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特開2025-43298ハイブリッド古典‐量子教師なしマルチクラス分類
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025043298
(43)【公開日】2025-03-28
(54)【発明の名称】ハイブリッド古典‐量子教師なしマルチクラス分類
(51)【国際特許分類】
   G06N 10/60 20220101AFI20250321BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20250321BHJP
【FI】
G06N10/60
G06N20/00 160
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024153172
(22)【出願日】2024-09-05
(31)【優先権主張番号】18/468496
(32)【優先日】2023-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】モハン・アンキス
(72)【発明者】
【氏名】ウパデアーエ・サルバギア
(57)【要約】
【課題】ハイブリッド古典‐量子教師なしマルチクラス分類を提供する。
【解決手段】方法は、複数のデータを含む多次元トレーニング・データセットを取得することを含みうる。各データは、いくつかの量子ビット(キュービット)に対応してもよく、量子状態を表してもよい。方法はまた、量子コンピューティング・デバイスを使用して、前記複数のデータに基づいてグラム行列を生成することを含みうる。加えて、方法は、古典的コンピューティング・デバイスを使用して、グラム行列によって定義される制約条件に従って複数の演算子を決定することを含みうる。演算子のそれぞれは、対応するデータのための代わりとして構成されうる。さらに、方法は、古典的コンピューティング・デバイスを使用して、演算子のそれぞれをラベルに割り当てることを含みうる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデータを含む多次元トレーニング・データセットを取得する段階であって、前記複数のデータの各データは、ある数の量子ビット(キュービット)に対応し、複数の量子状態のうちのある量子状態を表す、段階と;
量子コンピューティング・デバイスを使用して、前記複数のデータに基づいてグラム行列を生成する段階と;
古典的コンピューティング・デバイスを使用して、前記グラム行列によって定義される制約条件に従って複数の演算子を決定する段階であって、前記複数の演算子の各演算子は、前記複数のデータのうちの対応するデータのための代わりとして構成される、段階と;
前記古典的コンピューティング・デバイスを使用して、前記複数の演算子の各演算子を複数のラベルのうちのあるラベルに割り当てる段階とを含む、
方法。
【請求項2】
前記複数のデータの各データを、前記対応する演算子の前記ラベルに割り当てる段階と;
前記複数のデータおよび前記対応する割り当てられたラベルを出力する段階とをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のデータを含む多次元トレーニング・データセットを取得する前記段階が:
複数の古典的データを含む2次元トレーニング・データセットを取得する段階であって、前記複数の古典的データの各古典的データは、ある数の古典的ビットに対応する、段階と;
前記2次元トレーニング・データセットに基づいて前記多次元トレーニング・データセットを生成する段階であって、前記複数の古典的データの各古典的データが、前記複数のデータのうちの異なるデータにエンコードされる、段階とを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記グラム行列は、複数の量を含み、前記複数の量のうちの各量は、前記複数のデータのうちの対応するデータの前記キュービットの内積を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の演算子は、多項式関数を使用してさらに決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記多項式関数は
【数1】
を含み、ここで、Nは前記複数のデータのデータ数を表し、iは第1のカウンタ変数を表し、jは第2のカウンタ変数を表し、qjは異なる量子状態が純粋な量子状態を含む確率を表し、Miは現在の測定演算子を表す、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記量子コンピューティング・デバイスおよび前記古典的コンピューティング・デバイスは
【数2】
に従って動作するように構成された半正定値計画を含み、ここで、Nは前記複数のデータのデータ数を表し、iは第1のカウンタ変数を表し、jは第2のカウンタ変数を表し、qjは異なる量子状態が純粋な量子状態を含む確率を表し、Ψjは前記異なる量子状態に対応するデータを表し、Miは現在の測定演算子を表す、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
実行されることに応答してシステムに動作を実行させる命令を記憶するように構成された一つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、前記動作が:
複数のデータを含む多次元トレーニング・データセットを取得する段階であって、前記複数のデータの各データは、ある数の量子ビット(キュービット)に対応し、複数の量子状態のうちのある量子状態を表す、段階と;
量子コンピューティング・デバイスを使用して、前記複数のデータに基づいてグラム行列を生成する段階と;
古典的コンピューティング・デバイスを使用して、前記グラム行列によって定義される制約条件に従って複数の演算子を決定する段階であって、前記複数の演算子の各演算子は、前記複数のデータのうちの対応するデータのための代わりとして構成される、段階と;
前記古典的コンピューティング・デバイスを使用して、前記複数の演算子の各演算子を複数のラベルのうちのあるラベルに割り当てる段階とを含む、
一つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項9】
前記動作がさらに:
前記複数のデータの各データを、前記対応する演算子の前記ラベルに割り当てる段階と;
前記複数のデータおよび前記対応する割り当てられたラベルを出力する段階とをさらに含む、
請求項8に記載の一つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項10】
前記複数のデータを含む多次元トレーニング・データセットを取得する動作が:
複数の古典的データを含む2次元トレーニング・データセットを取得する段階であって、前記複数の古典的データの各古典的データは、ある数の古典的ビットに対応する、段階と;
前記2次元トレーニング・データセットに基づいて前記多次元トレーニング・データセットを生成する段階であって、前記複数の古典的データの各古典的データが、前記複数のデータのうちの異なるデータにエンコードされる、段階とを含む、
請求項8に記載の一つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項11】
前記グラム行列は、複数の量を含み、前記複数の量のうちの各量は、前記複数のデータのうちの対応するデータの前記キュービットの内積を含む、請求項8に記載の一つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
前記複数の演算子は、多項式関数を使用してさらに決定される、請求項8に記載の一つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
前記多項式関数は
【数3】
を含み、ここで、Nは前記複数のデータのデータ数を表し、iは第1のカウンタ変数を表し、jは第2のカウンタ変数を表し、qjは異なる量子状態が純粋な量子状態を含む確率を表し、Miは現在の測定演算子を表す、
請求項12に記載の一つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
前記量子コンピューティング・デバイスおよび前記古典的コンピューティング・デバイスは
【数4】
に従って動作するように構成された半正定値計画を含み、ここで、Nは前記複数のデータのデータ数を表し、iは第1のカウンタ変数を表し、jは第2のカウンタ変数を表し、qjは異なる量子状態が純粋な量子状態を含む確率を表し、Ψjは前記異なる量子状態に対応するデータを表し、Miは現在の測定演算子を表す、
請求項8に記載の一つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
一つまたは複数のプロセッサと;
命令を記憶するように構成された一つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体と
を有するシステムであって、前記命令は、実行されることに応答して、当該システムに動作を実行させるものであり、前記動作が:
複数のデータを含む多次元トレーニング・データセットを取得する段階であって、前記複数のデータの各データは、ある数の量子ビット(キュービット)に対応し、複数の量子状態のうちのある量子状態を表す、段階と;
量子コンピューティング・デバイスを使用して、前記複数のデータに基づいてグラム行列を生成する段階と;
古典的コンピューティング・デバイスを使用して、前記グラム行列によって定義される制約条件に従って複数の演算子を決定する段階であって、前記複数の演算子の各演算子は、前記複数のデータのうちの対応するデータのための代わりとして構成される、段階と;
前記古典的コンピューティング・デバイスを使用して、前記複数の演算子の各演算子を複数のラベルのうちのあるラベルに割り当てる段階とを含む、
システム。
【請求項16】
前記動作がさらに:
前記複数のデータの各データを、前記対応する演算子の前記ラベルに割り当てる段階と;
前記複数のデータおよび前記対応する割り当てられたラベルを出力する段階とをさらに含む、
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記複数のデータを含む多次元トレーニング・データセットを取得する動作が:
複数の古典的データを含む2次元トレーニング・データセットを取得する段階であって、前記複数の古典的データの各古典的データは、ある数の古典的ビットに対応する、段階と;
前記2次元トレーニング・データセットに基づいて前記多次元トレーニング・データセットを生成する段階であって、前記複数の古典的データの各古典的データが、前記複数のデータのうちの異なるデータにエンコードされる、段階とを含む、
請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記グラム行列は、複数の量を含み、前記複数の量のうちの各量は、前記複数のデータのうちの対応するデータの前記キュービットの内積を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記複数の演算子は、多項式関数を使用してさらに決定される、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記多項式関数は
【数5】
を含み、ここで、Nは前記複数のデータのデータ数を表し、iは第1のカウンタ変数を表し、jは第2のカウンタ変数を表し、qjは異なる量子状態が純粋な量子状態を含む確率を表し、Miは現在の測定演算子を表す、
請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概括的には、ハイブリッド式の古典‐量子教師なしマルチクラス分類のシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本開示において特に指示がない限り、本開示に記載される材料は、本願の特許請求の範囲に対する先行技術ではなく、このセクションに含めることによって先行技術であると認められるものではない。
【0003】
古典的コンピューティング・デバイスは、データセットを1および0のシーケンスとして表すことができるビットを使用することができる。古典的コンピューティング・デバイスは、このデータセットを操作するために計算を実行しうるが、古典的なコンピューティング・デバイスによって実行される計算は、データセットのデータおよび/または計算の次元に起因して制限されうる。量子コンピューティング・デバイスは、データセットを、1、0、または1と0同時のシーケンスとして表すことが可能な量子ビット(キュービット)を使用しうる。量子コンピューティング・デバイスは、いくつかの計算を、古典的なコンピューティング・デバイスよりも効率的および/または正確に実行することができる。しかしながら、量子コンピューティング・デバイスは、マルチクラス分類を実行するのに十分な規模で計算を実行するにはコスト高となることがある。
【0004】
本開示において請求される主題は、何らかの欠点を解決する実施形態、または、上述したような環境においてのみ動作する実施形態に限定されない。むしろ、この背景は、本開示に記載されるいくつかの実施形態が実施されうる1つの例示的な技術分野を示すためにのみ提供される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
ある実施形態のある側面によれば、方法は、複数のデータを含む多次元トレーニング・データセットを取得することを含みうる。各データは、いくつかのキュービットに対応してもよく、量子系の量子状態を表してもよい。方法はまた、量子コンピューティング・デバイスを使用して、前記複数のデータに基づいてグラム行列を生成することを含みうる。加えて、方法は、古典的コンピューティング・デバイスを使用して、グラム行列によって定義される制約条件に従って複数の演算子を決定することを含みうる。演算子のそれぞれは、対応するデータのための代わり〔プロキシ〕として構成されうる。さらに、方法は、古典的コンピューティング・デバイスを使用して、演算子のそれぞれをラベルに割り当てることを含みうる。
【0006】
実施形態の目的および利点は、少なくとも、特許請求の範囲において特に指摘される要素、特徴、および組み合わせによって実現され、達成される。上記の一般的な記述および下記の詳細な説明のいずれも説明するものであり、特許請求される発明を制約するものではないことが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
例示的実施形態について、添付の図面を通して、さらなる具体性および詳細さをもって記述子、説明する。
【0008】
図1】量子系の量子状態が検出されうる例示的な動作環境のブロック図である。
【0009】
図2】キュービットに記憶されたトレーニング・データセットのデータが、量子コンピューティング・デバイスおよび古典的コンピューティング・デバイスを使用して、識別され、さまざまなラベルに割り当てられうる、プロセス・フローを示す。
【0010】
図3図2の量子コンピューティング・デバイスおよび古典的コンピューティング・デバイスを使用して量子データセットのデータにラベル付けする例示的な方法のフローチャートを示す。
【0011】
図4】多次元トレーニング・データセットを分類する例示的な方法のフローチャートを示す。
【0012】
図5】本開示の一つまたは複数の実施形態による例示的なコンピュータシステムを示す。
【0013】
みな、本開示に記載された少なくとも1つの実施形態によるものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
古典的コンピューティング・デバイスは、データセットを表すために0または1の値を記憶するように構成されたビット(たとえば、バイナリー・ビット)を使用する。古典的コンピューティング・デバイスは、データセットを操作または記憶するためにビットを使用してさまざまな計算を実行しうる。古典的コンピューティング・デバイスは、データセットが、指数関数的サイズの計算を行わせる次元を含む量子データセット(たとえば、多次元データセット)を含むとき、計算を行うことができない場合がある。たとえば、量子データセットは、量子データセットのデータを特徴付ける多数の変数を含みうる。
【0015】
量子コンピューティング・デバイスは、0、1、または0と1両方の重ね合わせの値を記憶するように構成されたキュービットを使用する。キュービットは複数の値を同時に記憶することができるので、量子コンピューティング・デバイスは、指数関数的なサイズの計算にもかかわらず、量子データセットを操作することが可能でありうる。その結果、量子コンピューティング・デバイスは、古典的コンピューティング・デバイスよりも効率的に、量子データセットに関わる計算を実行しうる。
【0016】
いくつかの実施形態では、量子データセットは、一つまたは複数のトピックに関連付けられたデータポイントまたは情報をそれぞれ表すデータ〔データ項目〕を含んでいてもよい。たとえば、各データは、ニュースの一つまたは複数のトピックに関連するニュース記事を表すことができる。別の例として、各データは、一つまたは複数の医学的状態および/または医学的状況に関連付けられた医用画像を表すことができる。さらに別の例として、各データは、一つまたは複数の合成材料に関連付けられた微細構造および/または分子データを表しうる。各データは、いくつかのキュービットとして記憶されてもよく、マルチクラス分類は、クラスタリング・アルゴリズムを使用してデータにラベル付けするために実行されてもよい。
【0017】
データのマルチクラス分類は、半正定値計画を使用して実行されてもよく、これは、データの次元(たとえば、データに対応するキュービットの数)に起因して、指数関数的なサイズの計算をもたらしうる。したがって、古典的コンピューティング・デバイスは、計算を実行することができないことがあり、または計算を実行するのにかなりの時間がかかることがある。古典的コンピューティング・デバイスが該計算を実行するのに要する時間は、法外なものとなりうる。量子コンピューティング・デバイスは、量子データセットを使用して、古典的コンピューティング・デバイスよりも迅速に該計算を実行しうる。しかしながら、量子コンピューティング・デバイス上でマルチクラス分類全体を実行することは、複雑であることがあり、法外なコストがかかることがありうる。
【0018】
本開示に記載されるいくつかの実施形態は、古典的コンピューティング・デバイスおよび量子コンピューティング・デバイスを含む量子古典ハイブリッド・コンピューティング・システムによる量子データセットのマルチクラス分類を含みうる。マルチクラス分類は、量子データセット内のデータのための代わりとして機能する演算子を量子コンピューティング・デバイスが決定することを可能にするために量子コンピューティング・デバイスが簡略化することができる半正定値計画(semi-definite program)としてモデル化されてもよい。古典的コンピューティング・デバイスは、対応するデータにラベルを割り当てるために、それらの演算子を使用してマルチクラス分類を実行してもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、量子コンピューティング・デバイスは、量子データセットに基づいてグラム行列を生成しうる。古典的コンピューティング・デバイスは、グラム行列によって定義される制約条件に従って演算子を決定しうる。各演算子は、古典的コンピューティング・デバイスが対応するデータにラベル付けすることを可能にするために代わりとして機能してもよい。各演算子は、識別されるべき対応するデータ(たとえば、量子状態)に関する情報を含みうる。古典的コンピューティング・デバイスは、演算子のそれぞれにラベルを割り当てうる。ラベルは、対応するデータの量子状態を示しうる。
【0020】
本開示に記載される少なくともいくつかの実施形態は、量子デバイス上でのみマルチクラス分類を実装するコストを招くことなく、かつ量子データセットを操作するときに古典的コンピューティング・デバイスが経験する遅延を招くことなく、量子データセットのデータを分類することを可能にしうる。加えて、本開示に記載される少なくともいくつかの実施形態は、より大きな特徴空間において古典的データを表すために、古典的データが量子カーネルとしてエンコードされることを可能にしうる。
【0021】
本開示のこれらおよび他の実施形態は、添付の図面を参照して説明される。図面は、そのような例示的な実施形態の図式的および概略的な表現であり、限定するものではなく、必ずしも一定の縮尺で描かれていないことを理解されたい。図において、同様の番号を有する特徴は、特に記載のない限り、同様の構造および機能を示す。
【0022】
図1は、本開示の少なくとも1つの実施形態による、量子系103の量子状態が検出されうる例示的な動作環境100のブロック図を示す。環境100は、準備装置101、量子系103、および測定装置105を含みうる。いくつかの実施形態では、量子系103の量子状態は、異なる量子状態を表すデータを含む量子データのマルチクラス分類を実行することによって検出されうる。
【0023】
いくつかの実施形態では、準備装置101および/または測定装置105は、コンピューティング・システムが一つまたは複数の動作を実行することを可能にするように構成されたコードおよびルーチンを含んでいてもよい。追加的または代替的に、準備装置101および/または測定装置105は、プロセッサ、マイクロプロセッサ(たとえば、一つまたは複数の動作を実行するかまたはその実行を制御するための)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または特定用途向け集積回路(ASIC)を含むハードウェアを使用して実装されてもよい。いくつかの他の事例では、準備装置101および/または測定装置105は、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを使用して実装されてもよい。本開示において、準備装置101および/または測定装置105によって実行されるものとして説明される動作は、準備装置101および/または測定装置105が一つまたは複数の対応するシステムに実行するように指令しうる動作を含みうる。測定装置105は、以下でより詳細に説明するように、量子系103の量子状態を検出するための一連の動作を実行するように構成されうる。
【0024】
準備装置101は、量子系103の一連の量子状態|Ψj〉を生成してもよい。量子状態のそれぞれは、qiによって表される事前定義された確率に従って生成されてもよく、ここで、iは、現在の量子状態を示す第1のカウンタ変数を表しうる。一連の量子状態は、量子データセットのデータによって表されてもよい。各データは、いくつかのキュービットに対応してもよい。測定装置105は、それらのデータ(たとえば量子状態)を識別するために一連の測定演算子M={M1,M2,…,ML}を決定してもよい。いくつかの実施形態では、測定演算子の和は恒等演算子に等しくてもよく、測定演算子のすべての値がゼロ以上であるような半正定値特性を含んでいてもよい。これらおよび他の実施形態では、恒等演算子は、対角線上に1の値を含む対角行列を含みうる。さらに、測定演算子の和は、測定演算子にわたる確率分布を得るよう、恒等演算子に等しくてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、測定装置105が異なるデータに基づいて現在のデータを識別する確率は、式1で定義されるように決定されてもよい。
【数1】
式1において、jは、異なるデータを示す第2のカウンタ変数を表してもよく、Miは、現在の測定演算子を表してもよく、Ψjは、異なる量子状態に対応するデータを表してもよく、qjは、異なる量子状態の事前定義された確率を表してもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、測定装置105は、少なくとも1つの確率関数に従って動作することができる。たとえば、測定装置105は、正しい検出の確率の関数、誤り確率関数、または不確定な結果の確率の関数に従って動作することができる。正しい検出の確率の関数は、式2で定義されるように決定されうる。
【数2】
式2において、Nは、量子系103の量子状態を表す量子データセット内のデータの数を表してもよく、iは、第1のカウンタ変数を表してもよく、Miは、現在の測定演算子を表してもよく、Ψiは、現在の量子状態に対応するデータを表してもよく、qiは、現在の量子状態の事前定義された確率を表してもよい。誤り確率関数は、式3で定義されるように決定されうる。
【数3】
式3において、Nは、量子系103の量子状態を表す量子データセット内のデータの数を表してもよく、iは、第1のカウンタ変数を表してもよく、jは、第2のカウンタ変数を表してもよく、Miは、現在の測定演算子を表してもよく、Ψjは、異なる量子状態に対応するデータを表してもよく、qjは、異なる量子状態の事前定義された確率を表してもよい。不確定な結果の確率の関数は、式4に定義されるように決定されうる。
【数4】
式4において、Nは、量子系103の量子状態を表す量子データセット内のデータの数を表してもよく、iは、第1のカウンタ変数を表してもよく、MN+1は、対応する測定演算子を表してもよく、Ψiは、現在の量子状態に対応するデータを表してもよく、qiは、現在の量子状態の事前定義された確率を表してもよい。いくつかの実施形態では、正しい検出の確率の関数、誤り確率関数、および不確定な結果の確率の関数の和は、1に等しくてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、測定装置105は、量子データセットのデータを識別するために、最小誤差戦略、非曖昧戦略、または任意の他の適切な戦略に従って動作してもよい。最小誤差戦略については、測定装置105は、不確定データを識別することなく平均誤差を最小にするように、量子データセットのデータを識別してもよい。たとえば、測定装置105は、不確定結果関数および誤り確率関数が最小化されて正しい検出の確率の関数が最大化されるように、データを識別してもよい。非曖昧戦略(unambiguous strategy)については、測定装置105は、誤りをなくすようにデータを識別してもよいが、不確定な結果を含んでいてもよい。たとえば、測定装置105は、誤り確率関数がゼロに等しく、不確定結果関数がゼロよりも大きいが最小化されるように、データを識別してもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、測定装置105は、式5で定義されるモデル関数を最大化する半正定値計画を使用してデータを識別してもよい。
【数5】
式5において、Nは、量子系103の量子状態を表す量子データセット内のデータの数を表してもよく、iは、第1のカウンタ変数を表してもよく、jは、第2のカウンタ変数を表してもよく、qjは、異なる量子状態の事前定義された確率を表してもよく、Ψjは、異なる量子状態に対応するデータを表してもよく、Miは、現在の測定演算子を表してもよい。測定装置105は、モデル関数を最大化し、測定演算子の和が1に等しくなるように測定演算子を決定することができる。いくつかの実施形態では、半正定値計画は、現在のデータが異なるデータに基づいて正しく識別されたときに半正定値計画を増加させる量を表す報酬因子Rijを含むことができる。式5は、N個の演算子について解くために使用され、各演算子が2d×2dに等しいサイズであってもよいという点で、指数関数的なサイズの計算をもたらしうる。ここで、Nは、量子系103の量子状態を表す量子データセット内のデータの数を表してもよく、dは、量子状態に対応するキュービットの数を表してもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、測定装置105は、式6で定義されるような半正定値計画の縮小双対(reduced dual)を使用してデータを識別することができる。
【数6】
式6において、Yはエルミート演算子を表してもよく、Nは量子系103の量子状態を表す量子データセット内のデータの数を表してもよく、iは第1のカウンタ変数を表してもよく、jは第2のカウンタ変数を表してもよく、qjは異なる量子状態の事前定義された確率を表してもよく、Ψjは異なる量子状態に対応するデータを表してもよい。いくつかの実施形態では、半正定値計画の縮小双対は、現在のデータが異なるデータに基づいて正しく識別されたときに半正定値計画の縮小双対を増加させる量を表す報酬因子Rijを含むことができる。式6も、N個の演算子について解くために使用され、各演算子が2d×2dに等しいサイズでありうるという点で、指数関数的なサイズの計算をもたらすことがあり、ここで、Nは、量子系103の量子状態を表す量子データセット内のデータの数を表してもよく、dは、量子状態に対応するキュービットの数を表してもよい。
【0030】
測定デバイス105が、古典的コンピューティング・デバイスとして実装されるときに、量子系103の量子状態を表すデータのそれぞれについての演算子を決定するためにかかりうる時間量は、式5および/または式6の指数関数的なサイズに基づいていてもよく、あまりに長いので、式5または式6に従って計算を実行する古典的コンピューティング・デバイスとして実装される測定装置105を使用して、量子状態のマルチクラス分類を実行することは容易にはできないことがありうる。
【0031】
本開示の範囲から逸脱することなく、環境100に対して修正、追加、または省略が行われてもよい。たとえば、記載された仕方での種々の要素の指定は、本明細書に記載された概念を説明するのに役立つために意図されており、限定するものではない。たとえば、いくつかの実施形態では、準備装置101、量子系103、および測定装置105は、本明細書に記載された概念を説明するのに役立つように記載された特定の仕方で描写されているが、そのような描写は限定することは意図されていない。さらに、環境100は、任意の数の他の要素を含むことができ、または説明されたもの以外の他のシステムまたはコンテキスト内で実施されてもよい。
【0032】
図2は、本開示の少なくとも1つの実施形態による、キュービットに記憶されたトレーニング・データセット202のデータが、量子コンピューティング・デバイス204および古典コンピューティング・デバイス208を使用して識別され、さまざまなラベルに割り当てられうるプロセス・フロー200を示す。いくつかの実施形態では、量子コンピューティング・デバイス204は、ノイズのある中間スケール量子(noisy intermediate-scale quantum、NISQ)デバイスを含みうる。
【0033】
量子コンピューティング・デバイス204および古典コンピューティング・デバイス208は、本開示に記載されるようなさまざまな技法およびクラスタリング・アルゴリズムを使用して、トレーニング・データセット202のデータのそれぞれを指定された数のラベルのうちのあるラベルに割り当てることによって、トレーニング・データセット202のデータを分類しうる。いくつかの実施形態では、指定された数のラベルは、マルチクラス分類が実行される前に事前定義されてもよい。たとえば、ユーザーが、マルチクラス分類に使用される具体的なラベルを選択してもよい。別の例として、量子コンピューティング・デバイス204および/または古典的コンピューティング・デバイス208は、トレーニング・データセット202に関連付けられた一つまたは複数のトピックに基づいて特定のラベルを選択しうる。
【0034】
いくつかの実施形態では、量子コンピューティング・デバイス204は、量子コンピューティング・システムが一つまたは複数の動作を実行することを可能にするように構成されたコード、ルーチン、および量子回路を含みうる。いくつかの他の事例では、量子コンピューティング・デバイス204は、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせを使用して実装されうる。量子コンピューティング・デバイス204は、以下でより詳細に説明されるように、トレーニング・データセット202に関して、および例示的な方法300および/または400に関連して、一連の動作を実行するように構成されうる。
【0035】
量子コンピューティング・デバイス204は、トレーニング・データセット202を受領しうる。いくつかの実施形態では、トレーニング・データセット202は、多次元データセットを含んでいてもよい。たとえば、多次元データセットは、キュービットに記憶された量子データであってもよく、データのそれぞれは、キュービットの数に対応することができる。その結果、データのそれぞれは多次元でありうる。いくつかの実施形態では、多次元データは、0、1、または0と1両方の重ね合わせとして値を同時に記憶することができるキュービットに記憶されるデータを含むことができる。加えて、データのそれぞれは、量子系の量子状態を表してもよい。たとえば、各データは、対応する数のキュービットの量子状態を表すことができる。データは、ニュース記事、医療画像、微細構造、分子データ、または任意の他の適切なデータを表しうる。
【0036】
いくつかの実施形態では、古典的コンピューティング・デバイス208は、2次元トレーニング・データセット(たとえば、古典的ビットに記憶された古典的データセット)を受信しうる。これらおよび他の実施形態では、2次元トレーニング・データセットは、データを含んでいてもよく、各データは、いくつかの古典的ビットに対応しうる。追加的または代替的に、古典的コンピューティング・デバイス208は、2次元トレーニング・データセットをエンコードして、トレーニング・データセット202を多次元トレーニング・データセットとして生成しうる。いくつかの実施形態では、古典的コンピューティング・デバイス208は、古典的データのそれぞれを、トレーニング・データセット202の異なるデータに対してエンコードしうる。
【0037】
トレーニング・データセット202は、式7で定義されるように定義されうる。
【数7】
式7において、Ψは、トレーニング・データセット202の異なるデータ(たとえば、量子状態)を表してもよく、Nは、トレーニング・データセット202のデータの総数を表してもよい。
【0038】
量子コンピューティング・デバイス204は、トレーニング・データセット202に基づいてグラム行列206を生成しうる。たとえば、量子コンピューティング・デバイス204は、量子コンピューティング・デバイス204内の量子回路を使用して、グラム行列206を構築してもよい。いくつかの実施形態では、量子コンピューティング・デバイス204は、トレーニング・データセット202の一つまたは複数のコピーを使用してグラム行列206を生成することができる。グラム行列206は、複数の量または値を含むことができる。グラム行列206の各量または値は、トレーニング・データセット202内の異なるデータのキュービットの内積を含みうる。異なるデータを記憶するキュービットの次元に起因して、グラム行列206は、高い次元を含むことがあり、これは、量子コンピューティング・デバイス204によって実行されることができる指数関数的な計算をもたらしうる。
【0039】
いくつかの実施形態では、量子コンピューティング・デバイス204は、アダマール・テストを実行して、グラム行列206のための諸量を決定する(たとえば、トレーニング・データセット202内の異なるデータのキュービットの内積を決定する)ことができる。アダマール・テストは、制御キュービットに基づくトレーニング・データセット202内の異なるデータのキュービットに対するユニタリー演算を含みうる。いくつかの実施形態では、制御キュービットが1に等しい場合、第1の変換がアダマール・テスト中に適用されてもよく、制御キュービットが0に等しい場合、第2の変換がアダマール・テスト中に適用されてもよく、制御キュービットが0と1の重ね合わせに等しい場合、第1の変換および第2の変換の重ね合わせがアダマール・テスト中に適用されてもよい。量子コンピューティング・デバイス204は、グラム行列206を出力し、それを古典コンピューティング・デバイス208に提供してもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、古典的コンピューティング・デバイス208は、コンピューティング・システムが一つまたは複数の動作を実行することを可能にするように構成されたコードおよびルーチンを含みうる。追加的または代替的に、古典的コンピューティング・デバイス208は、プロセッサ、マイクロプロセッサ(たとえば、一つまたは複数の動作を実行するかまたはその実行を制御するための)、FPGA、またはASICを含むハードウェアを使用して実装されうる。いくつかの他の事例では、古典的コンピューティング・デバイス208は、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを使用して実装されうる。本開示では、古典コンピューティング・デバイス208によって実行されるものとして説明される動作は、古典コンピューティング・デバイス208が一つまたは複数の対応するシステムに実行するように指令しうる動作を含みうる。古典的コンピューティング・デバイス208は、以下でより詳細に説明されるように、グラム行列206に関して、および例示的な方法300および/または400に関連して、一連の動作を実行するように構成されうる。
【0041】
古典的コンピューティング・デバイス208は、グラム行列206を受領するように構成された演算子モジュール210を含みうる。演算子モジュール210は、グラム行列206に基づいて、縮小された半正定値計画などの半正定値計画を使用して演算子212を解くか、または決定することができる。演算子212は、トレーニング・データセット202内の対応するデータのための代わりとして機能しうる。演算子モジュール210は、以下でより詳細に説明されるように、グラム行列206によって定義された制約条件に従って演算子212を決定しうる。
【0042】
いくつかの実施形態では、古典的コンピューティング・デバイス208は、式8で定義されるような半正定値計画の簡略化された双対に従って、トレーニング・データセット202のデータを識別しうる。
【数8】
式8において、Y'はエルミート演算子を表してもよく、Gはグラム行列206を表してもよく、Nはトレーニング・データセット202のデータの数を表してもよく、jは第2のカウンタ変数を表してもよく、qjは異なる量子状態の事前定義された確率を表してもよい。いくつかの実施形態では、半正定値計画の縮小双対は、現在のデータムが異なるデータに基づいて正しく識別されたときに簡略化された双対を増加させる量を表す報酬因子Rijを含むことができる。式8は、演算子の数Nに演算子の数Nを乗じたものに等しいサイズを含む計算を含むことがあり、これは、式5に従ったトレーニング・データセット202の次元ではなく、トレーニング・データセット202のデータの数に基づく。
【0043】
演算子モジュール210は、式9で定義されるような多項式関数を使用して演算子212を決定しうる。
【数9】
式9において、Nは、トレーニング・データセット202のデータの数を表してもよく、iは、第1のカウンタ変数を表してもよく、jは、第2のカウンタ変数を表してもよく、qjは、現在の量子状態が純粋な量子状態を含む確率を表してもよく、Miは、現在の演算子を表してもよく、Σi∈[N]Mi=Gは、グラム行列206によって定義される制約条件を表しうる。
【0044】
古典的コンピューティング・デバイス208は、演算子212を受領するように構成されたマルチクラス分類器214を含みうる。マルチクラス分類器214は、クラスタリング・アルゴリズムを使用して、演算子212のそれぞれをラベルに割り当てうる。いくつかの実施形態では、クラスタリング・アルゴリズムは、K平均アルゴリズムを含みうる。マルチクラス分類器214は、演算子212の分類を実行し、演算子212のそれぞれにラベルを割り当てうる。その結果、演算子212のそれぞれは、トレーニング・データセット202の異なるデータのための代わりとして機能するので、それらのデータはラベル付けされる。
【0045】
マルチクラス分類器214は、ラベル付けされたデータ216を出力しうる。いくつかの実施形態では、ラベル付けされたデータ216は、ラベル付けされた演算子を含んでいてもよい。これらおよび他の実施形態では、ラベル付けされたデータ216は、トレーニング・データセット202のデータおよび対応するラベルを含んでいてもよい。
【0046】
本開示の範囲から逸脱することなく、プロセス・フロー200に対して修正、追加、または省略が行われてもよい。たとえば、記載された仕方での種々の要素の指定は、本明細書に記載された概念を説明するのを助けるために意図されており、限定するものではない。たとえば、いくつかの実施形態では、トレーニング・データセット202、量子コンピューティング・デバイス204、グラム行列206、古典的コンピューティング・デバイス208、およびラベル付けされたデータ216は、本明細書に記載された概念を説明するのを助けるために記載された特定の仕方で描写されるが、そのような描写は限定することを意図していない。さらに、プロセス・フロー200は、任意の数の他の要素を含んでいてもよく、または説明されたもの以外の他のシステムまたはコンテキスト内で実施されてもよい。
【0047】
図3は、本開示の少なくとも1つの実施形態による、図2の量子コンピューティング・デバイス204および古典的コンピューティング・デバイス208を使用して量子データセットのデータにラベル付けする例示的な方法300のフローチャートを示す。方法300は、量子データにラベル付けすることに関して、任意の適切なシステム、装置、またはデバイスによって実行されうる。たとえば、図2の量子コンピューティング・デバイス204または古典的コンピューティング・デバイス208は、量子データセットのデータのラベル付けに関して、方法300に関連付けられた動作のうちの一つまたは複数を実行するか、またはその実行を指令しうる。方法300は、一つまたは複数のブロック302、304、306、308、または310を含みうる。離散的なブロックで示されているが、方法300のブロックのうちの一つまたは複数に関連するステップおよび動作は、具体的な実装に依存して、追加のブロックに分割されたり、より少数のブロックに組み合わされたり、または削除されたりしてもよい。量子データをラベル付けする例は、薬物化合物を類似の特性を含むクラスに分類すること、および合成材料の顕微鏡画像を使用して合成材料の微細構造の類似性に基づいて合成材料を分類することを含むことができる。
【0048】
ブロック302では、量子コンピューティング・デバイスを使用してグラム行列を構築することができる。グラム行列は、多次元トレーニング・データセットに基づいて構築されてもよい。たとえば、図2の量子コンピューティング・デバイス204は、データを含みうるトレーニング・データセット202を受領してもよい。薬物化合物を分類する例では、トレーニング・データセットは、GBD-13データベースから得られたデータを含んでいてもよく、それらのデータは、10億個の薬物化合物を表していてもよい。合成材料を分類する例では、トレーニング・データセットは、一つまたは複数のソースから得られたデータを含んでいてもよく、データは、異なる微細構造を表してもよい。
【0049】
ブロック304では、グラム行列を使用して、縮小された半正定値計画を構築してもよい。たとえば、古典的コンピューティング・デバイス208は、式6に従って、縮小された半正定値計画を構築するためにグラム行列206を使用してもよい。ブロック306では、半正定値計画を解いて最適解を得てもよい。たとえば、古典的コンピューティング・デバイス208は、式8に従って、半正定値計画を解いて、演算子(たとえば、最適解)を得てもよい。
【0050】
ブロック308では、最適解を使用して、データを指定された数のラベルに分類することができる。たとえば、古典的コンピューティング・デバイス208は、トレーニング・データセット202のデータを分類するために演算子212を使用してもよい。ブロック310では、各データおよびそれらのデータが属するクラスターが出力されてもよい。たとえば、古典的コンピューティング・デバイス208は、演算子および対応するラベル、および/またはデータおよび対応するラベルを示すラベル付けされたデータ216を出力してもよい。薬物化合物を分類する例では、古典的コンピューティング・デバイス208は、薬物化合物を表すデータと、対応する薬物化合物を識別するラベルとを含む、ラベル付けされたデータ216を出力しうる。合成材料を分類する例では、古典的コンピューティング・デバイス208は、種々の微細構造を表すデータと、対応する合成材料を識別するラベルとを含む、ラベル付けされたデータ216を出力してもよく、これは、さまざまなシミュレーションが行われることを可能にしうる。
【0051】
図4は、本開示の少なくとも1つの実施形態による、多次元トレーニング・データセットを分類する例示的な方法400のフローチャートを示す。方法400は、多次元データを分類することに関して、任意の適切なシステム、装置、またはデバイスによって実行されうる。たとえば、図1の測定デバイス105、図2の量子コンピューティング・デバイス204、または図2の古典的コンピューティング・デバイス208は、多次元データを分類することに関して方法400に関連付けられた動作のうちの一つまたは複数を実行するか、またはその実行を指令することができる。方法400は、一つまたは複数のブロック402、404、406、または408を含みうる。離散的なブロックで示されているが、方法400のブロックのうちの一つまたは複数に関連するステップおよび動作は、具体的な実装に依存して、追加のブロックに分割されたり、より少数のブロックに組み合わされたり、または削除されたりしてもよい。
【0052】
ブロック402では、複数のデータを含む多次元トレーニング・データセットが取得されうる。いくつかの実施形態では、データのそれぞれは、ある数のキュービットに対応しうる。これらおよび他の実施形態において、データセットのそれぞれは、複数の量子状態のうちのある量子状態を表しうる。ブロック404では、複数のデータに基づいて量子コンピューティング・デバイスを使用してグラム行列を生成することができる。
【0053】
ブロック406では、複数の演算子が、グラム行列によって定義された制約条件に従って、古典的コンピューティング・デバイスを使用して決定されうる。演算子のそれぞれは、対応するデータのための代わりとして構成されうる。ブロック408では、複数の演算子の各演算子は、古典的コンピューティング・デバイスを使用して、複数のラベルのうちのあるラベルに割り当てられうる。
【0054】
本開示の範囲から逸脱することなく、方法400に対して修正、追加、または省略が行われてもよい。たとえば、方法400の動作は、異なる順序で実施されてもよい。追加的または代替的に、2つ以上の動作が同時に実行されてもよい。さらに、概説された動作およびアクションは、例として提供されるにすぎず、動作およびアクションのうちのいくつかは、説明される実施形態の本質を損なうことなく、任意的であってもよく、より少数の動作およびアクションに組み合わされてもよく、または追加の動作およびアクションに展開されてもよい。
【0055】
図5は、本開示の少なくとも1つの実施形態による例示的なコンピューティング・システム500を示している。コンピューティング・システム500は、プロセッサ510、メモリ520、データストレージ530、および/または通信ユニット540を含んでいてもよく、これらはすべて通信可能に結合されていてもよい。図1の環境100および図2のプロセス・フロー200の任意のものまたは全部が、コンピューティング・システム500と整合するコンピューティング・システムとして実装されてもよい。
【0056】
一般に、プロセッサ510は、さまざまなコンピュータハードウェアまたはソフトウェアモジュールを含む任意の適切な専用または汎用コンピュータ、コンピューティングエンティティ、または処理デバイスを含むことができ、任意の適用可能なコンピュータ可読記憶媒体に記憶された命令を実行するように構成されうる。たとえば、プロセッサ510は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ASIC、FPGA、またはプログラム命令を解釈および/または実行するように、および/またはデータを処理するように構成された任意の他のデジタルまたはアナログ回路を含みうる。
【0057】
図5では単一のプロセッサとして示されているが、プロセッサ510は、本開示に記載された任意の数の動作を個別にまたは集合的に実行するように構成された任意の数のネットワークまたは物理的位置にわたって分散された任意の数のプロセッサを含みうることが理解される。いくつかの実施形態では、プロセッサ510は、メモリ520、データストレージ530、またはメモリ520およびデータストレージ530に記憶されたプログラム命令を解釈および/または実行し、および/またはデータを処理しうる。いくつかの実施形態では、プロセッサ510は、データストレージ530からプログラム命令をフェッチし、該プログラム命令をメモリ520にロードすることができる。
【0058】
プログラム命令がメモリ520にロードされた後、プロセッサ510は、コンピューティング・システム500に図3および図4の方法300または400の動作を実行させるための命令などのプログラム命令を実行してもよい。たとえば、コンピューティング・システム500は、多次元トレーニングを得て、グラム行列を生成し、グラム行列に基づいて演算子を決定し、次いでそれらの演算子を分類するために前記プログラム命令を実行してもよい。
【0059】
メモリ520およびデータストレージ530は、コンピュータ実行可能命令またはデータ構造を記憶するためのコンピュータ可読記憶メディアまたは一つまたは複数のコンピュータ可読記憶媒体を含みうる。そのようなコンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサ510などの汎用または専用コンピュータによってアクセスされうる任意の利用可能な媒体でありうる。たとえば、メモリ520およびデータストレージ530は、図2のトレーニング・データセット202、グラフ行列206および/またはラベル付けされたデータ216を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、コンピューティング・システム500は、メモリ520およびデータストレージ530のいずれかを含んでいてもよく、または含まなくてもよい。
【0060】
限定ではなく例として、そのようなコンピュータ可読記憶媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気的に消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)もしくは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージもしくは他の磁気ストレージデバイス、フラッシュメモリデバイス(たとえば、ソリッドステートメモリデバイス)、またはコンピュータ実行可能命令もしくはデータ構造の形で所望のプログラムコードを記憶するために使用されることができ、汎用もしくは専用コンピュータによってアクセスされうる任意の他の記憶媒体を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含みうる。上記の組み合わせも、コンピュータ可読記憶媒体の範囲内に含まれうる。コンピュータ実行可能命令は、たとえば、プロセッサ510にある特定の動作または動作群を実行させるように構成された命令およびデータを含みうる。
【0061】
通信ユニット540は、ネットワークを通じて情報を送信または受信するように構成された任意のコンポーネント、デバイス、システム、またはそれらの組み合わせを含みうる。いくつかの実施形態では、通信ユニット540は、他の位置、同じ位置、またはさらには同じシステム内の他のコンポーネントにある他のデバイスと通信することができる。たとえば、通信ユニット540は、モデム、ネットワークカード(無線または有線)、光通信デバイス、赤外線通信デバイス、無線通信デバイス(アンテナなど)、および/またはチップセット(Bluetooth(登録商標)デバイス、802.6デバイス(たとえば、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN))、WiFiデバイス、WiMaxデバイス、セルラー通信設備など)などを含みうる。通信ユニット540は、データがネットワークおよび/または本開示に記載された任意の他のデバイスもしくはシステムと交換されることを可能にしうる。たとえば、通信ユニット540は、システム500が、コンピューティング・デバイスおよび/または他のネットワークなどの他のシステムと通信することを許容しうる。
【0062】
当業者は、本開示を検討した後、本開示の範囲から逸脱することなく、システム500に対して修正、追加、または省略が行われうることを認識しうる。たとえば、システム500は、明示的に図示され説明されたものよりも多いまたは少ないコンポーネントを含んでいてもよい。
【0063】
前述の開示は、本開示を開示された厳密な形または特定の使用分野に限定することは意図していない。よって、本明細書に明示的に記載されているか、または暗示されているかにかかわらず、本開示に照らして、本開示に対するさまざまな代替的な実施形態および/または修正が可能であることが考えられている。本開示の実施形態をこのように説明してきたが、本開示の範囲から逸脱することなく、形態および詳細において変更が行われうることが認識されうる。よって、本開示は、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0064】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される異なるコンポーネント、モジュール、エンジン、およびサービスは、コンピューティング・システム上で実行されるオブジェクトまたはプロセスとして(たとえば、別個のスレッドとして)実装されうる。本明細書に記載されるシステムおよびプロセスの一部は、一般に、ソフトウェア(汎用ハードウェアに記憶および/または実行される)で実装されるものとして記載されるが、特定ハードウェア実装、またはソフトウェアと特定ハードウェア実装との組み合わせも可能であり、考えられている。
【0065】
本開示、特に添付の特許請求の範囲(たとえば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、一般に「オープンターム」として意図される(たとえば、「含む」という用語は、「含むが、それに限定されない」と解釈されるべきである)。
【0066】
さらに、導入される請求項記載の特定の数が意図される場合、そのような意図は、請求項において明示的に記載され、そのような記載がない場合、そのような意図は存在しない。たとえば、理解の助けとして、以下の添付の特許請求の範囲は、請求項記載を導入するために、導入句「少なくとも1つの」および「一つまたは複数の」の使用を含むことがある。しかしながら、そのような句の使用は、不定冠詞「a」または「an」による請求項記載の導入が、そのような導入された請求項記載を含む任意の特定の請求項を、そのような記載を1つだけ含む実施形態に限定することを含意すると解釈されるべきではなく、これは、同じ請求項が、導入句「一つまたは複数の」または「少なくとも1つの」、および「a」または「an」などの不定冠詞を含む場合であってもそうである(たとえば、「a」および/または「an」は、「少なくとも1つの」または「一つまたは複数の」を意味すると解釈されるべきである)。請求項記載を導入するために使用される定冠詞の使用にも同じことが当てはまる。
【0067】
加えて、導入された請求項記載の特定の数が明示的に記載されている場合であっても、当業者は、そのような記載が少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきであることを認識するであろう(たとえば、他の修飾語なしの「2つの記載」というだけの記載は、少なくとも2つの記載、または2つ以上の記載を意味する)。さらに、「A、B、およびCなどのうちの少なくとも1つ」または「A、B、およびCなどのうちの一つまたは複数」に類似した慣用表現が使用される場合、一般に、そのような構文は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとB両方、AとC両方、BとC両方、またはAとBとC全部などを含むことが意図される。
【0068】
さらに、2つ以上の代替的な用語に先行する任意の離接的な語句は、本稿、請求項、または図面のいずれにおいてであっても、それらの用語のうちの1つ、それらの用語のいずれか、またはそれらの用語の両方を含む可能性を考えると理解されるべきである。たとえば、「AまたはB」という句は、「A」または「B」または「AおよびB」の可能性を含むと理解されるべきである。
【0069】
本開示に記載されたすべての例および条件付き言辞は、本開示および発明者によって当該技術を促進するために寄与される概念を読者が理解するのを助ける教育的な目的を意図しており、そのような具体的に記載された例および条件への限定なしに解釈されるべきである。本開示の実施形態を詳細に説明したが、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更、置換、および改変を行うことができる。
【0070】
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
複数のデータを含む多次元トレーニング・データセットを取得する段階であって、前記複数のデータの各データは、ある数の量子ビット(キュービット)に対応し、複数の量子状態のうちのある量子状態を表す、段階と;
量子コンピューティング・デバイスを使用して、前記複数のデータに基づいてグラム行列を生成する段階と;
古典的コンピューティング・デバイスを使用して、前記グラム行列によって定義される制約条件に従って複数の演算子を決定する段階であって、前記複数の演算子の各演算子は、前記複数のデータのうちの対応するデータのための代わりとして構成される、段階と;
前記古典的コンピューティング・デバイスを使用して、前記複数の演算子の各演算子を複数のラベルのうちのあるラベルに割り当てる段階とを含む、
方法。
(付記2)
前記複数のデータの各データを、前記対応する演算子の前記ラベルに割り当てる段階と;
前記複数のデータおよび前記対応する割り当てられたラベルを出力する段階とをさらに含む、
付記1に記載の方法。
(付記3)
前記複数のデータを含む多次元トレーニング・データセットを取得する前記段階が:
複数の古典的データを含む2次元トレーニング・データセットを取得する段階であって、前記複数の古典的データの各古典的データは、ある数の古典的ビットに対応する、段階と;
前記2次元トレーニング・データセットに基づいて前記多次元トレーニング・データセットを生成する段階であって、前記複数の古典的データの各古典的データが、前記複数のデータのうちの異なるデータにエンコードされる、段階とを含む、
付記1に記載の方法。
(付記4)
前記グラム行列は、複数の量を含み、前記複数の量のうちの各量は、前記複数のデータのうちの対応するデータの前記キュービットの内積を含む、付記1に記載の方法。
(付記5)
前記複数の演算子は、多項式関数を使用してさらに決定される、付記1に記載の方法。
(付記6)
前記多項式関数は
【数10】
を含み、ここで、Nは前記複数のデータのデータ数を表し、iは第1のカウンタ変数を表し、jは第2のカウンタ変数を表し、qjは異なる量子状態が純粋な量子状態を含む確率を表し、Miは現在の測定演算子を表す、
付記5に記載の方法。
(付記7)
前記量子コンピューティング・デバイスおよび前記古典的コンピューティング・デバイスは
【数11】
に従って動作するように構成された半正定値計画を含み、ここで、Nは前記複数のデータのデータ数を表し、iは第1のカウンタ変数を表し、jは第2のカウンタ変数を表し、qjは異なる量子状態が純粋な量子状態を含む確率を表し、Ψjは前記異なる量子状態に対応するデータを表し、Miは現在の測定演算子を表す、
付記1に記載の方法。
(付記8)
実行されることに応答してシステムに動作を実行させる命令を記憶するように構成された一つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、前記動作が:
複数のデータを含む多次元トレーニング・データセットを取得する段階であって、前記複数のデータの各データは、ある数の量子ビット(キュービット)に対応し、複数の量子状態のうちのある量子状態を表す、段階と;
量子コンピューティング・デバイスを使用して、前記複数のデータに基づいてグラム行列を生成する段階と;
古典的コンピューティング・デバイスを使用して、前記グラム行列によって定義される制約条件に従って複数の演算子を決定する段階であって、前記複数の演算子の各演算子は、前記複数のデータのうちの対応するデータのための代わりとして構成される、段階と;
前記古典的コンピューティング・デバイスを使用して、前記複数の演算子の各演算子を複数のラベルのうちのあるラベルに割り当てる段階とを含む、
一つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
(付記9)
前記動作がさらに:
前記複数のデータの各データを、前記対応する演算子の前記ラベルに割り当てる段階と;
前記複数のデータおよび前記対応する割り当てられたラベルを出力する段階とをさらに含む、
付記8に記載の一つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
(付記10)
前記複数のデータを含む多次元トレーニング・データセットを取得する動作が:
複数の古典的データを含む2次元トレーニング・データセットを取得する段階であって、前記複数の古典的データの各古典的データは、ある数の古典的ビットに対応する、段階と;
前記2次元トレーニング・データセットに基づいて前記多次元トレーニング・データセットを生成する段階であって、前記複数の古典的データの各古典的データが、前記複数のデータのうちの異なるデータにエンコードされる、段階とを含む、
付記8に記載の一つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
(付記11)
前記グラム行列は、複数の量を含み、前記複数の量のうちの各量は、前記複数のデータのうちの対応するデータの前記キュービットの内積を含む、付記8に記載の一つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
(付記12)
前記複数の演算子は、多項式関数を使用してさらに決定される、付記8に記載の一つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
(付記13)
前記多項式関数は
【数12】
を含み、ここで、Nは前記複数のデータのデータ数を表し、iは第1のカウンタ変数を表し、jは第2のカウンタ変数を表し、qjは異なる量子状態が純粋な量子状態を含む確率を表し、Miは現在の測定演算子を表す、
付記12に記載の一つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
(付記14)
前記量子コンピューティング・デバイスおよび前記古典的コンピューティング・デバイスは
【数13】
に従って動作するように構成された半正定値計画を含み、ここで、Nは前記複数のデータのデータ数を表し、iは第1のカウンタ変数を表し、jは第2のカウンタ変数を表し、qjは異なる量子状態が純粋な量子状態を含む確率を表し、Ψjは前記異なる量子状態に対応するデータを表し、Miは現在の測定演算子を表す、
付記8に記載の一つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
(付記15)
一つまたは複数のプロセッサと;
命令を記憶するように構成された一つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体と
を有するシステムであって、前記命令は、実行されることに応答して、当該システムに動作を実行させるものであり、前記動作が:
複数のデータを含む多次元トレーニング・データセットを取得する段階であって、前記複数のデータの各データは、ある数の量子ビット(キュービット)に対応し、複数の量子状態のうちのある量子状態を表す、段階と;
量子コンピューティング・デバイスを使用して、前記複数のデータに基づいてグラム行列を生成する段階と;
古典的コンピューティング・デバイスを使用して、前記グラム行列によって定義される制約条件に従って複数の演算子を決定する段階であって、前記複数の演算子の各演算子は、前記複数のデータのうちの対応するデータのための代わりとして構成される、段階と;
前記古典的コンピューティング・デバイスを使用して、前記複数の演算子の各演算子を複数のラベルのうちのあるラベルに割り当てる段階とを含む、
システム。
(付記16)
前記動作がさらに:
前記複数のデータの各データを、前記対応する演算子の前記ラベルに割り当てる段階と;
前記複数のデータおよび前記対応する割り当てられたラベルを出力する段階とをさらに含む、
付記15に記載のシステム。
(付記17)
前記複数のデータを含む多次元トレーニング・データセットを取得する動作が:
複数の古典的データを含む2次元トレーニング・データセットを取得する段階であって、前記複数の古典的データの各古典的データは、ある数の古典的ビットに対応する、段階と;
前記2次元トレーニング・データセットに基づいて前記多次元トレーニング・データセットを生成する段階であって、前記複数の古典的データの各古典的データが、前記複数のデータのうちの異なるデータにエンコードされる、段階とを含む、
付記15に記載のシステム。
(付記18)
前記グラム行列は、複数の量を含み、前記複数の量のうちの各量は、前記複数のデータのうちの対応するデータの前記キュービットの内積を含む、付記15に記載のシステム。
(付記19)
前記複数の演算子は、多項式関数を使用してさらに決定される、付記15に記載のシステム。
(付記20)
前記多項式関数は
【数14】
を含み、ここで、Nは前記複数のデータのデータ数を表し、iは第1のカウンタ変数を表し、jは第2のカウンタ変数を表し、qjは異なる量子状態が純粋な量子状態を含む確率を表し、Miは現在の測定演算子を表す、
付記19に記載のシステム。
【符号の説明】
【0071】
101 準備装置
105 測定装置

202 トレーニング・データセット
204 量子コンピューティング・デバイス
206 グラム行列
208 古典的コンピューティング・デバイス
210 演算子モジュール
212 演算子
214 マルチクラス分類器
212 ラベル付けされたデータ

302 量子コンピューティング・デバイスを使ってグラム行列を構築
304 グラム行列を使って縮小半正定値計画を構築
306 半正定値計画を解いて最適解を得る
308 最適解を使ってデータを指定された数のラベルに分類
310 各データおよびそれらのデータが属するクラスターを出力

402 複数のデータを含む多次元トレーニング・データセットを取得
404 量子コンピューティング・デバイスを使って、前記複数のデータに基づいてグラム行列を生成
406 古典的コンピューティング・デバイスを使って、グラム行列によって定義される制約条件に従って複数の演算子を決定
408 古典的コンピューティング・デバイスを使って、前記複数の演算子の各演算子を複数のラベルのうちのあるラベルに割り当て

500 コンピューティング・システム
510 プロセッサ
520 メモリ
530 データストレージ
540 通信ユニット
図1
図2
図3
図4
図5