(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025042654
(43)【公開日】2025-03-28
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理方法および情報処理システム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/428 20140101AFI20250321BHJP
A63F 13/55 20140101ALI20250321BHJP
A63F 13/525 20140101ALI20250321BHJP
A63F 13/5378 20140101ALI20250321BHJP
【FI】
A63F13/428
A63F13/55
A63F13/525
A63F13/5378
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023149697
(22)【出願日】2023-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100207619
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 知晴
(72)【発明者】
【氏名】山川 恵介
(72)【発明者】
【氏名】榊原 和樹
(72)【発明者】
【氏名】成田 亨
(72)【発明者】
【氏名】加藤 銀河
(72)【発明者】
【氏名】尾形 芽生
(57)【要約】
【課題】プレイヤに対して、リアリティのある入力操作を保持しつつ、利便性の高いゲームシステムを提供する。
【解決手段】コントローラ情報取得手段62は、ゲームにかかる第1の入力機器の位置に関する位置情報などを取得する。HMD情報取得手段64は、ゲームにかかる第2の入力機器の位置または角度に関する位置情報などを取得する。キャラクタ管理手段66は、前記位置情報に応じて、前記ゲームの仮想空間において所定のオブジェクトの位置および角度を管理する。条件判定手段68は、前記第1の入力機器と所定の第2の入力機器の距離または位置関係が所定の第1条件を満たした場合に、前記オブジェクトの位置または角度に関する制限処理を実行する。仮想カメラ制御手段70は、ゲーム画像を生成するための視座を決定する基点として機能する仮想カメラの仮想空間における位置および角度を制御する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
ゲームにかかる入力機器の位置に関する位置情報を取得する取得手段と、
前記位置情報に応じて、前記ゲームの仮想空間において所定のオブジェクトの位置および角度を管理する管理手段と、
前記入力機器と所定の装着機器の距離または位置関係が所定の第1条件を満たした場合に、前記オブジェクトの位置または角度に関する制限処理を実行する実行手段と、
として機能させるプログラム。
【請求項2】
前記実行手段は、前記オブジェクトを前記ゲームのキャラクタの頭部の位置に固定させる前記制限処理を実行する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記オブジェクトに設置された仮想カメラを基点として生成された画像を、前記ゲームのゲーム画像の一部として提示する提示手段としてさらに機能させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記提示手段は、前記実行手段により前記制限処理が実行されている場合と、前記実行手段により前記制限処理が実行されていない場合で、前記仮想カメラを基点として生成される画像の解像度を異ならせる、
請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記提示手段は、前記ゲームの状況に応じて、前記仮想カメラを基点として生成される画像に所定の画像処理を実行する、
請求項3に記載のプログラム。
【請求項6】
前記実行手段は、前記第1条件が満たされた後に、前記入力機器と前記装着機器の距離または位置関係に関して、所定の第2条件が満たされた場合に前記制限処理を解除する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項7】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
ゲームにかかる入力機器の位置に関する位置情報を取得する取得ステップと、
前記位置情報に応じて、前記ゲームの仮想空間において所定のオブジェクトの位置および角度を管理する管理ステップと、
前記入力機器と所定の装着機器の距離または位置関係が所定の第1条件を満たした場合に、前記オブジェクトの位置または角度に関する制限処理を実行する実行ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項8】
ゲームにかかる入力機器と、
前記ゲームにかかる装着機器を含む情報処理システムであって、
前記入力機器の位置に関する位置情報を取得する取得手段と、
前記位置情報に応じて、前記ゲームの仮想空間において所定のオブジェクトの位置および角度を管理する管理手段と、
前記入力機器と前記装着機器の距離または位置関係が所定の第1条件を満たした場合に、前記オブジェクトの位置または角度に関する制限処理を実行する実行手段と、
を備える情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、情報処理方法および情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、HMD(Head Mounted Display)等の普及により、プレイヤが使用するHMDや入力コントローラ等の位置や角度に基づき、仮想空間内のキャラクタの動作や仮想カメラの位置等を制御することができるコンテンツが知られている。
例えば、HMDの姿勢の変化により、仮想空間における仮想カメラの姿勢の変化以外の操作を行うことができる技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1を含む従来技術において、単にHMDや入力コントローラ等の位置や角度に対応して、すべてのゲーム内の制御が行われてしまうと、逆にゲームの利便性や親しみやすさが損なわれてしまう場合もある。
【0005】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、プレイヤに対して、リアリティのある入力操作を保持しつつ、利便性の高いゲームシステムを提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の第1の側面は、
コンピュータを、
ゲームにかかる入力機器の位置に関する位置情報を取得する取得手段と、
前記位置情報に応じて、前記ゲームの仮想空間において所定のオブジェクトの位置および角度を管理する管理手段と、
前記入力機器と所定の装着機器の距離または位置関係が所定の第1条件を満たした場合に、前記オブジェクトの位置または角度に関する制限処理を実行する実行手段と、
として機能させるプログラムである。
【0007】
また第1の側面において、前記実行手段は、前記オブジェクトを前記ゲームのキャラクタの頭部の位置に固定させる前記制限処理を実行することができる。
【0008】
また第1の側面において、前記プログラムは、前記オブジェクトに設置された仮想カメラを基点として生成された画像を、前記ゲームのゲーム画像の一部として提示する提示手段としてさらに機能することができる。
【0009】
また第1の側面において、前記提示手段は、前記実行手段により前記制限処理が実行されている場合と、前記実行手段により前記制限処理が実行されていない場合で、前記仮想カメラを基点として生成される画像の解像度を異ならせることができる。
【0010】
また第1の側面において、前記提示手段は、前記ゲームの状況に応じて、前記仮想カメラを基点として生成される画像に所定の画像処理を実行することができる。
【0011】
また第1の側面において、前記実行手段は、前記第1条件が満たされた後に、前記入力機器と前記装着機器の距離または位置関係に関して、所定の第2条件が満たされた場合に前記制限処理を解除することができる。
【0012】
また本開示の第2の側面は、
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
ゲームにかかる入力機器の位置に関する位置情報を取得する取得ステップと、
前記位置情報に応じて、前記ゲームの仮想空間において所定のオブジェクトの位置および角度を管理する管理ステップと、
前記入力機器と所定の装着機器の距離または位置関係が所定の第1条件を満たした場合に、前記オブジェクトの位置または角度に関する制限処理を実行する実行ステップと、
を含む情報処理方法である。
【0013】
また本開示の第3の側面は、
ゲームにかかる入力機器と、
前記ゲームにかかる装着機器を含む情報処理システムであって、
前記入力機器の位置に関する位置情報を取得する取得手段と、
前記位置情報に応じて、前記ゲームの仮想空間において所定のオブジェクトの位置および角度を管理する管理手段と、
前記入力機器と前記装着機器の距離または位置関係が所定の第1条件を満たした場合に、前記オブジェクトの位置または角度に関する制限処理を実行する実行手段と、
を備える情報処理システムである。
【0014】
本開示の一態様の情報処理方法および情報処理システムも、本開示の一態様のプログラムに対応する情報処理方法又は情報処理システムとして提供される。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、プレイヤに対して、リアリティのある入力操作を保持しつつ、利便性の高いゲームシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示の一実施形態にかかる情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図1の情報処理システムにかかるゲームの操作方法の一例を説明する図である。
【
図3】本開示の一実施形態にかかる情報処理システムを構成するゲーム装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】本開示の一実施形態にかかる情報処理システムを構成するゲーム装置およびサーバ等の機能的構成の一例を示す図である。
【
図5】本開示の一実施形態にかかる情報処理システムを構成するゲーム装置に表示される画像の一例を示す図である。
【
図6】本開示の一実施形態にかかる情報処理システムを構成するゲーム装置に表示される画像の一例を示す図であり、
図5の例とは異なる例を示す図である。
【
図7】本開示の一実施形態にかかる情報処理システムを構成するゲーム装置により実行されるスコープ固定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施形態]
まず、本開示の実施形態を説明するに先立ち、本開示の一実施形態にかかる情報処理システム(以下、「本システム」と呼ぶ)の適用対象となるゲーム(以下、「本ゲーム」と呼ぶ)の内容を説明する。
本ゲームは、例えば、VR(Virtual Reality)技術を利用して実行されるFPS(First Person Shooter)ゲームである。プレイヤは、HMDを装着しながら、コントローラ等による入力操作を行うことで、ゲーム内のキャラクタの視点を反映した各種ゲーム画像を視認しながらゲームを進行する。
具体的にプレイヤは、各種入力操作によりゲームの仮想空間内に表示されたキャラクタ(またはキャラクタの体の一部)を操作して、敵キャラクタなどとの戦闘を行うことでゲームを進行する。
ここで、本ゲームは、センサ機能を有しない汎用的なゲーム用のコントローラでもプレイすることは可能であるが、本実施形態では、位置情報を取得可能なHMDおよびセンサ機能を内蔵したコントローラを採用する。
具体的に本システムで採用するHMDおよびコントローラは、慣性センサなどの各種センサを備え、実空間における座標認識や各種動作の把握を行うことができる。そのため、本ゲームでも実空間のプレイヤの動作とゲーム内のキャラクタの動作を連動することができる。例えば、実空間でプレイヤが銃を持って狙いを定める動作を行うと、その入力操作がゲーム装置1で処理され、ゲーム内でもキャラクタが銃を持って狙いを定める動作が実行される。このような仕様を採用することで、本システムは、プレイヤにあたかも自分自身が冒険をしながら敵を倒しているような没入感を感じながらゲームをプレイできる環境を提供する。なお、本ゲームにおいて、キャラクタは武器、防具、回復アイテム等の各種ゲーム媒体をうまく活用することで、効率的にゲームを進行することができる。
また、以降の説明において、キャラクタ(オブジェクト)と表現した場合、1つの独立したキャラクタだけを意味するのではなく、キャラクタの一部(例えば、手)のみの画像などを含むものとする。
【0018】
図1は、本システムの構成の一例を示す図である。
図1に示すように、本システムは、ゲーム装置1と、HMD2と、コントローラ3と、サーバ4とを含み構成される。ゲーム装置1と、HMD2と、コントローラ3とは、LAN(Local Area Network)などの通信方式により相互に接続されている。また、ゲーム装置1と、サーバ4とは、インターネットなどの所定のネットワークNを介して相互に接続されている。
なお、これらの通信方式の形態はいずれも限定されず、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fiなどが利用されてもよい。
また、以下、単に「画像」と呼ぶ場合には、「動画像」と「静止画画像」などの任意の形式の画像を含むものとする。
【0019】
ゲーム装置1は、本システムの適用を希望するプレイヤにより使用される。ゲーム装置1は、汎用的な家庭用ゲーム機、PC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレットなどで構成される。ゲーム装置1は、本ゲームの進行に必要となる各種処理を実行する。
【0020】
HMD2は、ゲーム装置1とLAN等により接続されるヘッドマウントディスプレイである。HMD2は、ゲーム装置1で生成された各種ゲーム画像を図示せぬ表示部に表示する。また、HMD2は、例えば、後述するコントローラ3と連動して実空間内の座標認識を行うことができる。なお、HMD2は、CPUやSSDなど各種制御部や記憶部などの汎用的な情報処理装置としての機能を備えていてもよい。
【0021】
コントローラ3は、ゲーム装置1とLAN等により接続されるセンサ機能などを備えたコントローラである。コントローラ3は、各種ボタンやタッチパネルなどが設けられているほか、センサやトラッキング機能などが備えられており、HMD2と連動して、実空間内での座標認識を行うことができる。
【0022】
サーバ4は、本システムの管理者などにより管理される。サーバ4は、汎用的なPCなどで構成される。ゲーム装置1などと通信を行いながら、本ゲームの進行に必要となる各種情報の保存や管理を実行する。
【0023】
次に、
図2を参照しながら、本ゲームの操作方法について簡単に説明する。
図2は、本システムにかかるゲームの操作方法の一例を説明する図である。
【0024】
図2には、実空間においてゲームをプレイ中のプレイヤの状況と、その時点におけるゲーム画面の一例が合わせて表示されている。
具体的に
図2の(a1)を見ると、実空間において、テレビ画面に向かって右手を突き出した状態(片手で銃を撃つような姿勢を模した状態)をとりながらゲームをプレイしている。そして、
図2の(a2)を見ると、同一時点におけるゲーム画像の一例として、右手で銃を保持しながら攻撃しようと狙いを定めているキャラクタの状態が表示されている。
同様に、
図2の(b1)を見ると、実空間において、テレビ画面に向かって両手を突き出した状態(両手で銃を撃つような姿勢を模した状態)でゲームをプレイしているプレイヤが表示されている。そして、この時のゲーム画面、すなわち
図2の(b2)を見ると、両手で武器を保持しながら攻撃しようと狙いを定めているキャラクタが表示されている。
このように、本ゲームでは、HMD2およびコントローラ3を保持するプレイヤの動作や姿勢を取得し、その情報がゲームの入力情報として処理される。そして、ゲーム内のキャラクタは、原則として、プレイヤの実空間の動作や姿勢に応じて、ゲーム空間内に配置され、動作する。これにより、プレイヤはあたかも自分がゲーム空間を冒険しているような感覚で楽しみながらゲームをプレイすることができる。
また、上述の通り、コントローラ3には、各種ボタンやタッチパネルなどが設けられている。プレイヤは、HMD2やコントローラ3の位置や角度、コントローラ3に設けられた各種ボタンやタッチパネルを介した入力操作に応じて、ゲーム内における様々な操作を実現できる。
【0025】
図3は、本システムを構成するゲーム装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0026】
図3に示すように、ゲーム装置1は、制御部11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、記憶部16と、通信部17と、ドライブ18と、を備えている。
【0027】
制御部11は、CPU、GPU、半導体メモリを含むマイクロコンピュータなどにより構成される。制御部11は、ROM12に記録されているプログラムまたは記憶部16からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、制御部11が各種の処理を実行する上において必要な情報なども適宜記憶される。
【0028】
制御部11、ROM12およびRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、記憶部16、通信部17、ドライブ18が接続されている。
【0029】
また、入出力インターフェース15には、HMD2およびコントローラ3も接続されている。
HMD2は、例えば、ゲームに関する画像や音声などを出力する出力機器である。例えば、HMD2は、制御部11の各種処理の結果として生成されたゲーム画像を図示せぬ表示部に表示する。また、例えば、HMD2は、制御部11の各種処理の結果として生成されたゲームの音声をプレイヤが認識可能な形式で出力する。
コントローラ3は、例えば、制御部11による各種処理の実行に際して、プレイヤからの操作指示を受け付ける入力機器である。例えば、コントローラ3は、プレイヤがゲームにおいて実行する操作指示の内容を入力情報として取得する。
【0030】
記憶部16は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などで構成され、各種データを記憶する。例えば、記憶部16には、ゲームの進行に必要となる各種ゲームプログラムや他のハードウェアなどで進行されるゲームの進行状況に関する情報などが格納されている。
【0031】
通信部17は、インターネットを含むネットワークNを介して、他のハードウェアなどと行う通信を制御する。
【0032】
ドライブ18は、必要に応じて設けられる。ドライブ18には磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどからなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。ドライブ18によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部16にインストールされる。また、リムーバブルメディア31は、記憶部16に記憶されている各種データも、記憶部16と同様に記憶することができる。
【0033】
なお、サーバ4のハードウェア構成は、ゲーム装置1のハードウェア構成と基本的に同様とできるので、ここでは説明を省略する。
【0034】
図4は、本システムを構成するゲーム装置およびサーバ等の機能的構成の一例を示す図である。
図4に示すように、ゲーム装置1の制御部11は、各種プログラムなどを実行することにより、ゲーム処理実行手段60と、コントローラ情報取得手段62と、HMD情報取得手段64と、キャラクタ管理手段66と、条件判定手段68と、仮想カメラ制御手段70と、出力制御手段72とが機能する。
【0035】
ゲーム処理実行手段60は、ゲームに関する各種処理を実行する。
具体的にゲーム処理実行手段60は、プレイヤなどの各種入力操作に従い、ゲーム情報に含まれる仮想のゲーム空間オブジェクトおよびテクスチャなどを図示せぬ記憶部から読み出すなどして、ゲームプログラムを実行しつつ、ゲームに関する2次元または3次元の画像や音声などを生成する。すなわち、ゲーム処理実行手段60は、プレイヤによる操作指示の結果を生成し、管理することで、ゲームの進行を制御する。
また、ゲーム処理実行手段60は、適宜、ゲームに関する各種情報をサーバ4に送信する。
【0036】
コントローラ情報取得手段62は、ゲームにかかる第1の入力機器の位置に関する位置情報などを取得する。
具体的にコントローラ情報取得手段62は、例えば、コントローラ3に設置された各種ボタンの押下に関する情報、実空間におけるコントローラ3の位置や角度に関する情報、実空間におけるコントローラ3の位置の変化に伴う加速度に関する情報などの、コントローラ3に関する各種情報(以下、「コントローラ情報」と呼ぶ)を取得する。本実施形態では、コントローラ3にかかる入力情報のそれぞれに対応し、仮想空間内に表示されたキャラクタの体の一部(例えば、手)の動きやゲーム画像を生成するための視座が決定される。これにより、プレイヤは、自身の動作に合わせて、ゲーム内のキャラクタが動いているような感覚でゲームをプレイすることができる。
【0037】
HMD情報取得手段64は、ゲームにかかる第2の入力機器の位置または角度に関する位置情報などを取得する。
具体的にHMD情報取得手段64は、例えば、実空間におけるHMD2の位置や角度に関する情報、実空間におけるHMD2の位置の変化に伴う加速度に関する情報などのHMD2に関する各種情報(以下、「HMD情報」と呼ぶ)を取得する。
【0038】
キャラクタ管理手段66は、前記位置情報に応じて、前記ゲームの仮想空間において所定のオブジェクトの位置および角度を管理する。
具体的にキャラクタ管理手段66は、コントローラ情報取得手段62で取得されたコントローラ情報およびHMD情報取得手段64で取得されたHMD情報に基づいて、プレイヤにより操作されるキャラクタ(以下、「プレイヤキャラクタ」と呼ぶ)の仮想空間における位置および角度を管理する。
【0039】
条件判定手段68は、前記第1の入力機器と所定の第2の入力機器の距離または位置関係が所定の第1条件を満たした場合に、前記オブジェクトの位置または角度に関する制限処理を実行する。
具体的に条件判定手段68は、コントローラ情報取得手段62で取得されたコントローラ情報およびHMD情報取得手段64で取得されたHMD情報に基づいて、HMD2およびコントローラ3が所定の距離以内に存在するか否かを判定する。そして、条件判定手段68は、HMD2およびコントローラ3が所定の距離以内に存在すると判定した場合、プレイヤキャラクタの装備する武器の狙いを定めるための補助装置(以下、「スコープ」と呼ぶ)またはそれを支持する手の位置を固定する制限処理を実行する。
なお、条件判定手段が実行する制限処理の詳細については、
図5および
図6を参照しながら後述する。
【0040】
仮想カメラ制御手段70は、ゲーム画像を生成するための視座を決定する基点として機能する仮想カメラの仮想空間における位置および角度を制御する。
ここで、仮想カメラ制御手段70には、第1仮想カメラ制御手段80と、第2仮想カメラ制御手段82と、第3仮想カメラ制御手段84とが設けられている。
第1仮想カメラ制御手段80は、プレイヤキャラクタの左目の位置に対応して配置される第1仮想カメラの仮想空間における位置および角度を制御する。第1仮想カメラ制御手段80は、第1仮想カメラを基点とするゲーム画像を生成する。
第2仮想カメラ制御手段82は、プレイヤキャラクタの右目の位置に対応して配置される第2仮想カメラの仮想空間における位置および角度を制御する。第2仮想カメラ制御手段82は、第2仮想カメラを基点とするゲーム画像を生成する。
第3仮想カメラ制御手段84は、プレイヤキャラクタが装備する武器のスコープの位置に対応して配置される第3仮想カメラの仮想空間における位置および角度を制御する。第3仮想カメラ制御手段84は、第3仮想カメラを基点とするゲーム画像を生成する。
また、仮想カメラ制御手段70は、各仮想カメラ制御手段(特に第3仮想カメラ制御手段84)で生成されたゲーム画像を、プレイヤに提示するゲーム画像の一部として提示する。具体的に例えば、仮想カメラ制御手段70は、各仮想カメラ制御手段(特に第3仮想カメラ制御手段84)で生成されたゲーム画像を所定の倍率で拡大または縮小し、プレイヤに提示するゲーム画像(例えば、
図5または
図6を参照)の一部として提示する。
【0041】
出力制御手段72は、ゲーム処理実行手段60などで生成された各種ゲーム画像や音声などを、HMD2の図示せぬ出力部に出力させる制御を実行する。
【0042】
図4に示すように、サーバ4の制御部400は、各種プログラムなどを実行することにより、ゲーム情報管理手段420が機能する。
【0043】
サーバ4のゲーム情報管理手段420は、ゲーム装置1によるゲームの進行に必要となる各種情報を管理し、各種処理を実行する。具体的に例えば、ゲーム情報管理手段420は、ゲーム装置1から送信されてきたアカウント情報に対する認証、ゲーム装置1からの各種ゲーム情報のダウンロード要求に対するゲーム情報の配信などを実行する。
【0044】
ここで、本ゲームは、実空間におけるHMD2およびコントローラ3の位置や角度、入力操作などに応じて、基本的なゲーム内処理が行われる。しかし、上述の通り、HMDやコントローラなどの位置や角度に応じて、すべてのゲーム内処理(例えば、細かなオブジェクトの位置や角度の制御など)が行われてしまうと、逆にゲームの利便性や親しみやすさが損なわれる可能性がある。
そこで、このような問題を解決するために本システムが備える補助機能について、
図5および
図6を参照しながら、説明する。
図5および
図6は、本開示の一実施形態にかかる情報処理システムを構成するゲーム装置に表示される画像の一例を示す図である。
【0045】
図5の例は、プレイヤが離れた距離からライフル銃を用いて、敵キャラクタを攻撃しようと狙いを定めている状況である。プレイヤは、ライフル銃に備えられた補助装置D1(スコープ)を確認しながら、プレイヤが遠くに小さく見える敵キャラクタに狙いを定めて、攻撃ボタンを押下する必要がある。ゲーム中にプレイヤが、このような動作を繰り返し行うのは、特にゲームに慣れていないプレイヤにとっては難しく、ゲームを楽しめなくなる要因の一つともなり得る。
なお、
図5の状況に類似するゲームのプレイ環境は、従前のゲームなどでも採用されており、仕様の詳細は次の非特許文献1なども参照されたい。
[非特許文献1] 「元特殊部隊員がバックパック型PC『VR One』でFPSをプレイ! 元プロの戦士に戦いかたとVRの未来を訊いた」,[online],[令和5年8月14日検索],インターネット(https://www.famitsu.com/news/201709/07141308.html)
【0046】
これに対して、
図6の例は、
図5の例と同様にプレイヤが離れた距離からライフル銃を用いて、敵キャラクタを攻撃しようと狙いを定めている状況である。しかし、
図6の例では、表示されるゲーム画像において、補助装置D2(スコープ)の内部の画像が拡大されて表示されている。これにより、プレイヤは、拡大された画像を確認しながら狙いを定めることができるため、より容易に自身の希望する対象に対して攻撃を行いやすくなる。なお、本システムは、上述の通り第3仮想カメラ制御手段84を備えていることから、容易に補助装置D2を基点として生成される画像の部分のみを拡大することができる。
さらに、
図6の例では、プレイヤキャラクタの目の位置と補助装置D2の位置が近接した状態で固定されている。すなわち、
図5の例では、ライフル銃を支える動作を行う体の一部(右利きの場合は右手)の位置が動いてしまった場合には補助装置D1自体が動いてしまう。それに対して、
図6の例では、例えば、プレイヤの保持したコントローラ3の位置が頭に装着したHMD2の近くに存在することを検知した場合、補助装置D2の位置は固定されたままとなる。そのため、ライフル銃を支える動作を行う体の一部(右利きの場合は右手)の位置が多少動いてしまった場合でも補助装置D2の位置が固定されたままとなり、容易に敵キャラクタに狙いを定めることができる。本システムは、このような機能を備えることで、より利便性の高いゲーム環境を提供できる。
【0047】
図7は、本開示の一実施形態にかかる情報処理システムを構成するゲーム装置により実行されるスコープ固定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0048】
ステップS1において、コントローラ情報取得手段62は、例えば、コントローラ3に設置された各種ボタンの押下に関する情報、実空間におけるコントローラ3の位置や角度に関する情報、実空間におけるコントローラ3の位置の変化に伴う加速度に関する情報などのコントローラ情報を取得する。
【0049】
ステップS2において、HMD情報取得手段64は、例えば、実空間におけるHMD2の位置や角度に関する情報、実空間におけるHMD2の位置の変化に伴う加速度に関する情報などのHMD情報を取得する。
【0050】
ステップS3において、キャラクタ管理手段66は、コントローラ情報取得手段62で取得されたコントローラ情報およびHMD情報取得手段64で取得されたHMD情報に基づいて、プレイヤキャラクタの位置および角度を管理する。
【0051】
ステップS4において、条件判定手段68は、コントローラ情報取得手段62で取得されたコントローラ情報およびHMD情報取得手段64で取得されたHMD情報に基づいて、HMD2およびコントローラ3が所定の距離以内に存在するか否かを判定する。
HMD2およびコントローラ3が所定の距離以内に存在しない場合、条件判定手段68はステップS4をNOと判定し、処理はステップS1に戻る。
これに対して、HMD2およびコントローラ3が所定の距離以内に存在する場合、条件判定手段68はステップS4をYESと判定し、処理はステップS5へ進む。
【0052】
ステップS5において、条件判定手段68は、HMD2およびコントローラ3が所定の距離以内に存在すると判定した場合、プレイヤキャラクタの装備する武器のスコープの位置を固定する制限処理を実行する。これにより、スコープ固定処理は終了する。
【0053】
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本開示に含まれるものである。
【0054】
[他の実施形態]
また、上述の実施形態において、本システムは、HMD2およびコントローラ3が所定の距離以内に存在することを、制限処理を実行する条件として採用したが、限定されない。本システムは、他の任意の条件を、制限処理を実行する条件として採用してもよい。
さらに例えば、本システムは、ゲーム内におけるオブジェクト(例えば、武器)の種別に応じて、制限処理を実行する条件である所定の距離の長さを変更してもよい。
また、本システムは、プレイヤの利き腕に応じて、制限処理を実行する条件である所定の距離の長さや角度、位置関係等の各種条件を変更してもよい。
【0055】
また、上述の実施形態において、本システムは、プレイヤキャラクタの装備する武器の狙いを定めるためのスコープまたはそれを支持する手の位置を固定する処理を制限処理として採用したが、限定されない。本システムは、他の任意の処理を制限処理として採用してもよい。
【0056】
また、上述の実施形態において、制限処理の対象となるオブジェクトは、ライフル銃であるものとして説明したが、限定されない。制限処理の対象となるオブジェクトは、ライフル銃に限られない照準操作を必要とする各種武器やアイテムなどであってもよい。
【0057】
また、上述の実施形態では簡単な説明に留めたが、本システムにおける仮想カメラ制御手段(第1仮想カメラ制御手段80,第2仮想カメラ制御手段82,第3仮想カメラ制御手段84)は、それぞれ生成するゲーム画像の解像度や倍率を異ならせてもよいし、フィルタなどをかけてもよい(例えば、赤外線カメラのような映像を生成してもよい)。
【0058】
また、上述の実施形態では説明を省略したが、本システムにおける仮想カメラ制御手段(第1仮想カメラ制御手段80,第2仮想カメラ制御手段82,第3仮想カメラ制御手段84)は、ゲーム中に常時ゲーム画像を生成してもよいが、3つの仮想カメラで常時ゲーム画像を生成すると処理負荷が高くなる。そのため、例えば、特に第3仮想カメラ制御手段84による仮想カメラは、制限処理が実行されている場合(スコープがキャラクタの頭部に固定されている場合)は通常の解像度のゲーム画像を生成し、それ以外のゲーム状況では生成するゲーム画像の解像度を大きく下げて、処理負荷を軽減する機能を備えていてもよい。
なお、通常の解像度とは、例えば、第1仮想カメラまたは第2仮想カメラにおいて通常のゲーム実行時に生成されるゲーム画像の解像度を意味している。
【0059】
さらに言えば、本システムにおける仮想カメラ制御手段(第1仮想カメラ制御手段80,第2仮想カメラ制御手段82,第3仮想カメラ制御手段84)は、ゲームの進行状況またはプレイヤの入力操作に応じて、生成するゲーム画像に、例えば、コントラストの調整、明るさの調整、色の変更、拡大または縮小などの各種画像処理を施してもよい。
【0060】
また、上述の実施形態において、本システムは、第1仮想カメラ制御手段80または第2仮想カメラ制御手段82で生成されたゲーム画像に基づいて、プレイヤに提示するゲーム画像を生成するものとして説明したが、限定されない。例えば、本システムは、両目の視点を基準とした第4仮想カメラ制御手段などを採用し、それを基準に生成されたゲーム画像に基づいて、プレイヤに提示するゲーム画像を生成してもよい。
【0061】
また、上述の実施形態では説明を省略したが、本システム(特に条件判定手段68)は、一度所定の条件が満たされていると判定し制限処理を実行した後に、再度、HMD2とコントローラ3とが一定の距離以上離れた場合、実行している制限処理を解除する機能を備えていてもよい。
【0062】
また、上述の実施形態では説明を省略したが、本ゲームは、例えば、プレイステーション(登録商標)などの家庭用ゲーム機、ニンテンドースイッチ(登録商標)などの携帯用のゲーム機、業務用に設計された各種ゲーム機、もしくは、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットなどの電子機器などである任意のハードウェア(例えば、ゲーム装置1など)により実行されてもよい。
【0063】
また、上述の実施形態では説明を省略したが、本システムにかかるゲームの内容は限定されない。本システムは、例えば、FPS(First Person Shooter)、TPS(Third Person Shooter)、RPG(Role Playing Game)、アクションゲーム、シミュレーションゲーム、スポーツゲーム、カードゲーム、バトルロワイヤル(対称型、非対称型)、MOBA(Multiplayer online battle arena)、音楽ゲーム、格闘ゲーム、クイズゲームなどのあらゆるゲームに適用されてもよい。
【0064】
また、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、
図4などの機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。
即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは
図4などの例に限定されない。また、機能ブロックの存在場所も、
図4などの例に限定されず、任意でよい。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成されてもよいし、ソフトウェア単体で構成されてもよいし、それらの組み合わせで構成されてもよい。
【0065】
また、本システムを構成する各種ハードウェアの数や使用者は任意であるし、他のハードウェアなどを含み構成されてもよい。
【0066】
また、一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータなどにネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0067】
また、コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータであってもよい。
すなわち、例えば、上述の実施形態における各種ハードウェアには、任意のコンピュータ、任意のスマートフォンなどの携帯端末、任意のゲーム機などが自由に採用されてもよい。さらに言えば、各種入力部や各種出力部などの種別や内容についても任意の組み合わせが採用されてもよい。
【0068】
また、このようなプログラムを含む記録媒体は、プレイヤなどにプログラムを提供するために装置本体とは別に提供される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でプレイヤに提供される記録媒体などで構成されてもよい。
【0069】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理は勿論、並列的または個別に実行されてもよい。また、上述の実施形態で記載するステップは、一部が省略されてもよい。
【0070】
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段などより構成される全体的な装置を意味している。
【0071】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本実施形態の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、および他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【0072】
以上をまとめると、本開示適用されるプログラムは、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
コンピュータを、
ゲームにかかる入力機器の位置に関する位置情報を取得する取得手段(例えば、コントローラ情報取得手段62)と、
前記位置情報に応じて、前記ゲームの仮想空間において所定のオブジェクトの位置および角度を管理する管理手段(例えば、キャラクタ管理手段66)と、
前記入力機器と所定の装着機器の距離または位置関係が所定の第1条件を満たした場合に、前記オブジェクトの位置または角度に関する制限処理を実行する実行手段(例えば、条件判定手段68)と、
として機能させるプログラムであれば足りる。
【0073】
すなわち、コントローラ情報取得手段62は、取得手段として機能する。
キャラクタ管理手段66は、管理手段として機能する。
条件判定手段68は、実行手段として機能する。
仮想カメラ制御手段70は、提示手段として機能する。
【0074】
これにより、プレイヤは、没入感の高い状態で入力操作を行いつつ、簡便にゲームを楽しむことができる。
【符号の説明】
【0075】
1 ゲーム装置
11 制御部
60 ゲーム処理実行手段
62 コントローラ情報取得手段
64 HMD情報取得手段
66 キャラクタ管理手段
68 条件判定手段
70 仮想カメラ制御手段
80 第1仮想カメラ制御手段
82 第2仮想カメラ制御手段
84 第3仮想カメラ制御手段
72 出力制御手段
2 HMD
3 コントローラ
4 サーバ
400 制御部
420 ゲーム情報管理手段