(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004542
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】駐車場管理用の情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、及び、情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/00 20060101AFI20250107BHJP
【FI】
G08B25/00 510M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104278
(22)【出願日】2023-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】591069086
【氏名又は名称】パーク二四株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北野 真也
(72)【発明者】
【氏名】安齋 隼人
(72)【発明者】
【氏名】梶 凌也
(72)【発明者】
【氏名】森 俊樹
【テーマコード(参考)】
5C087
【Fターム(参考)】
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA09
5C087AA10
5C087AA19
5C087AA37
5C087BB74
5C087DD03
5C087DD49
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG02
5C087GG08
5C087GG10
5C087GG19
5C087GG35
5C087GG66
(57)【要約】
【課題】管理する駐車場における迷惑行為を減らす。
【解決手段】駐車場を管理する情報処理装置が、前記駐車場に進入した人物が監視対象者であるか否かを判定する第1判定部と、前記監視対象者の行為が所定行為に該当するか否かを判定する第2判定部と、前記行為が前記所定行為に該当すると判定されると、前記所定行為を行う迷惑行為者に対して、第1警告を行う第1警告部とを備える。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場を管理する情報処理装置であって、
前記駐車場に進入した人物が監視対象者であるか否かを判定する第1判定部と、
前記監視対象者の行為が所定行為に該当するか否かを判定する第2判定部と、
前記行為が前記所定行為に該当すると判定されると、前記所定行為を行う迷惑行為者に対して、第1警告を行う第1警告部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記監視対象者に対し、前記第1警告とは異なる第2警告を行う第2警告部を更に備え、
前記第2警告は、
前記迷惑行為者に音声情報を出力、前記迷惑行為者に向けて警告を示す視覚情報を出力、前記迷惑行為者に光を照射させる発光、前記迷惑行為者に水分をかける、又は、これらの組み合わせである
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記迷惑行為者が行う迷惑行為は、
前記駐車場の敷地内での喫煙、スポーツ、二輪車の駐車、動物の散歩、排泄、又は、長期滞在を含む行為である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第2判定部は、
温度を計測した結果に基づき、前記温度が閾値を超える高温であると、前記喫煙を行う前記迷惑行為者であると判断する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記駐車場を利用する車両に搭乗してきた搭乗者を識別する識別部を更に備え、
前記第2判定部は、
前記搭乗者であると、前記迷惑行為者でないと判断する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
駐車場を管理する情報処理装置を備える情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記駐車場に進入した人物が監視対象者であるか否かを判定する第1判定部と、
前記監視対象者の行為が所定行為に該当するか否かを判定する第2判定部と、
前記行為が前記所定行為に該当すると判定されると、前記所定行為を行う迷惑行為者に対して、第1警告を行う第1警告部とを備える
情報処理システム。
【請求項7】
駐車場を管理する情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
前記駐車場に進入した人物が監視対象者であるか否かを判定する第1判定手順と、
前記監視対象者の行為が所定行為に該当するか否かを判定する第2判定手順と、
前記行為が前記所定行為に該当すると判定されると、前記所定行為を行う迷惑行為者に対して、第1警告を行う第1警告手順と
を含む情報処理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の情報処理方法をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場管理用の情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、及び、情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防犯等を目的とし、管理対象とする駐車場等を検知センサで監視して、人物を検知する技術が知られている。
【0003】
例えば、まず調光システムが、検知センサで検知を行うエリアを「通常検知エリア」と「威嚇検知エリア」に分けて、各エリア内に人物が存在するか否かを検知する。そして、人物が検知されたとき、「通常検知エリア」、又は、「威嚇検知エリア」のどちらかのエリアで検知されたかにより、調光パターンを切り替える。このようにして、防犯効果を高める技術が知られている(例えば、特許文献1等を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術は、駐車場の利用者、及び、近隣の住民等に迷惑がかかる行為(以下「迷惑行為」という。)を考慮していない。一方で、駐車場は、遮蔽物がある場合が多いため、人目を避けやすい等の事情がある。そのため、駐車場では、人目を避けて迷惑行為が行われる場合がある。これに対し、従来の技術では、管理する駐車場で行われる迷惑行為を減らせない課題がある。
【0006】
本発明は、管理する駐車場における迷惑行為を減らすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様における、
情報処理装置は、駐車場を管理する情報処理装置であって、
前記駐車場に進入した人物が監視対象者であるか否かを判定する第1判定部と、
前記監視対象者の行為が所定行為に該当するか否かを判定する第2判定部と、
前記行為が前記所定行為に該当すると判定されると、前記所定行為を行う迷惑行為者に対して、第1警告を行う第1警告部と
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、管理する駐車場における迷惑行為を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】情報処理システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】サーバのハードウェア構成例を示す図である。
【
図4】監視対象者から除外する者の第1例を示す図である。
【
図5】監視対象者から除外する者の第2例を示す図である。
【
図6】監視対象者から除外する者の第3例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付する図面を参照して、具体例を説明する。なお、以下の説明において、図面に記載する符号は、同一の要素を指す。また、実施形態は、下記の具体例に限られず、実施形態には、図示する以外の要素があってもよい。
【0011】
以下、車両を駐車するための空間を一時的に貸し出す駐車場の提供というサービスを例に説明する。具体的には、サービスは、事前に車室を用意して提供される。
【0012】
「特定の領域」は、この例では車室である。具体的には、車室は、1台の車両の大きさに合わせて区切られた駐車領域である。なお、特定の領域は、車室に限られず、車庫等でもよい。
【0013】
「サービス」は、車両に対する特定の領域を提供、及び、特定の領域を管理する管理会社等が提供する役務である。本実施形態で提供されるサービスは、車室に車両を駐車させる、いわゆる駐車場サービスである。
【0014】
「対象物」は、サービスを受ける上で特定の領域を占有する有体物である。本実施形態では、対象物は、車両である。また、以下の例では、ユーザは、車両の所有者、かつ、搭乗者であるとする。ただし、ユーザは、車両の所有者でなくともよい。例えば、車両は、いわゆるレンタカー等でもよい。又は、ユーザは、運転者でない、所謂「同乗者」でもよい。
【0015】
「利用料金」は、サービスを受けた場合にユーザがサービスの対価として支払う費用である。以下、利用料金は、サービスを受けた時間(以下「サービス時間」という。)によって算出されるとする。ただし、利用料金の算出方法は、サービス時間に基づいて算出されなくともよい。例えば、回数ごとに利用料金が一定等でもよい。
【0016】
「サービス時間」は、サービスを開始する「開始時刻」からサービスを終了する「終了時刻」によって定まる。例えば、「9:00」から車室に車両を駐車するのを開始し、「11:00」に終了させた場合には、「開始時刻」は「9:00」となる。さらに、「終了時刻」は「11:00」となる。そして、「サービス時間」は「2時間」となる。例えば、1時間ごとに料金が加算される設定では、「2時間」に基づいて、利用料金が算出される。なお、「サービス時間」は、「時」単位でなくともよい。例えば、「サービス時間」は、「月」、「週」、又は、「日」単位等でもよい。
【0017】
「拘束」は、例えば、ゲートで実現する。具体的には、ゲートは、駐車場の出入口に設置される。そして、ゲートが開いている状態であると、車両は、拘束されておらず、運転手の運転に基づき、車室に進入、又は、車室から退出といった移動が自由にできる状態となる。
【0018】
一方で、ゲートが閉じた状態であると、車両は、拘束された状態となる。具体的には、ゲートが閉じていると、車両は、ゲートが移動経路上の障害物となるため、ゲートに阻まれて、駐車場から出られない状態となる。
【0019】
このように、ゲートの開閉を制御すると、車両の「拘束」、又は、「開放」といった状態を切り替えることができる。
【0020】
「ゲート」は、例えば、駐車場の出入口に設置される。そして、ゲートが開閉すると、車両の出入りを制限できる。また、「ゲート」は、支払状態の有無に基づいて、開閉を制御する情報(以下「指示情報」という。)で制御される。例えば、指示情報は、精算機において精算が完了すると、ゲートを開くように指示する指示情報がゲートに出力される。一方で、車両が駐車場に進入した場合には、ゲートを閉じるように指示する指示情報がゲートに出力される。なお、指示情報は、管理者による操作等で出力されてもよい。
【0021】
「ゲート」は、車両の「拘束」、又は、「開放」ができれば、設置位置、機構の種類、制御方法、及び、装置構成を問わない。例えば、ゲートは、車室ごとに設置されてもよい。
【0022】
[第1実施形態]
図1は、情報処理システムの全体構成例を示す図である。例えば、情報処理システム10は、センサ11、警告装置12、及び、サーバ13を備える構成である。また、センサ11、警告装置12、及び、サーバ13は、例えば、ネットワーク14で接続、ネットワーク14を介してデータが送受信される。
【0023】
[センサの例]
センサ11は、例えば、カメラ(赤外線等の非可視光を用いるものを含む。)、又は、温度計等である。なお、センサ11は、AI(Artificial Intelligence、人工知能)等によって、人物を検知(顔認証等を含む。)、又は、人物の行動等が識別できるのが望ましい。ただし、認証処理は、センサ11によるデータがサーバ13等の別の情報処理装置に送信されて、データを受信した情報処理装置が行ってもよい。また、センサ11は、1つに限られず、複数個、又は、複数種類の組み合わせであってもよい。
【0024】
なお、センサ11は、検出する迷惑行為の種類に応じて設置される。
【0025】
[情報処理装置の例]
図2は、サーバのハードウェア構成例を示す図である。具体的には、サーバ13は、Central Processing Unit(以下「CPU60」という。)、記憶装置61、入力装置62、出力装置63、及び、通信装置64を有するハードウェア構成の装置である。
【0026】
CPU60は、演算装置、及び、制御装置の例である。したがって、CPU60は、プログラム等に基づき、各処理、及び、各ハードウェアの制御を行う。
【0027】
記憶装置61は、データ、及び、プログラム等を記憶する。例えば、記憶装置61は、メモリ、及び、ハードディスク等である。
【0028】
入力装置62は、操作を受け付ける装置である。例えば、入力装置62は、キーボード、又は、タッチパネル等である。
【0029】
出力装置63は、処理結果等を出力する装置である。例えば、出力装置63は、ディスプレイ、出力コネクタ、又は、画像形成装置等である。
【0030】
通信装置64は、外部装置とデータを有線、又は、無線で送受信する装置である。
【0031】
なお、ハードウェア構成は、上記の装置に限られない。したがって、情報処理は、上記以外に、演算装置、制御装置、記憶装置、入力装置、出力装置、通信装置、補助装置、又は、センサを有してもよい。また、各装置は、外部にあってもよい。
【0032】
[出力装置の例]
警告装置12は、例えば、ディスプレイ、プロジェクタ、又は、デジタルサイネージ等である。このように、警告装置12は、視覚情報を出力できる装置であれば、サイズ、及び、種類等を問わない。ほかにも、警告装置12は、光を照射させる発光装置、又は、水分を発する出水装置等でもよい。
【0033】
また、警告装置12は、例えば、スピーカ等の音声情報を出力できる装置でもよい。
【0034】
警告装置12が出力する情報は、例えば、サーバ13から送信されるデータに基づいて出力される。
【0035】
なお、警告装置12は、1つに限られず、複数個、又は、複数種類の組み合わせであってもよい。
【0036】
警告装置12は、警告の種類に合わせた出力を行う装置であればよい。例えば、警告装置12は、所定の香料で臭いを出力、又は、煙等を出力してもよい。
【0037】
上記のような装置で構成する情報処理システム10は、駐車場15を管理する。なお、情報処理システム10は、専用のシステムでなく、他の管理を行う情報処理システムが兼ねてもよい。
【0038】
以下、駐車場15を管理する上で、「迷惑行為」を行う者を「迷惑行為者16」という。どのような行為が「迷惑行為」であるかの説明は後述する。
【0039】
一方で、迷惑行為者16ではなく、車両17を駐車場15に駐車してサービスを正式な手順で利用する正規のユーザ(以下単に「ユーザ18」という。)がいる。例えば、ユーザ18は、駐車場15には、車両17に搭乗して来場する。
【0040】
情報処理システム10は、例えば、以下に示す第1段階、第2段階、第3段階の順に処理を行い、駐車場15を管理する。
【0041】
[第1段階の例]
図3は、第1段階の例を示す図である。例えば、第1段階では、情報処理システム10は、迷惑行為者16が駐車場15に進入するのを検知する。そして、第1段階では、検知した人は、情報処理システム10による監視の対象となる。
【0042】
まず、センサ11が駐車場15に向かって進んでくる人を検知する。例えば、駐車場15と、外の領域とが境界線で区切られている場合には、境界線を越えて駐車場15に進入した人(特に駐車場15の中心部に向かって進んでいる場合である。)を検知し、監視の対象とする。
【0043】
なお、境界線は、地面に描かれる線に限られず、色、又は、ブロック等の物体でもよい。
【0044】
センサ11は、例えば、カメラである。そして、カメラの撮影範囲内に、駐車場15が入るように、カメラが設置される。したがって、カメラが撮影した画像を画像解析すると、写っている人を識別、及び、境界線を越えて駐車場15に進入しているか否か等が判定される。ただし、センサ11は、温度計等でもよい。
【0045】
センサ11が駐車場に進入した人物を「監視対象者」とする。情報処理システム10は、監視対象者が、駐車場15から退場するまで追跡して監視する。
【0046】
以下、監視対象者であるかの判定を「第1判定」という。
【0047】
なお、監視対象者のうち、以下のような人物は監視対象者から外す除外処理が行われるのが望ましい。
【0048】
[監視対象者から除外する者の例]
図4は、監視対象者から除外する者の第1例を示す図である。以下、顔認証処理等で人物が検知でき、かつ、物体認識処理等で車両17が検知できるとする。
【0049】
監視対象者とした人物のうち、ユーザ18は、監視対象者から除外されるのが望ましい。具体的には、車両17の搭乗者である者を撮影し、顔、又は、服装等を記憶する。そして、記憶している人物と同一人物は、監視対象者から除外し、以降、監視されない。
【0050】
例えば、車両17に搭乗している人物、車両17から降りた人物、又は、車両17に近づいて移動している人物は、ユーザ18と判断する。
【0051】
したがって、例えば、車両17から降りた後、センサ11の検知領域外、すなわち、駐車場15から一時的に退場した場合でも、人物を記憶していれば、再び駐車場15に進入した場合(例えば、買い物等の用事を終えて、車両17に帰ってきた場合等である。)には、ユーザ18は、監視対象者から除外される。
【0052】
なお、ユーザ18と識別するには、車両17の搭乗者である以外で識別してもよい。例えば、駐車場15を利用するのにスマートフォン等にアプリケーションソフトウェアをインストールする場合がある。所謂「会員用アプリ」がインストールされたスマートフォンを携帯する人物をユーザ18と識別してもよい。例えば、スマートフォンから取得する位置情報が駐車場15の位置情報と一致する場合には、ユーザ18が駐車場15を利用していると判断してもよい。
【0053】
図5は、監視対象者から除外する者の第2例を示す図である。以下、顔認証処理等で人物が検知できるとする。
【0054】
ユーザ18(すなわち、監視対象者から除外する者である。)を事前登録しておく。具体的には、ユーザ18を識別する顔画像、又は、識別情報等を登録データD1として事前登録し、サーバ13が登録データD1を取得できるようにする。
【0055】
例えば、登録データD1が顔画像である場合には、センサ11がカメラであれば、ユーザ18を撮影した画像と、登録データD1における顔画像とを照合すると、ユーザ18が識別される。
【0056】
なお、登録データD1は、他の識別情報でもよい。例えば、登録データD1が事前登録された後、ユーザ18が持つスマートフォン、又は、IDカード等が識別情報をサーバ13に送信して照合される等でもよい。また、識別は複数のデータ種類、及び、識別方法を組み合わせて用いてもよい。
【0057】
例えば、ユーザ18として、近隣住民、又は、駐車場15の管理スタッフ等が事前登録されるのが望ましい。
【0058】
図6は、監視対象者から除外する者の第3例を示す図である。以下、顔認証処理等で人物が検知できるとし、かつ、タイマ等で時間を計測できるとする。
【0059】
監視対象者とするのは、駐車場15に滞在する滞在時間が長い人物を監視の対象とする。例えば、滞在時間の閾値は、5分程度と設定される。すなわち、ごく短い時間だけ境界線を越えて駐車場15に進入した人物は、監視対象者から外す。なお、滞在時間の閾値は、駐車場15の広さ、又は、近隣の通行事情等に基づき、事前に設定される時間である。
【0060】
滞在時間は、例えば、境界線を越えて駐車場15に進入した時点から、境界線を越えて駐車場15から退場するまでの時間である。ただし、滞在時間の開始時点、及び、終了時点は、これ以外の時点を設定してもよい。
【0061】
ほかにも、オプティカルフロー等を用いると、人物の軌跡が特定できる。そして、軌跡、すなわち、人物の移動している方向が駐車場15の外、又は、出口等であれば、人物が監視対象者から外されてもよい。
【0062】
例えば、ユーザ18として、駐車場15の近くを通行する通行人等である。
【0063】
以上のように、監視対象者を除外できると、監視対象者を少なくできる。監視対象者を監視する場合には、センサ11が検知する領域内、すなわち、駐車場15内にいる人物をリアルタイムに処理しないとならない場合があり、人数が多くなると、処理負荷が大きくなりやすい。そこで、監視対象者を少なくできると、処理負荷を少なくできる。
【0064】
[第2段階の例]
図7は、第2段階の例を示す図である。第2段階は、第1段階、すなわち、監視対象者が判定されると、次に、監視対象者が行う行為が、事前に定める行為(以下「所定行為」という。)に該当する行為であるかを判定する。以下、監視対象者の行為が所定行為に該当するか否かの判定を「第2判定」という。
【0065】
所定行為は、例えば、駐車場15の敷地内での喫煙等の迷惑行為である。以下、迷惑行為が喫煙行為20である場合を例に説明する。ただし、所定行為は、迷惑行為に限られない。具体的には、迷惑行為を行う前の準備行為等でもよい。例えば、準備行為は、喫煙行為20を行うのに、煙草を口にくわえる、ライター等で発火させる、又は、煙草の箱を取り出す等である。このように、準備行為が行われた場合は、この後、迷惑行為を行うと推定されてもよい。
【0066】
なお、第2判定は、複数の行為に基づいて監視対象者の行為を判定するのが望ましい。具体的には、第2判定は、所定行為として、準備行為、及び、迷惑行為の両方が判定できた場合に、監視対象者の行為が所定行為に該当すると判定する。このように、複数の行為に基づいて判定を行うと、第2判定が精度良く行える。
【0067】
喫煙行為20は、例えば、センサ11を温度センサとし、かつ、温度を計測した結果に基づき、温度が閾値を超える高温である条件で判定される。具体的には、まず事前に判定データD2として、煙草の温度を入力する。
【0068】
次に、喫煙行為20で煙草に火をつける、又は、ライターを使うと、着火点が高温となる。すなわち、センサ11は、センサ11が検知する領域内、すなわち、駐車場15内に高温が生じていれば、喫煙行為20が行われていると判定する。したがって、判定データD2には、高温と判定する閾値等が設定される。
【0069】
なお、喫煙行為20は、温度以外で判定されてもよい。例えば、センサ11がカメラであれば、火の色、煙草の形状、煙の形状、又は、煙草を吸う動作等が認識できる。
【0070】
ほかにも、センサ11が嗅覚センサであれば、煙草の臭いで喫煙行為20が判定できる。さらに、喫煙行為20は、駐車場15の敷地内にある設置物の陰等で行われる場合が多いため、事前に設定する設置物の陰等を指定した指定領域に進行する人物が喫煙行為20を行うとみなして喫煙行為20が判定されてもよい。
【0071】
なお、判定データD2は、迷惑行為の種類、センサ11の種類、及び、判定方法等に応じて入力される。また、判定方法は、複数あってもよい。
【0072】
以上のような第2判定で監視対象者の行為が所定行為に該当すると判定する場合には、監視対象者が迷惑行為者16であると判定する。
【0073】
なお、迷惑行為を常習的に行う人物がいる場合がある。このように、常習的に迷惑行為を行うのは悪質な場合がある。そこで、情報処理システム10は、迷惑行為者16と判定された人物の特徴(例えば、服装、顔、体格、歩容、又は、持ち物等である。)を画像データ等で記憶するのが望ましい。このように、画像データ等があると、常習的に迷惑行為を行っているという証拠になる。
【0074】
[第3段階の例]
図8は、第3段階の第1例を示す図である。第3段階は、第2段階、すなわち、迷惑行為者16が判定されると、次に、迷惑行為者16に対して、事前に定める警告を行う。以下、迷惑行為者16に対して行う警告を「第1警告」という。
【0075】
第1警告は、発光、又は、音声等を用いて、迷惑行為者16に対して迷惑行為をやめるように注意する処理である。
【0076】
例えば、警告装置12がレーザ発光装置であるとする。この場合には、警告装置12は、迷惑行為者16が吸う煙草に対してレーザ光を発する。
【0077】
このようにして、喫煙行為20が認識されていると迷惑行為者16に気付かせると、迷惑行為者16は、迷惑行為をやめる場合が多い。このようにして、情報処理システム10は、管理する駐車場における迷惑行為を減らすことができる。
【0078】
また、迷惑行為を減らすと、割れ窓理論(Broken Windows Theory)に基づき、注意が払われていると認識させ、犯罪を抑止できる場合もある。
【0079】
なお、第1警告は、レーザ光の発光に限られない。例えば、第1警告は、音声等を用いてもよい。例えば、「駐車場15内は禁煙です。」等のような音声が出力されてもよい。このような音声での警告を行う場合には、警告装置12は、スピーカ等を備える。
【0080】
図9は、第3段階の第2例を示す図である。第2例では、警告装置12は、例えば、プロジェクタ、ディスプレイ、又は、デジタルサイネージ等である。
【0081】
警告装置12は、「ここは禁煙です!!」のように警告文を表示する。なお、警告文は、事前に設定する。
【0082】
なお、警告装置12は、センサ11がカメラの場合には、カメラによって撮影した画像を用いて第1警告を行ってもよい。図示するように、喫煙行為20を認識した場合には、喫煙行為20を行う迷惑行為者16を撮影した画像データが生成される。次に、警告装置12は、画像データ、すなわち、迷惑行為者16を表示する。このように、迷惑行為者16を特定した警告がされると、より迷惑行為を減らすことができる。
【0083】
同様に、警告装置12は、プロジェクションマッピングによって路面に投影して警告しもよい。なお、投影する場所は、床面に限られず、壁(例えば、看板の裏面等である。)等でもよい。迷惑行為者16の視線方向は、画像データ等で分析できる。そして、警告表示は、迷惑行為者16の視線方向に表示されるのが望ましい。
【0084】
第1警告は、警告灯等で警告音、及び、発光を行う等でもよい。さらに、第1警告は、ミスト、又は、水分を発生させてもよい。また、第1警告は、所謂「モスキート音」、又は、スポットライト等の照明を用いるでもよい。
【0085】
なお、第1警告は、時間帯に応じて警告種類が異なるのが望ましい。具体的には、第1警告は、昼の時間帯には音声を主とする警告を行う。一方で、夜の時間帯には光、又は、映像を用いる警告が望ましい。
【0086】
夜の時間帯は、音声等を用いると近隣に迷惑となる場合がある。また、昼の時間帯は、夜の時間帯と比較して周囲が明るいため、光、又は、映像が見にくい場合がある。したがって、時間帯に応じて警告種類を変更できると、より警告が伝わり、迷惑行為を減らすことができる。
【0087】
また、警告種類は、迷惑行為の種類に応じて変更できるのが望ましい。例えば、喫煙行為20に対しては、第1警告は、ミスト、又は、水分を用いる警告が望ましい。煙草は、水分があると、消火される場合がある。したがって、喫煙行為20に対してミスト、又は、水分を用いる警告がされると、喫煙行為20をより抑止できる。
【0088】
第1警告は、迷惑行為に対して速やかに行われるのが望ましい。すなわち、第1警告は、所謂リアルタイム処理で行われるのが望ましい。喫煙行為20は、数分程度である場合が多い。したがって、第1警告は、迷惑行為が判定されてから数分以内(第1警告が実行されるまでの警告開始時間は、装置の仕様等で事前に定まる。)に実行されるのが望ましい。
【0089】
[第2警告の例]
図10は、第2警告の例を示す図である。以下、第1警告とは別に行われる警告を「第2警告」という。第2警告は、第1警告より前に実行される警告である。すなわち、第2警告は、所謂「事前警告」である。
【0090】
第2警告は、第1段階、すなわち、監視対象者に対して行われる警告である。ただし、第2警告は、第1警告より前であればよく、第2判定の後に、まず第2警告がされ、その後、迷惑行為が継続されている場合に第1警告が実行される等でもよい。
【0091】
例えば、警告装置12は、プロジェクタ、ディスプレイ、又は、デジタルサイネージ等である。第2警告を行う前の状態では、警告装置12は、宣伝等を表示する。一方で、第2警告、すなわち、監視対象者が判定されると、宣伝の表示から警告文に、表示が切り替わる。
【0092】
ほかにも、例えば、滞在時間で第1判定、又は、第2判定を行う場合には、例えば、第1警告用と第2警告用で別々に閾値が設定されてもよい。以下、第1警告用の閾値を「第1閾値」という。一方で、第2警告用の閾値を「第2閾値」という。
【0093】
第1閾値は、第2閾値よりも長時間が設定される。したがって、短時間滞在する者に対しては第2警告が実行される。その後、第1閾値を超えて長時間滞在する者には第1警告が実行される。
【0094】
第1警告は、第2警告がされた等によって、迷惑行為が中止されたと判定できる場合には、実行されないとしてもよい。例えば、迷惑行為者16が出口に向かって移動している、すなわち、退場しようとしている、又は、喫煙行為20をやめた等が判定できた場合には、第1警告は、実行されないでもよい。
【0095】
第2警告は、第1警告よりも「軽め」であるのが望ましい。具体的には、第2警告は、第1警告より音声が小さい、又は、演出が控え目等である。このように、警告が状況に応じて段階的に実行されると、迷惑行為を予防できる。
【0096】
[迷惑行為の例]
迷惑行為は、駐車場15の敷地内で行われると、ユーザ18が迷惑と感じる行為、又は、駐車場15内、若しくは、近隣の環境を悪化させる原因となる行為をいう。迷惑行為として様々な形態が考えられるが、例えば、飲食、ゴミの投棄、目的外の使用(例えば、許可外のワゴン営業、又は、隣接地の建築のための利用等である。)、スポーツ、二輪車の駐車、動物の散歩、排泄、又は、多人数での長期滞在を含む行為等である。もちろん、これらは例示であり、これ以外の態様もありうる。
【0097】
迷惑行為の種類に応じて、センサ11の種類の決定、及び、閾値等の設定がされる。
【0098】
例えば、喫煙行為20は、副流煙、臭い、及び、吸い殻等が衛生上、望ましくない場合が多い。具体的には、副流煙が通行人等に流れると健康に影響する。臭いは、近隣住民等には悪臭となる場合がある。吸い殻は、汚れ、又は、火災の原因になる場合がある。
【0099】
ほかにも、スポーツは、駐車している車両17にぶつかり、破損させる原因となる。
【0100】
動物の散歩、又は、排泄は、駐車場15を汚す原因となる。
【0101】
二輪車の駐車は、二輪車を放置していくため、駐車場15内に障害物が生じる。
【0102】
長期滞在は、駐車場15を利用する者とは関係ない者が行う場合が多く、特に多人数による滞在の場合、このような人物が駐車場15内にいるのは望ましくないことが多い。
【0103】
[全体処理例]
図11は、全体処理例を示す図である。情報処理システム10は、以下のような全体処理をセンサ11の設置後、及び、データの入力後に実行する。
【0104】
ステップS01では、情報処理システム10は、監視対象者であるか否かを判定する。具体的には、
図3に示すように、情報処理システム10は、駐車場15に進入した人物が監視対象者であるか否かを判定する。
【0105】
次に、監視対象者が判定されると(ステップS01でYES)、情報処理システム10は、ステップS02に進む。一方で、監視対象者が判定されないと(ステップS01でNO)、情報処理システム10は、全体処理を終了する。
【0106】
ステップS02では、情報処理システム10は、監視対象者の行為が所定行為に該当するか否かを判定する。具体的には、
図7に示すように、情報処理システム10は、監視対象者と判定された人物の行為が迷惑行為等に該当するか否かを判定する。
【0107】
次に、監視対象者の行為が所定行為に該当すると判定されると(ステップS02でYES)、情報処理システム10は、ステップS03に進む。一方で、監視対象者の行為が所定行為に該当すると判定されないと(ステップS02でNO)、情報処理システム10は、全体処理を終了する。
【0108】
ステップS03では、情報処理システム10は、警告を行う。具体的には、
図8に示すように、情報処理システム10は、所定行為を行う迷惑行為者16に対して、迷惑行為をやめるように警告を行う。
【0109】
以上のように、情報処理システム10は、第1判定、及び、第2判定を行い、迷惑行為者16を判定する。次に、迷惑行為者16に対して、警告を行う。なお、判定、及び、警告は、複数あってもよい。
【0110】
[機能構成例]
図12は、機能構成例を示す図である。例えば、情報処理システム10は、第1判定部10F1、第2判定部10F2、及び、第1警告部10F3を備える。なお、情報処理システム10は、第2警告部10F4、及び、識別部10F5を更に備えるのが望ましい。
【0111】
第1判定部10F1は、駐車場15に進入した人物が監視対象者であるか否かを判定する第1判定手順を行う。例えば、第1判定部10F1は、センサ11等で実現する。
【0112】
第2判定部10F2は、監視対象者の行為が所定行為に該当するか否かを判定する第2判定手順を行う。例えば、第2判定部10F2は、センサ11等で実現する。
【0113】
第1警告部10F3は、監視対象者の行為が所定行為に該当すると判定されると、迷惑行為者に対して、第1警告を行う第1警告手順を行う。例えば、第1警告部10F3は、警告装置12等で実現する。
【0114】
第2警告部10F4は、第2警告を行う第2警告手順を行う。例えば、第2警告部10F4は、警告装置12等で実現する。
【0115】
識別部10F5は、車両17に搭乗してきた搭乗者を識別する識別手順を行う。例えば、識別部10F5は、センサ11等で実現する。
【0116】
以上のような構成であると、情報処理システム10は、まず監視対象者を判定する。次に、情報処理システム10は、監視対象者の行為が所定行為に該当するか否かを判定する。このように、情報処理システム10は、迷惑行為等を行う人物を見分ける。そして、迷惑行為を行う人物に対して警告を行う。このように、情報処理システム10は、警告をすることで、迷惑行為をやめるように促す。したがって、情報処理システム10は、管理する駐車場15における迷惑行為を減らすことができる。
【0117】
防犯用システム等では、迷惑行為が想定されていないため、行為を検知できない、すなわち、見逃される場合が多い。また、防犯用では、警察に通報される等の「おおごと」になる場合も多い。一方で、情報処理システム10は、迷惑行為の程度に応じた警告を行うことができる。
【0118】
[その他の実施形態]
なお、各装置は、1つの装置でなくともよい。すなわち、各装置は、複数の装置を組み合わせた構成でもよい。
【0119】
本発明は、上記に例示する情報処理方法を実現するための処理、又は、上記に示す処理と等価な処理を実行する情報処理プログラム(ファームウェア、及び、プログラムに準ずるものを含む。以下単に「プログラム」という。)で実現されてもよい。
【0120】
すなわち、本発明は、コンピュータに対して指令を行って所定の結果が得られるように、プログラミング言語等で記載されたプログラム等で実現されてもよい。なお、プログラムは、処理の一部をIC(集積回路、Integrated Circuit)等のハードウェア等で実行する構成であってもよい。
【0121】
プログラムは、コンピュータが有する演算装置、制御装置、及び、記憶装置等を協働させて上記に示す処理等をコンピュータに実行させる。すなわち、プログラムは、主記憶装置等にロードされて、演算装置に命令を発して演算を行わせてコンピュータを動作させる。
【0122】
また、プログラムは、コンピュータが読み込み可能な記録媒体、又は、ネットワーク等の電気通信回線を介して提供されてもよい。
【0123】
本発明は、複数の装置で構成されるシステムで実現されてもよい。すなわち、複数のコンピュータによる情報処理システムは、上記に示す処理を冗長、並列、分散、又は、これらの組み合わせとなるように実行してもよい。したがって、本発明は、上記に示すハードウェア構成以外の装置、及び、上記に示す装置以外のシステムで実現されてもよい。
【0124】
なお、本発明は、上記に例示する各実施形態に限定されない。したがって、本発明は、技術的な要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の追加、又は、変形が可能である。ゆえに、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。なお、上記に例示する実施形態は、実施において好適な具体例である。そして、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現で可能であって、このような変形例は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0125】
10 :情報処理システム
10F1 :第1判定部
10F2 :第2判定部
10F3 :第1警告部
10F4 :第2警告部
10F5 :識別部
11 :センサ
12 :警告装置
13 :サーバ
14 :ネットワーク
15 :駐車場
16 :迷惑行為者
17 :車両
18 :ユーザ
20 :喫煙行為
60 :CPU
61 :記憶装置
62 :入力装置
63 :出力装置
64 :通信装置
D1 :登録データ
D2 :判定データ