IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 武漢天馬微電子有限公司の特許一覧

<>
  • 特開-表示装置 図1
  • 特開-表示装置 図2A
  • 特開-表示装置 図2B
  • 特開-表示装置 図3
  • 特開-表示装置 図4
  • 特開-表示装置 図5
  • 特開-表示装置 図6
  • 特開-表示装置 図7
  • 特開-表示装置 図8
  • 特開-表示装置 図9
  • 特開-表示装置 図10
  • 特開-表示装置 図11
  • 特開-表示装置 図12
  • 特開-表示装置 図13
  • 特開-表示装置 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004262
(43)【公開日】2025-01-14
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3233 20160101AFI20250106BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20250106BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20250106BHJP
   G09F 9/302 20060101ALI20250106BHJP
   H10K 59/131 20230101ALI20250106BHJP
   H10K 59/88 20230101ALI20250106BHJP
   H10K 59/40 20230101ALI20250106BHJP
   H10K 50/86 20230101ALI20250106BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20250106BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 J
G09G3/20 611A
G09G3/20 612A
G09G3/20 642F
G09G3/20 670J
G09G3/20 691D
G09G3/20 680H
G09F9/30 365
G09F9/30 349C
G09F9/302 Z
H10K59/131
H10K59/88
H10K59/40
H10K50/86 865
G06F3/041 422
G06F3/044 124
G09F9/30 349Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024184871
(22)【出願日】2024-10-21
(62)【分割の表示】P 2020125353の分割
【原出願日】2020-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】520272868
【氏名又は名称】武漢天馬微電子有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松枝 洋二郎
(72)【発明者】
【氏名】下田 雅通
(57)【要約】
【課題】表示装置の消費電力を低減する。
【解決手段】表示装置は、表示領域と、制御回路と、第1電源線パターンと、第2電源線パターンとを含む。表示領域は、第1領域と、表示画素密度が第1領域より小さい、第2領域とを含む。制御回路は、第1電源線パターンによって、第1領域の画素回路に、第1電源電位を与え、第2電源線パターンによって、第2領域の画素回路に、第1電源電位より高い第2電源電位を与え、画像データの同一階調レベルに対して、第2領域の表示画素の発光素子に対して第1領域の表示画素の発光素子よりも大きい駆動電流を与え、予め定められた条件の変化に応じて、第2電源電位を変化させ、第2電源電位の値に基づいて、第2領域の表示画素に与えるデータ信号を決定する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入力された画像データの画像を表示する、複数の表示画素を含む表示領域と、
前記表示領域を制御する制御回路と、
第1電源線パターンと、
第2電源線パターンと、
を含み、
前記表示領域は、
第1領域と、
表示画素密度が前記第1領域より小さい、第2領域と、
を含み、
前記制御回路は、
前記第1電源線パターンによって、前記第1領域の画素回路に、第1電源電位を与え、
前記第2電源線パターンによって、前記第2領域の画素回路に、前記第1電源電位より高い第2電源電位を与え、
画像データの同一階調レベルに対して、前記第2領域の表示画素の発光素子に対して前記第1領域の表示画素の発光素子よりも大きい駆動電流を与え、
予め定められた条件の変化に応じて、前記第2電源電位を変化させ、
前記第2電源電位の値に基づいて、前記第2領域の表示画素に与えるデータ信号を決定する、
表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記予め定められた条件は、前記第2領域の表示画素の劣化及び周囲の明るさの少なくとも一方を含む、
表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記表示領域の外側に配置された複数のダミー画素をさらに含み、
前記複数のダミー画素の各ダミー画素は、前記第2領域に配置された表示画素に対応付けられ、
前記制御回路は、
前記複数のダミー画素の各ダミー画素に、前記対応付けられた前記第2領域の表示画素と同一のデータ信号を与え、
前記複数のダミー画素の各ダミー画素の発光素子の劣化の測定を行い、
前記測定の結果に基づいて、前記複数のダミー画素それぞれに対応づけられている前記第2領域の表示画素へのデータ信号を補正する、
表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の表示装置であって、
視認側において前記複数のダミー画素を覆う1又は複数の遮光膜をさらに含む、
表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の表示装置であって、
前記表示領域の視認側に配置されたタッチスクリーンをさらに含み、
前記タッチスクリーンは、透明な電極片を接続する遮光性の導体膜を含み、
前記1又は複数の遮光膜は、前記遮光性の導体膜と同層に形成されている、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
OLED(Organic Light-Emitting Diode)素子は電流駆動型の自発光素子であるため、バックライトが不要となる上に、低消費電力、高視野角、高コントラスト比が得られるなどのメリットがあり、フラットパネルディスプレイの開発において期待されている。
【0003】
OLED表示装置の表示領域が、画素密度が異なる領域を含むことがある。例えば、いくつかのスマートフォンやタブレット型コンピュータなどの携帯端末において、表示領域の下に画像撮像用のカメラが配置される。カメラが外部からの光を受光するために、カメラは、周囲よりも画素密度が小さい領域の下に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0357952号
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0030214号
【特許文献3】米国特許出願公開第2018/0182816号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表示領域における画像の表示品質の低下を抑制するため、相対的に画素密度が小さい領域における画素単位の輝度は、相対的に画素密度が大きい通常領域の画素単位の輝度より大きくする必要がある。OLED素子は電流駆動型の素子であるため、画素密度が小さい領域の画素には、画素密度が大きい通常領域の画素よりも多くの電流が供給される。そのため、表示領域内の全てのOLED素子の電源電位が共通である場合、画素密度がより小さい領域の画素回路にはより高いデータ信号電圧を与えることになり、表示装置全体の消費電力が増加する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の表示装置は、外部から入力された画像データの画像を表示する、複数の表示画素を含む表示領域と、前記表示領域を制御する制御回路と、第1電源線パターンと、第2電源線パターンと、を含む。前記表示領域は、第1領域と、表示画素密度が前記第1領域より小さい、第2領域と、を含む。前記制御回路は、前記第1電源線パターンによって、前記第1領域の画素回路に、第1電源電位を与え、前記第2電源線パターンによって、前記第2領域の画素回路に、前記第1電源電位より高い第2電源電位を与え、画像データの同一階調レベルに対して、前記第2領域の表示画素の発光素子に対して前記第1領域の表示画素の発光素子よりも大きい駆動電流を与える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、表示装置の消費電力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】OLED表示装置の構成例を模式的に示す。
図2A】画素回路の構成例を示す。
図2B】画素回路の他の構成例を示す。
図3】TFT基板の基板、駆動TFT及びOLED素子、並びに、封止構造部の断面構造を模式的に示す。
図4】表示領域及び表示領域外に配置されたダミー画素を模式的に示す。
図5図4において一点鎖線で囲まれた領域の詳細を示す。
図6図4において一点鎖線で囲まれた領域のダミー画素レイアウトを示す。
図7】タッチスクリーンに形成されている、遮光パターン及びタッチ電極パターンの例を示す平面図である。
図8】TFT基板上の制御配線のレイアウトを模式的に示し、
図9】TFT基板上のアノード電源線及びカソード電極のレイアウトを模式的に示す。
図10】低密度領域の副画素の発光輝度特性のグラフを示す。
図11】低密度領域の副画素の発光輝度特性のグラフを示す。
図12】ダミー副画素の画素回路の構成例を示す。
図13】通常動作におけるダミー副画素に対する信号のタイミングチャートの例を示す。
図14】ダミー副画素のOLED素子の劣化測定動作における信号のタイミングチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態を説明する。本実施形態は本開示を実現するための一例に過ぎず、本開示の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。
【0010】
以下の説明において、画素は、表示領域における最小単位であり、単一色の光を発光する要素を示し、副画素とも呼ばれることがある。複数の異なる色の画素、例えば、赤、青及び緑の画素のセットが、一つのカラードットを表示する要素を構成し、主画素と呼ばれることがある。以下において、説明の明確化のために単一色表示を行う要素とカラー表示を行う要素を区別する場合に、それぞれ、副画素及び主画素と呼ぶ。なお、本明細書の特徴は、モノクロ表示を行う表示装置に適用することができ、その表示領域はモノクロ画素で構成されている。
【0011】
以下において、表示装置の構成例を説明する。表示装置の表示領域は、相対的に画素密度が小さい第2領域(低密度領域とも呼ぶ)と、相対的に画素密度が大きい第1領域(通常領域とも呼ぶ)とを含む。表示領域における画像の表示品質の低下を抑制するため、同一の画像データの階調レベルに対して、低密度領域における画素の輝度は、通常領域の画素の輝度より大きくなるように制御される。なお、通常領域よりも画素密度が低い複数の低密度領域が配置されてもよく、これらの画素密度が異なっていてもよい。
【0012】
以下に説明する例において、画素の発光素子は電流駆動型の素子であり、例えば、OLED(Organic Light-Emitting Diode)素子である。従って、同一階調レベルの画像データに対して、低密度領域の画素には、通常領域の画素よりも多くの電流が供給される。
【0013】
以下において、通常領域と低密度領域とのために、異なる電源線パターンを含むOLED表示装置を説明する。OLED表示装置は、低密度領域に対いて、通常領域をよりも高い電源電位を与える。これにより、低密度領域におけるデータ信号電圧範囲(単にデータ信号範囲とも呼ぶ)を抑えながら輝度を上昇させることができ、OLED表示装置全体での消費電力を低減することができる。
【0014】
以下に説明するOLED表示装置は、さらに、低密度領域内の画素に対応し、表示領域外に配置された、ダミー画素を含む。低密度領域の画素は通常領域より大きい駆動電流を供給されるため、低密度領域の画素の劣化は、通常領域の画素よりも早く進む。ダミー画素は、対応する画素と同様の輝度で発光するように制御される。ダミー画素は、視認側において、遮光膜に覆われている。これにより、ダミー画素がユーザに視認されることを防ぐことができる。
【0015】
ダミー画素は、劣化測定用画素である。OLED表示装置は、ダミー画素の発光素子の劣化の度合いを測定し、その測定結果を、低密度領域内の対応画素の輝度の補正制御にフィードバックする。画像の表示と関わりのないダミー画素の劣化を測定することで、画像表示への影響を避けつつ、低密度領域内の画素の輝度補正をより適切に行うことができる。なお、異なる電源線パターンとダミー画素とは、それぞれ独立して表示装置に実装することができる。
【0016】
[表示装置の構成]
図1を参照して、本実施形態に係る、表示装置の全体構成を説明する。なお、説明をわかりやすくするため、図示した物の寸法、形状については、誇張して記載している場合もある。以下において、表示装置の例として、OLED表示装置を説明する。
【0017】
図1は、OLED表示装置10の構成例を模式的に示す。OLED表示装置10は、OLED素子(発光素子)が形成されるTFT(Thin Film Transistor)基板100と、OLED素子を封止する封止構造部200を含んで構成されている。TFT基板100の表示領域125の外側のカソード電極形成領域114の周囲に、制御回路が配置されている。具体的には、走査ドライバ131、エミッションドライバ132、静電気放電保護回路133、ドライバIC134、デマルチプレクサ136が配置されている。
【0018】
ドライバIC134は、FPC(Flexible Printed Circuit)135を介して外部の機器と接続される。走査ドライバ131はTFT基板100の走査線を駆動する。エミッションドライバ132は、エミッション制御線を駆動して、各画素の発光を制御する。静電気放電保護回路133は、TFT基板における素子の静電破壊を防ぐ。ドライバIC134は、例えば、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)を用いて実装される。
【0019】
ドライバIC134は、走査ドライバ131及びエミッションドライバ132に電源、及び、タイミング信号を含む制御信号を与える。さらに、ドライバIC134は、デマルチプレクサ136に、電源及びデータ信号を与える。デマルチプレクサ136は、ドライバIC134の一つのピンの出力を、d本(dは2以上の整数)のデータ線に順次出力する。デマルチプレクサ136は、ドライバIC134からのデータ信号の出力先データ線を、走査期間内にd回切り替えることで、ドライバIC134の出力ピン数のd倍のデータ線を駆動する。
【0020】
[画素回路構成]
TFT基板100上には、複数の副画素のアノード電極にそれぞれ供給する電流を制御する複数の画素回路が形成されている。図2Aは、画素回路の構成例を示す。各画素回路は、駆動トランジスタT1と、選択トランジスタT2と、エミッショントランジスタT3と、保持容量C1とを含む。画素回路は、OLED素子E1の発光を制御する。トランジスタは、TFTである。
【0021】
選択トランジスタT2は副画素を選択するスイッチである。選択トランジスタT2はpチャネル型TFTであり、ゲート端子は、走査線106に接続されている。ソース端子は、データ線105に接続されている。ドレイン端子は、駆動トランジスタT1のゲート端子に接続されている。
【0022】
駆動トランジスタT1はOLED素子E1の駆動用のトランジスタ(駆動TFT)である。駆動トランジスタT1はpチャネル型TFTであり、そのゲート端子は選択トランジスタT2のドレイン端子に接続されている。駆動トランジスタT1のソース端子はアノード電源電位VDDを伝送する電源線108に接続されている。ドレイン端子は、エミッショントランジスタT3のソース端子に接続されている。駆動トランジスタT1のゲート端子とソース端子との間に保持容量C1が形成されている。
【0023】
エミッショントランジスタT3は、OLED素子E1への駆動電流の供給と停止を制御するスイッチである。エミッショントランジスタT3はpチャネル型TFTであり、ゲート端子はエミッション制御線107に接続されている。エミッショントランジスタT3のソース端子は駆動トランジスタT1のドレイン端子に接続されている。エミッショントランジスタT3のドレイン端子は、OLED素子E1に接続されている。OLED素子E1のカソードにはカソード電源電位VSSが与えられている。
【0024】
次に、画素回路の動作を説明する。走査ドライバ131が走査線106に選択パルスを出力し、選択トランジスタT2をオン状態にする。データ線105を介してドライバIC134から供給されたデータ電圧は、保持容量C1に格納される。保持容量C1は、格納された電圧を、1フレーム期間を通じて保持する。保持電圧によって、駆動トランジスタT1のコンダクタンスがアナログ的に変化し、駆動トランジスタT1は、発光階調に対応した順バイアス電流をOLED素子E1に供給する。
【0025】
エミッショントランジスタT3は、駆動電流の供給経路上に位置する。エミッションドライバ132は、エミッション制御線107に制御信号を出力して、エミッショントランジスタT3のオンオフを制御する。エミッショントランジスタT3がオン状態のとき、駆動電流がOLED素子E1に供給される。エミッショントランジスタT3がオフ状態のとき、この供給が停止される。エミッショントランジスタT3のオンオフを制御することにより、1フレーム周期内の点灯期間(デューティ比)を制御することができる。
【0026】
図2Bは、画素回路の他の構成例を示す。当該画素回路は、図2AのエミッショントランジスタT3に代えて、リセットトランジスタT4を有する。リセットトランジスタT4は、基準電圧供給線110とOLED素子E1のアノードとの電気的接続を制御する。リセットトランジスタT4のゲートにリセット制御線109からリセット制御信号が供給されることによりこの制御が行われる。
【0027】
リセットトランジスタT4は、様々な目的で使用することができる。リセットトランジスタT4は、例えば、OLED素子E1間のリーク電流によるクロストークを抑制するために、一旦、OLED素子E1のアノード電極を黒信号レベル以下の十分低い電圧にリセットする目的で使用してもよい。
【0028】
図2A及び2Bの画素回路は例であって、画素回路は他の回路構成を有してよい。図2A及び2Bの画素回路はpチャネル型TFTを使用しているが、画素回路はnチャネル型TFTを使用してもよい。
【0029】
[OLED表示装置の断面構造]
以下において、OLED表示装置の構造を説明する。図3は、TFT基板100の基板、駆動TFT及びOLED素子、並びに、封止構造部200の断面構造を模式的に示す。基板は例えばフレキシブル基板であり、リジッド基板であってもよい。以下の説明において、上下は、図面における上下を示す。なお、封止構造部200は、封止基板を使用してもよい。
【0030】
OLED表示装置は、TFT基板100及び封止構造部200を含む。TFT基板100は、基板202並びにフレキシブル基板上に構成された画素回路(TFTアレイ)及びOLED素子を含む。画素回路及びOLED素子は基板202と封止構造部200との間に構成される。
【0031】
基板202は、有機物層、例えばポリイミド層、及び無機物層、例えばシリコン酸化物層やシリコン窒化物層、を含む複数の層で構成されたフレキシブル基板である。基板202上に、画素回路(TFTアレイ)及びOLED素子が形成されている。OLED素子は、下部電極(例えば、アノード電極308)と、上部電極(例えば、カソード電極302)と、有機発光多層膜304とを含む。カソード電極302とアノード電極308との間に、有機発光多層膜304が配置されている。複数のアノード電極308は、同一面上(例えば、平坦化膜321の上)に配置され、1つのアノード電極308の上に1つの有機発光多層膜304が配置されている。図3の例において、一つの副画素のカソード電極302は、連続する導体膜の一部である。
【0032】
図3は、トップエミッション型(OLED素子)の画素構造の例である。トップエミッション型の画素構造は、光が出射する側(図面上側及び視認側)に、複数の画素に共通のカソード電極302が配置される。カソード電極302は、表示領域125の全面を覆う形状を有する。トップエミッション型の画素構造において、アノード電極308は光を反射し、カソード電極302は光透過性をもっている。これにより、有機発光多層膜304からの光を封止構造部200に向けて出射させる構成となっている。
【0033】
トップエミッション型では、光を基板202側に取り出すボトムエミッション型と比べて、光取出しのための透過領域を画素領域内に設ける必要がないため、発光部を画素回路や配線の上にも形成することができるといった、画素回路のレイアウトにおいて高い自由度を有する。
【0034】
なお、ボトムエミッション型の画素構造は、透明アノード電極と反射カソード電極を有し、基板を介して外部(視認側)に光を出射する。また、アノード電極とカソード電極の双方を光透過性材料で形成することで透明表示装置を実現することもできる。本開示のフレキシブル基板構造は、これらのうちの任意の型のOLED表示装置にも適用でき、さらには、OLEDと異なる発光素子を含む表示装置に適用できる。
【0035】
副画素は、フルカラーOLED表示装置において一般に、赤、緑、又は青のいずれかの色を表示する。赤、緑、及び青の副画素により一つの主画素が構成される。複数の薄膜トランジスタを含む画素回路は、対応するOLED素子の発光を制御する。OLED素子は、下部電極であるアノード電極、有機発光層、及び上部電極であるカソード電極で構成される。
【0036】
OLED表示装置は、それぞれが複数のスイッチを含む複数の画素回路(TFTアレイ)を有する。複数の画素回路の各々は、フレキシブル基板202とアノード電極308との間に形成され、複数のアノード電極308の各々に供給する電流を制御する。図3に示す駆動TFTは、トップゲート構造を有する。他のTFTも同様に、トップゲート構造を有する。
【0037】
ポリシリコン層が、基板202上に存在している。ポリシリコン層にはTFTのトランジスタ特性をもたらすチャネル315が、のちにゲート電極314が形成される位置に存在する。その両端には上部の配線層と電気的に接続をとるために高濃度不純物がドープされたソース/ドレイン領域316、317が存在する。
【0038】
チャネル315とソース/ドレイン領域316、317の間には、低濃度の不純物をドープされたLDD(Lightly Doped Drain)を形成する場合もある。なお、LDDについては、煩雑になるため図示を省略している。ポリシリコン層の上には、ゲート絶縁膜323を介して、ゲート電極314が形成されている。ゲート電極314の層上に層間絶縁膜322が形成されている。
【0039】
表示領域125内において、層間絶縁膜322上にソース/ドレイン電極310、312が形成されている。ソース/ドレイン電極310、312は、層間絶縁膜322及びゲート絶縁膜323に形成されたコンタクトホール311、313を介してポリシリコン層のソース/ドレイン領域316、317に接続されている。
【0040】
ソース/ドレイン電極310、312の上に、絶縁性の有機平坦化膜321が形成される。平坦化膜321の上に、アノード電極308が形成されている。アノード電極308は、平坦化膜321のコンタクトホール309を介してソース/ドレイン電極312に接続されている。画素回路のTFTは、アノード電極308の下側に形成されている。
【0041】
アノード電極308は、例えば、中央の反射金属層と反射金属層を挟む透明導電層で構成される。アノード電極308の上に、OLED素子を分離する絶縁性の画素定義層(Pixel Defining Layer:PDL)307が形成されている。OLED素子は、画素定義層307の開口306に形成されている。
【0042】
アノード電極308の上に、有機発光多層膜304が形成されている。有機発光多層膜304は、画素定義層307の開口306及びその周囲において、画素定義層307に付着している。RGBの色毎に、有機発光材料を成膜して、アノード電極308上に、有機発光多層膜304が形成される。
【0043】
有機発光多層膜304の成膜は、メタルマスクを使用して、画素に対応する位置に有機発光材料を蒸着させる。有機発光多層膜304は、下層側から、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層によって構成される。有機発光多層膜304の積層構造は設計により決められる。
【0044】
有機発光多層膜304の上にカソード電極302が形成されている。カソード電極302は、光透過性を有する電極である。カソード電極302は、有機発光多層膜304からの可視光の一部を透過させる。カソード電極302の層は、例えば、Al、Mg等の金属又はこれらの金属を含む合金を蒸着して、形成する。カソード電極302の抵抗が高く発光輝度の均一性が損なわれる場合には、さらに、ITO又はIZOなどの透明電極形成用の材料で補助電極層を追加する。
【0045】
画素定義層307の開口306に形成された、アノード電極308、有機発光多層膜304及びカソード電極302の積層膜が、OLED素子を構成する。カソード電極302上には、封止構造部200が直接接触して形成されている。封止構造部(薄膜封止部)200は、下層から、無機絶縁物層301、有機平坦化膜331、無機絶縁物層332を含む。無機絶縁物層301及び332は、それぞれ、信頼性向上のために下層及び上層のパッシベーション層である。
【0046】
封止構造部200上に、下層から、タッチスクリーン333、λ/4板334、偏光板335、及び樹脂カバーレンズ336が積層されている。λ/4板334及び偏光板335は、外部から入射した光の反射を抑制する。なお、図3を参照して説明したOLED表示装置の積層構造は一例であり、図3に示す層の一部が省略されてもよく、図3に示されていない層が追加されてもよい。上述のようにタッチスクリーンをTFT基板100に積層することに代えて、TFT基板100と別プロセスで製造されたタッチスクリーンをTFT基板100に位置合わせして貼り合わせてもよい。
【0047】
[画素レイアウト]
図4は、表示領域125及び表示領域外に配置されたダミー画素を模式的に示す。OLED表示装置10は、例えば、スマートフォンやタブレット端末のようなモバイル端末に実装される。表示領域125は、通常の画素密度を有する通常領域451と、通常領域451の画素密度よりも低い画素密度を有する低密度領域453を含む。1又は複数のカメラ465が、低密度領域453の下に配置されている。図4において、複数のカメラのうちの一つが例として符号465で指示されている。以下において、表示領域125における副画素又は主画素を、表示副画素又は表示主画素と呼ぶことがある。
【0048】
低密度領域453はカメラ465の視認側に配置されており、カメラ465は、低密度領域453と通過した光によって視認側の物体を撮影する。カメラ465による撮影を妨げないように、低密度領域453の画素密度は、周囲の通常領域451の画素密度より低い。不図示の制御装置は、例えば、カメラ465により撮像した画像のデータをOLED表示装置10に送信する。なお、図4は、低密度領域の例として、カメラがその下に配置されている領域を示すが、本明細書における特徴は、他の目的のために画素密度が相対的に低い領域を含む表示装置に適用できる。
【0049】
低密度領域453は、N列M行の主画素で構成されている。主画素列は、図4における上下方向であるY軸に沿って配列された主画素で構成されている。主画素行は、図4における左右方向であるX軸に沿って配列された主画素で構成されている。
【0050】
図4に示すように、OLED表示パネルの表示領域125の外側に、ダミー画素(ダミー副画素)が配置されている。後述するように、ダミー副画素は、低密度領域453において対応する副画素の劣化を推定するために使用される。ドライバIC134は、ダミー副画素が、低密度領域453において対応する副画素と同様の輝度で発光するように制御し、ダミー副画素の劣化を測定する。これにより、対応する副画素の劣化を正確に評価することができる。
【0051】
図4の例において、低密度領域453の主画素それぞれに対応するダミー主画素が表示領域125の外側に配置されている。図4の例において、表示領域125の左右両側それぞれに、M×N/2のダミー主画素が配置されている。なお、低密度領域453内の一部の副画素に対するダミー副画素のみが用意されていてもよく、ダミー副画素のレイアウトは、図4のレイアウトに限定されず、任意である。
【0052】
図5は、図4において一点鎖線で囲まれた領域455の詳細を示す。図5は、デルタナブラ配置(単にデルタ配置とも呼ぶ)の画素レイアウトを示す。なお、本実施形態における特徴は、他の画素レイアウトを有する表示装置に適用することができる。
【0053】
領域455は、通常領域451と低密度領域453の一部の境界の近傍の領域である。図5に示す例において、低密度領域453の画素密度は、通常領域451の1/4である。低密度領域453の副画素は、同一の画像データに対して、通常領域451の副画素の4倍の輝度で発光するように制御される。
【0054】
表示領域125は、面内に配置されている、複数の赤副画素51R、複数の緑副画素51G、及び複数の青副画素51Bで構成されている。図5において、一つの赤副画素、一つの緑副画素、及び一つの青副画素が、例として、符号で指示されている。図5において、同一のハッチングの(丸い角の)四角は、同一色の副画素を示す。図5において、副画素の形状は四角であるが、副画素の形状は任意であって、例えば、六角形又は八角形であってもよい。
【0055】
副画素列は、同一のX軸位置の副画素からなる、Y軸に沿って延びる配列である。副画素列において、赤副画素51R、青副画素51B及び緑副画素51Gが、サイクリックに配列されている。例えば、副画素列の副画素は、同一のデータ線に接続される。副画素行は、同一のY軸位置の同一色の副画素からなる、X軸に沿って延びる配列である。例えば、副画素行の副画素は、同一の走査線に接続される。
【0056】
図5の構成例において、通常領域451は、マトリックス状に配置されている、第1種主画素53A及び第2種主画素53Bの、2種類の主画素を含む。図5において、一つの第1種主画素のみが、例として、符号53Aで指示されている。また、一つの第2種主画素のみが、例として、符号53Bで指示されている。なお、サブピクセルレンダリング技術が使用される場合、外部からの画像データの主画素とパネルの主画素とは一致しない。
【0057】
図5において、第1種主画素53Aは、一つの頂点が左側にあり、二つの頂点が右側にある三角形で示されている。また、第2種主画素53Bは、一つの頂点が右側にあり、二つの頂点が左側にある三角形で示されている。
【0058】
第1種主画素53Aにおいて、赤副画素51R及び青副画素51Bは、同一の副画素列において連続して配置されている。緑副画素51Gが含まれる副画素列は、赤副画素51R及び青副画素51Bが含まれる副画素列の左側に隣接している。緑副画素51Gは、Y軸位置において、赤副画素51Rと青副画素51Bの中央に位置している。
【0059】
第2種主画素53Bにおいて、赤副画素51R及び青副画素51は、同一の副画素列において連続して配置されている。緑副画素51Gが含まれる副画素列は、赤副画素51R及び青副画素51Bが含まれる副画素列の右側に隣接している。緑副画素51Gは、Y方向において、赤副画素51Rと青副画素51Bの中央に位置している。
【0060】
低密度領域453は、第1種主画素53Aと同一構成の主画素53Cで構成されている。図5は、5列4行の主画素53Cを示す。主画素53Cは規則的に配置されており、X軸及びY軸に沿った主画素間距離は一定である。また、隣接する主画素行は、互いに半ピッチだけずれている。
【0061】
低密度領域453の副画素レイアウトは、通常領域451のレイアウトから一部の副画素を除いた構成を有している。低密度領域453の副画素は、通常領域の副画素と共に副画素行及び副画素列を構成する。低密度領域453の各副画素列は、通常領域451の対応する副画素列と共に一つの副画素列を構成し、同一のデータ線に接続される。低密度領域453の各副画素行は、通常領域451の対応する副画素行と共に一つの副画素行を構成し、同一の走査線に接続される。
【0062】
図6は、図4において一点鎖線で囲まれた領域461のダミー画素レイアウトを示す。領域461は、表示領域125の外側に配置されたダミー画素の一部を含む。図6は、複数のダミー赤副画素61R、複数のダミー青副画素61B、及び複数のダミー緑副画素61Gを示す。一つのダミー赤副画素、一つのダミー青副画素、及び一つのダミー緑副画素が、例として、符号61R、61B及び61Gで指示されている。
【0063】
図6のレイアウト例において、第1種ダミー主画素63A及び第2種ダミー主画素63Bの2種類の主画素が、マトリックス状に配置されている。図6において、一つの第1種ダミー主画素及び一つの第2種ダミー主画素が、それぞれ対応する符号63A及び63Bで指示されている。第1種ダミー主画素63A及び第2種ダミー主画素63Bは、通常領域451における第1種主画素53A及び第2種主画素53Bそれぞれと、同様の構成を有している。
【0064】
各ダミー赤副画素61Rは、低密度領域453における一つの赤副画素51Rに対応付けられている。一例において、それらのOLED素子は同一のサイズ及び構造を有している。異なるダミー赤副画素61Rは、低密度領域453における異なる赤副画素51Rに対応付けられている。
【0065】
各ダミー青副画素61Bは、低密度領域453における一つの青副画素51Bに対応付けられている。一例において、それらのOLED素子は同一のサイズ及び構造を有している。異なるダミー青副画素61Bは、低密度領域453における異なる青副画素51Bに対応付けられている。
【0066】
各ダミー緑副画素61Gは、低密度領域453における一つの緑副画素51Gに対応付けられている。一例において、それらのOLED素子は同一のサイズ及び構造を有している。異なるダミー緑副画素61Gは、低密度領域453における異なる緑副画素51Gに対応付けられている。
【0067】
図6の例において、各第1種ダミー主画素63Aは、低密度領域453における一つの主画素53Cに対応付けられている。同様に、各第2種ダミー主画素63Bは、低密度領域453における一つの主画素53Cに対応付けられている。異なる第1種ダミー主画素63A及び第2種ダミー主画素63Bは、低密度領域453における異なる主画素53Cに対応付けられている。
【0068】
対応付けられているダミー主画素と低密度領域453の表示主画素に対して、同一のデータ信号が与えられる。つまり、ダミー副画素は、対応する低密度領域453内の表示副画素と同一のデータ信号が与えられ、対応する副画素と同様の輝度で発光するように制御される。これにより、ダミー副画素の劣化を測定することで、対応する表示副画素の劣化を正確に推定することができる。
【0069】
図6の例では各行に6つの赤、青、緑のダミー副画素を配置してあり、これら6つのダミー画素の劣化状態の測定値を平均化して、対応づけられた低密度領域の453の表示種画素の劣化状態を見積もる。このように複数のダミー画素を用いることで、製造ばらつきによる劣化見積もりの誤差を最小化し、より正確な劣化補償が可能となる。なお、ダミー副画素の数は赤、青、緑の最低1セットあればよく、ダミー画素を配置できる面積と要求される劣化補償精度のバランスを考慮して、最適なダミー画素数が決定される。
【0070】
図6は、互いに分離された複数の不透明な遮光膜621を示す。図6において、破線の角丸四角形で示す一つの遮光膜が、例として、符号621で指示されている。複数の遮光膜621を配置することで、一つの遮光膜のサイズを小さくすることがきる。これにより、タッチスクリーン333によるタッチ検出への好ましくない影響を低減できる。特に、後述するように遮光膜621をタッチスクリーンのタッチ電極の金属膜と同一層で形成する場合に有効である。
【0071】
複数の遮光膜621は、それぞれ複数のダミー副画素を視認側から覆うように配置されている。遮光膜621は、その下側の副画素からの光をユーザに視認されないように遮る。図6は、視認側から見て左側の一部のダミー副画素を覆う遮光膜621を示すが、左右両側の全てのダミー画素は、遮光膜621に覆われている。
【0072】
遮光膜621が覆う副画素の数は任意であって一つであってもよい。図6の例において、遮光膜621は同一層(同一材料及び同一プロセス)に形成されているが、一部の遮光膜621は他の遮光膜621と異なる層に含まれていてもよい。遮光膜621の形状は任意であって、図6に示す例に限定されず、異なる遮光膜621が異なる形状を有していてもよい。表示領域125の両側一方又は双方において、全てのダミー副画素が一つの遮光膜621で覆われていてもよい。
【0073】
図6の例において、Y軸に沿って延びるダミー副画素例において、通常領域451と同様に、ダミー赤副画素61R、ダミー青副画素61B及びダミー緑副画素61Gが、サイクリックに配列されている。例えば、ダミー副画素列のダミー副画素は、同一のデータ線に接続される。ダミー副画素行は、同一のY軸位置の同一色のダミー副画素からなる、X軸に沿って延びる配列である。例えば、ダミー副画素行のダミー副画素は、同一の走査線に接続される。
【0074】
ダミー副画素のレイアウトパターンは、通常領域451と異なっていてもよい。例えば、表示主画素に対応するダミー主画素を構成する副画素が隣接しておらず、他の副画素を挟むように離れた位置に配置されていてもよい。例えば、表示領域125の両側のダミー副画素のレイアウトは同一でも異なっていてもよく、ダミー副画素の数も同一でも異なっていてもよい。ダミー副画素の位置は、表示領域125の外側において、特に限定されない。
【0075】
[遮光パターンレイアウト]
図7は、タッチスクリーン333に形成されている、遮光パターン及びタッチ電極パターンの例を示す平面図である。図7は、例として、投影型静電容量方式の電極パターンを示す。タッチスクリーン333は、X軸に沿って延びY軸に沿って配列されたXタッチ電極671と、Y軸に沿って延びX軸に沿って配列されたYタッチ電極681と、を含む。図7は、一つのXタッチ電極及びYタッチ電極を、例として、それぞれ符号671及び681で示している。
【0076】
Xタッチ電極671は、菱形又は三角形のX軸に沿って配列された電極片651と、隣接する電極片651の角部をつなぐ、電極片651より細い矩形の連結部653とで構成されている。電極片651及び連結部653は、透明導体、例えば、ITOで形成されている。Xタッチ電極671は連続する透明導体で形成されており、電極片651及び連結部653は同一層に含まれる。
【0077】
Yタッチ電極681は、菱形又は三角形のY軸に沿って配列された電極片661と、隣接する電極片661の角部をつなぐ、661より細い矩形の連結部663とで構成されている。電極片661は、透明導体、例えば、ITOやIZOで形成されている。図7の例において、電極片661、Xタッチ電極671と同一層に含まれる。連結部663は、電極片661より上層に形成されており、遮光性の導体(金属)で形成されている。連結部663は、例えば、AlやMoで形成することができる。
【0078】
Xタッチ電極671の電極片651及びYタッチ電極681の電極片661は、マトリックス状に配置されている。ドライバIC134又は不図示の検出回路は、タッチスクリーン333に近づけられた、指やタッチペンなどの指示体によるXタッチ電極671とYタッチ電極681との間の容量変化を、配線673及び683を介して検出する。これにより、タッチ位置が同定される。
【0079】
Yタッチ電極の連結部663は、平面視において、Xタッチ電極671の連結部653と交差するように配置されている。連結部663の層と、Xタッチ電極671の層との間には絶縁層(不図示)が形成されている。連結部663と連結部653とは、絶縁膜を介して交差しており、電気的な絶縁が保たれている。
【0080】
タッチスクリーン333は、さらに、複数の遮光膜621からなる遮光膜パターンを含む。遮光膜621は、タッチ電極671及び681が配置されているタッチ検出領域の外側に配置されている。上述のように、遮光膜621は遮光性材料で形成されており、図7の例において、Yタッチ電極の連結部663と同層に、つまり、遮光性金属で形成されている。このように、タッチスクリーン333の遮光性要素と同層に遮光膜621を形成することで、表示装置の製造を効率化できる。複数の遮光膜621により、一つの遮光膜のサイズが小さくなり、タッチ検出への好ましくない影響を低減できる。
【0081】
図7に示す構成例において、タッチ検出領域の左右両側それぞれに、一つの遮光膜列が配置されている。列数及び列を構成する遮光膜数は任意である。上述のように、遮光膜621は、ダミー副画素を覆うようにアライメントされている。なお、遮光膜621のパターンは任意であって、例えば、タッチ検出領域の両側のパターン形状(遮光膜621の数及び形状)は、異なっていてもよい。なお、遮光膜621は、タッチスクリーン333に含まれるタッチ電極と異なる他の遮光性要素と同層に形成されてもよく、タッチスクリーン333と異なる層に形成されてもよい。タッチスクリーン333の方式は任意であり、タッチスクリーン333が省略されていてもよい。
【0082】
[配線レイアウト]
以下において、OLED表示装置10の配線レイアウト例を説明する。図8は、TFT基板100上の制御配線のレイアウトを模式的に示し、図8の構成例において、通常領域451の画素回路のレイアウトは、ストライプ配置である。具体的には、Y軸に沿って延びる副画素列は、同一色の副画素で構成されている。X軸に沿って延びる副画素行は、サイクリックに配置された、赤副画素、緑副画素及び青副画素で構成されている。低密度領域453は、通常領域451の画素レイアウトから、一部の画素を間引いた構成を有している。低密度領域453における空白領域には、OLED素子を含む画素回路は形成されておらず、配線のみが通過している。
【0083】
ダミー画素領域457A、457Bが、それぞれ、表示領域125の両側に存在する。図8は、ダミー画素領域457A、457Bそれぞれにおいて、一つのダミー赤副画素列、一つのダミー緑副画素列及び一つのダミー青副画素列を示すが、劣化補償精度を向上させるために複数のダミー副画素を配置してもよい。
【0084】
複数の走査線106が、走査ドライバ131からX軸に沿って延びている。また、複数のエミッション制御線107が、エミッションドライバ132からX軸に沿って延びている。図8は、例として、一つの走査線及び一つのエミッション制御線を、それぞれ符号106及び107で指示していている。
【0085】
図8に示す構成例において、走査線106は、通常領域451及び低密度領域453に加え、ダミー画素領域457A、457Bの選択信号を伝送する。ダミー副画素が、表示領域125内の副画素と共通の走査線106に接続されていることで、配線数を低減することができる。
【0086】
また、エミッション制御線107は、通常領域451及び低密度領域453に加え、ダミー画素領域457A、457Bのエミッション制御信号を伝送する。ダミー副画素が、表示領域125内の副画素と共通のエミッション制御線107に接続されていることで、配線数を低減することができる。
【0087】
ドライバIC134は、配線711によって走査ドライバ131に制御信号を送信し、配線713によってエミッションドライバ132に制御信号を送信する。ドライバIC134は、外部からの画像データ(画像信号)に基づき、走査ドライバ131から走査信号(選択パルス)及びエミッションドライバ132のエミッション制御信号のタイミングを制御する。
【0088】
ドライバIC134は、配線705によって、通常領域451及び低密度領域453の副画素のデータ信号をデマルチプレクサ136に与える。図8は、1本の配線を例として、符号705で指示している。ドライバIC134は、外部からの画像データ(フレーム)の1又は複数の副画素の階調レベルから、通常領域451及び低密度領域453の各副画素のデータ信号を決定する。デマルチプレクサ136は、ドライバIC134の一つの出力を、走査期間内にN本(Nは2以上の整数)のデータ線105に順次出力する。図8において、Y軸に沿って延びる複数のデータ線のうち、1本のデータ線が、例として符号105で指示されている。
【0089】
ドライバIC134は、さらに、複数の配線723Aを介して、ダミー副画素のデータ信号をダミー画素領域457Aに供給する。ドライバIC134は、複数の配線723Bを介して、ダミー副画素のデータ信号をダミー画素領域457Bに供給する。一つの配線723Aがデータ信号を伝送する全てのダミー副画素は、異なる走査線106により選択される。一つの配線723Bがデータ信号を伝送する全てのダミー副画素は、異なる走査線106により選択される。
【0090】
ドライバIC134は、配線721Aを介して、ダミー画素領域457Aに劣化測定のための制御信号を送信し、配線721Bを介して、ダミー画素領域457Bに劣化測定のための制御信号を送信する。配線721Aは、ダミー画素領域457Aの全てのダミー副画素に接続されている。配線721Bは、ダミー画素領域457Bの全てのダミー副画素に接続されている。劣化測定制御信号の詳細は後述する。
【0091】
ドライバIC134は、複数の配線725Aを介して、ダミー画素領域457Aのダミー副画素の劣化測定信号を受信する。図8の構成例において、一つの配線725Aが劣化測定信号を伝送する全てのダミー副画素は、異なる走査線106により選択される。図8の例において、各配線725Aに接続されるダミー副画素のグループは、データ信号を伝送する各配線723Aに接続されているダミー副画素のグループと共通である。
【0092】
ドライバIC134は、複数の配線725Bを介して、ダミー画素領域457Aのダミー副画素の劣化測定信号を受信する。図8の構成例において、一つの配線725Bが劣化測定信号を伝送する全てのダミー副画素は、異なる走査線106により選択される。ダミー副画素の劣化測定方法の詳細は後述する。
【0093】
図9は、TFT基板100上のアノード電源線パターン及びカソード電極のレイアウトを模式的に示す。図9に示すように、TFT基板100は、第1アノード電源線パターン801及び第2アノード電源線パターン802を含む。第1アノード電源線パターン801は、通常領域451の画素回路にアノード電源電位を与える。第2アノード電源線パターン802は、低密度領域453並びにダミー画素領域457A及び457Bの画素回路にアノード電源電位を与える。
【0094】
ドライバIC134は、DC-DCコンバータを含み、複数の異なる電源電位を生成して、OLED表示パネルに供給する。図9に示す構成例において、ドライバIC134は、第1アノード電源線パターン801にアノード電源電位VDD1を出力し、第2アノード電源線パターン802にアノード電源電位VDD2を出力し、カソード電極302にカソード電源電位VSSを出力する。後述するように、アノード電源電位VDD2は、アノード電源電位VDD1より高い。
【0095】
第1アノード電源線パターン801は網目状であって、パターンの凹状の外形を画定する周囲部と、周囲部内でX軸に沿って延びてY軸に沿って配列された複数のX軸部分と、Y軸に沿って延びX軸に沿って配列されたY軸部分とを含む。上述のように、第1アノード電源線パターン801は通常領域451の各副画素の画素回路にアノード電源電位VDD1を伝送する。第1アノード電源線パターン801は、低密度領域453を避けるように、その外側に形成されている。これにより、低密度領域453の透過率を向上できる。
【0096】
第2アノード電源線パターン802は、矩形状の外形を画定する周囲部807と、周囲部807から突出し、低密度領域453内で延びている複数の電源線部805と、周囲部807から突出し、ダミー画素領域457A及び457B内で延びている複数の電源線部806とを含む。図9において、低密度領域内の一つの電源線部が例として符号805で指示され、ダミー画素領域内の一つの電源線部が、例として符号806で指示されている。
【0097】
図9の構成例において、低密度領域453は、表示領域125の端部を含む領域であり、低密度領域453の一辺は、表示領域125の一辺の一部である。低密度領域453の外周の他の部分は、表示領域125内に存在し、通常領域451との境界である。
【0098】
図9の構成例において、周囲部807は、シート状のカソード電極302の外側に配置されている。複数の電源線部805は、それぞれ、Y軸に沿って低密度領域453内で延びており、X軸方向に分離して配列されている。各電源線部805は、低密度領域453内の副画素列の各服画素の画素回路に電源電位VDD2を与える。各電源線部805の端は、低密度領域453内に存在している。
【0099】
低密度領域453内において、第2アノード電源線パターン802の部分は、複数の電源線部805で構成されており、X軸に延びる電源線部は(周囲部も含めて)存在しない。低密度領域453における第2アノード電源線パターン802の面積占有率は、通常領域451における第1アノード電源線パターン801の面積占有率よりも小さい。これにより、低密度領域453の透過率を向上できる。なお、低密度領域における第2アノード電源線パターン802の形状は、図9に示す例と異なっていてもよい。面積占有率が小さいいずれの形状も、低密度領域453の透過率を向上できる。
【0100】
ダミー画素領域457A及び457Bのそれぞれにおいて、複数の電源線部806がY軸に沿って延びており、X軸に沿って配列されている。電源線部806は、ダミー画素領域を通過して、周囲部807の一辺からその対向辺まで延びている。各電源線部806は、ダミー画素領域457A又は457B内の副画素列の各服画素の画素回路に電源電位VDD2を与える。ダミー画素領域457A及び457Bにおいて、第2アノード電源線パターン802は他の形状を有してよく、例えば、X軸に沿って延びる電源線部を含む網目状でもよい。
【0101】
カソード電極302は、シート形状を有し、通常領域451、低密度領域453、及びダミー画素領域457A、457Bの全体を覆う。これら領域451、453、457A、457Bの各副画素のカソード電極は、一枚のシート状カソード電極302の一部である。
【0102】
[発光制御方法]
以下において、OLED表示装置10の副画素の発光制御方法を説明する。ドライバIC134は、通常領域451、低密度領域453、及びダミー画素領域457A、457Bの副画素それぞれの発光輝度を制御する。ダミー画素領域457A、457Bの副画素は、低密度領域453における対応付けられた副画素と同様に制御される。
【0103】
図10は、低密度領域453の副画素の発光輝度特性のグラフを示す。X軸は、データ信号電圧を表し、Y軸は発光輝度を表す。線821は、低密度領域453のアノード電源電位VDD2が、通常領域451のアノード電源電位VDD1と等しい場合における、低密度領域453の副画素(OLED素子)の輝度特性曲線である。副画素の特性は劣化していないものとする。この特性は、通常領域451の副画素の特性と一致する。
【0104】
白の階調レベルに対応して、データ信号電圧Vd0が通常領域451の副画素に与えられ、データ信号電圧Vd1が低密度領域453の副画素に与えられる。本例において、低密度領域453の副画素は、通常領域451の副画素の4倍の輝度で発光する。
【0105】
線822は、低密度領域453のアノード電源電位VDD2が、通常領域451のアノード電源電位VDD1より高い場合における、低密度領域453の副画素の輝度特性曲線である。アノード電源電位VDD2の特定の値を選択することで、通常領域451と同一のデータ信号電圧Vd0において、低密度領域453の副画素の輝度が400%となる。つまり、通常領域451のデータ信号電圧範囲(最小輝度から最大輝度まで)と同一の電圧範囲で、低密度領域453の副画素の輝度を4倍にすることができる。低密度領域453のデータ信号電圧範囲を狭くすることで、OLED表示装置全体の消費電力を低減できる。
【0106】
なお、低密度領域453のデータ信号電圧範囲は、通常領域451のデータ信号電圧範囲と一致していなくてもよい。アノード電源電位VDD2がアノード電源電位VDD1より高いことで、高い輝度が要求される低密度領域453のデータ信号電圧範囲を狭くすることができる。
【0107】
次に、低密度領域453におけるOLED素子の劣化に応じた輝度補正を説明する。図11は、低密度領域453の副画素の発光輝度特性のグラフを示す。図11のグラフにおいて、曲線771は、低密度領域453の劣化前の副画素のOLED素子の特性を示す。白の階調レベルに対応して、データ信号電圧Vd0が副画素の画素回路に与えられる。本例において、低密度領域453の副画素は、通常領域451の副画素の4倍の輝度(400%)で発光する。
【0108】
発光時間の経過と共に、低密度領域453の副画素(OLED素子)は、通常領域451の副画素と比較して、早く劣化する。図11のグラフにおいて、曲線773は、低密度領域453の劣化した副画素の特性を示す。劣化前と同一の輝度(400%)で発光するため、データ信号電圧Vd0より大きいデータ信号電圧Vd1が、低密度領域453の副画素に与えられる。データ信号電圧Vd1は、劣化に応じた補正係数Aに基づいて算出される。
【0109】
曲線775は、低密度領域453のさらに劣化した副画素の特性を示す。劣化前と同一の輝度(400%)で発光するため、データ信号電圧Vd1より大きいデータ信号電圧Vd2が必要である。データ信号電圧Vd2は、劣化に応じた補正係数Bに基づいて算出される。後述するように、補正係数A及び補正係数Bは、ダミー副画素の劣化の測定結果に基づき決定される。なお、低密度領域の副画素の劣化は、ダミー副画素を使用することなく、他の方法、例えば、OLED素子のトータル発光時間や発光輝度の履歴に基づいて決定されてもよい。
【0110】
曲線777は、曲線775の状態から、アノード電源電位VDD2を上昇させた後の副画素の特性を示す。アノード電源電位VDD2の上昇により、同一輝度での発光のためのデータ信号電圧が低下する。例えば、副画素が400%の輝度で発光するためのデータ信号電圧は、Vd2からVd3に減少する。このように、副画素の劣化に応じてアノード電源電位Vdd2を変化させることで、低密度領域453における副画素の発光制御のためのデータ信号電圧範囲を所望範囲内に収めることができる。
【0111】
ドライバIC134は、低密度領域453の副画素の劣化度に基づいて、アノード電源電位Vdd2を決定することができる。ドライバIC134は、例えば、低密度領域453の副画素の劣化度の統計値、例えば、重み付き平均を含む平均や最大値等から、テーブルや関数などの予め設定されている情報を参照して、アノード電源電位VDD2を決定することができる。
【0112】
ドライバIC134は、副画素の劣化度とアノード電源電位VDD2に基づいて、画像データが指定する輝度に対するデータ信号電圧を決定する。ドライバIC134は、例えば、劣化度及びアノード電源電位VDD2の組に対応付けられたテーブルやそれらを変数とする関数を使用して、所望輝度を達成するためのデータ信号電圧を決定できる。なお、低密度領域及びダミー画素領域のアノード電源電位VDD2は常に一定でもよい。ドライバIC134は、ダミー副画素に代えて、低密度領域453内の副画素の劣化を直接測定してもよい。
【0113】
通常領域451における副画素の劣化は、低密度領域453の副画素の劣化と比較して遅い。そのため、ドライバIC134は、例えば、通常領域451における副画素のデータ信号を副画素の劣化に応じて補正することなく、出力してもよい。このようにすることで、最低限の回路構成で表示システムとしては十分な劣化補償性能を実現することができる。他の例において、ドライバIC134は、通常領域451のデータ信号を劣化に応じて補正してもよい。通常領域451の副画素に対応するダミー副画素は用意されていないため、ドライバIC134は、例えば、副画素のデータ信号の履歴を保持し、予め設定されているテーブルを参照して、履歴に応じた補正係数を決定することができる。
【0114】
ドライバIC134は、低密度領域の劣化度と異なる条件に基づいて、アノード電源電位VDD2を変更してもよい。例えば、OLED表示装置10は、周囲の明るさを検出する光センサを含むことができる。ドライバIC134は、光センサの検出値に基づき、表示領域及びダミー画素領域へのデータ信号電圧を決定するためのガンマ値と共に、アノード電源電位VDD1、VDD2を変化させる。
【0115】
ドライバIC134は、暗い場所では表示画像の全体の輝度をやや暗くし、大きいガンマ値を設定して、ダイナミックレンジを大きくする。ドライバIC134は、アノード電源電位VDD1及びVDD2を低下させることで、消費電力を低減できる。ドライバIC134は、屋外のような明るい場所では、表示画像の全体の輝度をやや明るく、小さいガンマ値を設定して、画像の視認性をよくする。ドライバIC134は、アノード電源電位VDD1及びVDD2を上昇させる。
【0116】
ドライバIC134は、検出された周囲の明るさに基づいて、アノード電源電位VDD1、VDD2並びに通常領域451及び低密度領域453ガンマ特性を、予め設定された情報に基づいて決定する。さらに、ドライバIC134は、ガンマ特性とアノード電源電位との組み合わせに対応する係数を使用して、データ信号電圧を決定する。アノード電源やガンマ特性が変化すると劣化補正値も変化するため、あらかじめ選択可能なアノード電源とガンマ特性の組み合わせの数だけ劣化補正値のルックアップテーブルを準備してもいいし、数式による計算で補正値を求めてもよい。
【0117】
他の例において、ドライバIC134は、周囲の明るさに基づいてガンマ特性を決定し、そして、周囲の明るさと副画素の劣化度の双方に基づいてアノード電源電位を決定してもよい。ドライバIC134は、副画素の劣化度、アノード電源電位及びガンマ特性に基づいて、データ信号電圧を決定するための補正係数を決定することができる。この場合もあらかじめ選択可能なアノード電源とガンマ特性の組み合わせの数だけ劣化補正値のルックアップテーブルを準備してもいいし、数式による計算で補正値を求めてもよい。
【0118】
次に、ダミー副画素の制御方法を説明する。図12は、ダミー副画素の画素回路の構成例を示す。図12は、n行目の、赤、緑、及び青のダミー副画素の画素回路を示す。全てのダミー副画素の画素回路はOLED素子の色を除いて共通である。アノード電源電位VDD2が、電源線部806から画素回路に供給される。走査線106は、走査信号SCAN_nを三つのダミー副画素に同時に伝送する。エミッション制御線107は、エミッション制御信号Emit_nを三つのダミー副画素に同時に伝送する。
【0119】
異なる配線723Aが、それぞれ、赤、緑、及び青のダミー副画素の画素回路にデータ信号VtestR、VtestG、及びVtestBを伝送する。配線721Aは、劣化測定のための制御信号Vtestを三つのダミー副画素の画素回路に同時に伝送する。異なる配線725Aは、それぞれ、赤、緑、及び青のダミー副画素の劣化測定信号Voled_R、Voled_G、及びVoled_Bを、ドライバIC134に伝送する。
【0120】
次に、ダミー副画素の画素回路の構成を説明する。図12は、赤のダミー副画素の画素回路の構成要素を、例として符号で指示している。以下において、赤の副画素の画素回路の構成を説明する。図12に示す画素回路は、図2Aに示す画素回路に対して、スイッチトランジスタT5及び閾値電圧補償回路753を追加した構成を有している。なお、表示領域125内の表示副画素の画素回路は、ダミー副画素の画素回路からスイッチトランジスタT5を除いた構成であることができる。
【0121】
閾値電圧補償回路753は、駆動トランジスタT1の閾値電圧を補償する。スイッチトランジスタT5は、OLED素子E1のアノードと配線725Aとに接続されている。具体的には、そのソース/ドレインの一方が、OLED素子E1のアノードとトランジスタT3との間のノードに接続され、ソース/ドレインの他方が配線725Aに接続されている。スイッチトランジスタT5のゲートは配線721Aに接続されている。スイッチトランジスタT5は、劣化測定制御信号Vtestにより、そのON/OFFが制御される。ドライバIC134は、後述するように、通常動作においてスイッチトランジスタT5をOFFに維持し、OLED素子E1の劣化測定を行っている間、スイッチトランジスタT5をONに維持する。
【0122】
次に、通常動作及び劣化測定動作における、ダミー副画素の発光制御を説明する。図13は、通常動作におけるダミー副画素に対する信号のタイミングチャートの例を示す。同時に選択されて発光制御される赤、緑及び青のダミー副画素の信号を示す。これらは、例えば、低密度領域453の主画素に対応するダミー主画素を構成してもよい。
【0123】
VtestR、VtestG、VtestBは、それぞれ、ダミー赤副画素列、ダミー緑副画素列、ダミー青副画素列に与えられるデータ信号を示す。ここでは、図8に示すように、同色のダミー副画素が一つの配線723Aに接続されているとする。ダミー画素データ信号VtestR、VtestG、VtestBは、ダミー副画素が対応する低密度領域453の副画素と同一の値である。
【0124】
n行を選択する走査信号SCAN_nがLowレベルのとき、n行のダミー副画素が選択され、ダミー画素データ信号VtestR、VtestG、VtestBがそれぞれ画素回路に書き込まれる。データ信号の書き込みの間、エミッション制御信号Emit_nはHighであり、トランジスタT3はOFFである。そのため、OLED素子E1が発光することはない。
【0125】
データ信号書き込みの後、エミッション制御信号Emit_nはLowに変化して、OLED素子E1が発光する。上述のように、ダミー副画素は、視認側に配置された遮光膜621に覆われているため、ダミー副画素の発光による表示領域125による画像表示への影響は存在しない。通常動作において、劣化測定制御信号Vtestは常にHighであって、全てのダミー副画素の画素回路のスイッチトランジスタT5はOFFに維持される。
【0126】
次に、ダミー副画素のOLED素子の劣化測定動作を説明する。一例において、ドライバIC134は、外部からの画像データの画像表示期間外(非表示期間)に、ダミー副画素のOLED素子の劣化測定を行う。ドライバIC134は、例えば、OLED表示装置10の電源ONから外部からの画像データに応じた画像表示までの間の起動シーケンスにおいて、又は、電源ONの状態において画像表示を停止するスタンバイモードにおいて、測定を行うことができる。スタンバイモードは、例えば、所定期間を超えて入力画像データが中断している場合に開始する。
【0127】
図14は、ダミー副画素のOLED素子E1の劣化測定動作における信号のタイミングチャートを示す。n行目のダミー副画素が、劣化測定対象である。劣化測定動作において、選択した行の劣化測定を行う間、劣化測定制御信号VtestはLowであって、全てのダミー副画素の画素回路のスイッチトランジスタT5はONに維持される。
【0128】
劣化測定信号を伝送する配線725Aに接続されているダミー副画素において、測定対象のダミー副画素以外の全てのダミー副画素に対しては、0(ゼロ)データ信号が書き込まれる。これにより、他のダミー副画素の発光は停止されており、測定対象のダミー副画素の劣化測定のSN比を向上させることができる。
【0129】
n行を選択する走査信号SCAN_nがLowレベルのとき、n行のダミー副画素が選択され、劣化測定のためのダミー画素データ信号VtestR、VtestG、VtestBがそれぞれ画素回路に書き込まれる。図14の例において、データ信号は最高輝度を示す。これにより、OLED素子E1の劣化をより正確に測定できる。なお、劣化測定時のデータ信号は異なる値であってもよい。
【0130】
劣化測定のためのデータ信号の書き込みの間、エミッション制御信号Emit_nはHighであり、トランジスタT3はOFFである。データ信号書き込みの後、エミッション制御信号Emit_nはLowに変化して、OLED素子E1が発光する。OLED素子E1からの光は遮光膜621によって遮られる。
【0131】
ドライバIC134は、配線725Aを介して、ダミー副画素それぞれの劣化測定信号Voled_R、Voled_G、Voled_Bを受信する。劣化測定信号Voled_R、Voled_G、Voled_Bは、それぞれ、対応するOLED素子のアノード電位を示す。OLED素子の抵抗は、劣化と共に増加する。
【0132】
従って、一定電流をOLED素子に与えた状態でその電圧(アノードとカソードとの間の電圧)を測定することで、OLED素子の抵抗、つまり劣化度を測定することができる。ドライバIC134は、配線725Aの電位をAD変換して各ダミーサブ画素に対応した表示サブ画素の劣化状態として記録する。なお、OLED素子の劣化測定は、任意の方法を利用することができ、例えば図12において駆動TFTT1を線形動作させてOLED素子に定電圧を印加した状態で電流センスアンプを用いて直接素子に流れる電流値を測定して劣化度を判定することもできる。
【0133】
ドライバIC134は、ダミー副画素の劣化測定結果に基づいて、低密度領域453内の対応する副画素のデータ信号を補正する。例えば、ドライバIC134は、ダミー副画素の抵抗値(劣化度)と補正係数を対応付けるテーブルを参照して、OLED素子の劣化量を補償するための補正係数を決定する。低密度領域453内の副画素と同じデータ信号パターンで発光したダミー画素の劣化を測定することで、劣化速度が速い当該副画素の劣化を正確に推定でき、OLED表示装置10の表示品質を適切に維持することができる。
【0134】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本開示の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
【符号の説明】
【0135】
10 OLED表示装置、51B 青副画素、51G 緑副画素、51R 赤副画素、53A-53C 主画素、61B ダミー青副画素、61G ダミー緑副画素、61R ダミー赤副画素、100 TFT基板、105 データ線、106 走査線、107 エミッション制御線、108 アノード電源線、109 リセット制御線、110 基準電圧供給線、114 カソード電極形成領域、125 表示領域、131 走査ドライバ、132 エミッションドライバ、133 静電気放電保護回路、134 ドライバIC、136 デマルチプレクサ、333 タッチスクリーン、451 通常領域、453 低密度領域、457A、457B ダミー画素領域、465 カメラ、621 遮光膜、651、661 電極片、653、663 連結部、705、711、703、721A、721B、723A、723B、725A、725B 配線、753 閾値電圧補償回路、801、802 アノード電源線パターン、805、806 電源線部、807 周囲部、C1 保持容量、E1 OLED素子、T1-T5 トランジスタ
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14