(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025042931
(43)【公開日】2025-03-28
(54)【発明の名称】火災受信機
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20250321BHJP
【FI】
G08B17/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023150139
(22)【出願日】2023-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小橋 洋之
【テーマコード(参考)】
5G405
【Fターム(参考)】
5G405AA06
5G405CA22
5G405CA26
5G405CA41
5G405CA52
5G405FA01
(57)【要約】
【課題】本発明は、種々の構成の火災受信機において、準備する部品の種類数を抑制しつつ、使用されないスイッチがない火災受信機を実現することを課題とする。
【解決手段】本発明の火災受信機は、表示部と、取付装置接続判定部と、を備え、取付装置接続判定部により、特定装置の接続の有無を判定し、特定装置の接続が有りと判定した場合には、特定装置に関する入力表示を前記表示部に表示することを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
取付装置接続判定部と、を備え、
前記取付装置接続判定部により、特定装置の接続の有無を判定し、
特定装置の接続が有りと判定した場合には、特定装置に関する入力表示を前記表示部に表示する
ことを特徴とする火災受信機。
【請求項2】
特定装置への電源供給部を備え、
前記取付装置接続判定部は、特定装置への接続信号に対する戻り信号の有無により、特定装置の接続の有無を判定する
ことを特徴とする請求項1に記載された火災受信機。
【請求項3】
前記表示部はタッチパネルであり、前記入力表示は、タッチパネル上のスイッチとして表示される
ことを特徴とする請求項1または2に記載された火災受信機。
【請求項4】
前記特定装置はプリンタであり、前記入力表示はプリンタ停止ボタンである
ことを特徴とする請求項3に記載の火災受信機。
【請求項5】
物理スイッチを備え、
前記入力表示は、前記物理スイッチを操作することによる機能を表示する
ことを特徴とする請求項1または2に記載された火災受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理ボタンやタッチパネル等の入力部を有する火災受信機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
火災受信機には、種々の装置が取り付けられている。特許文献1の火災受信機は、盤面の下側にプリンタが配置されており、火災報知設備で発生したイベントを印字出力するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
火災報知設備の点検時や建物の工事などで火災報知設備のイベントの記録が必要ない場合には、印字用紙に無駄に印字しないようにプリンタによる印字を止めておきたいことがある。そのために、火災受信機にプリンタの印刷停止スイッチが物理的に設けられている。しかし、火災受信機は設置対象の建物の用途や建物所有者の要望等に応じた構成に組み立てられるものであり、プリンタが不要であればプリンタを取り付けない設定の火災受信機とすることができる。その際、印刷停止スイッチがない火災受信機の部品を用意するよりも、印刷停止スイッチが設けられた部品を用いて火災受信機を組み上げる方が、準備する部品の種類数を抑制することができる。そうすると、プリンタなしとした火災受信機では、利用者にとって不要な印刷停止スイッチが設けられることになる。
【0005】
プリンタ以外の装置に関しても、火災受信機には種々のスイッチが設けられている。たとえば、非常放送、消火栓、移報先機器などの特定装置に関しては、非常放送遮断スイッチ、消火栓遮断スイッチ、移報遮断スイッチなどのスイッチが、火災受信機のパネルに物理的に設けられている。これらのスイッチに関しても、スイッチが設けられた部品を用いて火災受信機を組み上げることにより準備する部品の種類数を抑制することができるが、対応する特定装置が接続されない構成の火災受信機では、使用されない特定装置に関するスイッチが残ってしまう。
【0006】
本発明は、種々の構成の火災受信機において、準備する部品の種類数を抑制しつつ、使用されないスイッチがない火災受信機を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態である火災受信機は、表示部と、取付装置接続判定部と、を備え、取付装置接続判定部により、特定装置の接続の有無を判定し、特定装置の接続が有りと判定した場合には、特定装置に関する入力表示を前記表示部に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記発明では、特定装置の接続を判定して自動的に入力表示を表示部に表示することにより、種々の構成の火災受信機において、共通の構成を有しつつ使用されないスイッチがない火災受信機を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】実施例1の火災受信機の立ち上げ時におけるフロー図。
【発明を実施するための形態】
【実施例0010】
図1に、実施例1の火災受信機1の前面を示す。火災受信機1の前面パネルは複数箇所に枠状の開口部が設けられており、開口部に種々の装置が固定されている。中央に設けた開口部には、情報操作盤13が嵌め込まれており、情報操作盤13には表示入力部131やスイッチ133等が設けられている。実施例1の表示部である表示入力部131はタッチパネルとなっており、表示と共に入力も行うことができる。
図1の表示入力部131には、ボタンスイッチを表すスイッチ表示132が表示されている。スイッチ表示132はタッチ入力が可能な入力表示であって、入力表示は、タッチパネル上のスイッチとして表示されている。スイッチ表示132はプリンタ停止ボタンである。また、左の下部における開口部には、特定装置であるプリンタ19が嵌め込まれている。
【0011】
火災受信機1にプリンタ19が不要である場合には、組立ての際にプリンタ19は取り付けられない。前面パネルの左の下部における開口部には、替わりに封止蓋(図示せず)が嵌め込まれる。
【0012】
図2に、実施例1の火災受信機1の内部構成を示す。制御部11には記憶部12と表示入力部131、送受信部16が接続されている。送受信部16は、信号線17によりコネクタ18に接続している。コネクタ18は、電源供給線15を介して電源供給部14に接続している。
【0013】
実施例1の火災受信機1には、プリンタ19が設けられている。
図2に示すように、プリンタ19の電源供給線191と信号線192はコネクタ193に繋がっている。そして、コネクタ18とコネクタ193が繋がることにより、プリンタ19は電源供給部14から電力供給をうける。また、プリンタ19は送受信部16と繋がって、信号の送受信を行う。
【0014】
一方、プリンタ19を取り付けない場合には、
図2のプリンタ19の構成がなく、電源供給線191、信号線192、コネクタ193もない。そして、コネクタ18は非接続状態となる。
【0015】
<火災受信機1の立ち上げ動作>
次に、電源を投入して立ち上げた際の火災受信機1の動作を、
図3を用いて説明する。
図2のようにプリンタ19が取り付けられた火災受信機1では、電源が投入されると(ステップS1)、電源供給部14からコネクタ18、コネクタ193を介してプリンタ19に電源電圧が供給される。また、制御部11は、記憶部12に記憶したプリンタ接続フラグを0に初期化する(ステップS2)。
【0016】
そして、制御部11は、送受信部16を介して接続処理を行う。電源が投入されて少し時間が経過すると、制御部11は送受信部16から接続信号を送信する(ステップS3)。接続信号は信号線17、コネクタ18、コネクタ193、信号線192を経てプリンタ19に伝わる。電源電圧が供給されたプリンタ19は、接続信号を受けることにより、接続処理として信号線192から戻り信号を送信する。戻り信号は信号線192、コネクタ193、コネクタ18、信号線17を介して送受信部16に送られる。取付装置接続判定部である制御部11は、戻り信号の有無により特定装置であるプリンタ19の接続があるか判定する(ステップS4)。
図2のようにプリンタ19が接続されていて戻り信号が有りの場合(YES)には、制御部11は記憶部12に記憶されたプリンタ接続フラグを1とする(ステップS5)。一方、プリンタ19が接続されておらず、戻り信号が有りでない場合(NO)には、プリンタ接続フラグを変更しない。プリンタ19が送受信部16と接続していなかったり、電源電圧が供給されていなかったりする場合は、プリンタ19は接続信号に対する戻り信号を返すことができない。
【0017】
次に、制御部11は、プリンタ接続フラグが1であるか否かを判定する(ステップS6)。プリンタ接続フラグが1である(YES)場合には、火災受信機1では
図1に示すように表示入力部131にスイッチ表示132を表示して(ステップS7)、立ち上げ動作を終了する。
【0018】
<プリンタの停止>
スイッチ表示132はタッチ入力が可能な入力表示であり、操作者がスイッチ表示132に触れると制御部11は記憶部12の印刷停止フラグを1とする。印刷停止フラグが1の状態では、制御部11は送受信部16からプリンタ19に印刷信号を送信しない。そのため、プリンタ19は印刷停止状態となる。印刷停止フラグが0の場合には、制御部11は送受信部16からプリンタ19に印刷信号を送信することができる。そのため、プリンタ19は印刷可能状態となる。
【0019】
表示入力部131の表示内容は、スイッチ133の操作等により他の表示内容に切り替わることができる。そして、表示内容が、再びもとの表示に戻る際には、制御部11は、記憶部12に記憶されているプリンタ接続フラグが1であるか否かにより、スイッチ表示132を表示するか否かを決定する。
【0020】
プリンタ19が設置されていない火災受信機1では、コネクタ18はコネクタ193と接続していない。そのため、火災受信機1の電源投入時における接続処理において、
図3のステップS4で、信号線17に送信された接続信号に対するプリンタ19からの戻り信号を、送受信部16を介して制御部11が検出することはない。その結果、ステップS5を通過しないため、プリンタ接続フラグは0のままとなる。
【0021】
プリンタ接続フラグが0である火災受信機1では、
図3のステップS6でNOとなり、表示入力部131に
図1に示すスイッチ表示132を表示しない。以上のようにして、火災受信機1では、取付装置接続判定部である制御部11により、特定装置の接続の有無を判定する。そして、特定装置の接続が有りと判定した場合には、特定装置に関する入力表示を表示入力部131に表示する。
【0022】
実施例1において、プリンタ19は、火災受信機1の内部に取り付けられる火災受信機内部装置であり、特定装置であるが、特定装置は、プリンタ19以外の火災受信機内部装置であってもよい。さらに、特定装置を非常放送、消火栓、移報先機器などとして、特定装置に関する入力表示を表示入力部131に表示してもよい。
一方、プリンタ22が取り付けられておらずに電源投入時に戻り信号がなく、プリンタ接続フラグが0であると、表示部211に「プリンタ停止ボタン」と表示されない。したがって、使われないスイッチが表示されることはない。その場合、一番上のスイッチ212は使われなくてもよいが、他のスイッチとして用いてもよい。その際には、表示部211の対応箇所に他のスイッチであることを示す表示を行う。
実施例2において、プリンタ22は、火災受信機2の内部に取り付けられる火災受信機内部装置であり、特定装置であるが、特定装置は、プリンタ22以外の火災受信機内部装置であってもよい。さらに、特定装置を非常放送、消火栓、移報先機器などとして、特定装置に関する入力表示を表示部211に表示してもよい。そして、「プリンタ停止ボタン」等の表示は、矢印213で対応する物理スイッチであるスイッチ212を操作することによる機能を表示する入力表示である。