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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004514
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】電力供給システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20250107BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20250107BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20250107BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
H02J3/38 180
H02J3/32
H02J9/06 120
H02J7/34 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104243
(22)【出願日】2023-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 敏成
(72)【発明者】
【氏名】上野 智広
(72)【発明者】
【氏名】平井 友之
【テーマコード(参考)】
5G015
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G015GA11
5G015GA17
5G015JA21
5G015JA52
5G015JA66
5G066HA11
5G066HB02
5G066HB07
5G066HB09
5G066JA02
5G066JB03
5G503AA01
5G503BB01
5G503DA05
5G503DA14
5G503DA17
(57)【要約】
【課題】非常用電源装置を適切に運転継続させることができる電力供給システムの提供。
【解決手段】電力供給システムにおいて、複数の住戸10のそれぞれに設けられる住戸側システム8は、連系用電力線13と、発電装置14と、導通状態切替器12とを備え、
解列条件が満たされる場合に系統連系保護装置3から受信した異常信号を、複数の住戸側システム8のそれぞれに設けられる複数の導通状態切替器12のうち、伝達対象とする導通状態切替器12に伝達し、伝達対象としない導通状態切替器12には伝達しない信号中継処理を行う信号中継装置21とを備え、導通状態切替器12は、異常信号が伝達される場合に非導通状態に切り替わり、異常信号が伝達されない場合に導通状態に切り替わり、信号中継装置21は、信号中継処理において、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を電源部24の出力余力に応じて調節する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受電設備を介して電力系統から電力の供給を受けることができる集合住宅に設けられる電力供給システムであって、
前記受電設備を介して前記電力系統に接続される共用電力線と、前記受電設備に対して前記共用電力線を介して並列に接続される複数の住戸側システムとを備え、
前記集合住宅を構成する複数の住戸のそれぞれに設けられる前記住戸側システムは、
前記住戸に引き込まれる前記共用電力線に対して接続される連系用電力線と、
前記連系用電力線に接続される発電装置と、
前記連系用電力線に設けられて、前記発電装置と前記共用電力線との間が導通する導通状態と、前記発電装置と前記共用電力線との間が導通しない非導通状態との何れかに切り替わる導通状態切替器とを備え、
前記電力系統から前記発電装置を解列する場合の所定の解列条件が満たされる場合には前記共用電力線を前記電力系統から電気的に切り離すと共に異常信号を出力し、前記解列条件が満たされない場合には前記共用電力線を前記電力系統と電気的に接続すると共に前記異常信号を出力しない系統連系保護装置と、
前記解列条件が満たされる場合に前記系統連系保護装置から受信した前記異常信号を、複数の前記住戸側システムのそれぞれに設けられる複数の前記導通状態切替器のうち、伝達対象とする前記導通状態切替器に伝達し、前記伝達対象としない前記導通状態切替器には伝達しない信号中継処理を行う信号中継装置と、
電源部を有し、前記解列条件が満たされる場合に前記共用電力線の電圧が目標電圧から所定範囲内の状態を維持するように前記電源部から前記共用電力線への出力電力を調節する非常用電源装置とを備え、
前記導通状態切替器は、前記異常信号が伝達される場合に前記非導通状態に切り替わり、前記異常信号が伝達されない場合に前記導通状態に切り替わり、
前記信号中継装置は、前記信号中継処理において、前記異常信号の前記伝達対象とする前記導通状態切替器の台数を前記電源部の出力余力に応じて調節する電力供給システム。
【請求項2】
前記非常用電源装置は、発電部を前記電源部として有し、
前記信号中継装置は、前記信号中継処理において、前記発電部による出力電力の出力上昇可能幅を前記電源部の前記出力余力とし、前記出力上昇可能幅が大きいほど前記出力余力が大きいと見なして、前記異常信号の前記伝達対象とする前記導通状態切替器の台数を多くする請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記非常用電源装置は、蓄電部を前記電源部として有し、
前記信号中継装置は、前記信号中継処理において、前記蓄電部による放電電力の放電上昇可能幅及び前記蓄電部の蓄電残量を前記電源部の前記出力余力として、前記放電上昇可能幅が大きいほど前記出力余力が大きいと見なし、前記蓄電残量が多いほど前記出力余力が大きいと見なして、前記異常信号の前記伝達対象とする前記導通状態切替器の台数を多くする請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項4】
複数の前記住戸側システムのそれぞれにおいて、前記発電装置は、前記導通状態切替器が前記非導通状態に切り替わっている場合には、発電した電力を外部に出力しないアイドリング運転、又は、前記連系用電力線とは電気的に切り離されている自立供給線に発電した電力を出力する運転を行う請求項1~3の何れか一項に記載の電力供給システム。
【請求項5】
前記信号中継装置は、前記信号中継処理において、複数の前記導通状態切替器のうち、前記異常信号の前記伝達対象とされ続けている期間が所定の上限期間以上になっている前記導通状態切替器がある場合、当該導通状態切替器を前記異常信号の前記伝達対象から外し、前記異常信号の前記伝達対象とされていなかった前記導通状態切替器を新たに前記異常信号の前記伝達対象とする請求項1~3の何れか一項に記載の電力供給システム。
【請求項6】
前記信号中継装置は、前記信号中継処理において、前記異常信号の前記伝達対象とする前記導通状態切替器と前記異常信号の前記伝達対象としない前記導通状態切替器との組み合わせを、設定期間毎に変更する請求項1~3の何れか一項に記載の電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受電設備を介して電力系統から電力の供給を受けることができる集合住宅に設けられる電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力系統から供給される電力を受電設備で受電し、その受電設備から各住戸へ電力が供給される一括受電の集合住宅などがある。そして、このような集合住宅では、その集合住宅内の重要負荷に給電するための非常用電源装置が設けられている場合もある。例えば、特許文献1(特開2022-153765号公報)には、受電設備(キュービクル10)を介して電力系統(系統電源K)に接続される共用電力線と、受電設備(10)に対して共用電力線を介して並列に接続される複数の専有部(H)とを備えるシステムが記載されている。共用部(C)には非常用電源装置(蓄電システム36)が設けられ、各専有部(H)には発電装置(燃料電池44)が設けられる。特許文献1の図4及び図5には、非停電時における電力の供給態様及び停電時における電力の供給態様が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-153765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているのとは異なる構成の電力供給システムを実現することもできる。例えば、図8及び図9には、特許文献1に記載されているのとは異なる構成の電力供給システムを記載している。図8は、電力系統1からの電力供給が正常に行われている場合の電力供給システムの構成を示す図であり、図9は、電力系統1からの電力供給が正常に行われていない場合の電力供給システムの構成を示す図である。
【0005】
図8及び図9に示すように、受電設備2を介して電力系統1から電力の供給を受けることができる集合住宅Bに設けられる共用電力線4は、受電設備2を介して電力系統1に接続される。共用電力線4の途中には変圧器27が設けられ、変圧器27よりも上流側(電力系統1側)の共用電力線4には高圧電力負荷26が接続されている。変圧器27よりも下流側の共用電力線4には、集合住宅Bを構成する各住戸10が接続されている。各住戸10には、共用電力線4に接続される住戸内電力線6が引き込まれる。住戸内電力線6は導通状態切替器12を介して共用電力線4に接続され、その住戸内電力線6に発電装置14及び電力負荷18が接続される。また、住戸内電力線6を流れる電力を測定し、測定結果を発電装置14に伝達する電力測定部19も設けられる。例えば、発電装置14は、定格発電電力を住戸内電力線6に出力する運転などを行うことができる。また、このシステムには、非常用電源装置22の電源部24と共用電力線4とを接続する電源接続線25が設けられている。
【0006】
また、電力供給システムには、電力系統1から発電装置14を解列する場合の所定の解列条件が満たされる場合には導通状態切替器12を非導通状態にさせるための異常信号を出力し、解列条件が満たされない場合には異常信号を出力しない系統連系保護装置3が設けられる。この解列条件は、例えば電力系統1の電圧が基準電圧未満の状態が一定時間以上継続したことなどである。電力供給システムには信号中継装置21も設けられる。
【0007】
信号中継装置21は、解列条件が満たされる場合に系統連系保護装置3から受信した異常信号を、複数の住戸10のそれぞれに設けられる複数の導通状態切替器12に伝達する信号中継処理を行うことができる。尚、信号中継装置21は、系統連系保護装置3から受信した異常信号を各住戸10の導通状態切替器12に送信するか否かを、例えば非常用電源装置22からの指令に応じて切り替えることもできる。
【0008】
図8は、電力系統1からの電力供給が正常に行われている場合の電力供給システムの構成を示す図である。この場合、系統連系保護装置3は異常信号を送信しない。そして、受電設備2の開閉器2aは接続状態になっており、電力系統1と共用電力線4とは互いに電気的に接続されている。また、系統連系保護装置3から非常用電源装置22には異常信号が送信されないため、非常用電源制御部23は電源部24を動作させない。同様に、系統連系保護装置3から信号中継装置21には異常信号が送信されないため、信号中継装置21から導通状態切替器12に異常信号が伝達されることもない。その結果、各住戸10の導通状態切替器12は、発電装置14と共用電力線4との間を導通させる導通状態になっている。
【0009】
図9は、電力系統1からの電力供給が正常に行われていない場合の電力供給システムの構成を示す図である。この場合、系統連系保護装置3は異常信号を送信する。そのため、受電設備2の開閉器2aは非接続状態になっており、電力系統1と共用電力線4とは電気的に切り離される。また、系統連系保護装置3から非常用電源装置22には異常信号が送信されるため、非常用電源制御部23は電源部24を動作させる。例えば、非常用電源制御部23は、共用電力線4の電圧が目標電圧から所定範囲内の状態を維持するように電源部24から共用電力線4への出力電力を調節する。
【0010】
また、図9に示す例では、系統連系保護装置3から信号中継装置21には異常信号が送信されるが、信号中継装置21は各住戸10の導通状態切替器12には異常信号を伝達していない。そのため、各住戸10の導通状態切替器12は、発電装置14と共用電力線4との間を導通させる導通状態になっている。その結果、共用電力線4には、電力系統1からの電力供給は行われないものの、非常用電源装置22及び各住戸10の発電装置14からの電力が供給され、その電力を高圧電力負荷26や各住戸10の電力負荷18で利用できる。
【0011】
尚、図示は省略するが、信号中継装置21は各住戸10の導通状態切替器12に異常信号を伝達してもよい。その場合、各住戸10の導通状態切替器12は、発電装置14と共用電力線4との間を導通させない非導通状態になる。その結果、共用電力線4には、電力系統1からの電力供給は行われず、且つ、各住戸10の発電装置14からの電力供給も行われないため、非常用電源装置22から共用電力線4に供給される電力のみを高圧電力負荷26や各住戸10の電力負荷18で利用できる。
【0012】
このように、信号中継装置21は各住戸10の導通状態切替器12に異常信号を伝達することもできるし、伝達しないこともできる。但し、信号中継装置21が各住戸10の導通状態切替器12に異常信号を伝達した場合には、共用電力線4に対して非常用電源装置22のみが電力を供給するため、非常用電源装置22の電源部24に対する負荷が非常に大きくなり得るという問題がある。
それに対して、信号中継装置21が各住戸10の導通状態切替器12に異常信号を伝達しない場合には、共用電力線4に対して非常用電源装置22及び各住戸10の発電装置14が電力を供給するため、非常用電源装置22の電源部24に対する負荷が非常に小さくなり得るという問題がある。
【0013】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、非常用電源装置を適切な出力で運転継続させることができる電力供給システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するための本発明に係る電力供給システムの特徴構成は、受電設備を介して電力系統から電力の供給を受けることができる集合住宅に設けられる電力供給システムであって、
前記受電設備を介して前記電力系統に接続される共用電力線と、前記受電設備に対して前記共用電力線を介して並列に接続される複数の住戸側システムとを備え、
前記集合住宅を構成する複数の住戸のそれぞれに設けられる前記住戸側システムは、
前記住戸に引き込まれる前記共用電力線に対して接続される連系用電力線と、
前記連系用電力線に接続される発電装置と、
前記連系用電力線に設けられて、前記発電装置と前記共用電力線との間が導通する導通状態と、前記発電装置と前記共用電力線との間が導通しない非導通状態との何れかに切り替わる導通状態切替器とを備え、
前記電力系統から前記発電装置を解列する場合の所定の解列条件が満たされる場合には前記共用電力線を前記電力系統から電気的に切り離すと共に異常信号を出力し、前記解列条件が満たされない場合には前記共用電力線を前記電力系統と電気的に接続すると共に前記異常信号を出力しない系統連系保護装置と、
前記解列条件が満たされる場合に前記系統連系保護装置から受信した前記異常信号を、複数の前記住戸側システムのそれぞれに設けられる複数の前記導通状態切替器のうち、伝達対象とする前記導通状態切替器に伝達し、前記伝達対象としない前記導通状態切替器には伝達しない信号中継処理を行う信号中継装置と、
電源部を有し、前記解列条件が満たされる場合に前記共用電力線の電圧が目標電圧から所定範囲内の状態を維持するように前記電源部から前記共用電力線への出力電力を調節する非常用電源装置とを備え、
前記導通状態切替器は、前記異常信号が伝達される場合に前記非導通状態に切り替わり、前記異常信号が伝達されない場合に前記導通状態に切り替わり、
前記信号中継装置は、前記信号中継処理において、前記異常信号の前記伝達対象とする前記導通状態切替器の台数を前記電源部の出力余力に応じて調節する点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、信号中継装置は、解列条件が満たされる場合に系統連系保護装置から受信した異常信号を、複数の住戸側システムのそれぞれに設けられる複数の導通状態切替器のうち、伝達対象とする導通状態切替器に伝達し、伝達対象としない導通状態切替器には伝達しない信号中継処理を行う。その結果、異常信号の伝達対象とされた住戸側システムの導通状態切替器は非導通状態に切り替わるため、その住戸側システムの発電装置は共用電力線と電気的に接続されない。それに対して、異常信号の伝達対象とされなかった住戸側システムの導通状態切替器は導通状態に切り替わるため、その住戸側システムの発電装置は共用電力線と電気的に接続される。
【0016】
このように、信号中継装置は、異常信号の伝達対象とされる導通状態切替器の数を変更して、共用電力線と電気的に接続される発電装置の台数を変更できる。特に本特徴構成では、信号中継装置は、信号中継処理において、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器の台数を電源部の出力余力に応じて調節する。つまり、電源部の出力余力が大きい場合、信号中継装置が、共用電力線と電気的に接続される発電装置の台数が少なくなるように異常信号の伝達対象とする導通状態切替器の台数を多くすれば、電源部の出力余力は小さくなる方向へ変化する。また、電源部の出力余力が小さい場合、信号中継装置が、共用電力線と電気的に接続される発電装置の台数が多くなるように異常信号の伝達対象とする導通状態切替器の台数を少なくすれば、電源部の出力余力は大きくなる方向へ変化する。
従って、非常用電源装置を適切な出力で運転継続させることができる電力供給システムを提供できる。
【0017】
本発明に係る電力供給システムの別の特徴構成は、前記非常用電源装置は、発電部を前記電源部として有し、
前記信号中継装置は、前記信号中継処理において、前記発電部による出力電力の出力上昇可能幅を前記電源部の前記出力余力とし、前記出力上昇可能幅が大きいほど前記出力余力が大きいと見なして、前記異常信号の前記伝達対象とする前記導通状態切替器の台数を多くする点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、電源部としての発電部の出力上昇可能幅が大きい場合、信号中継装置が、共用電力線と電気的に接続される発電装置の台数が少なくなるように異常信号の伝達対象とする導通状態切替器の台数を多くすれば、発電部の出力上昇可能幅が小さくなる方向へ変化すると期待できる。また、電源部としての発電部の出力上昇可能幅が小さい場合、信号中継装置が、共用電力線と電気的に接続される発電装置の台数が多くなるように異常信号の伝達対象とする導通状態切替器の台数を少なくすれば、発電部の出力上昇可能幅が大きくなる方向へ変化すると期待できる。
【0019】
本発明に係る電力供給システムの別の特徴構成は、前記非常用電源装置は、蓄電部を前記電源部として有し、
前記信号中継装置は、前記信号中継処理において、前記蓄電部による放電電力の放電上昇可能幅及び前記蓄電部の蓄電残量を前記電源部の前記出力余力として、前記放電上昇可能幅が大きいほど前記出力余力が大きいと見なし、前記蓄電残量が多いほど前記出力余力が大きいと見なして、前記異常信号の前記伝達対象とする前記導通状態切替器の台数を多くする点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、電源部としての蓄電部の放電電力の放電上昇可能幅が大きい場合、信号中継装置が、共用電力線と電気的に接続される発電装置の台数が少なくなるように異常信号の伝達対象とする導通状態切替器の台数を多くすれば、蓄電部の放電電力の放電上昇可能幅が小さくなる方向へ変化すると期待できる。また、電源部としての蓄電部の蓄電残量が多い場合、信号中継装置が、共用電力線と電気的に接続される発電装置の台数が少なくなるように異常信号の伝達対象とする導通状態切替器の台数を多くすれば、蓄電部の蓄電残量が少なくなる方向へ変化すると期待できる。
更に、電源部としての蓄電部の放電電力の放電上昇可能幅が小さい場合、信号中継装置が、共用電力線と電気的に接続される発電装置の台数が多くなるように異常信号の伝達対象とする導通状態切替器の台数を少なくすれば、蓄電部の放電電力の放電上昇可能幅が大きくなる方向へ変化すると期待できる。また、電源部としての蓄電部の蓄電残量が少ない場合、信号中継装置が、共用電力線と電気的に接続される発電装置の台数が多くなるように異常信号の伝達対象とする導通状態切替器の台数を少なくすれば、蓄電部の蓄電残量が多くなる方向へ変化すると期待できる。
【0021】
本発明に係る電力供給システムの別の特徴構成は、複数の前記住戸側システムのそれぞれにおいて、前記発電装置は、前記導通状態切替器が前記非導通状態に切り替わっている場合には、発電した電力を外部に出力しないアイドリング運転、又は、前記連系用電力線とは電気的に切り離されている自立供給線に発電した電力を出力する運転を行う点にある。
【0022】
上記特徴構成によれば、発電装置がアイドリング運転又は自立供給線に発電した電力を出力する運転を行っているため、次に導通状態切替器が非導通状態から導通状態に切り替わった際に、発電装置は即座に連系用電力線に電力を供給できる。
【0023】
本発明に係る電力供給システムの別の特徴構成は、前記信号中継装置は、前記信号中継処理において、複数の前記導通状態切替器のうち、前記異常信号の前記伝達対象とされ続けている期間が所定の上限期間以上になっている前記導通状態切替器がある場合、当該導通状態切替器を前記異常信号の前記伝達対象から外し、前記異常信号の前記伝達対象とされていなかった前記導通状態切替器を新たに前記異常信号の前記伝達対象とする点にある。
【0024】
上記特徴構成によれば、特定の住戸側システムの導通状態切替器が異常信号の伝達対象とされ続ける、即ち、非導通状態とされ続けることが抑制される。その結果、その住戸側システムの発電装置が例えばアイドリング状態で長時間運転され続けることが抑制される。
【0025】
本発明に係る電力供給システムの別の特徴構成は、前記信号中継装置は、前記信号中継処理において、前記異常信号の前記伝達対象とする前記導通状態切替器と前記異常信号の前記伝達対象としない前記導通状態切替器との組み合わせを、設定期間毎に変更する点にある。
【0026】
上記特徴構成によれば、特定の住戸側システムの導通状態切替器が異常信号の伝達対象とされ続ける期間が上記設定期間に制限される、即ち、非導通状態とされ続けることが抑制される。その結果、その住戸側システムの発電装置が例えばアイドリング状態で長時間運転され続けることが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】電力供給システムの構成を示す図である。
図2】電力供給システムの構成を示す図である。
図3】発電部の状態と異常信号の伝達対象とする導通状態切替器の台数との関係を示す図である。
図4】発電部の状態と異常信号の伝達対象とする導通状態切替器の台数との関係を示す図である。
図5】蓄電部の状態と異常信号の伝達対象とする導通状態切替器の台数との関係を示す図である。
図6】導通状態切替器及び発電装置の動作状態を示す図である。
図7】導通状態切替器及び発電装置の動作状態を示す図である。
図8】電力供給システムの構成を示す図である。
図9】電力供給システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係る電力供給システムについて説明する。
図1及び図2は、電力供給システムの構成を示す図である。本実施形態の電力供給システムは、受電設備2を介して電力系統1から電力の供給を受けることができる、例えば一括受電の集合住宅Bに設けられるシステムである。電力系統1から供給される電力は受電設備2で受電され、その受電設備2から集合住宅Bを構成する各住戸10へ電力が供給される。図1及び図2に示すように、集合住宅Bに設けられる共用電力線4は、受電設備2を介して電力系統1に接続される。共用電力線4の途中には変圧器27が設けられ、変圧器27よりも上流側(電力系統1側)の共用電力線4には高圧電力負荷26が接続されている。変圧器27よりも下流側の共用電力線4には各住戸10が接続されている。各住戸10には、共用電力線4に接続される住戸内電力線6が引き込まれる。そして、発電装置14が設けられる住戸10では、住戸内電力線6が分岐部7で非連系用電力線11と連系用電力線13とに分岐する。本実施形態では、3つの住戸10A~10Cが設けられる例を記載しているがその数は適宜変更可能である。
【0029】
電力供給システムは、受電設備2を介して電力系統1に接続される共用電力線4と、受電設備2に対して共用電力線4を介して並列に接続される複数の住戸側システム8とを備える。集合住宅Bを構成する複数の住戸10(10A、10B、10C)のそれぞれに設けられる住戸側システム8(8A、8B、8C)は、住戸10に引き込まれる共用電力線4に対して接続される連系用電力線13と、連系用電力線13に接続される発電装置14と、連系用電力線13に設けられて、発電装置14と共用電力線4との間が導通する導通状態と、発電装置14と共用電力線4との間が導通しない非導通状態との何れかに切り替わる導通状態切替器12とを備える。
【0030】
加えて、電力供給システムは、系統連系保護装置3と、信号中継装置21と、非常用電源装置22とを備える。
【0031】
系統連系保護装置3は、電力系統1から発電装置14を解列する場合の所定の解列条件が満たされる場合には共用電力線4を電力系統1から電気的に切り離すと共に異常信号を出力し、解列条件が満たされない場合には共用電力線4を電力系統1と電気的に接続すると共に異常信号を出力しないように構成される。この解列条件は、例えば電力系統1の電圧が基準電圧未満の状態が一定時間以上継続したことなどであるが、その内容は適宜設定可能である。そして、系統連系保護装置3は、解列条件が満たされる場合には受電設備2の開閉器2aを開作動させることで、共用電力線4を電力系統1から電気的に切り離し、解列条件が満たされない場合には受電設備2の開閉器2aを閉作動させることで、共用電力線4を電力系統1と電気的に接続する。
【0032】
また、系統連系保護装置3が出力する異常信号は、信号中継装置21及び非常用電源装置22に伝達される。従って、信号中継装置21及び導通状態切替器12は異常信号の有無を判別できる。
【0033】
非常用電源装置22は、非常用電源制御部23及び電源部24を有する。そして、非常用電源制御部23は、系統連系保護装置3が出力する異常信号を受信していない場合、電源部24から電源接続線25への電力の出力を行わない。それに対して、非常用電源制御部23は、系統連系保護装置3が出力する異常信号を受信している場合、電源部24から電源接続線25への電力の出力を行う。例えば、非常用電源制御部23は、解列条件が満たされる場合に、即ち、系統連系保護装置3が出力する異常信号を受信している場合に、共用電力線4の電圧が目標電圧から所定範囲内の状態を維持するように電源部24から共用電力線4(即ち、共用電力線4に接続される電源接続線25)への出力電力を調節するように構成される。
【0034】
非常用電源装置22は、電力を発電可能な発電部を電源部24として有していてもよいし、或いは、非常用電源装置22は、電力を充放電可能な蓄電部を電源部24として有していてもよい。
【0035】
非連系用電力線11及び連系用電力線13は、電力系統1に接続される受電設備2を介して電力系統1に対して並列に接続される。電力負荷18は、切替装置17を介して連系用電力線13又は非連系用電力線11に接続される。具体的には、切替装置17は、接続切替器17aとその接続切替器17aを切替駆動する電磁コイル17bとを備える。接続切替器17aの接点aは電力負荷18に接続され、接続切替器17aの接点bは連系用電力線13に接続され、接続切替器17aの接点cは非連系用電力線11に接続される。そして、接続切替器17aは、電力負荷18を連系用電力線13に接続する連系状態(接点aと接点bとが接続される状態)と、電力負荷18を非連系用電力線11に接続する非連系状態(接点aと接点cとが接続される状態)との何れかに切り替わる。
【0036】
電磁コイル17bは連系用電力線13に接続される。そして、連系用電力線13に電力が流れる場合には電磁コイル17bにも通電されて、電磁コイル17bで電磁力が発生する。そして、電磁コイル17bで発生した電磁力が接続切替器17aに作用して、接続切替器17aの接点aと接点bとが接続される状態(連系状態)に切り替わる。それに対して、連系用電力線13に電力が流れない場合には電磁コイル17bには通電されず、電磁コイル17bで電磁力は発生しない。そして、接続切替器17aには電磁力が作用しないため、接続切替器17aの接点aと接点cとが接続される状態(非連系状態)に切り替わる。
【0037】
連系用電力線13には発電装置14が接続される。具体的には、発電装置14は、連系用電力線13から分岐する形態で連系用電力線13に接続される。発電装置14は、燃料電池装置や、エンジンとそのエンジンによって駆動される発電機とを備える装置などである。また、連系用電力線13を流れる電力を測定し、測定結果を発電装置14に伝達する電力測定部19も設けられる。発電装置14は、自身が連系用電力線13に供給する電力を調節できる。例えば、発電装置14は、定格電力を連系用電力線13に出力する運転や、電力測定部19で測定される電力が逆潮流電力にならないように、即ち、発電装置14が供給する電力が共用電力線4の方に向かわないように発電電力を調節する運転などを行うことができる。
【0038】
発電装置14には自立供給線15も接続されている。発電装置14は、連系用電力線13に外部から電力供給が行われていない場合には、発電電力を外部に出力しないアイドリング運転を行うか、或いは、発電電力を自立供給線15に接続される電力負荷(図示せず)に供給する。自立供給線15には自立用電気コンセント16が接続されているため、住戸10の住人はその自立用電気コンセント16に任意の電力負荷を接続して利用できる。
【0039】
導通状態切替器12は、連系用電力線13に設けられて、発電装置14と電力系統1との間が導通する導通状態と、発電装置14と電力系統1との間が導通しない非導通状態との何れかに切り替わる。導通状態切替器12は、系統連系保護装置3が出力する異常信号の有無に応じて切り替わる。但し、系統連系保護装置3と導通状態切替器12との間には信号中継装置21が介在しており、導通状態切替器12に異常信号が伝達されるか否かは信号中継装置21が決定する。
【0040】
信号中継装置21は、解列条件が満たされる場合に系統連系保護装置3から受信した異常信号を、複数の住戸側システム8のそれぞれに設けられる複数の導通状態切替器12のうち、伝達対象とする導通状態切替器12に伝達し、伝達対象としない導通状態切替器12には伝達しない信号中継処理を行うように構成される。例えば、信号中継装置21は、信号中継処理において、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を電源部24の出力余力に応じて調節する。
【0041】
そして、複数の住戸側システム8のそれぞれにおいて、発電装置14は、導通状態切替器12が非導通状態に切り替わっている場合(即ち、連系用電力線13に対して外部からの電力入力が無い場合)には連系用電力線13に電力を出力せず、導通状態切替器12が導通状態に切り替わっている場合(即ち、連系用電力線13に対して外部からの電力入力がある場合)には連系用電力線13に電力を出力する。そして、複数の住戸側システム8のそれぞれにおいて、発電装置14は、導通状態切替器12が非導通状態に切り替わっている場合には、発電した電力を外部に出力しないアイドリング運転、又は、連系用電力線13とは電気的に切り離されている自立供給線15に発電した電力を出力する運転を行う。
【0042】
図1は、電力系統1から電力が正常に供給されている状態での電力供給システムを示す図である。尚、図中では、電力供給が行われている箇所を太線で描いている。図示するように、系統連系保護装置3は、異常信号を出力しておらず、且つ、電力系統1から電力が供給されている。そのため、導通状態切替器12は導通状態に切り替わり、且つ、接続切替器17aは連系状態に切り替わっている。そして、電力系統1及び発電装置14の少なくとも一方から供給される電力が電力負荷18に供給される。
【0043】
図2は、電力系統1から電力が正常に供給されていない状態での電力供給システムを示す図である。図示するように、系統連系保護装置3は異常信号を出力しており、且つ、電力系統1から電力が供給されていない。
【0044】
信号中継装置21は、住戸10A及び住戸10Bには異常信号を伝達せず、住戸10Cには異常信号を伝達している。そのため、住戸10Cでは、導通状態切替器12は異常信号に応じて非導通状態に切り替わっているため、連系用電力線13では電力が流れていない。また、連系用電力線13に電圧が加わっていないため、発電装置14は自立供給線15に対して発電電力を供給している。また、住戸10Cでは、連系用電力線13では電力が流れていないため、電磁コイル17bは通電されず、接続切替器17aは非連系状態に切り替わっている。つまり、尚、住戸10Cでは、共用電力線4を介して非連系用電力線11に電力が供給されているため、電力負荷18は非連系用電力線11を介して電力の供給を受けることができる。
【0045】
このように、本実施形態の電力供給システムは、系統連系保護装置3が異常信号を出力しており、且つ、電力系統1から電力が供給されている場合、導通状態切替器12は非導通状態に切り替わり、且つ、接続切替器17aは非連系状態に切り替わる。
【0046】
図2に示すように、住戸10Cにおいて、連系用電力線13に接続されている発電装置14は、連系用電力線13に電力系統1からの電力が流れない状態であることを認識できる。また、電力測定部19は連系用電力線13を電力が流れていない状態を検出する。その結果、発電装置14は、電力系統1から供給される電力の電圧が加わらない状態と、電力測定部19が電力を検出しない状態という、互いに矛盾しない状態を認識できる。また、本実施形態の電力供給システムでは、導通状態切替器12が非導通状態のままであっても、電力負荷18は非連系用電力線11を介して電力系統1から電力の供給を受けることができる。
【0047】
上述のように、非常用電源制御部23は、上記解列条件が満たされるのに応じて系統連系保護装置3が出力する異常信号を受信している場合、電源部24から電源接続線25への電力の出力を行う。そして、非常用電源制御部23は、その間、電源部24の出力余力についての情報を信号中継装置21に所定のタイミングで伝達する。
【0048】
電源部24の出力余力は、電源部24が出力できる瞬時出力電力の増大可能幅、或いは、電源部24が出力できる電力量の合計などである。
【0049】
例えば、電源部24が発電部である場合、発電部による出力電力の増大可能幅としての出力上昇可能幅(=自立時定格出力電力-現在の瞬時出力電力)を電源部24の出力余力とすることができる。例えば、電源部24としての発電部の現在の出力上昇可能幅が相対的に小さい場合(即ち、現在の瞬時出力電力が相対的に大きい場合)、電源部24としての発電部の出力余力は相対的に小さいと判定される。それに対して、電源部24としての発電部の現在の出力上昇可能幅が相対的に大きい場合(即ち、現在の瞬時出力電力が相対的に小さい場合)、電源部24としての発電部の出力余力は相対的に大きいと判定される。
【0050】
例えば、電源部24が蓄電部である場合、その放電電力を正の出力電力と見なすことができ、その充電電力を負の出力電力と見なすことができる。そして、蓄電部による放電電力の増大可能幅としての放電上昇可能幅(=定格放電電力-現在の瞬時放電電力)及び蓄電部の蓄電残量(例えば、SOC(state of charge))を電源部24の出力余力とすることができる。そして、電源部24としての蓄電部の放電電力の現在の放電上昇可能幅が相対的に小さい場合(即ち、現在の瞬時放電電力が相対的に大きい場合)、電源部24としての蓄電部の出力余力は相対的に小さいと判定される。それに対して、電源部24としての蓄電部の現在の放電上昇可能幅が相対的に大きい場合(即ち、現在の瞬時放電電力が相対的に小さい場合)、電源部24としての蓄電部の出力余力は相対的に大きいと判定される。また、電源部24としての蓄電部の現在の蓄電残量が相対的に少ない場合、蓄電部から電力を出力するための出力余力は相対的に小さいと判定される。それに対して、電源部24としての蓄電部の現在の蓄電残量が相対的に多い場合、蓄電部から電力を出力するための出力余力は相対的に大きいと判定される。
【0051】
信号中継装置21は、解列条件が満たされる場合に系統連系保護装置3から受信した異常信号を、複数の住戸側システム8のそれぞれに設けられる複数の導通状態切替器12のうち、伝達対象とする導通状態切替器12に伝達し、伝達対象としない導通状態切替器12には伝達しない信号中継処理を行うように構成される。例えば、信号中継装置21は、信号中継処理において、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を電源部24の出力余力に応じて調節する。図2に示す例では、信号中継装置21は、住戸10Cの導通状態切替器12を異常信号の伝達対象としており、住戸10A及び住戸10Bの導通状態切替器12を異常信号の伝達対象としていない。その結果、住戸10Cの導通状態切替器12は非導通状態になっており、住戸10B及び住戸10Cの導通状態切替器12は導通状態になっている。
【0052】
次に、信号中継装置21が、信号中継処理において異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を決定する手法について説明する。
【0053】
図3は、電源部24としての発電部の状態と異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数との関係を示す図である。図3の縦軸は発電部の出力電力を、最大発電電力(例えば定格発電電力など)を100%としてパーセント表示したものである。従って、出力電力が100%に近くなるほど、発電部による出力電力の出力上昇可能幅は小さくなる、即ち、発電部(電源部24)としての出力余力は小さくなると言える。
【0054】
図3に示すように、信号中継装置21は、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を変更する場合の閾値として、発電部の出力電力が20%、40%、60%という3つの閾値を設定している。そして、信号中継装置21は、発電部の出力電力が60%より大きく且つ100%以下の間の場合には3台の発電装置14が運転される(即ち、発電装置14が連系用電力線13へ電力を供給する。以下同様。)ように、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を0台にする。また、信号中継装置21は、発電部の出力電力が40%より大きく且つ60%以下の間の場合には2台の発電装置14が運転されるように、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を1台にする。また、信号中継装置21は、発電部の出力電力が20%より大きく且つ40%以下の間の場合には1台の発電装置14が運転されるように、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を2台にする。また、信号中継装置21は、発電部の出力電力が0%以上且つ40%以下の間の場合には0台の発電装置14が運転されるように、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を3台にする。
【0055】
尚、図3に示した閾値の値は適宜変更可能である。例えば、図4に示す例のように、信号中継装置21は、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を変更する場合の閾値として、発電部の出力電力が10%、30%、50%という3つの閾値を設定してもよい。そして、信号中継装置21は、発電部の出力電力が50%より大きく且つ100%以下の間の場合には3台の発電装置14が運転されるように、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を0台にする。また、信号中継装置21は、発電部の出力電力が30%より大きく且つ50%以下の間の場合には2台の発電装置14が運転されるように、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を1台にする。また、信号中継装置21は、発電部の出力電力が10%より大きく且つ30%以下の間の場合には1台の発電装置14が運転されるように、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を2台にする。また、信号中継装置21は、発電部の出力電力が0%以上且つ10%以下の間の場合には0台の発電装置14が運転されるように、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を3台にする。
【0056】
また、信号中継装置21は、発電部の出力電力が上昇している場合と低下している場合とで、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を決定する場合の発電部の出力電力の閾値を異ならせてもよい。例えば、信号中継装置21は、発電部の出力電力が上昇している場合には図3に示した閾値で異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を決定し、発電部の出力電力が低下している場合には図4に示した閾値で異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を決定してもよい。
【0057】
このように、電源部24としての発電部の出力電力が上昇している場合と発電部の出力電力が低下している場合とで各別に設定された閾値で信号中継装置21が異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を決定することもできる。この場合、電源部24としての発電部の出力電力が上昇して61%になった後(即ち、発電装置14の運転台数が3台になった後)、電源部24としての発電部の出力電力が低下して59%になったとしても、発電装置14の運転台数は3台のまま維持される。
【0058】
以上のように、信号中継装置21は、信号中継処理において、発電部による出力電力の出力上昇可能幅(例えば、「出力上昇可能幅=自立時定格出力電力-現在の瞬時出力電力」)を電源部24の出力余力として、出力上昇可能幅が大きいほど出力余力が大きいと見なして、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数(即ち、連系用電力線13への電力供給を停止する発電装置14の台数)を多くすることができる。
【0059】
このように、電源部24としての発電部の出力上昇可能幅が大きい場合、信号中継装置21が、共用電力線4と電気的に接続される発電装置14の台数が少なくなるように異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を多くすれば、発電部の出力上昇可能幅が小さくなる方向へ変化すると期待できる。また、電源部24としての発電部の出力上昇可能幅が小さい場合、信号中継装置21が、共用電力線4と電気的に接続される発電装置14の台数が多くなるように異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を少なくすれば、発電部の出力上昇可能幅が大きくなる方向へ変化すると期待できる。つまり、電源部24としての発電部の出力が適切な範囲に収まることが期待されるため、例えば、電源部24としての発電部の出力が低くなり過ぎることで発電部が停止するなどの問題が発生することが回避される。
【0060】
図5は、電源部24としての蓄電部の状態と異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数との関係を示す図である。図5の縦軸は蓄電部の放電電力を、最大放電電力を+100%としてパーセント表示したものである。尚、蓄電部の充電電力には「-」の符号を付けて、負の放電電力として示している。従って、放電電力が+100%に近くなるほど、蓄電部による放電電力の放電上昇可能幅は小さくなる、即ち、蓄電部(電源部24)としての出力余力は小さくなると言える。
【0061】
図5(a)に示すように、信号中継装置21は、蓄電部の蓄電残量が40%未満である場合、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を変更する場合の閾値として、蓄電部の放電電力が-80%、-60%、-40%という3つの閾値を設定している。そして、信号中継装置21は、蓄電部の放電電力が-40%より大きく且つ100%以下の間の場合には3台の発電装置14が運転されるように、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を0台にする。また、信号中継装置21は、蓄電部の放電電力が-60%より大きく且つ-40%以下の間の場合には2台の発電装置14が運転されるように、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を1台にする。また、信号中継装置21は、蓄電部の放電電力が-80%より大きく且つ-60%以下の間の場合には1台の発電装置14が運転されるように、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を2台にする。また、信号中継装置21は、蓄電部の放電電力が-100%以上且つ-80%以下の間の場合には0台の発電装置14が運転されるように、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を3台にする。
【0062】
また、図5(b)に示すように、信号中継装置21は、蓄電部の蓄電残量が40%以上且つ60%未満である場合、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を変更する場合の閾値として、蓄電部の放電電力が-60%、-30%、+40%という3つの閾値を設定している。そして、信号中継装置21は、蓄電部の放電電力が+40%より大きく且つ100%以下の間の場合には3台の発電装置14が運転されるように、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を0台にする。また、信号中継装置21は、蓄電部の放電電力が-30%より大きく且つ+40%以下の間の場合には2台の発電装置14が運転されるように、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を1台にする。また、信号中継装置21は、蓄電部の放電電力が-60%より大きく且つ-30%以下の間の場合には1台の発電装置14が運転されるように、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を2台にする。また、信号中継装置21は、蓄電部の放電電力が-100%以上且つ-60%以下の間の場合には0台の発電装置14が運転されるように、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を3台にする。
【0063】
また、図5(c)に示すように、信号中継装置21は、蓄電部の蓄電残量が60%以上且つ80%未満である場合、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を変更する場合の閾値として、蓄電部の放電電力が-40%、+30%、+60%という3つの閾値を設定している。そして、信号中継装置21は、蓄電部の放電電力が+60%より大きく且つ100%以下の間の場合には3台の発電装置14が運転されるように、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を0台にする。また、信号中継装置21は、蓄電部の放電電力が+30%より大きく且つ+60%以下の間の場合には2台の発電装置14が運転されるように、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を1台にする。また、信号中継装置21は、蓄電部の放電電力が-40%より大きく且つ+30%以下の間の場合には1台の発電装置14が運転されるように、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を2台にする。また、信号中継装置21は、蓄電部の放電電力が-100%以上且つ-40%以下の間の場合には0台の発電装置14が運転されるように、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を3台にする。
【0064】
また、図5(d)に示すように、信号中継装置21は、蓄電部の蓄電残量が80%以上である場合、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を変更する場合の閾値として、蓄電部の放電電力が+40%、+60%、+80%という3つの閾値を設定している。そして、信号中継装置21は、蓄電部の放電電力が+80%より大きく且つ100%以下の間の場合には3台の発電装置14が運転されるように、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を0台にする。また、信号中継装置21は、蓄電部の放電電力が+60%より大きく且つ+80%以下の間の場合には2台の発電装置14が運転されるように、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を1台にする。また、信号中継装置21は、蓄電部の放電電力が+40%より大きく且つ+60%以下の間の場合には1台の発電装置14が運転されるように、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を2台にする。また、信号中継装置21は、蓄電部の放電電力が-100%以上且つ+40%以下の間の場合には0台の発電装置14が運転されるように、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を3台にする。
【0065】
このように、信号中継装置21は、信号中継処理において、蓄電部による放電電力の放電上昇可能幅(例えば、「放電上昇可能幅=定格放電電力-現在の瞬時放電電力」)及び蓄電部の蓄電残量を電源部24の出力余力として、放電上昇可能幅が大きいほど出力余力が大きいと見なし、蓄電残量が多いほど出力余力が大きいと見なして、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数((即ち、連系用電力線13への電力供給を停止する発電装置14の台数))を多くすることができる。
【0066】
以上のように、電源部24としての蓄電部の放電電力の放電上昇可能幅が大きい場合、信号中継装置21が、共用電力線4と電気的に接続される発電装置14の台数が少なくなるように異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を多くすれば、蓄電部の放電電力の放電上昇可能幅が小さくなる方向へ変化すると期待できる。また、電源部24としての蓄電部の蓄電残量が多い場合、信号中継装置21が、共用電力線4と電気的に接続される発電装置14の台数が少なくなるように異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を多くすれば、蓄電部の蓄電残量が少なくなる方向へ変化すると期待できる。更に、電源部24としての蓄電部の放電電力の放電上昇可能幅が小さい場合、信号中継装置21が、共用電力線4と電気的に接続される発電装置14の台数が多くなるように異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を少なくすれば、蓄電部の放電電力の放電上昇可能幅が大きくなる方向へ変化すると期待できる。また、電源部24としての蓄電部の蓄電残量が少ない場合、信号中継装置21が、共用電力線4と電気的に接続される発電装置14の台数が多くなるように異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を少なくすれば、蓄電部の蓄電残量が多くなる方向へ変化すると期待できる。
【0067】
尚、図3及び図4に例示したのと同様に、信号中継装置21は、電源部24としての蓄電部の出力電力が上昇している場合と低下している場合とで、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を決定する場合の蓄電部の出力電力及び蓄電残量(即ち、出力余力)の閾値を異ならせてもよい。
【0068】
以上のように、信号中継装置21は、解列条件が満たされる場合に系統連系保護装置3から受信した異常信号を、複数の住戸側システム8のそれぞれに設けられる複数の導通状態切替器12のうち、伝達対象とする導通状態切替器12に伝達し、伝達対象としない導通状態切替器12には伝達しない信号中継処理を行う。その結果、異常信号の伝達対象とされた住戸側システム8の導通状態切替器12は非導通状態に切り替わるため、その住戸側システム8の発電装置14は共用電力線4と電気的に接続されない。それに対して、異常信号の伝達対象とされなかった住戸側システム8の導通状態切替器12は導通状態に切り替わるため、その住戸側システム8の発電装置14は共用電力線4と電気的に接続される。
【0069】
このように、信号中継装置21は、異常信号の伝達対象とされる導通状態切替器12の数を変更して、共用電力線4と電気的に接続される発電装置14の台数を変更できる。特に本特徴構成では、信号中継装置21は、信号中継処理において、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を電源部24の出力余力に応じて調節する。つまり、電源部24の出力余力が大きい場合、信号中継装置21が、共用電力線4と電気的に接続される発電装置14の台数が少なくなるように異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を多くすれば、電源部24の出力余力は小さくなる方向へ変化する。また、電源部24の出力余力が小さい場合、信号中継装置21が、共用電力線4と電気的に接続される発電装置14の台数が多くなるように異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を少なくすれば、電源部24の出力余力は大きくなる方向へ変化する。
【0070】
上述した図3図5の例では、信号中継処理において異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を決定する手法について説明したが、決定された台数の中でどの導通状態切替器12を異常信号の伝達対象とするかの決定手法の内容は適宜設定可能である。
【0071】
例えば、以下の図6に例示するように、信号中継装置21は、信号中継処理において、複数の導通状態切替器12のうち、異常信号の伝達対象とされ続けている期間が所定の上限期間T1以上になっている導通状態切替器12がある場合、当該導通状態切替器12を異常信号の伝達対象から外し、異常信号の伝達対象とされていなかった導通状態切替器12を新たに異常信号の伝達対象とするような決定手法を実施できる。
【0072】
図6において、上述した上限期間はT1に設定されている。この場合、信号中継装置21は、時刻t10~時刻t11の間は、住戸側システム8Cの導通状態切替器12の1台のみを異常信号の伝達対象にしている。その結果、住戸側システム8Cの発電装置14は、連系用電力線13に外部から電力供給が行われていないことを検知して、アイドリング運転を行っている。それに対して、住戸側システム8Aの導通状態切替器12及び住戸側システム8Bの導通状態切替器12は異常信号の伝達対象とされないため、住戸側システム8Aの発電装置14及び住戸側システム8Bの発電装置14は、連系用電力線13に外部から電力供給が行われるのに応じて、連系用電力線13に発電電力を出力する電力出力運転を行っている。
【0073】
その後、時刻t11において信号中継装置21は、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を2台へと増やすことになった場合、住戸側システム8Cの導通状態切替器12に加えて、住戸側システム8Bの導通状態切替器12を異常信号の伝達対象としている。その結果、住戸側システム8Bの発電装置14及び住戸側システム8Cの発電装置14のそれぞれは、連系用電力線13に外部から電力供給が行われていないことを検知して、アイドリング運転を行っている。それに対して、住戸側システム8Aの導通状態切替器12は異常信号の伝達対象とされないため、住戸側システム8Aの発電装置14は、連系用電力線13に外部から電力供給が行われるのに応じて、連系用電力線13に発電電力を出力する電力出力運転を行っている。
【0074】
その後、時刻t12において信号中継装置21は、住戸側システム8Cの導通状態切替器12について、異常信号の伝達対象とされ続けている期間が所定の上限期間T1以上になっていると判定する。そのため、信号中継装置21は、住戸側システム8Cの導通状態切替器12を異常信号の伝達対象から除外する。但し、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を2台は確保しなければならないため、信号中継装置21は、既に異常信号の伝達対象とされており且つ異常信号の伝達対象とされ続けている期間が所定の上限期間T1未満である住戸側システム8Bの導通状態切替器12に加えて、それまでは異常信号の伝達対象とされていなかった住戸側システム8Aの導通状態切替器12を新たに異常信号の伝達対象とする。その結果、住戸側システム8Aの発電装置14及び住戸側システム8Bの発電装置14は、連系用電力線13に外部から電力供給が行われていないことを検知して、アイドリング運転を行っている。それに対して、住戸側システム8Cの導通状態切替器12は異常信号の伝達対象とされないため、住戸側システム8Cの発電装置14は、連系用電力線13に外部から電力供給が行われるのに応じて、連系用電力線13に発電電力を出力する電力出力運転を行っている。このように、住戸側システム8Cの発電装置14は時刻t12まではアイドリング運転を行っていたため、次に導通状態切替器12が非導通状態から導通状態に切り替わった際に、即座に連系用電力線13に電力を供給できる。
【0075】
このように、図6に示す例では、特定の住戸側システム8の導通状態切替器12が異常信号の伝達対象とされ続ける、即ち、非導通状態とされ続けることが抑制される。その結果、その住戸側システム8の発電装置14が例えばアイドリング状態で長時間運転され続けることが抑制される。
【0076】
或いは、以下の図7に例示するように、信号中継装置21は、信号中継処理において、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12と異常信号の伝達対象としない導通状態切替器12との組み合わせを、設定期間T2毎に変更するような決定手法を実施できる。図7に示す例において、時刻t20~時刻t21の間、時刻t21~時刻t22の間、時刻t22~時刻t23の間の長さは何れも設定期間T2であり、時刻t21、時刻t22及び時刻t23の各タイミングで、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12と異常信号の伝達対象としない導通状態切替器12との組み合わせの決定が行われる。また、設定期間T2は、上述した上限期間T1よりも短い期間であることが好ましい。
【0077】
図7において、信号中継装置21は、時刻t20~時刻t21の間の設定期間T2は、住戸側システム8Cの導通状態切替器12の1台のみを異常信号の伝達対象にしている。その結果、住戸側システム8Cの発電装置14は、連系用電力線13に外部から電力供給が行われていないことを検知して、アイドリング運転を行っている。それに対して、住戸側システム8Aの導通状態切替器12及び住戸側システム8Bの導通状態切替器12は異常信号の伝達対象とされないため、住戸側システム8Aの発電装置14及び住戸側システム8Bの発電装置14は、連系用電力線13に外部から電力供給が行われるのに応じて、連系用電力線13に発電電力を出力する電力出力運転を行っている。
【0078】
その後、組み合わせの決定タイミングである時刻t21において信号中継装置21は、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を1台のままで、住戸側システム8Aの導通状態切替器12を異常信号の伝達対象としている。その結果、住戸側システム8Aの発電装置14は、連系用電力線13に外部から電力供給が行われていないことを検知して、アイドリング運転を行っている。それに対して、住戸側システム8Bの導通状態切替器12及び住戸側システム8Cの導通状態切替器12は異常信号の伝達対象とされないため、住戸側システム8Bの発電装置14及び住戸側システム8Cの発電装置14は、連系用電力線13に外部から電力供給が行われるのに応じて、連系用電力線13に発電電力を出力する電力出力運転を行っている。
【0079】
その後、組み合わせの決定タイミングである時刻t22において信号中継装置21は、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を1台のままで、住戸側システム8Bの導通状態切替器12を異常信号の伝達対象としている。その結果、住戸側システム8Bの発電装置14は、連系用電力線13に外部から電力供給が行われていないことを検知して、アイドリング運転を行っている。それに対して、住戸側システム8Aの導通状態切替器12及び住戸側システム8Cの導通状態切替器12は異常信号の伝達対象とされないため、住戸側システム8Aの発電装置14及び住戸側システム8Cの発電装置14は、連系用電力線13に外部から電力供給が行われるのに応じて、連系用電力線13に発電電力を出力する電力出力運転を行っている。
【0080】
このように、図7に示す例では、特定の住戸側システム8の導通状態切替器12が異常信号の伝達対象とされ続ける期間が上記設定期間に制限される、即ち、非導通状態とされ続けることが抑制される。その結果、その住戸側システム8の発電装置14が例えばアイドリング状態で長時間運転され続けることが抑制される。
【0081】
<別実施形態>
上記実施形態では、電力供給システムの構成について具体的に説明したが、その構成は適宜変更可能である。
【0082】
上記実施形態では、幾つかの数値例を記載したが、それらの値は例示目的で記載したものであり適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を変更する場合の閾値として、発電部の出力電力の数値例、蓄電部の蓄電残量の数値例、蓄電部の放電電力の数値例などを記載したが、それらの値は適宜変更可能である。
【0083】
上記実施形態において、異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数の増減の手法は適宜変更可能である。
例えば、信号中継装置21は、出力余力としての発電部の出力電力が所定の第1基準値以下の場合(即ち、出力余力が大きい場合)には異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を増やし(即ち、発電装置14の動作台数を減らし)、出力電力が第1基準値より大きい第2基準値以上の場合(即ち、出力余力が小さい場合)には異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を減らし(即ち、発電装置14の動作台数を増やし)、出力電力が第1基準値より大きく且つ第2基準値より小さい場合には異常信号の伝達対象とする導通状態切替器12の台数を維持する(即ち、発電装置14の動作台数を増減させない)ような処理を行ってもよい。
【0084】
上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、非常用電源装置を適切に運転継続させることができる電力供給システムに利用できる。
【符号の説明】
【0086】
1 電力系統
2 受電設備
3 系統連系保護装置
4 共用電力線
8(8A、8B、8C) 住戸側システム
10(10A、10B、10C) 住戸
12 導通状態切替器
13 連系用電力線
14 発電装置
15 自立供給線
21 信号中継装置
22 非常用電源装置
24 電源部
B 集合住宅
図1
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図4
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図9