第1シリンダ23の第1連通部23aと対向配置されている。熱交換器6においては、第1出入口部61aがシリンダ2の膨張室21への出入口となる。
【0030】
また、作動ガス流通層63は、上端部631が閉塞されており、下端部が開放して再生器69に連通している。作動ガス流通層63を流れる作動ガスは、ディスプレーサピストン3の動きによりクランクシャフト10が1回転する間に1回の割合で流れる方向が逆向きに変化する。
【0031】
熱源流体流通層64は、上端部は開放されており、熱源流体導入室80に連通している。熱源流体導入室80は、外部から供給された熱源流体を熱源流体流通層64に導入する。これにより、熱源流体流通層64には、上方から熱源流体が導入される。熱源流体導入室80の詳細については後述する。
【0032】
熱源流体流通層64の下端部の位置における外周壁62には、出口部62aが設けられる。出口部62aは、スリット状に形成されるとともに、対応する熱源流体流通層64と対向配置されており、熱源流体を熱源流体流通層64の径方向外側に設けられた熱源流体排出路51に案内する。また、熱源流体流通層64の下端部には、突当り部641が設けられている。突当り部641は、外周壁62の出口部62aの下端に沿って設けられており、熱源流体を出口部62aに案内する。
【0033】
熱源流体排出路51は、上下方向における熱交換器6の略中央部に設けられ、熱交換器6の周方向に沿って延設されている。熱源流体排出路51には排出部52が設けられており、各出口部62aから熱源流体排出路51に案内された熱源流体が排出部52から熱交換器6の外部へ排出される。
【0034】
作動ガス流通層63及び熱源流体流通層64の内側構造についてより詳しく説明すると、加熱器67は、作動ガス流通層63に設けられ、作動ガスが流通する複数の作動ガス流路671と、熱源流体流通層64に設けられ、熱源流体を流通させる複数の熱源流体流路672と、を有する。各作動ガス流路671及び各熱源流体流路672は、第1隔壁60a及び第2隔壁60bにより区画形成される。なお、各流路を区画形成する第1隔壁60a及び第2隔壁60bを、まとめて隔壁60と称することもある。
【0035】
図4は、作動ガス流路671及び熱源流体流路672を模式的に示す図であり、図4では、隔壁60の図示を省略している。作動ガス流路671は、上下方向に延在しており、上端部が後述する空間630及び第1出入口部61aを介して膨張室21に連通し、下端部が再生器69に連通する。各作動ガス流通層63には、径方向に沿って作動ガス流路671が複数個並列に並べて設けられている。なお、作動ガスが作動ガス流路671の下端部から上端部へ流れるときは熱源流体と対向流となり、作動ガスが上端部から下端部へ流れるときは熱源流体と並行流となる。
【0036】
作動ガス流路671の上端部は、第1出入口部61aの近くに(即ち内周側に)位置する作動ガス流路671ほど、作動ガス流通層63の閉塞された上端部631から離れた位置に位置する。即ち、第1出入口部61aの近くに位置する作動ガス流路671から排出される作動ガスほど、作動ガス流通層63の上端部631から離れた位置で排出される。
【0037】
加熱器67の各作動ガス流通層63において、上端部631と、複数の作動ガス流路671の上端部とにより形成される空間630は、側面視して略三角形状となる。空間630は、作動ガス流路671から流れ出た作動ガスの流れが第1出入口部61aに向かって曲がる部位である。空間630は、外周側から内周側に向かって徐々に流路断面が拡大する形状になっているので、各位置での流速が等しくなり、圧力損失を最小に抑えることができる。また、第1出入口部61aの最大面積を複数の作動ガス流路671の断面積の総和と等しくなるように設定することで、第1出入口部61aを含めた熱交換器6の圧力損失を最小とすることができる。
【0038】
図5は、各作動ガス流通層63に設けられる複数の作動ガス流路671を模式的に示す図である。図5に示すように、複数の作動ガス流路671は、第1隔壁60a及び第2隔壁60bにより区画形成されている。このとき、複数の作動ガス流路671は、等価直径が等しくなるように、第2隔壁60bで仕切られる。各作動ガス流路671の等価直径を等しくすることで圧力損失係数及び熱伝達率が等しくなり、各作動ガス流路671を流れる作動ガスの偏流がなくなる。作動ガス流路671を流れる作動ガスの偏流がなくなることで、全体としての圧力損失が減少し、伝熱性能が向上する。
【0039】
図2に戻り、熱源流体流路672は、熱交換器6の上下方向に延在しており、上端部が熱源流体導入室80に連通し、下端部が後述する空間640及び出口部62aを介して熱源流体排出路51に連通する。各作動ガス流通層63には、径方向に沿って熱源流体流路672が複数個並列に並べて設けられている。
【0040】
熱源流体流路672の下端部は、出口部62aの近くに(即ち外周側に)位置する熱源流体流路672ほど、突当り部641から離れた位置に位置する。即ち、出口部62aの近くに位置する熱源流体流路672から排出される熱源流体ほど、突当り部641から離れた位置で排出される。
【0041】
各熱源流体流通層64において、突当り部641と、複数の熱源流体流路672の下端部とにより形成される空間640は、側面視して略三角形状となる。空間640は、熱源流体流路672から流れ出た熱源流体の流れが出口部62aに向かって曲がる部位である。空間640は、内周側から外周側に向かって徐々に流路断面が拡大する形状になっているので、各位置での流速が等しくなり、圧力損失を最小に抑えることができる。
【0042】
また、図5の括弧書きの符号で示すように、各熱源流体流通層64に設けられる複数の熱源流体流路672も、作動ガス流路671と同様に、第1隔壁60a及び第2隔壁60bにより区画形成されている。
【0043】
ところで、本実施形態では、熱源流体の熱伝導率は作動ガスの熱伝導率よりも小さく、熱源流体が熱源流体流路672を流通するときの熱伝達率は、作動ガスが作動ガス流路671を流通するときの熱伝達率よりも小さい。換言すると、熱源流体の熱伝達による熱抵抗(以下、単に熱源流体側の熱抵抗とも称す)が大きい。
【0044】
そこで、図6の(a)、(b)に示すように、熱源流体流路672には、熱源流体の流れ方向(即ち下方向)に沿って螺旋状の流れ(図6の(a)の実線矢印)を発生させる螺旋状流れ発生部55が設けられている。これにより、熱源流体の流れ方向に沿って竜巻状の渦流が発生し、熱源流体流路672を流れる熱源流体が撹拌されるので、熱源流体側の熱抵抗が小さくなり、隔壁60を介した作動ガスと熱源流体との伝熱性能が向上する。
【0045】
具体的に説明すると、螺旋状流れ発生部55は、隔壁60から立設された複数のフィン56により構成されている。複数のフィン56は、熱源流体の流れ方向に沿って所定の間隔に配置され、熱源流体流路672の流路断面の中心軸L1回りに螺旋状に設けられている。図6の(a)、(b)では、熱源流体流路672の流路断面が矩形状を有し、複数のフィン56が中心軸L1に沿って周方向に90度間隔で螺旋状に設けられているものを一例として示す。なお、熱源流体流路672の流路断面の形状は任意である。また、複数のフィン56の周方向の角度間隔は、90度に限られず周方向に30度以上180度以下の角度間隔で螺旋状に設けられていればよい。
【0046】
各フィン56は、隔壁60と接続する基端部56aを有する。基端部56aは、熱源流体の螺旋状の流れを発生させるように中心軸L1と垂直な面に対して所定の角度傾斜して隔壁60に接続されている。フィン56を設けない場合と比較するとフィン56を設けることにより熱源流体流路672を流れる熱源流体の圧力損失が上昇するものの、各フィン56を所定の角度傾斜して隔壁60に接続させることで、圧力損失の上昇度合いを低減できる。また、熱源流体流路672に熱源流体と共に異物が混入した場合でも、異物がフィン56に堆積しにくくなるので、熱源流体流路672が目詰まりすることを抑制できる。
【0047】
熱源流体の流れ方向で隣り合うフィン56は、当該方向において重ならない位置に設けられている。換言すると、上流側のフィン56の下流側端部56bは、下流側のフィン56の上流側端部56cより上流側に位置するように設けられている。これにより、熱源流体が熱源流体流路672を流れる際の圧力損失の上昇度合いをより低減できる。さらに、異物の混入に関して、熱源流体流路672が目詰まりすることをより抑制できる。
【0048】
図6の(b)に示すように、熱源流体流路672は、熱源流体の流れ方向から見て、フィン56が配置されない貫通領域57を有する。本実施形態では、熱源流体の流れ方向から見て、熱源流体流路672の中心軸L1を含む領域が貫通領域57となる。これにより、熱源流体が熱源流体流路672を流れる際の圧力損失の上昇度合いをより低減できる。
【0049】
以上説明したように、螺旋状流れ発生部55を流路内に設けた場合、熱伝達率が大きくなり、熱抵抗が小さくなる。一方で、螺旋状流れ発生部55を設けない場合と比較すると、流体の圧力損失は上昇し、スターリングエンジン1の出力性能に影響を与え得る。よって、流路内に螺旋状流れ発生部55を設けることによる熱抵抗の低下の効果と圧力損失の上昇の影響とのバランスを考慮して、流路内に螺旋状流れ発生部55を設けるか否かを決定することが好ましい。
【0050】
熱交換器6に流れる作動ガス、熱源流体、及び冷却流体のうち、作動ガス及び冷却流体の熱伝導率は高い。また、作動ガスが加熱器67の作動ガス流路671及び後述する冷却器68の作動ガス流路681を流通するときの熱伝達率、並びに冷却流体が後述する冷却器68の冷却流体流路682を流通するときの熱伝達率はいずれも高い。よって、作動ガス側及び冷却流体側の熱抵抗は小さい。このとき、加熱器67の作動ガス流路671、並びに冷却器68の作動ガス流路681及び冷却流体流路682に螺旋状流れ発生部55を設けることによる熱抵抗の低下の効果は、比較的小さくなる。したがって、圧力損失の上昇の影響を考慮し、加熱器67の作動ガス流路671、並びに冷却器68の作動ガス流路681及び冷却流体流路682には螺旋状流れ発生部55を設けないことが好ましい。
【0051】
一方で、前述のとおり熱源流体側の熱抵抗は大きく、熱源流体流路672に螺旋状流れ発生部55を設けたことによる熱抵抗の低下の効果が大きい。したがって、圧力損失の上昇の影響を考慮しても、熱源流体流路672には螺旋状流れ発生部55を設けて伝熱性能を向上させることが好ましい。
【0052】
続いて、熱源流体導入室80について、図7の(a)、(b)を参照して説明する。熱源流体導入室80は、膨張室21の外側(本実施形態では上側)に設けられており、シリンダ2の天井壁27により熱源流体導入室80と膨張室21とが区画形成されている。
【0053】
熱源流体導入室80は、外部から熱源流体導入室80へ熱源流体が導入される導入口81と、熱源流体導入室80から熱源流体流路672への熱源流体の入口となる案内口82と、を有する。導入口81は、熱源流体導入室80の上端部に設けられており、案内口82は、熱源流体流路672の上端部に連通して設けられている。
【0054】
熱源流体導入室80と膨張室21とが天井壁27により区画形成されているので、熱源流体導入室80を流れる熱源流体と膨張室21を流れる作動ガスとが天井壁27を介して熱交換される。これにより、膨張室21側の作動ガスは、作動ガス流路671を流れるときだけでなく、膨張室21に存在するときにも熱源流体と熱交換を行うので、熱源流体から多くの熱エネルギーを取り込むことができる。
【0055】
天井壁27には、膨張室21側に複数の溝29が設けられている。複数の溝29は、製造時に形成された面粗さではなく、設計により形成されたものである。なお、図7の(b)では、複数の溝29を膨張室21側に設ける例を示したが、複数の溝29を膨張室21の外側、即ち熱源流体導入室80側に設けてもよいし、膨張室21側及び熱源流体導入室80側の両方に設けてもよい。
【0056】
複数の溝29は、天井壁27の全域に設けられており、天井壁27の中心側から外周側(加熱器67側)に向かって延設されている。
【0057】
天井壁27に複数の溝29が形成されていることにより天井壁27の表面積が増大するので、作動ガスは熱源流体からより多くの熱エネルギーを取り込むことができ、作動ガスと熱源流体との天井壁27を介した熱交換効率が向上する。結果として、スターリングエンジン1の熱効率及び出力性能を向上させることができる。なお、複数の溝29は、天井壁27の全域に設けられている必要はなく、部分的に設けられる構成であってもよい。
【0058】
図7の(b)では、複数の溝29が直線状に中心側から外周側へ延設する例を示したが、これに限られない。複数の溝29は、例えば折れ線状(延設方向が途中で変わる形状)に中心側から外周側へ延設してもよいし、曲線状に中心側から外周側へ延設してもよい。さらに、天井壁27の位置によって複数の溝29は、直線状、折れ線状、及び曲線状の溝を組み合わせてもよい。このように、複数の溝29の形状を適宜変更することにより、より多くの熱エネルギーを取り込むことも可能となる。
【0059】
天井壁27には、膨張室21側に突出した略円錐形状の突出部28が設けられている。突出部28は、天井壁27の一部が膨張室21側に凹んで形成され、中心軸がシリンダ2の中心軸に一致するようにして設けられている。天井壁27に突出部28が設けられているので、天井壁27が平板状に構成されている場合と比較して、天井壁27の表面積を増大することができる。よって、作動ガスが取り込む熱エネルギーをさらに増加させることができ、作動ガスと熱源流体との天井壁27を介した熱交換効率がより向上する。さらに、突出部28を設けることにより、天井壁27の耐圧強度も増加する。
【0060】
熱源流体導入室80には、天井壁27の突出部28の頂部28aに向かって熱源流体を案内するガイド部83が設けられている。ガイド部83は、突出部28の中心軸に沿って延在しており、シリンダ2の軸方向において突出部28に重なる位置まで延設されている。ガイド部83は、図7の(a)の破線で示すように、導入口81から流入した熱源流体を天井壁27の頂部28aまで案内する。ガイド部83により頂部28aまで案内された熱源流体は、略円錐形状の突出部28に沿って径方向外側に向かって流れ、案内口82から熱源流体流路672に導入される。よって、熱源流体が天井壁27に沿って流れやすくなり、作動ガスと熱源流体との天井壁27を介した熱交換効率をより向上させることができる。
【0061】
また、複数の溝29は、突出部28の頂部28aから加熱器67側に延設されているので、熱源流体を頂部28aから加熱器67側に円滑に流すことができる。
【0062】
(冷却器)
図8に示すように、冷却器68は、加熱器67と同様に、径方向に延び、周方向に所定間隔をあけて設けられた複数の第1隔壁60aを有する。
【0063】
図2及び図8に示すように、冷却器68には、第1隔壁60aを隔てて、作動ガスを流通させる作動ガス流通層65及び冷却流体を流通させる冷却流体流通層66が周方向に交互に形成されている。冷却器68は、作動ガスと冷却流体とが第1隔壁60aを介して熱交換を行うプレート式の熱交換器である。本実施形態では、冷却流体が作動ガスよりも低温であるので、冷却器68は、第1シリンダ23の第2連通部23bを介して圧縮室22に出入りする作動ガスを冷却する。
【0064】
作動ガス流通層65が位置する内周壁61の下端部には、前述した第2出入口部61bが設けられる。第2出入口部61bは、対応する第2連通部23bと略同形状のスリット状に形成されるとともに、対応する第1シリンダ23の第2連通部23bと対向配置されている。熱交換器6においては、第2出入口部61bがシリンダ2の圧縮室22への出入口となる。
【0065】
また、作動ガス流通層65は、下端部651が閉塞されており、上端部が開放して再生器69に連通している。作動ガス流通層65を流れる作動ガスは、ディスプレーサピストン3の動きによりクランクシャフト10が1回転する間に1回の割合で流れる方向が逆向きに変化する。
【0066】
作動ガス流通層65及び冷却流体流通層66の内側構造についてより詳しく説明すると、冷却器68は、作動ガス流通層65に設けられ、作動ガスが流通する複数の作動ガス流路681と、冷却流体流通層66に設けられ、冷却流体を流通させる複数の冷却流体流路682と、を有する。本実施形態では、各冷却流体流通層66に2つの冷却流体流路682が周方向に並んで設けられており、それぞれ径方向に延びる第3隔壁60cで区画形成されている。各作動ガス流路681も、各作動ガス流路671及び各熱源流体流路672と同様に、第1隔壁60a及び第2隔壁60bにより区画形成される。なお、作動ガス流路681の構成は、加熱器67に設けられた作動ガス流路671の構成と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0067】
図9は、冷却器68に設けられる作動ガス流路681及び冷却流体流路682を模式的に示す図である。なお、図9では、隔壁60の図示を省略している。
【0068】
作動ガス流路681は、上下方向に延在しており、下端部が後述する空間650及び第2出入口部61bを介して圧縮室22に連通し、上端部が再生器69に連通する。各作動ガス流通層63には、径方向に沿って作動ガス流路681が複数個並列に並べて設けられている。
【0069】
作動ガス流路681の下端部は、第2出入口部61bの近くに(即ち内周側に)位置する作動ガス流路681ほど、作動ガス流通層65の閉塞された下端部651から離れた位置に位置する。即ち、第2出入口部61bの近くに位置する作動ガス流路681から排出される作動ガスほど、作動ガス流通層65の下端部651から離れた位置で排出される。
【0070】
冷却器68の作動ガス流通層63においても、下端部651と、複数の作動ガス流路681の下端部とにより形成される空間650は、側面視して略三角形状となる。また、複数の作動ガス流路681は、複数の作動ガス流路671と同様に、一対の第1隔壁60aの間を第2隔壁60bで仕切ることで形成される。このため、作動ガス流路671の説明を援用して、ここではその説明を省略する。
【0071】
各冷却流体流路682は、径方向に延びる管状部材を径方向の一端部(例えば外周側端部)で折り返した後に他端部(例えば内周側端部)で折り返し、これを繰り返した形状に形成される。各冷却流体流路682は、いわゆるつづら折り状に形成される。各冷却流体流路682を複数の直線状の流路から構成せず、1本の流路を折り曲げた状態に形成することで、冷却流体の冷却流体流路682に対する接触面を増やすことができる。
【0072】
冷却流体流路682は、図1に示すように、上下方向の下端側に設けられた流入口683と、上端側に設けられた流出口684を有し、全体として、上方に向かって冷却流体が流れるように構成される。
【0073】
加熱器67で温められた作動ガスが上端側から下端側に、即ち冷却器68に流れ込むとき、作動ガス流路681を流れる作動ガスは、上端側から下端側、即ち膨張室21側から圧縮室22側に向かって温度が低くなる温度分布を取り、冷却流体流路682を流れる冷却流体は、下端側から上端側に向かって温度が高くなる温度分布を取る。換言すると、作動ガスが上端側から下端側に流れるとき、作動ガス流路681及び冷却流体流路682には、全体として対向流の温度分布となるように作動ガス及び冷却流体が流れるので、冷却器68において高い熱交換効率を実現できる。さらに、つづら折り状に形成された冷却流体流路682により、作動ガス及び冷却流体の接触面積も増えているので、冷却器68において熱交換効率がより高くなる。なお、作動ガスが下端側から上端側へ作動ガスが流れるときは、作動ガス流路681及び冷却流体流路682には、全体として並行流の温度分布となるように作動ガス及び冷却流体が流れる。
【0074】
(再生器)
再生器69は、作動ガスが高温の膨張室21から低温の圧縮室22に移動する際には、作動ガスの熱エネルギーを取り込む(即ち蓄熱する)ことで作動ガスを冷却し、逆に作動ガスが低温の圧縮室22から高温の膨張室21に移動する際には蓄熱した熱エネルギーを作動ガスに与える(即ち放熱する)ことで作動ガスを加熱する。
【0075】
図2に示すように、再生器69は、作動ガスの熱を蓄熱可能な蓄熱体71と、蓄熱体71を囲う筐体70と、を有する。
【0076】
筐体70は、前述した内周壁61及び外周壁62を含み、二重円筒状に設けられている。筐体70の内部空間に、蓄熱体71が収容される。
【0077】
本実施形態では、蓄熱体71及び筐体70が、互いに連続に接続されて一体に設けられている。具体的に説明すると、再生器69は、金属粉末が積層された積層造形体であって、金属積層造形により、蓄熱体71及び筐体70が一体に設けられる。このような構成によると、蓄熱体として金属メッシュや発泡金属等を筐体内に組み込んで形成された従来の再生器と比較して、高い熱交換性能を有する複雑な構造体を採用することができる。さらに、組み立て工数を低減できる。
【0078】
以下、蓄熱体71の構造について図10から図15を参照して説明する。なお、図10から図15に示す蓄熱体71の構造は一例であり、蓄熱体71の構造は様々な形状を取り得る。また、以下の説明では、図中の上下方向、即ち作動ガスの流れ方向を第1方向とも称し、図中の水平方向、即ち第1方向に交差する方向を第2方向とも称す。
【0079】
蓄熱体71は、複数の辺要素73を含み、複数の辺要素73が三次元状に連続に接続されて一体に設けられることにより構成される。
【0080】
より具体的には、蓄熱体71は、図10及び図11に示すように複数の辺要素73が互いに接続されて形成された単位構造体72を含み、単位構造体72が作動ガスの流れ方向及びこれに交差する方向に複数個連続に設けられることにより構成される。図10及び図11に示す一例では、単位構造体72が、ダイヤモンド構造の単位格子において頂点を除く位置に配置された原子を辺要素73で結ぶようにして形成される三次元形状を有する構成を示す。なお、単位構造体72は、様々な構造を採用することができ、例えば正十二面体や正二十面体のような多面体の頂点を辺要素73で結ぶ構造であってもよい。
【0081】
蓄熱体71は、複数の辺要素73が三次元状に連続に接続されて一体に設けられて構成されているので、筐体70内のうち熱交換に関与しない容積である死容積を低減でき、再生器69の蓄熱性能を向上させることができる。
【0082】
各辺要素73は、板形状を有する。各辺要素73の厚さは、例えば0.1mm以下であり、微細に構成される。各辺要素73は、作動ガスとの熱エネルギーの授受を行う際、短時間に蓄熱及び放熱を繰り返す必要があるので、このように微細に形成し、熱容量を小さくしている。
【0083】
図12及び図13に示すように、各辺要素73は、表面積が最大である面731が第1方向に沿って設けられている。即ち、各辺要素73は、第2方向から見たときの投影面積S2が第1方向から見たときの投影面積S1よりも大きくなるように設けられている。
【0084】
第1方向の投影面積S1が小さいので、各辺要素73によって作動ガスの流れが妨げられることが抑制され、作動ガスが第1方向に流れる際の圧力損失を低減できる。さらに、第2方向の投影面積S2が大きいので、作動ガスの流れに沿った接触面が大きくなり、蓄熱体71の蓄熱量を大きくすることができる。したがって、各辺要素73によれば、圧力損失の低減及び熱交換効率の向上を両立させることができる。
【0085】
各辺要素73は、第1方向に沿って切断した断面において、加熱器67側の端部732及び冷却器68側の端部733が曲線状に設けられている。具体的には、各辺要素73は、図12に示すように第1方向に沿って切断した断面73sが楕円形状を有し、楕円形の長径の両端部が端部732,733に相当する。これにより、作動ガスが各辺要素73の端部732,733に衝突するときの圧力損失を低減できる。なお、各辺要素73の第1方向に沿って切断した断面形状は任意であり、楕円形状に限られず、例えば長方形状であってもよいが、端部732,733は、曲線状に設け、又は、傾斜して設けることが好ましい。
【0086】
図14及び図15は、蓄熱体71が筐体70に収容された状態の再生器69の上面図及び側面図を示す。なお、図15においては、第1方向における一部分のみを図示している。図14及び図15に示すように、筐体70内に蓄熱体71が周方向及び軸方向(第1方向)に一様に配置されており、前述のとおり筐体70と蓄熱体71とが互いに連続に接続されて一体に設けられているので、再生器69の強度は高い。
【0087】
図14に示すように、蓄熱体71を第1方向から見たとき、蓄熱体71は、加熱器67側の端部から冷却器68側の端部まで貫通し、規則的に配置された貫通部74を有する。具体的に説明すると、各単位構造体72は、第1方向から見たときに複数の辺要素73により格子状に区画形成された4つの貫通箇所を有し、単位構造体72を第1方向に複数個連続に設けることにより、内周壁61と外周壁62との間で格子状に配置された貫通部74を有する蓄熱体71が形成される。
【0088】
このように、蓄熱体71が第1方向に貫通する貫通部74を有するので、作動ガスは蓄熱体71の内部空間を円滑に通過することができる。例えば、従来の蓄熱体のように、蓄熱体を複数の金属メッシュ等を積み重ねて構成した場合、各金属メッシュの位置がずれると貫通部が形成されず蓄熱体の内部で目詰まりを引き起こす可能性がある一方で、本実施形態の蓄熱体71では貫通部74を確実に設けることができる。
【0089】
蓄熱体71は、第1方向において、作動ガスが高温である加熱器67側の位置、及び作動ガスが低温である冷却器68側の位置ほど、作動ガスとの熱交換量が多い一方で、第1方向における中央位置では、作動ガスとの熱交換量が比較的少ない。
【0090】
そこで、蓄熱体71の各辺要素73は、第1方向における位置に応じてその形状を異なるように構成されていてもよい。例えば、第1方向における中央部分に配置される辺要素73は、蓄熱体71のうち第1方向における両側部分に配置される辺要素73よりも、第2方向の投影面積S2を小さくしてもよい。
【0091】
以上説明した熱交換器6において、加熱器67、冷却器68、及び再生器69は、互いに連続に接続されて一体に設けられている。具体的には、加熱器67、冷却器68、及び再生器69は、後述する金属粉末材料の積層造形により連続に接続されて一体に設けられている。
【0092】
各器が一体に設けられているので、加熱器、冷却器、及び再生器をそれぞれ別体で設け、各器を例えばロウ付けや溶接等によって結合したり、各器にフランジ部を設けてフランジ部でのボルト締結によって結合したりする必要がない。よって、熱交換器6の製造時間の短縮や製造コストの低減を図ることができる。また、結合のための部材が不要となるので、熱交換器6の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0093】
また、別体で設けられた加熱器、再生器、及び冷却器をそれぞれ結合して構成された熱交換器では、結合箇所で作動ガスの漏れが生じ得るが、本実施形態では、各器が一体に設けられているので、作動ガスの漏れの発生を回避できる。
【0094】
[熱交換器の製造方法]
本実施形態の熱交換器6は、金属粉末材料を一層ずつ積層凝固させて三次元の複雑な形状の部品を製造することができる付加製造技術(Additive Manufacturing技術、以下AM技術とも称する)で形成される。AM技術により、従来の機械加工や鋳造のような製造方法では製造が困難であった微細で複雑な三次元形状の部品を製造することができる。
【0095】
加熱器67及び冷却器68は、それぞれ微細で複雑な三次元形状を有する流路(即ち、作動ガス流路671,681、熱源流体流路672、及び冷却流体流路682)を有するものの、AM技術により製造することができる。特に、微細な熱源流体流路672中に螺旋状流れ発生部55を設けた構造は、AM技術を用いない従来の製造方法では製造が困難である。
【0096】
従来の再生器は、AM技術により製造されるものではなく筐体内に金属メッシュ等を積み重ねて構成されるものであったが、本実施形態の再生器69は、AM技術により、筐体70と蓄熱体71とを一体に形成して製造することができる。特に蓄熱体71は、AM技術により実現される微細で複雑な三次元形状を有し、AM技術を用いない従来の製造方法では製造が困難である。
【0097】
このように、加熱器67、冷却器68、及び再生器69は、それぞれAM技術により製造可能であり、本実施形態では、これらをAM技術により一体に形成する。これにより、前述のとおり、各器の結合のための工程(ロウ付け等)が不要となり、熱交換器6の製造時間の短縮や製造コストの低減を図ることができる。
【0098】
また、熱交換器6の内周側に設けられた第1シリンダ23及びその天井壁27、加熱器67及び第1シリンダ23の上方に設けられた熱源流体導入室80、並びに熱交換器6の外周側に設けられた熱源流体排出路51は、AM技術により熱交換器6と一体に形成される。具体的には、図16に示すように、例えば第1シリンダ23のフランジ部25を底面として上方に向かって金属粉末材料を一層ずつ積層凝固させて積層造形を行う。特に、第1シリンダ23の天井壁27に設けられた複数の溝29は、微細な形状を有し、AM技術を用いない従来の製造方法では形成が困難である。
【0099】
これにより、熱交換器6、第1シリンダ23、熱源流体導入室80、及び熱源流体排出路51の組み立てが不要となり、スターリングエンジン1の製造時間の短縮や製造コストの低減を図ることができる。なお、第1シリンダ23、熱源流体導入室80、及び熱源流体排出路51を熱交換器6と必ずしも一体に形成しない構成であってもよいし、これらのうち一つ又は二つを熱交換器6と一体に形成する構成であってもよい。
【0100】
さらに、AM技術により微細な流路や蓄熱体71が製造可能であるので、熱交換器6の小型化を図ることができる。スターリングエンジンでは、熱交換器が大きいと、作動ガスが流れる空間の死容積が大きくなり、作動ガスの圧縮率が低下するので、熱効率及び出力が低減する。本実施形態では、熱交換器6の小型化により、熱交換器6の容積のうち死容積の割合を低減することができ、スターリングエンジン1の熱効率及び出力を向上させることができる。
【0101】
ところで、所定の大きさを有する部品を積層造形するとき、積層方向と交差する面に対して所定の角度未満(例えば45度未満)の傾斜角度で金属粉末材料を積層するためには、当該傾斜部分を下方から支持するサポート材も同時に積層造形で形成する必要がある。サポート材を形成した場合、部品の製造後、例えば手作業でサポート材を除去する必要がある。
【0102】
本実施形態では、熱交換器6、第1シリンダ23、熱源流体導入室80、及び熱源流体排出路51のうち、傾斜して上方に積層される部分には適宜、上記所定の角度以上(例えば45度)の傾斜角度を設定し、積層造形時にサポート材の形成を不要としている。図16に示すように、例えば、熱源流体排出路51の壁面や、熱源流体排出路51の排出部52のうち、傾斜して上方に積層される部分には、傾斜角度を45度に設定している。これにより、サポート材の形成を回避することができる。
【0103】
(変形例)
前述した実施形態では、本発明のスターリング機関としてスターリングエンジン1を一例に説明したが、これに限られない。例えば、本発明のスターリング機関は、逆スターリングサイクルを利用したヒートポンプであってもよい。具体的には、スターリング機関としてのヒートポンプは、前述したスターリングエンジン1の発電機11を、ピストンクランク機構5に動力を入力するモータとして機能させ、ディスプレーサピストン3及びパワーピストン4を往復動させる構成であってもよい。
【0104】
熱交換器6をスターリング機関としてのヒートポンプに適用した場合、発電機11をモータとして機能させることによって加熱器67を流れる流体は作動ガスから熱を受け取り、高温の流体となり、冷却器68を流れる流体は作動ガスに吸熱され、低温の流体となる。本実施形態では、熱交換器6は、内部の微細な構造により、死容積を低減した高い熱交換性能を有するので、流体を超高温まで加熱したり、極低温まで冷却したりすることができる。
【0105】
以上、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0106】
例えば、前述した実施形態では、熱交換器6が適用されるスターリング機関として、β型のスターリングエンジン1を一例に説明したが、これに限られない。熱交換器6は、他の形態のスターリング機関、具体的にはα型のスターリングエンジンやγ型のスターリングエンジン等に適用されてもよい。
【0107】
また、前述した実施形態では、再生器69をスターリング機関の一例であるスターリングエンジン1に適用した例を説明したが、これに限られず、様々な熱機関に対して適用可能である。
【0108】
また、前述した実施形態では、蓄熱体71を構成する辺要素73が板形状を有したが、これに限られず、線状体であってもよい。
【0109】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を一例として示しているが、これに限定されるものではない。
【0110】
(1) 作動流体(作動ガス)の流れ方向において直列に接続された加熱器(加熱器67)、再生器(再生器69)、及び冷却器(冷却器68)を備え、膨張室(膨張室21)と圧縮室(圧縮室22)とを前記加熱器、前記再生器、及び前記冷却器を介して連通させたスターリング機関(スターリングエンジン1)の熱交換器(熱交換器6)であって、
前記加熱器は、
前記膨張室及び前記再生器に連通し、前記作動流体が流通する第1流路(作動ガス流路671)と、
前記作動流体と熱交換を行う第1流体(熱源流体)が流通する第2流路(熱源流体流路672)と、
前記第1流路及び前記第2流路を区画形成する隔壁(隔壁60)と、を有し、
前記第1流体が前記第2流路を流通するときの熱伝達率は、前記作動流体が前記第1流路を流通するときの熱伝達率よりも小さく、
前記第2流路には、前記第2流路が延在する方向に沿って螺旋状の流れを発生させる螺旋状流れ発生部(螺旋状流れ発生部55)が設けられ、
前記第1流路には、前記螺旋状流れ発生部が設けられていない、
スターリング機関の熱交換器。
【0111】
(1)によれば、熱抵抗の低下の効果と圧力損失の上昇の影響とのバランスを考慮し、熱伝達率の小さい第2流路に螺旋状流れ発生部を設けて伝熱性能を向上させ、熱伝達率の大きい第1流路には螺旋状流れ発生部を設けないことで圧力損失の上昇を回避するので、熱交換器の熱交換性能を適切に向上させることができる。よって、スターリング機関の出力性能を向上させることができる。
【0112】
(2) (1)に記載のスターリング機関の熱交換器であって、
前記冷却器は、
前記圧縮室及び前記再生器に連通し、前記作動流体が流通する第3流路(作動ガス流路681)と、
前記作動流体と熱交換を行う第2流体(冷却流体)が流通する第4流路(冷却流体流路682)と、
前記第3流路及び前記第4流路を区画形成する隔壁(隔壁60)と、を有し、
前記第1流体が前記第2流路を流通するときの熱伝達率は、前記作動流体が前記第1流路及び前記第3流路を流通するときの熱伝達率、並びに前記第2流体が前記第4流路を流通するときの熱伝達率よりも小さく、
前記第1流路、前記第3流路、及び前記第4流路には、前記螺旋状流れ発生部が設けられていない、
スターリング機関の熱交換器。
【0113】
(2)によれば、熱伝達率の高い第1流路、第3流路、及び第4流路には螺旋状流れ発生部を設けないので、圧力損失の上昇を回避することができ、熱交換器の熱交換性能をより適切に向上させることができる。
【0114】
(3) (1)又は(2)に記載のスターリング機関の熱交換器であって、
前記螺旋状流れ発生部は、前記隔壁から立設された複数のフィンにより構成され、
前記複数のフィンは、前記第2流路が延在する方向に沿って所定の間隔に配置され、前記第2流路の流路断面の中心を軸にして螺旋状に設けられている、
スターリング機関の熱交換器。
【0115】
(3)によれば、隔壁から立設された複数のフィンにより螺旋状流れ発生部を構成することができる。
【0116】
(4) (3)に記載のスターリング機関の熱交換器であって、
各フィンは、前記隔壁に接続される基端部を有し、
前記基端部は、前記第2流路が延在する方向と垂直な面に対して所定の角度傾斜して前記隔壁に接続されている、
スターリング機関の熱交換器。
【0117】
(4)によれば、複数のフィンを設けたことによる第1流体の圧力損失の上昇を低減しつつ、第1流体を撹拌させることができる。さらに、第2流路に第1流体とともに異物が混入した場合でも、異物がフィンに滞積することを防止できる。
【0118】
(5) (4)に記載のスターリング機関の熱交換器であって、
前記第2流路が延在する方向において、隣り合うフィンは重ならない位置に設けられている、
スターリング機関の熱交換器。
【0119】
(5)によれば、第1流体が第2流路を流れる際の圧力損失の上昇度合いをより低減できる。さらに、異物の混入に関して、第2流路が目詰まりすることをより抑制できる。
【0120】
(6) (3)から(5)のいずれかに記載のスターリング機関の熱交換器であって、
前記第2流路は、前記第2流路が延在する方向から見て、各フィンが配置されない貫通領域を有する、
スターリング機関の熱交換器。
【0121】
(6)によれば、第1流体が第2流路を流れる際の圧力損失の上昇度合いをより低減できる。
【0122】
(7) (1)から(6)のいずれかに記載のスターリング機関の熱交換器であって、
前記加熱器は、金属粉末が積層された積層造形体である、
スターリング機関の熱交換器。
【0123】
(7)によれば、積層造形により第1流路、第2流路、隔壁、及び螺旋状流れ発生部を有する加熱器を一体に形成することができる。
【0124】
(8) (1)から(6)のいずれかに記載の熱交換器の製造方法であって、
金属粉末を積層造形することによって前記加熱器の前記第1流路、前記第2流路、前記隔壁、及び螺旋状流れ発生部を一体に形成する、
熱交換器の製造方法。
【0125】
(8)によれば、金属粉末を積層造形することによって加熱器の第1流路、第2流路、隔壁、及び前記螺旋状流れ発生部を有する加熱器を一体に形成することができる。
【符号の説明】
【0126】
1 スターリングエンジン(スターリング機関)
6 熱交換器
21 膨張室
22 圧縮室
56 フィン
56a 基端部
60 隔壁
67 加熱器
671 作動ガス流路(第1流路)
672 熱源流体流路(第2流路)
68 冷却器
681 作動ガス流路(第3流路)
682 冷却流体流路(第4流路)
69 再生器

図1
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