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特開2025-43565患者とピアサポートコミュニティのマッチングを支援するプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025043565
(43)【公開日】2025-04-01
(54)【発明の名称】患者とピアサポートコミュニティのマッチングを支援するプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20250325BHJP
   G16H 10/00 20180101ALI20250325BHJP
【FI】
G06Q50/10
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023150917
(22)【出願日】2023-09-19
(71)【出願人】
【識別番号】307010166
【氏名又は名称】第一三共株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139066
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤田 浩行
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
5L099
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
5L099AA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】患者の求めるピアサポートコミュニティとのより精度良いマッチングを支援する技術を提供する。
【解決手段】情報処理システム1において、サーバ装置2は、患者であるユーザから、疾患の背景に関する疾患背景情報、治療の背景に関する治療背景情報、精神の状況に関する心理背景情報又は属性を示す属性情報の少なくとも1つを含むユーザ情報及び重視する事項に関する重要度の入力を受け付ける入力受付手段、ユーザ情報と重要度と複数のピアサポートコミュニティ情報とに基づいて、患者及びピアサポートコミュニティ間の親和性計算を実施し、患者及びピアサポートコミュニティ間の親和度を算出する算出手段及び親和度の算出結果に基づいて、患者及びピアサポートコミュニティ間の親和度に応じた表示を制御する表示制御手段として機能する制御部を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
患者であるユーザから、当該ユーザに関するユーザ情報及び重視する事項に関する重要度の入力を受け付ける入力受付手段であって、前記ユーザ情報は、当該ユーザの疾患の背景に関する疾患背景情報、当該ユーザの治療の背景に関する治療背景情報、当該ユーザの精神の状況に関する心理背景情報、又は当該ユーザの属性を示す属性情報の少なくとも1つを含む、入力受付手段と、
前記ユーザ情報と前記重要度と複数のピアサポートコミュニティに関する複数のピアサポートコミュニティ情報とに基づいて、前記患者及びピアサポートコミュニティ間の親和性計算を実施し、前記患者及び前記ピアサポートコミュニティ間の親和度を算出する算出手段であって、前記ピアサポートコミュニティ情報は、当該ピアサポートコミュニティの複数のトピックに関する情報を含み、前記親和性計算は、前記ユーザ情報及び前記ピアサポートコミュニティ情報間の類似度を算出することを含む、算出手段と、
前記親和度の算出結果に基づいて、前記患者及び前記ピアサポートコミュニティ間の親和度に応じた表示を制御する表示制御手段と、
として機能させる、プログラム。
【請求項2】
前記患者は、がん、白血病、肉腫、骨髄腫、脳卒中、心筋梗塞、高血圧性疾患、糖尿病、肝硬変、慢性腎不全及びうつ病、統合失調症及び認知症の少なくともいずれかを含む慢性疾患を罹患している者である、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記患者は、がん患者である、
請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記表示制御手段は、患者との親和度が高い順にピアサポートコミュニティをランキング表示させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
前記親和性計算は、前記患者及び前記ピアサポートコミュニティの複数のトピック間の親和度を計算することを含み、
前記表示制御手段は、前記患者及び前記ピアサポートコミュニティの複数のトピック間の前記親和度に応じて、前記ピアサポートコミュニティを当該ピアサポートコミュニティのトピックとともに表示させ、前記患者と親和度の高いトピックを識別可能に表示させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
前記親和性計算は、前記重要度に基づいて前記ユーザ情報に対する重み付け処理を実施することを含む、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項7】
前記親和性計算は、前記ユーザ情報と前記複数のピアサポートコミュニティ情報とに対する形態素分析を実施すること、及び、前記重要度と前記形態素分析の結果とに基づいて、前記ユーザ情報と前記複数のピアサポートコミュニティ情報の少なくとも一部とに対応する特徴量ベクトルを算出し、算出した特徴量ベクトルに基づいて前記類似度を算出すること、を含む、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項8】
前記ピアサポートコミュニティ情報は、当該ピアサポートコミュニティの複数の参加メンバのプロフィール又は発信内容に関する情報をさらに含む、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項9】
患者であるユーザから、当該ユーザに関するユーザ情報及び重視する事項に関する重要度の入力を受け付ける入力受付部であって、前記ユーザ情報は、当該ユーザの疾患の背景に関する疾患背景情報、当該ユーザの治療の背景に関する治療背景情報、又は当該ユーザの属性を示す属性情報の少なくとも1つを含む、入力受付部と、
前記ユーザ情報と前記重要度と複数のピアサポートコミュニティに関する複数のコミュニティ情報とに基づいて、前記患者及び前記ピアサポートコミュニティ間の親和性計算を実施し、前記患者及び前記ピアサポートコミュニティ間の親和度を算出する算出部であって、前記ピアサポートコミュニティ情報は、当該ピアサポートコミュニティの複数のトピックに関する情報を含み、前記親和性計算は、前記ユーザ情報及び前記ピアサポートコミュニティ情報間の類似度を算出することを含む、算出部と、
前記親和度の算出結果に基づいて、前記患者及び前記ピアサポートコミュニティ間の親和度に応じた表示を制御する表示制御部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項10】
コンピュータに、
患者であるユーザから、当該ユーザに関するユーザ情報及び重視する事項に関する重要度の入力を受け付けるステップであって、前記ユーザ情報は、当該ユーザの疾患の背景に関する疾患背景情報、当該ユーザの治療の背景に関する治療背景情報、又は当該ユーザの属性を示す属性情報の少なくとも1つを含む、ステップと、
前前記ユーザ情報と前記重要度と複数のピアサポートコミュニティに関する複数のコミュニティ情報とに基づいて、前記患者及び前記ピアサポートコミュニティ間の親和性計算を実施し、前記患者及び前記ピアサポートコミュニティ間の親和度を算出する算出部であって、前記ピアサポートコミュニティ情報は、当該ピアサポートコミュニティの複数のトピックに関する情報を含み、前記親和性計算は、前記ユーザ情報及び前記ピアサポートコミュニティ情報間の類似度を算出することを含む、ステップと、
前記親和度の算出結果に基づいて、前記患者及び前記ピアサポートコミュニティ間の親和度に応じた表示を制御するステップと、
を実行させる、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者とピアサポートコミュニティのマッチングを支援するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
がん患者は、がんのステージや身を置いた環境などに起因して、がんの症状、治療に対する苦しさ、将来に対する不安、治療費、美容面での悩みなど、多種多様な悩みを抱えている。これらの悩みには特殊性があり心理的な孤立感を生じさせるため、がん患者は近しい境遇の経験を有するピアサポーターと呼ばれる人々とつながることにより、心理的な負担を軽減することができる。
【0003】
特許文献1には、複数のユーザ間のマッチングのための技術であって、複数のユーザからの入力データを分析して、ユーザ及びライフイベントごとに、各ユーザが経験した、現在経験している、又は将来経験する可能性があるライフイベントを判定して、複数のユーザ間のマッチングを実施するための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国公開特許2020/0351234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のマッチングのための技術は、ユーザがマッチングに際し重視する事項が反映されないため、患者の求める相談相手がいるピアサポートコミュニティとのマッチングを実現することは難しい。
【0006】
そこで本発明は、患者の求めるピアサポートコミュニティとのより精度良いマッチングを支援する技術の提供を目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータを、患者であるユーザから、当該ユーザに関するユーザ情報及び重視する事項に関する重要度の入力を受け付ける入力受付手段であって、前記ユーザ情報は、当該ユーザの疾患の背景に関する疾患背景情報、当該ユーザの治療の背景に関する治療背景情報、当該ユーザの精神の状況に関する心理背景情報、又は当該ユーザの属性を示す属性情報の少なくとも1つを含む、入力受付手段と、前記ユーザ情報と前記重要度と複数のピアサポートコミュニティに関する複数のピアサポートコミュニティ情報とに基づいて、前記患者及びピアサポートコミュニティ間の親和性計算を実施し、前記患者及び前記ピアサポートコミュニティ間の親和度を算出する算出手段であって、前記ピアサポートコミュニティ情報は、当該ピアサポートコミュニティの複数のトピックに関する情報を含み、前記親和性計算は、前記ユーザ情報及び前記ピアサポートコミュニティ情報間の類似度を算出することを含む、算出手段と、前記親和度の算出結果に基づいて、前記患者及び前記ピアサポートコミュニティ間の親和度に応じた表示を制御する表示制御手段と、として機能させる。
【0008】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、患者であるユーザから、当該ユーザに関するユーザ情報及び重視する事項に関する重要度の入力を受け付ける入力受付部であって、前記ユーザ情報は、当該ユーザの疾患の背景に関する疾患背景情報、当該ユーザの治療の背景に関する治療背景情報、当該ユーザの精神の状況に関する心理背景情報、又は当該ユーザの属性を示す属性情報の少なくとも1つを含む、入力受付部と、前記ユーザ情報と前記重要度と複数のピアサポートコミュニティに関する複数のコミュニティ情報とに基づいて、前記患者及び前記ピアサポートコミュニティ間の親和性計算を実施し、前記患者及び前記ピアサポートコミュニティ間の親和度を算出する算出部であって、前記ピアサポートコミュニティ情報は、当該ピアサポートコミュニティの複数のトピックに関する情報を含み、前記親和性計算は、前記ユーザ情報及び前記ピアサポートコミュニティ情報間の類似度を算出することを含む、算出部と、前記親和度の算出結果に基づいて、前記患者及び前記ピアサポートコミュニティ間の親和度に応じた表示を制御する表示制御部と、を備える。
【0009】
本発明の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータに、患者であるユーザから、当該ユーザに関するユーザ情報及び重視する事項に関する重要度の入力を受け付けるステップであって、前記ユーザ情報は、当該ユーザの疾患の背景に関する疾患背景情報、当該ユーザの治療の背景に関する治療背景情報、当該ユーザの精神の状況に関する心理背景情報、又は当該ユーザの属性を示す属性情報の少なくとも1つを含む、ステップと、前前記ユーザ情報と前記重要度と複数のピアサポートコミュニティに関する複数のコミュニティ情報とに基づいて、前記患者及び前記ピアサポートコミュニティ間の親和性計算を実施し、前記患者及び前記ピアサポートコミュニティ間の親和度を算出する算出部であって、前記ピアサポートコミュニティ情報は、当該ピアサポートコミュニティの複数のトピックに関する情報を含み、前記親和性計算は、前記ユーザ情報及び前記ピアサポートコミュニティ情報間の類似度を算出することを含む、ステップと、前記親和度の算出結果に基づいて、前記患者及び前記ピアサポートコミュニティ間の親和度に応じた表示を制御するステップと、
を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、患者の求めるピアサポートコミュニティとのより精度良いマッチングを支援する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】情報処理システムの構成を例示するためのブロック図である。
図2】情報処理システムの動作を例示するためのフローチャート図である。
図3】ユーザ端末の表示画面を例示するための図である。
図4】ユーザ端末の表示画面を例示するための図である。
図5】患者により入力されるユーザ情報を例示するための図である。
図6】ピアサポートコミュニティに関するピアサポートコミュニティ情報を例示するための図である。
図7】サーバ装置2のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面を参照して、本開示の好適な実施形態(以下では、本実施形態という)について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0013】
[情報処理システムの構成]
図1は、本発明に係る情報処理システム1の構成例を示す図である。図1に示すように、情報処理システム1は、患者用端末装置3、サーバ装置2及び通信ネットワーク5を含む。本実施形態において、患者用端末装置3を「ユーザ端末装置3」と称する場合がある。ユーザ端末装置3及びサーバ装置2は、通信ネットワーク5を介して互いに通信可能に構成されている。
【0014】
通信ネットワーク5は有線又は無線ネットワークであり、インターネット、LAN(Local Area Network)、専用線、電話回線、企業内ネットワーク、移動体通信網、ブルートゥース(登録商標)、WiFi(Wireless Fidelity)、その他の通信回線、それらの組合せであってよい。ユーザ端末装置3とサーバ装置2は、同じ施設内にあってもよいし、遠隔地に設けられていてもよい。
【0015】
サーバ装置2は、ユーザ端末装置3をクライアント装置とするサーバ装置であり、典型的にはウェブサーバ装置である。サーバ装置2は、制御部10、記憶部11、通信インタフェース部12及びバス13を含む。制御部10、記憶部11及び通信インタフェース部12は、バス13を介して互いに電気的に接続されている。サーバ装置2は、1台のコンピュータで構成されていてもよいし、通信ネットワーク5上に分散する複数のコンピュータから構成されてもよい。サーバ装置2は、制御部10が、記憶部11に記憶されている各種プログラムを実行することにより、本実施形態に記載される各種機能を実現する。
【0016】
ユーザ端末装置3は、ユーザが使用する装置である。ユーザは、例えば、患者である。本実施形態において、患者を「ユーザ」と称する場合がある。ユーザ端末装置3は、例えば、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレット端末及びパーソナルコンピュータなどの電子機器である。本実施形態では、ユーザ端末装置3はスマートフォンであるとして説明する。ユーザは、ユーザ端末装置3が備えるタッチパネルディスプレイに触れることによって、ユーザ端末装置3を操作することができる。ユーザ端末装置3は、ウェブブラウザ又はアプリケーションソフトウェアなどを機能させることができる。
【0017】
ユーザ端末装置3の記憶部には、ピアサポートアプリケーション(以下、「ピアサポートアプリ」という。)AP1が記憶されていてもよい。ピアサポートアプリは、患者がピアサポートコミュニティを検索して各種の情報を閲覧し、マッチングするためのアプリケーション・プログラムである。ピアサポートアプリAP1は、ユーザ端末装置3にインストールする構成であってもよいが、サーバ装置2から通信ネットワーク5を介してピアサポートアプリAP1の一部または全部の機能が提供される構成(いわゆるSaaS(Software as a Service)など)であってもよい。
【0018】
本発明の一態様に係るプログラムをサーバ装置2の制御部10が実行することにより実現される各種機能について、以下に説明する。サーバ装置2は、本発明の一態様に係るプログラムを制御部10が実行することにより、入力受付手段、算出手段、及び表示制御手段として機能する。
【0019】
(入力受付手段)
入力受付手段は、患者により入力される当該患者に関するユーザ情報及び重視事項に関する重要度の入力を受け付ける機能を有する。
【0020】
入力されるユーザ情報は、例えば図5に示されるように、当該患者の疾患背景情報、治療背景情報、心理背景情報又は属性情報の1つ以上を含む。疾患背景情報は、患者の疾患の背景に関する情報であり、例えば、疾患名、がんタイプ、がんステージ、診断時の状況及び身体の状況などの項目を含む。治療背景情報は、患者の治療の背景に関する情報であり、例えば、現病歴、既往歴、家族歴、治療歴、治療スケジュール及び治療価値観などの項目を含む。心理背景情報は、患者の精神の状況に関する情報であり、例えば、精神の状況に関する自己の認識や他者の認識などの項目を含む。属性情報は、患者の属性を示す情報であり、例えば、年齢、就労状況、職業、家族構成、予算、本人の性格、生活習慣、生活地域、ライフイベント(子供の卒業式など)及び生活の関心や悩み(治療面、金銭面、生活面及び就労面など)、相談希望内容、相談可能内容、避けたい話題などの項目を含む。本実施形態において、入力されるユーザ情報は、各項目について当該ユーザの値を示すテキスト情報を少なくとも含む。
【0021】
本実施形態において、「患者」とは、疾患を罹患している者であり、例えば、がん、白血病、肉腫、骨髄腫、脳卒中、心筋梗塞、高血圧性疾患、糖尿病、肝硬変、慢性腎不全及び精神疾患(うつ病、統合失調症及び認知症を含む)などの慢性疾患を罹患している者であってもよい。
【0022】
本実施形態において、「がん」とは、典型的には乳がんであるとして説明するが、本実施形態の適用範囲はこれに限定されるものではなく、例えば、肺がん、胃がん、大腸がん、膵臓がん、前立腺がん、肝臓がん、食道がん、子宮頸がんなどの他の種類のがんであってもよい。
【0023】
本実施形態において「がん患者」とは、がんと診断された個人であり、治療が必要な段階にある個人と、状態を経過観察している段階にある経過観察中の個人とのいずれをも含む。
【0024】
本実施形態において、「ピアサポートコミュニティ」とは、疾患を克服した個人、当該個人と疾患に関連する同一又は類似の経験や状況を有する個人、又はその親族や知人などの当該個人に関連する者が集って形成されるコミュニティである。本実施形態において、「疾患を克服した個人」とは、治療が成功して完全寛解した段階にある個人と、治療により疾患の状態が一時的に収束している段階にある個人とのいずれをも含む。
【0025】
本実施形態において、「現病歴」とは、現在罹患している疾患に関する記録であり、現在罹患している疾患の発生経緯、発生時期、症状の推移などの経過を含む。本実施形態において、「既往歴」とは、過去に罹患した疾患に関する記録であり、過去に罹患した疾患の発生経緯、発生時期、症状の推移などの経過を含む。本実施形態において、「家族歴」とは、ユーザの近親者の現病歴及び既往歴である。本実施形態において、「治療歴」とは、外科的治療、化学療法、ホルモン療法、放射線治療などの、現在行っている治療及び過去に行っていた治療に関する記録である。また、本実施形態において、「治療歴」とは、乳房再建、運動療法、食事療法、カウンセリングなどの、補助治療に関する記録を含む。本実施形態において、「治療スケジュール」とは、受診、入退院、手術、検査、薬物治療などの、治療に関する行動のスケジュールである。本実施形態において、「遺伝情報」とは、個人の生物学的特性を示す情報であり、血液型、遺伝学的検査データなどを含む。本実施形態において、「治療価値観」とは、当該ユーザが治療に対して有する価値観であり、早く治したい、化学療法は避けたい、自然療法が好ましい、費用はなるべく抑えたい、痛みを最小限にしたい、最新の治療法を使用したいなどが含まれる。
【0026】
ユーザ情報の入力は、チャットボット形式で入力してもよいし、音声入力形式で入力してもよいし、テキストボックスへの自由記述形式で入力してもよいし、チェックボックスの選択形式で入力してもよい。テキストボックスへの自由記述形式による入力である場合は、キーワードを抽出し、ユーザ情報の入力として受け付けるようにしてもよい。チェックボックスの選択形式による入力である場合は、ユーザ情報の各項目について、トピックス及び当該トピックスに紐づいてより詳細化したサブトピックスのチェックボックスを設けておき、ユーザによりチェックボックスにチェックが入ることにより、ユーザ情報の入力として受け付けるようにしてもよい。
【0027】
入力受付手段は、上述の各種のユーザ情報に対する、当該患者の考える重要度の入力を受け付ける。重要度とは、当該患者が重視する事項に関する情報であり、例えば、重要度として、ユーザ情報の入力に際して重視したいキーワードの入力を受け付けるようにしてもよい。提示された各項目や各キーワードに対して、ユーザが付与したスコアを重要度として受け付けるようにしてもよい。重要度として、ユーザ情報の種別単位でユーザが重視するものの選択を受け付けるようにしてもよい。重要度として、ユーザが重視する項目の選択を受け付けるようにしてもよい。
【0028】
重要度の入力は、項目ごとのトピックスと、当該トピックスの内容をより詳細化したサブトピックスとに対応するチェックボックスを設けておき、サブトピックスに対応するチェックボックスに入力された選択の数が所定数以上の項目を当該ユーザが重視する項目と判定し、重要度の入力として受け付けてもよい。
【0029】
入力受付手段は、患者によるユーザ情報及び重要度の入力を受け付ける際に、当該患者が避けたい話題の入力を合わせて受け付けるようにしてもよい。これにより、患者が意図せずして心理的負担を増強し得る情報に接する事態の発生を低減することができる。避けたい話題の入力は、ユーザ情報や重要度の入力と同様に受け付けしてよい。
【0030】
入力受付手段は、患者により入力されるユーザ情報を、スコア化して数値として受け付けしてもよい。例えば、心理背景情報についての入力内容を、1:安定、2:意欲減退、3:不安定、4:落ち込み、5:イライラなどに分類し、スコア化してもよいし、予め分類しスコアを付与した選択肢からユーザに選択させることによりユーザ情報をスコア化してもよい。
【0031】
入力されるユーザ情報は、電子カルテなどの医療データと自動連携可能にしてもよい。
【0032】
(算出手段)
算出手段は、患者により入力されるユーザ情報と重要度と複数のピアサポートコミュニティに関する複数のピアサポートコミュニティ情報とに基づいて、患者及びピアサポートコミュニティ間の親和性計算を実施し、患者及びピアサポートコミュニティ間の親和度を算出する機能を有する。
【0033】
本実施形態において、「ピアサポートコミュニティ情報」は、ピアサポートコミュニティの活動や運営に関する情報であり、例えば、当該ピアサポートコミュニティの複数のトピックに関する情報、当該ピアサポートコミュニティの複数の参加メンバのプロフィールや発信内容に関するテキスト情報などを含む。本実施形態において、ピアサポートコミュニティのトピックに関する情報は、当該ピアサポートコミュニティが有するトピックに関する情報であり、トピックのタイトルや、トピックの書き込み内容などのテキスト情報を少なくとも含む。
【0034】
親和性計算は、ユーザに対応する特徴量スコアや特徴量ベクトルと、ピアサポートコミュニティに対応する特徴量スコアや特徴量ベクトルとを算出し、算出した特徴量スコアやベクトルに基づいて、当該ユーザのユーザ情報及び当該ピアサポートコミュニティのピアサポートコミュニティ情報間の類似度の算出を行ってもよい。
【0035】
本実施形態において、「親和度」とは、ユーザがピアサポートコミュニティやピアサポートコミュニティのトピックに馴染む度合いを表すものであり、本実施形態ではユーザ情報及びピアサポートコミュニティ情報の類似度により親和度を算出しているが、これに限られるものではない。
【0036】
ユーザやピアサポートコミュニティに対応する特徴量スコアや特徴量ベクトルの算出は、ユーザ情報やピアサポートコミュニティ情報に含まれるテキスト情報に対する形態素分析を行い、当該ユーザや当該ピアサポートコミュニティについての所定の項目に対応するキーワードの特徴量スコアや特徴量ベクトルを算出し、当該ユーザや当該ピアサポートコミュニティに対応する特徴量スコアや特徴量ベクトルとしてもよい。各種の項目と、当該項目の特徴量ベクトルの算出に用いるキーワードとの対応関係は、例えば、サーバ装置2の記憶部11に参照可能に記憶しておけばよい。
【0037】
例えば、ユーザA及びピアサポートコミュニティB間の親和度の算出は、ユーザAの項目Iについての特徴量スコアと、ピアサポートコミュニティBの項目Iについての特徴量スコアとを算出し、算出された特徴量スコアの類似度分析を実施することを行ってもよい。また、ユーザA及びピアサポートコミュニティB間の親和度の算出は、ユーザAのユーザ情報とピアサポートコミュニティBのピアサポートコミュニティ情報に対する形態素分析などの自然言語処理を行い、ユーザAの項目Iについての特徴量ベクトルと、ピアサポートコミュニティBの項目Iについての特徴量ベクトルとを算出し、算出された特徴量ベクトルの類似度分析を実施することを行ってもよい。
【0038】
形態素分析は、分析対象となるテキスト情報が含む言語に対応する形態素分析器を利用して行うことができる。形態素分析の結果に基づいて、所定のキーワードの出現頻度や常套性から、特徴量スコアや特徴量ベクトルを算出することができる。所定のキーワードの出現頻度や常套性に基づいた特徴量ベクトルの算出には、例えば、BoW(Bag-of-Words)値やTF-IDF(Term Frequency-Inverse Document Frequency)値を用いてもよい。BoW値は、トピック内の所定のキーワードの出現頻度に基づいて、特徴量ベクトルを算出することができる。TF-IDF値は、所定のトピック内の所定の単語の出現頻度と、当該トピック以外のトピックの当該キーワードの出現頻度から導き出される常套性とに基づいて、特徴量ベクトルを算出することができる。なお、TFとは、所定のキーワードが所定の文章内で登場する頻度を示す値であり、この値が大きいほど、当該所定のテキスト内で当該キーワードが頻出していることを示す。また、DFは、所定のキーワードが所定の複数の文章内で登場する頻度を示す値であり、この値が大きいほど、当該キーワードが複数の文章内で頻出していることを示す。
【0039】
TF-IDFは、TFと、DFの逆数であるIDFを乗算した値として算出される。TF-IDFを算出する計算式としては、例えば、以下の式を使用してもよい。
【0040】
【数1】
【0041】
本実施形態において、例えば、上記式中、「tfi.j」は所定のピアサポートコミュニティのトピックjを構成する複数の文章に所定のキーワードiが登場する頻度を示し、「N」は、検索対象とする複数のピアサポートコミュニティの複数のトピックを構成する複数の文章の総数を示し、「dfi」は、検索対象とする複数のピアサポートコミュニティの複数のトピックを構成する全ての文章のうち、キーワードiを含む文章の数を示す。
【0042】
本実施形態において、「ユーザに対応する特徴量ベクトル」は、当該ユーザのユーザ情報における所定の項目に対応するキーワードの特徴量ベクトルの内積であってもよい。すなわち、ユーザに対応する特徴量ベクトルは、ユーザ単位の所定の項目の特徴量ベクトルであってもよい。例えば、ユーザAのユーザ情報として、「メンタルの不調が続いていて気分が晴れない」、「社会復帰について不安があるがなかなか仲間を見つけられておらず不安」、「治療費の見通しが立たず精神的に追い込まれている」がある場合に、これらのテキスト情報に対する形態素分析を実施し、ユーザAの「こころの相談」、「からだの相談」、「お金の相談」、及び「家族の相談」の各項目の特徴量ベクトルを算出する。「こころの相談」、「からだの相談」、「お金の相談」、及び「家族の相談」などの各項目の特徴量ベクトルは、各項目の特徴量ベクトルの算出に用いるキーワードの特徴量ベクトルの内積により算出してよい。
【0043】
ユーザにより入力されるユーザ情報をスコアとして受け付ける場合は、ユーザ情報の種別又は項目ごとのスコアに基づいて、特徴量ベクトルを算出してもよい。
【0044】
親和性計算は、ユーザの特徴量スコアや特徴量ベクトルの算出に際して、ユーザにより入力される重要度に基づいて、ユーザ情報に対する重み付け処理を行ってもよい。例えば、ユーザにより入力される相談内容などの各項目における基本スコアに、重要度スコアを重み係数として乗算した値を、当該項目の特徴量スコアとしてもよい。
【0045】
例えば、ユーザにより入力された相談内容の項目として、「こころの相談」(重要度スコア:5)、「からだの相談」(重要度スコア:2)、及び「お金の相談」(重要度スコア:3)がある場合に、「こころの相談」の項目の基本スコア1に重要度スコア5を乗算した値を「こころの相談」の項目の特徴量スコアとし、「からだの相談」の項目の基本スコア1に重要度スコア2を乗算した値を「からだの相談」の項目の特徴量スコアとし、「お金の相談」の項目の基本スコア1に重要度スコア3を乗算した値を「お金の相談」の項目の特徴量スコアとしてもよい。
【0046】
重み付け処理は、各項目の基本スコアに各項目の[重要度スコア/合計重要度スコア]を乗算した値を当該項目の特徴量スコアとすることを行ってもよい。重み付け処理は、複数の項目のうち、所定の項目に付与された重要度スコアを、他の項目に付与された重要度スコアとの関係に基づいて調整することを行ってもよい。例えば、当該所定の項目に付与された重要度スコアを、他の項目に付与された重要度スコアに対する順位、偏差値、差などに基づいて調整してもよい。
【0047】
本実施形態において、「コミュニティのトピックに対応する特徴量ベクトル」は、当該トピックにおける所定の項目に対応するキーワードの特徴量ベクトルの内積であってもよい。すなわち、コミュニティのトピックに対応する特徴量ベクトルは、トピック単位の項目の特徴量ベクトルであってもよい。
【0048】
例えば、コミュニティAのトピックとして、「トピック1:再発」、「トピック2:家族歴」、「トピック3:治療費」、「トピック4:メンタル不調」、及び「トピック5:家族との関係」がある場合に、トピック1に対応する特徴量ベクトルは、トピック1に含まれるテキスト情報に対する形態素分析を実施し、コミュニティAのトピック1の「こころの相談」、「からだの相談」、「お金の相談」、及び「家族の相談」の各項目の特徴量ベクトルを算出すればよい。各項目の特徴量ベクトルの算出は、ユーザに対応する特徴量ベクトルの算出と同様に、各項目の特徴量ベクトルの算出に用いる各キーワードの特徴量ベクトルの内積を算出することにより各項目の特徴量ベクトルとしてよい。
【0049】
本実施形態において、「コミュニティに対応する特徴量ベクトル」は、例えば、当該コミュニティにおける、所定の項目に対応するキーワードの特徴量ベクトルの内積により算出された、当該コミュニティの所定の項目の各特徴量ベクトルの内積であってもよい。すなわち、コミュニティの特徴量ベクトルは、コミュニティ単位の所定の項目の特徴量ベクトルであってもよい。例えば、コミュニティAのトピックとして、「トピック1:再発」、「トピック2:家族歴」、「トピック3:治療費」、「トピック4:メンタル不調」、及び「トピック5:家族との関係」がある場合に、トピック1~5に含まれるテキスト情報に対する形態素分析を実施し、コミュニティAのトピック1~5の「こころの相談」、「からだの相談」、及び「お金の相談」の各項目の特徴量ベクトルを算出し、トピック1~5の「こころの相談」の項目の各特徴量ベクトルの内積をコミュニティAの「こころの相談」の項目の特徴ベクトルとし、トピック1~5の「からだの相談」の項目の各特徴量ベクトルの内積をコミュニティAの「からだの相談」の項目の特徴ベクトルとし、トピック1~5の「お金の相談」の項目の各特徴量ベクトルの内積をコミュニティAの「お金の相談」の項目の特徴ベクトルとしてもよい。各項目の特徴量ベクトルの算出は、ユーザに対応する特徴量ベクトルやコミュニティのトピックに対応する特徴量ベクトルの算出と同様に、各項目の特徴量ベクトルの算出に用いる各キーワードの特徴量ベクトルの内積を算出することにより各項目の特徴量ベクトルとしてよい。
【0050】
算出手段は、ユーザに対応する特徴量スコアや特徴量ベクトルと、ピアサポートコミュニティに対応する特徴量スコアや特徴量ベクトルと、に基づいて、ユーザ情報及びピアサポートコミュニティ情報間の類似度を算出し、当該ユーザ及び当該ピアサポートコミュニティ間の親和度を算出する。
【0051】
例えば、ユーザAの「こころの相談」の項目の特徴量スコアを基準として、所定の範囲内の「こころの相談」の項目の特徴量スコアを有するピアサポートコミュニティを検索し抽出することで、ユーザA及び複数の各ピアサポートコミュニティ間の親和度を算出してもよい。また、例えば、ユーザAの「からだの相談」の項目の特徴量ベクトルと、複数のピアサポートコミュニティの「からだの相談」の項目の特徴量ベクトルとの間でコサイン類似度分析を実施して、ユーザA及び複数の各ピアサポートコミュニティ間の親和度を算出してもよい。また、例えば、ユーザAの「お金の相談」の項目の特徴量ベクトルと、ピアサポートコミュニティAの複数のトピックの「お金の相談」の項目の特徴量ベクトルとの間でコサイン類似度分析を実施して、ユーザA及びピアサポートコミュニティAの複数の各トピック間の親和度を算出してもよい。
【0052】
コサイン類似度分析を行う計算式としては、例えば、以下の式を使用してもよい。
【0053】
【数2】
【0054】
式中、A及びBは、比較する各サンプルの特徴量ベクトルを示す。本実施形態において、例えば、上記式中、Aは、ユーザの「こころの相談」の項目の特徴量ベクトルを示し、Bは、ピアサポートコミュニティAの「こころの相談」の項目の特徴量ベクトルを示す。式中、AiとBiは、それぞれAの及びBにおけるi番目の成分を示す。コサイン類似度分析の結果は0から1の間の値で算出されるが、値が0に近い程、比較する各項目の類似度が低く、親和度が低いことを示し、値が1に近い程、比較する各項目の類似度が高く、親和度が高いことを意味する。
【0055】
算出手段は、コミュニティの参加メンバのプロフィールや発信内容についても特徴量スコアや特徴量ベクトルを算出し、親和度の算出に用いてもよい。特徴量スコアや特徴量ベクトルの算出は、ユーザ、ピアサポートコミュニティ、及びピアサポートコミュニティのトピックの特徴量スコアや特徴量ベクトルの算出と同様に行ってよい。
【0056】
(表示制御手段)
表示制御手段は、親和度の算出結果に基づいて、ユーザ及びピアサポートコミュニティ間、又はユーザ及びピアサポートコミュニティのトピック間の親和度に応じた表示を制御する機能を有する。本実施形態において、表示を制御することは、サーバ装置2からユーザ端末装置3に、本実施形態に係る各種の表示制御に必要な情報を送信することを含む。
【0057】
表示制御手段は、患者及びピアサポートコミュニティ間、又はユーザ及びピアサポートコミュニティのトピック間の親和度を視認可能に表示させてもよい。これにより、患者は自身の求めるピアサポートコミュニティ見つけ出しやすくなる。
【0058】
例えば、検索されたピアサポートコミュニティの一覧表示に、それぞれのピアサポートコミュニティの親和度を表示させてもよい。患者との親和度の高い順にピアサポートコミュニティをランキング表示させてもよい。ピアサポートコミュニティの一覧表示に患者と親和性の高いトピックや当該親和性の高いトピックの親和度を表示させてもよい。検索されたピアサポートコミュニティの一覧表示に、患者と親和度の高いトピックを識別可能に表示させてもよい。
【0059】
本実施形態において、「親和度」は、必ずしも親和度との表現による表示に限られるものではなく、関連度、相性、合致度、親和性、マッチなどの表現を用いて表示されてもよいし、数値を用いて表示されてもよい。
【0060】
上述の各種の機能に基づいてユーザ端末装置3に表示される各種の画面について、以下に説明する。なお、ユーザ端末装置3にピアサポートアプリAP1がインストールされている場合には、ピアサポートアプリAP1により各種の画面を表示させてもよい。
【0061】
(1)おすすめピアサポートコミュニティ一覧画面(図3参照)
サーバ装置2の制御部10は、患者により入力されるユーザ情報と重要度と複数のピアサポートコミュニティに関する複数のピアサポートコミュニティ情報とに基づいて、患者及びピアサポートコミュニティ間の親和性計算を実施し、患者及びピアサポートコミュニティ間の親和度を算出し、当該親和度の算出結果に基づいて、患者及びピアサポートコミュニティ間の親和度に応じた表示を制御する。ここで、サーバ装置2の制御部10は、当該患者及び当該ピアサポートコミュニティの複数のトピック間の親和度に応じて、当該ピアサポートコミュニティを当該ピアサポートコミュニティのトピックとともに表示させてもよい。また、患者との親和度の高いトピックを識別可能に表示させてもよい。例えば、図3に示すおすすめピアサポートコミュニティ一覧画面d10を、ユーザ端末装置3上に表示させる。
【0062】
おすすめピアサポートコミュニティ一覧画面d10には、例示的に、検索されたピアサポートコミュニティを示すピアサポートコミュニティリストd210、患者との親和度を示す親和度d110、患者とのを親和度の高いトピックを識別可能に表示するトピックd211が表示されている。図3の場合では、検索されたピアサポートコミュニティA~Dが、患者との親和度の高い順にランキング表示されている。また、ピアサポートコミュニティAについて見れば、「親和度No.1」との表記による親和度d110が表示されており、「トピック1:再発」や「トピック2:家族歴」との表記による患者とのを親和度が高いトピックを識別可能に表示するトピックd211が表示されている。これにより、患者は自身とより親和性の高いピアサポートコミュニティを容易に認識することができ、当該コミュニティのいずれのトピックが自身とより親和性が高いのかを容易に認識することができる。
【0063】
(2)ピアサポートコミュニティ詳細画面(図4参照)
サーバ装置2の制御部10は、患者によるピアサポートコミュニティリストの選択(クリックやタップなど)を検知すると、対象のピアサポートコミュニティの詳細を表示するピアサポートコミュニティ詳細画面を、ユーザ端末装置3上に表示させる。例えば、図4に示すピアサポートコミュニティ詳細画面d30を表示させる。
【0064】
ピアサポートコミュニティ詳細画面d30には、例示的に、患者との親和度が高いトピックを識別可能に表示するトピックd410が表示されている。図4の場合では、ピアサポートコミュニティAの詳細画面が表示されており、「トピック1:再発」や「トピック2:家族歴」との表記による患者との親和度が高いトピックを識別可能に表示するトピックd410が表示されている。患者との親和度が高いトピックが識別可能に表示されることにより、患者は、自身の関心のあるトピックがあるコミュニティを瞬時に視認することができる。
【0065】
ピアサポートコミュニティ詳細画面d30には、図4に示されるように、当該コミュニティが有する複数のトピックを患者との親和度が高い順にランキング表示させるようにしてもよい。ピアサポートコミュニティ詳細画面d30には、例示的に、当該コミュニティが有する複数のトピックを患者との親和度が高い順にランキング表示するトピックリストd413が表示されている。
【0066】
ピアサポートコミュニティ詳細画面d30には、図4に示されるように、ユーザ及びトピック間の親和度に基づいて、当該コミュニティが有する複数のトピックのおすすめレベルを表示させてもよい。ピアサポートコミュニティ詳細画面d30には、例示的に、当該コミュニティが有する複数のトピックのおすすめレベルd312が表示されている。
【0067】
ピアサポートコミュニティ詳細画面d30には、図4に示されるように、当該コミュニティの参加メンバ一覧を表示させるようにしてもよい。ピアサポートコミュニティ詳細画面d30には、例示的に、参加メンバ一覧d313が表示されている。
【0068】
ピアサポートコミュニティ詳細画面d30には、対象のピアサポートコミュニティ詳細画面に遷移するリンクを保存するための保存ボタンd411、対象のピアサポートコミュニティへの参加を申請するための参加ボタンd412、対象のピアサポートコミュニティの参加メンバのプロフィールや発信内容を閲覧する画面に遷移するためのボタンなどが設けられていてもよい。
【0069】
[情報処理システムの動作]
図2を参照して、本発明の一態様に係る情報処理システム1の動作について説明する。
【0070】
入力受付手段は、患者によるユーザ情報及び重要度の入力を受け付ける(ステップS101)。
【0071】
算出手段は、入力されたユーザ情報と重要度と複数のピアサポートコミュニティに関する複数のピアサポートコミュニティ情報とに基づいて、患者及びピアサポートコミュニティ間の親和性計算を実施し、患者及びピアサポートコミュニティ間の親和度を算出する(ステップS102)。例えば、患者により入力されたユーザ情報に基づいて、複数のピアサポートコミュニティに関する複数のピアサポートコミュニティ情報を参照することにより、ピアサポートコミュニティを検索し、患者の重要度に基づいて検索されたピアサポートコミュニティを抽出し、親和度の高いピアサポートコミュニティを選定する。ここで、複数のピアサポートコミュニティに関する複数のピアサポートコミュニティ情報は図6に例示するが、例えば、サーバ装置2の記憶部11に記憶しておけばよい。
【0072】
表示制御手段は、親和度の算出結果に基づいて、患者及びピアサポートコミュニティ間の親和度に応じた表示を制御する(ステップS103)。例えば、親和度の高い順にピアサポートコミュニティをランキング表示させる、おすすめピアサポートコミュニティ一覧画面をユーザ端末装置3に表示させる。
【0073】
図7を参照して、上述してきたサーバ装置2及び端末装置3をコンピュータ70により実現する場合のハードウェア構成の一例を説明する。なお、それぞれの装置の機能は、複数台の装置に分けて実現することもできる。
【0074】
図7に示すように、コンピュータ70は、プロセッサ700と、記憶装置702と、入力I/F704と、データI/F706と、通信I/F708、及び表示装置710を含む。
【0075】
プロセッサ700は、記憶装置702に記憶されているプログラムを実行することによりコンピュータ70における様々な処理を制御する。例えば、サーバ装置2及びユーザ端末装置3の制御部が備える各機能部などは、記憶装置702に記憶されたプログラムを、プロセッサ700が実行することにより実現可能である。
【0076】
記憶装置702は、例えばRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体である。RAMは、プロセッサ700によって実行されるプログラムのプログラムコードや、プログラムの実行時に必要となるデータを一時的に記憶する。
【0077】
記憶装置702は、他にも、例えばハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶媒体である。記憶装置702は、オペレーティングシステムや、上記各構成を実現するための各種プログラムを記憶する。当該各種プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体(Non-transitory computer readable medium)であってもよい。この他、記憶装置702は、各種情報を登録するテーブルと、当該テーブルを管理するDBを記憶することも可能である。このようなプログラムやデータは、必要に応じて記憶装置702にロードされることにより、プロセッサ700から参照される。
【0078】
入力I/F704は、ユーザからの入力を受け付けるためのデバイスである。入力I/F704の具体例としては、カメラ、ボタン、マイク、キーボード、マウス、タッチパネル、各種センサ、ウェアラブル・デバイスなどが挙げられる。入力I/F704は、例えばUSB(Universal Serial Bus)などのインタフェースを介してコンピュータ70に接続されてもよい。
【0079】
データI/F706は、コンピュータ70の外部からデータを入力するためのデバイスである。データI/F706の具体例としては、各種記憶媒体に記憶されているデータを読み取るためのドライブ装置などがある。データI/F706は、コンピュータ70の外部に設けられることも考えられる。その場合、データI/F706は、例えばUSBなどのインタフェースを介してコンピュータ70へと接続される。
【0080】
通信I/F708は、コンピュータ70の外部の装置と有線または無線により、通信ネットワーク5を介したデータ通信を行うためのデバイスである。通信I/F708は、コンピュータ70の外部に設けられることも考えられる。その場合、通信I/F708は、例えばUSBなどのインタフェースを介してコンピュータ70に接続される。
【0081】
表示装置710は、各種情報を表示するためのデバイスである。表示装置710の具体例としては、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、ウェアラブル・デバイスのディスプレイなどが挙げられる。表示装置710は、コンピュータ70の外部に設けられてもよい。その場合、表示装置710は、例えばディスプレイケーブルなどを介してコンピュータ70に接続される。また、入力I/F704としてタッチパネルが採用される場合には、表示装置710は、入力I/F704と一体化して構成することが可能である。
【0082】
また、上記実施形態で記載されたサーバ装置2及びユーザ端末装置3が備える構成要素は、記憶装置702に格納されたプログラムがプロセッサ700によって実行されることで、定められた処理が他のハードウェアと協働して実現されるものとする。また、言い換えれば、これらの構成要素は、ソフトウェアまたはファームウェアとしても、それと対応するハードウェアとしても想定され、その双方の概念において、「機能」、「手段」、「部」、「処理回路」、「ユニット」、または「モジュール」などとも記載され、またそれぞれに読み替えることができる。
【0083】
[実施形態の効果]
以上のように、本実施形態によれば、患者の求めるピアサポートコミュニティとのより精度良いマッチングを支援する技術を提供することができる。
【0084】
例えば、一態様において、コンピュータを、患者であるユーザから、当該ユーザに関するユーザ情報及び重視する事項に関する重要度の入力を受け付ける入力受付手段であって、前記ユーザ情報は、当該ユーザの疾患の背景に関する疾患背景情報、当該ユーザの治療の背景に関する治療背景情報、当該ユーザの精神の状況に関する心理背景情報、又は当該ユーザの属性を示す属性情報の少なくとも1つを含む、入力受付手段と、前記ユーザ情報と前記重要度と複数のピアサポートコミュニティに関する複数のピアサポートコミュニティ情報とに基づいて、前記患者及びピアサポートコミュニティ間の親和性計算を実施し、前記患者及び前記ピアサポートコミュニティ間の親和度を算出する算出手段であって、前記ピアサポートコミュニティ情報は、当該ピアサポートコミュニティの複数のトピックに関する情報を含み、前記親和性計算は、前記ユーザ情報及び前記ピアサポートコミュニティ情報間の類似度を算出することを含む、算出手段と、前記親和度の算出結果に基づいて、前記患者及び前記ピアサポートコミュニティ間の親和度に応じた表示を制御する表示制御手段と、として機能させるようにしたので、患者は、疾患の症状や治療費、美容面での悩み等の特殊性の高い悩みを抱えていても、自身の求めるピアサポートコミュニティや、自身の状況や悩み事に共感し得る相談相手がいるピアサポートコミュニティを見つけ出しやすくなり、自身の状況や悩み事を共有して、心理的な負担を軽減することができる。
【0085】
また、一態様において、患者との親和度が高い順にピアサポートコミュニティをランキング表示させるようにしたので、患者は、検索されたピアサポートコミュニティの一覧の中から、自身の求めるピアサポートコミュニティを効率的に視認することができる。
【0086】
また、一態様において、親和性計算は、前記患者及び前記ピアサポートコミュニティの複数のトピック間の親和度を計算することを含むようにし、前記患者及び前記ピアサポートコミュニティの複数のトピック間の前記親和度に応じて、前記ピアサポートコミュニティを当該ピアサポートコミュニティのトピックとともに表示させ、前記患者と親和度の高いトピックを識別可能に表示させるようにしたので、患者は、検索されたピアサポートコミュニティの一覧の中から、自身の求めるトピックを瞬時に把握することができる。
【0087】
また、一態様において、親和性計算は、前記重要度に基づいて前記ユーザ情報に対する重み付け処理を実施することを含むようにしたので、患者は、コミュニティを見つける際に自身が重視する事項の優先度を高めることができ、より精度良いマッチングを実現させることができる。
【0088】
また、一態様において、親和性計算は、前記ユーザ情報と前記複数のピアサポートコミュニティ情報とに対する形態素分析を実施すること、及び、前記重要度と前記形態素分析の結果とに基づいて、前記ユーザ情報と前記複数のピアサポートコミュニティ情報の少なくとも一部とに対応する特徴量ベクトルを算出し、算出した特徴量ベクトルに基づいて、類似度を前記算出することを含むようにしたので、患者は、疾患の症状や治療費、美容面での悩み等の特殊性の高い悩みを抱えていても、自身が重視する事項やキーワードと関連性の強いピアサポートコミュニティやトピックを見つけることができる。
【0089】
また、一態様において、ピアサポートコミュニティ情報は、当該ピアサポートコミュニティの複数の参加メンバのプロフィール又は発信内容に関する情報をさらに含むようにしたので、患者は、疾患の症状や治療費、美容面での悩み等の特殊性の高い悩みを抱えていても、自身と近い境遇の経験を有する参加メンバを有するピアサポートコミュニティを見つけ出しやすくなる。
【0090】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。このため、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。例えば、上述した各処理ステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更し、又は並列に実行することができる。
【符号の説明】
【0091】
1…情報処理システム、2…サーバ装置、3…ユーザ端末装置、5…通信ネットワーク、10…制御部、11…記憶部、12…通信インタフェース部、13…バス、100…入力受付手段、101…算出手段、102…出力手段、102a…表示制御手段、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7