(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004376
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】焙煎装置
(51)【国際特許分類】
A23N 12/08 20060101AFI20250107BHJP
A23F 5/04 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
A23N12/08 A
A23F5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104028
(22)【出願日】2023-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】000109026
【氏名又は名称】ダイニチ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大塚 優吾
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 允
(72)【発明者】
【氏名】生田 竜晟
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 玲
(72)【発明者】
【氏名】上田 昌史
(72)【発明者】
【氏名】高野 優斗
【テーマコード(参考)】
4B027
4B061
【Fターム(参考)】
4B027FB21
4B027FC01
4B027FC02
4B027FE01
4B027FQ02
4B027FR04
4B061AA01
4B061AB07
4B061BA09
4B061CD01
4B061CD05
4B061CD18
4B061CD30
(57)【要約】
【課題】被焙煎物の基本となる風味を作り、かつ焙煎レベルに応じた風味も作ることができる焙煎装置および制御プログラムを提供すること。
【解決手段】複数の焙煎レベルから1つを選択できる焙煎装置において、焙煎レベルによらず経過時間に対する温度の変化が同じである第一段階と、焙煎レベルに応じて経過時間に対する温度の変化が異なる第二段階とからなる焙煎プロファイルに基づいて制御装置が焙煎動作を制御する。被焙煎物が焙煎される過程では様々な化学反応が起こり、酸味や旨味、コクといった風味が作られる。そこで、第一段階を設けることで、いずれの焙煎レベルが選択された場合でも被焙煎物に必要とされる基本の風味を作り、味の土台を築くことができる。そして、第二段階では焙煎レベルに応じた風味を土台となる味の上に加えることで、風味の良い被焙煎物が得られる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の焙煎レベルから1つを選択するレベルスイッチと、
経過時間に対する温度の変化を示す焙煎プロファイルに基づいて焙煎動作を制御する制御装置と、を備え、
前記焙煎プロファイルは、前記焙煎レベルによらず経過時間に対する温度の変化が同じである第一段階と、前記焙煎レベルに応じて経過時間に対する温度の変化が異なる第二段階とからなる焙煎装置。
【請求項2】
前記第一段階は、経過時間に対する温度の変化が多段の階段状である請求項1記載の焙煎装置。
【請求項3】
前記第二段階は、前記焙煎レベルが高いほど高い温度で温度を維持する請求項1または2に記載の焙煎装置。
【請求項4】
複数の焙煎レベルから1つを選択するレベルスイッチを備えた焙煎装置の制御プログラムであって、
焙煎時の昇温制御として、
前記焙煎レベルによらず経過時間に対する温度の変化が同じである第一工程と、
前記焙煎レベルに応じて経過時間に対する温度の変化が異なる第二工程と、を実行させる制御プログラム。
【請求項5】
前記第一工程は、経過時間に対する温度の変化が多段の階段状である請求項4記載の制御プログラム。
【請求項6】
前記第二工程は、前記焙煎レベルが高いほど高い温度で温度を維持する請求項4または5に記載の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー豆などの被焙煎物を焙煎する焙煎装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コーヒーの生豆等の被焙煎物を焙煎する装置があり、ガスを利用して焙煎を行うガス式焙煎装置やヒータで加熱した空気によって焙煎を行う熱風式焙煎装置など、様々な方式のものが知られているが、いずれの方式においても、焙煎は焙煎プロファイルと呼ばれる熱対時間曲線を被焙煎物に適用することによって行われる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コーヒー豆を焙煎する際には、好みに応じて浅煎りから深煎りまで複数段のレベルに分けて焙煎を行うこともある。この場合、コーヒー豆に必要とされる風味と、好みに応じた風味が作られることで、コーヒー豆らしさと使用者の好みの風味とが合わさった風味の良いコーヒー豆を得ることができるが、このような風味の良いコーヒー豆を得るための焙煎制御には改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためのもので、焙煎レベルによらず被焙煎物に必要とされる風味と、選択された焙煎レベルに応じた風味も持つ被焙煎物を得ることができる焙煎装置および焙煎装置の制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
複数の焙煎レベルから1つを選択するレベルスイッチと、
経過時間に対する温度の変化を示す焙煎プロファイルに基づいて焙煎動作を制御する制御装置と、を備え、
前記焙煎プロファイルは、前記焙煎レベルによらず経過時間に対する温度の変化が同じである第一段階と、前記焙煎レベルに応じて経過時間に対する温度の変化が異なる第二段階とからなる焙煎装置である。
【0007】
また、本発明は、
複数の焙煎レベルから1つを選択するレベルスイッチを備えた焙煎装置の制御プログラムであって、
焙煎時の昇温制御として、
前記焙煎レベルによらず経過時間に対する温度の変化が同じである第一工程と、
前記焙煎レベルに応じて経過時間に対する温度の変化が異なる第二工程と、を実行させる制御プログラムである。
【発明の効果】
【0008】
上述のように構成することにより、第一段階および第一工程では被焙煎物に必要とされる風味を基本の風味として作り、第二段階および第二工程では選択された焙煎レベルに応じた風味を基本の風味のうえに加えることができるため、風味の良い被焙煎物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】本実施形態における焙煎プロファイルの一例を示したものである。
【
図3】本実施形態の焙煎装置における制御装置のブロック図である。
【
図4】本実施形態における各焙煎レベルの焙煎プロファイルを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
好適と考える本発明の実施形態を、本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0011】
本発明は、複数の焙煎レベルから1つを選択するレベルスイッチと、経過時間に対する温度の変化を示す焙煎プロファイルに基づいて焙煎動作を制御する制御装置と、を備えた焙煎装置であって、焙煎プロファイルは、焙煎レベルによらず経過時間に対する温度の変化が同じである第一段階と、焙煎レベルに応じて経過時間に対する温度の変化が異なる第二段階とからなる。被焙煎物が焙煎される過程では様々な化学反応が起こり、酸味や旨味、コクといった風味が加えられ、被焙煎物の風味が作られる。そのため、焙煎レベルによらず経過時間に対する温度の変化が同じ第一段階を設けることで、化学反応の進行の程度を揃え、いずれの焙煎レベルが選択された場合でも被焙煎物に必要とされる風味を基本の風味として作り、味の土台を築くことができる。そして、第二段階で焙煎レベル毎に熱の加え方を変えて、焙煎レベルに応じた風味を土台となる味のうえに加えることで、風味の良い被焙煎物を得ることができる。
【0012】
また、第一段階は、経過時間に対する温度の変化が多段の階段状である。上述した化学反応は特定の温度帯で活性化することが知られているため、第一段階を多段とすることで複数の味覚成分を付加し、奥行きのある優れた風味を作ることができる。さらに、階段状に温度を上げることで、狙った風味を引き出して輪郭がはっきりとした風味を作ることができ、より風味の良い被焙煎物を得ることができる。
【0013】
また、第二段階は、焙煎レベルが高いほど高い温度で温度を維持する。第一段階では基本となる風味が作られるが、焙煎レベル毎の違いがない。そこで、第二段階では焙煎レベルが高いほど高い温度で焙煎を行うことで、深煎りの被焙煎物の特徴である苦みを付加し、選択された焙煎レベルに応じた風味を作ることができる。
【0014】
また、本発明は、複数の焙煎レベルから1つを選択するレベルスイッチを備えた焙煎装置の制御プログラムであって、焙煎時の昇温制御として、焙煎レベルによらず経過時間に対する温度の変化が同じである第一工程と、焙煎レベルに応じて経過時間に対する温度の変化が異なる第二工程と、を実行させる。被焙煎物が焙煎される過程では様々な化学反応が起こり、酸味や旨味、コクといった風味が加えられ、被焙煎物の風味が作られる。そのため、焙煎レベルによらず経過時間に対する温度の変化が同じ第一工程を設けることで、化学反応の進行の程度を揃え、いずれの焙煎レベルが選択された場合でも被焙煎物に必要とされる風味を基本の風味として作り、味の土台を築くことができる。そして、第二工程で焙煎レベル毎に熱の加え方を変えて、焙煎レベルに応じた風味を土台となる味のうえに加えることで、風味の良い被焙煎物を得ることができる。
【0015】
また、第一工程は、経過時間に対する温度の変化が多段の階段状である。上述した化学反応は特定の温度帯で活性化することが知られているため、第一工程を多段とすることで複数の味覚成分を付加し、奥行きのある優れた風味を作ることができる。さらに、階段状に温度を上げることで、狙った風味を引き出して輪郭がはっきりとした風味を作ることができ、より風味の良い被焙煎物を得ることができる。
【0016】
また、第二工程は、焙煎レベルが高いほど高い温度で温度を維持する。第一工程では基本となる風味が作られるが、焙煎レベル毎の違いがない。そこで、第二工程では焙煎レベルが高いほど高い温度で焙煎を行うことで、深煎りの被焙煎物の特徴である苦みを付加し、選択された焙煎レベルに応じた風味を作ることができる。
【実施例0017】
以下、本発明の一実施例を図面により説明する。なお、被焙煎物を煎る焙煎装置の一例として、コーヒー豆焙煎装置を例に説明する。
【0018】
図1は本実施形態の焙煎装置の断面構成図である。本実施形態の焙煎装置1は、被焙煎物であるコーヒー豆を焙煎する本体部2と、焙煎の過程で剥がれたコーヒー豆の薄皮を回収するためのチャフコンテナ3とを備えて構成されている。チャフコンテナ3は本体部2の上方に着脱自在に設けられている。
【0019】
本体部2は、外装をなすケーシング20を有している。ケーシング20内には、ファン11とモータ12からなり、空気流を発生させる送風機13、送風機13により発生した空気流を整流するファンケース110、送風機13の下流に設けられて空気を熱するヒータ14、ヒータ14を収容するヒータケース140、ヒータ14で熱された空気によりコーヒー豆を焙煎する焙煎釜15が設けられている。
【0020】
ケーシング20の上部と底部には、本体部2内に空気を取り入れる吸気口21が設けられていて、送風機13が駆動すると吸気口21から本体部2内に空気が流入する。上部の吸気口21から取り入れられた空気は、ケーシング20の側面に沿って下方へ流れて本体部2の底部に向かう。この空気流は、ヒータ14から発せられる熱がケーシング20に伝わることを抑制し、ケーシング20の表面温度が上昇することを防いでいる。底部の吸気口21から取り入れられた空気は、上部の吸気口21から取り入れられた空気と合流してファンケース110に流入する。そして、流入した空気はファンケース110によって整流されてヒータケース140へ向かう。
【0021】
ヒータケース140は、ファンケース110によって整流された空気を取り入れる開口141を底部に備えた有天筒形状の金属製部品であり、内側にヒータ14を収容している。また、ヒータケース140の上面の中央には取付孔142が設けられており、取付孔142には焙煎釜15が取り付けられている。送風機13から送風された空気は、開口141からヒータケース140内に流入し、ヒータ14により熱せられて熱風となった後、焙煎釜15内に供給されるようになっており、焙煎釜15内のコーヒー豆は熱風で加熱されることにより焙煎される。
【0022】
焙煎釜15は、上部が開口した有底筒形の形状であって、熱伝導性の高いアルミなどの材料から構成されている。焙煎釜15がヒータケース140の取付孔142に取り付けられると、筒形の下方部分の一部がヒータケース140内に収容される。また、焙煎釜15の側面の所定位置には、外周方向に張り出すフランジ150が形成されていて、このフランジ150がヒータケース140の上面と当接することで焙煎釜15が所定の位置に配置されるようになっている。フランジ150は、ヒータケース140の上面とで熱風の流路をシールするように設けられていて、これにより熱風の流路が形成される。
【0023】
焙煎釜15の側面には、ヒータ14で発生した熱風を取り入れる熱風流入口16が複数設けられている。熱風流入口16は、斜め方向に伸びるスリット形状であって、側面の周方向に一定の間隔を空けて並んで設けられる。熱風流入口16を通過した熱風は、焙煎釜15内に流入して旋回流を発生させる。コーヒー豆はこの旋回流によって撹拌され、焙煎釜15内を回転しながら徐々に水分が蒸発していき、焙煎されたコーヒー豆となる。このように、旋回流によってコーヒー豆が撹拌されることで、煎りムラを生じさせることなく短時間で均一にコーヒー豆を焙煎することができる。
【0024】
コーヒー豆を通過した後の熱風は、焙煎釜15の上部の開口から排出される。また、焙煎の過程でコーヒー豆から剥がれた薄皮(チャフ)は、この熱風とともに開口から排出されて、本体部2の上方に設けられたチャフコンテナ3に回収される。チャフコンテナ3には排気口30が設けられており、チャフが回収されたあとの熱風だけがこの排気口30から焙煎装置1外に排出される。
【0025】
また、本実施形態の焙煎装置には、ヒータケースサーミスタ50と釜サーミスタ51の2つのサーミスタが設けられている。ヒータケースサーミスタ50はヒータケース140の上面に取り付けられており、焙煎釜15に取り込まれる前の熱風の温度を検知している。釜サーミスタ51は焙煎釜15の側面取り付けられており、焙煎釜15内の温度を検知している。
【0026】
上述のように構成される焙煎装置1において、焙煎は、焙煎プロファイルと呼ばれる熱対時間曲線を被焙煎物に適用することによって行われる。
図2は、本実施形態における焙煎プロファイルの一例を示したものである。図に示すように、焙煎プロファイルは縦軸を温度、横軸を時間としたグラフによって表され、経過時間に対する温度の変化を示すものである。
【0027】
焙煎装置1には、複数の焙煎レベルが設けられている。使用者は、本体部2に設けられたレベルスイッチ70(
図3参照)を操作して焙煎レベルを選択することができ、選択された焙煎レベルになるよう焙煎が実行される。この焙煎レベルには、浅煎り、中煎り、深煎りの3段階があり、また一般的には、浅煎りから深煎りまでを、ライトロースト、シナモンロースト、ミディアムロースト、ハイロースト、シティロースト、フルシティロースト、フレンチロースト、イタリアンロースト、の8段階に分けている。よって、焙煎レベルは3から8段階の間で設定するとよい。本実施形態では、焙煎レベルを焙煎レベル1から3の3段階から選択でき、焙煎度が深くなるにしたがってレベルの数値が上昇する。そして、各焙煎レベルに応じて異なる焙煎プロファイルが設定されている。
【0028】
焙煎装置1の動作は、後述する制御装置60によって制御される。制御装置60は、焙煎釜15の温度が焙煎プロファイルの通りに変化するようにヒータ14の通電を制御する。
【0029】
図3は、本実施形態の焙煎装置における制御装置のブロック図である。制御装置60は、プロファイル記憶部61と、運転制御部62と、ヒータ制御部63と、を含んで構成され、レベルスイッチ70で選択した焙煎レベルに応じた被焙煎物が得られるように焙煎動作を制御する。
【0030】
プロファイル記憶部61は、被焙煎物を加熱する温度と、その温度を維持する時間のデータを保存している。本実施形態において、被焙煎物を加熱する温度とは、釜サーミスタ51が検知する焙煎釜15の温度である。そして、焙煎プロファイルは焙煎レベル毎に設定されて保存されている。
【0031】
運転制御部62は、レベルスイッチ70で選択した焙煎レベルに基づき、プロファイル記憶部61に記憶された焙煎プロファイルを読み出して焙煎制御における各部の動作を制御する。また、焙煎釜15の温度が焙煎プロファイルの通りに変化するように、ヒータ14の通電量を調整する。
【0032】
ヒータ制御部63は、運転制御部62からの指示に基づいてヒータ14の通電を制御する。ヒータ14は、例えば100%または50%のいずれかで通電されるように構成され、運転制御部82からの指示に応じてヒータ14の通電を切り替える。
【0033】
次に、本実施形態の焙煎プロファイルについて詳細に説明する。
【0034】
図4は、本実施形態における各焙煎レベルの焙煎プロファイルを示した図である。焙煎プロファイルは、いずれの焙煎レベルであっても、被焙煎物の基本となる風味を作る第一段階と、選択された焙煎レベルへと仕上げる第二段階とからなる。なお、図では焙煎レベル1を実線、焙煎レベル2を破線(小)、焙煎レベル3を破線(大)で示している。
【0035】
第一段階は、レベルスイッチ70で選択された焙煎レベルによらず経過時間に対する温度の変化が同じである。コーヒー豆を特定の温度で加熱することで、コーヒー豆に含まれる糖やアミノ酸などが化学反応を起こし、酸味や旨味、コクといった風味を加えることができる。コーヒー豆における化学反応の主なものとしては、「加水分解」、「メイラード反応」、「カラメル化」などがあり、これらの化学反応が起こることでコーヒー豆の風味が作られる。このとき、焙煎レベルに関係なく、コーヒー豆に必要とされる味わいや香りを基本の風味として作ることで味の土台を築き、そこに焙煎レベルに応じた風味が加えられることで、風味の良いコーヒー豆が得られる。そこで、焙煎プロファイルに焙煎レベルによらず経過時間に対する温度の変化が同じ第一段階を設けることで、上述した化学反応の進行の程度を揃え、いずれの焙煎レベルが選択された場合でも被焙煎物の基本となる風味を作り、味の土台を築くことができる。
【0036】
さらに、第一段階は多段の階段状とすることが好ましい。上述した化学反応は特定の温度帯で活性化することが知られている。そのため、第一段階を多段とすることで複数の味覚成分を付加し、奥行きのある優れた風味を作ることができる。さらに、階段状として特定の温度を維持することで、狙った味覚成分を引き出して輪郭がはっきりとした風味を作ることができる。なお、本実施形態では150℃および180℃において温度を維持する時間を設けており、150℃はメイラード反応、180℃はカラメル化を進行させることを目的とした温度である。これにより、コクと旨味を基本の風味として作ることができる。
【0037】
第二段階は、レベルスイッチ70で選択された焙煎レベルに応じて経過時間に対する温度の変化が異なり、焙煎レベルが高いほど高い温度で温度を維持する。本実施形態では焙煎レベル1では190℃、焙煎レベル2では210℃、焙煎レベル3では230℃を維持するよう焙煎プロファイルで規定されている。第二段階では、焙煎レベル毎に熱の加え方を変えて焙煎レベルに応じた風味を第一段階で築いた土台となる味のうえに加えることで、風味の良い被焙煎物を得ることができる。本実施形態では、第二段階において焙煎レベルが高いほど高い温度で焙煎を行うことで、深煎りの被焙煎物の特徴である苦みを付加し、選択された焙煎レベルに応じた風味を加えている。また、被焙煎物の色を黒に近い色へと変化させて、焙煎レベルに応じた色の違いを作ることができる。なお、第二段階における熱の加え方は、焙煎レベルが高いほど高い温度を維持する以外に、第二段階の終了時に到達する温度が高くなるようにしてもよい。
【0038】
また、焙煎レベル毎の違いを作るために、焙煎レベルによらず同じ温度で焙煎し、焙煎レベルが高いほど焙煎の時間を長くすることで、深煎りの被焙煎物を得ることもできるが、前述したように焙煎レベルが高いほど高い温度にすることで焙煎にかかる時間を短くすることができる。
【0039】
以上、実施形態として焙煎装置を例示して説明したが、実施形態は、第一段階を第一工程、上記第二段階を第二工程として制御装置に実行させるための制御プログラムの形態としてもよい。