(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025043036
(43)【公開日】2025-03-28
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
B25F 5/02 20060101AFI20250321BHJP
【FI】
B25F5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023150323
(22)【出願日】2023-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩谷 拓真
(72)【発明者】
【氏名】上利 真一
【テーマコード(参考)】
3C064
【Fターム(参考)】
3C064AA05
3C064AA06
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA33
3C064BB02
3C064CA03
3C064CA06
3C064CA26
3C064CA55
3C064CB71
3C064CB92
(57)【要約】
【課題】凹部が角部に形成されていない基板ケースがケース取付部に誤った姿勢で取り付けられることを抑制する。
【解決手段】作業機は、基板ケースと、基板ケースを第1方向にスライドさせるときに基板ケースが取り付けられるケース取付部と、を備えている。基板ケースは、ケース取付部に取り付けられている状態で第1方向に見るときに、第1方向に対して直交する第2方向に延びる長辺を有する長方形状を有しているとともに、第1角部と、第1角部と第2方向に隣り合う第2角部と、を備えている。ケース取付部は、基板ケースがケース取付部に取り付けられているときに、第1角部に対向する第1対応角部と、第2角部に対向する第2対応角部と、を備えている。第1角部と第2角部の少なくとも一方は、面取りされ、または丸められている。第1角部の形状は、第2角部の形状と異なる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータにより動作する作業部と、
前記モータを制御する制御基板と、
前記制御基板を内部で保持する基板ケースと、
前記基板ケースを第1方向にスライドさせるときに前記基板ケースが取り付けられるケース取付部と、を備えており、
前記基板ケースは、前記ケース取付部に取り付けられている状態で前記第1方向に見るときに、前記第1方向に対して直交する第2方向に延びる長辺を有する長方形状を有しているとともに、第1角部と、前記第1角部と前記第2方向に隣り合う第2角部と、を備えており、
前記ケース取付部は、前記基板ケースが前記ケース取付部に取り付けられているときに、前記第1角部に対向する第1対応角部と、前記第2角部に対向する第2対応角部と、を備えており、
前記第1対応角部は、前記第1角部に対応する形状を有しており、
前記第2対応角部は、前記第2角部に対応する形状を有しており、
前記第1角部と前記第2角部の少なくとも一方は、面取りされ、または丸められており、
前記第1角部の形状は、前記第2角部の形状と異なる、作業機。
【請求項2】
前記基板ケースは、前記第2角部と前記第1方向と前記第2方向に対して直交する第3方向に隣り合う第3角部と、前記第1角部と前記第3方向に隣り合う第4角部と、をさらに備えており、
前記ケース取付部は、前記基板ケースが前記ケース取付部に取り付けられているときに、前記第3角部に対向する第3対応角部と、前記第4角部に対向する第4対応角部と、をさらに備えており、
前記第3対応角部は、前記第3角部に対応する形状を有しており、
前記第4対応角部は、前記第4角部に対応する形状を有しており、
前記第3角部の形状が前記第2角部の形状と異なる、および/または前記第4角部の形状が前記第1角部の形状と異なる、請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記第1角部の形状が前記第3角部の形状と異なる、および/または前記第2角部の形状が前記第4角部の形状と異なる、請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記ケース取付部の幅は、前記第1方向に向かうにつれて減少する、請求項1から3のいずれか一項に記載の作業機。
【請求項5】
前記基板ケースは、前記制御基板が着座される着座部を備えており、
前記着座部は、前記第1方向における前記基板ケースの一部の領域に配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作業機が開示されている。作業機は、モータと、モータにより動作する作業部と、モータを制御する制御基板と、制御基板を内部で保持する基板ケースと、基板ケースを第1方向にスライドさせるときに基板ケースが取り付けられるケース取付部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の作業機では、基板ケースが、ケース取付部に誤った姿勢で取り付けられることがある。ケース取付部への基板ケースの誤取付を抑制するために、例えば、凹部が基板ケースの角部に形成されることがある。しかしながら、この構成では、凹部が基板ケースの角部に形成されていない構成と比較して、制御基板と基板ケースとの接触面積が大きくなる。これにより、制御基板に部品を実装することができる実装面積が少なくなる。本明細書では、凹部が角部に形成されていない基板ケースがケース取付部に誤った姿勢で取り付けられることを抑制することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、作業機を開示する。作業機は、モータと、モータにより動作する作業部と、モータを制御する制御基板と、制御基板を内部で保持する基板ケースと、基板ケースを第1方向にスライドさせるときに基板ケースが取り付けられるケース取付部と、を備えている。基板ケースは、ケース取付部に取り付けられている状態で第1方向に見るときに、第1方向に対して直交する第2方向に延びる長辺を有する長方形状を有しているとともに、第1角部と、第1角部と第2方向に隣り合う第2角部と、を備えている。ケース取付部は、基板ケースがケース取付部に取り付けられているときに、第1角部に対向する第1対応角部と、第2角部に対向する第2対応角部と、を備えている。第1対応角部は、第1角部に対応する形状を有している。第2対応角部は、第2角部に対応する形状を有している。第1角部と第2角部の少なくとも一方は、面取りされ、または丸められている。第1角部の形状は、第2角部の形状と異なる。
【0006】
本明細書では、形状が異なるとは、角部処理が行われていることと角部処理が行われていないこと、および/または角部処理の種類が異なること、および/または同一種類の角部処理において寸法が異なることをいう。上記の構成によれば、第1角部が第1対応角部に対向し、第2角部が第2対応角部に対向している状態で、基板ケースがケース取付部に取り付けられる。一方、第1角部が第2対応角部に対向し、第2角部が第1対応角部に対向している状態では、第1角部が第2対応角部に干渉し、または第2角部が第1対応角部に干渉する。これにより、基板ケースをケース取付部に取り付けることができない。よって、基板ケースが誤った姿勢でケース取付部に取り付けられることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】実施例の制御ユニット10とケース取付部20の分解斜視図である。
【
図3】実施例の制御ユニット10とケース取付部20の上断面図である。
【
図4】実施例の制御ユニット10とケース取付部20において、制御ユニット10がケース取付部20に正しい姿勢で取り付けられているときの側面図である。
【
図5】実施例の制御ユニット10とケース取付部20において、第1対応角部54と第1角部86での断面図である。
【
図6】実施例の制御ユニット10とケース取付部20において、第2対応角部56と第2角部88での断面図である。
【
図7】実施例の制御ユニット10とケース取付部20において、第3対応角部58と第3角部90での断面図である。
【
図8】実施例の制御ユニット10とケース取付部20において、第4対応角部60と第4角部92での断面図である。
【
図9】実施例の制御ユニット10の後断面図である。
【
図10】実施例の制御ユニット10とケース取付部20において、制御ユニット10がケース取付部20に誤った姿勢で取り付けられるときの側面図である。
【
図11】実施例の制御ユニット10とケース取付部20において、制御ユニット10がケース取付部20に誤った姿勢で取り付けられるときの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して以下に詳細に説明する。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、開示された追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善された作業機、その製造方法及び使用方法を提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。
【0009】
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、以下の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、特許請求の範囲に記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
【0010】
本明細書及び/又は特許請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施例及び/又は特許請求の範囲に記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
【0011】
1つまたはそれ以上の実施形態において、基板ケースは、第2角部と第1方向と第2方向に対して直交する第3方向に隣り合う第3角部と、第1角部と第3方向に隣り合う第4角部と、をさらに備えていてもよい。ケース取付部は、基板ケースがケース取付部に取り付けられているときに、第3角部に対向する第3対応角部と、第4角部に対向する第4対応角部と、をさらに備えていてもよい。第3対応角部は、第3角部に対応する形状を有していてもよい。第4対応角部は、第4角部に対応する形状を有している。第3角部の形状が第2角部の形状と異なる、および/または第4角部の形状が第1角部の形状と異なっていてもよい。
【0012】
上記の構成によれば、第1角部が第1対応角部に対向し、第4角部が第4対応角部に対向している状態であって、第2角部が第2対応角部に対向し、第3角部が第3対応角部に対向している状態で、基板ケースがケース取付部に取り付けられる。一方、第1角部が第4対応角部に対向し、かつ、第4角部が第1対応角部に対向している状態であって、第2角部が第3対応角部に対向し、第3角部が第2対応角部に対向している状態では、第1角部が第4対応角部に干渉する、第4角部が第1対応角部に干渉する、第2角部が第3対応角部に干渉する、または第3角部が第2対応角部に干渉する。これにより、基板ケースをケース取付部に取り付けることができない。よって、基板ケースが誤った姿勢でケース取付部に取り付けられることを抑制することができる。
【0013】
1つまたはそれ以上の実施形態において、第1角部の形状が第3角部の形状と異なる、および/または第2角部の形状が第4角部の形状と異なっていてもよい。
【0014】
上記の構成によれば、基板ケースが誤った姿勢でケース取付部に取り付けられることをより抑制することができる。
【0015】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ケース取付部の幅は、第1方向に向かうにつれて減少してもよい。
【0016】
上記の構成によれば、基板ケースを誤った姿勢でケース取付部に対して第1方向にスライドさせるとき、基板ケースは、取付途中で、ケース取付部に対して第1方向にスライドすることができなくなる。これにより、基板ケースがケース取付部に誤った姿勢で取り付けられていることを容易に認識することができる。
【0017】
1つまたはそれ以上の実施形態において、基板ケースは、制御基板が着座される着座部を備えていてもよい。着座部は、第1方向における基板ケースの一部の領域に配置されていてもよい。
【0018】
上記の構成によれば、着座部が第1方向における基板ケースの全体に配置されている構成と比較して、制御基板の実装面積が少なくなることを抑制することができる。
【0019】
(実施例)
図1に示すように、作業機2は、例えば、手持ち式のチェーンソーである。作業機2は、ハウジング4と、ガイドバー6と、モータ8と、制御ユニット10と、作業部12と、を備えている。ハウジング4は、樹脂材料からなる。以下では、作業機2を地面等の面Pに載置したときに、面Pに対して直交する方向を上下方向と呼び、面Pにガイドバー6の長手方向を投影した方向を前後方向と呼び、上下方向と前後方向に対して直交する方向を左右方向と呼ぶ。
【0020】
ガイドバー6は、細長い板形状を有する。ガイドバー6は、ハウジング4から前方向に突出するようにハウジング4に固定されている。
【0021】
モータ8は、ハウジング4の内部に配置されている。モータ8は、例えば、ブラシレスモータである。モータ8は、バッテリパックBPから供給される電力により動作する。モータ8のモータシャフト8aは、左右方向に延びている。
【0022】
制御ユニット10は、ハウジング4の内部に配置されている。制御ユニット10は、前後方向と左右方向を含む面に沿って配置されている。制御ユニット10は、モータ8を制御する。
【0023】
作業部12は、スプロケット14と、ソーチェーン16と、を備えている。スプロケット14は、ハウジング4の内部に配置されている。スプロケット14は、モータシャフト8aの右端に固定されている。スプロケット14は、モータ8が回転すると回転する。
【0024】
ソーチェーン16は、スプロケット14とガイドバー6に架け渡されている。ソーチェーン16は、スプロケット14が回転すると、スプロケット14とガイドバー6の周縁に沿って回転駆動する。これにより、木材等の被切削物が切削される。
【0025】
図2に示すように、作業機2は、ケース取付部20をさらに備えている。ケース取付部20は、ハウジング4(
図1参照)の内部に配置されている。ケース取付部20は、ハウジング4の内面から左右方向に沿って突出している。なお、
図2では、ハウジング4の内面がドットハッチにより示されている。ケース取付部20は、樹脂材料からなる。ケース取付部20は、ハウジング4と一体的に形成されている。
【0026】
ケース取付部20は、基部22と、第1レール部24と、第2レール部26と、を備えている。基部22は、前後方向に延びている。基部22は、前後方向と上下方向を含む面に沿って延びている中央基部30と、中央基部30の上端から左方向に延びる上基部32と、中央基部30の下端から左方向に延びる下基部34と、を備えている。
【0027】
第1レール部24は、第1中央レール38と、第1上レール40と、第1下レール42と、を備えている。第1中央レール38は、中央基部30の前端から略左方向に延びている。第1上レール40は、上基部32の前端から略左方向に延びている。第1上レール40は、第1中央レール38の上端から後方向に突出している。第1下レール42は、下基部34の前端から略左方向に延びている。第1下レール42は、第1中央レール38の下端から後方向に突出している。
【0028】
第2レール部26は、第2中央レール46と、第2上レール48と、第2下レール50と、を備えている。第2中央レール46は、中央基部30の後端から略左方向に延びている。
図3に示すように、第2中央レール46の前面46aは、第1中央レール38の後面38aと前後方向に対向している。前後方向における第1中央レール38の後面38aと第2中央レール46の前面46aとの幅L1は、基部22から離れるにつれて(左方向に向かうにつれて)、徐々に増加する。
【0029】
図2に示すように、第2上レール48は、上基部32の後端から略左方向に延びている。第2上レール48は、第2中央レール46の上端から前方向に突出している。第2上レール48と第1上レール40は、互いに近づく方向に突出している。
【0030】
第2下レール50は、下基部34の後端から略左方向に延びている。第2下レール50は、第2中央レール46の下端から前方向に突出している。第2下レール50と第1下レール42は、互いに近づく方向に突出している。
【0031】
図4に示すように、第1中央レール38の後面38aと第1上レール40との接続箇所には、第1対応角部54が形成されている。第2中央レール46の前面46aと第2上レール48との接続箇所には、隅肉付けされることにより、第2対応角部56が形成されている。隅肉付けすることは、角部処理を行うことに対応する。第2中央レール46の前面46aと第2下レール50との接続箇所には、隅肉付けされることにより、第3対応角部58が形成されている。第1中央レール38の後面38aと第1下レール42との接続箇所には、隅肉付けされることにより、第4対応角部60が形成されている。第1対応角部54と、第2対応角部56と、第3対応角部58と、第4対応角部60のそれぞれは、左右方向に延びている。第1対応角部54の形状と、第2対応角部56の形状と、第3対応角部58の形状と、第4対応角部60の形状は、互いに異なる。ここで、形状が異なるとは、角部処理が行われていることと角部処理が行われていないこと、および/または角部処理の種類が異なること、および/または同一種類の角部処理において寸法が異なることをいう。また、形状が同様とは、角部処理の種類が同一であること、および寸法が同一であることをいう。
【0032】
図5に示すように、第1対応角部54には、角部処理が行われていない。角部処理は、例えば、角部を丸めること、および面を形成することをいう。ここで、角部を丸めることは、曲率半径が0.5mm以上であることをいう。また、面を形成することは、面の寸法が0.5mm以上であることを言う。
図6に示すように、第2対応角部56には、面が形成されている。
図7に示すように、第3対応角部58は、丸められている。
図8に示すように、第4対応角部60は、丸められている。第4対応角部60の曲率半径は、第3対応角部58の曲率半径よりも大きい。
【0033】
図2に示すように、制御ユニット10は、制御基板64と、基板ケース66と、を備えている。制御基板64は、矩形の平板形状を有する。図示省略されているが、制御基板64は、マイコンと、複数のスイッチング素子と、を有する。スイッチング素子は、例えば、IGBTまたはMOSFETである。スイッチング素子は、マイコンに制御されることにより、オン状態とオフ状態とに切り替えられる。スイッチング素子のオン状態とオフ状態の切り替えにより、モータ8(
図1参照)が制御される。
【0034】
基板ケース66は、制御基板64を保持する。基板ケース66は、上端が開口しているケース形状を有する。基板ケース66は、ケース取付部20に対して取付方向D1にスライドすることにより、ケース取付部20に取り付けられる。また、基板ケース66は、ケース取付部20に対して取外方向D2にスライドすることにより、ケース取付部20から取り外される。取付方向D1は、第1方向に対応する。取付方向D1は、右方向である。取外方向D2は、取付方向D1と反対の方向、即ち左方向である。基板ケース66は、樹脂材料からなる。変形例では、基板ケース66は、金属材料からなっていてもよい。基板ケース66は、下壁70と、前壁72と、左壁74と、後壁76と、右壁78と、複数の着座部80(
図3参照)と、を備えている。下壁70の厚みと、前壁72の厚みと、左壁74の厚みと、後壁76の厚みと、右壁78の厚みのそれぞれは、5mm以下であり、例えば、4mmである。下壁70の厚みと、前壁72の厚みと、左壁74の厚みと、後壁76の厚みと、右壁78の厚みは、互いに同一である。以下では、下壁70の厚みと、前壁72の厚みと、左壁74の厚みと、後壁76の厚みと、右壁78の厚みを、基板ケース66の壁厚と呼ぶことがある。
【0035】
下壁70は、前後方向と左右方向を含む面に沿って配置されている。下壁70は、矩形の板形状を有する。前壁72と、左壁74と、後壁76と、右壁78は、下壁70から上方向に突出している。前壁72は、下壁70の前端上を左右方向に延びている。左壁74は、下壁70の左端上を前壁72の左端から後方向に延びている。後壁76は、下壁70の後端上を左壁74の後端から右方向に延びている。右壁78は、下壁70の右端上を後壁76の右端から前壁72の右端まで前方向に延びている。
【0036】
図3に示すように、複数の着座部80は、前壁72と、左壁74と、後壁76と、右壁78により囲まれている。複数の着座部80は、下壁70から上方向に突出している。複数の着座部80のそれぞれでは、取付方向D1における着座部80の長さは、取付方向D1における基板ケース66の長さの20%以下である。複数の着座部80のそれぞれは、取付方向D1における基板ケース66の一部の領域に配置されている。複数の着座部80のそれぞれは、取付方向にD1における基板ケース66の全体に亘って配置されていない。複数の着座部80のそれぞれは、前壁72と左壁74との接続箇所の近傍と、左壁74と後壁76との接続箇所の近傍と、後壁76と右壁78との接続箇所の近傍と、右壁78と前壁72との接続箇所の近傍のそれぞれに配置されている。
図9に示すように、制御基板64は、複数の着座部80上に着座される。これにより、制御基板64が基板ケース66に保持されている。
【0037】
図4に示すように、基板ケース66がケース取付部20に取り付けられている状態で基板ケース66を左壁74に向かって取付方向D1(
図2参照)に見るとき、基板ケース66は、第2方向D3に延びる長辺66aと第3方向D4に延びる短辺66bとを有する長方形状を有する。第2方向D3は、取付方向D1に対して直交している。第2方向D3は、前後方向である。第3方向D4は、取付方向D1と第2方向D3に対して直交している。基板ケース66がケース取付部20に取り付けられている状態で基板ケース66を左壁74に向かって取付方向D1に見るとき、基板ケース66は、4個の角部、即ち、第1角部86と、第2角部88と、第3角部90と、第4角部92と、を備えている。基板ケース66がケース取付部20に取り付けられている状態で基板ケース66を左壁74に向かって取付方向D1に見るとき、第1角部86は、基板ケース66の前方上側の角部に対応し、第2角部88は、基板ケース66の後方上側の角部に対応し、第3角部90は、基板ケース66の後方下側の角部に対応し、第4角部92は、基板ケース66の前方下側の角部に対応する。第1角部86は、第3角部90の対角の位置に配置されている。第2角部88は、第4角部92の対角の位置に配置されている。第1角部86は、第2角部88と第2方向D3に隣り合っている。第3角部90は、第2角部88と第3方向D4に隣り合っている。第4角部92は、第3角部90と第2方向D3に隣り合っており、第1角部86と第3方向D4に隣り合っている。第1角部86と、第2角部88と、第3角部90と、第4角部92のそれぞれは、取付方向D1に延びている。第1角部86と、第2角部88と、第3角部90と、第4角部92には、凹部が形成されていない。
【0038】
図5に示すように、基板ケース66がケース取付部20に取り付けられているとき、第1角部86は、第1対応角部54と対向して配置されている。第1角部86は、第1対応角部54に受け入れられている。第1角部86には、角部処理が行われていない。角部処理は、例えば、角部を丸めること、および面取りすることをいう。ここで、角部を丸めることは、曲率半径が0.5mm以上であることをいう。また、面取りすることは、面取り寸法が0.5mm以上であることをいう。角部処理は、角部に凹部を形成することを含まない。第1対応角部54は、第1角部86の形状に対応する形状を有する。第1対応角部54は、第1角部86に沿った形状を有する。第1対応角部54は、第1角部86を覆っている。
【0039】
図6に示すように、基板ケース66がケース取付部20に取り付けられているとき、第2角部88は、第2対応角部56と対向して配置されている。第2角部88は、第2対応角部56に受け入れられている。第2角部88には、角部処理が行われている。第2角部88は、面取りされている。第2対応角部56は、第2角部88の形状に対応する形状を有する。第2対応角部56は、第2角部88に沿った形状を有する。第2対応角部56は、第2角部88を覆っている。第2角部88の面取り寸法は、2mmである。第2角部88の面取り寸法は、基板ケース66の壁厚以下である。第2角部88の面取り寸法は、第2対応角部56の面取り寸法よりも僅かに小さい。第2角部88の形状は、第1角部86の形状と異なる。ここで、形状が異なるとは、角部処理が行われていることと角部処理が行われていないこと、および/または角部処理の種類が異なること、および/または同一種類の角部処理において寸法が異なることをいう。
【0040】
図7に示すように、基板ケース66がケース取付部20に取り付けられているとき、第3角部90は、第3対応角部58と対向して配置されている。第3角部90は、第3対応角部58に受け入れられている。第3角部90には、角部処理が行われている。第3角部90は、丸められている。第3対応角部58は、第3角部90の形状に対応する形状を有する。第3対応角部58は、第3角部90に沿った形状を有する。第3対応角部58は、第3角部90を覆っている。第3角部90の曲率半径は、1mmである。第3角部90の曲率半径は、基板ケース66の壁厚以下である。第3角部90の曲率半径は、第3対応角部58の曲率半径よりも僅かに小さい。第3角部90の形状は、第1角部86の形状と第2角部88の形状のそれぞれと異なる。
【0041】
図8に示すように、基板ケース66がケース取付部20に取り付けられているとき、第4角部92は、第4対応角部60と対向して配置されている。第4角部92は、第4対応角部60に受け入れられている。第4角部92には、角部処理が行われている。第4角部92は、丸められている。第4対応角部60は、第4角部92の形状に対応する形状を有する。第4対応角部60は、第4角部92に沿った形状を有する。第4対応角部60は、第4角部92を覆っている。第4角部92の曲率案径は、4mmである。第4角部92の曲率半径は、第3角部90の曲率半径よりも大きい。第4角部92の曲率半径は、基板ケース66の壁厚以下である。第4角部92の曲率半径は、第4対応角部60の曲率半径よりも僅かに小さい。第4角部92の形状は、第1角部86の形状と、第2角部88の形状と、第3角部90の形状のそれぞれと異なる。
【0042】
図2に示すように、基板ケース66をケース取付部20に取り付けるとき、前壁72が前側を向き、後壁76が後側を向き、下壁70が下側を向く姿勢で、右壁78を基部22に対向させる次に、基板ケース66を、ケース取付部20に対して取付方向D1にスライドさせる。これにより、第1角部86が第1対応角部54と対向し、第2角部88が第2対応角部56と対向し、第3角部90が第3対応角部58と対向し、第4角部92が第4対応角部60と対向するため、基板ケース66がケース取付部20に引っかかることなくケース取付部20に正しい姿勢で取り付けられる。
【0043】
これに対して、後壁76が前側を向き、前壁72が後側を向き、下壁70が下側を向く姿勢で、左壁74を基部22に対向させた後に、基板ケース66をケース取付部20に対して取付方向D1にスライドさせると、
図10に示すように、第2角部88が第1対応角部54と対向し、第1角部86が第2対応角部56と対向し、第4角部92が第3対応角部58と対向し、第3角部90が第4対応角部60と対向する。第1中央レール38の後面38aと第2中央レール46の前面46aと幅L1が取付方向D1に向かうにつれて徐々に減少するため、基板ケース66をケース取付部20に対して取付方向D1にスライドさせる間に、第1角部86が第2対応角部56に干渉するとともに、第3角部90が第4対応角部60に干渉する。第1角部86が第2対応角部56に干渉するとともに、第3角部90が第4対応角部60に干渉する状態では、基板ケース66をケース取付部20に対して取付方向D1にさらにスライドさせることができない。これにより、基板ケース66がケース取付部20に誤った姿勢で取り付けられることが抑制される。
【0044】
また、前壁72が前側を向き、後壁76が後側を向き、下壁70が上側を向く姿勢で、左壁74を基部22に対向させた後に、基板ケース66をケース取付部20に対して取付方向D1にスライドさせると、
図11に示すように、第4角部92が第1対応角部54と対向し、第3角部90が第2対応角部56と対向し、第2角部88が第3対応角部58と対向し、第1角部86が第4対応角部60と対向する。第1中央レール38の後面38aと第2中央レール46の前面46aと幅L1が取付方向D1に向かうにつれて徐々に減少するため、基板ケース66をケース取付部20に対して取付方向D1にスライドさせる間に、第3角部90が第2対応角部56に干渉するとともに、第1角部86が第4対応角部60に干渉する。第3角部90が第2対応角部56に干渉するとともに、第1角部86が第4対応角部60に干渉する状態では、基板ケース66をケース取付部20に対して取付方向D1にさらにスライドさせることができない。これにより、基板ケース66がケース取付部20に誤った姿勢で取り付けられることが抑制される。
【0045】
(効果)
本実施例の作業機2は、モータ8と、モータ8により動作する作業部12と、モータ8を制御する制御基板64と、制御基板64を内部で保持する基板ケース66と、基板ケース66を取付方向D1(第1方向の一例)にスライドさせるときに基板ケース66が取り付けられるケース取付部20と、を備えている。基板ケース66は、ケース取付部20に取り付けられている状態で取付方向D1に見るときに、取付方向D1に対して直交する第2方向D3に延びる長辺66aを有する長方形状を有しているとともに、第1角部86と、第1角部86と第2方向D3に隣り合う第2角部88と、を備えている。ケース取付部20は、基板ケース66がケース取付部20に取り付けられているときに、第1角部86に対向する第1対応角部54と、第2角部88に対向する第2対応角部56と、を備えている。第1対応角部54は、第1角部86に対応する形状を有している。第2対応角部56は、第2角部88に対応する形状を有している。第1角部86と第2角部88の少なくとも一方は、面取りされ、または丸められている。第1角部86の形状は、第2角部88の形状と異なる。
【0046】
上記の構成によれば、第1角部86が第1対応角部54に対向し、第2角部88が第2対応角部56に対向している状態で、基板ケース66がケース取付部20に取り付けられる。一方、第1角部86が第2対応角部56に対向し、第2角部88が第1対応角部54に対向している状態では、第1角部86が第2対応角部56に干渉し、または第2角部88が第1対応角部54に干渉する。これにより、基板ケース66をケース取付部20に取り付けることができない。よって、基板ケース66が誤った姿勢でケース取付部20に取り付けられることを抑制することができる。
【0047】
また、基板ケース66は、第2角部88と取付方向D1と第2方向D3に対して直交する第3方向D4に隣り合う第3角部90と、第1角部86と第3方向D4に隣り合う第4角部92と、をさらに備えている。ケース取付部20は、基板ケース66がケース取付部20に取り付けられているときに、第3角部90に対向する第3対応角部58と、第4角部92に対向する第4対応角部60と、をさらに備えている。第3対応角部58は、第3角部90に対応する形状を有している。第4対応角部60は、第4角部92に対応する形状を有している。第3角部90の形状が第2角部88の形状と異なる、および/または第4角部92の形状が第1角部86の形状と異なる。
【0048】
上記の構成によれば、第1角部86が第1対応角部54に対向し、第4角部92が第4対応角部60に対向している状態であって、第2角部88が第2対応角部56に対向し、第3角部90が第3対応角部58に対向している状態で、基板ケース66がケース取付部20に取り付けられる。一方、第1角部86が第4対応角部60に対向し、かつ、第4角部92が第1対応角部54に対向している状態であって、第2角部88が第3対応角部58に対向し、第3角部90が第2対応角部56に対向している状態では、第1角部86が第4対応角部60に干渉する、第4角部92が第1対応角部54に干渉する、第2角部88が第3対応角部58に干渉する、または第3角部90が第2対応角部56に干渉する。これにより、基板ケース66をケース取付部20に取り付けることができない。よって、基板ケース66が誤った姿勢でケース取付部20に取り付けられることを抑制することができる。
【0049】
また、第1角部86の形状が第3角部90の形状と異なる、および/または第2角部88の形状が第4角部92の形状と異なる。
【0050】
上記の構成によれば、基板ケース66が誤った姿勢でケース取付部20に取り付けられることをより抑制することができる。
【0051】
また、ケース取付部20の幅L1は、取付方向D1に向かうにつれて減少する。
【0052】
上記の構成によれば、基板ケース66を誤った姿勢でケース取付部20に対して取付方向D1にスライドさせるとき、基板ケース66は、取付途中で、ケース取付部20に対して取付方向D1にスライドすることができなくなる。これにより、基板ケース66がケース取付部20に誤った姿勢で取り付けられていることを容易に認識することができる。
【0053】
また、基板ケース66は、制御基板64が着座される着座部80を備えている。着座部80は、取付方向D1における基板ケース66の一部の領域に配置されている。
【0054】
上記の構成によれば、着座部80が取付方向D1における基板ケース66の全体に配置されている構成と比較して、制御基板64の実装面積が少なくなることを抑制することができる。
【0055】
(変形例)
一実施形態に係る作業機2は、チェーンソー以外の作業機、例えば、草刈機、芝刈機、ヘッジトリマ、ブロワ、運搬車、除雪機、耕うん機であってもよい。
【0056】
一実施形態に係る基板ケース66では、第1角部86は、丸められていてもよく、面取りされていてもよい。
【0057】
一実施形態に係る基板ケース66では、第1角部86の形状が第3角部90の形状と異なっており、第2角部88の形状が第4角部92の形状と同様であってもよい。また、第1角部86の形状が第3角部90の形状と同様であり、第2角部88の形状が第4角部92の形状と異なっていてもよい。
【0058】
一実施形態に係るケース取付部20では、幅L1は、取付方向D1に一定であってもよい。
【0059】
一実施形態では、ケース取付部20に対する基板ケース66の取付方向D1は、右方向に限られず、例えば、左方向であってもよく、前方向であってもよく、後方向であってもよく、下方向であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
2 :作業機
4 :ハウジング
6 :ガイドバー
8 :モータ
8a :モータシャフト
10 :制御ユニット
12 :作業部
14 :スプロケット
16 :ソーチェーン
20 :ケース取付部
22 :基部
24 :第1レール部
26 :第2レール部
30 :中央基部
32 :上基部
34 :下基部
38 :第1中央レール
38a :後面
40 :第1上レール
42 :第1下レール
46 :第2中央レール
46a :前面
48 :第2上レール
50 :第2下レール
54 :第1対応角部
56 :第2対応角部
58 :第3対応角部
60 :第4対応角部
64 :制御基板
66 :基板ケース
66a :長辺
66b :短辺
70 :下壁
72 :前壁
74 :左壁
76 :後壁
78 :右壁
80 :着座部
86 :第1角部
88 :第2角部
90 :第3角部
92 :第4角部
BP :バッテリパック
D1 :取付方向
D2 :取外方向
D3 :第2方向
D4 :第3方向
L1 :幅
P :面