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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025042932
(43)【公開日】2025-03-28
(54)【発明の名称】吊り下げユニット、および建築物
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/18 20060101AFI20250321BHJP
【FI】
E04B9/18 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023150140
(22)【出願日】2023-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】西嶋 瞭
(72)【発明者】
【氏名】秦 智博
(72)【発明者】
【氏名】小泉 泰斗
(57)【要約】
【課題】振動による連結具の接続部分の緩みを抑制できる吊り下げユニット、および建築物を提供する。
【解決手段】吊り下げユニット10は、天井梁6に固定される連結具11と、物を支持する天井裏下地材17と、を備える。天井裏下地材17は、連結具11に取り付けられる。連結具11は、天井梁6に固定される垂下部材12と、垂下部材12に接続される水平部材13と、を有する。垂下部材12は、水平部材13を下から支持する支持部12Pと、を有する。水平部材13は、上下方向に位置調整可能に垂下部材12に接続される。水平部材13の下面は、支持部12Pに直に接触し、または、水平部材13と支持部12Pとの間に配置されるスペーサに接触する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物を吊り下げる吊り下げユニットであって、
天井梁に固定される連結具と、
前記連結具に取り付けられて前記物を支持する天井裏下地材と、を備え、
前記連結具は、前記天井梁に固定される垂下部材と、前記垂下部材に接続される水平部材と、を有し、
前記垂下部材は、前記水平部材が接続される第1接続部分と、前記第1接続部分よりも低い位置に設けられて前記水平部材を下から支持する支持部と、を有し、
前記水平部材は、上下方向に位置調整可能に前記第1接続部分に第1締結部材によって接続される第2接続部分を有し、
前記第2接続部分の下面は、前記支持部に直に接触し、または、前記第2接続部分と前記支持部との間に配置される第1スペーサに接触する、
吊り下げユニット。
【請求項2】
前記天井梁は、梁孔部を有し、
前記垂下部材は、前記天井梁の前記梁孔部に固定される固定用フランジ部を有し、
前記固定用フランジ部は、前記天井梁が延びる長手方向に位置調整可能に前記梁孔部に第2締結部材によって固定される固定部を有する、
請求項1に記載の吊り下げユニット。
【請求項3】
補強金具をさらに備え、
前記補強金具は、前記天井梁に当接するように構成される第1補強部と、前記垂下部材に面するように構成される第2補強部と、を有し、
前記第1補強部は、前記天井梁に結合する第1結合部を有し、
前記第2補強部は、前記垂下部材に結合する第2結合部を有する、
請求項1に記載の吊り下げユニット。
【請求項4】
第2スペーサをさらに備え、
前記第2スペーサは、前記垂下部材と前記第2補強部との間に配置される、
請求項3に記載の吊り下げユニット。
【請求項5】
天井を有する建築物であって、
前記天井に設けられる天井梁と、請求項1~請求項4のいずれか一項の吊り下げユニットと、前記吊り下げユニットによって支持される物と、を備える、
建築物。
【請求項6】
前記天井は、天井下地を有し、
前記天井裏下地材は、前記天井下地を構成する天井下地部材と交差するように配置され、前記天井裏下地材の幅方向に前記天井下地部材を通す切り欠き部を有する、
請求項5に記載の建築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吊り下げユニット、および建築物に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物において、天井の梁には、天井下地材、または、各種設備が取り付けられる。特許文献1には、梁から吊り下げられる天井下地材の取付構造が開示されている。特許文献1の技術では、梁に固定される吊持支持金具にL型鋼棒がビス止めされる。吊持支持金具においてL型鋼棒が接続される接続部分(特許文献1では、ビス止め部)には、複数のビス挿通孔が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-183680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建築物に振動が伝わると、吊り下げ構造において部材と部材とを接続する接続部分に緩みが生じる場合がある。接続部分の緩みを抑制する観点において、吊り下げユニット、および吊り下げユニットを備える建築物に改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決する吊り下げユニットは、物を吊り下げる吊り下げユニットであって、天井梁に固定される連結具と、前記連結具に取り付けられて前記物を支持する天井裏下地材と、を備え、前記連結具は、前記天井梁に固定される垂下部材と、前記垂下部材に接続される水平部材と、を有し、前記垂下部材は、前記水平部材が接続される第1接続部分と、前記第1接続部分よりも低い位置に設けられて前記水平部材を下から支持する支持部と、を有し、前記水平部材は、上下方向に位置調整可能に前記第1接続部分に第1締結部材によって接続される第2接続部分を有し、前記第2接続部分の下面は、前記支持部に直に接触し、または、前記第2接続部分と前記支持部との間に配置される第1スペーサに接触する。
【0006】
この構成によれば、水平部材は垂下部材に対して位置調整可能である。そして、第2接続部分の下面が支持部に直に接触する場合、支持部によって水平部材が傾くことを妨げられるため、振動による水平部材と垂下部材との接続部分の緩みを抑制できる。水平部材の高さ調整によって、第2接続部分の下面と支持部との間にスペースが形成される場合、第2接続部分の下面と支持部との間に第1スペーサが配置される。そして、第2接続部分と支持部との間に配置される第1スペーサに接触する。このため、第1スペーサおよび支持部によって水平部材が傾くことを妨げられるため、振動による水平部材と垂下部材との接続部分の緩みを抑制できる。
【0007】
(2)上記(1)の吊り下げユニットにおいて、前記天井梁は、梁孔部を有し、前記垂下部材は、前記天井梁の前記梁孔部に固定される固定用フランジ部を有し、前記固定用フランジ部は、前記天井梁が延びる長手方向に位置調整可能に前記梁孔部に第2締結部材によって固定される固定部を有する。この構成によれば、天井梁が延びる方向において、垂下部材の位置を調整できる。
【0008】
(3)上記(1)の吊り下げユニットにおいて、補強金具をさらに備え、前記補強金具は、前記天井梁に当接するように構成される第1補強部と、前記垂下部材に面するように構成される第2補強部と、を有し、前記第1補強部は、前記天井梁に結合する第1結合部を有し、前記第2補強部は、前記垂下部材に結合する第2結合部を有する。この構成によれば、補強金具は、天井梁と垂下部材との固定を補強できる。このため、振動による、天井梁に対する垂下部材の位置ずれを抑制できる。
【0009】
(4)上記(3)の吊り下げユニットにおいて、第2スペーサをさらに備え、前記第2スペーサは、前記垂下部材と前記第2補強部との間に配置される。この構成によれば、垂下部材と第2補強部との間には、第2スペーサが配置される。第2スペーサによって、第2補強部を取り付けやすい位置に配置できる。このため、吊り下げユニットの施工を行い易い。
【0010】
(5)上記課題を解決する建築物は、天井を有する建築物であって、前記天井に設けられる天井梁と、上記(1)~上記(4)のいずれか1つに記載の吊り下げユニットと、前記吊り下げユニットによって支持される物と、を備える。この構成によれば、吊り下げユニットを介して物を天井梁に固定できる。吊り下げユニットは、垂下部材と水平部材との接続部分が緩み難い構造を有するため、振動を生じさせ易い物を好適に支持できる。また、吊り下げユニットは、垂下部材と水平部材との接続部分が緩みにくい構造を有するため、吊り下げユニットのメンテナンスの頻度を少なくできる。
【0011】
(6)上記(5)の建築物において、前記天井は、天井下地を有し、前記天井裏下地材は、前記天井下地を構成する天井下地部材と交差するように配置され、前記天井裏下地材の幅方向に前記天井下地部材を通す切り欠き部を有する。この構成によれば、天井裏下地材は天井下地部材と交差できる。これにより、吊り下げユニットの配置の自由度が高くなる。
【発明の効果】
【0012】
本開示の吊り下げユニットによれば、振動による連結具の接続部分の緩みを抑制できる。本開示の建築物によれば、振動による連結具の接続部分の緩みを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】建築物の模式図である。
図2】第1実施形態について、ガレージの斜視図である。
図3】第1実施形態について、天井の平面図である。
図4】第1実施形態について、図3の4-4線に沿う天井の断面図である。
図5】第1実施形態について、吊り下げユニットの斜視図である。
図6】第1実施形態について、図3の6-6線に沿う、吊り下げユニットの断面図である。
図7】第1実施形態について、垂下部材の斜視図である。
図8】第1実施形態について、天井裏下地材の斜視図である。
図9】第2実施形態について、吊り下げユニットの断面図である。
図10】第2実施形態について、吊り下げユニットの分解斜視図である。
図11】第3実施形態について、吊り下げユニットの断面図である。
図12】変形例について、天井の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
図1図8を参照して、建築物1および吊り下げユニット10について説明する。以下、建築物1は、少なくとも1つの吊り下げユニット10を備える。第1実施形態においては、建築物1は、4つの吊り下げユニット10を備える。
【0015】
図1に示されるように、本実施形態における建築物1は、戸建ての住宅である。第1実施形態とは異なる建築物1の例として、集合住宅および公共施設が挙げられる。本実施形態の建築物1は、建築物本体3およびガレージ2によって構成される。ガレージ2は、開口部分を有する開口壁2Aを有する。開口壁2Aの開口部分には、開口を塞ぐようにシャッタ4Aが設けられる。一例として、ガレージ2は、自動車9を収容できる大きさの内部空間を有する。
【0016】
図2および図3に示されるように、建築物1のガレージ2は、天井5に設けられる天井梁6(図4参照)と、吊り下げユニット10と、吊り下げユニット10によって支持される物4と、を備える。本実施形態において、天井梁6はH形鋼である。なお、図2および図3における天井梁6の図示は省略している。本実施形態において、物4は、オーバースライダー方式のシャッタ4Aである。シャッタ4Aは、4つの吊り下げユニット10によって支持される。本実施形態とは異なる物4の例として、健康器具4J(後述)、ハンモック、映写幕、大型テレビなどが挙げられる。吊り下げユニット10の数は、物4の大きさおよび重さによって異なる。
【0017】
シャッタ4Aは、レール4Bおよび複数のスラット4Cを含む。レール4Bは、開口壁2Aの鉛直方向に沿う鉛直部4Dと、天井5に沿う水平部4Eと、鉛直部4Dと水平部4Eとを繋ぐレール曲部4Fと、によって構成される。複数のスラット4Cは、スラット4Cの幅方向において互いに連なる。シャッタ4Aが開かれる場合、複数のスラット4Cはレール4Bを滑走することによって、天井5に沿うように収容される。
【0018】
図3および図4に示されるように、天井5は、天井下地7Aと、天井材7Bを有する。天井下地7Aは、天井下地部材8によって構成される。天井下地部材8には、野縁受け8Aおよび野縁8Bが含まれる。天井5の平面視において、野縁受け8Aは、野縁8Bと交差する。
【0019】
図4に示されるように、シャッタ4Aは、天井5およびレール取付金具4Gを介して吊り下げユニット10に吊り下げられる。具体的には、レール4Bの水平部4Eは、レール取付金具4Gに取り付けられる。レール取付金具4Gは、天井材7Bを介して、取付部材4Hによって天井裏下地材17に取り付けられる。本実施形態において、取付部材4Hはビスである。
【0020】
<吊り下げユニット>
図4および図5に示されるように、シャッタ4Aを吊り下げる吊り下げユニット10は、天井梁6に固定される連結具11と、シャッタ4Aを支持する天井裏下地材17と、を備える。連結具11は、天井梁6に固定される垂下部材12と、垂下部材12に接続される水平部材13と、を有する。本実施形態において水平部材13は、リップ溝形鋼である。水平部材13は、開口部13Aを有する。水平部材13の長手方向に沿うそれぞれの面について、開口部13Aを形成する面は、2つの側面13Bと交差する。開口部13Aを有する面は、2つの側面13Bを介して背面13Cと繋がる。
【0021】
垂下部材12は、水平部材13が接続される第1接続部分12Nを有する(図7参照)。本実施形態において、連結具11は、4つの垂下部材12と、2つの水平部材13と、によって構成される。2つの水平部材13のうち一方の水平部材13において、水平部材13の長手方向における両端部それぞれに1つずつ垂下部材12が接続される。両端部のうち一方には、第1垂下部材12Cが接続される。他方には、第2垂下部材12Dが接続される。
【0022】
他方の水平部材13においても、水平部材13の長手方向における両端部にそれぞれに1つずつ垂下部材12が接続される。両端部のうち一方には、第3垂下部材12Eが接続される。他方には、第4垂下部材12Fが接続される。
【0023】
本実施形態において、2つの水平部材13のうち一方の水平部材13の背面13Cは、他方の水平部材13の背面13Cと対向する。第1垂下部材12C、第2垂下部材12D、第3垂下部材12E、および第4垂下部材12Fのそれぞれは、それぞれが接続される水平部材13の背面13Cと接する。
【0024】
本実施形態において、天井裏下地材17は角パイプである。天井裏下地材17は、連結具11の水平部材13に固定部材17Aによって取り付けられる。本実施形態において、固定部材17Aは、固定ボルト17Bおよび固定ナット17Cである。固定ボルト17Bは、天井裏下地材17と、水平部材13の2つの側面13Bのうち天井裏下地材17の上面と接する側面13Bと、を貫通する。固定ボルト17Bの頭は、天井裏下地材17と接する。
【0025】
図6および図7に示されるように、垂下部材12は、固定用フランジ部12Aを有する。固定用フランジ部12Aは、天井梁6の梁孔部6Aに固定される部分である。固定用フランジ部12Aは、垂下部材12の本体部12Gの上端部分12Hから水平方向に延びる。上端部分12Hは、曲部12Jを含む。また、本体部12Gの上端部分12Hにおいて、固定用フランジ部12Aの側端12Kと本体部12Gの側端12Lとを架けるようにリブプレート12Mが設けられる。
【0026】
天井梁6は、梁孔部6Aを有する。具体的には、本実施形態においてH形鋼である天井梁6は、ウェブの下端から延びるフランジに、梁孔部6Aを有する。梁孔部6Aは、孔を含む部分である。固定用フランジ部12Aは、固定部12Bを有する。固定部12Bは、天井梁6が延びる長手方向に位置調整可能に梁孔部6Aに第2締結部材16によって固定される。
【0027】
本実施形態において、第2締結部材16は、第2ボルト16Aおよび第2ナット16Bである。梁孔部6Aは、第2ボルト16Aと第2ナット16Bとの締結によって固定部12Bと接続される。梁孔部6Aおよび固定部12Bの一方は、天井梁6の長手方向において、天井梁6に対する垂下部材12の位置を調整する第2長孔20Aを有する。梁孔部6Aおよび固定部12Bの他方は、第2挿通孔20Bを有する。
【0028】
本実施形態においては、固定部12Bが第2長孔20Aを有する。第2ボルト16Aは、固定用フランジ部12Aの下面から第2長孔20Aおよび第2挿通孔20Bを挿通する。第2ボルト16Aが第2長孔20Aおよび第2挿通孔20Bを挿通する状態において、第2長孔20Aは、天井梁6の長手方向に沿って垂下部材12の位置を調整できるよう構成される。
【0029】
垂下部材12は、第1接続部分12Nよりも低い位置に設けられる支持部12Pを有する。支持部12Pは、垂下部材12の本体部12Gの下端部分12Qから水平方向に延びる。支持部12Pは、水平部材13を下から支持するように構成される。水平部材13は、第2接続部分13Dを有する。第2接続部分13Dは、上下方向に位置調整可能に垂下部材12の第1接続部分12Nに第1締結部材14によって接続される。水平部材13の第2接続部分13Dの下面13E(図5参照)は、支持部12Pに直に接触する。
【0030】
本実施形態において、第1締結部材14は、第1ボルト14Aおよび第1ナット14Bである。垂下部材12の第1接続部分12Nは、第1ボルト14Aと第1ナット14Bとの締結によって水平部材13の第2接続部分13Dと接続される。第1接続部分12Nおよび第2接続部分13Dの一方は、垂下部材12に対する水平部材13の高さ位置を調整する第1長孔21Aを有する。第1接続部分12Nおよび第2接続部分13Dの他方は、第1挿通孔21Bを有する。
【0031】
本実施形態においては、垂下部材12の第1接続部分12Nが第1長孔21Aを有する。第1ボルト14Aは、垂下部材12側から第1長孔21Aおよび第1挿通孔21Bを挿通する。第1ボルト14Aが第1長孔21Aおよび第1挿通孔21Bを挿通する状態において、第1長孔21Aは、垂下部材12に対する水平部材13の高さ位置を調整できるよう構成される。
【0032】
また、支持部12Pおよび水平部材13は、第3締結部材18によって締結される。本実施形態において、第3締結部材18は、第3ボルト18Aおよび第3ナット18Bである。水平部材13は、第2接続部分13Dにおける2つの側面13Bにおいて、第3ボルト18Aを挿通させる第3挿通孔22Aを有する。支持部12Pは、第3ボルト18Aを挿通させる第4挿通孔22Bを有する。
【0033】
図8に示されるように、天井裏下地材17は、天井裏下地材17の幅方向に野縁8B(図4参照)を通す切り欠き部17Dを有する。切り欠き部17Dの切り欠きの大きさは、野縁8Bが通過できる大きさに形成される。天井裏下地材17は、野縁8Bと交差するように配置される(図3参照)。天井裏下地材17は、複数の切り欠き部17Dを有してもよい。
【0034】
<実施形態の作用と効果>
本実施形態の作用を説明する。
吊り下げユニット10が備える連結具11の垂下部材12は、水平部材13が接続される第1接続部分12Nと、水平部材13を下から支持する支持部12Pと、を有する。水平部材13の第2接続部分13Dは、上下方向に位置調整可能に第1接続部分12Nに第1ボルト14Aおよび第1ナット14Bによって接続される。第2接続部分13Dの下面13Eは、支持部12Pに直に接触する。
【0035】
従来の吊り下げユニットは、吊り下げ構造において、振動が伝わると部材と部材とを接続する接続部分に緩みが生じる場合があった。この点、本実施形態によれば、上述のように、第2接続部分13Dの下面13Eは、支持部12Pに直に接触する。これにより、振動が伝わることによって第1ボルト14Aおよび第1ナット14Bによる締結状態が劣化した場合、水平部材13が傾くことを妨げられる。具体的には、支持部12Pは、第1ボルト14Aの挿通方向に沿う線を中心とする回転方向において、水平部材13の下方向への移動を妨げる。このため、振動による垂下部材12と水平部材13との接続部分の緩みを抑制できる。
【0036】
また、連結具11は次の作用を有する。本実施形態の連結具11は、天井裏下地材17の両端それぞれが垂下構造体によって支持される構造を有する。2つの垂下構造体それぞれは、水平部材13と、水平部材13の両端それぞれに接続される垂下部材12を含む。そして、水平部材13の両端それぞれは、垂下部材12の支持部12Pによって下から支持される。このような構造のため、水平部材13は傾き難くなっている。したがって、本実施形態では、連結具11において、垂下部材12と水平部材13との接続箇所である4つの接続部分のいずれか1つが緩むことがあっても、天井裏下地材17は傾き難い。
【0037】
本実施形態の効果を説明する。
(1)垂下部材12は、水平部材13が接続される第1接続部分12Nと、水平部材13を下から支持する支持部12Pと、を有する。水平部材13は、上下方向に位置調整可能に第1接続部分12Nに第1ボルト14Aおよび第1ナット14Bによって接続される第2接続部分13Dを有する。第2接続部分13Dの下面13Eは、支持部12Pに直に接触する。
【0038】
この構成によれば、水平部材13は垂下部材12に対して位置調整可能である。そして、第2接続部分13Dの下面13Eが支持部12Pに直に接触する。これにより、支持部12Pによって水平部材13が傾くことを妨げられるため、振動による水平部材13と垂下部材12との接続部分の緩みを抑制できる。
【0039】
(2)固定用フランジ部12Aは、天井梁6が延びる長手方向に位置調整可能に梁孔部6Aに固定される固定部12Bを有する。この構成によれば、天井梁6が延びる方向において、垂下部材12の位置を調整できる。
【0040】
垂下部材12の位置を調整することにより、天井裏下地材17を取り付ける水平部材13の位置も調整することができる。これにより、吊り下げユニット10に支持される物4の重心に近い位置に天井裏下地材17を配置し易くなる。このため、吊り下げユニット10は物4を支持し易くなる。
【0041】
(4)建築物1のガレージ2は、天井5に設けられる天井梁6と、吊り下げユニット10と、吊り下げユニット10によって支持されるシャッタ4Aと、を備える。この構成によれば、吊り下げユニット10を介してシャッタ4Aを天井梁6に固定できる。吊り下げユニット10は、垂下部材12と水平部材13との接続部分が緩みにくい構造を有するため、振動を生じさせ易いシャッタ4Aを好適に支持できる。また、吊り下げユニット10は、垂下部材12と水平部材13との接続部分が緩みにくい構造を有するため、吊り下げユニット10のメンテナンスの頻度を少なくできる。
【0042】
(5)天井裏下地材17は、野縁8Bと交差するように配置される。天井下地部材8は、天井裏下地材17の幅方向において、野縁8Bを通す切り欠き部17Dを有する。この構成によれば、天井裏下地材17は野縁8Bと交差できる。これにより、吊り下げユニット10の配置の自由度が高くなる。
【0043】
<第2実施形態>
第2実施形態の吊り下げユニット10を説明する。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態の構成と同一の符号を付す。重複する構成についてはその説明を省略する。
【0044】
図9および図10を参照して、本実施形態の説明をする。本実施形態は、水平部材13と支持部12Pとの間に第1スペーサ15を配置する点で第1実施形態と異なる。
【0045】
図9および図10に示されるように、水平部材13の第2接続部分13Dと垂下部材12の支持部12Pとの間には、第1スペーサ15が配置される。第2接続部分13Dの下面13Eは、第1スペーサ15に接触する。第1スペーサ15は、第3ボルト18Aを挿通させる第5挿通孔15Aを有する。第1スペーサ15は、水平部材13の高さ調整によって形成されるスペースを埋めるように構成される。水平部材13の第2接続部分13Dと支持部12Pとの間に生じるスペースが1つの第1スペーサ15によって埋まらない場合は、第1スペーサ15を複数重ねることによってスペースを埋めることができる。本実施形態の第1スペーサ15は、1つである。
【0046】
本実施形態の構成によれば、第1スペーサ15によって水平部材13が傾くことを妨げられる。このため、振動による水平部材13と垂下部材12との接続部分の緩みを抑制できる。
【0047】
<第3実施形態>
第3実施形態の吊り下げユニット10を説明する。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態の構成と同一の符号を付す。重複する構成についてはその説明を省略する。
【0048】
図11を参照して、本実施形態の説明をする。本実施形態は、吊り下げユニット10が、天井梁6に垂下部材12を固定する部分を補強する補強金具19を備える点で第1実施形態と異なる。
【0049】
図11に示されるように、吊り下げユニット10は、補強金具19をさらに備える。補強金具19は、天井梁6に当接するように構成される第1補強部19Aと、垂下部材12に面するように構成される第2補強部19Bと、を有する。第1補強部19Aは、第2補強部19Bと交差するように繋がる。第1補強部19Aは、天井梁6に結合する第1結合部19Cを有する。第1結合部19Cは、第6挿通孔19Eを有する。第2補強部19Bは、垂下部材12に結合する第2結合部19Dを有する。第2結合部19Dは、第7挿通孔19Fを有する。補強金具19は、天井梁6に固定される垂下部材12に対して、第1補強部19Aが天井梁6に当接し、かつ、第2補強部19Bが垂下部材12に面するように、取り付けられる。以下、このような補強金具19の取り付け状態を「金具取付状態」という。
【0050】
また、吊り下げユニット10は、第2スペーサ23をさらに備える。第2スペーサ23は、垂下部材12と第2補強部19Bとの間に配置される。第2スペーサ23は、垂下部材12と第2補強部19Bとのスペースを埋めるように構成される。垂下部材12と第2補強部19Bとの間に生じるスペースが1つの第2スペーサ23によって埋まらない場合は、第2スペーサ23を複数重ねることによってスペースを埋めることができる。本実施形態の第2スペーサ23は、2つである。
【0051】
天井梁6は、梁孔部6Aを有する。梁孔部6Aは孔を含む部分である。第1補強部19Aの第6挿通孔19Eは、補強金具19の金具取付状態において、第6挿通孔19Eが梁孔部6Aに重なるように構成される。第1補強締結部材19Gは、第6挿通孔19Eと梁孔部6Aの孔とを通る。第1補強締結部材19Gは、天井梁6と第1補強部19Aとを締結させる。本実施形態の第1補強締結部材19Gは、ボルトおよびナットである。
【0052】
垂下部材12は、垂下部材12に面する第2補強部19Bの第7挿通孔19Fと重なる位置に、垂下挿通孔12Rを有する。第2スペーサ23は、第2補強部19Bの第7挿通孔19Fと重なる位置に、第8挿通孔23Aを有する。第2補強締結部材19Hは、第7挿通孔19F、垂下挿通孔12R、および第8挿通孔23Aを通る。第2補強締結部材19Hは、垂下部材12、第2補強部19B、および第2スペーサ23を締結させる。本実施形態の第2補強締結部材19Hは、ボルトおよびナットである。
【0053】
本実施形態の構成によれば、以下の2つの効果を奏する。
(1)補強金具19は、天井梁6と垂下部材12との固定を補強できる。このため、振動による、天井梁6に対する垂下部材12の位置ずれを抑制できる。
【0054】
(2)垂下部材12と第2補強部19Bとの間には、第2スペーサ23が配置される。第2スペーサ23によって、第2補強部19Bを取り付けやすい位置に配置できる。このため、吊り下げユニット10の施工を行い易い。
【0055】
<変形例>
上記各実施形態は、吊り下げユニット10、および建築物1が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。吊り下げユニット10、および建築物1は、上記各実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例の一例を示す。
【0056】
(1)図12に示されるように、物4は、健康器具4Jでもよい。健康器具4Jは、2つの吊り下げユニット10によって支持される。健康器具4Jは、取っ手4K、支持棒4L、およびビス留め台4Mによって構成される。取っ手4Kの両端にそれぞれは、支持棒4Lに支持される。支持棒4Lは、ビス留め台4Mと連結されている。支持棒4Lは、ビス留め台4Mに打ち込まれるビスによって、ビス留め台4Mと天井材7Bとを介して天井裏下地材17に取り付けられる。
【0057】
(2)吊り下げユニット10は、水平部材13を片持ちするように、垂下部材12によって接続されてもよい。例えば、第1実施形態における2つの水平部材13のうち一方の水平部材13の背面13Cには、第1垂下部材12Cのみが直に接続される。他方の水平部材13の背面13Cには、第3垂下部材12Eのみが直に接続される。
【符号の説明】
【0058】
1…建築物、4…物、5…天井、6…天井梁、6A…梁孔部、7A…天井下地、8…天井下地部材、10…吊り下げユニット、11…連結具、12…垂下部材、12A…固定用フランジ部、12B…固定部、12N…第1接続部分、12P…支持部、13…水平部材、13D…第2接続部分、13E…下面、14…第1締結部材、15…第1スペーサ、16…第2締結部材、17…天井裏下地材、17D…切り欠き部、19…補強金具、19A…第1補強部、19B…第2補強部、19C…第1結合部、19D…第2結合部、23…第2スペーサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2025-02-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物を吊り下げる吊り下げユニットであって、
梁孔部を有する天井梁に固定される連結具と、
前記連結具に取り付けられて前記物を支持する天井裏下地材と、を備え、
前記連結具は、前記天井梁に固定される垂下部材と、前記垂下部材に接続される水平部材と、を有し、
前記垂下部材は、前記天井梁の前記梁孔部に固定される固定用フランジ部と、前記水平部材が接続される第1接続部分と、前記第1接続部分よりも低い位置に設けられて前記水平部材を下から支持する支持部と、を有し、
前記水平部材は、上下方向に位置調整可能に前記第1接続部分に第1締結部材によって接続される第2接続部分を有し、
前記第2接続部分の下面は、前記支持部に直に接触し、または、前記第2接続部分と前記支持部との間に配置される第1スペーサに接触し、
前記垂下部材の前記固定用フランジ部は、前記天井梁が延びる長手方向に位置調整可能に前記梁孔部に第2締結部材によって固定される固定部を有する、
吊り下げユニット。
【請求項2】
物を吊り下げる吊り下げユニットであって、
天井梁に固定される連結具と、
前記連結具に取り付けられて前記物を支持する天井裏下地材と、
補強金具と、を備え、
前記連結具は、前記天井梁に固定される垂下部材と、前記垂下部材に接続される水平部材と、を有し、
前記垂下部材は、前記水平部材が接続される第1接続部分と、前記第1接続部分よりも低い位置に設けられて前記水平部材を下から支持する支持部と、を有し、
前記水平部材は、上下方向に位置調整可能に前記第1接続部分に第1締結部材によって接続される第2接続部分を有し、
前記第2接続部分の下面は、前記支持部に直に接触し、または、前記第2接続部分と前記支持部との間に配置される第1スペーサに接触し、
前記補強金具は、前記天井梁に当接するように構成される第1補強部と、前記垂下部材に面するように構成される第2補強部と、を有し、
前記第1補強部は、前記天井梁に結合する第1結合部を有し、
前記第2補強部は、前記垂下部材に結合する第2結合部を有する、
吊り下げユニット。
【請求項3】
第2スペーサをさらに備え、
前記第2スペーサは、前記垂下部材と前記第2補強部との間に配置される、
請求項2に記載の吊り下げユニット。
【請求項4】
天井を有する建築物であって、
前記天井に設けられる天井梁と、請求項1~請求項3のいずれか一項の吊り下げユニットと、前記吊り下げユニットによって支持される物と、を備える、
建築物。
【請求項5】
前記天井は、天井下地を有し、
前記天井裏下地材は、前記天井下地を構成する天井下地部材と交差するように配置され、前記天井裏下地材の幅方向に前記天井下地部材を通す切り欠き部を有する、
請求項4に記載の建築物。