(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004311
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】送風機及びこの送風機を備えた住宅用空調システム
(51)【国際特許分類】
F24F 3/00 20060101AFI20250107BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20250107BHJP
F24F 7/10 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
F24F3/00 Z
F24F7/06 L
F24F7/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103908
(22)【出願日】2023-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】502025473
【氏名又は名称】エイチ・アール・ディー・シンガポール プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094156
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 民安
(72)【発明者】
【氏名】萩原 浩
【テーマコード(参考)】
3L053
3L058
【Fターム(参考)】
3L053BB01
3L053BB02
3L053BB04
3L058BE01
3L058BE04
3L058BE05
(57)【要約】
【課題】空気調和機を構成する室内機と室外機との数を大きく減少させることができるばかりではなく、室内機から各部屋への空気の移動手段としてのダクトを一切使用することがなく、ひいては工事費用も含めた導入コストを大きく低減することができる住宅用空調システムと該システムに使用される送風機を提供する。
【解決手段】住宅の廊下等の特定の空間3内に設置され空気調和機を構成する室内機200から吐出された空気を出入口用建具5を介して該特定の空間3に隣接し内部の空気を排気する排気口21が配置されたする部屋4に送風する送風機203であって、上記出入口用建具5の上方に形成された壁に設置され、上記特定の空間3内の空気を上記隣接する部屋4に送風するファン233を有してなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅を構成する廊下又はダイニングルーム等の特定の空間内に設置され空気調和機を構成する室内機から吐出された空気を、該特定の空間に隣接する部屋であって内部の空気を排気する排気口が配置された部屋に送風する送風機であって、
上記送風機は、上記特定の空間と上記隣接する部屋とを仕切る仕切り壁に配置されるものであり、該特定の空間から上記隣接する部屋方向に送風するファンを有してなることを特徴とする送風機。
【請求項2】
住宅を構成する廊下又はダイニングルーム等の特定の空間内に設置され空気調和機を構成する室内機から吐出された空気を、該特定の空間に出入口を介して往来可能に隣接する部屋内であって内部の空気を排気する排気口が配置された部屋内に送風する送風機であって、
上記送風機は、上記出入口に取り付けられたドア又は引き戸等の出入口用建具の上方に形成され上記特定の空間と上記隣接する部屋とを仕切る仕切り壁に配置され、上記特定の空間から上記隣接する部屋方向に送風するファンを有してなることを特徴とする送風機。
【請求項3】
廊下又はダイニングルーム等の特定の空間と、この特定の空間との間に形成された仕切り壁を介して隣接する部屋であって内部の空気を排気する排気口が配置された部屋と、を備えた住宅に設けられた住宅用空調システムであって、
上記特定の空間には、空気調和機を構成する室内機が設置されてなるとともに、
上記仕切り壁には、上記特定の空間内の空気を上記隣接する部屋に送風するファンを備えた送風機が配置されてなり、
上記室内機から上記特定の空間内に吐出された空気は、上記ファンの駆動により上記隣接する部屋に送風されるとともに該隣接する部屋内の空気は上記排気口から住宅の外部に排気されることを特徴とする住宅用空調システム。
【請求項4】
廊下又はダイニングルーム等の特定の空間と、この特定の空間との間に形成された仕切り壁を介して隣接する部屋であって内部の空気を排気する排気口が配置された部屋と、上記仕切り壁に形成され上記特定の空間と上記隣接する部屋とを往来可能とする出入口と、この出入口に取り付けられドア又は引き戸等の出入口用建具と、を備えた住宅に設けられる住宅用空調システムであって、
上記特定の空間には、空気調和機を構成する室内機が設置されてなるとともに、
上記仕切り壁であって、上記出入口用建具の上方には、上記特定の空間内の空気を上記隣接する部屋に送風するファンを備えた送風機が配置されてなり、
上記室内機から上記特定の空間内に吐出された空気は、上記ファンの駆動により上記隣接する部屋に送風されるとともに該隣接する部屋内の空気は上記排気口から住宅の外部に排気されることを特徴とする住宅用空調システム。
【請求項5】
前記隣接する部屋の隣には、他の出入口が形成された他の仕切り壁を介して他の隣接する部屋であって内部の空気を排気する排気口が配置された部屋が該隣接する部屋との間で往来可能に設けられ、上記他の出入口にはドア又は引き戸等の他の出入口用建具が取り付けられ、
上記他の仕切り壁であって上記他の出入口用建具の上方には、他の送風機が配置されてなることを特徴とする請求項3又は4記載の何れかの住宅用空調システム。
【請求項6】
前記住宅内には、住宅用換気装置が配置され、
この住宅用換気装置は、外気を該住宅内流入させる外気流入ダクトと、この外気流入ダクトから流入した外気を前記特定の空間内に供給する外気供給ダクトと、前記隣接する部屋内の空気又は前記他の隣接する部屋内の空気を吸引する室内空気吸引ダクトと、この室内空気排気ダクト内に流入した室内空気を住宅の外に排気する室内空気排気ダクトと、上記外気流入ダクトから上記外気供給ダクトに至る空気と上記室内空気吸引ダクトから上記室内空気排気ダクトに至る空気との間で熱交換する熱交換素子と、上記外気流入ダクトから流入した空気が上記外気供給ダクトに至るよう駆動する第1の換気扇と、上記室内空気吸引ダクトから流入した空気が上記室内空気排気ダクトに至るよう駆動する第2の換気扇と、を備え、
上記特定の空間に形成された天井には、上記外気供給ダクトに連通してなる給気口が形成され、
上記外気は、上記第1の換気扇の駆動により、上記外気流入ダクトと上記外気供給ダクトに連通した上記給気口を経て上記特定の空間内に供給されるとともに、該特定の空間に設置された室内機から吐出された空気は、前記送風機を経て上記隣接する部屋内に送風され、
上記隣接する部屋内の空気又は上記他の隣接する部屋内の空気は、上記第2の換気扇の駆動により、前記排気口と連通した上記室内空気吸引ダクトと上記室内空気排気ダクトを経て住宅の外に放出されることを特徴とする請求項3,4又は5記載の何れかの住宅用空調システム。
【請求項7】
前記特定の空間に設置され空気調和機を構成する室内機は住宅全体の中で1台であり、この室内機に対応して住宅の外に設置された室外機も1台とされてなることを特徴とする請求項6記載の住宅用空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、戸建住宅又は集合住宅等の住宅内に設置される送風機及びこの送風機を備えた住宅用空調システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの住宅では空気調和機が用いられ、中には居間や寝室等のような主だった部屋のそれぞれに空気調和機を構成する室内機が設置され、室外にはそれぞれの室内機に対応した室外機が設置されている場合も少なくない。他方、こうした空気調和機による熱効率を高め、エネルギーコストの負担を軽減するために高気密高断熱性能を高めた住宅も普及している実情もある。しかし、上述したように、複数の空気調和機を住宅に設置する場合には、上記複数の室内機ばかりではなく、これらに対応した室外機を屋外に設置しなければならないことから、イニシャルコストが嵩み、また、都市部のような狭小地の住宅事情に鑑みれば、上記室外機を複数設置することができないことも少なくない。加えて、隣家が接近している場合には、室外機が隣地と境界に施工された塀や壁等により十分な空気流入スペースを確保することができず、更には上記複数の室外機の駆動音が騒音となって隣家とのトラブルにまで発展する場合もある。
【0003】
そこで、こうした各種の問題点を解決するために、複数の室内機を1台の室外機により対応することができる技術が開発されている。例えば、特開平7-190415号公報(特許文献1)に開示された技術は、空気搬送式空調機の室内機を住宅の階別、またはゾーニング区域毎に設置し、室外機を1台のマルチ構成としたものである。また、この技術は、ダクトにより各部屋へ吐出口を介して吐出し、室内機本体で空気を吸いこみ、全館空調を行える構成としたものである。こうした技術によれば、これまで使用していた室外機の数を1台とすることができ、その点のみに着目すればコストの低減に寄与するものと評価することができる。
【0004】
また従来では、特開2021-148382号公報(特許文献2)に開示された空気調和システムが提案されている。この空気調和システムは、上述した特許文献1のようなダクトを使用することなく、廊下等の第1ゾーンに設置された室内機により吐出された空気を、該居室等の第2ゾーンに送風装置を介して搬送するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7-190415号公報
【特許文献2】特開2021-148382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術であっても、住宅内に設置される室内機の数は依然として複数であることに変わりはなく、そうしたコストまで低減することはできないばかりか、上記単一の室外機と複数の室内機との距離が離れてしまうことから、冷媒管の距離が伸びてしまい、施工の手間やそれに基づく施工費用を含めた全体の導入コストを考慮すれば、複数の室内機に対応した複数の室外機を設置する場合と比較してコスト低減に大きく貢献しない。また、こうした技術は、上記1台の室外機により複数の室内機を賄うと言う基本的な構造からなるために、該室外機に求められる能力や負担は大きなものとなり、該室外機はフル稼働運転とならざるを得ないことに伴い、必然的に騒音値も大きくなってしまう。
【0007】
また近時では、それぞれ1台の室外機及び室内機からなる単一の空気調和機を設置する全館空調システムも提案されている。しかし、この全館空調システムも以下に説明する様々な課題が存在し、その妥当性を欠く。先ず、このシステムは、1台の室内機によって住宅全体の冷暖房を賄うものであることから、該1台の室内機から排出された空気を複数の部屋まで移動させるダクトを配管する必要がある。こうしたダクトは、冷暖房を行おうとする部屋が多ければ多い程、該ダクトの数は増加し、また、冷暖房を行おうとする部屋が上記室外機から離れれば離れる程、該ダクトの長さは必然的に長いものとなってその施工コストは高額となる。また、上記室内機側から各部屋に対して、比熱の低い空気で熱の移動・運搬を行うためには、大きな風量が要求される結果、該ダクトの径は大径とならざるを得ず、こうした大径のダクトは天井裏に配管する以外にその配管スペースはないことを考えれば、全体の又は部分的な天井高を下げるために要する工事費用の負担も余儀なくされる。また、上記ダクトはたとえ大径のものが使用されるとしても、該ダクトは複数配管されることから、上記室外機を構成するファンの駆動音は騒音となり、快適な居住空間の実現を大いに阻害することとなる。
【0008】
また、上記特許文献2に開示された空気調和システムでは、上述したように、送風装置により、上記第1ゾーンに設置された室内機からの空気を上記第2ゾーンに搬送するものであるものの、上記第1ゾーンに、対象となる当該フロアの必要換気風量を満たす外気給気口と給気風量と同等量となる空気を屋外に排気する室内排気口を備え、具体的には、外気給気口を通る外気給気と室内排気口を通る室内排気とを熱交換素子を用いて熱と湿度を回収して省エネルギーを図りながら換気を行う熱交換形換気装置を備えてもよい旨が記載され、上記熱交換形換気装置は、天井上の小屋裏に配置されている。しかしながら、上記外気供給口と室内排気口とはそれぞれ同じ第1ゾーンに形成されていることから、外気と排気とが互いに混ざり合って換気不足やエネルギーロスの発生を回避することができない。また、この特許文献2には、上記エネルギーロスを回避する手段として、天井裏にチャンバー空間を設けた例や、天井裏空間に排気チャンバー空間を設け、該排気チャンバー空間を通過して熱交換形換気装置に送られて屋外へ排出するという構造が開示されている。しかしながら、こうした構造は、上記第1ゾーン内からの空気が搬送される第2ゾーンの形成位置(間取り)によっては、該第1ゾーンの天井上全体が上記チャンバー空間又は排気チャンバー空間となってしまい、天井高を相当程度下げ居住空間(生活空間)全体に大きな圧迫感を与えるばかりではなく、施工の手間もその施工コストも高額とならざるを得ない。
【0009】
そこで、本発明は、上述した従来の住宅用空調システムが有する各種の課題を解決するために提案したものであって、空気調和機を構成する室内機と室外機との数を減少させることができるばかりではなく、室内機から各部屋への空気の移動手段としてのダクトを一切使用することがなく、さらには室内機が配置される廊下等の空間の天井高を低いものとすることなく施工の手間を削減することができ、ひいては工事費用も含めた導入コストを大きく低減することができる住宅用空調システムと該システムに使用される送風機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、第1の発明(請求項1記載の発明)は、送風機に係るものであり、住宅を構成する廊下又はダイニングルーム等の特定の空間内に設置され空気調和機を構成する室内機から吐出された空気を、該特定の空間に隣接する部屋であって内部の空気を排気する排気口が配置された部屋に送風する送風機であって、上記送風機は、上記特定の空間と上記隣接する部屋とを仕切る仕切り壁に配置されるものであり、該特定の空間から上記隣接する部屋方向に送風するファンを有してなることを特徴とするものである。
【0011】
この第1の発明に係る送風機は、住宅を構成する廊下又はダイニングルーム等の特定の空間内に設置され空気調和機を構成する室内機から吐出された空気を、該特定の空間に隣接する部屋に送風するものであり、上記特定の空間と上記隣接する部屋とを仕切る仕切り壁に設置されるものである。なお、上記特定の空間は、上記室内機が設置される空間であればよく、例示列挙した上記廊下又はダイニングルーム以外も、玄関ホール、リビングルーム等はこれに含まれ、住宅間取りにより様々な空間を含む。例えば、廊下がなく玄関ホールにリビングダイニングルームが隣接し広い面積を占める場合には、このリビングダイニングルームが上記特定の空間として望ましい。また、住宅が2階建てである場合には、1階から2階に続く階段のスペースに連通したホールを上記特定の空間として上記室内機を設置することが望ましい。一方、この第1の発明を構成する隣接する部屋は、上記特定の部屋に隣り合う空間としての部屋であり、廊下が上記室内機を設置した特定の空間である場合において、この廊下にリビングダイニングルーム、書斎、寝室、和室、洗面脱衣室或いはウォークインクローゼット等が隣接している場合には、これらの部屋は上記隣接する部屋に該当する。また、上述した廊下が存在せず玄関ホールに上記特定の空間であるリビングダイニングルームが直接隣接し、このリビングダイニングルームに書斎、寝室、和室、洗面脱衣室等が隣接している場合には、該書斎、寝室、和室、洗面脱衣室等が上記隣接する部屋に該当する。また、2階建て住宅であって、上記ホールが上記特定の空間である場合において、このホールに書斎、寝室、和室、ウォークインクローゼット等が隣接している場合には、該書斎、寝室、和室、洗面脱衣室等が上記隣接する部屋に該当する。なお、上記隣接する部屋には、内部の空気を排出する排気口が配置されている。この排気口は、上記隣接する部屋の天井や側壁等に配置されていれば良い。
【0012】
したがって、上記第1の発明に係る送風機によれば、個々の部屋に室内機を設置しこれらに対応した室外機を住宅の外に設置する必要性はなく住宅全体に設置する空気調和機の数を相当低減できるとともに、上記室内機から吐出された温風や冷風等の空気を直接的に上記隣接する部屋に移送する移送手段としてのダクトは一切不要となり、このため、該ダクトを配管するための工事費用も含めた導入コストを大きく低減することができ、騒音の発生も十分抑制することができるばかりか、天井高を低くする必要性もなく、快適な居住空間の実現に大きく貢献することができる。
【0013】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)は、上記第1の発明と同じ送風機に係るものであり、住宅を構成する廊下又はダイニングルーム等の特定の空間内に設置され空気調和機を構成する室内機から吐出された空気を、該特定の空間に出入口を介して往来可能に隣接する部屋内であって内部の空気を排気する排気口が配置された部屋内に送風する送風機であって、上記送風機は、上記出入口に取り付けられたドア又は引き戸等の出入口用建具の上方に形成され上記特定の空間と上記隣接する部屋とを仕切る仕切り壁に配置され、上記特定の空間から上記隣接する部屋方向に送風するファンを有してなることを特徴とするものである。
【0014】
この第1の発明に係る送風機を上記第2の発明に係る送風機との比較において説明すれば、該送風機の配置位置が、上記第1の発明では上記特定の空間と上記隣接する部屋とを仕切る仕切り壁であるのに対し、この第2の発明では出入口に取り付けられたドア又は引き戸等の出入口用建具の上方に形成され上記特定の空間と上記隣接する部屋とを仕切る仕切り壁に配置されてなる点である。こうした第2の発明に係る送風機による場合であっても、上記第1の発明に係る送風機と同じ作用効果を奏することができる。
【0015】
なお、この第2の発明に係る送風機は、少なくとも上記出入口用建具の上方に形成された仕切り壁に配置されるものであることと、上記特定の空間内の空気を上記隣接する部屋に送風するものであることの両方を満たせば、その形状や大きさ、ファンの数やその位置などは一切限定されるものではない。
【0016】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、住宅用空調システムに係るものであり、廊下又はダイニングルーム等の特定の空間と、この特定の空間との間に形成された仕切り壁を介して隣接する部屋であって内部の空気を排気する排気口が配置された部屋と、を備えた住宅に設けられた住宅用空調システムであって、上記特定の空間には、空気調和機を構成する室内機が設置されてなるとともに、上記仕切り壁には、上記特定の空間内の空気を上記隣接する部屋に送風するファンを備えた送風機が配置されてなり、上記室内機から上記特定の空間内に吐出された空気は、上記ファンの駆動により上記隣接する部屋に送風されるとともに該隣接する部屋内の空気は上記排気口から住宅の外部に排気されることを特徴とするものである。
【0017】
この第3の発明に係る住宅用空調システムは、上記第1の発明に係る送風機を備えた住宅用空調システムであり、上述した第1の発明に係る送風機と同じ作用効果を奏するものえある。
【0018】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)は、上記第3の発明と同じ住宅用空調システムに係るものであり、廊下又はダイニングルーム等の特定の空間と、この特定の空間との間に形成された仕切り壁を介して隣接する部屋であって内部の空気を排気する排気口が配置された部屋と、上記仕切り壁に形成され上記特定の空間と上記隣接する部屋とを往来可能とする出入口と、この出入口に取り付けられドア又は引き戸等の出入口用建具と、を備えた住宅に設けられる住宅用空調システムであって、上記特定の空間には、空気調和機を構成する室内機が設置されてなるとともに、上記仕切り壁であって、上記出入口用建具の上方には、上記特定の空間内の空気を上記隣接する部屋に送風するファンを備えた送風機が配置されてなり、上記室内機から上記特定の空間内に吐出された空気は、上記ファンの駆動により上記隣接する部屋に送風されるとともに該隣接する部屋内の空気は上記排気口から住宅の外部に排気されることを特徴とするものである。
【0019】
この第4の発明に係る住宅用空調システムは、上記第2の発明に係る送風機を備えた住宅用空調システムであり、上述した第2の発明に係る送風機と同じ作用効果を奏するものえある。
【0020】
また、第5の発明(請求項5記載の発明)は、上記第3又は第4の発明の何れかにおいて、前記隣接する部屋の隣には、他の出入口が形成された他の仕切り壁を介して他の隣接する部屋であって内部の空気を排気する排気口が配置された部屋が該隣接する部屋との間で往来可能に設けられ、上記他の出入口にはドア又は引き戸等の他の出入口用建具が取り付けられ、上記他の仕切り壁であって上記他の出入口用建具の上方には、他の送風機が配置されてなることを特徴とするものである。
【0021】
この第5の発明に係る住宅用空調システムでは、隣接する部屋に更に他の隣接する部屋が形成され、該隣接する部屋と他の隣接する部屋との間には他の仕切り壁が形成され、この他の仕切り壁には上記隣接する部屋との間で往来可能な他の出入口が形成されている。そして、この他の出入口には、ドア又は引き戸等の他の出入口用建具が取り付けられ、上記他の仕切り壁であって上記他の出入口用建具の上方には、他の送風機が配置されている。
【0022】
したがって、この第5の発明に係る住宅用空調システムによれば、上記室内機から上記特定の空間内に吐出された空気は、上記送風機を構成するファンの駆動により該特定の部屋から上記隣接する部屋に送風され、さらにこの隣接する部屋内の空気は上記他の送風機により他の隣接する部屋にも送風されることから、より一層広い範囲に亘って上記室内機による空気調和を実現することが可能となる。
【0023】
また、第6の発明(請求項6記載の発明)は、上記第3、第4又は第5の何れかの発明において、前記住宅内には、住宅用換気装置が配置され、この住宅用換気装置は、外気を該住宅内流入させる外気流入ダクトと、この外気流入ダクトから流入した外気を前記特定の空間内に供給する外気供給ダクトと、前記隣接する部屋内の空気又は前記他の隣接する部屋内の空気を吸引する室内空気吸引ダクトと、この室内空気排気ダクト内に流入した室内空気を住宅の外に排気する室内空気排気ダクトと、上記外気流入ダクトから上記外気供給ダクトに至る空気と上記室内空気吸引ダクトから上記室内空気排気ダクトに至る空気との間で熱交換する熱交換素子と、上記外気流入ダクトから流入した空気が上記外気供給ダクトに至るよう駆動する第1の換気扇と、上記室内空気吸引ダクトから流入した空気が上記室内空気排気ダクトに至るよう駆動する第2の換気扇と、を備え、上記特定の空間に形成された天井には、上記外気供給ダクトに連通してなる給気口が形成され、上記外気は、上記第1の換気扇の駆動により、上記外気流入ダクトと上記外気供給ダクトに連通した上記給気口を経て上記特定の空間内に供給されるとともに、該特定の空間に設置された室内機から吐出された空気は、前記送風機を経て上記隣接する部屋内に送風され、上記隣接する部屋内の空気又は上記他の隣接する部屋内の空気は、上記第2の換気扇の駆動により、前記排気口と連通した上記室内空気吸引ダクトと上記室内空気排気ダクトを経て住宅の外に放出されることを特徴とするものである。
【0024】
この第6の発明に係る住宅用空調システムでは、住宅内に配置された住宅用換気装置を利用(構成要素と)したものである。この住宅用換気装置は、外気を該住宅内流入させる外気流入ダクトと、この外気流入ダクトから流入した外気を前記特定の空間内に供給する外気供給ダクトと、前記隣接する部屋内の空気又は前記他の隣接する部屋内の空気を吸引する室内空気吸引ダクトと、この室内空気吸引ダクト内に流入した室内空気を住宅の外に排気する室内空気排気ダクトと、上記外気流入ダクトから上記外気供給ダクトに至る空気と上記室内空気吸引ダクトから上記室内空気排気ダクトに至る空気との間で熱交換する熱交換素子と、上記外気流入ダクトから流入した空気が上記外気供給ダクトに至るよう駆動する第1の換気扇と、上記室内空気吸引ダクトから流入した空気が上記室内空気排気ダクトに至るよう駆動する第2の換気扇と、を備えている。そして、上記住宅用換気装置を構成する上記第1の換気扇と第2の換気扇とが駆動すると、外気は、上記第1の換気扇の駆動により、上記外気流入ダクトと上記外気供給ダクトに連通した上記給気口を経て上記特定の空間内に供給される。また、上記特定の空間に設置された室内機から吐出された空気は、前記送風機を経て上記隣接する部屋内に送風され、上記隣接する部屋内の空気又は上記他の隣接する部屋内の空気は、上記第2の換気扇の駆動により、上記排気口と連通した上記室内空気吸引ダクトと上記室内空気排気ダクトを経て住宅の外に放出される。すなわち、この第6の発明に係る住宅用空調システムでは、上記送風機により特定の空間から上記隣接する部屋や他の隣接する部屋に送風される際、該隣接する部屋内や他の隣接する部屋内は上記第2の換気扇の駆動により負圧とされる。なお、上記住宅用換気装置の配置位置は、天井裏以外の空間、例えば押し入れ内又は押し入れの隣に形成された空間、トイレルームの隣に形成した空間等であれば良い。
【0025】
したがって、この第6の発明に係る住宅用空調システムによれば、上記送風機を構成するファンや該ファンを構成するモータは小型又は低出力のものを使用することができ、騒音の発生も十分抑制することができる。また、上記外気流入ダクトと外気供給ダクト及び給気口を通過して住宅内に供給される外気は、上記熱交換素子により、上記室内空気吸引ダクトから上記室内空気排気ダクトに移動する空気(隣接する部屋内の空気)との間で熱交換された上で、上記室内機が設置された特定の空間内に供給されることから、該特定の空間内は勿論のこと、上記隣接する部屋内も極めて効率の良い空調効果を発揮させることができる。このことは、上記隣接する部屋に上記他の隣接する部屋が隣接している住宅においても同様である。換言すれば、上記送風機を上記特定の空間と隣接する部屋との間に配置し上記室内機から吐出された空気を該隣接する部屋に供給するこの第6の発明に係る住宅用空調システムによれば、従来のような面倒で高コストとなり天井高も低くなるダクトを使用する必要性はなく、また該送風機自体も小型又は低出力のものを使用することができることから、空気調和機を含めた空調設備そのものの導入コスト又はこれを含めた住宅の建設費用も大きく低減することができ、さらには住宅の工期の短縮化にも大いに貢献することができる。
【0026】
また、第7の発明(請求項7記載の発明)は、上記第6の発明において、前記特定の空間に設置され空気調和機を構成する室内機は住宅全体の中で1台であり、この室内機に対応して住宅の外に設置された室外機も1台とされてなることを特徴とするものである。
【0027】
この第7の発明に係る住宅用空調システムによれば、更に一層安価に空調システムを導入することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る送風機及びこの送風機を備えた住宅用空調システムによれば、空気調和機を構成する室内機と室外機との数を大きく減少させることができるばかりではなく、室内機から各部屋への空気の移動手段としてのダクトを一切使用することがなく、さらには室内機が配置される廊下等の空間(特定の空間)の天井高を低いものとすることなく施工の手間を削減することができ、ひいては工事費用も含めた導入コストを大きく低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】第1の実施の形態に係る住宅用空調システムを示す模式図である。
【
図2】第2の実施の形態に係る住宅用空調システムを示す模式図である。
【
図3】第3の実施の形態に係る住宅用空調システムを示す模式図である。
【
図4】第4の実施の形態に係る住宅用空調システムであって1階部分を示す模式図である。
【
図5】第4の実施の形態に係る住宅用空調システムであって2階部分を示す模式図である。
【
図7】送風機と該送風機の配置構造を示す正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための最良の形態に係る住宅用空調システムを、図面を参照しながら詳細且つ具体的に説明する。なお、以下では、それぞれの実施の形態に係る住宅の間取りを説明しながら、本発明を構成する室内機の設置位置や送風機の配置位置を説明し、その後に送風機や住宅用換気装置の詳細を説明する。
【0031】
[第1の実施の形態]
先ず、第1の実施の形態に係る住宅用空調システムに付いて図を参照しながら説明する。なお、この第1の実施の形態係る住宅用空調システムは、平屋住宅に本発明を適用したものである。この平屋住宅1は、
図1に示すように、玄関ホール2と廊下3とがドア等の建具がない状態で連続し、この玄関ホール2の(図面中の)上側には、本発明を構成する隣接する部屋である第1の部屋4が形成され、該第1の部屋4への出入口(符号は省略する。)には、第1のドア5が該出入口を開閉自在に取り付けられている。また、この第1の部屋4とは上記玄関ホール2を間に介した反対側には、本発明を構成する隣接する部屋である第2の部屋6が形成され、該第2の部屋6の出入口には、第2のドア7が開閉自在に取り付けられている。また、上記廊下3に隣接するとともに上記第2の部屋6に壁(符号は省略する。)介して隣り合う部位には、本発明を構成する隣接する部屋である第3の部屋8が形成され、該第3の部屋8の出入口には、第3のドア9が開閉自在に取り付けられている。また、上記廊下3に隣接し上記第3の部屋8とは反対側には、トイレルーム10が形成され、該廊下3とトイレルーム10との出入口(符号は省略する。)には、第4のドア11が開閉自在に取り付けられている。また、上記廊下3には第4の部屋12が隣接している。この第4の部屋12は洗面脱衣室であり、該第4の部屋12の奥には、バスルーム13が形成されている。上記廊下3と第4の部屋12との出入口(符号は省略する。)には、開き戸14が開閉自在に取り付けられ、また、上記バスルーム13の出入口(符号は省略する。)には、第5のドア15が開閉自在に取り付けられている。そして、上記廊下3の長さ方向であって上記玄関ホール2とは反対側には、本発明を構成する隣接する部屋である第5の部屋16が形成されている。この第5の部屋16は、この平屋住宅1の間取りの中で最も広い面積を有してなるものであって、リビングダイニングルームとして使用されるものである。そして、この第5の部屋16の出入口(符号は省略する。)には、第6のドア17が開閉自在に取り付けられている。なお、上記第1の部屋4と上記第4の部屋(洗面脱衣室)12やバスルーム13との間には、該第1の部屋4から出入りする第7の部屋18が形成されている。この第7の部屋18の出入口(符号は省略する。)には、引き戸19が開閉自在に取り付けられている。なお、この第7の部屋18内の角部には、後述する住宅用換気装置202(
図7参照)が収容された換気装置収容空間20が形成されている。
【0032】
そして、上述した間取りからなる平屋住宅1を構成する上記廊下3の壁面(符号は省略する。)には、本発明を構成する室内機200が設置されている。この室内機200は、図示しない空気調和機を構成するものであり、該室内機200に対応した室外機201は、上記第2の部屋6の外側に設置されている。すなわち、上記玄関ホール2とこれに連続した上記廊下3は、本発明を構成する特定の空間である。また、この第1の実施の形態では、上記換気装置収容空間20内に本発明を構成する住宅用換気装置202(
図7参照)が収容されている。そして、上記第1のドア5の上方、上記第2のドア7の上方、上記第3のドア9の上方及び上記第6のドア17の上方には、それぞれ本発明を構成する送風機203が配置されている。また、上記第1の部屋4の天井であって上記第1のドア5の配置位置からやや対角線上(第1のドア5から最も離間した位置)には、該第1の部屋4内の空気が排出される第1の排気口21が設けられ、また、上記第2の部屋6の天井であって上記第2のドア7の配置位置からやや対角線上(第2のドア7から最も離間した位置)には、該第2の部屋6内の空気が排出される第2の排気口22が設けられ、上記第3の部屋8の天井であって上記第3のドア9の配置位置からやや対角線上(第3のドア9から最も離間した位置)には、該第3の部屋8内の空気が排出される第3の排気口23が設けられている。また、第5の部屋16の天井であって上記第6のドア17の配置位置から南側(第5の部屋16内に入って右側の内壁近傍)には第4の排気口24が設けられてなるとともに東側(第5の部屋16内に入った正面側の内壁近傍)には第5の排気口25が設けられている。これら第1ないし第5の排気口21・・・25は、何れも上記住宅用換気装置202を構成する後述の上記室内空気排気ダクト214に接続されてなるものである。
【0033】
また、この実施の形態においては、上記玄関ホール2の天井には、外気(平屋住宅1の外の空気)が該玄関ホール2内に供給される第1の給気口26が形成され、また上記廊下3の天井であって上記第3の部屋8と第4の部屋12との間には、外気が該廊下3内に供給される第2の給気口27が形成されている。これら第1及び第2の給気口26,27は、何れも後述する上記住宅用換気装置202の外気流入ダクト213に接続されてなるものである。なお、この住宅用換気装置202や上記送風機203及び該送風機203の取付位置並びにその構造の詳細は後述する。
【0034】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態に係る住宅用空調システムに付いて
図2を参照しながら説明する。なお、この第2の実施の形態係る住宅用空調システムも平屋住宅に本発明を適用したものである。但し、
図2に示すように、この第2の実施の形態に係る平屋住宅31は、本発明を構成する室内機200は、以下に説明するリビングダイニングルーム内に設置され、この室内機200に対応する室外機201は、該リビングダイニングルームの外に設置されている。以下、詳細に説明する。
【0035】
この第2の実施の形態に係る住宅用空調システムでは、平屋住宅31内には玄関ホール32と廊下33とドア等の建具がない状態で連続し、この玄関ホール32の(図面中の)右側には、第1の部屋(居室)34が形成されている。この第1の部屋34はリビングダイニングルームとして使用される部屋であって、この平屋住宅31全体でほぼ中央に形成されているとともに最も広い面積を有した空間とされている。そして、この第1の部屋34内であって、図面中下側に平成された壁(符号は省略する。)に接近した場所には、本発明を構成する室内機200が設置され、上記壁を隔てた外には、この室内機200に対応した室外機201が設置され、これら室内機200と室外機201とにより空気調和機を構成している。すなわち、この実施の形態においては、上記第1の部屋が本発明を構成する特定の空間である。そして、上記第1の部屋の図中左隣には、第2の部屋35が形成され、該第1の部屋34と第2の部屋35との間には仕切り壁(符号は省略する。)により閉塞されている。なお、この第2の部屋35と上記廊下33とは出入口が形成され、該出入口にはドア(符号は省略する。)が開閉自在に取り付けられている。また、上記第1の部屋34の図中右側には、第3の部屋36と第4の部屋37とが壁(符号は省略する。)を間に介して形成されている。そして、上記第1の部屋34と第3の部屋36との間には出入口(符号は省略する。)が形成され、該出入口には第2のドア38が開閉自在に取り付けられている。そして、上記出入口の上方に形成された後述する仕切り壁には本発明を構成する送風機203(
図8参照)が配置されている。また、上記第1の部屋34と第4の部屋37との間には出入口(符号は省略する。)が形成され、該出入口には第3のドア39が開閉自在に取り付けられている。そして、上記出入口の上方に形成された後述する仕切り壁には本発明を構成する送風機203(
図8参照)が配置されている。すなわち、上記第2の部屋35と第3の部屋36と第4の部屋37は、それぞれ本発明を構成する隣接する部屋である。なお、上記第3の部屋36や第4の部屋37は、それぞれ子供部屋等として利用されるものである。なお、上記第2の部屋35の図中左側には、出入口(符号は省略する。)を介して連通した第5の部屋40が形成され、該出入口は第4のドア41により開閉自在とされている。そして、上記第4のドア41の図中上方にはトイレルーム42が形成され、さらにこのトイレルーム42の図中左側には、後述する住宅用換気装置202(
図7参照)が収容された換気装置収容空間44が形成されている。なお、上記第1の部屋34と第2の部屋35とを仕切る仕切り壁には、本発明を構成する送風機203(
図8参照)が配置されており、後述するように、上記第1の部屋34内に設置された室内機200から吐出された温風又は冷風等の空気は、上記送風機203により、該第1の部屋34から第2の部屋35に送風される。
【0036】
そして、上記第2の部屋35の天井であって、図中下側の左側には、該第2の部屋35内の空気が排出される第1の排気口51が設けられ、また、上記第4の部屋36の天井であって上記第2のドア38の配置位置からやや対角線上(図中斜め右下側)には、該第3の部屋36内の空気が排出される第2の排気口52が設けられている。また、上記第4の部屋37の天井であって上記第3のドア40の配置位置からやや対角線上(図中斜め上側)には、第3の排気口53が設けられている。これら第1ないし第3の排気口51・・・53は、何れも後述するように上記住宅用換気装置202(
図6参照)の室内空気排気ダクト214に連通されている。
【0037】
また、この実施の形態においては、上記第1の部屋34の天井には、外気(平屋住宅31の外の空気)が該第1の部屋34内に供給される第1及び第2の給気口56,57が形成されている。上記第1の給気口56は、上記第1の部屋34の中央からやや斜め左下側に形成され、上記第2の給気口57は、該第1の部屋34の中央からやや斜め右下側に形成されている。そして、これら第1及び第2の給気口56,57は、何れも後述する上記住宅用換気装置202の外気流入ダクト213に接続されてなるものである。
【0038】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態に係る住宅用空調システムに付いて
図3を参照しながら説明する。なお、この第3の実施の形態係る住宅用空調システムも平屋住宅に本発明を適用したものであるが、以下に説明するように、本発明を構成する隣接する部屋としてのリビングダイニングルームとして使用される第1の部屋に更に和室として使用される第2の部屋が本発明を構成する他の隣接する部屋として形成されている。
【0039】
すなわち、この第3の実施の形態に係る住宅用空調システムは、
図3に示すように、平屋住宅61に形成された廊下62に空気調和機を構成する室内機200が設置され、この室内機200に対応する室外機201は、後述する第5の部屋73の外に設置されている。なお、上記廊下62は、本発明を構成する特定の空間である。また、上記廊下62には、本発明を構成する隣接する部屋としての第1の部屋63が形成され、該第1の部屋63の図中下方には、本発明を構成する他の隣接する部屋としての第2の部屋64が形成されている。上記第1の部屋63は、リビングダイニングルームとして使用される部屋であり、上記第2の部屋64は、例えば和室として使用されるものである。そして、上記第1の部屋63は、一方の出入口を介して上記廊下62との間で往来可能となされ、該一方の出入口には第1のドア65が開閉可能に取り付けられている。この一方の出入口は上記廊下62と上記第1の部屋63とを仕切る仕切り壁(符号は省略する。)の一部に形成され、該一方の出入口(上記第1のドア65)の上方に位置する仕切り壁には本発明を構成する(一方の)送風機203が配置されている。この送風機は、上記廊下62内の空気を上記第1の部屋63に送風するものである。また、上記廊下62は、玄関ホール66と連続した空間であり、該玄関ホール66と上記第1の部屋63とは、仕切り壁(符号は省略する。)により仕切られているとともに、該仕切り壁には他方の出入口(符号は省略する。)が形成され、該他方の出入口には第2のドア67が開閉に取り付けられている。すなわち、上記第1の部屋63は、上記一方の出入口と他方の出入口を介して廊下62や玄関ホール66と往来可能とされている。そして、上記他方の出入口(第2のドア67)の上方に形成された仕切り壁には、本発明を構成する(他方の)送風機203が配置されている。したがって、この第3の実施の形態に係る住宅用空調システムでは、上記第1の部屋63には、上記室内機200が設置された廊下62内の空気が上記(一方の)送風機203により、また上記玄関ホール66内の空気が上記(他方の)送風機203により、上記第1の部屋63内に送風されるように構成されている。
【0040】
そして、上記第1の部屋63と第2の部屋64との間には仕切り壁(符号は省略する。)が形成され、この仕切り壁の下方には出入口(符号は省略する。)が形成され、該出入口には複数枚の引戸68が開閉自在に取り付けられているとともに、該出入口(引戸68)の上方に形成された上記仕切り壁には、本発明を構成する送風機203(
図8参照)が配置されている。この送風機203は、上記第1の部屋63内の空気を上記第2の部屋64内に送風するものである。上記第2の部屋64は、本発明を構成する他の隣接する部屋であり、上記第2の部屋64内に送風する送風機203は、本発明を構成する他の送風機である。また、上記廊下62の図中右側には、仕切り壁(符号は省略する。)を介して第3の部屋69が隣接し、該仕切り壁には該廊下62と該第3の部屋69との間を往来する際に使用される出入口(符号は省略する。)が形成され、この出入口には第3のドア70が開閉自在に取り付けられている。この第3の部屋69は、例えば主寝室として利用されるものである。そして、上記第3のドア70の上方に位置する仕切り壁には、本発明を構成する送風機203が配置されている。また、上記第3の部屋69の図中上方には第4の部屋71が形成され、出入口(符号は省略する。)には第4のドア72が開閉自在にとり取り付けられ、該第4のドア72の上方の仕切り壁(符号は省略する。)には本発明を構成する送風機203が配置されている。さらに、上記廊下62の図中上方であって上記第4の部屋71の左側には、第5の部屋73が形成され、該廊下62との出入口(符号は省略する。)には第5のドア74が取り付けられ該第5のドア74の上方には本発明を構成する送風機203が配置されている。なお、上記第5の部屋73の図中左側と上記第1の部屋63の図中斜め上方に形成された洗面脱衣室75との間にはウォークインクローゼット76が形成され、このウォークインクローゼット76内には、後述する住宅用換気装置202(
図7参照)が収容された換気装置収容空間77が形成されている。
【0041】
そして、上記第1の部屋63の天井には、該第1の部屋63内の空気が排出される第1の排気口81と第2の排気口82とが設けられ、また、上記第2の部屋64の天井には該第2の部屋64内の空気が排出される第3の排気口83が設けられている。また、上記第3の部屋69の天井には、第4の排気口84が、また、上記第4の部屋71の天井には、第5の排気口85が設けられ、上記第5の部屋73には、第6の排気口86が設けられている。これら第1ないし第6の排気口81・・・86は、何れも後述するように上記住宅用換気装置202(
図7参照)の室内空気排気ダクト214に連通されている。また、この第3の実施の形態に係る住宅用空調システムでは、上記廊下62の天井には、外気(平屋住宅61の外の空気)が該廊下62内に供給される第1及び第2の給気口87,88が形成されている。これら第1及び第2の給気口87,88は、何れも後述する上記住宅用換気装置202の外気流入ダクト213に連通されてなるものである。
【0042】
[第4の実施の形態]
次に、第4の実施の形態に係る住宅用換気システムについて、
図4及び
図5をそれぞれ参照しながら説明する。この第4の実施の形態に係る住宅用換気システムは、本発明を2階建て住宅に適用したものである。なお、
図4は1階部分を示し、
図5は2階部分を示すものであるが、以下では、後述する室内機200の空気が流入する部屋等の構成を主に説明し、他の構成の説明は割愛する。
【0043】
この2階建て住宅91は、1階部分を示す
図4に示すように、2階に上がる階段92の空間と連通する1階の廊下93が形成され、この1階の廊下93には、第1ないし第3の部屋94,95,96が隣接している。上記第1の部屋94はリビングダイニングルームとして利用され、上記第2の部屋95は和室等として、また上記第3の部屋96は洗面脱衣室として利用される部屋である。そして、上記第1の部屋94の出入口(符号は省略する。)には第1の引戸97が取り付けられ、上記第2の部屋95の出入口には第1のドア98が、また上記第3の部屋96には第2の引き戸99が取り付けられ、これら第1の引戸97,第1のドア98及び第2の引戸99上の仕切り壁には、それぞれ本発明を構成する送風機203が配置されている。また、
図5は2階部分を示すものであり、該2階部分には上記階段92の空間と連通する2階の廊下100が本発明を構成する特定の空間として形成され、この2階の廊下100には室内機200が設置されている。なお、この室内機200に対応する室外機201は、
図4に示すように、上記第1の部屋94の図中上方(1階の外)に設置されている。また、この2階の廊下100には、隣接する部屋として、第4の部屋101と、第5の部屋102と、第6の部屋103が隣接しており、上記2階の廊下100と第4の部屋101との出入口には第2のドア104が、該2階の廊下100と上記第5の部屋102との出入口には第3のドア105が、また該2階の廊下100と上記第6の部屋103との出入口には第4のドア106がそれぞれ開閉自在に取り付けられている。そして、上記第2ないし第4のドア104・・・106の上方の仕切り壁には、それぞれ本発明を構成する送風機203が配置されている。
【0044】
そして、上記1階に形成された第1の部屋94の天井には、第1の排気口111と第2の排気口112と第3の排気口113がそれぞれ互いに離間した位置に設けられ、上記第2の部屋95の天井には第4の排気口114が設けられている。また、上記2階に形成された第4の部屋101には第5の排気口115が、上記第5の部屋102の天井には第6の排気口116が、また上記第6の部屋103の天井には第7の排気口117が設けられている。なお、2階建て住宅91の2階にはトイレルーム109が形成され、このトイレルーム109の図中右側には、後述する住宅用換気装置202(
図7参照)が収容された換気装置収容空間110が形成されている。そして、上記第1ないし第7の排気口111・・・117は、何れも後述する上記住宅用換気装置202の外気流入ダクト213に連通されている。また、この第4の実施の形態に係る住宅用空調システムでは、上記2階の廊下100の天井には、外気(2階建て住宅91の外の空気)が該2階の廊下100内に供給される第1及び第2の給気口118,119が形成されている。これら第1及び第2の給気口118,119は、何れも後述する上記住宅用換気装置202の外気流入ダクト213に連通されてなるものである。なお、以上の説明は、平屋住宅1,31,61と2階建て住宅91に本発明を適用したものであるが、本発明は3階建て住宅に適用したものであっても良いし、アパートやマンション等の集合住宅に適用したものであっても良い。
【0045】
[住宅用換気装置]
以下、上記住宅用換気装置202について、
図6を参照しながら説明する。この住宅用換気装置202は、上記換気装置収容空間20,43,77,110内に収容されるものであって、鉛直方向に長さを有する筐体202a内には、第1の換気扇210と第2の換気扇211と熱交換素子212が内部に収納されている。また、この住宅用換気装置202からは、先端が上記平屋住宅1,31,61の外の空気(外気)又は上記2階建て住宅91の外の空気(外気)が内部に流入する外気流入ダクト213が接続されてなるとともに、本発明を構成する隣接する部屋内の空気を上記平屋住宅1,31,61の外の空気(外気)又は上記2階建て住宅91の外に排気する室内空気吸引ダクト214が接続されている。また、上記住宅用換気装置202には、上記外気流入ダクト213から流入した外気を、本発明を構成する特定の空間内に供給する外気供給管215が接続され、この外気供給管215には、間に第1の分岐チャンバ216を介して第1の外気供給ダクト217の基端と第2の外気供給ダクト218との基端にそれぞれされている。一方、上記住宅用換気装置202には、上記室内空気吸引ダクト214内に各室内の空気を排気する室内空気排出管219が接続され、この室内空気排出管219には第2の分岐チャンバ220が接続され、この第2の分岐チャンバ220には、上記隣接する部屋内の空気が流入する複数の室内空気排気ダクト221・・・223の基端が接続されている。なお、これら室内空気排気ダクト221・・・223の数は、本発明を構成する隣接する部屋の数に応じた数とされている。また、上記住宅用換気装置202は、上記換気装置収容空間20,43,77,110内に収容されるものではなく、例えば天井に配置されるものであっても良い。
【0046】
また、上記熱交換素子212内には、上記外気流入ダクト213から上記外気供給管215に至る空気(外気)が流通する経路と、上記室内空気排出管219内から室内空気吸引ダクト214を通過して排気される空気(室内に存在していたの空気)とが流通する経路とが形成され、該熱交換素子212内を通過することにより互いに熱交換される。また、上記第1の換気扇210は、上記外気流入ダクト213から上記外気供給管215に空気(外気)を移送するものである。上記外気供給管215に流入した外気は、上述した第1の外気供給ダクト217の基端と第2の外気供給ダクト218内に流入し、その後は上述した第1の給気口26,56,118又は上記第2の給気口27,57,118から本発明を構成する特定の空間(玄関ホール2又は廊下3,第1の部屋34,廊下62)内に供給される。また、上記第2の換気扇211は、上記室内空気排出管219内から室内空気吸引ダクト214に空気を移送するものである。そして、上記室内空気排気ダクト221・・・223の先端は、上記各実施の形態に係る住宅用換気システムを構成する排気口(符号は省略する。)に接続されている。すなわち、上記第1の実施の形態に係る住宅用換気システムでは、上記複数の室内空気排気ダクトの内の1つの先端は、上記第1の部屋4の天井に設けられた第1の排気口21に接続され、他の室内空気排気ダクトの先端は、上記第2の部屋6の天井に設けられた第2の排気口22に接続され、また他の室内空気排気ダクトの先端は、上記第3の部屋8の天井に設けられた第3の排気口23に接続され、さらに他の室内空気排気ダクトの先端は、上記第5の部屋16の天井に設けられた第4の排気口24に接続され、最後の室内空気排気ダクトの先端は、上記第5の排気口25に接続されている。上記室内空気排気ダクト(符号は省略する。)の先端と各排気口との関係は、上記第2の実施の形態に係る住宅用換気システムや第3の実施の形態に係る住宅用換気システム、第4の実施の形態に係る住宅用換気システムにおいても同様であり、該複数の室内空気排気ダクト(符号は省略する。)は、
図2ないし
図5に図示した各排気口(符号は省略する。)にそれぞれ連通されている。
【0047】
[送風機]
以下、上述した送風機203について
図8又は
図9を参照しながら詳細に説明する。この送風機203は、
図8又は
図9に示すように、仕切り壁230に固定されてなるものである。この仕切り壁230は、例えば、上記第1の実施の形態に係る住宅用換気システムに係る平屋住宅1を例に説明すると、上記玄関ホール2と第1の部屋4とを仕切るものである。そして、上記送風機203は、この仕切り壁230に設けられ、上記玄関ホール2と第1の部屋4とを往来する出入口に取り付けられた第1のドア5の上方に配置されている。そして、この送風機203は、
図9に示すように、水平方向に長さを有した直方体状の化粧カバー231と、この化粧カバー231に配置された複数のルーバー232を備えている。また、
図8に示すように、内部には上記玄関ホール2側から上記第1の部屋4側に空気を送るファン(クロスフローファン)233が配置されている。なお、上記ファン233は、図示しないシロッコファン等のファンを用いても良い。
【0048】
したがって、上記送風機203やこうした送風機203を使用した住宅用空調システム
によれば、個々の部屋に室内機を設置しこれらに対応した室外機201を住宅1,31,61,91の外に設置する必要性はなく住宅全体に設置する空気調和機を構成する室内機200や室外機201の数を相当低減できるとともに、上記室内機200から吐出された温風や冷風等の空気の移動・移送手段としてのダクトは一切不要となり、このため、該ダクトを配管するための工事費用も含めた導入コストを大きく低減することができ、騒音の発生も十分抑制することができるばかりか、天井高を低くする必要性もなく、快適な居住空間の実現に大きく貢献することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 平屋住宅
2 玄関ホール(特定の空間)
3 廊下(特定の空間)
4 第1の部屋(隣接する部屋)
5 第1のドア(出入口用建具)
6 第2の部屋(隣接する部屋)
7 第2のドア(出入口用建具)
8 第3の部屋(隣接する部屋)
9 第3のドア(出入口用建具)
16 第5の部屋(隣接する部屋)
17 第6のドア(出入口用建具)
21 第1の排気口
22 第2の排気口
23 第3の排気口
24 第4の排気口
25 第5の排気口
26 第1の給気口
27 第2の給気口
31 平屋住宅
34 第1の部屋(特定の空間)
35 第2の部屋(隣接する部屋)
36 第3の部屋(隣接する部屋)
37 第4の部屋(隣接する部屋)
38 第2のドア(出入口用建具)
39 第3のドア(出入口用建具)
51 第1の排気口
52 第2の排気口
53 第3の排気口
56 第1の給気口
57 第2の給気口
61 平屋住宅
62 廊下(特定の空間)
63 第1の部屋(隣接する部屋)
64 第2の部屋(隣接する部屋)
65 第1のドア(出入口用建具)
66 玄関ホール(特定の空間)
67 第2のドア(出入口用建具)
69 第3の部屋(隣接する部屋)
70 第3のドア(出入口用建具)
71 第4の部屋(隣接する部屋)
72 第4のドア(出入口用建具)
73 第5の部屋(隣接する部屋)
74 第5のドア(出入口用建具)
81 第1の排気口9
82 第2の排気口
83 第3の排気口
84 第4の排気口
85 第5の排気口
86 第6の排気口
87 第1の給気口
88 第2の給気口
91 2階建て住宅
93 1階の廊下(特定の空間)
94 第1の部屋(隣接する部屋)
95 第2の部屋(隣接する部屋)
96 第3の部屋(隣接する部屋)
97 第1の引戸(出入口用建具)
98 第1のドア(出入口用建具)
99 第2の引き戸(出入口用建具)
100 2階の廊下(特定の空間)
101 第4の部屋(隣接する部屋)
102 第5の部屋(隣接する部屋)
103 第6の部屋(隣接する部屋)
104 第2のドア(出入口用建具)
105 第3のドア(出入口用建具)
106 第4のドア(出入口用建具)
111 第1の排気口
112 第2の排気口
113 第3の排気口
114 第4の排気口
115 第5の排気口
116 第6の排気口
117 第7の排気口
118 第1の給気口
119 第2の給気口
200 室内機
201 室外機
202 住宅用換気装置
203 送風機
210 第1の換気扇
211 第2の換気扇
212 熱交換素子
213 外気流入ダクト
214 室内空気吸入ダクト
217 第1の外気供給ダクト
218 第2の外気供給ダクト
221・・・223 室内空気排気ダクト
233 ファン