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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004713
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】セラミックスサセプタ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20250107BHJP
   C04B 35/581 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
H01L21/68 N
C04B35/581
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104582
(22)【出願日】2023-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 正広
(72)【発明者】
【氏名】北林 徹夫
(72)【発明者】
【氏名】下嶋 浩正
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA01
5F131BA17
5F131CA02
5F131CA09
5F131CA17
5F131CA33
5F131CA42
5F131EB11
5F131EB14
5F131EB15
5F131EB16
5F131EB17
5F131EB18
5F131EB54
5F131EB72
5F131EB78
5F131EB79
5F131EB81
(57)【要約】
【課題】端子の直上の基材のクラックの発生や進展を抑制することができるセラミックスサセプタを提供する。
【解決手段】セラミックスにより形成された基材110と、前記基材110に埋設された電極120と、前記電極120に電気的に接続された端子130と、前記端子130の直上に位置し、前記基材110の上面112から上方に突出し、かつ、断面視において、前記端子130の最小径より大きな幅を有するように形成された絶縁層厚部140と、前記基材110の上面112から上方に突出して形成された複数の凸部150と、を備え、前記絶縁層厚部の上端面142と前記基材110の上面112との距離は、前記絶縁層厚部140の周囲に隣接する前記凸部の上端面152と前記基材110の上面112との距離より小さい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックスサセプタであって、
セラミックスにより形成された基材と、
前記基材に埋設された電極と、
前記電極に電気的に接続された端子と、
前記端子の直上に位置し、前記基材の上面から上方に突出し、かつ、断面視において、前記端子の最小径より大きな幅を有するように形成された絶縁層厚部と、
前記基材の上面から上方に突出して形成された複数の凸部と、を備え、
前記絶縁層厚部の上端面と前記基材の上面との距離は、前記絶縁層厚部の周囲に隣接する前記凸部の上端面と前記基材の上面との距離より小さいことを特徴とするセラミックスサセプタ。
【請求項2】
上面視において、前記電極は、前記端子と重なる直上部を有し、
前記電極は、前記直上部が底部となる凹状であることを特徴とする請求項1に記載のセラミックスサセプタ。
【請求項3】
上面視において、前記電極は、前記端子と重なる直上部を有し、
前記電極は、前記直上部に開孔を有することを特徴とする請求項1に記載のセラミックスサセプタ。
【請求項4】
前記絶縁層厚部の上端面と前記絶縁層厚部の周囲に隣接する前記凸部の上端面の距離gは、30μm以上であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のセラミックスサセプタ。
【請求項5】
前記絶縁層厚部の上端面から上方に突出して形成された第2の凸部をさらに備え、
前記基材の上面と前記第2の凸部の上端面との距離は、前記基材の上面と前記第2の凸部を備える前記絶縁層厚部の周囲に隣接する前記凸部の上端面との距離と同一であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のセラミックスサセプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックスサセプタに関する。
【背景技術】
【0002】
成膜やエッチングプロセスで基板を支持する半導体製造装置用部材として、セラミックスサセプタが用いられてきた。ヒーターや静電チャックなどのセラミックスサセプタは、セラミックス焼結体に電極が埋設され、その電極に外部電源を接続するための端子が設けられている。セラミックス焼結体と端子はCTEが異なるため、製造時や使用中に端子周辺、特に端子直上部のセラミックス絶縁層にクラックが発生し絶縁不良を発生させていた。
【0003】
特許文献1は、表面及び裏面を有し、セラミックスからなる板状の基材と、基材の表面に沿って延在し、基材に埋設される内部電極と、基材に埋設され、基材の厚み方向に延在する内部電極と電気的に接続される内部導体部と、基材の裏面から基材内部に伸長する端子穴と、端子穴に配置され、内部電極と内部導体部を介して電気的に接続される端子と、を備える電極埋設部材及びその製造方法が開示されている。
【0004】
特許文献2は、板状の基材と、基材に埋設され、開口部が形成された内部電極と、基材の厚み方向において開口部に重なるように内部電極よりも裏面側に位置する導電性部材と、端子穴に少なくとも一部が配置され、導電性部材に接続される端子と、を備え、内部電極は、基材の表面に沿って配置された平面電極部と、基材の厚み方向において開口部と重なる領域を通過しないように、平面電極部から導電性部材側に向って延び、導電性部材に導通する端子接続部と、を備えている電極埋設部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-204903号公報
【特許文献2】特開2020-21781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、電極と端子との距離を大きくするように端子を配置することで絶縁層への影響を小さくし、絶縁層にクラックが生じないような構造としていた。特許文献2は、導電性部材から基材の表面までの距離を大きくすることで、絶縁層にクラックが生じないような構造としていた。しかし、これらだけではクラックが抑制できない例もあり、更なるクラック抑制手段を有するサセプタが望まれていた。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、端子の直上の基材のクラックの発生や進展を抑制することができるセラミックスサセプタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記の目的を達成するため、本発明のセラミックスサセプタは、以下の手段を講じた。すなわち、本発明の適用例のセラミックスサセプタは、セラミックスサセプタであって、セラミックスにより形成された基材と、前記基材に埋設された電極と、前記電極に電気的に接続された端子と、前記端子の直上に位置し、前記基材の上面から上方に突出し、かつ、断面視において、前記端子の最小径より大きな幅を有するように形成された絶縁層厚部と、前記基材の上面から上方に突出して形成された複数の凸部と、を備え、前記絶縁層厚部の上端面と前記基材の上面との距離は、前記絶縁層厚部の周囲に隣接する前記凸部の上端面と前記基材の上面との距離より小さいことを特徴としている。
【0009】
このように、基材の上面から上方に突出して端子の最小径より大きく形成された絶縁層厚部を端子の直上に配置することで、端子の直上の電極と絶縁層厚部の上端面との距離を絶縁層厚部や複数の凸部が形成されない他の領域の電極と基材の上面との距離より大きくすることができ、端子の直上の基材のクラックの発生や進展を抑制することができる。また、絶縁層厚部の上端面と基材の上面との距離を絶縁層厚部の周囲に隣接する凸部と基材の上面との距離より小さくすることで、基板と絶縁層厚部の上端面との接触を抑制できる。
【0010】
(2)また、上記(1)の適用例のセラミックスサセプタにおいて、上面視において、前記電極は、前記端子と重なる直上部を有し、前記電極は、前記直上部が底部となる凹状であることを特徴としている。
【0011】
これにより、絶縁層厚部の上端面と端子の直上の電極との距離を、他の領域より更に大きくすることができ、端子の直上の絶縁層の強度を更に大きくすることができる。その結果、端子の直上の基材のクラックの発生や進展を抑制する効果がより高くなる。
【0012】
(3)また、上記(1)または(2)の適用例のセラミックスサセプタにおいて、上面視において、前記電極は、前記端子と重なる直上部を有し、前記電極は、前記直上部に開孔を有することを特徴としている。
【0013】
これにより、端子によって生じる応力を低減することができ、クラックを抑制する効果が高くなる。
【0014】
(4)また、上記(1)から(3)のいずれかの適用例のセラミックスサセプタにおいて、前記絶縁層厚部の上端面と前記絶縁層厚部の周囲に隣接する前記凸部の上端面の距離gは、30μm以上であることを特徴としている。
【0015】
これにより、基板と絶縁層厚部の上端面との接触をより抑制することができ、ヒートスポットの発生を抑制できる。
【0016】
(5)また、上記(1)から(4)のいずれかの適用例のセラミックスサセプタにおいて、前記絶縁層厚部の上端面から上方に突出して形成された第2の凸部をさらに備え、前記基材の上面と前記第2の凸部の上端面との距離は、前記基材の上面と前記第2の凸部を備える前記絶縁層厚部の周囲に隣接する前記凸部の上端面との距離と同一であることを特徴としている。
【0017】
これにより、基板のたわみを抑制できる。また、基板と第2の凸部とが接触することで、熱伝導を複数の凸部が形成された領域と同等にすることができ、プロセスの均質性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のセラミックスサセプタによれば、端子の直上の基材のクラックの発生や進展を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係るセラミックスサセプタの一例を示す模式的な断面図である。
図2】本発明の実施形態に係るセラミックスサセプタの上面の一例を示す模式図である。
図3】(a)、(b)は、それぞれ拡大した凸部および絶縁層厚部を示す模式的な部分断面図である。
図4】本発明の実施形態に係るセラミックスサセプタの変形例を示す模式的な部分断面図である。
図5】本発明の実施形態に係るセラミックスサセプタの変形例の電極の一部を示す模式図である。
図6】本発明の実施形態に係るセラミックスサセプタの変形例を示す模式的な断面図である。
図7】本発明の実施形態に係るセラミックスサセプタの変形例を示す模式的な断面図である。
図8】実施例および比較例の形状の特徴および測定結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。なお、構成図において、各構成要素の大きさは概念的に表したものであり、必ずしも実際の寸法比率を表すものではない。
【0021】
[実施形態]
(セラミックスサセプタの構成)
本発明の実施形態に係るセラミックスサセプタについて、図1から図3を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係るセラミックスサセプタの一例を示した模式的な断面図である。図2は、本発明の実施形態に係るセラミックスサセプタの上面の一例を示した模式図である。図3(a)、(b)は、それぞれ拡大した凸部および絶縁層厚部を示す模式的な部分断面図である。本実施形態に係るセラミックスサセプタ100は、基材110、電極120、端子130、絶縁層厚部140、および複数の凸部150を備えている。
【0022】
基材110は、セラミックスにより略平板状に形成されている。基材110は略円板状のほか、多角形板状または楕円板状などのさまざまな形状であってもよい。基材110を形成するセラミックスは従来使用されてきた材料であればどのようなものであってもよいが、例えば、窒化アルミニウム、炭化珪素、酸化アルミニウム、窒化珪素などが挙げられる。
【0023】
電極120は、基材110に埋設されている。電極120は、例えば、基板(ウエハ)Wを加熱するためのヒーター用電極として用いられる。これ以外の用途に用いられる電極、例えば、静電吸着用電極や高周波電極が埋設されていてもよい。
【0024】
端子130は、電極120に電気的に接続される。本明細書では、端子130とは、導電性部材132単体または導電性部材132と接続部材134の両方を含むものとする。導電性部材132は、ロウ材等により電極120と直接接続されてもよい。また、導電性部材132と電極120との間に接続部材134が配置され、導電性部材132は、接続部材134を介して電極120と接続されてもよい。さらに導電性部材132は、接続部材134との間にタングステン、モリブデン、コバールなどからなる図示しないペレット状の1または複数の緩衝部材が挟まれてロウ付けされ、電極120と接続されてもよい。図1は、導電性部材132が接続部材134を介して電極120に接続されている例を示している。接続部材134は、基材110に埋設されていてもよい。また、接続部材134は、1箇所に2枚以上積層されてもよい。
【0025】
絶縁層厚部140は、鉛直方向で端子130の直上に位置し、基材110の上面112から上方に突出して形成される。また、絶縁層厚部140は、断面視において、端子130の最小径より大きな幅を有するように形成される。これにより、端子130の直上の電極120と絶縁層厚部の上端面142との距離を絶縁層厚部140や後述する複数の凸部150が形成されない他の領域の電極120と基材110の上面112との距離より大きくすることができる。その結果、クラックを進展させる応力場が弱くなり、端子130の直上の基材110のクラックの発生や進展を抑制することができる。
【0026】
本明細書で端子130の最小径とは、電極120と導電性部材132の上端面が直接接続される場合、導電性部材132の上端面の最小径をいう。また、電極120と導電性部材132との間に接続部材134が配置される場合、導電性部材132の上端面の最小径と接続部材134の上面視の最小径のうちの小さい方をいう。接続部材134が2以上配置される場合、導電性部材132の上端面の最小径、および2以上の接続部材134のそれぞれの上面視の最小径のうち最も小さい値とする。
【0027】
絶縁層厚部140の幅は、上面視において、端子穴136の径より大きく、端子穴136の径の4倍以下であることが好ましい。また、絶縁層厚部140は、上面視において、端子穴136全体を包含する範囲に形成されることが好ましい。絶縁層厚部140の形状は、円柱状、角柱状等の柱状、円錐状、角錐状等の錐状、円錐台状、角錐台状等の錐状の上部を切断した形状等から適宜選択されることが好ましい。
【0028】
絶縁層厚部140の幅とは、絶縁層厚部140の上面視の形状の辺にとった2点間の最大距離とする。絶縁層厚部140の上面視の形状は、導電性部材132、接続部材134、または端子穴136のいずれかの上面視の形状と相似であることが好ましい。絶縁層厚部140の上面視の形状は、円形であることが好ましい。絶縁層厚部の上端面142の幅は、5mm以上20mm以下であることが好ましい。
【0029】
絶縁層厚部の上端面142は、基板Wと接触しないため、絶縁層厚部の上端面142の表面粗さは、どのような値であってもよい。ただし、絶縁層厚部の上端面142は、後述する基板載置面154と略平行であることが好ましい。基材110の上面112と絶縁層厚部の上端面142との鉛直方向の距離を絶縁層厚部140の高さとする。絶縁層厚部140の高さは、220μm以上470μm以下であることが好ましい。絶縁層厚部の上端面142から直下の電極120の上面までの鉛直方向の距離を絶縁層厚部140の厚さとする。絶縁層厚部140の厚さは、325μm以上1900μm以下であることが好ましい。基材110の上面112と当該基材110の上面112の直下の電極120の上面との鉛直方向の距離を絶縁層の厚さという。
【0030】
絶縁層厚部140は、基材110の他の部分とは異なる材質のセラミックスで形成されていてもよい。例えば、基材110の他の部分を形成するセラミックスと比較して、CTEの少し小さなセラミックスや収縮率が小さなセラミックスを使用して絶縁層厚部140を形成することで、焼成後に絶縁層厚部140に圧縮応力が導入され、ロウ付け時や製品使用時にクラックが入るときの引っ張り応力を緩和する効果を発揮することができ、端子130の直上の基材110のクラックの発生や進展をさらに抑制することができる。異なる材質のセラミックスは、主成分が同一で焼結助剤の種類や量、添加の有無が異なるセラミックスであってもよい。
【0031】
凸部150は、基材110の上面112から上方に突出して複数形成される。凸部150の形状は、円柱状、角柱状等の柱状、円錐状、角錐状等の錐状、円錐台状、角錐台状等の錐状の上部を切断した形状等から適宜選択される。
【0032】
凸部150の配置は特に限定されない。凸部150の配置は、既知の形態またはそれに類似する形態であればよく、例えば、図2に示されるような同心円状のほか、三角格子状、または正方格子状など規則的な配置であってもよい。また、凸部150の配置は、一部または全部が不規則に配置されてもよい。隣接する凸部150の中心間の距離(ピッチ)は、4mm以上20mm以下であることが好ましい。凸部の上端面152の最大径は、0.5mm以上5mm以下であることが好ましい。凸部の上端面152の最大径は、絶縁層厚部の上端面142の幅より小さいことが好ましい。凸部の上端面152の表面粗さは、Ra0.01μm以上0.8μm以下であることが好ましい。
【0033】
基材110の上面112と凸部の上端面152との鉛直方向の距離を凸部の高さとする。複数の凸部150の高さは、100μm以上であることが好ましい。また、複数の凸部150の高さの上限は、加工方法の制約により1000μm以下であることが好ましい。
【0034】
複数の凸部の上端面152は、全体として基板Wを載置する所定の形状の平面または曲面(基板載置面154)を画定する。これにより、複数の凸部150は、基板Wを支持する。なお、複数の凸部150のうち、上端面が基板Wと当接しないものがあってもよい。これは、そのような凸部があっても、周りの凸部150の配置によっては、基板Wを支持することが可能だからである。なお、図1では、凸部の上端面152の全面が基板Wと当接しているが、凸部の上端面152の一部のみが基板Wと当接していてもよい。
【0035】
絶縁層厚部の上端面142と基材110の上面112との距離は、当該絶縁層厚部140の周囲に隣接する凸部の上端面152と基材110の上面112との距離より小さい。このように、絶縁層厚部の上端面142と基材110の上面112との距離を当該絶縁層厚部140の周囲に隣接する凸部150と基材110の上面112との距離より小さくすることで、基板Wと絶縁層厚部の上端面142との接触を抑制できる。
【0036】
絶縁層厚部の上端面142と基材110の上面112との距離とは、絶縁層厚部の上端面142上の点と当該絶縁層厚部140の周囲の基材110の上面112上の点のうち、鉛直方向の距離が最大の値とする。絶縁層厚部の上端面142と基材110の上面112との距離を絶縁層厚部の高さといってもよい。絶縁層厚部140の周囲に隣接する凸部の上端面152と基材110の上面112との距離とは、絶縁層厚部の140の周囲に隣接する凸部の上端面152上の点と当該凸部150の周囲の基材110の上面112上の点のうち、鉛直方向の距離が最大の値とする。絶縁層厚部140の周囲に隣接する凸部150とは、絶縁層厚部140との中心間の距離が最も小さい1または複数の凸部150とする。
【0037】
絶縁層厚部の上端面142と当該絶縁層厚部140の周囲に隣接する凸部の上端面152との距離gは、30μm以上であることが好ましい。これにより、基板Wと絶縁層厚部の上端面142との接触をより抑制することができ、ヒートスポットの発生を抑制できる。絶縁層厚部の上端面142と当該絶縁層厚部140の周囲に隣接する凸部の上端面152との距離gとは、絶縁層厚部の140の周囲に隣接する凸部の上端面152上の点と当該絶縁層厚部の上端面142上の点のうち、鉛直方向の距離が最小の値とする。
【0038】
絶縁層厚部140の高さや凸部150の高さ、絶縁層厚部の上端面142や凸部の上端面152の3次元的な位置は、3次元測定器で測定できる。なお、セラミックスサセプタ100に基板Wを載置または吸着したときに基板Wが凸部の上端面152に十分追従している場合、厚み0.775mm、平坦度(TTV : Total Thickness Variation)がSEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)やJEIDA(日本電子工業振興協会)の規格より小さい(例えば、平坦度(TTV)1.0μm)シリコンウエハを載置または吸着したときの基板載置面154と反対側の面(基板Wの表面)をレーザー干渉計で測定した平面または曲面を、基板載置面154とみなしてもよい。基板Wが凸部の上端面152に十分追従している場合とは、凸部の上端面152が基板Wと当接していない凸部150が隣接していないことをいう。
【0039】
セラミックスサセプタ100は、基材110の外径に沿って形成される環状凸部160、通気孔170、リフトピン孔等を備えていてもよい。図1図2では、基材の中心に通気孔170が形成されている。
【0040】
図4は、本発明の実施形態に係るセラミックスサセプタの変形例を示す模式的な部分断面図である。図4に示されるように、セラミックスサセプタ100は、上面視において、電極120が端子130と重なる直上部122を有し、直上部122が底部となる凹状であることが好ましい。また、凹状の直上部122の寸法は、端子130の最大径より大きいことが好ましい。これにより、絶縁層厚部の上端面142と端子130の直上の電極120との距離を、他の領域よりさらに大きくすることができ、端子130の直上の絶縁層の強度を更に大きくすることができる。その結果、端子130の直上の基材110のクラックの発生や進展を抑制する効果がより高くなる。電極120の直上部122とは、電極120の端子130と接続される部分といってもよい。
【0041】
図5は、本発明の実施形態に係るセラミックスサセプタの変形例の電極の一部を示す模式図である。図5に示されるように、セラミックスサセプタ100は、上面視において、電極120が端子130と重なる直上部122を有し、直上部122に開孔124を有することが好ましい。これにより、端子130によって生じる応力を低減することができ、クラックを抑制する効果が高くなる。図5に示されるように、例えば、電極120がメッシュで形成されている場合、開孔124はメッシュを形成する金属線の一部を切り取って形成される。
【0042】
図6は、本発明の実施形態に係るセラミックスサセプタの変形例を示す模式的な断面図である。また、図7は、本発明の実施形態に係るセラミックスサセプタの変形例を示す模式的な断面図である。図6または図7に示されるように、セラミックスサセプタ100は、絶縁層厚部の上端面142から上方に突出して形成された第2の凸部180をさらに備え、基材110の上面112と第2の凸部の上端面182との距離は、基材110の上面112と第2の凸部180を備える当該絶縁層厚部140の周囲に隣接する凸部の上端面152との距離と同一であることが好ましい。これにより、基板Wのたわみを抑制できる。また、基板Wと第2の凸部180とが接触することで、熱伝導を複数の凸部150が形成された領域と同等にすることができ、プロセスの均質性を向上させることができる。基材110の上面112と第2の凸部の上端面182との距離とは、第2の凸部の上端面182上の点と当該第2の凸部180を備える絶縁層厚部140の周囲の基材110の上面112上の点のうち、鉛直方向の距離が最大の値とする。
【0043】
第2の凸部180の配置は、複数の凸部150の配置を補完する配置とする。すなわち複数の凸部150が規則的に配置される場合、第2の凸部180は、その規則と同一の規則による位置に配置される。上面視において、第2の凸部180の一部が絶縁層厚部140からはみ出すような位置に配置されてもよい。1の絶縁層厚部140に2以上の第2の凸部180が設けられてもよい。第2の凸部180の形状は、円柱状、角柱状等の柱状、円錐状、角錐状等の錐状、円錐台状、角錐台状等の錐状の上部を切断した形状等から適宜選択される。
【0044】
第2の凸部の上端面182の最大径は、0.5mm以上5mm以下であることが好ましい。第2の凸部の上端面182の表面粗さは、Ra0.01μm以上0.8μm以下であることが好ましい。基材110の上面112と第2の凸部の上端面182との鉛直方向の距離を第2の凸部180の高さとする。第2の凸部180の高さは、100μm以上であることが好ましい。また、第2の凸部180の高さの上限は、加工方法の制約により1000μm以下であることが好ましい。
【0045】
[セラミックスサセプタの製造方法]
次に、本実施形態に係るセラミックスサセプタの製造方法を説明する。本発明の実施形態に係るセラミックスサセプタは、例えば、以下に説明する成形体ホットプレス法によって作製される。なお、製法は本方法に限られず、例えば、粉末ホットプレス法や従前のグリーンシート積層法等であってもよい。粉末ホットプレス法は、セラミックス原料粉と電極を交互に重ねることにより電極をセラミックスの内部に埋設し、それを1軸ホットプレス焼成する方法である。
【0046】
成形体ホットプレス法による本発明の実施形態に係るセラミックスヒーターの製造方法は、セラミックス成形体形成工程、セラミックス脱脂体作製工程、積層体形成工程、焼成工程、および表面加工工程を備えている。
【0047】
セラミックス成形体形成工程では、例えば、AlNを主成分とし、焼結助剤としてY成分が添加されたセラミックスの造粒粉から複数のセラミックス成形体を形成する。例えば、AlN原料粉末に焼結助剤のY成分としてY、バインダ、可塑剤、分散剤などの添加剤を適宜添加して混合して、スラリーを作製し、スプレードライ法等によりセラミックスの造粒粉を造粒後、加圧成形して複数のセラミックス成形体を形成することができる。セラミックス原料粉末としては、窒化アルミニウムの他、例えば、炭化珪素、酸化アルミニウム、窒化珪素などが用いられる。
【0048】
セラミックス成形体形成工程では、同一種類のセラミックス原料粉末に対して焼結助剤の種類や量、添加の有無等を変更した異なる造粒粉を準備して、絶縁層厚部用のセラミックス成形体を形成してもよい。また、異なる種類のセラミックス原料粉末を使用して、絶縁層厚部用のセラミックス成形体を形成してもよい。
【0049】
セラミックス原料粉末は、高純度であることが好ましく、その純度は、好ましくは96%以上、より好ましくは98%以上である。また、セラミックス原料粉末の平均粒径は、好ましくは0.1μm以上1.0μm以下である。
【0050】
混合方法は、湿式、乾式の何れであってもよく、例えばボールミル、振動ミルなどの混合器を用いることができる。成形方法としては、例えば、一軸加圧成形や冷間静水等方圧加圧(CIP:Cold Isostatic Pressing)法などの公知の方法を用いればよい。なお、セラミックス成形体を形成する方法は、加圧成形に限らず、例えば、グリーンシート積層、または鋳込み成形であっても適用が可能であり、これらを適宜脱脂、またはさらに仮焼する工程により、セラミックス成形体を製造することができる。
【0051】
セラミックス成形体は、成形後、機械加工により成形体の形状が整えられてもよい。また、セラミックス成形体の片面(他のセラミックス成形体との接合面)に、電極の形状に合わせた形状の溝が形成されてもよい。機械加工は、脱脂後に行なってもよい。
【0052】
絶縁層厚部用のセラミックス成形体を形成する場合、電極埋設時に1のセラミックス成形体またはセラミックス脱脂体として扱った方がよい絶縁層厚部用のセラミックス成形体またはセラミックス脱脂体と他のセラミックス成形体またはセラミックス脱脂体とを組み合わせて、1のセラミックス成形体またはセラミックス脱脂体とすることが好ましい。例えば、他のセラミックス成形体またはセラミックス脱脂体に設けた絶縁層厚部用の窪みに絶縁層厚部用のセラミックス成形体またはセラミックス脱脂体を埋め込んで、1のセラミックス成形体またはセラミックス脱脂体とする。
【0053】
セラミックス脱脂体作製工程では、複数のセラミックス成形体を所定の温度以上、所定の時間以上脱脂処理して複数のセラミックス脱脂体を作製する。
【0054】
セラミックス成形体は、例えば、500℃以上900℃以下の温度で熱処理され、セラミックス脱脂体となる。脱脂時間は、1時間以上120時間以下であることが好ましい。脱脂には、大気炉または窒素雰囲気炉を用いることができるが、バインダの有機成分を除去することが重要なので大気炉の方が好ましい。
【0055】
積層体形成工程では、電極を準備し、電極、および複数のセラミックス脱脂体を組み合わせて、上面に基板載置面を有し、平板状に形成され、電極が埋設された積層体を形成する。
【0056】
電極は、セラミックスサセプタの設計に応じた形状に加工されたものを準備する。電極の形状は、メッシュ状や箔状など、様々な形状とすることができる。また、材質も、モリブデン、タングステンなど、様々な材質とすることができる。上面視で端子と重なる電極の直上部を凹状にする場合、そのように加工した電極を準備する。また、上面視で端子と重なる電極の直上部に開孔を設ける場合、そのように加工した電極を準備する。接続部材を埋設する場合、所定の形状に加工された接続部材を準備する。接続部材の形状は、径φ4mm~15mm、厚さ0.1mm~1mmの円板状であることが好ましい。接続部材の材質は、モリブデン、タングステンなど、様々な材質とすることができる。
【0057】
焼成工程では、形成された積層体を、基板載置面に垂直方向に一軸加圧焼成して基材を焼成する。焼成条件は材質によって異なるが、AlNを主成分とするセラミックスを使用する場合、加圧する力は、1MPa以上であることが好ましい。また、焼成温度は、1700℃以上2000℃以下であることが好ましい。焼成時間は、1時間以上12時間以下であることが好ましく、1時間以上5時間以下であることがより好ましい。焼成雰囲気は、例えば、窒素や不活性ガス雰囲気であるが、真空などの雰囲気であってもよい。これにより、複数のセラミックス脱脂体が焼結してセラミックス焼結体となり、これらが一体化され、電極が埋設された基材が得られる。
【0058】
表面加工工程では、焼成後の基材に対し、複数の凸部の形成、絶縁層厚部の形成、裏面の加工、端子穴の形成のほか所定の形状に研削や研磨加工を行なう。形成方法としては、ブラスト加工、ミリング加工、レーザー加工等によって形成することが可能である。必要な場合は、第2の凸部、環状凸部、通気孔等を形成してもよい。これにより、内部に電極が埋設され一方の主面に複数の凸部、および絶縁層厚部が形成された基材を製造することができる。
【0059】
表面加工工程後、端子穴にロウ材等で導電性部材を接続する。導電性部材は、Ni等を用いることができる。また、ロウ材はAuロウ等を用いることができる。
【0060】
このようにすることで、本発明の実施形態に係るセラミックスサセプタを製造することができる。
【0061】
[実施例および比較例]
(実施例1)
5wt%Yを添加したAlNを主成分とするセラミックス原料粉を準備した。これを用いて、直径φ300mm、厚さ5mmのセラミックス成形体、およびφ300mm、厚さ40mmのセラミックス成形体をCIP成形により作製した。φ300mm、厚さ40mmのセラミックス成形体の一方の面に、電極埋設用の溝(φ292mm、深さ0.12mm)を形成し、電極埋設用の溝の所定の位置に接続部材用の溝(φ8mm、深さ0.25mm)を形成した。
【0062】
次に、2つのセラミックス成形体を、550℃、12時間脱脂して、2つのセラミックス脱脂体を作製した。次に、接続部材として、φ7mm、厚さ0.2mmのタングステン製のペレットを準備した。また、電極として、最外径294mmのモリブデン製のモリブデンメッシュ(線径0.1mm、メッシュサイズ♯50、平織り)を所定の形状に裁断したものを準備した。そして、溝を形成したセラミックス脱脂体の接続部材用の溝に接続部材を載置し、さらに電極埋設用の溝に電極を載置した。そして、他方のセラミックス脱脂体で挟み、積層体を作製した。
【0063】
次に、積層体の基板載置面に垂直な方向に6MPaの力を加えつつ、1800℃、5時間、1軸ホットプレス焼成した。このようにして、基材を焼成した。焼成後の基材のサイズは、直径φ約300mm、厚さ約27mmであった。
【0064】
次に、焼成した基材に加工を行なった。基材の直径φを300mm、基材の厚さ(基材の基板載置面となる主面と基材の下面の平行距離)を25mmとし、電極は凸部の形成後の基材上面から1mmの深さとなるように加工した。また、基板載置面となる主面に、φ3mm、高さ150μmの凸部を複数形成した。凸部の配置は、基材の直径φ20~140mmの範囲に10mmの間隔の同心円上に隣接する凸部の間隔が8~12mmとなるような同心円状に形成した。また、基板載置面となる主面の端子の直上となる位置に、φ16mm、高さ100μmの絶縁層厚部を形成した。これにより、複数の凸部の上端面と絶縁層厚部の上端面との距離gは、50μmとなる。絶縁層厚部は、上面視で端子穴全体が含まれる位置に形成した。また、基板載置面となる主面に、内径φ296mm、外径φ300mm、高さ150μmの環状凸部を形成した。
【0065】
また、基材の中心にφ4mmの排気孔を形成した。さらに、基材の下面に電極と端子の電気的接続のための端子穴を穿設した。端子穴は、埋設された接続部材に到達する平底穴とした。その他、外形を所定の形状に加工した。最後に、φ5mm、長さ200mmのNi棒を、Auロウで真空中1000℃でロウ付けを行なった。このようにして、実施例1のセラミックスサセプタを作製した。
【0066】
(実施例2)
実施例2は、絶縁層厚部の高さを140μmとしたことを除き、実施例1と同じ条件で実施例2のセラミックスサセプタを作製した。
【0067】
(実施例3)
実施例3は、電極の埋設する深さを浅くし、絶縁層の厚さを300μm、凸部の高さを30μmとした。また、絶縁層厚部の径をφ12mm、高さを25μmとした。これら以外を除き、実施例1と同じ条件で実施例3のセラミックスサセプタを作製した。
【0068】
(実施例4)
実施例4は、電極の埋設する深さを浅くし、絶縁層の厚さを500μmとした。また、絶縁層厚部の高さを120μmとした。これら以外を除き、実施例1と同じ条件で実施例4のセラミックスサセプタを作製した。
【0069】
(実施例5)
実施例5は、電極の埋設する深さを深くし、絶縁層の厚さを1500μm、凸部の高さを500μmとした。また、絶縁層厚部の高さを400μmとした。これら以外を除き、実施例1と同じ条件で実施例5のセラミックスサセプタを作製した。
【0070】
(実施例6)
実施例6は、上面視において、端子と重なる電極の直上部を径φ16mm、深さ500μmの凹状に加工した。また、セラミックス成形体の電極埋設用の溝を、凹状の電極がはまる形状に加工した。他のセラミックス成形体は、凹状の溝の位置にはまる凸部を有する形状に加工した。こられを除き、実施例1と同じ条件で実施例6のセラミックスサセプタを作製した。
【0071】
(実施例7)
実施例7は、電極の埋設する深さを浅くし、絶縁層の厚さを300μm、凸部の高さを30μmとした。また、絶縁層厚部の径をφ12mm、高さを25μmとした。これら以外を除き、実施例6と同じ条件で実施例3のセラミックスサセプタを作製した。
【0072】
(実施例8)
実施例8は、絶縁層厚部の上端面から上方に突出する第2の凸部を形成したことを除き、実施例1と同じ条件で実施例8のセラミックスサセプタを作製した。
【0073】
(実施例9)
実施例9は、絶縁層厚部の上端面から上方に突出する第2の凸部を形成したことを除き、実施例6と同じ条件で実施例9のセラミックスサセプタを作製した。
【0074】
(実施例10)
実施例10は、上面視において、端子と重なる電極の直上部に径φ5mmの開孔を設けたことを除き、実施例1と同じ条件で実施例10のセラミックスサセプタを作製した。
【0075】
(比較例1)
比較例1は、絶縁層厚部を設けなかったことを除き、実施例1と同じ条件で比較例1のセラミックスサセプタを作製した。
【0076】
(比較例2)
比較例2は、絶縁層厚部を設けなかったことを除き、実施例6と同じ条件で比較例1のセラミックスサセプタを作製した。
【0077】
(熱サイクル試験)
作製した実施例1から10および比較例1、2のセラミックスサセプタをそれぞれプロセスチャンバに設置し、電極に外部電源を接続した。そして、上面に温度計測用の黒体化したシリコン基板を載置し、基板のφ290mm以内の平均温度が所定の温度になるように外部電源を制御し、200℃→600℃→200℃の熱サイクルを10回行った。熱サイクル試験後、クラックや剥離を目視で確認後、耐電圧試験で機能検査を行った。
【0078】
(耐電圧試験)
真空チャンバ(真空度1Pa以下)内で、電極と基板間に5.0kV印加し、放電(過電流)または絶縁破壊の有無を調べた。その結果、耐電圧破壊または1mA以上の電流が検出されたか否かで合否を判定した。
【0079】
(評価結果)
図8は、実施例および比較例の形状の特徴および測定結果を示す表である。実施例1~10は、熱サイクル試験後の耐電圧試験でいずれも合格であった。これに対し、比較例1、2は、熱サイクル試験後の目視ではクラックや剥離は確認されなかったが、その後の耐電圧試験でいずれも不合格であった。これにより、本発明のセラミックスサセプタは、比較例のセラミックスサセプタと比較して、熱サイクルに強く、端子の直上の基材のクラックの発生や進展を抑制することができることが確かめられた。
【0080】
(端子直上部の基板温度分布評価)
実施例1、6、8、および9セラミックサセプタをプロセスチャンバに設置し、電極に外部電源を接続した。そして、上面に温度計測用の黒体化したシリコン基板を載置し、基板のφ290mm以内の平均温度が500℃になるように外部電源を制御した。基板の端子直上の直径φ40mmの領域の温度分布を赤外線カメラを用いて測定した。そして、当該領域の(最高温度-最小温度)を温度分布とした。
【0081】
端子直上部の基板温度分布評価の結果は、実施例1、6、8、および9の温度分布は、それぞれ1.5℃、1.6℃、0.8℃、および0.7℃であった。これらの結果により、絶縁層厚部を設ける場合、その上端面に第2の凸部を設けるほうが端子直上の温度分布が改善することが確かめられた。
【0082】
以上により、本発明のセラミックスサセプタは、端子の直上の基材のクラックの発生や進展を抑制することができることが確かめられた。
【0083】
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形および均等物に及ぶことはいうまでもない。また、各図面に示された構成要素の構造、形状、数、位置、大きさ等は説明の便宜上のものであり、適宜変更しうる。
【符号の説明】
【0084】
100 セラミックスサセプタ
110 基材
112 上面
114 下面
116 基材の中心
120 電極
122 直上部
124 開孔
130 端子
132 導電性部材
134 接続部材
136 端子穴
140 絶縁層厚部
142 絶縁層厚部の上端面
150 凸部
152 凸部の上端面
154 基板載置面
160 環状凸部
170 通気孔
180 第2の凸部
182 第2の凸部の上端面
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8