(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004630
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】予測装置およびその制御方法、制御プログラム、並びに脱水機システム
(51)【国際特許分類】
C02F 11/125 20190101AFI20250107BHJP
【FI】
C02F11/125 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104442
(22)【出願日】2023-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】東 隆司
(72)【発明者】
【氏名】山中 亮輝
【テーマコード(参考)】
4D059
【Fターム(参考)】
4D059AA03
4D059BE04
4D059BE26
4D059BE54
4D059BJ01
4D059EA16
4D059EA20
4D059EB02
4D059EB16
4D059EB20
(57)【要約】
【課題】脱水機における処理量に関する予測を精度よく行う。
【解決手段】取得部(101)が取得した、スクリュープレス型の脱水機の運転を開始する運転開始時刻から第1の時刻までの第1の期間、および、第1の時刻での前記スクリューの回転速度の測定値と、第1算出部(102)が算出した、第1の期間でのスクリューの単位回転当たりの処理量の測定値と、第2算出部(103)が算出した、第1の期間でのスクリューの単位回転当たりの処理量の測定値であって、過去の所定日数におけるスクリューの単位回転当たりの処理量の測定値の平均値、および、運転開始時刻から運転終了時刻までの運転期間でのスクリューの単位回転当たりの処理量の測定値であって、過去の所定日数における前記処理量の測定値の平均値とを用いて、予測部(104)は、運転期間における脱水機の処理量の目標値から運転期間を予測する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮遊固形物を含む液体に前記浮遊固形物を凝集させる薬剤が添加される凝集槽から排出された前記液体を搬送しながら脱水するスクリュープレス型の脱水機の運転を開始する運転開始時刻から、第1の時刻までの第1の期間と、前記第1の期間での前記脱水機のスクリューの単位回転当たりの処理量の測定値と、前記第1の時刻での前記スクリューの回転速度の測定値とを取得し、かつ、
前記第1の期間での前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値であって、過去の所定日数における前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値の平均値と、前記運転開始時刻から前記第1の時刻を経て第2の時刻までの第2の期間での前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値であって、前記過去の所定日数における前記処理量の測定値の平均値とを取得する取得部と、
前記第1の期間での前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値と、前記過去の所定日数における前記第1の期間での前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値の平均値と、前記過去の所定日数における前記第2の期間での前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値の平均値と、前記第1の時刻での前記スクリューの回転速度の測定値とを用いて、前記第2の期間の目標値から、前記第2の期間における前記脱水機の処理量を予測し、或いは、前記第2の期間における前記脱水機の処理量の目標値から、前記第2の期間を予測する予測部と、を備える予測装置。
【請求項2】
前記予測部は、前記第1の期間での前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値A1と、前記過去の所定日数における前記第1の期間での前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値A1の平均値PA1と、前記過去の所定日数における前記第2の期間での前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値の平均値PA2と、前記第1の時刻での前記スクリューの回転速度の測定値rr1とを用いて、次式(Eq1)に基づき、前記第2の期間T2の目標値から、前記第2の期間における前記脱水機の処理量DA2を予測し、或いは、前記第2の期間における前記脱水機の処理量DA2の目標値から前記第2の期間T2を予測する、
DA2/T2=A1×(PA2/PA1)×rr1 ・・・・(Eq1)
請求項1に記載の予測装置。
【請求項3】
前記第2の時刻は、前記脱水機の運転終了時刻であり、
前記第2の期間は、前記脱水機の運転期間であり、
前記第2の期間での処理量の目標値は、前記運転期間に到達すべき前記処理量の目標値であり、
前記予測部は、前記運転期間に到達すべき前記処理量の目標値から、前記運転期間を予測する、請求項1または2に記載の予測装置。
【請求項4】
前記過去の所定日数は5日以上30日以下である、請求項1または2に記載の予測装置。
【請求項5】
前記処理量は、前記脱水機に供給される前記液体の量である、請求項1または2に記載の予測装置。
【請求項6】
前記処理量は、前記脱水機から排出される脱水ケーキの量である、請求項1または2に記載の予測装置。
【請求項7】
前記運転開始時刻から或る期間と、前記或る期間での前記スクリューの単位回転当たりの処理量であって、前記過去の所定日数における前記スクリューの単位回転当たりの処理量とを、異なる複数の期間ごとに含む運転履歴データを記憶する記憶部をさらに備え、
前記取得部は、前記記憶部の運転履歴データを参照して、前記第1の期間に対応する前記スクリューの単位回転当たりの処理量であって、前記過去の所定日数における前記スクリューの単位回転当たりの処理量の平均値と、前記第2の期間に対応する前記スクリューの単位回転当たりの処理量であって、前記過去の所定日数における前記スクリューの単位回転当たりの処理量の平均値とを取得する、請求項1または2に記載の予測装置。
【請求項8】
前記予測部が予測した前記第2の期間または前記処理量の予測値を表示するように、表示装置を制御する制御部をさらに備える、請求項1または2に記載の予測装置。
【請求項9】
浮遊固形物を含む液体に前記浮遊固形物を凝集させる薬剤が添加される凝集槽から排出された前記液体を搬送しながら脱水するスクリュープレス型の脱水機と、
前記脱水機に関する予測を行う、請求項1または2に記載の予測装置と、を備える脱水機システム。
【請求項10】
請求項1に記載の制御装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、上記取得部および上記予測部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【請求項11】
浮遊固形物を含む液体に前記浮遊固形物を凝集させる薬剤が添加される凝集槽から排出された前記液体を搬送しながら脱水するスクリュープレス型の脱水機の運転を開始する運転開始時刻から、第1の時刻までの第1の期間と、前記第1の期間での前記脱水機のスクリューの単位回転当たりの処理量の測定値と、前記第1の時刻での前記スクリューの回転速度の測定値とを取得し、かつ、
前記第1の期間での前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値であって、過去の所定日数における前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値の平均値と、前記運転開始時刻から前記第1の時刻を経て第2の時刻までの第2の期間での前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値であって、前記過去の所定日数における前記処理量の測定値の平均値とを取得する取得ステップと、
前記第1の期間での前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値と、前記過去の所定日数における前記第1の期間での前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値の平均値と、前記過去の所定日数における前記第2の期間での前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値の平均値と、前記第1の時刻での前記スクリューの回転速度の測定値とを用いて、前記第2の期間の目標値から、前記第2の期間における前記脱水機の処理量を予測し、或いは、前記第2の期間における前記脱水機の処理量の目標値から、前記第2の期間を予測する予測ステップと、を含む予測装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥処理の予測技術に関する。
【背景技術】
【0002】
下水処理場などの排水処理施設において実施される汚泥処理には汚泥を脱水機で脱水する工程が含まれている。効率的な汚泥処理のためには、脱水機へ供給される汚泥の流量を所定範囲内で維持することと、脱水により得られる脱水ケーキの含水率を所定範囲内で維持することとが重要である。例えば、特許文献1に記載の汚泥濃縮脱水システムは、一定流量の汚泥を安定して脱水するために、脱水機のスクリュー軸の回転数を制御している。また、特許文献2に記載の汚泥処理システムは、脱水ケーキの含水率が一定値以下となるように、背圧板の押付け圧とスクリューの回転数とを制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-030158号公報
【特許文献2】特開2013-208609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
効率的な汚泥処理のためには、脱水機へ供給される汚泥の処理量、脱水により得られる脱水ケーキの重量等、上記脱水機における処理量の合計値が、今後どの程度になり、また、上記合計値が1日の目標値に到達して、上記脱水機の運転をいつ終了するかを精度よく予測できることが望ましい。この場合、作業者は、上記脱水機の運転中に、脱水ケーキをトラック等にて遅滞なく搬出することができ、また、上記脱水機の運転終了後の処理を遅滞なく行うことができる。
【0005】
本発明の一態様は、脱水機における処理量に関する予測を精度よく行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る予測装置は、浮遊固形物を含む液体に前記浮遊固形物を凝集させる薬剤が添加される凝集槽から排出された前記液体を搬送しながら脱水するスクリュープレス型の脱水機の運転を開始する運転開始時刻から、第1の時刻までの第1の期間と、前記第1の期間での前記脱水機のスクリューの単位回転当たりの処理量の測定値と、前記第1の時刻での前記スクリューの回転速度の測定値とを取得し、かつ、前記第1の期間での前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値であって、過去の所定日数における前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値の平均値と、前記運転開始時刻から前記第1の時刻を経て第2の時刻までの第2の期間での前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値であって、前記過去の所定日数における前記処理量の測定値の平均値とを取得する取得部と、前記第1の期間での前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値と、前記過去の所定日数における前記第1の期間での前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値の平均値と、前記過去の所定日数における前記第2の期間での前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値の平均値と、前記第1の時刻での前記スクリューの回転速度の測定値とを用いて、前記第2の期間の目標値から、前記第2の期間における前記脱水機の処理量を予測し、或いは、前記第2の期間における前記脱水機の処理量の目標値から、前記第2の期間を予測する予測部と、を備える。
【0007】
また、本発明の別の態様に係る予測装置の制御方法は、浮遊固形物を含む液体に前記浮遊固形物を凝集させる薬剤が添加される凝集槽から排出された前記液体を搬送しながら脱水するスクリュープレス型の脱水機の運転を開始する運転開始時刻から、第1の時刻までの第1の期間と、前記第1の期間での前記脱水機のスクリューの単位回転当たりの処理量の測定値と、前記第1の時刻での前記スクリューの回転速度の測定値とを取得し、かつ、前記第1の期間での前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値であって、過去の所定日数における前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値の平均値と、前記運転開始時刻から前記第1の時刻を経て第2の時刻までの第2の期間での前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値であって、前記過去の所定日数における前記処理量の測定値の平均値とを取得する取得ステップと、前記第1の期間での前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値と、前記過去の所定日数における前記第1の期間での前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値の平均値と、前記過去の所定日数における前記第2の期間での前記スクリューの単位回転当たりの処理量の測定値の平均値と、前記第1の時刻での前記スクリューの回転速度の測定値とを用いて、前記第2の期間の目標値から、前記第2の期間における前記脱水機の処理量を予測し、或いは、前記第2の期間における前記脱水機の処理量の目標値から、前記第2の期間を予測する予測ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、脱水機における処理量に関する予測を精度よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る制御システムにおける情報処理装置の要部構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】上記情報処理装置における記憶部に記憶された運転履歴データの一例を表形式で示す図である。
【
図4】上記構成の情報処理装置における予測処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】運転終了時刻の予測値と実際の値との誤差の絶対値の変化を示すグラフである。
【
図6】本発明の別の実施形態に係る制御システムにおける情報処理装置の要部構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】上記構成の情報処理装置における予測処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】運転期間の目標値における処理量の予測値と実際の値との誤差の絶対値の変化を示すグラフである。
【
図9】本発明のさらに別の実施形態に係る制御システムにおける情報処理装置の要部構成の一例を示すブロック図である。
【
図10】上記構成の情報処理装置における予測処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、説明の便宜上、各実施形態に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付記し、適宜その説明を省略する。
【0011】
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について、
図1~
図4を参照して説明する。
【0012】
〔制御システム〕
図2は、本実施形態に係る制御システム100(脱水機システム)の構成例を示す図である。制御システム100は、浮遊固形物を凝集させる薬剤を凝集槽内の被処理液(液体)に添加してフロックを形成し、フロックが形成された前記被処理液の固液分離を行うプラントで使用されるシステムである。以下では、被処理液が汚泥である例を説明するが、制御システム100は汚泥以外の被処理液を処理するプラントにも適用可能である。なお、汚泥とは、排水処理などで生じる微細な固形物を含む液体であり、スラリーと呼ぶこともできる。
【0013】
詳細は以下説明するが、制御システム100は、汚泥の処理工程のうち、処理対象の汚泥中の浮遊固形物を凝集させてフロックを形成させることによって、処理対象の汚泥を凝集汚泥とする工程から、凝集汚泥を脱水して脱水汚泥(脱水ケーキとも呼ばれる)と脱水ろ液とを得る工程までの各処理を行う。
図2に示すように、制御システム100は、情報処理装置1(予測装置)と、制御装置3と、フロキュレータ5と、脱水機9とを含む。
【0014】
フロキュレータ5は、浮遊固形物を凝集させる薬剤を凝集槽内の被処理液に添加して適度に撹拌することでフロックを形成させる機器である。具体的には、フロキュレータ5は、汚泥を被処理液とし、汚泥中の浮遊固形物を凝集させてフロックを形成させ、凝集汚泥を生成する。
図2のフロキュレータ5は、凝集槽51と、撹拌翼52と、モータ53と、点検窓54とを備えている。また、フロキュレータ5には、汚泥投入口55と、薬剤投入口56と、排出口57とが設けられている。
【0015】
さらに、点検窓54には、撮影装置72と、撮影用の照明装置71とが取り付けられている。撮影装置72は、少なくとも静止画像が撮影できるものであればよい。制御システム100の稼働中、フロックへの光の当たり方が変化しないように、凝集槽51は光透過性のないものとすることが好ましい。また、撮影装置72および照明装置71は図示の例のように、点検窓54側が開口した遮光性の暗箱に収容することが好ましい。
【0016】
脱水機9は、フロックが形成された被処理液の固液分離を行う機器である。具体的には、脱水機9は、フロキュレータ5の後段に配設され、フロキュレータ5から排出される凝集汚泥(液体)を脱水して固液分離する。
図2の脱水機9は、外胴スクリーン91とスクリュー92とを備えるスクリュープレス型脱水機である。また、脱水機9には、汚泥投入口93と、ろ液排出口94と、脱水ケーキ排出口95とが設けられている。なお、図示していないが、脱水機9は、スクリュー92を回転駆動するモータ等も備えている。無論、脱水機9は凝集汚泥を脱水できるものであればよく、スクリュープレス型に限られない。例えば、遠心脱水機、フィルタープレス型脱水機、またはベルトプレス脱水機等を適用することもできる。
【0017】
制御システム100において、処理対象の汚泥は、図示しない供給装置により、汚泥投入口55からフロキュレータ5の凝集槽51内に連続的あるいは断続的に供給される。汚泥の供給速度は、フロキュレータ5および脱水機9による汚泥の処理速度に応じて、供給装置あるいはその制御装置3が自動で制御する構成となっていてもよい。
【0018】
そして、凝集槽51内の汚泥に対して、薬剤投入口56から汚泥を凝集させるための薬剤(少なくとも凝集剤を含む)が投入される。この状態でモータ53を駆動させて撹拌翼52を回転させ、汚泥と薬剤を撹拌し、フロックを形成させる。形成されたフロックと、汚泥に含まれていた水との混合物である凝集汚泥は排出口57から排出される。
【0019】
続いて、この凝集汚泥は、脱水機9の汚泥投入口93から外胴スクリーン91内に供給される。脱水機9内において、上記凝集汚泥は、スクリュー92により搬送されると共に、スクリュー92による加圧下で脱水されて、ろ液がろ液排出口94から排出され、脱水された凝集汚泥の固まりである脱水ケーキが脱水ケーキ排出口95から排出される。
【0020】
なお、上記汚泥は、汚泥投入口55から凝集槽51内に供給されることにより、上記凝集汚泥が凝集槽51の排出口57から押し出されて排出され、排出された凝集汚泥が脱水機9に供給される。このため、凝集槽51に供給される汚泥の流量と、脱水機9へ供給される汚泥の流量とは、同時刻で一致する。
【0021】
詳細は以下説明するが、情報処理装置1は、脱水機9の運転に関する測定データを取得する。そして、情報処理装置1は、取得した測定データに基づき、目標となる第2の期間から、上記第2の期間における処理量を予測し、或いは、目標となる処理量から第2の期間を予測する。
【0022】
また、情報処理装置1は、制御装置3を介して制御システム100の構成要素である各種機器(例えば、フロキュレータ5、脱水機9、および図示していない汚泥および薬剤の供給装置等)の動作制御を行うこともできる。制御装置3は、制御システム100の構成要素である各種機器の動作を制御する装置である。制御装置3は、例えばPLC(Programmable Logic Controller)であってもよい。
図2の例では、制御装置3は、フロキュレータ5に関する機器を制御するフロキュレータ用制御装置3aと、脱水機9に関する機器を制御する脱水機用制御装置3bとを含む。
【0023】
〔情報処理装置〕
図1は、情報処理装置1の要部構成の一例を示すブロック図である。図示のように、情報処理装置1は、情報処理装置1の各部を統括して制御する制御部10と、情報処理装置1が使用する各種データを記憶する記憶部11と、を備えている。また、情報処理装置1は、情報処理装置1が他の装置と通信するための通信部12、情報処理装置1に対する各種データの入力を受け付ける入力部13、および情報処理装置1が各種データを出力するための出力部14を備えている。
【0024】
本実施形態では、情報処理装置1は、脱水機9の運転を開始する運転開始時刻t0から第1の時刻t1までの第1の期間T1と、第1の期間T1における脱水機9の処理量の測定値DA1およびスクリュー92の回転数の測定値RN1と、第1の時刻t1におけるスクリュー92の回転速度の測定値rr1と、運転期間Topに到達すべき上記処理量の目標値DAtとから、脱水機9の運転期間Topを予測するものである。なお、上記処理量は、例えば、脱水機9に供給される凝集汚泥の量であってもよいし、脱水機9から排出される脱水ケーキの量であってもよい。
【0025】
制御部10には、取得部101、第1算出部102(取得部)、第2算出部103(取得部)、および予測部104が含まれている。記憶部11には、運転履歴データ111が含まれている。
【0026】
取得部101は、脱水機9の処理量の目標値DAtを、通信部12または入力部13を介して取得する。また、取得部101は、上記第1の期間T1と、上記第1の期間T1における脱水機9の処理量の測定値DA1およびスクリュー92の回転数の測定値RN1と、上記第1の時刻t1におけるスクリュー92の回転速度の測定値rr1とを取得する。これらの測定値は、脱水機9の運転開始時刻から30分後以降1分ごとに取得される。
【0027】
第1算出部102は、取得部101が取得した、第1の期間T1における脱水機9の処理量の測定値DA1およびスクリュー92の回転数の測定値RN1を用いて、次式(1)に基づき、第1の期間T1でのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A1を算出する。第1算出部102は、第1の期間T1でのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A1を、第1の期間T1に対応付けて、記憶部11の運転履歴データ111に記憶する。
A1=DA1/RN1 ・・・(1)。
【0028】
図3は、記憶部11に記憶された運転履歴データ111の一例を表形式で示す図である。
図3に示すように、運転履歴データ111は、第1の期間T1と、第1の期間T1でのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A1であって、過去の9日分におけるスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A1とを、異なる複数の第1の期間T1ごとに含む。本実施形態では、取得部101は測定データを、上記運転開始時刻から30分後以降1分ごとに取得しているので、上記複数の第1の期間T1は、1分間隔である。
【0029】
また、運転履歴データ111は、脱水機9の運転開始時刻t0から運転終了時刻te(第2の時刻)までの脱水機9の運転期間Top(第2の期間)でのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A2であって、過去の9日分におけるスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A2を含む。
【0030】
本実施形態では、上記過去の9日分は、脱水運転を実施した日のうち、直近の9日間である。これにより、脱水機9の最近の運転の傾向に対応した予測を行うことができ、予測の精度を向上させることができる。また、
図3に示すように、第1算出部102が算出したスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A1が運転履歴データ111に1分ごとに追加される。そして、脱水機9の運転終了後に、9日前のデータが運転履歴データ111から消去される。
【0031】
第2算出部103は、運転履歴データ111を参照して、取得部101が取得した第1の期間T1でのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A1であって、過去の9日分におけるスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A1の平均値PA1を算出する。また、第2算出部103は、運転履歴データ111を参照して、運転期間Topでのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A2であって、過去の9日分におけるスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A2の平均値PA2を算出する。
【0032】
予測部104は、取得部101が取得した、脱水機9の処理量の目標値DAt、第1の期間T1、および、第1の時刻t1におけるスクリュー92の回転速度の測定値rr1と、第1算出部102が算出した第1の期間T1でのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A1と、第2算出部103が算出した、過去の9日分における第1の期間T1でのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A1の平均値PA1、および、過去の9日分における運転期間Topでのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A2の平均値PA2とを用いて、次式(2)に基づき運転期間Topを予測する。
【0033】
DAt/Top=A1×(PA2/PA1)×rr1 ・・・・(2)。
【0034】
予測部104は、運転期間Topの予測値に運転開始時刻t0を加算した運転終了時刻teの予測値を表示するように、出力部14(表示装置)を制御してもよい。これにより、作業者は、上記表示を参照することにより、予測部104が予測した運転期間Topを容易に把握することができる。また、予測部104は、運転終了時刻teの予測値を、通信部12を介して外部の装置に送信してもよい。
【0035】
本願発明者は、脱水機9における処理量に関する予測を精度よく行うために種々の方法を検討した。その結果、脱水機9におけるスクリュー92の回転を基準とする、第1の期間T1でのスクリューの単位回転当たりの処理量における測定値A1および平均値PA1と、運転期間Topでのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の平均値PA2と、第1の時刻t1でのスクリュー92の回転速度rr1と、を用いる方法が、他の方法に比べて上記予測の精度が良好であった。
【0036】
従って、上記の構成によると、予測部104は、運転期間Topにおける脱水機9の処理量の目標値DAtから、今回の運転期間Topを精度よく予測することができる。その結果、作業者は、例えば、脱水機9の運転終了後の処理など、予測される運転期間Topの経過後の処理を遅滞なく行うことができる。
【0037】
〔指示処理〕
図4は、上記構成の情報処理装置1における予測処理(制御方法)の一例を示すフローチャートである。
図4に示すように、まず、取得部101は、脱水機9の処理量の目標値DAtを取得する(S11)。次に、取得部101は、運転開始時刻t0から第1の時刻t1までの第1の期間T1と、第1の期間T1における脱水機9の処理量の測定値DA1およびスクリュー92の回転数の測定値RN1と、上記第1の時刻t1におけるスクリュー92の回転速度の測定値rr1とを取得する(S12)。なお、ステップS11およびS12は、任意の順番で実行してもよいし、並列に実行してもよい。
【0038】
次に、第1算出部102は、第1の期間T1における脱水機9の処理量の測定値DA1およびスクリュー92の回転数の測定値RN1を用いて、上記式(1)に基づき、第1の期間T1でのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A1を算出する(S13)。
【0039】
次に、第2算出部103は、記憶部11の運転履歴データ111を参照して、第1の期間T1でのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A1であって、過去の9日分におけるスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A1の平均値PA1を算出する(S14)。次に、第2算出部103は、運転履歴データ111を参照して、運転期間Topでのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A2であって、過去の9日分におけるスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A2の平均値PA2を算出する(S15)。なお、ステップS13~S15は、任意の順番で実行してもよいし、少なくとも2つのステップを並列に実行してもよい。
【0040】
次に、予測部104は、上記脱水機9の処理量の目標値DAt、上記第1の期間T1、上記第1の時刻t1におけるスクリュー92の回転速度の測定値rr1、上記第1の期間T1でのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A1、上記第1の期間T1でのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A1の平均値PA1、および、運転期間Topでのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A2の平均値PA2を用いて、上記式(2)に基づき運転期間Topを予測する(S16)。
【0041】
そして、予測部104は、運転期間Topの予測値に運転開始時刻t0を加算した運転終了時刻の予測値を、出力部14を介して表示出力する(S17)。その後、上記予測処理を終了する。
【0042】
(実施例1)
上記構成の情報処理装置1の一実施例および比較例について、
図5を参照して説明する。
【0043】
本実施例では、脱水機9の処理量は、脱水機9に供給される凝集汚泥の量であり、この凝集汚泥の量の目標値DAtを55m3とする。また、脱水機9の運転開始時刻t0を9時00分とし、第1の時刻t1を11時00分とする。この場合、第1の期間T1は120分となる。第1の期間において、スクリュー92の回転数の測定値RN1が20回転であり、脱水機9の処理量の測定値DA1が20m3であったとする。また、第1の時刻t1におけるスクリュー92の回転速度の測定値rr1が0.17(回転/分)であったとする。この場合、第1算出部102が算出するスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A1は1.00(m3/回転)である。
【0044】
一方、第2算出部103が算出する、第1の期間T1での過去の9日分におけるスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A1の平均値PA1が0.90(m3/回転)であったとする。また、第2算出部103が算出する、運転期間Topでの過去の9日分におけるスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A2の平均値PA2が0.99(m3/回転)であったとする。
【0045】
この場合、予測部104が上記式(2)に基づき算出する運転期間Topの予測値は、Top=DAt/(A1×(PA2/PA1)×rr1)≒294(分)、となる。従って、脱水機9の運転終了時刻teの予測値は、運転開始時刻t0である9時00分から294分後の13時54分となる。
【0046】
例えば、運転終了時刻teの予測値が上述のように13時54分であり、実際の運転終了時刻が14時00分であった場合、上記誤差の絶対値は|13時54分-14時00分|=6分となる。
図5は、同様の計算を16日間行い、上記誤差の絶対値の平均値をプロットしたグラフである。
図5において、グラフG1が本実施例のグラフであり、グラフG101が比較例のグラフである。比較例では、運転履歴データ111を利用しない場合である。
図5を参照すると、本実施例は、比較例に比べて、特に脱水機9の運転の中盤(T1=120~300)において、上記予測値の精度が良好であることが理解できる。この結果の要因は、本実施例では、運転履歴データ111を利用することで、一日の中での汚泥の性状の変動、および日ごとの汚泥の性状の変動を考慮して予測値を算出していることにある。
【0047】
〔実施形態2〕
本発明の別の実施形態について、
図6および
図7を参照して説明する。本実施形態に係る制御システム100は、
図2に示す制御システム100に比べて、情報処理装置1の構成が異なり、その他の構成は同様である。
【0048】
本実施形態では、情報処理装置1は、上述の第1の期間T1と、第1の期間T1における脱水機9の処理量の測定値DA1およびスクリュー92の回転数の測定値RN1と、第1の時刻t1におけるスクリュー92の回転速度の測定値rr1と、運転期間の目標値Toptとから、上記運転期間における上記処理量DAopを予測するものである。
【0049】
図6は、本実施形態の情報処理装置1の要部構成の一例を示すブロック図である。本実施形態の情報処理装置1は、
図1に示す情報処理装置1に比べて、取得部101に代えて取得部105が設けられている点と、予測部104に代えて予測部106が設けられている点とが異なり、その他の構成は同様である。
【0050】
取得部105は、
図1に示す取得部101に比べて、脱水機9の処理量の目標値DAtに代えて、脱水機9の運転期間の目標値Toptを取得する点が異なり、その他の構成は同様である。
【0051】
予測部106は、取得部105が取得した、脱水機9の運転期間の目標値Topt、第1の期間T1、および、第1の時刻t1におけるスクリュー92の回転速度の測定値rr1と、第1算出部102が算出した第1の期間T1でのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A1と、第2算出部103が算出した、第1の期間T1でのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A1の平均値PA1、および、運転期間Topでのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A2の平均値PA2とを用いて、次式(3)に基づき、運転期間の目標値Toptにおける上記処理量DAopを予測する。
【0052】
DAop/Topt=A1×(PA2/PA1)×rr1 ・・・・(3)。
【0053】
予測部106は、上記処理量DAopの予測値を、運転期間の目標値Toptに運転開始時刻t0を加算した運転終了時刻の目標値tetとともに表示するように、出力部14を制御してもよい。この場合、作業者は、上記表示を参照することにより、予測部106が予測した、運転期間の目標値Toptにおける処理量DAopの予測値を容易に把握することができる。また、予測部106は、上記処理量DAopの予測値を上記運転終了時刻の目標値tetとともに、通信部12を介して外部の装置に送信してもよい。
【0054】
上記の構成によると、予測部106は、運転期間の目標値Toptから、運転期間の目標値Toptにおける上記処理量DAopを精度よく予測することができる。その結果、作業者は、例えば、脱水ケーキの搬出など、脱水機9の運転終了後に予測される上記処理量DAopに基づく処理を遅滞なく行うことができる。
【0055】
図7は、上記構成の情報処理装置1における予測処理の一例を示すフローチャートである。
図7に示す予測処理は、
図4に示す予測処理に比べて、ステップS11に代えてステップS21が行われる点と、ステップS16およびS17に代えて、ステップS22およびS23が行われる点とが異なり、その他の処理は同様である。
【0056】
ステップS21において、取得部105は、脱水機9の運転期間の目標値Toptを取得する。なお、ステップS21およびS12は、任意の順番で実行してもよいし、並列に実行してもよい。
【0057】
ステップS22において、予測部106は、上記脱水機9の運転期間の目標値Topt、上記第1の期間T1、上記第1の時刻t1におけるスクリュー92の回転速度の測定値rr1、上記第1の期間T1でのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A1、上記第1の期間T1でのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A1の平均値PA1、および、運転期間Topでのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A2の平均値PA2を用いて、上記式(3)に基づき、運転期間の目標値Toptにおける上記処理量DAopを予測する。
【0058】
ステップS23において、予測部106は、上記処理量DAopの予測値と、運転期間の目標値Toptに運転開始時刻t0を加算した運転終了時刻の目標値tetとを、出力部14を介して表示出力する。その後、上記予測処理を終了する。
【0059】
(実施例2)
上記構成の情報処理装置1の一実施例および比較例について、
図8を参照して説明する。
【0060】
本実施例では、脱水機9の処理量は、脱水機9から排出される脱水ケーキの量である。また、脱水機9の運転期間の目標値Toptを上記実施例1の予測値である294分とする。また、運転開始時刻t0、第1の時刻t1、第1の期間T1、第1の期間におけるスクリュー92の回転数の測定値RN1、および、第1の時刻t1におけるスクリュー92の回転速度の測定値は、上記実施例1と同様である。
【0061】
本実施例では、脱水機9の処理量の測定値DA1が2t(トン)であったとする。この場合、第1算出部102が算出するスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A1は0.1(t/回転)である。
【0062】
一方、第2算出部103が算出する、第1の期間T1での過去の9日分におけるスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A1の平均値PA1が0.099(t/回転)であったとする。また、第2算出部103が算出する、運転期間Topでの過去の9日分におけるスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A2の平均値PA2が0.099(t/回転)であったとする。
【0063】
この場合、予測部104が上記式(3)に基づき算出する、運転期間の目標値Toptにおける処理量DAopの予測値は、DAop=A1×(PA2/PA1)×rr1×Topt≒5.5(t)、となる。脱水機9に供給される凝集汚泥の量の目標値から、運転終了時刻を予測することができ、さらに、脱水機9から排出される脱水ケーキの量を予測することができる。
【0064】
例えば、運転期間の目標値Toptにおける処理量DAopの予測値が上述のように5.5tであり、実際の処理量が5.61tであった場合、上記誤差の絶対値は|5.61-5.5|/5.5×100=2.2%となる。
図8は、同様の計算を16日間行い、上記誤差の絶対値の平均値をプロットしたグラフである。
図8において、グラフG2が本実施例のグラフであり、グラフG102が比較例のグラフである。比較例では、運転履歴データ111を利用しない場合である。
図8を参照すると、本実施例は、比較例に比べて、特に脱水機9の運転の中盤(T1=120~300)において、上記予測値の精度が良好であることが理解できる。
【0065】
〔実施形態3〕
本発明のさらに別の実施形態について、
図9および
図10を参照して説明する。本実施形態に係る制御システム100は、
図2に示す制御システム100に比べて、情報処理装置1の構成が異なり、その他の構成は同様である。
【0066】
本実施形態では、情報処理装置1は、上述の第1の期間T1と、第1の期間T1における脱水機9の処理量の測定値DA1およびスクリュー92の回転数の測定値RN1と、第1の時刻t1におけるスクリュー92の回転速度の測定値rr1と、目標となる第2の期間T2とから、上記第2の期間T2における上記処理量DAopを予測するものである。
【0067】
図9は、本実施形態の情報処理装置1の要部構成の一例を示すブロック図である。本実施形態の情報処理装置1は、
図6に示す情報処理装置1に比べて、取得部105に代えて取得部107が設けられている点と、第2算出部103に代えて第2算出部108(取得部)が設けられている点と、予測部106に代えて予測部109が設けられている点とが異なり、その他の構成は同様である。
【0068】
取得部107は、
図6に示す取得部105に比べて、脱水機9の運転期間の目標値Toptに代えて、目標となる脱水機9の第2の期間T2を取得する点が異なり、その他の構成は同様である。第2の期間T2は、運転開始時刻t0から第1の時刻t1を経て第2の時刻t2までの期間である。
【0069】
第2算出部108は、
図1および
図6に示す第2算出部103と同様に、運転履歴データ111を参照して、取得部101が取得した第1の期間T1でのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A1であって、過去の9日分におけるスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A1の平均値PA1を算出する。また、第2算出部108は、
図1および
図6に示す第2算出部103とは異なり、運転履歴データ111を参照して、上記第2の期間T2でのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A2であって、過去の9日分におけるスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A2の平均値PA2を算出する。
【0070】
予測部109は、取得部107が取得した、目標となる脱水機9の第2の期間T2、第1の期間T1、および、第1の時刻t1におけるスクリュー92の回転速度の測定値rr1と、第1算出部102が算出した第1の期間T1でのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A1と、第2算出部108が算出した、第1の期間T1でのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A1の平均値PA1、および、第2の期間T2でのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A2の平均値PA2とを用いて、次式(4)に基づき、目標となる第2の期間T2における上記処理量DA2を予測する。
【0071】
DA2/T2=A1×(PA2/PA1)×rr1 ・・・・(4)。
【0072】
予測部109は、上記処理量DA2の予測値を、第2の期間T2に運転開始時刻t0を加算した第2の時刻t2とともに表示するように、出力部14を制御してもよい。この場合、作業者は、上記表示を参照することにより、予測部109が予測した、第2の期間T2における処理量DA2の予測値を容易に把握することができる。また、予測部109は、上記処理量DA2の予測値を上記第2の時刻t2とともに、通信部12を介して外部の装置に送信してもよい。
【0073】
上記の構成によると、第1の時刻t1における各種測定値を用いて、第1の時刻t1よりも後の任意の第2の時刻t2における処理量を予測することができる。作業者は、例えば、脱水ケーキの定時での搬出など、脱水機9の運転中に、上記定時に予測される上記処理量DA2に基づく処理を遅滞なく行うことができる。
【0074】
図10は、上記構成の情報処理装置1における予測処理の一例を示すフローチャートである。
図10に示す予測処理は、
図7に示す予測処理に比べて、ステップS21に代えてステップS31が行われる点と、ステップS15、S22、およびS23に代えて、ステップS32、S33、およびS34が行われる点とが異なり、その他の処理は同様である。
【0075】
ステップS31において、取得部107は、目標となる脱水機9の第2の期間T2を取得する。なお、ステップS31およびS12は、任意の順番で実行してもよいし、並列に実行してもよい。
【0076】
ステップS32において、第2算出部108は、運転履歴データ111を参照して、第2の期間T2でのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A2であって、過去の9日分におけるスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A2の平均値PA2を算出する。
【0077】
ステップS33において、予測部109は、目標となる上記第2の期間T2、上記第1の期間T1、上記第1の時刻t1におけるスクリュー92の回転速度の測定値rr1、上記第1の期間T1でのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A1、上記第1の期間T1でのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A1の平均値PA1、および、上記第2の期間T2でのスクリュー92の単位回転当たりの処理量の測定値A2の平均値PA2を用いて、上記式(4)に基づき、上記第2の期間T2における上記処理量DA2を予測する。ステップS34において、予測部109は、処理量DA2の予測値と、第2の期間T2に運転開始時刻t0を加算した第2の時刻t2とを表示出力する。
【0078】
〔付記事項〕
なお、上述の実施形態では、運転履歴データ111に含まれる過去の9日間の測定値を利用しているが、これに限定されるものではなく、5日以上30日以内の所定日数の測定値を利用してもよい。
【0079】
また、上述の実施形態では、制御部10の取得部101が各測定値を取得する間隔を1分としているが、これに限定されるものではなく、1秒以上30分以内の所定の間隔で各測定値を取得してもよい。また、上述の実施形態では、制御部10の取得部101は、脱水機9の運転開始から30分経過後に各測定値の取得を開始しているが、これに限定されるものではなく、1分以上90分以内の所定時間の経過後に各測定値の取得を開始してもよい。
【0080】
〔ソフトウェアによる実現例〕
情報処理装置1(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部10に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0081】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0082】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0083】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0084】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0085】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
1 情報処理装置(予測装置)
3 制御装置
5 フロキュレータ
9 脱水機
10 制御部
11 記憶部
12 通信部
13 入力部
14 出力部
91 外胴スクリーン
92 スクリュー
93 汚泥投入口
94 液排出口
95 脱水ケーキ排出口
100 制御システム
101、105、107 取得部
102 第1算出部(取得部)
103、108 第2算出部(取得部)
104、106、109 予測部
111 運転履歴データ