(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004609
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】比較回路
(51)【国際特許分類】
H03K 5/08 20060101AFI20250107BHJP
【FI】
H03K5/08 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104402
(22)【出願日】2023-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安坂 信
【テーマコード(参考)】
5J039
【Fターム(参考)】
5J039DA08
5J039DB08
5J039KK17
5J039KK21
5J039LL06
5J039MM00
(57)【要約】
【課題】小規模で検出精度の高い比較回路を提供する。
【解決手段】比較回路1は、デプレッション型の第1トランジスタM1と、制御電極に入力信号VMON又はその分圧信号VAが印加される第2トランジスタM2と、第1トランジスタM1のゲート・ソース間に接続される第1抵抗R1と、第2トランジスタM2の第1主電極に接続されて第1抵抗R1に流れる電流Iと同値の電流Iが流れる第2抵抗R2とを備える。比較回路1は、第2トランジスタM2の第2主電極に現れるノード信号VB又はこれに応じた信号VCを出力信号OUTとして出力する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デプレッション型の第1トランジスタと、
制御電極に入力信号又はその分圧信号が印加されるように構成された第2トランジスタと、
前記第1トランジスタのゲート・ソース間に接続されるように構成された第1抵抗と、
前記第2トランジスタの第1主電極に接続されて前記第1抵抗に流れる電流と同値の電流が流れるように構成された第2抵抗と、
を備え、
前記第2トランジスタの第2主電極に現れるノード信号又はこれに応じた信号を出力信号として出力する、比較回路。
【請求項2】
前記第2トランジスタは、エンハンスメント型、前記第1トランジスタとは異なる導電型の不純物がゲートに注入されたデプレッション型、又は、バイポーラ型のトランジスタである、請求項1に記載の比較回路。
【請求項3】
前記第1抵抗と前記第2抵抗は、同じ温度特性を持つ、請求項1に記載の比較回路。
【請求項4】
前記入力信号を分圧して前記分圧信号を生成するように構成された抵抗分圧器をさらに備える、請求項1に記載の比較回路。
【請求項5】
前記抵抗分圧器は、前記出力信号の論理レベルに応じて分圧比を切り替える、請求項4に記載の比較回路。
【請求項6】
前記ノード信号に応じて前記出力信号の論理レベルを切り替えるように構成された出力トランジスタをさらに備える、請求項1に記載の比較回路。
【請求項7】
前記第1トランジスタのドレインは、電源電位端に接続され、
前記第1トランジスタのソースは、前記第1抵抗の第1端に接続され、
前記第2トランジスタの第1主電極は、前記第2抵抗の第1端に接続され、
前記第2抵抗の第2端は、基準電位端に接続され、
前記第1トランジスタのゲートと、前記第1抵抗の第2端と、前記第2トランジスタの第2主電極は、前記出力トランジスタの制御電極に接続され、
前記出力トランジスタの第1主電極は、前記電源電位端に接続され、
前記出力トランジスタの第2主電極は、直接的に又はインバータを介して前記出力信号の印加端に接続される、請求項6に記載の比較回路。
【請求項8】
前記第1トランジスタのドレインは、カレントミラーの入力端に接続され、
前記第1トランジスタのソースは、前記第1抵抗の第1端に接続され、
前記第2トランジスタの第1主電極は、前記第2抵抗の第1端に接続され、
前記第1トランジスタのゲートと前記第1抵抗及び前記第2抵抗それぞれの第2端は、基準電位端に接続され、
前記カレントミラーの出力端と前記第2トランジスタの第2主電極は、前記出力トランジスタの制御電極に接続され、
前記出力トランジスタの第1主電極は、電源電位端に接続され、
前記出力トランジスタの第2主電極は、直接的に又はインバータを介して前記出力信号の印加端に接続される、請求項6に記載の比較回路。
【請求項9】
前記出力トランジスタは、Pチャネル型又はpnp型である、請求項6に記載の比較回路。
【請求項10】
前記出力信号の論理レベルが切り替わる検出電圧は、温度の二次関数として表され、
前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタは、前記二次関数における二次の係数が0となるようにそれぞれの素子サイズが調整され、
前記第1抵抗及び前記第2抵抗は、前記二次関数における一次の係数が0となるようにそれぞれの抵抗値が調整される、請求項1~9のいずれか一項に記載の比較回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、比較回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、監視対象信号と基準信号とを比較する比較回路が広く一般に利用されている。
【0003】
なお、上記に関連する従来技術の一例としては、本願出願人により提案される特許文献1が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【0005】
[概要]
しかしながら、比較回路のトポロジについては、更なる検討の余地があった。
【0006】
例えば、本開示に係る比較回路は、デプレッション型の第1トランジスタと、制御電極に入力信号又はその分圧信号が印加されるように構成された第2トランジスタと、前記第1トランジスタのゲート・ソース間に接続されるように構成された第1抵抗と、前記第2トランジスタの第1主電極に接続されて前記第1抵抗に流れる電流と同値の電流が流れるように構成された第2抵抗とを備え、前記第2トランジスタの第2主電極に現れるノード信号又はこれに応じた信号を出力信号として出力する。
【0007】
なお、その他の特徴、要素、ステップ、利点、及び、特性については、以下に続く詳細な説明及びこれに関する添付の図面によって、さらに明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図2は、比較例における入出力挙動を示す図である。
【
図3】
図3は、比較回路の第1実施形態を示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態における入出力挙動を示す図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態における検出電圧の温度特性を示す図である。
【
図6】
図6は、比較回路の第2実施形態を示す図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態における入出力挙動を示す図である。
【
図8】
図8は、比較回路の第3実施形態を示す図である。
【
図9】
図9は、比較回路の第4実施形態を示す図である。
【0009】
[詳細な説明]
<比較例>
図1は、比較回路の比較例(後出の実施形態と対比される回路構成の一例)を示す図である。本比較例の比較回路100は、入力信号VMON(=監視対象電圧に相当)の入力を受けて出力信号OUTを出力する。
【0010】
本図に即して述べると、比較回路100は、トランジスタ110(本図では、エンハンスメント型NMOSFET[N-channel type metal oxide semiconductor field effect transistor])と、基準電圧生成回路120と、分圧電圧生成回路130と、コンパレータ140と、抵抗150と、を備える。
【0011】
トランジスタ110は、出力信号OUTの印加端と接地端(=基準電位端に相当)との間に接続されている。トランジスタ110は、コンパレータ140から出力される駆動信号SGに応じてオン状態及びオフ状態が切り替えられる。
【0012】
基準電圧生成回路120は、電源電圧VCCから所定の基準電圧VREFを生成する。なお、基準電圧生成回路120としては、温度依存性及び電源依存性の小さいバンドギャップ電源などが一般に用いられる。
【0013】
分圧電圧生成回路130は、入力信号VMONの印加端と接地端との間に直列接続される抵抗131及び132を含み、入力信号VMONに応じた分圧信号VDIV(=監視対象電圧の分圧電圧)を生成する。
【0014】
コンパレータ140は、基準電圧VREFと分圧信号VDIVとを比較してトランジスタ110の駆動信号SGを生成する。
【0015】
抵抗150は、電源電圧VCCの印加端(=電源電位端に相当)と出力信号OUTの印加端との間に接続されている。
【0016】
図2は、比較例における比較回路100の入出力挙動を示す図である。本図の横軸は、入力信号VMONを示している。本図の縦軸は、出力信号OUTを示している。
【0017】
本図で示されているように、本比較例の比較回路100であれば、入力信号VMONと所定の閾値電圧Vthとの比較結果に応じて出力信号OUTの論理レベルを切り替えることができる。なお、閾値電圧Vthは、VREF×(R131+R132)/R132、ただし、R131及びR132はそれぞれ抵抗131及び132の抵抗値)で表される。
【0018】
しかし、比較回路100では、基準電圧生成回路120及びコンパレータ140の回路規模が大きくなり易い。また、回路規模の増大に伴い、素子ばらつきの要因も増える。そのため、比較回路100の特性(検出精度など)が悪化するおそれもある。
【0019】
以下では、上記の考察に鑑み、新規トポロジを採用した種々の実施形態が提案される。
【0020】
<第1実施形態>
図3は、比較回路の第1実施形態を示す図である。本実施形態の比較回路1は、先出の比較例(
図1)と同じく、入力信号VMON(=監視対象電圧)の入力を受けて出力信号OUTを出力する。
【0021】
本図に即して述べると、比較回路1は、トランジスタM0(例えばPMOSFET[P-channel type MOSFET])と、トランジスタM1(例えばデプレッション型NMOSFET)と、トランジスタM2(例えばエンハンスメント型NMOSFET)と、抵抗R0~R4と、を備える。
【0022】
なお、デプレッション型とは、ゲート・ソース間電圧が0Vであってもドレイン電流が流れるものを指す。一方、エンハンスメント型とは、ゲート・ソース間電圧が0Vであるときにはドレイン電流が流れないものを指す。
【0023】
トランジスタM0のソース及びバックゲートとトランジスタM1のドレインは、いずれも電源電圧VCCの印加端に接続されている。トランジスタM1のソース及びバックゲートは、いずれも抵抗R1の第1端に接続されている。トランジスタM0及びM1それぞれのゲート、トランジスタM2のドレイン及び抵抗R1の第2端は、いずれもノード信号VBの印加端に接続されている。トランジスタM2のソース及びバックゲートは、いずれも抵抗R2の第1端に接続されている。トランジスタM2のゲートは、ノード信号VAの印加端に接続されている。トランジスタM0のドレインと抵抗R0の第1端は、いずれもノード信号VC(延いては出力信号OUT)の印加端に接続されている。抵抗R0及びR2それぞれの第2端は、いずれも接地端に接続されている。なお、ノード信号VCは、ノード信号VBに応じた論理レベルの信号となる(詳細は後述)。
【0024】
トランジスタM0は、トランジスタM2のドレインに現れるノード信号VBに応じて出力信号OUTの論理レベルを切り替える出力トランジスタとして機能する。改めて図示はされないが、トランジスタM0は、pnp型トランジスタに置き換えられてもよい。
【0025】
なお、トランジスタのゲート及びベースは、それぞれトランジスタの制御電極に相当するものとして相互に読み替え可能である。また、トランジスタのソース及びエミッタは、それぞれトランジスタの第1主電極に相当するものとして相互に読み替え可能である。また、トランジスタのドレイン及びコレクタは、それぞれトランジスタの第2主電極に相当するものとして相互に読み替え可能である。
【0026】
抵抗R3の第1端は、入力信号VMONの印加端に接続されている。抵抗R3の第2端と抵抗R4の第1端は、いずれもノード信号VAの印加端に接続されている。抵抗R4の第2端は、接地端に接続されている。
【0027】
このように接続された抵抗R3及びR4は、入力信号VMONを分圧してノード信号VA(=分圧信号に相当)を生成する抵抗分圧器DIVとして機能する。ただし、抵抗R3及びR4(すなわち抵抗分圧器)は省略されてもよい。その場合、トランジスタM2のゲートは、直接的に入力信号VMONの印加端に接続され得る。
【0028】
図4は、第1実施形態における比較回路1の入出力挙動を示す図である。なお、本図の横軸は、入力信号VMONを示している。本図の縦軸は、出力信号OUTを示している。
【0029】
入力信号VMONが検出電圧VDETよりも低いときには、トランジスタM0のゲートに印加されるノード信号VBがトランジスタM1と抵抗R1を介してプルアップされる。従って、トランジスタM0がオフ状態となるので、ノード信号VCが抵抗R0を介してプルダウンされる。その結果、出力信号OUTがローレベルとなる。なお、トランジスタM1と抵抗R1によるプルアップ経路のインピーダンスは、Vgs1/R1で決定される。
【0030】
一方、入力信号VMONが上昇すると、トランジスタM2のゲートに印加されるノード信号VAも上昇する。従って、トランジスタM2のインピーダンスが低下する。そして、入力信号VMONが検出電圧VDETよりも高くなると、トランジスタM2のインピーダンスがトランジスタM1と抵抗R1によるプルアップ経路のインピーダンスを下回る。そのため、トランジスタM0のゲートに印加されるノード信号VBが低下する。従って、トランジスタM0がオン状態となるので、ノード信号VCがトランジスタM0を介してプルアップされる。その結果、出力信号OUTがハイレベルとなる。
【0031】
このように、本実施形態の比較回路1であれば、入力信号VMONと所定の検出電圧VDETとの比較結果に応じて出力信号OUTの論理レベルを切り替えることができる。
【0032】
また、比較回路1であれば、先出の基準電圧生成回路120及びコンパレータ140が不要となる。このように、必要最低限の素子だけで出力信号OUTを生成する構成であれば、比較回路1の回路規模が小さくなる。また、回路規模の縮小に伴い、素子ばらつきの要因も減る。そのため、比較回路1の特性(検出精度など)が向上され得る。
【0033】
ところで、入力信号VMONが検出電圧VDETよりも高くなると、抵抗R2には、抵抗R1に流れる電流I(=Vgs1/R1)と同値の電流Iが流れる。従って、抵抗R2には、電流Iに応じた両端間電圧V(=Vgs1×(R2/R1))が発生する。
【0034】
このとき、トランジスタM2に印加されるノード信号VAは、抵抗R2の両端間電圧VにトランジスタM2のゲート・ソース間電圧Vgs2が足し合わされた電圧値(=Vgs2+Vgs1×(R2/R1))となる。
【0035】
従って、検出電圧VDETは、{Vgs2+Vgs1×(R2/R1)}×(R3+R4)/R4で表される。すなわち、検出電圧VDETの絶対値は、抵抗R3及びR4の抵抗比で調整され得る。
【0036】
図5は、第1実施形態における検出電圧VDETの温度特性を示す図である。本図の左上で示されるように、エンハンスメント型であるトランジスタM2のゲート・ソース間電圧Vgs2は、負の温度特性を持つ。すなわち、ゲート・ソース間電圧Vgs2は、温度Tが高いほど低下する。
【0037】
一方、本図の左下(一点鎖線)で示されるように、デプレッション型であるトランジスタM1のゲート・ソース間電圧Vgs1は、正の温度特性を持つ。すなわち、ゲート・ソース間電圧Vgs1は、温度Tが高いほど上昇する。従って、本図の左下(実線)で示されるように、抵抗R2の両端間電圧V(=Vgs1×(R2/R1))も正の温度特性を持つ。すなわち、両端間電圧Vは、温度Tが高いほど上昇する。
【0038】
そのため、トランジスタM1及びM2それぞれの素子サイズ、並びに、抵抗R1及びR2それぞれの抵抗値が適宜調整されることにより、検出電圧VDETの温度特性は、抵抗R1及びR2を持たない構成(破線)と比べてフラットに近付けられる。
【0039】
調整処理の一例では、まず第1ステップとして、ゲート・ソース間電圧Vgs1及びVgs2それぞれが持つ二次の温度特性が相殺されるようにトランジスタM1及びM2それぞれの素子サイズ(延いては素子サイズ比)が決定されてもよい。例えば、検出電圧VDETが温度Tの二次関数f(T)=ax2+bx+cとして表される場合、トランジスタM1及びM2は、二次関数f(T)における二次の係数aが0となるようにそれぞれの素子サイズが調整されてもよい。
【0040】
その状態でトランジスタM2のゲート・ソース間電圧Vgs2と抵抗R2の両端間電圧Vが単純に足し合わされると、ゲート・ソース間電圧Vgs1及びVgs2それぞれが持つ一次の温度特性が残り得る。
【0041】
そこで、続く第2ステップとして、抵抗R1及びR2それぞれの抵抗値(延いては抵抗比)が調整されてもよい。例えば、抵抗R1及びR2は、二次関数f(T)における一次の係数bが0となるようにそれぞれの抵抗値が調整されてもよい。
【0042】
より具体的に述べると、例えば、検出電圧VDETに負の温度特性が残っている場合には、R2>R1となるように抵抗R1及びR2それぞれの抵抗値が調整されてもよい。このような調整によれば、ゲート・ソース間電圧Vgs1の温度特性(正)がゲート・ソース間電圧Vgs2の温度特性(負)よりも優勢となる。従って、検出電圧VDETの温度特性がフラットに近付けられる。
【0043】
なお、抵抗R1及びR2それぞれの抵抗値が調整されると、第1ステップで相殺された二次の温度特性がずれる可能性もある。そこで、第3ステップとして、トランジスタM1及びM2それぞれの素子サイズが微調整されてもよい。
【0044】
上記一連の調整処理により、本図右側で示されるように、温度特性がフラットに近い高精度の検出電圧VDETが設定され得る。従って、比較回路1の検出精度が高められる。
【0045】
なお、抵抗R1及びR2は、同じ温度特性を持つ素子であってもよい。例えば、抵抗R1及びR2は、いずれも負の温度特性を持つポリシリコン抵抗であってもよい。また、例えば、抵抗R1及びR2は、いずれも正の温度特性を持つ拡散抵抗であってもよい。
【0046】
<第2実施形態>
図6は、比較回路1の第2実施形態を示す図である。本実施形態の比較回路1は、先出の第1実施形態(
図3)を基本としつつ、トランジスタM3(例えばエンハンスメント型NMOSFET)と、抵抗R5と、インバータINVと、をさらに備える。
【0047】
抵抗R4の第2端は、接地端に直接的に接続されるのではなく、抵抗R5の第1端とトランジスタM3のドレインに接続されている。抵抗R5の第2端とトランジスタM3のソース及びバックゲートは、いずれも接地端に接続されている。
【0048】
このように接続されたトランジスタM3及び抵抗R5は、抵抗分圧器DIVの構成要素として理解され得る。
【0049】
ノード信号VCの印加端は、出力信号OUTの印加端に直接接続されるのではなく、インバータINVの入力端に接続されている。インバータINVの出力端は、ノード信号VD(延いては出力信号OUT)の印加端とトランジスタM3のゲートに接続されている。すなわち、トランジスタM0のドレインは、インバータINVを介して出力信号OUTの印加端に接続されている。
【0050】
インバータINVは、ノード信号VCの論理レベルを反転させてノード信号VDを生成する。従って、ノード信号VDは、ノード信号VCがハイレベルであるときにローレベルとなり、ノード信号VCがローレベルであるときにハイレベルとなる。
【0051】
ノード信号VDがハイレベルであるときには、トランジスタM3がオン状態となる。このとき、抵抗R5の両端間がトランジスタM3を介して短絡される。従って、抵抗分圧器DIVの分圧比は、R4/(R3+R4)となる。
【0052】
一方、ノード信号VDがローレベルであるときには、トランジスタM3がオフ状態となる。このとき、抵抗R5の両端間が開放される。従って、抵抗分圧器DIVの分圧比は、(R4+R5)/(R3+R4+R5)となる。
【0053】
このように、抵抗分圧器DIVは、ノード信号VD(延いては出力信号OUT)の論理レベルに応じて分圧比を切り替える。
【0054】
図7は、第2実施形態における入出力挙動を示す図である。なお、本図の横軸は、入力信号VMONを示している。本図の縦軸は、出力信号OUTを示している。
【0055】
入力信号VMONが検出電圧VDET(={Vgs2+Vgs1×(R2/R1)}×(R3+R4)/R4)よりも高くなると、出力信号OUTがハイレベルからローレベルに立ち下がる。このとき、トランジスタM3がオフ状態となる。従って、抵抗分圧器DIVの分圧比が(R4+R5)/(R3+R4+R5)に切り替わる。すなわち、入力信号VMONの比較対象が検出電圧VDETL(={Vgs2+Vgs1×(R2/R1)}×(R3+R4+R5)/(R4+R5))に引き下げられる。
【0056】
一方、入力信号VMONが検出電圧VDETLよりも低くなると、出力信号OUTがローレベルからハイレベルに立ち下がる。このとき、トランジスタM3がオン状態となる。従って、抵抗分圧器DIVの分圧比がR4/(R3+R4)に切り替わる。すなわち、入力信号VMONの比較対象が検出電圧VDETに引き上げられる。
【0057】
このように、入力信号VMONの比較対象となる検出電圧VDETには、ヒステリシスが付与されてもよい。
【0058】
<第3実施形態>
図8は、比較回路の第3実施形態を示す図である。本実施形態の比較回路1は、先出の第1実施形態(
図2)を基本としつつ、トランジスタM1及びM2と抵抗R1及びR2に代えて、トランジスタM11(例えばデプレッション型NMOSFET)と、トランジスタM12(例えばエンハンスメント型NMOSFET)と、トランジスタM13及びM14(例えばそれぞれPMOSFET)と、抵抗R11及びR12と、を備える。
【0059】
なお、トランジスタM11及びM12それぞれのゲート・ソース間電圧Vgs11及びVgs12は、互いに異なる温度特性を持つ。例えば、デプレッション型であるトランジスタM11のゲート・ソース間電圧Vgs11は、正の温度特性を持つ。一方、エンハンスメント型であるトランジスタM12のゲート・ソース間電圧Vgs12は、負の温度特性を持つ。この点については、先出のトランジスタM1及びM2と同様である。
【0060】
また、抵抗R11及びR12は、同じ温度特性を持つ素子であってもよい。例えば、抵抗R11及びR12は、いずれも負の温度特性を持つポリシリコン抵抗であってもよい。また、例えば、抵抗R11及びR12は、いずれも正の温度特性を持つ拡散抵抗であってもよい。この点については、先出の抵抗R1及びR2と同様である。
【0061】
トランジスタM11のドレインは、トランジスタM13のドレイン(=カレントミラーCMの入力端)に接続されている。トランジスタM11のソース及びバックゲートは、抵抗R11の第1端に接続されている。トランジスタM11のゲート、及び、抵抗R11の第2端は、いずれも接地端(=基準電位端)に接続されている。
【0062】
トランジスタM13及びM14それぞれのソース及びバックゲートは、電源電圧VCCの印加端に接続されている。トランジスタM13及びM14それぞれのゲートは、トランジスタM13のドレインに接続されている。トランジスタM14のドレイン(=カレントミラーCMの出力端)とトランジスタM12のドレインは、いずれもノード信号VBの印加端(=トランジスタM0のゲート)に接続されている。トランジスタM12のソース及びバックゲートは、抵抗R12の第1端に接続されている。抵抗R12の第2端は、接地端に接続されている。トランジスタM12のゲートは、ノード信号VAの印加端(=抵抗R3及びR4相互間の接続ノード)に接続されている。
【0063】
このように接続されたトランジスタM13及びM14は、カレントミラーCMを形成する。カレントミラーCMは、トランジスタM13のドレイン電流をトランジスタM14のドレイン電流としてミラーする。
【0064】
入力信号VMONが検出電圧VDETよりも低いときには、トランジスタM0のゲートに印加されるノード信号VBがカレントミラーCMを介してプルアップされる。従って、トランジスタM0がオフ状態となるので、ノード信号VCが抵抗R0を介してプルダウンされる。その結果、出力信号OUTがローレベルとなる。なお、カレントミラーCMによるプルアップ経路のインピーダンスは、Vgs11/R11で決定される。
【0065】
一方、入力信号VMONが上昇すると、トランジスタM12のゲートに印加されるノード信号VAも上昇する。従って、トランジスタM12のインピーダンスが低下する。そして、入力信号VMONが検出電圧VDETよりも高くなると、トランジスタM12のインピーダンスがカレントミラーCMによるプルアップ経路のインピーダンスを下回る。そのため、トランジスタM0のゲートに印加されるノード信号VBが低下する。従って、トランジスタM0がオン状態となるので、ノード信号VCがトランジスタM0を介してプルアップされる。その結果、出力信号OUTがハイレベルとなる。
【0066】
このように、抵抗R11に流れる電流IをカレントミラーCM経由で抵抗R12に供給する回路形式であっても、先出の第1実施形態(
図3)と同様の効果が享受され得る。
【0067】
ところで、入力信号VMONが検出電圧VDETよりも高くなると、抵抗R12には、抵抗R11に流れる電流I(=Vgs11/R11)と同値の電流Iが流れる。従って、抵抗R12には、電流Iに応じた両端間電圧V(=Vgs11×(R12/R11))が発生する。
【0068】
このとき、トランジスタM12に印加されるノード信号VAは、抵抗R12の両端間電圧VにトランジスタM12のゲート・ソース間電圧Vgs12が足し合わされた電圧値(=Vgs12+Vgs11×(R12/R11))となる。
【0069】
従って、検出電圧VDETは、{Vgs12+Vgs11×(R12/R11)}×(R13+R14)/R14で表される。そのため、トランジスタM11及びM12それぞれの素子サイズ、並びに、抵抗R11及びR12それぞれの抵抗値が適宜調整されることにより、検出電圧VDETの温度特性がフラットに近付けられる。また、検出電圧VDETの絶対値は、抵抗R13及びR14の抵抗比で調整され得る。
【0070】
なお、カレントミラーCMは、PMOSFETに限らず、バイポーラ型のpnp型トランジスタによって形成されてもよい。
【0071】
<第4実施形態>
図9は、比較回路の第4実施形態を示す図である。先出の第3実施形態(
図8)を基本としつつ、既出のトランジスタM3と、抵抗R5と、インバータINVをさらに備える。
【0072】
このように、抵抗R11に流れる電流IをカレントミラーCM経由で抵抗R12に供給する回路形式を基本としつつ、先出の第2実施形態(
図6)に倣い、入力信号VMONの比較対象となる検出電圧VDETにヒステリシスが付与されてもよい。
【0073】
<第5実施形態>
図10は、比較回路の第5実施形態を示す図である。本実施形態の比較回路1は、先出の第1実施形態(
図3)を基本としつつ、トランジスタM2に代えてトランジスタM2’(例えばP+ゲートのデプレッション型NMOSFET)を備える。
【0074】
先出のトランジスタM1は、n型不純物がゲートに注入された一般的なデプレッション型(N+ゲート)である。なお、トランジスタM1のオン閾値電圧は、負電圧(-0.5V程度)となる。一方、トランジスタM2’は、p型不純物がゲートに注入されたデプレッション型(P+ゲート)である。なお、トランジスタM2’のオン閾値電圧は、正電圧(+0.6V程度)に設計され得る。従って、トランジスタM2’は、エンハンスメント型のトランジスタM2を代替することができる。
【0075】
トランジスタM1及びM2’は、それぞれのデバイス構造(特にゲートよりも下層の部分)が共通となる。従って、本実施形態の比較回路1であれば、先出の第1実施形態(
図3)と比べて、検出電圧VDETが製造ばらつきの影響を受け難くなる。
【0076】
なお、本実施形態の比較回路1は、先出の第1実施形態(
図3)を基本としているが、第2実施形態(
図6)、第3実施形態(
図8)、及び、第4実施形態(
図9)を基本としても構わない。
【0077】
また、トランジスタM2及びM12は、それぞれ、バイポーラ型のnpnトランジスタに置換されてもよい。
【0078】
<実施形態の組み合わせ>
なお、上記した第1~第5実施形態の回路構成は、矛盾の無い範囲で任意に組み合わされてもよい。
【0079】
<付記>
以下では、上記で説明した種々の実施形態について総括的に述べられる。
【0080】
例えば、本開示に係る比較回路は、デプレッション型の第1トランジスタと、制御電極に入力信号又はその分圧信号が印加されるように構成された第2トランジスタと、前記第1トランジスタのゲート・ソース間に接続されるように構成された第1抵抗と、前記第2トランジスタの第1主電極に接続されて前記第1抵抗に流れる電流と同値の電流が流れるように構成された第2抵抗とを備え、前記第2トランジスタの第2主電極に現れるノード信号又はこれに応じた信号を出力信号として出力する構成(第1の構成)とされている。
【0081】
上記第1の構成による比較回路において、前記第2トランジスタは、エンハンスメント型、前記第1トランジスタとは異なる導電型の不純物がゲートに注入されたデプレッション型、又は、バイポーラ型のトランジスタである構成(第2の構成)とされてもよい。
【0082】
上記第1又は第2の構成による比較回路において、前記第1抵抗と前記第2抵抗は、同じ温度特性を持つ構成(第3の構成)とされてもよい。
【0083】
また、上記第1~第3いずれかの構成による比較回路は、前記入力信号を分圧して前記分圧信号を生成するように構成された抵抗分圧器をさらに備える構成(第4の構成)とされてもよい。
【0084】
上記第4の構成による比較回路において、前記抵抗分圧器は、前記出力信号の論理レベルに応じて分圧比を切り替える構成(第5の構成)とされてもよい。
【0085】
上記第1~第5いずれかの構成による比較回路は、前記ノード信号に応じて前記出力信号の論理レベルを切り替えるように構成された出力トランジスタをさらに備える構成(第6の構成)とされてもよい。
【0086】
上記第6の構成による比較回路において、前記第1トランジスタのドレインは、電源電位端に接続され、前記第1トランジスタのソースは、前記第1抵抗の第1端に接続され、前記第2トランジスタの第1主電極は、前記第2抵抗の第1端に接続され、前記第2抵抗の第2端は、基準電位端に接続され、前記第1トランジスタのゲートと、前記第1抵抗の第2端と、前記第2トランジスタの第2主電極は、前記出力トランジスタの制御電極に接続され、前記出力トランジスタの第1主電極は、前記電源電位端に接続され、前記出力トランジスタの第2主電極は、直接的に又はインバータを介して前記出力信号の印加端に接続される構成(第7の構成)とされてもよい。
【0087】
また、上記第6の構成による比較回路において、前記第1トランジスタのドレインは、カレントミラーの入力端に接続され、前記第1トランジスタのソースは、前記第1抵抗の第1端に接続され、前記第2トランジスタの第1主電極は、前記第2抵抗の第1端に接続され、前記第1トランジスタのゲートと前記第1抵抗及び前記第2抵抗それぞれの第2端は、基準電位端に接続され、前記カレントミラーの出力端と前記第2トランジスタの第2主電極は、前記出力トランジスタの制御電極に接続され、前記出力トランジスタの第1主電極は、電源電位端に接続され、前記出力トランジスタの第2主電極は、直接的に又はインバータを介して前記出力信号の印加端に接続される構成(第8の構成)でもよい。
【0088】
上記第6~第8いずれかの構成による比較回路において、前記出力トランジスタは、Pチャネル型又はpnp型である構成(第9の構成)とされてもよい。
【0089】
上記第1~第9いずれかの構成による比較回路において、前記出力信号の論理レベルが切り替わる検出電圧は、温度の二次関数として表され、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタは、前記二次関数における二次の係数が0となるようにそれぞれの素子サイズが調整され、前記第1抵抗及び前記第2抵抗は、前記二次関数における一次の係数が0となるようにそれぞれの抵抗値が調整される構成(第10の構成)とされてもよい。
【0090】
本開示によれば、例えば、小規模で検出精度の高い比較回路が提供され得る。
【0091】
<その他>
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。また、本開示の技術的範囲は、特許請求の範囲により規定されるものであって、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0092】
1 比較回路
100 比較回路
110 トランジスタ(エンハンスメント型NMOSFET)
120 基準電圧生成回路
130 分圧電圧生成回路
131、132 抵抗
140 コンパレータ
150 抵抗
CM カレントミラー
DIV 抵抗分圧器
INV インバータ
M0 トランジスタ(PMOSFET)
M1 トランジスタ(デプレッション型NMOSFET)
M2 トランジスタ(エンハンスメント型NMOSFET)
M2’ トランジスタ(デプレッション型NMOSFET、P+ゲート)
M3 トランジスタ(エンハンスメント型NMOSFET)
M11 トランジスタ(デプレッション型NMOSFET)
M12 トランジスタ(エンハンスメント型NMOSFET)
M13 トランジスタ(PMOSFET)
M14 トランジスタ(PMOSFET)
R0、R1、R2、R3、R4、R5 抵抗
R11、R12、R13、R14 抵抗