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特開2025-4413自動取引装置及び自動取引装置における表示制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004413
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】自動取引装置及び自動取引装置における表示制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/14 20120101AFI20250107BHJP
【FI】
G06Q20/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104091
(22)【出願日】2023-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】504373093
【氏名又は名称】日立チャネルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】石川 理恵
(72)【発明者】
【氏名】山形 庄平
(72)【発明者】
【氏名】島田 誠人
【テーマコード(参考)】
5L020
5L055
【Fターム(参考)】
5L020AA39
5L055AA39
(57)【要約】
【課題】様々な利用者にとって取引操作を行いやすくするための自動取引装置における表示を実現する。
【解決手段】自動取引装置は、取引及び取引のための操作に関する取引表示と、背景表示と、を示す表示情報を保持し、表示装置における表示領域を、取引表示が表示される取引表示領域と、背景表示が表示される背景表示領域と、を含む複数の表示領域に分割して、当該複数の表示領域それぞれの表示を制御し、背景表示領域に表示位置変更ボタンを表示し、表示位置変更ボタンに対する操作に基づいて、取引表示領域の縦方向の表示位置を変更する。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動取引装置であって、
プロセッサとメモリと表示装置とを有し、
前記メモリは、取引及び前記取引のための操作に関する取引表示と、背景表示と、を示す表示情報を保持し、
前記プロセッサは、
前記表示装置における表示領域を、前記取引表示が表示される取引表示領域と、前記背景表示が表示される背景表示領域と、を含む複数の表示領域に分割して、前記複数の表示領域それぞれの表示を制御し、
前記背景表示領域に表示位置変更ボタンを表示し、
前記表示位置変更ボタンに対する操作に基づいて、前記取引表示領域の縦方向の表示位置を変更する、自動取引装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動取引装置であって、
前記プロセッサは、
前記取引表示領域の下側に前記背景表示領域が表示され、当該背景表示領域に前記表示位置変更ボタンに含まれる第1表示位置変更ボタンが表示される第1表示状態と、
前記取引表示領域の上側に前記背景表示領域が表示され、当該背景表示領域に前記表示位置変更ボタンに含まれる第2表示位置変更ボタンが表示される第2表示状態と、を制御し、
前記第1表示状態において前記第1表示位置変更ボタンが操作された場合に前記第2表示状態に変化させ、
前記第2表示状態において前記第2表示位置変更ボタンが操作された場合に前記第1表示状態に変化させる、自動取引装置。
【請求項3】
請求項1に記載の自動取引装置であって、
前記プロセッサは、
前記取引のための操作ボタンを、前記取引表示領域に表示し、
前記表示位置変更ボタンと、前記操作ボタンと、を所定距離以上離れた位置に表示する、自動取引装置。
【請求項4】
請求項1に記載の自動取引装置であって、
前記表示情報は、前記表示装置における表示領域の全体である全画面表示領域の表示を示し、
前記プロセッサは、
前記表示装置における表示領域を前記複数の表示領域に分割して、前記複数の表示領域それぞれの表示を制御する分割表示状態と、
前記表示装置における表示領域を分割することなく前記全画面表示領域の表示を一括で制御する全画面表示状態と、を所定のルールに従って切り替える自動取引装置。
【請求項5】
請求項4に記載の自動取引装置であって、
前記取引に用いられる媒体を受け入れる受入口と、
前記媒体を排出する排出口と、を有し、
前記プロセッサは、
前記取引のための操作ボタンを、前記取引表示領域に表示し、
前記受入口から受け入れた媒体と、前記操作ボタンに対する操作と、に基づいて前記取引を実行し、
前記取引を終了させるとき、前記受け入れた媒体を前記排出口から排出することを示す媒体返却表示を、前記全画面表示状態における前記全画面表示領域に表示する、自動取引装置。
【請求項6】
請求項5に記載の自動取引装置であって、
前記プロセッサは、
前記取引が終了せずに前記受け入れた媒体を前記排出口から排出するとき、前記受け入れた媒体を前記排出口から排出することを示す媒体返却表示を、前記分割表示状態における前記取引表示領域に表示する、自動取引装置。
【請求項7】
請求項5に記載の自動取引装置であって、
前記プロセッサは、前記取引を終了させるとき、前記媒体返却表示において、前記受け入れた媒体を示す画像が移動する動画を表示し、
前記動画における前記受け入れた媒体の画像の移動方向上に前記排出口が位置するよう、当該移動方向が定められている、自動取引装置。
【請求項8】
請求項5に記載の自動取引装置であって、
第1媒体と第2媒体とが前記受入口から受け入れられた場合、前記第1媒体を前記排出口から排出してから前記第2媒体を前記排出口から排出し、
前記プロセッサは、
前記媒体返却表示において、返却対象の媒体を示すリストを表示し、
前記取引を終了させるとき、前記第1媒体を前記排出口から排出することを示す第1媒体返却表示を、前記全画面表示状態における前記全画面表示領域に表示してから、前記第2媒体を前記排出口から排出することを示す第2媒体返却表示を、前記全画面表示状態における前記全画面表示領域に表示し、
前記第1媒体返却表示における前記リストは、前記第1媒体と前記第2媒体とが前記返却対象の媒体であることを示し、
前記第2媒体返却表示における前記リストは、前記第1媒体と前記第2媒体とが前記返却対象の媒体であることと、前記第1媒体が返却済みであることと、を示す、自動取引装置。
【請求項9】
自動取引装置における表示制御方法であって、
前記自動取引装置は、プロセッサとメモリと表示装置とを有し、
前記メモリは、取引及び前記取引のための操作に関する取引表示と、背景表示と、を示す表示情報を保持し、
前記表示制御方法は、
前記プロセッサが、前記表示装置における表示領域を、前記取引表示が表示される取引表示領域と、前記背景表示が表示される背景表示領域と、を含む複数の表示領域に分割して、前記複数の表示領域それぞれの表示を制御し、
前記プロセッサが、前記背景表示領域に表示位置変更ボタンを表示し、
前記プロセッサが、前記表示位置変更ボタンに対する操作に基づいて、前記取引表示領域の縦方向の表示位置を変更する、表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置及び自動取引装置における表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開2009-230195号公報(特許文献1)がある。この公報には、「自動取引装置は、メインウインドウとサブウインドウとに区分けされた画面に情報を表示する表示部と、取引操作案内情報および取引操作補助情報を記憶する記憶部と、前記取引操作案内情報を前記記憶部から取得し、取得した前記取引操作案内情報を前記メインウインドウに表示する情報として前記表示部に提供する第1の制御部と、前記取引操作補助情報を記憶部から取得し、取得した前記取引操作補助情報を前記サブウインドウに表示する情報として前記表示部に提供する第2の制御部と、を備えることを特徴とする。」と記載されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-230195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術は、取引操作案内情報や取引操作補助情報等の取引に関する情報や取引の操作に関する情報を表示する。自動取引装置は、身長の低い人、身長の高い人、及び車いすに乗っている人などの様々な人によって利用されるため、取引操作を行いやすくするためのこれらの情報の表示位置(高さ)は利用者によって異なるが、特許文献1にはこれらの情報を表示するウインドウの位置を可変にすることについては記載されていない。
【0005】
そこで、本発明の一態様は、様々な利用者にとって取引操作を行いやすくするための自動取引装置における表示を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は以下の構成を採用する。自動取引装置は、プロセッサとメモリと表示装置とを有し、前記メモリは、取引に関する取引表示と、背景表示と、を示す表示情報を保持し、前記プロセッサは、前記表示装置における表示領域を、前記取引表示が表示される取引表示領域と、前記背景表示が表示される背景表示領域と、を含む複数の表示領域に分割して、前記複数の表示領域それぞれの表示を制御し、前記背景表示領域に表示位置変更ボタンを表示し、前記表示位置変更ボタンに対する操作に基づいて、前記取引表示領域の縦方向の表示位置を変更する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、様々な利用者にとって取引操作を行いやすくするための自動取引装置における表示を実現することができる。
【0008】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1におけるATM(Automatic Teller Machine)の外観の一例を示す図である。
図2】実施例1におけるATMの構成例を示すブロック図である。
図3A】実施例1における取引表示領域が通常位置に位置する分割表示状態の画面構成例を示す図である。
図3B】実施例1における取引表示領域が下部に位置する分割表示状態の画面構成例を示す図である。
図4A】実施例1におけるアイドル状態用の全画面表示状態の画面構成例を示す図である。
図4B】実施例1における媒体返却画面用の全画面表示状態の画面構成例を示す図である。
図5】実施例1における取引開始前処理の一例を示すフローチャートである。
図6】実施例1における入金取引処理の一例を示すフローチャートである。
図7】実施例1における出金取引処理の一例を示すフローチャートである。
図8A】実施例1における取引開始案内画面の表示コンテンツの一例を示す図である。
図8B】実施例1における取引開始案内画面の表示コンテンツの一例を示す図である。
図9】実施例1におけるアイドル状態用画面の表示コンテンツの一例を示す図である。
図10A】実施例1における取引開始画面の表示コンテンツの一例を示す図である。
図10B】実施例1における取引開始画面の表示コンテンツの一例を示す図である。
図11】実施例1における分割表示状態の紙幣返却用の媒体返却画面の表示コンテンツの一例を示す図である。
図12A】実施例1における全画面表示状態の紙幣返却用の媒体返却画面の表示コンテンツの一例を示す図である。
図12B】実施例1における全画面表示状態のカード及び明細票返却用の媒体返却画面の表示コンテンツの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態において、同一の構成には原則として同一の符号を付け、繰り返しの説明は省略する。なお、本実施形態は本発明を実現するための一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。
【実施例0011】
図1は、ATMの外観の一例を示す図である。本実施例のATM100は、例えば、コンビニエンスストア等に設置され、複数の金融機関それぞれとの取引を実現する。ATM100は、自動取引装置の一例である。ATM100は、例えば、表示装置101、キーパッド102、カード・明細票口103、ランプ104、紙幣口105、ランプ106、スピーカ107、及び紙幣入出金装置108を有する。
【0012】
表示装置101は、例えばタッチパネル等であり、取引の操作画面を表示し、取引種類の選択や金額などの入力を受け付ける(つまり、表示装置101は、入力装置としての機能も兼ねる)。表示装置101の表示画面のサイズは、例えば、横27.5cm~32.5cm、縦35cm~40cmの範囲に含まれ(例えば、1024ピクセル×1280ピクセル)、当該表示画面のアスペクト比は、例えば、4:5又は3:4等である。つまり表示装置101は、縦長の表示面を有する。なお、本実施例の表示装置101における縦、横、上下、及び左右等の方向は、設置された状態のATM100の表示装置101を利用者から見た場合の方向を示す。
【0013】
また、表示装置101の表示面の上側の(鉛直方向面を基準とした)奥行方向への傾きは、例えば、15度~20度の範囲に含まれる。表示装置101の表示画面の下端は、例えば、ATM101が設置されている床面から105cm~115cmの範囲に位置し、表示装置101の表示画面の上端は、例えば、ATM101が設置されている床面から140cm~150cmの範囲に位置する。
【0014】
キーパッド102は、例えばテンキーパッド等であり、取引金額や暗証番号等の入力を受け付ける。カード・明細票口103は、キャッシュカード及びクレジットカード等を含むカードの挿入を受け付け、カード及び明細票等を排出する機構である。
【0015】
ランプ104は、例えば、カード・明細票口103にカード等を挿入可能な状態であるときや、カード・明細票口103からカード又は明細票等が排出されるときに、点滅等の態様で発光することで、利用者にカードの挿入及び受取、並びに明細票の受取等を指示する。
【0016】
紙幣口105は、入金される紙幣の投入を受け付け、出金される紙幣の排出する機構である。ランプ106は、例えば、紙幣口105に紙幣を投入可能な状態であるときや、紙幣口105から紙幣が排出されるときに、点滅等の態様で発光することで、利用者に紙幣の投入及び受取等を指示する。スピーカ107は、例えば、広告や、取引に関わる音声ガイダンスや、利用者への告知事項に関わる音声ガイダンスを出力する。
【0017】
紙幣入出金装置108は、紙幣が収納される紙幣庫と、当該紙幣庫と紙幣口105との間で紙幣を搬送する機構と、を有する。例えば、紙幣入出金装置108は、後述する入金取引処理において、紙幣口105に投入された紙幣を、入金が許可された場合に取り込んで紙幣庫に収納し、後述する出金取引処理において、紙幣庫に収納されている紙幣を、出金が許可された場合に紙幣口105へと搬送する。
【0018】
なお、カード、明細票、及び紙幣等のATM100へ投入可能、かつ/又はATM100から排出可能な物を総称して取引に用いられる媒体とも呼ぶ(以下、単に媒体と呼ぶ)。カード・明細票口103及び紙幣口105はいずれも、媒体を受け入れる受入口の一例であり、媒体を排出する排出口の一例でもある。
【0019】
図2は、ATM100の構成例を示すブロック図である。ATM100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)110、メモリ120、補助記憶装置130、及び通信装置140をさらに有する。
【0020】
CPU110は、プロセッサを含み、メモリ120に格納されたプログラムを実行する。メモリ120は、不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)及び揮発性の記憶素子であるRAM(Random Access Memory)を含む。ROMは、不変のプログラム(例えば、BIOS(Basic Input/Output System))などを格納する。RAMは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のような高速かつ揮発性の記憶素子であり、CPU110が実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを一時的に格納する。
【0021】
補助記憶装置130は、例えば、磁気記憶装置(HDD(Hard Disk Drive))、フラッシュメモリ(SSD(Solid State Drive))等の大容量かつ不揮発性の記憶装置であり、CPU110が実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを格納する。すなわち、プログラムは、補助記憶装置130から読み出されて、メモリ120にロードされて、CPU110によって実行される。
【0022】
通信装置140は、所定のプロトコルに従って、他の装置との通信を制御するネットワークインターフェース装置である。通信装置140は、例えば、インターネット等のネットワークを介して、銀行等の複数の金融機関それぞれが保有する勘定系システムや、ATM100の管理者のサーバに接続される。また、通信装置140は、例えば、USB(Universal Serial Bus)等のシリアルインターフェースを含んでもよい。
【0023】
CPU110が実行するプログラムの一部またはすべては、非一時的記憶媒体であるリムーバブルメディア(CD-ROM、フラッシュメモリなど)又は、非一時的記憶装置を備える外部計算機からネットワークを介してATM100に提供され、非一時的記憶媒体である不揮発性の補助記憶装置130に格納されてもよい。このため、ATM100は、リムーバブルメディアからデータを読み込むインターフェースを有するとよい。
【0024】
CPU110は、例えば、いずれも機能部である、取引開始前処理部111、取引処理部112、全画面表示制御部113、及び分割表示制御部114を含む。取引開始前処理部111は、取引開始前の処理を制御する。取引処理部112は、入金取引処理及び出金取引処理等の取引に関する処理を制御する。
【0025】
全画面表示制御部113は、表示装置101における後述する全画面表示状態の表示を制御する。分割表示制御部114は、表示装置101における後述する分割表示状態の表示を制御し、いずれも機能部である背景表示制御部115及び取引表示制御部116を含む。背景表示制御部115は、分割表示状態における後述する背景表示領域の表示を制御する。取引表示制御部116は、分割表示状態における後述する取引表示領域の表示を制御する。
【0026】
例えば、CPU110は、メモリ120にロードされた取引開始前処理プログラムに従って動作することで、取引開始前処理部111として機能し、メモリ120にロードされた取引処理プログラムに従って動作することで、取引処理部112として機能する。CPU110に含まれる他の機能部についても、プログラムと機能部の関係は同様である。
【0027】
なお、CPU110に含まれる機能部による機能の一部又は全部が、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0028】
補助記憶装置130は、例えば、背景表示情報131、取引表示情報132、及び全画面表示情報133を保持する。背景表示情報131は、後述する背景表示領域(上部背景表示領域、中部背景表示領域、及び下部背景表示領域)に表示可能な画像の情報等の、背景表示制御部115が背景表示領域の表示を制御するために必要な情報を含む。
【0029】
取引表示情報132は、後述する取引表示領域に表示可能な画像の情報等の、取引表示制御部116が取引表示領域の表示を制御するために必要な情報を含む。全画面表示情報133は、後述する全画面表示領域(全画面用上部表示領域及び全画面用下部表示領域を含む)に表示可能な画像の情報等の、全画面表示制御部113が全画面表示領域の表示を制御するために必要な情報を含む。
【0030】
なお、背景表示情報131、取引表示情報132、及び全画面表示情報133は予め補助記憶装置130に格納されていてもよいし、ATM100が処理を実行する都度、表示装置101に表示すべき情報を、金融機関が保有する勘定系システムや、ATM100の管理者のサーバに問い合わせることで、背景表示情報131、取引表示情報132、及び全画面表示情報133を取得してもよい。
【0031】
なお、補助記憶装置130に格納されている一部又は全部の情報は、それぞれ、メモリ120に格納されていてもよいし、ATM100に接続されている外部のデータベースに格納されていてもよい。
【0032】
なお、本実施形態において、ATM100が使用する情報は、データ構造に依存せずどのようなデータ構造で表現されていてもよい。例えば、リスト、テーブル、データベース又はキューから適切に選択したデータ構造体が、情報を格納することができる。
【0033】
以下、図3A図4Bを用いて、本実施例のATM100の表示装置101の表示領域の表示状態について説明する。本実施例の表示領域の表示状態は、分割表示状態と全画面表示状態とを含む。
【0034】
分割表示状態では、表示装置101の表示領域は、背景表示領域と、当該背景表示領域の(利用者から見て)手前側のレイヤに重なって表示される取引表示領域と、を含み、背景表示領域の表示と、取引表示領域の表示と、がそれぞれ制御される。全画面表示状態では、表示装置101の表示領域は、当該表示領域の全面を占め、最も手前側のレイヤに表示される全画面表示領域からなる、即ち表示領域全体の表示が一括で制御される。なお、取引表示領域、背景表示領域、及び全画面表示領域が、いずれも同じレイヤ上に配置されてもよい。
【0035】
図3Aは、取引表示領域が通常位置に位置する分割表示状態の画面構成例を示す図である。取引表示領域が通常位置に位置する分割表示状態では、表示領域300の上下方向中央に取引表示領域310が配置されることで、背景表示領域が上部背景表示領域321と、下部背景表示領域322と、に分割されている。
【0036】
取引表示領域310には、例えば、取引において行われる操作のためのボタン、及び取引の進行状況等を含む取引に関する情報等が表示される。背景表示領域には、例えば、ATM100による取引が可能な金融機関の広告やロゴ、及びATM100の管理主体の広告やロゴ、ATM100の利用可能時間帯、及びATM100において制限中の機能(例えば、特定の紙幣の入出金が制限されている等)等、の利用者への告知事項が表示される。
【0037】
上部背景表示領域321には、上記した利用者への告知事項のうち、例えば、ATM100による取引が可能な金融機関の広告やロゴ、及びATM100の管理主体の広告やロゴ等が表示されるとよい。特に、後述する取引開始前処理において挿入されたカードに対応する金融機関を判別する前にはATM100の管理主体の広告やロゴが上部背景表示領域321に表示され、取引開始前処理において挿入されたカードに対応する金融機関を判別した後や、後述する入金取引処理や出金取引処理を含む取引処理の実行中には、当該対応金融機関の広告やロゴが上部背景表示領域321に表示されるとよい。
【0038】
また、下部背景表示領域322には、上記した利用者への告知事項のうち、例えば、ATM100の利用可能時間帯、及びATM100において制限中の機能等が表示されるとよい。また、下部背景表示領域322には、ボタン323(表示位置変更ボタンの一例)が表示されている。ボタン323が選択されると、取引表示領域310の(表示領域300内における)縦方向の位置が下がり、後述する図3Bに示す取引表示領域310が下部に位置する分割表示状態へと変化する。なお、取引表示領域が通常位置に位置する分割表示状態においては、ボタン323が下部背景表示領域322に常時表示されている(即ち取引表示領域310が下部に位置する分割表示状態へと常時変化可能である)ことが望ましい。
【0039】
例えば、上部背景表示領域321、取引表示領域310、及び下部背景表示領域322の縦のサイズは、それぞれ、6cm~9cm、21cm~24cm、及び6cm~9cmの範囲に含まれる。利用者及び金融機関にとって、取引表示領域310に表示される情報が最も重要であるため、取引表示領域310のサイズは、上部背景表示領域321及び下部背景表示領域322のサイズよりも大きい(例えば、2~3倍程度)。
【0040】
例えば、取引表示領域310が通常位置に位置する分割表示状態では、取引表示領域310の下端は、ATM101が設置されている床面から111cm~124cmの範囲に位置し、取引表示領域310の上端は、ATM101が設置されている床面から131cm~144cmの範囲に位置し、標準的な身長の利用者(例えば、150cm~180cm程度の人)が立位で取引操作を行いやすい高さである。
【0041】
また、例えば、取引表示領域310が通常位置に位置する分割表示状態では、下部背景表示領域322の下端は、ATM101が設置されている床面から105cm~115cmの範囲に位置し、下部背景表示領域322の上端は、ATM101が設置されている床面から111cm~124cmの範囲に位置し、車いすの利用者や身長が低い人が容易にボタン323を操作して取引表示領域310の位置を変更することができる高さである。
【0042】
図3Bは、取引表示領域310が下部に位置する分割表示状態の画面構成例を示す図である。取引表示領域310が通常位置に位置する分割表示状態では、表示領域300の下部に取引表示領域310が配置され(例えば、表示領域300の下端と取引表示領域310の下端が一致する)、取引表示領域310の上部に、背景表示領域が配置されている。さらに、背景表示領域は、上部背景表示領域321と、中部背景表示領域324と、に分割されている。
【0043】
取引表示領域310が下部に位置する分割表示状態における取引表示領域310、上部背景表示領域321、及び中部背景表示領域324それぞれの表示内容は、取引表示領域310が通常位置に位置する分割表示状態における取引表示領域310、上部背景表示領域321、及び下部背景表示領域322それぞれの表示内容と同様である。
【0044】
但し、中部背景表示領域324には、ボタン323に代えてボタン325(表示位置変更ボタンの一例)が表示されている。ボタン325が選択されると、取引表示領域310の(表示領域300内における)縦方向の位置が上がり、図3Aで前述した取引表示領域310が通常位置に位置する分割表示状態へと変化する。なお、取引表示領域が下部に位置する分割表示状態においては、ボタン325が中部背景表示領域324に常時表示されている(即ち取引表示領域310が通常位置に位置する分割表示状態へと常時変化可能である)ことが望ましい。
【0045】
なお、取引表示領域310が通常位置に位置する分割表示状態と、取引表示領域310が下部に位置する分割表示状態と、の間の状態移行は、ボタン323及びボタン325の操作によってのみ行われる(つまり状態を自動で変更しない)ことが望ましい。但し、取引が終了して又は取り消されて、後述する取引開始案内に戻ったときには、デフォルトの(例えば、取引表示領域310が通常位置に位置する)分割表示状態に戻るようにするとよい。
【0046】
また、例えば、分割表示状態の後に全画面表示状態に移行し、再度分割表示状態に移行したときは、取引表示領域310の位置は、当該全画面表示の直前の分割表示状態のときと同じである。但し、後述する取引開始前処理において、アイドル状態用の全画面表示に移行し、後述する取引開始案内の分割表示状態に再度移行したときには、デフォルトの(例えば、取引表示領域310が通常位置に位置する)分割表示状態に戻るようにしてもよい。
【0047】
また、取引表示領域310が下部に位置する分割表示状態における取引表示領域310、上部背景表示領域321、及び中部背景表示領域324の縦のサイズは、それぞれ、取引表示領域310が通常位置に位置する分割表示状態における上部背景表示領域321、取引表示領域310、及び下部背景表示領域322の縦のサイズと同様である。
【0048】
例えば、取引表示領域310が下部に位置する分割表示状態では、取引表示領域310の下端は、ATM101が設置されている床面から105cm~115cmの範囲に位置し、取引表示領域310の上端は、ATM101が設置されている床面から126cm~139cmの範囲に位置し、車いすの利用者や身長が低い人が容易に取引操作を行いやすい高さである。
【0049】
また、例えば、取引表示領域310が下部に位置する分割表示状態では、中部背景表示領域324の下端は、ATM101が設置されている床面から126cm~139cmの範囲に位置し、下部背景表示領域322の上端は、ATM101が設置されている床面から132cm~148cmの範囲に位置し、標準的な身長の利用者(例えば、150cm~180cm程度の人)が立位で容易にボタン325を操作して取引表示領域310の位置を変更することができる高さである。
【0050】
なお、図3A及び図3Bでは、取引表示領域310が表示領域300の中央に位置する分割表示状態と下部に位置する分割表示状態の例を説明したが、取引表示領域310が表示領域300の上部に位置する分割表示状態(例えば、表示領域300の上端と取引表示領域310の上端が一致し、取引表示領域310の下部に上部背景表示領域321と下部背景表示領域322とが配置される分割表示状態)をさらに実現可能であってもよく、これら3つの分割表示状態、又はこれら3つのうちの任意の2つの分割表示状態を利用者の操作によって切り替え可能であってもよい。
【0051】
図4Aは、アイドル状態用の全画面表示状態の画面構成例を示す図である。アイドル状態用の全画面表示状態においては、全画面表示領域が表示領域300の全体を占め、当該全画面表示領域が、全画面用上部表示領域331と、全画面用下部表示領域332と、に分割されている。
【0052】
全画面用上部表示領域331には、上記した利用者への告知事項のうち、例えば、ATM100による取引が可能な金融機関の広告、及びATM100の管理主体の広告等が表示されるとよい。全画面用下部表示領域332には、例えば、表示装置101の表示領域300をタッチするとアイドル状態が終了して後述する取引案内画面が表示されることを案内する表示が表示されるとよい。
【0053】
例えば、全画面用上部表示領域331及び全画面用下部表示領域332の縦のサイズは、それぞれ、30cm~34cm及び3cm~7cmの範囲に含まれる。アイドル状態用の全画面表示状態では、取引表示領域310として使用可能な領域も用いて、分割表示状態における背景表示領域よりも大きいサイズ(例えば、2~3倍程度)の広告等を表示できるため、ATM100の利用者等に対する広告等の訴求の効果を高めることができる。
【0054】
図4Bは、媒体返却画面用の全画面表示状態の画面構成例を示す図である。媒体返却画面用の全画面表示状態では、全画面表示領域333が表示領域300の全体を占める。全画面表示領域333において、後述する媒体返却用のアニメーションが表示される。
【0055】
なお、詳細は後述するが、取引開始案内状態に戻ってからでないと取引を実行できない状態(即ち取引を終了させる状態)における媒体返却時には、全画面表示状態の全画面表示領域333で媒体返却画面が表示される。このような場合に、全画面表示状態で媒体返却を案内することにより、取引が終了したために目的を達成したと感じて注意力が落ちている利用者であっても、媒体の取り忘れを防止することができる。
【0056】
一方、取引開始案内状態に戻ることなく取引を実行可能(継続可能)な状態における媒体返却時には、分割表示状態における取引表示領域310で媒体返却を案内する。このように取引を継続可能な状態であれば利用者はまだ目的を達成していないため注意力が低下しておらず、取引表示領域310のみで媒体返却を案内しても媒体の取り忘れの可能性は低い。この場合には、分割表示状態の背景表示領域において広告等も表示できるため、媒体返却の案内と、広告等の訴求効果の向上と、を両立することができる。
【0057】
以下、本実施例のATM100が実行する取引開始前処理及び取引処理について説明する。ATM100は、入金取引処理、出金取引処理、残高照会処理、及び振込取引処理等を含む種々の取引処理を実行可能であってもよいが、本実施例では取引処理の例として、入金取引処理及び出金取引処理について説明する。
【0058】
図5は、取引開始前処理の一例を示すフローチャートである。取引開始前処理部111は、取引開始案内を実行する(S501)。具体的には、例えば、取引開始前処理部111は、カード・明細票口103へのカードの挿入を受け付け可能な状態に制御し、分割表示制御部114は、取引開始案内画面を分割表示状態で表示装置101に表示する。
【0059】
取引開始前処理部111は、カード・明細票口103にカードが挿入されたかを判定する(S502)。取引開始前処理部111は、カードが挿入されていないと判定した場合(S502:NO)、ステップS501の取引開始案内を開始してから所定時間が経過したかを判定する(S503)。取引開始前処理部111は、ステップS501の取引開始案内を開始してから所定時間が経過していないと判定した場合(S503:NO)、ステップS502に戻る。
【0060】
取引開始前処理部111は、ステップS501の取引開始案内を開始してから所定時間が経過したと判定した場合(S503:YES)、アイドル状態へと移行する(S504)。具体的には、例えば、アイドル状態においては、全画面表示制御部113は、表示装置101の表示を全画面表示状態のアイドル状態用画面に制御する。なお、アイドル状態において、取引開始前処理部111は、カード・明細票口103へのカードの挿入を受け付け不可能な状態に制御してもよい。
【0061】
取引開始前処理部111は、アイドル状態において表示装置101の表示画面にタッチされたかを判定する(S505)。取引開始前処理部111は、表示装置101の表示画面にタッチされていないと判定した場合(S505:NO)、アイドル状態を継続してステップS505の判定を再度実行する。取引開始前処理部111は、表示装置101の表示画面にタッチされたと判定した場合(S505:YES)、ステップS501に戻る。
【0062】
取引開始前処理部111は、カードが挿入されたと判定した場合(S502:YES)、カードが正常であるかを判定する(S506)。具体的には、例えば、取引開始前処理部111は、カードの磁気ストライプやIC(Integrated Circuit)を正常に読み取れたか否かによってカードが正常であるかを判定する。
【0063】
取引開始前処理部111は、カードが正常でないと判定した場合(S506:NO)、カードをカード・明細票口103から排出し、全画面表示制御部113は、表示装置101に全画面表示状態のカード返却用の媒体返却画面を表示して(S507)、ステップS501に戻る。
【0064】
取引開始前処理部111は、カードが正常であると判定した場合(S506:YES)、カードが挿入された方向が正常であるかを判定する(S508)。取引開始前処理部111は、カードが挿入された方向が正常でないと判定した場合(S508:NO)、カードをカード・明細票口103から排出し、分割表示制御部114は、表示装置101に分割表示状態のカード返却用の媒体返却画面を表示する(S509)。
【0065】
取引開始前処理部111は、カードの再挿入を受け付け可能な状態に制御し、分割表示制御部114は、カードの挿入方向を逆にしてカードをカード・明細票口103に挿入することを案内するカード再挿入案内を分割表示状態で表示装置101に表示する(S510)。
【0066】
取引開始前処理部111は、カード・明細票口103にカードが再挿入されたかを判定する(S511)。取引開始前処理部111は、カードが再挿入されたと判定した場合(S511:YES)、ステップS506に戻る。取引開始前処理部111は、カードが再挿入されていないと判定した場合(S511:NO)、ステップS510のカード再挿入案内を継続して、ステップS511の判定を再度実行する。
【0067】
取引開始前処理部111は、カードが挿入された方向が正常であると判定した場合(S508:YES)、分割表示制御部114は、挿入されたカードに対応する金融機関の取引開始画面を分割表示状態で表示装置101に表示する(S512)。取引開始画面においては、取引表示領域310に各取引を開始するためのボタン(入金ボタンや出金ボタン等)、及び取引を実行せずにカードを排出させるためのボタン(取消ボタン)を含む、取引種別選択ボタンが表示されている。
【0068】
取引開始前処理部111は、取引開始画面において利用者が選択したボタンに対応する取引種別を判定し(S513)、当該取引種別に対応する処理を実行する。具体的には、例えば、取引開始前処理部111は、当該取引種別が入金取引であると判定した場合(S513:入金)、後述する入金取引処理へ遷移し、当該取引種別が出金取引であると判定した場合(S513:出金)、後述する出金取引処理へ遷移し、当該取引種別が取消であると判定した場合(S513:取消)、ステップS507に遷移する。
【0069】
図6は、入金取引処理の一例を示すフローチャートである。取引処理部112は、紙幣投入案内を実行する(S601)。具体的には、例えば、取引処理部112は、紙幣口105を開放して紙幣口105への紙幣の投入を受け付け可能な状態に制御し、分割表示制御部114は、紙幣投入案内画面を分割表示状態で表示装置101に表示する。
【0070】
取引処理部112は、紙幣投入案内を開始してから所定時間が経過した、又は紙幣口105を閉鎖するための指示ボタン(例えば紙幣投入案内画面に表示されている)が選択されたと判定した場合に、紙幣口105を閉鎖して、紙幣口105に投入された紙幣を計数する(S602)。
【0071】
取引処理部112は、紙幣の挿入に異常が発生しているかを判定する(S603)。具体的には、例えば、取引処理部112は、紙幣口105に異物が投入された、紙幣口105に投入された紙幣に対する読み取りエラーが発生した、投入された紙幣が折れ曲がっている、又は計数された紙幣の枚数と紙幣入出金装置108の紙幣庫に収納されている紙幣の枚数との合計数が当該紙幣庫の容量を超過している、等の所定の事象が発生したと判定した場合に、紙幣の挿入に異常が発生していると判定し、当該所定の事象のいずれも発生していないと判定した場合に、紙幣の挿入に異常が発生していないと判定する。
【0072】
取引処理部112は、紙幣の挿入に異常が発生していると判定した場合(S603:YES)、媒体(紙幣)を紙幣口105から排出し、分割表示制御部114は、表示装置101に分割表示状態の紙幣返却用の媒体返却画面を表示して(S604)、ステップS601に戻る。
【0073】
取引処理部112は、紙幣の挿入に異常が発生していないと判定した場合(S603:NO)、分割表示制御部114は、入金額確認画面を分割表示状態で表示装置101に表示する(S605)。入金額確認画面には、例えば、ステップS602において計数された入金対象の紙幣の合計金額と、当該合計金額の紙幣の入金の実行を指示するための実行ボタンと、入金を取消するための取消ボタンと、が表示されている。
【0074】
取引処理部112は、利用者によって入金の実行が指示されたかを判定する(S606)。取引処理部112は、例えば、入金額確認画面が表示されてから実行ボタン及び取消ボタンのいずれも選択されることなく所定時間が経過したと判定した場合、又は入金額確認画面の取消ボタンが選択されたと判定した場合に入金の実行が取り消されたと判定し(S606:NO)、後述するステップS613に遷移する。
【0075】
取引処理部112は、例えば、入金額確認画面の実行ボタンが選択された場合に入金の実行が指示されたと判定し(S606:YES)、対応金融機関の勘定系システムとの間で、当該入金額に対応する入金電文の送受信を実行する(S607)。
【0076】
取引処理部112は、ステップS607において対応金融機関の勘定系システムから入金を許可することを示す入金電文を受信したかを判定する(S608)。取引処理部112は、入金を許可することを示す入金電文を受信したと判定した場合(S608:YES)、分割表示制御部114は、当該入金が行われた後の当該カードの口座の残高を示す残高確認画面を分割表示状態で表示する(S609)。
【0077】
取引処理部112は、紙幣口105に投入された紙幣を紙幣入出金装置108の紙幣庫に取り込んで収納する入金処理を実行し、入金処理を実行している間に、分割表示制御部114は、処理の実行中であるために利用者を待たせていることを示す処理待ち画面を分割表示状態で表示装置101に表示する(S610)。
【0078】
取引処理部112は、カード及び明細票をカード・明細票口103から排出し、全画面表示制御部113は、表示装置101に全画面表示状態のカード・明細票返却用の媒体返却画面を表示する(S611)。分割表示制御部114は、入金取引が終了したことを示す入金取引終了画面を分割表示状態で表示装置101に表示して(S612)、取引開始前処理へ遷移する。
【0079】
取引処理部112は、入金を許可することを示す入金電文を受信できなかったと判定した場合(S608:NO)、分割表示制御部114は、入金が拒否されたことを示す入金拒否案内画面を分割表示状態で表示装置101に表示する(S613)。
【0080】
取引処理部112は、入金中止処理を実行し、入金中止処理を実行している間に、分割表示制御部114は、処理待ち画面を分割表示状態で表示装置101に表示する(S614)。取引処理部112は、投入された紙幣を紙幣口105から排出し、全画面表示制御部113は、表示装置101に全画面表示状態の紙幣返却用の媒体返却画面を表示する(S615)。取引処理部112は、カードをカード・明細票口103から排出し、全画面表示制御部113は、表示装置101に全画面表示状態のカード返却用の媒体返却画面を表示し(S616)、取引開始前処理へ遷移する。
【0081】
図7は、出金取引処理の一例を示すフローチャートである。分割表示制御部114は、暗証番号の入力を促すための暗証番号入力案内画面を分割表示状態で表示装置101に表示し、取引処理部112は、利用者によるキーパッド102への暗証番号の入力を受け付ける(S701)。
【0082】
取引処理部112は、例えば、対応金融機関の勘定系システムに、入力された暗証番号が正しいかを問い合わせる等して、入力された暗証番号が正しいかを判定する(S702)。取引処理部112は、入力された暗証番号が正しいと判定した場合(S702:YES)、分割表示制御部114は、出金額の入力を促すための出金額入力案内画面を分割表示状態で表示装置101に表示し、取引処理部112は、キーパッド102を用いた利用者による出金額の入力を受け付ける(S703)。
【0083】
取引処理部112は、対応金融機関の勘定系システムとの間で、入力された出金額に対応する出金電文の送受信を実行する(S704)。取引処理部112は、ステップS704において対応金融機関の勘定系システムから出金を許可することを示す出金電文を受信したかを判定する(S705)。
【0084】
取引処理部112は、出金を許可することを示す出金電文を受信できなかったと判定した場合(S705:NO)、分割表示制御部114は、出金が拒否されたことを示す出金拒否案内画面を分割表示状態で表示装置101に表示する(S706)。
【0085】
取引処理部112は、出金中止処理を実行し、出金中止処理を実行している間に、分割表示制御部114は、処理待ち画面を分割表示状態で表示装置101に表示する(S707)。取引処理部112は、カードをカード・明細票口103から排出し、全画面表示制御部113は、表示装置101に全画面表示状態のカード返却用の媒体返却画面を表示し(S708)、取引開始前処理へ遷移する。
【0086】
取引処理部112は、出金を許可することを示す出金電文を受信したと判定した場合(S705:YES)、分割表示制御部114は、当該出金が行われた後の当該カードの口座の残高を示す残高確認画面を分割表示状態で表示する(S709)。なお、ステップS709で表示される残高確認画面には、明細票を発行することを指示するための明細票発行ボタン、及び明細票を発行しないことを指示するための明細票非発行ボタンがさらに表示されている。
【0087】
取引処理部112は、出金額分の紙幣を紙幣入出金装置108の紙幣庫から紙幣口105に搬送させる出金処理を実行し、出金処理を実行している間に、分割表示制御部114は、処理待ち画面を分割表示状態で表示装置101に表示する(S710)。
【0088】
取引処理部112は、利用者から明細票の発行を指示されたかを判定する(S711)。取引処理部112は、例えば、残高確認画面の明細票発行ボタンが選択されたと判定した場合、又は残高確認画面が表示されてから明細票発行ボタン及び明細票非発行ボタンのいずれも選択されることなく所定時間が経過したと判定した場合に、明細票の発行が指示されたと判定し(S711:YES)、紙幣口105に搬送された紙幣を紙幣口105から排出し、全画面表示制御部113は、表示装置101に全画面表示状態の紙幣返却用の媒体返却画面を表示する(S712)。
【0089】
取引処理部112は、カード及び明細票をカード・明細票口103から排出し、全画面表示制御部113は、表示装置101に全画面表示状態のカード・明細票返却用の媒体返却画面を表示する(S713)。分割表示制御部114は、出金取引が終了したことを示す出金取引終了画面を分割表示状態で表示装置101に表示して(S714)、取引開始前処理へ遷移する。
【0090】
取引処理部112は、例えば、残高確認画面の明細票非発行ボタンが選択されたと判定した場合、明細票の発行を指示されなかったと判定し(S711:NO)、紙幣口105に搬送された紙幣を紙幣口105から排出し、全画面表示制御部113は、表示装置101に全画面表示状態の紙幣返却用の媒体返却画面を表示する(S715)。
【0091】
取引処理部112は、カードをカード・明細票口103から排出し、全画面表示制御部113は、表示装置101に全画面表示状態のカード返却用の媒体返却画面を表示し(S716)、ステップS714に遷移する。
【0092】
図8Aは、ステップS501における取引開始案内画面の表示コンテンツの一例を示す図である。図8Aの例では、表示領域300の表示状態は、取引表示領域310が通常位置に位置する分割表示状態である。
【0093】
取引表示領域310には、カードをカード・明細票口103に挿入すると取引が開始することを示す案内が表示されている。上部背景表示領域321には、銀行の広告が表示されている。下部背景表示領域322には、ATM100の一部の機能が制限されていること(千円札の入金ができないこと)を示す表示と、ボタン323と、が表示されている。
【0094】
図8Bは、ステップS501における取引開始案内画面の表示コンテンツの一例を示す図である。図8Bの例では、表示領域300の表示状態は、取引表示領域310が下部に位置する分割表示状態である。
【0095】
図8Bにおける取引表示領域310、上部背景表示領域321、及び中部背景表示領域324における表示内容は、それぞれ、図8Aにおける取引表示領域310、上部背景表示領域321、及び下部背景表示領域322における表示内容と同様である。但し、中部背景表示領域324には、ボタン323に代えてボタン325が表示されている。
【0096】
このように、分割表示状態による表示が行われる処理が実行されているときには、取引表示領域310の位置が変更されても、処理が切り替わらない限り、(ボタン323がボタン325に変化する点を除いて)表示の位置が変化するだけであり、表示内容は変化しない。
【0097】
図9は、ステップS504におけるアイドル状態用画面の表示コンテンツの一例を示す図である。図9の例では、表示領域300の表示状態は、アイドル状態用の全画面表示状態である。全画面用上部表示領域331には、銀行の広告が表示されている。全画面用下部表示領域332には、表示領域300へのタッチを促す表示が表示されている。
【0098】
図10Aは、ステップS512における取引開始画面の表示コンテンツの一例を示す図である。図10Aの例では、表示領域300の表示状態は、取引表示領域310が通常位置に位置する分割表示状態である。取引表示領域310には、各種取引を開始するためのボタン、及び取消ボタンを含む取引に関するボタンが表示されている。
【0099】
上部背景表示領域321には、対応金融機関の広告やロゴ等が表示されている。下部背景表示領域322には、ATM100の一部の機能が制限されていること(千円札の入金ができないこと)を示す表示と、ボタン323と、が表示されている。
【0100】
なお、ボタン323の表示位置は、利用者による操作ミスを防ぐために、他のボタン(特に、取引表示領域310内の取引に関するボタン)の表示位置と所定距離以上(例えば、20cm以上)離れていることが望ましい。
【0101】
また、右利きの利用者が取引表示領域310内のボタンを操作する際に、ボタン323に当該利用者の服の袖口が誤って触れないようにするために、ボタン323の表示位置は、取引表示領域310の左右方向の中央よりも左側に位置することが望ましい。
【0102】
図10Bは、ステップS512における取引開始画面の表示コンテンツの一例を示す図である。図10Bの例では、表示領域300の表示状態は、取引表示領域310が下部に位置する分割表示状態である。
【0103】
図10Bにおける取引表示領域310、上部背景表示領域321、及び中部背景表示領域324における表示内容は、それぞれ、図10Aにおける取引表示領域310、上部背景表示領域321、及び下部背景表示領域322における表示内容と同様である。但し、中部背景表示領域324には、ボタン323に代えてボタン325が表示されている。
【0104】
なお、ボタン325の表示位置は、利用者による操作ミスを防ぐために、他のボタン(特に、取引表示領域310内の取引に関するボタン)の表示位置と所定距離以上(例えば、20cm以上)離れていることが望ましい。
【0105】
また、取引表示領域310が通常位置に位置する分割表示状態から、取引表示領域310が下部に位置する分割表示状態へと切り替わったときに、利用者がボタン325を見つけやすいようにするために、ボタン325の表示位置は、ボタン323と同様に取引表示領域310の左右方向の中央よりも右側に位置していることが望ましい。一方、右利きの利用者がボタン325を操作する際に右手を上げる際に、取引表示領域310内のボタンに当該利用者の服の袖口が誤って触れないようにするために、ボタン325の表示位置は、取引表示領域310の左右方向の中央よりも右側に位置していてもよい。
【0106】
図11は、ステップS604における分割表示状態の紙幣返却用の媒体返却画面の表示コンテンツの一例を示す図である。ステップS604においては、取引開始案内状態に戻ることなく取引を実行可能(継続可能)な状態であるため、表示領域300の表示状態は、(取引表示領域310が通常位置に位置する)分割表示状態である。上部背景表示領域321及び下部背景表示領域322における表示内容は、図8A等と同様である。
【0107】
取引表示領域310には、紙幣口105から紙幣を取り出すことを案内する表示が表示されている。なお、ステップS509においては、図12の取引表示領域310の表示を、カード・明細票口103からカードを取り出すことを案内する表示に変更された表示が、分割表示状態で表示される。取引が継続可能な状態において分割表示状態による媒体返却画面が表示されることにより、媒体返却の案内と、広告等の訴求効果の向上と、を両立することができる。
【0108】
図12Aは、ステップS712における全画面表示状態の紙幣返却用の媒体返却画面の表示コンテンツの一例を示す図である。全画面表示領域333には、返却物リスト1201と、ステップS712において返却中の媒体である紙幣の画像1202と、が表示されている。
【0109】
返却物リスト1201には、当該取引の終了までに、返却される媒体及び返却済みの媒体の画像が表示される。ステップS712において紙幣が返却され、続いて実行されるステップS713においてカード及び明細票が返却されるため、図12Aの返却物リスト1201には紙幣、カード、及び明細票の画像が表示されている。
【0110】
このように、返却物リスト1201には、返却中の媒体の画像のみならず続いて返却される媒体の画像も表示されることにより、返却される媒体を利用者が取り忘れることを防止することができる。
【0111】
紙幣の画像1202が、全画面表示領域333の中央よりも下部の領域1203(例えば、領域1203は全画面表示領域333の下端を含む)に向かって移動する動画が表示されている。紙幣の画像1202が表示される初期位置から領域1203を投影した先に(つまり当該動画における紙幣の画像1202の移動方向上に)、返却中の媒体である紙幣が排出される紙幣口105が位置するよう、当該初期位置と領域1203の位置(つまり当該動画におけるカードの画像1205及び明細票の画像1206の移動方向)が定められている。これにより、利用者は返却中の媒体が排出される機構の位置を容易に把握することができ、返却中の媒体をスムーズに受け取ることができる。
【0112】
図12Bは、ステップS713おける全画面表示状態のカード及び明細票返却用の媒体返却画面の表示コンテンツの一例を示す図である。全画面表示領域333には、返却物リスト1201と、ステップS712において返却中の媒体であるカードの画像1205及び明細票の画像1206と、が表示されている。
【0113】
返却物リスト1201には、ステップS713においてカード及び明細票が返却され、直前のステップS712において紙幣が返却されたため、図12Bの返却物リスト1201には紙幣、カード、及び明細票の画像が表示されている。また、返却物リスト1201の返却済みの媒体の画像に重ねてチェックマーク1204が表示される。図12Bの例では、紙幣が返却済みであるため、返却物リスト1201内の紙幣の画像に重ねてチェックマーク1204が表示されている。
【0114】
このように、返却物リスト1201において、返却済の媒体の画像にはチェックマーク1204が重ねて表示されることで、利用者はのみならず続いて返却される媒体の画像も表示されることにより、利用者は返却中の媒体と、返却済みの媒体と、を容易に区別して認識することができる。
【0115】
カードの画像1205及び明細票の画像1206が、全画面表示領域333の中央寄りも下部の領域1207(例えば、領域1207は、全画面表示領域333の下端を含む)に向かって移動する動画が表示されている。カードの画像1205及び明細票の画像1206が表示される初期位置から領域1207を投影した先に(つまり当該動画におけるカードの画像1205及び明細票の画像1206の移動方向上に)、返却中の媒体であるカード及び明細票が排出されるカード・明細票口103が位置するよう、当該初期位置と領域1207の位置(つまり当該動画におけるカードの画像1205及び明細票の画像1206の移動方向)が定められている。これにより、利用者は返却中の媒体が排出される機構の位置を容易に把握することができ、返却中の媒体をスムーズに受け取ることができる。
【0116】
ステップS507、ステップS611、ステップS615、ステップS616、ステップS708、ステップS715、及びステップS716においても、返却物リスト1201内の画像、返却中の媒体の画像、及び動画がそれぞれの処理に対応した態様で、図12A図12Bのような全画面表示状態の媒体返却画面が表示される。
【0117】
具体的には、例えば、ステップS507及びステップS708においては、返却物リスト1201内にカードの画像が表示され、返却中の媒体の画像としてカードの画像1205が表示され、カードの画像1205が領域1207に向かって移動する動画が表示される。
【0118】
また、例えば、ステップS611においては、返却物リスト1201内にカードの画像及び明細票の画像が表示され、返却中の媒体の画像としてカードの画像1205及び明細票の画像1206が表示され、カードの画像1205及び明細票の画像1206が領域1207に向かって移動する動画が表示される。
【0119】
また、例えば、ステップS615及びステップS715においては、返却物リスト1201内に紙幣の画像及びカードの画像が表示され、返却中の媒体の画像として紙幣の画像1202が表示され、紙幣の画像1202が領域1203に向かって移動する動画が表示される。
【0120】
また、例えば、ステップS616及びステップS716においては、返却物リスト1201内に紙幣の画像及びカードの画像が表示され、返却物リスト1201内の紙幣の画像に返却済みであることを示すチェックマーク1204が重ねて表示され、返却中の媒体の画像としてカードの画像1205が表示され、カードの画像1205が領域1207に向かって移動する動画が表示される。
【0121】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0122】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0123】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0124】
100 ATM、101 表示画面、103 カード・明細票口、105 紙幣口、110 CPU、111 取引開始前処理部、112 取引処理部、113 全画面表示制御部、114 分割表示制御部、115 背景表示制御部、116 取引表示制御部、120 メモリ、130 補助記憶装置、131 背景表示情報、132 取引表示情報、133 全画面表示情報、140 通信装置、310 取引表示領域、321 上部背景表示領域、322 下部背景表示領域、323 ボタン、324 中部背景表示領域、325 ボタン、331 全画面用上部表示領域、332 全画面用背景表示領域、333 全画面表示領域
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12A
図12B