(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004386
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】固定子、固定子製造方法および固定子製造装置
(51)【国際特許分類】
H02K 3/34 20060101AFI20250107BHJP
【FI】
H02K3/34 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104041
(22)【出願日】2023-06-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】510054049
【氏名又は名称】E-Tec株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143111
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】細野 聖二
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 洋二
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604AA05
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC15
5H604DB15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コイル挿入開口部が広幅とされていても、集中巻方式で挿入させたコイル束の突出端部を圧縮整形させる際に、コイル束をなすコイル線がコイル挿入開口部から脱落せず、絶縁不良が発生しない固定子、固定子製造方法および固定子製造装置を提供すること。
【解決手段】隣り合う磁極ティースに挟まれたスロットに、スロット絶縁紙を備え、集中巻方式でコイル束が挿入されている電動機をなす固定子において、更に、スロットに、隣り合うコイル束を絶縁させる相間絶縁紙と、コイル束をなすコイル線の脱落防止絶縁紙を備えた固定子であって、相間絶縁紙が、平板が屈曲されてなり、断面形状がT字形状をなし、両側に突出させた屈曲側方部を備え、脱落防止絶縁紙が、前記屈曲側方部と、磁極ティースの内径側周方向に突き出した鍔部とに挟まれる位置に備えられ、隣り合う前記鍔部の基端に亘り、スロットのコイル挿入開口部の全長を塞ぐようにした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣り合う磁極ティースに挟まれたスロットに、スロット絶縁紙を備え、集中巻方式でコイル束が挿入されている電動機をなす固定子において、
更に、前記スロットに、隣り合う前記コイル束を絶縁させる相間絶縁紙と、前記コイル束をなすコイル線の脱落防止絶縁紙を備えた固定子であって、
前記相間絶縁紙が、平板が屈曲されてなり、断面形状がT字形状をなし、両側に突出させた屈曲側方部を備え、
前記脱落防止絶縁紙が、前記屈曲側方部と、前記磁極ティースの内径側周方向に突き出した鍔部とに挟まれる位置に備えられ、隣り合う前記鍔部の基端から基端に亘り、前記スロットのコイル挿入開口部の全長を塞いで、コイル束をなすコイル線の脱落を防止させる、
ことを特徴とする固定子。
【請求項2】
前記脱落防止絶縁紙の少なくとも一方の側方に屈曲側部を備え、
前記屈曲側部が、前記スロットの内面に沿って軸方向に屈曲され、前記スロット絶縁紙と前記コイル束に挟まれている、
ことを特徴とする請求項1に記載の固定子。
【請求項3】
前記脱落防止絶縁紙の両側方に屈曲側部を備え、
前記屈曲側部が、前記スロットの内面に沿って軸方向に屈曲され、前記スロット絶縁紙と前記コイル束に挟まれている、
ことを特徴とする請求項1に記載の固定子。
【請求項4】
前記コイル挿入開口部の幅が、前記コイル束をなすコイル線の線径の少なくとも4倍以上とされ、
前記鍔部の幅が、前記線径の2倍以上とされている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の固定子。
【請求項5】
電動機をなす固定子の隣り合う磁極ティースに挟まれたスロットに、スロット絶縁紙を挿入させる第1工程と、隣り合うコイル束と、前記隣り合うコイル束の間の相間絶縁紙とを挿入させる第2工程とを有する集中巻方式の固定子製造方法において、
更に、各々の前記スロットに脱落防止絶縁紙を挿入させる第3工程を有する固定子製造方法であって、
第3工程が、隙間あけ工程と挿入工程とからなり、
前記隙間あけ工程が、前記固定子の開放端面から突出している前記コイル束の突出端部を外径方向に押し広げ、前記磁極ティースの内径側周方向に突き出した鍔部と、前記相間絶縁紙との間に、前記脱落防止絶縁紙を挿入させる隙間をあけ、
前記挿入工程が、前記隙間が伸びる方向に沿って、前記脱落防止絶縁紙を前記隙間に挿入させる、
ことを特徴とする固定子製造方法。
【請求項6】
電動機をなす固定子の隣り合う磁極ティースに挟まれたスロットに、スロット絶縁紙を挿入させる第1挿入手段と、隣り合うコイル束と、前記隣り合うコイル束の間の相間絶縁紙とを挿入させる第2挿入手段とを備える集中巻方式の固定子製造装置において、
更に、各々の前記スロットに脱落防止絶縁紙を挿入させる第3挿入手段を備える固定子製造装置であって、
第3挿入手段が、コイル束端部押し広げ手段と、脱落防止絶縁紙挿入手段とを備え、
前記コイル束端部押し広げ手段が、前記固定子の開放端面から突出している前記コイル束の突出端部を外径方向に押し広げ、前記磁極ティースの内径側周方向に突き出した鍔部と、前記相間絶縁紙との間に、前記脱落防止絶縁紙を挿入させる隙間をあけ、
前記脱落防止絶縁紙挿入手段が、前記隙間が伸びる方向に沿って、前記脱落防止絶縁紙を前記隙間に挿入させる、
ことを特徴とする固定子製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機をなす固定子、固定子製造方法および固定子製造装置に関する。より詳細には、コイル挿入開口部が広幅とされていても、集中巻方式で挿入させたコイル束の突出端部を圧縮整形させる際に、コイル束をなすコイル線がコイル挿入開口部から脱落せず、絶縁不良が発生しない固定子、固定子製造方法および固定子製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機の高効率化を目的として、占積率を高くさせるだけでなく、コイル束をなすコイル線を太径にし、コイル束の抵抗率が下げられている。太径のコイル線を並べて挿入しやすいように、磁極ティースの内径側端部から側方に突出する鍔部を短くし、コイル挿入開口部の幅を広くした固定子が採用されるようになっている。
【0003】
更に、電動機の高トルク化を目的として、スロット数を増やすこともある。固定子の大きさにかかわらず、スロット数を増加させると、スロットの周方向の幅が狭くなり、それに伴い磁極ティースの鍔部の幅を狭くした固定子が採用されるようになっている。
【0004】
特許文献1には、本出願人が出願した相間絶縁紙および固定子の技術が開示されている。この文献に記載の技術によれば、相間絶縁紙をなす電気絶縁性を有する薄板を、略I字形状に屈曲成形させ、相間絶縁紙の内径側に、コイル挿入開口部を塞ぐ屈曲側方部を備えさせている。
【0005】
従来の集中巻方式でコイル束が挿入された固定子は、コイル挿入開口部の幅が狭かったため、屈曲側方部と鍔部とを広い幅で接しさせることができた。そのため、コイル束の突出端部を軸方向両側から圧縮整形させる際に、コイル線が側方にはらんでも、屈曲側方部と鍔部との間にコイル線径よりも広い隙間があきにくく、コイル束をなすコイル線がコイル挿入開口部からスロットの外に脱落することはなかった。
【0006】
ところが、従来よりもコイル挿入開口部が広幅の固定子によれば、屈曲側方部と鍔部との掛かりの幅も短くなる。そのため、突出端部を圧縮整形させる際に、屈曲側方部がコイル束をなすコイル線に押されて鍔部から外れやすくなり、屈曲側方部と鍔部との間にコイル線径よりも広い隙間があいた場合には、コイル線がスロットの外に脱落するという新たな課題が発生した。
【0007】
特許文献2には、隣り合うコイル束の間に第1の平板を挿入すると共に、コイル挿入開口部を第2の平板で塞いだ固定子の技術が開示されている。この文献に記載の技術によれば、第1の平板が、略矩形形状をなすと共に上縁部と下縁部とに両側方に延びる突出部を備えている。上下の突出部を固定子の両方の開放端面に引っ掛けることにより、第1の平板がスロットから軸方向に抜けないようにしている。
【0008】
しかし、この文献に記載の技術では、突出部を含む第1の平板の径方向長さが、スロットの奥行きよりも長いため、コイル束を押し込むストリッパに接触することから、コイル束の挿入工程では第1の平板を挿入することができなかった。
【0009】
また、第1の平板はコイル挿入開口部を塞いでおらず、スロット幅よりも短い第2の平板だけでコイル挿入開口部を塞いでいる。そのため、特許文献1に記載の技術と同様に、鍔部が短い固定子の場合には、突出端部の圧縮整形の際に、第2の平板が鍔部から外れやすく、第2の平板が外れた場合には、コイル挿入開口部からコイル線が脱落し、絶縁不良が発生する可能性があるという課題があった。
【0010】
特許文献3には、固定子の開放端面にインシュレータを装着させ、インシュレータの内径側壁部に固定子の軸方向に延びるスリットを設け、絶縁紙の両縁を一対のスリットで支えてスロットに挿入する集中巻に直接巻線する固定子の技術が開示されている。しかし、この文献に記載の技術は、スリットを有するインシュレータに適用され、コイル線を直接巻線する巻線方式にしか適用できず、また、インシュレータがない場合には適用できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
特許文献1:国際公開2018-158871号公報
特許文献2:特開2005-133585号公報
特許文献3:特開2008-42959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、太径のコイル線を並べて挿入しやすいようにコイル挿入開口部を広くした集中巻の固定子であっても、圧縮整形の際にコイル束をなすコイル線が、コイル線挿入開口部から脱落せず、絶縁不良が発生しない固定子、固定子製造方法および固定子製造装置を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の発明は、隣り合う磁極ティースに挟まれたスロットに、スロット絶縁紙を備え、集中巻方式でコイル束が挿入されている電動機をなす固定子において、更に、前記スロットに、隣り合う前記コイル束を絶縁させる相間絶縁紙と、前記コイル束をなすコイル線の脱落防止絶縁紙を備えた固定子であって、前記相間絶縁紙が、平板が屈曲されてなり、断面形状がT字形状をなし、両側に突出させた屈曲側方部を備え、前記脱落防止絶縁紙が、前記屈曲側方部と、前記磁極ティースの内径側周方向に突き出した鍔部とに挟まれる位置に備えられ、隣り合う前記鍔部の基端から基端に亘り、前記スロットのコイル挿入開口部の全長を塞いで、コイル束をなすコイル線の脱落を防止させることを特徴としている。
【0014】
本発明は、スロット絶縁紙とコイル束とを挿入させた集中巻方式の固定子に、更に、断面形状がT字形状の相間絶縁紙と脱落防止絶縁紙を備えさせたことに特徴がある。スロット絶縁紙とは、コイル束と固定子とを絶縁させる絶縁紙である。相間絶縁紙とは、隣り合うコイル束同士を絶縁させる絶縁紙である。脱落防止絶縁紙とは、コイル束をなすコイル線がコイル挿入開口部からスロットの外に脱落することを防止させる絶縁紙である。各々の絶縁紙は、いずれも電気絶縁性を有する薄板を成形させてなる。
【0015】
具体的には、スロット絶縁紙は、薄板をスロットの大きさ・形状に整合させるように折り曲げ成形させている。相間絶縁紙は、所望の長さの薄板を中央部から二つ折りにすると共に、両縁部を折り曲げて屈曲側方部を成形させ、断面形状がT字形状をなすように折り曲げ成形させている。脱落防止絶縁紙は、平板矩形形状のままでもよく、両側部を折り曲げ、断面形状を略コ字形状をなすように成形させてもよい。
【0016】
相間絶縁紙は、断面形状が略T字形状をなし、隣り合うコイル束が接することが無いように確実に絶縁している。更に、脱落防止絶縁紙が、相間絶縁紙の屈曲側方部と磁極ティースの鍔部とに挟まれて、移動しない状態とされ、コイル挿入開口部を塞いでいる。コイル束の突出端部を圧縮整形させる際に、コイル線が側方にはらんでも、脱落防止絶縁紙が隣り合う鍔部の基端から基端に至っているため、コイル挿入開口部に隙間があくことがない。
【0017】
第1の発明によれば、太径のコイル線を並べて挿入しやすいように、コイル挿入開口部を広く、且つ、鍔部の幅を狭くさせた固定子であっても、コイル線をスロット内から脱落させることなく、且つ、コイル束同士を確実に絶縁させることができる。
【0018】
本発明の第2の発明は、第1の発明の固定子であって、前記脱落防止絶縁紙の少なくとも一方の側方に屈曲側部を備え、前記屈曲側部が、前記スロットの内面に沿って軸方向に屈曲され、前記スロット絶縁紙と前記コイル束に挟まれていることを特徴としている。
【0019】
第2の発明によれば、脱落防止絶縁紙の平坦部が鍔部の内面と相間絶縁紙の屈曲側方部とに挟まれているだけでなく、少なくとも一方の屈曲側部がスロット絶縁紙とコイル束とにも挟まれている。これにより、鍔部の幅が狭く、且つ、占積率の高い固定子であっても、突出端部の圧縮整形の際に、脱落防止絶縁紙がずれにくく、脱落防止絶縁紙と鍔部とに隙間があくことがなく、コイル線がコイル挿入開口部から脱落することを防止させることができる。
【0020】
本発明の第3の発明は、第1の発明の固定子であって、前記脱落防止絶縁紙の両側方に屈曲側部を備え、前記屈曲側部が、前記スロットの内面に沿って軸方向に屈曲され、前記スロット絶縁紙と前記コイル束に挟まれていることを特徴としている。
【0021】
第3の発明によれば、屈曲側部が脱落防止絶縁紙の両側方に備えられるため、脱落防止絶縁紙がコイル挿入開口部に沿って移動することを、より確実に防止できる。これにより、突出端部の圧縮整形の際に、脱落防止絶縁紙と鍔部とに隙間があくことがなく、コイル束をなすコイル線がコイル挿入開口部から脱落することを、確実に防止させることができる。
【0022】
本発明の第4の発明は、第1から第3の発明の固定子であって、前記コイル挿入開口部の幅が、前記コイル束をなすコイル線の線径の少なくとも4倍以上とされ、前記鍔部の幅が、前記線径の2倍以上とされていることを特徴としている。
【0023】
第4の発明によれば、隣り合うコイル束のコイル線を、夫々2本以上同時に挿入させられる幅のコイル挿入開口幅があるため、コイル束を挿入しやすい。また、鍔部の幅がコイル線を2本並べた幅より広くされ、脱落防止絶縁紙が複数のコイル線に押圧されるため、脱落防止絶縁紙の変形が抑制され、コイル挿入開口部から脱落防止絶縁紙がはみ出ることがない。これにより、太径のコイル線を並べて挿入しやすく、且つ、脱落防止絶縁紙と鍔部とに隙間があくことがなく、コイル束の占積率が高くても圧縮整形の際に、コイル束をなすコイル線を脱落させない。
【0024】
本発明の第5の発明は、電動機をなす固定子の隣り合う磁極ティースに挟まれたスロットに、スロット絶縁紙を挿入させる第1工程と、隣り合うコイル束と、前記隣り合うコイル束の間の相間絶縁紙とを挿入させる第2工程とを有する集中巻方式の固定子製造方法において、更に、各々の前記スロットに脱落防止絶縁紙を挿入させる第3工程を有する固定子製造方法であって、第3工程が、隙間あけ工程と挿入工程とからなり、前記隙間あけ工程が、前記固定子の開放端面から突出している前記コイル束の突出端部を外径方向に押し広げ、前記磁極ティースの内径側周方向に突き出した鍔部と、前記相間絶縁紙との間に、前記脱落防止絶縁紙を挿入させる隙間をあけ、前記挿入工程が、前記隙間が伸びる方向に沿って、前記脱落防止絶縁紙を前記隙間に挿入させることを特徴としている。
【0025】
第5の発明によれば、隙間あけ工程において、脱落防止絶縁紙の挿入に先立って、コイル束の突出端部を内径側から押し出す、又は、外径側から引っ張ることにより突出端部を外径方向に押し広げて、鍔部と相間絶縁紙との間に隙間をあけている。隙間あけ工程では、全てのスロットのコイル束の突出端部を同時に押し広げてもよく、スロットから突出しているコイル束の突出端部を、スロット毎に押し広げてもよい。
【0026】
これにより、第3工程がなす挿入工程において、脱落防止絶縁紙を座屈させることなく、円滑に挿入することができ、本発明に係る固定子を製造させやすい。なお、第1工程は周知のスロット絶縁紙挿入機によればよい。第2工程は、特許文献1に記載の技術により実施すると好適であるが、これに限定されない。
【0027】
本発明の第6の発明は、電動機をなす固定子の隣り合う磁極ティースに挟まれたスロットに、スロット絶縁紙を挿入させる第1挿入手段と、隣り合うコイル束と、前記隣り合うコイル束の間の相間絶縁紙とを挿入させる第2挿入手段とを備える集中巻方式の固定子製造装置において、更に、各々の前記スロットに脱落防止絶縁紙を挿入させる第3挿入手段を備える固定子製造装置であって、第3挿入手段が、コイル束端部押し広げ手段と、脱落防止絶縁紙挿入手段とを備え、前記コイル束端部押し広げ手段が、前記固定子の開放端面から突出している前記コイル束の突出端部を外径方向に押し広げ、前記磁極ティースの内径側周方向に突き出した鍔部と、前記相間絶縁紙との間に、前記脱落防止絶縁紙を挿入させる隙間をあけ、前記脱落防止絶縁紙挿入手段が、前記隙間が伸びる方向に沿って、前記脱落防止絶縁紙を前記隙間に挿入させることを特徴としている。
【0028】
第6の発明によれば、第3挿入手段をなすコイル束端部押し広げ手段が、脱落防止絶縁紙の挿入に先立って、コイル束の突出端部を外径方向に押し広げて、鍔部と屈曲側方部との間に隙間をあけている。コイル束端部押し広げ手段は、押圧片により突出端部を内径側から外径方向に突き押してもよく、突出端部に鉤爪を引っ掛けて外径方向に引っ張ってもよく限定されない。
【0029】
第3挿入手段をなす脱落防止絶縁紙挿入手段は、脱落防止絶縁紙を固定子の開放端面側から隙間に沿ってスロットに挿入させればよく、脱落防止絶縁紙の挿入抵抗が小さく、脱落防止絶縁紙の座屈を防止させることができる。これにより、コイル束挿入後に脱落防止絶縁紙をスロットに押込む際に、脱落防止絶縁紙を座屈させることなく、円滑に挿入することができ、本発明に係る固定子を製造させやすい。
【発明の効果】
【0030】
・本発明の第1の発明によれば、太径のコイル線を並べて挿入しやすいように、コイル挿入開口部を広く、且つ、鍔部の幅を狭くさせた固定子であっても、コイル線をスロット内から脱落させることなく、且つ、コイル束同士を確実に絶縁させることができる。
・本発明の第2の発明によれば、鍔部の幅が狭く、且つ、占積率の高い固定子であっても、突出端部の圧縮整形の際に、脱落防止絶縁紙がずれにくく、脱落防止絶縁紙と鍔部とに隙間があくことがなく、コイル線がコイル挿入開口部から脱落することを防止させることができる。
【0031】
・本発明の第3の発明によれば、突出端部の圧縮整形の際に、脱落防止絶縁紙と鍔部とに隙間があくことがなく、コイル線がコイル挿入開口部から脱落することを、確実に防止させることができる。
・本発明の第4の発明によれば、太径のコイル線を並べて挿入しやすく、且つ、脱落防止絶縁紙と鍔部とに隙間があくことがなく、コイル束の占積率が高くても圧縮整形の際に、コイル束をなすコイル線を脱落させない。
・本発明の第5と第6の発明によれば、脱落防止絶縁紙を座屈させることなく、円滑に挿入することができ、本発明に係る固定子を製造させやすい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図3】相間絶縁紙と脱落防止絶縁紙との説明図(実施例1)。
【
図4】固定子の見上げ図による説明図(実施例1)。
【発明を実施するための形態】
【0033】
隣り合う磁極ティースに挟まれたスロットに、スロット絶縁紙を備え、集中巻方式でコイル束が挿入されている電動機をなす固定子に、更に、相間絶縁紙の屈曲側方部の内径側と磁極ティースの鍔部との間に、脱落防止絶縁紙を備えさせた。脱落防止絶縁紙により、コイル挿入開口部を挟んだ隣り合う磁極ティースの鍔部の基部から基部までが塞がれているため、鍔部の幅が狭くされていても、コイル束をなすコイル線がスロットから脱落されない。
【実施例0034】
実施例1では、脱落防止絶縁紙を備えさせた固定子1を、
図1から
図5を参照して説明する。
図1は、固定子に脱落防止絶縁紙を挿入している状態の斜視図を示している。本実施例では、固定子の両側の開放端面のうち、相間絶縁紙、コイル束、脱落防止絶縁紙を挿入し始める側を、固定子の底面側としている。
図2は、固定子の平面図を示している。なお、
図1,2では理解を容易にするため、一部の図示を省略している。
【0035】
図3(A)図は、相間絶縁紙を固定子の内径側から看た斜視図を示し、
図3(B)図は脱落防止絶縁紙を固定子の内径側から看た斜視図を示している。
図3(C)図は、相間絶縁紙と脱落防止絶縁紙を重ねた状態の斜視図を示している。
図3(D)図は、スロットの水平方向断面図を示している。
【0036】
図4(A)図は、隙間あけ工程の状態の見上げ図による説明図を示し、
図4(B)図は挿入工程の状態の見上げ図による説明図を示している。
図5は、
図4(A)図のA-A位置における断面図による説明図を示している。
【0037】
電動機をなす固定子1(
図1,
図2のA部分参照)は、電磁鋼板を積層させてなる固定子鉄心10と、固定子のスロットに挿入させたスロット絶縁紙20と、相間絶縁紙30と、脱落防止絶縁紙40と、集中巻方式でコイル束が挿入されたコイル束50(
図4参照)とからなる。
【0038】
スロット絶縁紙20は、固定子のスロット内周に沿って備えられ、コイル束と固定子とを絶縁させている。相間絶縁紙30は、隣り合うコイル束の間に挿入されてコイル束同士を絶縁させている。脱落防止絶縁紙40は、相間絶縁紙よりも固定子の内径側の位置で、コイル挿入開口部を塞いで、コイル束をなすコイル線がコイル挿入開口部からスロットの外に脱落することを防止している。
【0039】
固定子鉄心10は、外径側の円環状部分(以下、ヨーク部11という)と、環状に配列された磁極ティース12からなる(
図1,
図2のA部分参照)。各々の磁極ティース12は、ヨーク部11から固定子鉄心の軸心に向けて突出させた巻線部13と、巻線部の内径側端部から周方向両側に伸びる鍔部14とを備えている。
【0040】
隣り合う磁極ティース12に囲まれた空間が、コイル束を収容するスロット15をなし、隣り合う鍔部の間に形成されているスリットが、コイル束を挿入させるコイル挿入開口部16をなしている。固定子の大きさ、スロット数は限定されないが、本実施例では、外径が約60mm、スロット数が12個、コイル挿入開口部の幅が約4mmの固定子を例示している。
【0041】
コイル挿入開口部16の幅(α)は、中央位置から両側にコイル線51を2本ずつ並べて挿入できるように、コイル線径(R)の4倍よりも広い幅とされている(
図2のB部分参照)。鍔部14の幅(β)は、脱落防止絶縁紙が鍔部から外れにくいように、コイル線径の2倍よりも広い幅とされている。
【0042】
スロット絶縁紙20、相間絶縁紙30、脱落防止絶縁紙40は、いずれも電気絶縁性を有する薄板からなる(
図1から
図3参照)。薄板の板厚は限定されないが、スロット絶縁紙と相間絶縁紙とは折り曲げ成形しやすい板厚、例えば約0.2mm厚とし、脱落防止絶縁紙は座屈しにくいように、相間絶縁紙等よりも厚い板厚、例えば約0.25mm厚とすると好適である。
【0043】
スロット絶縁紙20は、スロット内周に接するように、平面視で略U字形状をなすように屈曲され、固定子の開放端部から外に襟部21を有している(
図1参照)。スロット15内に挿入されたスロット絶縁紙20は、鍔部14の内面を除いて、ヨーク部11の内面と、両側の磁極ティースの巻線部13とを連続して覆って、コイル束50と固定子鉄心10とを絶縁させている(
図3(D)図参照)。
【0044】
またスロット絶縁紙20は、上端部と下端部に備えられた襟部21が、固定子鉄心10の開放端面に引っ掛かり、スロットから軸方向への脱落が防止されている(
図1、
図2参照)。襟部21は、薄板の上縁部と下縁部とに、予め折り癖をつけ、折り癖よりも外側部分を折り返して成形させている。
【0045】
T字形状をなす相間絶縁紙30は、薄板を中央から二つ折りにすると共に、両縁部を外方に折り曲げ成形させて、コイル挿入開口部を塞ぐ屈曲側方部31を備えさせている(
図3(A)図参照)。ここでT字形状とは、屈曲側方部31と二つ折り中央部32とがなす平面形状が略T字形状であることをいう(
図3(D)図参照)。
【0046】
相間絶縁紙の二つ折り中央部32は、隣り合うコイル束50,50に挟まれ、コイル挿入開口部16の中央位置からスロット15を両側に区画させる境界をなしている(
図3(D)図参照)。また、二つ折り中央部32の軸方向長さは、固定子の両方の開放端面から突き出す長さとされ(
図1参照)、コイル束の突出端部も両側に区画させて絶縁させている。
【0047】
相間絶縁紙30の屈曲側方部31は、コイル挿入開口部の中央位置から両側に延び、脱落防止絶縁紙40とコイル束50との間に挟まれている(
図3(D)図参照)。屈曲側方部31の軸方向長さは、固定子の開放端面から突き出す長さであればよい。なお、脱落防止絶縁紙40を押し込むプッシャー軸体100(
図1参照)が屈曲側方部31に接しないように、脱落防止絶縁紙40よりも屈曲側方部31の軸方向長さを僅かに短くしておくとよい(
図3(C)図参照)。
【0048】
なお、相間絶縁紙30の外径側には、屈曲側方部31よりも狭い幅で、両側に突出させた外径側折曲げ部33を備えさせて、略I字形状としてもよい(
図3(A)図参照)。外径側折曲げ部33は、二つ折り中央部32の外径側端部を、側方に突出させるように重ねて折り曲げて成形させればよい。
【0049】
外径側折曲げ部33が、スロットの外径側において、スロット絶縁紙20とコイル束50とに挟まれているため(
図3(D)図参照)、突出端部の圧縮整形の際に、二つ折り中央部32が傾きにくく、スロットの外径側においてコイル線を隣の区画に漏出させることもない。
【0050】
さて、脱落防止絶縁紙40は、中央に平坦部41を備えると共に、両側方にスロットの内面に沿うように軸方向に屈曲させた屈曲側部42,42を備えている(
図3(B)図,
図3(D)図参照)。平坦部41の幅は、スロット絶縁紙20を挿入させたスロット15の幅に整合させ、脱落防止絶縁紙が固定子の周方向にずれないようにしている。
【0051】
脱落防止絶縁紙の平坦部41は、相間絶縁紙の屈曲側方部31の内径側に重なった状態で、コイル束50と鍔部14とに挟まり、コイル挿入開口部16を全長に亘って塞いでいる(
図3(D)図参照)。更に、屈曲側部42が、磁極ティースの巻線部13に沿ってスロット絶縁紙20とコイル束50とに挟まれ、コイル線が脱落防止絶縁紙とスロット絶縁紙との間に入り込まないようにさせている。
【0052】
これにより、突出端部を固定子の軸方向に沿って圧縮整形させた際に、コイル挿入開口部16に面して並んでいるコイル線が屈曲側方部31と脱落防止絶縁紙40とを押圧させても(
図3(D)図の白抜き矢印参照)、鍔部14に沿ってコイル線が漏出する隙間があかないため、コイル束50をなすコイル線が脱落することがない。
【0053】
屈曲側部42が、スロットの内径側の角隅部17の位置で固定子の外径側に向けて屈曲されて、屈曲側部42はスロット絶縁紙20と重なっている。そのため、スロット絶縁紙20が鍔部14の内面に備えられていなくても、固定子鉄心10とコイル束50とを確実に絶縁させることができる(
図3(D)図参照)。
【0054】
次に、固定子製造方法と固定子製造装置とを、
図4に示す見上げ図と、
図5に示す断面図とを参照して説明する。
図4(A)図は隙間あけ工程の説明図を示し、
図4(B)図は挿入工程の説明図を示している。
図5は、
図4(A)図のA-A位置の断面図を示している。
【0055】
固定子製造方法は、3種類の絶縁紙をスロットに挿入させる第1工程から第3工程からなる。固定子製造装置は、第1工程から第3工程に対応する第1挿入手段から第3挿入手段を備えている。第1工程は、スロット絶縁紙をスロットに挿入させる工程であり、第2工程はコイル束と相間絶縁紙とをスロットに挿入させる工程である。
【0056】
第1挿入手段は、周知のスロット絶縁紙挿入機であればよく、第1工程については図示を省略して簡単に説明する。まず、電気絶縁性を有する薄板を所望の形状に切り出し、上述したスロット絶縁紙をなすように折り曲げ成形させる。そして、第1挿入手段により、スロット絶縁紙の襟部を内径側に窄めるようにして、固定子の開放端面からスロットに押込む。
【0057】
第2挿入手段は、本出願人が開示した特許文献1に記載のコイル挿入機であればよいため、第2工程についても図示を省略して簡単に説明する。コイル束と相間絶縁紙とを挿入させる第2挿入手段は、平面視で、磁極ティースに接するように固定子の内径側に設けられたブレード軸体と、コイル束をコイル挿入開口部に押し込むコイル押込体(以下、ストリッパという)と、相間絶縁紙ガイド挿入軸体とを有している。
【0058】
各々のブレード軸体は、コイル挿入開口部の幅に整合し、コイル挿入開口部に連なるブレード隙間をなすように、環状に配列されている。ストリッパはブレード軸体の内面とブレード隙間とに沿って摺動する外歯を備えている。相間絶縁紙ガイド軸体は、ブレード軸体よりも外径側で、スロットに整合するように環状に配列されている。
【0059】
ブレード隙間には外周方向に垂らすようにコイル束が引っ掛けられ、ブレード軸体の先方には固定子が保持される。ストリッパがブレード軸体に接して上昇することに伴い、ブレード軸体に引っ掛けられたコイル束の一方が、徐々に、外歯によりコイル挿入開口部に押込まれ、コイル束がスロット内に挿入される。
【0060】
引っ掛けられていたコイル束の他方は、隣のコイル挿入開口部から隣のスロット内に挿入される。ストリッパが固定子の上方の開放端面から抜き出た状態となると、ブレード軸体に引っ掛けられていたコイル束が、ブレード軸体に隣接していた磁極ティースの周囲に巻線された状態となる。
【0061】
相間絶縁紙は、コイル束の挿入に追従して固定子の底面側からスロットに挿入され、隣り合うコイル束をスロットの両側に区画させると共に、相間絶縁紙の屈曲側方部がコイル束と鍔部との間に挟まってコイル挿入開口部を塞ぎ、全てのスロットにコイル束と相間絶縁紙とが挿入されると、第2工程が終了する。
【0062】
第2工程において、全てのスロットに同時にコイル束を挿入させ、それに追随させて相間絶縁紙を挿入させるとよいが、必ずしも限定されず、ブレード軸体の固定部を間欠回転させて、順にコイル束と相間絶縁紙を挿入させてもよいことは勿論のことである。
【0063】
また、コイル束をなすコイル線は、夫々一周分の長さが同一であり、スロットの断面形状が外径側の方が内径側よりも広いため、内径側の位置に巻かれたコイル線の方が、外径側の位置に巻かれたコイル線よりも突出端部の突出高さが高くなっている。従来は、電動機の筐体に固定子が納まり良いように、第2工程の終了後に、突出端部を押圧して突出高さを整えていたが、本発明では第3工程の終了後に突出端部を圧縮整形させている。
【0064】
さて、本発明の特徴的な構成である第3工程は、第3挿入手段をなすコイル束端部押し広げ手段により突出端部52を外径方向に押し広げる隙間あけ工程と、第3挿入手段をなす脱落防止絶縁紙挿入手段により脱落防止絶縁紙40を隙間18(
図5黒塗り部)に沿って押し込む挿入工程とからなる。
【0065】
第3工程は、第2挿入手段をなすコイル挿入装置から固定子を取り外し、第3挿入手段をなす脱落防止絶縁紙挿入装置に移送して実施してもよく、第2工程に引き続き同一の装置で実施してもよい。なお、第3工程は、全てのスロットで同時に実施してもよく、スロット毎に順番に実施してもよい。
【0066】
第3工程では脱落防止絶縁紙40を固定子の底面側からスロットに挿入させるようにしている(
図5参照)。スロットに挿入されたコイル束の突出端部52(
図5参照)を押し広げるコイル束端部押し広げ手段の態様は限定されず、例えば、径方向に進退可能な進退軸200と、突出端部に引っ掛ける鉤爪201とすればよい(
図4参照)。突出端部52と接する鉤爪201の面を、ゆるやかな湾曲面とすれば、コイル束の絶縁被覆を損傷させにくく好適である。
【0067】
コイル束端部押し広げ手段は、固定子の内径側から押圧片を進出させて突出端部52を押し広げる態様としてもよい。なお、突出端部をスロット毎に順番に押し広げる場合には、固定子を周方向に間欠回転させて、鉤爪201を所望のスロット位置に整合させればよい。
【0068】
第3工程をなす隙間あけ工程では、進退軸200と鉤爪201とにより、一つの磁極ティースの両側のスロットから突出している突出端部52,52を外径方向に押し広げ、磁極ティースの鍔部14の内面と、相間絶縁紙の屈曲側方部31との間に、脱落防止絶縁紙を挿入させる隙間18をあけている(
図4(A)図、
図5の黒塗り部)。ここでは、磁極ティース12に沿って、奥行き方向に屈曲側部よりも長い隙間19ができるように突出端部52を押し広げている。
【0069】
また、進退軸200と鉤爪201は、脱落防止絶縁紙挿入手段をなすプッシャー軸体100,ガイド軸体101(
図4(B)図参照)と接触しないように、突出端部52のうち、磁極ティース12を跨いでいる部分も併せて押し広げている。
【0070】
第3挿入手段をなす脱落防止絶縁紙挿入手段は、固定子1の底面側に配置されたプッシャー軸体100と、左右に分割された一対のガイド軸体101,101とからなる(
図1、
図4(B)図参照)。夫々のガイド軸体101は、固定子の軸方向に沿って延び、内面側に案内溝102を有する略コ字形状の軸体とされている。
【0071】
各々の案内溝102,102は、脱落防止絶縁紙40が傾かないように、脱落防止絶縁紙40の両側の屈曲側部42を支え、スロット15まで案内させる。プッシャー軸体100は、一対のガイド軸体101の間の摺動隙間103に沿って、脱落防止絶縁紙40の下方を支えて上昇し、脱落防止絶縁紙40を隙間18(
図4(A)図参照)に向けて送出させる。
【0072】
一本ずつ脱落防止絶縁紙を挿入させる場合には、固定子1をインデックス回転させて、ガイド軸体101とスロット15との平面位置を整合させ、ガイド軸体101の内側の案内溝102を隙間18の下方の位置に案内させればよい(
図4(A)図,
図5参照)。この状態からプッシャー軸体100を上昇させ、脱落防止絶縁紙40を隙間18に沿ってスロット15に挿入させる(
図5太線矢印参照)。
【0073】
このとき、コイル束端部押し広げ手段をなす鉤爪201(
図4(A)図参照)は、下方の突出端部52しか押し広げていないため、隙間18は固定子1の上方に向けて徐々に狭くなっている(
図5参照)。そのため、脱落防止絶縁紙40が押し込まれるにつれて相間絶縁紙30と鍔部14とに挟まれ、プッシャー軸体100を後退させても、脱落防止絶縁紙40がスロットに納まったままとなる。
【0074】
脱落防止絶縁紙40が、固定子の両側の開放端面から突出する位置にまで押し込まれると、挿入工程が終了し、コイル挿入開口部16が全長に亘って脱落防止手段により塞がれる。挿入工程が終了してから突出端部52の押し広げを解除させると、突出端部52はコイル束の復元性により徐々に内径側に復帰して隙間18が狭くなり、脱落防止絶縁紙40自体がスロットから引き抜けないようになる。
屈曲側部により脱落防止絶縁紙43がコイル線51により押圧されているため、脱落防止絶縁紙43が水平方向にずれることがないため、相間絶縁紙のT字形状をなす相間絶縁紙の屈曲側方部31と鍔部14との間に隙間が空かず、コイル線の脱落が防止される。