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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025043413
(43)【公開日】2025-04-01
(54)【発明の名称】加湿装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 6/00 20060101AFI20250325BHJP
   F24F 6/06 20060101ALI20250325BHJP
【FI】
F24F6/00 F
F24F6/00 D
F24F6/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023150647
(22)【出願日】2023-09-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】白原 悠希
(72)【発明者】
【氏名】水越 悠介
【テーマコード(参考)】
3L055
【Fターム(参考)】
3L055BA04
3L055DA11
3L055DA14
3L055DA15
(57)【要約】
【課題】筐体へトレイ部を装着する際の部品破損を防ぎつつ、筐体外部への紫外線の漏出を防止することができる加湿装置を提供する。
【解決手段】加湿装置は、筐体1と、加湿空気を発生させる加湿部3と、水を貯えるトレイ5と、着脱可能なトレイ部TRと、加湿部に紫外線を照射する紫外線照射部4と、加湿装置の動作を制御する制御部9と、上下方向へ可動するロック機構40と、トレイ部の着脱状態を検出して装着状態信号又は非装着状態信号として制御部9へ出力する検出器41と、を備える。筐体へトレイ部を装着する際に、検出器はロック機構がロック状態又はロック解除状態となったことに連動して、トレイ部の装着状態信号又は非装着状態信号を制御部へ出力し、制御部は検出器からの装着状態信号が入力されていない場合、又は非装着状態信号が入力されている場合は、紫外線照射部の動作を禁止するようにした。

【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内部に位置し、加湿空気を発生させる加湿部と、
前記加湿空気を発生させるための水を貯えるトレイを有し、前記筐体に対して水平方向に着脱可能なトレイ部と、
前記加湿部に紫外線を照射する紫外線照射部と、を備える加湿装置であって、
前記加湿装置の動作を制御する制御部と、
前記トレイ部に支持され上下方向へ可動するロック機構と、
前記トレイ部の着脱状態を検出して装着状態信号又は非装着状態信号として前記制御部へ出力する検出器と、をさらに備え、
前記ロック機構は、上下方向の一方へ可動することで装着状態の前記トレイ部の動きを規制するロック状態となり、上下方向の他方へ可動することで前記ロック状態を解除するロック解除状態となるものであり、
前記検出器は、前記ロック機構が前記ロック状態となったことに連動して装着状態信号を出力するか、又は前記ロック機構が前記ロック解除状態となったことに連動して非装着状態信号を出力するものであり、
前記制御部は、前記検出器からの装着状態信号が入力されていない場合、又は非装着状態信号が入力されている場合は、前記紫外線照射部の動作を禁止するようにしたことを特徴とする加湿装置。
【請求項2】
筐体と、
前記筐体の内部に位置し、加湿空気を発生させる加湿部と、
前記加湿空気を発生させるための水を貯えるトレイを有し、前記筐体に対して水平方向に着脱可能なトレイ部と、
前記加湿部に紫外線を照射する紫外線照射部と、
前記紫外線照射部に駆動電流を供給する駆動回路と、
前記トレイ部に支持され上下方向へ可動するロック機構と、
前記紫外線照射部と前記駆動回路とに直列接続され、オン状態であると前記紫外線照射部への駆動電流を供給可能とし、オフ状態であると前記紫外線照射部への駆動電流を遮断するスイッチと、を備え、
前記ロック機構は、上下方向の一方へ可動することで装着状態の前記トレイ部の動きを規制するロック状態となり、上下方向の他方へ可動することで前記ロック状態を解除するロック解除状態となるものであり、
前記スイッチは、前記ロック機構が前記ロック状態となったことに連動して前記オン状態となり、
前記ロック機構が前記ロック解除状態となったことに連動して前記オフ状態となることを特徴とする加湿装置。
【請求項3】
前記ロック機構は閂部を有し、前記閂部が前記筐体に設けられた穴部に嵌め込まれることで、前記ロック状態となることを特徴とする請求項1又は2に記載の加湿装置。
【請求項4】
前記ロック機構はレバー部を有し、前記レバー部を上下方向の一方へ可動することで前記ロック解除状態となることを特徴とする請求項3に記載の加湿装置。
【請求項5】
前記トレイ部は前記筐体から引き出すための把手を備え、
前記レバー部は前記把手を掴みつつ操作可能な位置に設けられたことを特徴とする請求項4に記載の加湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加湿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、本体と、加湿空気を発生させる気化フィルタと、気化フィルタを湿潤させる水を溜める水槽部と、気化フィルタに紫外線を照射する紫外線ランプと、を備え、紫外線により気化フィルタを除菌する加湿器が記載されている。この加湿器は、水槽部を取り外し自在とし、本体内部にマイクロスイッチを備え、水槽部を取り付けた時にマイクロスイッチがONとなり紫外線ランプから紫外線が照射され、水槽部を取り外した時にマイクロスイッチがOFFとなり紫外線ランプが消灯する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-003042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の加湿装置では、水槽部を取り付ける際に、水平方向に勢いよく挿入した場合、本体内部に設置されたマイクロスイッチに過度な衝撃が加わり、マイクロスイッチが破損する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係る加湿装置は、筐体と、前記筐体の内部に位置し、加湿空気を発生させる加湿部と、前記加湿空気を発生させるための水を貯えるトレイを有し、前記筐体に対して水平方向に着脱可能なトレイ部と、前記加湿部に紫外線を照射する紫外線照射部と、を備える加湿装置であって、前記加湿装置の動作を制御する制御部と、前記トレイ部に支持され上下方向へ可動するロック機構と、前記トレイ部の着脱状態を検出して装着状態信号又は非装着状態信号として前記制御部へ出力する検出器と、をさらに備え、前記ロック機構は、上下方向の一方へ可動することで装着状態の前記トレイ部の動きを規制するロック状態となり、上下方向の他方へ可動することで前記ロック状態を解除するロック解除状態となるものであり、前記検出器は、前記ロック機構が前記ロック状態となったことに連動して装着状態信号を出力するか、又は前記ロック機構が前記ロック解除状態となったことに連動して非装着状態信号を出力するものであり、前記制御部は、前記検出器からの装着状態信号が入力されていない場合、又は非装着状態信号が入力されている場合は、前記紫外線照射部の動作を禁止するようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、筐体へトレイ部を装着する際に、検出器はロック機構の動作と連動してトレイ部の装着状態信号又は非装着状態信号を制御部へ出力し、制御部は検出器からの装着状態信号が入力されていない場合、又は非装着状態信号が入力されている場合は、紫外線照射部の動作を禁止するようにしたので、トレイ部を装着する際の部品破損を防ぎつつ、筐体外部への紫外線の漏出を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に加湿装置の構成を示す図。
図2】同上実施形態に係る加湿装置から前パネル及び梁部を外した状態の斜視図。
図3】同上実施形態に係る加湿装置の分解斜視図。
図4】同上実施形態に係る筐体に対するトレイホルダの挿入を示す図。
図5】同上実施形態に係るトレイの斜視図。
図6】同上実施形態に係るトレイホルダの斜視図。
図7】同上実施形態に係るトレイ及びトレイが載置されたトレイホルダの断面図。
図8】同上実施形態に係る給水タンク等の概略断面図であり、(a)はトレイ有状態を示し、(b)はトレイ無状態を示す図。
図9】同上実施形態に係る仕切板等の部分斜視図であり、(a)はトレイ有状態を示し、(b)はトレイ無状態を示す図。
図10】同上実施形態に係る加湿部、仕切構造部、トレイ及びトレイホルダの分解斜視図。
図11】同上実施形態に係る仕切構造部を軸受け側から見た斜視図。
図12】同上実施形態に係る水位検知用フロートと磁気センサの関係を説明するための概略断面図。
図13】同上実施形態に係る加湿部の停止位置を説明するための図であり、(a)は第1回転位置を示し、(b)は第2回転位置を示す図。
図14】同上実施形態に係る加湿フィルタと紫外線照射部の関係を説明するための図。
図15】同上実施形態に係るロック機構と検出器の配置を説明するための概略断面図であり、(a)はロック状態を示し、(b)はロック解除状態を示す図。
図16】同上実施形態に係るロック機構とレバー部の配置を説明するための概略断面図。
図17】同上実施形態に係る駆動回路を示す図であり、(a)はスイッチがオンの状態を示し、(b)はスイッチがオフの状態を示す図。
図18】同上実施形態に係る検出部と加湿部の関係を示す図。
図19】同上実施形態に係る乾燥運転処理のフローチャート。
図20】同上実施形態に係る加湿運転時除菌処理のシーケンスを示す図。
図21】同上実施形態に係る加湿運転時除菌処理のフローチャート。
図22】紫外線照射時間と除菌効果の関係の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0009】
加湿装置100は、図1図18の適宜の図に示すように、筐体1と、ファン2と、加湿部3と、紫外線照射部4と、トレイ5及びトレイホルダ6を有するトレイ部TRと、給水タンク7と、仕切構造部8と、制御部9と、磁気センサSと、を備える。
【0010】
以下では、加湿装置100の方向として、図2に示すように規定した、上下、前後、左右の各方向を用いて説明を行う。他の図では、図2に規定した各方向に対応する方向を示している。なお、上下方向は使用時の加湿装置100の方向として規定され得るが、前後と左右の各方向は説明の理解を容易にするための相対的な方向であることに留意されたい。
【0011】
筐体1は、前パネル1F、後パネル1B、左パネル1L、右パネル1R及び上パネル1Uと、これらパネルに囲まれるケーシング10と、を備える。
【0012】
上パネル1Uと繋がる左パネル1Lは、ケーシング10の底部10Dまで到る。一方で、上パネル1Uと繋がる右パネル1Rは、左パネル1Lよりも上下方向の長さが短い。これにより、筐体1の右パネル1Rと、底部10Dとの間には、トレイホルダ6が挿入される挿入口1aが形成される。図4に示すように、トレイホルダ6が挿入口1aから左右方向(水平方向)に挿入されて、図2に示すように、筐体1にトレイホルダ6が装着された状態(以下、「ホルダ装着状態」と言う。)において、挿入口1aは、トレイホルダ6に固定されるホルダパネル6Rに塞がれた状態になる。ホルダ装着状態では、ホルダパネル6R及び右パネル1Rの各々の外面は概ね面一となる。そして、ホルダ装着状態における筐体1の外形は、概ね直方体状になる。
【0013】
ケーシング10は、図2に示すように、トレイホルダ6を収容するホルダ収容部11と、ホルダ収容部11に対して立設され、左右方向において右パネル1Rと対向する側壁部12と、ホルダ収容部11の上方に位置してファン2を収容するファン収容部13と、を備える。
【0014】
ホルダ収容部11は、前述の底部10Dを有する。筐体1内部の底部10Dの上方には、側壁部12より左側には加湿部3が収容される加湿部収容室R3が形成され、側壁部12より右側には給水タンク7が収容されるタンク収容室R7が形成される。側壁部12には、加湿部収容室R3とタンク収容室R7とを連通する連通孔12aが形成されている。連通孔12aは、仕切構造部8が配置されたトレイホルダ6がホルダ装着状態の場合に、後述の仕切板81によって塞がれた状態になる。
【0015】
図2に示すように、上パネル1Uにおけるタンク収容室R7の上方には、開閉可能な蓋17が取り付けられている。この蓋17により、筐体1の上方から給水タンク7をタンク収容室R7に格納することができる。なお、給水タンク7は、トレイホルダ6上にトレイ5を介して仕切構造部8が設置された状態において用いられる。ケーシング10は、例えば、前後方向に分割可能で、互いに組み合わされる2つの部材により構成される。
【0016】
図1に示すように、後パネル1Bには、外気を吸い込む吸込口P1が形成されている。ケーシング10のファン収容部13には、加湿部3で発生した加湿空気をファン2が吸うための吸気口Q1と、ファン2が加湿空気を排出するための排気口Q2と、が形成されている。上パネル1Uには、排気口Q2から排出された加湿空気を筐体1の外部に出すための吹出口P2が形成されている。つまり、筐体1は、吸込口P1、加湿部3、吸気口Q1、排気口Q2及び吹出口P2を有する。ファン2が回転すると、吸込口P1、加湿部3、吸気口Q1、排気口Q2、吹出口P2の順に進む流路Wで空気が通過し、加湿部3で発生した加湿空気が吹出口から筐体1の外部に吹き出る。なお、流路Wにおける吸込口P1と加湿部3の間(つまり、上流側)には、条件に応じて作動して温風を送るためのヒータHが設けられている。上流側にヒータHを設けることにより、温風を加湿部3に効果的に送ることができる。
【0017】
ファン2は、遠心ファンであり、例えばシロッコファンである。ファン2は、ケーシング10に取り付けられたファンモータ2aの回転に伴い回転する。ファン2は、前述のように、吸込口P1から加湿部3を経由して吹出口P2に至る流路Wで空気を流すための構成である。
【0018】
加湿部3は、筐体1の内部に位置し、加湿空気を発生させる構成である。加湿部3は、図2に示すように、加湿フィルタ30(気化フィルタ)と、加湿フィルタ30を保持する枠体31と、を備える。つまり、加湿装置100は、加湿フィルタ30により加湿空気を発生させる気化式である。
【0019】
加湿部3は、図1に示す軸線AXを中心に、筐体1内で回転可能に設けられている。軸線AXは、図1の紙面の垂直方向に延びる(つまり、筐体1の左右方向に延びる)。図10に示すように、枠体31には一対の第1軸部31R及び第2軸部31Lが設けられ、加湿部3は、第1軸部31Rが仕切構造部8(詳しくは後述の軸受け8R)に支持され、第2軸部31Lがトレイホルダ6(詳しくは後述の軸受け6L)に支持される。加湿部3は、ケーシング10に取り付けられたターンモータ(図示せず)によって第2軸部31Lが回転駆動されることで、軸線AXを中心に回転駆動される。なお、ターンモータの回転軸と第2軸部31Lは、筐体1にトレイ部TRが装着された状態で互いに嵌合され、筐体1からトレイ部TRが取り外されている状態では嵌合が解除される。つまり、ターンモータ(回転軸)と第2軸部31Lは着脱可能であり、ターンモータに第2軸部31Lが装着された状態において、第2軸部31Lはターンモータによって回転駆動が可能である。
【0020】
加湿部3の枠体31は、例えば樹脂で形成され、図2図14に示すように、加湿フィルタ30が露出するフィルタ露出部30aを形成しつつ加湿フィルタ30を保持する。加湿部3は、軸線AXが延びる方向に長尺の概ね直方体状をなし、直方体を構成する6面のうち、最も大きい面積を有する一対の面である第1の面3a及び第2の面3bを有する。第1の面3a及び第2の面3bは、互いに表裏の関係にあり、加湿部3のうち、空気を通すフィルタ露出部30aを含む面である。なお、加湿部3のうち、軸線AXの径方向に位置し、第1の面3a及び第2の面3bを繋ぐ2つの側面は、加湿部3の回転を妨げないように曲面状に形成されている。
【0021】
図1に示すように、加湿部3の第1の面3a及び第2の面3bが前後方向に向く状態は、加湿フィルタ30がトレイ5の中の水を吸うことが可能な「吸水可能状態」である。図1は、第2の面3bから加湿フィルタ30に入った空気が、第1の面3aから加湿空気として出る態様(以下、第1態様)を示しているが、第1態様から加湿部3が180°回転して、第1の面3aから加湿フィルタ30に入った空気が、第2の面3bから加湿空気として出る態様(以下、第2態様)も吸水可能状態である。つまり、吸水可能状態を実現する加湿部3の態様としては、第1態様及び第2態様の2つの態様がある。加湿装置100の動作中、制御部9の制御の下で、加湿部3は、第1態様及び第2態様の一方から他方へ、所定の周期で変化する。加湿部3は、第1態様及び第2態様のいずれの場合であっても、フィルタ露出部30aが水平方向(左右方向)に向く。このときの軸線AXを中心とする加湿部3の回転位置を、図13(a)に示すように、第1回転位置Rp1とする。
【0022】
一方、制御部9は、加湿装置100の動作停止指示を受け付けると、加湿部3を、第1の面3a及び第2の面3bが鉛直方向(上下方向)に向く状態とする(つまり、第1態様又は第2態様の加湿部3を90°回転させた状態とする)。この状態の軸線AXを中心とする加湿部3の回転位置を、図13(b)に示すように、第2回転位置Rp2とする。第2回転位置Rp2では、フィルタ露出部30aが鉛直方向に向く。第2回転位置Rp2にある加湿部3は、加湿フィルタ30がトレイ5の中の水から離れる「離間状態」である。この離間状態により、加湿フィルタ30がトレイ5の中の水に常時浸っていることを防ぎ、雑菌の繁殖を抑えることができる。なお、(i)加湿部3を第1態様及び第2態様の一方から他方に切り替える場合と、(ii)第1回転位置Rp1及び第2回転位置Rp2の一方から他方に回転移動させる場合において、加湿部3の回転方向は任意であり、時計回りでも反時計回りでもよい。
【0023】
紫外線照射部4は、筐体1の内部に紫外線を照射する。具体的に、紫外線照射部4は、高い除菌、殺菌効果がある深紫外線(UV-C)を発する深紫外線LEDが実装されたLEDモジュールから構成される。
【0024】
紫外線照射部4は、ケーシング10の前側に固定される梁部14に取り付けられる。図3に示すように、梁部14は、側壁部12、及び、側壁部12と対向する壁部15の間に位置し、ケーシング10に対して左右方向に延びる梁構造を付与する。つまり、梁部14は、一端(右端)が側壁部12に固定され、他端(左端)が壁部15に固定される。このように設けられる梁部14は、図1に示すように、前パネル1Fの後方に位置して、前パネル1Fに接触する。つまり、梁部14は、前パネル1F(外装パネル)を背後から支える。これにより、組み立て時などに生じた前パネル1Fの歪みを抑えることができる。
【0025】
図1に示すように、梁部14は、前パネル1Fの背後に位置する。梁部14には、紫外線照射部4を収めるモジュールケース14aが形成されている。モジュールケース14aに収められた紫外線照射部4は、筐体1の内部であって、吸込口P1から加湿部3を経由して吹出口P2に至る流路Wのうち、加湿部3と吹出口P2の間(つまり、下流側)に設けられている。また、モジュールケース14aに収められた紫外線照射部4は、軸線AXよりも高い位置に位置し、加湿部3(加湿フィルタ30)に向けて紫外線U(深紫外線)を照射する。
【0026】
具体的に、紫外線照射部4は、加湿部3の軸線AXに向けて紫外線Uを照射する。そして、図13(a)、(b)から分かるように、紫外線照射部4は、加湿部3が第1回転位置Rp1と第2回転位置Rp2の中間位置Rp3にある場合にフィルタ露出部30a(詳しくは一方のフィルタ露出部30a)が向く方向に設けられている。ここで、加湿部3の第1回転位置Rp1から第2回転位置Rp2までの回転角度をθ(図示せず)とすると、この実施形態では、θ=90°である。そして、紫外線照射部4は、水平方向に対して紫外線照射部4の光軸がなす角度αが45°となるように設けられている(α=θ/2)。つまり、加湿部3が中間位置Rp3にある場合のフィルタ露出部30aは、水平方向及び鉛直方向の各々に対して45°の方向に向く。これにより、加湿部3が第1回転位置Rp1にある場合であっても、第2回転位置Rp2にある場合であっても、紫外線照射部4とフィルタ露出部30aの相対位置を同様に保つことができ、加湿フィルタ30に対する照射範囲の変動を抑えることができる。また、前述のように、加湿装置100の動作中、加湿部3は、第1態様及び第2態様の一方から他方へ所定の周期で変化するため、第1の面3a及び第2の面3bの双方に対して偏りなく紫外線Uを照射することができる。
【0027】
なお、以上では、中間位置Rp3を規定するαが、α=θ/2である例を示したが、α及びθはこの例に限られない。例えば、中間位置Rp3を規定するαは、1/4θ≦α≦3/4θの範囲の中で任意に定められてもよい。また、第1回転位置Rp1は加湿部3を前述の吸水可能状態とする位置であれば任意であり、第2回転位置Rp2は加湿部3を前述の離間状態とする位置であれば任意である。つまり、θは、90°に限られず、90°より大きくても、90°より小さくてもよい。
【0028】
図14に示すように、左右方向において、紫外線照射部4は、その光軸が加湿部3の中心と一致するように配置される。そして、図14の吹き出しにおいて模式的に示すように、加湿フィルタ30は、蛇腹折りにされている。なお、図14の吹き出しは、加湿部3のフィルタ露出部30aが紫外線照射部4と対向している場合において、紫外線照射部4及び加湿フィルタ30を紫外線照射部4の光軸と直交する方向から見た場合の模式図である。加湿フィルタ30の折り目方向30bは、加湿部3の回転方向に沿う。つまり、加湿部3は、加湿フィルタ30の折り目に沿って回転駆動される、これにより、紫外線照射部4に対する軸線AXを中心とする加湿部3の回転角度がどのような角度になっても、加湿フィルタ30の折り目の隙間(谷間)まで、紫外線Uを照射することができる。
【0029】
トレイ5は、加湿空気を発生させるための水を貯える。トレイホルダ6に載せられたトレイ5は、ホルダ装着状態において筐体1の内部に位置する。以下では、トレイホルダ6にトレイ5が載置された状態を「トレイ有状態」と言い、トレイホルダ6からトレイ5が取り外された状態を「トレイ無状態」と言う。
【0030】
トレイ5は、ステンレス鋼で形成されており、紫外線Uを受けたとしても、その劣化が抑制される。トレイ5の材質については、後に詳述する。
【0031】
トレイ5は、図5に示すように、縁部50と、縁部50の下方に位置する、主水槽部51、タンク対向部52及びフロート水槽部53と、を有する。主水槽部51は、加湿部3の下方に位置し、加湿部3が吸う水が貯えられる部分である。タンク対向部52は、上下方向において、後述の受け部材80を挟んで給水タンク7と対向する平板状の部分である。フロート水槽部53は、タンク対向部52よりも下方に窪んだ部分であり、後述の水位検知用フロート83が浮く水が貯えられる部分である。フロート水槽部53は、平板状の底である平底部53aを有する。
【0032】
トレイホルダ6は、図6に示すように、トレイ5が収容されるトレイ収容部60と、トレイ収容部60を囲んで立設された立壁部61と、立壁部61を囲んで立設された外周壁部62と、を備える。
【0033】
図7は、トレイ5、及び、トレイ5が載置されたトレイホルダ6の断面図である。当該断面図は、主水槽部51に相当する部分を、前後方向に延びる軸と上下方向に延びる軸とによって定まる仮想平面に沿った断面を示す。なお、図7と、後述の図8図12図17では、図面の見易さを考慮して断面を示すハッチングを適宜省略した。
【0034】
図7に示すように、トレイ5の縁部50は、トレイホルダ6の立壁部61に支持される。縁部50は、トレイホルダ6にトレイ5が載置された状態で、立壁部61と当接して立壁部61に支持される被支持部50aと、被支持部50aと繋がり立壁部61の外面に沿う沿設部50bと、を有する。
【0035】
トレイホルダ6のトレイ収容部60には、トレイ5の下面の一部を覗かせる、2つの開口部6a,6bが設けられている。開口部6a,6bは、前後方向(第1の方向)に間隔を空けて設けられている。ユーザは、開口部6a,6bからトレイ5の下面を押し上げることによって、トレイホルダ6からトレイ5を容易に取り外すことができる。
【0036】
トレイ収容部60は、2つの開口部6a,6bの間に、受け皿部601を有する。トレイ5の主水槽部51は、受け皿部601に向かって膨らむ曲板状に形成されている。具体的に、主水槽部51は、図1に示すように、中央部が下に膨らみ、且つ、加湿部3が軸線AX周りに回転する際に加湿部3の外周が描く円弧状の軌跡に沿う曲板状に形成されている。この主水槽部51の形状により、トレイ5に貯める水を極力少なくすることができる。本実施形態の主水槽部51は、前後で対称の曲板状に形成されている。主水槽部51は、上下方向において、受け皿部601と対向する底板部51aを有する。
【0037】
受け皿部601は、前後方向(第1の方向)における一端と他端に底板部51aに向かって突起する桟601aを有する。図6に示すように、桟601aは、左右方向(第2の方向)に延びて設けられている。この桟601aにより、トレイ5の下面に結露が生じた場合に滴る水滴を、受け皿部601に溜めることができる。また、図7に示すように、トレイホルダ6にトレイ5が載置されたトレイ有状態では、桟601aと底板部51aの間には隙間が生じる。この隙間により、トレイ5の下面の水滴を受け皿部601に向けて良好に通すことができる。
【0038】
給水タンク7は、図2に示すように、筐体1内のタンク収容室R7に収容され、トレイ5に供給するための水を貯える。図8(a)、(b)に示すように、給水タンク7は、タンク本体70と、タンク本体70の下端に取り付けられたタンクキャップ71と、を備える。タンクキャップ71は、給水口71aと、給水口71aを開閉する弁機構72と、を有する。
【0039】
仕切構造部8は、図10に示すように、一体に形成された、受け部材80、仕切板81及びフロート支持部82を備える。仕切構造部8は、トレイ5及びトレイホルダ6とは別体の構成である。仕切構造部8(つまり、一体の受け部材80、仕切板81及びフロート支持部82)は、トレイ5に対して着脱可能である。
【0040】
受け部材80は、図8(a)に示すように、給水タンク7を受ける受け皿状の部材である。受け部材80は、その縁で給水タンク7のタンクキャップ71を受けると共に、縁から凹んで形成される底面から弁機構72に向かって突起するピン状部80aを有する。
【0041】
給水タンク7は、タンク収容室R7に収容されると、タンクキャップ71が受け部材80に受けられる(支持される)格好となる。この際、給水タンク7の弁機構72がピン状部80aに相対的に押し上げられる。これにより、弁機構72が開状態となり、給水口71aから受け部材80への流路が開放され、給水タンク7から受け部材80を経て、トレイ5に水が供給される。トレイ5の水面が給水口71aの下端まで達すると、外気が給水口71aからタンク本体70へ入らなくなるため、給水タンク7からトレイ5への水の供給が止まる。そして、トレイ5の水が減り、その水面が給水口71aの下端よりも低くなると、外気が給水口71aからタンク本体70に入ると共に、給水口71aから水が出る。この機構により、トレイ5における水位は一定に保たれる。なお、仕切板81には、受け部材80に溜まった水を加湿部3の側へ通過させる通水孔81a(図10図11参照)が形成されている。
【0042】
仕切板81は、図2に示すように、加湿部3と給水タンク7を仕切る板状の部材である。ここで、トレイホルダ6の立壁部61には、図6に示すように、切り欠き61aが形成されている。図6では示されていないが、切り欠き61aは、前後方向に互いに対向して、一対設けられている。一対の切り欠き61aは、トレイホルダ6に載置されたトレイ5上に仕切構造部8がさらに載置された状態で、トレイ5の縁部50を挟んで仕切板81の下方に位置する。また、トレイホルダ6の外周壁部62には、仕切板81の左右の端部が挿入される一対の仕切板ガイド62aが設けられている。仕切板ガイド62aは、外周壁部62の外周に向かって凹み、且つ、上下方向に延びる溝状の部分である。
【0043】
仕切板81は、図10図11に示すように、切り欠き61aと嵌合可能な嵌合可能部81bと、仕切板ガイド62aに挿入される挿入リブ81cと、を有する。挿入リブ81cは、嵌合可能部81bよりも仕切板81の外側に位置する。嵌合可能部81bは、一対の切り欠き61aに対応して一対ある。挿入リブ81cも、一対の仕切板ガイド62aに対応して一対ある。仕切構造部8は、仕切板ガイド62aに挿入リブ81cを挿入することで、トレイホルダ6に対して仕切板81が立つ格好でトレイホルダ6に取り付けられる。
【0044】
図8(a)、図9(a)は、「トレイ有状態」の各部の関係を示す。トレイ有状態では、図9(a)に示すように、切り欠き61aがトレイ5の縁部50に覆われて嵌合可能部81bとは嵌合しない。そして、図8(a)に示すように、給水タンク7が受け部材80に受けられて弁機構72がピン状部80aに押された状態になる。これにより、前述の通り、給水タンク7からトレイ5への給水が可能である。
【0045】
図8(b)、図9(b)は、「トレイ無状態」の各部の関係を示す。トレイ無状態では、図9(b)に示すように、トレイ5及び縁部50が無いことで、嵌合可能部81bが切り欠き61aに嵌合する。そして、図8(b)に示すように、受け部材80及びピン状部80aがトレイ有状態の時よりも下がる(つまり、仕切構造部8全体がトレイ有状態の時よりも下がる)ことにより、ピン状部80aが弁機構72から離れる。したがって、弁機構72が閉状態となり、給水口71aから受け部材80への流路が閉塞され、給水タンク7からの給水が停止される。これにより、ユーザがトレイホルダ6にトレイ5を装着し忘れて、仕切構造部8を載せたトレイホルダ6を筐体1に装着してしまった場合であっても、給水タンク7からトレイホルダ6に水が流れ出ることを防止することができる。
【0046】
ここで、給水タンク7のタンク本体70は、上下方向において立壁部61と対向する対向部70aを有する。図8(a)に示すように、トレイ有状態では、給水タンク7は、タンクキャップ71が受け部材80に支持されると共に、対向部70aがトレイ5の縁部50に支持される。一方、図8(b)に示すように、トレイ無状態では、給水タンク7は、タンクキャップ71が受け部材80から離れ、対向部70aが立壁部61に直接支持される。これにより、トレイ無状態では、給水タンク7は、トレイ5の縁部50の厚さ分だけトレイ有状態よりも僅かに下がる。一方で、図8(a)及び図8(b)を比較して分かるように、トレイ無状態では、嵌合可能部81b(つまり、仕切構造部8全体)が、縁部50の厚さと、切り欠き61aの深さ(上下方向の長さ)の合計分だけ下がる。したがって、トレイ無状態では、この切り欠き61aの深さに応じた距離だけ、給水タンク7の弁機構72からピン状部80aを離すことができる。
【0047】
図8(a)に示すように、トレイホルダ6は、トレイ有状態でトレイ5における受け部材80と対向する部分(前述のトレイ5のタンク対向部52)に当接する台部602と、台部602よりも低い位置にある低床部603と、台部602を囲むリブ604と、を有する。図6に示すように、低床部603は、受け皿部601の底と繋がる。台部602は、低床部603から上方に隆起し、本実施形態では円状に形成されている。台部602により、トレイ5及びトレイ5上に位置する仕切構造部8を安定させることができる。リブ604は、一部が間欠したリング状に形成されている。リブ604の間欠した部分により、通気を確保することができ、リブ604と台部602の間に溜まってしまった水が乾燥し易い。
【0048】
受け部材80は、図8(a)に示すトレイ有状態でトレイ5(具体的にはタンク対向部52)に支持される脚部80bを有する。脚部80bは、図10に示すように、概ね円盤状に形成された受け部材80の外周の下端部に相当する。これにより、脚部80bの下端はリング状をなし、トレイ無状態では、図6に示す台部602とリブ604の間に嵌め合わされる。つまり、図8(b)に示すトレイ無状態では、前述のように、トレイ有状態の時よりも位置が低下する仕切構造部8の脚部80bが低床部603に支持される。これにより、仕切構造部8は、トレイ有状態では脚部80bにおいてトレイ5に確実に支持される一方で、トレイ無状態ではトレイホルダ6の低床部603に確実に支持される。
【0049】
また、トレイホルダ6のリブ604は、図8(a)に示すトレイ有状態で、トレイ5における受け部材80と対向しない部分に当接する。そして、図8(b)に示すトレイ無状態では、脚部80bが、台部602とリブ604の間の低床部603に支持される。ここで、トレイ有状態では、トレイ5は、受け部材80の脚部80bを介して給水タンク7の荷重を受けるが、リブ604があることによって、トレイ5の台部602に支持されている部分の周囲もリブ604で支持することができる。つまり、リブ604により、トレイ5の局所に給水タンク7の荷重が集中することを抑制でき、トレイ5が変形してしまうことを抑制できる。
【0050】
図10に示すフロート支持部82は、トレイ5に貯えられた水に浮く水位検知用フロート83を、当該水の変位に応じて変位可能に支持する。具体的に、水位検知用フロート83は、前述のフロート水槽部53の中の水に浮く。本実施形態のフロート支持部82は、水位検知用フロート83を前後方向に延びる軸線BXを中心に回転可能に支持する。したがって、トレイ5内の水が変位すると、水位検知用フロート83は、軸線BXを中心として円弧状に変位する。
【0051】
図12に示すように、水位検知用フロート83は、その下端部において磁石Mを保持している。また、トレイ5におけるフロート水槽部53の平底部53aを挟んで磁石Mの反対側には、磁石Mによる磁場(磁束密度)を検出する磁気センサSが設けられている。磁気センサSは、例えば、ケーシング10の底部10Dの内部に埋設されている。磁気センサSは、リードスイッチ、ホール素子、MR(Magneto Resistive Sensor)素子などから構成され、水位検知用フロート83の変位によって、磁石Mが磁気センサSに近づくことで、変化する磁石Mの磁束を検出する。制御部9は、磁気センサSが出力した検出信号に基づき、トレイ5内の水位を検知する。
【0052】
ここで、本実施形態のトレイ5は、オーステナイト系のステンレス鋼であるSUS304に対し、冷間加工を行うことで成形される。また、トレイ5は、SUS301、SUS316等で形成されていてもよい。
【0053】
図2に示す制御部9は、加湿装置100の全体動作を制御するマイクロコンピュータから構成され、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。ROMには、加湿装置100を加湿運転するための動作プログラムに加え、後述の乾燥運転処理、加湿運転時除菌処理を実行するための動作プログラムが予め記憶される。制御部9は、図示しないPCB(Printed Circuit Board)に実装されている。当該PCBは、例えば、上パネル1Uとケーシング10の間に設けられる。制御部9は、加湿装置100が備える種々の電子部品と電気的に接続される。制御部9は、上パネル1Uに設けられた操作パネル(図示せず)に対してなされたユーザによる操作(以下、ユーザ操作と言う。)を受け付け、受け付けた操作内容に応じて、加湿装置100の各部を制御する。制御部9は、ヒータH、ファンモータ2a、及び、加湿部3を回転駆動するターンモータ(図示せず)の各々の動作を制御する。また、制御部9は、後述の駆動回路DRを介して紫外線照射部4を駆動制御する。また、制御部9は、磁気センサSの出力に基づき、トレイ5内の水位を検知する。
【0054】
本実施形態に係る加湿装置100は、以下に説明するように、トレイ部の装着有無の検出機構と、これに伴う紫外線照射の制御に関する特徴を更に有する。
【0055】
加湿装置100は、図15(a)、(b)に示すように、ロック機構40と、検出器41と、を備える。ロック機構40は、トレイホルダ6と一体に設けられた保持部42に保持されており、本実施形態ではロック機構40は保持部42を挿通可能とすることで、上下方向に可動する。また、ロック機構40には閂部401が設けられている。図15(a)に示すように、ロック機構40が下方向へ可動すると、閂部401は筐体1内部の底部10Dに設けられた穴部43と嵌合して、トレイ部TRを筐体1から引き出して取り外すことができないよう規制するロック状態となる。また、図15(b)に示すように、ロック機構40が上方向へ可動すると、閂部401は穴部43との嵌合が解除され、トレイ部TRを筐体1から引き出して取り外すことができるロック解除状態となる。
【0056】
ここで、トレイ部TRの動きを規制するロック状態を、トレイ部TRが筐体1に装着された状態(装着状態)であるとし、トレイ部TRのロック状態が解除されたロック解除状態を、トレイ部TRを筐体1から取り外し可能な状態を含み、トレイ部TRが装着されていない状態(非装着状態)であるとする。
【0057】
検出器41は、筐体1内部に設けられており、本実施形態ではリミットスイッチ、マイクロスイッチといった検出用センサから構成され、アクチュエータ等の検知部41aに加えられた外力により、可動接点であるスイッチSWを動作させる。図15(a)に示すように、ロック機構40が下方向へ可動すると、前述したロック状態となると共に、ロック機構40が検出器41の検知部41aに外力を加えることにより、検出器41のスイッチSWをオン(閉)状態とする。また、図15(b)に示すように、ロック機構40が上方向へ可動すると、前述したロック解除状態となると共に、ロック機構40が検知部41aに加えていた外力が無くなり、検出器41のスイッチSWをオフ(開)状態とする。つまり、ロック機構40がロック状態即ちトレイ部TRが装着状態となったことに連動して、検出器41のスイッチSWはオン状態となり、ロック機構40がロック解除状態即ちトレイ部TRが非装着状態となったことに連動して、検出器41のスイッチSWはオフ状態となる。
【0058】
このとき、検出器41は、ロック機構40の動作に伴うスイッチ動作の結果(オン状態又はオフ状態)を、制御部9へ装着状態又は非装着状態を示す有電圧信号として出力する。ここで、スイッチ等の接点を有電圧接点として出力する場合、スイッチSWがオンの状態で電圧有りとするか、スイッチSWがオフの状態で電圧有りとするかは、回路構成により異なる。そこで、ロック機構40がロック状態即ちトレイ部TRが装着状態であり、検出器41のスイッチSWがオン状態である場合は、ロック機構40がロック状態となったことに連動して、検出器41は装着状態信号として電圧有りの状態で制御部9へ出力する。一方で、異なる回路構成であれば、ロック機構40がロック解除状態即ちトレイ部TRが非装着状態であり、検出器41のスイッチSWがオフ状態である場合に、ロック機構40がロック解除状態となったことに連動して、検出器41は非装着状態信号として電圧有りの状態で制御部9へ出力することも可能である。
【0059】
制御部9は、検出器41からの信号により、トレイ部TRが装着状態なのか、非装着状態なのか、判別することができる。そして、制御部9は、トレイ部TRが非装着状態である場合は、紫外線照射部4の駆動を行わないように制御する。つまり、検出器41から装着状態を示す信号が入力されていない場合、又は非装着状態を示す信号が入力されている場合に、制御部9はトレイ部TRが非装着状態であると判別し、紫外線照射部4の駆動を行わないように制御する。これにより、筐体1外部への紫外線Uの漏出を防止することができ、ユーザの安全性を確保できる。
【0060】
また、トレイ部TRを筐体1に装着する際、つまりトレイ部TRを挿入口1aから筐体1内部へ左右方向(水平方向)に挿入する際は、ロック機構40と検出器41は互いに接触することの無い距離に保たれている。つまり、トレイ部TRの装着状態においては、水平方向に接触しない程度の距離が確保されているため、仮に勢いよくトレイ部TRを挿入したとしても、ロック機構40が検出器41に接触することによる破損等が生じることは無い。
【0061】
また、図16に示すように、ロック機構40は筐体1と干渉しない位置に設けられている。つまり、トレイ部TRを筐体1に装着する、又は筐体1から取り外す際に、ロック機構40は筐体1内部と干渉しないよう、トレイホルダ6に保持される。
【0062】
なお、本実施形態では、ロック機構40は保持部42を挿通可能とすることで、上下方向に可動しているが、例えば、ロック機構40とトレイ部TRにスライドレールを設けて、ロック機構40が上下方向に可動するようにしても良い。
【0063】
また、本実施形態では、閂部401は穴部43と嵌合することでロック状態となっているが、例えば、筐体1内部の底部10Dに堰を設けることで、ロック機構40が下方向に可動して底部10Dに到達した後、トレイ部TRを筐体1から引き出そうとしても堰に妨げられて引き出せないようにしても良い。
【0064】
また、本実施形態では、検出器41の検知部41aは下方向に外力を加えることでスイッチSWをオン(閉)状態にする配置であるが、検出器41をロック機構40の上部、かつ上下逆向きに配置して、検知部41aに対して上方向に外力を加えるような配置としても良い。
【0065】
また、検出器41及びロック機構40の配置を、本実施形態とは上下逆の向きとなるように配置しても良い。つまり、トレイ部TRがロック状態即ち装着状態となる場合は、ロック機構40が上方向へ可動し、筐体1内部に上向きに設けられた穴部(図示せず)に閂部401が嵌合するような構成でも良い。また、ロック機構40がロック解除状態即ちトレイ部TRが非装着状態となる場合は、ロック機構40が下方向へ可動し、穴部(図示せず)との嵌合が解除される構成でも良い。
【0066】
なお、本実施形態では、検出器41はリミットスイッチ、マイクロスイッチといった有接触検出方式の検出センサであるが、無接触検出方式である近接センサ(リードスイッチ等)や、光電スイッチ等でも良い。その場合、検知部41aは磁界や光の変化を検知する素子に該当し、ロック機構40が近づくことで変化する磁界や光を検知する。
【0067】
また、本実施形態では、制御部9へ信号を出力するための検出器41は、接点出力方式の検出センサであるが、フォトカプラ出力方式、電圧出力形、電流出力形のセンサでも良い。
【0068】
次に、ロック機構40の動作に伴う検出器41のスイッチ動作の結果(オン状態又はオフ状態)を、制御部9へ出力するのではなく、開閉素子として直接使用する構成について説明する。
【0069】
加湿装置100は、図17(a)、(b)に示すように、紫外線照射部4を駆動するための駆動回路DRと、紫外線照射部4と直列接続されたスイッチSWと、を備える。駆動回路DRは、電源90と、ベースが制御部9に接続されたnpn型のトランジスタ91と、トランジスタ91のコレクタに接続された抵抗素子92と、を備え、制御部9の制御により電源90から紫外線照射部4に駆動電流を供給する。なお、トランジスタ91のエミッタは、GND接続される。スイッチSWは、検出器41の可動接点であるスイッチを使用する。駆動回路DRの電源90と抵抗素子92とは、スイッチSW及び紫外線照射部4を介して直列に接続される。スイッチSWは、紫外線照射部4よりも電源90側に位置する。つまり、負荷としての紫外線照射部4と、スイッチSWとは、駆動回路DRと直列に接続される。制御部9は、トランジスタ91のオン/オフ動作を制御し、電源90と抵抗素子92に基づいて紫外線照射部4に駆動電流を供給可能である。なお、トランジスタ91は、npn型に限られず、pnp型であってもよいし、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の公知のスイッチング素子であってもよい。駆動回路DRの構成は、用いるスイッチング素子に合わせて適宜変更すればよい。いずれの場合においても、スイッチSW及び紫外線照射部4は、駆動回路DRと直列に接続される。
【0070】
図17(a)に示すように、スイッチSWがオン状態(接点が閉の状態)では、電源90から紫外線照射部4まで導通状態となり、制御部9の制御により、紫外線照射部4に駆動電流を供給して、紫外線照射部4に紫外線Uを照射させることができる。
【0071】
スイッチSWがオン状態となるためには、検出器41の検知部41aに外力を加える必要があり、前述した通り、ロック機構40が下又は上方向へ可動することにより加えることができる。このとき、ロック機構40がロック状態となったことに連動して、検出器41のスイッチSWはオン状態となり、紫外線照射部4を駆動することができる。
【0072】
一方、トレイ部TRが筐体1から取り外され非装着状態となると、ロック機構40はロック解除状態となり、検出器41のスイッチSWはオフ状態となる。図17(b)に示すように、スイッチSWがオフ状態(接点が開の状態)では、電源90から紫外線照射部4までの電流経路が遮断される。つまり、スイッチSWがオフ状態では、紫外線照射部4への駆動電流が遮断される。これにより、制御部9が紫外線照射部4を駆動する制御を行っていたとしても、トレイ部TRが筐体1に装着されていない状態では、紫外線照射部4が紫外線Uの照射が不能となる。したがって、筐体1外部への紫外線Uの漏出を防止することができ、ユーザの安全性を確保できる。例えば、駆動回路DRの故障、トランジスタ91のショートによる故障、制御部9のプログラムの誤動作などにより、意図しない紫外線Uが照射可能な事態(例えば、制御上の紫外線Uの照射指示、駆動電流の供給)が生じてしまっても、筐体1にトレイ部TRが装着されていない状態では、確実に紫外線Uの照射が不能となる。
【0073】
また、ロック機構40を上方向へ可動しロック解除状態とするために、ロック機構40に設けられたレバー部402を上方向へ可動しても良い。また、トレイ部TRを筐体1から取り外すため、トレイホルダ6に設けられた把手6Hを掴んで、トレイ部TRを引き出す操作を行うが、レバー部402を把手内部6Haの空間へ配置し、把手6Hを掴みつつレバー部402を上方向へ操作可能な位置に設けることで、トレイ部TRを引き出す操作と一緒に、ロック解除状態とする操作を行うことができる。
【0074】
なお、レバー部402の可動方向は上方向だけでなく、下方向となるケースも存在する。つまり、検出器41及びロック機構40の配置が、本実施形態とは上下逆向きとなる場合、ロック解除状態となるロック機構40の可動方向は下方向であるため、レバー部402の可動方向も下方向となる。このとき、ロック機構40を上方向へ規制するバネ構造(図示せず)を設けることにより、ロック機構40はバネの弾性力によりロック状態を維持しつつ、レバー部402に下方向の力を加えてバネを縮めることでロック解除状態とする操作を行う。
【0075】
また、図16に示すように、レバー部402は把手内部6Haの空間において、前後方向の長さを中央付近まで確保した形状としても良い。つまり、トレイ部TRを引き出す際は、把手6Hの中央付近を掴んだ方が操作性良く引き出せるが、その場合でも容易にレバー部402を操作することができる。
【0076】
図18に示すように、加湿装置100は、加湿部3の回転位置を検出するための検出部DPと、第2軸部31Lと連動する連動部32と、をさらに備える。図18は、検出部DPと加湿部3の関係を示す図である。ここで、第2軸部31Lには、軸線AXを中心とする径方向に突起する一対の突起部31Laが形成されている。加湿部3が第1回転位置Rp1にあり、縦向きになった場合、一対の突起部31Laも縦向きになる。一方、加湿部3が第2回転位置Rp2にあり、横向きになった場合、一対の突起部31Laも横向きになる。
【0077】
連動部32は、ケーシング10に設けられる構成であり、軸線CXを中心として回転可能に設けられたレバー状の部材である。軸線CXは、軸線AXと平行である。連動部32は、第1軸部31Rが仕切板81に支持されると共に第2軸部31Lがトレイホルダ6に支持され、且つ、トレイ部TRが筐体1に装着された状態で、第2軸部31Lと上下方向において対向する。そして、連動部32は、第2軸部31Lの一対の突起部31Laの一方によって上方に押されると、軸線CXを中心とする円弧に沿って上方に動く。つまり、連動部32及び突起部31Laは、第2軸部31Lの軸線AXを中心とする回転運動を、軸線CXを中心とする回転運動に変換するカム機構として機能する。
【0078】
加湿部3が第1回転位置Rp1にあり、第2軸部31Lの一対の突起部31Laが縦向きになると、連動部32は、一方の突起部31Laによって上方に押され、検出部DPをオンする。検出部DPは、例えばマイクロスイッチから構成され、検出結果を示す信号を制御部9に出力する。
【0079】
一方、加湿部3が第2回転位置Rp2にあり、第2軸部31Lの一対の突起部31Laが横向きの場合、連動部32は突起部31Laに押されず、検出部DPをオンしない。また、加湿部3が第2回転位置Rp2と第1回転位置Rp1の間の状態では、連動部32が突起部31Laに押されず検出部DPがオンされないか、連動部32が突起部31Laに押されたとしても検出部DPのスイッチをオンするのに充分なほどには連動部32が検出部DPに接触しない。したがって、加湿部3が第1回転位置Rp1以外の回転位置にある場合、検出部DPはオフ状態である。
【0080】
ここで、加湿部3は、前述のように、(i)第1軸部31Rが仕切板81(軸受け8R)に支持されると共に、第2軸部31Lがトレイホルダ6(軸受け6L)に支持され、且つ、(ii)トレイ部TRが筐体1に装着された場合に、軸線AXを中心に回転駆動可能となる。したがって、後述のように所定期間内に加湿部3の回転位置が検出されないことは、トレイ部TRに仕切構造部8、つまり仕切板81が装着されていない状態と見做すことができる。つまり、検出部DPは、加湿部3の回転位置を検出するだけでなく、トレイ部TRが筐体1に装着された場合に、トレイ部TRに対する仕切板81の着脱状態を、間接的に検出する構成であると言える。
【0081】
制御部9は、加湿装置100の運転モードとして、加湿空気を筐体1の外部へ送り出す加湿運転モードと、加湿部3を乾燥させるための乾燥運転モードとを切り替え可能である。制御部9は、ユーザ操作による乾燥運転モードの開始指示を受け付けると、図19に示す乾燥運転処理を実行する。なお、乾燥運転処理は、トレイ5内に水が無いことが前提になる。したがって、制御部9は、磁気センサSが出力した検出信号に基づきトレイ5内に水が無いことを特定したことを条件に乾燥運転処理を開始してもよい。
【0082】
(乾燥運転処理)
まず、制御部9は、ファン2を駆動して加湿部3に風を送る乾燥運転を実行する(ステップS101)。この際、制御部9は、ヒータHも駆動して加湿部3に温風を送るようにする。
【0083】
続いて、制御部9は、加湿部3を軸線AX周りに回転させるため、ターンモータを回転させる(ステップS102)。
【0084】
続いて、制御部9は、所定期間内に検出部DPがオンされたか否かを判別する(ステップS103)。乾燥運転処理では、加湿部3の通風面積を確保するため、加湿部3を縦向き、つまり第1回転位置Rp1に制御する。ステップS103は、この制御のための判別処理である。所定期間は、加湿部3が第2回転位置Rp2にあった場合であっても、第2回転位置Rp2から第1回転位置Rp1に回転移動させるのに充分な期間として予め定められる。したがって、所定期間の長さは任意であるが、例えば30秒といった期間が設定されている。
【0085】
ステップS103で所定期間内に検出部DPがオンされた場合(ステップS103;Yes)は、トレイ部TRに仕切板81が装着されている状態と見做すことができる。この場合、制御部9は、検出部DPがオンとなるとターンモータの回転を停止させて、加湿部3を第1回転位置Rp1に制御した上で、紫外線照射部4に紫外線Uを照射させる(ステップS104)。なお、ステップS103でYesとなった後は、制御部9は、第1の面3a及び第2の面3bの双方が偏りなく乾燥するように、加湿部3を第1態様及び第2態様の一方から他方へ所定の周期で切り替える。
【0086】
続いて、制御部9は、乾燥運転の停止条件が成立したか否かを判別する(ステップS105)。この停止条件は、乾燥運転を開始してから規定時間経過した場合、又は、ユーザ操作による乾燥運転モードの停止指示を制御部9が受け付けた場合に成立する。停止条件が成立していない場合(ステップS105;No)、制御部9は、乾燥運転及び紫外線照射を継続する。一方、停止条件が成立した場合(ステップS105;Yes)、制御部9は、乾燥運転及び紫外線照射を停止し(ステップS106)、乾燥運転処理を終了させる。
【0087】
ステップS103で所定期間内に検出部DPがオンされなかった場合(ステップS103;No)は、本来有るべき第2軸部31Lが存在しない状態でターンモータが回転し続けていることを意味する。したがって、この状態は、トレイ部TRに仕切板81が装着されていない状態と見做すことができる。仕切板81が無い状態で紫外線Uが照射されると、筐体1外部への紫外線Uが漏出する虞がある。したがって、この場合、制御部9は、紫外線照射部4に紫外線Uを照射させず、エラー報知を行う(ステップS107)。例えば、エラー報知は、加湿装置100に設けられた図示しない構成として、画像表示部にエラー表示を行わせたり、警告灯を点灯させたりすることによって実行されればよい。続いて、制御部9は、乾燥運転を停止し(ステップS108)、乾燥運転処理を終了させる。以上が乾燥運転処理である。
【0088】
なお、変形例に係る検出部DPとして、トレイ部TRが筐体1に装着された場合に、トレイ部TRに対する仕切板81の着脱状態を直接検出する構成を採用してもよい。
この変形例に係る検出部DPは、仕切構造部8が装着されたトレイ部TRが、筐体1に装着された場合に、仕切構造部8の任意の部分に押されてオンされる機械スイッチ、又は、仕切構造部8の任意の部分が規定の位置あることを検出する光学式もしくは磁気式スイッチであればよい。変形例に係る検出部DPも、ケーシング10に設けられればよい。
【0089】
また、検出部DPが、仕切板81の着脱状態を直接又は間接的に検出するかに限らず、図19に示す乾燥運転処理を、ステップS103でYesとなった直後に初めて乾燥運転を行うように変更してもよい。この場合、ステップS101及びS108の処理は不要である。
【0090】
(加湿運転時除菌処理)
ここからは、制御部9が実行する加湿運転時除菌処理について説明する。制御部9は、ユーザ操作による加湿運転モードの開始指示を受け付けると、ファン2を駆動させつつ、加湿運転時除菌処理を実行する。
【0091】
制御部9は、一定期間Tごとに(つまり、所定周期で)、加湿運転時除菌処理を実行する。図20は、2周期分(つまり、2Tの期間分)の加湿運転時除菌処理のシーケンスを示す。図21は、1周期分(つまり、1Tの期間分)の加湿運転時除菌処理のフローチャートを示す。
【0092】
図20に示すように、一定期間Tは、それぞれ一定期間Tの半分の長さの前半Tf及び後半Tsから構成される(Tf=Ts=1/2T)。制御部9は、前半Tfから後半Tsへ切り替わるタイミングで加湿部3を180°回転させ、加湿部3を第1態様から第2態様へと切り替える。
【0093】
前半Tfは、紫外線照射部4から紫外線Uが照射されない第1停止期間K1、及び、第1停止期間K1に続く第1照射期間T1から構成される。第1照射期間T1は、加湿部3が第1態様に制御され、且つ、紫外線照射部4から紫外線Uが照射される期間である。つまり、第1照射期間T1は、第1の面3aに向けて紫外線Uを照射する一方で、第2の面3bに向けて紫外線Uが照射されない期間である。
【0094】
後半Tsは、第2照射期間T2、及び、第2照射期間T2に続く、紫外線照射部4から紫外線Uが照射されない第2停止期間K2から構成される。第2照射期間T2は、加湿部3が第2態様に制御され、且つ、紫外線照射部4から紫外線Uが照射される期間である。つまり、第2照射期間T2は、第2の面3bに向けて紫外線Uを照射する一方で、第1の面3aに向けて紫外線Uが照射されない期間である。
【0095】
ここで、本実施形態に係る一定期間Tを構成する各期間の長さについて整理する。
・第1照射期間T1は、第1停止期間K1の倍の長さである(T1=2×K1)。
・第2照射期間T2は、第2停止期間K2の倍の長さである(T2=2×K2)。
・第1停止期間K1と第2停止期間K2の長さは等しい(K1=K2)。
・第1照射期間T1と第2照射期間T2の長さは等しい(T1=T2)。
【0096】
以上の関係から、一定期間Tを基準に考えると各期間の長さは、K1=K2=1/6Tであり、T1=T2=2/6T=1/3Tである。
【0097】
ここで、第1の面3aに対する紫外線Uの照射と非照射を考える。加湿運転時除菌処理が一定期間Tごとに繰り返し実行される際に、ある第1照射期間T1と、その次の第1照射期間T1の間(つまり、時間軸上で隣り合う第1照射期間T1の間)は、第1の面3aに向けて紫外線Uが照射されない第1非照射期間N1である。第1非照射期間N1は、時間順に続く、第2照射期間T2、第2停止期間K2及び第1停止期間K1から構成される。上述した各期間の長さから分かるように、第1の面3aに紫外線Uが照射される第1照射期間T1よりも、第1の面3aに紫外線Uが照射されない第1非照射期間N1のほうが長い。
【0098】
同様に、第2の面3bに対する紫外線Uの照射と非照射を考える。加湿運転時除菌処理が一定期間Tごとに繰り返し実行される際に、ある第2照射期間T2と、その次の第2照射期間T2の間(つまり、時間軸上で隣り合う第2照射期間T2の間)は、第2の面3bに向けて紫外線Uが照射されない第2非照射期間N2である。第2非照射期間N2は、時間順に続く、第2停止期間K2、第1停止期間K1及び第1照射期間T1から構成される。上述した各期間の長さから分かるように、第2の面3bに紫外線Uが照射される第2照射期間T2よりも、第2の面3bに紫外線Uが照射されない第2非照射期間N2のほうが長い。
【0099】
さらに、本実施形態では、具体的に、一定期間Tは90分であり、第1照射期間T1及び第2照射期間T2の各々は30分であり、第1非照射期間N1及び第2非照射期間N2の各々は60分である。その他の期間については、上述した関係から、K1=K2=15(分)、Tf=Ts=45(分)である。
【0100】
ここで、加湿部3の第1の面3a及び第2の面3bの一方の面に、紫外線Uを照射する期間の長さを30分に設定した理由を説明する。図22は、紫外線照射時間と除菌効果の関係の一例を示す図である。具体的に、図22は、水質汚濁に関する基準などでも使用される大腸菌群を用いて、フィルタ素材に付着した細菌の減衰量を測定したデータのグラフである。このグラフは、UV-Cを除菌対象であるフィルタ素材に30分間、継続して照射した後に、照射を停止した際の細菌の減衰量の経時変化を示す。このグラフから分かるように、UV-Cの照射を開始してから約30分で、細菌の減衰量が飽和しはじめることが分かる。つまり、紫外線を30分以上、除菌対象に照射したとしても、より細菌を減衰させることは困難であり、除菌効果に限界があると想定することができる。また、大腸菌群でも代表的な、大腸菌(Escherichia coli)は、細菌生育の好条件が揃った場合には約20分で2分裂すると言われる。UV-C照射停止後の菌量から推測すると(グラフの破線部)、照射停止後から約50分を超えた菌量は、UV-C照射以前の菌量にまで再増殖する可能性がある。
【0101】
以上の考察から、第1照射期間T1及び第2照射期間T2の各々を「30分」に設定し、第1非照射期間N1及び第2非照射期間N2の各々を「60分」に設定した。そして、加湿部3を第1態様及び第2態様の一方から他方へ切り替える期間としての、前半Tf、後半Tsを「45分」とすることで、図20のように規則的なシーケンスを構築することができる。
【0102】
図21のフローチャートを参照して、加湿運転時除菌処理を説明する。なお、加湿運転時除菌処理の開始時には、加湿部3が第1態様に制御され、且つ、紫外線照射部4が駆動されていないものとする。
【0103】
まず、制御部9は、加湿運転時除菌処理の開始から、第1停止期間K1が経過したか否かを判別する(ステップ201)。第1停止期間K1が経過していない場合(ステップS201;No)、制御部9は、第1停止期間K1が経過するまで待機し、第1停止期間K1が経過すると(ステップS201;Yes)、紫外線照射部4に紫外線Uを照射させる(ステップS202)。続いて、制御部9は、紫外線Uの照射の開始から、第1照射期間T1が経過したか否かを判別する(ステップ203)。第1照射期間T1が経過していない場合(ステップS203;No)、制御部9は、第1照射期間T1が経過するまで待機し、第1照射期間T1が経過すると(ステップS203;Yes)、加湿部3を第1態様から第2態様に切り替える、つまり、加湿部3の被照射面を切り替える(ステップS204)。ここまでが、前半Tfに相当する。
【0104】
続く後半Tsでは、制御部9は、後半Tsの開始から第2照射期間T2が経過したか否かを判別する(ステップS205)。第2照射期間T2が経過していない場合(ステップS205;No)、制御部9は、第2照射期間T2が経過するまで待機し、第2照射期間T2が経過すると(ステップS205;Yes)、紫外線照射部4による紫外線Uの照射を停止させる(ステップS206)。続いて、紫外線Uの照射停止から第2停止期間K2が経過したか否かを判別する(ステップ207)。第2停止期間K2が経過していない場合(ステップS207;No)、制御部9は、第2停止期間K2が経過するまで待機し、第2停止期間K2が経過すると(ステップS207;Yes)、加湿部3を第2態様から第1態様に切り替える、つまり、加湿部3の被照射面を切り替える(ステップS208)。以上が一定期間T分の加湿運転時除菌処理である。制御部9は、例えば、ユーザ操作による運転停止指示を受け付けるまで、加湿運転時除菌処理を一定期間T毎に繰り返して実行する。
【0105】
なお、第1照射期間T1及び第2照射期間T2の各々は30分に限られず、図22のグラフを考慮すれば、例えば、20分~40分(20分以上で40分以下)の範囲で変更可能である。また、加湿運転時除菌処理と同様の除菌処理を、前述の乾燥運転処理において行ってもよい。この場合、例えば、図19のステップS103でYesとなった以降に、制御部9が当該除菌処理を実行すればよい。また、以上では加湿部3が回転駆動する例を示したが、変形例として、加湿部3は、第1態様のままトレイ部TRに対して縦置きされてもよい。この変形例の場合、加湿運転時除菌処理は、図20の第1の面に対応するシーケンスのみ考えればよい。なお、上記実施形態の第1非照射期間N1は紫外線Uが照射される第2照射期間T2を含むが、この変形例の第1非照射期間N1は、紫外線照射部4から紫外線Uが照射されない期間とすればよい。
【0106】
以上に説明した加湿装置100は、以下の観点A~Gで述べることができる。
【0107】
(観点A)
観点Aは、トレイの劣化を抑制することができる加湿装置を提供することを主な目的とする。
【0108】
(A1)観点Aに係る加湿装置(100)は、
筐体(1)と、
前記筐体の内部に位置し、加湿空気を発生させる加湿部(3)と、
前記筐体の内部に紫外線を照射する紫外線照射部(4)と、
前記筐体の内部に位置し、前記加湿空気を発生させるための水を貯えるトレイ(5)と、を備え、
前記トレイは、ステンレス鋼で形成されている。
この構成によれば、トレイがステンレス鋼で形成されているため、紫外線を受けたとしてもトレイの劣化を抑制することができる。
【0109】
(A2)A1に記載の加湿装置は、前記筐体に設けられた挿入口(1a)から挿入され、前記トレイが載置されるトレイホルダ(6)をさらに備え、
前記トレイは、前記トレイホルダに対して着脱可能であり、
前記トレイホルダは、前記筐体に対して着脱可能である。
この構成によれば、トレイ及びトレイホルダの清掃が容易である。
【0110】
(A3)A2に記載の加湿装置において、
前記トレイホルダは、前記トレイの縁部(50)を支持する立壁部(61)を有し、
前記トレイの前記縁部は、前記トレイホルダに前記トレイが載置された状態で、前記立壁部と当接して前記立壁部に支持される被支持部(50a)と、前記被支持部と繋がり前記立壁部の外面に沿う沿設部(50b)と、を有する。
この構成によれば、トレイとトレイホルダの間の気密性を高めることができる。具体的に、トレイの縁部に沿設部を設けることで被支持部の平坦度を確保でき、トレイホルダの立壁部とトレイの被支持部との間の密着度を上げることができる。これにより、トレイとトレイホルダの間の気密性を高めることができる。トレイとトレイホルダの間の気密性が高まれば、図1に示す流路Wを通る空気の一部がトレイとトレイホルダの間に入ること、あるいは外部からの空気を吸い込むことを抑制することができる。これにより、加湿空気の吹出性能が低下することを抑制することができる。
【0111】
(観点B)
観点Bは、トレイ形状の複雑化を抑制することができる加湿装置を提供することを主な目的とする。
【0112】
(B1)観点Bに係る加湿装置(100)は、
加湿空気を発生させる加湿部(3)と、
前記加湿空気を発生させるための水を貯えるトレイ(5)と、
前記トレイの上方に位置し、前記トレイに供給する水を貯える給水タンク(7)と、
前記給水タンクが有する弁機構(72)の下方に位置し、前記弁機構に向かって突起するピン状部(80a)と、を備え、
前記給水タンクは、前記弁機構が前記ピン状部に押されることで前記トレイへ水を供給可能であり、
前記ピン状部は、前記トレイと別体である。
この構成によれば、ピン状部をトレイに設けずに済むため、トレイ形状の複雑化を抑制することができる。結果として、トレイを簡潔な形状で構成することができ、トレイを清掃し易い。
【0113】
(B2)B1に記載の加湿装置は、前記トレイが載置されるトレイホルダ(6)をさらに備え、
前記トレイホルダには、前記トレイの下面の一部を覗かせる開口部(6a,6b)が設けられている。
この構成によれば、開口部からトレイの下面を押し上げることで、トレイホルダからトレイを容易に取り外すことができる。
【0114】
(B3)B2に記載の加湿装置において、
前記開口部は、第1の方向(前後方向)に間隔を空けて2つ設けられ、
前記トレイホルダは、2つの前記開口部の間に、受け皿部(601)を有し、
前記トレイは、前記受け皿部と対向する底板部(51a)を有し、
前記受け皿部は、前記第1の方向における一端と他端に前記底板部に向かって突起する桟(601a)を有し、
前記桟は、前記第1の方向と交差する第2の方向(左右方向)に延びて設けられる。
この構成によれば、トレイの下面に結露が生じた場合に滴る水滴を、受け皿部に溜めることができる。
【0115】
(B4)B3に記載の加湿装置において、
前記トレイホルダに前記トレイが載置された状態で、前記桟と前記底板部の間には隙間が生じる。
この構成によれば、トレイの下面の水滴を受け皿部に向けて良好に通すことができる。
【0116】
(B5)B2~B4のいずれか1つに記載の加湿装置において、
前記トレイホルダは、前記トレイの縁部(50)を支持する立壁部(61)を有し、
前記トレイの前記縁部は、前記トレイホルダに前記トレイが載置された状態で、前記立壁部と当接して前記立壁部に支持される被支持部(50a)と、前記被支持部と繋がり前記立壁部の外面に沿う沿設部(50b)と、を有する。
この構成によれば、トレイとトレイホルダの間の気密性を高めることができる。具体的に、トレイの縁部に沿設部を設けることで被支持部の平坦度を確保でき、トレイホルダの立壁部とトレイの被支持部との間の密着度を上げることができる。これにより、トレイとトレイホルダの間の気密性を高めることができる。トレイとトレイホルダの間の気密性が高まれば、図1に示す流路Wを通る空気の一部がトレイとトレイホルダの間に入ること、あるいは外部からの空気を吸い込むことを抑制することができる。これにより、加湿空気の吹出性能が低下することを抑制することができる。
【0117】
(観点C)
観点Cは、給水タンクからの意図しない給水を防止することができる加湿装置を提供することを主な目的とする。
【0118】
(C1)観点Cに係る加湿装置(100)は、
加湿空気を発生させる加湿部(3)と、
前記加湿空気を発生させるための水を貯えるトレイ(5)と、
前記トレイが載置されるトレイホルダ(6)と、
前記トレイの上方に位置し、前記トレイに供給する水を貯える給水タンク(7)と、
前記給水タンクが有する弁機構(72)に向かって突起するピン状部(80a)を有し、前記給水タンクを受ける受け部材(80)と、を備え、
前記受け部材は、前記トレイに対して着脱可能であり、
前記給水タンクは、前記弁機構が前記ピン状部に押されることで前記トレイへ水を供給可能であり、
前記トレイホルダは、前記トレイの縁部(50)を支持する立壁部(61)を有し、
前記立壁部の一部には、切り欠き(61a)が形成され、
前記受け部材には、前記受け部材が前記トレイに装着された時の前記切り欠きと上下方向において対向する位置に、前記切り欠きと嵌合可能な嵌合可能部(81b)が一体に設けられ、
前記トレイホルダに前記トレイが載置されたトレイ有状態では、前記切り欠きが前記トレイの前記縁部に覆われて前記嵌合可能部とは嵌合せず、且つ、前記給水タンクが前記受け部材に受けられて前記弁機構が前記ピン状部に押され、
前記トレイホルダから前記トレイが取り外されているトレイ無状態では、前記嵌合可能部が前記切り欠きに嵌合して、前記受け部材及び前記ピン状部が前記トレイ有状態の時よりも下がることにより、前記ピン状部が前記弁機構から離れる。
この構成により、ユーザがトレイホルダにトレイを装着し忘れて、受け部材を載せたトレイホルダを筐体に装着してしまった場合であっても、給水タンクからトレイホルダに水が流れ出ることを防止することができる。つまり、給水タンクからの意図しない給水を防止することができる。
【0119】
(C2)C1に記載の加湿装置において、
前記給水タンクは、上下方向において前記立壁部と対向する対向部(70a)を有し、
前記トレイ無状態では、前記対向部が前記トレイホルダの前記立壁部に支持される。
この構成によれば、トレイ無状態でも、給水タンクを安定して支持することができる。
【0120】
(C3)C1又はC2に記載の加湿装置において、
前記トレイホルダは、前記トレイ有状態で前記トレイにおける前記受け部材と対向する部分に当接する台部(602)と、前記台部よりも低い位置にある低床部(603)と、を有し、
前記受け部材は、前記トレイ有状態で前記トレイに支持される脚部(80b)を有し、
前記トレイ無状態では、前記脚部が前記低床部に支持される。
この構成によれば、トレイ有状態とトレイ無状態のいずれの状態でも、仕切構造部を安定して支持することができる。
【0121】
(C4)C3に記載の加湿装置において、
前記トレイホルダは、前記トレイ有状態で、前記トレイにおける前記受け部材と対向しない部分に当接するリブ(604)をさらに有し、
前記トレイ無状態では、前記脚部が、前記台部と前記リブの間の前記低床部に支持される。
この構成によれば、トレイの局所に給水タンクの荷重が集中することを抑制でき、トレイが変形してしまうことを抑制できる。
【0122】
(C5)C1~C4のいずれか1つに記載の加湿装置は、
前記加湿部と前記給水タンクを仕切り、前記受け部材と一体に形成された仕切板(81)をさらに備え、
前記嵌合可能部は、前記仕切板の一部である。
この構成によれば、仕切板の一部を、給水タンクからの意図しない給水を防止する機構として用いることができるため、部品点数の増加、又は、構造の複雑化を抑制することができる。
【0123】
(観点D)
観点Dは、トレイ形状の複雑化を抑制しつつ、水位検知のバラツキを抑制することができる加湿装置を提供することを主な目的とする。
【0124】
(D1)観点Dに係る加湿装置(100)は、
加湿空気を発生させる加湿部(3)と、
前記加湿空気を発生させるための水を貯えるトレイ(5)と、
前記トレイの上方に位置し、前記トレイに供給する水を貯える給水タンク(7)と、
前記給水タンクが有する弁機構(72)に向かって突起するピン状部(80a)を有し、前記給水タンクを受ける受け部材(80)と、
前記加湿部と前記給水タンクを仕切る仕切板(81)と、
前記トレイに貯えられた水に浮く水位検知用フロート(83)を、当該水の変位に応じて変位可能に支持するフロート支持部(82)と、を備え、
前記給水タンクは、前記弁機構が前記ピン状部に押されることで前記トレイへ水を供給可能であり、
前記受け部材、前記仕切板及び前記フロート支持部は、一体である。
この構成によれば、ピン状部を有する受け部材をトレイに設けずに済むため、トレイ形状の複雑化を抑制することができる。結果として、トレイを簡潔な形状で構成することができ、トレイを清掃し易い。また、この構成によれば、仕切板と、給水タンクを受ける部分と、水位検知用フロートを支持する部分とが一体であるため、各部の個体差おより組付け誤差が低減され、水面高さや水位検知のバラツキを抑制することができる。ここで、受け部材が別部品で構成される場合には、高さ方向の組み付け誤差が発生し、受ける対象である給水タンクの高さ(より具体的にはタンクキャップの高さ)もバラつくこととなり、水面の高さが安定しないことになる。しかしながら、上記のように受け部材を仕切板等と一体化された構成により、水面高さのバラツキを抑制することができる。
【0125】
(D2)D1に記載の加湿装置において、
前記仕切板は、前記加湿部を支持する支持部(軸受け8R)を有する。
この構成によれば、トレイに対する加湿部の位置を、仕切板に対する位置として規定することができるため、より良好に水位検知のバラツキを抑制することができる。また、支持部によって加湿部の水没深さの個体差を抑えることができ、その結果として加湿装置による加湿量のバラツキを抑制することができる。個体差により加湿部の水没深さが異なると、水を吸い上げて湿潤する水量も異なり、気化する加湿量も異なるためである。
【0126】
(観点E)
観点Eは、筐体へトレイ部を装着する際の部品破損を防ぎつつ、筐体外部への紫外線の漏出を防止することができる加湿装置を提供することを主な目的とする。
【0127】
(E1)観点Eにおける第1の観点に係る加湿装置(100)は、
筐体(1)と、
前記筐体の内部に位置し、加湿空気を発生させる加湿部(3)と、
前記加湿空気を発生させるための水を貯えるトレイ(5)を有し、前記筐体に対して水平方向に着脱可能なトレイ部(TR)と、
前記加湿部に紫外線を照射する紫外線照射部(4)と、を備える加湿装置であって、
前記加湿装置の動作を制御する制御部(9)と、
前記トレイ部に支持され上下方向へ可動するロック機構(40)と、
前記トレイ部の着脱状態を検出して装着状態信号又は非装着状態信号として前記制御部へ出力する検出器(41)と、をさらに備え、
前記ロック機構は、上下方向の一方へ可動することで装着状態の前記トレイ部の動きを規制するロック状態となり、上下方向の他方へ可動することで前記ロック状態を解除するロック解除状態となるものであり、
前記検出器は、前記ロック機構が前記ロック状態となったことに連動して装着状態信号を出力するか、又は前記ロック機構が前記ロック解除状態となったことに連動して非装着状態信号を出力するものであり、
前記制御部は、前記検出器からの装着状態信号が入力されていない場合、又は非装着状態信号が入力されている場合は、前記紫外線照射部の動作を禁止する。
この構成によれば、ロック機構40が検出器41に接触することによる破損等を防止することができ、更に、筐体外部への紫外線の漏出を防止することができるので、ユーザの安全性を確保できる。
【0128】
(E2)観点Eにおける第2の観点に係る加湿装置(100)は、
筐体(1)と、
前記筐体の内部に位置し、加湿空気を発生させる加湿部(3)と、
前記加湿空気を発生させるための水を貯えるトレイ(5)を有し、前記筐体に対して水平方向に着脱可能なトレイ部(TR)と、
前記加湿部に紫外線を照射する紫外線照射部(4)と、
前記紫外線照射部に駆動電流を供給する駆動回路(DR)と、
前記トレイ部に支持され上下方向へ可動するロック機構(40)と、
前記紫外線照射部と前記駆動回路とに直列接続され、オン状態であると前記紫外線照射部への駆動電流を供給可能とし、オフ状態であると前記紫外線照射部への駆動電流を遮断するスイッチ(SW)と、を備え、
前記ロック機構は、上下方向の一方へ可動することで装着状態の前記トレイ部の動きを規制するロック状態となり、上下方向の他方へ可動することで前記ロック状態を解除するロック解除状態となるものであり、
前記スイッチは、前記ロック機構が前記ロック状態となったことに連動して前記オン状態となり、前記ロック機構が前記ロック解除状態となったことに連動して前記オフ状態となる。
この構成によれば、制御部の誤動作などにより意図しない紫外線Uの照射指示が生じてしまっても、筐体1にトレイ部TRが装着されていない状態では、確実に紫外線Uの照射が不能となるので、ユーザの安全性を確保できる。
【0129】
(E3)E1又はE2に記載の加湿装置において、
前記ロック機構は閂部(401)を有し、前記閂部が前記筐体に設けられた穴部(43)に嵌め込まれることで、前記ロック状態となる。
この構成によれば、簡易な構造によってロック機構を確実にロック状態とすることができる。
【0130】
(E4)E3に記載の加湿装置において、
前記ロック機構はレバー部(402)を有し、前記レバー部を上下方向の一方へ可動することで前記ロック解除状態となる。
この構成によれば、ロック機構の可動を容易に行うことができる。
【0131】
(E5)E4に記載の加湿装置において、
前記トレイ部は前記筐体から引き出すための把手(6H)を備え、
前記レバー部は前記把手を掴みつつ操作可能な位置に設けられた。
この構成によれば、簡易な機械構造によってトレイ部を引き出す操作と一緒に、ロック解除状態とする操作を行うことができる。
【0132】
(観点F)
観点Fは、外部に吹き出す空気をより清潔に保つことができる加湿装置を提供することを主な目的とする。
【0133】
(F1)観点Fに係る加湿装置(100)は、
加湿空気を発生させる加湿部(3)と、
外気を吸い込むための吸込口(P1)、及び、前記加湿空気を吹き出すための吹出口(P2)を有する筐体と、
前記吸込口から前記加湿部を経由して前記吹出口に至る流路(W)で空気を流すためのファン(2)と、
前記加湿部に紫外線を照射する紫外線照射部(4)と、を備え、
前記紫外線照射部は、前記筐体の内部であって、前記流路のうち前記加湿部と前記吹出口の間に設けられている。
この構成によれば、加湿部だけでなく、加湿部から吹出口に向かう加湿空気も紫外線で除菌することができる。したがって、外部に吹き出す空気をより清潔に保つことができる。
【0134】
(F2)F1に記載の加湿装置において、
前記加湿部は、
加湿フィルタ(30)と、前記加湿フィルタが露出するフィルタ露出部(30a)を形成しつつ前記加湿フィルタを保持する枠体(31)とを有し、軸線(AX)を中心に回転駆動され、
前記フィルタ露出部が所定方向に向く第1回転位置(Rp1)と、前記第1回転位置と異なる第2回転位置(Rp2)との各々で停止可能であり、
前記紫外線照射部は、前記加湿部が前記第1回転位置と前記第2回転位置の中間位置(Rp3)にある場合に前記フィルタ露出部が向く方向に設けられている。
この構成によれば、紫外線照射部とフィルタ露出部の相対位置を同様に保つことができ、加湿フィルタに対する紫外線の照射範囲の変動を抑えることができる。
【0135】
(F3)F2に記載の加湿装置において、
前記第1回転位置では、前記フィルタ露出部が水平方向に向き、
前記第2回転位置では、前記フィルタ露出部が鉛直方向に向く。
この構成によれば、加湿部を停止させる位置の制御が簡潔である。また、第1回転位置と第2回転位置の互いの角度が90°であり、より紫外線の照射範囲の変動を抑えることができるため、第1回転位置及び第2回転位置の両方の位置において、良好に紫外線の照射が可能である。
【0136】
(F4)F2又はF3に記載の加湿装置において、
前記加湿フィルタは、蛇腹折りされており、
前記加湿部は、前記加湿フィルタの折り目に沿って回転駆動される。
この構成によれば、紫外線照射部に対する加湿部の位置にかかわらず、加湿フィルタの折り目の隙間(谷間)まで紫外線を照射することができ、加湿フィルタを良好に除菌することができる。
【0137】
(F5)F1~F4のいずれかに記載の加湿装置において、
前記筐体は、前記ファンを収容するケーシング(10)と、前記ケーシングを覆う外装パネル(前パネル1F)と、を有し、
前記紫外線照射部は、前記ケーシングに固定されて前記ケーシングに梁構造を付与する梁部(14)に取り付けられ、
前記梁部は、前記外装パネルを背後から支える。
この構成によれば、組み立て時などに生じた外装パネルの歪みを抑えることができる。
【0138】
(観点G)
観点Gは、紫外線が当たる部分の劣化を抑制しつつも、加湿部を良好に除菌することができる加湿装置を提供することを主な目的とする。
【0139】
(G1)観点Gに係る加湿装置(100)は、
加湿空気を発生させる加湿部(3)と、
前記加湿部に紫外線を照射する紫外線照射部(4)と、
前記紫外線照射部の動作を制御する制御部(9)と、を備える加湿装置であって、
前記加湿部は、互いに表裏の関係にある第1の面(3a)及び第2の面(3b)を有し、
前記制御部は、前記加湿装置の運転開始指示を受け付けると、一定期間(T)ごとに除菌処理を実行し、
前記一定期間は、前記第1の面に向けて前記紫外線を照射する第1照射期間(T1)を含み、
時間軸上で隣り合う前記第1照射期間の間は、前記第1の面に向けて前記紫外線が照射されない第1非照射期間(N1)であり、
前記第1非照射期間は、前記第1照射期間よりも長い。
この構成によれば、第1照射期間として必要充分な期間を設定できると共に、この期間よりも長い第1非照射期間が設定されているため、紫外線が当たる部分の劣化を抑制しつつも、加湿部を良好に除菌することができる。
【0140】
(G2)G1に記載の加湿装置において、
前記加湿部は、前記制御部の制御により、軸線(AX)を中心に回転駆動され、
前記制御部は、
前記一定期間の前半(Tf)では前記第1の面が前記紫外線照射部に向き、前記一定期間の後半(Ts)では前記第2の面が前記紫外線照射部に向くように、前記前半から前記後半へ切り替わるタイミングで前記加湿部を180°回転させ、
前記前半は、前記第1の面に向けて前記紫外線を照射する一方で、前記第2の面に向けて前記紫外線を照射しない前記第1照射期間を含み、
前記後半は、前記第1照射期間に続く期間であって、前記第2の面に向けて前記紫外線を照射する第2照射期間(T2)を含み、
時間軸上で隣り合う前記第2照射期間の間は、前記第2の面に向けて前記紫外線が照射されない第2非照射期間(N2)であり、
前記第2非照射期間は、前記第2照射期間よりも長い。
この構成によれば、紫外線が当たる部分の劣化を抑制しつつも、加湿部の両面を良好に除菌することができる。また、前半から後半へ切り替わるタイミングで加湿部を回転させ、このタイミングを挟む第1照射期間及び第2照射期間で紫外線を連続して照射できるため、加湿部における第1の面及び第2の面以外の部分にも紫外線を当てて除菌することができる。
【0141】
(G3)G2に記載の加湿装置において、
前記前半は、前記紫外線照射部から前記紫外線が照射されない第1停止期間(K1)、及び、前記第1停止期間に続く前記第1照射期間から構成され、
前記後半は、前記第2照射期間、及び、前記第2照射期間に続く、前記紫外線照射部から前記紫外線が照射されない第2停止期間(K2)から構成される。
この構成によれば、第1停止期間において加湿装置の運転開始直後のアイドリング期間を確保できると共に、除菌処理のシークエンスを規則的にすることができ、制御負担を減らすことができる。
【0142】
(G4)G3に記載の加湿装置において、
前記第1停止期間と前記第2停止期間の長さは等しく、
前記第1照射期間と前記第2照射期間の長さは等しい。
この構成によれば、除菌処理のシークエンスをより規則的にすることができ、制御負担を減らすことができる。
【0143】
(G5)G3又はG4に記載の加湿装置において、
前記第1照射期間は、前記第1停止期間の倍の長さであり、
前記第2照射期間は、前記第2停止期間の倍の長さである。
この構成によれば、除菌処理のシークエンスをより規則的にすることができ、制御負担を減らすことができる。
【0144】
(G6)G2~G5のいずれか1つに記載の加湿装置において、
前記第1照射期間及び前記第2照射期間の各々の長さは、20分~40分である。
この構成によれば、加湿部を効果的に除菌することができる。
【0145】
本発明は以上の実施形態、変形例及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。例えば、紫外線照射部4は、紫外線領域の光を発するものであれば任意であり、深紫外線(UV-C)を発するものに限られない。また、加湿部3は、筐体1に対して回転可能な構成に限られない。加湿部3は、筐体1に対して回転せず、トレイ5の上方に設置されるものであってもよい。この場合、仕切板81に設けられた軸受け8Rの代わりに、加湿部3の一部を支持する任意形状の支持部を設ければよい。この支持部は、トレイ5に対する加湿部3の相対位置を定めるものであることが好ましい。また、嵌合可能部81bは、仕切板81の一部である例に限られず、少なくとも受け部材80と一体に形成された構成であればよい。
【0146】
以上の説明では、本発明の理解を容易にするために、公知の技術的事項の説明を適宜省略した。
【0147】
本発明の実施の形態を説明したが、この実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0148】
100…加湿装置、W…流路
1…筐体
1a…挿入口、P1…吸込口、P2…吹出口
1F…前パネル、1B…後パネル
1L…左パネル、1R…右パネル、1U…上パネル
10…ケーシング
10D…底部
11…ホルダ収容部
12…側壁部、12a…連通孔
13…ファン収容部、Q1…吸気口、Q2…排気口
14…梁部、14a…モジュールケース
15…壁部、17…蓋
R3…加湿部収容室、R7…タンク収容室
2…ファン、2a…ファンモータ
3…加湿部
3a…第1の面、3b…第2の面
30…加湿フィルタ、30a…フィルタ露出部、30b…折り目方向
31…枠体、31R…第1軸部、31L…第2軸部、31La…突起部、AX…軸線
32…連動部、CX…軸線
Rp1…第1回転位置、Rp2…第2回転位置、Rp3…中間位置
4…紫外線照射部
U…紫外線
40…ロック機構
401…閂部
402…レバー部
41…検出器、41a…検知部
42…保持部
43…穴部
SW…スイッチ
TR…トレイ部
5…トレイ
50…縁部、50a…被支持部、50b…沿設部
51…主水槽部、51a…底板部
52…タンク対向部
53…フロート水槽部、53a…平底部
6…トレイホルダ
6a,6b…開口部、6R…ホルダパネル、6L…軸受け
60…トレイ収容部
601…受け皿部、601a…桟
602…台部、603…低床部、604…リブ
61…立壁部、61a…切り欠き
62…外周壁部、62a…仕切板ガイド
6H…把手、6Ha…把手内部
7…給水タンク
70…タンク本体、70a…対向部
71…タンクキャップ、71a…給水口、72…弁機構
8…仕切構造部
8R…軸受け(支持部)
80…受け部材、80a…ピン状部、80b…脚部
81…仕切板
81a…通水孔、81b…嵌合可能部、81c…挿入リブ
82…フロート支持部
83…水位検知用フロート、M1…磁石、BX…軸線
9…制御部
S…磁気センサ、H…ヒータ
DR…駆動回路、90…電源、91…トランジスタ、92…抵抗素子
T…一定期間
Tf…前半、K1…第1停止期間、T1…第1照射期間
Ts…後半、T2…第2照射期間、K2…第2停止期間
N1…第1非照射期間、N2…第2非照射期間
図1
図2
図3
図4
図5
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