(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004272
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】拡大観察装置
(51)【国際特許分類】
G02B 21/36 20060101AFI20250107BHJP
G02B 21/00 20060101ALI20250107BHJP
G02B 21/26 20060101ALI20250107BHJP
G03B 17/18 20210101ALI20250107BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20250107BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20250107BHJP
【FI】
G02B21/36
G02B21/00
G02B21/26
G03B17/18
H04N23/50
H04N23/60 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103827
(22)【出願日】2023-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平林 龍太郎
(72)【発明者】
【氏名】近藤 亮介
【テーマコード(参考)】
2H052
2H102
5C122
【Fターム(参考)】
2H052AB01
2H052AD09
2H052AD19
2H052AD20
2H052AF14
2H052AF21
2H052AF25
2H102AA71
2H102BB08
2H102BB22
2H102CA06
5C122EA31
5C122EA42
5C122FH06
5C122GA01
5C122GA23
5C122HB01
5C122HB05
(57)【要約】
【課題】利便性の高い拡大観察装置を提供する。
【解決手段】拡大観察装置10は、レボルバー41を備える。レボルバー41は、撮像素子7の光路上に複数の対物レンズのうち1つを選択的に配置するレンズ切換部である。レボルバー41に取付けられる対物レンズには、少なくとも1つの広角対物レンズ40dが含まれる。画像登録部207は、レボルバー41によって広角対物レンズ40dが撮像素子7の光路上に配置されている状態で画像生成部301によって生成される観察画像を、ナビゲーション画像として登録する。そして画像登録部207は、ナビゲーション画像における位置と、観察対象物における位置との対応関係を補正するためのナビゲーション補正情報を生成する。移動制御部302は、ナビゲーション画像に対する位置の指定と、ナビゲーション補正情報に基づいて、載置台制御部23による載置台2の移動を制御する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象物を撮像する撮像素子と、
複数の対物レンズと、
前記撮像素子の光路上に前記複数の対物レンズのうち1つを選択的に配置するレンズ切換部と、
前記撮像素子を制御して観察画像を生成する画像生成部と、
前記観察対象物が載置される載置台と、
前記載置台を水平方向に移動させる載置台制御部と、
前記載置台制御部による前記載置台の移動を制御する移動制御部と、
前記画像生成部により生成された前記観察画像に基づくナビゲーション画像を登録することが可能な画像登録部と、を備え、
前記複数の対物レンズには、少なくとも1つのテレセントリック対物レンズと、前記テレセントリック対物レンズよりも歪曲収差の大きい少なくとも1つの広角対物レンズとが含まれ、
前記レンズ切換部には複数のレンズ取付穴が形成されており、前記レンズ取付穴に前記テレセントリック対物レンズおよび前記広角対物レンズがそれぞれ取付けられ、
前記画像登録部は、前記レンズ切換部によって前記広角対物レンズが前記撮像素子の光路上に配置されている状態で、前記広角対物レンズの口径よりも視野サイズの大きい画像として前記画像生成部によって生成される前記観察画像を、ナビゲーション画像として登録するとともに、前記ナビゲーション画像における位置と、前記観察対象物における位置との対応関係において、前記広角対物レンズの歪曲収差によって生じるずれを補正するためのナビゲーション補正情報を生成し、
前記移動制御部は、前記ナビゲーション画像に対する位置の指定と、前記ナビゲーション補正情報に基づいて、前記載置台制御部による前記載置台の移動を制御する、拡大観察装置。
【請求項2】
前記画像登録部は、前記広角対物レンズの焦点を前記観察対象物に合わせてから前記観察画像を生成し、生成された前記観察画像を、前記ナビゲーション画像として登録する、請求項1に記載の拡大観察装置。
【請求項3】
前記画像登録部は、前記ナビゲーション補正情報として、
前記ナビゲーション画像における位置と、前記観察対象物における位置との対応関係に応じて前記ナビゲーション画像を補正したナビゲーション補正画像を生成する、請求項1に記載の拡大観察装置。
【請求項4】
前記画像登録部は、予め定められた周期的パターンが記されたキャリブレーションボードを前記観察対象物として生成された前記観察画像に基づいて、前記ナビゲーション補正情報を生成する、請求項1に記載の拡大観察装置。
【請求項5】
前記対物レンズを垂直方向に移動させる垂直移動部をさらに備え、
前記レンズ切換部が前記撮像素子の光路上に配置される前記対物レンズを切り換える際には、切換前の前記対物レンズと、切換後の前記対物レンズとの同焦点距離の差異に応じて、前記垂直移動部が前記対物レンズを垂直方向に移動させる、請求項1に記載の拡大観察装置。
【請求項6】
レンズ切換部が、前記撮像素子の光路上に配置される前記対物レンズを、前記広角対物レンズから前記テレセントリック対物レンズへ切り換える際には、
切換後の前記対物レンズの作動距離が予想され、前記作動距離の予想に応じて警告が行われる、請求項5に記載の拡大観察装置。
【請求項7】
前記垂直移動部が前記対物レンズを垂直方向に移動させた際には、前記対物レンズの高さ測定と、前記対物レンズの焦点調節が行われる、請求項5に記載の拡大観察装置。
【請求項8】
前記画像登録部は、前記観察対象物の互いに異なる部分が撮像された複数の前記観察画像を連結した連結画像を生成し、前記連結画像を前記ナビゲーション画像として登録することが可能な、請求項1に記載の拡大観察装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡大観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
観察対象物を拡大して観察するために、拡大観察装置が用いられることがある。特許文献1の拡大観察装置では、ユーザーは撮像部によって撮像されるライブ画像を見ながら、撮像部の視野範囲内に観察対象物が入るように、観察対象物を支持する載置台を移動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1の拡大観察装置では、ユーザーは実際に載置台を移動させてみなければ、視野範囲と観察対象物との位置関係を把握することができず、利便性に課題がある。
【0005】
上記の問題に鑑み、本発明は、利便性の高い拡大観察装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る実施形態の一例としての拡大観察装置は、観察対象物を撮像する撮像素子と、撮像素子を制御して観察画像を生成する画像生成部と、複数の対物レンズと、撮像素子の光路上に複数の対物レンズのうち1つを選択的に配置するレンズ切換部と、観察対象物が載置される載置台と、載置台を水平方向に移動させる載置台制御部と、載置台制御部による載置台の移動を制御する移動制御部と、画像生成部により生成された観察画像に基づくナビゲーション画像を登録することが可能な画像登録部と、を備え、複数の対物レンズには、少なくとも1つのテレセントリック対物レンズと、前記テレセントリック対物レンズよりも歪曲収差の大きい少なくとも1つの広角対物レンズとが含まれ、レンズ切換部には複数のレンズ取付穴が形成されており、レンズ取付穴に前記テレセントリック対物レンズおよび広角対物レンズがそれぞれ取付けられ、画像登録部は、レンズ切換部によって広角対物レンズが撮像素子の光路上に配置されている状態で、前記広角対物レンズの口径よりも視野サイズの大きい画像として画像生成部によって生成される観察画像を、ナビゲーション画像として登録するとともに、ナビゲーション画像における位置と、観察対象物における位置との対応関係において、前記広角対物レンズの歪曲収差によって生じるずれを補正するためのナビゲーション補正情報を生成し、移動制御部は、ナビゲーション画像に対する位置の指定と、ナビゲーション補正情報に基づいて、載置台制御部による載置台の移動を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザーはナビゲーション画像に対する位置の指定に基づいて載置台を移動させることができるので、拡大観察装置の利便性が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】拡大観察装置の撮像部の前上方からの斜視図。
【
図5】拡大観察装置の構成を概略的に示すブロック図。
【
図6】対物レンズが取り外された状態のレボルバーの下面を示す図。
【
図7】テレセントリック対物レンズによる観察画像を説明する図。
【
図8】広角対物レンズによる観察画像を説明する図。
【
図9】ナビゲーション画像での指示位置と視野中心のずれを説明する図。
【
図11】対物レンズの切り換えに伴う観察ヘッドの垂直方向移動を示す図。
【
図13】フォーカス値がピークを過ぎた状態を示す図。
【
図14】ナビゲーション画像の登録の流れを示すフロー図。
【
図15】対物レンズの切り換えの流れを示すフロー図。
【
図16】ナビゲーション画像を用いた移動制御の流れを示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態の一例としての拡大観察装置10について説明する。なお、図中、同一又は相当部分については、同一の参照符号を付することで、説明を繰り返さない。また、以下の説明において、前、後、左、右、上、下等の位置又は方向を意味する用語が用いられることがあるが、これらの用語は、実施形態の理解を容易にするために便宜上用いられるものである。これらの用語は、特に明確な言及がない限り、幾何学的に厳密な意味での前、後、左、右、上、下等に限定されない。
【0010】
図1は、本実施形態の拡大観察装置10の撮像部1の前上方からの斜視図である。
図1に示されているように、拡大観察装置10は、撮像部1と、情報処理部71と、表示部72と、操作部73とを備える。撮像部1は、通信ケーブル9によって情報処理部71と接続されている。情報処理部71は、通信ケーブル9によって表示部72および操作部73と接続されている。
【0011】
ここで、通信ケーブル9は、拡大観察装置10の構成要素同士の間、すなわち撮像部1、情報処理部71、表示部72、操作部73の間で信号を送受信するためのケーブルである。通信ケーブル9としては例えば、USBケーブル(USB:Universal Serial Bus)、LANケーブル(LAN:Local Area Network)、HDMIケーブル(HDMI:登録商標、High-Definition Multimedia Interface)等の、電気信号を送受信するケーブルが用いられる。なお接続される構成要素に応じて異なる規格のケーブルが用いられてもよい。撮像部1、情報処理部71、表示部72、操作部73の間で信号の送受信が可能となっていればよく、通信ケーブル9は光信号を送受信する光学ケーブルであってもよい。また通信ケーブル9に代えて、電磁波による無線通信によって構成要素同士の間で信号が送受信されてもよい。
【0012】
情報処理部71は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサおよびRAM(Random Access Memory)等の記憶装置を含むユニットであり、拡大観察装置10における各種の情報処理を実行する。なお情報処理部71は、拡大観察装置10用の画像処理装置としても機能する。
【0013】
表示部72は、LCD(Liquid Crystal Display)等の画像表示装置を含むユニットであり、拡大観察装置10のユーザーに対して画像を表示する。操作部73は、拡大観察装置10のユーザーからの操作を受け付けるユニットである。操作部73は例えば、キーボード、マウス、ジョイスティック等のユーザーインターフェース機器を含む。また操作部73は、拡大観察装置10のために専用に設計されたコントローラーを含んでいてもよい。
【0014】
拡大観察装置10は観察対象物OBを拡大して観察するための装置である。まず撮像部1が備える撮像素子7によって観察対象物OBが撮像されて観察画像が生成される。そして情報処理部71によって、観察画像に基づく表示画面が生成され、その表示画面が表示部72に表示される。表示部72に表示される表示画面には、観察対象物OBが拡大されて表示された画像が含まれる。拡大観察装置10のユーザーは、表示部72の表示画面を観察することにより、観察対象物OBを拡大して観察することができる。
図1、
図2、
図3、
図4には観察対象物OBの一例として、複数の電子部品が実装された電子回路基板が示されている。
【0015】
図1、
図2、
図3、
図4を参照して、撮像部1について説明する。
図2は、撮像部1の後上方からの斜視図である。
図3は、撮像部1の右側面図である。
図4は、撮像部1の正面図である。
図2、
図3、
図4では情報処理部71、表示部72、操作部73の図示は省略されている。
図1、
図2、
図3、
図4の撮像部1は、載置台2と、観察ヘッド4と、支持柱5と、Z方向ステージ6と、撮像素子7とを備える。
【0016】
また
図1、
図2、
図3、
図4において、載置台2の上面20には回転プレート100が載置されている。そして、回転プレート100の上面107に観察対象物OBが載置されている。回転プレート100の上面107は平面視で円形状の形状であり、その中心に観察対象物OBが載置されている。また回転プレート100の円周上には、放射ピン109が放射状に配置されている。拡大観察装置10のユーザーは、放射ピン109を把持して回転プレート100を回転させることにより、上面107の中心に載置された観察対象物OBの配置角度を変更することができる。
【0017】
載置台2は載置台制御部23に支持されている。載置台制御部23は、載置台2をX方向およびY方向(水平方向)に移動させる。図中の載置台制御部23は、移動載置部21および台座部22を含む。台座部22は固定されており、台座部22の上に移動載置部21が支持されている。移動載置部21は台座部22に対してX方向およびY方向に移動可能である。移動載置部21がX方向およびY方向に移動することで、載置台2がX方向およびY方向に動かされる。載置台制御部23は、載置台2をX方向およびY方向に移動させることで、観察対象物OBが撮像素子7によって撮影される範囲を変更することができる。
【0018】
観察ヘッド4は載置台2の上方に配置されている。観察ヘッド4には、観察対象物OBを撮像するための撮像素子7が含まれている。撮像素子7は観察対象物OBからの反射光又は透過光を電気信号に変換する素子であり、例えばCCD(Charge Coupled Device、電荷結合素子)等が用いられる。
【0019】
観察ヘッド4は、Z方向ステージ6に取り付けられている。Z方向ステージ6は、Z方向(鉛直方向)に沿って、観察ヘッド4を載置台2の上面20に対して移動させる。そして観察ヘッド4は、Z方向ステージ6を通ってY方向(水平方向)に延びる第1回転軸11を中心に回転可能である。
【0020】
観察ヘッド4の下部には、レボルバー41が設けられている。レボルバー41は、撮像素子7の光路上に複数の対物レンズのうち1つを選択的に配置するレンズ切換部である。レボルバー41には複数の対物レンズが取付けられている。複数の対物レンズはそれぞれ倍率が異なる。複数の対物レンズのうちいずれか1つが観察対象物OBの観察のためのレンズとして選択されて、撮像素子7の光路上に配置される。具体的には、レボルバー41が回転することにより、観察対象物OBに向けられる(撮像素子7の光路上に配置される)対物レンズ40が切り替えられる。
【0021】
レボルバー41(レンズ切換部)に取付けられる複数の対物レンズには、少なくとも1つのテレセントリック対物レンズと、少なくとも1つの広角対物レンズが含まれる。
図1、
図2、
図3、
図4においては、レボルバー41に、第1対物レンズ40a、第2対物レンズ40b、第3対物レンズ40c、広角対物レンズ40dが取付けられている。第1対物レンズ40a、第2対物レンズ40b、第3対物レンズ40cは、主光線と光軸とが平行になるテレセントリック対物レンズである。一方、広角対物レンズ40dは、非テレセントリックのレンズである。広角対物レンズ40dは、テレセントリック対物レンズの第1対物レンズ40a、第2対物レンズ40b、第3対物レンズ40cよりも歪曲収差の大きいレンズとなっている。
【0022】
Z方向ステージ6は回転保持体8に取り付けられている。そして回転保持体8は、第1回転軸11を中心として回転可能なように支持柱5に接続されている。支持柱5はZ方向に延びており、回転保持体8、Z方向ステージ6、観察ヘッド4を支持している。また、回転保持体8には外部に突き出る棒状ハンドル81が設けられている。拡大観察装置10のユーザーは、棒状ハンドル81を操作することにより、観察ヘッド4を、Z方向ステージ6および回転保持体8とともに、第1回転軸11周りに回転させることができる。ユーザーは、観察ヘッド4を回転させることにより、観察対象物OBを垂直方向からだけではなく、斜め方向からも観察することができる。
【0023】
図5を参照して、拡大観察装置10の構成について説明する。
図5は、拡大観察装置10の構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図5に示されているように、撮像部1の観察ヘッド4は、撮像素子7、レボルバー41、第1対物レンズ40a、第2対物レンズ40b、第3対物レンズ40c、広角対物レンズ40dの他に、レボルバー制御部45と、結像レンズ240と、レンズ制御部241と、照明部250と、絞り制御部260を備える。
【0024】
レボルバー制御部45は、レボルバー41を回転させて、複数の対物レンズ(ここでは第1対物レンズ40a、第2対物レンズ40b、第3対物レンズ40c、広角対物レンズ40d)のうちいずれか1つを、観察対象物OBへと向けて観察のためのレンズとして選択する。選択されたレンズは撮像素子7の光路上に配置される。結像レンズ240は、対物レンズを通った光を撮像素子7で撮像される像として結ぶ。
【0025】
レンズ制御部241は、結像レンズ240を移動させて対物レンズ40との相対位置を変更し、拡大倍率や焦点距離等の光学的条件を変化させる。なお結像レンズ240として拡大倍率、焦点距離等の光学的条件が異なる複数のレンズが設けられていてもよく、レンズ制御部241は、複数の結像レンズ240のうちいずれかを撮像素子7の光路上に選択的に配置する制御を行ってもよい。なお対物レンズ40と結像レンズ240との間の光路には、さらなるレンズおよびハーフミラー等の各種光学素子が配置されていてもよい。
【0026】
照明部250は、観察対象物OBからの反射光又は透過光を得るために、観察対象物OBに対して光を照射する。照明部250には例えばリング照明および同軸落射照明などが含まれる。絞り制御部260は、対物レンズと結像レンズ240との間の光路に設けられた絞り(図示せず)を制御して絞り量を調節する。
【0027】
情報処理部71は、演算部300と、記憶部311とを備える。演算部300は、画像生成部301と、移動制御部302と、解析処理部303と、表示制御部304と、照明制御部305と、入出力制御部306と、画像登録部307を備える。
【0028】
演算部300は、CPU等のプロセッサを含むユニットである。記憶部311は、RAM等の記憶装置を含むユニットである。演算部300が記憶部311に記憶されているプログラムを実行することにより、画像生成部301、移動制御部302、解析処理部303、表示制御部304、照明制御部305、入出力制御部306、画像登録部307の機能が実現される。
【0029】
画像生成部301は、撮像素子7を制御して、観察対象物OBからの反射光又は透過光に基づく観察画像を生成する。移動制御部302は、撮像部1の載置台制御部23に指令を送信して、載置台制御部23による載置台2の移動を制御する。
【0030】
解析処理部303は、画像生成部301が生成した観察画像に対する画像解析処理を実行する。表示制御部304は、観察画像に基づいて、表示部72に表示させる表示画面を生成する。
【0031】
照明制御部305は、照明部250を制御して、観察対象物OBに照射される光を調節する。入出力制御部306は、通信インターフェースユニットであり、情報処理部71が撮像部1、表示部72、操作部73等の外部の機器と通信できるように、情報処理部71に入力される信号および情報処理部71から出力される信号を、各種の通信規格に応じて制御する。
【0032】
画像登録部307は、画像生成部301により生成された観察画像に基づくナビゲーション画像を登録することが可能である。ナビゲーション画像は、撮像素子7による観察視野をユーザーが指定するために用いられる画像である。画像登録部307は、登録するナビゲーション画像を、後述のナビゲーション補正情報とともに記憶部311に記憶させる。
【0033】
次に
図6を参照して、レボルバー41と、第1対物レンズ40a、第2対物レンズ40b、第3対物レンズ40c、広角対物レンズ40dとの関係を説明する。
図6は、対物レンズが取り外された状態のレボルバー41の下面を示す図である。
【0034】
レボルバー41の下面には、複数のレンズ取付穴が形成されている。
図6においては、第1レンズ取付穴44a、第2レンズ取付穴44b、第3レンズ取付穴44c、第4レンズ取付穴44dが形成されている。これらのレンズ取付穴のそれぞれに対物レンズが取付けられる。
図6において、第1レンズ取付穴44aには第1対物レンズ40aが取付けられる。第2レンズ取付穴44bには第2対物レンズ40bが取付けられる。第3レンズ取付穴44cには第3対物レンズ40cが取付けられる。第4レンズ取付穴44dには広角対物レンズ40dが取付けられる。
【0035】
レボルバー41は、複数のレンズ取付穴の中心に位置するレボルバー中心軸42を中心として回転することにより、第1対物レンズ40a、第2対物レンズ40b、第3対物レンズ40c、広角対物レンズ40dのうち1つを、撮像素子7の光路上に選択的に配置することができる。拡大観察装置10の複数の対物レンズ、ここでは第1対物レンズ40a、第2対物レンズ40b、第3対物レンズ40c、そして広角対物レンズ40dは、それぞれ倍率、開口数等の光学的特性が異なっている。拡大観察装置10のユーザーは、レボルバー41を回転させて、いずれかの対物レンズを撮像素子7の光路上に選択的に配置することにより、観察にあたって使用する対物レンズを、所望の観察の条件(倍率等)に適した対物レンズに切り換えて観察を行うことができる。
【0036】
なお、複数の対物レンズのそれぞれは、レボルバー41のレンズ取付穴に対する取付けが行いやすいように、光学的レンズが筒状の筐体に組付けられた小型の装置になっているとよい。また、対物レンズの装置は、対物レンズに関する情報(筒の長さ、直径等の機械的特性、組付けられている光学的レンズの焦点距離、光学的倍率等の光学的特性、型式番号、製造日等の管理情報、等)を拡大観察装置10に伝えられるようになっているとよい。例えば前述の情報を記憶した記憶媒体が筒状の筐体に組付けられており、レボルバー41のレンズ取付穴には記憶媒体から情報を受信可能な端子が設けられているとよい。対物レンズに関する情報が拡大観察装置10に伝えられるようになっていると、後述のオートフォーカス等の制御において、対物レンズの特性に応じた適切な制御が可能となる。
【0037】
図7を参照して、テレセントリック対物レンズである第1対物レンズ40a、第2対物レンズ40b、第3対物レンズ40cが撮像素子7の光路上に選択的に配置された場合の観察画像48aについて説明する。
図7はテレセントリック対物レンズによって観察対象物OB上の観察範囲48を観察した場合の観察画像48aを説明する図である。なお第1対物レンズ40a、第2対物レンズ40b、第3対物レンズ40cの具体的な形状は様々なものを用いることができるので、
図7においては第1対物レンズ40a、第2対物レンズ40b、第3対物レンズ40cを仮想線で示し、具体的な形状は図示しない。また、第1対物レンズ40a、第2対物レンズ40b、第3対物レンズ40cと、撮像素子7との間の光路には様々な光学素子が配置され得るが、
図7では第1対物レンズ40a、第2対物レンズ40b、第3対物レンズ40cと、撮像素子7との間の光路の図示を省略している。
【0038】
図7に示されているように、テレセントリック対物レンズ(第1対物レンズ40a、第2対物レンズ40b、第3対物レンズ40c)では、レンズを通る光線がレンズの片側(ここでは図中左側の観察対象物OB側)において光軸と平行になる。一般的に、テレセントリック対物レンズは歪曲収差が小さく、テレセントリック対物レンズを用いることで、歪みの少ない観察画像48aが得られる。例えば観察対象物OBの観察範囲48に正方形の格子模様が記されている場合、観察画像48aにおいても、正方形の格子模様が歪むことなく現れる。
【0039】
図8を参照して、非テレセントリックの広角対物レンズ40dが撮像素子7の光路上に選択的に配置された場合の観察画像48bについて説明する。
図8は広角対物レンズ40dによって観察対象物OB上の観察範囲48を観察した場合の観察画像48bを説明する図である。なお広角対物レンズ40dの具体的な形状は様々なものを用いることができるので、
図8においては広角対物レンズ40dを仮想線で示し、具体的な形状は図示しない。また、広角対物レンズ40dと、撮像素子7との間の光路には様々な光学素子が配置され得るが、
図8では広角対物レンズ40dと、撮像素子7との間の光路の図示を省略している。
【0040】
図8に示されているように、非テレセントリックの広角対物レンズ40dでは、レンズを通る光線がレンズの片側において光軸と平行にならない。
図8では、図中右側の撮像素子7側から広角対物レンズ40dを通った光線は、図中左側の観察対象物OB側に向けて広がっていく。このように、広角対物レンズ40dは光線を広げる性質があるため、広角対物レンズ40dで得られる観察画像48bには歪みが生じやすい。例えば観察対象物OBの観察範囲48に正方形の格子模様が記されている場合、観察画像48bにおいては格子模様が中心部に対して周辺部が縮むように現れ、いわゆる樽型の歪みが生じる。
【0041】
図7、
図8では説明のため、テレセントリック対物レンズと広角対物レンズとで同じ観察範囲48を観察する場合について説明したが、光線を広げる性質を持つ広角対物レンズ40dを用いると、広い範囲を撮像範囲とする観察画像を得ることができる。特に、広角対物レンズ40dによれば、そのレンズの口径よりも視野サイズの大きい画像を観察画像とすることができる。例えば、
図1、
図2、
図3、
図4に示されているような電子回路基板が観察対象物OBである場合に、広角対物レンズ40dを用いると、その電子回路基板の全体が撮像された観察画像を得ることができる。
【0042】
拡大観察装置10において、観察対象物OBに対する観察視野をユーザーが指定し易いように、ナビゲーション画像が用いられることがある。例えば表示部72において、撮像素子7による現在の観察視野(ライブ画像)とは別の画面(ウィンドウ)に、ナビゲーション画像が表示されて、ユーザーがそのナビゲーション画像内の所望の位置をクリックすると、その位置に対応する観察対象物OB上の位置が観察視野となるように、観察対象物OBを載せた載置台2が移動される。ユーザーはナビゲーション画像に対する位置の指定に基づいて載置台2を移動させることができるので、拡大観察装置10の利便性が高くなる。
【0043】
ここで、ナビゲーション画像として、電子回路基板等の観察対象物OBの全体が撮像された観察画像が用いられると、ユーザーは、観察対象物OBのあらゆる位置を観察視野として指定することができる。広角対物レンズ40dを用いると、観察対象物OBの全体を撮影範囲に収めることができるため、複数の観察画像を結合することなく、観察対象物OBの全体が一枚の観察画像に収まった広い視野のナビゲーション画像を得ることができる。
【0044】
しかしながら、広角対物レンズ40dによって得られた観察画像には前述の通り歪みが生じるため、広角対物レンズ40dによって得られた観察画像をそのままナビゲーション画像とすると、ユーザーが指示した位置と、載置台2の移動後の視野中心とがずれることがある。
【0045】
図9はナビゲーション画像500での指示位置と視野中心515のずれを説明する図である。
図9において、表示部72に表示される表示画面400には、ライブ画像490と、ナビゲーション画像500とが含まれる。
【0046】
ライブ画像490は、撮像素子7が現在撮像している観察画像を示す画像である。ライブ画像490には、観察対象物OBが拡大されて示される。ライブ画像490の表示は一定の時間間隔(例えば1/60秒ごと)で更新される。ライブ画像490の一部(
図9では右下)に、ナビゲーション画像500が重ね合わせて表示される。
図9においては、観察対象物OBの全体が撮像された観察画像がナビゲーション画像500として用いられている。
【0047】
ナビゲーション画像500にはカーソル511が含まれている。ユーザーがカーソル511を用いてナビゲーション画像500内の所望の位置を指定すると、指定された位置に対応する、実際の観察対象物OBにおける位置が、ライブ画像490の視野中心515となるように、載置台2が移動される。
【0048】
ここで、載置台2は、移動制御部302は、載置台2の現在位置と、ユーザーの指定位置と、ナビゲーション画像500の光学的倍率に基づき、指定位置に対応する位置へ視野中心515を移動させるために必要な載置台2の移動量を算出する。ナビゲーション画像500がテレセントリック対物レンズによって撮像されたものであれば、算出された移動量で載置台2が移動されることにより、視野中心515が、指定位置に対応する位置へと移動される。
【0049】
しかしながら、ナビゲーション画像500が非テレセントリックの広角対物レンズ40dを用いて撮像されたものである場合、ナビゲーション画像500の中心部と、周辺部とでは、画素1つ分と実際の距離との対応関係が異なる。したがって移動制御部302は、ナビゲーション画像500の光学的倍率に基づく算出のみでは、正しい移動量を算出することができない。
【0050】
図9においては、カーソル511が、電子部品33に合わされて、電子部品33の位置を視野中心515とするように指定されている。しかし、電子部品33はナビゲーション画像500において中心部から離れた位置にあるため、移動量が正しく算出されず、載置台2の移動後、視野中心515は、ライブ画像490に写る電子部品33の位置からずれている。
【0051】
そこで、ナビゲーション画像500を登録する画像登録部507は、広角対物レンズ40dによるナビゲーション画像500を登録する際には、ナビゲーション画像500における位置と、観察対象物OBにおける位置との対応関係、特に、広角対物レンズ40dの歪曲収差によって生じる対応関係のずれを補正するためのナビゲーション補正情報を生成する。
【0052】
ナビゲーション補正情報は例えば、広角対物レンズ40dの光学的特性(レンズ設計値)が既知であれば、その光学的特性に基づいて生成できる。広角対物レンズ40dの光学的特性を用いて生成する以外の方法として、画像登録部507は、実際に広角対物レンズ40dを用いて撮像された観察画像を基にナビゲーション補正情報を生成することができる。
【0053】
実際に広角対物レンズ40dを用いて撮像された観察画像を基にナビゲーション補正情報を生成する場合の例として、例えば画像登録部507は、
図10に示されているような、予め定められた周期的パターン143が記されたキャリブレーションボード141を用いて、ナビゲーション補正情報を生成することができる。
【0054】
図10のキャリブレーションボード141には周期的パターン143として、予め定められた一定の間隔でドットが配置されたドットパターンが記されている。このキャリブレーションボード141を観察対象物として画像生成部301が観察画像を生成する際に、広角対物レンズ40dが用いられると、中心部と周辺部とでドット間の間隔が異なるように見える観察画像が得られる。
【0055】
しかしながら実際のドット間の間隔は予め定められた一定の間隔であるため、画像登録部507は、キャリブレーションボード141を観察対象物とした観察画像と、予め定められた一定の間隔とを比較することにより、観察画像における位置と、実際の観察対象物における位置との正しい位置関係を示すナビゲーション補正情報を生成することができる。なお、ナビゲーション補正情報を生成するための処理には、画像解析にあたる処理が含まれるため、画像登録部507は、キャリブレーションボード141を撮像した観察画像を解析処理部303に解析させることでナビゲーション補正情報を生成してもよい。
【0056】
なお、このキャリブレーションボードを用いたナビゲーション補正情報の生成の際には、ナビゲーション画像の画素1つ分と、実際の距離との対応関係(キャリブレーション値)の情報も生成されるとよい。キャリブレーション値は例えば、ナビゲーション画像の光学的倍率に基づいて生成される。このとき、レンズ制御部241によって結像レンズ240の倍率が変更されて、結像レンズ240の倍率が大きい状態でキャリブレーションボード141を撮像した観察画像を用いてキャリブレーション値の算出が行われてもよい。結像レンズ240の倍率を上げた状態での観察画像を用いることで、周期的パターン143の間隔が短いキャリブレーションボード141(主に高倍率レンズのキャリブレーションに用いられるもの)であっても、倍率の小さい広角対物レンズ40dのキャリブレーションに適した観察画像が得られ、正確なキャリブレーション値が生成される。
【0057】
以上のようにしてナビゲーション補正情報が生成されたら、画像登録部507は、ナビゲーション画像500とともに、ナビゲーション補正情報を記憶部311に記憶させておく。移動制御部302は、ユーザーによってナビゲーション画像500に対する位置の指定が行われたら、その位置の指定と、ナビゲーション補正情報に基づいて、載置台制御部23による載置台2の移動を制御することで、視野中心515をユーザーの所望する位置に正しく移動させることができる。
【0058】
これにより、本実施形態の拡大観察装置10では、観察対象物OBの広い範囲(例えば全体)が撮像されたナビゲーション画像500を用いて、視野中心515を所望した通りの位置へ移動させることができ、利便性が高い。
【0059】
なお、ナビゲーション補正情報を用いた載置台2の移動に関する演算は、ユーザーがナビゲーション画像500に対する位置の指定を行ったときに行えばよい。したがって、ナビゲーション補正情報を用いた演算をライブ画像490の更新のたびに行う必要はなく、情報処理部71における演算負荷が低く収まる。
【0060】
なお、ナビゲーション補正情報として、ナビゲーション画像500自体が補正されたナビゲーション補正画像が生成されてもよい。例えば画像登録部507は、広角対物レンズ40dの光学的特性等に基づいて、ナビゲーション画像に生じる歪みがどの程度であるかを算出し、その歪みが補正されたナビゲーション補正画像を生成できる。そして、歪みが補正されたナビゲーション補正画像を記憶部311に登録するとよい。ナビゲーション補正画像が登録されている場合は、そのナビゲーション補正画像をナビゲーション画像500として用いることで、ナビゲーション画像500に対するユーザーの位置指定と、載置台2の移動後の視野中心515とが正しく一致するようになる。
【0061】
ナビゲーション補正画像が登録されている場合は、その登録されたナビゲーション補正画像がライブ画像490に重ね合わせて表示されるとよい。ライブ画像490が更新される際、ナビゲーション補正画像については登録されたときの内容のままでよいため、やはりライブ画像490の更新のたびにナビゲーション補正情報を用いた演算を行う必要はなく、情報処理部71における演算負荷が低く収まる。
【0062】
本実施形態の拡大観察装置10では、レボルバー41に、テレセントリック対物レンズ(第1対物レンズ40a、第2対物レンズ40b、第3対物レンズ40c)と、非テレセントリックの広角対物レンズ40dの両方が取り付けられているため、対物レンズの切り換えに伴い、観察ヘッド4が対物レンズとともに垂直方法(Z方向)に大きく移動することがある。
【0063】
図11に、対物レンズの切り換えに伴う観察ヘッド4の垂直方向移動の様子が示されている。広角対物レンズ40dは作動距離(ピントが合うときの、レンズから観察対象物OBまでの距離)が長いため、広角対物レンズ40dが観察対象物OBに向けられている(撮像素子7の光路上に配置されている)場合、
図11に実線で示されているように、広角対物レンズ40dの焦点を観察対象物OBに合わせるために、Z方向ステージ6(垂直移動部)は、観察対象物OBからZ方向へ大きく離れた位置に広角対物レンズ40dを上昇させる。
【0064】
この状態で、観察対象物OBに向けられる(撮像素子7の光路上に配置される)対物レンズがテレセントリック対物レンズのいずれか、例えば第1対物レンズ40aに切り替えられると、Z方向ステージ6は、第1対物レンズ40aの焦点を観察対象物OBに合わせるために、第1対物レンズ40aとともに観察ヘッド4を下降させる。すなわち、対物レンズの切り換えが行われる際には、切換前の対物レンズと、切換後の対物レンズとの同焦点距離(ピントが合うときの、レボルバー41における対物レンズの取り付け面から観察対象物OBまでの距離)の差異に応じて、Z方向ステージ6が対物レンズを垂直方向(Z方向)に移動させる。特に、テレセントリックレンズである第1対物レンズ40a、第2対物レンズ40b、第3対物レンズ40cのいずれかと、非テレセントリックレンズである広角対物レンズ40dとの間で対物レンズが切り換えられる場合には、テレセントリックレンズと非テレセントリックレンズとの同焦点距離の差異に応じて予め定められた垂直移動量(例えば30mm)で、Z方向ステージ6が対物レンズを垂直方向に移動させる。なお、テレセントリックレンズ同士では同焦点距離が同じになるように設計されている場合があり、切換前の対物レンズと、切換後の対物レンズとで同焦点距離が同じであればZ方向ステージ6による垂直方向の移動は行われない。
【0065】
ここで例えば観察対象物OBが電子回路基板である場合、電子回路基板には高さ(Z方向寸法)の大きい電子部品33と、高さの小さい電子部品34とが近接して実装されていることがある。Z方向ステージ6が、第1対物レンズ40aの焦点を高さの小さい電子部品34の上面に合わせるために第1対物レンズ40aを下降させるとき、第1対物レンズ40aの作動距離が短ければ、他の対物レンズ(第2対物レンズ40b、第3対物レンズ40c、広角対物レンズ40d)も観察対象物OBの近くまで接近するため、
図11に仮想線で示されているように、他の対物レンズ(例えば第2対物レンズ40b)が、高さの大きい電子部品33に接触してしまうおそれがある。
【0066】
そこで、広角対物レンズ40dからテレセントリック対物レンズ(第1対物レンズ40a、第2対物レンズ40b、第3対物レンズ40c)への切り換えが行われる際には、切換後の対物レンズの作動距離が予想されることが好ましい。作動距離は、切換後の対物レンズの光学的特性(焦点距離等)と、観察画像の視野角等に応じて算出できる。
【0067】
そして、切換後の対物レンズの作動距離に応じて警告が行われることが好ましい。例えば使用される対物レンズが広角対物レンズ40dからテレセントリックレンズのいずれかに切り替わり、30mmの垂直移動量で対物レンズが下降する際に、切換後の対物レンズの作動距離が10mmと予想される場合には、対物レンズと観察対象物OBとの衝突が発生する可能性がある。そこで、「Z方向ステージが30mm下降します。サンプルと衝突しないことを確認してからOKボタンをクリックしてください。」といった警告が、「OK」ボタンと「キャンセル」ボタンとともに表示部72に表示されるとよい。
【0068】
この警告に対してユーザーが「OK」ボタンを押せば、対物レンズの切り換えおよび観察ヘッド4の下降が実行される。一方、ユーザーが「キャンセル」ボタンを押せば、対物レンズの切り換えおよび観察ヘッド4の下降は実行されない。これにより、対物レンズが観察対象物OBの一部(高さの大きい電子部品33等)に接触してしまうことが防止される。
【0069】
なお、ユーザーに対して警告を表示する他にも、実際に対物レンズを下降させつつ、対物レンズのフォーカス値を監視することでも対物レンズの衝突を防止することができる。
【0070】
図12に、対物レンズのフォーカス値グラフ520が示されている。このフォーカス値グラフ520は、対物レンズのZ方向移動が行われる際に、表示部72に表示されるとよい。フォーカス値グラフ520には、算出結果表示部521と、算出値グラフ522と、現在値バー525と、最大値マーカー528と、レンズ位置マーカー530が含まれる。
【0071】
対物レンズがZ方向に移動される間、解析処理部303は、撮像素子7が観察対象物OBを撮像することによって生成される観察画像に基づいて、フォーカス値を算出する。算出されたフォーカス値は、そのときの対物レンズのZ方向位置(高さ)とともに記憶部311に記憶される。
【0072】
フォーカス値グラフ520は、解析処理部303が算出したフォーカス値と、対物レンズのZ方向位置に基づいて、表示制御部304によって描図されて、表示部72に表示される。なおフォーカス値グラフ520は、観察画像とは別の画面(ウィンドウ)に表示されるとよい。
【0073】
フォーカス値グラフ520の算出結果表示部521には、対物レンズのZ方向と、フォーカス値との対応関係が表示される。具体的には算出結果表示部521には、縦軸をZ方向位置、横軸をフォーカス値とする算出値グラフ522が表示される。
【0074】
レンズ位置マーカー530は、対物レンズのZ方向の現在位置を、算出結果表示部521の縦軸と対応させて表示する。対物レンズが下降を続ける間は、レンズ位置マーカー530は算出結果表示部521の縦軸の下端に沿って表示される。対物レンズが上昇した場合には、レンズ位置マーカー530は算出結果表示部521の縦軸の下端から上方向に離れる。
【0075】
現在値バー525は、対物レンズがZ方向に移動している間に算出されたフォーカス値の最大値と、フォーカス値の現在値との割合を示している。最大値マーカー528は算出結果表示部521の横軸の右端に沿って配置されている。フォーカス値が上昇を続けている間は、現在値バー525のバー先端526は最大値マーカー528と一致する。
【0076】
算出結果表示部521の表示内容は、対物レンズが下降するにつれてその都度更新されるが、算出結果表示部521の表示枠の大きさは一定である。そこで、算出値グラフ522の全体が算出結果表示部521の表示枠に収まるように、対物レンズが下降するにしたがって、算出値グラフ522の縮尺が変更されていく(縮尺が小さくなっていく)。縮尺が小さくなることにより、算出結果表示部521の表示枠にはZ方向の広い範囲が収まるようになるため、対物レンズが下降するにしたがってZ方向の表示範囲が拡大していく。
【0077】
図13はフォーカス値グラフ520においてフォーカス値がピークを過ぎた状態を示す図である。
図13に示されているように、フォーカス値がピークを過ぎると、バー先端526が最大値マーカー528から離れる。
【0078】
フォーカス値がピークを過ぎてからさらに対物レンズの下降が継続されると、対物レンズが観察対象物OBに衝突するおそれがある。そこで、フォーカス値がピークを過ぎると、対物レンズの下降が停止される。例えば、現在値バー525のバー先端526が最大値マーカー528から一定以上離れた場合に対物レンズの下降が停止されるとよい。
【0079】
なお、フォーカス値がピークを過ぎたことで対物レンズの下降が停止される際には、ユーザーに向けて確認メッセージが表示されるとよい。例えば「サンプルと接触する可能性があるため、ステージ移動を停止しました。」といったメッセージが表示部72に表示されるとよい。なお、フォーカス値がピークを過ぎた場合には、対物レンズの下降が停止された後、フォーカス値がピークとなるZ方向の位置まで対物レンズが上昇する(ピントを合わせる)ようにZ方向ステージ6の制御が行われてもよい。
【0080】
本実施形態の拡大観察装置10によれば、対物レンズとしてテレセントリックレンズ(第1対物レンズ40a、第2対物レンズ40b、第3対物レンズ40c)と広角対物レンズ40d(非テレセントリックのレンズ)とがともにレボルバー41(レンズ切換部)に取り付けられていることにより、広角対物レンズ40dを用いて広い観察視野のナビゲーション画像を得つつ、テレセントリックレンズを用いて高倍率で観察対象物OBの観察を行うことができ、利便性が高い。
【0081】
さらに広角対物レンズ40dを用いたナビゲーション画像に関連してナビゲーション補正情報が登録されるため、ユーザーはナビゲーション画像を用いて載置台2を意図通りに移動させることができる。
【0082】
そして、テレセントリックレンズと広角対物レンズ40dとの間で対物レンズの切り換えが行われる際には、それぞれの同焦点距離の差異に応じてZ方向ステージ6による移動が行われるため、対物レンズを切り換えた際にもユーザーは観察対象物OBに対して焦点の合った観察画像を確認することができる。また対物レンズの切り換えに伴うZ方向ステージ6による移動の際に、切換後の対物レンズの作動距離の予想に応じた警告等が行われることにより、対物レンズ等が観察対象物OBに接触することが防止される。
【0083】
次に
図14を参照して、ナビゲーション画像の登録の流れを説明する。なお説明のため、拡大観察装置10の起動時にはテレセントリック対物レンズである第1対物レンズ40aが撮像素子7の光路上に配置されているものとする。
【0084】
拡大観察装置10が起動する(START)と、まずステップS11において、観察対象物OBに向けられている第1対物レンズ40a(テレセントリック対物レンズ)によって観察対象物OBの観察が行われる。
【0085】
ステップS12において、ユーザーからナビゲーション画像を生成する要求があったか否かが確認される。ナビゲーション画像生成の要求がない場合(ステップS12でNO)、ステップS11に戻って第1対物レンズ40aによる観察対象物OBの観察が続行される。
【0086】
ナビゲーション画像生成の要求があった場合(ステップS12でYES)、ステップS13において、Z方向ステージ6が観察ヘッド4をZ方向に退避させる。例えば、第1対物レンズ40aと広角対物レンズ40dの同焦点距離の差の分だけ、観察ヘッド4が上昇されるとよい。
【0087】
観察ヘッド4がZ方向に退避されると、ステップS14において、レボルバー41が、撮像素子7の光路上に配置される対物レンズを、広角対物レンズ40dに切り換える。そしてステップS15において、広角対物レンズ40dのオートフォーカスが行われる。なお、オートフォーカスにおいては、レンズ制御部241による結像レンズ240の制御、および絞り制御部260による絞りの調節が行われ、より被写界深度の狭い倍率で実行されるようになっていてもよい。
【0088】
広角対物レンズ40dのオートフォーカスにおいては、Z方向ステージ6が広角対物レンズ40dをZ方向に少しずつ移動させながら、広角対物レンズ40dの焦点が観察対象物OBに合う位置を探索する。例えば、広角対物レンズ40dがZ方向に少し移動するたびに、撮像素子7による観察対象物OBの撮像が行われ、解析処理部303がその撮像結果のフォーカス値を算出する。
【0089】
フォーカス値が所定の基準を満たすとき、広角対物レンズ40dの焦点が前記観察対象物OBに合ったと判定され、オートフォーカスが完了する。例えば、広角対物レンズ40dが現在位置から上昇しても下降しても(あるいは、結像レンズ240の焦点距離を伸ばしても縮めても)フォーカス値が減少する場合、現在位置のフォーカス値が最大であると判定され、オートフォーカスが完了する。あるいは、フォーカス値が予め定められた基準値を上回っていれば、広角対物レンズ40dの焦点が観察対象物OBに十分合ったと判定され、オートフォーカスが完了する。
【0090】
オートフォーカスが完了した後、すなわち、広角対物レンズ40dの焦点が観察対象物OBに合わせられてから、ナビゲーション画像の登録処理はステップS16に進み、広角対物レンズ40dを用いて観察画像が生成される。
【0091】
なお、オートフォーカス中は結像レンズ240の倍率を上げた状態でフォーカス値に関する演算が行われて、オートフォーカス完了後に結像レンズ240の倍率が元に戻されて観察画像の撮像が行われるようになっていてもよい。結像レンズ240の倍率を上げた状態でオートフォーカスが行われることにより、適切なフォーカス調整が行われる。そして、観察画像の撮影時には結像レンズ240の倍率が元に戻されることで、ユーザーの意図した通りの撮像範囲(例えば観察対象物OBの全体)の観察画像が得られる。
【0092】
続いてステップS17において、広角対物レンズ40dによる観察画像の歪みの補正(ディストーション補正)が行われる。例えば、広角対物レンズ40dの光学的特性(レンズ設計値)が既知であれば、その光学的特性に基づいて、ナビゲーション画像(広角対物レンズ40dによる観察画像)における位置と、観察対象物OBにおける位置との対応関係において、広角対物レンズ40dの歪曲収差によって生じるずれを補正するためのナビゲーション補正情報が生成される。
【0093】
広角対物レンズ40dの光学的特性が不明の場合には、
図10のようなキャリブレーションボード141を用いてナビゲーション補正情報が生成されてもよい。なお光学的特性が不明な広角対物レンズ40dが用いられる場合には、観察対象物OBに対する観察が開始される前(ステップS11よりも前)に、広角対物レンズ40dを介してキャリブレーションボード141を撮像した観察画像が予め生成されているとよい。キャリブレーションボード141を撮像した観察画像が予め生成されていれば、ステップS17において、載置台2に観察対象物OBが載置されたまま(観察対象物OBをキャリブレーションボード141に取り換えることなく)、ナビゲーション補正情報の生成が可能となる。
【0094】
ナビゲーション補正情報が生成されたら、続いてステップS18においてキャリブレーション(較正)が実行される。キャリブレーションにおいては、ナビゲーション画像の画素1つ分と、実際の距離との対応関係(キャリブレーション値)が生成される。キャリブレーション値は例えば、ナビゲーション画像の光学的倍率に基づいて生成される。ナビゲーション画像の光学的倍率は、広角対物レンズ40dおよび結像レンズ240の倍率等に基づいて算出(生成)される。なお、キャリブレーションボード141を撮像した観察画像が生成されている場合は、その観察画像に写っているキャリブレーションボード141の周期的パターン143からキャリブレーション値を算出することもできる。このとき、レンズ制御部241によって結像レンズ240の倍率が変更されて、結像レンズ240の倍率が大きい状態でキャリブレーションボード141を撮像した観察画像を用いてキャリブレーション値の算出が行われてもよい。
【0095】
ナビゲーション補正情報およびキャリブレーション値が生成されたら、画像登録部507は、ステップS19において、広角対物レンズ40dによって撮像されたナビゲーション画像を、ナビゲーション補正情報およびキャリブレーション値とともに記憶部311に記憶させて、ナビゲーション画像の登録を完了(END)する。
【0096】
次に
図15を参照して、対物レンズの切り換えの流れを説明する。説明のため、広角対物レンズ40dが撮像素子7の光路上に配置されている状態から処理が始まる(START)ものとする。
【0097】
まずステップS21において、広角対物レンズ40dによって観察対象物OBの観察が行われる。そしてステップS22において、広角対物レンズ40dからテレセントリック対物レンズ(例えば第1対物レンズ40a)への切り換えがユーザーによって指示されたか否かが確認される。
【0098】
テレセントリック対物レンズへの切り換えが指示されていない場合(ステップS22でNO)には、ステップS21に戻り、広角対物レンズ40dによる観察対象物OBの観察が継続される。
【0099】
テレセントリック対物レンズへの切り換えが指示された場合(ステップS22でYES)には、ステップS23に進み、予想作動距離が短いか否かが確認される。具体的には、切換後のテレセントリック対物レンズの焦点距離等の光学的特性等に基づき、予想作動距離の算出が行われる。そして、予想作動距離が、対物レンズと観察対象物OBとの衝突の可能性があるほど短いか否かが確認される。予想作動距離が短いか否かの判定においては、例えば予想作動距離と、予め定められた基準値(例えば10mm)との比較が行われるとよい。また、対物レンズの切り換えに伴う対物レンズの下降量(例えば30mm)との比較において、予想作動距離が短いかどうか(例えば、下降量の80%以下かどうか)が判定されてもよい。
【0100】
予想作動距離が短くない場合、すなわち算出された予想作動距離が予め定められた基準(例えば10mm以下)を満たさない場合(ステップS23でNO)には、ステップS26に進み、レボルバー41によるテレセントリック対物レンズへの切り換えが実行される(例えば第1対物レンズ40aが撮像素子7の光路上に配置される)。
【0101】
一方、算出された予想作動距離が予め定められた基準を満たす場合(ステップS23でYES)には、ステップS24に進み、ユーザーに対する注意文が表示部72に表示される(警告が行われる)。例えば、「Z方向ステージが30mm下降します。サンプルと衝突しないことを確認してからOKボタンをクリックしてください。」という注意文とともに、「OK」ボタンと「キャンセル」ボタンが表示部72に表示される。
【0102】
注意文の表示後、ステップS25において、切換キャンセルが行われたか、すなわち、「キャンセル」ボタンが押されたか否かが確認される。「キャンセル」ボタンが押された場合(ステップS25でYES)、対物レンズの切り換えはキャンセルされてステップS21に戻り、広角対物レンズ40dによる観察対象物OBの観察が継続される。
【0103】
切換キャンセルが行われない場合、すなわちユーザーが「OK」ボタンを押した場合(ステップS25でNO)には、ステップS26に進み、レボルバー41によるテレセントリック対物レンズへの切り換えが実行される(例えば第1対物レンズ40aが撮像素子7の光路上に配置される)。
【0104】
テレセントリック対物レンズへの切り換えが完了すると、ステップS27に進み、Z方向ステージ6によって対物レンズの下降が実行される。対物レンズの下降が実行されている間、解析処理部303によって、フォーカス値の測定が行われる。
【0105】
そしてステップS28において、フォーカス値がピークを過ぎたか否かが確認される。フォーカス値がピークを過ぎたことが確認されない場合(ステップS28でNO)、所定の下降量(テレセントリック対物レンズと広角対物レンズ40dとの同焦点距離の差に応じて定められた下降量、例えば30mm)に達するまで下降が実行されて、対物レンズの切り換えが完了(END)する。
【0106】
一方、フォーカス値がピークを過ぎたことが確認された場合(ステップS28でYES)には、ステップS29に進み、対物レンズの下降が停止されて、対物レンズの切り換えが完了(END)する。ここでユーザーに向けて、下降が目標の下降量に達する前に途中で停止したことを示すメッセージが表示部72に表示されるとよい。例えば「サンプルと接触する可能性があるため、ステージ移動を停止しました。」といったメッセージが表示されるとよい。
【0107】
なお、所定の下降量での下降が完了した時点では、切換後の対物レンズの焦点が観察対象物OBに合っていない場合がある。そこで、Z方向ステージ6(垂直移動部)が対物レンズを垂直方向に移動させた場合には、その後、さらに対物レンズの焦点調節が行われてもよい。例えば対物レンズの焦点が観察対象物OBに合うように、Z方向ステージ6によって対物レンズの垂直方向位置が調節されるとよい。また焦点調節のために、レンズ制御部241による結像レンズ240の制御、絞り制御部260による絞りの調節が行われてもよい。
【0108】
さらに、Z方向ステージ6が対物レンズを垂直方向に移動させた際には、対物レンズの高さ測定が行われてもよい。対物レンズの高さは例えば、Z方向ステージ6の移動量と、対物レンズの寸法に基づいて算出される。
【0109】
次に
図16を参照して、ナビゲーション画像を用いた移動制御の流れを説明する。なお説明のため、広角対物レンズ40dを用いて生成されたナビゲーション画像が登録された後、対物レンズの切り換えが実行されて、テレセントリック対物レンズ(例えば第1対物レンズ40a)が撮像素子7の光路上に配置されている状態から処理が始まる(START)ものとする。
【0110】
まずステップS31において、テレセントリック対物レンズによる観察が行われる。そしてステップS32において、移動目標の受付けが行われたか否か、すなわちユーザーによってナビゲーション画像に対する位置の指定が行われたか否かが確認される。
【0111】
移動目標の受付けが行われていない場合(ステップS32でNO)には、ステップS31に戻り、テレセントリック対物レンズによる観察が継続される。一方、移動目標の受付けが行われた場合(ステップS32でYES)には、ステップS33に進み、移動量の算出が行われる。
【0112】
移動量の算出においては、ナビゲーション画像が登録された際に、ナビゲーション画像とともに記憶部311に記憶されたナビゲーション補正情報およびキャリブレーション値が読み出される。移動制御部302は、ユーザーがナビゲーション画像に対して指定した位置(ナビゲーション画像上の位置)と、ナビゲーション補正情報と、キャリブレーション値に基づいて移動量を算出する。すなわち、載置台2をどれだけの距離で移動させれば、撮像素子7の視野中心が、ユーザーの指定したナビゲーション画像上の位置に対応する観察対象物OB上の位置と一致するかが算出される。
【0113】
移動量の算出が完了したら、ステップS34において、移動制御部302は、載置台制御部23による載置台2の移動を制御して、算出した移動量だけ載置台2を移動させる。
【0114】
載置台2の移動が完了したら、ステップS35において、移動後の位置でのオートフォーカスが実行される。すなわち、移動後の位置で対物レンズの焦点が観察対象物OBに合うように、Z方向ステージ6、レンズ制御部241、絞り制御部260等が制御されて、焦点の調節が行われる。オートフォーカスが完了したら、移動制御は完了(END)し、移動先の位置で観察対象物OBの観察が継続される。なお、オートフォーカスは必ずしも実行されなくともよい。例えば、載置台2の移動が完了した時点で対物レンズの焦点が観察対象物OBに合っている(ピントが合っている)ならばオートフォーカスは不要である。一方、観察対象物OBが表面に凹凸の多い物体である場合や、対物レンズとして被写界深度の浅い高倍率レンズが使用される場合など、載置台2の移動が完了した時点でピントが合っていないことが予想される場合には、オートフォーカスが実行されることが望ましい。
【0115】
以上の実施形態によれば、ユーザーは広角対物レンズ40dを用いて広い範囲が撮像されたナビゲーション画像に対する位置の指定に基づいて載置台2を移動させることができる。またその移動は、広角対物レンズ40dによる撮像画像に生じる歪みを考慮したナビゲーション補正情報を用いて行われるので、ユーザーが意図した通りの位置へ視野中心が移動されることになり、拡大観察装置10の利便性が高くなる。
【0116】
なお、画像登録部507は、観察対象物OBの互いに異なる部分が撮像された複数の観察画像を連結した連結画像を生成して、その連結画像をナビゲーション画像として登録することが可能であってもよい。
【0117】
例えば観察対象物OBが大きい場合に、観察対象物OBの半分ずつを撮像した2つの観察画像を連結して、1つのナビゲーション画像としてもよい。複数の観察画像を連結する前に、それぞれの観察画像についてナビゲーション補正情報を生成しておき、連結画像の生成時には、それぞれの観察画像に関するナビゲーション補正情報に基づいて、連結画像に関するナビゲーション補正情報が生成されるとよい。
【0118】
以上の実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、前述した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。前記実施形態で説明した構成のうち「課題を解決するための手段」で本発明の一局面として記載した構成以外については、任意の構成であり、適宜削除および変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、拡大観察装置を提供するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0120】
1 撮像部
2 載置台
4 観察ヘッド
6 Z方向ステージ
7 撮像素子
10 拡大観察装置
40a 第1対物レンズ
40b 第2対物レンズ
40c 第3対物レンズ
40d 広角対物レンズ
41 レボルバー
71 情報処理部
72 表示部
73 操作部
141 キャリブレーションボード
143 周期的パターン
300 演算部
301 画像生成部
302 移動制御部
303 解析処理部
304 表示制御部
305 照明制御部
306 入出力制御部
307 画像登録部
311 記憶部
400 表示画面
500 ナビゲーション画像
511 カーソル
515 視野中心
520 フォーカス値グラフ