(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004348
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】光学部品のスラストクリアランス調整装置
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20210101AFI20250107BHJP
【FI】
G02B7/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103974
(22)【出願日】2023-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】391044915
【氏名又は名称】株式会社コシナ
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 旬平
【テーマコード(参考)】
2H044
【Fターム(参考)】
2H044AC00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】光軸方向に位置決めされて回転操作される光学部品の光軸方向のクリアランスを適正に保つことで回転操作性や光学性能を維持可能な光学部品のスラストクリアランス調整装置を提供する。
【解決手段】絞り連動リング6の光軸方向端面にクリアランス調整部8が周方向で複数箇所に設けられており、絞り連動リング6が回転操作されると、鋼球8bが対向壁4aに押し当てられたまま摺動回転する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ鏡筒と同心状に配置された光学部品が光軸方向に所定のクリアランスを設けて位置決めされたまま光軸を中心に回転操作される光学部品のスラストクリアランス調整装置であって、
前記光学部品の光軸方向端面には凹部が設けられ、前記凹部内にはコイルばねが自然長より圧縮して装填さればね端部に連結された鋼球が光軸方向に沿って対向する固定壁に常時押し当てられたクリアランス調整部が、前記光学部品の周方向で複数箇所に設けられており、前記光学部品が回転操作されると、前記鋼球が対向する固定壁に押し当てられたまま各々摺動回転することを特徴とする光学部品のスラストクリアランス調整装置。
【請求項2】
前記クリアランス調整部は、前記光学部品の光軸方向端面に周方向で3か所以上で等間隔に設けられている請求項1記載の光学部品のスラストクリアランス調整装置。
【請求項3】
前記鋼球が常時押し当てられている対向する固定壁は平面又は凹面である請求項1記載の光学部品のスラストクリアランス調整装置。
【請求項4】
前記光学部品は、絞り径を変更する絞り調整リングに連動する絞り連動リングであり、前記絞り連動リングの光軸方向端面に設けられたクリアランス調整部が、対向する前枠ベースの固定壁に鋼球が常時押し当てられて前記絞り連動リングは光軸方向で前記前枠ベースとの間に所定のクリアランスを設けて位置決めされている請求項1又は請求項2記載の光学部品のスラストクリアランス調整装置。
【請求項5】
前記光学部品は、レンズ鏡筒内に配置されたレンズアッセンブリを光軸方向に移動させるフォーカスリングであり、前記フォーカスリングの光軸方向端面に設けられたクリアランス調整部が、対向する固定筒の固定壁に前記鋼球が常時押し当てられて前記フォーカスリングは光軸方向で前記固定筒との間に所定のクリアランスを設けて位置決めされている請求項1又は請求項2記載の光学部品のスラストクリアランス調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ、プロジェクタ等の撮像装置に組み込まれる光学部品のスラストクリアランス調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラやプロジェクタ等の撮像装置には、絞りを調整するための絞り調整リングや、レンズ群を光軸に沿って進退動するフォーカスリングなどの回転操作を伴う光学部品が設けられている。撮像装置は光軸方向に沿って多数の光学部品が組み付けられるため、光学部品間の公差の積み重ねによる光軸方向のクリアランスのばらつきが生じ易い。特に、回転操作される光学部品は、回転操作するために必要な光軸方向のクリアランスを要する反面、必要以上のクリアランスに起因するガタにより摺動音や絞りの開閉精度やフォーカス量の精度に影響を及ぼすおそれがある。
【0003】
このため、回転操作される光学部品の光軸方向のクリアランスを調整するために、板厚の異なる複数の環状のワッシャー(シム)51を用意しておき、
図5に示すように固定部材52と光軸方向に対向する回転操作部材53との間に、所定の厚さのワッシャー51を介在させて、多数の光学部品間の公差の積み重ねによる光軸方向のクリアランスのばらつきを吸収するようにしている。
【0004】
また、固定鏡筒内に設けられ周面にカム溝が設けられたカム筒の回転によってレンズ群間の光軸方向の距離を変更するズームレンズ鏡筒において、樹脂製の固定鏡筒及びカム筒が、環境温度の変化に応じて固定鏡筒の端部に設けられたカム保持枠とカム筒との間の光軸方向のクリアランスが変動する。このクリアランスの変動を抑制するため、環状の弾性片をカム筒の端部とカム保持枠との間に設けてカム筒の光軸方向のガタを吸収する構造が提案されている(特開平3-243906号)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、
図5に示すように、予め板厚の異なる複数のワッシャー51を予め準備しておくとすれば、金型を作成して準備する必要がありコストがかかるうえに、ワッシャー51を交換する度に、光学部品を分解して再度組立てをする調整工程が必要となるため、工数がかかる。
また、特許文献1のように、回転操作されるカム筒の端部と対向するカム保持枠との間に弾性部材を挟み込むことは、摺動抵抗が増加して回転操作性が悪くなるうえに、弾性部材の変形によって光軸方向のクリアランスが変動する恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、光軸方向に位置決めされて回転操作される光学部品の光軸方向のクリアランスを適正に保つことで回転操作性や光学性能を維持可能な光学部品のスラストクリアランス調整装置を提供することにある。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に適用される光学部品のスラストクリアランス調整装置は、以下の構成を備える。
レンズ鏡筒と同心状に配置された光学部品が光軸方向に所定のクリアランスを設けて位置決めされたまま光軸を中心に回転操作される光学部品のスラストクリアランス調整装置であって、前記光学部品の光軸方向端面には凹部が設けられ、前記凹部内にはコイルばねが自然長より圧縮して装填さればね端部に連結された鋼球が光軸方向に沿って対向する固定壁に常時押し当てられたクリアランス調整部が、前記光学部品の周方向で複数箇所に設けられており、前記光学部品が回転操作されると、前記鋼球が対向する固定壁に押し当てられたまま各々摺動回転することを特徴とする。
上記構成によれば、光学部品の光軸方向端面にクリアランス調整部が周方向で複数箇所に設けられており、光学部品が回転操作されると、鋼球が固定壁に押し当てられたまま摺動回転する。よって、多数の光学部品間の公差の積み重ねによるスラスト方向のクリアランスのばらつきをコイルばねが吸収し、光学部品のスラストクリアランス調整のための部品交換は不要であり、調整部品やその製造コストを削減し、調整工程も削減することができる。また、回転操作される光学部品のスラストクリアランスを適正に保つことで回転操作性や光学性能を維持することが可能となる。
【0009】
前記クリアランス調整部は、前記光学部品の光軸方向端面に周方向で3か所以上で等間隔に設けられていてもよい。
これにより、光学部品の光軸方向端面に周方向で3か所以上で等間隔に設けられたクリアランス調整部で光軸方向のクリアランス調整を行うことで、安定した回転操作性と光学性能を維持することができる。
【0010】
前記鋼球が常時押し当てられている対向する固定壁は平面又は凹面であってもよい。
これにより、鋼球は対向する固定壁に押し当てられたまま摺動回転し易く、光学部品の回転操作性が良い。
【0011】
前記光学部品は、絞り径を変更する絞り調整リングに連動する絞り連動リングであり、前記絞り連動リングの光軸方向端面に設けられたクリアランス調整部が、対向する前枠ベースの固定壁に鋼球が常時押し当てられて前記絞り連動リングは光軸方向で前記前枠ベースとの間に所定のクリアランスを設けて位置決めされていてもよい。
これにより、絞り調整リングの回転操作に連動して回転する絞り連動リングの回転摺動音が発生することがなく、光軸方向のクリアランスを適正に保つことで絞り羽根の絞り径の開閉精度を維持することができる。
【0012】
前記光学部品は、レンズ鏡筒内に配置されたレンズアッセンブリを光軸方向に移動させるフォーカスリングであり、前記フォーカスリングの光軸方向端面に設けられたクリアランス調整部が、対向する固定筒の固定壁に前記鋼球が常時押し当てられて前記フォーカスリングは光軸方向で前記固定筒との間に所定のクリアランスを設けて位置決めされていてもよい。
これにより、フォーカスリングの回転操作により回転摺動音が発生することがなく、光軸方向のクリアランスを適正に保つことでレンズアッセンブリのフォーカス精度を維持することができる。
【発明の効果】
【0013】
光軸方向に位置決めされて回転操作される光学部品の光軸方向のクリアランスを適正に保つことで回転操作性や光学性能を維持可能な光学部品のスラストクリアランス調整装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】光学部品のスラストクリアランス調整装置の一例を示す交換レンズの半断面図である。
【
図2】
図1のクリアランス調整部の配置を示す光軸方向前方から見た説明図である。
【
図4】光学部品のスラストクリアランス調整装置の他例を示す交換レンズの半断面図である。
【
図5】従来のスラストクリアランス調整部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施例1]
以下に本発明に係る光学部品のスラストクリアランス調整装置の一実施形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、例えば、一眼レフカメラ等のデジタルカメラに用いることができる交換レンズ1の半断面図である。この交換レンズ1は、固定筒部2aを含むレンズ鏡筒2を備える。固定筒部2aの外部及び内部には、複数のレンズ支持枠2b1,2b2が設けられ、このレンズ支持枠2b1,2b2の内周面には複数のレンズ体Lが支持されている(レンズ支持枠2b2側はレンズ体の図示を省略)。また、この種の交換レンズ1は、通常、マニュアル又はオートのフォーカシング調整機構及びズーミング調整機構を備えている。
【0016】
図1において、レンズ鏡筒2の外周面上には、絞り調整リング3が回動操作可能に設けられている。この絞り調整リング3を回転操作することで、複数枚の絞り羽根により形成される絞り開口径を任意に変更することができる。
絞り調整リング3は、固定筒部2aの前方端部にねじ止め固定された前枠ベース4と、固定筒部2aの径方向外側に突設された突出壁2cの間で光軸方向の変位が規制され、周方向にのみ回動操作することができるようになっている。
前枠ベース4の前方には、フィルター枠5がねじ止め固定されている。フィルター枠5にはレンズ保持部2b1が設けられ、固定筒部2a内にはレンズ保持枠2b2が設けられており、複数のレンズ体Lが各々保持されている。
【0017】
固定筒部2aの内部には、絞り連動リング6(光学部品)が同心状に設けられている。絞り連動リング6は、絞り調整リング3と径方向に凹凸嵌合して一体に連結されている。固定筒部2aの絞り連動リング6より内方には、環状の菊座金2dが径方向内側へ突出して設けられている。そして、この菊座金2dの後方に、絞り羽根機構Mが設けられている。この絞り羽根機構Mは、周方向に等間隔に配置された複数の絞り羽根(図示せず)により構成される。絞り羽根機構Mは、レンズ鏡筒2内に周方向に配置された少なくとも10枚以上の絞り羽根が一端側を回動可能に軸支され、他端側が菊座金2dに設けられたカム溝に沿って回転変位させて協働して絞り開口の大きさを変化させる。絞り調整リング3を回転操作すると絞り連動リング6も連動して回転し、絞り羽根の回転変位によって絞り開口の大きさが変化するようになっている。
【0018】
図3に示すように、絞り連動リング6の光軸方向の前端面には凹部6aが設けられている。凹部6a内にはコイルばね8aが自然長より圧縮して装填さればね端部に連結された鋼球8bが光軸方向に沿って対向する前枠ベース4の対向壁4a(固定壁)に常時押し当てられている(クリアランス調整部8)。このクリアランス調整部8が、絞り連動リング6の周方向で複数箇所(例えば
図2に示すように3か所)に設けられている。このように絞り連動リング6は光軸方向で前枠ベース4との間に所定のクリアランスを設けて位置決めされている。絞り調整リング3が回転操作されると絞り連動リング6も連動して回転し、鋼球8bが対向壁4aに押し当てられたまま摺動回転する。
【0019】
図2に示すようにクリアランス調整部8は、絞り連動リング6の前端面に周方向で3か所以上で等間隔に設けられていてもよい。これにより、絞り連動リング6の光軸方向端面に周方向で3か所で等間隔に設けられたクリアランス調整部8で光軸方向のクリアランス調整を行うことで、安定した回転操作性と光学性能を維持することができる。
【0020】
また、鋼球8bが押し当てられている対向壁4aは、平面であっても或いは凹面であってもよい。これにより、鋼球8bは対向する対向壁4aに押し当てられたまま摺動回転し易く、回転摺動音が発生することがなく絞り連動リング6の回転操作性が良い。
【0021】
以上説明したように、交換レンズ1における多数の光学部品間の公差の積み重ねによる光軸方向のクリアランスのばらつきをコイルばね8aが吸収し、絞り連動リング6のクリアランス調整のためのワッシャー等の部品交換は不要であり、調整部品やその製造コストを削減し、調整工程も削減することができる。また、回転操作される光学部品の光軸方向のクリアランスを適正に保つことで回転操作性や光学性能を維持することが可能となる。
【0022】
[実施例2]
次に、回転操作される光学部品の他例として、フォーカスリング9について説明する。
図4はフォーカシング調整機構を含む交換レンズ1の半断面図である。
図4に示すように、光学部品は、固定筒内に配置されたレンズアッセンブリを光軸方向に移動させるフォーカスリング9であってもよい。
【0023】
フォーカスリング9は、光軸方向に配置された第1固定筒10と第2固定筒11との間に設けられている。具体的には、フォーカスリング9は、前端面9bを第1固定筒10に突き当てられ後端面9cと第2固定筒11との間に所定のクリアランスを設けて光軸方向に位置決めされている。フォーカスリング9の光軸方向の後端面9cには凹部9aが設けられている。凹部9a内にはコイルばね8aが自然長より圧縮して装填さればね端部に連結された鋼球8bが光軸方向に沿って対向する第2固定筒11の対向壁11a(固定壁)に常時押し当てられている(クリアランス調整部8)。このクリアランス調整部8が、フォーカスリング9の周方向で複数箇所(例えば
図2に示すように3か所)に設けられている。このように、フォーカスリング9は第1固定筒10と第2固定筒11との間に光軸方向で第2固定筒11との間に所定のクリアランスを設けて位置決めされている。尚、鋼球8bが常時押し当てられている対向壁11aは平面であるが凹面であってもよい。
【0024】
第1固定筒10の内部には第1レンズアッセンブリL1を構成する第1レンズ保持部12aが設けられている。また、第1固定筒10の外周側には光軸方向に延設された可動筒12bが設けられている。可動筒12bの内周面にはねじ溝が設けられており、筒状のヘリコイド部材13の外周面に設けられたねじ溝とねじ嵌合している。フォーカスリング9には、光軸方向に沿って延設された回転連動キー14が保持されている。回転連動キー14は、ヘリコイド部材13の外周面に光軸方向に沿って形成された直進溝内に摺動可能に嵌め込まれている。回転連動キー14は、直進溝に沿って摺動する際に、ヘリコイド部材13が回転しながら前進若しくは後退する。このヘリコイド部材13は第1固定筒10の外周側に摺動回転可能に設けられている。また、第1固定筒10には光軸方向に沿って第1直進溝(図示せず)が設けられている。この第1直進溝内には、第1レンズ保持部12aに回転自在に支持された第1ローラ12cが光軸方向に沿って転がり移動可能に組み付けられている。
【0025】
フォーカスリング9を回転操作すると、回転連動キー14を介してヘリコイド部材13が回転しながら光軸方向に移動する。このときヘリコイド部材13とねじ嵌合する可動筒12bを通じて第1レンズ保持部12aは回転しながら光軸方向に移動することになるが、第1ローラ12cが第1固定筒10の第1直進溝内に嵌合して回転規制されているため、第1レンズ保持部12aは回転することなく第1ローラ12cが第1直進溝内を光軸方向に転がり動いて前進又は後退する。
【0026】
また、第1固定筒10内の第1レンズアッセンブリL1より後方には、第2レンズアッセンブリL2を構成する第2レンズ保持部12dが設けられている。ヘリコイド部材13の内周面にはカム溝(図示せず)が光軸方向と直交する方向に設けられ、カム溝と対向する第1固定筒12には、第2直進溝(図示せず)が光軸方向に沿って設けられている。上記カム溝及び第2直進溝内には、第2レンズ保持部12dに回転自在に支持された第2ローラ(図示せず)が光軸方向に沿って転がり移動可能に組み付けられている。
【0027】
フォーカスリング9を回転操作すると、回転連動キー14を介してヘリコイド部材13が回転しながら光軸方向に移動する。このとき、第2ローラは第1固定筒10の第2直進溝内に嵌合して回転規制されているため、第2レンズ保持部12dは回転することなく第2ローラが第2直進溝内を光軸方向に転がり動いて前進又は後退する。
【0028】
このように、フォーカスリング9が回転操作されると回転連動キー14を介してヘリコイド部材13が回転操作されるが、第1レンズ保持部12a及び第2レンズ保持部12dは共に第1固定筒10によって回転規制されて光軸方向に沿って前進又は後退する。これにより、第1レンズアッセンブリL1及び第2レンズアッセンブリL2と対象物までの光軸方向の距離が変わるため、フォーカス調整することができる。
【0029】
フォーカスリング9は回転操作されると、鋼球8bが対向壁11aに常時押し当てられたまま光軸方向で第2固定筒11との間に所定のクリアランスを維持したまま摺動回転する。よって、フォーカスリング9の回転操作により回転摺動音が発生することがなく、光軸方向のクリアランスを適正に保つことでフォーカス精度を維持することができる。
【0030】
以上説明したように、絞り調整リング6やフォーカスリング9などの光学部品の光軸方向端面にクリアランス調整部8が周方向で複数箇所に設けられており、これらの光学部品が回転操作されると、鋼球8bが対向壁に押し当てられたまま摺動回転する。よって、光学部品間の公差の積み重ねによる光軸方向のクリアランスのばらつきをコイルばね8aが吸収し、光学部品のクリアランス調整のための部品交換は不要であり、調整部品やその製造コストを削減し、調整工程も削減することができる。また、回転操作される光学部品の光軸方向のクリアランスを適正に保つことで回転操作性や光学性能を維持することが可能となる。
【0031】
上述した各実施例において、撮像装置は、カメラ用の交換レンズ1に限らずプロジェクタ用レンズ等であってもよい。また、絞り羽根機構Mに設けられる絞り羽根は10枚以上であっても10枚以下であってもいずれでもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 交換レンズ 2 レンズ鏡筒 2a 固定筒部 2b1,2b2 レンズ支持枠 2c 突出壁 2d 菊座金 L レンズ体 3 絞り調整リング 4 前枠ベース 4a,11a 対向壁 5 フィルター枠 6 絞り連動リング 6a,9a 凹部 M 絞り羽根機構 8 クリアランス調整部 8a コイルばね 8b 鋼球 9 フォーカスリング 10 第1固定筒 11 第2固定筒 L1 第1レンズアッセンブリ L2 第2レンズアッセンブリ 12a 第1レンジ保持部 12b 可動筒 12c 第1ローラ 12d 第2レンズ保持部 13 ヘリコイド部材 14 回転連動キー