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  • 特開-医療器具用キャップ 図1
  • 特開-医療器具用キャップ 図2
  • 特開-医療器具用キャップ 図3
  • 特開-医療器具用キャップ 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004472
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】医療器具用キャップ
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/20 20060101AFI20250107BHJP
   A61M 1/00 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
A61M39/20
A61M1/00 160
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104185
(22)【出願日】2023-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】591129025
【氏名又は名称】株式会社塚田メディカル・リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】小林 由香里
(72)【発明者】
【氏名】小林 照幸
【テーマコード(参考)】
4C066
4C077
【Fターム(参考)】
4C066AA03
4C066FF01
4C066NN20
4C077AA19
4C077DD25
4C077FF06
4C077KK17
(57)【要約】
【課題】本発明は、排出口の周りへの尿の付着を防止することのできる医療器具用キャップを提供することを目的とする。
【解決手段】
医療器具用キャップ100において、外部部材に接続可能に形成された基端部12から反対側の開口部13まで貫通する流路14が形成された接続プラグ本体部10と、前記開口部13を閉じるためのシール部33が設けられた蓋部30とを備え、前記接続プラグ本体部10は、前記蓋部30が前記開口部13を閉じたときに前記蓋部30と対向する本体側対向面10Aを有し、前記開口部13は、前記本体側対向面10Aから突出する注ぎ口16が形成されるようにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療器具用キャップにおいて、
外部部材に接続可能に形成された基端部から反対側の開口部まで貫通する流路が形成された接続プラグ本体部と、
前記開口部を閉じるためのシール部が設けられた蓋部とを備え、
前記接続プラグ本体部は、前記蓋部が前記開口部を閉じたときに前記蓋部と対向する本体側対向面を有し、前記開口部は、前記本体側対向面から突出する注ぎ口が形成されたことを特徴とする、医療器具用キャップ。
【請求項2】
請求項1に記載の医療器具用キャップにおいて、前記蓋部は、前記開口部を閉じたときに前記本体側対向面に対向する蓋側対向面を有し、前記蓋側対向面は、前記蓋部が前記開口部を閉じたときに前記注ぎ口を受ける溝部が形成されたことを特徴とする、医療器具用キャップ。
【請求項3】
請求項2に記載の医療器具用キャップにおいて、前記本体側対向面には本体側磁性体が設けられているとともに、前記蓋側対向面には前記本体側磁性体との間に引力を生じさせる蓋側磁性体が設けられており、前記注ぎ口は前記本体側磁性体よりも突出していることを特徴とする、医療器具用キャップ。
【請求項4】
請求項2に記載の医療器具用キャップにおいて、前記溝部は、前記注ぎ口と嵌合する形状に形成されたことを特徴とする、医療器具用キャップ。
【請求項5】
請求項3に記載の医療器具用キャップにおいて、前記溝部は、前記シール部と前記蓋側磁性体との間に形成されたことを特徴とする、医療器具用キャップ。
【請求項6】
請求項2に記載の医療器具用キャップにおいて、前記シール部は、前記蓋側対向面から突出していることを特徴とする、医療器具用キャップ。
【請求項7】
請求項1に記載の医療器具用キャップにおいて、前記注ぎ口は、前記蓋部が前記開口部を閉じるときに、前記シール部が前記開口部に当接する前に前記蓋部に当接しないことを特徴とする、医療器具用キャップ。
【請求項8】
請求項1に記載の医療器具用キャップにおいて、前記注ぎ口は、円弧形状に形成されたことを特徴とする、医療器具用キャップ。
【請求項9】
請求項1に記載の医療器具用キャップにおいて、前記注ぎ口は、V字形状に形成されたことを特徴とする、医療器具用キャップ。
【請求項10】
請求項1に記載の医療器具用キャップにおいて、前記注ぎ口は、前記開口部の開口端内周の2/3以下に沿って形成されたことを特徴とする、医療器具用キャップ。
【請求項11】
請求項1に記載の医療器具用キャップにおいて、前記注ぎ口は、前記開口部の開口端内周の1/2以下に沿って形成されたことを特徴とする、医療器具用キャップ。
【請求項12】
請求項1に記載の医療器具用キャップにおいて、前記注ぎ口は、前記本体側対向面から突出する長さが前記注ぎ口の頂点に近い位置ほど長くなるように斜めに形成されていることを特徴とする、医療器具用キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿道カテーテル等の人体留置医療用器具の外部開閉弁として機能する医療器具用キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排尿管理を目的とした尿道カテーテルの外部開閉弁として機能する医療器具用キャップが知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の医療器具用キャップは、尿道カテーテルに接続されて使用者に装着され、排尿時には医療器具用キャップの蓋を開けると尿道カテーテル内に残っていた空気を排出した後に尿の排出が始まるようになっている。この時、排出される尿の量や膀胱の収縮圧によって尿が押し出され、医療器具用キャップの排出口から体外に排出されるようになっている。
【0003】
また、尿道カテーテルは、使用者が自分で留置したり排尿したりするのに用いられるため、脳血管障害者、脊髄損傷者等、手の巧緻性の問題により尿道カテーテルの操作が困難な使用者でも簡単に操作できる尿道カテーテルが望まれていた。この課題を解消すべく、蓋を閉じるときに磁石の引力を用いて補助する医療器具用キャップが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-206370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術による医療器具用キャップでは、医療器具用キャップの先端に形成された排出口から尿が排出されると、尿が医療器具用キャップの先端に組み込まれた磁石の表面を伝って排出されてしまうことがあった。排出される尿の量は、尿道カテーテルの内腔の太さ等によって制限されるが、22Fr(7.3mm)の尿道カテーテルを用いた場合と12Fr(4.0mm)の尿道カテーテルを用いた場合とでは排出される尿の量が大きく変わる。22Frの尿道カテーテルを用いて排出される尿の量が多い場合や医療器具用キャップの排出口を下に向けている場合は尿の流れに勢いがあるため、医療器具用キャップの排出口の周りに付着させずに尿を排出できるが、排出される尿の量が減って勢いが弱まると排出口の周りに尿が付着してしまうことがあった。尿が磁石に付着した状態で医療器具用キャップを使用し続けると、磁石が錆びることによって生じた錆や乾いて結晶化した尿が医療器具用キャップの本体部と蓋部との隙間に挟まり、蓋部が適切に閉まらないことにより排出口から尿が漏れてしまう恐れがあった。
【0006】
また、排出口の周りに付着した尿が残っていると悪臭の原因になる恐れがあった。
【0007】
本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、排出口の周りへの尿の付着を防止することのできる医療器具用キャップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、医療器具用キャップにおいて、外部部材に接続可能に形成された基端部から反対側の開口部まで貫通する流路が形成された接続プラグ本体部と、前記開口部を閉じるためのシール部が設けられた蓋部とを備え、前記接続プラグ本体部は、前記蓋部が前記開口部を閉じたときに前記蓋部と対向する本体側対向面を有し、前記開口部は、前記本体側対向面から突出する注ぎ口が形成されたことを特徴とする。
【0009】
この場合において、前記蓋部は、前記開口部を閉じたときに前記本体側対向面に対向する蓋側対向面を有し、前記蓋側対向面は、前記蓋部が前記開口部を閉じたときに前記注ぎ口を受ける溝部が形成されていてもよい。前記本体側対向面には本体側磁性体が設けられているとともに、前記蓋側対向面には前記本体側磁性体との間に引力を生じさせる蓋側磁性体が設けられており、前記注ぎ口は前記本体側磁性体よりも突出していてもよい。前記溝部は、前記注ぎ口と嵌合する形状に形成されていてもよい。前記溝部は、前記シール部と前記蓋側磁性体との間に形成されていてもよい。前記シール部は、前記蓋側対向面から突出していてもよい。前記注ぎ口は、前記蓋部が前記開口部を閉じるときに、前記シール部が前記開口部に当接する前に前記蓋部に当接しなくてもよい。前記注ぎ口は、円弧形状に形成されていてもよい。前記注ぎ口は、V字形状に形成されていてもよい。前記注ぎ口は、前記開口部の開口端内周の2/3以下に沿って形成されていてもよい。前記注ぎ口は、前記開口部の開口端内周の1/2以下に沿って形成されていてもよい。前記注ぎ口は、前記本体側対向面から突出する長さが前記注ぎ口の頂点に近い位置ほど長くなるように斜めに形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、排出口の周りへの尿の付着を防止することのできる医療器具用キャップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】蓋部が開いた状態の医療器具用キャップの斜視図を示す。
図2】蓋部が開いた状態の医療器具用キャップの断面図を示す。
図3】蓋部が開いて尿が排出されている状態の医療器具用キャップの模式図を示す。
図4】蓋部が閉じた状態の医療器具用キャップの側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る医療器具用キャップについて、図面を用いて説明する。図1は、蓋部が開いた状態の医療器具用キャップの斜視図を示し、図2は、蓋部が開いた状態の医療器具用キャップの断面図を示し、図3は、蓋部が開いて尿が排出されている状態の医療器具用キャップの模式図を示し、図4は、蓋部が閉じた状態の医療器具用キャップの側面図を示す。
【0013】
医療器具用キャップ100は、尿道カテーテルや尿バッグ等に排尿チューブ(図示せず)などを介して接続されるように設けられている。医療器具用キャップ100は、弾力性を有する樹脂で形成されており、図1に示すように、一体で成形された接続プラグ本体部10と蓋部30とを有している。
【0014】
接続プラグ本体部10は、尿道カテーテルや尿バッグ等の外部部材にチューブ等を介して接続可能な接続部11が形成されている。接続プラグ本体部10は、図2に示すように、外部部材に流体的に接続されるように形成された基端部12からこの基端部12の反対側に形成された開口部13まで貫通する流路14が形成されている。この流路14は、円形断面を有して、接続部11及び開口部13の中心を貫通するように形成されている。開口部13は、基端部12側から流れてきた尿の排出口である。
【0015】
開口部13の周りには、環形状に形成された磁石(本体側磁性体)15が取り付けられており、磁石15の外周を覆うように円筒形状の側壁18が形成されている。この側壁18上に蓋部30を接続プラグ本体部10に対して揺動するためのヒンジ部31が一体で設けられている。
【0016】
接続プラグ本体部10は、蓋部30が開口部13を閉じたときに蓋部30と対向する本体側対向面10Aを有している。この本体側対向面10Aは、開口部13の一部、磁石15の表面、及び側壁18の端面で構成されており、略平坦になっている。
【0017】
本実施形態に係る開口部13は、開口部13の開口端内周の1/2以下の部分に沿って、注ぎ口16が本体側対向面10Aから突出するように形成されている。すなわち、注ぎ口16は、磁石15よりも尿の排出方向Dに向けて突出している。この注ぎ口16は、開口部13の開口端内周に沿って円弧形状に形成されている。また、注ぎ口16は、本体側対向面10Aから突出する長さが注ぎ口16の頂点近い位置ほど長くなるように斜めに形成されている。すなわち、注ぎ口16は、開口部13の開口端内周に沿って、ヒンジ部31から最も離れた位置に近い部分ほど本体側対向面10Aからの突出量が大きくなるように形成されている。これにより、医療器具用キャップ100は、図3に示すように、注ぎ口16によって排出される尿Uが磁石15から離れる方向に導かれるようになっている。
【0018】
蓋部30は、図2に示すように、内面の中心から立ち上がった軸部が形成されており、この軸部には、円筒形状の例えばシリコーンゴムからなるシール部33が組み付けられている。蓋部30は、ヒンジ部31で揺動可能に接続プラグ本体部10と一体で設けられており、ヒンジ部31を支点に閉じたときに接続プラグ本体部10の開口部13内にシール部33が当接して流路14を閉じるように設けられている。
【0019】
蓋部30は、開口部13を閉じている状態で接続プラグ本体部10の磁石15と対向する位置に鉄板(蓋側磁性体)32が組み込まれており、接続プラグ本体部10の磁石15との間に引力を生じさせるようになっている。
【0020】
また、蓋部30は、開口部13を閉じたときに本体側対向面10Aに対向する蓋側対向面30Aを有しており、シール部33は、蓋側対向面30Aから突出するように設けられている。
【0021】
蓋側対向面30Aは、蓋部30が開口部13を閉じたときに注ぎ口16を受けて収容する溝部34が形成されている。この溝部34は、シール部33と鉄板32との間に位置しており、図4に示すように、注ぎ口16と嵌合する形状に形成されている。蓋部30は、溝部34が形成されていることにより、蓋部30が開口部13を閉じるときに、シール部33が開口部13に当接する前に注ぎ口16が蓋部30に当接しないようになっている。また、溝部34は、蓋部30が開口部13を閉じた状態で保持されているときに、注ぎ口16との間にわずかな隙間を有するように形成されている。
【0022】
本実施形態に係る医療器具用キャップ100は、外部部材に接続可能に形成された基端部12から反対側の開口部13まで貫通する流路が形成された接続プラグ本体部10と、開口部13を閉じるためのシール部33が設けられた蓋部30とを備え、接続プラグ本体部10は、蓋部30が開口部13を閉じたときに蓋部30と対向する本体側対向面10Aを有し、開口部13は、本体側対向面10Aから突出する注ぎ口16が形成されている。これにより、排出される尿は注ぎ口16によって磁石15から離れた方向に導かれるため、排出口の周りへの尿の付着を防止することができる。
【0023】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明してきたが、本発明はこれに限定しない。例えば、上記実施形態では、注ぎ口16の形状を開口部13の軸心を中心とした円弧形状としているが、これに限定されない。排出される尿が磁石15から離れた方向に導かれれば、注ぎ口16はV字形状に形成されていてもよい。
【0024】
また、上記実施形態では、注ぎ口16は、開口部13の開口端内周の1/2以下に沿って形成されているが、これに限定されない。排出される尿が磁石15から離れた方向に導かれれば、注ぎ口16は、開口部13の開口端内周の1/2以上2/3以下に沿って形成されていてもよい。
【0025】
さらに、上記実施形態では、接続プラグ本体部10に磁石15を取り付け、蓋部30に鉄板32を取り付けているが、これに限定されない。蓋部30と接続プラグ本体部10との間に引力が生じれば、蓋部30及び接続プラグ本体部10に取り付けられる磁性体の組み合わせは別の組み合わせでもよく、接続プラグ本体部10に鉄板が取り付けられて蓋部30に磁石が取り付けられていたり、接続プラグ本体部10及び蓋部30の両方に磁石が取り付けられたりしてもよい。
【符号の説明】
【0026】
10…接続プラグ本体部
10A…本体側対向面
11…接続部
12…基端部
13…開口部
14…流路
15…磁石(本体側磁性体)
16…注ぎ口
18…側壁
30…蓋部
30A…蓋側対向面
31…ヒンジ部
32…鉄板(蓋側磁性体)
33…シール部
34…溝部
100…医療器具用キャップ
図1
図2
図3
図4