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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004522
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】制御システム及び作業機
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20250107BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20250107BHJP
【FI】
A01B69/00 303Z
G05D1/02 N
A01B69/00 303M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104254
(22)【出願日】2023-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】堀 哲理
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 純一
(72)【発明者】
【氏名】江戸 俊介
(72)【発明者】
【氏名】岩井 瑛規
【テーマコード(参考)】
2B043
5H301
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB19
2B043BA02
2B043BA09
2B043BB14
2B043DA17
2B043DC01
2B043EA06
2B043EA12
2B043EA16
2B043EA37
2B043EB04
2B043EB16
2B043EB17
2B043EB18
2B043EC02
2B043EC14
2B043EC15
2B043EC16
2B043ED03
2B043ED12
2B043EE01
2B043EE02
2B043EE05
2B043EE06
5H301AA02
5H301BB01
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG08
5H301GG09
5H301LL01
5H301LL06
5H301LL11
(57)【要約】
【課題】複数のセンサを用いた障害物回避制御を高い信頼性で行う制御システム及び作業機を提供する。
【解決手段】作業機の制御システムは、障害物を検知する複数のセンサ2と、作業機の走行状態を検知する走行状態検知部51と、複数のセンサ2による検知結果に基づいて、作業機が障害物に干渉することを回避するための制御である回避制御を実行する回避制御部64と、複数のセンサ2のそれぞれの障害物に対する検知可能距離、及び、制御実行距離の少なくとも一方を変更する距離変更部52とを備える。回避制御部64は、作業機と障害物との間の距離が制御実行距離以下である場合に、回避制御を実行し、距離変更部52は、走行状態検知部51によって検知された走行状態に基づいて、検知可能距離、及び、制御実行距離の少なくとも一方を変更する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機の制御システムであって、
それぞれ異なる方向をセンシングして前記作業機にとっての障害物を検知する複数のセンサと、
前記作業機の走行状態を検知する走行状態検知部と、
前記複数のセンサによる検知結果に基づいて、前記作業機が前記障害物に干渉することを回避するための制御である回避制御を実行する回避制御部と、
前記複数のセンサのそれぞれの前記障害物に対する検知可能距離、及び、制御実行距離の少なくとも一方を変更する距離変更部と、を備え、
前記回避制御部は、前記作業機と前記障害物との間の距離が前記制御実行距離以下である場合に、前記回避制御を実行し、
前記距離変更部は、前記走行状態検知部によって検知された前記走行状態に基づいて、前記検知可能距離、及び、前記制御実行距離の少なくとも一方を変更する制御システム。
【請求項2】
前記複数のセンサには、測距センサと撮影画像を生成するカメラとが含まれている請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記測距センサによる前記検知可能距離は、前記カメラによる前記検知可能距離より長い請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記複数のセンサには、前記作業機の前方を検知範囲とする前検知センサと前記作業機の後方を検知範囲とする後検知センサとが含まれ、
前記作業機の前進時には、前記後検知センサの前記検知可能距離及び前記制御実行距離の少なくとも一方は、前記距離変更部によって、前記作業機の後進時よりも短くされ、
前記後進時には、前記前検知センサの前記検知可能距離及び前記制御実行距離の少なくとも一方は、前記距離変更部によって、前記前進時よりも短くされる請求項1に記載の制御システム。
【請求項5】
前記複数のセンサには、前記作業機の左方を検知範囲とする左検知センサと前記作業機の右方を検知範囲とする右検知センサとが含まれ、
前記作業機の左旋回時には、前記右検知センサの前記検知可能距離及び前記制御実行距離の少なくとも一方は、前記距離変更部によって、前記作業機の右旋回時よりも短くされ、
前記右旋回時には、前記左検知センサの前記検知可能距離及び前記制御実行距離の少なくとも一方は、前記距離変更部によって、前記左旋回時よりも短くされる請求項1に記載の制御システム。
【請求項6】
前記作業機における前部に作業装置が昇降可能に備えられ、
前記複数のセンサには、前記作業機の前方の前記障害物を検知する前検知センサが含まれ、
前記走行状態検知部によって前記作業装置の上昇状態が検知されている場合、前記前検知センサによる障害物検知が中止される請求項1に記載の制御システム。
【請求項7】
自車位置算出部によって算出された前記作業機の自車位置と前記センサによる障害物検知結果とに基づいて、検知された前記障害物の位置を算出する障害物位置算出部が備えられ、前記障害物が前記作業機の走行対象となっている作業地の外側に位置する場合、当該障害物は無視される請求項1から6のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項8】
それぞれ異なる方向をセンシングして障害物を検知する複数のセンサと、
機体の走行状態を検知する走行状態検知部と、
前記複数のセンサによる検知結果に基づいて、前記機体が前記障害物に干渉することを回避するための制御である回避制御を実行する回避制御部と、
前記複数のセンサのそれぞれの前記障害物に対する検知可能距離、及び、制御実行距離の少なくとも一方を変更する距離変更部と、を備え、
前記回避制御部は、前記機体と前記障害物との間の距離が前記制御実行距離以下である場合に、前記回避制御を実行し、
前記距離変更部は、前記走行状態検知部によって検知された前記走行状態に基づいて、前記検知可能距離、及び、前記制御実行距離の少なくとも一方を変更する作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機を制御する制御システム、及び作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の作業機は、障害物を検出する障害物センサを備え、この障害物センサが障害物を検出すると、障害物との衝突を回避するために回避操舵や緊急停車を行う回避制御機能を備えている。
【0003】
回避制御機能を備えた自動走行作業車が、特許文献1から知られている。特許文献1による回避制御では、障害物センサの障害物検出領域は、検出された作業走行状態に基づいて、変更可能である。例えば、機体に横幅の大きな作業装置が取り付けられている場合、障害物検出領域の横幅が拡張される。また、機体が左折(または右折)する場合、障害物検出領域の左側(または右側)が拡張される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-113937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、障害物センサの障害物領域の拡張や縮小についての記載はあるが、障害物センサの障害物に対する検知可能距離や制御実行距離(回避制御が実行される距離)を状況に応じて変更させることは開示されていない。障害物センサの障害物に対する検知可能距離や制御実行距離を状況に応じて変更させることは、より信頼性の高い障害物回避制御を行うためには重要である。信頼性の低い障害物回避制御では、例えば、不要な障害物検出に基づく不要な作業車の停車などが頻繁に生じる。また、特許文献1には、複数のセンサを代表する前方中央をセンシングするセンサの障害物検出領域の変更は記載されているが、複数の障害物センサの障害物検出領域を個別に変更することは記載されていない。
【0006】
従来の障害物回避制御では、機体と障害物との間で干渉が生じないにもかかわらず、障害物回避制御によって作業車が停車するといった不都合が生じる問題がある。
【0007】
本発明の目的は、複数のセンサを用いた障害物回避制御を高い信頼性で行う制御システム及び作業機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による作業機の制御システムの特徴は、それぞれ異なる方向をセンシングして前記作業機にとっての障害物を検知する複数のセンサと、前記作業機の走行状態を検知する走行状態検知部と、前記複数のセンサによる検知結果に基づいて、前記作業機が前記障害物に干渉することを回避するための制御である回避制御を実行する回避制御部と、前記複数のセンサのそれぞれの前記障害物に対する検知可能距離、及び、制御実行距離の少なくとも一方を変更する距離変更部と、を備え、前記回避制御部は、前記作業機と前記障害物との間の距離が前記制御実行距離以下である場合に、前記回避制御を実行し、前記距離変更部は、前記走行状態検知部によって検知された前記走行状態に基づいて、前記検知可能距離、及び、前記制御実行距離の少なくとも一方を変更する。
【0009】
本発明による作業機の特徴は、それぞれ異なる方向をセンシングして障害物を検知する複数のセンサと、機体の走行状態を検知する走行状態検知部と、前記複数のセンサによる検知結果に基づいて、前記機体が前記障害物に干渉することを回避するための制御である回避制御を実行する回避制御部と、前記複数のセンサのそれぞれの前記障害物に対する検知可能距離、及び、制御実行距離の少なくとも一方を変更する距離変更部と、を備え、前記回避制御部は、前記機体と前記障害物との間の距離が前記制御実行距離以下である場合に、前記回避制御を実行し、前記距離変更部は、前記走行状態検知部によって検知された前記走行状態に基づいて、前記検知可能距離、及び、前記制御実行距離の少なくとも一方を変更する。
【0010】
本構成によれば、複数のセンサのそれぞれの障害物に対する検知可能距離、及び、制御実行距離の少なくとも一方は、走行状態検知部によって検知された走行状態に基づいて、距離変更部によって変更される。これにより、センサ毎に、より信頼性の高い障害物検知が可能となり、結果的に、機体と障害物との間で干渉が生じないにもかかわらず、回避制御(作業機の停止など)が実行されるといった不都合が抑制される。
【0011】
即ち、本構成によれば、複数のセンサを用いた障害物回避制御を高い信頼性で行う制御システム及び作業機を実現できる。
【0012】
さらに、本発明において、前記複数のセンサには、測距センサと撮影画像を生成するカメラとが含まれていると好適である。本構成によれば、障害物までの距離を正確に得ることができるとともに、障害物検出可能距離が長いという利点を有する測距センサと、天候などの環境条件の制約が少なく、近距離の障害物を確実に検出することができるカメラとを、組み合わせて用いることで、より効果的な障害物検出が可能となる。
【0013】
さらに、本発明において、前記測距センサによる前記検知可能距離は、前記カメラによる前記検知可能距離より長く設定されると好適である。本構成によれば、両者の障害物検出の利点を生かした、効果的な障害物検出が可能となる。
【0014】
さらに、本発明において、前記複数のセンサには、前記作業機の前方を検知範囲とする前検知センサと前記作業機の後方を検知範囲とする後検知センサとが含まれ、前記作業機の前進時には、前記後検知センサの前記検知可能距離及び前記制御実行距離の少なくとも一方は、前記距離変更部によって、前記作業機の後進時よりも短くされ、前記後進時には、前記前検知センサの前記検知可能距離及び前記制御実行距離の少なくとも一方は、前記距離変更部によって、前記前進時よりも短くされると、好適である。機体前進時には、機体前方での障害物検知が機体後方での障害物検知より重要度が高くなるので、前検知センサによる検知能力は大きくし、検出する必要のない障害物が検出される可能性を低減するため、後検知センサによる検知能力は小さくすることが好ましい。本構成では、機体前進時には、機体前方での障害物検知が機体後方での障害物検知より重要度が高いことが考慮されており、不要な障害物検出による不要な作業機の停止や減速などが抑制される。
【0015】
さらに、本発明において、前記複数のセンサには、前記作業機の左方を検知範囲とする左検知センサと前記作業機の右方を検知範囲とする右検知センサとが含まれ、前記作業機の左旋回時(左折時)には、前記右検知センサの前記検知可能距離及び前記制御実行距離の少なくとも一方は、前記距離変更部によって、前記作業機の右旋回時(右折時)よりも短くされ、前記右旋回時には、前記左検知センサの前記検知可能距離及び前記制御実行距離の少なくとも一方は、前記距離変更部によって、前記左旋回時よりも短くされると、好適である。機体左旋回時には、機体左側での障害物検知が機体右側での障害物検知より重要度が高くなるので、左検知センサによる検知能力は大きくし、検出する必要のない障害物が検出される可能性を低減するため、右検知センサによる検知能力は小さくすることが好ましい。同様に、機体右旋回時には、機体右側での障害物検知が機体左側での障害物検知より重要度が高くなるので、右検知センサによる検知能力は大きくし、検出する必要のない障害物が検出される可能性を低減するため、左検知センサによる検知能力は小さくすることが好ましい。本構成では、機体左旋回時には、機体左方での障害物検知が機体右方での障害物検知より重要度が高いことが考慮されて、機体右旋回時には、機体右方での障害物検知が機体左方での障害物検知より重要度が高いことが考慮されており、不要な障害物検出による不要な作業機の停止や減速などが抑制される。
【0016】
さらに、本発明において、前記作業機における前部に作業装置が昇降可能に備えられ、前記複数のセンサには、前記作業機の前方の前記障害物を検知する前検知センサが含まれ、前記走行状態検知部によって前記作業装置の上昇状態が検知されている場合、前記前検知センサによる障害物検知が中止されると、好適である。上昇した状態の作業装置により機体前方が部分的であっても遮蔽されると、前検知センサが作業装置を障害物として誤検知する事態が想定される。本構成によれば、このような問題が回避され、不要な障害物検出による不要な作業機の停止や減速などが抑制される。
【0017】
さらに、本発明において、自車位置算出部によって算出された前記作業機の自車位置と前記センサによる障害物検知結果とに基づいて、検知された前記障害物の位置を算出する障害物位置算出部が備えられ、前記障害物が前記作業機の走行対象となっている作業地(前記作業機が農作業機であれば、圃場)の外側に位置する場合、当該障害物は無視されると、好適である。作業機は、作業地内を走行するので、検知された障害物が機体の近くに位置していても、当該障害物の位置が作業地外であれば、衝突等の危険性は実質的にはないとみなされる。このことを考慮した本構成では、障害物が作業地外に位置する場合に、不要な障害物検出による不要な作業機の停止や減速などが抑制される。もちろん、障害物が機体に非常に近い場合や、経時的な障害物検知を通じて障害物が機体に近づいているとみなされる場合では、作業地の内外を区切る強固な安全柵が存在していない限り、当該障害物は無視されず、回避制御が実行される構成を採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】コンバインの左側面図である。
図2】外周走行を示す図である。
図3】障害物センサとしての各測距センサの検知可能距離と制御実行距離を示す模式図である。
図4】障害物センサとしての各カメラの検知可能距離と制御実行距離を示す模式図である。
図5】制御システムの構成を示すブロック図である。
図6】障害物回避制御の流れを示す制御流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、特に断りがない限り、図中の矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」とする。また、図中の矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。また、図中の矢印Nの方向を「北」、矢印Sの方向を「南」、矢印Eの方向を「東」、矢印Wの方向を「西」とする。また、前進する作業機の前後方向線を基準として、「左」と「右」が定義される。
【0020】
〔コンバインの全体構成〕
図1に示すように、普通型のコンバイン(本発明に係る「作業機」に相当)は、収穫部H(本発明に係る「作業装置」に相当)、クローラ式の走行装置11、運転部12、脱穀装置13、穀粒タンク14、搬送部16、穀粒排出装置18、衛星測位モジュール80を備えている。
【0021】
走行装置11は、コンバインの機体19の下部に備えられている。また、走行装置11は、コンバインに搭載されたエンジン(図示せず)からの動力によって駆動する。そして、コンバインは、走行装置11によって走行可能である。
【0022】
また、運転部12、脱穀装置13、穀粒タンク14は、走行装置11より上側に備えられている。運転部12は運転座席12aを有している。運転部12にはユーザー(オペレータ)が搭乗可能である。
【0023】
穀粒排出装置18は、穀粒タンク14の上側に設けられている。また、衛星測位モジュール80は、運転部12の上面に取り付けられている。
【0024】
収穫部Hは、コンバインにおける前部に、備えられている。そして、搬送部16は、収穫部Hの後側に設けられている。また、収穫部Hは、左右の分草具10、刈刃15、リール17を含んでいる。収穫部Hは、搬送部16とともに、図示されていない昇降機構により昇降可能である。
【0025】
左右の分草具10は、収穫部Hの前端部における左端部及び右端部に設けられている。左右の分草具10は、圃場5(図2参照)の植立穀稈を、収穫対象と対象外とに分草する。左の分草具10よりも右側、且つ、右の分草具10よりも左側の植立穀稈は、収穫対象として分草される。左の分草具10よりも左側の植立穀稈、及び、右の分草具10よりも右側の植立穀稈は、対象外として分草される。
【0026】
刈刃15は、左右の分草具10により収穫対象として分草された植立穀稈を刈り取る。また、リール17は、機体左右方向に沿うリール軸芯17b周りに回転駆動しながら収穫対象の植立穀稈を掻き込む。刈刃15により刈り取られた刈取穀稈は、搬送部16へ送られる。
【0027】
この構成により、収穫部Hは、コンバインの走行対象となっている圃場5の穀物を収穫する。そして、コンバインは、収穫部Hによって圃場5の穀物を収穫しながら走行装置11によって走行する収穫走行が可能である。
【0028】
収穫部Hにより収穫された刈取穀稈は、搬送部16によって機体後方へ搬送される。これにより、刈取穀稈は脱穀装置13へ搬送される。
【0029】
脱穀装置13において、刈取穀稈は脱穀処理される。脱穀処理により得られた穀粒は、穀粒タンク14に貯留される。穀粒タンク14に貯留された穀粒は、必要に応じて、穀粒排出装置18によって機外に排出される。
【0030】
また、図1に示すように、運転部12には、表示端末4が配置されている。表示端末4は、種々の情報を表示可能に構成されている。本実施形態において、表示端末4は、運転部12に固定されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、表示端末4は、運転部12に対して着脱可能に構成されていても良いし、表示端末4は、コンバインの機外に位置していても良い。
【0031】
コンバインは、作業地としての圃場5における収穫作業を行う場合、図2に示すように外周走行を行った後、自動走行または手動走行によって収穫走行を行うように構成されている。尚、外周走行とは、手動操作によって圃場5の外周領域において行われる収穫走行である。ただし、本発明はこれに限定されず、外周領域において行われる収穫走行は、自動走行によって行われても良い。また、圃場内のすべての収穫走行が手動走行によって行われてもよい。
【0032】
図2においては、外周走行でコンバインが走行する経路が矢印で示されている。この経路に沿った収穫走行が完了すると、圃場5の内部の収穫走行が行われる。本実施形態における外周走行は、図2に示すように、圃場5の最外周を一周する収穫走行である。しかしながら、本発明はこれに限定されず、二周以上の周回走行が行われても良い。
【0033】
〔障害物検出用センサの配置〕
図1図3図4とに示すように、障害物検出用の複数のセンサ2は、それぞれ異なる方向をセンシングしてコンバインにとっての障害物を検知する。この実施形態では、複数のセンサ2には、測距センサとしての複数のミリ波レーダ21と、撮影画像を生成する複数のカメラ22とが含まれている。
【0034】
図3図4に示すように、ミリ波レーダ21は、運転部12を構成するキャビンの前端に取り付けられている前測距センサ(機体前方を検知範囲とする前検知センサの一種)としての前ミリ波レーダ21Fと、脱穀装置13の後端に取り付けられている後測距センサ(機体後方を検知範囲とする後検知センサの一種)としての後ミリ波レーダ21Bとからなる。ミリ波レーダ21は、ミリ波を検知対象領域に照射してセンシングを行うセンサである。測距センサとして、ミリ波レーダ21以外に、LiDAR(ライダー)やソナーなどを用いることができる。
【0035】
図3図4とに示すように、カメラ22は、運転部12を構成するキャビンの前端に取り付けられている前カメラ22F(機体前方を検知範囲とする前検知センサの一種)と、運転部12を構成するキャビンの右側側部に取り付けられている右カメラ22R(機体右方を検知範囲とする右検知センサの一種)と、脱穀装置13の左側側部に取り付けられている左カメラ22L(機体左方を検知範囲とする左検知センサの一種)と、脱穀装置13の後端に取り付けられている後カメラ22B(機体後方を検知範囲とする後検知センサの一種)とからなる。カメラ22には広角レンズが装着されており、その撮影画角はほぼ180度であるので、これらのカメラ22により、機体19の全方位が実質的にカバーされている。カメラ22の撮影画像は、ディープラーニング方式の学習型障害物検知アルゴリズムまたはその他の画像認識アルゴリズムの入力画像として用いられる。即ち、特に限定されないが、本実施形態におけるカメラ22は、AI障害物認識センサである。
【0036】
図3には、前ミリ波レーダ21Fと後ミリ波レーダ21Bとの検知可能距離LDと制御実行距離LCとが示されている。図4には、前カメラ22Fと後カメラ22Bと左カメラ22Lと右カメラ22Rの検知可能距離LDと制御実行距離LCとが示されている。6つのそれぞれの検知可能距離LDと制御実行距離LCは個別に設定可能である。検知可能距離LDは、障害物を検知することが可能な機体19からの距離である。制御実行距離LCは、検知された障害物が障害物回避制御の対象となる、機体19からの距離である。設定された検知可能距離LDと制御実行距離LCとは、以下に説明されるように、コンバインの走行状態(作業装置の姿勢状態や動作状態を含む)に基づいて変更される。ミリ波レーダ21とカメラ22との検知可能距離LD及び制御実行距離LCは、検知特性に基づいて、それぞれ異なっているが、実質的に同一にすることも可能である。さらに、前ミリ波レーダ21Fと後ミリ波レーダ21Bとの検知可能距離LD及び制御実行距離LCも、それぞれ異なってもよいし、同一でもよい。同様に、前カメラ22F、後カメラ22B、左カメラ22L、右カメラ22Rの検知可能距離LD及び制御実行距離LCも、それぞれ異なってもよいし、同一でもよい。また、ミリ波レーダ21(あるいはカメラ22)がOFFされた場合、当該ミリ波レーダ21(あるいは当該カメラ22)の検知可能距離LDはゼロとなり、制御実行距離LCの値にかかわらず、障害物検知は不能となる。ミリ波レーダ21(あるいはカメラ22)をOFFにすることは、ミリ波レーダ21(あるいはカメラ22)の検知可能距離LDを変更することの具体例である。また、ミリ波レーダ21(あるいはカメラ22)の制御実行距離LCは、常に検知可能距離LD以下であっても良い。この場合、検知可能距離LDがゼロであるときは制御実行距離LCもゼロである。
【0037】
この実施形態では、例えば、コンバインの前進時には、後ミリ波レーダ21B及び後カメラ22Bの制御実行距離LCは、コンバインの後進時よりも短くなる。また、後進時には、前ミリ波レーダ21F及び前カメラ22Fの制御実行距離LCは、前進時よりも短くなる。もちろん、検知可能距離LDも同様に、変更されてもよいし、検知可能距離LDだけが変更されてもよい。
【0038】
コンバインの左旋回時には、右カメラ22Rの制御実行距離LCは、コンバインの右旋回時よりも短くなる。また、右旋回時には、左カメラ22Lの制御実行距離LCは、左旋回時よりも短くなる。もちろん、検知可能距離LDも同様に、変更されてもよいし、検知可能距離LDだけが変更されてもよい。
【0039】
さらに、作業装置としての収穫部Hが上昇している場合(作業装置の上昇状態)、収穫部Hは、前ミリ波レーダ21F及び前カメラ22Fのセンシング範囲に入り込み、障害物検知を妨害することもあるので、前ミリ波レーダ21F及び前カメラ22Fによる障害物検知が中止、つまり、前ミリ波レーダ21F及び前カメラ22FがOFFされる。尚、前カメラ22Fが、上述したAI障害物認識センサである場合には、収穫部Hが上昇した状態であっても、前カメラ22FがOFFされない構成であっても良い。
【0040】
〔電子制御系の説明〕
図5には、コンバインの障害物回避に関する電子制御系の機能ブロック図が示されている。ここで示されている電子制御系は、ECU等で構成されるコントロールユニット100と、周囲監視センサ群2と、各種制御機器の状態を検出する状態検出センサ群30と、衛星測位モジュール80と、慣性計測装置81とから構成されている。それらの間のデータ伝送は車載LAN(Local Area Network)や通常のワイヤーハーネスを用いて行われる。
【0041】
この実施形態では、ここでは単にセンサ2とも称せられる周囲監視センサ群2には、上述したように、ミリ波レーダ21とカメラ22とが含まれている。さらに、ミリ波レーダ21には、前ミリ波レーダ21Fと後ミリ波レーダ21Bとが含まれており、カメラ22には、前カメラ22F、後カメラ22B、左カメラ22L、右カメラ22Rが含まれている。ミリ波レーダ21からの測距信号と、カメラ22からの撮影信号(撮影画像)はコントロールユニット100に送られる。
【0042】
状態検出センサ群30は、コンバインに設けられている各種動作機器の動作を検出するセンサを含み、例えば、車速、前後進操作(前進操作、後進操作、中立操作)や前後進動作(前進走行、後進走行、停車)、操舵操作(左折操作、右折操作、中立操作)や操舵動作(左折走行、右折走行、直進走行)、収穫部Hの昇降位置(上昇位置、下降位置)などを検知することができる。状態検出センサ群30からの状態検出信号は、コントロールユニット100に送られる。
【0043】
衛星測位モジュール80は、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)で用いられる人工衛星GS(図1参照)からのGPS信号を受信する。そして、衛星測位モジュール80は、受信したGPS信号に基づいて、コンバインの自車位置を算出するための測位信号を生成する。生成された測位信号は、コントロールユニット100へ送られる。なお、衛星測位モジュール80は、GPSを利用するものでなくても良い。例えば、衛星測位モジュール80は、GPS以外のGNSS(GLONASS、Galileo、みちびき、BeiDou等)を利用するものであっても良い。
【0044】
慣性計測装置81は、コンバインの機体19のヨー角度の角速度、及び、互いに直交する3軸方向の加速度を経時的に検知する。慣性計測装置81による検知結果としての方位信号は、コントロールユニット100へ送られる。
【0045】
コントロールユニット100は、センサ信号処理ユニット40、走行状態検知部51、距離変更部52、自車位置算出部53、方位算出部54、走行制御ユニット60を備えている。
【0046】
走行状態検知部51は、状態検出センサ群30からの状態検出信号に基づいて、コンバインに設けられている各種動作機器の動作状態である走行状態情報(停車中の状態情報や作業装置の状態情報も含む)を検知し、走行状態情報を生成する。
【0047】
距離変更部52は、走行状態検知部51からの走行状態情報に基づいて、ミリ波レーダ21とカメラ22のそれぞれの検知可能距離LDと制御実行距離LCとを変更する。検知可能距離LDは、それぞれの初期設定で所定距離に設定される。距離変更部52は、ミリ波レーダ21及びカメラ22をOFFにすることによって、検知可能距離LD(あるいは、検知可能距離LD及び制御実行距離LC)をゼロに変更することが可能である。例えば、ミリ波レーダ21がOFFされた時にミリ波レーダ21の検知可能距離LD(あるいは、検知可能距離LD及び制御実行距離LC)はゼロになる。また、カメラ22がOFFされた時にカメラ22の検知可能距離LD(あるいは、検知可能距離LD及び制御実行距離LC)はゼロになる。検知可能距離LDがゼロになれば、障害物検知は行われない。
【0048】
ミリ波レーダ21とカメラ22のそれぞれの検知可能距離LDと制御実行距離LCとは、受け取った走行状態情報の内容に応じて、変更される。以下に、走行状態に対する検知可能距離LDと制御実行距離LCとの変更関係の一例を、カメラ22とミリ波レーダ21とに分けて示す。
【0049】
カメラ22では;
(1)コンバインの前進時、
前カメラ22Fの制御実行距離LCは3mとなる。後カメラ22BはOFFとなり、後カメラ22Bの検知可能距離LDはゼロとなる。左カメラ22Lの制御実行距離LCは1m、右カメラ22Rの制御実行距離LCは1mとなる。
(2)コンバインの後進時、
前カメラ22FはOFFとなり、前カメラ22Fの検知可能距離LDはゼロとなる。後カメラ22Bの制御実行距離LCは3mとなる。左カメラ22Lの制御実行距離LCは1m、右カメラ22Rの制御実行距離LCは1mとなる。
(3)コンバインの左折時、
前カメラ22Fの制御実行距離LCは3mとなる。後カメラ22BはOFFとなり、後カメラ22Bの検知可能距離LDはゼロとなる。左カメラ22Lの制御実行距離LCは3mとなり、右カメラ22Rの制御実行距離LCは1mとなる。
(4)コンバインの右折時、
前カメラ22Fの制御実行距離LCは3mとなる。後カメラ22BはOFFとなり、後カメラ22Bの検知可能距離LDはゼロとなる。左カメラ22Lの制御実行距離LCは1mとなり、右カメラ22Rの制御実行距離LCは3mとなる。
【0050】
ミリ波レーダ21では;
(1)収穫部Hを下降させてのコンバインの前進時(刈取り走行時)、
前ミリ波レーダ21Fの制御実行距離LCは最大12mとなる。後ミリ波レーダ21BはOFFとなり、後ミリ波レーダ21Bの検知可能距離LDはゼロとなる。
(2)収穫部Hを上昇させてのコンバインの前進時(非刈取り走行時)、
前ミリ波レーダ21FはOFFとなり、前ミリ波レーダ21Fの検知可能距離LDはゼロとなる。後ミリ波レーダ21BのOFFとなり、後ミリ波レーダ21Bの検知可能距離LDはゼロとなる。前進にもかかわらず、前ミリ波レーダ21FがOFFとなるのは、上昇した収穫部Hによって、前ミリ波レーダ21Fの検知機能が悪化するためである。
(3)収穫部Hを上昇させてのコンバインの後進時(非刈取り走行時)、
前ミリ波レーダ21FはOFFとなり、前ミリ波レーダ21Fの検知可能距離LDはゼロとなる。後ミリ波レーダ21Bの検知可能距離LDは最大12mとなる。
【0051】
上述した制御実行距離LCの各値は、参考例であり、実際には、各センサの検知能力や機体19が安全に停止できる制動距離などに基づくとともに、不要な検知による走行停止が抑制されるように、決定される。
【0052】
自車位置算出部53は、衛星測位モジュール80により出力された測位信号に基づいて、機体19の位置座標を算出する。算出された機体19の位置座標は、自車位置情報として、コントロールユニット100の各機能部で利用される。方位算出部54は、自車位置算出部53から、機体19の位置座標を受け取る。方位算出部54は、慣性計測装置81による検知結果、さらに機体19の経時的な位置座標に基づいて、機体19の機体方位を算出する。算出された機体19の方位は、方位情報として、コントロールユニット100の各機能部で利用される。機体19の位置座標と方位は、自動走行時には、目標走行経路の設定や設定された目標走行経路からの位置ずれを算出するために用いられ、手動走行時には、走行ガイダンスの報知のために用いられる。
【0053】
センサ信号処理ユニット40は、障害物検知ユニットとして機能する。センサ信号処理ユニット40は、ミリ波レーダ21からの測距信号及びカメラ22からの撮影信号(撮影画像)を入力信号とし、距離変更部52からの距離変更指令によって設定(変更または維持)された検知可能距離LD及び制御実行距離LCを検知条件として、障害物を検知する。
【0054】
センサ信号処理ユニット40は、第1信号処理部41と第2信号処理部42と障害物位置算出部43とを備えている。第1信号処理部41は、各ミリ波レーダ21からの測距信号に基づいて、制御実行距離LC内で障害物を検知すると、検知された障害物の位置と大きさとを含む障害物情報を障害物検知結果として生成する。第2信号処理部42は、カメラ22からの撮影信号(撮影画像)を入力信号として、障害物が撮影画像内に存在しているかどうかを判定し、存在しているとみなされる障害物が制御実行距離LC内とみなすと、当該障害物の位置と大きさとを含む障害物情報を生成する。なお、第2信号処理部42が深層学習を用いたセグメンテーションを取り入れたニューラルネットワーク機能を備えている場合、障害物の種類も障害物情報に含まれる。
【0055】
障害物位置算出部43は、検知された障害物の機体19からの距離を求める。第1信号処理部41と第2信号処理部42とから障害物距離が出力される場合には、障害物位置算出部43は、当該障害物距離を流用する。障害物位置算出部43が、障害物距離と、自車位置情報と、作業走行の対象となっている圃場5の地図情報とから、検知された障害物が当該圃場5の外側に位置すると判定すると、この障害物は無視され、障害物情報は生成されない。
【0056】
この実施形態では、前進時や後進時には、ミリ波レーダ21とカメラ22の両方によって、あるいはどちらか一方だけによって障害物が検知される場合があるが、いずれの場合も、障害物情報が生成される。しかしながら、状況によっては、ミリ波レーダ21とカメラ22の両方によって障害物が検知される場合のみ、障害物情報が生成される構成を採用してもよい。
【0057】
走行制御ユニット60は、手動走行制御部61、自動走行制御部62、回避制御部64を備えている。自動走行制御部62は経路選択部63を有している。
【0058】
走行制御ユニット60は、エンジン制御機能、操舵制御機能、車速制御機能などを有し、車両走行に関する走行制御指令を生成して、関連する動作機器に与える。手動走行制御部61は、運転者による操縦に基づいて、コンバインを走行させるものであり、それ自体はよく知られた技術である。自動走行制御部62は、コンバインを自動で(例えば無人で)走行させるものであり、その際、経路選択部63は、図示されていない自動走行経路生成部によって生成された複数の走行経路から目標走行経路を自車位置情報に基づいて選択する。さらに、この走行制御ユニット60は、図示されていない人為遠隔操作装置からの操作指令に基づいて、コンバインを走行させる機能も有する。
【0059】
回避制御部64は、センサ信号処理ユニット40からの障害物情報に基づいて、コンバインが障害物に干渉することを回避するための制御である回避制御を実行する。回避制御には、コンバインの停止、車速の減速、急旋回などが含まれる。
【0060】
上述した形態では、障害物位置算出部43がセンサ信号処理ユニット40に組み込まれている。また、センサ信号処理ユニット40が、回避制御の実行または非実行を判定して、回避制御の実行が必要な場合に、障害物情報が走行制御ユニット60に与えられる。これに代えて、障害物位置算出部43の機能を回避制御部64に組み込んで、回避制御部64が障害物との間の距離に応じて、回避制御の実行を判定してもよい。具体的には、機体19と障害物との間の距離が制御実行距離LC以下である場合に、回避制御は実行され、機体19と障害物との間の距離が制御実行距離LCを超えている場合には、回避制御は実行されない。
【0061】
次に、図6を用いて、上述した電子制御系における障害物回避制御の一例を説明する。尚、「障害物回避制御」は、図6に示した制御フローの全体である。これに対して、「回避制御」は、図6におけるステップ#60で実行される制御である。
この障害物回避制御では、初期設定処理として、各カメラ22の検知可能距離LD及び制御実行距離LCがデフォルト値に設定され、各ミリ波レーダ21の検知可能距離LD及び制御実行距離LCがデフォルト値に設定される(#01)。
【0062】
続いて、走行状態が判定され(#11)、走行状態が変動しているかどうかチェックされる(#12)。走行状態が変動しておれば(#12Yes分岐)、距離変更処理が行われる(#20)。走行状態が変動していなければ(#12No分岐)、距離変更処理はスキップされる。ステップ#20の距離変更処理では、判定された現状の走行状態に基づいて、各カメラ22の検知可能距離LDまたは制御実行距離LCの変更、ないしは、各ミリ波レーダ21の検知可能距離LDまたは制御実行距離LCの変更、あるいは各カメラ22及び各ミリ波レーダ21の検知可能距離LDまたは制御実行距離LCの変更が行われる(#21、#22)。
【0063】
その後、各カメラ22からの撮影画像が取得され(#31)、当該撮影画像を用いた障害物検出のための撮影画像処理が行われる(#32)。障害物が検出された場合(#33Yes分岐)、障害物情報が生成される(#51)。同様に、各ミリ波レーダ21からの測距信号が取得され(#41)、当該測距信号を用いた障害物検出のための測距信号処理が行われる(#42)。障害物が検出された場合(#43Yes分岐)、障害物情報が生成される(#51)。生成された障害物情報は、走行制御ユニット60などで用いられる。障害物が検出されない場合(#33No分岐、#43No分岐)、ステップ#11に戻って、ステップ#11以降の処理が繰り返される。
【0064】
ステップ#51で障害物情報が生成された場合、生成された障害物情報に基づいて、当該障害物に対する回避制御が行われるべきかどうか判定される(#52)。回避制御が必要と判定されると(#53Yes分岐)、停車、減速、左折、右折などの回避制御が実行される(#60)。回避制御の実行後は、図示されていないが、適切なリカバリー処理等を経て、この障害物回避制御(障害物回避処理ルーチン)を再開する。回避制御が不要と判定されると(#53No分岐)、ステップ#11に戻って、ステップ#11以降の処理が繰り返される。
【0065】
〔その他の実施形態〕
(1)上述した実施形態では、複数のセンサ2(周囲監視センサ群2)のうちの1つとしてのカメラ22は、単眼カメラとして取り扱われたが、ステレオカメラであってもよい。また、複数のセンサ2(周囲監視センサ群2)のうちの他の1つの測距センサとして、ミリ波レーダ21が取り扱われたが、LiDARやソナーなどであってもよい。さらには、センサ2として、測距センサとカメラ22とを組む合わせた統合センサが用いられてもよい。
【0066】
(2)上述した実施形態での、カメラ22及びミリ波レーダ21の台数や配置や検知対象領域は、参考例であり、これに限定されない。
【0067】
(3)図5に示された機能ブロック図は、説明目的のための模式的な構成となっている。図示された機能ブロックは、他の機能ブロックと統合されてもよいし、1つの機能ブロックが分割されてもよい。
【0068】
尚、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、コンバイン、トラクタ、田植機、薬剤散布機、などの農作業機だけでなく、土木作業機、建設作業機、搬送作業機など種々の作業機に利用可能である。
【符号の説明】
【0070】
2 :周囲監視センサ群(センサ)
19 :機体
21 :ミリ波レーダ
21F :前ミリ波レーダ
21B :後ミリ波レーダ
22 :カメラ
22B :後カメラ
22F :前カメラ
22L :左カメラ
22R :右カメラ
30 :状態検出センサ群
40 :センサ信号処理ユニット
41 :第1信号処理部
42 :第2信号処理部
43 :障害物位置算出部
51 :走行状態検知部
52 :距離変更部
53 :自車位置算出部
60 :走行制御ユニット
64 :回避制御部
80 :衛星測位モジュール
81 :慣性計測装置
100 :コントロールユニット
H :収穫部(作業装置)
LC :制御実行距離
LD :検知可能距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6