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特開2025-4465パネルの固定金具及びパネルの固定構造
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  • 特開-パネルの固定金具及びパネルの固定構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004465
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】パネルの固定金具及びパネルの固定構造
(51)【国際特許分類】
   E01F 8/00 20060101AFI20250107BHJP
   F16B 5/06 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
E01F8/00
F16B5/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104172
(22)【出願日】2023-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】592093914
【氏名又は名称】新中央工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】萬 宏己
【テーマコード(参考)】
2D001
3J001
【Fターム(参考)】
2D001AA01
2D001BA02
2D001BB01
2D001CA01
2D001CB02
3J001FA19
3J001GA01
3J001GA06
3J001GB01
3J001GC02
3J001GC15
3J001HA04
3J001JC02
3J001JC06
3J001JC12
3J001KA19
3J001KB04
(57)【要約】
【課題】弾性力が強い場合であっても、容易にパネルと支柱との間に打ち込みが可能なパネルの固定金具を提供する。
【解決手段】パネルの固定金具は、立設された支柱間に差し込まれたパネルを、折り曲げ加工された金属板の弾性力で固定するパネルの固定金具であって、鉛直断面において上下に直線状に伸びる第1縦辺部と、前記第1縦辺部の下端から上方へ折り返された第2縦辺部と、前記第2縦辺部の上端から前記第1縦辺部側へ折り返されたくの字状の第3縦辺部と、前記第1縦辺部の上端から前記第2縦辺部側へ折り返されたフランジ部とを備えることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立設された支柱間に差し込まれたパネルを、折り曲げ加工された金属板の弾性力で固定するパネルの固定金具であって、
鉛直断面において上下に直線状に伸びる第1縦辺部と、
前記第1縦辺部の下端から上方へ折り返された第2縦辺部と、
前記第2縦辺部の上端から前記第1縦辺部側へ折り返されたくの字状の第3縦辺部と、
前記第1縦辺部の上端から前記第2縦辺部側へ折り返されたフランジ部とを備えること
を特徴とするパネルの固定金具。
【請求項2】
前記第1縦辺部と前記第2縦辺部と前記第3縦辺部とは、前記第1縦辺部と前記第2縦辺部との間の屈曲部から前記パネルと前記支柱との間に差し込まれていることにより、前記第1縦辺部と前記第2縦辺部と前記第3縦辺部とが弾性変形して前記弾性力を発揮していること
を特徴とする請求項1に記載のパネルの固定金具。
【請求項3】
前記第3縦辺部は、前記第1縦辺部と前記第2縦辺部との間の屈曲部から前記パネルと前記支柱との間に差し込まれていることにより、前記第3縦辺部のくの字状の屈曲部が前記第1縦辺部と接触すると共に前記第3縦辺部の下端が前記第2縦辺部に接触すること
を特徴とする請求項1に記載のパネルの固定金具。
【請求項4】
前記第2縦辺部は、くの字状であること
を特徴とする請求項1に記載のパネルの固定金具。
【請求項5】
前記第3縦辺部の下端から前記第1縦辺部側へ折り返された端部をさらに備えること
を特徴とする請求項1に記載のパネルの固定金具。
【請求項6】
鉛直方向に形成された溝部を有する複数の支柱と、複数の前記支柱の対向する前記溝部に差し込まれるパネルと、を備えたパネルの固定構造であって、
請求項1から請求項5のいずれかに記載のパネルの固定金具が前記パネルと前記支柱との間に差し込まれて前記パネルが前記支柱に固定されていること
を特徴とするパネルの固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路や線路脇等の騒音源に沿って設置される防音壁又は遮音壁等のパネルを、金属板の弾性復元力を利用してH形鋼等からなる支柱に固定する固定金具及びパネルの固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、H形鋼等からなる支柱が所定間隔をおいて立設されたうえ、そのH形鋼のフランジ内に防音パネル又は遮音パネル等が差し込まれた防音壁等が設置されており、高速道路、線路、工場等の騒音源から騒音を防音又は遮蔽(遮音)することが行われている。
【0003】
この防音壁の防音パネルの支柱(H形鋼等)への固定は、例えば特許文献1に示すように防音パネルと支柱であるH形鋼のフランジとの間の隙間に、鋼板などの金属板から折り曲げ加工された固定金具を打ち込んで、固定金具の板バネとしての弾性復元力で押圧固定するものであった。
【0004】
特許文献1には、折曲部を介してV字状をなす側板及びバネ板と、該バネ板の頂部から側板側に鋭角状に折曲されており更にその先端が僅かにバネ板側に折曲されている折曲片とから形成されており、H形鋼から成る支柱間に落し込んで施工される防音パネルやプラスチック板パネルの壁パネルの両側端で該支柱のフランジとの間隙に打ち込まれて該壁パネルを該支柱に固定する壁パネル用固定金具において、該側板の中央部が一辺を残して切り欠かれて該一辺を支点としてバネ板側に折曲されている引掛用舌片が該折曲片に穿設されている引掛用舌片受け口に引掛けて固定されている壁パネル用固定金具が開示されている(特許文献1の特許請求の範囲の請求項1、図1図2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-65523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方で、近年、防音パネル又は遮音パネル等がより大型化し、より面積のあるパネルが用いられることが多くなっている。このため、従来であれば一般的にパネルを固定するのに必要な押圧力は2kNでされていたが、近年ではパネルを固定するのに6kNの押圧力が必要とされている。これにより、より面積のあるパネルを支えるために、より弾性力が強い固定金具が必要とされている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されている固定金具では、図10に示すように、固定金具100をパネル8と支柱7との間に差し込む際に、バネ板130と天板150との二か所を打撃する必要があった。このため、弾性力の強い固定金具を扱う場合、バネ板130と側板120との間が開き、パネル8と支柱7との間に入りにくくなるという問題があった。
【0008】
また、特許文献1に記載されている固定金具では、弾性力の強い固定金具を扱う場合、固定金具100とパネル8との接触点Iの箇所で折れ曲がり、パネル8と支柱7との間に入りにくくなるという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、前述した問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、弾性力が強い場合であっても、容易にパネルと支柱との間に打ち込みが可能なパネルの固定金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明に係るパネルの固定金具は、立設された支柱間に差し込まれたパネルを、折り曲げ加工された金属板の弾性力で固定するパネルの固定金具であって、鉛直断面において上下に直線状に伸びる第1縦辺部と、前記第1縦辺部の下端から上方へ折り返された第2縦辺部と、前記第2縦辺部の上端から前記第1縦辺部側へ折り返されたくの字状の第3縦辺部と、前記第1縦辺部の上端から前記第2縦辺部側へ折り返されたフランジ部とを備えることを特徴とする。
【0011】
第2発明に係るパネルの固定金具は、第1発明において、前記第1縦辺部と前記第2縦辺部と前記第3縦辺部とは、前記第1縦辺部と前記第2縦辺部との間の屈曲部から前記パネルと前記支柱との間に差し込まれていることにより、前記第1縦辺部と前記第2縦辺部と前記第3縦辺部とが弾性変形して前記弾性力を発揮していることを特徴とする。
【0012】
第3発明に係るパネルの固定金具は、第1発明において、前記第3縦辺部は、前記第1縦辺部と前記第2縦辺部との間の屈曲部から前記パネルと前記支柱との間に差し込まれていることにより、前記第3縦辺部のくの字状の屈曲部が前記第1縦辺部と接触すると共に前記第3縦辺部の下端が前記第2縦辺部に接触することを特徴とする。
【0013】
第4発明に係るパネルの固定金具は、第1発明において、前記第2縦辺部は、くの字状であることを特徴とする。
【0014】
第5発明に係るパネルの固定金具は、第1発明において、前記第3縦辺部の下端から前記第1縦辺部側へ折り返された端部をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
第6発明に係るパネルの固定構造は、鉛直方向に形成された溝部を有する複数の支柱と、複数の前記支柱の対向する前記溝部に差し込まれるパネルと、を備えたパネルの固定構造であって、第1発明から第5発明のいずれかに記載のパネルの固定金具が前記パネルと前記支柱との間に差し込まれて前記パネルが前記支柱に固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
第1発明~第6発明によれば、固定金具は、第1縦辺部の上端から第2縦辺部側へ折り返されたフランジ部を備える。このため、フランジ部を打撃することにより、パネルと支柱との間に打ち込みが可能となる。これにより、一か所の打撃で容易に固定金具の打ち込みができる。また、フランジ部を打撃することにより、固定金具全体に打ち込みの力が加わるため、容易に打ち込みができる。これらのことから、固定金具の弾性力が強い場合であっても、容易にパネルと支柱との間に打ち込みが可能なパネルの固定金具を提供することが可能となる。
【0017】
特に、第2発明によれば、第1縦辺部と第2縦辺部と第3縦辺部とは、第1縦辺部と第2縦辺部との間の屈曲部からパネルと支柱との間に差し込まれている。これにより、第1縦辺部と第2縦辺部との間の屈曲部及び第2縦辺部と第3縦辺部との間の屈曲部が、開く方向に弾性変形して弾性力が発揮されるので、より強い弾性力を有する固定金具を提供することが可能となる。
【0018】
特に、第3発明によれば、第3縦辺部は、第3縦辺部のくの字状の屈曲部が第1縦辺部と接触すると共に第3縦辺部の下端が第2縦辺部に接触する。これにより、接触点において、反発力が生じるため、より強い弾性力を有する固定金具を提供することが可能となる。
【0019】
特に、第4発明によれば、第2縦辺部は、くの字状である。これにより、パネルと支柱との間の距離がより大きい場合においても、パネルと支柱との間に固定金具を差し込むことにより、パネルと支柱とを固定することができる。
【0020】
特に、第5発明によれば、第3縦辺部の下端から第1縦辺部側へ折り返された端部をさらに備える。これにより、第3縦辺部と端部との間の屈曲部が、開く方向に弾性変形して弾性力が発揮されるので、より強い弾性力を有する固定金具を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の実施形態に係る固定金具を用いた防音壁を示す図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るパネルの固定金具を示す斜視図である。
図3図3(a)は、本発明の実施形態に係るパネルの固定金具を示す側面図である。図3(b)は、本発明の実施形態に係るパネルの固定金具を示す平画図である。図3(c)は、本発明の実施形態に係るパネルの固定金具を示す背面図である。図3(d)は、本発明の実施形態に係るパネルの固定金具を示す正面図である。図3(e)は、本発明の実施形態に係るパネルの固定金具を示す底面図である。
図4図4は、第2縦辺部がくの字状の場合の固定金具を示す図である。
図5図5は、第2縦辺部に溝部が設けられる場合の固定金具を示す図である。
図6図6は、パネルと支柱との間に固定金具を打ち込む様子を示す図である。
図7図7は、打撃を加えた固定金具に伝わる力の様子を示す図である。
図8図8は、パネルの固定構造を示す図である。
図9図9は、固定金具を製造する工程を示す図である。
図10図10は、パネルと支柱との間に固定金具を打ち込む様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係るパネルの固定金具及びパネルの固定構造について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
先ず、図1を用いて、本発明の実施形態に係る固定金具1を用いた防音壁10について説明する。防音壁10は、高速道路脇に設置される壁である。また、防音壁10は、防音性のある壁に限らず、防音壁、遮光壁等の任意の壁であってもよい。防音壁10は、図1に示すように、所定間隔において立設され、鉛直方向yに形成された溝部71を有する複数の支柱7と、これらの支柱7の対向する溝部71に差し込まれるパネル8と、パネル8と支柱7との間に差し込まれる固定金具1とを備える。
【0024】
支柱7は、例えばH形鋼等のように、鉛直方向yに形成された溝部71を有する。支柱7は、パネル8の幅に応じた所定間隔をおいて複数立設されている。勿論、本発明に係る支柱7は、H形鋼に限られるものではなく、溝形鋼やI形鋼など、鉛直方向yに形成された溝部71を有する支柱であり、相対向する溝部71内にパネル8を装着可能な構成であればよい。
【0025】
パネル8は、例えば防音パネルであるが、これに限らず、遮音パネル又は遮光パネル等の任意のパネルを用いてもよい。パネル8は、例えばアルミ製の矩形の枠体であり、内側に図示しないアクリル樹脂等からなる透明な板が嵌め込まれ、透明な板から光を透過しつつ騒音を反射する一般に透光板と呼ばれるパネルを構成する枠体であってもよい。勿論、このパネル8は、アルミ製ではなく樹脂や防錆処理された鋼製の枠体であってもよく、透光板ではない吸音材を装填した箱体からなる一般的なパネルを構成するものであってもよい。また、パネル8は、パネル枠を有しない箱体からなるパネルや防音パネルではない壁面パネルを構成するパネル等であっても本発明を適用することが可能である。
【0026】
次に、本発明の実施形態に係る固定金具1について図2、3、4、5を用いて説明する。図2(a)及び図2(b)は、本発明の実施形態に係る固定金具1を示す斜視図である。図3は、本発明の実施形態に係る固定金具1の六面図である。図4は、第2縦辺部3がくの字状の場合の固定金具1を示す図である。図5は、第2縦辺部3に溝部31が設けられる場合の固定金具1を示す図である。
【0027】
固定金具1は、鉛直断面において上下に直線状に伸びる第1縦辺部2と、第1縦辺部2の下端である屈曲部Aから上方へ折り返された第2縦辺部3と、第2縦辺部3の上端である屈曲部Bから第1縦辺部2側へ折り返されたくの字状の第3縦辺部4と、第1縦辺部2の上端である屈曲部Fから第2縦辺部3側へ折り返されたフランジ部5と、を備える。また、固定金具1は、第3縦辺部4の下端である屈曲部Dから第1縦辺部2側へ折り返された端部6を備えてもよい。
【0028】
第1縦辺部2は、鉛直断面において上下に伸びる直線状の平板からなる部位である。
【0029】
第2縦辺部3は、第1縦辺部2の下端である屈曲部Aから上方へ折り返された平板からなる部位である。第2縦辺部3は、第1縦辺部2の下端である屈曲部Aと連続している。また、第2縦辺部3は、第1縦辺部2との交差角度が、90度より小さい鋭角となるように形成されるがこれに限らず、任意の角度となってもよい。
【0030】
また、第2縦辺部3は、直線状の平板からなる部位であってもよいが、これに限らず、図4に示すように、平板鋼板から略中間位置において鉛直断面がくの字状に屈曲加工されたくの字型の平板からなる部位であってもよい。これにより、パネル8と支柱7との間の距離がより大きくなった場合においても、固定金具1をパネル8と支柱7との間に差し込み、金属板の弾性力で固定することが可能となる。
【0031】
また、第2縦辺部3は、図5に示すように、溝31が形成されてもよい。これにより、固定金具1の強度を向上させることが可能となる。
【0032】
第3縦辺部4は、第2縦辺部3の上端である屈曲部Bと連続し、第2縦辺部3の上端である屈曲部Bから第1縦辺部2側へ折り返された部位である。第3縦辺部4は、平板鋼板から略中間位置において鉛直断面がくの字状の鈍角に屈曲加工され、屈曲部Cが形成されている。また、第3縦辺部4は、第2縦辺部3との交差角度が、90度より小さい鋭角となるように形成されるがこれに限らず、任意の角度となってもよい。
【0033】
端部6は、第3縦辺部4の下端である屈曲部Dと連続し、第3縦辺部4の下端である屈曲部Dから第1縦辺部2側へ折り返された部位である。端部6は、例えば直線状の平板からなる部位である。
【0034】
フランジ部5は、第1縦辺部2の上端である屈曲部Fから第2縦辺部3側へ折り返された平板からなる部位である。フランジ部5は、第1縦辺部2の上端である屈曲部Fと連続している。また、フランジ部5は、第1縦辺部2との交差角度が、90度以上となるように形成されるが、これに限らず、任意の角度となってもよい。また、フランジ部5は、直線状の平板からなる部位である。
【0035】
また、フランジ部5は、落下防止用の図示しないワイヤが挿通されるワイヤ挿通孔51が穿設されている。このワイヤ挿通孔51は、図示しないワイヤが挿通されて、事故などで防音壁10が破壊されたような場合であっても、固定金具1が落下しないようにするためのものであり、高速道路などの下に一般道が通っているような高架橋に防音壁10が設置される場合に設けられる。よって、本発明の必須の発明特定事項でないことは云うまでもない。
【0036】
次に、図6、7、8を用いて、本発明の実施形態に係るパネルの固定構造11について説明する。固定構造11は、図6に示すように、パネル8と支柱7のフランジ72との間の隙間に固定金具1がゴムハンマー等で叩き込まれて設置される。かかる場合、固定構造11は、固定金具1のフランジ部5を方向Gから打撃を加えることにより、設置される。これにより、一か所の打撃で容易に固定金具1の打ち込みができる。また、固定構造11は、図7に示すように、固定金具1のフランジ部5を方向Gから打撃を加えることにより、固定金具1の全体に打ち込みの力Hが働くことにより、固定金具1の弾性力が強い場合であっても、容易にパネル8と支柱7との間に打ち込みが可能となる。
【0037】
固定構造11は、図8に示すように、固定金具1がパネル8と支柱7との間に差し込まれることで、支柱7の間に差し込まれたパネル8を、固定金具1の弾性力で固定することにより構成されている。かかる場合、固定金具1は、鋼板の復元弾性力でパネル8と支柱7のフランジ72とを押圧して所定位置に固定されている。固定構造11は、第1縦辺部2と第2縦辺部3との間の屈曲部Aからパネル8と支柱7間に差し込まれていることにより、第1縦辺部2と第2縦辺部3と第3縦辺部4とが弾性変形して弾性力を発揮することにより固定される。かかる場合、第1縦辺部2と第2縦辺部3との間の屈曲部Aと第2縦辺部3と第3縦辺部4との間の屈曲部Bが開く方向に弾性変形して弾性力を発揮することにより固定される。また、固定構造11は、第3縦辺部4のくの字状の屈曲部C及び第3縦辺部4の下端である屈曲部Dが偏平に開いて弾性変形することにより、その復元力により弾性力を発揮する板バネとしての機能させることができる。
【0038】
また、第3縦辺部4は、固定金具1がパネル8と支柱7との間に差し込まれることで、第3縦辺部4のくの字状の屈曲部Cが第1縦辺部2と接触すると共に第3縦辺部4の下端である屈曲部Dが第2縦辺部3に接触するように設けられてもよい。また、端部6は、固定金具1がパネル8と支柱7との間に差し込まれることで、下端Eが第1縦辺部2と接触するように設けられてもよい。これにより、接触点において、反発力が生じるため、より強い弾性力を有する。
【0039】
また、第1縦辺部2は、固定金具1がパネル8と支柱7との間に差し込まれることで、支柱7のフランジ72と当接するように設けられてもよい。また、第2縦辺部3は、固定金具1がパネル8と支柱7との間に差し込まれることで、パネル8と当接するように設けられてもよい。また、フランジ部5は、固定金具1がパネル8と支柱7との間に差し込まれることで、パネル8の上面と当接するように設けられ、固定金具1が落下しないように掛け止める機能を有している。
【0040】
次に、固定金具1の製造方法について図9を用いて説明する。図9は、固定金具1の製造過程を示す図である。まず、図9(a)に示すように、金属板の屈曲部Dを曲げることにより、固定金具1の端部6を形成する。かかる場合、押さえ曲げ等の曲げ加工を用いてもよいが、これに限らず、任意の曲げ加工により、金属板を曲げてよい。
【0041】
次に、図9(b)に示すように、金属板の屈曲部C及び屈曲部Bを曲げることにより、第3縦辺部4を形成する。かかる場合、押さえ曲げ等の曲げ加工を用いてもよいが、これに限らず、任意の曲げ加工により、金属板を曲げてよい。
【0042】
次に、図9(c)に示すように、金属板の屈曲部Fを曲げることにより、フランジ部5を形成する。かかる場合、押さえ曲げ等の曲げ加工を用いてもよいが、これに限らず、任意の曲げ加工により、金属板を曲げてよい。
【0043】
次に、図9(d)に示すように、金属板の屈曲部Aを曲げることにより、第2縦辺部3を形成する。かかる場合、袋曲げ等の曲げ加工を用いてもよいが、これに限らず、任意の曲げ加工により、金属板を曲げてよい。
【0044】
以上、本実施形態に係るパネルの固定金具、パネルの固定構造及び固定金具の製造方法について詳細に説明したが、前述した又は図示した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたって具体化した一実施形態を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
【0045】
特に、固定金具の素材としては、鋼製の金具を例示したが、弾性体である金属板からなるものであればよい。また、固定するパネルとしてパネル枠を有する防音パネルを例示して説明したが、防音パネルに限られず、縦方向に溝部を有する支柱にパネルを取り付けて固定する際には、本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 :固定金具(パネルの固定金具)
10 :遮音壁
11 :固定構造(パネルの固定構造)
2 :第1縦辺部
3 :第2縦辺部
31 :溝部
4 :第3縦辺部
5 :フランジ部
51 :ワイヤ挿通孔
6 :端部
7 :支柱
71 :溝部
72 :フランジ
8 :パネル
100 :固定金具
120 :側板
130 :バネ板
150 :天板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10