(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004552
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】剥離性被膜形成剤および汚れの剥離除去方法
(51)【国際特許分類】
C08L 29/04 20060101AFI20250107BHJP
D06M 15/333 20060101ALI20250107BHJP
D06M 13/02 20060101ALI20250107BHJP
D06M 15/53 20060101ALI20250107BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20250107BHJP
C08J 7/04 20200101ALI20250107BHJP
C09K 3/00 20060101ALI20250107BHJP
C08L 91/00 20060101ALI20250107BHJP
C08L 71/02 20060101ALI20250107BHJP
C08K 3/34 20060101ALI20250107BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20250107BHJP
C08L 33/12 20060101ALI20250107BHJP
C09D 129/04 20060101ALI20250107BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20250107BHJP
C09D 7/65 20180101ALI20250107BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20250107BHJP
C09D 133/10 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
C08L29/04 B
D06M15/333
D06M13/02
D06M15/53
C08J5/18 CEX
C08J7/04 Z
C09K3/00 R
C08L91/00
C08L71/02
C08K3/34
C08K3/36
C08L33/12
C09D129/04
C09D7/63
C09D7/65
C09D7/61
C09D133/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104298
(22)【出願日】2023-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】390017891
【氏名又は名称】シヤチハタ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】千賀 祐介
(72)【発明者】
【氏名】柴田 蓮也
(72)【発明者】
【氏名】山田 健太
(72)【発明者】
【氏名】森岡 幹登
【テーマコード(参考)】
4F006
4F071
4J002
4J038
4L033
【Fターム(参考)】
4F006AA02
4F006AA35
4F006AA38
4F006AB02
4F006AB20
4F006AB24
4F006AB32
4F006AB67
4F006BA11
4F006DA04
4F071AA29
4F071AA33
4F071AA51
4F071AA71
4F071AB17
4F071AB26
4F071AE10
4F071AE19
4F071AG12
4F071AG34
4F071AH19
4F071BA02
4F071BA03
4F071BB02
4F071BC01
4J002AE002
4J002AE042
4J002BB002
4J002BE021
4J002BG064
4J002CH023
4J002DJ007
4J002DJ016
4J002FD206
4J002FD207
4J002GD00
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4L033AB04
4L033AC15
4L033BA01
4L033CA18
4L033CA29
4L033CA48
4L033DA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】特に、ワイシャツ類の襟や袖口等に付着した汚れを除去し得る、剥離性被膜形成剤及び汚れの剥離除去方法を提供する。
【解決手段】水と、ポリビニルアルコールと、鉱油又はパラフィンワックスと、を少なくとも配合することを特徴とする剥離性被膜形成剤。更に、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを配合することを特徴とする剥離性被膜形成剤。更に、親水性シリカ又はポリメタクリル酸メチルを配合することを特徴とする剥離性被膜形成剤。更に、ケイ酸塩を配合することを特徴とする剥離性被膜形成剤。前記剥離性被膜形成剤が、被服用剥離性被膜形成剤であることを特徴とする剥離性被膜形成剤。剥離性被膜形成剤を被服に塗布して剥離性被膜を形成し、当該剥離性被膜上に付着した汚れを当該剥離性被膜とともに剥離除去することを特徴とする汚れの剥離除去方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、
ポリビニルアルコールと、
鉱油又はパラフィンワックスと、
を少なくとも配合することを特徴とする剥離性被膜形成剤。
【請求項2】
更に、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを配合することを特徴とする請求項1に記載の剥離性被膜形成剤。
【請求項3】
更に、親水性シリカ又はポリメタクリル酸メチルを配合することを特徴とする請求項2に記載の剥離性被膜形成剤。
【請求項4】
更に、ケイ酸塩を配合することを特徴とする請求項3に記載の剥離性被膜形成剤。
【請求項5】
前記剥離性被膜形成剤が、被服用剥離性被膜形成剤であることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の剥離性被膜形成剤。
【請求項6】
請求項5に記載の剥離性被膜形成剤を被服に塗布して剥離性被膜を形成し、当該剥離性被膜上に付着した汚れを当該剥離性被膜とともに剥離除去することを特徴とする汚れの剥離除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離性被膜形成剤および汚れの剥離除去方法に関する。さらに詳しくは、被服の汚れを除去するために用いる剥離性被膜形成剤であって、特に、ワイシャツ類の襟や袖口等に付着した汚れを除去し得る、剥離性被膜形成剤及び汚れの剥離除去方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、被服、中でもワイシャツ類の襟元や袖口は、特に汚れやすい部位であり、対処せずに着続けていると汚れが濃くなり、見る人に不快な印象を与えかねない。襟回りは、人の首や肩の皮膚と擦れやすく、その際に皮脂がシャツの繊維の奥まで染み込んでしまい、特に、汗をかきやすい人は皮脂の分泌が盛んなため、襟回りが黄ばみやすい。また整髪料やファンデーション等の化粧料が襟に付くことも黄ばみの要因となる。黄ばみは紫外線や空気に触れることで酸化し、さらに色が濃くなり悪化する。
【0003】
特許文献1には、シャツの襟や袖口の汚れを防止するとともに、生地の傷みを軽減する使い捨ての当て布が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、シャツ、上着等の襟に張り付ける使い捨ての襟袖口汚れ防止当て布だから、襟袖口の汗や汚れを防止でき、生地も傷まず長持ちし、汚れた当て布は使い捨ての為、外すことにより快適な着心地が持続すると言える。
しかし、当て布は、使用するシャツ等の襟袖口の形状に合わせて予め作製するか、使用者が使用形状に合わせてカット等しなければならず、手間を要する。また、当て布は嵩張るため襟袖口周りが窮屈になるとともに、当て布の背面に粘着部を塗工する工程は困難が伴う。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた第1の発明の剥離性被膜形成剤は、水と、ポリビニルアルコールと、鉱油又はパラフィンワックスと、を少なくとも配合することを特徴とする。
【0007】
第2の発明は、更に、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを配合することを特徴とする第1の発明に記載の剥離性被膜形成剤である。
【0008】
第3の発明は、更に、親水性シリカ又はポリメタクリル酸メチルを配合することを特徴とする第2の発明に記載の剥離性被膜形成剤である。
【0009】
第4の発明は、更に、ケイ酸塩を配合することを特徴とする第3の発明に記載の剥離性被膜形成剤である。
【0010】
第5の発明は、前記剥離性被膜形成剤が、被服用剥離性被膜形成剤であることを特徴とする第1の発明乃至第4の発明に記載の剥離性被膜形成剤である。
【0011】
第6の発明は、第5の発明に記載の剥離性被膜形成剤を被服に塗布して剥離性被膜を形成し、当該剥離性被膜上に付着した汚れを当該剥離性被膜とともに剥離除去することを特徴とする汚れの剥離除去方法である。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明は、水と、ポリビニルアルコールと、鉱油又はパラフィンワックスと、を少なくとも配合することを特徴とする剥離性被膜形成剤であるため、汚れが付着しやすい物品の表面の汚れを防止できるとともに、汚れた剥離性被膜を剥離除去できる。再度剥離性被膜を形成したい場合は、再塗布することにより、繰り返し使用することができる。また、剥離性被膜は塗布により形成できるため、物品表面の形状に合わせて予め作製したり、使用者が使用形状に合わせてカット等する必要がなく、使用者所望の箇所、形状、範囲等を使用の都度決めることができ利便性が極めて高い。
【0013】
第2の発明は、更に、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを配合することを特徴とする剥離性被膜形成剤であるため、均一な被膜を形成することができ、剥離性が向上する。
【0014】
第3の発明は、更に、親水性シリカ又はポリメタクリル酸メチルを配合することを特徴とする剥離性被膜形成剤であるため、物品に対する密着を抑制し、剥離性が向上する。
【0015】
第4の発明は、更に、ケイ酸塩を配合することを特徴とする剥離性被膜形成剤であるため、チキソトロピーの付与効果により物品に対する浸透を抑制し、剥離性が向上する。
【0016】
第5の発明は、前記剥離性被膜形成剤が、被服用剥離性被膜形成剤であることを特徴とする剥離性被膜形成剤であるため、物品として、例えばワイシャツ等の被服の襟袖口の汚れを防止するとともに、生地も傷まず長持ちし、汚れた剥離性被膜は剥離除去できる。再度剥離性被膜を形成したい場合は、再塗布することにより、繰り返し快適な着心地を持続することができる。
【0017】
第6の発明は、剥離性被膜形成剤を被服に塗布して剥離性被膜を形成し、当該剥離性被膜上に付着した汚れを当該剥離性被膜とともに剥離除去することを特徴とする汚れの剥離除去方法であるため、使用するワイシャツ等の襟袖口の形状に合わせて予め当て布等を作製するとか、使用者が使用形状に合わせてカット等する必要がなく、使用者所望の箇所、形状、範囲等を使用の都度決めることができ利便性が極めて高い。また、剥離性被膜は、薄膜形成(0.01mm~0.04mm程度)できるため、襟袖口周りが窮屈になることや、外観上目立つこともない。剥離性被膜形成剤は液体であるため、当て布等の準備や、背面に粘着部を塗工する等の煩わしい工程も皆無となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において物品とは、表面に汚れが付着しやすい物、例えば換気扇、ガスレンジ、トイレ、被服等を意味する。そして被服については、例えば、ワイシャツ、ブラウス、ポロシャツ等のワイシャツ類、子供服、作業服、スーツ、スカート、ズボン等の洋服、下着、和服、手袋、マフラー、ネクタイ、ヘルメット、帽子、履物等を意味する。
【0019】
水は溶剤として用いる。例えば、水道水、蒸留水、精製水、純水、井戸水、軟水、硬水等、いずれでもよい。水は、剥離性被膜形成剤全量に対し、好ましくは、60~80%重量%を用いることができる。特に、被服用剥離性被膜形成剤の場合は、被服に対する浸透を抑制するため、表面張力の高い水を用いる。
また、適宜、アルコール系溶剤や多価アルコールを配合できる。アルコール系溶剤としては、ブチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール類が使用できる。多価アルコールは、蒸発性、染料溶解性、にじみ防止性等を考慮して、エチレングリコール、プロプレングリコール、ブチレングリコール、ペンチルグリコール、ヘキシルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の多価アルコールを使用することができ、これらは、1種又は2種以上混合しても使用できる。
【0020】
ポリビニルアルコールは、水系被膜形成剤として用いる。
ポリビニルアルコール(PVA)は、ポリ酢酸ビニルをアルカリ、酸、アンモニア水などで鹸化することにより得られる高分子化合物であり、剥離性被膜形成剤には、部分ケン化型、中間ケン化型、完全ケン化型の何れも使用可能で、ケン化度としては86.5~99.0mol%を用いることができる。中でも剥離性被膜形成剤には、ケン化度86.5~89.5mol%の部分ケン化型が好ましい。また、平均重合度は約1000~4500が好ましく、更に好ましくは約1500~3000である。
具体的には、部分ケン化型としてJP―20(ケン化度87.0~89.0mol%、重合度約2000)、JP―33(ケン化度86.5~89.5mol%、重合度約3300)、JP―45(ケン化度86.5~89.5mol%、重合度約4500)、中間ケン化型としてJM―23(ケン化度96.0~98.0mol%、重合度約2300)、完全ケン化型としてJC―25(ケン化度99.0mol%以上、重合度約2500)、JF―20(ケン化度98.0~99.0mol%、重合度約2000)(以上、日本酢ビ・ポバール株式会社製)などが挙げられ、これらは、1種又は2種以上混合しても使用できる。その使用量は剥離性被膜形成剤全量に対して10~20重量%が好ましい。
【0021】
鉱油又はパラフィンワックスは、物品からの剥離剤として用いる。具体的には、ミネラルオイル、白色鉱油、流動パラフィン等を用いることができる。水に分散させるため、エマルジョンを用いてもよい。その使用量は剥離性被膜形成剤全量に対して5~10重量%が好ましい。
【0022】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、被膜形成助剤として用いる。中でも、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤が好ましく、前記ポリビニルアルコールとともに均一な被膜を形成するのに必要である。具体的には、ポリオキシエチレンオレイルエーテルとして、ノイゲンET60E、ノイゲンET80E、ノイゲンET100E 、ノイゲンET69、ノイゲンET89、ポリオキシエチレンラウリルエーテルとして、ノイゲンET83、ノイゲンET102(以上、第一工業製薬株式会社製)を挙げることができる。その使用量は剥離性被膜形成剤全量に対して1~3重量%が好ましい。
【0023】
更に、親水性シリカ又はポリメタクリル酸メチルをアンチブロッキング剤として配合することができる。アンチブロッキング剤には、微粒子の凹凸により接触点を減らし、物品に対する剥離性被膜の密着を抑止し、剥離性を向上させる効果がある。具体的には、親水性シリカとして、ハウトフォームSilbol―S260(平均粒子径260nm 富士化学株式会社製)を挙げることができ、架橋ポリメタクリル酸メチルとして、テクポリマーMBX-5(平均粒子径5μm)、テクポリマーSSX-105(平均粒子径5μm)(以上、積水化成品工業株式会社製)を挙げることができる。その使用量は剥離性被膜形成剤全量に対して3~10重量%が好ましい。
【0024】
更に、ケイ酸塩をチキソトロピー付与剤として配合することができる。チキソトロピーを付与することで、物品の中でも被服に対する浸透を抑制し、剥離性を向上させる効果がある。具体的には、ケイ酸アルミニウムマグネシウムとして、スメクトンSA、スメクトンST、スメクトンSEN(以上、クニミネ工業株式会社製)、LAPONITE RDS(ビックケミー・ジャパン株式会社製)を挙げることができる。その使用量は剥離性被膜形成剤全量に対して0.5~3重量%が好ましい。
【0025】
更に、本発明には、防腐防かび剤、安定剤、粘度調整剤、界面活性剤、ph調整剤、香料などを適宜配合してもよい。
【実施例0026】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこの実施例よって限定されるものではない。
実施例1~5及び比較例1~3の剥離性被膜形成剤の配合を、表1に示す。
【表1】
表中材料は以下を使用した。
ポリビニルアルコール:JP-20(日本酢ビ・ポバール株式会社製)
カルボキシ変性ラテックス:ナルスターMR-171(日本エイアンドエル株式会社製)
エチルセルロース:エトセルSTD10(日新化成株式会社製)
ポリオキシエチレンオレイルエーテル:ノイゲンET60E(第一工業製薬株式会社製)
ポリメタクリル酸メチル:テクポリマーMBX-5(積水化成品工業株式会社製)
親水性シリカ:ハウトフォームSilbol―S260(富士化学株式会社製)
ケイ酸アルミニウムマグネシウム:スメクトンSA(クニミネ工業株式会社製)
【0027】
また、実施例及び比較例について、以下の条件で試験を行った際の結果も表1に示す。
■被膜形成剤の経時安定性試験
(試験方法)
実施例及び比較例の剥離性被膜形成剤をガラス瓶に採り、室温7日後の分離の有無を目視確認した。
(結果確認方法)
〇:分離なし。×:分離あり。
■剥離性試験
(試験方法)
実施例1~5及び比較例2、3の剥離性被膜形成剤を、ワイシャツ(素材:ポリエステル)の襟元にハンドコーターにより均一に塗布し、30分間50℃放置して剥離性被膜を形成させる。被膜形成を確認後、5時間着用し、被膜上に付着した汚れを確認。汚れを確認後、剥離性被膜の剥離性を確認する。また、剥離後の襟元の汚れの除去を確認する。
(結果確認方法)
◎:剥離性被膜を容易に剥離でき、汚れも除去できた。
〇:剥離性被膜を剥離でき、汚れも除去できた。
×:剥離性被膜を剥離できず、汚れも除去できない。被膜千切れあり。
【0028】
表1から明らかなように、水、ポリビニルアルコール、鉱油、を配合した剥離性被膜形成剤(実施例1)及びさらにポリオキシエチレンオレイルエーテルを配合した剥離性被膜形成剤(実施例2)は、剥離性被膜を形成し、5時間の着用で付着した汚れを、剥離性被膜とともにワイシャツの襟元から剥離・除去できた。
また、ポリメタクリル酸メチルとケイ酸アルミニウムマグネシウムを配合した剥離性被膜形成剤(実施例3、5)は、剥離性被膜を形成し、5時間の着用で付着した汚れを、剥離性被膜とともにワイシャツの襟元から容易に剥離・除去できた。
また、親水性シリカを配合した剥離性被膜形成剤(実施例4)も、剥離性被膜を形成し、5時間の着用で付着した汚れを、剥離性被膜とともにワイシャツの襟元から容易に剥離・除去できた。
【0029】
一方、ポリビニルアルコールに代えてカルボキシ変性ラテックスを配合した剥離性被膜形成剤(比較例1)は、室温7日後で分離が生じ、被膜形成剤の経時安定性が悪かった。また、ポリビニルアルコールの代わりにエチルセルロースを配合した剥離性被膜形成剤(比較例2)や、鉱油の代わりにポリオキシエチレンオレイルエーテルのみを配合した剥離性被膜形成剤(比較例3)は、被膜形成剤の経時安定性は良好だが、剥離性試験においては、何れも5時間着用後にワイシャツから剥離する際、被膜千切れが生じ、剥離性被膜を剥離できず、汚れも除去できなかった。
【0030】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う剥離性被膜形成剤および汚れの剥離除去方法もまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。