(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025044110
(43)【公開日】2025-04-01
(54)【発明の名称】プリント回路基板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/18 20060101AFI20250325BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20250325BHJP
H05K 3/10 20060101ALI20250325BHJP
【FI】
H05K3/18 A
H05K1/02 C
H05K3/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024031320
(22)【出願日】2024-03-01
(31)【優先権主張番号】10-2023-0124490
(32)【優先日】2023-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】鄭 治鉉
(72)【発明者】
【氏名】李 珍旭
(72)【発明者】
【氏名】郭 鉉想
(72)【発明者】
【氏名】金 碩煥
【テーマコード(参考)】
5E338
5E343
【Fターム(参考)】
5E338AA02
5E338AA18
5E338BB14
5E338BB25
5E338EE31
5E343AA02
5E343AA07
5E343AA26
5E343BB24
5E343BB52
5E343DD43
5E343ER21
5E343GG11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ガラス基板に形成された貫通孔のように、アスペクト比の高い貫通孔にフィルめっきを行う場合でも、ボイドやシームの形成を抑制して基板の質を向上させることができ、また、ガラス基板に形成された貫通孔のように、アスペクト比の高い貫通孔に金属シード層を形成することを省略してコストを最小化できるプリント回路基板を提供する。
【解決手段】プリント回路基板100Aは、絶縁層110と、絶縁層の上面及び下面の間を貫通する貫通孔H1と、貫通孔内に配置される金属ワイヤ150と、貫通孔を充填し、金属ワイヤを覆う金属ビア140と、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層と、
前記絶縁層の上面及び下面の間を貫通する貫通孔と、
前記貫通孔内に配置される金属ワイヤと、
前記貫通孔を充填し、前記金属ワイヤを覆う金属ビアと、を含む、プリント回路基板。
【請求項2】
前記金属ワイヤは、接合部及び前記接合部と連結されるワイヤ部を含む、請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項3】
前記接合部の下面は、前記絶縁層の下面及び前記金属ビアの下面と実質的に共面をなす、請求項2に記載のプリント回路基板。
【請求項4】
前記ワイヤ部の端部は、厚さ方向を基準にして前記絶縁層の中心と前記絶縁層の上面との間のレベルに配置される、請求項2に記載のプリント回路基板。
【請求項5】
前記金属ビアは第1金属層を含み、且つシード金属層を含まない、請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項6】
前記絶縁層の上面及び下面上にそれぞれ配置され、前記金属ビアを介して互いに連結される第1金属配線及び第2金属配線をさらに含む、請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項7】
前記第1金属配線は、前記絶縁層と前記金属ビアのそれぞれの上面を覆う第1シード金属層、及び前記第1シード金属層の上面を覆い、前記第1シード金属層より厚い第2金属層を含み、
前記第2金属配線は、前記絶縁層と前記金属ビアと前記金属ワイヤのそれぞれの下面を覆う第2シード金属層、及び前記第2シード金属層の下面を覆い、前記第2シード金属層より厚い第3金属層を含む、請求項6に記載のプリント回路基板。
【請求項8】
前記絶縁層はガラス基板を含み、
前記金属ワイヤは、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、及びパラジウム(Pd)のうち少なくとも一つを含む合金を含み、
前記金属ビアは銅(Cu)を含む、請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項9】
前記貫通孔は、断面上において上端部の幅が下端部の幅より広くなるようにテーパ状を有する、請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項10】
前記貫通孔は、断面上において下端部の幅が上端部の幅より広くなるようにテーパ状を有する、請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項11】
前記貫通孔は、断面上において上端部及び下端部のそれぞれでの幅が、前記上端部及び下端部の間のいずれの内部での幅よりも広くなるように、両側にテーパ状を有する、請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項12】
貫通孔を有する絶縁層と、
前記貫通孔内に配置される金属ワイヤと、
前記貫通孔を充填し、前記金属ワイヤを覆う第1金属層と、
前記絶縁層及び前記第1金属層のそれぞれの上面上に配置された第1シード金属層と、
前記絶縁層及び前記第1金属層のそれぞれの下面上に配置された第2シード金属層と、
前記第1シード金属層の上面上に配置された第2金属層と、
前記第2シード金属層の下面上に配置された第3金属層と、を含む、プリント回路基板。
【請求項13】
前記金属ワイヤは、接合部及び前記接合部と連結されるワイヤ部を含み、
前記ワイヤ部の上面は前記第1シード金属層と離隔し、
前記接合部の下面は前記第2シード金属層と接触する、請求項12に記載のプリント回路基板。
【請求項14】
前記第1金属層の上面は、前記絶縁層の上面と実質的に共面をなし、
前記第1金属層の下面は、前記絶縁層の下面と実質的に共面をなす、請求項12に記載のプリント回路基板。
【請求項15】
前記第1金属層は単一の層であり、
前記第1金属層は前記貫通孔の壁面と接触する、請求項14に記載のプリント回路基板。
【請求項16】
前記絶縁層はガラス基板を含み、
前記金属ワイヤはパラジウム(Pd)-銅(Cu)合金を含み、
前記第1シード金属層及び前記第2シード金属層はそれぞれ銅(Cu)を含み、
前記第1金属層~前記第3金属層はそれぞれ銅(Cu)を含む、請求項12に記載のプリント回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリント回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
パッケージ技術は絶えず進化しており、特に伝統的な基板作製方式は有機材料を脱却してシリコンやガラスを使用しようとする試みが続いている。知られているように、ガラスは既存の有機材料よりも反り(warpage)特性が良好であり、平坦度が良好であるため、トレースのライン及びスペースの低減に有利であり得る。但し、現在、ガラスコアを適用した基板を作製する場合、厚いガラスコア内に貫通ビアを形成することが難しいという問題がある。例えば、ビアホール内にめっきを行うためにはシード層が必要であるが、ガラス表面が滑らかであり、ビアホールは高いアスペクト比を有するため、シード形成が難しい可能性がある。また、スパッタ工程などでシードを形成する場合、所望する厚さのシードを形成する上で多くの時間及びコストが必要となる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明のいくつかの目的の一つは、ガラス基板に形成された貫通孔のように、アスペクト比の高い貫通孔にフィルめっきを行う場合でも、ボイド(void)やシーム(seam)の形成を抑制して基板の質を向上させることができるプリント回路基板を提供することである。
【0004】
本発明のいくつかの目的の他の一つは、ガラス基板に形成された貫通孔のように、アスペクト比の高い貫通孔に金属シード層を形成することを省略してコストを最小化できるプリント回路基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明を通じて提案するいくつかの解決手段のうち一つは、ガラス基板等の絶縁層に貫通孔を形成し、貫通孔の内部に金属ワイヤを挿入及び載置し、その後、貫通ホール内に金属ワイヤをシード層としてフィルめっき等を行うことで、金属ワイヤを覆う金属ビアを形成することである。
【0006】
例えば、一例によるプリント回路基板は、絶縁層と、上記絶縁層の上面及び下面の間を貫通する貫通孔と、上記貫通孔内に配置される金属ワイヤと、上記貫通孔を充填し、上記金属ワイヤを覆う金属ビアと、を含むものであってもよい。
【0007】
例えば、一例によるプリント回路基板は、貫通孔を有する絶縁層と、上記貫通孔内に配置される金属ワイヤと、上記貫通孔を充填し、上記金属ワイヤを覆う第1金属層と、上記絶縁層及び上記第1金属層のそれぞれの上面上に配置された第1シード金属層と、上記絶縁層及び上記第1金属層のそれぞれの下面上に配置された第2シード金属層と、上記第1シード金属層の上面上に配置された第2金属層と、上記第2シード金属層の下面上に配置された第3金属層と、を含むものであってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の様々な効果のうち、一効果として、ガラス基板に形成された貫通孔のように、アスペクト比の高い貫通孔にフィルめっきを行う場合でも、ボイドやシームの形成を抑制して基板の質を向上させることができるプリント回路基板を提供することができる。
【0009】
本発明の様々な効果のうち、他の一効果として、ガラス基板に形成された貫通孔のように、アスペクト比の高い貫通孔に金属シード層を形成することを省略して、工程時間及びコストを最小化できるプリント回路基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】電子機器システムの例を概略的に示すブロック図である。
【
図2】電子機器の一例を概略的に示す斜視図である。
【
図3】プリント回路基板の一例を概略的に示す断面図である。
【
図4a】
図3のプリント回路基板の製造の一例を概略的に示す工程断面図である。
【
図4b】
図3のプリント回路基板の製造の一例を概略的に示す工程断面図である。
【
図4c】
図3のプリント回路基板の製造の一例を概略的に示す工程断面図である。
【
図4d】
図3のプリント回路基板の製造の一例を概略的に示す工程断面図である。
【
図4e】
図3のプリント回路基板の製造の一例を概略的に示す工程断面図である。
【
図4f】
図3のプリント回路基板の製造の一例を概略的に示す工程断面図である。
【
図4g】
図3のプリント回路基板の製造の一例を概略的に示す工程断面図である。
【
図5】プリント回路基板の他の一例を概略的に示す断面図である。
【
図6】プリント回路基板のさらに他の一例を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照して本発明について説明する。図面における要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために誇張又は縮小することができる。
【0012】
電子機器
図1は、電子機器システムの例を概略的に示すブロック図である。
【0013】
図面を参照すると、電子機器1000はメインボード1010を収容する。メインボード1010には、チップ関連部品1020、ネットワーク関連部品1030、及びその他の部品1040などが物理的及び/又は電気的に連結されている。これらは後述する他の電子部品とも結合して様々な信号ライン1090を形成する。
【0014】
チップ関連部品1020としては、揮発性メモリ(例えば、DRAM)、不揮発性メモリ(例えば、ROM)、フラッシュメモリなどのメモリチップ;セントラルプロセッサ(例えば、CPU)、グラフィックプロセッサ(例えば、GPU)、デジタル信号プロセッサ、暗号化プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラなどのアプリケーションプロセッサチップ;アナログ-デジタルコンバータ、ASIC(application-specific IC)などのロジックチップなどが含まれるが、これらに限定されるものではなく、これら以外にもその他の異なる形態のチップ関連電子部品が含まれてもよいことは言うまでもない。また、これらのチップ関連部品1020を互いに組み合わせてもよいことは勿論である。チップ関連部品1020は、上述したチップや電子部品を含むパッケージ形態であってもよい。
【0015】
ネットワーク関連部品1030としては、Wi-Fi(IEEE 802.11ファミリなど)、WiMAX(IEEE 802.16ファミリなど)、IEEE 802.20、LTE(long term evolution)、Ev-DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM、GPS、GPRS、CDMA、TDMA、DECT、Bluetooth、3G、4G、5G、及びそれ以降のものとして指定された任意の他の無線及び有線プロトコルが含まれるが、これらに限定されるものではなく、これら以外にも、その他の異なる多数の無線又は有線標準やプロトコルのうち任意のものが含まれてもよい。また、ネットワーク関連部品1030をチップ関連部品1020と併せて互いに組み合わせてもよいことは言うまでもない。
【0016】
その他の部品1040としては、高周波インダクタ、フェライトインダクタ、パワーインダクタ、フェライトビーズ、LTCC(low Temperature Co-Firing Ceramics)、EMI(Electro Magnetic Interference)フィルタ、MLCC(Multi-Layer Ceramic Condenser)などが含まれる。但し、これらに限定されるものではなく、これら以外にも、その他の異なる様々な用途のために使用されるチップ部品形態の受動素子などが含まれてもよい。また、その他の部品1040をチップ関連部品1020及び/又はネットワーク関連部品1030と互いに組み合わせてもよいことは言うまでもない。
【0017】
電子機器1000の種類に応じて、電子機器1000は、メインボード1010に物理的及び/又は電気的に連結されているか又はされていない他の電子部品を含むことができる。他の電子部品の例としては、カメラモジュール1050、アンテナモジュール1060、ディスプレイ1070、バッテリー1080などがある。但し、これらに限定されるものではなく、オーディオコーデック、ビデオコーデック、電力増幅器、羅針盤、加速度計、ジャイロスコープ、スピーカ、大容量記憶装置(例えば、ハードディスクドライブ)、CD(compact disk)、DVD(digital versatile disk)などであってもよい。これら以外にも、電子機器1000の種類に応じて様々な用途のために使用されるその他の電子部品などが含まれてもよいことは言うまでもない。
【0018】
電子機器1000は、スマートフォン(smart phone)、個人用情報端末機(personal digital assistant)、デジタルビデオカメラ(digital video camera)、デジタルスチルカメラ(digital still camera)、ネットワークシステム(network system)、コンピュータ(computer)、モニタ(monitor)、タブレット(tablet)、ラップトップ(laptop)、ネットブック(netbook)、テレビ(television)、ビデオゲーム(video game)、スマートウォッチ(smart watch)、オートモーティブ(Automotive)などであってもよい。但し、これらに限定されるものではなく、これら以外にも、データを処理する任意の他の電子機器であってもよいことは言うまでもない。
【0019】
図2は、電子機器の一例を概略的に示す斜視図である。
【0020】
図面を参照すると、電子機器は、例えば、スマートフォン1100であってもよい。スマートフォン1100の内部には、マザーボード1110が収容されており、このようなマザーボード1110には、様々な部品1120が物理的及び/又は電気的に連結されている。また、カメラモジュール1130及び/又はスピーカ1140のようにマザーボード1110に物理的及び/又は電気的に連結されているか又はされていない他の部品が内部に収容されている。部品1120のうち一部は、上述したチップ関連部品であってもよく、例えば、部品パッケージ1121であってもよいが、これに限定されるものではない。部品パッケージ1121は、能動部品及び/又は受動部品を含む電子部品が表面実装配置されたプリント回路基板の形態であってもよい。あるいは、部品パッケージ1121は、能動部品及び/又は受動部品が内蔵されたプリント回路基板の形態であってもよい。一方、電子機器は必ずしもスマートフォン1100に限定されるものではなく、上述したように他の電子機器であってもよいことは言うまでもない。
【0021】
プリント回路基板
図3は、プリント回路基板の一例を概略的に示す断面図である。
【0022】
図面を参照すると、一例によるプリント回路基板100Aは、絶縁層110、絶縁層110の上面及び下面の間を貫通する貫通孔H1、貫通孔H1内に配置された金属ワイヤ150、貫通孔H1を充填して金属ワイヤ150を覆う金属ビア140、絶縁層110の上面上に配置され、金属ビア140の上端部に連結された第1金属配線120、及び絶縁層110の下面上に配置され、金属ビア140の下端部に連結された第2金属配線130を含むことができる。貫通孔H1は、断面上において上端部の幅が下端部の幅より広くなるようにテーパ状を有することができる。金属ワイヤ150は、接合部151及び接合部151と連結されたワイヤ部152を含むことができる。
【0023】
このように、一例によるプリント回路基板100Aは、ガラス基板のように、相当な厚さの絶縁層110に高アスペクト比の金属ビア140を形成する場合において、貫通孔H1内に予め金属ワイヤ150を挿入した後、めっきを行う。例えば、金属ワイヤ150を挿入した後、フィルめっきなどを用いて貫通孔H1を充填することができる。これにより、貫通孔H1内にボイドやシームが発生することを効果的に抑制することができる。したがって、基板の品質をより向上させることができる。
【0024】
一方、金属ビア140は、貫通孔H1を充填して金属ワイヤ150を覆う第1金属層M1を含み、且つシード金属層は含まなくてもよい。例えば、第1金属層M1は、電解めっき(又は電気銅)で形成された単一の層であってもよく、第1金属層M1は貫通孔H1の壁面と接触してもよい。例えば、金属ワイヤ150は、第1金属層M1のめっきのためのシードとしての役割を果たすことができる。したがって、シード工程を省略することにより工程時間とコストを最小化することができる。一方、ワイヤ部152の端部が、厚さ方向を基準にして絶縁層110の中心及び絶縁層110の上面よりも上側レベルに配置されるとき、上述したシードとしての役割をより効果的に行うことができる。必要に応じて、ワイヤ部152の端部が、厚さ方向を基準にして絶縁層110の上面よりも下側レベルに配置されることができ、この場合、金属ワイヤ150は貫通孔H1により安定的に載置されることができる。但し、これに限定されるものではなく、ワイヤ部152の端部が絶縁層110の上面より上に突出して第1金属配線120で覆われることもできる。一方、端部は、断面上においてワイヤ部152の最上側部分を意味することができる。
【0025】
一方、第1金属層M1、例えば、金属ビア140の上面及び下面は、それぞれ絶縁層110の上面及び下面と実質的に共面をなすことができる。また、金属ワイヤ150の接合部151の下面は、第1金属層M1、例えば、金属ビア140の下面及び絶縁層110の下面とそれぞれ実質的に共面をなすことができる。例えば、キャリアを用いて金属ワイヤ150を絶縁層110の貫通孔H1に配置してめっきを行うことにより、キャリアを除去した後に、上述したように下側が共面をなすことができる。また、めっきにより絶縁層110の貫通孔H1を充填して第1金属層M1、例えば、金属ビア140を形成した後に、必要に応じて平坦化工程を行うことができ、これにより、上述したように上側が共面をなすことができる。この場合、凹凸を最小化して第1金属配線及び第2金属配線120、130をより容易に形成することができ、絶縁層110の両側には、必要に応じてより容易にビルドアップ層を形成することができる。
【0026】
一方、第1金属配線120は、絶縁層110及び金属ビア140のそれぞれの上面上に配置され、これらを覆う第1シード金属層m1及び第1シード金属層m1の上面上に配置され、これを覆って第1シード金属層m1より厚い第2金属層M2を含むことができる。また、第2金属配線130は、絶縁層110と金属ビア140と金属ワイヤ150のそれぞれの下面上に配置され、これらを覆う第2シード金属層m2及び第2シード金属層m2の下面上に配置され、これを覆って第2シード金属層m2より厚い第3金属層M3を含むことができる。例えば、第1金属配線及び第2金属配線120、130は、平坦化した領域にめっき工程によって形成されることができる。一方、金属ワイヤ150の接合部151の下面は、第2シード金属層m2と接触することができる。また、金属ワイヤ150のワイヤ部152の上面は、第1シード金属層m1と離隔することができるが、これに限定されるものではなく、必要に応じて接触することもできる。
【0027】
一方、一例によるプリント回路基板100Aは、多層回路基板のいずれか一つの層として適用されることができる。例えば、多層回路基板のコア層として適用されることができ、この場合、プリント回路基板100Aの一側又は両側にビルドアップ工程が行われることができる。このような多層回路基板は、FCB(Filp-Chip Board)、BGA(Ball Gird Array)、インターポーザ基板、パッケージ基板等に用いられることができる。但し、これに限定されるものではなく、他にも異なる様々な形態の基板に適用されることができる。
【0028】
以下では、図面を参照して一例によるプリント回路基板100Aの構成要素についてより詳細に説明する。
【0029】
絶縁層110は絶縁物質を含むことができる。絶縁物質は無機絶縁材を含むことができ、無機絶縁材は、例えば、ガラス、セラミック、シリコンなどであってもよいが、これに限定されるものではない。無機絶縁材は、好ましくは、ガラスを含むことができる。例えば、絶縁層110はガラス基板を含むことができる。ガラス基板は、非結晶質固体であるガラスを含むことができる。ガラスは、例えば、純粋な二酸化ケイ素(約100%のSiO2)、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス(alumino-silicate glass)などを含むことができる。但し、これに限定されるものではなく、代替的なガラス材料である、例えば、フッ素ガラス、リン酸ガラス、カルコゲンガラスなども材料として使用されることができる。また、特定の物理的特性を有するガラスを形成するために、その他の添加剤をさらに含むこともできる。このような添加剤は、炭酸カルシウム(例えば、石灰)及び炭酸ナトリウム(例えば、ソーダ)だけでなく、マグネシウム、カルシウム、マンガン、アルミニウム、鉛、ホウ素、鉄、クロム、カリウム、硫黄及びアンチモンと、このような元素及び他の元素の炭酸塩及び/又は酸化物を含むことができる。ガラス基板は、ガラス繊維(Glass Fiber、Glass Cloth、Glass Fabric)などを含む有機絶縁材、例えば、CCL(Copper Clad Laminate)、PPG(Prepreg)などとは区別される層であってもよい。例えば、板ガラス(plate glass)であってもよい。
【0030】
一方、必要に応じて絶縁層110は多層構造を有することができる。例えば、ガラス基板の両面に有機絶縁層が形成された構造を有してもよい。有機絶縁層は有機絶縁材を含むことができ、有機絶縁材はエポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂、ポリイミドのような熱可塑性樹脂、又は樹脂と共に無機フィラー、有機フィラー及び/又はガラス繊維(Glass Fiber、Glass Cloth、Glass Fabric)を含む材料を含むことができる。例えば、有機絶縁材は、PPG(Prepreg)、ABF(Ajinomoto Build-up Film)などの非感光性絶縁材であってもよいが、これらに限定されるものではなく、感光性絶縁材又はその他の高分子素材が用いられてもよい。
【0031】
第1金属配線及び第2金属配線120、130はそれぞれ金属物質を含むことができる。金属物質は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、錫(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、及び/又はこれらの合金などを含むことができる。例えば、第1金属配線及び第2金属配線120、130の第1シード金属層及び第2シード金属層m1、m2と、第2金属層及び第3金属層M2、M3はそれぞれ上述した金属物質を含むことができ、好ましくは、銅(Cu)を含むことができるが、これに限定されるものではない。第1金属配線及び第2金属配線120、130は、それぞれ設計デザインに応じて様々な機能を果たすことができる。例えば、信号パターン、パワーパターン、グランドパターンなどを含むことができる。これらのパターンはそれぞれライン、プレーン、パッドなど様々な形態を有することができる。第1シード金属層及び第2シード金属層m1、m2はスパッタリングで形成されてもよいが、これに限定されるものではなく、必要に応じて無電解めっき(又は化学銅)で形成されてもよい。第2金属層及び第3金属層M2、M3は電解めっき(又は電気銅)で形成されることができる。
【0032】
金属ビア140は金属物質を含むことができる。金属物質は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、錫(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、及び/又はこれらの合金などを含むことができる。例えば、金属ビア140の第1金属層M1は、上述した金属物質を含むことができ、好ましくは、銅(Cu)を含むことができるが、これに限定されるものではない。金属ビア140は、設計デザインに応じて様々な機能を果たすことができる。例えば、グランドビア、パワービア、信号ビアなどを含むことができる。金属ビア140は、別途の他のシード金属層なしで金属ワイヤ150をシードとして用いて電解めっき(又は電気銅)で形成することができる。
【0033】
金属ワイヤ150は金属物質を含むことができる。金属物質は、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、及び/又はこれらの合金などを含むことができる。例えば、金属ワイヤ150はパラジウム(Pd)-銅(Cu)合金を含むことができるが、これに限定されるものではない。金属ワイヤ150は、接合部151とワイヤ部152とを含むことができ、それぞれは互いに同じ金属物質を含むことができる。金属ワイヤ150は、貫通孔H1の壁面とは離隔するサイズを有することができる。例えば、貫通孔H1のサイズに合わせて金属ワイヤ150のサイズを決定することができる。
【0034】
図4a~
図4gは、
図3のプリント回路基板の製造の一例を概略的に示す工程断面図である。
【0035】
図面を参照すると、
図4aでは、絶縁層110を用意する。絶縁層110は、上述したように、板ガラスのようなガラス基板であってもよい。次に、
図4bでは、絶縁層110に貫通孔H1を形成する。貫通孔H1は、絶縁層110、例えば、ガラス層の上面にマスクを配置した後、エッチングによりテーパ状に形成することができるが、これに限定されるものではなく、例えば、他の化学的方法又は機械的方法などを用いることもできる。貫通孔H1は複数個を形成してもよく、それぞれの貫通孔H1は同一又は異なってもよい。次に、
図4cでは、貫通孔H1に金属ワイヤ150を挿入する。例えば、キャリア210に金属ワイヤ150を予め取り付けた後、金属ワイヤ150が貫通孔H1に挿入されるように絶縁層110を積層することができる。次に、
図4dでは、貫通孔H1に第1金属層M1を形成する。第1金属層M1は、金属ワイヤ150をシードとして用いてフィルめっきで形成することができる。その結果、金属ビア140が形成されることができる。次に、
図4eでは、キャリア210を除去する。例えば、キャリア210を物理的に分離することができる。その後、必要に応じて平坦化工程を行うことができる。次に、
図4fでは、絶縁層110と金属ビア140と金属ワイヤ150の両側に、第1シード金属層及び第2シード金属層m1、m2と第2金属層及び第3金属層M2、M3を形成する。第1シード金属層及び第2シード金属層m1、m2はスパッタ工程で形成することができ、第2金属層及び第3金属層M2、M3は電解めっき(又は電気銅)で形成することができる。次に、
図4gでは、第1金属配線及び第2金属配線120、130を形成する。例えば、エッチングによりパターニングを行って第1金属配線及び第2金属配線120、130を形成することができる。例えば、TT(Tenting)工程が用いられてもよい。但し、これに限定されるものではなく、
図4f及び
図4gの工程はAP(Additive Process)、SAP(Semi Additive Process)工程等で代替されることもできる。一連の過程を通じて、上述した一例によるプリント回路基板100Aが形成されることができ、その他の内容は、上述したものと実質的に同じであるため、重複説明は省略する。
【0036】
図5は、プリント回路基板の他の一例を概略的に示す断面図である。
【0037】
図面を参照すると、他の一例によるプリント回路基板100Bは、上述した一例によるプリント回路基板100Aにおいて、貫通孔H2が断面上において、下端部での幅が上端部での幅より広くなるようにテーパ状を有することができる。その他の内容は、上述したものと実質的に同じであるため、重複説明は省略する。
【0038】
図6は、プリント回路基板のさらに他の一例を概略的に示す断面図である。
【0039】
図面を参照すると、さらに他の一例によるプリント回路基板100Cは、上述した一例によるプリント回路基板100Aにおいて、貫通孔H3は、断面上における上端部及び下端部のそれぞれでの幅が上端部及び下端部の間のいずれの内部での幅よりも広くなるように、両側にテーパ状を有することができる。例えば、貫通孔H3は砂時計の形態を有することができる。その他の内容は、上述したものと実質的に同じであるため、重複説明は省略する。
【0040】
本発明において、「覆う」という表現は、全体的に覆う場合だけでなく、少なくとも一部を覆う場合を含むことができ、さらに、直接覆う場合だけでなく、間接的に覆う場合も含むことができる。また、「充填する」という表現は、完全に充填する場合だけでなく、少なくとも一部を充填する場合を含むことができ、さらに、概ね充填する場合も含むことができる。例えば、「充填する」という表現は、一部の空隙やボイドなどが存在する場合を含むことができる。
【0041】
本発明において、断面上での意味は、対象物を垂直に切断したときの断面形状、又は対象物を垂直に切断したときの断面形状、又は対象物をサイドビューで見たときの断面形状を意味することができる。また、平面上での意味は、対象物を水平に切断したときの平面形状、又は対象物をトップビュー又はボトムビューで見たときの平面形状を意味することができる。
【0042】
本発明において、厚さ、幅、長さ、深さなどは、それぞれプリント回路基板を研磨又は切断した断面を基準にして走査顕微鏡や光学顕微鏡などで測定することができる。切断断面は垂直断面又は水平断面であってもよく、必要な切断断面を基準にしてそれぞれの数値を測定することができる。数値が一定でない場合には、任意の5点で測定した値の平均値で数値を決定することができる。貫通孔の上端部及び/又は下端部の幅は、基板において厚さ方向に貫通孔の中心軸を切った断面上で測定することができる。貫通孔の深さは、基板において厚さ方向に各対象物の中心軸を切った断面上における各対象物の上端部から下端部までの距離で測定することができる。
【0043】
本発明において、下側、下部、下面などは、便宜上、図面の断面を基準にして下方の方向を意味するものとして使用し、上側、上部、上面などは、その反対方向を意味するものとして使用している。また、側部、側面等は、上面及び下面と垂直な方向を意味するものとして使用している。なお、厚さ方向は、下側、下部、下面、上側、上部、上面などと同様に、図面の断面を基準にして下方及び/又は上方の方向を意味するものとして使用している。但し、これは説明の便宜上、方向を定義したものであって、特許請求の範囲の権利範囲はこのような方向に対する記載によって特に限定されるものではないことは勿論であり、上/下の概念はいつでも変更することができる。
【0044】
本発明において、「連結される」とは、直接連結されることだけでなく、接着剤層などを介して間接的に連結されることを含む概念である。また、「電気的に連結される」とは、物理的に連結された場合及び連結されていない場合の両方を含む概念である。さらに、「第1、第2」などの表現は、ある構成要素と他の構成要素とを区分するために使用されるものであって、当該構成要素の順序及び/又は重要度などを限定しない。場合によっては、権利範囲を逸脱しない範囲内で、第1構成要素は第2構成要素と命名されてもよく、同様に、第2構成要素は第1構成要素と命名されてもよい。
【0045】
本発明で使用される「一例」という表現は、互いに同じ実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかし、上記提示された一例は、他の一例の特徴と結合して実現されることを排除しない。例えば、特定の一例で説明された事項が、他の一例に説明されていなくても、他の一例においてその事項と反対又は矛盾する説明がない限り、他の一例に関連する説明として理解することができる。
【0046】
本発明で使用された用語は、単に一例を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味ではない限り、複数の表現を含む。
【符号の説明】
【0047】
1000:電子機器
1010:メインボード
1020:チップ関連部品
1030:ネットワーク関連部品
1040:その他の部品
1050:カメラ
1060:アンテナ
1070:ディスプレイ
1080:バッテリー
1090:信号ライン
1100:スマートフォン
1110:マザーボード
1120:部品
1121:部品パッケージ
1130:カメラモジュール
1140:スピーカ
100A、100B、100C:プリント回路基板
110:絶縁層
120、130:金属配線
140:金属ビア
150:金属ワイヤ
151:接続部
152:ワイヤ部
m1、m2:シード金属層
M1、M2、M3:金属層
H1、H2、H3:貫通孔
210:キャリア