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特開2025-4621姿勢データ処理装置、椅子製造装置、椅子の製造方法、寝具製造装置、寝具選択装置、姿勢データ処理システム、姿勢データ処理方法、コンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004621
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】姿勢データ処理装置、椅子製造装置、椅子の製造方法、寝具製造装置、寝具選択装置、姿勢データ処理システム、姿勢データ処理方法、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   A47C 31/12 20060101AFI20250107BHJP
【FI】
A47C31/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104428
(22)【出願日】2023-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】597014741
【氏名又は名称】ネムール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕樹
(57)【要約】
【課題】異なる姿勢のデータを生成することができる姿勢データ処理装置、椅子製造装置、椅子の製造方法、寝具製造装置、寝具選択装置、姿勢データ処理システム、姿勢データ処理方法、コンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】姿勢データ処理装置は、人体の少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データを取得する撮像データ取得部と、前記撮像データ取得部にて取得された前記撮像データに基づいて、人体の第1姿勢を示す第1姿勢データを生成する第1姿勢データ生成部と、前記第1姿勢データ生成部にて生成された前記第1姿勢データに基づいて、前記第1姿勢とは異なる人体の第2姿勢を示す第2姿勢データを生成する第2姿勢データ生成部と、前記第2姿勢データ生成部にて生成された前記第2姿勢データに基づいて、前記第2姿勢データに対応する商品の情報を表示部に出力する出力部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データを取得する撮像データ取得部と、 前記撮像データ取得部にて取得された前記撮像データに基づいて、人体の第1姿勢を示す第1姿勢データを生成する第1姿勢データ生成部と、
前記第1姿勢データ生成部にて生成された前記第1姿勢データに基づいて、前記第1姿勢とは異なる人体の第2姿勢を示す第2姿勢データを生成する第2姿勢データ生成部と、
前記第2姿勢データ生成部にて生成された前記第2姿勢データに基づいて、前記第2姿勢データに対応する商品の情報を表示部に出力する出力部と
を備える姿勢データ処理装置。
【請求項2】
前記撮像データ取得部にて取得された前記撮像データと、予め記憶され、人体の体表面形状全体を示す複数の異なる蓄積データそれぞれとの類似度を演算する類似度演算部と、
前記類似度演算部にて演算された類似度に応じて少なくとも一つの前記蓄積データを選択する選択部と
を備え、
前記第1姿勢データ生成部は、選択された前記蓄積データに基づいて、前記第1姿勢データを生成する
請求項1に記載の姿勢データ処理装置。
【請求項3】
性別、年齢、身長、体重又は体型を示す人体情報を取得する人体情報取得部を備え、
前記類似度演算部は、前記人体情報取得部にて取得された人体情報に基づいて、前記類似度を演算する
請求項2に記載の姿勢データ処理装置。
【請求項4】
前記第1姿勢は寝姿勢であり、
前記第1姿勢データ生成部は寝姿勢データを生成し、
前記第2姿勢は座位姿勢であり、
前記第2姿勢データ生成部は座位姿勢データを生成する
請求項1から3のいずれか一つに記載の姿勢データ処理装置。
【請求項5】
前記商品は椅子を含み、
使用目的に応じた椅子の種類を取得する種類取得部と、
前記第2姿勢データ生成部にて生成された前記座位姿勢データ及び前記種類取得部にて取得された前記椅子の種類に基づいて、椅子の寸法を含む設計情報を演算する設計情報演算部と
を備え、
前記出力部は、前記設計情報演算部にて演算された前記設計情報に基づいて、少なくとも一つの椅子の情報を前記表示部に出力する
請求項4に記載の姿勢データ処理装置。
【請求項6】
前記表示部に出力された前記商品の情報からいずれか一つの前記商品の情報が選択されたことを受け付ける受付部を備える
請求項5に記載の姿勢データ処理装置。
【請求項7】
請求項5に記載の姿勢データ処理装置と、
前記設計情報演算部にて演算された前記設計情報に基づいて、椅子を製造する製造部と
を備える椅子製造装置。
【請求項8】
人体の少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データを取得し、
取得された前記撮像データに基づいて、人体の寝姿勢を示す寝姿勢データを生成し、
生成された前記寝姿勢データに基づいて、人体の座位姿勢を示す座位姿勢データを生成し、
使用目的に応じた椅子の種類を取得し、
生成された前記座位姿勢データ及び取得された前記椅子の種類に基づいて、椅子の寸法を含む設計情報を演算し、
演算された前記設計情報に基づいて、椅子を製造する
椅子の製造方法。
【請求項9】
前記第1姿勢は座位姿勢であり、
前記第1姿勢データ生成部は座位姿勢データを生成し、
前記第2姿勢は寝姿勢であり、
前記第2姿勢データ生成部は寝姿勢データを生成する
請求項1から3のいずれか一つに記載の姿勢データ処理装置。
【請求項10】
前記座位姿勢データは、座位における人体の胸部背面の第1頂点及び臀部背面の第2頂点を結んだ基準線と、前記第1頂点及び第2頂点の間において正面に向けて突出するように湾曲した人体の背面の曲面の第1頂点との間の第1距離を含み、
前記寝姿勢データは、寝姿勢における前記第1頂点及び第2頂点の間において、正面に向けて突出するように湾曲した人体背面の曲面の第2頂点と前記基準線との間の第2距離を含み、
前記第2姿勢データ生成部は、前記第1距離に基づいて、前記第2距離を演算する
請求項9に記載の姿勢データ処理装置。
【請求項11】
前記第1姿勢は座位姿勢であり、
前記第1姿勢データ生成部は座位姿勢データを生成し、
前記第2姿勢は寝姿勢であり、
前記第2姿勢データ生成部は寝姿勢データを生成し、
前記商品はマットレスを含み、
前記人体情報取得部にて取得された身長、体重及び体型の少なくとも二つに基づいて前記マットレスの硬さを演算する硬さ演算部と
を備え、
前記出力部は、前記硬さ演算部にて演算された硬さに基づいて、前記マットレスの情報を前記表示部に表示する
請求項3に記載の姿勢データ処理装置。
【請求項12】
前記商品は枕を含み、
前記硬さ演算部にて演算された硬さに基づいて、前記枕の高さを演算する高さ演算部を備え、
前記出力部は、前記高さ演算部にて演算された高さに基づいて、前記枕の情報を前記表示部に表示する
請求項11に記載の姿勢データ処理装置。
【請求項13】
請求項9に記載の前記姿勢データ処理装置によって生成された前記寝姿勢データに基づいて、寝具を製造する
寝具製造装置。
【請求項14】
請求項9に記載の前記姿勢データ処理装置によって生成された前記寝姿勢データに基づいて、複数の寝具から少なくとも一つの前記寝具を選択する
寝具選択装置。
【請求項15】
人体の少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データを取得する撮像データ取得部と、 前記撮像データ取得部にて取得された前記撮像データに基づいて、人体の第1姿勢を示す第1姿勢データを生成する第1姿勢データ生成部と、
前記第1姿勢データ生成部にて生成された前記第1姿勢データに基づいて、前記第1姿勢とは異なる人体の第2姿勢を示す第2姿勢データを生成する第2姿勢データ生成部と、
前記第2姿勢データ生成部にて生成された前記第2姿勢データに基づいて、前記第2姿勢データに対応する商品の情報を表示部に出力する出力部と、
前記出力部から出力された前記商品の情報を表示する表示部と
を備える姿勢データ処理システム。
【請求項16】
人体の少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データを取得し、
取得された前記撮像データに基づいて、人体の第1姿勢を示す第1姿勢データを生成し、
生成された前記第1姿勢データに基づいて、前記第1姿勢とは異なる人体の第2姿勢を示す第2姿勢データを生成し、
生成された前記第2姿勢データに基づいて、前記第2姿勢データに対応する商品の情報を表示部に出力する
姿勢データ処理方法。
【請求項17】
人体の少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データを取得し、
取得された前記撮像データに基づいて、人体の第1姿勢を示す第1姿勢データを生成し、
生成された前記第1姿勢データに基づいて、前記第1姿勢とは異なる人体の第2姿勢を示す第2姿勢データを生成し、
生成された前記第2姿勢データに基づいて、前記第2姿勢データに対応する商品の情報を表示部に出力する
処理をコンピュータに実行させる
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、人体を撮像した撮像データに基づいて人体の姿勢を示す姿勢データを生成する姿勢データ処理装置、椅子製造装置、椅子の製造方法、寝具製造装置、寝具選択装置、姿勢データ処理システム、姿勢データ処理方法、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
試乗車の着座部に着座したときの乗車姿勢を特定する情報取得装置が提案されている。情報取得装置は、人体を撮影した撮影データを用いて人体の骨格を推定し、推定した骨格及び予め入力された身長等の情報に基づいて、足、腕及び胴等の対象部位の長さを測定し、測定された対象部位の長さに基づいて、乗車姿勢を特定する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/166459号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
情報取得装置は着座姿勢のデータのみ生成し、他の姿勢のデータは生成されない。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、異なる姿勢のデータを生成することができる姿勢データ処理装置、椅子製造装置、椅子の製造方法、寝具製造装置、寝具選択装置、姿勢データ処理システム、姿勢データ処理方法、コンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る姿勢データ処理装置は、人体の少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データを取得する撮像データ取得部と、前記撮像データ取得部にて取得された前記撮像データに基づいて、人体の第1姿勢を示す第1姿勢データを生成する第1姿勢データ生成部と、前記第1姿勢データ生成部にて生成された前記第1姿勢データに基づいて、前記第1姿勢とは異なる人体の第2姿勢を示す第2姿勢データを生成する第2姿勢データ生成部と、前記第2姿勢データ生成部にて生成された前記第2姿勢データに基づいて、前記第2姿勢データに対応する商品の情報を表示部に出力する出力部とを備える。
【0007】
本開示においては、撮像データに基づいて第1姿勢データが生成され、第1姿勢データに基づいて第2姿勢データが生成される。
【0008】
本開示の一実施形態に係る姿勢データ処理装置は、前記撮像データ取得部にて取得された前記撮像データと、予め記憶され、人体の体表面形状全体を示す複数の異なる蓄積データそれぞれとの類似度を演算する類似度演算部と、前記類似度演算部にて演算された類似度に応じて少なくとも一つの前記蓄積データを選択する選択部とを備え、前記第1姿勢データ生成部は、選択された前記蓄積データに基づいて、前記第1姿勢データを生成する。
【0009】
本開示においては、撮像データと蓄積データそれぞれとの類似度を演算し、例えば類似度の最も高い蓄積データに基づいて、第1姿勢データを生成する。
【0010】
本開示の一実施形態に係る姿勢データ処理装置は、性別、年齢、身長、体重又は体型を示す人体情報を取得する人体情報取得部を備え、前記類似度演算部は、前記人体情報取得部にて取得された人体情報に基づいて、前記類似度を演算する。
【0011】
本開示においては、選択部は、ユーザの人体情報と同様な人体情報を有する蓄積データを選択することができる。
【0012】
本開示の一実施形態に係る姿勢データ処理装置は、前記第1姿勢は寝姿勢であり、前記第1姿勢データ生成部は寝姿勢データを生成し、前記第2姿勢は座位姿勢であり、前記第2姿勢データ生成部は座位姿勢データを生成する。
【0013】
本開示においては、第1姿勢データ生成部は撮像データに基づいて寝姿勢データを生成し、第2姿勢データ生成部は寝姿勢データに基づいて座位姿勢データを生成する。
【0014】
本開示の一実施形態に係る姿勢データ処理装置は、前記商品は椅子を含み、使用目的に応じた椅子の種類を取得する種類取得部と、前記第2姿勢データ生成部にて生成された前記座位姿勢データ及び前記種類取得部にて取得された前記椅子の種類に基づいて、椅子の寸法を含む設計情報を演算する設計情報演算部とを備え、前記出力部は、前記設計情報演算部にて演算された前記設計情報に基づいて、少なくとも一つの椅子の情報を前記表示部に出力する。
【0015】
本開示においては、ユーザの使用目的に応じた椅子の設計情報を演算し、設計情報に基づいた椅子の情報を表示部に出力する。
【0016】
本開示の一実施形態に係る姿勢データ処理装置は、前記表示部に出力された前記商品の情報からいずれか一つの前記商品の情報が選択されたことを受け付ける受付部を備える。
【0017】
本開示においては、例えばユーザからの操作に基づいて、少なくとも一つの椅子の商品の情報から、いずれか一つの商品の情報が選択される。選択された商品の情報は、例えば椅子の在庫データと照合され、在庫の有無が確認される。
【0018】
本開示の一実施形態に係る椅子製造装置は、前述の姿勢データ処理装置と、前記設計情報演算部にて演算された前記設計情報に基づいて、椅子を製造する製造部とを備える。
【0019】
本開示においては、製造部は設計情報に基づいて、ユーザの体に合った椅子を製造する。即ちオーダーメイドの椅子が製造される。
【0020】
本開示の一実施形態に係る椅子の製造方法は、人体の少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データを取得し、取得された前記撮像データに基づいて、人体の寝姿勢を示す寝姿勢データを生成し、生成された前記寝姿勢データに基づいて、人体の座位姿勢を示す座位姿勢データを生成し、使用目的に応じた椅子の種類を取得し、生成された前記座位姿勢データ及び取得された前記椅子の種類に基づいて、椅子の寸法を含む設計情報を演算し、演算された前記設計情報に基づいて、椅子を製造する。
【0021】
本開示においては、製造部は設計情報に基づいて、ユーザの体に合った椅子を製造する。即ちオーダーメイドの椅子が製造される。
【0022】
本開示の一実施形態に係る姿勢データ処理装置は、前記第1姿勢は座位姿勢であり、前記第1姿勢データ生成部は座位姿勢データを生成し、前記第2姿勢は寝姿勢であり、前記第2姿勢データ生成部は寝姿勢データを生成する。
【0023】
本開示においては、第1姿勢データ生成部は撮像データに基づいて座位姿勢データを生成し、第2姿勢データ生成部は座位姿勢データに基づいて寝姿勢データを生成する。
【0024】
本開示の一実施形態に係る姿勢データ処理装置は、前記座位姿勢データは、座位における人体の胸部背面の第1頂点及び臀部背面の第2頂点を結んだ基準線と、前記第1頂点及び第2頂点の間において正面に向けて突出するように湾曲した人体の背面の曲面の第1頂点との間の第1距離を含み、前記寝姿勢データは、寝姿勢における前記第1頂点及び第2頂点の間において、正面に向けて突出するように湾曲した人体背面の曲面の第2頂点と前記基準線との間の第2距離を含み、前記第2姿勢データ生成部は、前記第1距離に基づいて、前記第2距離を演算する。
【0025】
本開示においては、第1距離に基づいて適切な第2距離を演算する。第2距離に対応する寝具は人体をリラックスさせることができる。即ち、人体をリラックスさせることができる寝具の情報をユーザに提供することができる。
【0026】
本開示の一実施形態に係る姿勢データ処理装置は、前記第1姿勢は座位姿勢であり、前記第1姿勢データ生成部は座位姿勢データを生成し、前記第2姿勢は寝姿勢であり、前記第2姿勢データ生成部は寝姿勢データを生成し、前記商品はマットレスを含み、前記人体情報取得部にて取得された身長、体重及び体型の少なくとも二つに基づいて前記マットレスの硬さを演算する硬さ演算部とを備え、前記出力部は、前記硬さ演算部にて演算された硬さに基づいて、前記マットレスの情報を前記表示部に表示する。
【0027】
本開示においては、快適な硬さのマットレスの情報をユーザに提供する。
【0028】
本開示の一実施形態に係る姿勢データ処理装置は、前記商品は枕を含み、前記硬さ演算部にて演算された硬さに基づいて、前記枕の高さを演算する高さ演算部を備え、前記出力部は、前記高さ演算部にて演算された高さに基づいて、前記枕の情報を前記表示部に表示する。
【0029】
本開示においては、マットレスの硬さに対応した高さを演算し、演算した高さを有する枕の情報をユーザに提供する。
【0030】
本開示の一実施形態に係る寝具製造装置は、前述の前記姿勢データ処理装置によって生成された前記寝姿勢データに基づいて、寝具を製造する。
【0031】
本開示においては、寝姿勢データに基づいて、寝具を製造する。
【0032】
本開示の一実施形態に係る寝具選択装置は、前述の前記姿勢データ処理装置によって生成された前記寝姿勢データに基づいて、複数の寝具から少なくとも一つの前記寝具を選択する。
【0033】
本開示においては、寝姿勢データに基づいて、複数の寝具から少なくとも一つの寝具を選択する。
【0034】
本開示の一実施形態に係る姿勢データ処理システムは、人体の少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データを取得する撮像データ取得部と、前記撮像データ取得部にて取得された前記撮像データに基づいて、人体の第1姿勢を示す第1姿勢データを生成する第1姿勢データ生成部と、前記第1姿勢データ生成部にて生成された前記第1姿勢データに基づいて、前記第1姿勢とは異なる人体の第2姿勢を示す第2姿勢データを生成する第2姿勢データ生成部と、前記第2姿勢データ生成部にて生成された前記第2姿勢データに基づいて、前記第2姿勢データに対応する商品の情報を表示部に出力する出力部と、前記出力部から出力された前記商品の情報を表示する表示部とを備える。
【0035】
本開示においては、撮像データに基づいて第1姿勢データが生成され、第1姿勢データに基づいて第2姿勢データが生成され、第2姿勢データに対応する商品の情報が表示される。
【0036】
本開示の一実施形態に係る姿勢データ処理方法は、人体の少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データを取得し、取得された前記撮像データに基づいて、人体の第1姿勢を示す第1姿勢データを生成し、生成された前記第1姿勢データに基づいて、前記第1姿勢とは異なる人体の第2姿勢を示す第2姿勢データを生成し、生成された前記第2姿勢データに基づいて、前記第2姿勢データに対応する商品の情報を表示部に出力する。
【0037】
本開示においては、像データに基づいて第1姿勢データが生成され、第1姿勢データに基づいて第2姿勢データが生成される。
【0038】
本開示の一実施形態に係るコンピュータプログラムは、人体の少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データを取得し、取得された前記撮像データに基づいて、人体の第1姿勢を示す第1姿勢データを生成し、生成された前記第1姿勢データに基づいて、前記第1姿勢とは異なる人体の第2姿勢を示す第2姿勢データを生成し、生成された前記第2姿勢データに基づいて、前記第2姿勢データに対応する商品の情報を表示部に出力する処理をコンピュータに実行させる。
【0039】
本開示においては、像データに基づいて第1姿勢データが生成され、第1姿勢データに基づいて第2姿勢データが生成される。
【発明の効果】
【0040】
本開示の一実施形態に係る姿勢データ処理装置、椅子製造装置、椅子の製造方法、寝具製造装置、寝具選択装置、姿勢データ処理システム、姿勢データ処理方法、コンピュータプログラムにあっては、撮像データに基づいて第1姿勢データが生成され、第1姿勢データに基づいて第2姿勢データが生成される。即ち異なる姿勢データを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】実施の形態1に係る姿勢データ処理システムのブロック図である。
図2】端末機による撮像データの取得を説明する説明図である。
図3】撮像データと複数の蓄積データとの類似度の演算を説明する説明図である。
図4】寝姿勢の人体を説明する説明図である。
図5】座位姿勢データに含まれる情報を説明する説明図である。
図6】座位姿勢データに含まれる情報を説明する説明図である。
図7】データ処理装置による情報処理を説明するフローチャートである。
図8A】設計情報を説明する説明図である。
図8B】設計情報を説明する説明図である。
図9】実施の形態2に係る椅子製造装置のブロック図である。
図10】実施の形態3に係る姿勢データ処理システムの座位姿勢における距離Xを説明する説明図である。
図11】寝姿勢における距離Yを説明する説明図である。
図12】マットレスの略示部分拡大側面図である。
図13】体圧とマットレスの硬さとの関係を示すグラフである。
図14】マットレスの硬さと枕の高さとの関係を示すグラフである。
図15】データ処理装置による情報処理を説明するフローチャートである。
図16】実施の形態4に係る寝具製造装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係る姿勢データ処理システム1を示す図面に基づいて説明する。図1は、姿勢データ処理システム1のブロック図である。姿勢データ処理システム1は、データ処理装置2と、端末機3と、検索装置4とを備える。データ処理装置2、端末機3及び検索装置4はネットワークを介して通信可能に構成されている。データ処理装置2は、制御部2a、RAM2b、記憶部2c及び通信部2dを備える。制御部2a、RAM2b、記憶部2c及び通信部2dはバスを介して相互に接続されている。記憶部2cは書き換え可能に構成され、例えばEEPROM、フラッシュメモリ又はハードディスクなどを備える。
【0043】
制御部2aは例えばCPUを有する。なおCPUに代えてロジック回路、例えばFPGAを使用してもよい。通信部2dを介して、データ処理装置2と、端末機3及び検索装置4との間で有線又は無線通信が行われる。
【0044】
端末機3は、表示部3aと、操作部3bと、撮像部3cと、通信部3dと、RAM3eと、記憶部3fとを備える。端末機3は、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン又はタブレット端末である。表示部3aは表示画面を有する。操作部3bはキーボード、マウス又はタッチパネル等を有する。通信部3dを介して、端末機3とデータ処理装置2との間で有線又は無線通信が行われる。記憶部3fは書き換え可能に構成され、例えばEEPROM、フラッシュメモリ又はハードディスクなどを備える。記憶部3fにはアプリケーションプログラムが記憶されている。アプリケーションプログラムは記録媒体31、例えば光ディスク又はUSBメモリ等に記憶され、記録媒体31から記憶部3fにインストールされてもよい。またアプリケーションプログラムはサーバに記憶され、ネットワークを介してサーバから記憶部3fにダウンロードされてもよい。アプリケーションプログラムは、データ処理装置2における情報処理と協働して、表示部3aへの情報の表示及び操作部3bにおける操作の受け付けなどを実行する。
【0045】
図2は、端末機3による撮像データの取得を説明する説明図である。端末機3の撮像部3cは、例えばカメラを備える。なお端末機3の撮像部3cに代えて、3Dスキャナを使用してもよい。3Dスキャナを使用する場合、カメラを使用する場合に比べて、体表面の撮像精度を向上させることができる。
【0046】
撮像部3cによって、ユーザ(人体)の少なくとも一部が撮像される。例えば、上半身、胴体、下半身又は全身等が撮像される。撮像部3cは、ユーザの立位における少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データを取得する。カメラによる撮像の場合、例えば前後左右方向の少なくとも一つの方向からユーザを撮像する。
【0047】
ユーザは撮像を行う前又は後に操作部3bを操作して、撮像した部位を示す部位情報を、端末機3に入力する。例えば、「全体」、「上半身」、「臀部」等が入力される。入力された部位情報は、撮像データに紐づけられ、撮像データと共に記憶部3fに記憶される。記憶部3fに記憶された撮像データ及び部位情報は、データ処理装置2に送信され、記憶部2cに記憶される。
【0048】
部位情報の入力方法は、後述の蓄積データを活用してもよい。例えば各蓄積データに基づいて部位ごとに距離を演算し、演算した距離と、全体を撮像した撮像データとに基づいて、部位を入力してもよい。例えば、頭頂部から首の付け根までの距離を「頭部」の長さと定義した場合、各蓄積データにおいて、「頭部」の距離が身長全体に占める割合を演算し、演算された各割合の平均値を演算する。全体を撮像した撮像データに対して、頭頂部からの距離について、前記割合の平均値を適用する。適用して得られた距離に対応する撮像データの部分を「頭部」の撮像データとして記憶する。「上半身」についても同様である。「臀部」については、例えば各蓄積データにおいて、頭頂部から臀部上端までの距離が身長全体に占める割合を演算し、演算された各割合の平均値(第1平均値)を演算する。また各蓄積データにおいて、足先から臀部下端までの距離が身長全体に占める割合を演算し、演算された各割合の平均値(第2平均値)を演算する。全体を撮像した撮像データに対して、頭頂部からの距離について、前記第1平均値を適用する。また全体を撮像した撮像データに対して、足先からの距離について、前記第2平均値を適用する。第1平均値を適用して得られた距離と、第2平均値を適用して得られた距離とを、身長全体から減算する。減算して得られた距離に対応する撮像データの部分を「臀部」の撮像データとして記憶する。また人種毎、国毎に取得している体型データ規格、例えばJISL0111、ISO3635、ISO7250などに沿って各部位を推定し、記憶してもよい。
【0049】
ユーザは撮像を行う前又は後に操作部3bを操作して、生物学な性別、年齢、身長、体重及びBMIを端末機3に入力する。BMIは体型を示す情報に対応する。入力された性別、年齢、身長、体重及びBMIは撮像データに紐づけられ、撮像データと共にデータ処理装置22に送信され、記憶部2cに記憶される。なお身長、体重及びBMIのいずれか二つが端末機3に入力され、制御部2aは、入力された身長、体重及びBMIのいずれか二つから残り一つを算出し、記憶部2cに記憶してもよい。
【0050】
ユーザは撮像を行う前又は後に操作部3bを操作して、使用目的に応じた椅子の種類情報を端末機3に入力する。椅子の種類情報は、例えば、作業用の椅子を示す第1タイプ、軽作業用の椅子を示す第2タイプ、軽作業及び軽休息用の椅子を示す第3タイプ、軽休息用の椅子を示す第4タイプ、休息用の椅子を示す第5タイプ、深い休息用の椅子を示す第6タイプ、車椅子を示す第7タイプである。入力された椅子の種類情報はデータ処理装置22に送信され、記憶部2cに記憶される。
【0051】
記憶部2cには、立位における人体の体表面形状全体を示す複数の異なるデータ(蓄積データ)と、寝姿勢データの生成処理、座位姿勢データの生成処理、椅子の設計情報の演算処理、椅子の商品情報の抽出処理等を実行するコンピュータプログラム(プログラム製品)が記憶されている。各蓄積データに対して、性別、年齢、身長、体重及びBMIが紐づけられ、記憶部2cに記憶されている。記憶部2cには、種々の閾値が記憶されている。制御部2aはプログラムをRAM2bに読み出して座位姿勢データの生成処理、椅子の設計情報の演算処理、椅子の商品情報の抽出処理等の情報処理を実行する。コンピュータプログラムは記録媒体30、例えば光ディスク又はUSBメモリ等に記憶され、記録媒体30から記憶部2cにインストールされてもよい。またコンピュータプログラムはサーバに記憶され、ネットワークを介してサーバから記憶部2cにダウンロードされてもよい。
【0052】
検索装置4には、椅子の商品情報が記憶されている。椅子の商品情報は、例えば、座面高さ、座面奥行寸法、座面横寸法、背もたれの高さ、背もたれの横寸法、肘掛けの高さ、ヘッドサポートの高さ、座面の形状及び背もたれの形状、椅子の製造番号、椅子の画像、椅子の在庫数等を含む。奥行寸法は前後寸法に対応し、横寸法は左右寸法に対応する。検索装置4はデータ処理装置2からの要求に応じて、商品情報を検索し、データ処理装置2に送信する。データ処理装置2は商品情報を端末機3に送信し、端末機3は商品情報を表示部3aに表示する。
【0053】
座位姿勢データの生成処理について説明する。図3は、撮像データと複数の蓄積データとの類似度の演算を説明する説明図である。図3において、ハッチングにて示された部分は蓄積データの上半身部分を示し、撮像データに対応する部分を示す。
【0054】
例えば、図3に示すように、制御部2aが撮像部3cから人体の上半身を撮像した撮像データを取得した場合、制御部2aは撮像データに紐づけられた部位情報(本実施例では「上半身」)を参照する。なお上半身は一例であり、胴体、下半身、臀部又は全身等を撮像した撮像データを使用してもよい。複数の蓄積データそれぞれにおける上半身部分と、撮像データとを比較し、類似度を演算する。類似度としては、例えば上半身の正面若しくは左右側面の輪郭線の一致割合、又は上半身の正面若しくは左右側面の投影面積の一致割合が挙げられる。制御部2aは、類似度が80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の一又は複数の蓄積データを選択する。選択された蓄積データが複数ある場合、最も類似度の高い蓄積データを更に選択する。例えば図3に示すように、制御部2aは、抽出された三つの蓄積データ101~103から、最も類似度の高い一つの蓄積データ101を更に選択する。
【0055】
なお蓄積データに紐づけられた体重、身長、BMI及び/又は年齢と、撮像データに紐づけられた体重、身長、BMI及び/又は年齢とを比較し、体重、身長、BMI及び/又は年齢の差が小さくなるに従って類似度が高くなるように、類似度を補正してもよい。また蓄積データに紐づけられた体重及び身長からBMIを算出し、撮像データの体重及び身長から算出されたBMIと、蓄積データの体重及び身長から算出されたBMIとが小さくなるに従って類似度が高くなるように、類似度を補正してもよい。また蓄積データに紐づけられた性別と、撮像データに紐づけられた性別が一致する場合に、類似度が高くなるように、類似度を補正してもよい。
【0056】
図4は、寝姿勢の人体を説明する説明図である。図4は仰向けの寝姿勢を示す。制御部2aは最も類似度の高い一つの蓄積データを寝姿勢に変換する。換言すれば、制御部2aは最も類似度の高い立位データに基づいて寝姿勢データを生成する。制御部2aは、例えば人体の胸部背面の頂点P1及び臀部背面の頂点P2が同じ線上に存在するように、蓄積データを寝姿勢データに変換する。線は、例えばマットレスの表面に対応する。制御部2aは寝姿勢データに基づいて座位姿勢データを生成する。
【0057】
図5及び図6は、座位姿勢データに含まれる情報を説明する説明図である。図5は座位姿勢の人体を横から視認した図であり、図6は座位姿勢の人体を後から視認した図である。図6において、20は椅子の座を示し、21は椅子の肘掛けを示す。座位姿勢データは、座位姿勢の人体における太腿下面(座面)と頭頂との間の上下寸法(座面高)Da、足裏と太腿下面との間の上下寸法(下腿高)Db、臀部の横寸法Dc、背中の横寸法Dd、膝と腰(又は臀部)背面との間の奥行寸法De、足裏から肘までの上下寸法Dfを含む。
【0058】
ユーザは端末機3を操作して、撮像部3cにて自身の体の少なくとも一部を撮像し、部位情報、性別、年齢、身長、体重及びBMI等の情報を入力し、情報処理の開始指示をデータ処理装置2に送信する。
【0059】
図7は、データ処理装置2による情報処理を説明するフローチャートである。図7に示すように、データ処理装置2の制御部2aは、端末機3から情報処理の開始指示が入力されたか否か判定する(S1)。開始指示が入力されていない場合(S1:NO)ステップS1に処理を戻す。開始指示が入力された場合(S1:YES)、制御部2aは端末機3から撮像データを取得し(S2)、部位情報、性別、年齢、身長、体重及びBMI等の情報を取得し(S3)、椅子の種類情報を取得する(S4)。制御部2aは記憶部2cから蓄積データを一つ選択する(S5)。
【0060】
制御部2aは、撮像データが示す部位の体表面形状に対応する蓄積データの体表面形状を抽出し(S6)、抽出した蓄積データの体表面形状と撮像データの体表面形状との類似度を演算し、類似度が閾値以上であるか否か判定する(S7)。なお上述したように、体重、身長又はBMIに基づいて類似度を補正してもよい。類似度が閾値以上である場合(S7:YES)、制御部2aは選択した蓄積データを記憶部1cに記憶し(S8)、全ての蓄積データと撮像データとを比較したか否か判定する(S9)。ステップS7において、類似度が閾値以上でない場合(S7:NO)、即ち類似度が閾値未満である場合、制御部2aはステップS9に処理を進める。
【0061】
ステップS9において、全ての蓄積データと撮像データとを比較していない場合(S9:NO)、制御部2aはステップS5に処理を戻し、次の蓄積データを選択する(S5)。制御部2aは複数の蓄積データを順に選択する。ステップS9において、全ての蓄積データと撮像データとを比較した場合(S9:YES)、制御部2aは、類似度が閾値以上の蓄積データから最も類似度の高い蓄積データを選択する(S10)。
【0062】
制御部2aは、選択された蓄積データに基づいて、寝姿勢データを生成する(S11)。蓄積データは立位における少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データである。例えば制御部2aは、蓄積データの位置情報を寝姿勢の位置情報に変換し、また蓄積データが示す各部位の長さを補正して、寝姿勢データを生成する。
【0063】
制御部2aは、生成された寝姿勢データに基づいて、座位姿勢データを生成する(S12、図5図6参照)。例えば、制御部2aは寝姿勢データの下腿及び脚の位置を、膝を中心にして略90度下側に回転させた位置に変換する。また胴及び頭部の位置を、腰を中心にして略90度上側に回転させた位置に変換する。また手及び前腕を、肘を中心にして略90度前側に回転させた位置に変換する。また座面高Da、下腿高Db、臀部の横寸法Dc、背中の横寸法Dd、膝と腰(又は臀部)背面までの奥行寸法De及び足裏から肘までの上下寸法Df等を生成する。
【0064】
制御部2aは、座った状態の臀部の横幅は少し拡がることを考慮して、寝姿勢データにおける臀部の横幅よりも少し大きい値、例えば寝姿勢データにおける臀部の横幅を略1.1倍した値を、座位姿勢における臀部の横幅Dcにしてもよい。また、大腿部の長さに腰又は臀部の前後幅を加算した値を奥行寸法Deと定義し、寝姿勢データにおける大腿部の長さを略1.2倍した値を奥行寸法Deとしてもよい。
【0065】
制御部2aは、生成された座位姿勢データと、取得した椅子の種類情報(ステップS4参照)とに基づいて、設計情報を演算する(S13)。
【0066】
図8A及び図8Bは、設計情報を説明する説明図である。図8Aは、側面から視認した椅子を示し、図8Bは、正面から視認した椅子を示す。図8Aにおいて、ヘッドサポートは省略されている。設計情報は、ユーザの体表面の形状に対応した椅子の各部分の寸法及び曲率等を含む情報である。以下の説明において「高さ」は、ユーザの足裏又は椅子が設置される床面・地面からの上方向の距離を示す。設計情報は、例えば、椅子の座面高さK1、座面奥行K2、座面横寸法K3、背もたれ上下寸法K4、背もたれ横寸法K5、肘掛けの高さK6、ヘッドサポートの上下寸法K7、背もたれの曲率R1、座面及び背もたれの連結部分の曲率R2、水平面と座面とがなす角度θ1、座面と背もたれがなす角度θ2を含む。
【0067】
例えば、椅子の座面高さK1は、座位姿勢における下腿高Db×係数A1~A7によって演算される。座面奥行K2は、膝と腰(又は臀部)背面との間の奥行寸法De×係数B1~B7によって演算される。座面横寸法K3は、座位姿勢における臀部の横寸法Dc×係数C1~C7によって演算される。背もたれ上下寸法K4は、座面高Da×係数D1~D7によって演算される。背もたれ横寸法K5は、背中の横寸法Dd×係数E1~E7によって演算される。肘掛けの高さK6=足裏から肘までの上下寸法Df×F1~F7によって演算される。なお係数A1~A7は、種類情報の第1~第7タイプそれぞれに対応した係数であり、記憶部2cに予め記憶されている。係数B1~B7、C1~C7、D1~D7、E1~E7、F1~F7も同様に、種類情報の第1~第7タイプそれぞれに対応し、記憶部2cに予め記憶されている。
【0068】
ヘッドサポートの上下寸法K7は、座面高Da-背もたれ上下寸法K4によって演算される。背もたれの曲率R1は、種類情報の第1~第7タイプそれぞれに対応した曲率R1a~R1gを含み、記憶部2cに予め記憶されている。座面及び背もたれの連結部分の曲率R2は、種類情報の第1~第7タイプそれぞれに対応した曲率R2a~R2gを含み、記憶部2cに予め記憶されている。水平面と座面とがなす角度θ1は、種類情報の第1~第7タイプそれぞれに対応した角度θ1a~θ1gを含み、記憶部2cに予め記憶されている。角度θ1a~θ1gは、例えば0~30度の範囲の角度であり、第1タイプ~第6タイプの昇順に角度が大きくなる。第7タイプ(車椅子)の角度θ1gは、θ1a~θ1fとは異なる角度でもよいし、θ1a~θ1fのいずれかと同じ角度でもよいし、ユーザの希望に応じていずれかの角度が選択されてもよい。座面と背もたれがなす角度θ2は、種類情報の第1~第7タイプそれぞれに対応した角度θ2a~θ2gを含み、記憶部2cに予め記憶されている。角度θ2a~θ2gは、例えば90~130度の範囲の角度であり、第1タイプ~第6タイプの昇順に角度が大きくなる。第7タイプ(車椅子)の角度θ2gは、θ2a~θ2fとは異なる角度でもよいし、θ2a~θ2fのいずれかと同じ角度でもよいし、ユーザの希望に応じていずれかの角度が選択されてもよい。
【0069】
制御部2aは、取得した種類情報の第1~第7タイプに対応した、椅子の座面高さK1、座面奥行K2、座面横寸法K3、背もたれ上下寸法K4、背もたれ横寸法K5、肘掛けの高さK6、ヘッドサポートの上下寸法K7を演算する。なお制御部2aは、第1~第7タイプに対応した背もたれの曲率R1、座面及び背もたれの連結部分の曲率R2、水平面と座面とがなす角度θ1、座面と背もたれがなす角度θ2を座位姿勢データに基づいて演算してもよい。
【0070】
制御部2aは、既製の複数の椅子の情報を記憶した検索装置4を使用して、演算された設計情報に近い商品情報、即ち、既製の複数の椅子の情報から、演算された設計情報に近い設計情報を有する椅子の情報を抽出する(S14)。制御部2aは、例えば演算された設計情報を構成する各情報(椅子の座面高さK1、座面奥行K2、座面横寸法K3、背もたれ上下寸法K4、背もたれ横寸法K5、肘掛けの高さK6、ヘッドサポートの上下寸法K7、背もたれの曲率R1、座面及び背もたれの連結部分の曲率R2、水平面と座面とがなす角度θ1、座面と背もたれがなす角度θ2等)と、既製の椅子における設計情報を構成する各情報との差分を演算した場合、各差分の絶対値の合計が閾値以下であり、且つ、各差分の絶対値が、演算された設計情報を構成する各情報の20%以内(即ち演算された設計情報に対する誤差が何れの情報おいても20%以内)であること、即ち検索条件を検索装置4に送信する。検索装置4は、検索条件に合う商品情報を検索し、データ処理装置2に送信する。制御部2aは、受信した商品情報を前記合計に基づいて降順に並べ、1~3番目の商品情報を抽出する。
【0071】
制御部2aは、抽出された1~3番目の商品情報を端末機3に送信し、表示部3aに表示させる(S15)。なお端末機3に送信される商品情報には、商品の画像、商品番号、商品名等も含まれる。制御部2aは、ユーザによって操作部3bが操作され、1~3番目の商品情報の何れかが選択されたことを受け付けたか否か判定する(S16)。商品情報の選択を受け付けていない場合(S16:NO)、制御部2aはステップS16に処理を戻す。商品情報の選択を受け付けた場合(S16:YES)、制御部2aは、ユーザによって操作部3bが操作され、選択された商品情報に係る商品(椅子)に設けられるカバー及びクッション等の付属品、又は商品自体の素材等が選択されたことを受け付けたか否か判定する(ステップS17)。付属品又は商品自体の素材等が選択されたことを受け付けていない場合(S17:NO)、制御部2aはステップS17に処理を戻す。付属品又は商品自体の素材等が選択されたことを受け付けた場合(S17:YES)、制御部2aは、選択された商品情報及び素材と、選択された付属品とをユーザの購入希望商品に決定し、購入希望商品の情報を端末機3に送信し、表示部3aに購入希望商品の情報を表示させ(S18)、処理を終了する。
【0072】
データ処理装置2は、端末機3から購入決定指令を受信した場合、購入処理を実行してもよい。例えば、制御部2aは在庫データにアクセスし、購入希望商品の在庫がある場合、配送手続処理を実行し、在庫がない場合、端末機3に製造待ち通知を送信する。
【0073】
なお姿勢データ処理システム1は、データ処理装置2、端末機3及び検索装置4が相互に通信可能に構成されている場合に限定されない。例えばデータ処理装置2、端末機3及び検索装置4のいずれか二つ又は全てが一つの装置を構成してもよい。
【0074】
ステップS10での蓄積データの選択において、複数の蓄積データを選択してもよい。例えば、最も類似度の高い第1蓄積データと、第1蓄積データの次に類似度の高い第2蓄積データと、第2蓄積データの次に類似度の高い第3蓄積データとを選択し、第1~第3蓄積データそれぞれについて、寝姿勢データを生成してもよい。また第1~第3蓄積データそれぞれについて生成した寝姿勢データの各部位の寸法の平均値又は二乗平均を、寝位姿勢データの各部位の寸法に決定してもよい。
【0075】
ステップS17において、制御部2aは、選択された商品情報に係る商品(椅子)に、選択されたカバー及びクッション等の付属品、又は選択された商品自体の素材を適用し、適用後の商品を示す画像を端末機3に表示させてもよい。ユーザは、異なる付属品又は素材が適用された複数の商品を示す画像を確認し、付属品又は素材が適用されたいずれかの商品を選択することができる。即ち、商品に適用された状態を確認して、付属品又は素材を選択することができる。また制御部2aは、付属品及び素材を商品に適用した画像を表示せずに、付属品及び素材を示す画像を商品の画像の横に並べて端末機3に表示させてもよい。
【0076】
実施の形態1に係る姿勢データ処理システム1、データ処理装置2及びコンピュータプログラムにあっては、人体の少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データに基づいて、寝姿勢データが生成される。寝姿勢データに基づいて、座位姿勢データが生成される。生成された座位姿勢データに基づいて、椅子の情報が表示される。ユーザは立位の自身の体を撮像するだけで、ユーザの体に合った椅子の情報を取得することができる。
【0077】
また撮像データと、人体の体表面形状全体を示す複数の異なる蓄積データとを比較し、類似度の高い少なくとも一つの蓄積データを選択し、選択された蓄積データに基づいて、寝姿勢データを生成し、寝姿勢データに基づいて座位姿勢データを生成することができる。
【0078】
またユーザの人体情報と同様な人体情報を有する蓄積データが選択される。
【0079】
例えばユーザからの操作に基づいて、少なくとも一つの椅子の商品情報から、いずれか一つの商品情報が選択される。選択された商品情報は、例えば椅子の在庫データと照合され、在庫の有無が確認される。
【0080】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係る椅子製造装置を示す図面に基づいて説明する。実施の形態2に係る構成の内、実施の形態1と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0081】
図9は、椅子製造装置のブロック図である。実施の形態2においては、姿勢データ処理システム1と、製造装置5とを備える。製造装置5は工作機械又は3Dプリンタ等を備える。上述のステップS13において、設計情報が演算された場合、データ処理装置2は、設計情報に係る椅子の画像及び設計情報を端末機3に送信する。端末機3は表示部3aに前記椅子の画像及び設計情報を表示する。
【0082】
ユーザが操作部3bを操作し、設計情報に係る椅子の発注指令を端末機3に入力した場合、データ処理装置2は発注指令及び設計情報を製造装置5に送信する。製造装置5の操作者は、設計情報に基づいて、製造装置5を用いて椅子を製造する。なお、操作者の操作に依らずに製造装置5が自動的に椅子を製造してもよい。
【0083】
実施の形態2に係る椅子製造装置及び椅子の製造方法にあっては、製造装置5は設計情報に基づいて、ユーザの体に合った椅子を製造する。即ちユーザの体表面形状に適したオーダーメイドの椅子が製造される。
【0084】
(実施の形態3)
以下本発明を実施の形態3に係る姿勢データ処理システムを示す図面に基づいて説明する。実施の形態3の構成の内、実施の形態1又は2と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0085】
実施の形態3において、記憶部2cには、立位における人体の体表面形状全体を示す複数の異なるデータ(蓄積データ)と、座位姿勢データの生成処理、寝姿勢データの生成処理、及び寝具の選択を実行するコンピュータプログラムプログラム(プログラム製品)が記憶されている。各蓄積データに対して、性別、年齢、身長、体重及びBMIが紐づけられ、記憶部2cに記憶されている。記憶部2cには、種々の閾値が記憶されている。制御部2aはプログラムをRAM2bに読み出して寝姿勢データの生成処理及び寝具の選択処理等を実行する。コンピュータプログラムは記録媒体30、例えば光ディスク又はUSBメモリ等に記憶され、記録媒体30から記憶部2cにインストールされてもよい。またコンピュータプログラムはサーバに記憶され、ネットワークを介してサーバから記憶部2cにダウンロードされてもよい。
【0086】
制御部2aは最も類似度の高い一つの蓄積データを座位姿勢に変換する。換言すれば、制御部2aは最も類似度の高い立位データに基づいて座位姿勢データを生成する。制御部2aは、例えば人体の胸部背面の頂点A及び臀部背面の頂点Bが同じ基準線S上に存在するように、蓄積データを座位姿勢データに変換する。制御部2aは座位姿勢データに基づいて寝姿勢データを生成する。
【0087】
図10は、座位姿勢における距離Xを説明する説明図である。距離X(第1距離)について説明する。図2に示すように、座位姿勢における人体の胸部背面の頂点A及び臀部背面の頂点Bを結んだ線をSとする。人体の背面において、頂点Aと頂点Bとの間の部分の表面は、正面に向けて突出するように円弧状に湾曲する。この円弧状に湾曲した曲面の頂点C1と線Sとの間の距離がXである。距離Xは座位姿勢データに含まれる。
【0088】
図11は、寝姿勢における距離Yを説明する説明図である。寝姿勢(図11においては仰向け)における人体の胸部背面の頂点A及び臀部背面の頂点Bの間の部分の表面は、正面に向けて突出するように円弧状に湾曲する。この円弧状に湾曲した曲面の頂点C2と線Sとの間の距離Y(第2距離)とする。距離Yが適切な距離になるようなマットレスを使用することによって、寝姿勢の人体をリラックスさせることができる。換言すれば、より深い睡眠を人体に与えることができる。寝姿勢の人体をリラックスさせることができる適切な距離Yは距離Xよりも小さい。例えば、適切な距離Yは、(3/4)*X以下であり、好ましくは(1/3)*X~(1/2)*Xである。即ち、Y=aXとし、係数aを3/4以下の適切な数値に設定することによって、XからYを求めることができる。データ処理装置2は、抽出された蓄積データに紐付いた距離Xから距離Yを算出する。
【0089】
就寝時にマットレスを使用する場合、適切な距離Yを保つ為には、マットレスの硬さが重要である。図12は、マットレスの略示部分拡大側面図である。マットレス10は、例えば第1層11と、第1層11の下側に配置された第2層12と、第2層12の下側に配置された第3層13とを備える。第1層11は、人体が接触する部分である。第1層11の硬さは、人体の睡眠の深さにはほとんど影響しない。そのため、第1層11の硬さは、ユーザが官能的に満足できるものを選択すればよい。第3層は、第2層を平らに受けたまま上下することができる構造となっている。第3層13の硬さは、人体の睡眠の深さにはほとんど影響しない。そのため、第3層は、第2層を平らに受けたまま上下することができる構造を採用すれば足りる。
【0090】
第1層11及び第3層13の硬さに比べて、第2層12の硬さは人体の睡眠の深さに与える影響は大きい。以下に述べるマットレス10の硬さとは、主に第2層12の硬さをいう。なお距離Yが長くなるに従って、硬さがより柔らかくなるようなマットレス10を使用するとよい。距離Yが長くなるに従って、前述した人体背面の頂点A及び頂点Bに、マットレス10から、より大きな上向きの力が作用する。そのため、より柔らかいマットレス10を使用することによって、頂点A及び頂点Bに作用する圧力を低くし、人体の快適性を向上させることができる。
【0091】
なお第1層11、第2層12及び第3層13は、それぞれ、複数の層から構成されていてもよい。また上述の体型データ規格に基づいて、人体を各部位に区分けし、部位毎に素材を決定してもよい。同じ素材を複数の部位に使用する場合であっても、部位毎に硬さや表面形状を変更してもよい。即ち各部位に対応した各部品を組み合わせて作る特注品としてもよい。
【0092】
また線Sと後頭部との間の距離Dを適切な距離に保つことによって、寝姿勢の人体をリラックスさせることができる(図11参照)。ここで距離Dは、マットレス10の上に人体が寝て、マットレス10が沈んで人体が落ち着いた状態にある場合における、線Sと後頭部との間の距離である。適切な距離Dは、6~8cm程度である。距離Dを適切な距離に保つためには、適切な高さの枕を使用する必要がある。
【0093】
図13は、体圧とマットレス10の硬さとの関係を示すグラフG1である。グラフG1において、右側に向かうに従ってマットレス10の硬さは、より硬くなる。グラフG1において、上側に向かうに従って体圧は大きくなる。
【0094】
グラフG1に示すように、体圧が大きくなるに従って、硬さがより柔らかくなるようなマットレス10を使用する必要がある。より柔らかいマットレス10を使用することによって、人体背面の体圧は分散され、人体の快適性を向上させることができる。体圧は、人体の体重を背面側の体表面積で除した値である。体表面積は、例えば、人体の背面を長方形に近似させて演算される。即ち、人体の身長と横幅との積が体表面積である。横幅は、身長、体重及びBMIの少なくとも二つに基づいて演算される。例えば、身長及び体重が設定されている場合、例えば、肥満型、普通型又は痩せ型の三つのタイプがわかる。肥満型、普通型及び痩せ型の各タイプに応じて、身長に対する横幅の割合を予め設定する。身長と前記割合の積を演算し、横幅が演算される。なお上述の体型データ規格を使用して、横幅を演算してもよい。
【0095】
BMIは身長及び体重に基づいて定まるので、BMI及び身長が予め設定されていれば、体重を求めることができる。BMI及び体重が予め設定されていれば、身長を求めることができる。即ち、身長及び体重が設定されている場合と同様にして、体圧を求めることができる。
【0096】
なお人体の一部に作用する体圧を求め、求めた体圧に基づいてマットレス10の硬さを求めてもよい。例えば腰部の体圧を求め、腰部の体圧に基づいてマットレス10の硬さを求めてもよい。寝姿勢における人体の体重に対する人体の各部の重さの割合(体重比)は測定によって、予め求められている。例えば腰部の体重比は体重の約44%である。人体の体重に腰部の体重比を乗算し、腰部の重さを算出する。また腰部の背面側面積を測定によって予め求める。算出された腰部の重さを測定された面積で除算し、腰部の体圧を算出することができる。算出された体圧に基づいてマットレス10の硬さを求める。腰部以外の部分の体圧を求める場合も同様である。
【0097】
なおマットレス10の形状に応じて、求めた体圧を補正してもよい。例えばマットレス10における体重が作用する部分の面積が小さくなるに従って、マットレス10をより柔らかくし、前記面積が大きくなるに従って、マットレス10をより硬くするように補正する。
【0098】
体重を面積で除算する場合、例えば正確に一人ずつ手作業で体の各部の面積を求めてもよいし、男女それぞれの面積の平均値を算出してもよい。また年代順に面積の平均値を出してもよいし、世代別に算出してもよい。人体の各部位における体重比を求める場合も、同様に手作業で求めてもよいし、男女それぞれの平均値、年代別又は世代別に求めてもよい。また体重を撮影画像各部位の表面積で割り各部位の体圧を出して、その体圧を支えるに適するマットレス10を決定してもよい。
【0099】
なお素材によって、体圧とマットレス10の硬さとの関係はグラフG1の逆の関係になることがある。例えば、ラテックス(ゴム系)材、即ち弾性力が大きい素材によってマットレス10が構成されている場合、体圧分散のために、グラフG1の関係が採用される。一方、例えばウレタン材、即ち弾性力が小さい素材によってマットレス10が構成されている場合、グラフG1の逆の関係が採用される。グラフG1の関係を採用した場合、頂点A及び頂点Bの間の部分がマットレス10に沈み、距離Yが適切な距離にならないからである。
【0100】
図14は、マットレス10の硬さと枕の高さとの関係を示すグラフG2である。グラフG2に示すように、マットレス10の硬さが硬くなるに従って、枕の高さが高くなる。マットレス10が硬い場合、胸部及び臀部はマットレス10に深く沈みにくい。即ち線Sの位置は上側に位置する。そのため、適切な距離Dを保つ為には、枕の高さは高くする必要がある。一方、マットレスが柔らかい場合、胸部及び臀部は全体的に深く沈みやすい。即ち、線Sの位置は下がる。そのため、適切な距離Dを保つ為には、枕の高さは低くする必要がある。なお枕の素材又は硬さを調整し、高さを調整することもできる。またマットレス10又は枕の中材の表面形状を調整し、柔らかさ・硬さを変更するのと同様な効果を生じさせてもよい。例えば中材の表面形状のうち人体に接する面の面積が小さくなるに従って、人体に作用する体圧が高くなり、ユーザは、より柔らかく感じる。即ち、同一素材から構成されるマットレス10の表面を加工し、人体が沈み込みやすい部分と、人体が沈み込み難い度部分とを形成し、柔らかさ・硬さを変更するのと同様な効果を生じさせてもよい。例えば、マットレス10の表面に形成した切り込みが多くなるに従って、人体が沈み込みやすくなり、切り込みが少なくなるに従って、人体が沈み込み難くなる。
【0101】
図15は、データ処理装置2による情報処理を説明するフローチャートである。図15に示すように、データ処理装置2の制御部2aは、端末機3から情報処理の開始指示が入力されたか否か判定する(S31)。開始指示が入力されていない場合(S31:NO)ステップS31に処理を戻す。開始指示が入力された場合(S31:YES)、制御部2aは端末機3から撮像データを取得し(S32)、部位情報、性別、年齢、身長、体重及びBMI等の情報を取得する(S33)。制御部2aは記憶部2cから蓄積データを一つ選択する(S34)。
【0102】
制御部2aは、撮像データが示す部位の体表面形状に対応する蓄積データの体表面形状を抽出し(S35)、抽出した蓄積データの体表面形状と撮像データの体表面形状との類似度を演算し、類似度が閾値以上であるか否か判定する(S36)。なお上述したように、体重、身長又はBMIに基づいて類似度を補正してもよい。類似度が閾値以上である場合(S36:YES)、制御部2aは選択した蓄積データを記憶部1cに記憶し(S37)、全ての蓄積データと撮像データとを比較したか否か判定する(S38)。ステップS36において、類似度が閾値以上でない場合(S36:NO)、即ち類似度が閾値未満である場合、制御部2aはステップS38に処理を進める。
【0103】
ステップS38において、全ての蓄積データと撮像データとを比較していない場合(S38:NO)、制御部2aはステップS34に処理を戻し、次の蓄積データを選択する(S34)。制御部2aは複数の蓄積データを順に選択する。ステップS38において、全ての蓄積データと撮像データとを比較した場合(S38:YES)、制御部2aは、類似度が閾値以上の蓄積データから最も類似度の高い蓄積データを選択する(S39)。
【0104】
制御部2aは、選択された蓄積データに基づいて、座位姿勢データを生成する(S40、図10参照)。蓄積データは立位における少なくとも一部の体表面形状に係る撮像データである。例えば制御部2aは、蓄積データの位置情報を座位姿勢の位置情報に変換し、また蓄積データが示す各部位の長さを補正して、座位姿勢データを生成する。例えば、制御部2aは蓄積データの膝の位置を、腰を中心にして略90度前側に回転させた位置に変換する。また下腿及び脚を、膝を中心にして略90度下側に回転させた位置に変換する。また手及び前腕を、肘を中心にして略90度前側に回転させた位置に変換する。また座面高Da、下腿高Db、臀部の横寸法Dc、背中の横寸法Dd、膝と腰(又は臀部)背面までの奥行寸法De及び足裏から肘までの上下寸法Df等を生成する。
【0105】
制御部2aは、生成された座位姿勢データに基づいて、寝姿勢データを生成する(S41)。制御部2aは、座位姿勢データに含まれる距離Xに基づいて、距離Yを演算する(S42)。距離Yは、例えば前述の式Y=aXによって演算される。制御部2aは、ステップS33にて取得した身長、体重及びBMIの少なくとも二つに基づいて体圧を演算し、体圧をグラフG1に適用して、マットレス10の硬さを演算する(S43)。
【0106】
制御部2aは、マットレス10の硬さを検索装置4に送信する(S44)。マットレス10の硬さを受信した検索装置4は、マットレス10の硬さに対応する三つのマットレス10の製造番号、画像、寸法等をデータ処理装置2に送信する。三つのマットレス10は、例えば受信したマットレス10の硬さに最も近い硬さのマットレス10、二番目に近い硬さのマットレス10及び三番目に近い硬さのマットレス10である。また検索装置4は、三つのマットレス10それぞれに対応した三つの枕の製造番号、画像、寸法等をデータ処理装置2に送信する。即ち検索装置4は、寝姿勢データに基づいて、複数の寝具から少なくとも一つの寝具を選択する。
【0107】
制御部2aは、検索装置4から、三つのマットレス10及び三つの枕に関する製造番号、画像、寸法等、即ち寝具情報を受信したか否か判定する(S45)。寝具情報を受信していない場合(S45:NO)、制御部2aはステップS45に処理を戻す。寝具情報を受信している場合(S45:YES)、制御部2aは、三つのマットレス10及び三つの枕に関する製造番号、画像、寸法等を表示部3aに表示させる(S46)。制御部2aは、三つのマットレス10のいずれか一つと、三つの枕のいずれか一つとが選択されたか否か、即ち寝具が選択されたか否か判定する(S47)。ユーザは、三つのマットレス10のいずれか一つと、三つの枕のいずれか一つとを選択する。ユーザは、例えば、三つのマットレス10のサンプルの上に寝て、最も快適なマットレス10を選択する。
【0108】
制御部2aは、前述したように、マットレス10の硬さに基づいて、適切な枕の高さを演算する。制御部2aは三つの枕、例えば演算した枕の高さに最も近い高さの第1枕、二番目に近い高さの第2枕及び三番目に近い高さの第3枕を決定し、第1枕、第2枕及び第3枕を表示部3aに表示させる。ユーザは、第1枕、第2枕及び第3枕からいずれか一つを選択する。ユーザは、第1枕、第2枕及び第3枕のサンプルを試用して、最も快適な枕を選択する。
【0109】
なお制御部2aが自動的に枕を選択してもよい。例えば第1マットレスに対応した適切な高さの枕が第1枕であり、第2マットレスに対応した適切な高さの枕が第2枕であり、第3マットレスに対応した適切な高さの枕が第3枕である場合、第1マットレスが選択されれば、第1枕が自動的に選択され、第2マットレスが選択されれば、第2枕が自動的に選択され、第3マットレスが選択されれば、第3枕も自動的に選択される。即ちユーザが第1マットレス、第2マットレス又は第3マットレスのいずれかを選択すれば、第1枕、第2枕又は第3枕のいずれかが自動的に選択される。
【0110】
寝具が選択されていない場合(S47:NO)、制御部2aはステップS47に処理を戻す。寝具が選択された場合(S47:YES)、制御部2aは選択されたマットレス10の第1層11が選択されているか否か判定する(S48)。上述したように、第1層11の選択は、官能的に満足できるものをユーザが選択することによって実行される。第1層11が選択されていない場合(S48:NO)、制御部2aはステップS48に処理を戻す。第1層11が選択されている場合(S48:YES)、制御部2aは、マットレス10及び枕を決定し、決定されたマットレス10及び枕を表示部3aに表示して(S49)、処理を終了する。なお制御部2aは、アンケート結果に基づいて、決定されたマットレス10及び枕の高さを調整するためのシーツカバー又は敷きパッド等を、マットレス10及び枕と共に表示部3aに表示してもよい。
【0111】
例えば、寝具販売者は、決定されたマットレス10及び枕を倉庫からユーザに搬送させることができる。なおステップS48における第1層11の選択時に、枕の表層を併せて選択してもよい。
【0112】
また距離Yに基づいて寝具が選択される場合に限定されず、寝姿勢における人体背面の任意の箇所と線Sとの間の距離に基づいて寝具が選択されてもよい。例えば、頸椎、胸椎、腰椎又は仙骨に対応する箇所と線Sとの間の距離に基づいて寝具が選択されてもよい。頸椎、胸椎、腰椎又は仙骨に対応する箇所と線Sとの間の距離は距離Xの約半分である。
【0113】
またユーザから予めアンケートを取り、アンケート結果に基づいて、表示部に表示する寝具を変更してもよい。アンケートの取り方は、アンケート用紙を使用し、ユーザが前記用紙に記入してもよいし、液晶画面又はタッチパネルを有する表示部にアンケート内容を表示し、ユーザがキーボード又はタッチパネルを操作して回答してもよい。例えば、アンケートにて筋肉量が多いとユーザが回答した場合、肩に対応する部分を他の部分よりも柔らかくしたマットレス10を表示部に表示してもよい。筋肉量が多いと回答したユーザにおいては、肩の筋肉量が他のユーザよりも多い傾向にある。肩に対応する部分を他の部分よりも柔らかくすることによって、肩に作用する圧力が分散され、ユーザの快適性が向上する。
【0114】
例えばアンケートにて猫背を治したいとユーザが回答した場合、肩及び腰それぞれに対応する部分を他の部分よりも硬くし、前記他の部分は、肩及び腰それぞれに対応する部分から離れるに従ってより柔らかくなるマットレス10を表示部に表示してもよい。肩及び腰それぞれに対応する部分を他の部分よりも硬くすることによって、寝姿勢において、背中が反り易くなる。即ち猫背の改善が期待できる。
【0115】
例えば、首や腰などの関節に対して例えば事故や経年劣化などによる損傷がある場合はユーザにアンケートで事前に回答しておいて貰ってもよい。例えば、タッチパネルに人体画像を表示させて、首に損傷があるユーザには人体画像の首又は首付近に表示されたボタンをタップして貰い、腰に損傷があるユーザには人体画像の腰又は腰付近に表示されたボタンをタップして貰う。アンケート結果に基づいて、姿勢データ処理装置は、首なら首、腰なら腰に負荷が作用し難い組み合わせの寝具の中から、ユーザの体表面形状に合う寝具を選択し、選択された寝具の情報を表示部に表示させてもよい。具体的には、姿勢データ処理装置は、首や腰などの負荷を作用させたくない関節以外の体の部位に体圧が作用する寝具を選択してもよく、又は負荷を作用させたくない部位以外の全ての部位にて体圧を分散して受け止められるように組み合わせた複数の寝具を選択してもよい。
【0116】
またユーザの好みに応じて表示部に表示する寝具を変更してもよい。例えば、通気性の度合、肌触り、素材に対するアレルギーの有無、枕の高さの度合、枕の硬さの度合等に関するアンケートの好みについて、ユーザが回答した場合、ユーザの好みに対応したマットレス10又は枕を表示部に表示してもよい。
【0117】
またユーザのBMIから体脂肪率を推定し、推定された体脂肪率に基づいて表示部に表示する寝具を変更してもよい。例えば、体脂肪率が基準値よりも高い場合、体脂肪率が基準値よりも低い場合に比べて、ユーザは寝返りしにくくなる傾向にある。そのため、体脂肪率が基準値よりも高い場合、より硬いマットレス10が表示部に表示される。マットレス10がより硬くなる、即ち弾性力がより大きくなると、ユーザは寝返りしやすくなり、ユーザの快適性の向上及び健康の増進が期待できる。なお体脂肪率が基準値よりも高い場合、肩及び腰の部分だけ、他の部分よりも柔らかくしてもよい。体脂肪率が基準値よりも高い場合、ユーザの体重は比較的重いと推測され、肩及び腰に作用する体圧が高くなりやすい。この場合、肩及び腰の部分だけ、他の部分よりも柔らかくすることによって、圧力が分散され、ユーザの快適性が向上する。
【0118】
またユーザの脂肪率が基準値よりも低く、且つ筋肉量が多い場合、ユーザの背中は反りやすく、寝姿勢において腰と肩に作用する体圧が高くなりやすい。この場合、肩及び腰の部分だけ、他の部分よりも柔らかくすることによって、圧力が分散され、ユーザの快適性が向上する。
【0119】
実施の形態3に係る寝具選択装置にあっては、寝姿勢データに対応する寝具の情報を表示部3aに出力するので、寝具を取得する前に、ユーザは寝具の情報を得る。そのため、ユーザは、寝具が自分の好みのものであるか否か事前に確認することができる。
【0120】
また撮像データと、人体の体表面形状全体を示す複数の異なる蓄積データとを比較し、類似度の高い少なくとも一つの蓄積データを選択し、選択された蓄積データに基づいて、座位姿勢データを生成し、座位姿勢データに基づいて寝姿勢データを生成する。
【0121】
また撮像データは、人体の立位における少なくとも一部の体表面形状に係るデータでよいので、撮像データの生成のために人体を寝かす手間が無くなる。
【0122】
また距離Xに基づいて適切な距離Yを演算する。距離Yに対応する寝具は人体をリラックスさせることができる。即ち、人体をリラックスさせることができる寝具の情報をユーザに提供することができる。
【0123】
また快適な硬さのマットレス10の情報をユーザに提供する。
【0124】
またマットレスの硬さに対応した高さを演算し、演算した高さを有する枕の情報をユーザに提供する。
【0125】
(実施の形態4)
以下実施の形態4に係る寝具製造装置について説明する。図16は、寝具製造装置のブロック図である。寝具製造装置は、姿勢データ処理システム1と、製造装置6とを備える。製造装置6は、CPU又はロジック回路等を有する制御部、記憶部、RAM、材料を加工する加工部(いずれも図示略)を備える。制御部2aは決定されたマットレス10及び枕の製造番号を製造装置6に送信する。製造装置6の記憶部は、各製造番号に対応した製造プログラムを予め記憶しており、受信した製造番号に対応する製造プログラムをRAMに読み出し、材料を加工部にて加工し、製造番号が示す枕又はマットレス10を製造する。加工部としては、工作機械又は3Dプリンタが挙げられる。
【0126】
実施の形態4に係る寝具製造装置にあっては、寝姿勢データに基づいて、寝具を製造することができる。
【0127】
なおコンピュータプログラムは、単一のコンピュータ上で、または1つのサイトに配置されるか、若しくは複数のサイトにわたって分散され、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。
【0128】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。各実施形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載してもよい。
【符号の説明】
【0129】
1 姿勢データ処理システム
2 データ処理装置
2a 制御部
2b RAM
2c 記憶部
2d 通信部
3 端末機
3a 表示部
3b 操作部
3c 撮像部
3d 通信部
3e RAM
3f 記憶部
4 検索装置
5 製造装置
6 製造装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16