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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004345
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】脚装具、及び歩行訓練システム
(51)【国際特許分類】
   A61H 1/02 20060101AFI20250107BHJP
   A61H 3/00 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
A61H1/02 R
A61H3/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103969
(22)【出願日】2023-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】早川 嘉伯
(72)【発明者】
【氏名】藤掛 祥則
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA25
4C046AA26
4C046AA43
4C046AA45
4C046BB07
4C046CC01
4C046DD02
4C046DD12
4C046DD13
4C046EE02
4C046EE03
4C046EE05
4C046FF03
4C046FF05
(57)【要約】
【課題】適切に装着することができる脚装具、及びそれを用いた歩行訓練システムを提供する。
【解決手段】本実施の形態にかかる脚装具120は、歩行訓練を行う訓練者の脚部に装着される脚装具120であって、脚部に対向して配置される保持部と、保持部に取り付けられ、脚装具記脚部に装着するために脚部に巻き回されるベルトと、を備え、保持部材の外周側面には、ベルトに沿って設けられ、外側に突出するベルトガイド215が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行訓練を行う訓練者の脚部に装着される脚装具であって、
前記脚部に対向して配置される保持部と、
前記保持部に取り付けられ、前記脚装具を前記脚部に装着するために前記脚部に巻き回されるベルトと、を備え、
前記保持部の外周側面には、前記ベルトに沿って設けられ、外側に突出するベルトガイドが設けられている脚装具。
【請求項2】
前記ベルトの巻き回し方向における前記保持部の一端側において、前記保持部には前記ベルトを通すベルト穴が設けられており、
前記ベルトの巻き回し方向における前記保持部の他端側において、前記保持部に前記ベルトガイドが形成されている請求項1に記載の脚装具。
【請求項3】
前記保持部の前記他端側かつ上側の角部を外周側から視た平面視において、前記角部が前記上側になるほど一端側に傾いて形成されている請求項2に記載の脚装具。
【請求項4】
前記訓練者の上腿に沿って設けられた上腿フレームと、
前記訓練者の下腿に沿って設けられた下腿フレームと、
訓練者の膝関節の角度を変えるように、前記上腿フレームと前記下腿フレームとの間に介在する駆動機構と、をさらに備え、
前記保持部が前記脚部の膝関節に上に配置され、前記上腿フレームを保持する上半月部材である請求項1~3のいずれか1項に記載の脚装具。
【請求項5】
前記保持部が樹脂製の射出成型品である請求項1~3のいずれか1項に記載の脚装具。
【請求項6】
前記保持部と前記脚部との間に配置されるパッドをさらに備えた請求項1~3のいずれか1項に記載の脚装具。
【請求項7】
前記脚部の前記保持部の反対側において、前記ベルトと前記脚部との間に弾性シートが設けられている請求項1~3のいずれか1項に記載の脚装具。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか1項に記載の脚装具と、
前記脚装具に取り付けられ、前記脚部に引張力を与える引張手段と、を備えた歩行訓練システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、脚装具、及び歩行訓練システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、足のアーチ形状の異常が原因となる疲れや痛みを改善する健康器具が開示されている。足に装着される本体部と、本体部を固定する固定ひも部とを備えている。本体部は、ベルトを通すための貫通穴が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-015172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、トレッドミルなどを用いて、歩行訓練を行う歩行訓練システムが利用されている。例えば、麻痺脚を有する訓練者がトレッドミル上で歩行訓練を行う。このような歩行訓練システムでは、訓練者が脚動作を補助するための脚装具を装着して歩行訓練を行うことがある。脚装具は上腿や下腿などにベルトで固定される。しかしながら、ベルトを使って装着した場合、支持剛性が低いおそれがある。このため、下肢の重量を支えきれずに骨盤が落ちてしまうという問題点がある。
【0005】
本開示は、このような問題を解決するためになされたものであり、適切に装着することができる脚装具,及び歩行訓練システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施の形態における脚装具は、歩行訓練を行う訓練者の脚部に装着される脚装具であって、前記脚部に対向して配置される保持部と、前記保持部に取り付けられ、前記脚装具を前記脚部に装着するために前記脚部に巻き回されるベルトと、を備え、前記保持部の外周側面には、前記ベルトに沿って設けられ、外側に突出するベルトガイドが設けられている。
【0007】
上記の脚装具において、前記ベルトの巻き回し方向における前記保持部の一端側において、前記保持部には前記ベルトを通すベルト穴が設けられており、前記ベルトの巻き回し方向における前記保持部の他端側において、前記保持部に前記ベルトガイドが形成されていてもよい。
【0008】
上記の脚装具において、前記保持部の前記他端側かつ上側の角部を外周側から視た平面視において、前記角部が前記上側になるほど一端側に傾いて形成されていてもよい。
【0009】
上記の脚装具において、前記訓練者の上腿に沿って設けられた上腿フレームと、前記訓練者の下腿に沿って設けられた下腿フレームと、訓練者の膝関節の角度を変えるように、前記上腿フレームと前記下腿フレームとの間に介在する駆動機構と、をさらに備え、前記保持部が前記脚部の膝関節に上に配置され、前記上腿フレームを保持する上半月部材であってもよい。
【0010】
上記の脚装具において、前記保持部が樹脂製の射出成型品であってもよい。
【0011】
上記の脚装具において、前記保持部と前記脚部との間に配置されるパッドをさらに備えていてもよい。
【0012】
上記の脚装具において、前記脚部の前記保持部の反対側において、前記ベルトと前記脚部との間に弾性シートが設けられていてもよい。
【0013】
補実施形態に係る歩行訓練システムは、上記の脚装具と、前記脚装具に取り付けられ、前記脚部に引張力を与える引張手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0014】
本開示により、適切に装着することができる脚装具、及び歩行訓練システムを提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態にかかる歩行訓練システム1の概略斜視図である。
図2】脚装具を斜め前方から見た斜視図である。
図3】脚装具を斜め後方から見た斜視図である。
図4】脚装具を右側から見た側面図である。
図5】脚装具を前方から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。
【0017】
(システム構成)
図1は、実施形態にかかるリハビリ支援システムの一構成例を示す全体概念図である。本実施形態にかかるリハビリ支援システム(歩行訓練システム1)は、主に、歩行訓練装置100と、脚装具120によって構成される。
【0018】
歩行訓練装置100は、訓練者(ユーザ)900のリハビリ(リハビリテーション)を支援するリハビリ支援装置の一具体例である。歩行訓練装置100は、一方の脚に麻痺を患う片麻痺患者である訓練者900が、訓練スタッフ901の指導に従って歩行訓練を行うための装置である。ここで、訓練スタッフ901は、療法士(理学療法士)又は医師とすることができ、訓練者の訓練を指導又は介助などにより補助することから、訓練指導者、訓練介助者、訓練補助者などと称することもできる。
【0019】
歩行訓練装置100は、主に、全体の骨格を成すフレーム130に取り付けられた制御盤133と、訓練者900が歩行するトレッドミル131と、を備える。さらに、脚装具120は、訓練者900の麻痺側の脚部である患脚に装着される。図1では、脚装具120は、訓練者900の右脚に装着されている。
【0020】
フレーム130は、床面に設置されるトレッドミル131上に立設されている。トレッドミル131は、不図示のモータによりリング状のベルト132を回転させる。トレッドミル131は、訓練者900の歩行を促す装置であり、歩行訓練を行う訓練者900は、ベルト132に乗り、ベルト132の移動に合わせて歩行動作を試みる。なお、訓練スタッフ901は、例えば図1に示すように訓練者900の背後のベルト132上に立って一緒に歩行動作を行うこともできるが、通常、ベルト132を跨いだ状態で立つなど、訓練者900の介助を行い易い状態に居ることが好ましい。
【0021】
フレーム130は、制御盤133や、訓練用モニタ138を支持している。制御盤133は、モータやセンサの制御を行う全体制御部210を収容する。訓練用モニタ138は、例えば、液晶パネルであり、訓練の進捗状況等を訓練者900へ提示する。また、フレーム130は、訓練者900の頭上部前方付近で前側引張部135を、頭上部付近でハーネス引張部112を、頭上部後方付近で後側引張部137を、それぞれ支持している。また、フレーム130は、訓練者900が掴むための手摺り130aを含む。
【0022】
手摺り130aは、訓練者900の左右両側に配置されている。手摺り130aは水平面内において、前後方向に沿って設けられている。それぞれの手摺り130aは、訓練者900の歩行方向と平行な方向に配置されている。手摺り130aは、上下位置、及び左右位置が調整可能となっている。つまり、手摺り130aは、その高さ及び幅を変更する機構を含むことができる。さらに、手摺り130aは、例えば歩行方向の前方側と後方側とで高さを異ならせるように調整することで、その傾斜角度を変更できるように構成することもできる。例えば、手摺り130aは、歩行方向に沿って徐々に高くなるような傾斜角度を付すことができる。
【0023】
また、手摺り130aには、訓練者900から受ける荷重を検出する手摺りセンサ218が設けられている。例えば、手摺りセンサ218は、電極がマトリックス状に配置された抵抗変化検出型の荷重検出シートとすることができる。また、手摺りセンサ218は、3軸の加速度センサ(x,y,z)と3軸のジャイロセンサ(roll,pitch,yaw)とを複合させた6軸センサとすることもできる。但し、手摺りセンサ218の種類や設置位置は問わない。
【0024】
カメラ140は、訓練者900の全身を観察するための撮像部としての機能を担う。カメラ140は、訓練用モニタ138の近傍に、訓練者と相対するように設置されている。カメラ140は、訓練中の訓練者900の静止画や動画を撮影する。カメラ140は、訓練者900の全身を捉えられる程度の画角となるような、レンズと撮像素子のセットを含む。撮像素子は、例えばCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサであり、結像面に結像した光学像を画像信号に変換する。
【0025】
前側引張部135と後側引張部137の連携した動作により、脚装具120の荷重が患脚の負担とならないように当該荷重を相殺し、更には、設定の程度に応じて患脚の振出し動作をアシストする。
【0026】
前側ワイヤ134は、一端が前側引張部135の巻取機構に連結されており、他端が脚装具120に連結されている。前側引張部135の巻取機構は、不図示のモータをオン/オフさせることにより、患脚の動きに応じて前側ワイヤ134を巻き取ったり繰り出したりする。同様に、後側ワイヤ136は、一端が後側引張部137の巻取機構に連結されており、他端が脚装具120に連結されている。後側引張部137の巻取機構は、不図示のモータをオン/オフさせることにより、患脚の動きに応じて後側ワイヤ136を巻き取ったり繰り出したりする。このような前側引張部135と後側引張部137の連携した動作により、脚装具120の荷重が患脚の負担とならないように当該荷重を相殺し、更には、設定の程度に応じて患脚の振出し動作をアシストする。
【0027】
前側ワイヤ134、及び前側引張部135は訓練者900の脚を上方かつ前方に引張する第1引張手段となる。後側ワイヤ136、及び後側引張部137は訓練者900の脚を上方かつ後方に引張する第2引張手段となる。前側引張部135、及び後側引張部137は後述するように歩行フェーズに応じた引張力で、前側ワイヤ134と後側ワイヤ136を引っ張る。また、歩行フェーズに応じて、引張力の動作パターンが設定されていてもよい。
【0028】
例えば、訓練スタッフ901は、オペレータとして、重度の麻痺を抱える訓練者に対しては、アシストするレベルを大きく設定する。アシストするレベルが大きく設定されると、前側引張部135は、患脚の振出しタイミングに合わせて、比較的大きな力で前側ワイヤ134を巻き取る。訓練が進み、アシストが必要でなくなったら、訓練スタッフ901は、アシストするレベルを最小に設定する。アシストするレベルが最小に設定されると、前側引張部135は、患脚の振出しタイミングに合わせて、脚装具120の自重をキャンセルするだけの力で前側ワイヤ134を巻き取る。
【0029】
歩行訓練装置100は、装具110、ハーネスワイヤ111、及びハーネス引張部112を主な構成要素とする、安全装置としての転倒防止ハーネス装置を備える。装具110は、訓練者900の腹部に巻き付けられるベルトであり、例えば面ファスナによって腰部に固定される。装具110は、吊具であるハーネスワイヤ111の一端を連結する連結フック110aを備え、ハンガーベルトと称することもできる。訓練者900は、連結フック110aが後背部に位置するように、装具110を装着する。
【0030】
ハーネスワイヤ111は、一端が装具110の連結フック110aに連結されており、他端がハーネス引張部112の巻取機構に連結されている。ハーネス引張部112の巻取機構は、不図示のモータをオン/オフさせることにより、ハーネスワイヤ111を巻き取ったり繰り出したりする。このような構成により、転倒防止ハーネス装置は、訓練者900が転倒しそうになった場合に、その動きを検知した全体制御部210の指示に従ってハーネスワイヤ111を巻き取り、装具110により訓練者900の上体を支えて、訓練者900の転倒を防ぐ。
【0031】
装具110は、訓練者900の姿勢を検出するための姿勢センサ217を備える。姿勢センサ217は、例えばジャイロセンサと加速度センサを組み合わせたものであり、装具110が装着された腹部の重力方向に対する傾斜角を出力する。
【0032】
管理用モニタ139は、フレーム130に取り付けられており、主に訓練スタッフ901が監視及び操作するための表示入力装置である。管理用モニタ139は、例えば液晶パネルであり、その表面にはタッチパネルが設けられている。管理用モニタ139は、訓練設定に関する各種メニュー項目や、訓練時における各種パラメータ値、訓練結果などを表示する。また、管理用モニタ139の近傍には、非常停止ボタン232が設けられている。訓練スタッフ901が非常停止ボタン232を押すことで、歩行訓練装置100が非常停止する。
【0033】
全体制御部210は、訓練設定に関する設定パラメータ、訓練結果として脚装具120から出力された運脚に関する各種データなどを含みうるリハビリデータを生成する。このリハビリデータには、訓練スタッフ901又はその経験年数や熟練度等を示すデータ、訓練者900の症状、歩行能力、回復度等を示すデータ、脚装具120の外部に設けられたセンサ等から出力された各種データなどを含むことができる。
【0034】
脚装具120は、訓練者900の患脚に装着されている。上記のように、脚装具120には、前側ワイヤ134と後側ワイヤ136が連結されている。そして、前側ワイヤ134と後側ワイヤ136が脚装具120を引っ張ることで、患脚にアシスト力が与えられる。脚装具120は、訓練者900の関節動作を補助するアクチュエータなどを備えていても良い。例えば、脚装具120は、膝関節を屈曲又は伸展するためのモータを備えている。
【0035】
さらに、脚装具120は、脚動作を検出するためのセンサを有していてもよい。例えば、脚装具120には、足平から受ける荷重を検出するセンサなどが設けられていても良い。もちろん、脚装具120は、アクチュエータやセンサを有していないものであってもよい。ワイヤによる引張力を与えない場合、脚装具120を省略しても良い。この場合、訓練者900は、単独でトレッドミル131上で歩行訓練を行うことができる。
【0036】
全体制御部210は、脚装具120、前側引張部135、後側引張部137のアクチュエータを各種センサの出力に応じて制御する。例えば、全体制御部210は、姿勢センサ217、脚装具120のセンサ、カメラ140等の検出結果に応じて,歩行サイクルとそのタイミングを検知する。全体制御部210は歩行サイクルのタイミングに応じた駆動力を各アクチュエータに与えるための指令値を出力する。これにより、各アクチュエータが、歩行サイクルや歩行パターンに応じて動作する。例えば、立脚期、遊脚器の切り替わるタイミングに応じて、駆動力が与えられる。
【0037】
次に、脚装具120の構成について、図2図5を用いて説明する。なお、図2図5に示す方向は、脚装具120を装着した訓練者900を基準とする方向として説明する。つまり、以下の説明における左右方向、上下方向、前後方向は、図1の訓練者900の左右方向、上下方向、前後方向と一致する。
【0038】
図2,及び図3は、脚装具120の構成を示す斜視図である。図2は、脚装具120を斜め前から見た図であり、図3は脚装具120を斜め後ろから見た図である。図4は、脚装具120を右側から見た側面図である。図5は、脚装具120を前側から見た正面図である。
【0039】
脚装具120は、上腿固定ユニット21と、膝関節ユニット22と、上腿フレーム23と、下腿フレーム24と、足平フレーム25と、足首関節機構26と、下腿固定ユニット28と、を備えている。上側から順に、上腿固定ユニット21、上腿フレーム23。膝関節ユニット22,下腿固定ユニット28、下腿フレーム24、足首関節機構26.足平フレーム25の順で連結されている。
【0040】
上腿フレーム23は、訓練者900の上腿に沿って配置されている。上腿フレーム23は、鉛直上下方向に延びている。上腿フレーム23は、訓練者900の上腿の側方に配置される。上腿は、膝関節から股関節までの箇所である。
【0041】
下腿フレーム24は、上腿フレーム23の下に配置されている。下腿フレーム24は、鉛直上下方向に延びている。下腿フレーム24、訓練者900の下腿に沿って配置されている。下腿フレーム24は、訓練者900の下腿の側方に配置される。下腿は膝関節から足首関節までの箇所である。
【0042】
上腿フレーム23には、上腿固定ユニット21を連結するための連結機構231が設けられている。連結機構231が上腿固定ユニット21の上腿保持部212と上腿フレーム23とを連結する。また、連結機構231は、訓練者900の脚の長さに応じて長さを調整するための長さ調整機構を有している。例えば、上腿固定ユニット21に対する上腿フレーム23の相対的な取付位置を変えることで、脚装具120の長さが変化する。
【0043】
下腿フレーム24は、下腿固定ユニット28を連結するための連結機構241が設けられている。連結機構241が下腿固定ユニット28と下腿フレーム24とを連結する。また、連結機構241は、訓練者900の脚の長さに応じて長さを調整するための長さ調整機構を有している。
【0044】
脚装具120の長さを訓練者900に応じた長さに調整することができる。つまり、訓練者900の脚が長い場合、上腿フレーム23と下腿フレーム24とが長くなるように、連結位置を調整する。これにより、訓練者900は、適切な装着位置で脚装具120を装着することができる。
【0045】
膝関節ユニット22は、上腿フレーム23と下腿固定ユニット28とを回動可能に連結している。膝関節の動作に応じて、上腿フレーム23に対する下腿固定ユニット28及び下腿フレーム24の角度が変わる。膝関節ユニット22は、訓練者900の膝関節の側方に配置される。膝関節ユニット22の回転軸は左右方向に延びている。膝関節ユニット22は、アクチュエータ、センサ、及び制御ユニットなどを有していてもよい。膝関節ユニット22は、訓練者900の膝関節角度を変えるための駆動機構として機能する。
【0046】
例えば、膝関節ユニット22は、上腿フレーム23と下腿フレーム24との角度を変えるモータなどを内蔵している。さらに、膝関節角度や加速度の検出するためのセンサを有していてもよい。また、センサの検出結果に応じて、モータを制御するための制御ユニットを有していてもよい。膝関節ユニット22と、上腿フレーム23と、下腿フレーム24は訓練者900の膝関節を伸展又は屈曲させるためのリンク機構として動作する。膝関節ユニット22のモータが、膝関節の動作を補助するアシスト力を与える。
【0047】
下腿フレーム24の下側には、足平フレーム25が設けられている。足首関節機構26は、足平フレーム25と下腿フレーム24とを回動可能に連結している。足首関節機構26は、訓練者900の足首関節の側方に配置される。
【0048】
足平フレーム25は、訓練者900の足の裏側に配置される。つまり、訓練者900は、足平フレーム25の上に足を置く。足平フレーム25には訓練者900から受ける荷重を検出するための荷重センサが設けられていてもよい。そして、膝関節ユニット22のモータが荷重センサで検出された荷重に応じて、動作してもよい。なお、足首関節機構26は、アクチュエータを有していない受動関節(パッシブジョイント)となっているが、アクチュエータを有する駆動関節(アクティブジョイント)であってもよい。
【0049】
足平フレーム25には足固定ベルト251が取り付けられている。足固定ベルト251の両端は、足平フレーム25の左右端に接続されている。足固定ベルト251は、訓練者900の足に巻き付けられるように設けられている。換言すると、足固定ベルト251と足平フレーム25とで形成される空間に、訓練者900の足が挿入される。足固定ベルト251は足に巻き付けられるため、訓練者900の足に足平フレーム25が固定される。
【0050】
左右方向において、膝関節ユニット22、上腿フレーム23、下腿フレーム24、及び、足首関節機構26は、訓練者900の脚の外側に配置されている。ここでは、脚装具120は訓練者900の右脚に装着されるため、膝関節ユニット22、上腿フレーム23、下腿フレーム24、及び、足首関節機構26は、右脚の右側に配置される。なお、脚装具120は訓練者900の左脚に装着されるため、膝関節ユニット22、上腿フレーム23、及び下腿フレーム24、及び、足首関節機構26は、左脚の左側に配置される。足首関節機構26には、足首の底背屈角度を制限するためのストッパなどが設けられていてもよい。
【0051】
足首関節機構26には、足首固定ベルト261が取り付けられている。足首固定ベルト261は、訓練者900の足首の外周に巻き回されるように設けられている。つまり、足首固定ベルト261と足首関節機構26とで形成される空間に、訓練者900の足首が挿入される。足首固定ベルト261が足首に巻き付けられるため、訓練者900の足首に足首関節機構26が固定される。
【0052】
下腿フレーム24には、連結機構241を介して、下腿固定ユニット28が設けられている。下腿固定ユニット28は、下腿フレーム24の前方左側に延在している。下腿固定ユニット28は、訓練者900の下腿の前側に位置する。下腿固定ユニット28は、訓練者900の下腿の前側に位置する半月部材である。
【0053】
図3などに示されるように、下腿フレーム24は、連結機構241によって下腿固定ユニット28に固定される。例えば、下腿固定ユニット28は、下腿フレーム24を収容する筒部を有していてもよい。下腿フレーム24を下腿固定ユニット28に取り付けるために、下腿フレーム24を下側から下腿固定ユニット28の筒部に挿入する。連結機構241が下腿フレーム24を下腿固定ユニット28に固定する。さらに、下腿フレーム24の挿入長さを変えることで、下腿フレーム24の長さを調整することができる。
【0054】
下腿固定ユニット28の後ろ側には、下腿固定シート282が設けられている。下腿固定シート282は,下腿固定ユニット28と対向して配置される。下腿固定シート282と下腿固定ユニット28の間に下腿が位置する。下腿固定シート282は、樹脂材料等で形成された弾性シートである。下腿固定シート282は、例えば、ウレタン樹脂、スポンジなどの弾性体で形成されている。
【0055】
下腿固定ユニット28と下腿固定シート282には下腿固定ベルト281が取り付けられている。下腿固定ベルト281は、訓練者900の下腿に巻き付けられるように設けられている。下腿固定ベルト281によって、下腿固定シート282に下腿固定ユニット28が取り付けられる。下腿固定シート282は、柔軟な弾性体シートであるため、訓練者900の下腿の外周面に沿うように変形する。つまり、下腿固定シート282は訓練者900の下腿に沿って湾曲する。
【0056】
下腿固定ユニット28と、下腿固定シート282と、下腿固定ベルト281とで形成される空間に、訓練者900の下腿が挿入される。よって、下腿フレーム24が訓練者900の下腿に固定される。下腿固定ユニット28,下腿固定シート282には、下腿固定ベルト281を通すためのベルト穴やベルトループが設けられていてもよい。
【0057】
また、上腿フレーム23には、連結機構231を介して、上腿固定ユニット21が連結されている。上腿固定ユニット21は、上腿フレーム23を訓練者900の上腿に固定する。上腿固定ユニット21は、上腿固定シート211と、上腿保持部212と、固定ベルト216とを備えている。
【0058】
上腿保持部212は、上腿フレーム23に取り付けられている。上腿保持部212の右端が上腿フレーム23に取り付けられている。上腿保持部212は、上腿フレーム23から前方左側に延在している。上腿保持部212は、訓練者900の上腿の前側に位置する半月部材である。
【0059】
図3などに示されるように、上腿保持部212は、連結機構231によって上腿フレーム23に固定される。例えば、上腿保持部212は、上腿フレーム23を収容する筒部を有していてもよい。上腿フレーム23を上腿保持部212に取り付けるため、上腿保持部212の筒部に上腿フレーム23を挿入する。連結機構231が上腿フレーム23を上腿保持部212に固定する。上腿フレーム23の挿入長さを変えることで、上腿フレーム23の長さを調整することができる。
【0060】
上腿保持部212は、訓練者900の脚部に対向して配置される部材である。上腿保持部212の上腿側の面を内周側面212bとし、その反対側の面を外周側面212cとする。内周側面212bは上腿保持部212の脚部側の面であり、外周側面212cは上腿保持部212の外側の面である。
【0061】
上腿保持部212の一端が上腿の左側に位置し、他端が上腿の右側に位置する。上腿保持部212は、上腿の表面に沿って湾曲しており、上腿と対向するように配置されている。なお、上腿保持部212は、上腿フレーム23と別体として形成されているが、上腿保持部212は上腿フレーム23と一体的に形成されていてもよい。
【0062】
上腿固定シート211は、上腿保持部212と対向して配置されている。上腿固定シート211は上腿の後ろ側に位置する。上腿固定シート211は、樹脂材料等で形成された弾性シートである。上腿固定シート211は、例えば、ウレタン樹脂、スポンジなどの弾性体で形成されている。上腿保持部212と上腿固定シート211の間に訓練者900の上腿が位置する。
【0063】
上腿保持部212と上腿固定シート211には、固定ベルト216が取り付けられている。固定ベルト216は、訓練者900の上腿に巻き付けられるように設けられている。そして、固定ベルト216によって、上腿保持部212に上腿固定シート211が取り付けられる。上腿固定シート211は、柔軟な弾性体シートであるため、訓練者900の上腿の外周面に沿うように変形する。つまり、上腿固定シート211は訓練者900の上腿に沿って湾曲する。固定ベルト216が訓練者900の上腿の周りを1周巻き回されているが、2周以上巻き回してもよい。
【0064】
図2に示すように。固定ベルト216が、上腿保持部212の前側を通って、上腿に巻き付けられている。さらに、固定ベルト216が上腿固定シート211の後ろ側を通って、上腿に巻き付けられている。したがって、固定ベルト216が上腿固定シート211と上腿保持部212を上腿に巻き付けられた状態で固定する。上腿固定シート211と上腿保持部212が上腿を前後両側から挟み込むように配置される。固定ベルト216のベルト圧で、上腿固定シート211と上腿保持部212の間隔が保たれる。
【0065】
上腿保持部212には、固定ベルト216を通すためのベルト穴212aが設けられている。ベルト穴212aは外周側面212cから内周側面212bまで貫通する貫通穴である。ベルト穴212aは、上腿保持部212の左端側に配置されている。そして、上腿保持部212の前側に巻き付けられていた固定ベルト216がベルト穴212aを通って、後ろ側にある上腿固定シート211に向かう。
【0066】
図3に示すように、上腿固定シート211には固定ベルト216を通すためのベルトループ213が設けられている。ベルトループ213は上腿固定シート211の後ろ側の面に配置される。よって、固定ベルト216は、上腿固定シート211の後ろ側に巻き付けられる。
【0067】
固定ベルト216は、水平方向に沿って設けられている。つまり、固定ベルト216の巻き回し方向は、水平方向に沿った方向となる。例えば、固定ベルト216は前後方向、及び左右方向に沿って設けられている。脚装具120を装着する場合、固定ベルト216がベルトガイド215にガイドされて、固定ベルト216が巻き回される。よって、適切な位置に固定ベルト216を巻き回すことができる。
【0068】
よって、固定ベルト216は、上腿保持部212と上腿固定シート211を囲むように配置される。そして、固定ベルト216を巻き回したときのベルト圧で上腿保持部212と上腿固定シート211を保持することができる。したがって、上腿保持部212と上腿固定シート211の取り付け高さを維持することができる。
【0069】
さらに、上腿保持部212には、固定ベルト216をガイドするためのベルトガイド215が設けられている。ベルトガイド215は、上腿保持部212の外周側面212cには、外側に突出した突出部である。つまり、ベルトガイド215は、上腿保持部212の外周側面212cから外側に突出したリブとなっている。ベルトガイド215は、固定ベルト216に沿って設けられている。
【0070】
ベルトガイド215は固定ベルト216の巻き回し方向における上腿保持部212の一端に形成されている。固定ベルト216は,ベルトガイド215の上側を通っている。したがって、ベルトガイド215によって、固定ベルト216が下側にずれることを防ぐことができる。つまり。固定ベルト216がずり落ちないように、ベルトガイド215が固定ベルト216を支持している。
【0071】
固定ベルト216がベルトガイド215の上下位置を規制する。固定ベルト216の位置ずれを抑制することができる。歩行時の上下動した場合でも、下方向に固定ベルト216がずれることを防ぐことできる。つまり、固定ベルト216がベルトガイド215を乗り越えない限り、固定ベルト216が下がることがない。よって、訓練者900は、適切な装着位置で脚装具120を装着することができる。訓練者900は、効果的な訓練を行うことができる。
【0072】
ベルトガイド215は、外周側面212cから外側に突出した突起となる、ベルトガイド215がベルトガイド215に沿って形成されている。ベルトガイド215は、上腿保持部212に付加される荷重に対して、強度補強のリブとして機能する。よって、上腿保持部212を軽量化、薄型化することができる。
【0073】
上腿保持部212は、例えば、樹脂材料により形成される。上腿保持部212は樹脂製の射出成型品である。上腿保持部212を樹脂成型品とすることで、アルミニウムなどの金属材料よりも軽量化を図ることができる。さらに、柔軟性を向上することができる。よって、装着性を向上することができる。なお、上腿保持部212は、上腿フレーム23の少なくとも一部と一体的に形成された樹脂成型品であってもよい。あるいは、上腿保持部212と上腿フレーム23は別体として形成された樹脂成型品であってもよい。
【0074】
また、脚装具120は、膝関節の角度を変えるように、上腿フレーム23と下腿フレーム24との間に介在する膝関節ユニット22を有している。脚装具120は、上腿と下腿のそれぞれに固定される。脚装具120は、上腿に固定される上腿固定ユニット21と、下腿に固定される下腿固定ユニット28を有している。上腿固定ユニット21の上腿保持部212が、上半月部材となり、上腿に対向して配置される。下腿固定ユニット28が下半月部材となり、下腿に対向して配置される。
【0075】
このようにすることで、保持力を向上することができるため、訓練者900が確実に脚装具120を装着することができる。歩行動作中の上下動に起因するベルトの位置ずれを抑制することができる。さらに、膝関節ユニット22のアクチュエータが膝関節動作をアシストするための駆動力を脚装具120に与えた場合であっても、位置ずれを抑制することができる。
【0076】
固定ベルト216の巻き回し方向における上腿保持部212の一端側において、上腿保持部212には固定ベルト216を通すベルト穴212aが設けられている。固定ベルト216の巻き回し方向における上腿保持部212の他端側において、上腿保持部212にベルトガイド215が形成されている。このようにすることで、固定ベルト216が上腿保持部212を確実に保持することができる。
【0077】
上腿保持部212と訓練者900の上腿との間に、パッド219を設けてもよい。つまり、パッド219は、上腿保持部212の内周側面212bに取り付けられている。パッド219はウレタン樹脂、スポンジなどの弾性体で形成されており、上腿保持部212の内周側面212bに沿って配置されている。パッド219が上腿保持部212と上腿との間に介在するため、ベルト固定によって訓練者900が受ける力を吸収することができる。つまり、パッド219が緩衝材となるため、ユーザビリティを向上することができる。
【0078】
次に、上腿保持部212の角部Cの構成について、図2図5を参照して説明する。角部Cは、上下方向において、上腿保持部212の上側の角部である。角部Cは、左右方向において、上腿保持部212の外側(にある。また、前後方向において、角部Cは、上腿保持部212の後方にある。
【0079】
図2図4に示すように、上腿保持部212の上側の角部Cには、傾斜部212dが設けられている。上腿保持部212を外周側から視た平面視における角部Cの形状について、図4を用いて説明する。図4は、上腿保持部212を含む脚装具120を右側から見た図である。平面視において、巻き回し方向における上腿保持部212のベルト穴212a側の端部を一端とし、一端の反対側を他端とする。傾斜部212dは、上側になるほど一端側に傾いて形成されている。つまり、上側に向かうほど、傾斜部212dは他端側から一端側に向かうように傾斜している。
【0080】
角部Cに傾斜部212dを設けることで、固定ベルト216がベルトガイドを乗り越えることを防ぐことができる。これにより、ユーザビリティを向上することができる。
【0081】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0082】
1 歩行訓練システム
21 上腿固定ユニット
22 膝関節ユニット
23 上腿フレーム
24 下腿フレーム
25 足平フレーム
26 足首関節機構
100 歩行訓練装置
110 装具
110a 連結フック
111 ハーネスワイヤ
112 ハーネス引張部
120 脚装具
130 フレーム
130a 手摺り
131 トレッドミル
132 ベルト
210 全体制御部
21 上腿固定ユニット
211 上腿固定シート
212 上腿保持部
212a ベルト穴
212b 内周側面
212c 外周側面
213 ベルトループ
215 ベルトガイド
216 固定ベルト
217 姿勢センサ
900 訓練者
901 訓練スタッフ
図1
図2
図3
図4
図5