(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004298
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】蓋体
(51)【国際特許分類】
B65D 51/24 20060101AFI20250107BHJP
B65D 81/18 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
B65D51/24
B65D81/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103888
(22)【出願日】2023-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】河端 健
【テーマコード(参考)】
3E067
3E084
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067BA05A
3E067BB14A
3E067BC07A
3E067EA17
3E067EB17
3E067EB27
3E067EE30
3E067FA01
3E067GA02
3E067GA07
3E067GA30
3E084AA05
3E084AA14
3E084AA24
3E084AB10
3E084BA01
3E084CA03
3E084CC03
3E084DA03
3E084DC03
3E084GA08
3E084GB12
3E084JA20
3E084LB02
(57)【要約】
【課題】断熱性を確保しつつ、環境適応材の着脱を比較的容易に行うことのできる蓋体を提供する。
【解決手段】容器1の開口部4を開閉させる蓋体5は、蓋体5のうち容器1の収容部3側に配置される裏面側において、保冷剤31を設置可能な設置部32と、蓋体5の裏面側において、設置部32に設置された保冷剤31を保持可能な保持機構33とを備えている。保持機構33は、蓋体5の裏面と平行するようにして、設置部32に設置された保冷剤31を保持する保持位置と、設置部32に設置された保冷剤31が保持された状態を解除する解除位置との間をスライド変位可能なスライド部材41を備えている。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の開口部を開閉させる蓋体において、
前記蓋体のうち容器の収容部側に配置される裏面側において、環境適応材を設置可能な設置部と、
前記蓋体の裏面側において、前記設置部に設置された環境適応材を保持可能な保持手段とを備え、
前記保持手段は、前記蓋体の裏面と平行するようにして、前記設置部に設置された環境適応材を保持する保持位置と、前記設置部に設置された環境適応材が保持された状態を解除する解除位置との間をスライド変位可能なスライド部材を備えていることを特徴とする蓋体。
【請求項2】
前記蓋体の側辺部のうち第1側辺部側において、前記スライド部材として、少なくとも第1スライド部材と、第2スライド部材とが設けられ、
前記保持手段は、
前記第1スライド部材と、前記第2スライド部材とによって、それぞれ異なる環境適応材を保持する個別保持状態と、
前記第1スライド部材と、前記第2スライド部材とによって、共通する1つの環境適応材を保持する共同保持状態とに状態変化可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の蓋体。
【請求項3】
前記第1スライド部材、及び、前記第2スライド部材は、前記個別保持状態に対応する配置から前記第1スライド部材と前記第2スライド部材とを互いに近付けるようにして変位させることにより前記共同保持状態に対応する配置とされることを特徴とする請求項2に記載の蓋体。
【請求項4】
前記蓋体は、
前記保持手段が前記個別保持状態とされた場合に、前記第1スライド部材及び前記第2スライド部材によって被覆され、前記保持手段が前記共同保持状態とされた場合に、前記蓋体の裏面側から視認可能となるように露出する第1目印と、
前記保持手段が前記共同保持状態とされた場合に、前記第1スライド部材及び前記第2スライド部材によって被覆され、前記保持手段が前記個別保持状態とされた場合に、前記蓋体の裏面側から視認可能となるように露出する第2目印とを備えていることを特徴とする請求項3に記載の蓋体。
【請求項5】
前記保持手段は、環境適応材のうち対象の側辺部側の部位を保持可能な凹部保持部を備え、
環境適応材が前記保持手段によって保持された状態から、当該環境適応材を保持する前記スライド部材を前記解除位置へと変位させ、当該環境適応材のうち前記凹部保持部によって保持された側辺部側の部位を中心として当該環境適応材を前記設置部から離隔させる側に回動変位させることで環境適応材を取外し可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓋体。
【請求項6】
前記保持手段は、前記設置部に設置された複数の環境適応材を保持可能に構成されるとともに、前記設置部に設置される所定数の環境適応材を異なる配置として保持可能に構成され、
前記凹部保持部として、第1凹部保持部と、第2凹部保持部とが設けられ、1つの環境適応材を保持するために少なくとも2つの前記凹部保持部が使用され、
環境適応材のうち前記第1凹部保持部に保持された部位は、当該第1凹部保持部によって前記凹部保持部に対する環境適応材の挿入方向に対して交差するとともに前記蓋体の裏面と平行するようにして延在する横振れ方向における相対変位が規制され、
環境適応材のうち前記第2凹部保持部に保持された部位は、当該第2凹部保持部によって、前記横振れ方向において、前記第1凹部保持部へ近づく側、及び、前記第1凹部保持部から離隔する側のうち少なくとも一方側への相対変位が規制され、
前記設置部に対する環境適応材の配置として、前記凹部保持部のうち、前記第1凹部保持部と前記第2凹部保持部とを使用して環境適応材を保持する第1配置と、前記第2凹部保持部のみを2つ以上使用して環境適応材を保持する第2配置とが可能に構成され、
環境適応材が前記第1配置とされる場合に使用される前記第2凹部保持部と、環境適応材が前記第2配置とされる場合に使用される所定の前記第2凹部保持部とが一続きに設けられていることを特徴とする請求項5に記載の蓋体。
【請求項7】
前記設置部に設置された環境適応材の前記保持手段による保持状態が解消される、又は、解消され易くなる方向における相対変位を規制するガタ止め突部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の蓋体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の開口部を開閉させる蓋体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、容器の収容部(収容空間)を所定の環境とするべく、蓋体に対して保冷剤等の環境適応材を設置するといった技術が知られている(例えば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載の蓋体は、上方に開口する収納部を有しており、収納部に対して保冷剤を収容したり取外したりする場合には、収納部の開口部を開閉させる補助蓋を脱着する必要がある。ここで、蓋体の断熱性(容器の収容空間の気密性)を優先する場合には、補助蓋の着脱作業が比較的困難になること等が懸念される。その一方で、補助蓋の着脱作業性を比較的容易なものとする場合には、蓋体の断熱性が低下することが懸念される。
【0005】
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、断熱性を確保しつつ、環境適応材の着脱を比較的容易に行うことのできる蓋体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0007】
手段1.容器の開口部を開閉させる蓋体において、
前記蓋体のうち容器の収容部側に配置される裏面側において、環境適応材を設置可能な設置部と、
前記蓋体の裏面側において、前記設置部に設置された環境適応材を保持可能な保持手段とを備え、
前記保持手段は、前記蓋体の裏面と平行するようにして、前記設置部に設置された環境適応材を保持する保持位置と、前記設置部に設置された環境適応材が保持された状態を解除する解除位置との間をスライド変位可能なスライド部材を備えていることを特徴とする蓋体。
【0008】
手段1によれば、環境適応材を設置可能な設置部と、環境適応材を保持可能な保持手段とが、蓋体の裏面側において設けられており、蓋体が具備する機能(断熱性、気密性等)の低下を招くことなく、環境適応材の機能を蓋体の裏面側にて効果的に発揮させる(環境適応材の設置による影響を効果的に容器の収容部側に及ぼす)ことができる。また、保持手段は、スライド部材を備えており、比較的簡単な操作で環境適応材を着脱することができる。従って、(容器の開口部を閉状態とした際の)断熱性・気密性を確保しつつ、環境適応材の着脱を比較的容易に行うことができる。
【0009】
加えて、スライド部材は、蓋体の裏面と平行するようにしてスライド可能に構成されており、例えば、保持手段として、スライド部材に代えて、上下方向に変位する出没部材を採用する場合に比べ、環境適応材に対して下方に変位する力が作用した場合に、環境適応材を保持する状態が解除されてしまうといった事態をより確実に防止することができる。さらに、例えば、保持手段として、スライド部材に代えて、回動変位する回動部材を採用する場合に比べ、1つのスライド部材によって環境適応材を保持する部位の面積及び配置を好適に設定することができる上、スライド部材が蓋体から脱落することを防止する部位の面積を極力広く確保することができる。このため、例えば、蓋体の開閉作業や容器の積み下ろしに際して環境適応材に対して下向きの力が作用した場合に、環境適応材の保持手段からの脱落(スライド部材の損傷)、及び、保持手段(スライド部材)の蓋体からの脱落をより確実に抑止することができる。従って、環境適応材を蓋体の裏面側に設置する構成においても、環境適応材を確実に保持して、容器に収容された物品をより安全に運搬することができ、作業者も安心して蓋体の開閉や容器の積み下ろしを行うことができる。
【0010】
尚、蓋体は、上方に開口する容器の本体(容器本体)に対して着脱自在に構成されていてもよいし、容器本体に対して回動変位可能に連結されていてもよい。特に、容器本体に対して着脱自在な蓋体に関し、蓋体を容器本体から取外した状態で環境適応材の着脱を行う場合には、蓋体のうち容器の外表面側に配置される表面をテーブルや地面等の設置面に接地させることとなり、裏面側は接地させない。このため、環境適応材の着脱に際して蓋体の裏面側を接地させる必要のある構成に比べ、容器の収容部の衛生面の向上を図ることができる。
【0011】
手段2.前記蓋体の側辺部のうち第1側辺部側において、前記スライド部材として、少なくとも第1スライド部材と、第2スライド部材とが設けられ、
前記保持手段は、
前記第1スライド部材と、前記第2スライド部材とによって、それぞれ異なる環境適応材を保持する個別保持状態と、
前記第1スライド部材と、前記第2スライド部材とによって、共通する1つの環境適応材を保持する共同保持状態とに状態変化可能に構成されていることを特徴とする手段1に記載の蓋体。
【0012】
手段2によれば、用途(容器に収容する物品)に応じて設置される環境適応材の数を変更したり(第1スライド部材、及び、第2スライド部材による個別保持状態であれば2つ、共同保持状態であれば1つ)、環境適応材の位置を変更したり(第1スライド部材、及び、第2スライド部材による共同保持状態であれば第1スライド部材、及び、第2スライド部材の間の位置、個別保持状態であれば第1スライド部材及び第2スライド部材にそれぞれ対応する位置)することができる。従って、バリエーションに富む使用を可能とすることができる。
【0013】
手段3.前記第1スライド部材、及び、前記第2スライド部材は、前記個別保持状態に対応する配置から前記第1スライド部材と前記第2スライド部材とを互いに近付けるようにして変位させることにより前記共同保持状態に対応する配置とされることを特徴とする手段2に記載の蓋体。
【0014】
手段3によれば、第1スライド部材と、第2スライド部材とによって、共通する1つの環境適応材を保持するといった目標のイメージと、第1スライド部材と第2スライド部材とを互いに近付けるといった操作のイメージとが一致し易く、環境適応材を適宜着脱する作業を作業者の困惑を招くことなく比較的スムースに行うことができる。
【0015】
手段4.前記蓋体は、
前記保持手段が前記個別保持状態とされた場合に、前記第1スライド部材及び前記第2スライド部材によって被覆され、前記保持手段が前記共同保持状態とされた場合に、前記蓋体の裏面側から視認可能となるように露出する第1目印と、
前記保持手段が前記共同保持状態とされた場合に、前記第1スライド部材及び前記第2スライド部材によって被覆され、前記保持手段が前記個別保持状態とされた場合に、前記蓋体の裏面側から視認可能となるように露出する第2目印とを備えていることを特徴とする手段3に記載の蓋体。
【0016】
手段4によれば、保持手段を個別保持状態、及び、共同保持状態とするためにスライド部材をどこに変位させる必要があるのかを作業者に比較的分かり易く伝えることができる。
【0017】
手段5.前記保持手段は、(上記手段2に対応して、前記蓋体の側辺部のうち前記第1側辺部と相対する側辺部である第2側辺部側において、)環境適応材のうち対象の側辺部側の部位を保持可能な凹部保持部を備え、
環境適応材が前記保持手段によって保持された状態から、当該環境適応材を保持する前記スライド部材を前記解除位置へと変位させ、当該環境適応材のうち前記凹部保持部によって保持された側辺部側の部位を中心として当該環境適応材を前記設置部から離隔させる側に回動変位させることで環境適応材を取外し可能に構成されていることを特徴とする手段1又は2に記載の蓋体。
【0018】
手段5によれば、例えば、環境適応材をスライド部材のみで保持するような構成に比べて、環境適応材の保持に関する構成の簡素化、環境適応材の着脱作業性の向上、及び、環境適応材の保持状態の安定化等を図ることができる。
【0019】
手段6.前記保持手段は、前記設置部に設置された複数の環境適応材を保持可能に構成されるとともに、前記設置部に設置される所定数の環境適応材を異なる配置として保持可能に構成され、
前記凹部保持部として、第1凹部保持部と、第2凹部保持部とが設けられ、1つの環境適応材を保持するために少なくとも2つの前記凹部保持部が使用され、
環境適応材のうち前記第1凹部保持部に保持された部位は、当該第1凹部保持部によって前記凹部保持部に対する環境適応材の挿入方向に対して交差するとともに前記蓋体の裏面と平行するようにして延在する横振れ方向における相対変位が規制され、
環境適応材のうち前記第2凹部保持部に保持された部位は、当該第2凹部保持部によって、前記横振れ方向において、前記第1凹部保持部へ近づく側、及び、前記第1凹部保持部から離隔する側のうち少なくとも一方側への相対変位が規制され、
前記設置部に対する環境適応材の配置として、前記凹部保持部のうち、前記第1凹部保持部と前記第2凹部保持部とを使用して環境適応材を保持する第1配置と、前記第2凹部保持部のみを2つ以上使用して環境適応材を保持する第2配置とが可能に構成され、
環境適応材が前記第1配置とされる場合に使用される前記第2凹部保持部と、環境適応材が前記第2配置とされる場合に使用される所定の前記第2凹部保持部とが一続きに設けられていることを特徴とする手段5に記載の蓋体。
【0020】
手段6によれば、第1凹部保持部が設けられ、環境適応材を保持する場合に少なくとも第1凹部保持部を使用することにより、横振れ方向における環境適応材の相対変位(位置ずれ)が防止されることとなり、環境適応材の保持状態の安定化を図ることができる。また、環境適応材を保持する場合に第2凹部保持部を2つ使用することによっても、横振れ方向における環境適応材の相対変位を防止可能な構成となっている。従って、環境適応材を異なる配置として保持可能とする構成において、凹部保持部に対し、横振れ方向における位置ずれを防止する機能を付与しつつ、凹部保持部を好適に配置することができる。また、第2凹部保持部は、環境適応材の第1配置で使用される第2凹部保持部と、第2配置で使用される所定の第2凹部保持部とが一続きに(連なって)構成されることから、凹部保持部の構成の複雑化等を抑制することができる。さらに、第1配置にある環境適応材のうち第2凹部保持部に挿入される部位の位置と、第2配置にある環境適応材のうち第2凹部保持部に挿入される部位の位置とがずれている場合に、それぞれを挿入可能とする第2凹部保持部が一続きに構成されることで、幅広の第2凹部保持部が形成されることとなる。この場合、環境適応材を設置部に設置する際の作業性の向上等を図ることができる。
【0021】
手段7.前記設置部に設置された環境適応材の前記保持手段による保持状態が解消される、又は、解消され易くなる方向における相対変位を規制するガタ止め突部を備えていることを特徴とする手段1に記載の蓋体。
【0022】
手段7によれば、保持手段による保持状態が解消される、又は、解消され易くなるような方向に環境適応材が相対変位するといった事態を防止することができ、環境適応材の保持状態をより一層安定させることができる。尚、本手段7に記載のガタ止め突部と、上記手段6に記載の凹部保持部が横振れ方向における変位を規制する構成とを備えることにより、スライド部材側では、環境適応材の下方への変位(容器の収容部への落下)を防止するだけでも、保持手段全体として環境適応材を確実に保持することができる。従って、スライド部材等の複雑化を抑制しつつ、環境適応材の着脱作業性の向上を図るといった作用効果がより顕著なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】開口部を閉鎖した状態の容器を示す斜視図である。
【
図2】開口部を閉鎖した状態の容器を示す一部断面を含む斜視図である。
【
図3】保冷剤が取付けられた状態の蓋体の裏面側を示す斜視図である。
【
図4】保冷剤を示す斜視図である(特に、(b)は当接面側を示す)。
【
図6】スライド部材が取外された状態の蓋体の裏面側を示す斜視図である。
【
図7】スライド部材が取外された状態の蓋体の裏面側を示す斜視図である。
【
図8】蓋体の一部断面を含む部分拡大斜視図である。
【
図11】蓋体の一部断面を含む部分拡大斜視図である。
【
図12】保冷剤が第1配置(個別設置位置)とされ、保持機構が個別保持状態とされた蓋体を示す下面図である。
【
図13】保冷剤が第1配置(個別設置位置)とされ、一方のスライド部材が解除位置にあり、他方のスライド部材が保持位置にある状態の蓋体を示す下面図である
【
図14】保冷剤が第2配置(共同設置位置)とされ、保持機構が共同保持状態とされた蓋体を示す下面図である。
【
図15】保冷剤が第2配置(共同設置位置)とされ、一方のスライド部材が解除位置にあり、他方のスライド部材が保持位置にある状態の蓋体を示す下面図である
【
図16】(a)は、保冷剤を取外す過程を示す蓋体等の断面図であり、(b)は、スライド部材を解除位置とした状態の蓋体等を示す断面図であり、(c)は、スライド部材を保持位置とした状態の蓋体等を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。
図1、
図2に示すように、容器1は、上方に開口する略四角箱状をなし、内側に物品を収容可能な収容部3を有する容器本体2と、容器本体2の開口部4を開閉させる蓋体5とを備えている。本実施形態の蓋体5は、容器本体2に対して着脱自在に構成されている。
【0025】
容器本体2は、平面視略矩形状の底壁構成部11と、底壁構成部11の相対する一対の長側辺部からそれぞれ上方に延出する長辺側側壁部12と、底壁構成部11の相対する一対の短側辺部からそれぞれ上方に延出する短辺側側壁部13とを備えている。長辺側側壁部12、及び、短辺側側壁部13は、上方に向けて若干容器本体2の外方側に傾斜して延在している。各短辺側側壁部13の外面側の上部には、容器本体2を持ち運ぶ際に指先を掛けることができる本体側持ち手部14が設けられている。
【0026】
また、
図2に示すように、本実施形態の容器本体2は、主として容器本体2の外面側を構成する本体側第1構成部15と、本体側第1構成部15との間に本体側内部空間16を形成するようにして設けられ、主として容器本体2の内面側を構成する本体側第2構成部17とを備えている。本体側第1構成部15、及び、本体側第2構成部17は、それぞれポリプロピレンにより一体的に形成されている。さらに、本体側内部空間16には、断熱材18が設けられている(断熱材18としては、例えば、本体側内部空間16に発泡ウレタンを充填して発泡させてもよいし、所定の形状に成形された発泡スチロールを本体側内部空間16に設置してもよい)。
【0027】
図5~
図7等に示すように、蓋体5は、平面視略矩形状をなし、容器本体2の開口部4を閉鎖可能な蓋ベース部21と、蓋ベース部21の下面の各側辺部に沿って、蓋ベース部21の下面の側縁部よりも蓋ベース部21の中央部側に所定距離変位した位置から下方に突出する略四角枠状の支持枠部22とを備えている。蓋体5を平面視した場合の蓋ベース部21の外寸は、容器本体2を平面視した場合の容器本体2の外寸とほぼ同じであり(
図1等参照)、蓋体5を下面視した場合の支持枠部22の外寸は、容器本体2を平面視した場合の開口部4(収容部3の上縁部)の寸法とほぼ同じである(
図2参照)。そして、
図2に示すように、蓋体5を容器本体2に被せることで、支持枠部22が容器本体2の収容部3に挿入され、蓋ベース部21の下面のうち支持枠部22よりも外周側の部位が、容器本体2の上辺部に当接して支持されるとともに、支持枠部22の外周面が容器本体2の側壁部12、13の内面と当接又は近接することとなる。
【0028】
また、
図1等に示すように、蓋体5には、蓋ベース部21の上面の各側辺部に沿って、蓋ベース部21の上面から上方に突出する段積み用突部23が設けられている。そして、容器1同士を上下に積重ねることで、上側の容器1の容器本体2の下面が、下側の容器1の蓋体5の蓋ベース部21に当接して支持され、上側の容器1の容器本体2の外周面の下部が、下側の容器1の段積み用突部23の内周面と当接又は近接することとなる。さらに、
図6等に示すように、蓋体5の裏面側には、蓋体5の各短側辺部の中央部を含み、なおかつ、支持枠部22から若干離隔した範囲において凹状に形成され、蓋体5を容器本体2に対して着脱させる際等に指先を掛けることのできる蓋体側持ち手部24が設けられている。加えて、
図5等に示すように、蓋体5の表面側には、蓋体側持ち手部24の形成範囲に対応して段積み用突部23に凹部を設けるようにして形成され、蓋体5の表面が設置面に接地されるようにして上下逆向きに設置された蓋体5を持ち上げる際等に指先を掛けることのできる逆さ持ち手部25が設けられている。
【0029】
また、
図2、
図11に示すように、蓋体5は、主として蓋体5の表面側(容器1の外表面側)を構成する蓋側第1構成部26と、蓋側第1構成部26との間に蓋側内部空間27を形成するようにして設けられ、主として蓋体5の裏面側(容器1の収容部3側)を構成する蓋側第2構成部28とを備えている。蓋側第1構成部26、及び、蓋側第2構成部28は、それぞれポリプロピレンにより一体的に形成されている。さらに、蓋側内部空間27には、断熱材29が設けられている(断熱材29としては、例えば、蓋側内部空間27に発泡ウレタンを充填して発泡させてもよいし、所定の形状に成形された発泡スチロールを蓋側内部空間27に設置してもよい)。
【0030】
さて、
図3、
図11等に示すように、本実施形態の蓋体5は、蓋体5のうち容器1の収容部3側に配置される裏面側において、環境適応材としての保冷剤31を設置可能な設置部32と、蓋体5の裏面側において、設置部32に設置された保冷剤31を保持可能な保持手段としての保持機構33とを備えている。本実施形態では、蓋ベース部21の下面(裏面)のうち支持枠部22の内周側の範囲が設置部32に相当する。
【0031】
図4等に示すように、保冷剤31は、平たい略直方体形状の保冷剤本体部35と、保冷剤本体部35の各短辺側側面からそれぞれ側方に突出する取付片36とを備えている。さらに、保冷剤本体部35のうち、設置部32に対向して当接状態又は近接状態とされる側の面(以下、「当接面37」と称する)には、保冷剤本体部35の長手幅方向中央部を含む範囲において保冷剤本体部35の短手幅方向全域に延在する保冷剤凹部38が設けられている。また、本実施形態の取付片36は、保冷剤本体部35の各短辺側側面において2つずつ設けられ、各短辺側側面にそれぞれ設けられた2つの取付片36は、保冷剤本体部35の短辺側側面のうち当接面37に隣接する部位であって、保冷剤本体部35の長辺側側面から離隔するとともに、取付片36同士が離隔するようにして設けられている。尚、保冷剤31は、当接面37、及び、当接面37とは反対側の面をそれぞれ正面視した場合の形状が、保冷剤31の中心部を中心として点対称形状、かつ、保冷剤31の長手幅方向の中央の線、及び、保冷剤31の短手幅方向の中央の線をそれぞれ中心線として線対称形状となっている。
【0032】
また、
図3、
図12等に示すように、本実施形態では、保冷剤31の長手幅方向が、蓋体5(設置部32)の短手幅方向に延在するようにして、保冷剤31が設置部32に設置される。さらに、本実施形態では、設置部32に対して2つの保冷剤31を蓋体5(設置部32)の長手幅方向において互いに所定距離を隔てつつ並べて設置可能となっている。
【0033】
図11~
図13等に示すように、保持機構33は、蓋体5(蓋ベース部21)の一対の長側辺部のうち一方(以下、「第1側辺部5a」と称する)側に設けられ、蓋体5の裏面と平行するようにして、設置部32に設置された保冷剤31を保持する保持位置と、設置部32に設置された保冷剤31が保持された状態を解除する解除位置との間をスライド変位可能なスライド部材41と、蓋体5(蓋ベース部21)の一対の長側辺部のうち他方(以下、「第2側辺部5b」と称する)側に設けられる凹部保持部42とにより構成されている。
【0034】
より具体的に、
図6、
図8、
図9、
図11等に示すように、支持枠部22のうち第1側辺部5aに沿って延在する部位(以下、「第1支持部43」と称する)には、断面略コ字状をなす一般部44と、スライド部材41をスライド変位可能に支持するスライド支持部45とが設けられている。スライド支持部45は、一般部44に比べて、第1支持部43の内側に形成される空間を狭めるようにして第1支持部43の外壁部の下部、内壁部、及び、下壁部を前記空間の内側に変位させたような形状に構成されるとともに、支持枠部22の外周側の面、及び、支持枠部22の内周側の面からそれぞれ水平方向に突出し、第1支持部43の延在方向に沿って延在する支持レール部46が設けられている。また、
図9に示すように、スライド支持部45の下面には、第1支持部43の延在方向に沿って延在する係止溝部47が設けられるとともに、係止溝部47の両端部を含む部位は、係止溝部47の中間位置よりも溝が深く形成された係止凹部48となっている。
図6等に示すように、本実施形態では、第1支持部43において、スライド支持部45が2箇所に設けられている(2箇所のスライド支持部45の間に一般部44が介在している)。
【0035】
図10、
図11等に示すように、スライド部材41は、スライド支持部45の一部を覆うようにして設けられる断面略コ字状のスライド本体51と、スライド支持部45の各支持レール部46(
図8参照)に対してそれぞれ略係合状態とされるスライド係合突起52と、スライド本体51のうち支持枠部22の内周側(設置部32側)の面の下部から支持枠部22の内周側に突出する保持突部53とを備えている。各スライド係合突起52がそれぞれ支持レール部46に略係合状態とされることで、スライド支持部45に対するスライド部材41の下方、支持枠部22の外周側、及び、支持枠部22の内周側への相対変位が規制されるとともに、第1支持部43の延在方向(蓋体5の長手幅方向)における所定の範囲(スライド支持部45の範囲内)の相対変位(スライド変位)が許容されるようにして、スライド部材41がスライド支持部45に取付状態とされる。さらに、保持突部53は、第1支持部43の延在方向(スライド部材41のスライド方向)において互いに所定距離を隔てて2つ設けられている。
【0036】
また、
図10(b)、
図11に示すように、スライド本体51の内側には、スライド部材41の取付状態において、スライド支持部45の係止溝部47(
図9参照)に挿入される係止突部54が設けられている。係止突部54が係止溝部47に挿入されることにより、スライド部材41のスライド変位がより安定するとともに、係止突部54が係止溝部47の両端部に設けられた係止凹部48に挿入された状態とされることで、スライド部材41のスライド変位が簡易的に防止される状態(ある程度の力を掛けることで係止突部54を係止凹部48から脱出させてスライド部材41をスライド可能)とされる。尚、スライド支持部45に取付けられたスライド部材41は、第1支持部43の一般部44よりも下方や支持枠部22の外周側に突出しないように構成されている。
【0037】
図3、
図11、
図12等に示すように、本実施形態では、第1支持部43において2箇所に設けられたスライド支持部45に対してそれぞれスライド部材41が取付状態とされている。以下、一方のスライド部材41(蓋体5の下面図であって、第1側辺部5aが設置部32に対して紙面上側に配置される
図12~
図15において左側のスライド部材41)を「第1スライド部材41a」と称し、他方のスライド部材41(
図12~
図15において右側のスライド部材41)を「第2スライド部材41b」と称する。
【0038】
図7、
図11等に示すように、凹部保持部42は、支持枠部22のうち第2側辺部5bに沿って延在する部位(以下、「第2支持部61」と称する)において、設置部32側(支持枠部22の内周側)に開口するようにして設けられ、保冷剤31の取付片36(
図4、
図16(b)参照)を挿入可能に構成されている。凹部保持部42に挿入された取付片36は、下方への相対変位が規制される(保持される)とともに、後述のようにスライド部材41のスライド方向における相対変位が規制されることとなる。
【0039】
また、本実施形態の凹部保持部42は、第2支持部61の延在方向において互いに所定距離を隔てて4箇所に設けられ、第2支持部61の両端部にそれぞれ近い位置に設けられた凹部保持部42(以下、「第1凹部保持部42a」と称する)は、取付片36の横幅よりも若干広い横幅に構成され、第2支持部61の中央部(蓋体5の長手幅方向中央部)に近い位置に設けられた2つの凹部保持部42(以下、「第2凹部保持部42b」と称する)は、第1凹部保持部42aよりも幅広に構成されている。
【0040】
本実施形態では、保持機構33は、設置部32に2つの保冷剤31を左右に設置して保持可能に構成されるだけではなく、1つの保冷剤31を設置部32の中央部に配置して保持可能に構成されている。また、保冷剤31を保持するためには、1つの保冷剤31につき2つの凹部保持部42が使用される。より具体的には、設置部32に対する保冷剤31の配置として、
図12、
図13に示すように、凹部保持部42のうち第1凹部保持部42aと第2凹部保持部42bとを使用して保冷剤31(取付片36)を保持する第1配置と、
図14、
図15に示すように、凹部保持部42のうち一対の第2凹部保持部42bを使用して保冷剤31(取付片36)を保持する第2配置とが可能に構成されている。そして、設置部32に2つの保冷剤31を設置する場合には、保冷剤31をそれぞれ第1配置とする。その一方で、設置部32の中央部に1つの保冷剤31を設置する場合には、保冷剤31を第2配置とする。
【0041】
また、
図12等に示すように、第1配置とされた保冷剤31に関しては、当該保冷剤31の第1側辺部5a(第1支持部43)側の一対の取付片36が、それぞれ第1スライド部材41aの一対の保持突部53、及び、第2スライド部材41bの一対の保持突部53によって保持される(保持突部53が取付片36の下方に位置するように配置される)こととなる。本実施形態では、第1配置の保冷剤31を保持した第1スライド部材41aは、当該第1スライド部材41aのスライド範囲のうち蓋体5の短側辺部側に位置し、第1配置の保冷剤31を保持した第2スライド部材41bは、当該第2スライド部材41bのスライド範囲のうち蓋体5の短側辺部側に位置する(第1スライド部材41aと第2スライド部材41bとの間の距離が最大に離れた状態となる)。以下、このように、第1スライド部材41aと、第2スライド部材41bとによって、それぞれ異なる保冷剤31を保持する状態を「個別保持状態」と称する。つまり、本実施形態では、第1配置とされた保冷剤31の位置が、第1スライド部材41a及び第2スライド部材41bのうち一方のみによって保持される位置である「個別設置位置」に相当する。
【0042】
その一方で、
図14等に示すように、第2配置とされた保冷剤31に関しては、当該保冷剤31の第1側辺部5a(第1支持部43)側の一対の取付片36のうち、一方が第1スライド部材41aの保持突部53によって保持され、他方が第2スライド部材41bの保持突部53によって保持されることとなる。本実施形態では、第2配置の保冷剤31を保持した第1スライド部材41aは、当該第1スライド部材41aのスライド範囲のうち蓋体5の長手幅方向の中央部側に位置し、第2配置の保冷剤31を保持した第2スライド部材41bは、当該第2スライド部材41bのスライド範囲のうち蓋体5の長手幅方向の中央部側に位置する(第1スライド部材41aと第2スライド部材41bとの間の距離が最大に近付いた状態となる)。以下、このように、第1スライド部材41aと、第2スライド部材41bとによって、共通する1つの保冷剤31を保持する状態を「共同保持状態」と称する。つまり、本実施形態では、第2配置とされた保冷剤31の位置が、第1スライド部材41a及び第2スライド部材41bの両方によって保持される位置である「共同設置位置」に相当する。
【0043】
また、上記のように、第1凹部保持部42aの横幅は、保冷剤31の取付片36の横幅よりも若干広い程度であって、第1凹部保持部42aに挿入(保持)された取付片36は、当該第1凹部保持部42aによって、凹部保持部42(第1凹部保持部42a)に対する保冷剤31の取付片36の挿入方向に対して交差するとともに蓋体5の裏面と平行するようにして延在する横振れ方向(
図12における紙面左右方向。本実施形態では、スライド部材41のスライド方向)における相対変位が規制されることとなる。さらに、第2凹部保持部42bの横幅は、第1凹部保持部42aの横幅よりも広く、第2凹部保持部42bに挿入(保持)された取付片36は、当該第2凹部保持部42bによって、スライド部材41のスライド方向において、第1凹部保持部42aへ近づく側、及び、第1凹部保持部42aから離隔する側のうち一方側への相対変位が規制される。本実施形態では、保冷剤31が個別設置位置(第1配置)にある場合に第2凹部保持部42bに挿入(保持)された取付片36は、第2凹部保持部42bによって第1凹部保持部42aへ近付く側(蓋体5の短側辺部側)への変位が規制される。また、保冷剤31が共同設置位置(第2配置)にある場合に第2凹部保持部42bに挿入(保持)された取付片36は、第2凹部保持部42bによって第1凹部保持部42aから離隔する側(蓋体5の長手幅方向中央部側)への変位が規制される。さらに、保冷剤31のうち第2側辺部5b側の短辺側側面において2つ設けられた取付片36がそれぞれ別の第2凹部保持部42bに挿入されてそれぞれ第1凹部保持部42aから離隔する側への変位が規制されることにより、保冷剤31全体としては、スライド部材41のスライド方向において、取付片36が第1凹部保持部42aへ近づく側、及び、第1凹部保持部42aから離隔する側の両方への変位が規制されることとなる。
【0044】
また、
図4、
図12、
図14に示すように、本実施形態では、保冷剤31が個別設置位置(第1配置)にある場合に第2凹部保持部42bに挿入される取付片36の位置と、保冷剤31が共同設置位置(第2配置)にある場合に第2凹部保持部42bに挿入される取付片36の位置とは異なっているが、共通の第2凹部収容部3に挿入され得るように第2凹部保持部42bが幅広に構成されている。換言すれば、保冷剤31が第1配置とされる場合に使用される第2凹部保持部42bと、保冷剤31が第2配置とされる場合に使用される所定の第2凹部保持部42bとが一続きに(連なって)設けられ、保冷剤31が個別設置位置(第1配置)、及び、共同設置位置(第2配置)のどちらの配置にある場合にも使用される凹部保持部42(第2凹部保持部42b)として共通化されている(兼用とされている)。
【0045】
尚、上記のように、保冷剤31が、個別設置位置(第1配置)にある場合と、共同設置位置(第2配置)にある場合とで、スライド部材41の保持位置と、解除位置とが変化(逆転)することとなる。本実施形態では、保持対象の保冷剤31が個別設置位置(第1配置)にある場合には、スライド部材41が蓋体5の短側辺部側に寄せられた位置が保持位置であって、蓋体5の長手幅方向中央部側に寄せられた位置が解除位置となる。その一方で、保持対象の保冷剤31が共同設置位置(第2配置)にある場合には、スライド部材41が蓋体5の長手幅方向中央部側に寄せられた位置が保持位置であって、蓋体5の短側辺部側に寄せられた位置が解除位置となる。つまり、第1スライド部材41a、及び、第2スライド部材41bは、保持機構33の個別保持状態に対応する配置から第1スライド部材41aと第2スライド部材41bとを互いに近付けるようにして変位させることにより保持機構33の共同保持状態に対応する配置とされるようになっている。
【0046】
また、保持機構33によって保持された保冷剤31を取外す場合には、先ず、
図12、
図16(c)に示すように、裏面が上方を向くようにして蓋体5を設置するとともに、保持突部53によって保冷剤31の取付片36を保持している保持位置にあるスライド部材41を、
図13(紙面左側の第1スライド部材41a参照)、
図16(b)に示すように、解除位置へと変位させる。続いて、
図16(a)に示すように、当該保冷剤31のうち凹部保持部42によって保持された取付片36を中心として当該保冷剤31を設置部32から離隔させる側に回動変位させる。以上のようにして、保冷剤31を蓋体5から取外し可能に構成されている。尚、各凹部保持部42のうちその下面を画定する部位(取付片36の下方への変位、ひいては、保冷剤31の脱落を防止する部位)のうち当該凹部保持部42の開口側(設置部32側)の部位は、当該開口側に向けて下方に傾斜している。これにより、保冷剤31の着脱に際して、取付片36と凹部保持部42との干渉が抑制され、作業性の向上、取付片36及び凹部保持部42の損傷等の抑制が図られる。また、
図2、
図3、
図16(b)に示すように、蓋体5に取付けられた保冷剤31の下面側は、取付片36以外のほぼ全体が容器本体2の収容部3に露出し、保冷剤31の下端部は、蓋体5の下端部よりも下方に位置している。
【0047】
加えて、
図6等に示すように、蓋体5は、設置部32のうち、第1支持部43及び第2支持部61から所定距離離隔した位置から下方に突出し、設置部32に設置された保冷剤31の保冷剤凹部38に対して相対的に挿入されるガタ止め突部62を備えている。ガタ止め突部62は、支持枠部22のうち蓋体5の各短側辺部に沿って延在する部位の間を連結するようにして延在するとともに、蓋体5の短手幅方向におけるガタ止め突部62の幅は、保冷剤31の長手幅方向における保冷剤凹部38(
図4(b)参照)の幅よりも若干狭い程度となっている。このため、
図16(b)に示すように、保冷剤31を設置部32に設置することで、ガタ止め突部62に対して保冷剤凹部38が略嵌合することとなり、保冷剤31は、蓋体5の裏面と平行するようにしてスライド部材41のスライド方向に対して交差する方向(蓋体5の短手幅方向、例えば、取付片36がスライド部材41の保持突部53の上方位置や凹部保持部42から抜け出して、保持機構33によるスライド部材41の保持状態が解消されるような方向)における相対変位が規制されることとなる。つまり、保持機構33によって保持された保冷剤31は、凹部保持部42によって当該保冷剤31の一方の短辺側の下方への相対変位、及び、蓋体5の長手幅方向への相対変位が規制され、ガタ止め突部62によって蓋体5の短手幅方向への相対変位(蓋体5の裏面に沿った回動変位を含む)が規制され、スライド部材41によって当該保冷剤31の他方の短辺側の下方への相対変位が規制されることとなり、保冷剤31全体として蓋体5に対する全方向への相対変位が規制されるようになっている。
【0048】
また、図示は省略するが、蓋体5は、スライド支持部45の下面において、保持機構33が個別保持状態とされた場合に、(それぞれ蓋体5の短側辺部側に寄せられた)第1スライド部材41a及び第2スライド部材41bによって被覆され、保持機構33が共同保持状態とされた場合に、蓋体5の裏面側から視認可能となるように露出する(スライド支持部45のうち
図14に示す状態で露出する位置に設けられる)第1目印と、保持機構33が共同保持状態とされた場合に、(それぞれ蓋体5の長手幅方向中央部側に寄せられた)第1スライド部材41a及び第2スライド部材41bによって被覆され、保持機構33が個別保持状態とされた場合に、蓋体5の裏面側から視認可能となるように露出する(スライド支持部45のうち
図12に示す状態で露出する位置に設けられる)第2目印とを備えている。本実施形態では、第1目印として、例えば、「2個装着の場合はこちらに移動」の文字が形成され、第2目印として、例えば、「1個装着の場合はこちらに移動」の文字が形成されている。尚、第1目印、及び、第2目印は、スライド支持部45の下面を適宜凹凸させる等して、蓋側第2構成部28の成形と同時に形成される。
【0049】
以上詳述したように、本実施形態によれば、保冷剤31を設置可能な設置部32と、保冷剤31を保持可能な保持機構33とが、蓋体5の裏面側において設けられており、蓋体5が具備する機能(断熱性、気密性等)の低下を招くことなく、保冷剤31の機能を蓋体5の裏面側にて効果的に発揮させる(保冷剤31の設置による影響を効果的に容器1の収容部3側に及ぼす)ことができる。また、保持機構33は、スライド部材41を備えており、比較的簡単な操作で保冷剤31を着脱することができる。従って、(容器1の開口部4を閉状態とした際の)断熱性・気密性を確保しつつ、保冷剤31の着脱を比較的容易に行うことができる。さらに、容器本体2に対して着脱自在な蓋体5を容器本体2から取外した状態で保冷剤31の着脱を行う場合には、蓋体5のうち表面をテーブルや地面等の設置面に接地させることとなり、裏面側は接地させない。このため、保冷剤31の着脱に際して蓋体5の裏面側を接地させる必要のある構成に比べ、容器1の収容部3の衛生面の向上を図ることができる。
【0050】
加えて、スライド部材41は、蓋体5の裏面と平行するようにしてスライド可能に構成されており、例えば、保持機構33として、スライド部材41に代えて、上下方向に変位する出没部材を採用する場合に比べ、保冷剤31に対して下方に変位する力が作用した場合に、保冷剤31を保持する状態が解除されてしまうといった事態をより確実に防止することができる。さらに、例えば、保持機構33として、スライド部材41に代えて、回動変位する回動部材を採用する場合に比べ、1つのスライド部材41によって保冷剤31を保持する部位(保持突部53)の面積及び配置を好適に設定することができる上、スライド部材41が蓋体5から脱落することを防止する部位(スライド係合突起52、支持レール部46)の面積を極力広く確保することができる。このため、例えば、蓋体5の開閉作業や容器1の積み下ろしに際して保冷剤31に対して下向きの力が作用した場合に、保冷剤31の保持機構33からの脱落(スライド部材41の損傷)、及び、保持機構33(スライド部材41)の蓋体5からの脱落をより確実に抑止することができる。従って、保冷剤31を蓋体5の裏面側に設置する構成においても、保冷剤31を確実に保持して、容器1に収容された物品をより安全に運搬することができ、作業者も安心して蓋体5の開閉や容器1の積み下ろしを行うことができる。
【0051】
また、蓋体5の第1側辺部5a側(第1支持部43)において、第1スライド部材41aと、第2スライド部材41bとが設けられ、保持機構33は、第1スライド部材41aと、第2スライド部材41bとによって、それぞれ異なる保冷剤31を保持する個別保持状態と、第1スライド部材41aと、第2スライド部材41bとによって、共通する1つの保冷剤31を保持する共同保持状態とに状態変化可能に構成されている。このため、用途(容器1に収容する物品)に応じて設置される保冷剤31の数を変更したり(個別保持状態であれば2つ、共同保持状態であれば1つ)、保冷剤31の位置を変更したり(共同保持状態であれば第1スライド部材41a、及び、第2スライド部材41bの間の位置、個別保持状態であれば第1スライド部材41a及び第2スライド部材41bにそれぞれ対応する位置)することができる。従って、バリエーションに富む使用を可能とすることができる。
【0052】
さらに、第1スライド部材41a、及び、第2スライド部材41bは、保持機構33の個別保持状態に対応する配置から第1スライド部材41aと第2スライド部材41bとを互いに近付けるようにして変位させることにより保持機構33の共同保持状態に対応する配置とされるように構成されている。このため、第1スライド部材41aと、第2スライド部材41bとによって、共通する1つの保冷剤31を保持するといった目標のイメージと、第1スライド部材41aと第2スライド部材41bとを互いに近付けるといった操作のイメージとが一致し易く、保冷剤31を適宜着脱する作業を作業者の困惑を招くことなく比較的スムースに行うことができる。
【0053】
加えて、蓋体5は、保持機構33が個別保持状態とされた場合に、第1スライド部材41a及び第2スライド部材41bによって被覆され、保持機構33が共同保持状態とされた場合に、蓋体5の裏面側から視認可能となるように露出する第1目印と、保持機構33が共同保持状態とされた場合に、第1スライド部材41a及び第2スライド部材41bによって被覆され、保持機構33が個別保持状態とされた場合に、蓋体5の裏面側から視認可能となるように露出する第2目印とを備えている。このため、保持機構33を個別保持状態、及び、共同保持状態とするためにスライド部材41をどこに変位させる必要があるのかを作業者に比較的分かり易く伝えることができる。
【0054】
また、保持機構33は、蓋体5の第2側辺部5b側(第2支持部61)において、保冷剤31の取付片36を保持可能な凹部保持部42を備えている。さらに、保冷剤31が保持機構33によって保持された状態から、当該保冷剤31(第1側辺部5a側の取付片36)を保持するスライド部材41を解除位置へと変位させ、当該保冷剤31のうち凹部保持部42によって保持された取付片36を中心として当該保冷剤31を設置部32から離隔させる側に回動変位させることで保冷剤31を取外し可能に構成されている。このため、例えば、第1側辺部5a側だけでなく第2側辺部5b側についてもスライド部材41で保冷剤31を保持するような構成に比べて、保冷剤31の保持に関する構成の簡素化、保冷剤31の着脱作業性の向上、及び、保冷剤31の保持状態の安定化等を図ることができる。
【0055】
また、凹部保持部42として、2つの第1凹部保持部42aと、2つの第2凹部保持部42bとが設けられ、1つの保冷剤31を保持するために少なくとも2つの凹部保持部42が使用される。さらに、保冷剤31のうち第1凹部保持部42aに保持された部位は、当該第1凹部保持部42aによってスライド部材41のスライド方向(横振れ方向)における相対変位が規制され、保冷剤31のうち第2凹部保持部42bに保持された部位は、当該第2凹部保持部42bによって、スライド部材41のスライド方向において、第1凹部保持部42aへ近づく側、及び、第1凹部保持部42aから離隔する側のうち少なくとも一方側への変位が規制される。加えて、設置部32に対する保冷剤31の配置として、凹部保持部42のうち、第1凹部保持部42aと第2凹部保持部42bとを使用して保冷剤31を保持する第1配置と、第2凹部保持部42bのみを使用して保冷剤31を保持する第2配置とが可能に構成され、保冷剤31の第1配置で使用される第2凹部保持部42bと、保冷剤31の第2配置で使用される所定の第2凹部保持部42bとが共通化されている(一続きに設けられている)。
【0056】
つまり、保冷剤31を保持する場合に少なくとも第1凹部保持部42aを使用することにより、スライド部材41のスライド方向における保冷剤31の相対変位(位置ずれ)が防止されることとなり、保冷剤31の保持状態の安定化を図ることができる。また、保冷剤31を保持する場合に第2凹部保持部42bを2つ使用することによっても、スライド部材41のスライド方向における保冷剤31の相対変位が防止される構成となっている。従って、保冷剤31を異なる配置として保持可能とする構成において、凹部保持部42に対し、スライド部材41のスライド方向における位置ずれを防止する機能を付与しつつ、凹部保持部42を好適に配置することができる。また、第2凹部保持部42bは、保冷剤31の第1配置で使用される第2凹部保持部42bと、第2配置で使用される所定の第2凹部保持部42bとが一続きに構成されることから、凹部保持部42の構成の複雑化等を抑制することができる。さらに、第1配置にある保冷剤31のうち第2凹部保持部42bに挿入される取付片36の位置と、第2配置にある保冷剤31のうち第2凹部保持部42bに挿入される取付片36の位置とがずれており、それぞれの取付片36を挿入可能とする第2凹部保持部42bが一続きに構成されることで、幅広の第2凹部保持部42bが形成されている。このため、保冷剤31を設置部32に設置する(取付片36を凹部保持部42に挿入させる)際の作業性の向上等を図ることができる。
【0057】
また、設置部32に設置された保冷剤31の蓋体5の短手幅方向における相対変位を規制するガタ止め突部62が設けられている。このため、保持機構33による保持状態が解消される(又は、保持突部53によって取付片36を支持する面積が減少して、解消され易くなる)ような方向に保冷剤31が相対変位する(蓋体5の短手幅方向に沿って変位する、又は、凹部保持部42側を支点として蓋体5の裏面に沿って回動変位する)といった事態を防止することができ、保冷剤31の保持状態をより一層安定させることができる。さらに、保冷剤31がスライド部材41に圧接する方向に変位するといった事態を防止することができ、スライド部材41の変形や損傷等の発生を抑止することができる。特に、ガタ止め突部62と、凹部保持部42とが設けられることによって、スライド部材41では、保冷剤31の下方への変位(容器1の収容部3への落下)を防止するだけでも、保持機構33全体として保冷剤31を確実に保持することができる。従って、スライド部材41等の複雑化を抑制しつつ、保冷剤31の着脱作業性の向上を図るといった作用効果がより顕著なものとなる。
【0058】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0059】
(a)上記実施形態では、蓋体5が容器本体2に対して着脱自在な容器1に具体化されているが、蓋体5が容器本体2に対して回動変位可能に連結された(例えば、容器本体2に対する軸部と、蓋体5に対する軸部とを備え、容器本体2に対し蓋体5を回動変位可能に連結する連結部材を備える)容器に具体化してもよい。例えば、第1側辺部5aが蓋体5の回動軸線側の側辺部として配置され、蓋体5が閉位置から270度程度回動変位して略鉛直方向に延在した状態とされた場合に、当該蓋体5の上部にスライド部材41が配置されるとともに、当該蓋体5の下部に凹部保持部42が配置され、スライド部材41を解除位置としても、凹部保持部42によって保冷剤31が設置部32から脱落しないように構成してもよい。この場合、保冷剤31の着脱作業性の向上が図られる。
【0060】
(b)上記実施形態では、設置部32に対して最大で2つの保冷剤31を設置可能となっているが、最大で1つの保冷剤を設置可能としてもよいし、最大で3つ以上の保冷剤を設置可能としてもよい。当該構成を採用する場合においても、保持に使用される凹部保持部42、及び、スライド部材41を適宜変更しつつ保持される保冷剤31の配置を変更可能に構成されることが望ましい。また、形状や大きさの異なる複数種類の保冷剤31を設置部32に設置して保持可能に構成してもよい。さらに、保持機構33の形成位置、数、及び、形状等は、設置の対象とされる保冷剤31に応じて適宜変更可能であり、例えば上記実施形態の蓋体5を2つ用意して第2側辺部5b同士を突き合わせるようにして連結し、最大で4つの保冷剤31を設置可能な蓋体としてもよい。加えて、蓋体5の第2側辺部5b側においても、凹部保持部42に代えて、スライド部材41によって保冷剤31の取付片36を保持するように構成してもよい。尚、スライド部材41のスライド変位の方向は、基本的には、蓋体5の裏面と平行するような方向であればよく、例えば、蓋体5の長手幅方向に対して交差する方向にスライド変位可能に構成してもよい。但し、スライド部材41は、蓋体5への取付状態の安定化を図るべく所定の直線方向においてスライド変位可能とすることが望ましく、さらには、スライド部材41の設置スペース(スライド支持部45)を好適に配置するべく保冷剤31のうち取付片36が設けられた側辺部に対して平行するような方向にスライド変位可能とすることが望ましい。
【0061】
(c)蓋体5の設置部32において、保持機構33が個別保持状態とされた場合に、個別設置位置(第1配置)にある保冷剤31によって(少なくとも一部、より望ましくは全体が)被覆され、保持機構33が共同保持状態とされた場合に、蓋体5の裏面側から(望ましくは全体が)視認可能となるように露出する(共同設置位置(第2配置)にある保冷剤31によって被覆されない)第1補助目印と、保持機構33が共同保持状態とされた場合に、共同設置位置(第2配置)にある保冷剤31によって(少なくとも一部、より望ましくは全体が)被覆され、保持機構33が個別保持状態とされた場合に、蓋体5の裏面側から(望ましくは全体が)視認可能となるように露出する(個別設置位置(第1配置)にある保冷剤31によって被覆されない)第2補助目印とを備えていることとしてもよい。例えば、保冷剤31を個別設置位置(第1配置)とする場合に当該保冷剤31によって被覆される位置(保冷剤31を共同設置位置・第2配置とする場合には被覆されない位置)において「2個装着の場合はここに設置」の文字と、当該文字を囲う保冷剤31の外形を模したライン(保冷剤31の向きを示唆する)とを形成するとともに、保冷剤31を共同設置位置(第2配置)とする場合に当該保冷剤31によって被覆される位置(保冷剤31を個別設置位置・第1配置とする場合には被覆されない位置)において「1個装着の場合はここに設置」の文字と、当該文字を囲う保冷剤31の外形を模したラインとを形成することとしてもよい。この場合、保持機構33を個別保持状態、及び、共同保持状態として保冷剤31を保持させるために保冷剤31をどこに配置する必要があるのかを作業者に比較的分かり易く伝えることができ、ひいては、保持機構33を個別保持状態、及び、共同保持状態とするためにスライド部材41をどこに変位させる必要があるのかを作業者により分かり易く伝えることができる。尚、第1目印、第2目印、第1補助目印、及び、第2補助目印の形態としては特に限定されるものではなく、例示した以外の文字を使用してもよいし、配色や模様等を特定のものとすることで保冷剤31の配置を示唆するように構成してもよいし、蓋側第2構成部28の成形工程よりも後の工程でシール等を貼着したり、印字したりすることで前記各目印を設けるように構成してもよい。
【0062】
(d)また、ガタ止め突部62の構成についても特に限定されるものではなく、例えば、保冷剤凹部38が省略されたような形状の保冷剤を取付可能とする蓋体において、当該蓋体に取付けられた状態の保冷剤の外周面の所定部位に対して当接又は近接配置されるようにしてガタ止め突部を設けることとしてもよいし、保冷剤凹部が平面視円形又は矩形の凹状をなし、ガタ止め突部がそれに挿入可能な凸状をなすように(ガタ止め突部でスライド部材41のスライド方向における保冷剤の相対変位も規制するように)構成してもよい。
【0063】
さらに、例えば、保冷剤本体部35の各短側辺部において取付片36が1つずつ設けられた保冷剤31を取付可能とする蓋体5において、凹部保持部42がスライド部材41と1対1で設けられることとしてもよい。加えて、例えば、取付片36が省略されたような保冷剤31を取付可能とする蓋体5において、保冷剤本体部35の一方の短側辺部を挿入可能な凹部保持部と、保冷剤本体35の下面の他方の短側辺部側の部位を保持可能なスライド部材とを備えるような構成としてもよい。尚、凹部保持部41に関し、保冷剤31のスライド部材41のスライド方向における相対変位を防止する機能を省略することも可能である。
【0064】
(e)上記実施形態では、容器1(本体側第1構成部15、本体側第2構成部17、蓋側第1構成部26、及び、蓋側第2構成部28)は、ポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。また、上記実施形態では、断熱性能(保冷・保温性能)を高めるべく、容器本体2、及び、蓋体5が中空2層構造とされた上で、本体側内部空間16及び蓋側内部空間27に断熱材18、29が設けられているが、断熱材18、29を省略してもよいし、容器本体2、及び、蓋体5を単層構造、又は、3層以上の構造としてもよいし、層構造が部分的に変化する(例えば、大部分が2層で一部が単層)ように構成してもよい。さらに、上記実施形態では、容器1が略四角箱状をなしているが、例えば、略円筒形状、平面視略半円形状(前側のコーナー部を比較的大きくR形状としたもの)等の容器に具体化することも可能である。加えて、上記実施形態では、環境適応材として保冷剤31(蓄冷剤)を採用しているが、保温剤(蓄温剤)や、収容部3を所期の湿度とする乾燥剤等を採用してもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…容器、2…容器本体、3…収容部、4…開口部、5…蓋体、5a…第1側辺部、5b…第2側辺部、22…支持枠部、31…保冷剤、32…設置部、33…保持機構、36…取付片、37…当接面、38…保冷剤凹部、41…スライド部材、41a…第1スライド部材、41b…第2スライド部材、42…凹部保持部、42a…第1凹部保持部、42b…第2凹部保持部、53…保持突部、62…ガタ止め突部。