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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025043256
(43)【公開日】2025-03-28
(54)【発明の名称】スライドレール組立体
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/403 20170101AFI20250321BHJP
   A47B 88/467 20170101ALI20250321BHJP
【FI】
A47B88/403
A47B88/467
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024080001
(22)【出願日】2024-05-16
(31)【優先権主張番号】112135589
(32)【優先日】2023-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】504297766
【氏名又は名称】川湖科技股▲分▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】513240939
【氏名又は名称】川益科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】陳 庚金
(72)【発明者】
【氏名】蘇 芳成
(72)【発明者】
【氏名】湯 岳樺
(72)【発明者】
【氏名】王 俊強
【テーマコード(参考)】
3B160
【Fターム(参考)】
3B160AA01
3B160AB12
3B160BA02
3B160CA02
3B160CA13
3B160DB03
3B160EA04
3B160EA14
3B160EA32
3B160EA35
(57)【要約】      (修正有)
【課題】少なくとも2つのスライドレールの相対位置の誤差を補償することが可能なスライドレール組立体を提供する。
【解決手段】スライドレール組立体20は、第1レール22と、第2レール24と、補助スライド装置と、補償装置38と、第3レール26とを備えている。補助スライド装置は、第1レールと第2レールとの間に移動可能に取り付けられている。補償装置は、第2レールに移動可能に取り付けられている。第2レールは、第3レールに移動可能に取り付けられるように構成されている。補償装置は、第1レールと第2レールとの相対位置の誤差を補償するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向、又は前記第1方向に対し逆である第2方向に変位可能である第1レールと、
第2レールと、
前記第1レールに配置されている第1特徴部と、
前記第2レールに取り付けられ、第1状態と第2状態との間で移動可能である補償装置であり、第2特徴部を含む補償装置と、
第3レールとを備え、
前記第2レールは、前記第3レールに移動可能に取り付けられ、前記第3レールは、支持区間とブロッキング部とを含み、前記支持区間は、前記第2レール又は前記補償装置を支持するように構成され、
前記第2レールが前記第1レールに対して前進位置へ変位した後に、前記第1レールが前記第1方向に変位することにより、前記第3レールの前記ブロッキング部と前記第1状態にある前記補償装置とを駆動し、相互にブロッキングさせ、
前記第1レールが前記第1方向に所定距離をもって変位して、前記第1特徴部と前記第1状態にある前記補償装置とが駆動されて、相互に突き当たるまで、前記第2レールを停止させ、前記第1状態から前記第2状態へ移動するように前記補償装置を駆動し、
前記補償装置が前記第2状態にある場合に、前記第3レールの前記ブロッキング部は、前記補償装置をブロッキングしない、
スライドレール組立体。
【請求項2】
前記第2レールが前記第1レールに対してラグ位置へ変位した後に、前記第1レールが前記第1方向に変位することにより、前記第1特徴部と前記第1状態にある前記補償装置の前記第2特徴部とが駆動されて、相互に突き当たり、
前記補償装置が駆動されて、前記第1状態から前記第2状態へ移動するまで、前記第2レールを駆動して、前記第1レールとともに同期して、前記第1方向に別の所定距離をもって変位させる、請求項1記載のスライドレール組立体。
【請求項3】
前記補償装置は、前記第2レールに枢軸的に接続されている、請求項1記載のスライドレール組立体。
【請求項4】
前記第1特徴部と前記第2特徴部とのうちの1つは、第1ガイド部分を含み、前記補償装置はさらに、所定特徴部を含み、
前記第2レールが前記第1レールに対して前記前進位置へ変位した後に、前記第1レールが前記第1方向に変位することにより、前記第3レールの前記ブロッキング部と前記第1状態にある前記補償装置の前記所定特徴部とを駆動し、相互にブロッキングさせ、
前記第1レールが前記第1方向に前記所定距離をもって変位して、前記第1特徴部と前記第1状態にある前記補償装置の前記第2特徴部とが前記第1ガイド部分によって駆動されて、相互に突き当たるまで、前記第2レールを停止させ、前記第1状態から前記第2状態へ移動するように前記補償装置を駆動し、
前記補償装置が前記第2状態にある場合に、前記第3レールの前記ブロッキング部は、前記補償装置の前記所定特徴部をブロッキングしない、請求項2又は3記載のスライドレール組立体。
【請求項5】
前記補償装置はさらに、本体と、作業部材とを含み、前記作業部材は、前記本体に移動可能に取り付けられ、前記第2特徴部は、前記作業部材に配置されている、請求項1記載のスライドレール組立体。
【請求項6】
前記補償装置はさらに、復元弾性部材を含み、前記第1特徴部と前記第2特徴部とのうちの1つ、又は別の1つはさらに、第2ガイド部分を含み、
前記第1レールが前記第2方向に変位する間に、前記第1特徴部と前記第1状態にある前記補償装置の前記第2特徴部とは、前記第2ガイド部分によって相互に突き当てられて、前記作業部材を駆動して作業位置から移動させ、前記第1特徴部が前記第2方向に前記作業部材を通り過ぎることを可能にし、
前記第1特徴部が前記作業部材を通り過ぎた後に、前記作業部材は、前記復元弾性部材から与えられた復元弾性力に応答して前記作業位置へ移動する、請求項5記載のスライドレール組立体。
【請求項7】
前記作業部材は、前記本体に枢軸的に接続されている、請求項5又は6記載のスライドレール組立体。
【請求項8】
前記補償装置はさらに、弾性部材と弾性部分とを含み、前記補償装置は、前記弾性部材から与えられた弾性力に応答して、前記第2状態から前記第1状態へ移動し、
前記弾性部分は、前記補償装置が前記第2状態から前記第1状態へ移動した場合に、前記第2レールに突き当たるように構成されている、請求項1記載のスライドレール組立体。
【請求項9】
前記ラグ位置と前記前進位置とは、所定位置からずれていて、
前記第2レールが前記第1レールに対して前記所定位置にある場合に、前記第2特徴部は、第1長手方向距離をもって前記第1特徴部からスペースをあけ、
前記第2レールが前記第1レールに対して、前記所定位置からずれた前記ラグ位置にある場合に、前記第2特徴部は、前記第1長手方向距離よりも小さい第2長手方向距離をもって前記第1特徴部からスペースをあけ、
前記第2レールが前記第1レールに対して、前記所定位置からずれた前記前進位置にある場合に、前記第2特徴部は、前記第1長手方向距離よりも大きい第3長手方向距離をもって前記第1特徴部からスペースをあけている、請求項2記載のスライドレール組立体。
【請求項10】
前記前進位置は、所定位置からずれていて、
前記第2レールが前記第1レールに対して前記所定位置にある場合に、前記第2特徴部は、第1長手方向距離をもって前記第1特徴部からスペースをあけ、
前記第2レールが前記第1レールに対して、前記所定位置からずれた前記前進位置にある場合に、前記第2特徴部は、前記第1長手方向距離よりも大きい第3長手方向距離をもって前記第1特徴部からスペースをあけている、請求項1記載のスライドレール組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の(特徴項に先立つ)プレアンブルに係るスライドレール組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第11272784号(特許文献1)は、引き出し用ガイドを開示し、引き出し用ガイドは、相対的に相互に変位可能である少なくとも2つのガイドレールと、荷重伝達する転動体を有するスライドキャリッジとを備えている。スライドキャリッジは、少なくとも2つのガイドレールの間に移動可能に支持されている。少なくとも2つのガイドレールの相対位置は、スライドキャリッジの移動に伴って所定の相対位置に予め設定される。引き出し用ガイドはさらに、補償装置を含み、補償装置は、少なくとも2つのガイドレールの相対位置の誤差(エラー)、即ち、所定の相対位置からのずれを補償する。補償装置は、操作装置と切り替え装置とを有する。操作装置は、少なくとも2つのガイドレールの相対位置の誤差を補償するために、少なくとも2つのガイドレールのうちの1つによって操作されるように構成されている。少なくとも2つのガイドレールが所定の相対位置にある場合に、切り替え装置は、少なくとも2つのガイドレールのうちの1つから補償装置を係合解除するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第11272784号
【特許文献2】米国特許第9526334号
【特許文献3】米国特許第9498061号
【発明の概要】
【0004】
しかし、様々な要求を満たすためには、少なくとも2つのスライドレールの相対位置の誤差を補償するための代替の解決を提供することが、重要な課題となる。
【0005】
これを念頭に置いて、本発明は、補償装置を利用して少なくとも2つのスライドレールの相対位置の誤差を補償するスライドレール組立体を提供することを意図する。
【0006】
これは、請求項1に記載のスライドレール組立体によって達成される。従属請求項は、対応する一層の開発及び改良に関係する。
【0007】
下記に述べる詳細な説明から、一層明らかに理解されるように、請求項に記載したスライドレール組立体は、第1方向、又は第1方向に対し逆である第2方向に変位可能である第1レールと;第2レールと;第1レールに配置されている第1特徴部と;第2レールに取り付けられ、第1状態と第2状態との間で移動可能である補償装置であり、第2特徴部を含む補償装置と;第3レールとを備え;第2レールは、第3レールに移動可能に取り付けられ、第3レールは、支持区間とブロッキング部とを含み、支持区間は、第2レール又は補償装置を支持するように構成され;第2レールが第1レールに対して前進位置へ変位した後に、第1レールが第1方向に変位することにより、第3レールのブロッキング部と第1状態にある補償装置とを駆動し、相互にブロッキングさせ;第1レールが第1方向に所定距離をもって変位して、第1特徴部と第1状態にある補償装置とが駆動されて、相互に突き当たるまで、第2レールを停止させ、第1状態から第2状態へ移動するように補償装置を駆動し;補償装置が第2状態にある場合に、第3レールのブロッキング部は、補償装置をブロッキングしないものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下では、本発明を、下記の添付の図面を参照しながら、例としてさらに説明する。
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るスライドレール組立体の概略図である。
図2】本発明の実施形態に係るスライドレール組立体の分解図である。
図3】本発明の実施形態に係るスライドレール組立体の部分図である。
図4】本発明の実施形態に係る補償装置の異なる視点での図である。
図5】本発明の実施形態に係る補償装置の異なる視点での図である。
図6】本発明の実施形態に係り、第2レールが第1レールに対して所定の位置に配置された場合での、第1後退状態にあるスライドレール組立体の図である。
図7】本発明の実施形態に係り、第2レールが第1レールに対してラグ位置に配置された場合での、第2後退状態にあるスライドレール組立体の図である。
図8】本発明の実施形態に係り、第1レールを図7に示す位置から第1方向に変位させ、第1特徴部を駆動して、補償装置の第2特徴部に突き当てることを示す図である。
図9】本発明の実施形態に係り、第1レールを図8に示す位置から第1方向に変位させ、第2レールを駆動して、第1位置から第1方向に第2位置へ変位させることを示す図である。
図10】本発明の実施形態に係り、第1レールを図9に示す位置から第1方向に変位させ、補償装置を駆動して、第1位置から第2位置へ移動させることを示す図である。
図11】本発明の実施形態に係る伸長状態にあるスライドレール組立体の図である。
図12】本発明の実施形態に係り、第2レールが第1レールに対して前進位置にある場合での、第3後退状態にあるスライドレール組立体の図である。
図13】本発明の実施形態に係り、第1レールを図12に示す位置から第1方向に変位させ、第2レールを停止させるために、ブロッキング部と補償装置とを駆動して、相互にブロッキングすることを示す図である。
図14】本発明の実施形態に係り、第1レールを図13に示す位置から第1方向に変位させ、第1特徴部を駆動して、補償装置の第2特徴部に突き当てることを示す図である。
図15】本発明の実施形態に係り、第1レールを図14に示す位置から第1方向に変位させ、ブロッキング部と補償装置とのブロッキング関係を終了させるために、補償装置を駆動して第1状態から第2状態へ移動させることを示す図である。
図16】本発明の実施形態に係り、家具に適合したスライドレール組立体の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書の一部を構成し、本発明が実施可能である具体的な実施形態が例示として示される添付図面を、以下の好ましい実施形態の詳細な説明の中で参照する。これに関して、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」などの方向に関する用語は、記載される図の向きを参照して使用される。本発明の構成要素(部材)は、多数の異なる方向に配置されてよい。そのため、方向に関する用語は、説明の目的で使用され、決して限定するものではない。従って、図面と記載とは、本質的に例示的なものとみなされ、制限的なものとはみなされない。また、特定されない場合に、「接続する」という用語は、間接的又は直接的な機械的な接続のいずれかを意味することが意図される。従って、第1装置が第2装置に接続された場合に、その接続は、直接的な機械的な接続を介してであってよく、又は、他の装置と接続とを介して間接的な機械的な接続を介してであってよい。
【0011】
図1及び図2に示すように、スライドレール組立体20は、第1レール22と、第2レール24と、第3レール26と、第1補助スライド装置28とを備えている。好ましくは、スライドレール組立体20はさらに、第2補助スライド装置30を含む。第2レール24は、第3レール26と第1レール22との間に移動可能に取り付けられている。第1レール22と第2レール24とは、相互に対して、及び/又は第3レール26に対して、長手方向に変位可能である。この実施形態で例として、長手方向は、スライドレール、例えば、第1レール22、第2レール24又は第3レール26の長さ方向によって定義され、X軸に平行であってよい。横断方向は、スライドレールの側方方向又は幅方向によって定義され、Y軸に平行であってよい。垂直方向は、スライドレールの高さ方向によって定義され、Z軸に平行であってよい。
【0012】
さらに、第2レール24は、第3レール26に移動可能に取り付けられるように構成されている。第1レール22は、第2レール24に移動可能に取り付けられるように構成されている。第1補助スライド装置28は、第1レール22と第2レール24との間に移動可能に取り付けられ、第1レール22と第2レール24との相対変位を容易にする。例えば、第1補助スライド装置28は、少なくとも1つの第1回転部材32を含み、少なくとも1つの第1回転部材32は、第1レール22と第2レール24との間に回転可能に支持されるように構成されている。第1回転部材32は、ローラ又はボールであってよい。第2補助スライド装置30は、第2レール24と第3レール26との間に移動可能に取り付けられ、第2レール24と第3レール26との相対変位を容易にする。例えば、第2補助スライド装置30は、少なくとも1つの第2回転部材34を含み、少なくとも1つの第2回転部材34は、第2レール24と第3レール26との間に回転可能に支持されるように構成されている。第2回転部材34は、ローラ又はボールであってよい。
【0013】
スライドレール組立体20はさらに、第1特徴部36と補償装置38とを備えている。
【0014】
第1特徴部36と補償装置38とはそれぞれ、第1レール22と第2レール24とのうちの1つと、別の1つとに配置されている。この実施形態で例として、第1特徴部36は、第1レール22に配置され、補償装置38は、第2レール24に移動可能に取り付けられている。具体的には、第1特徴部36は、第1レール22に直接的又は間接的に配置されてよく、補償装置38は、第2レール24に軸部材40によって枢軸的に接続されてよい。好ましくは、第1レール22は、第1端部分22aと、第1端部分22aに対し反対側に位置する第2端部分22bとを有する。第2レール24は、第1端部分24aと、第1端部分24aに対し反対側に位置する第2端部分24bとを有する。例えば、第1レール22の第1端部分22aと第2端部分22bとはそれぞれ、第1レール22の前端部分と後端部分とである。第2レール24の第1端部分24aと第2端部分24bとはそれぞれ、第2レール24の前端部分と後端部分とである。好ましくは、第1特徴部36は、第1レール22の第1端部分22aに隣接して配置されている突出構造である。補償装置38は、第2レール24の第1端部分24aに隣接して配置されている。しかし、本発明はこの実施形態に限定されない。
【0015】
図3に示すように、第3レール26は、第1端部分26aと、第1端部分26aに対し反対側に位置する第2端部分26bとを有する。例えば、第3レール26の第1端部分26aと第2端部分26bとは、それぞれ、第3レール26の前端部分と後端部分とである。第3レール26は、支持区間42と、ブロッキング部44とを含む。支持区間42は、第3レール26の第1端部分26aと第2端部分26bとの間に、長手方向に延び、第2レール24及び/又は補償装置38を支持するように構成されている。この実施形態で例として、ブロッキング部44は、支持区間42の側方サイド46に配置され、第3レール26の第1端部分26aに隣接して配置されている突起である。しかし、本発明はこの実施形態に限定されない。
【0016】
図4及び図5に示すように、補償装置38は、本体48と、作業部材50と、所定特徴部52と、弾性部材54と、弾性部分56とを含む。好ましくは、補償装置38はさらに、復元弾性部材58を含む。
【0017】
本体48は、第1本体部分60と、第1本体部分60に接続されている第2本体部分62とを含む。この実施形態で例として、第2本体部分62は、第1本体部分60に実質的に垂直に接続されている。しかし、本発明はこの実施形態に限定されない。軸部材40は、補償装置38と第2レール24との枢軸的な接続を実現するために、側方方向又は横断方向に第2本体部分62を貫通している。
【0018】
作業部材50は、本体48に移動可能に取り付けられている。第2特徴部64は、作業部材50に配置され、第1特徴部36と協働するように構成されている。好ましくは、作業部材50は、第1本体部分60の所定部分68に、接続部材66によって枢軸的に接続されている。好ましくは、作業部材50は、第1端部と、第1端部に対し反対側に位置する第2端部とを有する。例えば、作業部材50の第1端部と第2端部とは、それぞれ、作業部材50の前端部と後端部とである。好ましくは、第1本体部分60は、作業部材50の第1端部に隣接して位置し、作業部材50を作業位置Kで停止させるブロッキング壁70と、作業部材50の第2端部に隣接して位置し、作業部材50が作業位置Kから移動することを可能にする回避空間とを含む。
【0019】
図5に示すように、所定特徴部52は、本体48に配置されている。所定特徴部52は、本体48の第2本体部分62に直接的又は間接的に配置されてよい。この実施形態で例として、所定特徴部52は突起であってよい。しかし、本発明はこの実施形態に限定されない。好ましくは、本体48は、第1端部48aと、第1端部48aに対し反対側に位置する第2端部48bとを有する。例えば、本体48の第1端部48aと第2端部48bとは、それぞれ、本体48の前端部と後端部とである。好ましくは、所定特徴部52は、本体48の第1端部48aから距離Gをもってスペースをあけている。
【0020】
弾性部材54(伸縮する付勢部材54)は、補償装置38に弾性力(付勢力)を与えるように構成されている。この実施形態で例として、弾性部材54の一部は、第1本体部分60の受け空間72の中に取り付けられ、弾性部材54の別の一部は、受け空間72の中から延びる。
【0021】
弾性部分56は、本体48に配置されている。この実施形態で例として、弾性部分56は延長アームである。しかし、本発明はこの実施形態に限定されない。
【0022】
復元弾性部材58は、作業部材50を駆動して作業位置Kに向かって移動させるように、作業部材50に復元弾性力を与えるように構成されている。
【0023】
図6に示すように、スライドレール組立体20が後退状態にある場合に、補償装置38は、弾性部材54から与えられた弾性力に応答して第1状態S1にあり、作業部材50は、復元弾性部材58から与えられた復元弾性力に応答して作業位置Kに保持される。これに加えて、図6に示すように、この瞬間に、第2特徴部64は、第1特徴部36から第1長手方向距離L1をもってスペースがあけられる。所定特徴部52は、第3レール26のブロッキング部44に対応する位置にあり、例えば、所定特徴部52と第3レール26のブロッキング部44とは、長手方向に、相互に位置が揃えられている。好ましくは、図6に示すように、この瞬間に、弾性部材54は、本体48と第2レール24との間に突き当てられ、弾性部分56は、第2レール24に隣接して位置する。しかし、本発明はこの実施形態に限定されない。
【0024】
さらに、図6に示すように、スライドレール組立体20が後退状態にある場合に、第1レール22は、第3レール26に対して後退位置Rにある。理想的には、第1レール22が後退位置Rへ変位された場合に、第2レール24は、第1レール22の後退位置Rへの移動に応答して、所定位置P0へ変位するように構成されている。しかし、長期の使用の後には、第3レール26に対する第1レール22と第2レール24との相対的な開放動作及び後退動作の繰り返し、操作ミス、及び/又は予期されない外力などに起因して、第2レール24が所定位置P0からずれた位置にある場合がある。
【0025】
図7に示すように、第2レール24が第1レール22に対して、所定位置P0からずれた(deviated,偏差を伴った,オフセットした)ラグ位置P1(停滞位置P1)にある場合に、第2特徴部64は、第1長手方向距離L1よりも小さい第2長手方向距離L2をもって、第1特徴部36からスペースをあける。
【0026】
図7ないし10に示すように、第2レール24がラグ位置P1へ変位した後に、第1レール22が、後退位置Rから第1方向、例えば開放方向D1に変位することにより、第1特徴部36と第1状態S1にある補償装置38の第2特徴部64とが駆動され、相互に突き当てられ、第2レール24を駆動するのであり、第3レール26に対して軸部材40によって、第1状態S1から第1旋回方向R1に第2状態S2へ旋回するように補償装置38を駆動するまで、第1レール22とともに同期して、開放方向D1に第1所定距離をもって、例えば、第1位置M1から第2位置M2へ変位し、ラグ位置誤差、即ちラグ位置P1と所定位置P0との間の偏差を補償する。換言すれば、補償装置38が第2状態S2にある場合に、第2レール24と第1レール22との同期変位関係は、第1レール22の開放方向D1に一層の変位を何らの障害もなく可能にするために、終了される。これは、第1特徴部36が、第2状態S2にある補償装置38の第2特徴部64と突き当たらないからである。これに加えて、図10に示すように、補償装置38が第2状態S2にある場合に、弾性部材54は弾性変形し、弾性部分56は第2レール24から移動して離れる。さらに、図10に示すように、補償装置38が第2状態S2にある場合に、補償装置38の所定特徴部52は、第3レール26のブロッキング部44に対応する位置から移動され、例えば、補償装置38の所定特徴部52は、長手方向に第3レール26のブロッキング部44から位置が不揃いにされる(misaligned)。換言すれば、補償装置38が第2状態S2にある場合に、第3レール26のブロッキング部44と補償装置38の所定特徴部52とのブロッキング関係は、開放方向D1に第2レール24の一層の変位を何らの障害もなく可能にするために、防止される(prevented,解除される)。これは、補償装置38の所定特徴部52は、長手方向に第3レール26のブロッキング部44から位置が不揃いにされるためである。
【0027】
好ましくは、第1特徴部36と第2特徴部64とのうちの1つは、第1ガイド部分74を含む。例えば、第1ガイド部分74は、傾斜面又は円弧面であってよい。この実施形態で例として、第1特徴部36は、第1ガイド部分74を含む。しかし、本発明はこの実施形態に限定されない。第1レール22とともに同期して、第2レール24が第3レール26に対して、図8に示す第1位置M1から開放方向D1に、図9に示す第2位置M2へ変位された場合に、補償装置38は、第3レール26の支持区間42に沿って変位され、第3レール26の第1端部分26aを超える。補償装置38が第3レール26の第1端部分26aを超えた後に、補償装置38は、第1ガイド部分74と第2特徴部64との突き当てによって、自由に駆動されて、図9に示す第1状態S1から第1旋回方向R1に、図10に示す第2状態S2へ移動する。
【0028】
好ましくは、ガイド区間76が、支持区間42と第3レール26の第1端部分26aとの接続部に形成され、補償装置38が第3レール26に対して、第1状態S1から第2状態S2へ移動することを容易にする。例えば、ガイド区間76は、面取りエッジであってよい。
【0029】
図11に示すように、第2レール24と第1レール22との同期変位関係が終了し、第3レール26のブロッキング部44と補償装置38の所定特徴部52とのブロッキング関係が防止された後に、第1レール22と第2レール24とを、第3レール26に対して開放方向D1に個々に変位させることが可能であり、第1レール22を伸長位置E、例えば完全に伸長した位置に配置することにより、スライドレール組立体20を図11に示す伸長状態に切り替える。スライドレール組立体20が伸長状態にある場合に、即ち、第1レール22が伸長位置Eにある場合に、第1レール22の第1端部分22aと第2レール24の第1端部分24aとは、それぞれ、第2レール24の第1端部分24aと第3レール26の第1端部分26aとを超える。
【0030】
好ましくは、スライドレール組立体20が、図10に示す状態から図11に示す伸長状態へ移動した場合に、補償装置38は、弾性部材54から与えられた弾性力に応答して、第1旋回方向R1に対し逆である第2旋回方向R2に、図10に示す第2状態S2から図11に示す第1状態S1へ移動する。補償装置38が第2状態S2から第1状態S1へ移動した場合に、弾性部分56は、騒音低減効果、及び/又は衝撃緩衝効果を提供するために、第2レール24に突き当たるように構成されている。
【0031】
ラグ位置P1と所定位置P0との間の偏差の補償が達成された後に、第2方向、例えば後退方向D2での、第1レール22の伸長位置Eから後退位置Rへの変位に応答して、第2レール24は駆動され、ラグ位置P1ではなく、図6に示す所定位置P0へ、逆に変位することが可能であることに留意するものとする。
【0032】
図12に示すように、第2レール24が第1レール22に対して所定位置P0からずれた前進位置P2にある場合に、第2特徴部64は、第1長手方向距離L1よりも大きい第3長手方向距離L3をもって、第1特徴部36からスペースをあける。
【0033】
図12ないし15に示すように、第2レール24が前進位置P2へ変位した後に、第1レール22が後退位置Rから開放方向D1に変位することにより、第3レール26のブロッキング部44と、第1状態S1にある補償装置38の所定特徴部52とを駆動し、相互にブロッキングさせ、第2所定距離、例えば、図13に示す位置から図14に示す位置への距離Nをもって、第1レール22が開放方向D1に変位するまで、第2レール24を停止させ、前進位置誤差、即ち、前進位置P2と所定位置P0との間の偏差を補償する。第1特徴部36と第1状態S1にある補償装置38の第2特徴部64とが相互に突き当たって、軸部材40によって、第1状態S1から第1旋回方向R1に第2状態S2へ旋回するように補償装置38を駆動する。換言すれば、補償装置38が第2状態S2にある場合に、第3レール26のブロッキング部44は、補償装置38の所定特徴部52をブロッキングしない。
【0034】
図15に示すように、補償装置38が第2状態S2にある場合に、第1特徴部36は、開放方向D1に第1レール22の一層の変位を可能にするために、補償装置38の第2特徴部64によってブロッキングされない。これに加えて、図15に示すように、補償装置38が第2状態S2にある場合に、補償装置38の所定特徴部52は、第3レール26のブロッキング部44に対応する位置から移動され、例えば、補償装置38の所定特徴部52は、長手方向に第3レール26のブロッキング部44から位置が不揃いにされる。これにより、第3レール26のブロッキング部44と補償装置38の所定特徴部52とのブロッキング関係を終了させ、開放方向D1に第2レール24の一層の変位を可能にする。さらに、図15に示すように、補償装置38が第2状態S2にある場合に、弾性部材54は弾性変形し、弾性部分56は第2レール24から移動して離れる。
【0035】
好ましくは、図14に示すように、第3レール26のブロッキング部44が補償装置38の所定特徴部52をブロッキングすると、補償装置38は、第3レール26の第1端部分26aを超える。これにより、補償装置38は、第1ガイド部分74と第2特徴部64との突き当てによって、駆動され、図14に示す第1状態S1から第1旋回方向R1に、図15に示す第2状態S2へ移動することが可能である。
【0036】
これに加えて、図15に示すように、第3レール26のブロッキング部44と補償装置38の所定特徴部52とのブロッキング関係が終了した後に、第1レール22と第2レール24とを、第3レール26に対して開放方向D1に個々に変位させることができ、第1レール22を伸長位置Eに配置することにより、図11に示すように、スライドレール組立体20を伸長状態に切り替える。
【0037】
好ましくは、スライドレール組立体20が、図15に示す状態から図11に示す伸長状態へ移動した場合に、補償装置38は、弾性部材54から与えられた弾性力に応答して、図15に示す第2状態S2から第2旋回方向R2に、図11に示す第1状態S1へ移動する。補償装置38が第2状態S2から第1状態S1へ移動した場合に、弾性部分56は、騒音低減効果、及び/又は衝撃緩衝効果を提供するために、第2レール24に突き当たるように構成されている。
【0038】
前進位置P2と所定位置P0との間の偏差の補償が達成された後に、第1レール22の伸長位置Eから後退方向D2に後退位置Rへの変位に応答して、第2レール24は駆動され、前進位置P2ではなく、図6に示す所定位置P0へ、逆に変位することが可能であることに留意するものとする。
【0039】
好ましくは、第1特徴部36と第2特徴部64とのうちの1つは、第2ガイド部分78を含む。例えば、第2ガイド部分78は、傾斜面又は円弧面であってよい。この実施形態で例として、第1特徴部36は、第2ガイド部分78を含み、第2ガイド部分78は、第1ガイド部分74に対し反対側に位置する。好ましくは、第1ガイド部分74と第2ガイド部分78とは、第1特徴部36の前サイドと後サイドとに隣接して配置されている。しかし、本発明はこの実施形態に限定されない。第1レール22が伸長位置Eから後退位置Rへ変位されると、第2ガイド部分78は、作業部材50を駆動して、作業位置Kから所定の旋回方向rに旋回させるために、作業部材50に突き当たるように構成され、第1特徴部36が、後退方向D2に作業部材50を通り過ぎることを可能にする。第1特徴部36が後退方向D2に作業部材50を通り過ぎた後に、作業部材50は、復元弾性部材58から与えられた復元弾性力に応答して、作業位置Kへ逆に旋回することができる。
【0040】
図11及び図16に示すように、スライドレール組立体20は、家具に適合されてよい。例えば、引き出し82とキャビネット本体80との間に対称に2つのスライドレール組立体20を取り付けてよく、キャビネット本体80に対して引き出し82の移動を容易にする。具体的には、2つのスライドレール組立体20のそれぞれの第3レール26は、キャビネット本体80に取り付けられるように構成され、2つのスライドレール組立体20のそれぞれの第1レール22は、引き出し82を支持するように構成されている。
【0041】
結論として、スライドレール組立体20は、以下の特徴を備えている。
【0042】
1.スライドレール組立体20は、補償装置38を利用して、少なくとも2つのスライドレール、例えば第1レール22と第2レール24の相対位置の誤差を補償することができる。
【0043】
2.第2レール24がラグ位置P1、前進位置P2又は所定位置P0のいずれにあっても、補償装置38が駆動されて、第1状態S1から第2状態S2へ移動するまで、後退位置Rから開放方向D1に変位する第1レール22は、第1特徴部36と第1状態S1にある補償装置38の第2特徴部64とを駆動して、これらを相互に突き当てる。
【0044】
3.補償装置38が第2状態S2から第1状態S1へ移動した場合に、弾性部分56は、騒音低減効果、及び/又は衝撃緩衝効果を提供するために、第2レール24に突き当たるように構成されている。
【0045】
本発明の教示を保持しつつ、装置及び方法の多数の修正及び変更がなされてよいことを、当業者であれば容易に理解することである。従って、上記の開示は、添付の請求項の範囲によってのみ限定されると解釈されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16