(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004674
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/639 20060101AFI20250107BHJP
H01R 12/71 20110101ALI20250107BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
H01R12/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104515
(22)【出願日】2023-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003742
【氏名又は名称】弁理士法人海田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】面城 貴司
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA11
5E021FB02
5E021FC36
5E021HC11
5E223AB28
5E223AC28
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB01
5E223BB12
5E223CB22
5E223CB31
5E223CB38
5E223CD01
5E223DA05
5E223DB25
5E223DB33
5E223DB36
5E223EA03
5E223EC07
5E223EC36
5E223EC42
(57)【要約】
【課題】ロック機構の構成部材であるU字形状をした板状のばね部材に接続して備えられるロック部や操作部の位置をバラつきなく定義する。
【解決手段】コネクタ100が備えるロック機構120は、バネ部121と、延長部122と、ロック部123と、操作部124と、被押圧負荷部125を備える。被押圧負荷部125は、延長部122におけるコネクタ100の内側に備えられる。コネクタ100を構成するハウジング101が備える2つの島部107のそれぞれは、2つの押圧負荷部107aを備える。被押圧負荷部125のそれぞれは、何れか1つの対応する押圧負荷部107aと対向しており、操作部124が非解除位置にあるとき、被押圧負荷部125のそれぞれは、対応する押圧負荷部107aと接触し、操作部124が解除位置にあるとき、被押圧負荷部125のそれぞれは、対応する押圧負荷部107aから離れる。
【選択図】
図22
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に直交する第1方向と第2方向とで形成される仮想平面に対して直交する第3方向に沿って相手側コネクタを移動させることで前記相手側コネクタが嵌め合わされ又は抜き去られるコネクタであって、
前記コネクタは、ハウジングと、複数の端子と、2つの付加部材とを備えており、
前記ハウジングは、端子保持部と、2つの島部とを備えており、
前記複数の端子は、前記端子保持部に保持されるとともに前記ハウジングにおける前記第1方向に配列されており、
前記2つの付加部材は、前記ハウジングに保持されるとともに前記第1方向における前記ハウジングの両端にそれぞれ位置しており、
前記2つの付加部材のそれぞれは、前記第2方向において相互に対向するように位置する2つのロック機構を備えており、
前記2つのロック機構のそれぞれは、バネ部と、延長部と、ロック部と、操作部と、被押圧負荷部とを備えており、
前記バネ部は、前記第3方向で見たときに、前記第1方向における前記コネクタの外側又は内側の一方において閉じるとともに外側又は内側の他方において開いたU字形状をした板状の弾性部材であって、U字形状のうちの前記第2方向における前記コネクタの外側の端部が固定端として形成され、U字形状のうちの前記第2方向における前記コネクタの内側の端部が自由端として形成され、
前記延長部は、U字形状をした前記バネ部のうちの自由端として形成される前記第2方向における前記コネクタの内側の端部に連続するとともに前記第1方向に延長して形成されることで、前記バネ部の弾性力によって前記第2方向での変位が可能であり、
前記ロック部は、前記延長部の前記第2方向における前記コネクタの内側に形成されるとともに、前記第3方向のうちの一方の向きに面したロック面を有しており、
前記操作部は、前記延長部の前記第1方向における前記コネクタの前記ロック部よりも外側の位置であって、前記延長部の前記第2方向における前記コネクタの内側に形成され、また、
前記操作部は、非解除位置と、前記第2方向における前記コネクタの外側に向けた押圧操作を受けたときに位置する前記第2方向において前記非解除位置よりも前記コネクタの外側の解除位置との間を移動することができ、
前記被押圧負荷部は、前記延長部の前記第1方向における前記ロック部と前記操作部との間の位置において、前記延長部の前記第2方向における前記コネクタの内側に備えられ、
前記2つの島部のそれぞれは、前記第2方向における前記コネクタの外側に向いて相互に背反する合わせて2つの押圧負荷部を備えており、
前記被押圧負荷部のそれぞれは、何れか1つの対応する前記押圧負荷部と前記第2方向において対向しており、
前記操作部が前記非解除位置にあるとき、前記被押圧負荷部のそれぞれは、対応する前記押圧負荷部と接触し、前記第2方向における前記コネクタの外側に向けて押圧負荷を受けており、
前記操作部が前記解除位置にあるとき、前記被押圧負荷部のそれぞれは、対応する前記押圧負荷部から離れていることを特徴とするコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、相互に直交する第1方向(例えば、左右方向)と第2方向(例えば、前後方向)とで形成される仮想平面に対して直交する第3方向(例えば、上下方向)に沿って相手側コネクタを移動させることで、当該相手側コネクタが嵌め合わされ又は抜き去られるコネクタが公知である。この種のコネクタには、相手側コネクタとコネクタとの嵌め合い状態を保持するロック機構を備えるものが存在する。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、
図31に示されるロック機構を備えたコネクタが開示されている。すなわち、特許文献1に開示されるコネクタ(100)では、コネクタ(100)が備える2つの付加部材(400)のそれぞれに2つずつ、合計4つの規制機構(500)が備えられている。4つの規制機構(500)のそれぞれは、U字形状をした板状のばね部材となっており、弾性変形するばね部材の根元側にロック部としての突起(511)が形成され、ばね部材の先端側に操作部(550)が形成されている。操作者が、ばねの先端側に形成された操作部(550)を操作することで、ばねの根元側に形成された突起(511)が移動できる。つまり、突起(511)が相手側コネクタに係合することでコネクタ同士の嵌め合い状態が保持され、突起(511)が相手側コネクタから離れることでコネクタ同士の嵌め合い状態の解除が実現する構成となっている。なお、先行技術文献の説明に関する符号については、括弧を付けることで本願発明の実施形態と区別した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたコネクタが備えるばね部材としての規制機構(500)は、一般的に金属平板を打ち抜いてプレス加工等を行うことで形成される部材である。そこでプレス加工において、U字形状をした板状のばね部材としての規制機構(500)の先端側の開きの寸法を高精度に制御することは困難であり、製造上不可避的にこのばね部材の開きの寸法にバラつきが生じてしまうという課題が存在していた。このU字形状をした板状のばね部材には操作者から操作を受ける操作部(550)とロック部としての突起(511)が備えられており、ばね部材の開きの寸法のバラつきはコネクタにおけるこれらの位置のバラつきを意味する。特に、特許文献1のコネクタにおいて当該ばね部材の先端側に備えられる操作部(550)の位置のバラつきが大きい。
【0006】
そこで本発明は、U字形状をした板状のばね部材とそれに接続して備えられる操作部およびロック部とを有する機構を備えたコネクタにおいて、そのU字形状をした板状のばね部材の開きの寸法のバラつきを排除し、操作部やロック部の位置のバラつきがないコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るコネクタは、相互に直交する第1方向と第2方向とで形成される仮想平面に対して直交する第3方向に沿って相手側コネクタを移動させることで前記相手側コネクタが嵌め合わされ又は抜き去られるコネクタであって、前記コネクタは、ハウジングと、複数の端子と、2つの付加部材とを備えており、前記ハウジングは、端子保持部と、2つの島部とを備えており、前記複数の端子は、前記端子保持部に保持されるとともに前記ハウジングにおける前記第1方向に配列されており、前記2つの付加部材は、前記ハウジングに保持されるとともに前記第1方向における前記ハウジングの両端にそれぞれ位置しており、前記2つの付加部材のそれぞれは、前記第2方向において相互に対向するように位置する2つのロック機構を備えており、前記2つのロック機構のそれぞれは、バネ部と、延長部と、ロック部と、操作部と、被押圧負荷部とを備えており、前記バネ部は、前記第3方向で見たときに、前記第1方向における前記コネクタの外側又は内側の一方において閉じるとともに外側又は内側の他方において開いたU字形状をした板状の弾性部材であって、U字形状のうちの前記第2方向における前記コネクタの外側の端部が固定端として形成され、U字形状のうちの前記第2方向における前記コネクタの内側の端部が自由端として形成され、前記延長部は、U字形状をした前記バネ部のうちの自由端として形成される前記第2方向における前記コネクタの内側の端部に連続するとともに前記第1方向に延長して形成されることで、前記バネ部の弾性力によって前記第2方向での変位が可能であり、前記ロック部は、前記延長部の前記第2方向における前記コネクタの内側に形成されるとともに、前記第3方向のうちの一方の向きに面したロック面を有しており、前記操作部は、前記延長部の前記第1方向における前記コネクタの前記ロック部よりも外側の位置であって、前記延長部の前記第2方向における前記コネクタの内側に形成され、また、前記操作部は、非解除位置と、前記第2方向における前記コネクタの外側に向けた押圧操作を受けたときに位置する前記第2方向において前記非解除位置よりも前記コネクタの外側の解除位置との間を移動することができ、前記被押圧負荷部は、前記延長部の前記第1方向における前記ロック部と前記操作部との間の位置において、前記延長部の前記第2方向における前記コネクタの内側に備えられ、前記2つの島部のそれぞれは、前記第2方向における前記コネクタの外側に向いて相互に背反する合わせて2つの押圧負荷部を備えており、前記被押圧負荷部のそれぞれは、何れか1つの対応する前記押圧負荷部と前記第2方向において対向しており、前記操作部が前記非解除位置にあるとき、前記被押圧負荷部のそれぞれは、対応する前記押圧負荷部と接触し、前記第2方向における前記コネクタの外側に向けて押圧負荷を受けており、前記操作部が前記解除位置にあるとき、前記被押圧負荷部のそれぞれは、対応する前記押圧負荷部から離れていることを特徴とするものである。
【0008】
すなわち、本発明に係るコネクタでは、ハウジングに押圧負荷部を設け、U字形状をした板状の弾性部材であるバネ部に連続してロック部および操作部が備えられる延長部に被押圧付加部を設け、ロック解除の操作がされていない状態にあるとき(つまり、操作部が非解除位置にあるとき)に押圧付加部が被押圧付加部を常時接触押圧してプリロードを掛けることとした。これによって、操作部が非解除位置にあるときのばねの開きは部材の自然状態によってではなく押圧付加部によって定められ、ロック部や操作部の位置がハウジングに設けられる押圧負荷部によって常に所定の位置に定義される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コネクタ同士の嵌め合い状態の保持と解除を担うロック機構の構成部材であるU字形状をした板状のばね部材(弾性部材であるバネ部と延長部)が製造上有する開きの寸法のバラつきを排除して、そのばね部材に接続して備えられるロック部や操作部の位置がバラつきなく定義されたコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態のコネクタと相手側コネクタを示す上側斜視図である。
【
図2】
図1のコネクタと相手側コネクタを示す上面図である。
【
図3】
図1のコネクタと相手側コネクタを示す底面図である。
【
図4】
図1のコネクタと相手側コネクタを示す正面図である。
【
図5】
図1のコネクタと相手側コネクタを示す右側面図である。
【
図6】
図2のコネクタと相手側コネクタを6-6線に沿って示す断面図である。
【
図7】
図4のコネクタと相手側コネクタを7-7線に沿って示す断面図である。
【
図8】本実施形態のコネクタから相手側コネクタを抜き去った状態を示す示す上側斜視図である。
【
図9】本実施形態の相手側コネクタを示す下側斜視図である。
【
図10】本実施形態の相手側コネクタを分解した状態を示す下側斜視図である。
【
図11】本実施形態のコネクタを示す上側斜視図である。
【
図12】本実施形態のコネクタを分解した状態を示す上側斜視図である。
【
図13】本実施形態のコネクタを構成する付加部材を示す上側斜視図である。
【
図14】本実施形態のコネクタを構成する付加部材を示す下側斜視図である。
【
図15】本実施形態のコネクタを構成する付加部材を示す上面図である。
【
図16】本実施形態のコネクタを構成する付加部材を示す底面図である。
【
図17】本実施形態のコネクタを構成する付加部材を示す正面図である。
【
図18】
図17の付加部材を18-18線に沿って示す断面図である。
【
図19】本実施形態のコネクタを構成する付加部材を示す右側面図である。
【
図20】本実施形態のコネクタを構成する付加部材を示す左側面図である。
【
図21】本実施形態のコネクタを示す正面図である。
【
図22】
図21のコネクタを22-22線に沿って示す断面図である。
【
図23】
図22で示した本実施形態のコネクタの変形例を示す断面図である。なお、
図23では、コネクタの左側に設置された付加部材のロック機構が示されている。
【
図24】本実施形態のロック解除治具を示す下側斜視図である。
【
図25】本実施形態のロック解除治具の使用方法を説明するための正面図であり、コネクタ組立体のロック解除前の状態が示されている。図において、第1回路基板および第2回路基板を破線で示している。
【
図26】本実施形態のロック解除治具の使用方法を説明するための正面図であり、コネクタ組立体のロック解除時の状態が示されている。図において、第1回路基板および第2回路基板を破線で示している。
【
図27】本実施形態のロック解除治具の使用方法を説明するための右側面図であり、コネクタ組立体のロック解除時の状態が示されている。
【
図28】
図27のコネクタと相手側コネクタおよびロック解除治具を28-28線に沿って示す断面図である。
【
図29】
図27のコネクタと相手側コネクタおよびロック解除治具を29-29線に沿って示す断面図である。
【
図30】本実施形態のロック解除治具とコネクタと相手側コネクタの関係を説明するための図であり、コネクタと相手側コネクタを上側から見た場合の斜視図が示されている。
【
図31】特許文献1のコネクタの概略構成の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、本発明では第1方向、第2方向、第3方向を定義しており、図では、説明の便宜のためにX方向、Y方向、Z方向を定義した。本明細書において、第1方向は、左右方向である。図において、左右方向はX方向として示される。特に、右方を+X方向、左方を-X方向とする。また、本明細書において、第2方向は、前後方向である。図において、前後方向はY方向として示される。特に、前方を+Y方向、後方を-Y方向とする。さらに、本明細書において、第3方向は、上下方向である。図において、上下方向はZ方向として示される。特に、上方を+Z方向、下方を-Z方向とする。
【0012】
また、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、各実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0013】
図1~
図7に示されるように、本実施形態のコネクタ100は、相手側コネクタ500とともにコネクタ組立体10を構成するものとする。本実施形態において、相手側コネクタ500はプラグコネクタとして構成されるものであり、コネクタ100はレセプタクルコネクタとして構成されるものである。
【0014】
図1および
図8を参照して、本実施形態のコネクタ組立体10は、相互に直交する第1方向(X:左右方向)と第2方向(Y:前後方向)とで形成される仮想平面に対して直交する第3方向(Z:上下方向)に沿って相手側コネクタ500を移動させることで、相手側コネクタ500がコネクタ100と嵌め合わされ又は抜き去られるものである。
【0015】
図9および
図10に示されるように、本実施形態の相手側コネクタ500は、相手側ハウジング501と、複数の相手側端子505と、2つの相手側付加部材510とを備えている。
【0016】
相手側ハウジング501は、絶縁体であるインシュレーターとして機能する部材であり、例えば、樹脂材料によって形成される。また、相手側ハウジング501は、相手側端子保持部503を備えており、この相手側端子保持部503に対して複数の相手側端子505が設置される。
【0017】
複数の相手側端子505は、導電性の金属材料であり、例えば金属平板を打ち抜いてプレス加工等を行うことで形成される部材である。本実施形態の複数の相手側端子505は、相手側ハウジング501の相手側端子保持部503に保持されるとともに第1方向である左右方向に沿った方向に配列されている。相手側ハウジング501と複数の相手側端子505は、例えば、射出成形等により一体的に形成することができる。
【0018】
2つの相手側付加部材510は、相手側ハウジング501に保持されるとともに第1方向である左右方向における相手側ハウジング501の両端にそれぞれ位置する部材である。本実施形態の2つの相手側付加部材510は、射出成形等で一体的に形成された複数の相手側端子505を備えるハウジング501の両端に対して、下方から上方に向けて(+Z方向の向きに)嵌め込むことで、ハウジング501に取り付けられている。相手側付加部材510は、例えば金属材料で形成される。
【0019】
また、本実施形態の2つの相手側付加部材510のそれぞれは、前面と後面にロック孔部511を有している。つまり、本実施形態の相手側コネクタ500は、左右端それぞれの前後表面に1つずつ、合計4つのロック孔部511を有している。これら4つのロック孔部511は、後述するコネクタ100が備えるロック機構120のロック部123が係合することでロック状態を実現し、コネクタ100に対する相手側コネクタ500の嵌め合い状態が保持できるようになっている。
【0020】
一方、
図11および
図12に示されるように、本実施形態のコネクタ100は、ハウジング101と、複数の端子105と、2つの付加部材110とを備えている。
【0021】
ハウジング101は、絶縁体であるインシュレーターとして機能する部材であり、例えば、樹脂材料によって形成される。また、ハウジング101は、端子保持部103と、2つの島部107とを備えている。そして、端子保持部103に対して複数の端子105が設置される。一方、2つの島部107は、後述する2つの付加部材110にそれぞれ対応する位置に形成されている。
【0022】
複数の端子105は、導電性の金属材料であり、例えば金属平板を打ち抜いてプレス加工等を行うことで形成される部材である。本実施形態の複数の端子105は、ハウジング101の端子保持部103に保持されるとともに第1方向である左右方向に沿った方向に配列されている。ハウジング101と複数の端子105は、例えば、射出成形等により一体的に形成することができる。この場合、端子保持部103は射出成型と同時に形成されることで、複数の端子105と分離不能な状態となる。ただし、本実施形態のハウジング101は、樹脂材料であるハウジング101を予め形成しておき、事前に形成された端子保持部103に複数の端子105を嵌め込むことで形成してもよい。
【0023】
2つの付加部材110は、ハウジング101に保持されるとともに第1方向である左右方向におけるハウジング101の両端にそれぞれ位置する部材である。本実施形態の2つの付加部材110のそれぞれは、射出成形等で一体的に形成された複数の端子105を備えるハウジング101の両端に対して、上方から下方に向けて(-Z方向の向きに)嵌め込むことで、ハウジング101に取り付けられている。2つの付加部材110と上述の2つの島部107とは、それぞれ左右方向(X方向)の位置が重畳しており、この実施形態についてより詳しくは、左右方向(X方向)について島部107の位置範囲は対応する付加部材110の位置範囲の中に含まれている。そしてこの実施形態では、それぞれの付加部材110が、上方(+Z方向)に突出している対応する島部107に対して上方から下方に向けて(-Z方向の向きに)被せることのできる凹形状を有している。すなわち、2つの付加部材110は、それぞれハウジング101の両端の対応する島部107を含む部位に対して嵌め込むことで、ハウジング101に取り付けられる。付加部材110は、例えば金属材料で形成される。
【0024】
また、本実施形態の2つの付加部材110のそれぞれは、相手側コネクタ500が有する4つのロック孔部511と係合することでロック状態を実現するロック機構120を備えている。ロック機構120は、2つの付加部材110のそれぞれに対して2つずつ設けられている。つまり、コネクタ100は、左右端に2つずつ、合計4つのロック機構120を備えている。
【0025】
次に、
図13~
図22を参照して、ロック機構120を備えるコネクタ100の付加部材110の詳細な構成を説明する。なお、
図13~
図20では、コネクタ100の右側に設置された付加部材110が示されている。
【0026】
本実施形態の付加部材110は、
図16に示すように、第2方向である前後方向において相互に対向するように位置する2つのロック機構120を備えている。また、2つのロック機構120のそれぞれは、バネ部121と、延長部122と、ロック部123と、操作部124と、被押圧負荷部125とを備えている。
【0027】
バネ部121は、この例では、第3方向である上下方向で見たときに、第1方向である左右方向におけるコネクタ100の外側において閉じるとともに内側において開いたU字形状をした板状の弾性部材として形成される部位である。バネ部121は、U字形状のうちの第2方向である前後方向におけるコネクタ100の外側の端部が付加部材110のうちのロック機構120以外の部位(この例では、後述する折り曲げ部112)に接続して固定され固定端を形成しており、U字形状のうちの第2方向である前後方向におけるコネクタ100の内側の端部が自由端として形成されている。
【0028】
延長部122は、U字形状をしたバネ部121のうちの自由端として形成される第2方向である前後方向におけるコネクタ100の内側の端部に連続する部材である。延長部122は、第1方向である左右方向に延長して形成されることで、バネ部121の弾性力によって第2方向である前後方向での変位が可能となっている。
【0029】
ロック部123は、延長部122の第2方向である前後方向におけるコネクタ100の内側に形成されている。ロック部123は、
図7にて断面形状が示されているように、上方には斜面123aが形成されるとともに、下方には第3方向である上下方向のうちの一方の向きである下方を向いた平面であるロック面123bが形成されている。したがって、コネクタ100に対して相手側コネクタ500を嵌め込む際には、コネクタ100に対して相手側コネクタ500を下方である-Z方向に向けて移動させたときに、相手側コネクタ500の相手側付加部材510の表面がロック部123の斜面123aを滑りながらロック部123を押し込むことで、延長部122はコネクタ100の第2方向である前後方向の外側に向けて変位し、その後、延長部122はコネクタ100の第2方向である前後方向の内側に向けて変位することでロック部123が相手側付加部材510のロック孔部511に嵌り込むので、ロック部123の斜面123aによるスムーズな係合状態が実現できる。また、ロック部123が相手側付加部材510のロック孔部511に一旦嵌り込むと、ロック部123の下方のロック面123bが相手側付加部材510のロック孔部155の内面と対向しており、たとえ相手側コネクタ500とコネクタ100を嵌め合わせた状態でコネクタ100から相手側コネクタ500を抜き去る方向(+Z方向)に移動させた場合でも、相手側コネクタ500の第3方向である上下方向における上向きの移動は、ロック面123bがロック孔部511の内面に突き当たることで規制されることとなる。つまり、ロック部123の第3方向である上下方向のうちの一方の向きである下方向きに面したロック面123bは、相手側コネクタ500の第3方向である上下方向における移動を規制してコネクタ100からの抜き去りを阻止する。
【0030】
操作部124は、
図16に示すように、延長部122の第1方向である左右方向におけるバネ部121とロック部123との間の位置であって、延長部122の第2方向である前後方向におけるコネクタ100の内側に形成されている。また、操作部124は、押圧操作を受けないときに位置する非解除位置と、第2方向である前後方向におけるコネクタ100の外側に向けた押圧操作を受けたときに位置する、第2方向である前後方向において非解除位置よりもコネクタ100の外側に位置する解除位置との間を移動することができるように形成されている。操作部124におけるこれら非解除位置と解除位置については、
図7で示すように、ロック部123が相手側付加部材510のロック孔部511に嵌り込んだ状態が非解除位置であり、ロック部123が相手側付加部材510のロック孔部511からコネクタ100の左右外側に移動してロック孔部511から抜け出して係合状態を解除された状態が解除位置である。
【0031】
また、操作部124は、
図13等で示すように、上方に摺動斜面124aを有して形成されている。操作部124は、後述するロック解除治具700によって第2方向である前後方向の外側に向けて押し広げるように押圧操作されるが、この押圧操作は操作部124の摺動斜面124aに対してロック解除治具700の押圧脚部701が上方位置から下方向である-Z方向に押し付けられる操作となっている。この押圧操作では、押圧脚部701は操作部124の摺動斜面124aの表面を滑りながら押圧力を付与することになるので、操作部124が摺動斜面124aを有することで、押圧脚部701によって操作部124が誤って押し下げられてしまう操作エラーは極めて起こりにくく、押圧脚部701は操作部124を非解除位置から解除位置にスムーズに移動させることができる。
【0032】
そして、本実施形態のロック機構120では、弾性部材として機能するロック機構120のU字形状をしたバネ部121に近い側、すなわち延長部122が変位するロック機構120の弾性変形に関する根元側に操作部124が配置され、先端部にロック部123が配置されているので、操作部124が押圧操作を受けて非解除位置から解除位置に移動したときに、操作部124と連動して移動するロック部123は、操作部124よりも大きな移動量をもって移動する。換言すれば、本実施形態のロック機構120は、必要なロック部123の変位量を確保しながら、操作部124の変位量を従来技術に比べて小さく設定できる。したがって、コネクタ100を第3方向(上下方向)で見たときの、操作部124の非解除位置の、その移動方向に関する解除位置とは反対側への突出量、本実施形態の例では
図15において操作部124がそれぞれ後述する天板111から第2方向(前後方向)の内側に向かって突出している寸法量、すなわち操作部124が押圧操作を受ける待ち受けのために天板111から露出している寸法を、従来技術に比べて小さく設定できる。
【0033】
なお、
図13~
図20に示す本実施形態の付加部材110は、天板111と、折り曲げ部112とをさらに備えている。
【0034】
天板111は、第3方向である上下方向で下向きに見たときに、バネ部121および延長部122を少なくとも部分的に覆う位置に形成されるとともに、第1方向である左右方向と第2方向である前後方向とで形成される仮想平面に平行な広がりを有して形成される部材である。
【0035】
折り曲げ部112は、バネ部121を構成するU字形状のうちの第2方向である前後方向におけるコネクタ100の外側の端部と、天板111とを接続する湾曲した折り曲げ形状として形成される部位である。
【0036】
つまり、上述したロック機構120は、U字形状をしたバネ部121のうちの前後方向における外側の端部が、折り曲げ部112の下方端と接続して形成されている。
【0037】
さらに、本実施形態の付加部材110は、ホールドダウン113を備えている。ホールドダウン113は、
図14、
図17、
図20等に示すように、天板111の第1方向である左右方向におけるコネクタ100の内側に形成された端部111aに連続して形成されており、かつ、当該端部111aから下方向である-Z方向に向けて延長形成される部位である。このホールドダウン113において、端部111aとの接続部とは逆側の末端、つまり下方の末端には、半田付け部113aが備えられており、例えば、
図25および
図26に示されるように、コネクタ100の下面側を第2回路基板151上に載置するときに、半田付け部113aを第2回路基板151に半田付けすることができる。ホールドダウン113の半田付け部113aと第2回路基板151とを半田付けすることで、特に相手側コネクタ500を抜き去ろうとするときに上向きの外力が加わるロック機構120を備えた付加部材110の第2回路基板151への取り付けがより強固になる。
【0038】
さらに、本実施形態の付加部材110は、規制部114を備えている。規制部114は、この例では、
図13~
図15、
図18、
図20等に示すように、天板111から延長部122の近傍に向けて延びる部位として形成されており、上下方向(第3方向)において下向きに面した規制面114aを備えている。すなわち、規制面114aは、天板111に対して固定されているとともに下向きに面している。一方、延長部122については、延長部122における規制面114aと対向する部位の面が被規制面122aとして形成される。そして操作部124が非解除位置にあるときであって延長部122を含むロック機構120に上向きの外力が加わっていないときには、規制面114aと被規制面122aとは隙間を有して対向しており、ロック部123が相手側コネクタ500のロック孔部511に嵌り込んだままで相手側コネクタ500を無理に抜き去ろうとするなどしてロック部123が形成された延長部122に上向きの外力が加わったときには、被規制面122aが規制面114aに突き当たる。このように被規制面122aが規制面114aに突き当たったときには、規制部114によって延長部122のイレギュラーな上向きの移動が強力に規制される。すなわち規制部114は、ロック機構120がより確実に作用するように形成されている。本実施形態の付加部材110が規制部114を備えることによって、ロック機構120の無理な動作による破損等を好適に防止することができる。
【0039】
なお、延長部122に形成されるロック部123と被規制面122aとは、延長部122におけるX方向(左右方向)すなわち第1方向の位置が少なくとも部分的に重畳するように配置されることが好ましい(
図13等参照)。上向きの力が加えられるロック部123と規制面114aに突き当たって下向きの力を加えられる被規制面122aとは、延長部122の延長方向すなわちX方向(第1方向)において重畳した位置に配置されることで、延長部122にトルクや曲げ応力が発生することを避け、規制部114の作用を効果的にするとともにロック機構120の破損等の不具合の発生を好適に防止することができる。
【0040】
さらに、
図16およびコネクタ100を上下方向に沿って見下ろした断面図である
図22にて示すように、本実施形態のロック機構120が備える被押圧負荷部125は、延長部122の第1方向である左右方向におけるロック部123と操作部124との間の位置において、延長部122の第2方向である前後方向におけるコネクタ100の内側に形成されている。そして、
図12および
図22にて示すように、本実施形態のコネクタ100は、2つの付加部材110のそれぞれに2つずつ、合計4つのロック機構120を備えている。一方、ハウジング101が有する2つの島部107のそれぞれは、第2方向である前後方向におけるコネクタ100の外側に向いて相互に背反する合わせて2つの押圧負荷部107aを備えている。すなわち、
図12と
図22を対比参照すれば明らかなように、本実施形態のコネクタ100においては、ロック機構120が備える合計4つの被押圧負荷部125のそれぞれが、何れか1つの対応する押圧負荷部107aと第2方向である前後方向において対向して配置されている。
【0041】
そして、操作部124が非解除位置にあるときには、被押圧負荷部125のそれぞれは、対応する押圧負荷部107aと接触し、第2方向である前後方向におけるコネクタ100の外側に向けて押圧負荷を受けるよう構成されている(
図22の状態参照)。
【0042】
ここで、バネ部121と延長部122とを含んで構成されるU字形状をしたばね部材の先端の、自然状態における開きの寸法は、付加部材110を製造する際のプレス加工によるコントロールが及ばずバラつきを有している。換言すれば、自由端として作用する延長部122のバネ部121から遠い側の先端の、第2方向である前後方向における位置は、延長部122が外力を受けない自然状態ではバラつきを有している。しかるところ本発明では上述したように、操作部124が非解除位置にあるときでも、上記ばね部材は自然状態ではなく、延長部122が備える被押圧負荷部125が押圧負荷部107aと接触して外力としての押圧負荷を受けている。換言すれば、操作部124が非解除位置にあるときでも、延長部122の第2方向である前後方向における位置は、ハウジング101に設けられた押圧負荷部107aによって決められる。
【0043】
すなわち、本実施形態のコネクタ100では、ハウジング101に押圧負荷部107aを設けることで、バネ部121によって弾性的に支持されている延長部122を、ロック解除の操作がされていない状態にあるとき(つまり、操作部124が非解除位置にあるとき)に常時押圧してプリロードを掛けることとした。そのため、ロック解除の操作がされていない状態にあるとき(つまり、操作部124が非解除位置にあるとき)のロック部123および操作部124の位置が、ハウジング101に設けられる押圧負荷部107aによって常に所定の位置に定義されるため、付加部材110の製造上不可避的に発生するばね部材(バネ部121と延長部122とを含んで構成されるU字形状をした弾性部材)の開きの寸法のバラつきの影響を排除することができる。
【0044】
一方、操作部124が解除位置にあるとき、つまり、操作部124が操作されてロック部123がロック孔部511との係合を解除したときには、島部107が有する2つの押圧負荷部107aに接触していた2つの被押圧負荷部125のそれぞれは、第2方向である前後方向におけるコネクタ100の外側に向けて移動し、対応する押圧負荷部107aから離れることとなる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態によれば、コネクタ100と相手側コネクタ500の嵌め合い状態の保持と解除を担うロック機構120の構成部材であるU字形状をした板状のばね部材(弾性部材)の開きが有する製造上の寸法のバラつきを吸収することができ、特にロック状態におけるロック部123の位置がバラつきなく定められたコネクタ100を実現できるので、コネクタ100と相手側コネクタ500の嵌め合い状態のロック状態を安定して実現することができるコネクタ100を提供することができる。
【0046】
以上、コネクタ100が備える2つの付加部材110のそれぞれが2つずつ、合計4つ備えるロック機構120の詳細な構成を説明した。次に、相手側コネクタ500がコネクタ100と嵌め合わされ又は抜き去られるときの動作について、説明を行う。
【0047】
コネクタ100に対して相手側コネクタ500を嵌め合わせるときには、
図8に示すように、相手側コネクタ500を下方向である-Z方向に移動させることで、相手側コネクタ500をコネクタ100に嵌め込むこととなる。このとき相手側コネクタ500は、その相手側付加部材510の表面がロック部123の斜面123aを滑りながらコネクタ100に押し込まれるので、延長部122はコネクタ100の第2方向である前後方向の外側に向けて一旦変位し、その後、延長部122がコネクタ100の第2方向である前後方向の内側に向けて戻るように変位することで、ロック部123が付加部材510のロック孔部511に嵌り込む。かかる動作によって、
図7で示すロック孔部511とロック部123との係合が実現し、相手側コネクタ500とコネクタ100の係合を保持するロック状態が達成される。
【0048】
相手側コネクタ500とコネクタ100とのロック状態を解除する際には、ロック解除治具700を用いる。本実施形態のロック解除治具700を、
図24に示す。すなわち、コネクタ100が備える2つの付加部材110のそれぞれが2つずつ、合計4つ備わるロック機構120の、合計4つの操作部124は、このロック解除治具700によって同時に操作することが可能となっている。
【0049】
ロック解除治具700は、コネクタ100と相手側コネクタ500とが相互に嵌め合わされた状態のコネクタ組立体10に対して使用しようとする姿勢において、
図24に示すように、縦長の立方体形状をした部材の上下方向(Z方向)における下方の左右端に下方に突出した2つの押圧脚部701を備える部材である。押圧脚部701の各々は、前後方向(Y方向)の両外側の向きに面する合わせて2つの押圧操作面701aを有している。すなわち、ロック解除治具700は合わせて4つの押圧操作面701aを備えている。ロック解除治具700は、
図25で示す状態から
図26で示す状態となるように、相手側コネクタ500がコネクタ100と嵌め合わされた状態のコネクタ組立体10の上方位置から、下方向である-Z方向に移動させることで使用される。コネクタ組立体10は、
図1および
図2に示すように、コネクタ100と相手側コネクタ500とが嵌め合わされた状態において、各々の付加部材110に前後方向に対向するように備えられる2つのロック機構120の間隔が、上方に向けて開放された空間を構成している。この、嵌め合わされた状態のコネクタ組立体10の左右方向の両側に合わせて2つある、上方に向けて開放された空間の各々に、ロック解除治具700の2つの押圧脚部701の各々が、同時に上方から挿入される。このとき、上記空間の各々の内部に突出している操作部124の突出量、詳しくはZ方向に沿って上方から見下ろしたときに操作部124が天板111からY方向(前後方向)の内側に向かって露出している寸法は、従来技術に比べて有意に小さい(
図15参照)。かかるコネクタ組立体10に対して、
図26で示すように、ロック解除治具700を下方向である-Z方向に押し付けると、ロック解除治具700が有する2つの押圧脚部701の各々が2つずつ、合わせて4つ備える押圧操作面701aは、コネクタ100が有するロック機構120の各々が1つずつ、合わせて4つ備える操作部124を、それぞれその第2方向である前後方向の外側に向けて押し広げるように押圧操作し、それぞれを非解除位置から解除位置に移動させる。これにより延長部122が第2方向である前後方向の外側に向けてU字形状のバネ部121を支点に開くように移動するので、その支点から延長部122沿いに操作部124よりも遠い位置にあるロック部123が、連動して、操作部124の移動と同じ向きに、かつ、操作部124の非解除位置から解除位置までの移動量よりも大きな移動量で、移動する。この操作の開始状態すなわちコネクタ組立体10がロック解除治具700の挿入を待ち受ける状態において、操作部124が天板111から露出している寸法が上述のとおり小さいので、その操作部124や延長部122を押圧脚部701で誤って押し下げてしまう操作エラーは、極めて起こりにくい。また、
図13および
図15に示すように、天板111から小さい寸法で露出する操作部124の露出部位は摺動斜面124aとなっているので、この摺動斜面124aに対してロック解除治具700の押圧脚部701が上方位置から下方向である-Z方向に押し付けられると、押圧脚部701は摺動斜面124aの表面を滑りながら操作部124を第2方向である前後方向の外側に向けて押し広げるように押圧操作することになるので、押圧脚部701は操作部124を非解除位置から解除位置にスムーズに移動させることができる。加えてこの実施形態では、ロック解除の操作がされていない状態にあるとき(つまり、操作部124が非解除位置にあるとき)のロック部123および操作部124の位置が、ハウジング101に設けられる押圧負荷部107aによって常に所定の位置に定義されるため、摺動斜面124aについても、常に天板111から同じ突出量で露出することになり、ロック解除治具700の押圧脚部701から受ける押圧操作を常時安定して受けることができる。さらに、操作部124を非解除位置に移動させるのに必要な操作量(移動量)が小さいので、ロック解除の操作性が従来技術と比べて改良され、軽快なものになっている。上に述べたロック部123の移動によって、相手側付加部材510のロック孔部511に嵌り込んでいたロック部123の係合が解除され、すなわちロック面123bは上下方向においてロック孔部511の内面と接触も対向もしなくなり、ロック部123は上方が開放されて上方への移動が可能となる。このロック孔部511とロック部123との係合が解除された状態、すなわち、
図26で示す状態から、操作者が相手側コネクタ500を上方である+Z方向に持ち上げることで、相手側コネクタ500をコネクタ100から抜き去ることができる。
【0050】
ここで、ロック解除治具700の押圧操作面701aが操作部124を押圧操作する以前の段階、すなわちロック解除治具700の挿入を待ち受ける状態では、被押圧負荷部125は押圧負荷部107aと接触して押圧負荷を受け、それによって操作部124の位置が常に所定の位置に定義されているので、ロック解除治具700によるロック機構120のロック解除動作は、常に安定して実行することが可能となる。
【0051】
なお、本実施形態では、
図27~
図30にて示すように、ロック解除治具700によって操作部124が押圧操作されて操作部124が被解除位置から解除位置に移動するときに、本実施形態のコネクタ100とロック解除治具700とは、相互の間に3つの接触面α,β,γを形成するように構成されている。このように、ロック解除治具700から下方向である-Z方向の押圧力を受けるコネクタ100と、ロック解除治具700との接触面α,β,γを複数設けることで、コネクタ100と接触するロック解除治具700の姿勢を安定させることができるので、ロック解除治具700のこじり等の不具合を好適に防止することができる。
【0052】
また、本実施形態では、
図27および
図28にて示すように、付加部材110に対して凸部として形成されるコネクタ側操作感付与部115を設けるとともに、ロック解除治具700に対しては、それに対応した凹部(この例では貫通孔)として形成される治具側操作感付与部705を設けることができる。そして、
図27および
図28にて示すように、コネクタ側操作感付与部115とロック解除治具700が有する治具側操作感付与部705は、互いが嵌り合ったときに遊び代を有する寸法形状にて形成することが好ましい。かかる構成を採用することで、ロック解除治具700によって操作部124が操作され、操作部124が被解除位置から解除位置に移動する過程で、コネクタ側操作感付与部115と治具側操作感付与部705が嵌り合うときに、ロック解除治具700を操作する操作者に操作感(クリック感)を付与することができる。
【0053】
また、本実施形態のロック解除治具700については、
図26にて示すように、コネクタ組立体10に対して使用するとき、第3方向である上下方向で見たときに、コネクタ組立体10の外形からはみ出さない外郭形状を備えることが好ましい。ロック解除治具700の外郭形状をコネクタ組立体10の外形からはみ出さない寸法とすることで、例えば基板上に設置された他の部品との干渉を避けることができるので、操作性の向上に寄与することができる。
【0054】
以上に説明した実施形態では、
図22等で示すように、バネ部121は各ロック機構120の第1方向(左右方向)における外側の位置に備えられ、第3方向(上下方向)で見たときに、第1方向(左右方向)におけるコネクタ100の外側において閉じるとともに内側において開いたU字形状を有していた。しかし本発明はこれに限定されないのであって、
図23で示す変形例のように(なお、
図23では、コネクタ100の左側に設置された付加部材110のロック機構120が示されている。)、第1方向(左右方向)においてバネ部121の向きを逆転させるとともにこれを各ロック機構120の第1方向(左右方向)における内側の位置に備える構成も可能である。すなわちこの変形例では、バネ部121がそれぞれ第3方向(上下方向)で見たときに、第1方向である左右方向におけるコネクタ100の内側において閉じるとともに外側において開いたU字形状とされるが、延長部122において第1方向(左右方向)の外側に操作部124が、内側にロック部123が、操作部124とロック部123の間に被押圧負荷部125が配置される点は
図22等で示した実施形態と変わらない。この変形例では、
図23に示すように、特に操作部124がU字形状をしたばね部材の開きの側の先端に位置しているので、その操作部124の位置が安定して定義される効果が高い。したがってこの変形例では特に、ロック解除治具700によるロック機構120のロック解除動作は、常に安定して実行することが可能となる。
【0055】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態には、多様な変更又は改良を加えることができる。
【0056】
例えば、上述した実施形態の相手側コネクタ500とコネクタ100とから構成されるコネクタ組立体10については、
図25および
図26で示されるように、相手側コネクタ500を実装した第1回路基板551と、コネクタ100を実装した第2回路基板151とを電気的に接続する基板対基板コネクタとして使用する場合に特に有益である。
【0057】
また例えば、上述した実施形態では、相手側コネクタ500がプラグコネクタとして構成され、コネクタ100がレセプタクルコネクタとして構成され、コネクタ100に対してロック機構120が設置された構成が採用されていた。しかし、本発明に係るロック機構が上述した実施形態の場合と同様の作用効果を発揮する範囲内において、コネクタはプラグコネクタ又はレセプタクルコネクタの何れであってもよい。また、本発明において、相手側コネクタとコネクタは、あらゆる形式のコネクタを含むものである。
【0058】
その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0059】
10 コネクタ組立体
100 コネクタ
101 ハウジング
103 端子保持部
105 複数の端子
107 島部
107a 押圧負荷部
110 付加部材
111 天板
111a 端部
112 折り曲げ部
113 ホールドダウン
113a 半田付け部
114 規制部
114a 規制面
115 コネクタ側操作感付与部(凸部)
120 ロック機構
121 バネ部
122 延長部
122a 被規制面
123 ロック部
123a 斜面
123b ロック面
124 操作部
124a 摺動斜面
125 被押圧負荷部
151 第2回路基板(基板)
500 相手側コネクタ
501 相手側ハウジング
503 相手側端子保持部
505 複数の相手側端子
510 相手側付加部材
511 ロック孔部
551 第1回路基板(基板)
700 ロック解除治具
701 押圧脚部
701a 押圧操作面
705 治具側操作感付与部(凹部)
α,β,γ (ロック解除治具との)接触面