(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004629
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】制御装置およびその制御方法、並びに制御プログラム
(51)【国際特許分類】
C02F 11/125 20190101AFI20250107BHJP
【FI】
C02F11/125 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104441
(22)【出願日】2023-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】東 隆司
(72)【発明者】
【氏名】山中 亮輝
【テーマコード(参考)】
4D059
【Fターム(参考)】
4D059AA03
4D059BE04
4D059BE26
4D059BE54
4D059BJ01
4D059EA02
4D059EA16
4D059EA20
4D059EB01
4D059EB11
4D059EB16
4D059EB20
(57)【要約】
【課題】脱水機に供給される凝集汚泥の流量と、脱水機から排出される脱水ケーキの含水率との両方を所定範囲内で維持する。
【解決手段】制御部(10)は、凝集汚泥を搬送しながら脱水するスクリュープレス型の脱水機に供給される凝集汚泥の流量を少なくとも含む測定データを取得する取得部(101)と、測定データを用いて、当該測定データの測定時点から滞留時間が経過した時点において脱水機から排出される脱水ケーキの含水率を予測する予測部(102)と、凝集汚泥の流量が第1の所定範囲から外れている場合、凝集汚泥の流量が第1の所定範囲となるように、スクリューの回転速度を指示する一方、凝集汚泥の流量が第1の所定範囲内であり、かつ、予測された脱水ケーキの含水率の予測値が第2の所定範囲から外れている場合、脱水ケーキの含水率が第2の所定範囲となるように、スクリューの回転速度を指示する指示部(103)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮遊固形物を含む液体に前記浮遊固形物を凝集させる薬剤が添加される凝集槽から排出された前記液体を搬送しながら脱水するスクリュープレス型の脱水機に供給される前記液体の流量を少なくとも含む測定データを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記測定データを用いて、当該測定データの測定時点から前記脱水機内で前記液体が滞留する滞留時間が経過した時点において前記脱水機から排出される脱水ケーキの含水率を予測する第1予測部と、
前記取得部が取得した前記液体の流量が第1の所定範囲から外れている場合、前記液体の流量が前記第1の所定範囲となるように、前記スクリューの回転速度を制御する一方、前記液体の流量が前記第1の所定範囲内であり、かつ、前記第1予測部が予測した前記脱水ケーキの含水率が第2の所定範囲から外れている場合、前記脱水ケーキの含水率が前記第2の所定範囲となるように、前記スクリューの回転速度を制御する制御部と、を備える制御装置。
【請求項2】
前記取得部が取得した測定データに基づき、前記脱水機の運転を停止する時刻を予測する第2予測部をさらに備え、
前記制御部は、
前記液体の流量が前記第1の所定範囲内であり、かつ、前記第2予測部が予測した予測時刻が第3の所定範囲から外れている場合、前記予測時刻が前記第3の所定範囲となるように、前記スクリューの回転速度を制御し、かつ、
前記液体の流量が前記第1の所定範囲内であり、前記予測時刻が前記第3の所定範囲内であり、かつ、前記脱水ケーキの含水率が前記第2の所定範囲から外れている場合、前記脱水ケーキの含水率が前記第2の所定範囲となるように、前記スクリューの回転速度を制御する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
浮遊固形物を含む液体に前記浮遊固形物を凝集させる薬剤が添加される凝集槽から排出された前記液体を搬送しながら脱水するスクリュープレス型の脱水機に供給される前記液体の流量を少なくとも含む測定データを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記測定データを用いて、当該測定データの測定時点から前記脱水機内で前記液体が滞留する滞留時間が経過した時点において前記脱水機から排出される脱水ケーキの含水率を予測する第1予測部と、
前記取得部が取得した測定データに基づき、前記脱水機の運転を停止する時刻を予測する第2予測部と、
前記取得部が取得した前記液体の流量が第1の所定範囲内となり、前記第1予測部が予測した前記脱水ケーキの含水率が第2の所定範囲内となり、かつ、前記第2予測部が予測した予測時刻が第3の所定範囲内となるように、前記スクリューの回転速度を制御する制御部と、を備える制御装置。
【請求項4】
前記取得部が取得する測定データは、前記脱水機の運転に関する測定データを含み、
前記第1予測部は、予測モデルを用いて、前記脱水ケーキの含水率を予測し、
前記予測モデルは、前記取得部が取得した前記測定データを説明変数とし、当該測定データの測定時点から前記滞留時間が経過した時点において前記脱水機から排出される脱水ケーキの含水率についての推定モデルによる推定値を目的変数として学習された予測モデルであり、
前記推定モデルは、前記脱水機の運転に関する測定データを説明変数とし、当該測定データの測定時点において前記脱水機から排出される脱水ケーキの含水率を目的変数として学習された推定モデルである、請求項1から3の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第2予測部は、
前記脱水機の運転を開始する運転開始時刻から第1の時刻までの第1の期間と、前記第1の期間での前記脱水機のスクリューの単位回転当たりの処理量の測定値と、前記第1の時刻での前記スクリューの回転速度の測定値とを取得し、かつ、
前記第1の期間での前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値であって、過去の所定日数における前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値の平均値と、前記運転開始時刻から、前記脱水機の運転を停止する運転停止時刻までの運転期間での前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値であって、前記過去の所定日数における前記処理量の測定値の平均値とを取得し、
前記第1の期間での前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値と、前記過去の所定日数における前記第1の期間での前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値の平均値と、前記過去の所定日数における前記運転期間での前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値の平均値と、前記第1の時刻での前記スクリューの回転速度の測定値とを用いて、前記運転期間に到達すべき前記処理量の目標値から前記運転期間を予測する、請求項2または3に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1予測部が予測した前記脱水ケーキの含水率が、前記第2の所定範囲を含む第4の所定範囲から外れている場合、警報を行う、請求項1から3の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第2予測部が予測した前記予測時刻が、前記第3の所定範囲を含む第5の所定範囲から外れている場合、警報を行う、請求項2または3に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記スクリューの回転速度を所定量だけ増加または減少し、これを周期的に行うことにより、前記スクリューの回転速度を制御する、請求項1から3の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記スクリューの回転速度を制御する脱水機用制御部と、前記薬剤の添加を制御する薬剤用制御部とを含み、
前記制御部は、前記脱水機用制御部と前記薬剤用制御部とを交互に動作させ、
前記薬剤用制御部は、前記薬剤の添加の態様が変更される前に前記取得部が取得した前記測定データから、前記第1予測部が予測した脱水ケーキの含水率と、前記薬剤の添加の態様が変更された後に前記取得部が取得した前記測定データから、前記第1予測部が予測した脱水ケーキの含水率とに基づいて、前記薬剤の添加の態様を調整する、請求項1から3の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記凝集槽における撹拌翼の回転速度を制御する撹拌翼用制御部をさらに含み、
前記撹拌翼用制御部は、前記脱水機用制御部および前記薬剤用制御部の動作と並行して動作し、
前記取得部は、前記凝集槽に形成されるフロックのサイズの測定データをさらに取得し、
前記制御部は、前記取得部が取得した前記フロックのサイズが第6の所定範囲から外れた場合、前記脱水機用制御部および前記薬剤用制御部の動作を停止する、請求項9に記載の制御装置。
【請求項11】
請求項1に記載の制御装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、上記第1予測部および上記制御部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【請求項12】
請求項3に記載の制御装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、上記第1予測部、上記第2予測部、および上記制御部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【請求項13】
浮遊固形物を含む液体に前記浮遊固形物を凝集させる薬剤が添加される凝集槽から排出された前記液体を搬送しながら脱水するスクリュープレス型の脱水機に供給される前記液体の流量を少なくとも含む測定データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにて取得された前記測定データを用いて、当該測定データの測定時点から前記脱水機内で前記液体が滞留する滞留時間が経過した時点において前記脱水機から排出される脱水ケーキの含水率を予測する第1予測ステップと、
前記取得ステップにて取得された前記液体の流量が第1の所定範囲から外れている場合、前記液体の流量が前記第1の所定範囲となるように、前記スクリューの回転速度を制御する一方、前記液体の流量が前記第1の所定範囲内であり、かつ、前記第1予測ステップにて予測された前記脱水ケーキの含水率が第2の所定範囲から外れている場合、前記脱水ケーキの含水率が前記第2の所定範囲となるように、前記スクリューの回転速度を制御する制御ステップと、を含む制御装置の制御方法。
【請求項14】
浮遊固形物を含む液体に前記浮遊固形物を凝集させる薬剤が添加される凝集槽から排出された前記液体を搬送しながら脱水するスクリュープレス型の脱水機に供給される前記液体の流量を少なくとも含む測定データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにて取得された前記測定データを用いて、当該測定データの測定時点から前記脱水機内で前記液体が滞留する滞留時間が経過した時点において前記脱水機から排出される脱水ケーキの含水率を予測する第1予測ステップと、
前記取得ステップにて取得された測定データに基づき、前記脱水機の運転を停止する時刻を予測する第2予測ステップと、
前記取得ステップにて取得された前記液体の流量が第1の所定範囲内となり、前記第1予測ステップにて予測された前記脱水ケーキの含水率が第2の所定範囲内となり、かつ、前記第2予測ステップにて予測された予測時刻が第3の所定範囲内となるように、前記スクリューの回転速度を制御する制御ステップと、を含む制御装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥処理の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
下水処理場などの排水処理施設において実施される汚泥処理には汚泥を脱水機で脱水する工程が含まれている。効率的な汚泥処理のためには、脱水機へ供給される汚泥の流量を所定範囲内で維持することと、脱水により得られる脱水ケーキの含水率を所定範囲内で維持することとが重要である。例えば、特許文献1に記載の汚泥濃縮脱水システムは、一定流量の汚泥を安定して脱水するために、脱水機のスクリュー軸の回転数を制御している。また、特許文献2に記載の汚泥処理システムは、脱水ケーキの含水率が一定値以下となるように、背圧板の押付け圧とスクリューの回転数とを制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-030158号公報
【特許文献2】特開2013-208609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、供給される汚泥の脱水性が改善すると、汚泥の流量が増加し、脱水ケーキの含水率が低下する。このとき、特許文献1のように、汚泥の流量を所定範囲内で維持するためにスクリューの回転数を減少させると、脱水ケーキの含水率がさらに低下する。一方、特許文献2のように、脱水ケーキの含水率を所定範囲内で維持するためにスクリューの回転数を増加させると、汚泥の流量がさらに増加する。
【0005】
また、供給される汚泥の脱水性が悪化すると、汚泥の流量が低下し、脱水ケーキの含水率が増加する。このとき、特許文献1のように、汚泥の流量を所定範囲内で維持するためにスクリューの回転数を増加させると、脱水ケーキの含水率がさらに増加する。一方、特許文献2のように、脱水ケーキの含水率を所定範囲内で維持するためにスクリューの回転数を減少させると、汚泥の流量がさらに低下する。
【0006】
すなわち、汚泥の流量を所定範囲内で維持しようとすると、脱水ケーキの含水率の変動が大きくなる。一方、脱水ケーキの含水率を所定範囲内で維持しようとすると、汚泥の流量の変動が大きくなる。
【0007】
本発明の一態様は、脱水機に供給される液体の流量と、脱水機から排出される脱水ケーキの含水率との両方を所定範囲内で維持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る制御装置は、浮遊固形物を含む液体に前記浮遊固形物を凝集させる薬剤が添加される凝集槽から排出された前記液体を搬送しながら脱水するスクリュープレス型の脱水機に供給される前記液体の流量を少なくとも含む測定データを取得する取得部と、前記取得部が取得した前記測定データを用いて、当該測定データの測定時点から前記脱水機内で前記液体が滞留する滞留時間が経過した時点において前記脱水機から排出される脱水ケーキの含水率を予測する第1予測部と、前記取得部が取得した前記液体の流量が第1の所定範囲から外れている場合、前記液体の流量が前記第1の所定範囲となるように、前記スクリューの回転速度を制御する一方、前記液体の流量が前記第1の所定範囲内であり、かつ、前記第1予測部が予測した前記脱水ケーキの含水率が第2の所定範囲から外れている場合、前記脱水ケーキの含水率が前記第2の所定範囲となるように、前記スクリューの回転速度を制御する制御部と、を備える。
【0009】
また、本発明の別の態様に係る制御装置は、浮遊固形物を含む液体に前記浮遊固形物を凝集させる薬剤が添加される凝集槽から排出された前記液体を搬送しながら脱水するスクリュープレス型の脱水機に供給される前記液体の流量を少なくとも含む測定データを取得する取得部と、前記取得部が取得した前記測定データを用いて、当該測定データの測定時点から前記脱水機内で前記液体が滞留する滞留時間が経過した時点において前記脱水機から排出される脱水ケーキの含水率を予測する第1予測部と、前記取得部が取得した測定データに基づき、前記脱水機の運転を停止する時刻を予測する第2予測部と、前記取得部が取得した前記液体の流量が第1の所定範囲内となり、前記第1予測部が予測した前記脱水ケーキの含水率が第2の所定範囲内となり、かつ、前記2予測部が予測した予測時刻が第3の所定範囲内となるように、前記スクリューの回転速度を制御する制御部と、を備える。
【0010】
また、本発明の別の態様に係る制御装置の制御方法は、浮遊固形物を含む液体に前記浮遊固形物を凝集させる薬剤が添加される凝集槽から排出された前記液体を搬送しながら脱水するスクリュープレス型の脱水機に供給される前記液体の流量を少なくとも含む測定データを取得する取得ステップと、前記取得ステップにて取得された前記測定データを用いて、当該測定データの測定時点から前記脱水機内で前記液体が滞留する滞留時間が経過した時点において前記脱水機から排出される脱水ケーキの含水率を予測する第1予測ステップと、前記取得ステップにて取得された前記液体の流量が第1の所定範囲から外れている場合、前記液体の流量が前記第1の所定範囲となるように、前記スクリューの回転速度を制御する一方、前記液体の流量が前記第1の所定範囲内であり、かつ、前記第1予測ステップにて予測された前記脱水ケーキの含水率が第2の所定範囲から外れている場合、前記脱水ケーキの含水率が前記第2の所定範囲となるように、前記スクリューの回転速度を制御する制御ステップと、を含む。
【0011】
また、本発明の別の態様に係る制御装置の制御方法は、浮遊固形物を含む液体に前記浮遊固形物を凝集させる薬剤が添加される凝集槽から排出された前記液体を搬送しながら脱水するスクリュープレス型の脱水機に供給される前記液体の流量を少なくとも含む測定データを取得する取得ステップと、前記取得ステップにて取得された前記測定データを用いて、当該測定データの測定時点から前記脱水機内で前記液体が滞留する滞留時間が経過した時点において前記脱水機から排出される脱水ケーキの含水率を予測する第1予測ステップと、前記取得ステップにて取得された測定データに基づき、前記脱水機の運転を停止する時刻を予測する第2予測ステップと、前記取得ステップにて取得された前記液体の流量が第1の所定範囲内となり、前記第1予測ステップにて予測された前記脱水ケーキの含水率が第2の所定範囲内となり、かつ、前記2予測ステップにて予測された予測時刻が第3の所定範囲内となるように、前記スクリューの回転速度を制御する制御ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、脱水機に供給される液体の流量と、脱水機から排出される脱水ケーキの含水率との両方を所定範囲内で維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る制御システムにおける情報処理装置の要部構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】上記情報処理装置における制御装置への指示処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】上記情報処理装置の一実施例における各種測定値の時間変化を示すグラフである。
【
図5】本発明の別の実施形態に係る制御システムにおける情報処理装置の要部構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】上記情報処理装置における制御装置への指示処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】上記情報処理装置の一実施例における各種測定値の時間変化を示すグラフである。
【
図8】本発明のさらに別の実施形態に係る制御システムにおける情報処理装置の要部構成の一例を示すブロック図である。
【
図9】作業者による含水率実測値に対する、上記情報処理装置における推定モデルによる含水率推定値のバラツキを示すグラフである。
【
図10】上記情報処理装置における予測モデルのための教師データを作成する概念を示すモデル図である。
【
図11】上記情報処理装置における予測モデルおよび推定モデルの更新処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】本発明のさらに別の実施形態に係る制御システムにおける制御装置への指示処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】上記制御システムにおける制御装置への指示処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】本発明のさらに別の実施形態に係る制御システムにおける情報処理装置の要部構成の一例を示すブロック図である。
【
図15】上記情報処理装置における制御部の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図16】上記制御部の処理における薬剤率の調整処理の一例を示すフローチャートである。
【
図17】上記薬剤率の調整処理における上記薬注率低減効果判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図18】上記薬剤率の調整処理における上記薬注率増加効果判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図19】本発明のさらに別の実施形態に係る制御システムにおける情報処理装置の要部構成の一例を示すブロック図である。
【
図20】上記情報処理装置における制御装置への指示処理の一例を示すフローチャートである。
【
図21】上記情報処理装置における制御部の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、説明の便宜上、各実施形態に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付記し、適宜その説明を省略する。
【0015】
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について、
図1~
図3を参照して説明する。
【0016】
〔制御システム〕
図2は、本実施形態に係る制御システム100の構成例を示す図である。制御システム100は、浮遊固形物を凝集させる薬剤を凝集槽内の被処理液(液体)に添加してフロックを形成し、フロックが形成された前記被処理液の固液分離を行うプラントで使用されるシステムである。以下では、被処理液が汚泥である例を説明するが、制御システム100は汚泥以外の被処理液を処理するプラントにも適用可能である。なお、汚泥とは、排水処理などで生じる微細な固形物を含む液体であり、スラリーと呼ぶこともできる。
【0017】
詳細は以下説明するが、制御システム100は、汚泥の処理工程のうち、処理対象の汚泥中の浮遊固形物を凝集させてフロックを形成させることによって、処理対象の汚泥を凝集汚泥とする工程から、凝集汚泥を脱水して脱水汚泥(脱水ケーキとも呼ばれる)と脱水ろ液とを得る工程までの各処理を行う。
図2に示すように、制御システム100は、情報処理装置1と、制御装置3と、フロキュレータ5と、脱水機9とを含む。
【0018】
フロキュレータ5は、浮遊固形物を凝集させる薬剤を凝集槽内の被処理液に添加して適度に撹拌することでフロックを形成させる機器である。具体的には、フロキュレータ5は、汚泥を被処理液とし、汚泥中の浮遊固形物を凝集させてフロックを形成させ、凝集汚泥を生成する。
図2のフロキュレータ5は、凝集槽51と、撹拌翼52と、モータ53と、点検窓54とを備えている。また、フロキュレータ5には、汚泥投入口55と、薬剤投入口56と、排出口57とが設けられている。
【0019】
さらに、点検窓54には、撮影装置72と、撮影用の照明装置71とが取り付けられている。撮影装置72は、少なくとも静止画像が撮影できるものであればよい。制御システム100の稼働中、フロックへの光の当たり方が変化しないように、凝集槽51は光透過性のないものとすることが好ましい。また、撮影装置72および照明装置71は図示の例のように、点検窓54側が開口した遮光性の暗箱に収容することが好ましい。
【0020】
脱水機9は、フロックが形成された被処理液の固液分離を行う機器である。具体的には、脱水機9は、フロキュレータ5の後段に配設され、フロキュレータ5から排出される凝集汚泥(液体)を脱水して固液分離する。
図2の脱水機9は、外胴スクリーン91とスクリュー92とを備えるスクリュープレス型脱水機である。また、脱水機9には、汚泥投入口93と、ろ液排出口94と、脱水ケーキ排出口95とが設けられている。なお、図示していないが、脱水機9は、スクリュー92を回転駆動するモータ等も備えている。無論、脱水機9は凝集汚泥を脱水できるものであればよく、スクリュープレス型に限られない。例えば、遠心脱水機、フィルタープレス型脱水機、またはベルトプレス脱水機等を適用することもできる。
【0021】
制御システム100において、処理対象の汚泥は、図示しない供給装置により、汚泥投入口55からフロキュレータ5の凝集槽51内に連続的あるいは断続的に供給される。汚泥の供給速度は、フロキュレータ5および脱水機9による汚泥の処理速度に応じて、供給装置あるいはその制御装置3が自動で制御する構成となっていてもよい。
【0022】
そして、凝集槽51内の汚泥に対して、薬剤投入口56から汚泥を凝集させるための薬剤(少なくとも凝集剤を含む)が投入される。この状態でモータ53を駆動させて撹拌翼52を回転させ、汚泥と薬剤を撹拌し、フロックを形成させる。形成されたフロックと、汚泥に含まれていた水との混合物である凝集汚泥は排出口57から排出される。
【0023】
続いて、この凝集汚泥は、脱水機9の汚泥投入口93から外胴スクリーン91内に供給される。脱水機9内において、上記凝集汚泥は、スクリュー92により搬送されると共に、スクリュー92による加圧下で脱水されて、ろ液がろ液排出口94から排出され、脱水された凝集汚泥の固まりである脱水ケーキが脱水ケーキ排出口95から排出される。
【0024】
なお、上記汚泥は、汚泥投入口55から凝集槽51内に供給されることにより、上記凝集汚泥が凝集槽51の排出口57から押し出されて排出され、排出された凝集汚泥が脱水機9に供給される。このため、凝集槽51に供給される汚泥の流量と、脱水機9へ供給される汚泥の流量とは、同時刻で一致する。
【0025】
詳細は以下説明するが、情報処理装置1は、凝集槽51に供給される液体に関する測定データと、凝集槽51に供給される薬剤に関する測定データと、凝集槽51内の液体に関する測定データと、凝集槽51の運転に関する測定データと、脱水機9の運転に関する測定データと、の少なくともいずれかを取得する。そして、情報処理装置1は、取得した測定データに基づき、脱水ケーキの含水率を予測する。
【0026】
また、情報処理装置1は、制御装置3を介して制御システム100の構成要素である各種機器(例えば、フロキュレータ5、脱水機9、および図示していない汚泥および薬剤の供給装置等)の動作制御を行うこともできる。制御装置3は、制御システム100の構成要素である各種機器の動作を制御する装置である。制御装置3は、例えばPLC(Programmable Logic Controller)であってもよい。
図2の例では、制御装置3は、フロキュレータ5に関する機器を制御するフロキュレータ用制御装置3aと、脱水機9に関する機器を制御する脱水機用制御装置3bとを含む。
【0027】
〔情報処理装置〕
図1は、情報処理装置1の要部構成の一例を示すブロック図である。図示のように、情報処理装置1は、情報処理装置1の各部を統括して制御する制御部10と、情報処理装置1が使用する各種データを記憶する記憶部11と、を備えている。また、情報処理装置1は、情報処理装置1が他の装置と通信するための通信部12、情報処理装置1に対する各種データの入力を受け付ける入力部13、および情報処理装置1が各種データを出力するための出力部14を備えている。
【0028】
また、制御部10には、取得部101、予測部102、および指示部103(制御部)が含まれている。なお、指示部103については、後記「指示部について」の項目で説明する。
【0029】
記憶部11には、予測モデル111が含まれている。予測モデル111の詳細については、後記「予測モデルについて」の項目で説明する。
【0030】
取得部101は、脱水機9に供給される凝集汚泥の流量を示す測定データを取得する。その他に、取得部101は、凝集槽51に供給される液体に関する測定データと、凝集槽51に供給される薬剤に関する測定データと、凝集槽51内の液体に関する測定データと、凝集槽51の運転に関する測定データと、脱水機9の運転に関する測定データと、の少なくともいずれかを取得する。なお、各測定データの詳細に関しては、後記「予測モデルについて」の項目で説明する。
【0031】
予測部102は、記憶部11に記憶された予測モデル111を用いて、取得部101が取得した測定データから脱水ケーキの含水率を予測する。この脱水ケーキは、上記測定データの測定時点から脱水機9内で上記凝集汚泥が滞留する滞留時間が経過した時点(以下、「経過時点」と称する。)において脱水機9から排出される脱水ケーキである。予測部102は、取得部101が新たな測定データを取得する毎に予測モデル111を用いた予測を実行する。これにより、予測部102は脱水ケーキの含水率をリアルタイムに、すなわち短い時間間隔で連続的に(例えば1分ごとに)予測することができる。
【0032】
指示部103は、通信部12を介して、制御装置3に各種指示を行う。本実施形態では、指示部103は、取得部101が取得した凝集汚泥の流量が第1の所定範囲から外れている場合、脱水機用制御装置3bに指示して、上記凝集汚泥の流量が上記第1の所定範囲となるように、スクリュー92の回転速度を制御させる。従って、上記第1の所定範囲は、上記凝集汚泥の流量が適正である所定範囲に対応する。
【0033】
上記第1の所定範囲の上限値は、例えば、上記凝集汚泥を脱水機9に供給するポンプの流量の上限値であってもよい。また、上記第1の所定範囲の下限値は、例えば、上記ポンプの流量の下限値であってもよい。上記第1の所定範囲を狭くすることにより、指示部103は、上記凝集汚泥の流量を安定化させることができる。また、上記第1の所定範囲をさらに狭くすることにより、指示部103は、上記凝集汚泥の流量が一定となるように、脱水機用制御装置3bに制御させることができる。
【0034】
また、指示部103は、上記凝集汚泥の流量が第1の所定範囲内であり、かつ、予測部102が予測した上記脱水ケーキの含水率の予測値が第2の所定範囲から外れている場合、脱水機用制御装置3bに指示して、上記脱水ケーキの含水率の予測値が上記第2の所定範囲となるように、スクリュー92の回転速度を制御させる。従って、上記第2の所定範囲は、上記脱水ケーキの含水率が適正である所定範囲に対応する。なお、指示部103における具体的な指示処理については、後記「指示処理」の項目で説明する。
【0035】
〔予測モデルについて〕
予測モデル111は、取得部101が取得した、測定時点の測定データを説明変数とし、経過時点において脱水機9から排出される脱水ケーキの含水率(以下、「経過時点の含水率」と称する。)を目的変数としてそれらの関係をモデル化したものである。例えば、過去に測定された測定データと当該測定データに対応する含水率との対応関係を示す教師データを用いた機械学習により生成された予測モデルを用いることもできる。予測モデル111のアルゴリズムは特に限定されず、例えば回帰あるいは重回帰モデル、ニューラルネットワーク、またはランダムフォレスト等の予測モデルを用いることもできる。
【0036】
取得部101が取得した測定データであって、予測モデル111の予測に用いる測定データには次のようなものが含まれる。
【0037】
(1)凝集槽51に供給される汚泥に関する測定データ。当該測定データは、例えば、当該汚泥の単位時間当たりの供給流量、および当該汚泥の濃度の少なくともいずれかであり、汚泥投入口55の手前にて測定される。
【0038】
(2)凝集槽51に供給される薬剤に関する測定データ。当該測定データは、例えば、当該薬剤の単位時間当たりの供給流量であり、薬剤投入口56の手前にて測定される。
【0039】
(3)凝集槽51内の汚泥に関する測定データ。当該測定データは、フロックの平均濃淡値、および、フロック間の隙間の平均単位面積、の少なくともいずれかであり、撮影装置72における静止画像を画像処理することで得られる。上記平均濃淡値は、汚泥色調(明暗)の指標となる。また、上記平均単位面積は、フロック径の指標となる。
【0040】
(4)凝集槽51の運転に関する測定データ。当該測定データは、凝集槽51における撹拌翼52の回転速度であり、フロキュレータ用制御装置3aから取得する。
【0041】
(5)脱水機9の運転に関する測定データ。当該測定データは、脱水機9の運転時間、脱水機9のスクリュー92の回転速度、脱水機9への凝集汚泥の単位時間当たりの供給流量、および、脱水機9へ投入される凝集汚泥の投入圧、の少なくともいずれかであり、脱水機用制御装置3bから取得する。
【0042】
本実施形態では、上記(1)~(5)に示すように、様々な測定データを採用することができる。そのため、脱水ケーキの含水率を、多面的な説明変数を用い、精度良く予測することができる。なお、上記(1)~(5)に示す測定データのうち、予測モデル111の予測精度に対する寄与が大きい測定データとしては、上記(5)に示す上記運転時間、スクリュー92の回転速度、および、上記供給流量と、上記(3)に示すフロックの平均濃淡値が挙げられる。
【0043】
上記の構成によると、制御部10は、まず、脱水機9に供給されている凝集汚泥の流量が第1の所定範囲から外れている場合、上記凝集汚泥の流量が前記第1の所定範囲となるように、スクリュー92の回転速度を制御する。これにより、上記凝集汚泥の流量を第1の所定範囲内で維持することができる。
【0044】
このとき、スクリュー92の回転速度が変更されることにより、上記脱水ケーキの含水率が上記第2の所定範囲から外れる可能性がある。しかしながら、上記脱水ケーキの含水率が上記第2の所定範囲から実際に外れる時点は、上記凝集汚泥の流量の測定時点から滞留時間が経過した時点である。
【0045】
そこで、制御部10は、予測部102が上記脱水ケーキの含水率を次回予測する際に、上記凝集汚泥の流量が上記第1の所定範囲内であり、かつ、上記脱水ケーキの含水率が上記第2の所定範囲から外れている場合、上記脱水ケーキの含水率が上記第2の所定範囲となるように、スクリュー92の回転速度を制御する。これにより、上記凝集汚泥の流量の測定時点から滞留時間が経過した時点には、上記脱水ケーキの含水率を上記第2の所定範囲内で維持することができる。
【0046】
〔指示処理〕
図3は、上記構成の情報処理装置1における制御装置3への指示処理(制御方法)の一例を示すフローチャートである。この指示処理は、周期的(例えば5分ごと)に実行される。
図3に示すように、まず、取得部101は、各種の測定データを収集(取得)する(S11)。次に、予測部102は、予測モデル111を用いて、上記測定データから、該測定データの測定時点から滞留時間が経過した経過時点において脱水機9から排出される脱水ケーキの含水率を予測する(S12)。
【0047】
次に、指示部103は、上記測定データに含まれる、脱水機9に供給される凝集汚泥の流量が、第1の所定範囲よりも小さいか、第1の所定範囲内であるか、或いは、第1の所定範囲よりも大きいかを判断する(S13)。
【0048】
ステップS13にて上記凝集汚泥の流量が上記第1の所定範囲よりも小さい場合、ステップS15に進む。一方、ステップS13にて上記凝集汚泥の流量が上記第1の所定範囲よりも大きい場合、ステップS16に進む。
【0049】
一方、ステップ13にて上記凝集汚泥の流量が第1の所定範囲内である場合、指示部103は、ステップS12にて予測された、上記経過時点における脱水ケーキの含水率の予測値が、第2の所定範囲よりも小さいか、第2の所定範囲内であるか、或いは、第2の所定範囲よりも大きいかを判断する(S14)。
【0050】
ステップS14にて上記予測値が上記第2の所定範囲よりも小さい場合、ステップS15に進む。一方、ステップS14にて上記予測値が上記第2の所定範囲よりも大きい場合、ステップS16に進む。一方、ステップS14にて上記予測値が上記第2の所定範囲内である場合、指示部103は、上記凝集汚泥の流量および上記予測値の両方が適正範囲内であるとして、上記指示処理を終了する。
【0051】
ステップS15では、指示部103は、脱水機9のスクリュー92の回転速度を所定量(例えば、0.01回転/分)だけ増加するように、脱水機用制御装置3bに指示する。その後、上記指示処理を終了する。ステップS11~S13、およびS15を周期的に繰り返すことにより、上記凝集汚泥の流量が段階的に増加して、最終的に上記第1の所定範囲内とすることができる。また、ステップS11~S14、およびS15を周期的に繰り返すことにより、上記経過時点における脱水ケーキの含水率の予測値が段階的に増加して、最終的に上記第2の所定範囲内とすることができる。
【0052】
ステップS16では、指示部103は、脱水機9のスクリュー92の回転速度を所定量だけ減少するように、脱水機用制御装置3bに指示する。その後、上記指示処理を終了する。ステップS11~S13、およびS16を周期的に繰り返すことにより、上記凝集汚泥の流量が段階的に減少して、最終的に上記第1の所定範囲内とすることができる。また、ステップS11~S14、およびS16を周期的に繰り返すことにより、上記経過時点における脱水ケーキの含水率の予測値が段階的に減少して、最終的に上記第2の所定範囲内とすることができる。
【0053】
〔変形例〕
上述の実施形態で説明した各処理の実行主体は任意であり、上述の例に限られない。例えば、
図3に示した含水率予測方法の各ステップは、複数の情報処理装置に分担させることもできる。つまり、当該含水率予測方法は、1つの情報処理装置1により実行されるものであってもよいし、複数の情報処理装置により実行されるものであってもよい。
【0054】
〔付記事項〕
なお、上述の実施形態では、予測部102は、学習された予測モデル111を用いて、測定データから脱水ケーキの含水率を予測しているが、これに限定されるものではない。例えば、予測部102は、所定の計算式に基づき、測定データから脱水ケーキの含水率を予測してもよい。
【0055】
〔実施例〕
図4は、上記構成の情報処理装置1の一実施例における各種測定値の時間変化を示すグラフである。
図4の横軸は運転時間(分)である。また、
図4の縦軸は、各測定データの測定値であり、測定データごとに任意のスケールで示している。
図4の測定値は、供給される凝集汚泥の脱水性と、凝集汚泥の流量と、脱水ケーキの含水率とスクリュー92の回転速度とである。
【0056】
図4では、本実施例が実線で示されている。また、
図4では、上記含水率に基づいてスクリュー92の回転速度を制御する比較例が破線で示されている。
【0057】
図4において、上記凝集汚泥の脱水性が低下すると、滞留時間が経過した後の上記脱水ケーキの含水率が上昇することになる。そこで、比較例では、スクリュー92の回転速度を段階的に低下させている。しかしながら、この場合、凝集汚泥の流量が大きく低下することになる。
【0058】
これに対し、本実施例では、凝集汚泥の流量が第1の所定範囲内となるように、スクリュー92の回転速度の低下量が低減される。これにより、凝集汚泥の流量が大きく低下することを防止できる。そして、本実施例では、凝集汚泥の流量が第1の所定範囲内になると、脱水ケーキの含水率が第2の所定範囲内となるように、スクリュー92の回転速度の低下量が維持される。これにより、脱水ケーキの含水率が大きく上昇することを防止できる。
【0059】
また、
図4において、上記凝集汚泥の脱水性が上昇すると、滞留時間が経過した後の上記脱水ケーキの含水率が低下することになる。そこで、比較例では、スクリュー92の回転速度を段階的に増加させている。しかしながら、この場合、凝集汚泥の流量が大きく増加することになる。
【0060】
これに対し、本実施例では、凝集汚泥の流量が第1の所定範囲内となるように、スクリュー92の回転速度の増加量が低減される。これにより、凝集汚泥の流量が大きく低下することを防止できる。そして、本実施例では、凝集汚泥の流量が第1の所定範囲内になると、脱水ケーキの含水率が第2の所定範囲内となるように、スクリュー92の回転速度の増加量が維持される。これにより、脱水ケーキの含水率が大きく低下することを防止できる。
【0061】
〔実施形態2〕
本発明の別の実施形態について、
図5および
図6を参照して説明する。本実施形態に係る制御システム100は、
図2に示す制御システム100に比べて、情報処理装置1の構成が異なり、その他の構成は同様である。
【0062】
図5は、本実施形態の情報処理装置1の要部構成の一例を示すブロック図である。本実施形態の情報処理装置1は、
図1に示す情報処理装置1に比べて、予測部102を第1予測部102に名称を変更している点と、制御部10が第2予測部104をさらに備えている点と、指示部103に代えて指示部105(制御部)が設けられている点が異なり、その他の構成は同様である。
【0063】
ところで、効率的な汚泥処理のためには、上記凝集汚泥の流量、上記脱水ケーキの重量等、脱水機9における処理量の合計値が、1日の目標値に到達して、脱水機9の運転をいつ終了するかを予測することが望ましい。この場合、作業者は、脱水機9の運転終了後の処理を遅滞なく行うことができる。
【0064】
そこで、本実施形態では、第2予測部104は、取得部101が取得した測定データに基づき、脱水機9の運転を停止する運転停止時刻teを予測する。
【0065】
具体的には、第2予測部104は、まず、脱水機9の処理量の目標値DAtを取得する。また、第2予測部104は、脱水機9が運転を開始する運転開始時刻t0から第1の時刻t1までの第1の期間T1と、第1の期間T1でのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A1と、上記第1の時刻t1でのスクリュー92の回転速度の測定値rr1とを取得する。上記処理量は、例えば、脱水機9に供給される凝集汚泥の量であってもよいし、脱水機9から排出される脱水ケーキの量であってもよい。
【0066】
次に、第2予測部104は、第1の期間T1でのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A1であって、過去の所定日数におけるスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値の平均値PA1を取得する。また、第2予測部104は、運転開始時刻t0から上記運転停止時刻teまでの運転期間Topでのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値であって、上記過去の所定日数における上記処理量の測定値の平均値PA2を取得する。
【0067】
次に、第2予測部104は、第1の期間T1でのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A1と、上記過去の所定日数における第1の期間T1でのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値の平均値PA1と、上記過去の所定日数における運転期間Topでのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値の平均値PA2と、上記第1の時刻t1でのスクリュー92の回転速度の測定値rr1とを用いて、次式(1)に基づき、運転期間Topに到達すべき上記処理量の目標値DAtから運転期間Topを予測する。
DAt/Top=A1×(PA2/PA1)×rr1 ・・・・(1)。
そして、第2予測部104は、運転期間Topの予測値に運転開始時刻t0を加算した運転停止時刻teの予測値を出力する。なお、第2予測部104は、公知の手法を用いて、取得部101が取得した測定データに基づき運転停止時刻teを予測してもよい。
【0068】
指示部105は、通信部12を介して、制御装置3に各種指示を行う。本実施形態では、指示部105は、
図1に示す指示部103と同様に、取得部101が取得した凝集汚泥の流量が第1の所定範囲から外れている場合、脱水機用制御装置3bに指示して、上記凝集汚泥の流量が上記第1の所定範囲となるように、スクリュー92の回転速度を制御させる。従って、上記第1の所定範囲は、上記凝集汚泥の流量が適正である所定範囲に対応する。
【0069】
また、指示部105は、上記凝集汚泥の流量が上記第1の所定範囲内であり、かつ、第2予測部104が予測した運転停止の予測時刻が第3の所定範囲から外れている場合、脱水機用制御装置3bに指示して、上記予測時刻が上記第3の所定範囲となるように、スクリュー92の回転速度を制御させる。従って、上記第3の所定範囲は、上記運転停止の時刻が適正である所定範囲に対応する。
【0070】
また、指示部103は、上記凝集汚泥の流量が第1の所定範囲内であり、上記運転停止の予測時刻が第3の所定範囲内であり、かつ、第1予測部102が予測した上記脱水ケーキの含水率の予測値が第2の所定範囲から外れている場合、脱水機用制御装置3bに指示して、上記脱水ケーキの含水率の予測値が上記第2の所定範囲となるように、スクリュー92の回転速度を制御させる。従って、上記第2の所定範囲は、上記脱水ケーキの含水率が適正である所定範囲に対応する。
【0071】
ところで、制御部10は、上記凝集汚泥の流量が前記第1の所定範囲内であり、かつ、上記脱水ケーキの含水率が上記第2の所定範囲から外れている場合、上記脱水ケーキの含水率が上記第2の所定範囲となるように、スクリュー92の回転速度を制御する。このとき、スクリュー92の回転速度が変更されることにより、上記凝集汚泥の流量が第1の所定範囲内で変化して、上記凝集汚泥または上記脱水ケーキの量が目標値に到達する時刻が変化する可能性がある。その結果、脱水機9の運転を停止する時刻が変化する可能性がある。
【0072】
そこで、本実施形態では、制御部10は、上記測定データに基づき、脱水機9の運転を停止する時刻を予測し、予測した時刻である運転停止の予測時刻が第3の所定範囲から外れている場合、上記予測時刻が上記第3の所定範囲となるように、スクリュー92の回転速度を制御する。また、制御部10は、上記凝集汚泥の流量が上記第1の所定範囲内であり、上記予測時刻が上記第3の所定範囲内であり、かつ、上記脱水ケーキの含水率が上記第2の所定範囲から外れている場合、上記脱水ケーキの含水率が上記第2の所定範囲となるように、スクリュー92の回転速度を制御する。これにより、上記脱水ケーキの含水率の変化が大きくなる可能性があるが、上記運転停止の予測時刻を上記第3の所定範囲内に維持することができる。その結果、脱水機9の運転停止を予定通りに行うことができ、上記脱水ケーキの運搬など、脱水機9の運転停止後の処理を予定通りに行うことができる。
【0073】
図6は、上記構成の情報処理装置1における制御装置3への指示処理(制御方法)の一例を示すフローチャートである。本実施形態の指示処理は、
図3に示す指示処理に比べて、ステップS12とステップS13との間にステップS21が設けられている点と、ステップS13とステップS14との間にステップS22が設けられている点とが異なり、その他の処理は同じである。
【0074】
ステップS21では、第2予測部104は、上記測定データに基づき、脱水機9の運転停止の時刻を予測する。なお、ステップS12およびステップS21は何れを先に処理してもよいし、同時に処理してもよい。
【0075】
ステップS22では、ステップS13にて上記凝集汚泥の流量が第1の所定範囲内である場合、指示部103は、ステップS21にて予測された上記運転停止の予測時刻が、第3の所定範囲よりも遅いか、第3の所定範囲内であるか、或いは、第3の所定範囲よりも早いかを判断する。
【0076】
ステップS22にて上記予測値が上記第3の所定範囲よりも遅い場合、ステップS15に進む。一方、ステップS22にて上記予測値が上記第3の所定範囲よりも早い場合、ステップS16に進む。一方、ステップS22にて上記予測値が上記第3の所定範囲内である場合、ステップS14に進む。
【0077】
従って、ステップS14にて上記予測値が上記第2の所定範囲内である場合、指示部103は、上記凝集汚泥の流量、上記予測時刻、および上記予測値の両方が適正範囲内であるとして、上記指示処理を終了する。また、ステップS11、S12、S21、S13、S22、およびS15を周期的に繰り返すことにより、上記運転停止の予測時刻が段階的に増加して、最終的に上記第3の所定範囲内とすることができる。また、ステップS11、S12、S21、S13、S22、およびS16を周期的に繰り返すことにより、上記運転停止の予測時刻が段階的に減少して、最終的に上記第3の所定範囲内とすることができる。
【0078】
〔実施例〕
図7は、上記構成の情報処理装置1の一実施例における各種測定値の時間変化を示すグラフである。
図7の横軸は運転時間(分)である。また、
図7の縦軸は、各測定データの測定値であり、測定データごとに任意のスケールで示している。
図7の測定値は、供給される凝集汚泥の脱水性と、運転停止時刻のズレと、凝集汚泥の流量と、脱水ケーキの含水率と、スクリュー92の回転速度とである。
【0079】
図7では、本実施例が実線で示されている。また、
図7では、上記含水率に基づいてスクリュー92の回転速度を制御する比較例が破線で示されている。
【0080】
図7において、上記凝集汚泥の脱水性が低下すると、滞留時間が経過した後の上記脱水ケーキの含水率が上昇することになる。そこで、比較例では、スクリュー92の回転速度を段階的に低下させている。しかしながら、この場合、運転停止の予想時刻が著しく遅くなり、凝集汚泥の流量が大きく低下することになる。
【0081】
これに対し、本実施例では、凝集汚泥の流量が第1の所定範囲内となるように、スクリュー92の回転速度の低下量が低減される。これにより、凝集汚泥の流量が大きく低下することを防止できる。また、本実施例では、凝集汚泥の流量が第1の所定範囲内になると、運転停止の予測時刻が第3の所定範囲内となるように、スクリュー92の回転速度が増加される。これにより、運転停止の予想時刻が著しく遅くなることを防止できる。
【0082】
そして、本実施例では、凝集汚泥の流量が第1の所定範囲内になり、かつ、運転停止の予測時刻が第3の所定範囲内となると、脱水ケーキの含水率が第2の所定範囲内となるように、スクリュー92の回転速度の低下量が維持される。これにより、脱水ケーキの含水率が大きく上昇することを防止できる。
【0083】
また、
図7において、上記凝集汚泥の脱水性が上昇すると、滞留時間が経過した後の上記脱水ケーキの含水率が低下することになる。そこで、比較例では、スクリュー92の回転速度を段階的に増加させている。しかしながら、この場合、運転停止の予想時刻が著しく早くなり、凝集汚泥の流量が大きく増加することになる。
【0084】
これに対し、本実施例では、凝集汚泥の流量が第1の所定範囲内となるように、スクリュー92の回転速度の増加量が低減される。これにより、凝集汚泥の流量が大きく増加することを防止できる。また、本実施例では、凝集汚泥の流量が第1の所定範囲内になると、運転停止の予測時刻が第3の所定範囲内となるように、スクリュー92の回転速度が低下される。これにより、運転停止の予想時刻が著しく早くなることを防止できる。
【0085】
そして、本実施例では、凝集汚泥の流量が第1の所定範囲内になり、かつ、運転停止の予測時刻が第3の所定範囲内となると、脱水ケーキの含水率が第2の所定範囲内となるように、スクリュー92の回転速度の増加量が維持される。これにより、脱水ケーキの含水率が大きく低下することを防止できる。
【0086】
〔付記事項〕
なお、ステップS13、S22、およびS14は何れを先に処理してもよい。すなわち、指示部105は、取得部101が取得した凝集汚泥の流量が第1の所定範囲内となり、第1予測部102が予測した上記脱水ケーキの含水率の予測値が第2の所定範囲内となり、かつ、第2予測部104が予測した運転停止の予測時刻が第3の所定範囲内となるように、脱水機用制御装置3bに指示して、スクリュー92の回転速度を制御させてもよい。
【0087】
この場合、上記凝集汚泥の流量と上記脱水ケーキの含水率とを適切な範囲で維持しつつ、脱水機9を運転できると共に、脱水機9の運転停止を予定通りに行うことができ、上記脱水ケーキの運搬など、脱水機9の運転停止後の処理を予定通りに行うことができる。
【0088】
〔実施形態3〕
本発明のさらに別の実施形態について、
図8~
図11を参照して説明する。本実施形態に係る制御システム100は、
図2に示す制御システム100に比べて、情報処理装置1の構成が異なり、その他の構成は同様である。
【0089】
図8は、本実施形態の情報処理装置1の要部構成の一例を示すブロック図である。本実施形態の情報処理装置1は、
図1に示す情報処理装置1に比べて、記憶部11には推定モデル112がさらに含まれている点と、更新部106がさらに設けられている点とが異なり、その他の構成は同様である。
【0090】
〔推定モデルについて〕
本実施形態では、予測モデル111の目的変数である経過時点の含水率は、推定モデル112による推定値である。推定モデル112は、取得部101が取得した測定データのうち、脱水機9の運転に関する測定データを説明変数とし、当該測定データの測定時点において、脱水機9の脱水ケーキ排出口95から排出される脱水ケーキの含水率(以下、「測定時点の含水率」と称する。)を目的変数として学習された推定モデルである。
【0091】
上記測定データとしては、脱水機9の運転時間、脱水機9のスクリューの回転速度、当該スクリューの駆動電流値またはトルク値、脱水機9の脱水ケーキ排出口95(排出部)に設けられ液体を圧搾する背圧板による背圧、および、当該背圧板と脱水ケーキ排出口95との開度、の少なくともいずれかであり、脱水機用制御装置3bから取得する。なお、これらのうち、推定モデル112の推定精度に対する寄与が大きい測定データとしては、上記スクリューの駆動電流値および上記開度(特に上記背圧が一定となるように脱水機9を制御する場合)が挙げられる。上記含水率は、制御システム100外部の装置を用いて、作業者が手作業で分析して測定(実測)する。このため、当該測定を頻繁に行うことができない。
【0092】
図9は、作業者による含水率実測値に対する、推定モデル112による含水率推定値のバラツキを示すグラフである。
図9の例では、脱水機9の運転時間、脱水機9のスクリューの回転速度および駆動電流値、上記背圧板による背圧、並びに、背圧板と脱水ケーキ排出口95との開度とを説明変数としている。
図9を参照すると、上記バラツキが極めて小さいことが理解できる。従って、推定モデル112に対し、脱水機9の運転に関する測定データを用いることで、測定時点の含水率を精度よくかつ頻繁に推定することができる。その結果、上記脱水ケーキの含水率の手作業分析における作業者の負荷を増やすことなく、上記脱水ケーキの含水率を精度よく予測することができる。
【0093】
〔予測モデルの学習方法〕
次に、本実施形態の予測モデル111による含水率の学習方法に関して説明する。予測モデル111は、上記したように、測定時点における測定データを用いて、当該測定時点よりも未来の経過時点の含水率を予測するモデルである。
【0094】
図10は、予測モデル111のための教師データを作成する概念を示すモデル図である。
図10の横軸は運転時間(分)である。また、
図10の縦軸は、各測定データの測定値であり、測定データごとに任意のスケールで示している。
【0095】
予測モデル111の説明変数となる、測定時点の測定データは、
図10の上段に示すように、液体(汚泥)の単位時間当たりの供給流量、液体(汚泥)の濃度、フロックの平均濃淡値、フロック間の隙間の平均単位面積、凝集槽51における撹拌翼の回転速度、脱水機9の運転時間、脱水機9のスクリューの回転速度、および、脱水機9へ投入される液体(凝集汚泥)の投入圧である。
【0096】
そして、予測モデル111の目的変数は、経過時点の含水率である。この含水率として、作業者による実測値を用いる場合、
図10の下段において白色の丸印で示すように、作業者が一日の作業で測定できる回数に上限がある。このため、説明変数および目的変数の組み合わせである教師データの数が制限され、その結果、高精度な予測モデルを作成することが困難である。
【0097】
そこで、本実施形態では、上記教師データの目的変数として、作業者による実測値の代わりに、上記した推定モデル112による推定値を用いている。これにより、
図10の下段にて灰色の丸印で示すように、目的変数の数が、作業者が測定できる回数に制限されることが無くなるので、上記教師データの数を増やすことができ、高精度な予測モデル111を作成することができる。
【0098】
ところで、上記経過時点の含水率の推定値は、上記経過時点における測定データから推定モデル112を用いて算出される。従って、予測モデル111の学習には、予測モデル111の説明変数である測定時点の測定データと、推定モデル112の説明変数である経過時点の測定データとが利用されることになる。
【0099】
〔予測モデルによる含水率の予測方法〕
予測部102は、学習を行った予測モデル111を用いて、脱水ケーキの含水率を予測する。すなわち、予測部102は、説明変数である、凝集槽51に供給される液体に関する測定データと、凝集槽51に供給される薬剤に関する測定データと、凝集槽51内の液体に関する測定データと、凝集槽51の運転に関する測定データと、脱水機9の運転に関する測定データと、の少なくともいずれかを、予測モデル111に入力することで、目的変数である、脱水完了時における脱水ケーキの含水率を予測する。
【0100】
このとき、推定モデル112の説明変数であるが予測モデル111の説明変数ではない測定データに関しては、予測部102は利用しないので、取得部101は取得を省略してもよい。しかしながら、後述する更新部106の処理のために、取得部101は上記取得を行うことが望ましい。
【0101】
〔更新部について〕
更新部106は、凝集槽51および脱水機9が停止している期間(運転停止期間)に、予測モデル111および推定モデル112を更新する処理を行う。具体的には、更新部106は、脱水機9の運転期間において取得部101が取得した測定データと、作業者が実測した脱水ケーキの含水率との組を教師データとして、上記運転停止期間において推定モデル112を更新する。
【0102】
次に、更新部106は、凝集槽51および脱水機9の運転期間において取得部101が取得した測定データと、測定データの測定時点から滞留時間が経過した経過時点において脱水機9から排出される脱水ケーキの含水率についての推定モデル112による推定値との組を教師データとして、上記運転停止期間において予測モデルを更新する。
【0103】
通常、上記運転期間は、1日における設定された1期間である。従って、更新部106による更新は1日1回行われる。また、作業者が行う脱水ケーキの含水率の実測には1日程度かかる。このため、推定モデル112の更新は、例えば2日前の上記運転期間における測定データを用いてもよい。一方、予測モデル111の更新は、最新の運転期間における測定データを用いることが望ましい。
【0104】
したがって、最新の測定データを用いて予測モデル111が更新されるので、予測モデル111を用いた予測を凝集槽51および脱水機9の最新の状況に適合させることができる。同様に、最新の測定データおよび作業者の実測値を用いて推定モデル112が更新されるので、推定モデル112を用いた推定を脱水機9の最新の状況に適合させることができる。
【0105】
〔更新処理〕
図11は、情報処理装置1における予測モデル111および推定モデル112の更新処理の一例を示すフローチャートである。この更新処理は、上述のように、運転停止期間ごとに実行される。
【0106】
図11に示すように、まず、取得部101は、作業者による含水率の実測値を新たに取得したか否かを判断する(S31)。上記実測値を新たに取得しなかった場合(S31にてNO)、ステップS34に進む。一方、上記実測値を新たに取得した場合(S31にてYES)、更新部106は、新たに取得した含水率の実測値と、該実測値の実測時点における測定データとの組を新たな教師データとして作成し(S32)、作成した教師データを用いて推定モデル112を更新する(S33)。
【0107】
次に、更新部106は、推定モデル112を用いて、最新の運転期間における測定データから当該運転期間における含水率の推定値を算出する(S34)。次に、更新部106は、最新の運転期間における測定時点ごとに、該測定時点の測定データと、上記測定時点から滞留時間が経過した経過時点の上記推定値との組を新たな教師データとして作成する(S35)。そして、更新部106は、作成した教師データを用いて予測モデル111を更新する(S36)。その後、上記更新処理を終了する。
【0108】
(付記事項)
本実施形態における更新部106および推定モデル112は、
図5に示す情報処理装置1に適用してもよい。この場合、本実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0109】
〔実施形態4〕
本発明のさらに別の実施形態について、
図12および
図13を参照して説明する。本実施形態に係る制御システム100は、
図2に示す制御システム100に比べて、
図5に示す情報処理装置1の指示部105に警報を指示する動作が追加されている点が異なり、その他の構成は同様である。
【0110】
具体的には、指示部105は、上記凝集汚泥の流量が第1の所定範囲から外れており、かつ、上記脱水ケーキの含水率の予測値が上記第2の所定範囲を含む第4の所定範囲から外れている場合、警報を行うように出力部14に指示する。また、指示部105は、第2予測部104が予測した予測時刻が、上記第3の所定範囲を含む第5の所定範囲から外れている場合、警報を行うように出力部14に指示する。これにより、作業者に注意喚起を行うことができる。
【0111】
図12および
図13は、上記構成の情報処理装置1における制御装置3への指示処理(制御方法)の一例を示すフローチャートである。本実施形態の指示処理は、
図6に示す指示処理に比べて、ステップS15に代えて、ステップS41、S42、S45、S46、およびS49が設けられている点と、ステップS16に代えて、ステップS43、S44、S47、S48、およびS50が設けられている点とが異なり、その他の処理は同じである。
【0112】
図12に示すように、ステップS13において、上記凝集汚泥の流量が上記第1の所定範囲よりも小さい場合、指示部105は、ステップS15と同様に、脱水機9のスクリュー92の回転速度を所定量だけ増加するように、脱水機用制御装置3bに指示する(S41)。次に、指示部105は、上記脱水ケーキの含水率の予測値が、上記第2の所定範囲を含む第4の所定範囲よりも大きい場合、上記予測値が大き過ぎるとして、警報を行うように出力部14に指示する(S42)。また、指示部105は、上記運転停止の予測時刻が、上記第3の所定範囲を含む第5の所定範囲よりも早い場合、上記予測時刻が早過ぎるとして、警報を行うように出力部14に指示する(S42)。その後、上記指示処理を終了する。
【0113】
一方、ステップS13にて上記凝集汚泥の流量が上記第1の所定範囲よりも大きい場合、指示部105は、ステップS16と同様に、脱水機9のスクリュー92の回転速度を所定量だけ減少するように、脱水機用制御装置3bに指示する(S43)。次に、指示部105は、上記脱水ケーキの含水率の予測値が、上記第4の所定範囲よりも小さい場合、上記予測値が小さ過ぎるとして、警報を行うように出力部14に指示する(S44)。また、指示部105は、上記運転停止の予測時刻が上記第5の所定範囲よりも遅い場合、上記予測時刻が遅過ぎるとして、警報を行うように出力部14に指示する(S44)。その後、上記指示処理を終了する。
【0114】
また、
図13に示すように、ステップS22において、上記予測値が上記第3の所定範囲よりも遅い場合、指示部105は、ステップS15と同様に、脱水機9のスクリュー92の回転速度を所定量だけ増加するように、脱水機用制御装置3bに指示する(S45)。次に、指示部105は、上記脱水ケーキの含水率の予測値が、上記第4の所定範囲よりも大きい場合、上記予測値が大き過ぎるとして、警報を行うように出力部14に指示する(S46)。その後、上記指示処理を終了する。
【0115】
一方、ステップS22において、上記予測値が上記第3の所定範囲よりも早い場合、指示部105は、ステップS16と同様に、脱水機9のスクリュー92の回転速度を所定量だけ減少するように、脱水機用制御装置3bに指示する(S47)。次に、指示部105は、上記脱水ケーキの含水率の予測値が、上記第4の所定範囲よりも小さい場合、上記予測値が小さ過ぎるとして、警報を行うように出力部14に指示する(S48)。その後、上記指示処理を終了する。
【0116】
また、
図13に示すように、ステップS14において、上記予測値が上記第2の所定範囲よりも小さい場合、指示部105は、ステップS15と同様に、脱水機9のスクリュー92の回転速度を所定量だけ増加するように、脱水機用制御装置3bに指示する(S49)。その後、上記指示処理を終了する。
【0117】
一方、ステップS14にて上記予測値が上記第2の所定範囲よりも大きい場合、指示部105は、ステップS16と同様に、脱水機9のスクリュー92の回転速度を所定量だけ減少するように、脱水機用制御装置3bに指示する(S50)。その後、上記指示処理を終了する。
【0118】
〔実施形態5〕
本発明のさらに別の実施形態について、
図14~
図18を参照して説明する。本実施形態に係る制御システム100は、
図2に示す制御システム100に比べて、情報処理装置1の構成が異なり、その他の構成は同様である。
【0119】
図14は、本実施形態の情報処理装置1の要部構成の一例を示すブロック図である。本実施形態の情報処理装置1は、
図1に示す情報処理装置1に比べて、調整部107(薬剤用制御部)がさらに設けられている点が異なり、その他の構成は同様である。
【0120】
調整部107は、薬剤の添加後の液体の性状に関連のある第1の測定データを用いて予測部102が予測した第1の予測値と、薬剤の添加の態様が変更された後の液体の性状に関連のある第2の測定データを用いて予測部102が予測した第2の予測値とに基づいて、薬剤の添加の態様を調整する。調整部107は、調整した態様に従って薬剤を添加するようにフロキュレータ用制御装置3a(薬剤用制御部)に指示する。これにより、浮遊固形物を含む液体に添加する、当該浮遊固形物を凝集させる薬剤の添加の態様を適切に調整することが可能になる。
【0121】
〔薬剤の添加態様の調整手法〕
調整部107は、予測部102が予測する第1の予測値と第2の予測値とに基づいて薬剤の添加の態様を調整する。なお、薬剤の添加の態様とは、薬剤をどのように添加するかを意味する。例えば、薬注率、薬剤の添加量、および薬剤の供給流量の少なくとも何れかを変更または調整することは、薬剤の添加の態様を変更または調整することに該当する。この他にも、添加する薬剤の種類や配合を変えることも薬剤の添加の態様の変更に該当する。
【0122】
図15は、上記構成の情報処理装置1における制御部10の処理の一例を示すフローチャートである。
図15に示すように、まず、制御部10は、第1タイマt1および第2タイマt2をリセットしてスタートする(S61)。
【0123】
次に、制御部10は、第2タイマt2が第2設定時間(例えば15分)を経過したか否かを判断する(S62)。第2タイマt2が第2設定時間を経過した場合(S62にてYES)、調整部107が薬注率の調整処理を行う(S63)。なお、上記薬剤率の調整処理については後述する。その後、ステップS61に戻る。
【0124】
一方、第2タイマt2が第2設定時間を経過していない場合(S62にてNO)、制御部10は、第1タイマt1が第1設定時間(例えば5分)を経過したか否かを判断する(S64)。第1タイマt1が第1設定時間を経過していない場合(S64にてNO)、ステップS62に戻る。
【0125】
一方、第1タイマt1が第1設定時間を経過した場合(S64にてYES)、指示部103は、
図3に示す指示処理を行う(S65)。次に、制御部10は、第1タイマt1をリセットしてスタートする(S66)。その後、ステップS62に戻る。
【0126】
これにより、例えば、スタートから5分後および10分後に指示処理が行われ、15分後に薬注率の調整処理が行われ、以後これらの動作が繰り返される。すなわち、上記指示処理と上記薬注率の調整処理とは、交互に行われる。これにより、上記指示処理の実行により上記薬注率の調整処理に影響が及ぶことを防止できる。
【0127】
図16は、薬剤率の調整処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図16の処理の開始時点では、フロキュレータ5内の液体に対して所定の薬注率で薬剤の添加が行われている。まず、調整部107は、薬注率低減効果判定処理を行う(S71)。
【0128】
図17は、上記薬注率低減効果判定処理の一例を示すフローチャートである。まず、予測部102が含水率を予測する(S81)。より詳細には、予測部102は、S81の処理の実施時点における薬剤の添加後の液体の性状に関連のある第1の測定データを用いて第1の予測値を算出する。
【0129】
次に、調整部107は、薬注率を低減させる(S82)。薬注率の低減幅は予め定めておけばよい。次に、予測部102は、S82で薬注率を低減させた後で測定された測定データから含水率を予測する。より詳細には、予測部102は、S82の処理により薬剤の添加の態様が変更された後の液体の性状に関連のある第2の測定データを用いて第2の予測値を算出する。なお、第2の測定データは、S82で薬注率を低減させた後、その効果が測定データに現れるのに十分な時間が経過した後で測定される。以下では当該時間をΔtと記載する。
【0130】
次に、調整部107は、薬注率をS82で低減させる前の値に戻す(S84)。次に、予測部102は、S84で薬注率を戻した後で測定された測定データから含水率を予測する(S85)。より詳細には、予測部102は、S84の処理により薬剤の添加の態様がS82の直前の態様に戻された後の液体の性状に関連のある第3の測定データを用いて第3の予測値を算出する。その後、
図17の処理は終了し、元の
図16の処理に戻って、ステップS72に進む。
【0131】
なお、第3の測定データについても、第2の測定データと同様に、薬注率を変化させた効果が測定データに現れるのに十分な時間が経過した後で測定される。この時間は第2の測定データと同じ時間(Δt)としてもよい。
【0132】
ステップS72において、調整部107は、S71で算出された第1~第3の予測値に基づき、薬注率を低減させる調整により、含水率の予測値が低下または不変であったか否かを判定する(S72)。なお、通常は薬注率を低減させると含水率は増加するため、S72の判定結果はNOとなることが多い。ただし、例えば、
図16の処理の開始時点における薬注率が高すぎる場合には、薬注率を低減させる調整により含水率の予測値が低下することがある。このような場合にS72の判定結果はYESとなる。
【0133】
ステップS72にて上記予測値が低下または不変であった場合(S72にてYES)、調整部107は、薬剤の添加の態様を調整する(S73)。より詳細には、調整部107は薬注率を低減する。その後、ステップS71に戻る。S73において、調整部107は、フロキュレータ5に薬剤を供給する供給装置を直接制御することにより薬注率を低減してもよいし、制御装置3等の他の装置を介して当該供給装置を制御することにより薬注率を低減してもよい。後述のS76においても同様である。
【0134】
このように、S71~S73の処理は、S72でNOと判定されるまで繰り返し行われる。S71~S73の処理は、含水率の予測値の低下が期待できなくなる程度まで薬注率を所定の低減幅で段階的に低減させる処理であるといえる。
【0135】
ステップS72にて上記予測値が増加であった場合(S72にてNO)、調整部107は、薬注率増加効果判定処理を行う(S74)。
【0136】
図18は、上記薬注率増加効果判定処理の一例を示すフローチャートである。まず、予測部102は含水率を予測する(S91)。より詳細には、予測部102は、S91の処理の実施時点における薬剤の添加後の液体の性状に関連のある第1の測定データを用いて第1の予測値を算出する。
【0137】
次に、調整部107は、薬注率を増加させる(S92)。薬注率の増加幅は予め定めておけばよい。例えば、調整部107は、
図17のS82と同じ幅だけ薬注率を増加させてもよい。
【0138】
次に、予測部102は、ステップS92で薬注率を増加させた後で測定された測定データから含水率を予測する(S93)。より詳細には、予測部102は、S92の処理により薬剤の添加の態様が変更された後の液体の性状に関連のある第2の測定データを用いて第2の予測値を算出する。なお、第2の測定データは、S92で薬注率を増加させた後、その効果が測定データに現れるのに十分な時間が経過した後で測定される。例えば、第2の測定データは、
図17のS83と同様に、ステップS92で薬注率を増加させてから時間(Δt)だけ経過したときに測定されたものであってもよい。
【0139】
次に、調整部107は、薬注率をS92で増加させる前の値に戻す(S94)。続いて、予測部102は、ステップS94で薬注率を戻した後で測定された測定データから含水率を予測する(S95)。より詳細には、予測部102は、ステップS94の処理により薬剤の添加の態様がステップS42の直前の態様に戻された後の液体の性状に関連のある第3の測定データを用いて第3の予測値を算出する。その後、
図18の処理は終了し、元の
図16の処理に戻って、ステップS75に進む。
【0140】
ステップS75において、調整部107は、S74で算出された第1~第3の予測値に基づき、薬注率を増加させる調整により、含水率の予測値が低下したか否かを判定する(S75)。含水率の予測値が増加または不変した場合(S75にてNO)、
図16の処理は終了し、元の処理に戻る。
【0141】
一方、含水率の予測値が低下した場合(S75にてYES)、調整部107は、薬剤の添加の態様を調整する(S76)。より詳細には、調整部107は薬注率を増加する。その後、ステップS74に戻る。
【0142】
このように、S74~S76の処理は、S75でNOと判定されるまで繰り返し行われる。S74~S76の処理は、含水率の予測値の低下が期待できなくなる程度まで薬注率を所定の低減幅で段階的に増加させる処理であるといえる。
【0143】
そして、調整部107は、S71~S73の処理をS72でNOと判定されるまで繰り返した後で、S74~S76の繰り返し処理を行うことにより、薬注率を、含水率を最小化することが期待でき、かつ、過大ではない値に調整することができる。
【0144】
〔実施形態6〕
本発明のさらに別の実施形態について、
図19~
図21を参照して説明する。本実施形態に係る制御システム100は、
図2に示す制御システム100に比べて、情報処理装置1の構成が異なり、その他の構成は同様である。
【0145】
図19は、本実施形態の情報処理装置1の要部構成の一例を示すブロック図である。本実施形態の情報処理装置1は、
図14に示す情報処理装置1に比べて、指示部103を第1指示部103(脱水機用制御部)に名称を変更している点と、第2指示部108(撹拌翼用制御部)がさらに設けられている点とが異なり、その他の構成は同様である。
【0146】
第2指示部108は、撹拌翼52に関する指示を、通信部12を介して、フロキュレータ用制御装置3a(撹拌翼用制御部)に行う。本実施形態では、取得部101は、凝集槽51に形成されるフロックのサイズの測定データを取得する。第2指示部108は、上記フロックのサイズが所定の適正範囲から外れている場合、脱水機用制御装置3b(脱水機用制御部)に指示して、上記フロックのサイズが上記適正範囲となるように、撹拌翼52の回転速度を制御させる。第2指示部108は、第1指示部103および調整部107と並行して動作する。
【0147】
また、本実施形態では、上記フロックのサイズが第6の所定範囲から外れている場合、第1指示部103および調整部107は、動作を停止する。これにより、上記フロックのサイズが第6の所定範囲から外れていることにより、第1指示部103および調整部107の動作に悪影響を及ぼすことを防止できる。なお、上記適正範囲と第6の所定範囲とは同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0148】
図20は、上記構成の情報処理装置1における制御装置3への指示処理(制御方法)の一例を示すフローチャートである。この指示処理は、周期的(例えば1分ごと)に実行される。
図20に示すように、まず、取得部101は、凝集槽51に形成されるフロックのサイズの測定データを取得する(S101)。
【0149】
次に、第2指示部108は、上記フロックのサイズが、所定の適正範囲よりも小さいか、上記適正範囲内であるか、或いは、上記適正範囲よりも大きいかを判断する(S102)。上記フロックのサイズが上記適正範囲内である場合、第2指示部108は、上記指示処理を終了する。
【0150】
ステップS102にて上記フロックのサイズが上記適正範囲よりも小さい場合、第2指示部108は、撹拌翼52の回転速度を所定量(例えば、1回転/分)だけ減少するように、フロキュレータ用制御装置3aに指示する。その後、上記指示処理を終了する。ステップS101~S103を周期的に繰り返すことにより、上記フロックのサイズが段階的に増加して、最終的に上記適正範囲内とすることができる。
【0151】
一方、ステップS102にて上記フロックのサイズが上記適正範囲よりも大きい場合、第2指示部108は、撹拌翼52の回転速度を所定量(例えば、1回転/分)だけ増加するように、フロキュレータ用制御装置3aに指示する。その後、上記指示処理を終了する。ステップS101、S102、およびS104を周期的に繰り返すことにより、上記フロックのサイズが段階的に減少して、最終的に上記適正範囲内とすることができる。
【0152】
図21は、上記構成の情報処理装置1における制御部10の処理の一例を示すフローチャートである。
図21に示すフローチャートは、
図15に示すフローチャートに比べて、ステップS61とステップS62との間にステップS111が設けられている点が異なり、その他の処理は同様である。なお、
図21の処理は、
図20の処理と並行して行われる。
【0153】
ステップS111にて、制御部10は、凝集槽51に形成されるフロックのサイズが第6の所定範囲内となるまで待機する。これにより、上記フロックのサイズが第6の所定範囲から外れた場合、第1指示部103および調整部107の動作を停止することができる。
【0154】
(付記事項)
上記実施形態では、予測部102は、機械学習された予測モデル111を利用して、経過時点における脱水ケーキの含水率を予測しているが、これに限定されるものでなない。例えば、予測部102は、所定の計算式に基づいて上記脱水ケーキの含水率を予測してもよい。また、上記実施形態では、情報処理装置1と制御装置3とは別々であるが、一体であってもよい。
【0155】
〔ソフトウェアによる実現例〕
情報処理装置1(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部10に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0156】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0157】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0158】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0159】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0160】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0161】
1 情報処理装置
3 制御装置
3a フロキュレータ用制御装置(薬剤用制御部、撹拌翼用制御部)
3b 脱水機用制御装置(脱水機用制御部)
5 フロキュレータ
9 脱水機
10 制御部
11 記憶部
51 凝集槽
52 撹拌翼
53 モータ
54 点検窓
55 汚泥投入口
56 薬剤投入口
57 排出口
71 照明装置
72 撮影装置
91 外胴スクリーン
92 スクリュー
93 汚泥投入口
94 液排出口
95 脱水ケーキ排出口
100 制御システム
101 取得部
102 予測部、第1予測部
103 指示部(制御部)、第1指示部(脱水機用制御部)
104 第2予測部
105 指示部(制御部)
106 更新部
107 調整部(薬剤用制御部)
108 第2指示部(撹拌翼用制御部)
111 予測モデル
112 推定モデル