(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004619
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】非常用照明器具
(51)【国際特許分類】
H05B 47/18 20200101AFI20250107BHJP
H05B 47/20 20200101ALI20250107BHJP
【FI】
H05B47/18
H05B47/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104425
(22)【出願日】2023-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹下 理和
(72)【発明者】
【氏名】大澤 隆司
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA08
3K273QA24
3K273QA25
3K273QA36
3K273QA39
3K273SA02
3K273SA08
3K273SA17
3K273SA21
3K273SA32
3K273SA36
3K273SA37
3K273SA48
3K273SA50
3K273SA57
3K273SA60
3K273TA12
3K273TA42
3K273TA52
3K273TA70
3K273UA22
3K273UA27
3K273UA29
3K273VA01
(57)【要約】
【課題】本開示は非常用照明器具に関し、避難時の安全確保に必要な機器を集約可能であり、施工を簡素化できることから費用の削減が可能である非常用照明器具を提供することを目的とする。
【解決手段】本開示の非常用照明器具は、火災を感知できる感知器を搭載可能なスペースを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災を感知できる感知器を搭載可能なスペースを備える非常用照明器具。
【請求項2】
自動火災報知設備を有する照明制御システムが備える請求項1に記載の非常用照明器具であって、
電力供給が可能である制御装置をさらに備え、
前記自動火災報知設備からの火災信号を受信すると、前記制御装置によって前記感知器への電力供給を実施する
請求項1に記載の非常用照明器具。
【請求項3】
前記照明制御システムが誘導灯をさらに有し、
前記感知器が、
火災を感知した際に火災報知信号を送信することで前記誘導灯を停止させる感知器である
請求項2に記載の非常用照明器具。
【請求項4】
前記感知器が、
火災を感知した際に火災信号を送信することで、前記自動火災報知設備に火災を報知する煙感知器である
請求項2に記載の非常用照明器具。
【請求項5】
前記制御装置が、前記感知器によって取得した情報を外部システムへ供給できる
請求項2に記載の非常用照明器具。
【請求項6】
前記照明制御システムが、外部入力情報を取得するセンサをさらに備え、
前記制御装置が、前記センサによって取得した情報を外部システムへ供給できる
請求項2に記載の非常用照明器具。
【請求項7】
階段及び傾斜路に設置されている請求項1に記載の非常用照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非常用照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、付加装置として煙感知器を備える点滅形誘導灯が、煙感知器の動作に伴い誘導灯の点滅動作を停止させることで、危険な場所への避難誘導を防ぐ技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上述の方法では、点滅形誘導灯の近傍あるいは誘導灯そのものの設置場所ではなく、近傍の階段室等に煙感知器を設置する必要がある。また実際の建物建築においては、避難時の安全を確保するため、点滅形誘導灯に加えて自動火災報知設備及び非常用照明器具を設置する必要がある。この自動火災報知設備を設置する際も、階段あるいは傾斜路に煙感知器を設置する必要がある。
【0005】
すなわち、建物における避難時の安全を確保するためには、階段室に多くの機器を設置する必要がある。そのため、十分な広さの設置場所を確保する必要があること、設置及び機器の購入に伴う費用が高額になることといった課題があった。
【0006】
本開示は上述の問題を解決するため、避難時の安全確保に必要な機器を集約可能であり、施工を簡素化できることから費用の削減が可能である非常用照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の態様は、火災を感知できる感知器を搭載可能なスペースを備える非常用照明器具であることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の態様によれば、避難時の安全確保に必要な機器を集約可能であり、施工を簡素化できることから費用の削減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施の形態1に係る照明制御システムが設置される建物の概要を示す図である。
【
図2】本開示の実施の形態1に係る照明制御システムを示す図である。
【
図3】本開示の実施の形態1に係る非常用照明器具を示す斜視図である。
【
図4】本開示の実施の形態1に係る非常用照明器具の三面図である。
【
図5】本開示の実施の形態1に係る非常用照明器具の側面図及び側断面図である。
【
図6】本開示の実施の形態1に係る非常用照明器具を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1
[本開示の実施の形態1に係る照明制御システム]
図1は、本開示の実施の形態1に係る照明制御システムが設置される建物の概要を示す図である。ここでは、居室300と階段室400を備える建物に設置される照明制御システムについて考える。
【0011】
居室300は主に人が生活する空間であり、階段室400は非常用階段を有する空間であり、居室300と階段室400は防火扉で仕切られている。居室300の各階には誘導灯308が設置されており、階段室400の各階には感知器402が設置されている。各階に設置されている誘導灯308同士は、停止用渡り線702で接続されている。なお、誘導灯308、感知器402及び停止用渡り線702については後述する。
【0012】
図2は、本開示の実施の形態1に係る照明制御システムを示す図である。ここでは、同じ階の居室300及び階段室400にわたって設置されている照明制御システム100について説明する。
【0013】
照明制御システム100は、居室300に感知器301を備える。感知器301は、火災を感知すると、自動火災報知設備302に信号を送信する。
【0014】
また照明制御システム100は、発信機304を備える。発信機304は、火災を発見した人がボタンを押すと、自動火災報知設備302に信号を送信する。
【0015】
自動火災報知設備302は、感知器301あるいは発信機304から信号を受信すると発報し、誘導灯信号装置306に火災信号を入力する。誘導灯信号装置306は、火災信号を受信すると、誘導灯308に信号を送信する。
【0016】
誘導灯308は、誘導灯信号装置306からの信号をトリガーとして各種動作を開始及び停止する。誘導灯308は、例えば点滅形誘導灯あるいは誘導音付点滅形誘導灯である。
【0017】
なお誘導灯308は、専用回路である商用電源310から給電を受けることで点灯及び動作するが、非常時用の蓄電池も搭載している。蓄電池は、通常時は商用電源310により充電され、非常時は誘導灯308への給電を実施する。
【0018】
また誘導灯308は、動作の開始と同時に、階段室400に設置されている感知器402に電力を供給する。また、誘導灯308は、感知器402から火災感知信号を受信すると動作を停止する。
【0019】
感知器402は、誘導灯308用の煙感知器であり、火災を感知した際に火災報知信号を誘導灯308に送信する。また感知器402は、階段室400に設置された非常用照明器具1に搭載されている。
【0020】
非常用照明器具1は、災害が発生した際の避難時に、例えば階段及び傾斜路において1lx~2lxといった所定の明るさを確保するため、階段の各踊り場あるいは階段室400に設置されている照明器具である。非常用照明器具1は、例えば階段通路誘導灯である。非常用照明器具1は、後述する空間230を備え、その空間230に感知器402を搭載している。
【0021】
なお、感知器402は、非常用照明器具1から電力供給をされていても良い。この場合、感知器402は、コネクタ403を介して後述する制御装置404と接続される。また感知器402は、自動火災報知設備302からの火災信号が、感知器402経由で誘導灯308に送信されるよう、下記の処理を実施する必要がある。
【0022】
まず、自動火災報知設備302からの火災信号が、誘導灯信号装置306に直接入力されるのではなく、後述する制御装置404に入力されるようにする。非常用照明器具1は、火災信号を受信すると、後述する制御装置404によって感知器402への電力供給を実施する。さらに非常用照明器具1は、感知器402が受信した火災信号を、誘導灯308に入力する。以上により、非常用照明器具1から感知器402への電力供給が可能となるため、感知器402用の電力供給源を新たに設ける必要がなくなり、避難時の安全確保に必要な機器の集約及び施工の簡素化が可能となる。
【0023】
非常用照明器具1は、センサ150を備える。センサ150は、例えば電波、赤外線あるいは画像等を使用する人感センサである。センサ150は、人の存在を感知すると、その情報を制御装置404に送信する。
【0024】
制御装置404は、センサ150等から受信した外部入力情報に基づき、電源装置406に点灯制御情報を入力する。点灯制御情報は、後述する光源部30のオンオフ制御あるいは調光等の情報を含む。なお制御装置404は電力供給機能を有しても良く、その場合は非常用照明器具1が電源装置406を備えなくても良い。
【0025】
電源装置406は、直流電源装置であることが多く、後述する光源部30を点灯させる機能を有する。なお電源装置406は、非常用照明器具1の外部に設置されている商用電源408から供給された電力で駆動しても良い。また電源装置406は、制御装置404の代わりに、感知器402への電力供給を実施しても良い。
【0026】
また非常用照明器具1は、コントロールユニット410を備える。コントロールユニット410は、商用電源408を用いて蓄電池412を充電する。蓄電池412は、常時充電されており、停電時に20分、30分、60分といった所定時間の点灯を可能とする。この蓄電池としては、Ni-Cd蓄電池、Ni-MH蓄電池、Li-Ion蓄電池あるいは全固体蓄電池が例示できる。また蓄電池の種類によって、トリクル充電あるいは間欠充電といった最適な充電方式が選択される。
【0027】
またコントロールユニット410は停電検知機能を有し、停電を検知すると、光源部30の電力供給源を商用電源408から蓄電池412に切り替える。光源部30は常時点灯する光源であり、主にLEDである。
【0028】
なお、非常用照明器具1は、停電時に点灯する専用光源を設けていても良い。非常用照明器具1は、通常時に点灯する光源部30とは別に、光源部40を備える。光源部40は、非常時に点灯する光源であり、不燃材であるガラスで構成されるレンズと、その内側に配置されたLEDあるいはLEDモジュールを有する。
【0029】
また、停電時に点灯する光源を、光源部40ではなく光源部30としても良い。その場合、光源部30の外郭部材は、ガラス等の不燃材で構成されることが望ましい。
【0030】
また階段室400には、自動火災報知設備302用の感知器414が設置されている。感知器414は、火災を感知した際に火災信号を自動火災報知設備302に送信することで、階段室400の火災を自動火災報知設備302に報知する。感知器414は、例えば煙感知器である。
【0031】
なお、ここでは感知器414が非常用照明器具1と異なる場所に設置されている例を示すが、感知器402と同様に非常用照明器具1に搭載されていても良い。通常、感知器414への電力供給は自動火災報知設備302より行われるが、感知器414に非常用照明器具1から電力供給したい場合は、感知器414の火災信号が自動火災報知設備302に送信されるよう処理すれば良い。
【0032】
[本開示の実施の形態1に係る非常用照明器具]
図3は本開示の実施の形態1に係る非常用照明器具を示す斜視図であり、
図4は本開示の実施の形態1に係る非常用照明器具の三面図である。また
図5は、本開示の実施の形態1に係る非常用照明器具の側面図及び側断面図である。非常用照明器具1は、階段及び傾斜路に設置される非常用照明器具であり、階段通路誘導灯としての機能を有し、消防法及び建築基準法に適合するものである。
【0033】
非常用照明器具1は器具本体50を備える。器具本体50は本体部10を有する。本体部10は、長尺形状の部材であり、壁面あるいは天井面といった被取付部500に固定される。本体部10の前面側には、本体部10を覆うように本体カバー20が固定されている。本体カバー20は、長尺形状の部材であり、器具外郭及び意匠部を兼ねている。
【0034】
本体カバー20には、光源部30が取り付けられている。光源部30は、長尺の光源ユニットであり、常用時に点灯する光源である。また本体カバー20には、光源部40が取り付けられている。光源部40は、光源部30よりも小さい光源ユニットであり、非常時に点灯する光源である。
【0035】
また、非常用照明器具1は、空間230を備える。空間230は、感知器402を搭載可能なスペースである。空間230の前面側には、搭載する感知器402に合わせて、図示しない開口部が設けられる。感知器402を空間230に搭載することで、感知器402が非常用照明器具1と一体で設置され、避難時の安全確保に必要な機器を集約可能となる。
【0036】
なお、非常用照明器具1は、その設置場所に応じて適切な煙感知器を設置した状態で使用される。すなわち、空間230に搭載される煙感知器は、誘導灯308用の感知器402でなく、例えば自動火災報知設備302用の感知器414でも良い。
【0037】
また本体部10には、センサ150が配置され、器具本体50の内部に収容されている。センサ150は、例えば電波センサを用いて人の有無を検知する。
【0038】
なお、センサ150は、赤外センサあるいは画像センサであっても良い。これらのセンサにより、非常用照明器具1は、その設置場所における人の有無を判断できる。また、各種感知器を搭載した非常用照明器具1の設置位置をアドレス割当等により管理することで、出火場所の特定あるいは火災拡大状況及び残留者情報の把握を、非常用照明器具1で実施することができる。
【0039】
また非常用照明器具1が感知器あるいはセンサによって取得した情報は、外部システムへ供給できる。外部システムとしては、建物などにおける中央監視システムあるいはクラウド上のシステム等が例示できる。外部システムへの情報提供が可能な構成とする場合は、上述の情報に加えて、非常用照明器具1の劣化診断情報あるいは点検履歴情報のログといった情報を提供しても良い。これにより、非常用照明器具1の維持管理に関する情報についても、外部システムで把握することができる。
【0040】
なお、外部システムへの通信は、制御装置または電源装置に設けた通信部によって実施しても良いし、非常用照明器具1とは別に設置した通信部と電源装置または制御装置に設けた接続用インターフェースを接続することによって実施しても良い。通信部は、有線による通信線あるいは無線通信により外部システムへの情報提供を可能とするものである。
【0041】
図6は、本開示の実施の形態1に係る非常用照明器具を示す分解斜視図である。非常用照明器具1は、建物の天井あるいは壁面に設置される。非常用照明器具1の内部に接続用の電線を通線させる場合は、穴210dのように、機器中央に配置された通線穴を使用する。また本体部10の内部には、コントロールユニット410及び蓄電池412が配置されている。
【0042】
[比較例の照明制御システム]
本開示の実施の形態1に係る非常用照明器具の有用性を示すため、比較例の照明制御システムについて説明する。
図7は、比較例の照明制御システムを示す図である。比較例の照明制御システム600は、感知器402を搭載しない非常用照明器具1aを備える点が、照明制御システム100と異なる。
【0043】
建物の階段及び傾斜路においては、消防法、建築基準法及びそれぞれの関係法令により、誘導灯および非常用照明器具の設置が義務付けられている。いずれの法令にも適合する照明器具として、例えば階段通路誘導灯兼用形非常用照明器具が挙げられる。
【0044】
また、最終避難口に通じる階段室に隣接する空間について、消防法において設置が義務付けられている誘導灯としては、点滅形誘導灯あるいは点滅形誘導音付誘導灯が例示できる。照明制御システム600では、誘導灯308が、点滅形誘導灯あるいは点滅形誘導音付誘導灯に該当する。
【0045】
点滅形誘導灯は、自動火災報知設備からの火災発生信号を受け、光を点滅させることで、視覚的に避難誘導の方向を報知するものである。表1は、点滅形誘導灯の具体的な点灯動作の例を示す表である。点滅形誘導灯が火災信号を受けたときは、誘導灯を点滅させることで、人々が自身の方向へ避難するよう誘導する。一方、点滅形誘導灯が後述する専用煙感知器による停止信号を受けたときは、誘導灯の点滅を停止させることで、人々が自身の方向へ避難しないよう誘導する。
【0046】
【0047】
なお、誘導灯の光源としては、キセノンフラッシュランプ及びLED光源等の白色光が例示できる。これにより、誘導灯が火災による煙で見づらくなった際も、避難誘導を効果的に行うことができるものである。
【0048】
また、点滅形誘導音付誘導灯は、自動火災報知設備からの火災発生信号を受け、光の点滅と誘導音を発生させることで、視覚的及び聴覚的に避難誘導の方向を報知するものである。表2は、点滅形誘導音付誘導灯の具体的な点灯動作の例を示す表である。点滅形誘導音付誘導灯が火災信号を受けたときは、誘導灯を点滅させるのと同時に誘導音を作動させることで、人々が自身の方向へ避難するよう誘導する。一方、点滅形誘導灯が後述する専用煙感知器による停止信号を受けたときは、誘導灯の点滅を停止させるのと同時に誘導音を停止させることで、人々が自身の方向へ避難しないよう誘導する。
【0049】
【0050】
これ以降、誘導灯308が誘導音付点滅形誘導灯である例について考える。誘導灯308は、点滅及び誘導音の停止を決定するために必要な専用煙感知器を、隣接する階段に設置する必要がある。これは、煙感知器が火災を感知した際に、紐づけされた誘導灯308の動作を停止することで、火災が発生している方向に誤って避難することを防止できるようにするためである。
【0051】
例えば階下で火災が発生した場合、火災を感知した煙感知器の階上に設置されている誘導灯308の動作を停止することで、上階に滞在する人が誤って当該階段に避難することを防止できる。照明制御システム600では、この専用煙感知器として、感知器402が該当する。
【0052】
建物における誘導灯308による避難誘導では、火災発生箇所を通過する様な誘導は避けなければならない。そのため、例えば居室300側の避難通路に設置された誘導灯308には、同じ階の階段室400側に設置された感知器402が紐づけられている。感知器402が煙を感知した場合、誘導灯308は階段室側への避難誘導を中止するため、点滅及び誘導音を停止する。すなわち、誘導灯308が居室側に設置された場合、それと一対となる感知器402が階段室側に設置される。
【0053】
複数の階を有する建物では、このような誘導灯308と感知器402の組合せが各階に設置される。ここで、ある階の誘導灯308に紐づけられた感知器402が火災を感知した場合、火災を感知した階より上の階にいた避難者が、火災を感知した階へ避難することも避けなければならない。すなわち、感知器402が火災を感知した場合、該当する誘導灯308による光の点滅及び誘導音を停止するだけでなく、該当する階より上に設置されている誘導灯308についても、光の点滅及び誘導音を停止する必要がある。
【0054】
このために使用される点滅停止回路について説明する。
図8は、点滅停止回路の構成を示す図である。点滅停止回路700は、階段室が煙に汚染された場合の避難誘導を適切に行うための回路であり、自動火災報知設備302、誘導灯信号装置306、誘導灯308及び感知器402を備える。誘導灯308と感知器402は、停止用渡り線702で接続されている。
【0055】
ある階の感知器402が火災を感知した場合、該当する階より上の全ての誘導灯308への停止信号を、煙感知器の停止用渡り線702を介して送信する。これにより、階上から該当する階への避難誘導を中止できる仕組みになっている。
【0056】
一方、自動火災報知設備の煙感知器も、消防用設備として、階段及び傾斜路の垂直距離に基づいた設置が義務付けられている。照明制御システム600では、自動火災報知設備として自動火災報知設備302、自動火災報知設備の煙感知器として感知器414が該当する。また、自動火災報知設備302用の感知器414は、自動火災報知設備302より電力供給を受け動作するものである。
【0057】
以上の通り、設置状況によっては、誘導灯308用の感知器402及び自動火災報知設備302用の感知器414が、各階段室に設置される。すなわち各階段室には、煙感知器が合計2台ずつ設置される可能性がある。これに加えて、階段の各踊り場あるいは階段室400には、避難時に所定の明るさを確保するため、非常用照明器具1aを設置する必要がある。
【0058】
すなわち、建物における避難時の安全を確保するためには、階段室に多くの機器を設置する必要がある。そのため、十分な広さの設置場所を確保する必要があること、設置及び機器の購入に伴う費用が高額になることといった課題があった。
【0059】
本開示の非常用照明器具1は、感知器402を搭載可能なスペースである空間230を備える。これにより、非常用照明器具1を備える照明制御システム100は、比較例の照明制御システム600と同様の避難誘導を実施できる。さらに、避難時の安全確保に必要な機器を集約可能であり、施工を簡素化できることから費用の削減が可能である。また本開示の非常用照明器具は、感知器402への電力供給が可能であるため、感知器402用の電力供給源を新たに設ける必要がなくなる。これにより、避難時の安全確保に必要な機器の集約及び施工の簡素化をさらに実施することが可能となる。
【0060】
以下、本開示の所態様を付記としてまとめて記載する。
【0061】
(付記1)
火災を感知できる感知器を搭載可能なスペースを備える非常用照明器具。
(付記2)
自動火災報知設備を有する照明制御システムが備える付記1に記載の非常用照明器具であって、
電力供給が可能である制御装置をさらに備え、
前記自動火災報知設備からの火災信号を受信すると、前記制御装置によって前記感知器への電力供給を実施する
付記1に記載の非常用照明器具。
(付記3)
前記照明制御システムが誘導灯をさらに有し、
前記感知器が、
火災を感知した際に火災報知信号を送信することで前記誘導灯を停止させる感知器である
付記2に記載の非常用照明器具。
(付記4)
前記感知器が、
火災を感知した際に火災信号を送信することで、前記自動火災報知設備に火災を報知する煙感知器である
付記2に記載の非常用照明器具。
(付記5)
前記制御装置が、前記感知器によって取得した情報を外部システムへ供給できる
付記2から4の何れか一項に記載の非常用照明器具。
(付記6)
前記照明制御システムが、外部入力情報を取得するセンサをさらに備え、
前記制御装置が、前記センサによって取得した情報を外部システムへ供給できる
付記2から5の何れか一項に記載の非常用照明器具。
(付記7)
階段及び傾斜路に設置されている付記1から6の何れか一項に記載の非常用照明器具。
【符号の説明】
【0062】
1 非常用照明器具
1a 非常用照明器具
100 照明制御システム
150 センサ
301 感知器
302 自動火災報知設備
308 誘導灯
402 感知器
404 制御装置
414 感知器
600 照明制御システム