(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025043796
(43)【公開日】2025-04-01
(54)【発明の名称】制御盤および制御監視システム
(51)【国際特許分類】
H04L 12/44 20060101AFI20250325BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20250325BHJP
【FI】
H04L12/44 300
H04W4/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023151297
(22)【出願日】2023-09-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】田辺 樹
(72)【発明者】
【氏名】田代 英樹
【テーマコード(参考)】
5K033
5K067
【Fターム(参考)】
5K033AA04
5K033BA11
5K033DA01
5K033DA17
5K033DB17
5K067BB27
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】
【課題】配線施工に要する手間と時間とコストを削減する。
【解決手段】制御盤1aは、センサまたは制御対象の機器と有線通信を行うコントローラ100と、コントローラ100から有線受信したデータを外部の中央監視装置500に向けて無線送信し、中央監視装置500から無線受信したデータをコントローラ100に有線送信する無線通信装置とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサまたは制御対象の機器と有線通信を行うように構成されたコントローラと、
前記コントローラから有線受信したデータを外部の中央監視装置に向けて無線送信し、前記中央監視装置から無線受信したデータを前記コントローラに有線送信するように構成された第1の無線通信装置とを備えることを特徴とする制御盤。
【請求項2】
請求項1記載の制御盤において、
制御盤内に前記コントローラが複数配置され、
複数の前記コントローラのいずれかから送信されたデータを有線受信して前記第1の無線通信装置に転送し、前記第1の無線通信装置が前記中央監視装置から無線受信したデータを複数の前記コントローラのうち少なくとも1つに転送するように構成されたスイッチングハブをさらに備え、
前記第1の無線通信装置は、前記スイッチングハブから転送されたデータを前記中央監視装置に無線送信し、前記中央監視装置から無線受信したデータを前記スイッチングハブに転送することを特徴とする制御盤。
【請求項3】
請求項1記載の制御盤において、
前記コントローラと前記第1の無線通信装置との間の通信を中継するように構成されたスイッチングハブをさらに備え、
前記スイッチングハブは、自盤内の前記コントローラから有線受信したデータ、または前記スイッチングハブと有線接続された他の制御盤から有線受信したデータを前記第1の無線通信装置に転送し、前記第1の無線通信装置が前記中央監視装置から無線受信したデータを自盤内の前記コントローラまたは前記他の制御盤に有線送信し、
前記第1の無線通信装置は、前記スイッチングハブから転送されたデータを前記中央監視装置に無線送信し、前記中央監視装置から無線受信したデータを前記スイッチングハブに送信することを特徴とする制御盤。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の制御盤と、
複数の前記制御盤を監視または制御するように構成された中央監視装置と、
前記制御盤の前記第1の無線通信装置から無線送信された前記制御盤のデータを受信して前記中央監視装置に送信し、前記中央監視装置から送信されたデータを受信して前記第1の無線通信装置に無線送信するように構成された第2の無線通信装置とを備えることを特徴とする制御監視システム。
【請求項5】
請求項4記載の制御監視システムにおいて、
前記制御盤の前記第1の無線通信装置と前記第2の無線通信装置との間の無線通信を中継するように構成された中継装置をさらに備えることを特徴とする制御監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種機器を監視または制御するためのコントローラを収容した制御盤、およびコントローラを介して各種機器を監視または制御する制御監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物や設備の制御監視システムの構築において、近年では材料費や人件費の上昇が続いていることが問題となっている。制御監視システムの構築に用いられる機器には、低コスト化に加え、省施工性も求められるようになっている。また施行面においては、センサの台数が多いために配線をなくすことが効果的と思われているが、実際は幹線と呼ばれる長く重い配線の施工が重負荷であり、排除することが好ましい。
【0003】
図7は従来の建物設備の概要を説明する図である。建物の各階には、複数の制御盤1が設置されている。これら複数の制御盤1は、横幹線で互いに接続されている。制御盤1の内部には複数のコントローラが配置され、各コントローラが有線で互いに接続されている。制御対象、計測対象の機器2は、制御盤1と有線で接続され、制御盤1からの受電や制御盤1との通信を行う。制御盤1のコントローラは、対象区画の機器2の制御、または機器2によって計測されたデータの収集を行う。各階のネットワーク配線を縦につなぐ幹線により、制御盤1を介して各機器2の情報が建物の中央制御室(不図示)に集約される。
【0004】
図8は従来の建物設備の縦幹線と横幹線の構成を説明する図である。上記のとおり、建物の1階からX階(Xは2以上の整数)の各階のフロア3-1~3-Xには、複数の制御盤1が設置されている。
各制御盤1の内部には、複数のコントローラ100と、スイッチングハブ101とが配置されている。制御盤1内の各コントローラ100は、スイッチングハブ101とケーブル102とを介して互いに接続されている。同一階の複数の制御盤1のスイッチングハブ101は、ケーブル(横幹線4)を介して互いに接続されている。
【0005】
中央制御室5には、中央監視装置500と、監視用PC(Personal Computer)501と、スイッチングハブ502とが配置されている。中央監視装置500と監視用PC501とは、ケーブル503を介してスイッチングハブ502と接続されている。
各階の制御盤1のスイッチングハブ101と中央制御室5のスイッチングハブ502とは、ケーブル(縦幹線6)を介して接続されている。
【0006】
図9は制御盤1の内部構成の例を示す図である。各制御盤1の内部には、コントローラ100と、スイッチングハブ101とに加えて、分電回路103が配置されている。制御盤1には、外部から電源ケーブル7を介して電力が供給され、各コントローラ100には、分電回路103と電源ケーブル104とを介して電力が供給される。
【0007】
図10は制御盤とセンサとの接続を説明する図である。1つのフロアには、設備の規模に応じて複数の制御盤1が設けられている。配線長の合理化や制御盤1の規模の適正化のため、1つの制御盤1がカバーする区画は限定的である。各制御盤1のコントローラ100は、制御盤1が管理する対象区画のセンサ8(
図7の機器2)によって計測されたデータの収集を行う。制御盤1とセンサ8との間には、サブコントローラ9が配置される。制御盤1は、機械室など専用区画に配置されることが多い。一方、サブコントローラ9は、センサ8の近くの天井裏などに配置されることが多い。
【0008】
以上のように、制御盤周辺には、幹線と呼ばれる太くて長く、重さの大きなケーブルが必要であり、配線の施工に非常に手間がかかるという問題があった。特に各フロアを上下につなぐ縦幹線の施工は、建物が高層になるほど手間と時間とコストがかかる。また、配線自体の価格も高価なので、建物が高層になるほど材料費も増加する。
【0009】
省施工化の1つの方法として、配線を不要にする無線技術の適用が考えられる。例えば特許文献1に開示された技術では、扉に設けられた電気錠装置から制御盤へ状態信号を無線で送信するようにしている。
このようにセンサと制御盤との間を無線化すれば、(I)レイアウトフリーになる、(II)配線施工が不要になる、(III)配線の材料も不要になる、というメリットがある。
【0010】
しかしながら、無線化によって新たな課題が生じ、普及の障害になってしまうことがある。具体的には、センサに無線通信機能を搭載するために追加コストが必要であり、センサの電源として用いる電池の交換作業が必要になる、という課題があった。この課題は、制御監視システム末端に多数のセンサがある場合に顕著になり、配線を無くすメリットよりもデメリットの方が大きくなることもしばしばある。
【0011】
同じフロアに設置される制御盤とセンサとの間の配線は、制御盤を中心に一定の範囲に限定されることが多く、長距離の配線はない。また、幹線に用いるケーブルよりも細くて軽い汎用ケーブルを用いた安価な配線施工になることがほとんどで、材料費削減の点でも無線化のメリットは小さい。また、情報通信の無線化と併せて、電力供給についても無線化しないと省施工にはならない。そのため、無線型のセンサには電池が搭載されることが多いが、電池の消耗が進むと交換が必要になる。制御監視システム末端に多数のセンサがある場合、センサの電池交換はメンテナンスの大きな負荷となり、システム導入後に問題視されるケースもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、配線施工に要する手間と時間とコストを削減することができる制御盤および制御監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の制御盤は、センサまたは制御対象の機器と有線通信を行うように構成されたコントローラと、前記コントローラから有線受信したデータを外部の中央監視装置に向けて無線送信し、前記中央監視装置から無線受信したデータを前記コントローラに有線送信するように構成された第1の無線通信装置とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の制御盤の1構成例は、制御盤内に前記コントローラが複数配置され、複数の前記コントローラのいずれかから送信されたデータを有線受信して前記第1の無線通信装置に転送し、前記第1の無線通信装置が前記中央監視装置から無線受信したデータを複数の前記コントローラのうち少なくとも1つに転送するように構成されたスイッチングハブをさらに備え、前記第1の無線通信装置は、前記スイッチングハブから転送されたデータを前記中央監視装置に無線送信し、前記中央監視装置から無線受信したデータを前記スイッチングハブに転送することを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の制御盤の1構成例は、前記コントローラと前記第1の無線通信装置との間の通信を中継するように構成されたスイッチングハブをさらに備え、前記スイッチングハブは、自盤内の前記コントローラから有線受信したデータ、または前記スイッチングハブと有線接続された他の制御盤から有線受信したデータを前記第1の無線通信装置に転送し、前記第1の無線通信装置が前記中央監視装置から無線受信したデータを自盤内の前記コントローラまたは前記他の制御盤に有線送信し、前記第1の無線通信装置は、前記スイッチングハブから転送されたデータを前記中央監視装置に無線送信し、前記中央監視装置から無線受信したデータを前記スイッチングハブに送信することを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の制御監視システムは、前記制御盤と、複数の前記制御盤を監視または制御するように構成された中央監視装置と、前記制御盤の前記第1の無線通信装置から無線送信された前記制御盤のデータを受信して前記中央監視装置に送信し、前記中央監視装置から送信されたデータを受信して前記第1の無線通信装置に無線送信するように構成された第2の無線通信装置とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の制御監視システムの1構成例は、前記制御盤の前記第1の無線通信装置と前記第2の無線通信装置との間の無線通信を中継するように構成された中継装置をさらに備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、制御監視システムを建物や工場に導入する際に全ての制御盤と中央監視装置との通信を無線化すれば、各階の制御盤を接続する縦幹線と同一階の制御盤どうしを接続する横幹線とを無くすことができ、太く重く長い配線が不要となるので、配線施工に要する手間と時間とコストを削減することができる。また、各階で代表となる制御盤と中央監視装置との通信を無線化して、同一階の他の制御盤を代表盤と有線接続すれば、縦幹線を無くすことができ、高価な配線を削減することができるので、材料費も削減することができる。また、本発明では、同一階の制御盤とセンサとの通信は有線とすることで、同一階内でセンサを無線化する場合のようなセンサの電池交換が不要となるので、センサの電池交換によってメンテナンスの負荷が増大することはない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施例に係る制御監視システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施例に係る制御盤の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施例に係る中央制御室の装置構成を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の第2の実施例に係る制御監視システムの構成を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の第3の実施例に係る制御監視システムの構成を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1~第3の実施例に係るコントローラと中央監視装置と監視用PCを実現するコンピュータの構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、従来の建物設備の概要を説明する図である。
【
図8】
図8は、従来の建物設備の縦幹線と横幹線の構成を説明する図である。
【
図9】
図9は、従来の制御盤の内部構成の例を示す図である。
【
図10】
図10は、従来の制御盤とセンサとの接続を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1の実施例]
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施例に係る制御監視システムの構成を示す図である。制御監視システムは、建物の1階からX階(Xは2以上の整数)の各階のフロア3-1~3-Xに配置された複数の制御盤1aと、中央制御室5aとから構成される。
【0020】
図2は本実施例の制御盤1aの構成を示す図、
図3は本実施例の中央制御室5aの装置構成を示す図である。
制御盤1aは、複数のコントローラ100と、スイッチングハブ101と、分電回路103と、無線通信装置105とを備えている。
【0021】
各コントローラ100は、スイッチングハブ101とケーブル102とを介して互いに接続されている。また、各コントローラ100は、スイッチングハブ101とケーブル102とを介して無線通信装置105と接続されている。
制御盤1aには、外部から電源ケーブル7を介して電力が供給される。各コントローラ100と無線通信装置105には、分電回路103と電源ケーブル104とを介して電力が供給される。
【0022】
中央制御室5aには、中央監視装置500と、監視用PC501と、スイッチングハブ502と、無線通信装置504とが配置されている。中央監視装置500と監視用PC501とは、ケーブル503を介してスイッチングハブ502と接続されている。また、中央監視装置500は、スイッチングハブ502とケーブル503とを介して無線通信装置504と接続されている。
【0023】
無線通信装置105と無線通信装置504との間で行われる無線通信の規格としては、例えばWi-Fi(登録商標)等がある。
【0024】
次に、本実施例の制御監視システムの動作について説明する。制御盤1aとその管理下のセンサ等の機器との接続形態は、
図10に示した従来の構成と同じなので、本実施例においても
図10の符号を用いて説明する。
【0025】
制御盤1aのコントローラ100は、対象区画のセンサ8によって計測されたデータを有線通信でサブコントローラ9を介して収集する。コントローラ100は、収集したデータの宛先を中央監視装置500として、データを自盤内のスイッチングハブ101に有線送信する。
【0026】
スイッチングハブ101は、自盤内のコントローラ100から受信したデータを自盤内の無線通信装置105に転送する。
無線通信装置105は、自盤内のスイッチングハブ101から受信したデータを中央監視装置500に向けて無線送信する。
【0027】
中央制御室5aの無線通信装置504は、制御盤1aの無線通信装置105から無線送信されたデータを受信する。無線通信装置504は、受信したデータをスイッチングハブ502に送出する。
スイッチングハブ502は、無線通信装置504から受信したデータを中央監視装置500に転送する。
【0028】
中央監視装置500は、スイッチングハブ502から受信したデータに対して所定の処理を行う。中央監視装置500が行う処理としては、例えばデータの蓄積、データに基づく機器の監視、データに基づく機器の制御、データ表示のための監視用PC501へのデータ転送などがある。
【0029】
各コントローラ100は、収集したデータを内部のメモリに一時的に蓄積し、定期的にデータを送信してもよいし、中央監視装置500から要求があったときにデータを送信するようにしてもよい。
【0030】
上記の例では、制御盤1aから中央監視装置500へデータを送信する例で説明したが、中央監視装置500から制御盤1aへデータを送信する場合もあることは言うまでもない。例えば、中央監視装置500からコントローラ100へ空調機器の設定温度のデータを送信する場合、中央監視装置500は、コントローラ100に送信すべきデータをスイッチングハブ502に送出する。
【0031】
スイッチングハブ502は、中央監視装置500から受信したデータを無線通信装置504に転送する。
無線通信装置504は、スイッチングハブ502から受信したデータを送信先のコントローラ100に宛てて無線送信する。
【0032】
制御盤1aの無線通信装置105は、無線通信装置504から送信されたデータを受信して自盤内のスイッチングハブ101に有線送信する。
スイッチングハブ101は、自盤内の無線通信装置105から受信したデータが自盤内のコントローラ宛てのデータである場合、受信したデータを送信先のコントローラ100に転送し、無線通信装置105から受信したデータが自盤内のコントローラ宛てのデータでない場合、受信したデータを破棄する。
【0033】
コントローラ100は、対象区画の空調機器の設定温度のデータをスイッチングハブ101から受信したデータに更新し、例えばセンサ8によって計測された対象区画の室内温度と設定温度とが一致するように、空調機器を制御する。
【0034】
本実施例では、空調機器を制御する場合について説明したが、制御対象の機器は空調機器でなくてもよい。また、中央監視装置500は、複数のコントローラ100宛にデータを同時に送信するマルチキャスト通信を行ってもよい。
【0035】
以上のように、本実施例では、全ての制御盤1aと中央監視装置500との間の通信を無線化する。本実施例では、各階の制御盤を接続する縦幹線と同一階の制御盤どうしを接続する横幹線とを無くすことができ、太く重く長い配線が不要となるので、配線施工に要する手間と時間とコストを削減できるという効果が得られる。この効果は、大規模設備ほど大きくなる。また、高価な配線が不要となるので、材料費も削減することができる。一方、制御盤1aには多数の機器が搭載されていることから、制御盤内に搭載されるコントローラ等の機器を電池駆動とすることが困難であり、外部から電源が有線供給されることが一般的である。したがって、無線通信で消費される電力が問題になることはない。従来のように制御盤とセンサとの間の通信を無線化すると、センサの電池交換がメンテナンスの大きな負荷となり、メンテナンスに要する手間と時間とコストが増大する。
【0036】
[第2の実施例]
図4は本発明の第2の実施例に係る制御監視システムの構成を示す図である。本実施例の制御監視システムは、建物の1階からX階の各階のフロア3-1~3-Xに配置された複数の制御盤1,1bと、中央制御室5aとから構成される。
【0037】
本実施例は、各階の制御盤を接続する縦幹線のみを無くし、同一階の制御盤を横幹線4によって接続したものである。
制御盤1の構成は
図9に示した構成と同じであり、中央制御室5aの装置構成は
図3に示した構成と同じである。制御盤1bは、同一階の複数の制御盤を代表して中央監視装置500と通信する代表盤である。制御盤1bの構成は、
図2に示した制御盤1aの構成と同様であるので、
図2の符号を用いて説明する。
【0038】
次に、本実施例の制御監視システムの動作について説明する。制御盤1,1bとその管理下のセンサ等の機器との接続形態は、
図10に示した従来の構成と同じなので、本実施例においても
図10の符号を用いて説明する。
【0039】
制御盤1bのコントローラ100は、対象区画のセンサ8によって計測されたデータを有線通信により収集し、収集したデータの宛先を中央監視装置500として、データを自盤内のスイッチングハブ101に有線送信する。
制御盤1bのスイッチングハブ101は、自盤内のコントローラ100から受信したデータを自盤内の無線通信装置105に転送する。
【0040】
一方、制御盤1のコントローラ100は、対象区画のセンサ8によって計測されたデータを有線通信により収集し、収集したデータの宛先を中央監視装置500として、データを自盤内のスイッチングハブ101に有線送信する。
制御盤1のスイッチングハブ101は、自盤内のコントローラ100から受信したデータを、同一階の代表盤である制御盤1bのスイッチングハブ101に有線送信する。
【0041】
制御盤1bのスイッチングハブ101は、制御盤1のスイッチングハブ101から受信したデータを自盤内の無線通信装置105に転送する。
無線通信装置105は、自盤内のスイッチングハブ101から受信したデータを中央監視装置500に宛てて無線送信する。
【0042】
中央制御室5aにおける動作は、第1の実施例で説明したとおりである。第1の実施例で説明したように、各コントローラ100は、定期的にデータを送信してもよいし、中央監視装置500から要求があったときにデータを送信するようにしてもよい。
【0043】
上記の例では、制御盤1,1bから中央監視装置500へデータを送信する例で説明したが、中央監視装置500から制御盤1,1bへデータを送信する場合もある。例えば、中央監視装置500からコントローラ100へ空調機器の設定温度のデータを送信する場合、中央監視装置500は、コントローラ100に送信すべきデータをスイッチングハブ502に送出する。
【0044】
スイッチングハブ502は、中央監視装置500から受信したデータを無線通信装置504に転送する。
無線通信装置504は、スイッチングハブ502から受信したデータを送信先のコントローラ100に宛てて無線送信する。
【0045】
制御盤1bの無線通信装置105は、無線通信装置504から送信されたデータを受信して自盤内のスイッチングハブ101に有線送信する。
制御盤1bのスイッチングハブ101は、自盤内の無線通信装置105から受信したデータが自盤内のコントローラ宛てのデータである場合、受信したデータを宛先自盤内のコントローラ100に転送し、無線通信装置105から受信したデータが自盤内のコントローラ宛てのデータでない場合、受信したデータを同一階の他の制御盤1のスイッチングハブ101に有線送信する。
【0046】
同一階の他の制御盤1のスイッチングハブ101は、同一階の代表制御盤である制御盤1bのスイッチングハブ101から有線受信したデータが自盤内のコントローラ宛てのデータである場合、受信したデータを宛先の自盤内のコントローラ100に転送し、制御盤1bのスイッチングハブ101から受信したデータが自盤内のコントローラ宛てのデータでない場合、受信したデータを破棄する。
【0047】
スイッチングハブ101からデータを受信したコントローラ100の動作は、第1の実施例で説明したとおりである。
【0048】
本実施例では、縦幹線を無くすことができ、太く重く長い配線が不要となるので、配線施工に要する手間と時間とコストを削減することができる。本実施例では、同一フロア内の接続は従来どおり横幹線を用いるが、縦幹線を無くすことで工事負担を低減できる。
【0049】
また、本実施例では、第1の実施例のように各制御盤1aが個別に中央監視装置500と通信する場合に比べて、無線通信のトラフィックを抑制できるため、干渉などの不具合が低減されることが期待できる。また、無線通信装置105は各階の代表盤の台数分だけ設ければよく、第1の実施例に比べて大幅に少なくできるためコストが削減できる。
【0050】
[第3の実施例]
図5は本発明の第3の実施例に係る制御監視システムの構成を示す図である。本実施例の制御監視システムは、建物の1階からX階の各階のフロア3-1~3-Xに配置された複数の制御盤1cと、中央制御室5cと、制御盤1cと中央制御室5cの中央監視装置との間の無線通信を中継する中継装置10とから構成される。
【0051】
第1、第2の実施例では、各制御盤1cと中央監視装置500とが直接無線通信しているが、本実施例では、全ての制御盤1cを公衆回線により無線化する。
公衆回線としては、例えばLTE(Long Term Evolution)、4G、5G等がある。
【0052】
制御盤1cの構成は、無線通信装置が使用する無線通信規格が異なる点以外は制御盤1aと同様であるので、
図2の符号を用いて説明する。同様に、中央制御室5cの装置構成は、無線通信装置が使用する無線通信規格が異なる点以外は中央制御室5aと同様であるので、
図3の符号を用いて説明する。
【0053】
次に、本実施例の制御監視システムの動作について説明する。制御盤1cとその管理下のセンサ等の機器との接続形態は、
図10に示した従来の構成と同じなので、本実施例においても
図10の符号を用いて説明する。
【0054】
制御盤1cのコントローラ100は、対象区画のセンサ8によって計測されたデータを有線通信で収集し、収集したデータの宛先を中央監視装置500として、データを自盤内のスイッチングハブ101に有線送信する。
【0055】
スイッチングハブ101は、自盤内のコントローラ100から受信したデータを自盤内の無線通信装置105に転送する。
無線通信装置105は、自盤内のスイッチングハブ101から転送されたデータを宛先を中央監視装置500としたうえで、中継装置10に向けて無線送信する。
【0056】
中継装置10は、制御盤1cから受信したデータを宛先である中央監視装置500に宛てて無線送信する。
【0057】
中央制御室5cの無線通信装置504は、中継装置10から無線送信されたデータを受信する。無線通信装置504は、受信したデータをスイッチングハブ502に送出する。
スイッチングハブ502は、無線通信装置504から受信したデータを中央監視装置500に転送する。中央監視装置500の動作は、第1の実施例で説明したとおりである。
【0058】
上記の例では、制御盤1cから中央監視装置500へデータを送信する例で説明したが、第1、第2の実施例と同様に中央監視装置500から制御盤1cへデータを送信する場合もある。その場合、中央監視装置500は、コントローラ100に送信すべきデータをスイッチングハブ502に送出する。
【0059】
スイッチングハブ502は、中央監視装置500から受信したデータを無線通信装置504に転送する。
無線通信装置504は、スイッチングハブ502から受信したデータを宛先を送信先のコントローラ100としたうえで中継装置10に向けて無線送信する。
【0060】
中継装置10は、中央監視装置500から受信したデータを宛先である送信先のコントローラに宛てて無線送信する。
【0061】
制御盤1cの無線通信装置105は、中継装置10から無線送信されたデータを受信して自盤内のスイッチングハブ101に送出する。
スイッチングハブ101は、自盤内の無線通信装置105から受信したデータが自盤内のコントローラ宛てのデータである場合、受信したデータを宛先のコントローラ100に転送し、無線通信装置105から受信したデータが自盤内のコントローラ宛てのデータでない場合、受信したデータを破棄する。
【0062】
スイッチングハブ101からデータを受信したコントローラ100の動作は、第1の実施例で説明したとおりである。
【0063】
本実施例では、中継装置10を1台としているが、制御盤1cと中央監視装置500との間に複数台の中継装置10があってもよいことは言うまでもない。
また、本実施例では、中継装置10を第1の実施例に適用した例で説明したが、第2の実施例に適用し、制御盤1bと中央監視装置500との間に中継装置10を配置してもよい。
【0064】
また、本実施例では、制御盤1cと中央監視装置500との間の通信に公衆回線を使用するとしているが、ローカルLTE、ローカル5Gなどのプライベートネットワークを利用してもよい。
【0065】
第1~第3の実施例では、空調機器を制御する場合について説明したが、制御対象の機器は空調機器に限らないことは言うまでもない。
また、第1~第3の実施例では、制御盤1a~1cと中央監視装置500との間の通信、スイッチングハブ101とコントローラ100との間の通信、スイッチングハブ502と中央監視装置500との間の通信、スイッチングハブ101,502と無線通信装置105,504との間の通信としてパケット通信を想定しているが、センサまたは制御対象の機器とコントローラとの間ではアナログ信号を送受してもよい。
また、第1~第3の実施例では、制御監視システムを建物に適用する場合について説明したが、工場等の各種施設に適用してもよいことは言うまでもない。
【0066】
第1~第3の実施例で説明したコントローラ100と中央監視装置500と監視用PC501の各々は、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置及びインターフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。このコンピュータの構成例を
図6に示す。
【0067】
コンピュータは、CPU200と、記憶装置201と、インターフェース装置(I/F)202とを備えている。コントローラ100の場合、I/F202には、センサ8や制御対象の機器、スイッチングハブ101等が有線接続される。中央監視装置500と監視用PC501の場合、I/F202にはスイッチングハブ503等が接続される。このようなコンピュータにおいて、本発明の制御監視方法を実現させるためのプログラムは記憶装置201に格納される。各々の装置のCPU200は、記憶装置201に格納されたプログラムに従って第1~第3の実施例で説明した処理を実行する。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、制御盤に適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1,1a~1c…制御盤、4…横幹線、5a,5c…中央制御室、10…中継装置、100…コントローラ、101,502…スイッチングハブ、103…分電回路、102,104,503…ケーブル、105,504…無線通信装置、500…中央監視装置、501…監視用PC。