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2025-4436充填装置の制御装置、充填装置、充填装置の制御方法、及びプログラム
<図1>
  • -充填装置の制御装置、充填装置、充填装置の制御方法、及びプログラム 図1
  • -充填装置の制御装置、充填装置、充填装置の制御方法、及びプログラム 図2
  • -充填装置の制御装置、充填装置、充填装置の制御方法、及びプログラム 図3
  • -充填装置の制御装置、充填装置、充填装置の制御方法、及びプログラム 図4
  • -充填装置の制御装置、充填装置、充填装置の制御方法、及びプログラム 図5
  • -充填装置の制御装置、充填装置、充填装置の制御方法、及びプログラム 図6
  • -充填装置の制御装置、充填装置、充填装置の制御方法、及びプログラム 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004436
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】充填装置の制御装置、充填装置、充填装置の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B67C 3/28 20060101AFI20250107BHJP
   B65B 3/30 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
B67C3/28
B65B3/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104124
(22)【出願日】2023-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】高野 大樹
【テーマコード(参考)】
3E079
3E118
【Fターム(参考)】
3E079AA10
3E079AB01
3E079CC01
3E079CC21
3E079CC23
3E079CD44
3E079CD50
3E118AA02
3E118AB14
3E118BB02
3E118DA02
3E118DA05
3E118DA08
3E118EA06
3E118FA03
3E118FA04
3E118FA07
(57)【要約】
【課題】フィードフォワード制御と、フィードバック制御とによって、充填バルブに対して閉鎖指令を出力するタイミングを高い精度で予測しつつ、容器における液体の充填量のバラツキを少なくする。
【解決手段】第2落差補正量算出式に、単位時間当たりの液体の供給量を代入して得られる第2落差補正量に基づいて、第1落差予測量を補正した第2落差予測量を算出する。容器に供給される液体の積算量である充填積算量を算出し、設定充填量から、所定期間において算出される第2落差予測量を減算して得られる閉鎖充填量と、充填積算量とに基づいて、閉鎖指令を出力し、閉鎖指令を出力してから充填バルブが閉鎖するまでの液体の量である実績落差量を算出する。第1落差補正量算出式に、算出された実績落差量と、閉鎖指令が出力された際の第2落差予測量とを代入して得られる第1落差補正量に基づいて、第1落差予測量を補正して新たな第1落差予測量を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に液体を充填する充填バルブと、前記充填バルブにおける液体が流れる通路の開閉を制御する制御装置と、を備える充填装置における前記制御装置であって、
前記容器への単位時間当たりの液体の供給量を算出する供給量算出部と、
第2落差補正量算出式に、前記供給量算出部が算出する前記単位時間当たりの液体の供給量を代入して得られる第2落差補正量に基づいて、第1落差予測量を補正した第2落差予測量を算出する第2落差予測量算出部と、
前記容器に供給される前記液体の積算量である充填積算量を算出し、予め定められる設定充填量から、閉鎖指令を前記充填バルブに対して出力する前の所定期間において前記第2落差予測量算出部が算出する前記第2落差予測量を減算して得られる閉鎖充填量と、前記充填積算量とに基づいて、前記閉鎖指令を出力し、前記閉鎖指令を出力してから前記充填バルブが閉鎖するまでの液体の量である実績落差量を算出する充填量管理部と、
第1落差補正量算出式に、前記充填量管理部が算出する前記実績落差量と、前記閉鎖指令が出力された際の前記第2落差予測量とを代入して得られる第1落差補正量に基づいて、前記第1落差予測量を補正して新たな第1落差予測量を算出する第1落差予測量算出部と、
を備える充填装置の制御装置。
【請求項2】
前記第2落差補正量算出式は、
前記第2落差予測量と前記第1落差予測量の差と、前記単位時間当たりの液体の供給量との関係を線形近似した関数で表される式であり、
前記第2落差予測量算出部は、
前記第2落差補正量を、前記第1落差予測量に加算して、前記第2落差予測量を算出する、
請求項1に記載の充填装置の制御装置。
【請求項3】
前記第1落差補正量算出式は、
前記充填量管理部が算出する前記実績落差量から、前記閉鎖指令が出力された際の前記第2落差予測量を減算して得られる落差偏差量に、予め定められる係数を乗算する式であり、
前記第1落差予測量算出部は、
前記第1落差補正量を、前記第1落差予測量に加算して、新たな前記第1落差予測量を算出する、
請求項1に記載の充填装置の制御装置。
【請求項4】
前記充填量管理部は、
予め定められる前記充填バルブの開度を変更するタイミングを示す変更パターンデータと、充填を開始する際に計時を開始する経過時間とに基づいて、前記所定期間であるか否かを判定する、
請求項1に記載の充填装置の制御装置。
【請求項5】
容器に液体を充填する充填バルブと、前記充填バルブにおける液体が流れる通路の開閉を制御する制御装置と、を備える充填装置であって、
前記制御装置は、
前記容器への単位時間当たりの液体の供給量を算出する供給量算出部と、
第2落差補正量算出式に、前記供給量算出部が算出する前記単位時間当たりの液体の供給量を代入して得られる第2落差補正量に基づいて、第1落差予測量を補正した第2落差予測量を算出する第2落差予測量算出部と、
前記容器に供給される前記液体の積算量である充填積算量を算出し、予め定められる設定充填量から、閉鎖指令を前記充填バルブに対して出力する前の所定期間において前記第2落差予測量算出部が算出する前記第2落差予測量を減算して得られる閉鎖充填量と、前記充填積算量とに基づいて、前記閉鎖指令を出力し、前記閉鎖指令を出力してから前記充填バルブが閉鎖するまでの液体の量である実績落差量を算出する充填量管理部と、
第1落差補正量算出式に、前記充填量管理部が算出する前記実績落差量と、前記閉鎖指令が出力された際の前記第2落差予測量とを代入して得られる第1落差補正量に基づいて、前記第1落差予測量を補正して新たな第1落差予測量を算出する第1落差予測量算出部と、
を備える充填装置。
【請求項6】
容器に液体を充填する充填バルブを備える充填装置において、前記充填バルブにおける液体が流れる通路の開閉を制御する制御方法であって、
前記容器への単位時間当たりの液体の供給量を算出する供給量算出ステップと、
第2落差補正量算出式に、前記供給量算出ステップによって算出された前記単位時間当たりの液体の供給量を代入して得られる第2落差補正量に基づいて、第1落差予測量を補正した第2落差予測量を算出する第2落差予測量算出ステップと、
前記容器に供給される前記液体の積算量である充填積算量を算出し、予め定められる設定充填量から、閉鎖指令を前記充填バルブに対して出力する前の所定期間において前記第2落差予測量算出ステップによって算出された前記第2落差予測量を減算して得られる閉鎖充填量と、前記充填積算量とに基づいて、前記閉鎖指令を出力する閉鎖指令出力ステップと、
前記閉鎖指令出力ステップによって前記閉鎖指令が出力されてから前記充填バルブが閉鎖するまでの液体の量である実績落差量を算出する実績落差量算出ステップと、
第1落差補正量算出式に、前記実績落差量算出ステップによって算出された前記実績落差量と、前記閉鎖指令が出力された際の前記第2落差予測量とを代入して得られる第1落差補正量に基づいて、前記第1落差予測量を補正して新たな第1落差予測量を算出する第1落差予測量算出ステップと、
を含む充填装置の制御方法。
【請求項7】
容器に液体を充填する充填バルブと、前記充填バルブにおける液体が流れる通路の開閉を制御する制御装置と、を備える充填装置における前記制御装置として用いられるコンピュータを、
前記容器への単位時間当たりの液体の供給量を算出する供給量算出手段、
第2落差補正量算出式に、前記供給量算出手段が算出する前記単位時間当たりの液体の供給量を代入して得られる第2落差補正量に基づいて、第1落差予測量を補正した第2落差予測量を算出する第2落差予測量算出手段、
前記容器に供給される前記液体の積算量である充填積算量を算出し、予め定められる設定充填量から、閉鎖指令を前記充填バルブに対して出力する前の所定期間において前記第2落差予測量算出手段が算出する前記第2落差予測量を減算して得られる閉鎖充填量と、前記充填積算量とに基づいて、前記閉鎖指令を出力し、前記閉鎖指令を出力してから前記充填バルブが閉鎖するまでの液体の量である実績落差量を算出する充填量管理手段、
第1落差補正量算出式に、前記充填量管理手段が算出する前記実績落差量と、前記閉鎖指令が出力された際の前記第2落差予測量とを代入して得られる第1落差補正量に基づいて、前記第1落差予測量を補正して新たな第1落差予測量を算出する第1落差予測量算出手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、充填装置の制御装置、充填装置、充填装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
飲料等の液体を容器に充填する充填装置では、液体を貯留するタンクと、容器に液体を充填する充填バルブとを接続する供給管に流量計を挿入し、供給管を流れる液体の流量を流量計によって測定しつつ容器に所定量の液体を充填することが行われる。充填バルブは、例えば、エアの圧力によって弁を開閉することから、充填バルブに対して電気的な閉鎖指令が出力されてから、実際に充填バルブが閉鎖するまでに時間差が生じる。この時間差のために、充填バルブに対して閉鎖指令が出力された後、実際に充填バルブが閉鎖するまでの間に、液体が容器に充填され続けることになる。このように、充填バルブに対して閉鎖指令が出力されたタイミングよりも後に充填される液体の量が、いわゆる落差量になる。
【0003】
落差量を調節することは困難であることから、所定量の液体を容器に充填するためには、落差量を事前に予測する必要がある。正確な落差量を予測することができれば、流量計で測定した液体の量が、所定量から、予測した落差量を減算した量になったタイミングで閉鎖指令を充填バルブに出力することにより、所定量の液体を容器に充填することができる。
【0004】
ただし、落差量は、様々な外乱によって変動することから、落差量の予測手法として、これまでに様々な技術が提案されている。例えば、特許文献1には、容器に充填される飲料の流量を、多くする大投入段階と、当該流量を少なくする小投入段階との2段階で、容器に飲料を充填する重量式充填装置が開示されている。この重量式充填装置では、充填する飲料に温度変化が生じた場合に、飲料の流量が変化するという課題を解決するために、飲料の流量の変化量と、それに伴う落差量の変化量とを考慮して、大投入段階から小投入段階に切り替えるタイミングと、飲料の供給を停止するタイミングとを変更する。
【0005】
特許文献2には、給液配管を流れる液体の瞬時流量を測定し、測定した瞬時流量を積算することにより、容器に充填される液体の積算値を算出し、算出した積算値が、予め定められる目標値になるように充填バルブを調節する定量充填装置が開示されている。この定量充填装置では、給液配管を流れる液体の瞬時流量と、落差補正値との関係を予め設定しておき、当該関係に基づいて、測定した瞬時流量から落差補正値を特定し、目標値から落差補正値を減算した値が、積算値になった場合に、充填バルブを閉じる指令を出力する。なお、特許文献2の落差補正値は、上記した落差量と同義である。
【0006】
特許文献2の定量充填装置では、複数のタンクからの同時充填において、充填の状況により、個々のタンクからの充填流速がその都度異なるために、落差補正値の設定に手間がかかるという課題を解決するため、充填完了後に容器に充填された液体の量を測定することにより、実績の落差補正値を求め、求めた実績の落差補正値に基づいて、瞬時流量と、落差補正値との関係を書き換えるという構成も備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007-047120号公報
【特許文献2】特開2011-051624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示される技術では、変更する2つのタイミング、すなわち大投入段階から小投入段階に切り替えるタイミングと、飲料の供給を停止するタイミングとを求めるために、連立方程式を解くといった処理が行われる。しかしながら、特許文献1において開示されている大投入段階と、小投入段階という2段階であれば、二元一次連立方程式を解けばよいが、小投入段階、大投入段階、小投入段階のように、段階が増えていくと、連立方程式が複雑になる。連立方程式が複雑になると、それに応じて解を求めるのに要する時間も長くなる。そのため、例えば、高い応答性能が要求されるフィードフォワード制御に適用するのが難しくなるという課題がある。
【0009】
また、特許文献1に開示される技術では、大投入段階から小投入段階に切り替えるタイミングと、飲料の供給を停止するタイミングとを変更するための制御として、フィードバック制御と、フィードフォワード制御の何れか一方の制御を選択して用いるようにしている。これに対して、所定量の液体を、より正確に容器に充填するためには、フィードバック制御と、フィードフォワード制御との両方が行われるのが望ましい。
【0010】
特許文献2に開示される技術では、フィードフォワード制御によって、瞬時流量に応じた落差補正値を選択しつつ、フィードバック制御によって、瞬時流量と、落差補正値との関係を更新するようにしている。しかしながら、瞬時流量と、落差補正値との関係の更新の手法は、直前の落差補正量が「0」である場合、実績の落差補正量を新たな落差補正値とし、直前の落差補正量が「0」でない場合、直前の落差補正量と実績の落差補正量の平均値を、新たな落差補正値とする手法である。そのため、例えば、直前の落差補正値と、実績の落差補正値との違いが大きい場合、新たな落差補正量が大きく変動してしまい、落差補正値が収束するまでの間、容器に充填される液体の充填量にバラツキが多く発生してしまうという課題がある。
【0011】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、フィードフォワード制御と、フィードバック制御とによって、充填バルブに対して閉鎖指令を出力するタイミングを高い精度で予測しつつ、容器における液体の充填量のバラツキを少なくする充填装置の制御装置、充填装置、充填装置の制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本開示に係る充填装置の制御装置は、容器に液体を充填する充填バルブと、前記充填バルブにおける液体が流れる通路の開閉を制御する制御装置と、を備える充填装置における前記制御装置であって、前記容器への単位時間当たりの液体の供給量を算出する供給量算出部と、第2落差補正量算出式に、前記供給量算出部が算出する前記単位時間当たりの液体の供給量を代入して得られる第2落差補正量に基づいて、第1落差予測量を補正した第2落差予測量を算出する第2落差予測量算出部と、前記容器に供給される前記液体の積算量である充填積算量を算出し、予め定められる設定充填量から、閉鎖指令を前記充填バルブに対して出力する前の所定期間において前記第2落差予測量算出部が算出する前記第2落差予測量を減算して得られる閉鎖充填量と、前記充填積算量とに基づいて、前記閉鎖指令を出力し、前記閉鎖指令を出力してから前記充填バルブが閉鎖するまでの液体の量である実績落差量を算出する充填量管理部と、第1落差補正量算出式に、前記充填量管理部が算出する前記実績落差量と、前記閉鎖指令が出力された際の前記第2落差予測量とを代入して得られる第1落差補正量に基づいて、前記第1落差予測量を補正して新たな第1落差予測量を算出する第1落差予測量算出部と、を備える。
【0013】
本開示に係る充填装置は、容器に液体を充填する充填バルブと、前記充填バルブにおける液体が流れる通路の開閉を制御する制御装置と、を備える充填装置であって、前記制御装置は、前記容器への単位時間当たりの液体の供給量を算出する供給量算出部と、第2落差補正量算出式に、前記供給量算出部が算出する前記単位時間当たりの液体の供給量を代入して得られる第2落差補正量に基づいて、第1落差予測量を補正した第2落差予測量を算出する第2落差予測量算出部と、前記容器に供給される前記液体の積算量である充填積算量を算出し、予め定められる設定充填量から、閉鎖指令を前記充填バルブに対して出力する前の所定期間において前記第2落差予測量算出部が算出する前記第2落差予測量を減算して得られる閉鎖充填量と、前記充填積算量とに基づいて、前記閉鎖指令を出力し、前記閉鎖指令を出力してから前記充填バルブが閉鎖するまでの液体の量である実績落差量を算出する充填量管理部と、第1落差補正量算出式に、前記充填量管理部が算出する前記実績落差量と、前記閉鎖指令が出力された際の前記第2落差予測量とを代入して得られる第1落差補正量に基づいて、前記第1落差予測量を補正して新たな第1落差予測量を算出する第1落差予測量算出部と、を備える。
【0014】
本開示に係る充填装置の制御方法は、容器に液体を充填する充填バルブを備える充填装置において、前記充填バルブにおける液体が流れる通路の開閉を制御する制御方法であって、前記容器への単位時間当たりの液体の供給量を算出する供給量算出ステップと、第2落差補正量算出式に、前記供給量算出ステップによって算出された前記単位時間当たりの液体の供給量を代入して得られる第2落差補正量に基づいて、第1落差予測量を補正した第2落差予測量を算出する第2落差予測量算出ステップと、前記容器に供給される前記液体の積算量である充填積算量を算出し、予め定められる設定充填量から、閉鎖指令を前記充填バルブに対して出力する前の所定期間において前記第2落差予測量算出ステップによって算出された前記第2落差予測量を減算して得られる閉鎖充填量と、前記充填積算量とに基づいて、前記閉鎖指令を出力する閉鎖指令出力ステップと、前記閉鎖指令出力ステップによって前記閉鎖指令が出力されてから前記充填バルブが閉鎖するまでの液体の量である実績落差量を算出する実績落差量算出ステップと、第1落差補正量算出式に、前記実績落差量算出ステップによって算出された前記実績落差量と、前記閉鎖指令が出力された際の前記第2落差予測量とを代入して得られる第1落差補正量に基づいて、前記第1落差予測量を補正して新たな第1落差予測量を算出する第1落差予測量算出ステップと、を含む。
【0015】
本開示に係るプログラムは、容器に液体を充填する充填バルブと、前記充填バルブにおける液体が流れる通路の開閉を制御する制御装置と、を備える充填装置における前記制御装置として用いられるコンピュータを、前記容器への単位時間当たりの液体の供給量を算出する供給量算出手段、第2落差補正量算出式に、前記供給量算出手段が算出する前記単位時間当たりの液体の供給量を代入して得られる第2落差補正量に基づいて、第1落差予測量を補正した第2落差予測量を算出する第2落差予測量算出手段、前記容器に供給される前記液体の積算量である充填積算量を算出し、予め定められる設定充填量から、閉鎖指令を前記充填バルブに対して出力する前の所定期間において前記第2落差予測量算出手段が算出する前記第2落差予測量を減算して得られる閉鎖充填量と、前記充填積算量とに基づいて、前記閉鎖指令を出力し、前記閉鎖指令を出力してから前記充填バルブが閉鎖するまでの液体の量である実績落差量を算出する充填量管理手段、第1落差補正量算出式に、前記充填量管理手段が算出する前記実績落差量と、前記閉鎖指令が出力された際の前記第2落差予測量とを代入して得られる第1落差補正量に基づいて、前記第1落差予測量を補正して新たな第1落差予測量を算出する第1落差予測量算出手段、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本開示の充填装置の制御装置、充填装置、充填装置の制御方法、及びプログラムによれば、フィードフォワード制御と、フィードバック制御とによって、充填バルブに対して閉鎖指令を出力するタイミングを高い精度で予測しつつ、容器における液体の充填量のバラツキを少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の実施形態に係る充填装置の構成例を示す模式図及びブロック図である。
図2】本開示の実施形態に係る充填処理制御部及び第1落差予測量算出部の動作例を示すフローチャートである。
図3】本開示の実施形態に係る供給量算出部の動作例を示すフローチャートである。
図4】本開示の実施形態に係る第2落差予測量算出部の動作例を示すフローチャートである。
図5】本開示の実施形態に係る充填量管理部の動作例を示すフローチャートである。
図6】本開示の実施形態に係る充填バルブによって容器に充填される液体の流量の変化の一例を示すグラフである。
図7】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の実施形態に係る充填装置の制御装置、充填装置、充填装置の制御方法、及びプログラムについて、図1図7を参照して説明する。図1は、本開示の実施形態に係る充填装置1の構成例を示す模式図及びブロック図である。図2は、本開示の実施形態に係る充填処理制御部31及び第1落差予測量算出部32の動作例を示すフローチャートである。図3は、本開示の実施形態に係る供給量算出部41の動作例を示すフローチャートである。図4は、本開示の実施形態に係る第2落差予測量算出部33の動作例を示すフローチャートである。図5は、本開示の実施形態に係る充填量管理部42の動作例を示すフローチャートである。図6は、本開示の実施形態に係る充填バルブ20によって容器60に充填される液体の流量の変化の一例を示すグラフである。図7は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。なお、各図において同一または対応する構成には同一の符号を用いて説明を適宜省略する。
【0019】
<充填装置の全体構成>
図1に示すように、充填装置1は、制御装置2、フレーム5、タンク6、流量計7、供給管8-1,8-2、温度センサ9、充填バルブ20、及び容器台10を備え、容器台10に載せられる容器60に、例えば、飲料などの液体を充填する。
【0020】
タンク6は、フレーム5に設置され、液体を貯留する。温度センサ9は、タンク6に貯留されている液体の温度を検出する。供給管8-1の一端は、タンク6の底面に設けられた開口部に接続し、他端は、流量計7の入口の開口部に接続する。供給管8-2の一端は、流量計7の出口の開口部に接続する。タンク6に貯留されている液体は、供給管8-1に流出して、流量計7に流入する。流量計7に流入した液体は、流量計7を通過して、供給管8-2に流出する。
【0021】
流量計7は、例えば、電磁流量計であり、通過する液体の容量を計測する。流量計7は、例えば、予め定められる所定容量の液体が通過すると、電気信号のパルスを1つ出力する。したがって、流量計7が出力するパルスの数をカウントすることにより、カウントしたパルスの数と、所定容量とを乗算することにより、流量計7を通過した液体の容量を算出することができる。
【0022】
充填バルブ20は、充填バルブ本体21と、駆動装置28とを備える。充填バルブ本体21には、液体が通過する中空の通路25が設けられている。通路25は、例えば、上方に位置する直径の大きい円柱形状の部分と、下方に位置する直径の小さい円柱形状の部分と、これら2つの円柱形状の部分を連結するすり鉢形状の部分とから形成される。通路25の直径の小さい円柱形状の部分の下端は、開口しており、以下、この開口部分を、出口開口部26という。通路25の直径の大きい円柱形状の部分の側面には、入口開口部24が設けられており、入口開口部24に、供給管8-2の他端が接続する。
【0023】
通路25の内部には、弁棒22と、弁棒22の下端に、弁棒22と一体となるように連結された弁体23とが、挿入されている。弁体23は、例えば、円柱形状の部分と、先端部分とから形成されており、先端部分の形状は、通路25のすり鉢形状の部分に嵌る形状、例えば、円錐、または、円錐台形状になっている。弁体23の円柱形状の部分の直径の長さは、通路25の直径の大きい円柱形状の部分の直径の長さよりも短く、かつ通路25の直径の小さい円柱形状の部分の直径の長さよりも長くなっている。なお、弁棒22の形状は、例えば、円柱形状であり、直径の長さが、弁体23の円柱形状の部分の直径の長さ以下の長さになっている。また、弁体23の先端部分には、例えば、パッキンが取り付けられている。
【0024】
弁棒22は、通路25内において、上下方向に移動する。なお、充填バルブ本体21の通路25の上端は、弁棒22が、上下に滑らかに移動できる状態で、かつ液体が通路25の上端から漏れないようにパッキン等を用いてシールされている。弁棒22が下降して、弁体23の先端部分が、通路25のすり鉢形状の部分に嵌ると、弁体23の先端部分に取り付けられているパッキンによって、通路25内の空間が仕切られて、入口開口部24から流入した液体が出口開口部26から流出しない状態になる。すなわち、充填バルブ20が閉鎖された状態になる。また、弁棒22の上下方向の位置を調節することにより、弁体23の先端部分と、通路25のすり鉢形状の部分との間の空間の大きさを調節することができ、それにより、出口開口部26から流出する液体の量を調節することができるようになっている。
【0025】
駆動装置28は、充填バルブ本体21の上部に取り付けられている。駆動装置28は、例えば、軸27を有するエアシリンダと、エアシリンダにエアを供給したり排出したりする機構とを備える。軸27には、弁棒22の上端が連結される。駆動装置28は、例えば、閉鎖指令を受けると、エアシリンダにエアを供給して、軸27、弁棒22、及び弁体23を下降させる。駆動装置28は、開放指令を受けると、開放指令に含まれている開度にしたがってエアを供給、または、排出して、軸27、弁棒22、及び弁体23を移動させて、弁体23の位置が、開度に応じた位置になるようにする。容器台10には、容器60が載せられ、容器台10は容器60を搬送し、所定の位置まで容器60を搬送すると、上昇する。これにより、容器60の開口部に、出口開口部26が挿入される。
【0026】
制御装置2は、主制御装置3と、個別制御装置4とを備える。個別制御装置4は、温度取得部40と、供給量算出部41と、充填量管理部42とを備える。温度取得部40は、制御線52を介して温度センサ9に接続しており、他の機能部から温度取得要求信号を受けると、温度センサ9が検出する液体の温度を取得し、取得した温度を含む温度取得応答信号を、温度取得要求信号の送信元の機能部に送信する。
【0027】
供給量算出部41は、流量計7が出力するパルスを取り込む。供給量算出部41は、予め定められる計測周期ごとに、1つの計測周期において取り込んだパルスの数と、計測周期の時間と、所定容量と、液体の密度とに基づいて、流量計7を通過する単位時間当たりの液体の重量、言い換えると容器60に供給される単位時間当たりの液体の供給量を算出する。
【0028】
充填量管理部42は、流量計7が出力するパルスを取り込む。充填量管理部42は、取り込んだパルスの数と、所定容量と、液体の密度とに基づいて、充填を開始してから流量計7を通過した液体の合計重量、すなわち充填積算量を繰り返し算出する。充填量管理部42は、予め定められる設定充填量から第2落差補正量を減算して得られる閉鎖充填量と、充填積算量とに基づいて、駆動装置28に閉鎖指令を出力する。充填量管理部42は、閉鎖指令を出力してから充填バルブ20が閉鎖するまでの液体の重量である実績落差量を算出する。充填量管理部42は、充填バルブ20の開度の変更パターンを示すデータ(以下、変更パターンデータという)に示されている開度を含む開放指令を、変更パターンデータに示されているタイミングで駆動装置28に出力する。これにより、容器60に供給される液体の単位時間当たりの供給量が、当該変更パターンデータにしたがって変化する。
【0029】
主制御装置3は、操作部30、充填処理制御部31、第1落差予測量算出部32、第2落差予測量算出部33、及び記憶部34を備える。操作部30は、充填装置1のユーザによる各種の操作を受けて、各種の操作の各々に応じた各種の処理を行う。充填処理制御部31は、充填装置1における様々な制御処理を行う。充填処理制御部31は、例えば、温度取得要求信号を、個別制御装置4の温度取得部40に送信して、受信する温度取得応答信号に含まれている温度に基づいて、タンク6に貯留されている液体の密度を算出する。
【0030】
第1落差予測量算出部32は、予め定められる第1落差補正量算出式に、記憶部34に記憶されている実績落差量と、第2落差予測量とを代入して得られる第1落差補正量に基づいて、記憶部34に記憶されている第1落差予測量を補正して新たな第1落差予測量とする。
【0031】
第2落差予測量算出部33は、予め定められる第2落差補正量算出式に、供給量算出部41が算出する単位時間当たりの液体の供給量を代入して得られる第2落差補正量に基づいて、記憶部34に記憶されている第1落差予測量を補正した第2落差予測量を算出する。
【0032】
記憶部34は、流量計7の所定容量の逆数であるKファクタ、設定充填量、充填量管理部42が算出する実績落差量、変更パターンデータ、充填処理制御部31が算出する液体の密度、第1落差補正量算出式の係数、第2落差補正量算出式の係数と定数、第1落差予測量、第2落差予測量などを記憶する。
【0033】
主制御装置3と、個別制御装置4とは、制御線51を介して接続されている。制御線51は、例えば、LAN(Local Area Network)などの有線の通信回線であってもよいし、無線の通信回線であってもよい。充填処理制御部31と、温度取得部40及び充填量管理部42の各々との間、第2落差予測量算出部33と、供給量算出部41との間、及び第2落差予測量算出部33と、充填量管理部42との間で、制御線51を介して、相互に送受信が可能になっている。
【0034】
<充填装置による充填処理>
図2から図6を参照しつつ、充填装置1による充填処理について説明する。図2に示す処理が開始される前に、充填装置1のユーザは、操作部30において、以下に示すデータを入力する入力操作を行う。すなわち、ユーザは、予め定める、偏差閾値HI、時間閾値Ti、1つの容器60に充填する液体の重量である設定充填量Vsg、変更パターンデータ、及び所定期間判定用閾値Tmaを設定する入力操作を行う。ユーザは、既知である、流量計7の所定容量の逆数であるKファクタ、及び充填処理制御部31が液体の密度を算出する際に用いる基準密度ρθ、密度補正傾きdθ、基準温度Tθを設定する入力操作を行う。なお、基準密度ρθ、密度補正傾きdθ、基準温度Tθは、液体の種類ごとに特定される値である。
【0035】
ユーザは、予め定める、第1落差補正量算出式の係数である落差補正比率Hrと、第2落差補正量算出式の係数と定数である供給量補正係数Ha、供給量補正定数Hbと、実績落差量VHr、第1落差予測量Vca1、及び第2落差予測量Vca2の各々の初期値とを設定する入力操作を行う。なお、実績落差量VHr、第1落差予測量Vca1、及び第2落差予測量Vca2の各々の初期値は、同一であってもよいし、異なっていてもよく、当該初期値は、過去の実績等からユーザによって適宜定められる。操作部30は、当該入力操作を受けると、入力操作を受けて取り込むデータを記憶部34に記録する。
【0036】
なお、ここでは、重量は、例えば「g」であり、容量は、例えば、「ml」であるとする。そのため、設定充填量Vsg、実績落差量VHr、第1落差予測量Vca1、第2落差予測量Vca2の単位は、「g」であり、Kファクタの単位は、「1/ml」になる。
【0037】
(第1落差予測量算出部と充填処理制御部による処理)
ユーザは、上記したデータの入力操作を行った後、操作部30に対して充填の開始を指示する開始指示操作を行うと、操作部30は、開始指示信号を第1落差予測量算出部32に出力する。第1落差予測量算出部32が、操作部30から開始指示信号を受けると、図2のフローチャートの処理が開始される。
【0038】
第1落差予測量算出部32は、記憶部34から実績落差量VHrと、第2落差予測量Vca2と、偏差閾値HIとを読み出す。第1落差予測量算出部32は、読み出した実績落差量VHrから、読み出した第2落差予測量Vca2を減算して落差偏差量を算出する(Sa1)。第1落差予測量算出部32は、算出した落差偏差量が、読み出した偏差閾値HI以下であるか否かを判定する(Sa2)。
【0039】
第1落差予測量算出部32は、落差偏差量が、偏差閾値HI以下でないと判定した場合(Sa2、No)、落差偏差量が大きいため、補正を行わず、記憶部34に記憶されている第1落差予測量Vca1を、そのまま維持し、開始指示信号を充填処理制御部31に出力する(Sa3)。
【0040】
一方、第1落差予測量算出部32は、落差偏差量が、偏差閾値HI以下であると判定した場合(Sa2、Yes)、記憶部34から、更に、第1落差予測量Vca1と、第1落差補正量算出式の落差補正比率Hrとを読み出す。第1落差予測量算出部32は、読み出した落差補正比率Hrを用いて、次式(1)を生成する。
【0041】
Vca1=Vca1_o+Hr・(VHr-Vca2_o)・・・(1)
【0042】
なお、式(1)及び以下に示す式において、「_o」が付与された「Vca1_o」、「Vca2_o」は、それぞれ記憶部34に記憶されている第1落差予測量Vca1、第2落差予測量Vca2を示すものとする。
【0043】
式(1)において右辺の「Hr・(VHr-Vca2_o)」が、上記した「第1落差補正量算出式」になる。第1落差補正量算出式において「VHr-Vca2_o」は、Sa1の処理において、第1落差予測量算出部32が算出した落差偏差量である。第1落差補正量算出式において、落差補正比率Hrの単位は、「%」であり、ユーザは、第1落差予測量Vca1を大きく変化させない程度で、落差偏差量の何パーセントを、第1落差予測量Vca1に対する補正値とするかを予め定める。
【0044】
第1落差予測量算出部32は、式(1)の右辺の「VHr-Vca2_o」に、Sa1の処理において算出した落差偏差量を代入して第1落差補正量を算出する。第1落差予測量算出部32は、式(1)の右辺の「Vca1_o」に、記憶部34から読み出した第1落差予測量Vca1を代入することにより、代入した第1落差予測量Vca1と、第1落差補正量とを加算して、式(1)の左辺の新たな第1落差予測量Vca1を算出する。これにより、第1落差予測量Vca1が、実績落差量VHrと、第2落差予測量Vca2とによって補正されることになる。第1落差予測量算出部32は、記憶部34に記憶されている第1落差予測量Vca1を、算出した新たな第1落差予測量Vca1に書き換える。第1落差予測量算出部32は、開始指示信号を充填処理制御部31に出力する(Sa4)。
【0045】
充填処理制御部31は、第1落差予測量算出部32から開始指示信号を受けると、充填処理を開始する前処理として、以下の処理を行う。充填処理制御部31は、温度取得要求信号を、制御線51を介して、温度取得部40に送信する。温度取得部40は、温度取得要求信号を受信すると、温度センサ9から液体の温度を取得し、取得した温度を含む温度取得応答信号を、制御線51を介して充填処理制御部31に送信する。充填処理制御部31は、温度取得部40が送信する温度取得応答信号を受信すると、温度取得応答信号に含まれている温度を読み出して温度Taとする。
【0046】
充填処理制御部31は、記憶部34から基準密度ρθ、密度補正傾きdθ、基準温度Tθを読み出す。充填処理制御部31は、温度Ta、基準密度ρθ、密度補正傾きdθ、基準温度Tθに基づいて、次式(2)により、液体の密度ρを算出する。
【0047】
ρ=ρθ+dθ(Ta-Tθ)・・・(2)
【0048】
充填処理制御部31は、算出した密度ρを記憶部34に記録する。充填処理制御部31は、容器台10を動作させ、容器台10によって、容器60を所定の位置まで搬送させ、容器台10を上昇させることにより、容器60の開口部に、充填バルブ20の出口開口部26が挿入される状態にする処理を行う(Sa5)。
【0049】
充填処理制御部31は、記憶部34から密度ρと、時間閾値Tiと、Kファクタとを読み出す。充填処理制御部31は、読み出した密度ρと、時間閾値Tiと、Kファクタとを含む開始指示信号を、制御線51を介して、供給量算出部41に送信する。充填処理制御部31は、記憶部34から密度ρと、設定充填量Vsgと、変更パターンデータと、所定期間判定用閾値Tmaと、Kファクタとを読み出す。充填処理制御部31は、読み出した密度ρと、設定充填量Vsgと、変更パターンデータと、所定期間判定用閾値Tmaと、Kファクタとを含む開始指示信号を、制御線51を介して、充填量管理部42に送信する(Sa6)。その後、充填処理制御部31は、充填量管理部42から実績落差量VHrと、充填積算量Vbrと、第2落差予測量Vca2とを受信するのを待機する状態になる。図2のSa7以降の処理は、後述する。
【0050】
(供給量算出部による処理)
供給量算出部41は、充填処理制御部31が送信する開始指示信号を受信すると、受信した開始指示信号に含まれている密度ρと、時間閾値Tiと、Kファクタとを読み出す。供給量算出部41は、読み出した密度ρと、時間閾値Tiと、Kファクタとを内部の記憶領域に記録して、図3に示す処理を開始する。なお、供給量算出部41は、内部にバッファを備えており、図3に示す処理を開始すると、図3に示す処理と並列に、当該バッファに流量計7が出力するパルスを蓄積する処理を行う。
【0051】
供給量算出部41は、個別制御装置4の演算周期CYCを取得する。例えば、供給量算出部41は、個別制御装置4のCPU(Central Processing Unit)からクロック周波数を取得して、取得したクロック周波数から演算周期CYCを算出する。ここで、演算周期CYCの単位は、例えば、ミリ秒(以下、msという)であるとする。供給量算出部41は、内部の記憶領域に、時間変数Tnと、パルス数変数Pnとを記憶する領域を生成する。供給量算出部41は、内部の記憶領域に、バッファに蓄積されるパルスの数をカウントするために用いるパルスカウンタPmを記憶する領域を生成し、バッファを初期化すると共に、パルスカウンタPmを「0」に初期化する(Sb1)。
【0052】
供給量算出部41は、内部の記憶領域の時間変数Tnと、パルス数変数Pnとを「0」に初期化する(Sb2)。供給量算出部41は、充填中であるか否かを判定する(Sb3)。例えば、供給量算出部41は、充填量管理部42から算出終了指示信号を受けていない場合、充填中であると判定し、充填量管理部42から算出終了指示信号を受けている場合、充填中でないと判定する。
【0053】
供給量算出部41は、充填中でないと判定した場合(Sb3、No)、処理を終了する。一方、供給量算出部41は、充填中であると判定したとする(Sb3、Yes)。この場合、供給量算出部41は、内部の記憶領域の時間変数Tnに演算周期CYCを加算する。供給量算出部41は、バッファに蓄積されているパルスの数を、パルスカウンタPmに記録し、バッファを初期化する。供給量算出部41は、パルス数変数Pnに、パルスカウンタPmを加算して、パルスカウンタPmを「0」に初期化する(Sb4)。
【0054】
供給量算出部41は、内部の記憶領域の時間変数Tnが、内部の記憶領域の時間閾値Ti以上であるか否かを判定する(Sb5)。供給量算出部41は、時間変数Tnが、時間閾値Ti以上でないと判定した場合(Sb5、No)、再び、Sb3以降の処理を行う。一方、供給量算出部41は、時間変数Tnが、時間閾値Ti以上であると判定した場合(Sb5、Yes)、内部の記憶領域の密度ρと、Kファクタと、時間変数Tnと、パルス数変数Pnとに基づいて、次式(3)によって、単位時間当たりに流量計7を通過する液体の重量、すなわち容器60に供給される単位時間当たりの液体の供給量Qを算出する。
【0055】
Q=Pn・1000/Tn・(1/Kファクタ)・ρ・・・(3)
【0056】
なお、式(3)の右辺において、「1000」を乗算している理由は、ここでは、時間変数Tnの単位が「ミリ秒」であるのに対して、単位時間当たりの液体の供給量Qの単位は[g/秒]であるからである。供給量算出部41は、算出した供給量Qを、制御線51を介して、第2落差予測量算出部33に送信する(Sb6)。その後、供給量算出部41は、再びSb2以降の処理を行う。
【0057】
ここで、演算周期CYCは、一般に非常に短い時間であることから、Sb5の処理において、供給量算出部41は、Tnが、時間閾値Tiに一致するタイミングで「Yes」の判定を行う確率が高くなる。この場合、時間閾値Tiを計測周期とすれば、供給量算出部41は、計測周期ごとに、容器60に供給される単位時間当たりの液体の供給量Qを算出しているとみなすことができる。
【0058】
(第2落差予測量算出部による処理)
第2落差予測量算出部33は、供給量算出部41が送信する単位時間当たりの液体の供給量Qを受信すると、図4に示す処理を開始する。第2落差予測量算出部33は、記憶部34から第1落差予測量Vca1と、第2落差補正量算出式の供給量補正係数Ha及び供給量補正定数Hbとを読み出す。第2落差予測量算出部33は、読み出した供給量補正係数Haと、供給量補正定数Hbとを用いて、次式(4)を生成する。
【0059】
Vca2=Vca1_o+Ha・Q+Hb・・・(4)
【0060】
式(4)において、右辺の「Ha・Q+Hb」が、上記した「第2落差補正量算出式」になる。式(4)の右辺の第1項のVcal1_oを左辺に移項すると、式(4)は、「Vca2-Vca1_o=Ha・Q+Hb」となり、当該式は、第2落差予測量Vca2と第1落差予測量Vca1の差と、単位時間当たりの液体の供給量Qとの関係を、一次関数で表した式として見ることができる。
【0061】
落差量は、閉鎖指令を出力してから充填バルブ20が閉鎖するまでの間に、容器60に供給される液体の重量である。したがって、落差量と、閉鎖指令を出力する際の単位時間当たりの液体の供給量Qとの間には、相関がある。したがって、ユーザは、過去に行われた充填処理において得られた第1落差予測量Vca1と、第2落差予測量Vca2と、閉鎖指令を出力する際の単位時間当たりの液体の供給量Qとに基づいて、第2落差予測量Vca2と第1落差予測量Vca1の差と、単位時間当たりの液体の供給量Qとの関係を線形近似、すなわち1次関数で近似し、1次関数の傾きを供給量補正係数Haとし、1次関数の切片を供給量補正定数Hbとして予め定める。
【0062】
第2落差予測量算出部33は、式(4)の右辺の「Ha・Q+Hb」に、受信した単位時間当たりの液体の供給量Qを代入して第2落差補正量を算出する。第2落差予測量算出部33は、式(4)の右辺の「Vca1_o」に、記憶部34から読み出した第1落差予測量Vca1を代入することにより、代入した第1落差予測量Vca1と、第2落差補正量とを加算して第2落差予測量Vca2を算出する(Sc1)。これにより、第1落差予測量Vca1を、単位時間当たりの液体の供給量Qによって補正した第2落差予測量Vca2が得られることになる。
【0063】
第2落差予測量算出部33は、算出した第2落差予測量Vca2を、制御線51を介して充填量管理部42に送信し(Sc2)、処理を終了する。第2落差予測量算出部33は、供給量算出部41から単位時間当たりの液体の供給量Qを受信するごとに、図4の処理を行う。そのため、充填量管理部42は、単位時間当たりの液体の供給量Qが更新される間隔で、繰り返し第2落差予測量算出部33から新たな第2落差予測量Vca2を受信することになる。
【0064】
(充填量管理部による処理)
充填量管理部42は、充填処理制御部31が送信する開始指示信号を受信すると、受信した開始指示信号に含まれている密度ρと、設定充填量Vsgと、変更パターンデータと、所定期間判定用閾値Tmaと、Kファクタとを読み出す。充填量管理部42は、読み出した密度ρと、設定充填量Vsgと、変更パターンデータと、所定期間判定用閾値Tmaと、Kファクタとを内部の記憶領域に記録して、図5に示す処理を開始する。なお、充填量管理部42は、内部にバッファを備えており、図5に示す処理を開始すると、図5に示す処理と並列に、当該バッファに流量計7が出力するパルスを蓄積する処理を行う。
【0065】
充填量管理部42は、内部に備える時間を計時する計時部を起動して経過時間Tmの計時を開始する。充填量管理部42は、バッファを初期化する。充填量管理部42は、内部の記憶領域に、バッファに蓄積されるパルスの数を積算してカウントする積算パルスカウンタVbr_pを記憶する領域を生成し、積算パルスカウンタVbr_pを「0」に初期化する。充填量管理部42は、内部の記憶領域に、容器60に充填される液体の積算重量を示す充填積算量Vbrを記憶する領域を設け、充填積算量Vbrを「0」に初期化する(Sd1)。
【0066】
充填量管理部42は、内部の記憶領域に記憶されている変更パターンデータから経過時間Tmにおける充填バルブ20の開度を検出する。ここで、変更パターンデータとは、例えば、計時部を起動した時刻を「0ミリ秒」とする時間軸において、充填バルブ20の開度を変更するタイミングを示すデータである。
【0067】
図6は、本実施形態の充填装置1における流量計7を通過する液体の流量の変化を示すグラフの一例である。ここで、流量とは、例えば、単位時間当たりに流量計7を通過する液体の容量である。当該グラフにおいて、縦軸は、流量計7を通過する液体の流量であり、上方向に向かって流量が大きくなる。横軸は、経過時間Tmを示しており、右方向に向かって時間が大きくなる。当該グラフが得られる場合の変更パターンデータは、時刻「0」において開度が「L1」になり、時刻「t2」において開度が「L2」になり、時刻「t3」において開度が再び「L1」になるデータである。この変更パターンデータの場合、経過時間Tmが、0以上t2未満の場合、充填量管理部42は開度として「L1」を検出し、経過時間Tmが、t2以上t3未満の場合、充填量管理部42は開度として「L2」を検出し、経過時間Tmが、t3以上の場合、充填量管理部42は開度として「L1」を検出する。
【0068】
充填量管理部42は、経過時間Tmに基づいて変更パターンデータから検出した開度に基づいて、以下の処理を行う。充填量管理部42は、内部の記憶領域に充填バルブ20の開度が記憶されている場合、検出した開度が、内部の記憶領域に記憶されている充填バルブ20の開度と一致する場合、開度を変更する必要がないため、処理をSd3に進める。
【0069】
これに対して、充填量管理部42は、内部の記憶領域に充填バルブ20の開度が記憶されているが、検出した開度が、内部の記憶領域に記憶されている充填バルブ20の開度と一致しない場合、内部の記憶領域の充填バルブ20の開度を、検出した開度に書き換える。充填量管理部42は、内部の記憶領域に充填バルブ20の開度が記憶されていない場合、検出した開度を充填バルブ20の開度として内部の記憶領域に書き込む。充填量管理部42は、内部の記憶領域に充填バルブ20の開度が記憶されているが、検出した開度が、内部の記憶領域に記憶されている充填バルブ20の開度と一致していなかった場合、または、内部の記憶領域に充填バルブ20の開度が記憶されていなかった場合、開度を変更する必要があるため、検出した開度を含む開放指令を充填バルブ20の駆動装置28に出力する(Sd2)。
【0070】
充填バルブ20の駆動装置28は開放指令を受けると、開放指令に含まれる開度に対応する位置に弁体23を移動させる。これにより、タンク6に貯留されている液体が、開度に応じた流量で供給管8-1に流出する。供給管8-1に流出した液体は、供給管8-1、流量計7、供給管8-2、入口開口部24を経由して通路25に流入し、通路25に流入した液体は、出口開口部26を経由して容器60に流出する。
【0071】
充填量管理部42は、内部の記憶領域の積算パルスカウンタVbr_pに、バッファに蓄積されているパルスの数を加算し、バッファを初期化する。充填量管理部42は、内部の記憶領域に記憶されているKファクタ、密度ρ、積算パルスカウンタVbr_pを用いて、次式(5)により、充填積算量Vbrを算出する。なお、充填積算量Vbrは、重量であり、単位は「g」である。
【0072】
Vbr=Vbr_p・(1/Kファクタ)・ρ・・・(5)
【0073】
充填量管理部42は、内部の記憶領域に記憶されている充填積算量Vbrを、算出した充填積算量Vbrに書き換える(Sd3)。なお、図6に示すグラフにおいて、充填積算量Vbrは、符号70で示す領域と、符号71で示す領域の面積に対応する重量である。時刻「0」から時刻「t1」までの間は、流量が「0」になっているが、これは、充填バルブ20に開放指令を出力してから、流量計7において、液体が通過するまでに、時間差があるからである。したがって、図6のグラフの場合、時刻「t2」における充填積算量Vbrは、時刻「t1」から時刻「t2」までの間に存在する符号70で示す領域の面積に対応する重量になる。
【0074】
充填量管理部42は、計時部が計時する経過時間Tmに基づいて、最終充填中であるか否かを判定する(Sd4)。例えば、変更パターンデータが、上記した時刻「0」において開度が「L1」になり、時刻「t2」において開度が「L2」になり、時刻「t3」において開度が再び「L1」になるデータであるとする。この場合、充填量管理部42は、経過時間Tmが、t3以上である場合、最終充填中であると判定し、経過時間Tmが、t3未満である場合、最終充填中でないと判定する。
【0075】
充填量管理部42は、最終充填中でないと判定した場合(Sd4、No)、再びSd2以降の処理を行う。一方、充填量管理部42は、最終充填中であると判定した場合(Sd4、Yes)、次に、計時部が計時する経過時間Tmに基づいて、所定期間になっているか否かを判定する(Sd5)。例えば、充填量管理部42は、経過時間Tmが、t3に対して、内部の記憶領域に記憶されている所定期間判定用閾値Tmaを加算した時間以上である場合、所定期間になっていると判定する。これに対して、充填量管理部42は、経過時間Tmが、t3に対して、内部の記憶領域に記憶されている所定期間判定用閾値Tmaを加算した時間以上でない場合、所定期間になっていないと判定する。
【0076】
このように所定期間判定用閾値Tmaを用いて判定する理由は、以下の通りである。流量計7を通過する液体の流量は、上記したように、例えば、図6に示すグラフのように時間変化する。容器60に設定充填量Vsgの液体を正確に充填するためには、符号71で示す領域の面積に対応する落差量を予測する必要がある。上記したように、落差量と、閉鎖指令を出力する際の単位時間当たりの液体の供給量Qとの間には相関がある。
【0077】
図6のグラフにおいて、閉鎖指令を出力するタイミングは時刻「t6」であり、時刻「t6」は、本実施形態の充填装置1では、図4のフローチャートによって第2落差予測量算出部33が繰り返し算出する第2落差予測量Vca2によって定まる時刻である。すなわち、第2落差予測量Vca2が定まらなければ、時刻「t6」は定まらないため、時刻「t6」の前に、第2落差予測量Vca2を定める必要がある。流量計7を通過する液体の流量は、図6に示すように、時刻「t3」において充填バルブ20の開度を「L1」に変更した後、時刻「t4」までの間に、開度「L1」に対応する流量まで変化した後、大きく変化することなく、ほぼ一定の流量になって、安定した状態になる。そのため、この安定した状態の流量が、閉鎖指令を出力する際の流量と、ほぼ一致することになる。ただし、時刻「t4」の前後では、液体の流量が、安定しない状態になることがある。そのため、ユーザは、時刻「t4」を超えて、液体の流量が安定した状態になる時刻「t5」以降の期間が、第2落差予測量Vca2を定める所定期間になるように、予め所定期間判定用閾値Tmaを定める。
【0078】
充填量管理部42は、所定期間になっていないと判定した場合(Sd5、No)、再びSd2以降の処理を行う。一方、充填量管理部42は、所定期間になっていると判定した場合(Sd5、Yes)、判定した時点で、第2落差予測量算出部33から受信する最新の第2落差予測量Vca2を取得する(Sd6)。なお、充填量管理部42は、判定した時点の直前に第2落差予測量Vca2から受信した第2落差予測量Vca2を、最新の第2落差予測量Vca2としてもよいし、判定した時点以降の期間において、最初に第2落差予測量Vca2から受信した第2落差予測量Vca2を、最新の第2落差予測量Vca2としてもよい。
【0079】
充填量管理部42は、内部の記憶領域に記憶されている設定充填量Vsgを読み出す。充填量管理部42は、読み出した設定充填量Vsgから、取得した最新の第2落差予測量Vca2を減算して、閉鎖充填量Vbsを算出する(Sd7)。充填量管理部42は、内部の記憶領域に記憶されている充填積算量Vbrが、算出した閉鎖充填量Vbs以上であるか否かを判定する(Sd8)。充填量管理部42は、充填積算量Vbrが、閉鎖充填量Vbs以上でないと判定した場合(Sd8、No)、再びSd2以降の処理を行う。一方、充填量管理部42は、充填積算量Vbrが、閉鎖充填量Vbs以上であると判定した場合(Sd8、Yes)、Sd3の処理と同一の処理を行って、内部の記憶領域の充填積算量Vbrを更新する。これにより、閉鎖指令を出力する直前の充填積算量Vbrが、充填量管理部42の内部の記憶領域に記憶されることになる(Sd9)。
【0080】
充填量管理部42は、閉鎖指令を充填バルブ20の駆動装置28に出力し、算出終了指示信号を供給量算出部41に出力する(Sd10)。充填バルブ20の駆動装置28は閉鎖指令を受けると、軸27、弁棒22、及び弁体23を下降させ、その結果、弁体23によって通路25が仕切られて、容器60への液体の供給が停止する。供給量算出部41は、算出終了指示信号を受けると、図3のSb3の処理において、充填中でないと判定し、図3の処理を終了する。
【0081】
充填量管理部42は、バッファに対して新たなパルスが蓄積されなくなるまで、言い換えると、図6に示す時刻「t7」になるまで、バッファに蓄積されるパルスの数をカウントする。これにより、充填量管理部42は、Sd9処理を行った後から充填バルブ20が閉鎖するまでの間に、バッファに蓄積されたパルスの積算数、すなわち落差量に対応するパルス数を得ることができる。したがって、充填量管理部42は、落差量に対応するパルス数と、内部の記憶領域に記憶されている密度ρと、Kファクタとを用いて、次式(6)により、実績落差量VHrを算出する。
【0082】
VHr=落差量に対応するパルス数・(1/Kファクタ)・ρ・・・(6)
【0083】
充填量管理部42は、内部の記憶領域から充填積算量Vbrを読み出し、読み出した充填積算量Vbrに、式(6)によって算出した実績落差量VHrを加算して、最終の充填積算量Vbrを算出する(Sd11)。充填量管理部42は、算出した実績落差量VHr、及び最終の充填積算量Vbrと、最新の第2落差予測量Vca2とを、制御線51を介して、充填処理制御部31に送信して(Sd12)、処理を終了する。
【0084】
(充填処理制御部によるSa7以降の処理)
上記したように、Sa6の処理の後、充填処理制御部31は、充填量管理部42から実績落差量VHrと、充填積算量Vbrと、第2落差予測量Vca2とを受信するのを待機する状態になる。充填処理制御部31は、図5のSd12の処理において充填量管理部42が送信する実績落差量VHrと、最終の充填積算量Vbrと、最新の第2落差予測量Vca2とを受信すると、処理を再開する。充填処理制御部31は、容器台10を下降させた後、液体が充填された容器60を搬送する。充填処理制御部31は、記憶部34に記憶されている実績落差量VHrを、受信した実績落差量VHrに書き換える。充填処理制御部31は、記憶部34に記憶されている第2落差予測量Vca2を、受信した最新の第2落差予測量Vca2に書き換える。充填処理制御部31は、受信した実績落差量VHrと、最終の充填積算量Vbrとを、充填処理の結果として外部に出力する。ここで、外部に出力するとは、例えば、充填処理制御部31が、図示しない主制御装置3の表示装置に、受信した実績落差量VHrと、最終の充填積算量Vbrと表示すること等である(Sa8)。
【0085】
充填処理制御部31は、操作部30から終了指示信号を受けているか否かを判定する(Sa8)。充填装置1のユーザは、充填装置1による充填処理を終了させる場合、操作部30に対して充填の終了を指示する終了指示操作を行う。終了指示操作を受けた操作部30は、終了指示信号を、充填処理制御部31に出力する。充填処理制御部31は、操作部30から終了指示信号を受けていると判定した場合(Sa8、Yes)、図2の処理を終了する。一方、充填処理制御部31は、操作部30から終了指示信号を受けていないと判定した場合(Sa8、No)、開始指示信号を第1落差予測量算出部32に出力する。これにより、他の容器60に対して、再びSa1以降の処理が行われることになる。
【0086】
<充填装置による作用・効果>
上記した実施形態に係る充填装置1において、第2落差予測量算出部33は、第2落差補正量算出式に、供給量算出部41が算出する単位時間当たりの液体の供給量Qを代入して得られる第2落差補正量に基づいて、第1落差予測量Vca1を補正した第2落差予測量Vca2を算出する。充填量管理部42は、容器60に供給される液体の積算量である充填積算量Vbrを算出し、算出する充填積算量Vbrが、設定充填量Vsgから、所定期間において第2落差予測量算出部33が算出する最新の第2落差予測量Vca2を減算して得られる閉鎖充填量Vbs以上である場合、閉鎖指令を出力する。充填量管理部42は、閉鎖指令を出力してから充填バルブ20が閉鎖するまでの液体の量である実績落差量VHrを算出する。第1落差予測量算出部32は、第1落差補正量算出式に、充填量管理部42が算出する最新の実績落差量VHrと、最新の第2落差予測量Vca2とを代入して得られる第1落差補正量に基づいて、第1落差予測量Vca1を補正して新たな第1落差予測量Vca1とする。
【0087】
第1落差予測量算出部32が行う補正処理は、直近の充填処理において用いられた第1落差予測量Vca1を、直近の充填処理の間に算出された最新の第2落差予測量Vca2と、直近の充填処理の実績である実績落差量VHrとによって補正する処理であり、いわゆるフィードバック制御を行う処理になる。これに対して、第2落差予測量算出部33が行う補正処理は、第1落差予測量算出部32が行うフィードバック制御によって補正された第1落差予測量Vca1を、充填処理の間に供給量算出部41が繰り返し算出する単位時間当たりの液体の供給量Qに基づいて、更に補正して第2落差予測量Vca2とする処理であり、いわゆるフィードフォワード制御を行う処理になる。
【0088】
充填バルブ20の開閉に関する動作速度や、通路25を通過する液体の量は、充填バルブ20ごとにバラツキがあり、また、1つの充填バルブ20においても経年変化によるバラツキが存在する。これらのバラツキに伴って落差量にもバラツキが生じることになる。第1落差予測量算出部32が行うフィードバック制御は、このような充填バルブ20ごとの違いや、充填バルブ20の経年変化によって生じる落差量のバラツキを抑えて、正確な落差量を予測する処理ということができる。これに対して、第2落差予測量算出部33が行うフィードフォワード制御は、閉鎖指令を出力する直前の液体の供給量の変化を踏まえて、落差量を予測する処理ということができる。これらのフィードバック制御と、フィードフォワード制御により、個々の充填バルブ20の個々の充填処理における精度の高い落差量を予測することが可能になる。
【0089】
また、フィードバック制御とフィードフォワード制御の両方における補正対象は、共に、第1落差補正量Vca1である。式(1)に基づいて行われるフィードバック制御では、落差偏差量である(VHr-Vca2_o)に、落差補正比率Hrを乗算して得られる乗算値を第1落差補正量としている。式(4)に基づいて行われるフィードフォワード制御では、供給量算出部41が算出する単位時間当たりの液体の供給量Qに、供給量補正係数Haを乗算して得られる乗算値に、供給量補正定数Hbを加算した加算値を第2落差補正量としている。そのため、落差補正比率Hr、供給量補正係数Ha、供給量補正定数Hbを、補正対象である第1落差予測量Vca1を大きく変化させない程度の値に調整しておけば、容器60における液体の充填量のバラツキを少なくすることが可能になる。また、フィードバック制御の場合、図2のSa2の処理に示すように、落差偏差量が大きすぎる場合は、第1落差補正量Vca1を補正しないようにして、第1落差補正量Vca1が大きく変わらないようにしている。したがって、上記の実施形態に係る充填装置1により、フィードフォワード制御と、フィードバック制御とによって、充填バルブ20に対して閉鎖指令を出力するタイミングを高い精度で予測しつつ、容器60における液体の充填量のバラツキを少なくすることが可能になる。
【0090】
<その他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、図1に示す充填装置1において、フレーム5、タンク6、流量計7、供給管8-1,8-2、温度センサ9、充填バルブ20、及び個別制御装置4を、1組とする組み合わせを複数組備え、この複数組に対して1つの主制御装置3を備えていてもよい。この場合に、フレーム5に対して、流量計7、充填バルブ20、個別制御装置4が、ブラケット等を介して固定されており、フレーム5は、図1に示す中心線YYを中心にして回転するようになっていてもよい。なお、制御線51が有線の通信回線である場合、主制御装置3を固定した状態で、個別制御装置4が回転可能になるように、制御線51には、例えば、スリップリングが挿入される。また、フレーム5が、中心線YYを中心にして回転する場合、容器台10が複数存在し、容器台10の各々も、フレーム5の回転に伴う動作を行うようにしてもよい。そのようにすることで、例えば、容器台10の各々に載せられた容器60の開口部に、複数の充填バルブ20の出口開口部26の各々が、順次挿入されるようにして、複数の充填バルブ20によって、複数の容器60の各々に並列に液体を充填することができる。
【0091】
上記の実施形態では、フレーム5、タンク6、流量計7、供給管8-1,8-2、温度センサ9、充填バルブ20、及び個別制御装置4の組み合わせが、1組存在する例を示し、主制御装置3についても、当該1組の組み合わせに対する処理を行う例について示した。フレーム5、タンク6、流量計7、供給管8-1,8-2、温度センサ9、充填バルブ20、及び個別制御装置4の組み合わせが複数存在する場合、主制御装置3において、第1落差予測量算出部32、第2落差予測量算出部33は、個々の組み合わせごとに、個別の処理を行う。充填処理制御部31は、例えば、Sa6、Sa7の処理などの、個々の組み合わせごとに、個別の処理が必要な処理については、個別に行い、例えば、容器台10によって容器60を搬送する処理などについては、充填装置1の全体に関する処理を行うことになる。操作部30は、入力操作などの個々の組み合わせごとに、個別の処理が必要な処理については、個別に行い、例えば、開始指示操作や終了指示操作などについては、充填装置1の全体に関する処理を行うことになる。
【0092】
実績落差量VHr、第1落差予測量Vca1、及び第2落差予測量Vca2は、個々の組み合わせごとに記憶部34に記憶される。偏差閾値HI、時間閾値Ti、設定充填量Vsg、変更パターンデータ、基準密度ρθ、密度補正傾きdθ、基準温度Tθは、組み合わせの各々に共通のものが記憶部34に記憶される。Kファクタについては、組み合わせごとの流量計7の所定容量にバラツキがなければ、組み合わせの各々に共通のものが記憶部34に記憶され、組み合わせごとの流量計7の所定容量にバラツキがある場合、組み合わせの各々に対応するKファクタが記憶部34に記憶される。落差補正比率Hrと、第2落差補正量算出式の係数と定数である供給量補正係数Ha、供給量補正定数Hbとについては、組み合わせの各々に共通のものが記憶部34に記憶されてもよいし、組み合わせの各々に個別のものが記憶部34に記憶されてもよい。なお、実績落差量VHr、第1落差予測量Vca1、及び第2落差予測量Vca2の初期値は、組み合わせの各々において同一であってもよいし、組み合わせの各々において異なっていてもよい。
【0093】
上記の実施形態では、流量計7を用いて、流量計7が出力するパルスから流量計7を通過する液体の容量を算出し、算出した容量に密度ρを乗算して液体の重量を算出するようにしている。これに対して、例えば、「特開2010-132328号」に示されるウエイト計量式充填装置のように、流量計7に替えて、容器60の重量を計測するロードセルなどの計重手段を備えるようにしてもよい。この場合、当該計重手段が繰り返し計測する容器60に液体が供給されている状態での容器60の重量の変化に基づいて、容器60に供給されている液体の重量の変化を検出することになる。そのため、供給量算出部41は、単位時間当たりの液体の供給量Qを、式(3)のように、液体の容量を経由することなく、直接重量で算出することになり、充填量管理部42は、充填積算量Vbrと、実績落差量VHrを、式(5)、式(6)のように容量を経由することなく、直接重量で算出することになる。また、充填処理制御部31は、図2のSa5の処理において、式(2)によって密度ρを算出する必要もなく、ユーザは、図2の処理が開始される前に、Kファクタ、基準密度ρθ、密度補正傾きdθ、基準温度Tθを設定する入力操作も行う必要がなくなり、充填装置1は、温度センサ9、温度取得部40、制御線52も備える必要がなくなる。
【0094】
上記の実施形態では、供給量算出部41、及び充填量管理部42は、流量計7が出力するパルスから流量計7を通過した液体の容量を算出し、算出した容量に密度ρを乗算して液体の重量を算出している。そのため、充填量管理部42、第1落差予測量算出部32、及び第2落差予測量算出部33の処理は、重量を基準として行われるようになっている。これに対して、上記した充填装置1による処理を、全て、容量を基準として行うようにしてもよい。この場合、供給量算出部41は、式(3)において密度ρを乗算する必要がなくなり、充填量管理部42は、式(5)、式(6)において密度ρを乗算する必要がなくなる。ただし、偏差閾値HI、設定充填量Vsgを用いる処理については、偏差閾値HI、設定充填量Vsgの各々を密度ρで除算した除算値を用いる処理に置き換える必要がある。そのため、図2の処理では、Sa5の処理において行っている密度ρを算出する処理を、Sa1の処理の前に行う必要がある。また、ユーザが予め定める実績落差量VHr、第1落差予測量Vca1、及び第2落差予測量Vca2の各々の初期値は、容量の単位で、定める必要があり、落差補正比率Hr、供給量補正係数Ha、及び供給量補正定数Hbは、実績落差量VHr、第1落差予測量Vca1、第2落差予測量Vca2、単位時間当たりの液体の供給量Qが、容量の単位で表された場合の値として、予め定めておく必要がある。
【0095】
上記の実施形態では、充填バルブ20の開度に関わらず、1つの供給量補正係数Haと、1つの供給量補正定数Hbを、ユーザが予め定める値としている。これに対して、充填バルブ20の開度ごとに、1つの供給量補正係数Haと、1つの供給量補正定数Hbとを、ユーザが予め定めるようにしてもよい。例えば、ユーザは、開度L1に対する供給量補正係数Ha、及び供給量補正定数Hbと、開度L2に対する供給量補正係数Ha、及び供給量補正定数Hbというように、充填バルブ20の開度ごとに、供給量補正係数Ha、及び供給量補正定数Hbの組み合わせを定めておき、図2の処理が行われる前に、ユーザの操作部30に対する入力操作によって、開度ごとの供給量補正係数Ha、及び供給量補正定数Hbの組み合わせを記憶部34に記録するようにする。充填量管理部42は、変更パターンデータに基づいて、充填バルブ20の開度を変更する場合、第2落差予測量算出部33に対して、式(4)において用いる供給量補正係数Ha、及び供給量補正定数Hbの組み合わせを、変更する開度に対応する組み合わせに変更する指示信号を送信する。これにより、充填バルブ20の開度に応じた供給量補正係数Haと、供給量補正定数Hbとが、式(4)において用いられることになるため、第2落差予測量算出部33は、より精度の高い第2落差予測量Vca2を算出することになり、充填量管理部42は、より精度の高い閉鎖充填量Vbsを算出することが可能になる。
【0096】
上記の実施形態では、充填量管理部42は、図5のSd8の処理において、充填積算量Vbrと、閉鎖充填量Vbsとを比較する処理を行っている。これに対して、ユーザによって予め定められる充填バルブ20ごとの個別の補正量cpを適用し、充填量管理部42は、設定充填量Vsgから、第2落差予測量Vca2を減算して得られた閉鎖充填量Vbsに、補正量cpを加算した加算値を算出し、Sd8の処理において、充填積算量Vbrが、算出した加算値以上であるか否かを判定するようにしてもよい。この場合、図2の処理が行われる前に、ユーザの操作部30に対する入力操作によって、補正量cpを記憶部34に記録するようにする。図2のSa6の処理において、充填処理制御部31が、充填量管理部42に送信する開始指示信号に、記憶部34に記憶されている補正量cpを含めて送信し、当該開始指示信号を受信した充填量管理部42は、開始指示信号に含まれている補正量cpを内部の記憶領域に記録し、記録した補正量cpを、図5のSd8の処理において用いることになる。
【0097】
上記の実施形態では、充填量管理部42は、Sd9の処理において、閉鎖指令を出力する前の充填積算量Vbrを算出し、Sd11の処理において、Sd9の処理を行った後からバッファに対して蓄積されたパルスの積算数に基づいて、実績落差量VHrを算出するようにしている。これに対して、充填量管理部42は、Sd9の処理を行わずに、Sd11のタイミングで、バッファに蓄積されているパルス数を、内部の記憶領域の積算パルスカウンタVbr_pに加算した上で、積算パルスカウンタVbr_pを読み出し、式(5)に基づいて、最終の充填積算量Vbrを算出するようにしてもよい。この場合、充填量管理部42は、Sd8の判定処理において「Yes」の判定処理をした際の充填積算量Vbrを内部の記憶領域に記憶させておき、最終の充填積算量Vbrから、Sd8の判定処理において「Yes」の判定処理をした際の充填積算量Vbrを減算することにより得られる減算値を実績落差量VHrとしてもよい。また、充填量管理部42は、最終の充填積算量Vbrから閉鎖充填量Vbsを減算して得られる減算値を、実績落差量VHrとしてもよい。
【0098】
上記の実施形態では、供給量算出部41は、図2のSa6の処理において、充填処理制御部31が送信する開始指示信号を受信して、図3に示す処理を開始するようにしている。これに対して、所定期間になった場合に、供給量算出部41に、図3に示す処理を開始させるようにしてもよい。例えば、図2のSa6の処理では、充填処理制御部31は、供給量算出部41に開始指示信号を送信せずに、密度ρと、設定充填量Vsgと、変更パターンデータと、所定期間判定用閾値Tmaと、Kファクタと、時間閾値Tiとを含む開始指示信号を充填量管理部42に送信する。充填量管理部42は、図5のSd5の処理において「Yes」の判定をした場合、密度ρと、時間閾値Tiと、Kファクタとを含む開始指示信号を供給量算出部41に出力する。このようにすれば、所定期間になった後に、供給量算出部41と、第2落差予測量算出部33とに処理をさせることになるため、処理の負荷を軽減することが可能になる。
【0099】
上記の実施形態では、変更パターンデータとして、時刻「0」において開度が「L1」になり、時刻「t2」において開度が「L2」になり、時刻「t3」において開度が再び「L1」になるというデータを用いる例を示した。これに対して、変更パターンデータとして、充填積算量Vbrの値に基づいて開度を変更するデータを用いるようにしてもよい。例えば、充填積算量Vbrが「0」以上「100」未満の場合に、開度が「L1」になり、充填積算量Vbrが「100」以上「200」未満の場合に、開度が「L2」になり、充填積算量Vbrが「200」以上の場合に、開度が「L1」になる変更パターンデータを用いてもよい。当該変更パターンデータを用いる場合、充填管理部42は、Sd2の処理において、内部の記憶領域に記憶されている充填積算量Vbrに基づいて変更パターンデータから開度を検出することになる。なお、Sd1の処理において、充填管理部42は、充填積算量Vbrを「0」に初期化する処理を行っているため、直後のSd2の処理において、開度「L1」を検出することになり、それ以降のSd2の処理については、Sd3の処理において充填管理部42が算出して内部の記憶領域に記録する充填積算量Vbrに基づいて変更パターンデータから開度を検出する処理が行われることになる。
【0100】
上記の実施形態における図2のフローチャートにおいて、Sa1,Sa2,Sa3,Sa4の処理セットと、Sa5の処理とは、Sa6の処理の前に行われていればよい。そのため、Sa1,Sa2,Sa3,Sa4の処理セットが、Sa5の処理の後に行われるようにしてもよいし、Sa1,Sa2,Sa3,Sa4の処理セットと、Sa5の処理とが並列に行われるようにしてもよい。
【0101】
上記の実施形態において、図2のSa2の処理において、偏差閾値HIを用いた判定処理、図3のSb5の処理において、時間閾値Tiを用いた判定処理、図5のSd5の処理において、所定期間判定用閾値Tmaを用いた判定処理を行っている。しかしながら、本開示は、当該実施の形態に限られるものではなく、「以上であるか否か」、「以下であるか否か」という判定処理は一例に過ぎず、閾値の定め方に応じて、それぞれ「超過するか否か」、「未満であるか否か」という判定処理に置き換えられてもよい。
【0102】
上記の実施形態では、主制御装置3に、操作部30、充填処理制御部31、第1落差予測量算出部32、第2落差予測量算出部33、及び記憶部34を備えるようにし、個別制御装置4に、温度取得部40、供給量算出部41、及び充填量管理部42を備えるようにしている。ただし、この機能部の配置は一例であり、主制御装置3と、個別制御装置4とが一体になっていてもよいし、主制御装置3に備えられる第1落差予測量算出部32、第2落差予測量算出部33、及び記憶部34が、個別制御装置4に備えられるようにするなど、主制御装置3と、個別制御装置4とにおける機能部の配置は、任意の配置としてもよい。
【0103】
<コンピュータ構成>
図7は、上記した実施形態の中の少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。コンピュータ90は、プロセッサ91、メインメモリ92、ストレージ93、および、インタフェース94を備える。上記した主制御装置3、及び個別制御装置4は、それぞれ1つのコンピュータ90に実装される。主制御装置3に対応するコンピュータ90のインタフェース94には、制御線51が接続し、個別制御装置4に対応するコンピュータ90のインタフェース94には、制御線51と、制御線52とが接続する。そして、上記した主制御装置3が備える各機能部の動作は、プログラムの形式で、主制御装置3に対応するコンピュータ90のストレージ93に記憶され、上記した個別制御装置4が備える各機能部の動作は、プログラムの形式で、個別制御装置4に対応するコンピュータ90のストレージ93に記憶される。主制御装置3、及び個別制御装置4の各々に対応するコンピュータ90のプロセッサ91は、プログラムをストレージ93から読み出してメインメモリ92に展開し、当該プログラムに従って上記した処理を実行する。すなわち、図2図4の処理は、主制御装置3に対応するコンピュータ90のプロセッサ91によって実行され、図3図5の処理は、個別制御装置4に対応するコンピュータ90のプロセッサ91によって実行される。また、主制御装置3に対応するコンピュータ90のプロセッサ91は、プログラムに従って、上述した記憶部34に対応する記憶領域をメインメモリ92に確保し、個別制御装置4に対応するコンピュータ90のプロセッサ91は、プログラムに従って、上述した供給量算出部41、及び充填量管理部42の内部の記憶領域に対応する記憶領域をメインメモリ92に確保する。なお、上記したように、主制御装置3と、個別制御装置4とが一体になっている場合、主制御装置3と、個別制御装置4とは、1つのコンピュータ90に実装されることになる。
【0104】
プログラムは、コンピュータ90に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージに既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータは、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が挙げられる。この場合、プロセッサによって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0105】
ストレージ93の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ93は、コンピュータ90のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース94または通信回線を介してコンピュータ90に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ90に配信される場合、配信を受けたコンピュータ90が当該プログラムをメインメモリ92に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ93は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0106】
<付記>
上記の実施形態に記載の充填装置1の制御装置2は、例えば以下のように把握される。
【0107】
(1)第1の態様に係る充填装置1の制御装置2は、容器60に液体を充填する充填バルブ20と、前記充填バルブにおける液体が流れる通路25の開閉を制御する制御装置と、を備える充填装置における前記制御装置であって、前記容器への単位時間当たりの液体の供給量Qを算出する供給量算出部41と、第2落差補正量算出式に、前記供給量算出部が算出する前記単位時間当たりの液体の供給量を代入して得られる第2落差補正量Vca2に基づいて、第1落差予測量Vca1を補正した第2落差予測量を算出する第2落差予測量算出部33と、前記容器に供給される前記液体の積算量である充填積算量Vbrを算出し、予め定められる設定充填量Vsgから、閉鎖指令を前記充填バルブに対して出力する前の所定期間において前記第2落差予測量算出部が算出する前記第2落差予測量を減算して得られる閉鎖充填量Vbsと、前記充填積算量とに基づいて、前記閉鎖指令を出力し、前記閉鎖指令を出力してから前記充填バルブが閉鎖するまでの液体の量である実績落差量VHrを算出する充填量管理部42と、第1落差補正量算出式に、前記充填量管理部が算出する前記実績落差量と、前記閉鎖指令が出力された際の前記第2落差予測量とを代入して得られる第1落差補正量に基づいて、前記第1落差予測量を補正して新たな第1落差予測量を算出する第1落差予測量算出部32と、を備える。本態様、及び以下の各態様によれば、フィードフォワード制御と、フィードバック制御とによって、充填バルブに対して閉鎖指令を出力するタイミングを高い精度で予測しつつ、容器における液体の充填量のバラツキを少なくすることができる。
【0108】
(2)第2の態様に係る充填装置1の制御装置2は、(1)の充填装置1の制御装置2であって、前記第2落差補正量算出式は、前記第2落差予測量と前記第1落差予測量の差と、前記単位時間当たりの液体の供給量との関係を線形近似した関数で表される式であり、前記第2落差予測量算出部は、前記第2落差補正量を、前記第1落差予測量に加算して、前記第2落差予測量を算出する。
【0109】
(3)第3の態様に係る充填装置1の制御装置2は、(1)または(2)の充填装置1の制御装置2であって、前記第1落差補正量算出式は、前記充填量管理部が算出する前記実績落差量から、前記閉鎖指令が出力された際の前記第2落差予測量を減算して得られる落差偏差量に、予め定められる係数を乗算する式であり、前記第1落差予測量算出部は、前記第1落差補正量を、前記第1落差予測量に加算して、新たな前記第1落差予測量を算出する。
【0110】
(4)第4の態様に係る充填装置1の制御装置2は、(1)から(3)の何れか1つに記載の充填装置1の制御装置2であって、前記充填量管理部は、予め定められる前記充填バルブの開度を変更するタイミングを示す変更パターンデータと、充填を開始する際に計時を開始する経過時間Tmとに基づいて、前記所定期間であるか否かを判定する。本態様によれば、閉鎖指令を出力する直前の単位時間当たりの液体の供給量Qとみなすことができる所定期間における単位時間当たりの液体の供給量Qを得ることができ、当該単位時間当たりの液体の供給量Qに基づいて算出する第2落差予測量Vca2を用いて、精度の良い閉鎖充填量Vbsを得ることができる。
【符号の説明】
【0111】
1 充填装置
2 制御装置
3 主制御装置
4 個別制御装置
5 フレーム
6 タンク
7 流量計
8-1,8-2 供給管
9 温度センサ
10 容器台
20 充填バルブ
21 充填バルブ本体
22 弁棒
23 弁体
24 入口開口部
25 通路
26 出口開口部
27 軸
28 駆動装置
30 操作部
31 充填処理制御部
32 第1落差予測量算出部
33 第2落差予測量算出部
34 記憶部
40 温度取得部
41 供給量算出部
42 充填量管理部
51、52 制御線
60 容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7