(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004295
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】廃ガラスの再生処理方法及び再生処理システム
(51)【国際特許分類】
B29B 17/02 20060101AFI20250107BHJP
【FI】
B29B17/02 ZAB
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103882
(22)【出願日】2023-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】514082295
【氏名又は名称】マスダ商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】増田 幸次
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA15
4F401AD01
4F401BA13
4F401BA20
4F401CA02
4F401CA14
4F401CA22
4F401CA78
4F401CA79
4F401EA74
4F401FA20Z
(57)【要約】 (修正有)
【課題】破砕した後のフィルム材を小さく粉砕する際の付着を防止することができる廃ガラスの再生処理方法を提供すること。
【解決手段】ガラス板とフィルム材を有する廃ガラス(廃合わせガラス)をガラス材料とプラスチック材料とに再生処理する再生処理方法。廃ガラスを大きく破砕する第1破砕工程S1と、第1破砕工程S1後の廃ガラスを小さく破砕する第2破砕工程S2と、第2破砕工程S2後の廃ガラスをガラス材とガラス付きフィルム材とに選別する選別工程S3と、選別工程S3後のガラス付きフィルム材を洗浄しながら破砕する洗浄破砕工程S5と、洗浄破砕工程S5後のガラス付きフィルム材を小さく粉砕してプラスチック材料を形成する粉砕工程S6とを含む廃ガラスの再生処理方法。選別工程S3後のガラス付きフィルム材に残るガラス粒子の大きさを100μm以下にするのが好ましい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板と前記ガラス板の表面に設けられたフィルム材を有する廃ガラスをガラス材料とプラスチック材料とに再生処理する廃ガラスの再生処理方法であって、
前記廃ガラスを大きく破砕する第1破砕工程と、前記第1破砕工程後の前記廃ガラスを小さく破砕する第2破砕工程と、前記第2破砕工程後の前記廃ガラスをガラス材とガラス付きフィルム材とに選別する選別工程と、前記選別工程後の前記ガラス付きフィルム材を洗浄しながら破砕する洗浄破砕工程と、前記洗浄破砕工程後の前記ガラス付きフィルム材を小さく粉砕してプラスチック材料にする粉砕工程と、を含むことを特徴とする廃ガラスの再生処理方法。
【請求項2】
前記選別工程後の前記ガラス付きフィルム材の表面には多数のガラス粒子が残存しており、前記多数のガラス粒子の大きさは100μm以下であることを特徴とずる請求項1に記載の廃ガラスの再生処理方法。
【請求項3】
前記多数のガラス粒子の大きさは70μm以下であることを特徴とずる請求項2に記載の廃ガラスの再生処理方法。
【請求項4】
前記第2破砕工程は、前記第1破砕工程後の前記廃ガラスを中程度の大きさに破砕するインパクトクラッシャー工程と、前記インパクトクラッシャー工程後の前記廃ガラスを小さく破砕するハンマークラッシャー工程とを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の廃ガラスの再生処理方法。
【請求項5】
前記粉砕工程後に、前記プラスチック材料からペレットを形成するペレット形成工程が遂行されることを特徴とする請求項1に記載の廃ガラスの再生処理方法。
【請求項6】
前記ペレット形成工程においては、前記プラスチック材料にポリプロピレンを1重量%以上添加して溶融混合して前記ペレットを形成することを特徴とする請求項5に記載の廃ガラスの再生処理方法。
【請求項7】
ガラス板と前記ガラス板の表面に設けられたフィルム材を有する廃ガラスをガラス材料とプラスチック材料とに再生処理する廃ガラスの再生処理システムであって、
前記廃ガラスを大きく破砕する第1破砕機と、前記第1破砕機により破砕した前記廃ガラスを小さく破砕する第2破砕機と、前記第2破砕機により破砕した前記廃ガラスをガラス材とガラス付きフィルム材とに選別する選別機と、前記選別機により選別された前記ガラス付きフィルム材を洗浄しながら破砕する洗浄破砕機と、前記洗浄破砕機により洗浄破砕した前記ガラス付きフィルム材を小さく粉砕してプラスチック材料にする粉砕機と、を含むことを特徴とする廃ガラスの再生処理システム。
【請求項8】
前記選別機により選別された前記ガラス付きフィルム材の表面には多数のガラス粒子が残存しており、前記多数のガラス粒子の大きさは100μm以下であることを特徴とずる請求項7に記載の廃ガラスの再生処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃合わせガラス、廃建築ガラスなどの廃ガラスをガラス材料とプラスチック材料とに再生処理する廃ガラスの再生処理方法及び再生処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両のフロントガラス、建築物の防犯用窓ガラスなどに合わせガラス(中間膜としてのフィルム材を備えたもの)が多く採用されている。この合わせガラスの代表的な例の車両のフロントガラスは、車両の内側に面するガラス板と、その外側に面するガラス板と、一対のガラス板の間に介在された中間膜(フィルム材)とを備え、この中間膜として例えばポリビニルブチラール(PVB)から形成されたものが用いられる。
【0003】
近年、地球環境のクリーンな維持のために、資源の再利用が推進されており、廃棄すべき合わせガラス、製造工程において不良品となった合わせガラスなど(以下、「廃ガラス」とも称する。)を、ガラス板の部分(以下、「ガラス材」とも称する。)とフィルム材の部分(以下、「フィルム材」とも称する。)とに分離し、これらを再利用しようとする試みが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
従来の再処理方法では、廃ガラス(廃合わせガラス)を破砕してガラス材とガラス付きフィルム材とに選別し、選別したガラス付きフィルム材については、更に次のように処理してプラスチック材料を得るようにしている。即ち、ガラス付きフィルム材を有機溶剤に浸漬させて融解させ、このフィルム剤に付着している微細なガラス片を分離し、更にこのガラス片が分離したフィルム材の溶液から有機溶剤を蒸発させてフィルム材の破砕片を回収する。
【0005】
そして、回収したフィルム材の破砕片に付着防止材(例えば、炭酸カルシウムなど)を混合して粉砕機(例えば、高速回転ミル)を用いて微粉砕し、付着防止材を用いることによって、この微粉砕の際のフィルム材の引っ付きを防止している。その後、フィルム材及び付着防止材の混合物に弾性マトリックス材(例えば、ゴム・アスファルト系材料)を混練機を用いて分散混練して制震材を形成し、このようにしてガラス付きフィルム材を再生処理して制震材として再利用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の再生処理方法では、ガラス付きフィルム材を再生処理する際に、まず有機溶剤を用いてガラス粒子を除去し、その後フィルム材に付着防止材を混合し、これらの混合物を粉砕機を用いて小さく粉砕している。それ故に、ガラス付きフィルム材を再生処理するのに、有機溶剤、付着防止材などを用いた処理が必要となり、これによって、再生処理するための処理コストが高くなり、またその再生処理工程が複雑になり、更にこの再生処理に時間を要するという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、破砕した後のガラス付きフィルム材を小さく粉砕する際の引っ付きを防止することができる廃ガラスの再生処理方法を提供することである。
【0009】
また、本発明の他の目的は、廃ガラスを破砕・粉砕処理してガラス材料及びプラスチック材料として再生利用することができる廃ガラスの再生処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の廃ガラスの再生処理方法は、ガラス板と前記ガラス板の表面に設けられたフィルム材を有する廃ガラスをガラス材料とプラスチック材料とに再生処理する廃ガラスの再生処理方法であって、
前記廃ガラスを大きく破砕する第1破砕工程と、前記第1破砕工程後の前記廃ガラスを小さく破砕する第2破砕工程と、前記第2破砕工程後の前記廃ガラスをガラス材とガラス付きフィルム材とに選別する選別工程と、前記選別工程後の前記ガラス付きフィルム材を洗浄しながら破砕する洗浄破砕工程と、前記洗浄破砕工程後の前記ガラス付きフィルム材を小さく粉砕してプラスチック材料とする粉砕工程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
このような再生処理方法においては、ガラス付きフィルム材の表面に多数のガラス粒子が残存し、これらガラス粒子の大きさを100μm以下にするのが好ましく、このように構成することによって、ガラス付きフィルム材同士が引っ付く合うことが防止され、また粉砕機への付着なども防止することができる。
【0012】
ガラス粒子の大きさが100μmを越えるようになると、再生されたプラスチック材料にガラス成分が多く含まれるようになり、プラスチック材料の再生利用に制限を受け好ましくない。これらのガラス粒子の大きさは、70μm以下にするのが更に好ましい。
【0013】
この再生処理方法では、第2破砕工程は、廃ガラスを中程度の大きさに破砕するインパクトクラッシャー工程と、インパクトクラッシャー工程後の廃ガラスを小さく破砕するハンマークラッシャー工程とを含むことが好ましく、第2破砕工程においてこのように廃ガラスを2段階で破砕することによって、この廃ガラスを小さく且つ効率良く破砕することができる。
【0014】
この再生処理方法においては、再生利用するプラスチック材料からペレットを形成するようにしてもよく、ペレット化することによってプラスチック材料の再利用の用途を拡げることができる。また、ペレット化するに当たり、プラスチック材料にポリプロピレンを1重量%以上添加して溶融混合するのが好ましく、このようにすることによって、ペレット同士が引っ付くのを防止することができる。
【0015】
また、本発明の廃ガラスの再生処理システムは、ガラス板と前記ガラス板の表面に設けられたフィルム材を有する廃ガラスをガラス材料とプラスチック材料とに再生処理する廃ガラスの再生処理システムであって、
前記廃ガラスを大きく破砕する第1破砕機と、前記第1破砕機により破砕した前記廃ガラスを小さく破砕する第2破砕機と、前記第2破砕機により破砕した前記廃ガラスをガラス材とガラス付きフィルム材とに選別する選別機と、前記選別機により選別された前記ガラス付きフィルム材を洗浄しながら破砕する洗浄破砕機と、前記洗浄破砕機により洗浄破砕した前記ガラス付きフィルム材を更に小さく粉砕してプラスチック材料とする粉砕機と、を含むことを特徴とする。
【0016】
このような廃ガラス再生処理システムにおいても、選別機により選別されたガラス付きフィルム材の表面に残存する多数のガラス粒子の大きさが100μm以下となるようにするのが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の廃ガラスの再生処理方法(及び再生処理システム)によれば、廃ガラスを第1破砕工程(第1破砕機)で大きく破砕し、次いで第2破砕工程(第2破砕機)で小さく破砕し、このように段階的に小さくなるように破砕することによって、その後の選別工程(選別機)においてガラス材とガラス付きフィルム材とに選別することができる。そして、このガラス付きフィルム材を洗浄破砕工程(洗浄破砕機)により洗浄しながら破砕し、更に粉砕工程により更に小さく粉砕することによって微細なガラス付きフィルム材にすることができる。この第2破砕工程(第2破砕機)、選別工程(選別機)及び洗浄破砕工程(洗浄破砕機)にて発生したガラス材はガラス材料として再利用することができ、また粉砕工程(粉砕機)後の微細なガラス付きフィルム材はプラスチック材料として再利用することができ、廃ガラス(例えば、廃合わせガラス)をガラス材料とプラスチック材料に再生利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に従う廃ガラスの再生処理方法の一例の処理の流れを示す工程図。
【
図2】
図1の再生処理方法にて処理される廃ガラスと処理により生成されたガラス材及びガラス付きフィルム材の流れを説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明に従う廃ガラスの再生処理方法(及びこの再生処理方法を実施するための再生処理システム)の一実施形態を説明する。尚、この実施形態では、フィルム材を有する廃ガラスとして、車両のフロントガラスに採用されている合わせガラスを再生処理する場合について説明するが、このようなフロントガラスに限定されず、建築物の窓ガラスなどとしての建築ガラスに採用されている合わせガラス(フィルム材の両面側にガラス材が設けられているものを「合わせガラス」と称する。)、車両のリアガラスやソーラーパネルなどに採用されているフィルム付きガラス(フィルム材の片面側にガラス材が設けられているものを「フィルム付きガラス」と称する。)などの種々の用途に使用されている合わせガラス、フィルム付きガラスなどの廃ガラスを再生処理する場合にも同様に適用することができ、廃棄対象の合わせガラス及びフィルム付きガラスを総称して「廃ガラス」と称している。
【0020】
図1及び
図2において、フィルム材を有する廃ガラス(例えば、車両のフロントガラスなど)を再生処理するには、第1破砕工程S1を遂行して廃ガラスを大きく破砕し、次いで第2破砕工程S2を遂行してこの廃ガラスを小さく破砕し、次に選別工程S3を行って破砕した廃ガラスをガラス材とガラス付きフィルム材とに選別する。
【0021】
第1破砕工程S1においては、廃ガラス(フロントガラス)を大きく破砕するために二軸破砕機2が用いられる。この二軸破砕機2(具体的な構造は省略する。)としては、それ自体周知の市販されているものでよく、例えば、二軸のカッター構造を備えたものを用いることができ、廃ガラスをカッター構造間を通すことにより、第1段階目としてこの廃ガラスを大きく破砕する。
【0022】
第2破砕工程S2においては、第1破砕工程S1にて破砕された廃ガラスを第2段階目として小さく破砕するために第2破砕機4が用いられる。この実施形態では、第2破砕機4としては、インパクトクラッシャー6(インパクトクラッシャー工程)及びハンマークラッシャー8(ハンマークラッシャー工程)が用いられ、2段階でもって廃ガラスを小さく破砕している。
【0023】
インパクトクラッシャー6(具体的な構造は省略する。)としては、それ自体周知の市販されているものでよく、例えば、所定方向に回転されるロータと、このロータに設けられた打撃板と、ロータに対向して配設された衝突板とを備えたものを用いることができ、廃ガラスを打撃板に送給し、送給した廃ガラスをロータの回転を利用して衝突板に衝突させることにより、この廃ガラスを中程度の大きさに破砕する。
【0024】
また、ハンマークラッシャー8(具体的な構造は省略する。)としては、それ自体周知の市販されているものでよく、例えば、所定方向に回転されるロータと、このロータに設けられたハンマーと、廃ガラスの移動を阻止する固定板とを備えたものを用いることができ、ロータの回転を利用してハンマーでもって廃ガラスに衝撃を与えることにより、この廃ガラスを小さく破砕する。
【0025】
選別工程S3においては、上述したようにして破砕されたガラス材(例えば、フロントガラスのガラス)とガラス付きフィルム材(例えば、フロントガラスの中間膜)(フィルム材の表面に多数のガラス粒子が残存している。)とを選別するために選別機10が用いられる。第1破砕工程S1及び第2破砕工程S2(インパクトプレッシャー工程及びハンマークラッシャー工程)を行うと、廃ガラスとしての廃合わせガラス(廃フロントガラス)は、破砕されたガラス材と破砕されたガラス付きフィルム材となり、選別工程S3においては、破砕により生じたガラス材及びガラス付きフィルム材を選別機10を用いて選別する。
【0026】
選別機としては、それ自体周知の市販されているものでよく、例えば、傾斜して回転自在に支持された円筒状枠体と、この円筒状枠体の周囲に配設されたメッシュ状スクリーンと備えており、ガラス材はこのメッシュ状スクリーンを通して下方に落下し、ガラス付きフィルム材は円筒状枠体の下流側に送られて排出部から排出され、このような選別機10を用いることにより、ガラス材とガラス付きフィルム材とに選別することができる。
【0027】
選別されたガラス材は、ガラス材料として再利用され、このガラス材料を用いて所望のガラス再利用加工工程S4が遂行され、このガラス再利用加工工程S4によって、例えばグラスファイバー、防犯砂利、土壌改良材などを製造することができる。
【0028】
尚、二軸粉砕機2により粉砕されて生じたガラス材、インパクトクラッシャー6により粉砕されて生じたガラス材、またハンマークラッシャー8により粉砕されて生じたガラス材は、選別機10により選別されたガラス材とともにガラス材料として再利用される。
【0029】
選別機10により選別されたガラス付きフィルム材は、更に、次のように再生処理されてプラスチック材料として再利用される。ガラス付きフィルム材に対しては、まず洗浄破砕工程S5が遂行される。洗浄破砕工程S5においては、ガラス付きフィルム材を洗浄しながら粉砕する洗浄破砕機12が用いられる。この洗浄破砕機12(具体的な構造は省略する。)としては、それ自体周知の市販されているものでよく、例えば、固定刃と回転刃により切断する切断構造を備えたものを用いることができ、ガラス付きフィルム材を洗浄しながら切断構造により破砕し、このガラス付きフィルム材を小さく破砕する。この洗浄粉砕工程S5においては、洗浄しながら破砕するので、小さな粉塵などが周囲に飛散するのを防止し、作業環境をきれいに保つことができる。
【0030】
この洗浄破砕機12として乾燥機能を備えたものを用いるようにしてもよい。この乾燥機能を有する洗浄破砕機を用いた場合、洗浄破砕後のガラス付きフィルム材を乾燥させて水分を除去することができ、洗浄破砕作業の効率化を図ることができる。
【0031】
洗浄破砕工程S5(洗浄破砕機12による洗浄破砕作業)においては、洗浄しながら破砕を行うので、フィルム材同士が引っ付いて破砕するのが難しくなるおそれがあるが、フィルム材の表面(その表面の全域)に多数のガラス粒子が残っている状態ではフィルム材同士が引っ付くことがなくなり、洗浄破砕機12によりガラス付きフィルム材を所望の通りに破砕することが可能となる。
【0032】
このフィルム材に多くのガラスが残存していると、プラスチック材料に含まれるガラス成分が多くなり、このプラスチック材料の再利用が難しくなる。このようなことから、ガラス付きフィルム材の表面に残る多数のガラス粒子の大きさは、例えば100μm以下であるのが好ましく、100μmを越えるようになると、最終的なプラスチック材料にしたときにガラス成分を多く含むようになる。尚、このガラス付きフィルム材に残存する多数のガラス粒子は、その大きさが例えば70μm以下であるのがより好ましく、このようにガラス粒子の大きさを小さくすることにより、プラスチック材料に含まれるガラス成分を少なくすることができる。
【0033】
洗浄破砕工程S5の後に、洗浄破砕後のガラス付きフィルム材を更に小さく粉砕する粉砕工程S6が遂行される。粉砕工程S6においては、ガラス付きフィルム材を小さく粉砕する粉砕機14が用いられる。この粉砕機14(具体的な構造は省略する。)としては、それ自体周知の市販されているものでよく、例えば、固定刃と所定方向に回転される回転刃を有する粉砕構造を備えたものを用いることができ、ガラス付きフィルム材をこの粉砕構造により粉砕し、更に小さく粉砕することができ、この実施形態では、このガラス付きフィルム材は、最終的に例えば0.5~10mm程度の大きさに粉砕される。
【0034】
洗浄破砕工程S5(洗浄粉砕機12)により生じたガラス材、また粉砕工程S6(粉砕機14)により生じたガラス材は、
図2に示すように、選別機10により選別されたガラス材とともにガラス材料として再利用される。
【0035】
このように粉砕処理されたガラス付きフィルム材は、プラスチック材料として再利用され、このプラスチック材料を用いて所望のプラスチック再利用加工工程S7が遂行され、このプラスチック再利用加工工程S7によって、再利用のプラスチック材料を用いて、例えばプラスチック製の敷板、車止め、鉄筋敷などを製造することができ、また樹脂の増量剤、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、ABS樹脂などの増量剤としても用いることができる。
【0036】
このプラスチック材料としてのガラス付きフィルム材は、ペレットの原材料として用いることができ、この場合、ペレット加工工程S8が遂行される。このペレット加工工程S8においては、ガラス付きフィルム材からチップ状のペレットを製造するペレット製造機16が用いられる。このペレット製造機16(具体的な構造は省略する。)としては、それ自体周知の市販されているものでよく、例えば、プラスチック材料としてのガラス付きフィルム材を溶かす溶融部と、溶融されたプラスチック材料を押し出す押出部と、押し出されたプラスチック材料を切断する切断部とを備えたものを用いることができ、このようなペレット製造機16を用いることにより、プラスチック材料からチップ状のペレットを製造することができる。
【0037】
このようなペレットの形態にする場合には、ペレット製造機16を用いてプラスチック材料を溶融する際にポリプロピレンを1重量%以上、好ましくは3重量%以上添加するのが望ましく、このようにポリプロピレンを添加することによって、成型後のピレット同士の引っ付きを防止することができる。
【0038】
製造されたペレットは、ペレットの形態で再利用され、このペレットを用いて所望のペレット再利用加工工程S9が遂行され、このペレット再利用加工工程S9によって、例えばプラスチック製のスペーサ、シート材料などを製造することができ、また樹脂の増量剤、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、ABS樹脂などの増量剤としても用いることができる。
【0039】
上述した廃ガラスの再生処理方法(再生処理システム)では、廃ガラス(廃合わせガラスなど)を第1破砕工程S1及び第2破砕工程S2によってガラス材とガラス付きフィルム材に破砕し、このように破砕したものを選別機により選別することにより、再利用に適したガラス材料とガラス付きフィルム材とに選別することができる。そして、このガラス付きフィルム材を洗浄破砕工程S5及び粉砕工程S6によって再利用に適したプラスチック材料に処理することができる。
【0040】
以上、本発明に従う廃ガラスの再生処理方法(再生処理システム)の一実施形態について説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
【符号の説明】
【0041】
2 第1粉砕機(二軸破砕機)
4 第2破砕機
6 インパクトクラッシャー
8 ハンマークラッシャー
10 選別機
12 洗浄破砕機
14 粉砕機
16 ペレット製造機