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  • 特開-はんだ付け装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004274
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】はんだ付け装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 1/008 20060101AFI20250107BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20250107BHJP
   B23K 1/06 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
B23K1/008 Z
H05K3/34 507D
B23K1/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103833
(22)【出願日】2023-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桝田 勇司
(72)【発明者】
【氏名】村上 晃良
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319AA07
5E319AB06
5E319CC33
5E319CD04
5E319CD35
5E319GG03
5E319GG15
(57)【要約】
【課題】実装部品に発生した位置ずれを、当該実装部品のはんだが固化した後に、修正することができるはんだ付け装置を提供する。
【解決手段】はんだ付け装置100は、電子部品81がはんだ付けされる基板80を、保持具31及びばね32を介して保持するパレット30と、パレット30を搬送するコンベア20と、電子部品81のはんだ82が冷却されて固化し、当該電子部品81に位置ずれが発生した場合、コンベア20によるパレット30の搬送時において、位置ずれが発生している電子部品81のはんだ82を加熱して、溶融させる加熱部60と、位置ずれが発生している電子部品81のはんだが、加熱部60によって溶融されると、コンベア20によるパレット30の搬送時において、当該パレット30に保持される基板80に対して、振動を加える加振部50とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装部品がはんだ付けされる基板を、弾性部材を介して保持するパレットと、
前記パレットを搬送する第1搬送部と、
前記実装部品のはんだが冷却されて固化し、当該実装部品に位置ずれが発生した場合、前記第1搬送部による前記パレットの搬送時において、位置ずれが発生している実装部品のはんだを加熱して、溶融させる加熱部と、
位置ずれが発生している実装部品のはんだが、前記加熱部によって溶融されると、前記第1搬送部による前記パレットの搬送時において、前記パレットに保持される基板に対して、振動を加える加振部とを備える
ことを特徴とするはんだ付け装置。
【請求項2】
前記加熱部と前記加振部とは、一体的に設けられる
ことを特徴とする請求項1記載のはんだ付け装置。
【請求項3】
前記加熱部及び前記加振部を同時に搬送する第2搬送部を備え、
前記第1搬送部の搬送速度と、前記第2搬送部の搬送速度とは、同じ速度である
ことを特徴とする請求項1記載のはんだ付け装置。
【請求項4】
前記はんだが冷却されて固化した後に、前記実装部品に発生している位置ずれを検出するカメラを備える
ことを特徴とする請求項1記載のはんだ付け装置。
【請求項5】
前記パレットは、前記基板の周囲を囲むように開口し、当該基板を収容する収容開口部を有し、
前記弾性部材は、前記基板の外周端面と前記収容開口部との間に設けられる
ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のはんだ付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、実装部品を基板にはんだ付けするはんだ付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に電子部品を自動的にはんだ付けする、はんだ付け装置が提供されている。このような、従来のはんだ付け装置としては、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-188515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたはんだ付け装置は、リフロー炉内において、はんだを溶融させて、実装部品を基板に接合させる際に、はんだが溶融してから固化するまでの間に、基板に振動を与えるようにしている。このため、特許文献1に開示されたはんだ付け装置は、はんだのぬれ性を向上させることができる。
【0005】
また、特許文献1に開示されたはんだ付け装置においては、はんだが溶融してから固化するまでの間に、セルフアライメント効果を期待することができる。セルフアライメント効果とは、基板に印刷されたペースト状のはんだに対して、若干の位置ずれが実装部品に発生しても、リフロー時における溶融したはんだの表面張力によって、当該実装部品が自動的に正しい位置に位置決めされる現象である。
【0006】
しかしながら、上述したセルフアライメント効果は、比較的に軽い実装部品に対して期待できるものあって、比較的に重い実装部品には期待し難い現象である。このため、特許文献1に開示されたはんだ付け装置を用いて、比較的に重い実装部品を、はんだを介して基板に接合しようとする場合、セルフアライメント効果が期待できない分、実装部品に位置ずれが発生するおそれがある。この場合、実装部品に発生した位置ずれを、当該実装部品のはんだが固化した後に、修正する必要がある。
【0007】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、実装部品に発生した位置ずれを、当該実装部品のはんだが固化した後に、修正することができるはんだ付け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係るはんだ付け装置は、実装部品がはんだ付けされる基板を、弾性部材を介して保持するパレットと、パレットを搬送する第1搬送部と、実装部品のはんだが冷却されて固化し、当該実装部品に位置ずれが発生した場合、第1搬送部によるパレットの搬送時において、位置ずれが発生している実装部品のはんだを加熱して、溶融させる加熱部と、位置ずれが発生している実装部品のはんだが、加熱部によって溶融されると、第1搬送部によるパレットの搬送時において、パレットに保持される基板に対して、振動を加える加振部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、実装部品に発生した位置ずれを、当該実装部品のはんだが固化した後に、修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係るはんだ付け装置の概略構成図である。
図2】搬送されるパレットの平面図である。
図3図2のIII-III矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
実施の形態1.
実施の形態1に係るはんだ付け装置100について、図1から図3を用いて説明する。図1は、実施の形態1に係るはんだ付け装置100の概略構成図である。図2は、搬送されるパレット30の平面図である。図3は、図2のIII-III矢視断面図である。
【0013】
図1に示す実施の形態1に係るはんだ付け装置100は、例えば、リフロー式のはんだ付け装置であって、基板80の表面に対して、実装部品となる電子部品81を、自動的にはんだ付けするものである(図2及び図3参照)。図1から図3に示すうに、はんだ付け装置100は、リフロー炉10、コンベヤ20、パレット30、コンベヤ40、加振部50、加熱部60、及び、カメラ71~73を備えている。なお、コンベヤ20は、第1搬送部を構成し、コンベヤ40は、第2搬送部を構成するものである。
【0014】
図1に示すように、リフロー炉10は、プリヒート部11、はんだ付け部12、冷却部13、及び、修正部14を有している。プリヒート部11、はんだ付け部12、冷却部13、及び、修正部14は、基板80の搬送方向上流側から下流側に向けて順に配置されている。なお、修正部14は、冷却部13の一部分と重複しており、当該冷却部13内に含まれている。
【0015】
プリヒート部11の内部及びはんだ付け部12の内部には、赤外線式及び熱風式等の各種ヒータ(図示省略)が、それぞれ設けられている。また、冷却部13には、冷却用ファン(図示省略)が設けられている。更に、修正部14の内部には、電子部品81の位置ずれを修正するための加振部50及び加熱部60が設けられている。
【0016】
ここで、基板80は、図1に示す温度プロファイルPに従って加熱される。上記各種ヒータ及び冷却用ファンの設定温度、後述するコンベヤ20の搬送速度は、基板80の温度が温度プロファイルPとなるように、調整されることになる。
【0017】
コンベヤ20は、基板80を保持したパレット30を搬送するためのものである。コンベヤ20は、複数段に亘って連続して配置されている。このうち、1つ以上のコンベヤ20は、リフロー炉10の内部を貫通するように配置されている。即ち、コンベヤ20は、プリヒート部11、はんだ付け部12、冷却部13、及び、修正部14を通過するように、配置されている。
【0018】
リフロー炉10の内部を通過するコンベヤ20の前段(搬送方向上流側)に位置するコンベヤ20に対応して、例えば、ソルダーペースト印刷機及び実装部品搭載機等が、設けられている。一方、リフロー炉10の内部を通過するコンベヤ20の後段(搬送方向下流側)に位置するコンベヤ20に対応して、例えば、基板回収機等が設けられている。
【0019】
コンベヤ20は、後述するパレット30を、リフロー炉10内において搬送するものである。図1及び図2に示すように、コンベヤ20は、前後一対のローラ21及び左右一対のベルト22を有している。一方のローラ21は、コンベヤ20の搬送方向上流側に配置されている。また、このローラ21には、モータ(図示省略)の出力軸が接続されている。他方のローラ21は、コンベヤ20の搬送方向下流側に配置されている。一対のベルト22は、搬送方向に延びて、且つ、当該搬送方向と直交する方向において所定の間隔を有するベルトであって、前後一対のローラ21に掛け回されている。この一対のベルト22には、パレット30が着脱可能となっている。
【0020】
このため、コンベヤ20は、モータを駆動させて、ローラ21を回転させることにより、一対のベルト22を走行させることができる。この結果、コンベヤ20は、パレット30を搬送することができる。なお、図1において、白抜きの矢印は、コンベヤ20の走行方向を示している。
【0021】
図2及び図3に示すように、パレット30は、基板80を保持した状態で、搬送されるものである。このパレット30は、収容開口部30a、複数の保持具31、及び、複数のばね32を有している。
【0022】
収容開口部30aは、パレット30の略中央部に形成されている。この収容開口部30aは、基板80を収容可能となっている。具体的には、収容開口部30aは、矩形をなす基板80の形状と同じ形状をなしている。また、収容開口部30aの大きさは、基板80の大きさよりも十分に大きい。このため、基板80を収容開口部30aに収容した場合、当該基板80の外周端面は、収容開口部30aの開口端面と対向する。言い換えれば、基板80の周囲は、収容開口部30aに囲まれる。
【0023】
保持具31は、基板80を収容開口部30a内に保持する、軸状の伸縮部材である。この保持具31は、収容開口部30aの開口端面から、その内側に向けて延びるように設けられている。保持具31の基端は、収容開口部30aの開口端面に支持されている。一方、保持具31の先端は、基板80の外周端部をその厚さ方向両側から挟み込むように保持可能となっている。そして、保持具31は、その軸方向において、伸縮可能となっている。
【0024】
ばね32は、保持具31に巻き付けられるように設けられている。ばね32の基端は、収容開口部30aの開口端面に支持されている。一方、ばね32の先端は、保持具31の先端に当接している。このため、ばね32は、保持具31を収容開口部30aの内側に向けて付勢している。この結果、収容開口部30a内に収容された基板80は、保持具31の先端に保持されつつ、ばね32の付勢力を、保持具31を介して受ける。なお、弾性部材として、ばね32を用いているが、ゴムを用いても構わない。
【0025】
このように、パレット30は、収容開口部30a内において、基板80を保持具31及びばね32を用いて収容保持することで、保持具31の伸縮及びばね32の弾性変形を利用して、当該基板80を、前後方向(搬送方向)、幅方向(搬送方向と直交する方向)、及び、上下方向(厚さ方向)において、振動させることができる。
【0026】
なお、基板80の全ての辺において、1つ以上の保持具31が対応していれば良い。図1は、基板80の各辺において、2つずつ保持具31が対応する例を示している。
【0027】
ここで、図2及び図3に示すように、基板80の表面(上面)には、電子部品81がはんだ付けされる。電子部品81は、電極81aを有している。この電極81aは、電子部品81の幅方向両側部にそれぞれ設けられている。各電極81aは、はんだ82を介して、基板80の表面に接合される。
【0028】
なお、基板80は、予め供給されたペースト状のはんだ82上に、電子部品81が置かれた状態で、リフロー炉10内に搬入される。また、リフロー炉10内に搬入される前に、1つ以上の電子部品81が、1つの基板80に対して置かれることになる。図2は、2つの電子部品81を基板80に実装する例である。
【0029】
図1に示すように、コンベヤ40は、後述する加振部50及び加熱部60を、修正部14内において、往復移動させるものである。コンベヤ40は、修正部14内で、且つ、コンベヤ20の下方に配置されている。このコンベヤ40は、前後一対のローラ41及び左右一対のベルト42を有している。一方のローラ41は、コンベヤ40の搬送方向上流側に配置されている。また、このローラ41には、モータ(図示省略)の出力軸が接続されている。他方のローラ41は、コンベヤ40の搬送方向下流側に配置されている。一対のベルト42は、搬送方向に延びて、且つ、当該搬送方向と直交する方向において所定の間隔を有するベルトであって、前後一対のローラ41に掛け回されている。このため、コンベヤ40は、モータを駆動させて、ローラ41を回転させることにより、一対のベルト42を走行させることができる。
【0030】
具体的には、コンベヤ40は、モータを正転させて、ローラ41を一方側に回転させることにより、一対のベルト42を、パレット30の搬送方向に走行させることができる。よって、コンベヤ40は、加振部50及び加熱部60を、コンベヤ20の走行速度、即ち、パレット30の搬送速度と同じ速度で、搬送方向に移動させることができる。また、コンベヤ40は、モータを逆転させて、ローラ41を他方側に回転させることにより、一対のベルト42を、パレット30の搬送方向とは逆方向に走行させることができる。よって、コンベヤ40は、加振部50及び加熱部60を、元の位置に復帰させることができる。なお、図1において、白抜き矢印は、コンベヤ40の往復移動方向を示している。
【0031】
図1に示すように、加振部50及び加熱部60は、一体的に設けられている。加熱部60は、加振部50の上方において、1つ以上設けられている。この加熱部60は、例えば、レーザを用いて加熱するものである。このため、加熱部60は、基板80にはんだ付けされた電子部品81の中でも、位置ずれが発生している電子部品81をはんだ付けしているはんだ82に対して、レーザを照射する。この結果、加熱部60は、冷却部13において固化されたはんだ82を溶融させることができる。
【0032】
また、加振部50は、加熱部60から照射されたレーザによって溶解されたはんだ82を有する基板80に対して、振動を加えるものである。この加振部50は、その下部がコンベヤ40のベルト42に対して、着脱可能となっている。
【0033】
図2及び図3に示すように、加振部50は、昇降台51、支持部材52、モータ53、及び、カム54を有している。昇降台51は、コンベヤ40における上段に位置する一対のベルト42と、コンベヤ20における上段に位置する一対のベルト22との間において、上下方向に移動可能に支持されている。図1及び図3において、実線の矢印は、昇降台51の上下動方向を示している。
【0034】
支持部材52は、昇降台51の上面において、移動可能に支持されている。例えば、4つの支持部材52は、基板80の4つの辺に対応した位置に、それぞれ配置されている。このとき、各支持部材52は、対応する基板80の1つの辺に対して、接近又は離反するように、支持されている。また、各支持部材52は、対応する基板80の1つの辺に対して、その辺の長さ方向において移動可能に支持されている。
【0035】
モータ53は、支持部材52の先端に設けられている。カム54は、モータ53の出力軸に設けられている。このため、各カム54は、基板80の4つの辺に対応した位置にそれぞれ配置されており、支持部材52と共に移動する。図2及び図3において、実線の矢印は、カム54(支持部材52)の移動方向を示している。
【0036】
従って、パレット30に保持される基板80を、加振部50によって振動させる場合、当該加振部50は、昇降台51を上昇させて、カム54のカム面を、基板80の側面に当接させる。このとき、加振部50は、モータ53を駆動させることで、カム54のカム面の上下動によって、基板80をパレット30に対して振動させることができる。
【0037】
加振部50が基板80に加える振動の大きさは、モータ53の回転数、及び、カム54の設置位置を変えることで、調整することができる。例えば、その振動の大きさは、モータ53の回転数を、高くする程、大きくなる。また、振動の大きさは、カム54の設置位置を、基板80の中心に接近させる程、大きくなる。
【0038】
カメラ71~73は、基板80に対する電子部品81の位置ずれを、検出するものである。カメラ71は、プリヒート部11の上部に設けられている。このカメラ71は、プリヒート部11において、電子部品81に発生している位置ずれを検出する。カメラ72は、冷却部13の上部に設けられている。このカメラ72は、冷却部13において、はんだ82が冷却されて固化した後に、電子部品81に発生している位置ずれを検出する。カメラ73は、修正部14の上部に設けられている。このカメラ73は、修正部14において、位置ずれ修正直前の電子部品81に発生している位置ずれを検出する。なお、はんだ付け装置100は、カメラ71~73のうち、少なくとも、はんだ82が冷却されて固化した後に、電子部品81に発生している位置ずれを検出する、カメラ72,73を備えていれば良い。
【0039】
次に、はんだ付け装置100によるはんだ付け動作について、説明する。
【0040】
先ず、基板80の表面に、ペースト状のはんだ82が塗布される。次いで、はんだ82上に、電子部品81の電極81aが載置される。そして、基板80は、パレット30に保持される。即ち、図2及び図3に示すように、基板80は、保持具31及びばね32を介して、パレット30の収容開口部30a内に収納保持される。
【0041】
そして、図1に示すように、基板80を保持したパレット30は、コンベヤ20による搬送によって、リフロー炉10の内部に投入される。具体的には、プリヒート部11において、はんだ82は、当該はんだ82の融点よりも低い温度で、等温加熱される。はんだ付け部12において、はんだ82は、溶融される。冷却部13において、はんだ82は、固化される。
【0042】
ここで、リフロー炉10内においては、電子部品81がはんだ82を介して載置される基板80は、パレット30によって、次々と搬送される。このとき、カメラ71,72が、電子部品81の位置ずれを検出した場合、その基板80を保持するパレット30が、修正部14に到達すると、加熱部60及び加振部50は、カメラ71~73の検出結果に基づいて動作する。
【0043】
即ち、加熱部60は、カメラ71~73の検出結果に基づいて、位置ずれが発生している電子部品81をはんだ付けしているはんだ82に対して、レーザを照射する。このため、はんだ82は、再び、溶融する。
【0044】
次いで、加振部50は、コンベヤ40の搬送方向上流側において、昇降台51を昇降させて、カム54のカム面を、パレット30に保持された基板80の側面に当接させる。これと同時に、加振部50は、モータ53を駆動させて、カム54を回転させる。また、加振部50は、コンベヤ40の走行によって、パレット30の搬送速度と同じ速度で移動する。このため、基板80には、カム54の回転に伴って、振動が発生する。
【0045】
この結果、電子部品81に発生している位置ずれは、パレット30によって搬送されながら、溶融したはんだ82上において、修正される。即ち、電子部品81は、基板80に対して、正しい位置に配置される。
【0046】
次いで、パレット30は、修正部14から冷却部13の後部に再度搬送されることで、はんだ82は、電子部品81の位置ずれが修正された状態で、固化される。
【0047】
また、加振部50は、コンベヤ40の搬送方向下流側に到達すると、昇降台51を降下させて、カム54のカム面を基板80の裏面から離脱させる。そして、加振部50は、コンベヤ40の逆方向への搬送によって、当該コンベヤ40の搬送方向上流側に戻り、次の、位置ずれが発生している電子部品81に備える。
【0048】
よって、はんだ付け装置100は、全ての基板80に対して、電子部品81の位置ずれを検出することができる。また、はんだ付け装置100は、位置ずれが発生している電子部品81をはんだ付けしているはんだ82のみを、溶融し、その基板80を振動させることができる。このため、はんだ付け装置100は、位置ずれが発生している電子部品81のみを、位置修正することができる。更に、はんだ付け装置100は、はんだ付け部12におけるはんだ付け時において、セルフアライメント効果が期待できない、比較的に重い電子部品81に対応して、位置ずれを修正することができる。
【0049】
実施の形態1に係るはんだ付け装置100は、電子部品81がはんだ付けされる基板80を、保持具31及びばね32を介して保持するパレット30と、パレット30を搬送するコンベヤ20と、電子部品81のはんだ82が冷却されて固化し、当該電子部品81に位置ずれが発生した場合、コンベヤ20によるパレット30の搬送時において、位置ずれが発生している電子部品81のはんだ82を加熱して、溶融させる加熱部60と、位置ずれが発生している電子部品81のはんだ82が、加熱部60によって溶融されると、コンベヤ20によるパレット30の搬送時において、当該パレット30に保持される基板80に対して、振動を加える加振部50とを備える。このため、はんだ付け装置100は、電子部品81に発生した位置ずれを、当該電子部品81のはんだ82が固化した後に、修正することができる。
【0050】
はんだ付け装置100において、加振部50と加熱部60とは、一体的に設けられる。このため、はんだ付け装置100は、構成の簡素化を図ることができる。
【0051】
はんだ付け装置100は、加振部50及び加熱部60を同時に搬送するコンベヤ40を備え、コンベヤ20の搬送速度と、コンベヤ40の搬送速度とは、同じ速度である。このため、はんだ付け装置100は、パレット30をコンベヤ20によって搬送しながら、加振部50による加振及び加熱部60よる加熱を行うことができる。
【0052】
はんだ付け装置100は、はんだ82が冷却されて固化した後に、電子部品81に発生している位置ずれを検出するカメラ72,73を備える。このため、はんだ付け装置100は、電子部品81に発生している位置ずれを容易に検出することができる。
【0053】
はんだ付け装置100においては、パレット30は、基板80の周囲を囲むように開口し、当該基板80を収容する収容開口部30aを有し、ばね32は、基板80の外周端面と収容開口部30aとの間に設けられる。このため、はんだ付け装置100は、基板80に対して容易に振動を加えることができる。また、はんだ付け装置100は、基板80が振動しても、パレット30の搬送に影響を与えることが無い。
【0054】
なお、本開示は、その開示の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、若しくは、実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0055】
以下、本開示の諸形態を付記としてまとめて記載する。
【0056】
(付記1)
実装部品がはんだ付けされる基板を、弾性部材を介して保持するパレットと、
前記パレットを搬送する第1搬送部と、
前記実装部品のはんだが冷却されて固化し、当該実装部品に位置ずれが発生した場合、前記第1搬送部による前記パレットの搬送時において、位置ずれが発生している実装部品のはんだを加熱して、溶融させる加熱部と、
位置ずれが発生している実装部品のはんだが、前記加熱部によって溶融されると、前記第1搬送部による前記パレットの搬送時において、前記パレットに保持される基板に対して、振動を加える加振部とを備える
ことを特徴とするはんだ付け装置。
【0057】
(付記2)
前記加熱部と前記加振部とは、一体的に設けられる
ことを特徴とする付記1記載のはんだ付け装置。
【0058】
(付記3)
前記加熱部及び前記加振部を同時に搬送する第2搬送部を備え、
前記第1搬送部の搬送速度と、前記第2搬送部の搬送速度とは、同じ速度である。
ことを特徴とする付記1又は付記2記載のはんだ付け装置。
【0059】
(付記4)
前記はんだが冷却されて固化した後に、前記実装部品に発生している位置ずれを検出するカメラを備える
ことを特徴とする付記1から付記3のうちのいずれか1項記載のはんだ付け装置。
【0060】
(付記5)
前記パレットは、前記基板の周囲を囲むように開口し、当該基板を収容する収容開口部を有し、
前記弾性部材は、前記基板の外周端面と前記収容開口部との間に設けられる
ことを特徴とする付記1から付記4のうちのいずれか1項記載のはんだ付け装置。
【符号の説明】
【0061】
10 リフロー炉、11 プリヒート部、12 はんだ付け部、13 冷却部、14 修正部、20 コンベヤ、21 ローラ、22 ベルト、30 パレット、30a 収容開口部、31 保持具、32 ばね、40 コンベヤ、41 ローラ、42 ベルト、50加振部、51 昇降台、52 支持部材、53 モータ、54 カム、60 加熱部、71~73 カメラ、80 基板、81 電子部品、81a 電極、82 はんだ、100 はんだ付け装置。
図1
図2
図3