(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004271
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】拡大観察装置
(51)【国際特許分類】
G02B 21/24 20060101AFI20250107BHJP
G02B 21/36 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
G02B21/24
G02B21/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103826
(22)【出願日】2023-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀧瀬 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】二見 空
(72)【発明者】
【氏名】近藤 亮介
【テーマコード(参考)】
2H052
【Fターム(参考)】
2H052AD04
2H052AD16
2H052AD21
2H052AF14
(57)【要約】
【課題】耐振性を有しつつ大型の対象物を拡大して観察し得る拡大観察装置を提供する。
【解決手段】拡大観察装置10は、基台1と、基台1に設けられ水平上面20を有する載置台2と、基台1から鉛直方向に延びる支持柱5と、レール61及び保持体62を有する移動ステージ6とを備える。レール61は、水平上面20に沿う第一方向に平行な第一回転軸11を中心に回転可能に支持される。保持体62は、レール61に沿って移動可能で、観察ヘッド4を保持する。拡大観察装置10は、さらに、水平上面20に着脱可能で且つ対象物OBが載置されるブロック3と、観察画像を生成する画像生成部7とを備える。第一回転軸11は、移動ステージ6を通る。ブロック3は、水平上面20に沿う第二方向(第一方向に直交)に変更可能に取り付けられる。レール61は、支持柱5に対し、保持体62の移動方向が水平上面20に直交する角度位置に調整可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を拡大して観察するための拡大観察装置であって、
基台と、
前記基台に設けられて水平上面を有する載置台と、
前記基台から鉛直方向に延びる支持柱と、
前記支持柱に対し、前記水平上面に沿う方向である第一方向に平行な第一回転軸を中心に回転可能に支持されるレールと、当該レールに沿って移動可能な保持体とを有する移動ステージと、
対物レンズを介して前記対象物を撮像して、当該対象物の画像を生成するカメラを有し、当該カメラの光軸が前記移動ステージの前記保持体の移動方向に沿うように当該保持体に保持される観察ヘッドと、
前記載置台の前記水平上面に着脱可能で且つ前記対象物が載置されるブロックと、
前記観察ヘッドの前記カメラからの画像に基づいて観察画像を生成する画像生成部と
を備え、
前記第一回転軸は、前記移動ステージを通り、
前記ブロックは、前記水平上面に取り付けられる位置を、当該水平上面に沿う方向である第二方向に変更可能であり、
前記第一方向及び前記第二方向は互いに直交し、
前記移動ステージの前記レールは、前記支持柱に対し、前記移動ステージの前記保持体の移動方向が前記水平上面に直交する角度位置に調整可能な、拡大観察装置。
【請求項2】
前記第一回転軸を中心に回転自在に前記支持柱に設けられた回転保持体をさらに備え、
前記回転保持体は、前記移動ステージを保持する、請求項1に記載の拡大観察装置。
【請求項3】
前記回転保持体の前記支持柱に対する回転を固定可能なロック機構をさらに備える、請求項2に記載の拡大観察装置。
【請求項4】
前記支持柱は、規制部材を有し、
前記回転保持体は、前記移動ステージの前記レールに対する前記保持体の移動方向が前記水平上面に直交する角度位置になると前記規制部材に当接する当接部材を有し、
前記移動ステージの前記レールに対する前記保持体の移動方向と前記水平上面に直交する方向とがなす角度である傾斜角を計測する傾斜角計測部と、
前記傾斜角を表示する傾斜角表示部と、
前記当接部材が前記規制部材に当接すると、前記傾斜角表示部に前記傾斜角が無い旨を表示させる表示角補正部と
をさらに備える、請求項2又は請求項3に記載の拡大観察装置。
【請求項5】
前記回転保持体は、棒状ハンドルを有し、
前記棒状ハンドルの中心軸は、前記第一回転軸に向けられるとともに、前記第一回転軸に直交する面に沿う、請求項2又は請求項3に記載の拡大観察装置。
【請求項6】
前記載置台の前記水平上面は、前記第二方向に沿う複数の位置決め穴を有し、
前記ブロックは、前記位置決め穴に挿入可能な位置決めピンを有する、請求項1又は請求項2に記載の拡大観察装置。
【請求項7】
前記載置台は、固定ねじ穴をさらに有し、
前記ブロックは、前記固定ねじ穴に螺合可能な固定ねじをさらに有し、
前記固定ねじは、前記位置決め穴に前記位置決めピンが挿入された際に、前記固定ねじ穴の位置に対応する、請求項6に記載の拡大観察装置。
【請求項8】
前記水平上面に直交する第二回転軸を中心に回転自在に前記ブロックに載置された回転プレートをさらに備え、
前記回転プレートは、前記対象物が載置される、請求項6に記載の拡大観察装置。
【請求項9】
前記回転プレートは、少なくとも前記対象物が載置される面に、光を前記観察ヘッドに反射させる反射部を有する、請求項8に記載の拡大観察装置。
【請求項10】
前記ブロックは、前記第二回転軸の位置に回転軸穴を有し、
前記回転プレートは、前記回転軸穴に挿入可能な回転軸ピンをさらに有する、請求項8に記載の拡大観察装置。
【請求項11】
前記ブロックは、前記回転プレートの前記回転軸ピンを前記回転軸穴に案内する案内部をさらに有する、請求項10に記載の拡大観察装置。
【請求項12】
前記回転プレートの前記回転軸ピンは、前記載置台の前記位置決め穴にも挿入可能である、請求項10に記載の拡大観察装置。
【請求項13】
前記ブロックは、複数重ねて配置され、
複数の前記ブロックのうち、上段の前記ブロックの前記位置決めピンは、下段の前記ブロックの前記回転軸穴に挿入された、請求項10に記載の拡大観察装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡大観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、拡大観察装置(顕微鏡装置100)が開示されている。特許文献1に記載の拡大観察装置は、特許文献1の
図3に示されるように、対象物(観察対象物S)を拡大して観察する観察ヘッド(顕微鏡ヘッド部4)を備える。観察ヘッドは、支持柱(支持台40)に支持されている。
【0003】
特許文献1に記載の拡大観察装置は、ユーセントリック性を担保するために、対象物の高さで第一回転軸(揺動軸45)が支持柱に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の拡大観察装置では、大型の対象物を拡大して観察する場合、支持柱(支持台40)を構成する揺動部46及びヘッド用アーム49も大型化する必要がある。
【0006】
揺動部46及びヘッド用アーム49が大型化すれば、必然的に、回転(揺動)する部分の重心と、第一回転軸とが大きく離れることになる。したがって、特許文献1に記載の拡大観察装置は、大型の対象物を拡大して観察する構成にすれば、耐振性を失うおそれがある。
【0007】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、耐振性を有しつつ大型の対象物を拡大して観察するための画像を生成できる拡大観察装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面によれば、拡大観察装置は、対象物を拡大して観察する。拡大観察装置は、基台と、載置台と、支持柱と、移動ステージと、観察ヘッドと、ブロックと、画像生成部とを備える。載置台は、基台に設けられて、水平上面を有する。支持柱は、基台から鉛直方向に延びる。移動ステージは、レールと、保持体とを有する。レールは、支持柱に対し、水平上面に沿う方向である第一方向に平行な第一回転軸を中心に回転可能に支持される。保持体は、レールに沿って移動可能である。観察ヘッドは、カメラを有する。カメラは、対物レンズを介して対象物を撮像して、対象物の画像を生成する。観察ヘッドは、カメラの光軸が移動ステージの保持体の移動方向に沿うように、保持体に保持される。ブロックは、載置台の水平上面に着脱可能で、且つ、対象物が載置される。画像生成部は、観察ヘッドのカメラからの画像に基づいて観察画像を生成する。第一回転軸は、移動ステージを通る。ブロックは、水平上面に取り付けられる位置を、水平上面に沿う方向である第二方向に変更可能である。第一方向及び第二方向は、互いに直交する。移動ステージのレールは、支持柱に対し、移動ステージの保持体の移動方向が水平上面に直交する角度位置に調整可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の拡大観察装置によれば、耐振性を有しつつ大型の対象物を拡大して観察することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】拡大観察装置の前上方から視た斜視図である。
【
図3】拡大観察装置の後上方から視た斜視図である。
【
図6】載置台からブロックを取り外した拡大観察装置の斜視図である。
【
図7】ブロックから回転プレートを取り外した拡大観察装置の拡大斜視図である。
【
図8】回転プレートから対象物を取り外した拡大観察装置の拡大斜視図である。
【
図9】ブロックが二段重ねて配置された拡大観察装置の拡大斜視図である。
【
図11】拡大観察装置の下部を拡大した右側面図である。
【
図12】拡大観察装置が備える複数のベース足を示す底面図である。
【
図13】拡大観察装置が備える複数のベース足の変形例を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については、同一の参照符号を付することで、説明を繰り返さない。また、以下の説明において、「上」及び「下」等の位置又は方向を意味する用語が用いられることもある。これらの用語は、実施形態の理解を容易にするために便宜上用いられるものであり、特に明確な言及がない限り、厳密な意味での鉛直方向の「上」及び「下」等に限定されない。
【0012】
図1を参照して、本発明の実施形態に係る拡大観察装置10の概略を説明する。
図1は、拡大観察装置10の正面視を示す模式図である。
【0013】
図1に示されるように、拡大観察装置10は、対象物OBを拡大して観察するための観察画像を提供する。拡大観察装置10は、基台1と、載置台2と、支持柱5と、移動ステージ6と、観察ヘッド4と、ブロック3と、画像生成部7とを備える。
【0014】
載置台2は、基台1に設けられて、水平上面20を有する。支持柱5は、基台1から鉛直方向に延びる。
【0015】
移動ステージ6は、レール61と、保持体62とを有する。レール61は、支持柱5に対し、水平上面20に沿う方向である第一方向(Y方向)に平行な第一回転軸11を中心に回転可能に支持される。保持体62は、レール61に沿って移動可能である。
【0016】
観察ヘッド4は、カメラ42を有する。カメラ42は、対物レンズ40を介して対象物OBを撮像して、対象物OBの画像を生成する。観察ヘッド4は、カメラ42の光軸Lが移動ステージ6の保持体62の移動方向に沿うように、保持体62に保持される。拡大観察装置10は、移動ステージ6により観察ヘッド4を移動することで、カメラ42のピント調整が可能になる。また、レール61が、支持柱5に対し、水平上面20に沿う方向である第一方向(Y方向)に平行な第一回転軸11を中心に回転可能に支持されるので、カメラ42もレール61の回転に応じて第一回転軸11を中心に回転する。これにより、拡大観察装置10は、対象物OBの端面や溝などの側面を含む表面を拡大した観察画像を提供することができる。
【0017】
ブロック3は、載置台2の水平上面20に着脱可能で、且つ、対象物OBが載置される。画像生成部7は、観察ヘッド4のカメラ42からの画像に基づいて観察画像を生成する。第一回転軸11は、移動ステージ6を通る。ブロック3は、水平上面20に取り付けられる位置を、水平上面20に沿う方向である第二方向(X方向)に変更可能である。
【0018】
第一方向(Y方向)及び第二方向(X方向)は、互いに直交する。移動ステージ6のレール61は、支持柱5に対し、移動ステージ6の保持体62の移動方向が水平上面20に直交する角度位置に調整可能である。
【0019】
第一回転軸11が移動ステージ6を通るので、拡大観察装置10は、大型の対象物OBを傾斜観察するために大型化されても、第一回転軸11を中心に回転する部分の重心から第一回転軸11までが短い。したがって、拡大観察装置10は、大型の対象物OBを傾斜観察するために大型化されても、耐振性を有する。また、第一回転軸11が移動ステージ6を通るので、拡大観察装置10は、ユーセントリック性を失う。しかしながら、対象物OBが載置されるブロック3は、対象物OBをZ方向に沿って観察ヘッド4に近づけるとともに、位置をX方向に変更して載置台2に取り付けられる。したがって、拡大観察装置10は、観察ヘッド4が第一回転軸11を中心に回転して、つまり観察ヘッド4が傾斜することで、対象物OBを拡大して傾斜観察する画像を提供することが可能である。以上より、拡大観察装置10は、耐振性を有しつつ大型の対象物OBを拡大して傾斜観察する画像を生成することができる。
【0020】
図2~
図5を参照して、本発明のより実機に即した実施形態に係る拡大観察装置10を説明する。
図2は、拡大観察装置10の前上方から視た斜視図である。
図3は、拡大観察装置10の後上方から視た斜視図である。
図4は、拡大観察装置10の右側面図である。
図5は、拡大観察装置10の正面図である。
【0021】
図2に示されるように、拡大観察装置10は、対象物OBを拡大して観察する装置である。拡大観察装置10は、基台1と、載置台2と、ブロック3と、観察ヘッド4と、支持柱5と、移動ステージ6と、画像生成部7とを備える。
【0022】
載置台2は、基台1に設けられて、水平上面20を有する。ブロック3は、載置台2の水平上面20に取付け及び取外しが可能で、且つ、対象物OBが載置される。観察ヘッド4は、対象物OBを拡大して観察する。支持柱5は、基台1に設けられて、観察ヘッド4を支持する。移動ステージ6は、観察ヘッド4のカメラ42の光軸Lに沿って、観察ヘッド4を載置台2の水平上面20に接近又は離間させる。移動ステージ6のレール61が、支持柱5に対し、移動ステージ6の保持体62の移動方向が水平上面20に直交する角度位置に調整された場合、移動ステージ6は、Z方向に沿って、観察ヘッド4を載置台2の水平上面20に接近又は離間させる。Z方向は、載置台2の水平上面20から観察ヘッド4への方向である。画像生成部7は、拡大して観察するための対象物OBの観察画像を生成する。
【0023】
観察ヘッド4は、Y方向に平行な第一回転軸11を中心に回転自在である。Y方向は、載置台2の水平上面20に沿う方向である。第一回転軸11は、移動ステージ6を通る。ブロック3は、載置台2の水平上面20に取り付けられる位置を、X方向に変更可能である。X方向は、載置台2の水平上面20に沿う方向である。X方向、Y方向及びZ方向は、互いに直交する。
【0024】
第一回転軸11が移動ステージ6を通るので、拡大観察装置10は、大型の対象物OBを観察するために大型化されても、第一回転軸11を中心に回転する部分の重心から第一回転軸11までが短い。したがって、拡大観察装置10は、大型の対象物OBを観察するために大型化されても、耐振性を有する。また、第一回転軸11が移動ステージ6を通るので、拡大観察装置10は、ユーセントリック性を失う。しかしながら、対象物OBが載置されるブロック3は、対象物OBをZ方向に沿って観察ヘッド4に近づけるとともに、位置をX方向に変更して載置台2に取り付けられる。したがって、拡大観察装置10は、観察ヘッド4が第一回転軸11を中心に回転して、つまり観察ヘッド4が傾斜することで、例えば、円盤状の対象物OBの端面を拡大して観察する画像を提供することが可能である。以上より、拡大観察装置10は、耐振性を有しつつ大型の対象物OBを拡大して観察するための観察画像を生成することができる。
【0025】
以下、
図2~
図5を参照して、拡大観察装置10をさらに詳細に説明する。
【0026】
図2に示されるように、載置台2は、ブロック3が取り付けられる水平上面20を、基台1に対してX方向及びY方向に移動させるものでもよい。このような載置台2は、XY方向ステージとも称される。XY方向ステージである載置台2は、下段の台座部26と、中段のX方向ステージ22と、上段のY方向ステージ21を有する。台座部26は、基台1に固定される。X方向ステージ22は、台座部26の上に重ねられて、台座部26に対してX方向に移動可能である。Y方向ステージ21は、X方向ステージ22の上に重ねられて、X方向ステージ22に対してY方向に移動可能である。Y方向ステージ21の水平上面20は、ブロック3の取付け及び取外しがされ得る。
【0027】
拡大観察装置10は、ディスプレイ72をさらに備えてもよい。ディスプレイ72は、画像生成部7で生成された画像のデータに基づいて、画像を表示する。すなわち、ディスプレイ72は、対象物OBの拡大された画像を表示する。
図3以降は、画像生成部7及びディスプレイ72の図示を省略する。
【0028】
拡大観察装置10は、情報処理部71をさらに備える。情報処理部71は、制御回路及び電気回路等を有する。制御回路及び電気回路は、XY方向ステージである載置台2、及び、移動ステージ6を、制御及び駆動する。
【0029】
図2~
図5に示されるように、観察ヘッド4は、複数(例えば4つ)の対物レンズ40と、レボルバー41と、カメラ42を有する撮像デバイスとを有する。複数の対物レンズ40は、互いに倍率が異なる。レボルバー41は、回転により、複数の対物レンズ40のうち、いずれか1つの対物レンズ40を選択する。選択された対物レンズ40は、対象物OBを拡大して観察するために使用される。
【0030】
撮像デバイスは、非テレセントリックレンズ(不図示)と、カメラ42(撮像素子)と、送信部(不図示)とを有する。レボルバー41で選択された対物レンズ40と、非テレセントリックレンズとは、対象物OBを観察する。カメラ42(撮像素子)は、拡大して観察された対象物OBを撮像することで、拡大して観察された対象物OBの画像データ(生画像のデータ)を作成する。送信部は、作成された画像データを画像生成部7に送信する。画像生成部7は、受信したデータから、拡大して観察された対象物OBの観察画像(観察用に処理された画像)を生成する。
【0031】
拡大観察装置10は、図示されないコントローラを備えてもよい。コントローラにより、使用者は、XY方向ステージである載置台2、移動ステージ6、及び、レボルバー41の操作が可能である。コントローラにより可能な操作は、XY方向ステージである載置台2及び移動ステージ6の移動、並びに、レボルバー41の回転である。
【0032】
拡大観察装置10は、回転保持体8をさらに備える。回転保持体8は、第一回転軸11を中心に回転自在に支持柱5に設けられている。回転保持体8は、移動ステージ6を保持する。
【0033】
回転保持体8は、移動ステージ6及び観察ヘッド4自体に、回転機構を不要にする。したがって、拡大観察装置10は、構成を簡素にすることができる。
【0034】
回転保持体8は、Y方向の端で支持柱5に回転自在に接続され、Y方向の反対方向の端で移動ステージ6を保持する。第一回転軸11は、移動ステージ6とともに回転保持体8も通る。回転保持体8は、シャフトである軸体88(
図10参照)を有する。軸体88は、支持柱5の内部に至る。軸体88は、回転機構を構成する。
【0035】
回転保持体8は、内部にZ方向駆動機構(不図示)を有する。Z方向駆動機構は、移動ステージ6により観察ヘッド4を、Z方向に移動させる。
【0036】
図2,
図3及び
図5に示されるように、拡大観察装置10は、ロック機構9をさらに備える。ロック機構9は、回転保持体8の支持柱5に対する回転を固定可能である。
【0037】
ロック機構9により、回転保持体8が支持柱5に対して固定される。したがって、回転保持体8に移動ステージ6を介して保持された観察ヘッド4は、対象物OBを拡大して観察するのに適切な角度で固定される。結果として、拡大観察装置10は、適切に対象物OBを拡大して観察する画像を得ることができる。
【0038】
図10に示されるように、ロック機構9は、支持柱5に設けられる。ロック機構9は、レバー90と、ロック軸(不図示)と、ブレーキブラケット58とを有する。レバー90は支持柱5の外部に配置され、ロック軸及びブレーキブラケット58は支持柱5の内部に配置される。レバー90は、一方の方向に回転すると回転保持体8を固定し、他方の方向に回転すると回転保持体8の固定を解除する。ロック軸は、レバー90とともに回転する。ロック軸は、一方の方向に回転すると、ブレーキブラケット58を縮径させる。ロック軸は、他方の方向に回転すると、ブレーキブラケット58を拡径させる。ブレーキブラケット58は、縮径すると、回転保持体8の軸体88を固定する。ブレーキブラケット58は、拡径すると、回転保持体8の軸体88の固定を解除する。
【0039】
図4に示されるように、支持柱5は、規制部材50を有する。回転保持体8は、当接部材80を有する。移動ステージ6のレール61に対する保持体62の移動方向が水平上面20に直交する角度位置になると、当接部材80は規制部材50に当接する。
【0040】
拡大観察装置10は、傾斜角計測部13と、傾斜角表示部(不図示)と、表示角補正部17とをさらに備える。傾斜角計測部13は、移動ステージ6のレール61に対する保持体62の移動方向と水平上面20に直交する方向とがなす角度である傾斜角を計測する。傾斜角表示部は、傾斜角を表示する。表示角補正部17は、当接部材80が規制部材50に当接すると、傾斜角表示部に傾斜角が無い旨を表示させる。
【0041】
当接部材80が規制部材50に当接する状態を傾斜角が0°と定義することで、使用者の利便性が向上する。しかしながら、傾斜角計測部13と当接部材80及び規制部材50の角度位置ズレ等により、傾斜角計測部13が測定した傾斜角が厳密に0°を示さない場合がある。この場合、表示角補正部17により、傾斜角表示部に表示されるのは、傾斜角が無い旨(例えば、0°)となる。したがって、角度位置ズレ等により傾斜角計測部13が測定した傾斜角が厳密に0°を示さない(例えば、±1°の範囲内)場合でも、傾斜角が0°として表示される。結果として、拡大観察装置10は、使用者の利便性を向上させることができる。
【0042】
傾斜角計測部13は、基台側角度センサ14と、回転側角度センサ15と、減算部16とを有する。基台側角度センサ14は、基台1に設けられる。基台側角度センサ14は、鉛直方向とZ方向とがなす角度である基台側角度を計測する。回転側角度センサ15は、回転保持体8に設けられる。回転側角度センサ15は、観察ヘッド4により観察される方向と鉛直方向とがなす角度である回転側角度を計測する。減算部16は、回転側角度から基台側角度を減ずることで、傾斜角(観察ヘッド4により観察される方向とZ方向とがなす角度)を算出する。なお、基台側角度センサ14及び回転側角度センサ15は、例えば、それぞれ加速度センサである。
【0043】
表示角補正部17は、角度位置ズレ等の影響と考えられる角度(例えば、±1°)が予め設定されている。表示角補正部17は、傾斜角が予め設定された角度の範囲内なら、例えば、傾斜角が-1°以上で且つ+1°以下なら、傾斜角が無い旨(例えば、0°)を傾斜角表示部に表示させる。傾斜角表示部は、
図2に示されるディスプレイ72でもよい。
【0044】
図5に示されるように、回転保持体8は、棒状ハンドル81を有する。棒状ハンドル81の中心軸82は、第一回転軸11に向けられるとともに、第一回転軸11に直交する面に沿う。
【0045】
棒状ハンドル81により、使用者は、回転保持体8を容易に回転可能である。したがって、拡大観察装置10は、使用者の利便性を向上させることができる。
【0046】
棒状ハンドル81は、円柱形状等、把持されやすい形状である。棒状ハンドル81は、その中心軸82の方向に沿って、滑止めの円周条83を複数有する。棒状ハンドル81は、傾斜角が0°の回転保持体8(
図5に示される状態)から、X方向の反対方向と、Z方向との間に突出する。
【0047】
したがって、使用者は、棒状ハンドル81を押し下げることで、観察ヘッド4が観察する方向を、ブロック3に載置された対象物OBに向けられる。結果として、拡大観察装置10は、使用者の利便性を一層向上させることができる。
【0048】
以下、
図6を参照して、ブロック3を詳細に説明する。
図6は、載置台2からブロック3を取り外した拡大観察装置10の斜視図である。
【0049】
図6に示されるように、載置台2の水平上面20は、第二方向(X方向)に沿う複数の位置決め穴23を有する。ブロック3は、位置決め穴23に挿入可能な位置決めピン33を有する。
【0050】
位置決め穴23及び位置決めピン33により、載置台2の水平上面20に取り付けられるブロック3の位置が、容易にX方向で変更可能となる。したがって、拡大観察装置10は、使用者の利便性を向上させることができる。
【0051】
位置決めピン33は、ブロック3の底面視における中心に位置する。したがって、ブロック3は、底面視における中心の位置決めピン33により位置決めされるので、載置台2の水平上面20で安定する。結果として、拡大観察装置10は、適切に大型の対象物OBを拡大して観察することができる。
【0052】
載置台2の水平上面20は、X方向に沿う複数の回り止め穴24も有する。ブロック3は、回り止め穴24に挿入可能な回り止めピン34も有する。位置決めピン33と回り止めピン34との距離は、位置決め穴23と回り止め穴24との距離に等しい。したがって、ブロック3は、位置決めピン33及び回り止めピン34が位置決め穴23及び回り止め穴24に挿入されることで、載置台2の水平上面20に取付けられる。これにより、ブロック3は、回転しないので、載置台2の水平上面20で一層安定する。結果として、拡大観察装置10は、一層適切に大型の対象物OBを拡大して観察することができる。
【0053】
回り止め穴24は、位置決め穴23に比べて、X方向に余裕のある径(つまり長穴)でもよい。回り止め穴24は、縁がすり鉢形状に面取りされてもよい。これにより、回り止め穴24は、回り止めの機能を果たしつつ、回り止めピン34が挿入されやすくなる。したがって、載置台2の水平上面20に取り付けられるブロック3の位置が、容易にX方向で変更可能となる。結果として、拡大観察装置10は、使用者の利便性を向上させることができる。
【0054】
載置台2は、固定ねじ穴25をさらに有する。ブロック3は、固定ねじ穴25に螺合可能な固定ねじ35をさらに有する。固定ねじ35は、位置決め穴23に位置決めピン33が挿入された際に、固定ねじ穴25の位置に対応する。
【0055】
固定ねじ35の位置を固定ねじ穴25に合わせることで、位置決め穴23に位置決めピン33が挿入される。したがって、ブロック3を載置台2の水平上面20に取り付ける際に、固定ねじ35の位置を固定ねじ穴25に合わせることで、容易に取付可能となる。このため、載置台2の水平上面20に取り付けられるブロック3の位置が、容易にX方向で変更可能となる。結果として、拡大観察装置10は、使用者の利便性を向上させることができる。
【0056】
載置台2が回り止め穴24を有し、ブロック3が回り止めピン34を有する場合、固定ねじ35の位置を固定ねじ穴25に合わせることで、位置決め穴23及び回り止め穴24に位置決めピン33及び回り止めピン34が挿入される。したがって、載置台2の水平上面20に取り付けられるブロック3の位置が、容易にX方向で変更可能となる。結果として、拡大観察装置10は、使用者の利便性を向上させることができる。
【0057】
また、固定ねじ35が固定ねじ穴25に螺合されることで、載置台2に対するブロック3のガタつきが防止される。したがって、ブロック3は、載置台2の水平上面20で確実に固定されるので、一層安定する。結果として、拡大観察装置10は、一層適切に大型の対象物OBを拡大して観察することができる。
【0058】
以下、
図7及び
図8を参照して、ブロック3に載置される回転プレート100を詳細に説明する。
図7は、ブロック3から回転プレート100を取り外した拡大観察装置10の拡大斜視図である。
図8は、回転プレート100から対象物OBを取り外した拡大観察装置10の拡大斜視図である。
【0059】
図7及び
図8に示されるように、拡大観察装置10は、回転プレート100をさらに備える。回転プレート100は、水平上面20に直交する第二回転軸12を中心に回転自在にブロック3に載置される。回転プレート100は、対象物OBが載置される。
【0060】
対象物OBは、回転プレート100とともに、第二回転軸12を中心に容易に回転可能である。したがって、対象物OBは、回転により、拡大して観察される部分が容易に変更可能となる。結果として、拡大観察装置10は、使用者の利便性を向上させることができる。
【0061】
回転プレート100は、金属製の円板101と、樹脂製の保護材108と、放射状に配置された放射ピン109とを有する。
【0062】
図8に示されるように、金属製の円板101は、対象物OBが載置される面(上面107)に溝102~106を有する。溝102~106は、例えば対象物OBに水滴がある場合、水滴を案内する。溝102~106は、さらに、金属製の円板101と対象物OBとの接触面積を減らすことで、金属製の円板101と対象物OBとの貼付きを防止する。溝102~106は、一対の指入れ溝102と、二重円溝103,104と、横溝105と、縦溝106とを有する。一対の指入れ溝102は、互いに対向し、いずれも金属製の円板101の外縁から中心(第二回転軸12)に向けて形成される。指入れ溝102は、使用者が対象物OBを回転プレート100から取り外す際に、使用者の指が入れられる部分である。二重円溝103,104は、大径の円溝103と、小径の円溝104とからなる。二重円溝103,104は、一対の指入れ溝102に連通する。横溝105は、一対の指入れ溝102を接続する。縦溝106は、金属製の円板101の中心で横溝105を垂直に横断し、金属製の円板101の外縁に至る。
【0063】
図7に示されるように、樹脂製の保護材108は、金属製の円板101の下面に取り付けられる。樹脂製の保護材108は、金属製の円板101がブロック3に直接触れることを防止する。仮に、金属製の円板101がブロック3に直接触れながら回転すると、金属製の円板101とブロック3との摺動により、粉の発生等の不具合が生ずる。しかしながら、樹脂製の保護材108により、金属製の円板101がブロック3に直接触れないので、粉の発生等の不具合が防止される。樹脂製の保護材108は、金属製の円板101がブロック3に対して傾斜しないために、金属製の円板101の中心に対して回転対称に配置される。
【0064】
放射ピン109は、例えば4本である。いずれの放射ピン109も、金属製の円板101の中心に向けられるとともに、金属製の円板101の外縁から突出する。放射ピン109は、金属製の円板101を回転させる際に、把持される部分である。放射ピン109は、回転プレート100に対する対象物OBの位置決めにも使用される。
【0065】
図8に示されるように、回転プレート100は、少なくとも対象物OBが載置される面(上面107)に、光を観察ヘッド4に反射させる反射部107を有する。
【0066】
レフ板として機能する反射部107により、観察ヘッド4が対象物OBを拡大して観察する際に、観察ヘッド4に光が入る。特に、観察ヘッド4が傾斜して対象物OBを観察する際に、対象物OBの端部分に対して反射部107がレフ板としての機能を強く発揮する。したがって、観察ヘッド4は、鮮明に対象物OBを拡大して観察する。結果として、拡大観察装置10は、適切に大型の対象物OBを拡大して観察することができる。
【0067】
反射部107は、光を観察ヘッド4に反射させる部分であれば、特に限定されない。反射部107は、好ましくは白色の部分であり、さらに好ましくは白色のアルマイトである。白色のアルマイトは、他の色の部材よりも光を反射させやすい。また反射部107は、例えば、拡散照明でもよい。
【0068】
載置台2は、水平上面20に、光を観察ヘッド4に反射させにくい反射抑制部を有する。反射抑制部は、光を観察ヘッド4に反射させにくい部分であれば、特に限定されない。反射抑制部は、好ましくは黒色の部分であり、さらに好ましくは黒色のアルマイトである。黒色のアルマイトは、他の色の部材よりも光を反射させにくい。反射抑制部は、黒色のアルマイトのうち、梨地処理、マット塗装、及び/又はつや消し処理されたものが一層好ましい。
【0069】
反射部107である白色のアルマイトと、反射抑制部である黒色のアルマイトにより、対象物OBとそれ以外とのコントラストが明確になる。したがって、拡大観察装置10は、対象物OBを一層鮮明に拡大して観察するので、一層適切に大型の対象物OBを拡大して観察することができる。
【0070】
対象物OBは、例えば、半導体のウエハである。対象物OBである半導体のウエハは、直径が150mm,200mm又は300mm等である。対象物OBである半導体のウエハは、リングフレームRF(テープフレームとも称される)で保護される。リングフレームRFは、位置決めの溝が規格で定められている。リングフレームRFは、その位置決めの溝が放射ピン109又は回転プレート100上に位置するように、保護している対象物OBとともに回転プレート100に載置される。
【0071】
図7に示されるように、ブロック3は、第二回転軸12の位置に回転軸穴36を有する。回転プレート100は、回転軸穴36に挿入可能な回転軸ピン110をさらに有する。
【0072】
回転軸穴36及び回転軸ピン110により、回転プレート100は、ブロック3への取付け及び取外しが容易になる。したがって、拡大観察装置10は、使用者の利便性を向上させることができる。
【0073】
回転軸ピン110は、回転プレート100の底面視における中心に位置する。したがって、回転プレート100は、底面視における中心の回転軸ピン110を中心に回転する。これにより、対象物OBは、回転により、拡大して観察される部分が一層容易に変更可能となる。結果として、拡大観察装置10は、使用者の利便性を一層向上させることができる。
【0074】
ブロック3は、回転プレート100の回転軸ピン110を回転軸穴36に案内する案内部37をさらに有する。
【0075】
回転軸ピン110は、案内部37に案内されることで、回転軸穴36に挿入される。したがって、回転プレート100がブロック3よりも大きい場合等、回転軸穴36を視認しにくい場合でも、案内部37により、容易に回転軸ピン110を回転軸穴36に挿入可能となる。結果として、拡大観察装置10は、使用者の利便性を向上させることができる。
【0076】
案内部37は、回転軸穴36の位置を中心に広がる扇形状の窪みである。案内部37が扇形状であることにより、回転軸ピン110を扇形状のいずれかの辺に当ててから中心に移動させることで、一層容易に回転軸ピン110が回転軸穴36に挿入される。したがって、結果として、拡大観察装置10は、使用者の利便性を一層向上させることができる。
【0077】
回転プレート100の回転軸ピン110は、載置台2の位置決め穴23にも挿入可能である。
【0078】
回転軸ピン110が位置決め穴23に挿入可能であることにより、回転プレート100を載置台2の水平上面20に直接の取付け及び取外しが可能となる。したがって、拡大観察装置10は、ブロック3が不要になるので、簡素な構成にすることができる。ブロック3が不要になる場合は、観察ヘッド4が傾斜して対象物OBを観察する必要のない場合である。
【0079】
回転軸ピン110が位置決め穴23に挿入可能であれば、回転プレート100がブロック3として機能することになる。
【0080】
以下、
図9を参照して、ブロック3が複数重ねて配置される場合について説明する。
図9は、ブロック3が二段重ねて配置された拡大観察装置10の拡大斜視図である。
【0081】
図9に示されるように、ブロック3は、複数重ねて配置される。複数のブロック3のうち、上段のブロック3の位置決めピン33は、下段のブロック3の回転軸穴36に挿入される。
【0082】
ブロック3が複数重ねて配置されることにより、対象物OBの位置が柔軟にZ方向で変更可能となる。したがって、拡大観察装置10は、使用者の利便性を向上させることができる。
【0083】
上段のブロック3が回り止めピン34も有する場合、下段のブロック3は、上段のブロック3の回り止めピン34が挿入されるブロック用回り止め穴38も有する。ブロック用回り止め穴38も、回り止め穴24と同様に、回転軸穴36に比べて、X方向に余裕のある径(つまり長穴)でもよい。ブロック用回り止め穴38も、縁がすり鉢形状に面取りされてもよい。
【0084】
図9では、上段のブロック3及び下段のブロック3、すなわち、二段重ねて配置されたブロック3を図示したが、三段以上重ねて配置されたブロック3でもよい。
【0085】
以下、
図10を参照して、支持柱5を詳細に説明する。
図10は、支持柱5の分解斜視図である。
【0086】
図10に示されるように、支持柱5は、上部支持柱51と下部支持柱59とを有する。上部支持柱51は、規制部材50及びブレーキブラケット58を有する部分である。下部支持柱59は、基台1に設けられる部分である。
【0087】
支持柱5は、上部支持柱51と下部支持柱59との間に、スペーサ52を有してもよい。スペーサ52は、厚スペーサ53と、薄スペーサ54とを有する。厚スペーサ53は、40mm~80mm(例えば、60mm)の厚さ(上下方向長さ)を有する。薄スペーサ54は、厚スペーサ53よりも薄い。薄スペーサ54は、例えば、厚スペーサ53の半分の厚さ(上下方向長さ)を有する。
【0088】
下部支持柱59の上端面は、外側ねじ穴群55tと、内側ねじ穴群56tと、一対の係合具57とを有する。
【0089】
厚スペーサ53の下面は、外側ねじ群55bと、係合具収納スペース(不図示)とを有する。外側ねじ群55bは、下方の外側ねじ穴群55tと螺合する。係合具収納スペースは、下方の一対の係合具57を収納する。厚スペーサ53の上面は、下部支持柱59の上端面と同様の構成であり、外側ねじ穴群55tと、内側ねじ穴群56tと、一対の係合具57とを有する。
【0090】
薄スペーサ54の下面は、内側ねじ群56bと、係合具収納スペース(不図示)とを有する。内側ねじ群56bは、下方の内側ねじ穴群56tと螺合する。薄スペーサ54の上面は、外側ねじ穴群55tと、一対の係合具57とを有する。
【0091】
上部支持柱51の下面は、外側ねじ群55bと、一対の被係合具(不図示)とを有する。一対の被係合具は、下方の一対の係合具57に係合される。
【0092】
上部支持柱51と下部支持柱59との間において、薄スペーサ54同士を重ねられないが、それ以外はスペーサ52を自由に重ねられる。具体的には、上部支持柱51と下部支持柱59との間において、厚スペーサ53同士を重ねる、薄スペーサ54の上に厚スペーサ53を重ねる、及び、厚スペーサ53の上に薄スペーサ54を重ねることが可能である。また、厚スペーサ53及び薄スペーサ54の数は、特に限定されない。
【0093】
したがって、スペーサ52により、上部支持柱51の位置がZ方向で変更可能になる。上部支持柱51に回転保持体8が接続され、回転保持体8が観察ヘッド4を保持しているので、スペーサ52により、観察ヘッド4の位置がZ方向で変更可能になる。結果として、拡大観察装置10は、使用者の利便性を向上させることができる。
【0094】
また、上部支持柱51の一対の被係合具が下方の一対の係合具57に係合されることで、上部支持柱51は、スペーサ52又は下部支持柱59に取り付けられる際に、螺合の前であっても自立する。したがって、支持柱5は、Z方向の位置を変更する際に、倒れ落ちることが防止される。結果として、拡大観察装置10は、安定性を向上させることができる。
【0095】
以下、
図11~
図13を参照して、拡大観察装置10が備える複数のベース足120について説明する。
図11は、拡大観察装置10の下部を拡大した右側面図である。
図12は、拡大観察装置10が備える複数のベース足120を示す底面図である。
図13は、拡大観察装置10が備える複数のベース足120の変形例を示す底面図である。
【0096】
図11に示されるように、拡大観察装置10は、複数のベース足120をさらに備える。複数のベース足120は、基台1の下面に設けられる。複数のベース足120は、着座足121と、短足122とからなる。着座足121は、拡大観察装置10が設置される除振台VR(又は他の水平面)に着座する。短足122は、着座足121よりも上下方向に短いので、除振台VR(又は他の水平面)に着座しない。着座足121と短足122との上下方向の長さの差dは、ベース足120の上下方向の公差よりも大きくされ、0.05mm~0.15mm(例えば、0.10mm)程度である。なお、除振台VRは、アクティブ除振台でもよく、パッシブ除振台でもよい。
【0097】
図12に示されるように、着座足121は、それらの図心C1が、底面視において、突多角形Pの頂点に位置する。短足122は、それらの図心C2が、突多角形Pの頂点以外で、突多角形Pの線上又は内部に位置する。
図12は、突多角形Pが四角形Pの例を示す。
図12の例では、着座足121の図心C1が四角形Pの頂点に位置し、短足122の図心C2が四角形Pの線状に位置する。
図13は、突多角形Pが六角形Pの例を示す。
図13の例では、着座足121の図心C1が六角形Pの頂点に位置し、短足122の図心C2が六角形Pの内部に位置する。突多角形Pは、四角形P(
図12)又は六角形P(
図13)に限定されず、三角形又は五角形でもよく、七角形以上でもよい。
【0098】
突多角形Pの頂点に図心C1が位置する着座足121のみ、除振台VR(又は他の水平面)に着座する。したがって、拡大観察装置10は、除振台VR(又は他の水平面)の上でガタつかない。結果として、拡大観察装置10は、耐振性を向上させることができる。
【0099】
拡大観察装置10は、除振台VR以外(他の水平面等)に設置される場合、複数のベース足120にそれぞれ履かせる除振足(不図示)をさらに備えてもよい。除振足は、弾性を有する材料(ゲル状の材料等)からなる。
【0100】
除振足を履いた複数のベース足120は、除振足の弾性により全てが着座する。したがって、拡大観察装置10は、全てのベース足120を着座させる除振足により、耐振性を向上させることができる。
【0101】
ところで、前記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、前述した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。前記実施形態で説明した構成のうち「課題を解決するための手段」で本発明の一局面として記載した構成以外については、任意の構成であり、適宜削除及び変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、拡大観察装置を提供するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0103】
L 光軸
OB 対象物
RF リングフレーム
1 基台
2 載置台
3 ブロック
4 観察ヘッド
5 支持柱
6 移動ステージ
7 画像生成部
8 回転保持体
9 ロック機構
10 拡大観察装置
11 第一回転軸
12 第二回転軸
13 傾斜角計測部
17 表示角補正部
20 水平上面
23 位置決め穴
24 回り止め穴
25 固定ねじ穴
33 位置決めピン
34 回り止めピン
35 固定ねじ
36 回転軸穴
37 案内部
40 対物レンズ
41 レボルバー
42 カメラ
50 規制部材
51 上部支持柱
52 スペーサ
53 厚スペーサ
54 薄スペーサ
59 下部支持柱
61 レール
62 保持体
71 情報処理部
72 ディスプレイ
80 当接部材
81 棒状ハンドル
100 回転プレート
101 金属製の円板
107 反射部
120 ベース足