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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004315
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】装具及び関節機構
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/01 20060101AFI20250107BHJP
【FI】
A61F5/01 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103916
(22)【出願日】2023-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000125381
【氏名又は名称】学校法人藤田学園
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】山中 温子
(72)【発明者】
【氏名】藤掛 祥則
(72)【発明者】
【氏名】平野 哲
(72)【発明者】
【氏名】井元 大介
(72)【発明者】
【氏名】井伊 卓真
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 慎弥
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大典
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA01
4C098BB12
4C098BC01
4C098BD01
4C098BD13
(57)【要約】
【課題】容易に屈曲角度の微調整を行うこと。
【解決手段】装具は、装着者の身体部位に装着される第1及び第2部材と、第1及び第2部材を支持する関節機構と、を備える。関節機構は、回転軸を中心に第1部材と共に回動するように第1部材に固定された回転部材と、第2部材にスライド可能に設けられ回転部材の一端に当接することで回転部材の一方向への回転を規制する第1スライド部材と、第2部材にスライド可能に設けられ回転部材の他端に当接することで回転部材の他方向への回転を規制する第2スライド部材と、押引き部と、押引き部の往復動に応じて伸縮することで第1スライド部材に対し当接状態及び非当接状態となる第1当接部と、押引き部の往復動に応じて伸縮することで第2スライド部材に対し当接状態及び非当接状態となる第2当接部と、を有するクランプ機構と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の第1の骨部に沿った身体部位に装着される第1部材と、
前記装着者の第2の骨部に沿った身体部位に装着される第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材とが回転軸を中心として互いに回動可能なように、前記第1部材と前記第2部材とを支持する関節機構と、
を備える装具であって、
前記関節機構は、
前記関節機構の回転軸を中心に、前記第1部材と共に回動するように該第1部材に固定された回転部材と、
前記第2部材にスライド可能に設けられ、前記回転部材の一端に当接することで、前記回転部材の一方向への回転を規制する第1スライド部材と、
前記第2部材にスライド可能に設けられ、前記回転部材の他端に当接することで、前記回転部材の一方向とは逆の他方向への回転を規制する第2スライド部材と、
ユーザが押し引きすることで往復動する押引き部と、前記押引き部から前記第1スライド部材側に延び、前記押引き部の往復動に応じて伸縮することで、前記第1スライド部材に対し当接状態及び非当接状態となる第1当接部と、前記押引き部から前記第2スライド部材側に延び、前記押引き部の往復動に応じて伸縮することで、前記第2スライド部材に対し当接状態及び非当接状態となる第2当接部と、を有するクランプ機構と、
を備える、
装具。
【請求項2】
請求項1記載の装具であって、
前記第1及び第2スライド部材が前記回転部材に当接する該第1及び第2スライド部材の先端には、該当接のショックを吸収する吸収部が夫々設けられている、
装具。
【請求項3】
請求項1又は2記載の装具であって、
前記関節機構の回動軸を中心に前記第1部材と共に回動するように該第1部材に固定されたピン部材に一端が係合すると共に、前記第2部材に固定された中心軸を中心に前記第1部材に連動して回動することで他端が前記第1及び第2部材の屈曲角を示すように構成された角度指示部を更に備える、
装具。
【請求項4】
装着者の第1の骨部に沿った身体部位に装着される第1部材と、前記装着者の第2の骨部に沿った身体部位に装着される第2部材と、が回動軸を中心として互いに回動可能なように、前記第1部材と前記第2部材とを支持する関節機構であって、
前記回動軸を中心に、前記第1部材と共に回動するように該第1部材に固定された回転部材と、
前記第2部材にスライド可能に設けられ、前記回転部材の一端に当接することで、前記回転部材の一方向への回転を規制する第1スライド部材と、
前記第2部材にスライド可能に設けられ、前記回転部材の他端に当接することで、前記回転部材の一方向とは逆の他方向への回転を規制する第2スライド部材と、
ユーザが押し引きすることで往復動する押引き部と、前記押引き部から前記第1スライド部材側に延び、前記押引き部の往復動に応じて伸縮することで、前記第1スライド部材に対し当接状態及び非当接状態となる第1当接部と、前記押引き部から前記第2スライド部材側に延び、前記押引き部の往復動に応じて伸縮することで、前記第2スライド部材に対し当接状態及び非当接状態となる第2当接部と、を有するクランプ機構と、
を備える、
関節機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着者の身体部位に装着される装具及び関節機構に関する。
【背景技術】
【0002】
装着者の第1の骨部に沿った身体部位に装着される第1部材と、装着者の第2の骨部に沿った身体部位に装着される第2部材と、第1部材と第2部材とが回動軸を中心として互いに回動可能なように、第1部材と第2部材とを支持する関節機構と、を備える装具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
関節機構は、関節機構の回動軸を中心に、第1部材と共に回動するように第1部材に固定された回転部材と、第2部材に固定され、回転部材の一端に当接することで、回転部材の一方向への回転を規制する第1規制部材と、第2部材に固定され、回転部材の他端に当接することで、回転部材の一方向とは逆の他方向への回転を規制する第2規制部材と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6919293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記関節機構において、屈曲角度調整できる角度が予め決められており微調整ができず、調整ピンを1本ずつ調整し固定するなどの調整の手間がかかるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、容易に屈曲角度の微調整を行うことができる装具及び関節機構を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
装着者の第1の骨部に沿った身体部位に装着される第1部材と、
前記装着者の第2の骨部に沿った身体部位に装着される第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材とが回転軸を中心として互いに回動可能なように、前記第1部材と前記第2部材とを支持する関節機構と、
を備える装具であって、
前記関節機構は、
前記関節機構の回転軸を中心に、前記第1部材と共に回動するように該第1部材に固定された回転部材と、
前記第2部材にスライド可能に設けられ、前記回転部材の一端に当接することで、前記回転部材の一方向への回転を規制する第1スライド部材と、
前記第2部材にスライド可能に設けられ、前記回転部材の他端に当接することで、前記回転部材の一方向とは逆の他方向への回転を規制する第2スライド部材と、
ユーザが押し引きすることで往復動する押引き部と、前記押引き部から前記第1スライド部材側に延び、前記押引き部の往復動に応じて伸縮することで、前記第1スライド部材に対し当接状態及び非当接状態となる第1当接部と、前記押引き部から前記第2スライド部材側に延び、前記押引き部の往復動に応じて伸縮することで、前記第2スライド部材に対し当接状態及び非当接状態となる第2当接部と、を有するクランプ機構と、
を備える、
装具。
この一態様において、前記第1及び第2スライド部材が前記回転部材に当接する該第1及び第2スライド部材の先端には、該当接のショックを吸収する吸収部が夫々設けられていてもよい。
この一態様において、前記関節機構の回動軸を中心に前記第1部材と共に回動するように該第1部材に固定されたピン部材に一端が係合すると共に、前記第2部材に固定された中心軸を中心に前記第1部材に連動して回動することで他端が前記第1及び第2部材の屈曲角を示すように構成された角度指示部を更に備えていてもよい。
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
装着者の第1の骨部に沿った身体部位に装着される第1部材と、前記装着者の第2の骨部に沿った身体部位に装着される第2部材と、が回動軸を中心として互いに回動可能なように、前記第1部材と前記第2部材とを支持する関節機構であって、
前記回動軸を中心に、前記第1部材と共に回動するように該第1部材に固定された回転部材と、
前記第2部材にスライド可能に設けられ、前記回転部材の一端に当接することで、前記回転部材の一方向への回転を規制する第1スライド部材と、
前記第2部材にスライド可能に設けられ、前記回転部材の他端に当接することで、前記回転部材の一方向とは逆の他方向への回転を規制する第2スライド部材と、
ユーザが押し引きすることで往復動する押引き部と、前記押引き部から前記第1スライド部材側に延び、前記押引き部の往復動に応じて伸縮することで、前記第1スライド部材に対し当接状態及び非当接状態となる第1当接部と、前記押引き部から前記第2スライド部材側に延び、前記押引き部の往復動に応じて伸縮することで、前記第2スライド部材に対し当接状態及び非当接状態となる第2当接部と、を有するクランプ機構と、
を備える、
関節機構
であってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、容易に屈曲角度の微調整を行うことができる装具及び関節機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態にかかる装具の構成を示す外観斜視図である。
図2】関節機構の構成を示す側面図である。
図3】関節機構の構成を示す側面図である。
図4】関節機構の構成を示す側面図である。
図5】関節機構の構成を示す側面図である。
図6】クランプ機構の構成を示す図である。
図7】クランプ機構の構成を示す図である。
図8】第1当接部の先端が第1スライド部材に当接した当接状態を示す図である。
図9】第1当接部の先端が第1スライド部材から離間した非当接状態を示す図である。
図10】移動部の先端部を示す図である。
図11】当接のショックを吸収する吸収部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。
【0011】
図1は、本実施形態にかかる装具の構成を示す外観斜視図である。装具1は、装着者の、下腿の骨(脛骨と腓骨)と距骨とを接続する足関節の可動範囲を規制する規制器具である。
【0012】
装具1は、主に、下腿の骨の側であって下腿(第2の骨部)をサポートする下腿フレーム2と、距骨の側であって踝から先の足(第1の骨部)をサポートする足裏フレーム3と、足関節の可動方向に沿って規制された揺動範囲で揺動可能なようにこの2つのフレームを支持する関節機構4と、によって構成される。足裏フレーム3は、第1部材の一具体例である。下腿フレーム2は、第2部材の一具体例である。
【0013】
足裏フレーム3は、足裏を載置する載置面を有する底板31と、底板31の側方に立設された側板32とを有する。より具体的には、関節機構4は、下腿フレーム2の下端と足裏フレーム3の側板32とを、揺動可能に連結している。足裏フレーム3の足への装着は、不図示の装着ベルト等を介して実現される。
【0014】
装着者が例えば靴状のカップソールを履く場合には、カップソールを固定するように構成しても良い。関節機構4は、後述するように、足関節が身体的に本来曲げられる範囲よりも狭い範囲で揺動する構造を有する。なお、図1は、後の図面との関係がわかるように、関節機構のカバー41(後述する)を透視した状態を示している。
【0015】
下腿フレーム2の下腿への装着は、不図示の装着ベルト等を介して実現される。足関節の可動範囲は、外側に配設された関節機構4によって規制される。このように構成することにより、装具1を装着者に装着したまま規制する範囲を調整する場合に都合が良い。
【0016】
なお、図1は、患脚が右脚であることを想定しており、関節機構4が右脚の外側に配置される様子を示している。本実施形態においては、装具1は、右脚用の規制器具であるが、もちろん、関節機構4を左脚の外側に配置した左脚用の装具1を製作することもできる。
【0017】
図2乃至図5は、関節機構の構成を示す側面図である。なお、図2及び図3は、足裏フレーム3の背屈角を制限した状態を示す図である。図4及び図5は、足裏フレーム3の底屈角を制限した状態を示す図である。なお、図1乃至図5は、関節機構の内部構造が分かり易くなるように、カバーを透視した状態を示す図である。
【0018】
関節機構4は、足裏フレーム3と下腿フレーム2とが回転軸33を中心として互いに回転可能なように、足裏フレーム3と下腿フレーム2とを支持する。
【0019】
関節機構4は、回転軸33を中心に、足裏フレーム3と共に回転する回転部材42と、回転部材42の一方向への回転を規制する第1スライド部材43と、回転部材42の一方向とは逆の他方向への回転を規制する第2スライド部材44と、第1及び第2スライド部材43、44をクランプするクランプ機構45と、を備えている。
【0020】
足裏フレーム3の側板32の上端には、回転軸33が形成されている。下腿フレーム2の下端には、足裏フレーム3を連結するための連結部21が形成されている。連結部21には、貫通孔22が形成されている。下腿フレーム2の連結部21の貫通孔22に足裏フレーム3の側板32の回転軸33が挿入されている。これにより、足裏フレーム3は、回転軸33を中心に下腿フレーム2に対して揺動することができる。このように、足裏フレーム3の回転軸33は、関節機構4の回転軸33として機能する。
【0021】
回転部材42は、板状の部材で構成されている。回転部材42は、足裏フレーム3の側板32の回転軸33に固定されている。したがって、回転部材42は、回転軸33を中心に、足裏フレーム3と共に回転する。
【0022】
下腿フレーム2の連結部21の上端面には、一対の貫通孔が形成されている。第1スライド部材43は、連結部21の上端面の一方の貫通孔に挿入されている。このように、第1スライド部材43は、下腿フレーム2に上下方向へスライド可能に設けられている。
【0023】
第1スライド部材43は、回転部材42の一端に当接することで、回転部材42の一方向への回転を規制する。図2及び図3において、第1スライド部材43は、回転部材42の反時計方向への回転を規制する。
【0024】
回転部材42は、足裏フレーム3の側板32の回転軸33に固定され、足裏フレーム3と共に回動する。したがって、第1スライド部材43は、足裏フレーム3の反時計方向への回転である背屈を規制する。
【0025】
また、第1スライド部材43による、下腿フレーム2の連結部21の貫通孔への挿入深さを調整することで、回転部材42の反時計方向への回転範囲を調整し、足裏フレーム3の背屈角の範囲を調整できる。例えば、図2及び図3に示す如く、第1スライド部材43によって、足裏フレーム3の背屈角は、約30°に制限されている。このように、ユーザは、第1スライド部材43の挿入深さを調整するだけで、容易に足裏フレーム3の背屈角の範囲の微調整を行うことができる。
【0026】
一方で、第2スライド部材44は、連結部21の上端面の他方の貫通孔に挿入されている。このように、第2スライド部材44は、下腿フレーム2に上下方向へスライド可能に設けられている。第2スライド部材44は、回転部材42の他端に当接することで、回転部材42の他方向への回転を規制する。
【0027】
図4及び図5において、第2スライド部材44は、回転部材42の時計方向への回転を規制する。回転部材42は、足裏フレーム3の側板32の回転軸33に固定され、足裏フレーム3と共に回動する。したがって、第2スライド部材44は、足裏フレーム3の時計方向への回転である底屈を規制する。
【0028】
また、第2スライド部材44による、下腿フレーム2の連結部21の貫通孔への挿入深さを調整することで、回転部材42の時計方向への回転範囲を調整し、足裏フレーム3の底屈角の範囲を調整できる。例えば、図4及び図5に示す如く、第2スライド部材44によって、足裏フレーム3の底屈角は、約10°に制限されている。このように、ユーザは、ユーザは、第2スライド部材44の挿入深さを調整するだけで、容易に足裏フレーム3の底屈角の範囲の微調整を行うことができる。
【0029】
関節機構4は、下腿フレーム2及び足裏フレーム3の屈曲角を示す角度指示部46を備えていてもよい。この角度指示部46の指し示す角度により、ユーザは、下腿フレーム2及び足裏フレーム3の屈曲角を容易に認識できる。
【0030】
図2に示す如く、足裏フレーム3の側板32の回転軸33には、ピン部材331が固定されている。下腿フレーム2の連結部21を覆うカバー41には、回転軸411が固定されている。角度指示部46は回転軸411を中心に回転するように、回転軸411に取り付けられている。角度指示部46の一端がピン部材331に係合している。
【0031】
この構成により、足裏フレーム3の回転軸33が回転し、ピン部材331が回転すると、角度指示部46も連動して回転し、角度指示部46の他端が、カバー41に予め記載された下腿フレーム2及び足裏フレーム3の屈曲角を指し示す。
【0032】
図6及び図7は、クランプ機構の構成を示す図である。図6は、クランプ機構が第1及び第2スライド部材43、44をクランプした状態を示す図である。図7は、クランプ機構が第1及び第2スライド部材43、44のクランプを解除した状態(アンクランプ状態)を示す図である。なお、図6及び図7は、図2乃至図5に示すクランプ機構を水平方向に切断した断面を示している。
【0033】
クランプ機構45は、ユーザが押し引きする押引き部451と、第1スライド部材43に対し当接状態及び非当接状態となる第1当接部452と、第2スライド部材44に対し当接状態及び非当接状態となる第2当接部453と、を有している。
【0034】
押引き部451は、ユーザが押し引きすることで往復動するよう構成されている。第1当接部452は、押引き部451に連結され、押引き部451から第1スライド部材43側に延びる。第1当接部452は、押引き部451の往復動に応じて伸縮する伸縮機構454を有している。
【0035】
図8は、第1当接部の先端が第1スライド部材43に当接した当接状態を示す図である。図9は、第1当接部の先端が第1スライド部材43から離間した非当接状態を示す図である。第1当接部452の伸縮機構454が伸縮することで、その先端部が第1スライド部材43に対し当接状態及び非当接状態となる。
【0036】
伸縮機構454は、例えば、図6及び図7に示す如く、移動部455と、一端が移動部455に連結され他端が押引き部451に揺動可能に連結された揺動部456と、を有している。揺動部456は、押引き部451の往復動に応じて、一端を中心に揺動する。
【0037】
移動部455には、図10に示す如く、先端部457が固定されている。先端部457は連結部21の貫通孔を貫通し第1スライド部材43に当接する。移動部455は、第1スライド部材43に対し接近方向に移動すると、先端部457も第1スライド部材43に接近し第1スライド部材43に当接する。これにより、第1スライド部材43の位置は固定されクランプ状態となる。
【0038】
一方で、移動部455は、第1スライド部材43から離間方向に移動すると、先端部457も第1スライド部材43から離間する。これにより、第1スライド部材43の固定は解除されアンクランプ状態となるため、第1スライド部材43を自由に動かすことができる。
【0039】
ユーザが押引き部451を押し、揺動部456が揺動することで、揺動部456が突っ張るように、移動部455を第1スライド部材43側に押圧する。これにより、移動部455が第1スライド部材43に対し接近方向に移動し、先端部457が第1スライド部材43に当接する(図6及び図8)。この状態は、第1当接部452の伸縮機構454が伸長している状態である。
【0040】
一方で、ユーザが押引き部451を引き、揺動部456が揺動することで、揺動部456が移動部455を押引き部451側に引っ張る。これにより、移動部455が第1スライド部材43に対し離間方向に移動し、先端部457が第1スライド部材43から離間する(図7及び図9)。この状態は、第1当接部452の伸縮機構454が収縮している状態である。
【0041】
なお、図10に示す如く、移動部455と連結部21との間にはバネ部材458が設けられていてもよい。例えば、バネ部材458は、皿バネ等である。先端部457はバネ部材内に挿入され、連結部21の貫通孔に挿入されている。なお、上記伸縮機構454の構成は一例であり、これに限定されず、任意の構成であってもよい。
【0042】
第2当接部453は、上記第1当接部452と略同一の構成を有している。第2当接部453は、押引き部451に連結され、押引き部451から第2スライド部材44側に延びる。第2当接部453は、押引き部451の往復動に応じて伸縮する伸縮機構454を有している。第2当接部453の伸縮機構454が伸縮することで、その先端部が第2スライド部材44に対し当接状態及び非当接状態となる。
【0043】
このように、ユーザは、押引き部451を引くだけで、容易に、第1及び第2スライド部材43、44を同時にアンクランプ状態にできる。そして、ユーザは、このアンクランプ状態で、第1及び第2スライド部材43、44の挿入深さを調整する。この第1及び第2スライド部材43、44の挿入深さに応じて、上述した足裏フレーム3の底屈角の範囲が決定される。ユーザは、挿入深さ調整後、押引き部451を押すだけで、容易に、第1及び第2スライド部材43、44を同時にクランプ状態にできる。ユーザは、このような一連の動作で足裏フレーム3の底背屈角の範囲の微調整を簡易かつ迅速に行うことができる。
【0044】
第1スライド部材43が回転部材42に当接する第1スライド部材43の先端には、図11に示す如く、当接のショックを吸収する吸収部47が設けられていてもよい。同様に、第2スライド部材44が回転部材42に当接する第2スライド部材44の先端には、当接のショックを吸収する吸収部47が設けられていてもよい。
【0045】
吸収部47は、例えば、バネ部材などからなるショックアブゾーバとして構成されている。これにより、第1及び第2スライド部材43、44が回転部材42に当接した際のショックを吸収部47により吸収することで、足関節の屈曲角度が制限されたときの違和感を効果的に緩和できる。
【0046】
以上、本実施形態に係る関節機構4は、関節機構4の回転軸33を中心に、足裏フレーム3と共に回動するように足裏フレーム3に固定された回転部材42と、下腿フレーム2にスライド可能に設けられ、回転部材42の一端に当接することで、回転部材42の一方向への回転を規制する第1スライド部材43と、下腿フレーム2にスライド可能に設けられ、回転部材42の他端に当接することで、回転部材42の一方向とは逆の他方向への回転を規制する第2スライド部材44と、ユーザが押し引きすることで往復動する押引き部451と、押引き部451から第1スライド部材43側に延び、押引き部451の往復動に応じて伸縮することで、第1スライド部材43に対し当接状態及び非当接状態となる第1当接部452と、押引き部451から第2スライド部材44側に延び、押引き部451の往復動に応じて伸縮することで、第2スライド部材44に対し当接状態及び非当接状態となる第2当接部453と、を有するクランプ機構45と、を備える。
【0047】
これにより、ユーザは、押引き部451を引くだけで、容易に、第1及び第2スライド部材43、44を同時にアンクランプ状態にできる。そして、ユーザは、このアンクランプ状態で、第1及び第2スライド部材43、44の位置を調整する。ユーザは、その調整後、押引き部451を押すだけで、容易に、第1及び第2スライド部材43、44を同時にクランプ状態にできる。ユーザは、このような一連の動作で容易に屈曲角度の微調整を行うことができる。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0049】
なお、上記実施形態において、関節機構4は、足首関節に適用されているが、これに限定されない。関節機構4は、例えば、手首関節などの他の関節に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 装具、2 下腿フレーム、3 足裏フレーム、4 関節機構、21 連結部、22 貫通孔、31 底板、32 側板、33 回転軸、41 カバー、42 回転部材、43 第1スライド部材、44 第2スライド部材、45 クランプ機構、46 角度指示部、47 吸収部、331 ピン部材、411 回転軸、51 押引き部、452 第1当接部、453 第2当接部、454 伸縮機構、455 移動部、456 揺動部、457 先端部、458 バネ部材
図1
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図11