(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004252
(43)【公開日】2025-01-14
(54)【発明の名称】モジュール式眼内レンズの設計および方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/16 20060101AFI20250106BHJP
【FI】
A61F2/16
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024181858
(22)【出願日】2024-10-17
(62)【分割の表示】P 2023109728の分割
【原出願日】2013-01-23
(31)【優先権主張番号】13/748,207
(32)【優先日】2013-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/589,981
(32)【優先日】2012-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/677,213
(32)【優先日】2012-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】308032460
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ コロラド,ア ボディー コーポレイト
【氏名又は名称原語表記】THE REGENTS OF THE UNIVERSITY OF COLORADO,a body corporate
(71)【出願人】
【識別番号】514185747
【氏名又は名称】クラービスタ メディカル,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CLARVISTA MEDICAL,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【弁理士】
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】カフーク、マリク ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】マンダバ、ナレシュ
(72)【発明者】
【氏名】マクリーン、ポール
(72)【発明者】
【氏名】アトキンソン、ロバート イー.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】IOLシステム並びに水晶体嚢を操作する必要なく主レンズに取り付けられうる副レンズを使用して光学的結果の補正または変更を可能にする方法を提供する。
【解決手段】周囲を有する嚢切開部を有する水晶体包内に埋入するための眼内レンズシステムは、眼内主構成要素と眼内副構成要素とを含み、主構成要素が光学補正を提供するために副構成要素を着脱可能に受け入れ、かつ連結するように構成されている。眼内主構成要素は、本体と1つまたは複数の支持部とを有し、主構成要素が水晶体包内に嵌合するように構成され、本体が嚢切開部の周囲よりも大きいか嚢切開部の周囲に等しい赤道周囲を有する。眼内副構成要素は、嚢切開部の周囲よりも小さい赤道周囲を有する光学本体を有する。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼内に埋入するためのモジュール式眼内レンズシステムであって、
(a)中心穴を画定する内周と、そこから外向きに延在する2つ以上の支持部を備えた外周と、を有する環状基部であって、前記内周は、前記内周の全体に亘って延在する突起を有する連続円周凹部を含み、前記連続円周凹部は、前方リムと後方リムとを有する、環状基部と、
(b)前記環状基部の前記突起上の前記連続円周凹部内に前記中心穴を覆って配置されるレンズであって、前記レンズと前記環状基部との間にオーバラッピング接合部が形成され、前記接合部は、前記環状基部への前記レンズの挿入および前記環状基部からの前記レンズの除去を可能にするように構成されている、レンズと、
を備え、
(c)前記レンズは、光学軸を有するとともに、前記連続円周凹部内に配置されるときに前記環状基部に対して前記光学軸に沿った静止位置を有し、
(d)前記レンズは、前記環状基部に対する前記レンズの回転位置の変化を可能にするように構成された一対のスロットを備え、前記環状基部から延びる一対のペグが、前記一対のスロット内に配置される、モジュール式眼内レンズシステム。
【請求項2】
前記一対のペグは、前記環状基部から前側に延びている、請求項1に記載のモジュール式眼内レンズシステム。
【請求項3】
前記一対のペグは、前記環状基部の前記内周の近傍にある、請求項2に記載のモジュール式眼内レンズシステム。
【請求項4】
前記一対のペグは、直径方向に対向している、請求項1に記載のモジュール式眼内レンズシステム。
【請求項5】
前記一対のペグは、第1のペグおよび第2のペグを備え、前記第1のペグは、前記第2のペグから離れて配置されている、請求項1に記載のモジュール式眼内レンズシステム。
【請求項6】
前記一対のスロットは、前記レンズの周縁の近傍にある、請求項1に記載のモジュール式眼内レンズシステム。
【請求項7】
前記一対のスロットは、直径方向に対向している、請求項6に記載のモジュール式眼内レンズシステム。
【請求項8】
前記一対のスロットは、円弧形状を有する、請求項1に記載のモジュール式眼内レンズシステム。
【請求項9】
前記一対のスロットの各々が、前記レンズの周縁の一部に沿って延びている、請求項1に記載のモジュール式眼内レンズシステム。
【請求項10】
眼内に埋入するためのモジュール式眼内レンズシステムであって、
(a)中心穴を画定する内周と、そこから外向きに延在する2つ以上の支持部を備えた外周と、を有する環状基部であって、前記内周は、前記内周の全体に亘って延在する突起を有する連続円周凹部を含み、前記連続円周凹部は、前方リムと後方リムとを有し、前記前方リムの内径が、前記後方リムの内径よりも大きい、環状基部と、
(b)光学部分と周囲とを有するレンズであって、前記光学部分は、光学軸を有し、前記光学部分は前記中心穴を覆って配置されるとともに前記周囲は前記環状基部の前記突起上の前記連続円周凹部内に配置されてオーバラッピング接合部が形成され、前記接合部は、前記環状基部への前記レンズの挿入および前記環状基部からの前記レンズの除去を可能にするように構成されており、前記レンズはさらに前記周囲の近傍に一対のスロットを有する、レンズと、
を備え、
(c)前記レンズは、前記連続円周凹部内に配置されるときに前記環状基部に対して前記光学軸に沿った静止位置を有し、
(d)前記一対のスロットは、前記環状基部に対する前記レンズの回転位置の変化を可能にするように構成されている、モジュール式眼内レンズシステム。
【請求項11】
前記環状基部は、前記内周の近傍に一対のペグを備え、前記一対のペグは、前記環状基部から前側に延びている、請求項10に記載のモジュール式眼内レンズシステム。
【請求項12】
前記一対のペグは、前記レンズの前記一対のスロットを通じて延びている、請求項11に記載のモジュール式眼内レンズシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的に、眼内レンズ(lOL:intraocular lens)の実施形態に関する。特に、本開示はモジュール式IOLの設計および方法の実施形態に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの眼は、角膜と呼ばれる透明な外側部分を通して光を透過させ、結晶性水晶体(crystalline lens)により網膜上に像を結ぶことによって視覚を提供するように機能する。結ばれる像の質は眼の大きさおよび形状ならびに角膜および水晶体の透明性を含む多くの要素に依存する。
【0003】
年齢または疾患が原因で水晶体の透明性が低下する(例えば混濁)と網膜に伝達されうる光が減少するために視力が低下する。この眼の水晶体の不全は白内障として医学的に公知である。確立しているこの状態の治療は水晶体嚢から水晶体を外科的に除去し、人工眼内レンズ(IOL)を水晶体嚢内に配置することである。米国では、白内障の水晶体の大半は超音波水晶体乳化吸引術と呼ばれる外科的手法によって除去されている。この処置時、水晶体嚢の前側に開口部(嚢切開部)を作製して、細い超音波水晶体乳化吸引術用切除チップを罹患した水晶体内に挿入し、超音波的に振動する。振動する切除チップは水晶体が水晶体嚢から吸引されうるように水晶体を液化または乳化する。罹患した水晶体は除去されるとIOLに交換される。
【0004】
IOLを埋入するための白内障手術後、光学的結果は最適に満たないか経時的に調整が必要な場合がある。例えば、処置後間もなく、屈折補正に誤りがあり、「予期せぬ屈折(refractive surprise)」と時として呼ばれるものに至っていると判断される場合がある。また、例えば、処置後長期間が経ち、患者がより強力な屈折補正、乱視補正または多焦点補正などの異なる補正を必要とするか所望すると判断される場合がある。
【0005】
これら各場合においては、外科医は最適に満たないIOLを水晶体嚢から除去して新しいIOLと交換することをためらう場合がある。一般に、IOLを除去するための水晶体嚢の操作には後の破裂を含む水晶体嚢の損傷のリスクを伴う。このリスクは水晶体嚢がIOLの周囲においてつぶれ(collapses)、組織内殖がIOLの支持部を取り囲むにつれて経時的に増加する。したがって、IOLを除去する、または水晶体嚢を操作する必要なく光学的結果を補正または変更できることが望ましい。
【0006】
前述の欠点に対処するための種々の副レンズが提案されている。例えば、1つの可能な解決策には支持部が毛様体溝に係合した状態で水晶体嚢の前にある副レンズを含む。この設計は水晶体嚢の操作を回避するという利点を有しうるが、その主な欠点は毛様体溝への係合である。毛様体溝は支持部または他の材料により係合されると損傷しやすい軟質の血管新生化組織からなる。そのような損傷により出血、炎症および前房出血などの合併症に至る可能性がある。したがって、概して、合併症の可能性を回避するために副レンズを毛様体溝内に配置することを避けることが望ましいであろう。
【0007】
別の潜在的解決策には、毛様体溝に関連する潜在的課題を回避するレンズシステムを含んでもよい。レンズシステムは主レンズと副レンズとを含んでもよい。副レンズは主レンズに取り付けられてもよく、その両方が水晶体嚢内にある。主レンズは副レンズの縁端が取り付けのために挿入されてもよい凹部を有してもよい。凹部は、光透過への干渉を回避するために、好ましくは、水晶体嚢内において開口部(嚢切開部)の半径方向外側にある。副レンズを生体内原位置(in-situ)で取り付けるため、主レンズの凹部へのアクセスを得るために水晶体嚢を嚢切開部の周囲の周りにおいて操作せねばならない。前に述べたように、水晶体嚢の操作はそれに不随するリスクを考えると望ましくない場合がある。したがって、そのようなレンズシステムでは主レンズおよび副レンズの両方を水晶体嚢内に埋入することにより毛様体溝の損傷の可能性を回避することができるが、これらシステムでは副レンズを取り付けるための水晶体嚢の操作は回避されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、IOLシステム並びに水晶体嚢を操作する必要なく主レンズに取り付けられうる副レンズを使用して光学的結果の補正または変更を可能にする方法に対する需要は依然ある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の実施形態は、組み合わされると眼内光学補正デバイスを形成する眼内主構成要素と副構成要素とを含むモジュール式IOLシステムを提供する。主構成要素は眼内基部を含んでもよく、副構成要素は眼内レンズを含んでもよい。基部は眼内レンズを着脱可能に受け入れるように構成されている。いくつかの実施形態では、基部はレンズとして構成されてもよく、この場合、モジュール式IOLシステムは主レンズと副レンズとを含むものと記載されてもよい。主構成要素(例えば、基部または主レンズ)は従来の白内障手術法を使用して水晶体嚢内に配置されてもよい。主構成要素は、主構成要素を水晶体嚢内に保持するために嚢切開部の直径よりも大きな直径を有してもよい。副構成要素(例えば副レンズ)は、副構成要素が水晶体嚢の操作なく主構成要素に取り付けられ得るように嚢切開部の直径よりも小さい直径を有してもよい。副構成要素は、また、主構成要素を除去する必要なくおよび水晶体嚢を操作する必要なく光学的結果を補正または変更するために術中的にまたは術後的に操作されてもよい。例えば、副構成要素は、光学的結果を補正、変更および/または微調整するために除去されても再配置されてもおよび/または交換されてもよい。
【0010】
副構成要素の交換の一般的な徴候は、残留屈折異常(例えば単焦点レンズの)、術後治癒による偏心誤差(例えば多焦点レンズの)、手術によって誘発された乱視誤差(例えばトーリックレンズの)、進行性疾患による光学補正ニーズの変化、ライフスタイルの変化、怪我、年齢等による光学補正要求の変化とされうる。
【0011】
主構成要素は水晶体嚢内における中心化のためにそこから延びる支持部(例えば突起物)を有してもよく、副構成要素は支持部を除外し、代わりに、安定性のために主構成要素の取付部に依存してもよい。そのような取付部は嚢切開部の周囲の半径方向内側ならびに光透過への干渉を回避するために視野の半径方向外側にあってもよい。代替的にまたは加えて、光透過の干渉の可能性を最小にするため取付部は副構成要素の周囲のわずかな部分(例えば20%未満)を含んでもよい。
【0012】
主構成要素は、体液の侵入、組織内殖および/または光学干渉を防止するために副構成要素の後方表面に密接に接触している前方表面を有してもよい。副構成要素は、例えば、機械的取付部(mechanical attachment)および/または化学誘引によって主構成要素に脱着可能に固定されてもよい。機械的取付部は主構成要素および副構成要素のそれぞれに対応する嵌合構造または噛合構造によって容易にされ得る。そのような構造は、例えば、成形または切削によって予め形成されても、例えば、レーザエッチングによって生体内原位置で形成されてもよい。化学誘引は、例えば、表面処理によって活性化された平滑な表面仕上げを有する類似の材料を使用することによって促進されてもよい。場合によっては、化学誘引を低減し、安定性のために機械的取付部に、より依存することが望ましい場合がある。この場合、主構成要素と副構成要素とは異なる材料で形成されても、そうでなければ化学誘引を有しない隣接する表面を有してもよい。
【0013】
本開示の実施形態によるモジュール式IOLシステムおよび方法は、固定単焦点、多焦点、トーリック、調節可能、およびそれらの組み合わせを含む種々のIOLタイプに適用され得る。加えて、本開示の実施形態によるモジュール式IOLシステムおよび方法は、例えば、白内障、近視性(近視)、遠視性(遠視)および乱視眼における大きな光学誤差、硝子体転位症、無水晶体症、偽水晶体眼および核硬化症を治療するために使用され得る。
【0014】
本開示の実施形態の種々の他の態様を以下の詳細な説明および図面において記載する。
図面は本開示の実施形態例を示す。図面は一定の縮尺で描かれているわけではなく、同じ符号が付された類似の要素を含み、例として寸法(ミリメートル)および角度(度)を含みうるが、必ずしも限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2A】本開示の一実施形態による水晶体嚢内に配置されるモジュール式IOLの正面断面図。
【
図2B】本開示の一実施形態による水晶体嚢内に配置されるモジュール式IOLの側部断面図。
【
図3A】本開示の一実施形態によるモジュール式IOLを埋入するための方法を概略的に示す正面断面図。
【
図3B】本開示の一実施形態によるモジュール式IOLを埋入するための方法を概略的に示す正面断面図。
【
図3C】本開示の一実施形態によるモジュール式IOLを埋入するための方法を概略的に示す正面断面図。
【
図3D】本開示の一実施形態によるモジュール式IOLを埋入するための方法を概略的に示す正面断面図。
【
図4A】本開示の一実施形態によるモジュール式IOLを埋入するための方法を概略的に示す側部断面図。
【
図4B】本開示の一実施形態によるモジュール式IOLを埋入するための方法を概略的に示す正面断面図。
【
図4C】本開示の一実施形態によるモジュール式IOLを埋入するための方法を概略的に示す正面断面図。
【
図4D】本開示の一実施形態によるモジュール式IOLを埋入するための方法を概略的に示す正面断面図。
【
図5】主レンズと副レンズとの間における連結のために表面下取付機構が提供される本開示の一実施形態によるモジュール式IOLの正面図。
【
図6A】表面下取付機構の2つの実施形態を示す
図5の線6-6に沿って切った断面図。
【
図6B】表面下取付機構の2つの実施形態を示す
図5の線6-6に沿って切った断面図。
【
図7】主レンズと副レンズとを連結するために拡張取付機構が提供されている本開示の一実施形態によるモジュール式IOLの正面図。
【
図8A】拡張取付機構の3つの実施形態を示す
図7の線8-8に沿って切った断面図。
【
図8B】拡張取付機構の3つの実施形態を示す
図7の線8-8に沿って切った断面図。
【
図8C】拡張取付機構の3つの実施形態を示す
図7の線8-8に沿って切った断面図。
【
図9A】主レンズに対する副レンズの位置を調節するための取付機構の種々の位置を示す正面図。
【
図9B】主レンズに対する副レンズの位置を調節するための取付機構の種々の位置を示す正面図。
【
図9C】主レンズに対する副レンズの位置を調節するための取付機構の種々の位置を示す正面図。
【
図9D】主レンズに対する副レンズの位置を調節するための取付機構の種々の位置を示す正面図。
【
図10】主レンズと副レンズとの間における連結のためにエッチングされた表面下取付機構が提供される本開示の一実施形態によるモジュール式IOLの正面図。
【
図11A】エッチングされた表面下取付機構の種々の実施形態を示す
図10に示されるモジュール式IOLの断面図。
【
図11B】エッチングされた表面下取付機構の種々の実施形態を示す
図10に示されるモジュール式IOLの断面図。
【
図11C】エッチングされた表面下取付機構の種々の実施形態を示す
図10に示されるモジュール式IOLの断面図。
【
図11D】エッチングされた表面下取付機構の種々の実施形態を示す
図10に示されるモジュール式IOLの断面図。
【
図11E】エッチングされた表面下取付機構の種々の実施形態を示す
図10に示されるモジュール式IOLの断面図。
【
図11F】エッチングされた表面下取付機構の種々の実施形態を示す
図10に示されるモジュール式IOLの断面図。
【
図12A】本開示の一実施形態による代替的なモジュール式IOLの正面図の概略図。
【
図12B】本開示の一実施形態による代替的なモジュール式IOLの断面図の概略図。
【
図12C】本開示の一実施形態による代替的なモジュール式IOLの詳細図の概略図。
【
図13A】レーザエッチングによって形成される溝(矢印を参照)の倍率4Xにおける代表的顕微鏡写真を示す図。
【
図13B】レーザエッチングによって形成される溝(矢印を参照)の倍率40Xにおける代表的顕微鏡写真を示す図。
【
図14】本開示の実施形態による代替的モジュール式lOLの種々の図。
【
図15】本開示の実施形態による代替的モジュール式lOLの種々の図。
【
図16】本開示の実施形態による代替的モジュール式lOLの種々の図。
【
図17】本開示の実施形態による代替的モジュール式lOLの種々の図。
【
図18】本開示の実施形態による代替的モジュール式lOLの種々の図。
【
図19】本開示の実施形態による代替的モジュール式lOLの種々の図。
【
図20】本開示の実施形態による代替的モジュール式lOLの種々の図。
【
図21】本開示の実施形態による代替的モジュール式lOLの種々の図。
【
図22】本開示の実施形態による代替的モジュール式lOLの種々の図。
【
図23A】本開示の一実施形態によるモジュール式IOLのためのレンズ除去システムの概略図。
【
図23B】本開示の一実施形態によるモジュール式IOLのためのレンズ除去システムの概略図。
【
図23C】本開示の一実施形態によるモジュール式IOLのためのレンズ除去システムの概略図。
【
図23D】本開示の一実施形態によるモジュール式IOLのためのレンズ除去システムの概略図。
【
図24】本開示の一実施形態によるモジュール式IOLを使用するための方法の概略フローチャートであり、副レンズの交換は術中的に検出された最適に及ばない光学的結果によって動機付けられる。
【
図25】本開示の一実施形態によるモジュール式IOLを使用するための方法の概略フローチャートであり、副レンズの交換は術後的に検出された最適に及ばない光学的結果によって動機付けられる。
【
図26】取付手段を生体内原位置で形成することによって副レンズが主レンズに取り付けられている本開示の一実施形態によるモジュール式IOLを使用するための方法の概略フローチャート。
【
図27】本開示によるモジュール式IOLの更なる実施形態の種々の図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に関して、ヒトの眼10が断面において示される。眼10はいくつかの目的のため光に反応する器官であると説明されてきた。眼は意識感覚器(conscious sense organ)として視覚を可能にする。網膜24内の桿体細胞および錘体細胞が色の鑑別および奥行き知覚を含む意識的な光覚および視覚を可能にする。加えて、網膜24内のヒトの眼の非画像形成(non-image-forming)感光性神経節細胞は瞳孔の大きさの調整、ホルモンメラトニンの調整および抑制、および体内時計の同調に影響する光信号を受信する。
【0017】
眼10は厳密には球体ではなくむしろ融合した2部分単位(fused two-piece unit)である。より小さな前方の単位であり、より湾曲した角膜12と呼ばれるものは強膜14と呼ばれるより大きな単位に繋がっている。角膜領域12は、通常、半径約8mm(0.3インチ)である。強膜14には残りの6分の5が含まれ、その半径は、通常、約12mmである。角膜12と強膜14は縁と呼ばれる輪によって連結されている。角膜12の透明性により、角膜12の代わりに、眼の色である虹彩16、およびその黒色の中心部である瞳孔が見える。光は反射されないため眼10の内部を見るためには検眼鏡が必要である。斑28を含む眼底(瞳孔の反対側の領域)は、眼に入る血管が通過するとともに視神経線維18が眼球を出る、特有の蒼白色の視神経円板(乳頭)を示す。
【0018】
したがって、眼10は3つの透明な構造を含む3層からなる。最外層は角膜12および強膜14からなる。中間層は脈絡膜20、毛様体22および虹彩16からなる。最内層は脈絡膜20の血管および網膜血管からその循環を得る網膜24である。これは検眼鏡内で見ることができる。これら層内には眼房水、硝子体26および軟質の水晶体30がある。眼房水は、角膜12と虹彩16と水晶体30の露出部との間の前房と、虹彩16と水晶体30との間の後房と、の2つの部分に含まれる透明な流体である。水晶体30は微細かつ透明な線維からなる毛様体小体32(チン小体)によって毛様体22に懸垂される。硝子体26は眼房水よりもかなり大きな透明なゼリーである。
【0019】
結晶性水晶体30は眼の透明な両凸構造であり、角膜12とともに網膜24に結ばれる光を屈折させる。水晶体30はその形状を変えることにより様々な距離の物体に焦点を合わせることができるように眼の焦点距離を変えるよう機能するため、物体のシャープな実像を網膜24上に形成することを可能にする。この水晶体30の調整は調節として公知であり、写真用カメラの、そのレンズの動きによる集束に類似する。
【0020】
水晶体は3つの主要な部分、つまり、水晶体包、水晶体上皮および水晶体線維を有する。水晶体包は水晶体の最外層を形成し、水晶体線維は水晶体内部の大部分を形成する。水晶体包と水晶体線維の最外層との間にある水晶体上皮の細胞は主に水晶体の前側に見られるが、赤道をちょうど越える後側に延びている。
【0021】
水晶体を完全に取り囲む水晶体包は平滑で透明な基底膜である。包は弾性であり、コラーゲンからなる。水晶体包は水晶体上皮によって合成され、その主要構成要素はタイプIVコラーゲンおよび硫酸グルコサミノグリカン(GAGs:glycosaminoglycans)である。包は非常に弾性であるため、水晶体包を毛様体22に連結する小帯線維の張力下にない場合には水晶体がより球形をとることになる。包の厚さは約2~28マイクロメートルにおいて異なり、赤道近辺において最も厚く、後極近辺において最も薄い。水晶体包は水晶体の後部よりも高い曲率を伴う場合がある。
【0022】
水晶体30の種々の疾患および障害はIOLによって治療され得る。例として、必ずしも限定されないが、本開示の実施形態によるモジュール式IOLは、白内障、近視性(近視)、遠視性(遠視)および乱視眼における大きな光学誤差、硝子体転位症、無水晶体症、偽水晶体眼および核硬化症を治療するために使用され得る。しかしながら、説明のために、本開示のモジュール式IOL実施形態は白内障に関して記載する。
【0023】
以下の詳細な説明は、主および副眼内構成要素、すなわち、眼内レンズを着脱可能に受け入れるように構成された眼内基部を含むモジュール式IOLシステムの種々の実施形態を記載する。いくつかの実施形態では、基部は、光学補正を提供するように構成されてもよく、この場合、モジュール式IOLシステムは主レンズと副レンズとを含むものとして記載されてもよい。基部が光学補正のために構成されている実施形態を参照して記載する原理および特徴を、基部が光学補正のために構成されていない実施形態に適用してもよく、その逆としてもよい。より広く述べると、任意の一実施形態を参照して記載されている特徴を他の実施形態に適用し、かつ組み込んでもよい。
【0024】
図2Aおよび
図2Bに関して、嚢切開部36を有する水晶体30の水晶体嚢34内に埋入されたモジュール式IOLシステム50/60を示す。モジュール式IOLシステムは主レンズ50と副レンズ60とを含んでもよい。主レンズ50は、本体部52と、主レンズ50を水晶体嚢34内に固定且つ中心に位置決めするための一対の支持部54と、副レンズ60に取り付けるための手段(ここでは不図示だが後述する)と、を含んでもよい。副レンズ60は、光学本体部62と、主レンズ50に取り付けるための対応する手段(ここでは不図示だが後述する)と、を含んでもよく、支持部は含まなくてもよい。主レンズ50の本体部52の前方表面は、間に何らの介在材料(例えば、接着剤、眼房水、組織内殖等)もなく、副レンズ60の本体部62の後方表面に密接に接触してもよい。例えば、本体部52の前方表面は本体部62の後方表面と直接接触をしていてもよい。主レンズ50が水晶体30の水晶体嚢34内に留まる一方で、副レンズ60は、副レンズ60の交換を容易にするために主レンズ50に急性的および長期的に着脱可能に取り付けられてもよい。
【0025】
主レンズ50の本体部52はいくらかの屈折補正を提供してもよいが、最適な光学的結果に必要とされるものには満たない。最適な光学的結果は、副レンズ60の光学的本体部62とともに主レンズ50の光学的本体部52によって提供される補正の組み合わせによって提供されてもよい。例えば、副レンズ60の光学的本体部62は、屈折力(単焦点補正のため)、トーリック機能(乱視補正のため)、および/または回折機能(多焦点補正のため)を変化(例えば、追加するまたは減ずる)させてもよい。
【0026】
副レンズ60は外径d1を有してもよく、嚢切開部36は内径d2を有してもよく、主レンズ50の本体52は外径d3を有してもよく、d1<d2≦d3である。この配置は、副レンズ60が水晶体嚢34の何らかの部分に触れたり、あるいは乱したりすることなく、副レンズ60が主レンズ50に取り付けられたり取り外されたりし得るように、副レンズ60と嚢切開部36の周囲との間に隙間を提供する。限定ではなく例として、嚢切開部が約5~6mmの直径を有すると仮定すると、主レンズの本体(すなわち支持部を除く)は約5~8mmの直径を有してもよく、副レンズは約3~5mm未満の直径を有してもよく、それによって、約1.5mm以下の半径方向の隙間を副レンズと嚢切開部の周囲との間に提供する。この例に関わらず、副レンズを主レンズに取り付けるのに水晶体包を操作する必要性を軽減するために副レンズと嚢切開部の周囲との間に隙間を提供するための任意の適切な寸法を選択してもよい。
【0027】
図3A~3D(正面図)および
図4A~4D(側部断面図)を参照して、モジュール式IOLシステム50/60を埋入するための方法を概略的に示す。
図3Aおよび
図4Aに見られるように、白内障の水晶体30は水晶体嚢34内部に不透明なまたは濁った中心部38を含む。白内障手術のための水晶体30へのアクセスは角膜内の1つまたは複数の側方切開によって提供されてもよい。手動ツールまたはフェムト秒レーザを使用して前水晶体嚢34に嚢切開部(円形穴)36が形成されてもよい。
図3Bおよび
図4Bに見られるように、不透明な中心部38は超音波水晶体乳化吸引術および/または嚢切開部36を通じた吸引によって除去される。主レンズ50は、嚢切開部36を通して水晶体嚢34内に挿入されるチューブを使用して巻かれた形態で送達される。主レンズ50は送達チューブから取り出され広がることを可能とされる。丁重な操作により、主レンズの支持部54は水晶体包34の内赤道に係合し、
図3Cおよび
図4Cに見られるように水晶体本体52を嚢切開部36に対して中央に位置決めする。副レンズ60はチューブを使用して巻かれた形態で送達され、その先端チップ(distal tip)は主レンズ50近傍に配置される。副レンズ60は送達チューブから取り出され広がることを可能とされる。丁重な操作により、副レンズ60は嚢切開部36に対して中央に配置される。水晶体嚢34または主レンズ50を操作することなく、副レンズ60は、
図3Dおよび
図4Dに見られるように、その後、主レンズ50に取り付けられる。必要であれば、副レンズ60は適宜ステップを逆にすることにより同様の手法で除去および/または交換されてもよい。代替として、主レンズ50と副レンズ60はユニットとして埋入されてもよく、したがって、送達ステップが排除される。
【0028】
副レンズ60のどちらの側が主レンズ50に面するべきかを見極めることは困難である場合があるため、副レンズは適切な位置を示すマーキングを含んでもよい。例えば、時計回り方向の矢印が副レンズ60の前方表面の周囲に沿って配置され、正しい側が上に配置されている場合は時計回り方向の矢印として現れ、誤った側が上に配置されている場合は反時計回り方向の矢印として現れるようにしてもよい。代わりに、2層式色マーキング(two-layered color marking)が副レンズ60の前方表面の周囲に沿って配置され、正しい側が上に配置されている場合は第1の色として現れ、誤った側が下に配置されている場合は第2の色として現れるようにしてもよい。副レンズ60に他の位置的表示マーキングを用いてもよく、類似のマーキング方式が主レンズ50に適用されてもよい。
【0029】
図5に関して、副レンズ60を主レンズ50に着脱可能に固定するために表面下取付機構70を使用してもよい。取付機構70は、光透過への干渉を回避するために、嚢切開部36の周囲の半径方向内側且つ視野の半径方向外側に配置されてもよい。代替的にまたは加えて、取付機構70は、光透過の干渉の可能性を最小にするため副レンズ50の周囲のわずかな割合(例えば10~20%未満)に限定された半径方向および側方範囲を有してもよい。直径方向に対向する2つの取付機構70が示されているが、副レンズ60の周縁の周りに均等にまたは不均等に分配された任意の適切な数を使用してもよい。
【0030】
主レンズ50と副レンズ60とが同時に送達される場合、取付機構70を巻軸線(roll axis)80と整列させることが望ましい場合があり、送達ツールによる挿入のためにそれを中心としてレンズ50およびレンズ60が巻かれてもよい。軸線80を中心に巻かれる際に副レンズ60が主レンズ50に対して移動しうるため、取付機構70を巻軸線80に沿って提供すると取付機構70への応力が最小になる。このため、取付機構70を巻軸線80に対して同軸上に整列させてもよく、かつ軸線80から限られた距離(例えば、副レンズ60の周囲の10~20%未満)延びるように構成してもよい。
【0031】
取付機構70は、
図6Aおよび
図6Bに示すように、嵌合構造または噛合構造を有するように構成されてもよい。概して、構造は着脱可能に連結可能な雄部と雌部とを含む。雌部は雄部を受け入れるように構成されており、主レンズ50と副レンズ60との間の少なくとも2次元(例えば、上下および左右)における相対運動を制限する。雌部および雄部は、主レンズ50と副レンズ60との間の3次元(例えば、上下、左右、前後)における相対運動が制限されるように噛合構造を有するよう構成してもよい。取付機構70は、それぞれ後(押す)方向および前(引く)方向に直交力(orthogonal force)を印加することによって係合および分離されてもよい。取付機構70は、例えば、成形、切削、エッチングまたはそれらの組み合わせによって予め形成されてもよい。
【0032】
示される例では、各取付機構70は噛合式円筒状突起物72と円筒状凹部または溝74とを含む。他の嵌合構造または噛合構造もまた使用してもよい。示される円筒状構造は送達のために巻かれる際に主レンズ50に対する副レンズ60のわずかな回転を可能にするため、そこにかかる応力が更に低減されるという利点を有する。
図6Aに示すように、円筒状突起物72は主レンズ50の本体52の前方表面から前側に延びてもよく、円筒状凹部74は副レンズ60の本体62の、その半径方向周辺領域近傍において後方表面内に前側に延びてもよい。代わりに、
図6Bに示すように、円筒状突起物72は副レンズ60の本体62の、その半径方向周辺領域近傍において後方表面から後側に延びてもよく、円筒状凹部74は主レンズ50の本体52の前方表面内に後側に延びてもよい。
図6Bに示される形態は、主レンズ50が、例えばレーザによって凹部74が生体内原位置でエッチングされ得る既存の埋入されたIOLである場合、特に好適であり得る。
【0033】
図7に関して、主レンズ50と副レンズ60とを着脱可能に連結するために拡張取付機構90が使用されてもよい。拡張取付機構90は、示されかつ記載されるもの以外は表面下取付機構70に類似してもよい。拡張取付機構90は副レンズ60の周囲から半径方向に延びてもよく、それぞれが嵌合構造または噛合構造を含む。その例は
図8A~8Cに示される。
図8Aでは、円筒状部分92が副レンズ60の外側縁部から延びており、円筒状凹部94が主レンズ50の外側縁部から延びている。
図8Bでは、円筒状部分92が主レンズ50の外側縁部から延びており、円筒状凹部94が副レンズ60の外側縁部から延びている系が示される。
図8Aおよび
図8Bに示される両実施形態においては、取付機構90はそれぞれ後(押す)方向および前(引く)方向に直交力を印加することによって係合および分離されてもよい。代わりに、
図8Cに示される実施形態においては、取付機構90が時計回りまたは反時計回り方向に回転力を印加することにより係合および分離されてもよく、これは、円筒状部分92および円筒状凹部94のそれぞれにどちらのレンズ50/60が取り付けられるかに依存する。加えて、
図7の実施形態は2つの取付機構90の使用のみを示しているが、本開示の原理内においては任意の適切な数の取付機構90を利用してもよい。
【0034】
図9A~9Dに関して、副レンズ60と関連付けられた取付機構90の部分は副レンズ60の中心が主レンズ50の中心と整列されるように配置されてもよい。代わりに、不均衡な術後治癒による主レンズ50のミスアライメントを調整するため、例えば、副レンズ60と関連付けられた取付機構90の部分が、
図9B~9Dに示すようにオフセットされてもよい。
図9Bでは、副レンズ60と関連付けられた取付機構90の部分は、回転可能にオフセットされている。
図9Cでは、副レンズ60と関連付けられた取付機構90の部分は、上にオフセットされている。
図9Dでは、副レンズ60と関連付けられた取付機構90の部分は、側方にオフセットされている。
図11Cおよび
図11Fを参照して、より詳細に記載されるように、前後オフセットも用いてもよい。
図9B、9C、9D、11Cおよび11Fに示される実施形態のそれぞれは例として提供され、オフセットは任意の方向(前、後、上、下、右、左、時計回り、反時計回り)またはそれらの組み合わせにおいて主レンズ50のミスアライメントに応じて様々な大きさで行われてもよい。加えて、取付機構90は例として示されるが、同じ原理が本明細書中に記載される他の取付手段に適用されてもよい。
【0035】
図10に関して、副レンズ50を主レンズ60に着脱可能に連結するための代替的な表面下取付機構100が使用されてもよい。表面下取付機構100は、示されかつ記載されるもの以外は表面下取付機構70に類似してもよい。表面下取付機構100は副レンズ60の周囲部縁端近傍の円弧状の経路に沿って延在する嵌合構造または噛合構造を含んでもよい。表面下取付機構100は、突起物102と、中に突起物102を受け入れてもよい対応する凹部または溝104と、を含んでもよい。突起物102は副レンズ60の後方表面から延びてもよく、
図11A(分離されている)および
図11D(取り付けられている)に示すように、対応する凹部または溝104は主レンズ50の前方表面内に延びてもよい。代わりに、突起物102は主レンズ50の前方表面から延びてもよく、
図11B(分離されている)および
図11E(取り付けられている)に示すように、対応する凹部または溝104は副レンズ60の後方表面内に延びてもよい。いずれの実施形態においても、突起物102の前後寸法は主レンズ50の前方表面と副レンズ60の後方表面との間における密接な接触を提供するために同じ寸法の凹部または溝104に一致してもよい。代わりに、
図11C(分離されている)および
図11F(取り付けられている)に示すように、突起物102の前後寸法は前後オフセットを提供するために同じ寸法の凹部または溝104を超えてもよい。更に、当業者であれば本開示の原理内においては任意の適切な数の取付機構100を利用してもよいことを容易に理解しよう。
【0036】
図12Aに関して、副レンズ60を主レンズ50に連結するために代替的な表面下取付機構105が使用されてもよい。表面下取付機構105は、示されかつ記載されるもの以外は表面下取付機構100に類似してもよい。
図12Aの線B-Bに沿って切った断面図である
図12Bに見られるように、表面下取付機構105は、突起物107と、突起物107を受け入れてもよい一連の穴109と、を含む嵌合構造または噛合構造を含んでもよい。穴109は、
図12AにおいてボックスCのいくつかの代替的詳細図を示す
図12Cに見られるようなパターンで分散されてもよい。
図12Cでは、突起物107は、黒色円として示される穴109内に存在する一方、白色円として示される残りの穴109は空いたままである。この配置によって、突起物107は対応する一対の穴109に配置され、主レンズ50と副レンズ60との間における所望のアライメントを実現し得る。例えば、引き続き
図12Cを参照すると、突起物107は、対応する一対の穴109に配置されて、主レンズ50と副レンズ60との間における中央配置(基準(nominal))、右移動、左移動、上移動、下移動、時計回りまたは反時計回り(それぞれC1~C7の符号が付されている)アライメントを実現してもよい。この配置は、
図9A~9Dに関して記載されるように様々な調整を提供する。加えて、任意の適切な数の取付機構105がレンズ50およびレンズ60の周囲の周りに均等にまたは不均等に配置されてもよい。
【0037】
本明細書中に記載される種々の表面下取付手段の全てまたは一部は、成形、切削、フライス削り、エッチングまたはそれらの組み合わせによって形成されてもよい。例えば、特に
図11Aに関して、溝104が、既存の埋入された主レンズ50を生体内原位置でレーザエッチングすることによって形成されてもよく、突起物は副レンズ60の成形、フライス削りまたは切削によって予め形成されてもよい。
【0038】
生体内原位置でのエッチングに使用してもよいレーザの例には、フェムト秒レーザ、チタンサファイアレーザ、ダイオードレーザ、YAGレーザ、アルゴンレーザおよび可視域、赤外線域および紫外線域内の他のレーザを含む。所望のエッチング構造およびパターンを実現するため、そのようなレーザはエネルギ出力、空間的制御および時間的制御の点において制御されてもよい。例えば、外部レーザ源からのレーザビームを、角膜を通過させ、瞳孔を越えて送信することによって生体内原位置でのエッチングを実現してもよい。代わりに、生体内原位置でのエッチングは、眼に挿入されたフレキシブル光ファイバプローブからレーザビームを送信することによって実現してもよい。
【0039】
図13Aおよび
図13Bに関して、倍率4Xおよび40Xの顕微鏡写真は、レーザエッチングによって主レンズ内に溝(矢印を参照)がどのように実験的にエッチングされたかをそれぞれ示す。溝をエッチングするため以下の範囲内、つまり、1nJ~100μJの出力、20fs~ピコ秒範囲以下のパルス継続時間、および1~250kHzの周波数のフェムト秒レーザ設定を使用してもよい。
【0040】
本明細書中に開示されるモジュール式IOLシステムの主および副構成要素は、同じ、類似のまたは異なる材料で形成されてもよい。好適な材料は、例えば、アクリルベースの材料、シリコーン材料、疎水性ポリマーまたは親水性ポリマーを含んでもよく、そのような材料は形状記憶特性を有してもよい。例えば、モジュール式レンズシステムの光学部分に含まれる材料は眼内レンズに一般に使用されるシリコーン、PMMA(polymethyl methacrylate)、ヒドロゲル、疎水性アクリル系、親水性アクリル系または他の透明材料とされうる。モジュール式IOLの非光学構成要素は、ニチノール、ポリエチレンスルホン(polyethylene sulfone)および/またはポリイミドを含む可能性がある。
【0041】
材料は、モジュール式レンズシステムの特定機能、特に、前に記載したような主レンズおよび副レンズに必要な取り付けおよび取り外し機能の性能を補助するように選択されうる。特定の材料選択によって強化されうるモジュール式レンズの他の機能には、製造性、術中および術後の取り扱い、固定(術中および術後修正時の両方)、達成される微小切開の大きさ(≦2.4mm)および交換性(レンズの外植時における最小限の外傷)を含む。
【0042】
例えば、一実施形態においては、主レンズおよび副レンズは約5~30℃のガラス転移温度および約1.41~1.60の屈折率を有する疎水性アクリル系材料から作製される。別の実施形態においては、主レンズおよび副レンズは、モジュール式システムの固定および分離特性を補助するために異なるガラス転移温度および機械的特性を有する異なる材料から作製されうる。別の実施形態においては、モジュール式レンズシステムの両方またはいずれかは約2.4mmに等しいかそれよりも小さい外径への圧縮を可能にする材料から作製される。
【0043】
モジュール式IOLシステムにおいて一般に望ましい材料特性には、光輝形成が最小限であるか全くないこと、YAGレーザの印加にさらされた際の点食が最小限であること、ならびに標準MEM溶出試験および業界標準による他の生体適合性試験に合格することを含む。材料には、基材のUV遮断能力を高める種々の発色団を含んでもよい。概して、400nm未満の波長は濃度≦1%の標準発色団によって遮断される。代替的にまたは加えて、材料は、青色光スペクトルの所望の領域を遮断する黄色染料などの青色光遮断発色団(blue light blocking chromophores)を含んでもよい。好適な材料は、概して、標準的埋入法下における機械的外傷によって生じる表面磨耗、ひび割れまたは曇りなどの損傷に耐性がある。
【0044】
モジュール式IOLの構成要素は成形、切削、フライス削り、エッチングまたはそれらの組み合わせなどの従来技術によって形成されてもよい。
機械的取付部の代替として、主構成要素と副構成要素との間の化学誘引を利用してもよい。平滑な表面仕上げを有する類似の材料の使用は、化学誘引を促進し得る。化学誘引はプラズマまたは化学活性化などの表面活性化技術によって強化されてもよい。場合によっては、化学誘引を低減して材料間の固着を回避し、安定性のために機械的取付部に、より依存することが望ましい場合がある。この場合、主構成要素と副構成要素は異なる材料で形成されても、そうでなければ化学誘引を有しない隣接する表面を有してもよい。
【0045】
図14~14Cに関して、代替的なモジュール式IOL140がそれぞれ前面図、断面図および詳細図において示される。
図14Aは、
図14の線A-Aに沿って切った断面図を示し、
図14Bは、
図14の線B-Bに沿って切った断面図を示し、
図14Cは、
図14Bの円Cの詳細図を示す。モジュール式IOL140は、支持部54を備えた主レンズ50と、副レンズ60と、を含んでもよい。
図14Aおよび
図14Bにおいて最も良く分かるように、主レンズ50(前方表面)の境界面と副レンズ60(後方表面)との境界面とは密接に接触していてもよい。主レンズ50の境界面と副レンズ60の境界面との間に密接な接触を維持する(すなわち隙間を避ける)または一定の隙間を維持すると、乱視が誘発される可能性を低下し得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、物質(例えば接着剤)がレンズ50およびレンズ60の各々の表面間に配置されてもよい。副レンズ60に円形拡張部を形成し、同様の大きさおよび形状の円形凹部を主レンズ50に形成してそれらの間に締まり嵌めを形成し、したがって、2つの構成要素を確実に連結してもよい。主レンズ50の凹部の深さは副レンズ60の厚みの一部であってもよく、副レンズ60の円形拡張部は主レンズ50の一部上に延びており、それによって、
図14Cにおいて最も良く分かるようなオーバラップ接合部142を形成する。オーバラップ接合部142は示されるように副レンズ60の周縁の周りに360度またはその一部に延びてもよい。副レンズ60の円形拡張部は主レンズ50の前方表面を超えて盛り上がり、隆起部(raised portion)を形成する。いくつかの実施形態では、隆起部は半径方向に先細る構成を有してもよい。隆起部は主レンズ50と副レンズ60との連結および分離を容易にするために鉗子で半径方向に圧縮されてもよい。副レンズ60を主レンズ50内に挿入するために半径方向圧縮を使用すると、挿入時に水晶体嚢に印加される前後力(anterior-posterior forces)が低減され、それによって、嚢破裂のリスクを低減する。
【0046】
図15~15Dに関して、代替的なモジュール式IOL150がそれぞれ前面図、断面図および詳細図において示される。
図15Aは、
図15の線A-Aに沿って切った断面図を示し、
図15Bは、
図15の線B-Bに沿って切った断面図を示し、
図15Cは、
図15Bの円Cの詳細図を示し、
図15Dは、
図15Bの円Cの代替的詳細図を示す。モジュール式IOL150は、支持部54を備えた主レンズ50と、副レンズ60と、を含んでもよい。
図15Aおよび
図15Bにおいて最も良く分かるように、主レンズ50(前方表面)の境界面と副レンズ60(後方表面)との境界面とは密接に接触していてもよい。主レンズ50は壁を画定する凹部を含んでもよく、その中に同様の大きさおよび形状の円形副レンズ60が配置されてもよい。主レンズ50内の凹部によって画定される壁は、直径方向に対向する2つの隙間152を除き主レンズの周囲全体の周りに延びてもよい。隙間152は、したがって、例えば、副レンズ60の鉗子を使用した半径方向圧縮による挿入および除去を容易にするために
図15Aに見られるように副レンズ60の周囲縁端を露出させる。主レンズの凹部によって画定される壁の残りは
図15Bおよび
図15Cに見られるように面一接合部を提供し、副レンズ60の前方表面が主レンズ50の前方表面と面一であってもよい。
図15Cに見られるように、主レンズ50内の凹部によって画定される壁および副レンズ60の接続縁端(interfacing edge)はその間に確実な機械的捕捉および安定した連結を有する接合部154を提供するために内方に傾斜していてもよい。代わりに、
図15Dに見られるように、主レンズ50内の凹部によって画定される壁および副レンズ60の接続縁端はその間に確実な機械的捕捉および安定した連結を有する接合部156を提供するために「S」字形であってもよい。別の噛合構造を用いてもよい。
【0047】
図16~16Dに関して、代替的なモジュール式IOL160がそれぞれ前面図、断面図および詳細図において示される。
図16Aは、
図16の線A-Aに沿って切った断面図を示し、
図16Bは、
図16の線B-Bに沿って切った断面図を示し、
図16Cは、
図16Bの円Cの詳細図を示し、
図16Dは、
図16Aの円Dの詳細図を示す。モジュール式IOL160は、
図15~15Dに示されるモジュール式IOL150と同様に構成してもよく、主レンズ50は壁を画定する凹部を含み、その中に同様の大きさおよび形状の円形副レンズ60が配置されてもよい。しかしながら、この実施形態においては、(隙間152よりもむしろ)角度のある隙間162が副レンズ60の周囲の一部に沿って設けられる。副レンズ60の周囲縁端の周方向部分によって画定される壁は
図16Cにおいて最も良く分かるような面一接合部154を提供するために主レンズ50内の凹部によって画定される壁と同じ構造を有してもよい。副レンズ60の周囲縁端の別の(例えば、残りの)周方向部分によって画定される壁は
図16Dにおいて最も良く分かるような角度をなす隙間162を提供するためにより内方に角度をなす構造を有してもよい。角度をなす隙間162は、したがって、
図16Dに見られるように副レンズ60の周囲縁端を露出させ、そこに、副レンズ60の半径方向圧縮によって挿入および除去を容易にするために鉗子が配置されてもよい。別の隙間構造を用いてもよい。
【0048】
図17~17Cに関して、代替的なモジュール式IOL170がそれぞれ前面図、断面図、詳細図および等角図において示される。
図17Aは、
図17の線A-Aに沿って切った断面図を示し、
図17Bは、
図17Aの円Bの詳細図を示し、
図17Cは、組立済み構成要素の等角図を示す。モジュール式IOL170は
図15~15Dに示されるモジュール式IOL150と同様に構成してもよく、主レンズ50は壁を画定する凹部を含み、その中に同様の大きさおよび形状の円形副レンズ60が配置されてもよい。しかしながら、この実施形態においては、主レンズ50内の凹部を画定する壁は、その、直径方向に対向する2つのタブ172を画定するために削られた(milled down)部分を含む。タブ172の内部周壁は副レンズ60の前方表面が主レンズ50の前方表面と面一であるように
図17Bに見られるような面一接合部174を提供する。タブ172に沿う接合部174の界面は、例えば、傾斜していても、「S」字形であっても、示されるような「C」字形であってもよい。タブ172から離れた周囲に沿う別の場所では、壁が削られた領域において、副レンズ60の周囲縁端が、例えば、鉗子を使用したその半径方向圧縮による副レンズ60の挿入および除去を容易にするため
図17Cに見られるように露出する。
【0049】
図18~18Cに関して、代替的なモジュール式IOL180はそれぞれ前面図、断面図、詳細図および等角図において示される。
図18Aは、
図18の線A-Aに沿って切った断面図を示し、
図18Bは、
図18Aの円Bの詳細図を示し、
図18Cは、組立済み構成要素の等角図を示す。モジュール式IOL180は
図17~17Cに示されるモジュール式IOL170と同様に構成してもよく、主レンズ50は部分壁を画定する凹部を含み、その中に同様の大きさおよび形状の円形副レンズ60が面一接合部174によりタブ172に噛合し配置されてもよい。しかしながら、この実施形態においては、タブ172のそれぞれと副レンズ60の隣接する部分とに把持用凹部または穴182が設けられている。一実施形態においては、把持用凹部または穴182は主レンズ50および副レンズ60の厚み全体を貫通していなくてもよい。副レンズ60の把持用穴182は、例えば、副レンズ60の鉗子を使用した半径方向圧縮による挿入および除去を容易にする。タブ部172および副レンズ60において隣接する把持用穴182は、例えば、鉗子を使用した接合部174の連結および分離のそれぞれを容易にするために半径方向に引き合わせても押し離してもよい。
【0050】
主レンズ50と副レンズ60との間の接合部174を連結および分離する(または係止および係止解除する)ために把持用穴182を介して印加される半径方向力を使用すると、水晶体嚢に印加される前後力を低減し、それによって嚢破裂のリスクを低減する。把持用穴182は、また、前後力を最小にしつつ異なる噛合構造の連結および分離を容易にするために使用してもよい。例えば、主レンズ50の凹部は副レンズ60の周囲縁端の対応する雄ねじに係合する雌ねじを含んでもよい。この実施形態においては、把持用穴182に挿入される鉗子は、主レンズ50と副レンズ60とをねじ留めするためおよびねじを緩めるため主レンズ50に対する副レンズ60の回転を容易にするために使用されてもよい。代替的実施形態においては、副レンズ60のキー付き拡張部を主レンズ50のキー付き開口部に挿入して把持用穴182に挿入された鉗子を使用して回転させ、主レンズ50と副レンズ60とを係止および係止解除してもよい。別の代替的実施形態においては、鉗子等が副レンズ60の孔を通じて後方に挿入されて、ハンドル(不図示)のような主レンズ50の前部突起物を把持し、続いて、主レンズ50を静止して保持しつつ副レンズ60に後方圧力を印加してもよい。把持用穴182はまた、例えば、トーリック用途における回転調節の目的のため副レンズ60を主レンズ50に対して回転させるために使用されてもよい。
【0051】
図19~19Dに関して、代替的なモジュール式IOL190がそれぞれ正面図、断面図、詳細図、等角分解図および等角組立図において示される。
図19Aは、
図19の線A-Aに沿って切った断面図を示し、
図19Bは、
図19Aの円Bの詳細図を示し、
図19Cは、構成要素の組立分解等角図を示し、
図19Dは、構成要素の組立等角図を示す。モジュール式IOL190は、主構成要素が基部55としての機能を果たすが光学補正を必ずしも提供するわけではなく、その一方で、副構成要素はレンズ65としての機能を果たし、かつ光学補正を提供するという点で前に記載した実施形態のいくつかとは異なる。基部55は前後方向に延びる中心開口部57を中に有する円環または輪の形状で構成されてもよい。いくつかの実施形態では、基部55は完全な輪または円環を画定しなくてもよい。基部55は、また、機能は上述の支持部54に類似しているが幾何学的構成は異なる支持部59を含んでもよい。概して、支持部54/59は基部55を水晶体嚢内において中心に位置決めするように機能する。そのような支持部は、また、水晶体嚢拡張リングと同様に、対称的な治癒を補助し、かつ基部の中心化を維持すべく、水晶体嚢の内赤道表面に対して外向きの張力を印加するように構成されてもよい。支持部59はその中に1つまたは複数の開口部を含んでもよい。
【0052】
基部55は中心開口部57を含むので、レンズ65の後方光学表面は基部55と接触していない。レンズ65内に円形拡張部が形成されてもよく、同様の大きさおよび形状の円形凹部が基部55に形成されて基部55上の突起とオーバラッピング接合部(overlapping joint)192とを形成し、その間に干渉および/または摩擦嵌合を有し、したがって2つの構成要素は確実に連結される。代わりに、オーバラッピング接合部192の形状は、上述のような傾斜した角度または「S」字形を形成し、その間にインタロックを形成してもよい。接合部または結合部192は結合部192に起因する光散乱を低減するための改質表面を含んでもよい。例えば、接合部192の境界面の1つまたは両方は結合部192に起因する光散乱を低減するため部分的ないし完全に(partially to totally)不透明であってもつや消しであってもよい(すなわち粗面)。
【0053】
図19Bにおいて最も良く分かるように、基部55の凹部の深さはレンズ65の前方表面と基部55の前方表面とが面一であるようにレンズ65の円形拡張部と同じ厚みであってもよい。この配置によって、レンズ65の後方表面は基部55の前方表面よりも後側に延びている。いくつかの実施形態では、しかしながら、レンズ65の前方表面は基部55の前方表面よりも比較的高くまたは低く配置されてもよい。凹部および基部55の対応する突起の寸法は、レンズ65の最後方表面の少なくとも一部が基部55の最後方表面と同一平面上にあるように、またはレンズ65の最後方表面の少なくとも一部が基部55の最後方表面よりも後方であるようにレンズ65の厚みに対して選択してもよい。
【0054】
前の実施形態と同様に、レンズは術中的または術後的のいずれかにおいて異なるレンズに交換されてもよい。これは、例えば、第1のレンズが所望の屈折補正を提供しない場合に望ましい場合があり、この場合、第1のレンズを、水晶体包を乱すことなく異なる屈折補正を有する第2のレンズに交換してもよい。例えば、基部の動きまたはミスアライメントによりレンズ65が所望の光学アライメントを有しない場合、それを、基部55に対してオフセットするように製造された光学部分を有する異なるレンズに交換してもよい。例えば、第2のレンズの光学部分は、
図9A~9Dに関して記載した実施形態と同様に、回転方向、側方方向および/または軸方向においてオフセットしてもよい。この概念は副構成要素(例えばレンズ)が主構成要素(例えば基部)に対して限られた位置調整性を有する本明細書中の他の実施形態に適用されてもよい。
【0055】
この実施形態の一般形態には多くの利点が付随するが、そのいくつかを以下に述べる。例えば、レンズ65の後方光学表面は基部55と接触していないので、その間に残屑が捕捉される可能性が排除される。また、例として、基部55は材料がない中心開口部57を含むので、基部55は角膜内のより小さな切開による送達を容易にすべく、上述の主レンズ50よりも小さな直径に巻かれることができる。代わりに、基部55はより大きな外径を有してもよく、かつ主レンズ50と同様の直径に巻かれてもよい。例えば、基部レンズ55は、約8mmの外径(支持部を除く)を有してもよく、かつ外径6mmを有する主レンズ50と同じ直径に巻かれてもよい。これにより、基部55とレンズ65との間の結合部の少なくとも一部が、通常5~6mmの直径を有する嚢切開部の周方向縁部から離れる方に半径方向外側に移動することを可能にし得る。基部55とレンズ65との間の結合部の少なくとも一部を嚢切開部の周囲から半径方向外側に移動すると視野内における結合部の量を低減することができ、それ故に、光散乱または光学収差(例えば異常光視症)が生じる可能性を低減し得る。当然、この例に関わらず、レンズ65を基部55に連結する、またはレンズ65を基部55から分離するのに水晶体包を操作する必要性を軽減するために、レンズ65と嚢切開部の周囲縁端との間に隙間を提供するための任意の適切な寸法を選択してもよい。
【0056】
図20~20Dに関して、代替的なモジュール式IOL200がそれぞれ正面図、断面図、詳細図、等角分解図および等角組立図において示される。
図20Aは、
図20の線A-Aに沿って切った断面図を示し、
図20Bは、
図20Aの円Bの詳細図を示し、
図20Cは、構成要素の組立分解等角図を示し、
図20Dは、構成要素の組立等角図を示す。モジュール式IOL200は、対応する支持部59を備えた基部55とレンズ65とを含む。基部55は、レンズ65の後方光学表面が基部55と接触しないように中心穴57を含む。レンズ65は、基部55上の突起とオーバラッピング接合部202とを形成するために基部55に形成された円形凹部に適合するような大きさおよび形状の円形拡張部を含む。オーバラッピング接合部202は2つの構成要素を確実に連結するために「S」字形界面によって構成されてもよい。したがって、モジュール式IOL200は、基部55とレンズ65との間の接合部202がペグと穴の配置を含んでもよいこと以外はモジュール式IOL190に類似している。この配置においては、直径方向に対向する一対のペグ204がレンズ65の後方周囲から後側に延びてもよく、かつ基部55の接合部202の突起内に形成された一連の穴206から選択した一対の穴206内に嵌合してもよい。
【0057】
図20E~20Iは、モジュール式IOL200の更なる詳細を示す。
図20Eは、レンズ65の側面図を示し、
図20Fは、レンズ65の後方表面の背面図を示し、
図20Gは、
図20Eの円Gの詳細図であり、
図20Hは、基部55の前方表面の正面図であり、
図20Iは、
図20Hの円Iの詳細図である。
図20E~20Fに見られるように、直径方向に対向する一対のペグ204がレンズ65の後方周囲から後側に延びてもよい。
図20H~20Iに見られるように、接合部202の突起に沿う基部55の内径には一連の穴206を含み、その選択した一対の中に一対のペグ204を挿入してもよい。この配置によって、レンズ65を、例えば、トーリック用途における回転調節の目的のため基部55に対して選択的に回転させてもよい。
【0058】
図21~21Eに関して、代替的なモジュール式IOL210がそれぞれ前面図、断面図、詳細図および等角図において示される。
図21Aおよび
図21Bは、
図21の線A-Aおよび線B-Bそれぞれに沿って切った断面図を示す。
図21Cおよび
図21Dは、それぞれ
図21Aの円Cおよび
図21Bの円Dの詳細図を示す。
図21Eは、モジュール式IOL210の組立済み構成要素の等角図を示す。モジュール式IOL210は、
図19~19Dに示されるモジュール式IOL190と、
図17~17Cに示されるモジュール式IOL170との組み合わせと同様に構成してもよい。モジュール式IOL190と同様に、モジュール式IOL210は、中心開口部と壁を画定する凹部とを備えた円環または輪の形状で構成された基部55を含む。凹部内には同様の大きさおよび形状の円形レンズ65が配置されてもよい。モジュール式IOL170と同様に、壁は、基部55の内周に沿って延びる凹部を画定し、その一部は直径方向に対向する2つのタブ212を画定するために削られている。タブ212の内部周壁はレンズ65の前方表面が基部55の前方表面と面一であるように
図21Cに見られるような面一接合部214を提供する。タブ212に沿う接合部214の界面は、例えば、「S」字形または示されるように「C」字形に傾斜していてもよい。タブ212から離れた周囲に沿う別の場所では、壁が削られた領域において、例えば、鉗子を使用した半径方向圧縮によるレンズ65の挿入および除去を容易にするためにレンズ65の周囲縁端は
図21Dに見られるように露出する。
【0059】
図22~22Dに関して、代替的なモジュール式IOL220がそれぞれ前面図、断面図および詳細図において示される。
図22Aは、
図22の線A-Aに沿って切った断面図を示し、
図22Bは、
図22の線B-Bに沿って切った断面図であり、
図22Cは、
図22Aの円Cの詳細図を示し、
図22Dは、
図22Bの円Dの詳細図を示す。モジュール式IOL220は、対応する支持部59を備えた基部55とレンズ65とを含む。基部55は、レンズ65の後方光学表面が基部55と接触しないように中心穴を含む。レンズ65の周囲は基部55上の突起と面一接合部222とを形成するために基部55に形成された円形凹部に適合するような大きさおよび形状とされる。面一接合部222は2つの構成要素を確実に連結するために「S」字形界面によって構成されてもよい。一対のペグ224は基部55のその内周の近傍から前側に延びてレンズ65の周囲の近傍にある一対の円弧形状のスロット226を通る。
図22に示すように、円弧形状のスロットはレンズ65の周縁の一部に沿って延びてもよい。この配置によって、レンズ65を、例えば、トーリック用途における回転調節の目的のため基部55に対して選択的に回転させてもよい。
【0060】
ペグ224は、
図22Cに示すように、レンズ65の前方表面の上に出るような大きさにされかつ構成されてもよい。鉗子等をレンズ65の円弧形状のスロット226を通じて後方に挿入し、ハンドルのようなペグ224を把持し、続いて、ペグ224を静止して保持しつつ後方圧力をレンズ65に印加してもよい。レンズ65の基部55への連結中、ペグ224を保持すること、故に、基部55を安定させることによって、水晶体嚢に印加される前後力が低減され、それによって、嚢破裂のリスクが低減される。
【0061】
図23A~23Dに関して、本開示の一実施形態によるモジュール式IOLのためのレンズ除去システムが概略的に示される。
図23Aおよび
図23Bは、レンズ除去システムのそれぞれ側面図および上面図である。
図23Cおよび
図23Dは、レンズ60/65を除去するためにレンズ除去システムをどのように使用してよいかを示す上面図である。レンズ除去または摘出器システムは、カニューレ230と一対の鉗子235とを含んでもよい。カニューレ230は鉗子235を摺動可能に受け入れるようなサイズの内腔を含んでもよい。カニューレ230は管形軸部232と傾斜のある先端開口部234とを含んでもよい。カニューレ230は例えば従来のIOL挿入デバイスと同様に形成および構成されてもよい。鉗子235は一対の非侵襲的把持チップ237と管形軸239とを含む。チップ237を圧縮し、レンズ60/65を把持するために管形軸239を前進させてもよい。鉗子235は、レンズ60/65の損傷を回避するためにチップ237が比較的軟質の高分子材料で形成されても比較的軟質の高分子材料によって被覆されてもよいこと以外は、例えば従来の眼科用鉗子と同様に形成および構成されてもよい。概して、本明細書中に記載されるモジュール式IOL構成要素を操作するのに使用される任意のデバイスは、その構成要素の損傷を回避するために比較的軟質の高分子材料によって形成されても被覆されてもよい。
【0062】
図23Cおよび
図23Dに関して、カニューレ230はその先端部が嚢切開部に隣接するまで角膜切開を通して挿入されてもよい。鉗子235は先端チップ237がカニューレ230の先端部を越えて遠方に(distally)延びるまでカニューレ230内におよびそれを通して挿入されてもよい。摘出されるレンズ60/65は
図23Cに示すように鉗子235で把持されてもよい。レンズ60/65が鉗子235によって確実に保持された状態で、鉗子235は基端の方に(proximally)カニューレ230内に引き込まれてもよい。鉗子235がカニューレ230内に引き込まれるにつれてレンズ60/65は傾斜のある(contoured)開口部234に入る。傾斜のある開口部234は、
図23Dに見られるようにレンズ60/65の縁端が巻かれ、かつ折られることを促進する。こうして鉗子235をカニューレ230内に完全に引き込むと、眼から除去されうる後のレンズ60/65をカニューレ230の内腔に安全に捕捉する。関連ステップを逆にし、レンズ60/65を挿入するために類似の手法もまた使用してもよい。
【0063】
図24~26は、本開示の実施形態によるモジュール式lOLを使用する例示的な方法を記載する。例として、主レンズおよび副レンズに関して記載されているが、必ずしも限定されず、同じまたは類似の方法が、基部と水晶体とを含む本明細書中に記載されるモジュール式IOL実施形態を含む、他のモジュール式IOL実施形態に適用されてもよい。
【0064】
図24に関して、本開示の一実施形態によるモジュール式IOLを使用するための方法が概略フローチャートで示される。この例では、最適に及ばない光学的結果が術中的に検出された場合に副レンズを交換してもよい。白内障手術などのIOL埋入処置を従来の手法に従って開始110してもよい。その後、角膜アクセス用切開を作製するステップ、前水晶体嚢の嚢切開部を切開するステップ、白内障水晶体を超音波水晶体乳化吸引術によって除去するステップなどの従来のステップを使用して、モジュール式IOLを受け入れるように天然の水晶体を準備112してもよい。基部レンズ(すなわち主レンズ50)が、その後、水晶体包内に配置114される。副レンズ(すなわち副レンズ60)が、その後、水晶体嚢に触れることまたはそうでなければ乱すことなく嚢切開部の周囲内の基部レンズ上に配置116される。取付手段が、その後、副レンズを基部レンズに着脱可能に連結するために係合118する。代わりに、基部レンズと副レンズとが共にユニットとして挿入されるように、水晶体包内に配置する前に副レンズを基部レンズに取り付けてもよい。基部レンズと副レンズの両方が所定の位置にある状態で、例えば、術中収差測定によって光学的結果を測定120してもよい。光学的結果は屈折補正、中心性、トーリック補正等を考慮に入れてもよい。光学的結果が最適であるか最適に及ばないかについての判定122が、その後、行われる。光学的結果が最適であるかそうでなければ適切である場合、IOL処置は完了124する。しかしながら、光学的結果が最適に及ばないかそうでなければ不適切である場合、取付手段は分離126されてもよく、副レンズは除去128されてもよい。異なる副レンズが、その後、示されるような同じ後のステップに従い基部レンズ上に配置116されてもよい。異なる副レンズは、例えば、屈折異常を補正するための異なる屈折力、偏心の補正のための異なるオフセット、またはトーリック誤差(toric
error)の補正のための異なるトーリック屈折力(toric power)を有してもよい。
【0065】
図25に関して、本開示の一実施形態によるモジュール式IOLを使用するための代替的方法が概略フローチャートで示される。この例では、副レンズは最適に及ばない光学的結果が術後的に検出された場合に交換されてもよい。例えば、1~4週間またはそれを超える期間患者がモジュール式IOLに順化130していること以外は、先に記載したように同一のステップ110~118および124が実施されてもよい。再度の訪問時に、光学的結果が測定120され、光学的結果が最適であるか最適に及ばないかについての判定122がなされる。光学的結果が最適であるかそうでなければ適切である場合、処置が停止132される。光学的結果が最適に及ばないかそうでなければ不適切である場合、上述したステップ126、128、116および118に従い副レンズを交換するための修正処置を開始134してもよい。
【0066】
この方法は、光学的結果が十分であるかどうかを決定する前に水晶体包を治癒することを可能にし、治癒プロセスが主レンズおよび/または副レンズの位置を変える点で有利とされうる。この方法は、また、患者の視力ニーズまたは要求がより長期間にわたり(例えば、>1年)変化する慢性ベースで適用されてもよい。この例では、患者は、より強力な屈折補正、トーリック補正または多焦点補正などの異なる補正を必要としたり所望したりする場合があり、そのそれぞれが異なる副レンズで対処されてもよい。
【0067】
図26に関して、本開示の一実施形態によるモジュール式IOLを使用するための別の代替的方法が概略フローチャートにおいて示される。この例では、光学的に最適に及ばないかあるいは患者のニーズおよび要求を満たさない既存のIOLを有する患者138に、副レンズが埋入されてもよい。処置開始110後、例えば、上述のような溝を形成するために、レーザエッチングを使用して生体内原位置で既存の(基部)IOL内に取付機構を形成(ステップ140)してもよい。溝の形成は水晶体包に触れることあるいは乱すことを回避するために事前に切開した嚢切開部の周囲内において実施してもよい。副レンズは、その後、嚢切開部の周囲内の基部レンズに配置116してもよく、かつ取付手段は副レンズを基部レンズに連結するために係合118してもよく、上述のように処置を完了124してもよい。
【0068】
図27~27Dに関して、代替的なモジュール式IOL270がそれぞれ前面図、断面図および詳細図において示される。
図27Aおよび
図27Bは、
図27の線A-Aおよび線B-Bそれぞれに沿って切った断面図を示す。
図27Cおよび
図27Dは、それぞれ
図27Aの円Cおよび
図27Bの円Dの詳細図を示す。モジュール式IOL270は
図21~21Dに示されるモジュール式IOL210と同様に構成してもよい。モジュール式IOL210と同様に、モジュール式IOL270は、円環または輪の形状で構成された基部55を含み、これは、中心開口部と、同様の大きさおよび形状の円形レンズ65が中に配置されうる壁を画定する凹部と、を備える。また、モジュール式IOL210と同様に、凹部を画定する壁は基部55の内周に沿って延び、その一部は直径方向に対向する2つのタブ272を画定するために削られている。レンズ65の前方表面が基部55の前方表面と面一であるようにタブ272の内部周壁は
図27Cに見られるような面一接合部274を提供する。タブ272に沿う接合部274の界面は、例えば、「S」字形または示されるように「C」字形に傾斜していてもよい。タブ272から離れた周囲に沿う別の場所では、壁が削られた領域において、レンズ65の周囲縁端が、例えば、鉗子を使用した半径方向圧縮によるレンズ65の挿入および除去を容易にするために
図27Dに見られるように露出する。
【0069】
基部55は材料がない中心開口部を含むので、基部55は、例えば、約8mmの、より大きな外側光学直径(支持部を除く)を有し、なおかつ、例えば、約2.4mm未満の角膜切開に適合するほど十分に小さな送達形状に巻かれ得る。これにより、基部55とレンズ65との間の結合部の少なくとも一部が、通常5~6mmの直径を有する嚢切開部の周方向縁部から離れる方に半径方向外側に移動することを可能にし得る。基部55とレンズ65との間の結合部の少なくとも一部を嚢切開部の周囲から半径方向外側に移動すると視野内における結合部の量を低減することができ、それ故に、光散乱または光学収差(例えば異常光視症)が生じる可能性を低減し得る。
【0070】
この利点を更に示すために、通常、6mmの従来の水晶体の光学直径を有する標準(単一構成要素)IOLを考慮する。6mm直径の光学素子を有するIOLは巻かれ、2.2mm角膜切開を通して送達され得る。標準IOLを水晶体嚢内に確実に固定するために、嚢切開部は、通常、嚢が崩壊し且つ治癒した後に水晶体嚢が標準IOLを完全に捕捉することを可能にするような大きさにされる。これにより、外科医は、約4.5mm~5.5mmの直径を有する嚢切開部を形成することになる。
【0071】
ここで比較によりIOL270を考慮する。モジュール式(2部品)性質のIOL270および基部55にある穴は、両構成要素(基部55およびレンズ65)が巻かれ、小さな角膜切開(例えば、2.2mm)を通して送達されることを可能にするが、4.5mm~5.5mmの嚢切開部を必要としない。反対に、基部は8mmの直径(支持部を除く)を有するので、嚢切開部直径はより大きくてもよく(例えば、6.0mm~6.5mm)、これは、レンズ65が嚢切開部の周囲の内側に快適に適合することを可能にするとともに、光の散乱を更に最小化するために結合部274がより周辺部にあることを可能にする。当然、これら例に関わらず、レンズ65を基部55に連結する、またはレンズ65を基部55から分離するのに水晶体包を操作する必要性を軽減するためにレンズ65と嚢切開部の周囲縁端との間に隙間を提供するために任意の適切な寸法を選択してもよい。
(付記)
好ましい実施形態として、上記実施形態から把握できる技術的思想について、以下記載する。
[項1]
周囲を有する嚢切開部を有する水晶体包内に埋入するための眼内レンズシステムであって、
a.本体と1つまたは複数の支持部とを有する眼内主構成要素であって、前記主構成要素が前記水晶体包内に嵌合するように構成され、前記本体が前記嚢切開部の前記周囲よりも大きいか前記嚢切開部の前記周囲に等しい赤道周囲を有する、眼内主構成要素と、
b.前記嚢切開部の前記周囲よりも小さい赤道周囲を有する光学本体を有する眼内副構成要素と、を含み、
c.前記主構成要素が光学補正を提供するために前記副構成要素を着脱可能に受け入れ、かつ連結するように構成されている、
システム。
[項2]
前記主構成要素が前後方向に延びる中心穴を含み、前記穴が前記副構成要素を受け入れるような大きさにされかつ構成されている、項1に記載のシステム。
[項3]
前記副構成要素の最後方光学表面が前記主構成要素の前方表面よりも後側に延びている、項2に記載のシステム。
[項4]
前記副構成要素の前記最後方光学表面の少なくとも一部が前記主構成要素の最後方表面と同一平面上にある、項3に記載のシステム。
[項5]
前記副構成要素の前記最後方光学表面の少なくとも一部が前記主構成要素の最後方表面よりも後方にある、項4に記載のシステム。
[項6]
前記主構成要素と前記副構成要素とが結合部において連結されており、前記結合部の少なくとも一部が前記結合部に起因する光散乱を低減するための改質表面を含む、項1に記載のシステム。
[項7]
前記改質表面が、前記結合部に起因する光散乱を低減するために少なくとも部分的に不透明である、項6に記載のシステム。
[項8]
前記改質表面が、前記結合部に起因する光散乱を低減するために少なくとも部分的につや消しされている、項6に記載のシステム。
[項9]
前記主構成要素が基部であり、前記副構成要素がレンズである、項1に記載のシステム。
[項10]
前記主構成要素が主レンズであり、前記副構成要素が副レンズである、項1に記載のシステム。
[項11]
前記副レンズの後方光学表面が前記主構成要素の前方光学表面に密接に接触している、項10に記載のシステム。
[項12]
前記主レンズと前記副レンズとが、組み合わせにおいて、所望の光学補正を提供する、項10に記載のシステム。
[項13]
前記副構成要素が支持部を除外する、項1に記載のシステム。
[項14]
前記副構成要素の前記赤道の直径は、前記嚢切開部の前記周囲内にあるとともに、それらの間に半径方向の隙間を画定するように構成されている、項1に記載のシステム。
[項15]
前記副構成要素が機械的取付部によって前記主構成要素に固定されており、前記機械的取付部の少なくとも一部が前記嚢切開部の前記周囲内にあるように構成されており、前記機械的取付部が軸方向力または回転力のうちの1つの印加によって係合および分離されうる、項1に記載のシステム。
[項16]
前記機械的取付部が、前記主構成要素と前記副構成要素とに連結された嵌合構造または噛合構造のうちの1つを含む、項15に記載のシステム。
[項17]
前記機械的取付部が、直径方向に対向し、かつ前記副構成要素の周囲部縁端に隣接する2対の嵌合構造を含む、項15に記載のシステム。
[項18]
前記嵌合構造が巻軸線と整列されており、前記水晶体包内への送達のために前記巻軸線を中心として前記構成要素が巻かれる、項17に記載のシステム。
[項19]
前記機械的取付部が突起物と凹部とを含む、項15に記載のシステム。
[項20]
前記凹部が前記主構成要素および前記副構成要素の一方に形成され、前記突起物が前記主構成要素および前記副構成要素の他方に形成される、項19に記載のシステム。
[項21]
前記凹部が生体内原位置で形成される、項19に記載のシステム。
[項22]
前記副構成要素が化学誘引によって前記主構成要素に固定される、項1に記載のシステム。
[項23]
前記主構成要素の接触表面と前記副構成要素の接触表面とが同じ材料で形成される、項22に記載のシステム。
[項24]
前記主構成要素の前記接触表面および前記副構成要素の前記接触表面が前記表面を活性化するために化学的に処理される、項23に記載のシステム。
[項25]
前記主構成要素の、前記副構成要素への連結部が回転方向、側方方向(左右)、または軸方向(前後)のうちの1つにおいて調節可能である、項1に記載のシステム。
[項26]
眼内レンズ(IOL)を埋入する方法であって、
a.嚢切開部の形成を含む、IOLの埋入のために天然の水晶体包を準備するステップと、
b.主構成要素を前記水晶体包内に配置するステップと、
c.副構成要素を前記嚢切開部の周囲内の前記主構成要素に固定するステップと、
を含む、方法。
[項27]
前記主構成要素と前記副構成要素とが、周囲を有する結合部において連結され、前記結合部に付随する光散乱および異常光視症の可能性を低減するために前記結合部周囲の少なくとも一部が前記嚢切開部の前記周囲よりも大きい、項26に記載の方法。
[項28]
前記主構成要素に関連する前記水晶体包を破壊することなく前記副構成要素を前記主構成要素から除去するステップを更に含む、項26に記載の方法。
[項29]
前記主構成要素に関連する前記水晶体包を破壊することなく前記主構成要素と異なる光学特性を有する異なる副構成要素を固定するステップを更に含む、項28に記載の方法。
[項30]
眼内レンズ(IOL)を埋入する方法であって、
a.機械的取付部の少なくとも一部分を嚢切開部の周囲内に予め埋入されているIOL上に形成するステップと、
b.前記嚢切開部の前記周囲内の前記予め埋入されているIOLに副構成要素を固定するステップと、
を含む、方法。