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▶ ニューデルタ工業株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004265
(43)【公開日】2025-01-14
(54)【発明の名称】ハンマーモア
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/47 20060101AFI20250106BHJP
【FI】
A01D34/47
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024185431
(22)【出願日】2024-10-21
(62)【分割の表示】P 2021011515の分割
【原出願日】2021-01-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1‐1)展示日 令和2年10月2日 (1‐2)展示会名、開催場所 2020年下期発表製品 現物確認 ヤンマー農機製造株式会社 岡山工場 (2‐1)ウェブサイトの掲載日 令和2年10月14日 (2‐2)ウェブサイトのアドレス https://www.yanmar.com/jp/agri/products/cultivator/mowing/yw450h/ (3‐1)発売日 令和3年1月1日 (3‐2)発売した場所 ヤンマーアグリジャパン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390029621
【氏名又は名称】ニューデルタ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 雄大
(57)【要約】
【課題】ハンマーモアにおいて、走行経路を安定させることができるものとする。
【解決手段】走行部2の前部に圃場の草刈用の作業機3が配置されるハンマーモア1は、作業機3の草刈作業動作時に前方に跳ねた石等が跳ね返って作業者に当接することを防止する跳ね返り防止板35を備え、跳ね返り防止板35は、カッターカバー40の前端部に設けられ、ハンマーモア1は走行または草刈作業時に作業者に把持されるハンドル17を備え、跳ね返り防止板35は走行ガイド39を備え、作業者によってハンドル17が把持された状態でハンマーモア1を走行させるときに、作業者から見て走行ガイド39と圃場の所定の対象物と一致させるようにハンマーモア1の走行させることによってハンマーモア1の走行経路を安定させるものとする。
【選択図】図29
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行部の前部に圃場の草刈用の作業機が配置されて走行しながら草刈作業を行うハンマーモアであって、
前記走行部は、ミッションケースと、前記ミッションケースに固定される前記エンジンフレームと、前記エンジンフレームに搭載されて走行および作業機の動力源となるエンジンと、前記ミッションケースに横架され前記エンジンからの動力が伝達されて駆動する走行軸と、前記走行軸に設けられる前記走行輪と、前記作業機の上方を覆うカッターカバーと、前記カッターカバーの近傍に設けられる前輪と、を備え、
前記作業機は、前記カッターカバー内において、前記エンジンからの動力が伝達されて駆動するカッター回転軸を横架し、前記カッター回転軸の外周面には複数個のカッター刃が設けられて構成され、
前記作業機の草刈作業動作時に前方に跳ねた石等が跳ね返って作業者に当接することを防止する跳ね返り防止板を備え、
前記跳ね返り防止板は、前記カッターカバーの前端部に設けられ、
前記ハンマーモアは走行または草刈作業時に作業者に把持されるハンドルを備え、
前記跳ね返り防止板は走行ガイドを備え、
作業者によって前記ハンドルが把持された状態で前記ハンマーモアを走行させるときに、作業者から見て前記走行ガイドと圃場の所定の対象物と一致させるように前記ハンマーモアの走行させることによって前記ハンマーモアの走行経路を安定させる、
ハンマーモア。
【請求項2】
前輪の高さ位置を変更して当該変更された前輪の高さ位置を固定することによって作業機の高さを高くまたは低くして前記作業機の高さを調節する高さ調節機構を備え、
前記前輪は、前記カッターカバーの側部近傍に配置され、
前記高さ調節機構は、前記作業機の高さを調節する際に作業者に操作される操作部を備え、
前記高さ調節機構の前記操作部は、前記カッターカバーの上方に配置される、
請求項1に記載のハンマーモア。
【請求項3】
前記走行ガイドは、前記跳ね返り防止板の上端に設けられる、
請求項1または請求項2に記載のハンマーモア。
【請求項4】
前記ハンマーモアを走行させながら草刈作業を行ったときに、前記作業機によって刈られる直前の草を前記カッターカバーの内側に取り込むように構成される側板部を備え、
前記側板部は、前記カッターカバーの前端部において前記カッターカバーの側方外側に延出するように構成される、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のハンマーモア。
【請求項5】
前記側板部は、前記前輪の前方に配置される、
請求項4に記載のハンマーモア。
【請求項6】
前記カッターカバーは、前記カッターカバーの内側に配置されて、前記作業機が草刈動作を行った際に巻き上げられた石や草等が前記カッターカバーに直接当接することを防止する保護板を備える、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のハンマーモア。
【請求項7】
ベルトカバーと、前記エンジンからの動力が伝達される動力取出軸と、を備え、
前記動力取出軸は、前記ベルトカバー内に挿通され、前記ベルトカバー内においてプーリーが設けられ、
前記カッター回転軸は、前記ベルトカバー内に挿通され、前記ベルトカバー内においてプーリーが設けられ、
前記ベルトカバー内において前記動力取出軸の前記プーリーと前記カッター回転軸の前記プーリーとの間にベルトが巻回されて、前記エンジンからの動力が前記カッター回転軸に伝達されるように構成され、
前記ベルトカバー内に配置される前記ベルトに張力がかかるようにし、また前記ベルトへの衝撃や前記ベルトの振動等を吸収するように構成されるベルトテンション機構を備え、
前記ベルトテンション機構は、
前記ケース内に配置されて前記ケースの軸心方向に沿って移動可能に構成され、支持軸が挿通される貫通孔を備える移動アームと、
前記移動アームをベルト側に付勢する付勢バネと、
前記移動アームの前記貫通孔に挿通される支持軸と、
前記支持軸に挿通され支持されて前記ベルトに当接した状態で回転可能とされるベアリングと、を備える、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のハンマーモア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草刈作業を行うハンマーモアの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走行部の前部に圃場の草刈用の作業機が配置されて走行しながら草刈作業を行うハンマーモアに関する技術は公知となっている(特許文献1参照)。
【0003】
前記ハンマーモアの走行部は、ミッションケースと、ミッションケースに固定されるエンジンフレームと、エンジンフレームに搭載されて走行および作業機の動力源となるエンジンと、ミッションケースに横架されエンジンからの動力が伝達されて駆動する走行軸と、走行軸に固定される走行輪と、作業機の上方を覆うカッターカバーと、を備える。また、前記ハンマーモアの作業機は、カッターカバー内において、エンジンからの動力が伝達されて駆動するカッター回転軸を横架し、カッター回転軸の外周面には複数個のカッター刃が設けられて構成される。また、前記ハンマーモアは、走行または草刈作業時に作業者に把持されるハンドルを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平3-78920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そして、前記ハンマーモアでは、作業者は、作業者圃場を見てハンドルを把持した状態で、作業機を駆動させて走行しながら草刈作業を行う。このため、ハンマーモアの走行経路が安定しない場合があった。
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、走行経路を安定させることができるハンマーモアを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、走行部の前部に圃場の草刈用の作業機が配置されて走行しながら草刈作業を行うハンマーモアであって、前記走行部は、ミッションケースと、前記ミッションケースに固定される前記エンジンフレームと、前記エンジンフレームに搭載されて走行および作業機の動力源となるエンジンと、前記ミッションケースに横架され前記エンジンからの動力が伝達されて駆動する走行軸と、前記走行軸に設けられる前記走行輪と、前記作業機の上方を覆うカッターカバーと、前記カッターカバーの近傍に設けられる前輪と、を備え、前記作業機は、前記カッターカバー内において、前記エンジンからの動力が伝達されて駆動するカッター回転軸を横架し、前記カッター回転軸の外周面には複数個のカッター刃が設けられて構成され、前記作業機の草刈作業動作時に前方に跳ねた石等が跳ね返って作業者に当接することを防止する跳ね返り防止板を備え、前記跳ね返り防止板は、前記カッターカバーの前端部に設けられ、前記ハンマーモアは走行または草刈作業時に作業者に把持されるハンドルを備え、前記跳ね返り防止板は走行ガイドを備え、作業者によって前記ハンドルが把持された状態で前記ハンマーモアを走行させるときに、作業者から見て前記跳ね返り防止板の走行ガイドと圃場の所定の対象物と一致させるように前記ハンマーモアの走行させることによって前記ハンマーモアの走行経路を安定させるものである。
【0009】
請求項2においては、前輪の高さ位置を変更して当該変更された前輪の高さ位置を固定することによって作業機の高さを高くまたは低くして前記作業機の高さを調節する高さ調節機構を備え、前記前輪は、前記カッターカバーの側部近傍に配置され、前記高さ調節機構は、前記作業機の高さを調節する際に作業者に操作される操作部を備え、前記高さ調節機構の前記操作部は、前記カッターカバーの上方に配置されるものである。
【0010】
請求項3においては、前記走行ガイドは、前記跳ね返り防止板の上端に設けられるものである。
【0011】
請求項4においては、前記ハンマーモアを走行させながら草刈作業を行ったときに、前記作業機によって刈られる直前の草を内側に取り込むように構成される側板部を備え、前記側板部は、前記カッターカバーの前端部において前記カッターカバーの側方外側に延出するように構成されるものである。
【0012】
請求項5においては、前記側板部は、前記前輪の前方に配置されるものである。
【0013】
請求項6においては、前記カッターカバーは、前記カッターカバーの内側に配置されて、前記作業機が草刈動作を行った際に巻き上げられた石や草等が前記カッターカバーに直接当接することを防止する保護板を備えるものである。
【0014】
請求項7においては、ベルトカバーと、前記エンジンからの動力が伝達される動力取出軸と、を備え、前記動力取出軸は、前記ベルトカバー内に挿通され、前記ベルトカバー内においてプーリーが設けられ、前記カッター回転軸は、前記ベルトカバー内に挿通され、前記ベルトカバー内においてプーリーが設けられ、前記ベルトカバー内において前記動力取出軸の前記プーリーと前記カッター回転軸の前記プーリーとの間にベルトが巻回されて、前記エンジンからの動力が前記カッター回転軸に伝達されるように構成され、前記ベルトカバー内に配置される前記ベルトに張力がかかるようにし、また前記ベルトへの衝撃や前記ベルトの振動等を吸収するように構成されるベルトテンション機構を備え、前記ベルトテンション機構は、前記ケース内に配置されて前記ケースの軸心方向に沿って移動可能に構成され、支持軸が挿通される貫通孔を備える移動アームと、前記移動アームをベルト側に付勢する付勢バネと、前記移動アームの前記貫通孔に挿通される支持軸と、前記支持軸に挿通され支持されて前記ベルトに当接した状態で回転可能とされるベアリングと、を備えるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明によれば、ハンマーモアの走行経路を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係るハンマーモアを示す斜視図。
図2】同じくハンマーモアを示す正面図。
図3】同じくハンマーモアを示す背面図。
図4】同じくハンマーモアを示す平面図。
図5】同じくハンマーモアを示す底面図。
図6】同じくハンマーモアを示す左側面図。
図7】同じくハンマーモアを示す右側面。
図8】同じくハンマーモアの前部の拡大側面図。
図9】同じくハンマーモアの視認窓近傍を示す拡大側面図。
図10】同じくハンマーモアの走行輪近傍を示す拡大斜視図。
図11】同じくハンマーモアの走行軸から走行輪を分解した状態を示す拡大図。
図12】同じくハンマーモアの走行軸と走行輪とを示す平面断面図。
図13】同じくハンマーモアの走行軸と走行輪とを示す正面断面図。
図14】同じくハンマーモアの走行軸と走行輪とを示す平面断面図。
図15】同じくハンマーモアの走行軸と走行輪とを示す平面断面図。
図16】同じくハンマーモアの走行軸と走行輪とを示す平面断面図。
図17】同じくハンマーモアの走行輪近傍を示す拡大斜視図。
図18】同じくハンマーモアの走行軸と走行輪とを示す平面断面図。
図19】(a)同じくハンマーモアの後部の拡大斜視図、(b)同じくハンマーモアの後部の拡大斜視図。
図20】同じくハンマーモアの前部の拡大斜視図。
図21】同じくハンマーモアの前部の拡大側面図。
図22】同じくハンマーモアの高さ調節機構の操作部を示す拡大平面図。
図23】同じくハンマーモアの作業機の位置を低くした状態を示す拡大側面図。
図24】同じくハンマーモアの作業機の位置を低くした状態の操作部を示す拡大平面図。
図25】同じくハンマーモアの作業機の位置を高くした状態を示す拡大側面図。
図26】同じくハンマーモアの作業機の位置を高くした状態の操作部を示す大側平面図。
図27】同じくハンマーモアの高さ調節機構の操作部を示す正面図。
図28】同じくハンマーモアの同じくハンマーモアの高さ調節機構の操作部を示す正面図。
図29】同じくハンマーモアを示す拡大正面図。
図30】同じくハンマーモアを示す拡大平面図。
図31】同じくハンマーモアのカッターカバー内を示す拡大斜視図。
図32】同じくハンマーモアのカッターカバー内を示す拡大側面断面図。
図33】同じくハンマーモアのベルトカバー内を示す拡大側面図。
図34】同じくハンマーモアベルトカバーとベルトテンション機構を示す正面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態に係るハンマーモア1について、図1から図34を用いて説明する。
図1から図7に示すように、ハンマーモア1は、走行部2と作業機3とを備える歩行型ハンマーモアであり、走行部2の前部に圃場の草刈用の作業機3が配置されて構成される。
走行部2は、作業者によってハンドル17が把持された状態で、前後方向に走行可能に構成される。走行部2は、ミッションケース4と、エンジンフレーム5と、エンジン6と、走行軸7と、走行輪8と、ハンドル17と、カッターカバー40と、前輪9と、ベルトカバー10と、ベルトカバー11と、を備える。
走行部2は、ミッションケース4に固定されてミッションケース4から後方にエンジンフレーム5が突出され、該エンジンフレーム5上にエンジン6が搭載され、該エンジン6が走行および作業機3の動力源となる。ミッションケース4の下部にはエンジン6からの動力が伝達されて駆動する走行軸7が横架され、走行軸7に走行輪8・8が設けられる。ミッションケース4の前部には作業機3が取り付けられる。ミッションケース4の左側部から後上方に延出するように変速レバー20が設けられる。ミッションケース4の上部には、走行または草刈作業時に作業者に把持されるハンドル17が後上方へ延出するように設けられる。ハンドル17には、走行クラッチレバー18、作業クラッチレバー19、バックハンドル21等が配置される。当該走行クラッチレバー18やバックハンドル21等によってハンマーモア1の走行を制御可能とし、また作業クラッチレバー19によって作業機3の動作(例えば、カッター回転軸30の回転速度等)を制御可能としている。
ミッションケース4の前端部には、取付け板32及び連結板33等を介してカッターカバー40が設けられ、カッターカバー40の両側近傍には左右一対の前輪9・9が設けられる。前輪9は、作業機3の下方において圃場に接地する。
【0018】
作業機3は、エンジン6からの動力が伝達されて巻き上げるようにして圃場の草刈を行う。図8に示すように、作業機3は、カッター回転軸30と、カッター刃31と、を備える。
作業機3は、カッターカバー40内(カッターカバー40の下部)にエンジン6からの動力が伝達されて駆動するカッター回転軸30を横架し、カッター回転軸30の外周面には複数個の正面視Y字状等のカッター刃31・31・・・の基部がステーを介して設けられて構成される。
カッター刃31・31・・・は、カッター回転軸30が高速回転動作することによって、遠心力によりカッター回転軸30に対して垂直(半径方向)に突出して草刈を行うことができ、また、万一圃場の土や圃場表面に転がる石等に該カッター刃31が当接した場合には、ステーの軸を中心に回転して逃げるような動作をして、破損することを抑制するように構成される。
【0019】
次に、エンジン6からの動力伝達構成について説明する。
エンジン6からの動力は、エンジン6の左側に動力取出軸が突出し、当該動力取出軸を介して、ミッションケース4の左方に配置されるベルトカバー10内のプーリーやベルト等に伝達され、ベルトカバー10の前後略中央部から右側に突出してミッションケース4内に挿通される入力軸に伝達されて、ミッションケース4に伝達される。
また、エンジン6からの動力は、エンジン6の動力取出軸を介してベルトカバー10内のプーリーやベルト等に伝達され、ベルトカバー10の前部から右側に突出し軸カバー12内に配置される動力取出軸に伝達される。
動力取出軸は、ベルトカバー11の後上部内に挿通されて、ベルトカバー11内においてその突出側端部(右端部)にプーリー14が設けられる。カッター回転軸30は、ベルトカバー11の前下部内に挿通されて、ベルトカバー11内においてその突出側端部(右端部)にプーリー15が設けられる。前記プーリー14・15間にベルト16が巻回される。このようにして、エンジン6からの動力は、動力取出軸に伝達され、ベルトカバー11内のプーリー及びベルト16に伝達され、カッター回転軸30に伝達される(図33参照)。
【0020】
図1から図7に示すように、カッターカバー40は、主板41と、左右一対の側板42・42と、軸受け43と、軸カバー44とを備え、作業機3(作業機3のカッター回転軸30及びカッター刃31等)の上方を覆い、下方が開放するように構成される。
カッターカバー40の主板41は、金属製の平板状の部材に折り曲げ加工を施すことよって構成される。主板41は、前部が前下後上に傾斜し、前後中途部から後部に亘って側面視で弧状に形成されて構成される。
カッターカバー40の左右一対の側板42・42は、上縁部が主板41に連接されるように固定されて構成される。左右一対の側板42・42は、カッター回転軸30を回転可能に支持する。左右一対の側板42・42は、その略中央部に貫通孔がそれぞれ形成され、当該貫通孔に軸受け43及びベアリング等を配置し、当該軸受け43等にカッター回転軸30の左右端部が挿通されて、カッター回転軸30を回転可能に支持する。カッターカバー40の軸カバー44は、左方の側板42の貫通孔に配置され、カッター回転軸30の左端部を覆うように構成される(図8から図9参照)。
【0021】
図8または図9に示すように、カッターカバー40は、視認窓45を備える。
視認窓45は、カッターカバー40の外側からカッター回転軸30(カッター刃31)の回転動作の状態を作業者が視認可能に構成される。視認窓45は、カッターカバー40の左方の側板42部に設けられる。視認窓45は、カッターカバー40の左方の側板42部の軸カバー44に設けられる。視認窓45は、軸カバー44の中央部を左右方向に貫通するように形成されることによって構成される。視認窓45には、透明の樹脂素材で構成される円盤状の部材である蓋体46が設けられる。
【0022】
以上のように、カッターカバー40はカッターカバー40の外側からカッター回転軸30の回転動作の状態を作業者が視認可能に構成される視認窓45を備えることから、作業機3による草刈動作を行っている状態から作業レバーをOFFにした後に、作業者が視認窓45を介してカッター回転軸30の状態を見ることによって、カッター回転軸30(カッター刃31)の回転動作が停止したか否かについてカッターカバー40の外側から視認して認識することがでる。
したがって、作業効率を向上させることができ、また、安全性を確保することができる。
【0023】
また以上のように、視認窓45はカッターカバー40の軸カバー44(軸カバー44の中央部)に設けられることから、作業者がカッター回転軸30の回動動作の状態をより確実に視認して、カッター回転軸30(カッター刃31)の回転動作が停止したか否かについてより確実に認識することがでる。
【0024】
カッター回転軸30の左端部の表面には、視認マーク47が設けられる。視認マーク47は、作業者が視認窓45を介してカッター回転軸30の回転動作の状態を視認し易くするものである。視認マーク47は、作業者が視認窓45を介してカッター回転軸30の回転動作の状態を視認し易い色(例えば黄色)に着色される。視認マーク47は、線状に構成され、軸心から偏心した位置に設けられる。視認マーク47は、軸心から半径方向に延出するように設けられる。
【0025】
以上のように、カッター回転軸30の左端部の表面に視認マーク47が設けられることから、作業者が視認マーク47の回転を視認することによってカッター回転軸30の回動動作の状態をより確実に視認して、カッター回転軸30(カッター刃31)の回転動作が停止したか否かについてより確実に認識することがでる。
【0026】
なお、視認窓45に蓋体46を設けない構成であってもよいものとする。また、蓋体46は、透明であることに限定されず例えば半透明で構成されてもよく、また、樹脂素材に代えて例えばガラス素材で構成されてもよいものとする。また、蓋体46は、作業者がカッター回転軸30の回転動作の状態を拡大して視認されるような拡大鏡で構成されてもよいものとする。
また、視認マーク47は、線状に構成されるものあることに限定されず、カッター回転軸30の回転動作の状態を視認し易いものであればよく、例えば、単数または複数の円形や四角形、また、カッター回転軸30の左端部の表面全体に設けられる渦巻き形状等で構成されてもよいものとする。
【0027】
図10から図13に示すように、走行輪8は、ホイール23を備え、ホイール23の筒部24に走行軸7が貫挿された状態で、ワッシャ25およびビス等の固定具26が走行軸7の端部に取付けられて、走行軸7に取付けられる。
走行輪8は、走行軸7が回転した際の走行軸7における所定の回転角度の領域において走行軸7に対して空転可能に(回転しないように)構成される。走行輪8は、後述する固定ピン54によって走行軸7に固定可能に構成される。
走行軸7は、その左右端部(走行輪8が取付けられる部分)のそれぞれに複数個(三個)の取付け孔22を備える。取付け孔22は、所定の間隔を空けて走行軸7の軸心方向に沿って並べて配置され、固定ピン54が挿通可能に構成される。なお、取付け孔22は三個であることに限定されず、二個または四個以上で構成することもできる。
固定ピン54は、後述する当接部材50または走行輪8を走行軸7に固定して取付けるものである。
【0028】
走行輪8は、ホイール23に突出体27を備える。
走行輪8の突出体27は、円柱状に構成される部材であり、ホイール23の内側の面(機体側の面)から内側に突出するように構成される。走行輪8の突出体27は、ホイール23の筒部24近傍に配置される。
【0029】
ハンマーモア1は、走行軸7に当接部材50を備える。
当接部材50は、走行軸7に取付けられる。当接部材50は、本体51と、一対の当接体52・52と、を備える。
当接部材50の本体51は、円筒状に構成されて、走行軸7を貫挿可能に構成される。当接部材50の本体51は、軸心方向と直交する方向に貫通する貫通孔53を一対備える。当接部材50の本体51の一対の貫通孔53・53は、互いに180°位相をずらすように配置され、後述する固定ピン54が挿通可能に構成される。
当接部材50の一対の当接体52・52は、本体51の外面から本体51の軸心方向と直交する方向に突出するように設けられる。当接部材50の当接体52は、本体51の貫通孔53よりも外側に配置される。当接部材50の一対の当接体52・52は、互いに180°位相をずらすように配置される。当接部材50の当接体52は、本体51の貫通孔53が配置される場所に対して90°位相をずらすように配置される。
当接部材50の当接体52は、走行軸7が回転したときに走行輪8の突出体27に当接可能に構成される。
なお、当接部材50の当接体52は、一対であることに限定されず、例えば一個で構成されてもよく、また、当接部材50の当接体52は、本体51の貫通孔53が配置される場所に対して90°位相をずらすように配置されることに限定されるものではない。また、当接部材50の当接体52は、本体51の外面から本体51の軸心方向に突出するように設けられる構成とすることもできる(図17または図18参照)。
【0030】
当接部材50は、例えば本体51の貫通孔53と走行軸7の三個の取付け孔22のうち最も内側(機体側)の取付け孔22とを一致させた状態で固定ピン54が当該本体51の貫通孔53と走行軸7の取付孔とに貫挿されることによって、走行軸7に取付けられる。このとき、固定ピン54は、スナップピンが設けられて前記本体51の貫通孔53および走行軸7の取付孔から脱落することを防止される。
当接部材50は、走行軸7に取付けられた状態では、走行軸7の回転とともに回転するように構成される。
【0031】
走行輪8は、前述のように当接部材50が走行軸7に取付けられた状態で当接部材50の外側にホイール23が配置されるように走行軸7に取付けられる。
このように構成されることによって、走行輪8は、走行軸7が回転して当接部材50の当接体52が走行輪8の突出体27に当接することによって回転するように構成される。また、走行輪8は、走行軸7が回転した際の走行軸7における所定の回転角度(本実施形態においては略130°)の領域において、当接部材50の当接体52が走行輪8の突出体27に当接しないように構成される。つまり、走行輪8は、走行軸7が回転した際の走行軸7における略130°(所定の回転角度)の領域において、走行輪8に対して空転するように(回転しないように)構成される。
【0032】
以上のように、走行輪8は、走行軸7が回転した際の走行軸7における所定の回転角度の領域において走行軸7に対して空転可能に(回転しないように)構成されることから、ハンマーモア1における旋回動作を容易に行うことができ、操作性を向上させることができる。
【0033】
また以上のように、走行輪8はホイール23に突出体27を備え、当接部材50は走行軸7に取付けられた状態で走行軸7の回転とともに回転するように構成され、当接部材50の当接体52は走行軸7が回転したときに走行輪8の突出体27に当接可能に構成され、走行輪8は、走行軸7が回転して当接部材50の当接体52が走行輪8の突出体27に当接することによって回転するように構成され、走行軸7が回転した際の走行軸7における所定の回転角度の領域において、当接部材50の当接体52が走行輪8の突出体27に当接せず走行輪8に対して空転するように構成されることから、ハンマーモア1における旋回動作を容易に行うことができるものを簡易な構成実現することができる。
【0034】
走行輪8は、走行軸7が回転した際の走行軸7における所定の回転角度の領域において走行軸7に対して空転する状態と、走行軸7に固定されて走行軸7が回転した際に走行軸7とともに回転する構成と、を設定可能に構成される。
走行輪8は、走行軸7が回転した際に走行軸7とともに回転する設定について説明する。
図14に示すように、走行輪8の外側のホイール23の筒部24は、軸心方向と直交する方向に貫通する貫通孔28を一対備える。走行輪8の外側のホイール23の筒部24の一対の貫通孔28・28は、互いに180°位相をずらすように配置され、固定ピン54が挿通可能に構成される。
当接部材50を走行軸7に取付けられている固定ピン54を抜き取り、走行輪8のホイール23の貫通孔28と走行軸7の三個の取付け孔22のうち最も外側(機体と反対側)の取付け孔22とを一致させた状態で、当該抜き取った固定ピン54を当該走行輪8のホイール23の貫通孔28と走行軸7の取付孔とに貫挿することによって、走行輪8は走行軸7に固定される。このとき、固定ピン54は、スナップピンが設けられて前記ホイール23の貫通孔28および走行軸7の取付孔から脱落することを防止される。またこのとき、当接部材50は、走行軸7が貫挿され状態で走行輪8の内側に配置された状態でもよくまた走行軸7から抜き取られた状態とすることもできる。
走行輪8は、このように走行軸7に取付けられた状態では、走行軸7が回転した際に走行軸7とともに回転するように構成される。このように走行軸7が回転した際に走行軸7とともに走行輪8が回転するように構成される設定では、例えば、走行中に平坦な圃場から下り坂に差し掛かる際の操作性を向上させることができる。
【0035】
以上のように、走行輪8は、走行軸7が回転した際の走行軸7における所定の回転角度の領域において走行軸7に対して空転する状態と、走行軸7が回転した際に走行軸7とともに回転する構成と、を設定可能に構成されることから、状況に応じて前記設定を変更して操作性が向上した状態での走行を行うことができる。
【0036】
走行輪8は、走行軸7が回転した際に走行軸7とともに回転する構成であって、その配置位置を外側と内側とに設定可能に構成される。
走行輪8は、その配置位置を内側とする設定について説明する。
図15に示すように、走行輪8のホイール23の貫通孔28と走行軸7の三個の取付け孔22のうち中央の取付け孔22とを一致させた状態で、固定ピン54が当該走行輪8のホイール23の貫通孔28と走行軸7の取付孔とに貫挿されることによって、走行輪8を走行軸7に固定することもできる。このとき、固定ピン54は、スナップピンが設けられてホイール23の貫通孔28および走行軸7の取付孔から脱落することを防止される。またこのとき、当接部材50は、走行軸7が貫挿され状態で走行輪8の内側に配置された状態でもよくまた走行軸7から抜き取られた状態とすることもできる。
また、図16に示すように、走行輪8のホイール23の貫通孔28と走行軸7の三個の取付け孔22のうち最も内側の取付け孔22とを一致させた状態で、固定ピン54が当該走行輪8のホイール23の貫通孔28と走行軸7の取付孔とに貫挿されることによって、走行輪8を走行軸7に固定することもできる。このとき、固定ピン54は、スナップピンが設けられてホイール23の貫通孔28および走行軸7の取付孔から脱落することを防止される。またこのとき、当接部材50は、走行軸7が貫挿され状態で走行輪8の外側において走行軸7に配置された状態でもよくまた走行軸7から抜き取られた状態とすることもできる。
このように走行輪8が走行軸7に固定されることによって、走行輪8は、走行輪8のホイール23の貫通孔28と走行軸7の三個の取付け孔22のうち最も外側の取付け孔22とに固定ピン54が貫挿された状態の走行輪8の位置よりも、内側(機体側)に配置されることとなる。
このように走行輪8を配置することによって、ハンマーモア1における旋回動作を比較的容易に行うことができ、操作性を比較的向上させることができる。
【0037】
固定ピン54を二個備え、一方の固定ピン54によって当接部材50が走行軸7に取付けられている状態で、走行輪8のホイール23の貫通孔28と走行軸7の取付け孔22とに他方の固定ピン54を貫挿することによって、走行輪8が走行軸7に固定される構成とすることもできる。
【0038】
図19(a)に示すように、ハンマーモア1は、ピン配置部29を備える。
ピン配置部29は、固定ピン54を配置可能に構成される。ピン配置部29は、エンジンフレーム5の後端部(機体の後端部)に設けられる前上後下に傾斜する金属製の平板状の部材に形成される貫通孔で構成される。前記貫通孔は、固定ピン54の胴部を挿通可能に構成され、固定ピン54の頭部よりも小さい径で構成される。ピン配置部29は、左右一対形成される。
走行輪8または当接部材50の走行軸7への固定に固定ピン54を使用しない場合に、当該走行軸7への固定に使用しない固定ピン54の頭部を上方にしてその胴部をピン配置部29に挿通することによって、固定ピン54の頭部が引っかかるようにして保持されて、固定ピン54がピン配置部29に配置される。また、固定ピン54の頭部を下方にしてその胴部をピン配置部29に挿通した状態で固定ピン54にスナップピンを設けることによって、スナップピンが引っかかるようにして固定ピン54がピン配置部29に配置される。
【0039】
以上のように、ピン配置部29を備えることから、例えば使用しない固定ピン54(二個の固定ピン54のうち一方の固定ピン54)をピン配置部29に配置することができ、固定ピン54が紛失することを防止することができる。
なお、図19(b)に示すように、ピン配置部29は、固定ピン54を配置可能に構成される。ピン配置部29は、エンジンフレーム5の後端部の前上後下に傾斜する平板状の部材の前方(エンジンフレーム5の後端部)に配置される構成とすることもできる。
【0040】
ハンドル17は、一本の略丸棒状の部材を湾曲させるようにして平面視で略U字状に構成される。ハンドル17の後部(略U字状に構成される底部)は、走行または草刈作業時において作業者によって把持される部分として構成される。
作業クラッチレバー19は、作業機3の草刈動作の制御を行うものであり、ハンドル17の左部に設けられる。
【0041】
走行クラッチレバー18は、ハンマーモア1の走行または停止の操作(走行のON/OFF操作)を行うものである。図1から図7に示すように、走行クラッチレバー18は、棒状の部材をハンドル17の後部の形状に合わせて湾曲させるようにして平面視で略W字状に構成される。走行クラッチレバー18は、ハンドル17の後部において走行または草刈作業時に作業者に把持される部分の近傍に配置される。走行クラッチレバー18は、ハンドル17の左部から右部に渡るように構成される。走行クラッチレバー18は、その前端部を回動支点として上下に回動可能にハンドル17に設けられる。走行クラッチレバー18は、上方に付勢されて構成される。走行クラッチレバー18が上方に位置するときには走行クラッチレバー18がOFFの状態とされて、ハンマーモア1の走行が停止した状態とされる。走行クラッチレバー18を下方に回動させて下方に位置させたときには、走行クラッチレバー18がONの状態とされて、ハンマーモア1が走行する。
【0042】
バックハンドル21は、ハンドル17の後部の左右中央部に配置される。バックハンドル21は、レバーがONの状態で操作を行うことによって、ハンマーモア1の前進または後進の切り替え操作を行うものであり、バックハンドル21を作業者が握らない状態でOFF、バックハンドル21を作業者が握った状態でONとなるように構成される。ハンマーモア1は、走レバーがONの状態において、バックハンドル21がOFFの状態(バックハンドル21を握らない状態)では前進走行し、また、バックハンドル21がONの状態(バックハンドル21を握った状態)では後進走行するように構成される。
【0043】
以上のように、走行クラッチレバー18がONの状態で操作を行うことによってハンマーモア1の前進または後進の切り替え操作を行うバックハンドル21を備え、バックハンドル21はハンドル17(ハンドル17の後部の左右中央部)に配置されることから、従来の構成のもの(バック走行を行いたい場合に、走行動作を停止してギアハンドルによってバックギアに切替えた後に走行クラッチレバー18をONすることによってバック走行する構成のもの)に比べて、前進走行から後進走行の切り替えをスムーズに行うことができ、操作性や作業性等を向上させることができる。
なお、バックハンドル21は、ハンドル17の後部の左右中央部に配置されることに限定されるものではなく、仕様等に応じてハンドル17の適宜の位置に配置することができる。
【0044】
走行クラッチレバー18は、左右中央部(バックハンドル21が配置される部分と相当する部分)が凹状に形成されて、当該凹状に形成される部分に作業者の手を配置可能に構成される。このように構成することによって、作業者がバックハンドル21を操作しながら走行クラッチレバー18を上下に回動させること(走行のON/OFF操作を行うこと)ができ、操作性や作業性等を向上させることができる。
【0045】
図20から図21に示すように、作業機3(カッター刃31)の高さを圃場に対して高くまたは低く調節する高さ調節機構60を備える。
高さ調節機構60は、前輪9がカッター回転軸30の軸心を中心に回動可能に構成され、前輪9の回動位置を変更して前輪9の高さ位置を変更し、当該変更された前輪9の高さ位置を固定することによって作業機3の高さを高くまたは低くして、作業機3の高さを調節するように構成される。
高さ調節機構60は、回動部61と、操作部62と、を備える。
【0046】
高さ調節機構60の回動部61は、カッターカバー40の側部近傍において前輪9を支持し、カッター回転軸30の軸心を中心に回動可能に構成される。回動部61は、カッター回転軸30よりも前方に位置するように前輪9を支持する。
操作部62は、作業機3の高さを調節する際に作業者に操作されるものである。操作部62は、作業者に操作されることによって、回動部61を回動させて前輪9の高さ位置を変更させ、また、回動部61の回動位置(変更された前輪9の高さ位置)が固定されるように構成される。操作部62は、機体右側のカッターカバー40の上方に配置され、カッター回転軸30よりも後方(カッター回転軸30を挟んで前輪9と反対側)に配置される。操作部62は、ミッションケース4の右方、エンジン6の前方、左方の走行輪8の前上方、また、カッターカバー40の上方(上後方)の空間に配置される。
【0047】
このように、前輪9は、カッターカバー30の側部近傍に配置され、高さ調節機構60の操作部62は、カッターカバー30の上方に配置されて、前輪9がカッターカバー30の前方に突出せず、また、高さ調節機構60の操作部62が機体の前方や側方等に突出しないことから、作業機3(カッター刃31)の高さ位置を変更する機能を有するものであっても、機体が大型化することを防止してコンパクトに構成することができ、例えば、狭い場所や圃場の際における草刈作業を比較的容易に行うことができる。
またこのように、高さ調節機構60の操作部62は、ミッションケース4の右方、エンジン6の前方、左方の走行輪8の前上方、また、カッターカバー40の上方(上後方)の空間に配置されることから、従来からの空間に操作部62を配置することによって、作業機3(カッター刃31)の高さ位置を変更する機能を有するものであっても、機体が大型化することを防止してコンパクトに構成することができる。
またこのように、回動部61は、前輪9をカッターカバー30の側部近傍において支持し、カッター回転軸30の軸心を中心に回動可能に構成され、操作部62は、作業者に操作されることによって、回動部61を回動させて前輪9の高さ位置を変更させ、また、回動部61の回動位置が固定されることから、作業機3(カッター刃31)の高さ位置を変更する作業をより簡便なものとすることができる。
【0048】
高さ調節機構60の回動部61は、左右一対の支持部材63・63と、連結部材64と、を備える。
【0049】
高さ調節機構60の回動部61の左右一対の支持部材63・63は、左右の軸受け43にそれぞれ支持されて、カッター回転軸30の軸心を中心に回動可能に構成される。支持部材63は、金属製の平板状の部材であって、前下後上に傾斜するようにカッターカバー40の側板42の外側に配置される。支持部材63の下部(前下端部)は、カッターカバー40の側板42の下端部の近傍に位置し、支持部材63の上部(後上端部)は、カッターカバー40の側板42の下端部の近傍に位置する。支持部材63の下部(前下端部)には貫通孔が形成され、当該貫通孔に前輪9の回動軸が挿通されることによって、支持部材63はその一端部(下部)において前輪9を支持する。支持部材63の上部(後上端部)は連結部材64に固定されて、支持部材63の他端部(上部)が連結部材64に連結される。
【0050】
高さ調節機構60の回動部61の連結部材64は、金属製の左右方向を長手方向とする平板棒状の状の部材であって、左端部及び右端部がそれぞれ下方(前下方向)に突出するように構成される。連結部材64は、その左右中途部(上部)の左部に上方(後上方向)に突出する一対の突出体65・65が形成される。連結部材64の突出体65は、後述する操作部62のアーム66を回動可能に支持する。
連結部材64は、その左右中途部(上部)がカッターカバー40の主板41の上方に位置し、その左右端部がカッターカバー40の側板42の外側に位置するように配置される。連結部材64は、カッター回転軸30を中心に前輪9と反対側に配置される。
連結部材64は、その左右の端部において左右一対の支持部材63・63の上部とボルト等の固定具によって固定されて一対の支持部材63・63を連結する。
【0051】
このように構成される回動部61は、支持部材63がカッター回転軸30の軸心を中心に回動することによって、前輪9の回動位置および連結部材64の回動位置が変更されるように構成される。回動部61は、支持部材63が回動することによって、前輪9が上方に回動した際には連結部材64が下方に回動し、また、前輪9が下方に回動した際には連結部材64が上方に回動するように構成される。そして、前輪9の回動位置を上方(連結部材64の回動位置を下方)とすることによって、カッター回転軸30が下方に押し下げられるように移動して作業機3(カッター刃31)が圃場に対して近接することとなり作業機3(カッター刃31)の高さが低くなる(図23または図24参照)。また、前輪9の回動位置下方(連結部材64の回動位置を上方)とすることによって、カッター回転軸30が上方に押し下げられるように移動して作業機3(カッター刃31)が圃場に対して離間することとなり作業機3(カッター刃31)の高さが高くなる(図25または図26参照)。
【0052】
高さ調節機構60の操作部62は、アーム66と、操作ハンドル67と、軸体68と、筒体69と、支柱70と、上下一対のバネ受け71・71と、付勢部材72と、嵌挿体73と、複数個の切欠き74と、を備える。
【0053】
高さ調節機構60の操作部62の軸体68は、回動部61の連結部材64の左右一対の突出体65・65を渡るように設けられる。操作部62のアーム66は、金属製の左右方向を長手方向とする平板棒状の状の部材であって、右部が上方に突出するように形成されて略正面視略L字状に構成される。操作部62のアーム66の前記上方に突出する部分には、操作ハンドル67が設けられる。操作部62の筒体69は、前記アーム66の上方に突出する際の屈曲部分の上面に固定される。操作部62の筒体69には軸体68が挿通されて、アーム66が上下に回動可能に構成される。
【0054】
高さ調節機構60の操作部62のアーム66の前記屈曲部分と左端部との間(アーム66の左部)には貫通孔が形成される。
操作部62の支柱70は、前記アーム66の貫通孔に挿通された状態で、連結部材64の上面から上方に延出するように連結部材64の上面に固定され、前記アーム66の貫通孔に挿通された状態とされる。
操作部62のバネ受け71は、金属製の平板円盤状の部材であって中央部に貫通孔が形成されて構成される。操作部62の上方のバネ受け71は、その貫通孔に支柱70が挿通された状態で支柱70の上端部に固定される。下方のバネ受け71は、その貫通孔に支柱70が挿通された状態でアーム66の上面に固定される。
操作部62の付勢部材72は、コイルバネで構成される。付勢部材72は、一対のバネ受け71・71間に配置されてバネ受け71を付勢し、アーム66の左部を下方に付勢する。
操作部62の嵌挿体73は、金属製の平板円盤状の部材であって、アーム66の下面から下方に突出するようにアーム66の左端部に固定される。嵌挿体73は、切欠き74に嵌挿可能に構成される。
【0055】
高さ調節機構60の操作部62の切欠き74は、取付け板32に形成され、カッターカバー40の主板41の上方に配置される。
ここで、取付け板32は、金属製の平板状の部材に折り曲げ加工を施すことによって構成され、側面視略U字状に構成される。取付け板32の前端部と後端部とがカッターカバー40の主板41にボルト等の固定具によって固定されて、カッターカバー40の上方に位置する。
また、取付け板32の上面から上方に突出するように左右一対の連結板33・33が連接され、連結板33の上部がミッションケース4にボルト等の固定具によって固定されて、取付け板32及び連結板33を介して、カッターカバー40がミッションケース4に設けられる。連結板33が取付け板32に連接される部分は、取付け板32の左右端部よりも若干内側に位置し、左右縁部が左方または右方に突出するように構成される。
操作部62の切欠き74は、取付け板32の前後中途部の右縁部を切り欠くように構成される。切欠き74は、嵌挿体73を嵌挿可能に構成される。切欠き74は、前後方向に複数個(本実施形態では六個)所定の間隔毎に形成されて、当該複数個の切欠き74から作業者が選択して嵌挿体73を嵌挿するように構成される。
【0056】
次に、高さ調節機構60において作業機3(カッター刃31)の高さを調節する動作について説明する。
高さ調節機構60の操作部62の複数個の切欠き74のうち作業者によって選択された一個の切欠き74に嵌挿体73を嵌挿した状態では、回動部61の支持部材63、連結部材64、及び前輪9の回動位置が固定された状態とされる(図21または図22参照)。
このような状態において、作業者が操作部62の操作ハンドル67を下方(右下方)に回動させてアーム66を回動させて、前記切欠き74から嵌挿体73を上方に引き上抜いた状態とする(図27または図28参照)。
そして、操作部62の切欠き74から嵌挿体73を上方に引き上抜いた状態で、作業者が操作部62の操作ハンドル67を前方(前上方)または後方(後下方)に移動させることによって連結部材64の回動位置および前輪9の回動位置を変更して、作業機3(カッター刃31)の高さを調節する。
さらに、前記連結部材64の回動位置および前輪9の回動位置を変更した状態で、複数個の切欠き74のうち作業者によって選択された一個の切欠き74に嵌挿体73を嵌挿した状態として、回動部61の支持部材63、連結部材64、及び前輪9の回動位置が固定された状態とされ、作業機3(カッター刃31)の高さを変更した状態が固定される。作業者が操作部62の操作ハンドル67を離した状態では付勢部材72の付勢力によってアーム66の左部が下方に付勢されて、嵌挿体73が切欠き74に嵌挿された状態が保持される。
【0057】
なお、高さ調節機構60の操作部62の切欠き74は、六個であるものに限定されず、仕様や用途等に応じて適宜その個数を設定することができる。
また、操作部62は、機体右方に配置されることに限定されず、機体の左方に配置される構成とすることもできる。
【0058】
以上のように、高さ調節機構60の回動部61の支持部材63は、軸受け43に支持されてカッター回転軸30の軸心を中心に回動可能に構成され、その一端部において前輪9を支持し、その他端部(上部)が連結部材64に連結され、支持部材63がカッター回転軸30の軸心を中心に回動することによって、前輪9の回動位置および連結部材64の回動位置が変更されるように構成されることから、作業機3(カッター刃31)の高さ位置を変更する作業をより簡便なものとするものを簡易な構成で実現することができる。
【0059】
また以上のように、高さ調節機構60の操作部62の複数個の切欠き74のうち作業者によって選択された一個の切欠き74に嵌挿体73を嵌挿した状態で、回動部61の支持部材63、連結部材64、及び前輪9の回動位置が固定された状態とされ、また、操作ハンドル67を操作してアーム66を回動させて切欠き74から嵌挿体73を引き上抜いた状態として、作業者が操作部62の操作ハンドル67を操作して移動させることによって、連結部材64の回動位置および前輪9の回動位置を変更して作業機3(カッター刃31)の高さを調節することから、作業機3(カッター刃31)の高さ位置を変更する作業をより簡便なものとするものを簡易な構成で実現することができる。
【0060】
図1から図2または図4から図8に示すように、ハンマーモア1は、跳ね返り防止板35を備える。
跳ね返り防止板35は、作業機3の草刈作業動作時に、前方に跳ねた石等が例えば壁等に当たって跳ね返って、作業者に当接することを防止する。
跳ね返り防止板35は、金属製の平板状の部材に折り曲げ加工を施すことよって構成される。跳ね返り防止板35は、下部36が上下方向に延出し、上部37が前上後下に傾斜するように形成されて、側面視略V字状に構成される。
跳ね返り防止板35は、カッターカバー40の前端部に設けられる。跳ね返り防止板35は、下部36がカッターカバー40の主板41の前端部にビス等の固定具によって取付けられ、上部37がカッターカバー40の主板41の前端部から前上方に延出するように構成される。跳ね返り防止板35の下部36は、作業機3の草刈作業動作時に跳ね返った石等が機体や作業者等に直接当接することを防止するように構成される。また、跳ね返り防止板35の上部37は、作業機3の草刈作業動作時に跳ね返った石等が機体や作業者等に直接当接することを防止し、また、作業機3によって刈られる直前の草を前方に押し倒すことができるように構成される。跳ね返り防止板35の上部37の上端部は、機体の最前端に位置する。
【0061】
以上のように、跳ね返り防止板35がカッターカバー40の前端部に設けられることから、作業機3の草刈作業動作時に跳ね返った石等が作業者に当接することをより確実に防止することができる。
【0062】
跳ね返り防止板35は、左右一対の側板部38・38を備える。
跳ね返り防止板35の側板部38は、ハンマーモア1を走行させながら草刈作業を行ったときに、作業機3によって刈られる直前の草を内側に取り込むように構成される。跳ね返り防止板35の左右一対の側板部38・38は、跳ね返り防止板35の下部36に連接される。跳ね返り防止板35の左右一対の側板部38・38は、跳ね返り防止板35の下部36の左右の端部から左方または右方に延出して、カッターカバー40の左右から外側に延出するように構成される。跳ね返り防止板35の側板部38は、外前内後に傾斜するように構成される。
このように跳ね返り防止板35(跳ね返り防止板35の側板部38)が構成されることによって、作業機3の草刈作業動作時に跳ね返った石等が作業者に当接することを防止する機能と草を集草する機能とを備えたものを、一体的に構成して、部品点数を低減させたものとすることができる。
【0063】
また、跳ね返り防止板35の側板部38は、前輪9の前方に配置される。
このため、ハンマーモア1を走行させながら草刈作業を行ったときに、刈られた草が前輪9に巻き付くことを防止することができる。
【0064】
図29から図30に示すように、跳ね返り防止板35は、その上部37に走行ガイド39を備える構成とすることもできる。
跳ね返り防止板35の走行ガイド39は、作業者によってハンドル17が把持された状態でハンマーモア1を走行させるときに、作業者から見て走行ガイド39と圃場の所定の対象物と一致させるようにハンマーモア1の走行させることによってハンマーモア1の走行経路を概ね安定させる。
跳ね返り防止板35の走行ガイド39は、作業者によってハンドル17が把持された状態で作業者に視認可能な位置に配置される。跳ね返り防止板35の走行ガイド39は、上部37の上端(機体前端)に設けられる。跳ね返り防止板35の走行ガイド39は、上部37の左右端部のぞれぞれの近傍に配置される。跳ね返り防止板35の走行ガイド39は、側板部38よりも中央側に配置される。跳ね返り防止板35の走行ガイド39は、上部37の上端部が円弧状に切り欠かれるように構成される。
このように構成されることから、例えば、草刈を終えた部分と草刈を行っていない部分との境界(所定の対象物)と、跳ね返り防止板35の走行ガイド39とを、作業者から見て一致させるようにハンマーモア1を走行させることによってハンマーモア1の走行経路を概ね安定させて、作業機3にて草刈作業を行ったときに草刈を終えた部分と草刈を行っていない部分との境界部分に刈残しが生じることを抑制することができる。
なお、跳ね返り防止板35の走行ガイド39は、円弧状の切欠きであることに限定されず、例えば、角状等の切欠きや凸部等で構成、また、上部37の後上面に三角形状の印を設けて構成することもできる。
【0065】
図31から図32に示すように、カッターカバー40は、保護板48を備える。保護板48は、金属製の平板状の部材で構成される。保護板48は、カッターカバー40の内側に配置されて、作業機3が草刈動作を行った際に巻き上げられた石や草等が直接カッターカバー40(カッターカバー40の内側)に当接することを防止する。保護板48は、カッターカバー40の主板41の前部の内側(作業機3が草刈動作を行った際に巻き上げられる石等の量が比較的多い部分)に配置される。
【0066】
以上のように、カッターカバー40は、作業機3が草刈動作を行った際に巻き上げられた石等が直接カッターカバー40に当接することを防止する保護板48を備えることから、巻き上げられた石等が当接すること等によってカッターカバー41が損傷すること(例えば凹み等が生じること)を抑制することができる。したがって、損傷することによるカッターカバー40の取り替え頻度を低減させて、カッターカバー40の取り換え費用を低減させることができる。
【0067】
また、カッターカバー40は保護板48を備えることから、保護板48を備えないものに比べてカッターカバー40の板厚を薄くしてカッターカバー40自体の強度を低下させたものとすることができる。このようにカッターカバー40の板厚を薄く構成した場合には、カッターカバー40の重量を低減させたものとすることができ、ハンマーモア1における旋回時等の操作性を向上させることができる。
また、カッターカバー40の保護板48の板厚を厚くしてカッターカバー40の重量を増加させたものとすることもできる。このように保護板48の板厚を厚く構成した場合には、保護板48をウエイトとして機能させることもできる。
【0068】
保護板48は、ビス等の固定具によってカッターカバー40(カッターカバー40の主板41)に設けられ、着脱可能に構成される。このように構成さることによって、損傷した保護板48を容易に取り換えることがでる。
また、保護板48は、スペーサ49を介してカッターカバー40に設けられる。保護板48(保護板48の前上面)とカッターカバー40の主板41(主板41の後下面)との間に若干の間隔を空けるようにして(例えば5mmの隙間が生じるように)、保護板48はカッターカバー40に設けられる。このように構成さることによって、作業機3が草刈動作を行った際に巻き上げられた石等によって保護板48に凹み等が生じた場合であっても、当該保護板48の凹み等によってカッターカバー40の主板41が損傷することを抑制することができる。
【0069】
図33から図34に示すように、ベルトカバー11は、ベルトテンション機構80を備える。
ベルトカバー11のベルトテンション機構80は、ベルトカバー11内に配置されるベルト16に張力がかかるようにし、また当該ベルト16への衝撃やベルト16の振動等を吸収するように構成される。ベルトテンション機構80は、ベルトカバー11内のプーリー14(動力取出軸)とプーリー15(カッター回転軸30)との間の後部のベルト16を前方に付勢してベルト16に張力を付与する。
ベルトテンション機構80は、ベルトカバー11の取付け部に取付けられる。ベルトカバー11の取付け部は、その後部であって上下略中央部から後方突出し、筒状に構成される。ベルトテンション機構80は、ベルトカバー11の取付け部に嵌装されるようにして取付けられる。なお、ベルトテンション機構80(ベルトカバー11の取付け部)は、ベルトカバー11の後部の上下略中央部に配置されることに限定されるものではなく、仕様等に応じてベルトカバー11の適宜の位置に配置することができる。
ベルトテンション機構80は、ケース81と、キャップ82と、移動アーム83と、付勢バネ84と、支持軸85と、左右一対のベアリング86・86と、左右一対のベルトガイド87・87と、を備える。
【0070】
ベルトテンション機構80のケース81は、円筒状に構成される。ケース81は、ベルトカバー11の取付け部内に嵌装されて固定される。
ベルトテンション機構80のキャップ82は、ベルトカバー11の取付け部の後端の開口部に蓋をするようにベルトカバー11の取付け部に着脱可能に取付けられる。
【0071】
ベルトテンション機構80の移動アーム83は、前後方向を長手方向とする金属製の平板状に構成される。移動アーム83は、ケース81内に配置されて、ケース81の軸心方向(略前後方向)に沿って移動可能に構成される。移動アーム83は、その後部がケース81内に配置され、また、その前部がケース81の前方の開口から突出するように配置される。移動アーム83は、その前部に支持軸85が挿通される貫通孔89を備え、また、その前後中途部に角張るように形成される。前記移動アーム83の角張る部分は、付勢バネ84の前端部が当接するバネ受け88として構成される。
ベルトテンション機構80の付勢バネ84は、コイル状のバネであり、ケース81内に配置される。付勢バネ84は、その後端部がケース81後部に配置されるバネ支持体に支持され、その前端部が移動アーム83のバネ受け88に当接することによって、移動アーム83を前方(ベルト16側)に付勢する。
【0072】
ベルトテンション機構80の支持軸85は、円柱状の部材であり、移動アーム83に貫通孔89に挿通されて、移動アーム83から左方および右方に突出するように構成される。支持軸85は、ベアリング86およびベルトガイド87を支持するように構成される。
ベルトテンション機構80のベアリング86は、ベルト16に当接した状態で回転可能に構成される。一対のベアリング86・86は、移動アーム83の左方および右方において支持軸85に挿通されて回転可能とされ、移動アーム83の前部の左右それぞれに配置される。ベアリング86の前端は、移動アーム83の前端よりも前方に位置する。一対のベアリング86・86の左右幅(左方のベアリング86の左端部と右方のベアリング86の右端部の距離)は、ベルト16の幅よりも若干大きく構成される。
【0073】
ベルトテンション機構80のベルトガイド87は、ベアリング86に当接したベルト16が脱落することを防止するように構成される。ベルトガイド87は、金属製の平板状の部材であって、側面視で円の一部を切り取ったような形状に構成される。ベルトガイド87は、その略中央部に支持軸85が挿通される貫通孔89を備える。一対のベルトガイド87・87は、左右のベアリング86の外側(左方または右方)において支持軸85に挿通されて、移動アーム83の前部およびベアリング86の左右それぞれに配置される。ベルトガイド87の外側に止め輪が設けられて、ベルトガイド87およびベアリング86が支持軸85から脱落することが防止される。一対のベルトガイド87・87の間隔(左方のベルトガイド87から右方のベルトガイド87の距離)は、ベルト16の幅よりも若干大きく構成される。一対のベルトガイド87・87の間には、ベルト16が配置されるように構成される。ベルトガイド87の前部(少なくとも前部)は、ベアリング86の前端部よりも前方に位置する。
【0074】
このように構成されるベルトテンション機構80は、移動アーム83が付勢バネ84によって前方に付勢された状態で一対のベアリング86・86がベルト16に当接することによって、ベルトカバー11内に配置されるベルト16に張力がかかるようにし、また当該ベルト16への衝撃やベルト16の振動等を吸収するように構成される。
【0075】
以上のように、ベルトテンション機構80は、ケース81内に配置されてケース81の軸心方向に沿って移動可能に構成され、支持軸85が挿通される貫通孔89を備える移動アーム83と、移動アーム83をベルト16側に付勢する付勢バネ84と、移動アーム83に貫通孔89に挿通されてベアリング86およびベルトガイド87を支持するように構成される支持軸85と、支持軸85に挿通されてベルト16に当接した状態で回転可能とされるベアリング86と、を備えることから、従来のベルトカバー内のベルト16のベルトテンション機構80と比べて薄く(左右方向に薄く)構成することができる。ベルトカバーの左右幅を例えば左右幅が30mm以下に構成することができる。このため、ハンマーモア1を比較的コンパクトに構成することができる。
【0076】
また以上のように、ベルトテンション機構80は、ベアリング86に当接したベルト16が脱落することを防止するように構成されるベルトガイド87を備えることから、より確実にベアリング86が当接した状態として、より確実にベルト16に張力がかかった状態とすることができる。
【0077】
作業クラッチレバー19をONの状態として作業機3が草刈動作を行っている状態から、作業クラッチレバー19をOFFの状態とすると、ブレーキ装置(不図示)が作動してプーリー14の回転が停止し、エンジン6から作業機3への動力の伝達が停止する。
ブレーキ装置(不図示)は、作業クラッチレバー19をOFFの状態としたときに、軸カバー12内の動力取出軸に設けられるベルトカバー10内のプーリーにブレーキをかけて当該プーリーの回転を停止させることによって、プーリー14の回転を停止させる。なお、作業クラッチレバー19をOFFの状態としたときにプーリー14の回転を停止させる構成としては、このようなものに限定されるものではなく、例えば、作業クラッチレバー19をOFFの状態としたときにプーリー14にブレーキをかけることによってプーリー14の回転を停止させる構成とすることもできる。
このようにブレーキ装置(不図示)が作動してプーリー14の回転が停止したときに、ベルト16に張力がかかりベルトテンション機構80の移動アーム83が押し戻されて(ベルト16と反対側に移動して)、プーリー15がベルト16に対して空回り可能にベルト16が緩む構成とされる。
そして、作業機3が草刈動作を行っている状態においてはカッター回転軸30が回転していることから、ブレーキ装置(不図示)が作動してプーリー14の回転が停止した後も暫くの間、プーリー15がベルト16に対して空回りして、カッター回転軸30及びプーリー15はその慣性により回転動作を継続する。
【0078】
以上のように、作業クラッチレバー19をONの状態として作業機3が草刈動作を行っている状態から、作業クラッチレバー19をOFFの状態とするとプーリー14の回転が停止するものであり、前記プーリー14の回転が停止したときに、ベルト16に張力がかかりベルトテンション機構80の移動アーム83が押し戻されて、プーリー15がベルト16に対して空回り可能にベルト16が緩む構成とされ、前記プーリー14の回転が停止した後、プーリー15がベルト16に対して空回りしてカッター回転軸30及びプーリー15はその慣性により回転動作を継続することから、作業クラッチレバー19をONの状態として作業機3が草刈動作を行っている状態から作業クラッチレバー19をOFFの状態としてブレーキ装置が作動してプーリー14の回転が停止した際にベルト16が緩まずにプーリー15がベルト16に対して空回りしない構成のものに比べて、プーリー14・15またベルト16等にかかる負荷を低減させて、プーリー14・15、ベルト16、またプーリー14のブレーキ装置(不図示)等や破損することを抑制することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 ハンマーモア
2 走行部
3 作業機
4 ミッションケース
5 エンジンフレーム
6 エンジン
7 走行軸
8 走行輪
9 前輪
11 ベルトカバー
14 プーリー
15 プーリー
16 ベルト
17 ハンドル
18 走行クラッチレバー
21 バックハンドル
22 取付孔
23 ホイール
24 筒部
27 突出体
28 貫通孔
29 ピン配置部
30 カッター回転軸
31 カッター刃
35 跳ね返り防止板
36 下部
37 上部
38 側板部
39 走行ガイド
40 カッターカバー
41 主板
42 側板
43 軸受け
44 軸カバー
45 視認窓
47 視認マーク
48 保護板
49 スペーサ
50 当接部材
54 固定ピン
60 高さ調節機構
61 回動部
62 操作部
63 支持部材
64 連結部材
66 アーム
67 操作ハンドル
73 嵌挿体
74 切欠き
80 ベルトテンション機構
84 移動アーム
85 付勢バネ
86 ベアリング
87 ベルトガイド
図1
図2
図3
図4
図5
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