(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004510
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】動物捕獲用罠
(51)【国際特許分類】
A01M 23/20 20060101AFI20250107BHJP
【FI】
A01M23/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104238
(22)【出願日】2023-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】523243823
【氏名又は名称】株式会社拓凌
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(74)【代理人】
【識別番号】100148910
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 岳志
(72)【発明者】
【氏名】田中 敦
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA01
2B121BA16
2B121BA19
2B121BA42
2B121EA21
2B121FA02
2B121FA04
2B121FA14
(57)【要約】
【課題】設置場所まで構成部材をより簡便に持ち運ぶことのできる動物捕獲用罠を提供する。
【解決手段】動物を捕獲する内部空間の側方を閉鎖する側面パネル11及び上方を閉鎖する天井面パネル13を要素とし内部空間を囲繞する罠本体1と、前記罠本体1の開口部位に配され、罠本体1の内部空間を外部に開通させる浮上位置と、自重により浮上位置から落下して罠本体1の内部空間を外部から隔絶する閉止位置とをとり得るシャッタ21を備えたゲート2とを具備し、前記側面11パネル及び前記天井面パネル13が、前後方向を長手方向として拡張するものであるとともに、運搬時にヒンジを介して前後に折り畳みできる動物捕獲用罠を構成した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物を捕獲する内部空間の側方を閉鎖する側面パネル及び上方を閉鎖する天井面パネルを要素とし内部空間を囲繞する罠本体と、
前記罠本体の開口部位に配され、罠本体の内部空間を外部に開通させる浮上位置と、自重により浮上位置から落下して罠本体の内部空間を外部から隔絶する閉止位置とをとり得るシャッタを備えたゲートとを具備し、
前記側面パネル及び前記天井面パネルは、前後方向を長手方向として拡張するものであるとともに、運搬時にヒンジを介して前後に折り畳みできる動物捕獲用罠。
【請求項2】
前記ゲートは、前記シャッタの左右両側に対をなして設立されシャッタの側端部を保持する支柱を備えるとともに、運搬時に当該支柱の上部を同支柱の下部から分離できる請求項1記載の動物捕獲用罠。
【請求項3】
前記ゲートの支柱の上部に付設され、前記シャッタに干渉せずシャッタの上下動を許容する解禁位置と、自重により解禁位置から変位して閉止位置にあるシャッタの上部に係合しシャッタの上下動を抑止する拘束位置とをとり得るストッパを備える請求項2記載の動物捕獲用罠。
【請求項4】
前記罠本体は、前記内部空間の下方を閉鎖する底面パネルをも要素として有し、
前記底面パネルは、前後方向を長手方向として拡張するものであるとともに、運搬時にヒンジを介して前後に折り畳みできる請求項1記載の動物捕獲用罠。
【請求項5】
前記側面パネル及び前記天井板パネルは、網状の前部と、当該前部とは別体をなす網状の後部と、前部の後縁の線材及び後部の前縁の線材を挿通する筒状体とからなる請求項1記載の動物捕獲用罠。
【請求項6】
前記側面パネル及び前記天井板パネルの折り畳んでいないときの前後寸法は、約2mないしそれ以上である請求項1記載の動物捕獲用罠。
【請求項7】
動物を捕獲する内部空間の側方を閉鎖する側面パネル及び上方を閉鎖する天井面パネルを要素とし内部空間を囲繞する罠本体と、
前記罠本体の開口部位に配され、罠本体の内部空間を外部に開通させる浮上位置と、自重により浮上位置から落下して罠本体の内部空間を外部から隔絶する閉止位置とをとり得るシャッタを備えたゲートとを具備し、
前記ゲートは、前記シャッタの左右両側に対をなして設立されシャッタの側端部を保持する支柱を備えるとともに、運搬時に当該支柱の上部を同支柱の下部から分離できる動物捕獲用罠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害獣等の動物を捕獲するべく使用される罠(または、檻)に関する。
【背景技術】
【0002】
前方に開口し前方以外の五方(左右両側方、後方、上方及び下方)が閉鎖されている筐体状の罠本体の前方部位に、上下動するシャッタを備えるゲートを配した、いわゆる箱罠が公知である(例えば、下記特許文献を参照)。使用時には、シャッタを浮上させた位置に維持し、罠本体の内部空間に捕獲対象の動物を誘い込む。動物が内部空間に侵入したならば、シャッタを落下させて罠本体の開口を閉止し、動物を閉じ込める。
【0003】
箱罠は、罠本体を構築する複数枚のパネルの縁部同士を連結し、その上で罠本体の前方にゲートを配設することにより完成する。ゲートは、シャッタの左右両側に対をなして設立された支柱を備える。各支柱はそれぞれ、平断面視内側方に開放する等断面形状をなして上下に伸長しており、その内にシャッタの側端部をくわえ込んで保持する。
【0004】
イノシシ、シカ、サル等の中型ないし大型獣を捕獲するための箱罠は、その前後(奥行)寸法が2m以上、左右(幅)寸法及び上下(高さ)寸法がそれぞれ1m以上である。罠本体のパネルの外寸も、それに合わせて大きくなる(1m×2m以上)。加えて、ゲートのシャッタを浮上位置及び閉止位置のそれぞれで支持する支柱も、上下に長くなる(1.5m以上)。つまり、各構成部材が大形のものとなり、罠の設置場所、例えば山林の中まで持ち運ぶことが中々に大変であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、設置場所まで構成部材をより簡便に持ち運ぶことのできる動物捕獲用罠を提供することを所期の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る動物捕獲用罠は、動物を捕獲する内部空間の側方を閉鎖する側面パネル及び上方を閉鎖する天井面パネルを要素とし内部空間を囲繞する罠本体と、前記罠本体の開口部位に配され、罠本体の内部空間を外部に開通させる浮上位置と、自重により浮上位置から落下して罠本体の内部空間を外部から隔絶する閉止位置とをとり得るシャッタを備えたゲートとを具備する。
【0008】
その上で、前記側面パネル及び前記天井面パネルは、前後方向を長手方向として拡張するものであるとともに、運搬時にヒンジを介して前後に折り畳むことができる。これにより、パネルの持ち運びがより容易になる。
【0009】
また、前記ゲートは、前記シャッタの左右両側に対をなして設立されシャッタの側端部を保持する支柱を備えるとともに、運搬時に当該支柱の上部を同支柱の下部から分離できる。これにより、ゲートの持ち運びがより容易になる。
【0010】
前記ゲートは、前記シャッタに干渉せずシャッタの上下動を許容する解禁位置と、自重により解禁位置から変位して閉止位置にあるシャッタの上部に係合しシャッタの上下動を抑止する拘束位置とをとり得るストッパを備えることがある。その場合、ストッパは、支柱の上部に付設する。さすれば、支柱の下部の上下長さをより短縮できる。
【0011】
前記罠本体が、前記内部空間の下方を閉鎖する底面パネルをも要素として有するならば、前記底面パネルもまた、前後方向を長手方向として拡張するものであるとともに、運搬時にヒンジを介して前後に折り畳みできることが好ましい。
【0012】
前記側面パネル及び前記天井板パネル(さらには、前記底面パネル)は、例えば、網状の前部と、当該前部とは別体をなす網状の後部と、前部の後縁の線材及び後部の前縁の線材を挿通する筒状体とからなる。筒状体は、ヒンジとして機能する。
【0013】
前記側面パネル及び前記天井板パネル(さらには、前記底面パネル)の折り畳んでいないときの前後寸法は、例えば約2mないしそれ以上である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、設置場所まで構成部材をより簡便に持ち運ぶことのできる動物捕獲用罠が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態の動物捕獲用罠の斜視図。
【
図2】同実施形態の動物捕獲用罠の本体を各パネルに分解して示す斜視図。
【
図3】同実施形態の動物捕獲用罠のパネルの環状体及び連結杆を拡大して示す斜視図。
【
図4】同実施形態の動物捕獲用罠の前方部位を拡大して示す側面図。
【
図5】同実施形態の動物捕獲用罠のパネルを折り畳む様子を示す斜視図。
【
図6】同実施形態の動物捕獲用罠のゲートのシャッタ及び支柱を示す平端面図。
【
図7】同実施形態の動物捕獲用罠の上方部位を拡大して示す正面図。
【
図8】同実施形態の動物捕獲用罠のゲートを拡大して示す側断面図。
【
図10】同実施形態の動物捕獲用罠のゲートを拡大して示す側断面図。
【
図11】同実施形態の動物捕獲用罠のゲートの支柱を分解して示す斜視図。
【
図12】同実施形態の動物捕獲用罠の仕掛け装置を拡大して示す斜視図。
【
図13】同実施形態の動物捕獲用罠の仕掛け装置を拡大して示す側断面図。
【
図14】同実施形態の動物捕獲用罠の仕掛け装置を拡大して示す側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1ないし
図14に示す本実施形態の動物捕獲用罠は、動物、特にイノシシ、シカ、サル等といった中型ないし大型の有害獣を捕獲する目的で使用される、いわゆる箱罠である。
【0017】
本実施形態の動物捕獲用罠は、動物を捕獲する内部空間を包有する罠本体1の開口部位にシャッタ21を備えたゲート2を配設してなる。動物捕獲用罠の使用時には、
図1、
図4、
図7及び
図8に示すように、罠本体1の開口部位を開放しその内部空間を外部に連通させるようシャッタ21を浮上させた位置に維持し、その状態で捕獲対象の動物を誘い込む。そして、動物が内部空間に侵入した後、
図9及び
図10に示すように、シャッタ21を浮上位置から閉止位置に落下させて罠本体1の内部空間を外部から隔絶して動物を閉じ込める。
【0018】
罠本体1は、
図1及び
図2に示すように、複数枚のパネル即ち左右の側面パネル11、背面パネル12、天井面パネル13及び底面パネル13が、当該罠本体1の左右両側方、後方、上方及び下方を閉鎖して罠本体1の内部空間を囲繞する、前方に開口した筐体状のものである。罠本体1の前後寸法は、約2mないしそれ以上であり、左右寸法及び上下寸法は、それぞれ約1mないしそれ以上である。
【0019】
各パネル11、12、13は、金属線材を格子状に組んで溶接した金網を主体とする。各パネル11、12、13の外寸は、罠本体1の寸法に対応している。即ち、左右の側面パネル11の外寸は、前後に約2mないしそれ以上、上下に約1mないしそれ以上である。背面パネル12の外寸は、左右に約1mないしそれ以上、上下に約1mないしそれ以上である。上下の天井面パネル13及び底面パネル13の外寸は、前後に約2mないしそれ以上、左右に約1mないしそれ以上である。
【0020】
左右の側面パネル11は、共通している。各パネル11は前後及び/または上下に対称な形状をなしており、左側のパネル11をひっくり返して右側に配置することも、右側のパネル11をひっくり返して左側に配置することもできる。天井面パネル13及び底面パネル13もまた相互に共通しており、天井面パネル13を底面パネル13として配置することも、底面パネル13を天井面パネル13として配置することもできる。
【0021】
側面パネル11の上縁部及び下縁部には、その縁辺が伸びる前後方向に沿って間欠的に複数の環状体111を設けている。上縁部の環状体111は、格子状のパネル11の線材の上端から上方に延出し左右方向に開通する楕円(または、長円、オーバル)体を、正面視フック状をなすように内側方かつ下方に曲げたものである。下縁部の環状体111は、パネル11の線材の下端から下方に延出し左右方向に開通する楕円体を、正面視フック状をなすように内側方かつ上方に曲げたものである。
【0022】
側面パネル11の前縁部及び後縁部には、その縁辺が伸びる上下方向に沿って間欠的に複数の環状体112を設けている。前縁部の環状体112は、パネル11の線材の前端から前方に延出し左右方向に開通する楕円体を、平面視フック状をなすように内側方かつ後方に曲げたものである。後縁部の環状体112は、パネル11の線材の後端から後方に延出し左右方向に開通する楕円体を、平面視フック状をなすように内側方かつ前方に曲げたものである。
【0023】
背面パネル12の上縁部及び下縁部には、その縁辺が伸びる左右方向に沿って間欠的に複数の環状体121を設けている。上縁部の環状体121は、格子状のパネル12の線材の上端から上方に延出し前後方向に開通する楕円体を、側面視フック状をなすように前方かつ下方に曲げたものである。下縁部の環状体121は、パネル12の線材の下端から下方に延出し前後方向に開通する楕円体を、正面視フック状をなすように前方かつ上方に曲げたものである。
【0024】
背面パネル12の左右の側縁部には、その縁辺が伸びる上下方向に沿って間欠的に複数の環状体122を設けている。それら環状体122は、パネル12の線材の側端から外側方に張り出す上下方向に開通した円環状をなす。
【0025】
天井面パネル13及び底面パネル13の左右の側縁部には、その縁辺が伸びる前後方向に沿って間接的に複数の環状体131を設けている。それら環状体131は、格子状のパネル13の線材の側端から外側方に張り出す前後方向に開通した円環状をなす。
【0026】
天井面パネル13及び底面パネル13の後縁部には、その縁辺が伸びる左右方向に沿って間接的に複数の環状体132を設けている。それら環状体132は、パネル13の線材の後端から外側方に張り出す左右方向に開通した円環状をなす。
【0027】
互いに隣接するパネル11、12、13同士は、棒状の連結杆15、16、17を介して相互に連結する。連結杆15、16、17は、剛性の高い金属棒等の棒状体である。但し、連結杆15及び/または連結杆16は、ある程度以上変形可能な可撓性を有する金属製のワイヤロープ等を用いて作製することも許される。
【0028】
まず、底面パネル13に左右の側面パネル11を連結する。そのために、底面パネル13の側縁部の環状体131と、側面パネル11の下縁部の環状体111とを組み合わせる。このとき、
図3に示すように、フック状の環状体111の一部をなし前後に並ぶ二本の線材の間に、環状体131を差し入れる。そして、環状体111のフック形状及び環状体131の輪の内に、前後方向に伸びる連結杆15を挿通する。さすれば、環状体131が環状体111から離脱しようとしても、連結杆15が環状体111、131に衝突し、または環状体131の基部に連接する線材の側端が環状体111と衝突して、その離脱が阻止される。
【0029】
並びに、底面パネル13に背面パネル12を連結する。そのために、底面パネル13の後縁部の環状体132と、背面パネル12の下縁部の環状体121とを組み合わせる。即ち、フック状の環状体121の一部をなし左右に並ぶ二本の線材の間に、環状体132を差し入れる。そして、環状体121のフック形状及び環状体132の輪の内に、左右方向に伸びる連結杆16を挿通する。さすれば、環状体132が環状体121から離脱しようとしても、連結杆16が環状体121、132に衝突し、または環状体132の基部に連接する線材の後端が環状体121と衝突して、その離脱が阻止される。
【0030】
次に、左右の側面パネル11及び背面パネル12を起立させ、それら側面パネル11と背面パネル12とを連結する。そのために、側面パネル11の後縁部の環状体112と、背面パネル12の側縁部の環状体122とを組み合わせる。即ち、フック状の環状体122の一部をなし上下に並ぶ二本の線材の間に、環状体122を差し入れる。そして、環状体112のフック形状及び環状体122の輪の内に、上下方向に伸びる連結杆17を挿通する。さすれば、環状体122が環状体112から離脱しようとしても、連結杆17が環状体112、122に衝突し、または環状体122の基部に連接する線材の側端が環状体112と衝突して、その離脱が阻止される。なお、連結杆17の上端部は、天井面パネル13よりも上方に突出する。連結杆17の下端部は、底面パネル13よりも下方に突出する。これを地中(土中)に打ち込み埋設することで、罠本体1ひいては動物捕獲用罠を地面に固定することができる。
【0031】
続いて、背面パネル12に天井面パネル13を連結する。そのために、背面パネル12の上縁部の環状体121と、天井面パネル13の後縁部の環状体132とを組み合わせる。即ち、フック状の環状体121の一部をなし左右に並ぶ二本の線材の間に、環状体132を差し入れる。そして、環状体121のフック形状及び環状体132の輪の内に、左右方向に伸びる連結杆16を挿通する。さすれば、環状体132が環状体121から離脱しようとしても、連結杆16が環状体121、132に衝突し、または環状体132の基部に連接する線材の後端が環状体121と衝突して、その離脱が阻止される。
【0032】
さらに、天井面パネル13と左右の側面パネル11とを連結する。そのために、天井面パネル13の側縁部の環状体131と、側面パネル11の上縁部の環状体111とを組み合わせる。即ち、フック状の環状体111の一部をなし前後に並ぶ二本の線材の間に、環状体131を差し入れる。その上で、環状体111のフック形状及び環状体131の輪の内に、前後方向に伸びる連結杆15を挿通する。さすれば、環状体131が環状体111から離脱しようとしても、連結杆15が環状体111、131に衝突し、または環状体131の基部に連接する線材の側端が環状体111と衝突して、その離脱が阻止される。
【0033】
罠本体1の側面パネル11、天井面パネル13及び底面パネル13は何れも、前後方向に長尺な大形の部材である。本実施形態では、これらパネル11、13の持ち運びを容易ならしめるべく、各パネル11、13を折り畳み可能としている。
【0034】
図2に示しているように、側面パネル11は、溶接金網を主体とする網状の前部113と、やはり溶接金網を主体とする後部114とを備える。前部113と後部114とは、互いに別体をなす。その上で、前部113の後縁の線材及び後部114の前縁の線材をともに挿通して保持する筒状体115により、両者113、114を相対回動可能に連結している。つまり、
図5に示すように、筒状体115及びこれに挿通した線材がヒンジとして機能し、前部113に後部114を重ねるように各パネル11を前後に(上下方向に伸びる軸回りに)折り畳むことができるようになっている。
【0035】
天井面パネル13及び底面パネル13はそれぞれ、溶接金網を主体とする網状の前部133と、やはり溶接金網を主体とする後部134とを備える。前部133と後部134とは、互いに別体をなす。その上で、前部133の後縁の線材及び後部134の前縁の線材をともに挿通して保持する筒状体135により、両者133、134を相対回動可能に連結している。つまり、筒状体135及びこれに挿通した線材がヒンジとして機能し、前部133に後部134を重ねるように各パネル13を前後に(左右方向に伸びる軸回りに)折り畳むことができるようになっている。
【0036】
ゲート2は、
図1、
図4、
図6ないし
図11に示すように、浮上位置と閉止位置との間で上下動して罠本体1の開口部位を開閉するシャッタ21と、シャッタ21の左右両側に対をなしシャッタ21の側端部を保持する支柱22と、左右方向に伸長し両支柱22の下端部同士を連結するベース23と、左右方向に伸長し両支柱22の上端部同士を連結する横桟(または、梁)24とを備える。
【0037】
シャッタ21の左右寸法及び上下寸法は、閉止位置において罠本体1の開口部位を閉塞できるように設定し、それぞれ約1mないしそれ以上である。特に、上下寸法は、底面パネル13から天井面パネル13までの高さよりも大きいことがある。
【0038】
左右の支柱22の後向面にはそれぞれ、上下方向に沿って間欠的に複数の環状体221を設けている。それら環状体221は、上下方向に開通している。
【0039】
罠本体1の開口部位である前方部位にゲート2を配置するには、罠本体1の左方の側面パネル11にゲート2の左方の支柱22を連結し、かつ右方の側面パネル11に右方の支柱22を連結する。そのために、支柱22の後向面の環状体221と、側面パネル11の前縁部の環状体112とを組み合わせる。即ち、フック状の環状体112の一部をなし上下に並ぶ二本の線材の間に、環状体221を差し入れる。そして、環状体112のフック形状及び環状体221の輪の内に、上下方向に伸びる連結杆17を挿通する。さすれば、環状体221が環状体112から離脱しようとしても、連結杆17が環状体112、221に衝突し、または支柱22の後向面が環状体112と衝突して、その離脱が阻止される。既に述べたとおり、連結杆17の下端部は地中に打ち込み埋設し、動物捕獲用罠を地面に固定する。
【0040】
罠本体1のパネル11、13同士を連結する連結杆15の直前には連結杆17及び支柱22が存在し、直後にも連結杆17が存在する。故に、連結杆15が前方または後方に抜け出そうとしても、連結杆17に干渉して抜出困難である。パネル12、13同士を連結する連結杆16の左右にも連結杆17が存在しており、連結杆16が左方または右方に抜け出すことが妨げられる。従って、罠本体1の内部空間に捕らえた動物が暴れて衝撃を与えたとしても、動物捕獲用罠が分解することはない。
【0041】
ゲート2の構造について補記する。ゲート2の支柱22は、
図1、
図6及び
図11に示すように、上下に伸びる金属製のパイプ材、特に方形状の等断面(平断面)を有して伸長する角パイプ材における、内側方に臨む周壁の一部を上下方向に沿って切り欠くことにより、その内空を内側方に連通させる溝222を形成したものである。支柱22の平断面形状は、概ねチャネル状即ちコ字形であるが、その前側の内側壁が当該支柱22の前縁よりも後方に延出し、かつその後側の内側壁が当該支柱22の後縁よりも前方に延出している。換言すれば、溝222の前縁が支柱22の前縁よりも後方に位置し、溝222の後縁が支柱22の後縁よりも前縁に位置しており、溝222の前後方向に沿った開口幅寸法が支柱22の前後寸法よりも狭小になっている。
【0042】
支柱22内に収容されるシャッタ21の側端部には、当該シャッタ21の前面よりも前方かつ同シャッタ21の後面よりも後方に突出する、上下に拡張した突片211を形成してある。突片211の前縁は溝222の前縁よりも前方に位置し、突片211の後縁は溝222の後縁よりも後方に位置しており、突片211の前後方向に沿った幅寸法は溝222の前後方向に沿った開口幅寸法よりも大きい。シャッタ21の側端部及び突片211は、支柱22に対して上方から挿入する。
【0043】
ゲート2には、シャッタ21の上下動を規制するストッパ25を付設している。ストッパ25は、
図1、
図4、
図7ないし
図11に示すように、基体251と、基体251の上端部にあって支柱22に保定される被保定部252と、基体251の下端部にあってシャッタ21に係合する係合部253とを有している。ストッパ25は、その上下方向の中間よりも下方の部位が、各支柱22の前向面に設けた軸受ブラケット223及び支軸224により支持されており、左右方向に伸びる水平な軸回りに回動可能となっている。
【0044】
ストッパ25の被保定部252は、支柱22の前向面に当接し得る。しかして、ストッパ25の被保定部252と、支柱22の前向面における当該被保定部252に面する箇所とのうち一方に磁石254を、他方にその磁石254に吸着する磁石または金属部を、それぞれ設けることにより、ストッパ25の被保定部252を支柱22の前向面に磁着させて保定できるようにする。本実施形態では、ストッパ25の被保定部252に磁石254を設けながら、支柱22を鉄鋼製としている。
【0045】
ストッパ25の係合部253は、側面視後方に突き出したフック状をなす。対して、支柱22には、その前壁を前後方向に貫通する窓26を穿ち設けてある。ストッパ25の係合部253は、
図9及び
図10に示すように、窓26を通じて前方から支柱22内に突入し得る。
【0046】
そして、シャッタ21の側端部の上方の隅角部及び下方の隅角部にそれぞれ、係合孔212、213を形成している。これら係合孔212、213には、ストッパ25の係合部253が係合し得る。何れかの係合孔212、213に係合部253が係合すると、シャッタ21の上下動がストッパ25により規制されることとなる。
【0047】
本実施形態の動物捕獲用罠を使用する際には、シャッタ21を浮上位置に維持して罠本体1の内部空間を外部に開通させておき。罠本体1の内部空間に動物が侵入した後にシャッタ21を浮上位置から閉止位置に落下させて内部空間を外部から隔絶する。このシャッタ21の上下動の妨げとならないよう、罠を仕掛けたならば、ストッパ25を
図1、
図4、
図7及び
図8に示す解禁位置に位置付ける。ストッパ25が解禁位置をとるとき、その係合部253は支柱22の前壁よりも前方即ち支柱22外にあり、同時にその被保定部252が支柱22の前向面に磁着してストッパ25が当該解禁位置に保定される。
【0048】
罠本体1の内部空間に動物が侵入し、シャッタ21が落下すると、その衝撃でストッパ25の被保定部252が支柱22の前向面から脱離する。さすれば、ストッパ25が自重により、基体251の上端側を前方に、下端側を後方に変位させるように前方に傾倒、つまりは水平軸回りに垂直回転する(そのようにストッパ25の重心位置及びストッパを支える支軸224の位置が予め設定されている)。結果、ストッパ25が
図9及び
図10に示す拘束位置をとるようになる。拘束位置では、ストッパ25の係合部253が支柱22の前壁の窓26から支柱22内に突入し、閉止位置に落下したシャッタ21に形成されている上側の係合孔212に入り込んで係合する。この状態でシャッタ21を持ち上げようとしても、ストッパ25が係合孔212に引っ掛かるために、シャッタ21を持ち上げて開くことができない。
【0049】
シャッタ21を開いて捕獲した動物を運び出すためには、
図10中に鎖線で描画しているようにストッパ25の基体251の上端側を後方に、下端側を前方に変位させるように垂直回転させる操作を行い、ストッパ25を拘束位置から解禁位置に復帰させ、ストッパ25の係合部253をシャッタ21の係合孔212から脱出させればよい。
【0050】
なお、このストッパ25は、閉止位置に落下したシャッタ21を同閉止位置に拘束するだけでなく、浮上位置に上昇させたシャッタ21を同浮上位置に拘束するためにも利用できる。シャッタ21が浮上位置にあるときに、
図8中に鎖線で描画しているようにストッパ25の基体251の上端側を前方に、下端側を後方に変位させるように垂直回転させる操作を行い、ストッパ25を解禁位置から拘束位置まで傾倒させれば、その係合部253が支柱22の前壁の窓26から支柱22内に突入し、シャッタ21に形成されている下側の係合孔213に入り込み係合するようになる。この状態では、ストッパ25が係合孔213に引っ掛かるためにシャッタ21が落下せず、シャッタ21が閉じない。
【0051】
ゲート2の左右の支柱22は、シャッタ21の浮上位置と閉止位置との間での上下動を案内しつつ、浮上位置でも閉止位置でもシャッタ21の側端部を保持し続ける。その都合上、支柱22は、シャッタ21の上下寸法の二倍近い長尺なものとなる。本実施形態では、このような支柱21を備えるゲート2の持ち運びを容易ならしめるべく、支柱22の上部225を同支柱22の下部226から分離できるようにしている。
【0052】
図11に示すように、支柱22の上部225の後向面には横桟24の側端部を溶接等して固着し、左右を連結して一体化している。この上部225に、上記のストッパ25を有している。
図8、
図10及び
図11に示しているように、支柱22の上部225の下端部分と、支柱22の下部226の上端部分とは脱着可能となっており、上部225の下端部分を下部226の上端部分に嵌合して組み付けることで、ゲート2として完成する。なお、支柱22の上部225の下端部分の前壁、及び下部226の上端部分の前壁の双方における、これらを嵌合したときに重なり合う位置に、前壁を貫通する窓26を穿設している。
【0053】
また、本実施形態の動物捕獲用罠は、シャッタ21を浮上位置に支持しつつ、罠本体1の内部空間に動物が侵入した事実を感知してシャッタ21の支持を解除しシャッタ21を浮上位置から閉止位置へと落下させるための仕掛け(落とし、トリガ)装置3を具備する。本実施形態における仕掛け装置3は、
図1、
図4及び
図12ないし
図14に示すように、罠本体1(の天井面パネル13)に対して固定される仕掛け本体31と、仕掛け本体31に可動に支持される係留部材32と、浮上位置にあるシャッタ21自体またはシャッタ21を浮上位置に支持する他の部材に結着されるとともに係留部材32に係留されるロープまたはワイヤ33と、仕掛け本体31に保持されつつ係留部材32に係合するピン34とを要素とする。
【0054】
仕掛け本体31は、左右両側に対をなし前後方向に拡張した起立壁311と、それら起立壁311の前端部間に架け渡すように固定して設けた支軸312とを有する。各起立壁311の後端部には、後方から前方に向かって凹むように切り欠いた凹欠313を形成してある。
【0055】
係留部材32は、その基端部が仕掛け本体31の支軸312に支持されており、左右方向に伸びる水平な軸回りに回動可能となっている。シャッタ21を浮上位置に吊り上げているロープまたはワイヤ33の端部には輪331を設け、その輪331に係留部材32を通す。
【0056】
ピン34は、左右方向に伸びる細い棒状体である。ピン34の端部には、環341を一体成形してある。この環341には、ピアノ線のような繊細で動物の目に見えにくい蹴り糸等(図示せず)が結着される。
【0057】
動物捕獲用罠の使用時には、
図12及び
図13に示すように、ロープまたはワイヤ33を係留する係留部材32の先端部を後方に向けた上で、仕掛け本体31の両起立壁311の凹欠313にピン34を挿通して、ピン34により上方から係留部材32を押さえつける。ロープまたはワイヤ33には、浮上位置に支持させたシャッタ21の自重による、前方に向かう張力が作用している。その張力は、係留部材32の先端部を後方から前方に引っ張り込もうとする。だが、起立壁311の凹欠313の上縁にピン34が係合し、そのピン34の下向面に係留部材32の上縁が係合することで、係留部材32の先端部が後方から前方に向かって変位するように係留部材32が回転することが阻まれる。従って、ロープまたはワイヤ33の輪331が係留部材32に係留されたままとなり、シャッタ21が浮上位置に維持される。
【0058】
罠本体1の内部空間に捕獲対象の動物が侵入し、その動物がピン34に接続している蹴り糸等を介してピン34に機械的な力を及ぼすと、ピン34が仕掛け本体31の起立壁311の凹欠313から脱出する。すると、
図14に示すように、ロープまたはワイヤ33に引っ張られている係留部材32が、その先端部の向きを後方から前方に変化させるように水平軸回りに垂直回転する。その帰結として、それまで係留部材32に係留されていたロープまたはワイヤ33の輪331が係留部材32の先端部から抜出し、支えを失ったシャッタ21が浮上位置から閉止位置に向かって落下することになる。
【0059】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。各部の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変形が可能である。
【符号の説明】
【0060】
1…罠本体
11…側面パネル
113…前部
114…後部
115…筒状体
13…天井面パネル、底面パネル
133…前部
134…後部
135…筒状体
2…ゲート
21…シャッタ
22…支柱
225…上部
226…下部
25…ストッパ