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特開2025-4739四座シクロメタル化白金(II)錯体、電子デバイス及びそれらの応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004739
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】四座シクロメタル化白金(II)錯体、電子デバイス及びそれらの応用
(51)【国際特許分類】
   C07F 15/00 20060101AFI20250107BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20250107BHJP
   H10K 85/30 20230101ALI20250107BHJP
   H10K 50/12 20230101ALI20250107BHJP
【FI】
C07F15/00 F CSP
C09K11/06 660
H10K85/30
H10K50/12
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024031257
(22)【出願日】2024-03-01
(31)【優先権主張番号】202310753447.5
(32)【優先日】2023-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】515126422
【氏名又は名称】浙江工▲業▼大学
(71)【出願人】
【識別番号】522181061
【氏名又は名称】浙江華顕光電科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG HUAXIAN PHOTOELECTRICITY TECHNOLOGY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】NO.58 Zhuangchi Middle Road, Ganyao Town, Jiashan County Jiaxing, Zhejiang 314107 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】李 貴杰
(72)【発明者】
【氏名】儲 青山
(72)【発明者】
【氏名】姚 歓歓
(72)【発明者】
【氏名】童 ▲ジェ▼瑩
(72)【発明者】
【氏名】▲シェ▼ 遠斌
(72)【発明者】
【氏名】高 春吉
【テーマコード(参考)】
3K107
4H050
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107AA02
3K107BB01
3K107BB02
3K107CC07
3K107CC12
3K107CC14
3K107CC21
3K107DD53
3K107DD59
3K107DD64
3K107DD66
3K107DD67
3K107DD68
3K107DD69
4H050AA01
4H050AB92
(57)【要約】
【課題】四座シクロメタル化白金(II)錯体、電子デバイス及びそれらの応用を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、有機エレクトロルミネッセンスの技術分野に属し、特に、四座シクロメタル化白金(II)錯体、電子デバイス及びそれらの応用に関する。本発明は、配位子の適切な位置に2,6-ジ(フェニル)tert-ブチルフェニルを導入することにより、ピリジンユニット間の二面角が増加し、分子間のスタッキングが減少する。同時に、励起状態の電荷分布を改善し、材料の励起状態により多くの金属からピリドカルベンへの電荷移動状態を持たせて、デバイス寿命を延長し、良好な化学的安定性及び熱的安定性を有し、蒸着型OLEDデバイスを製造するのが容易である。蛍光ドーピング材料と組み合わせた後、正孔と電子の輸送のバランスが取れ、ホストとゲスト間のエネルギー伝達がより効率的になる。有機エレクトロルミネッセンスデバイスとして使用すると、電流効率及び寿命の点で明らかに改善され、点灯電圧が大幅に低下する。OLEDディスプレイ及び照明の分野への幅広い応用が期待されている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
四座シクロメタル化白金(II)錯体であって、以下に示す化学構造式のいずれか1つから選択され、式中、「D」は重水素を表し、「Ph」はフェニル基を表すことを特徴とする、四座シクロメタル化白金(II)錯体。
【化1-1】

【化1-2】
【請求項2】
電子デバイスにおける請求項1に記載の四座シクロメタル化白金(II)錯体の応用。
【請求項3】
前記電子デバイスとしては、有機エレクトロルミネッセンスデバイス、有機集積回路、有機電界効果トランジスタ、有機薄膜トランジスタ、有機発光トランジスタ、有機太陽電池、有機光検出器、有機光受容体、有機電場消光素子、発光電気化学セル及び有機レーザーダイオードが挙げられることを特徴とする、請求項2に記載の応用。
【請求項4】
有機エレクトロルミネッセンスデバイスであって、陰極、陽極及び前記陽極と前記陰極の間に介在する有機機能層を含み、前記有機機能層は請求項1に記載の四座シクロメタル化白金(II)錯体を含有することを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項5】
有機エレクトロルミネッセンスデバイスであって、前記有機機能層は、発光層を含み、前記発光層中には請求項1に記載の四座シクロメタル化白金(II)錯体が含有されることを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項6】
前記発光層中には蛍光ドーピング材料も含有し、前記蛍光ドーピング材料は式(BN1)~式(BN5)で表される化合物のいずれか1種以上から選択されることを特徴とする、請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【化2】

[式中、Xは、O、S、Se又はNR300であり、
、X、X、Xは、それぞれ独立して、O、S、Se又はNで表され、
~Rは、それぞれ独立して、一、二、三、四置換又は無置換を表す。R~Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、N、C1-C30アルキル基、C6-C60アリール基からなる群から選択され、前記R~R11は、それぞれ独立して、水素、重水素、N、C1-C30アルキル基、C6-C60アリール基からなる群を表す。]
【請求項7】
前記R、R、R、Rは、それぞれ独立して、置換又は非置換のジフェニルアミン、置換又は非置換のカルバゾリル基から選択され、前記置換は複数回の置換であってもよく、置換基を含む場合、前記置換基は重水素、C1-C30アルキル基、C6-C30アリール基から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項8】
前記R~R、R10~R11は、それぞれ独立して、水素、C1-C30アルキル基、C6-C60アリール基からなる群から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項9】
前記蛍光ドーピング材料は、以下に示す化学構造式のいずれか1つから選択され、式中、Phはフェニル基を表し、D4及びD5はそれぞれ4個及び5個の重水素原子で置換されていることを意味することを特徴とする、請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【化3-1】

【化3-2】

【化3-3】

【化3-4】

【化3-5】

【化3-6】

【化3-7】
【請求項10】
有機光エレクトロニクスデバイスであって、基板層と、前記基板上にある第1電極と、前記第1電極の上にある有機発光機能層と、前記有機発光機能層の上にある第2電極とを備え、前記有機発光機能層は請求項1に記載の四座シクロメタル化白金(II)錯体を含有することを特徴とする、有機光エレクトロニクスデバイス。
【請求項11】
前記有機発光機能層中には、式(BN1)~式(BN5)で表される化合物のいずれか1種以上を有する蛍光ドーピング材料も含有されることを特徴とする、請求項10に記載の有機光エレクトロニクスデバイス。
【化4】

[式中、Xは、O、S、Se又はNR300であり、
、X、X、Xは、それぞれ独立して、O、S、Se又はNで表され、
~Rは、それぞれ独立して、一、二、三、四置換又は無置換を表す。R~Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、N、C1-C30アルキル基、C6-C60アリール基からなる群から選択され、前記R~R11は、それぞれ独立して、水素、重水素、N、C1-C30アルキル基、C6-C60アリール基からなる群を表す。]
【請求項12】
組成物であって、請求項1に記載の四座シクロメタル化白金(II)錯体を含有することを特徴とする、組成物。
【請求項13】
製剤であって、請求項1に記載の四座シクロメタル化白金(II)錯体を含有することを特徴とする、製剤。
【請求項14】
ディスプレイ又は照明装置であって、請求項4~9のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイスの1種以上を含むことを特徴とする、ディスプレイ又は照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンスの技術分野に属し、特に、四座シクロメタル化白金(II)錯体、電子デバイス及びそれらの応用に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(OLED)は、新世代のフルカラーディスプレイ及び照明技術である。応答速度が遅い、視野角が狭い、バックライトが必要、消費電力が高いなどの欠点がある液晶ディスプレイに比べ、OLEDは自発光デバイスとしてバックライトが不要で省エネルギー、駆動電圧が低く、応答速度が速く、解像度とコントラストが高く、視野角が広く、抜群の低温特性を有する。OLEDデバイスは、より薄く柔軟な構造にすることができる。なお製造コストが低く、製造工程が簡単で、大面積に製造できるという利点もある。したがってOLEDは、ハイエンド電子製品航空宇宙分野で幅広く巨大な応用可能性を秘めており、投資が徐々に増加し、研究開発がさらに深くなり、製造設備がアップグレードや改良されることで、OLEDsは将来的に非常に幅広い応用シナリオと発展の見通しを持つことになる。
【0003】
OLED発展の中核は、発光材料の設計及び開発である。現在応用されているOLEDデバイス中の発光層の多くは、ホスト材料にゲスト発光材料をドープするホストゲスト発光系の仕組みを使用し、一般にホスト材料のエネルギーギャップは一般にゲスト発光材料より大きく、エネルギーをホスト材料からゲスト材料に伝達し、ゲスト材料が励起されて発光する。一般的に使用される有機燐光ゲスト材料は、一般にイリジウム(III)、白金(II)、Pd(II)などの重金属原子である。一般的に使用される燐光有機材料mCBP(3,3’-bis(9-carbazolyl)-biphenyl)及び2,6-mCPy(2,6-bis(9-carbazolyl)-pyridine)は、高効率と高い三重項エネルギー準位を備え、有機材料として使用するとき、有機発光材料からゲスト燐光発光材料へ三重項エネルギーを効率的に移動させることができる。しかし正孔は、輸送しやすいが電子が流れにくいというmCBPの特性と、2,6-mCPyは正孔輸送が劣るため、発光層の電荷のバランスが崩れ、発光層の電流効率が低下してしまう。また、現在応用されている重金属燐光性有機錯体分子シクロメタル化イリジウム(III)錯体分子の数は限られている。地殻中の金属白金元素の存在量及び世界全体の年間生産量は、金属イリジウム元素の10倍程度であり、イリジウム(III)錯体燐光材料を調製するために用いられるIrCl・HOの価格も白金(II)錯体燐光材料の調製に用いられるPtClの価格よりもはるかに高い。さらにイリジウム(III)錯体燐光材料の調製には、イリジウム(III)含有二量体、イリジウム(III)中間体の配位子交換、mer-イリジウム(III)錯体の合成、及びmer-からfac-イリジウム(III)錯体異性体への変換という4段反応に関与し、全収率を大幅に低下させ、原料IrCl・HOの利用率を大幅に低下させ、イリジウム(III)錯体燐光材料の調製コストをアップさせる。これに対し白金(II)錯体燐光材料の調製は、最終段の配位子の金属化・設計白金塩の反応だけで済み、白金元素の利用率が高く、白金(II)錯体燐光材料の調製コストをさらに削減することができる。要するに白金(II)錯体燐光材料の調製コストは、イリジウム(III)錯体燐光材料の調製コストよりもはるかに低い。しかし、白金錯体材料及びデバイスの開発にはやはり技術的な困難があり、デバイスの効率及び寿命をいかに向上させるかが重要な研究課題となっている。したがって、新しい燐光性金属白金(II)錯体の開発が急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、四座シクロメタル化白金(II)錯体、電子デバイス及びそれらの応用を提供することを目的とする。本発明の四座シクロメタル化白金(II)錯体は、発光層のゲスト燐光材料としてデバイスに優れた性能を持たせることができる。さらに、四座シクロメタル化白金(II)錯体を特定のホスト材料と組み合わせると、電子デバイス、特に有機エレクトロルミネッセンスデバイスの電流効率を向上させ、デバイス寿命を延ばすことができるだけではなく、コンポーネントの動作電圧も低下できる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下に示す化学構造式のいずれか1つから選択される四座シクロメタル化白金(II)錯体を提供する。式中、「D」は重水素を表し、「Ph」はフェニル基を表す。
【0006】
【化1-1】

【化1-2】
【0007】
また、本発明は、電子デバイスにおける上記式Pt1~Pt45で示される構造を有する四座シクロメタル化白金(II)錯体の応用も提供する。
【0008】
また、前記電子デバイスとしては、有機エレクトロルミネッセンスデバイス(OLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光検出器、有機光受容体、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電気化学セル(LEC)及び有機レーザーダイオード(O-laser)が挙げられる。
【0009】
別の態様において、本発明は、上記式Pt1~Pt45で示される構造を有する四座シクロメタル化白金(II)錯体を含む有機エレクトロルミネッセンスデバイスも提供する。
【0010】
また、前記有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、陰極、陽極及び陽極と陰極の間に介在する有機機能層を含み、前記有機機能層は上述したように式(I)又は式(II)で示される構造を有する四座シクロメタル化白金(II)錯体を含有する。
【0011】
好ましくは、前記有機機能層は、発光層を含み、発光層中には上記式Pt1~Pt45で示される構造を有する四座シクロメタル化白金(II)錯体が含有される。
【0012】
また、前記発光層中には蛍光ドーピング材料も含有し、前記蛍光ドーピング材料は式(BN1)~式(BN5)で表される化合物のいずれか1種以上から選択される。
【0013】
【化2】

[式中、Xは、O、S、Se又はNR300であり、
、X、X、Xは、それぞれ独立して、O、S、Se又はNで表され、
~Rは、それぞれ独立して、一、二、三、四置換又は無置換を表す。R~Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、N、C1-C30アルキル基、C6-C60アリール基からなる群から選択され、前記R~R11は、それぞれ独立して、水素、重水素、N、C1-C30アルキル基、C6-C60アリール基からなる群を表す。]
【0014】
好ましくは、前記R、R、R、Rは、それぞれ独立して、置換又は非置換のジフェニルアミン、置換又は非置換のカルバゾリル基から選択され、前記置換は複数回の置換であってもよく、置換基を含む場合、前記置換基は重水素、C1-C30アルキル基、C6-C30アリール基から選択される。
【0015】
好ましくは、前記R~R、R10~R11は、それぞれ独立して、水素、C1-C30アルキル基、C6-C60アリール基からなる群から選択される。
【0016】
より好ましくは、前記R~R11のうち少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。
【0017】
また、前記蛍光ドーピング材料は、以下に示す化学構造式のいずれか1つから選択され、式中、Phはフェニル基を表し、D4及びD5はそれぞれ4個及び5個の重水素原子で置換されていることを意味する。
【0018】
【化3-1】

【化3-2】

【化3-3】

【化3-4】

【化3-5】

【化3-6】

【化3-7】
【0019】
別の態様において、本発明は、基板層と、前記基板上にある第1電極と、前記第1電極の上にある有機発光機能層と、前記有機発光機能層の上にある第2電極とを備えた有機光エレクトロニクスデバイスも提供し、有機発光機能層は上記式Pt1~Pt45で示される構造を有する四座シクロメタル化白金(II)錯体を含有する。例えば白金(II)錯体は、発光材料として有機発光機能層に含まれていてもよい。
【0020】
また、前記有機発光機能層中には、上記式(BN1)~式(BN5)で表される化合物のいずれか1種以上を有する蛍光ドーピング材料も含有される。
【0021】
本発明は、上記式Pt1~Pt45で示される構造を有する四座シクロメタル化白金(II)錯体を含有する組成物も提供する。好ましくは前記組成物は、上記式(BN1)~式(BN5)で表される化合物のいずれか1種以上を有する蛍光ドーピング材料も含有する。
【0022】
本発明は、上記式Pt1~Pt45で示される構造を有する四座シクロメタル化白金(II)錯体又は上記組成物及び少なくとも1種の溶媒を含有する製剤も提供する。前記溶媒としては、特に限定されず、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、ビシクロヘキシル、n-ブチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン等の不飽和炭化水素系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン及びブロモシクロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン及びトリクロロベンゼン等のハロゲン化不飽和炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類系溶媒、安息香酸アルキル等のエステル系溶媒などの当業者によく知られているものを用いることができる。
【0023】
好ましくは、前記組成物は、上記式(BN1)~式(BN5)で表される化合物のいずれか1種以上を有する蛍光ドーピング材料も含有する。
【0024】
本発明は、上記有機光エレクトロニクスデバイスの1種以上を含むディスプレイ又は照明装置も提供する。
【発明の効果】
【0025】
従来技術と比較して、本発明の有利な効果としては、
本発明は、四座シクロメタル化白金(II)錯体の燐光材料を提供する。配位子の適切な位置に2,6-ジ(フェニル)tert-ブチルフェニルを導入することにより、ピリジンユニット間の二面角が増加し、分子間のスタッキングが減少する。同時に、励起状態の電荷分布を改善し、材料の励起状態により多くの金属からピリドカルベンへの電荷移動状態(3MLCT)を持たせ、放射率が向上し、デバイス寿命が延長するのに有益である。本発明に係る材料は、良好な化学的安定性及び熱的安定性を有し、蒸着型OLEDデバイスを製造するのが容易である。蛍光ドーピング材料と組み合わせた後、正孔と電子の輸送のバランスが取れ、ホストとゲスト間のエネルギー伝達がより効率的になる。本発明の化合物を発光層として使用して製造された有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、電流効率及び寿命の点で明らかに改善し、点灯電圧が大幅に低下する。特に燐光増感ホウ素含有化合物と併用すると、デバイスの光の色純度を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の内容を詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態又は具体例に基づいている場合があるが、本発明はかかる実施形態又は具体例に限定されるものではない。
【0027】
本明細書において用いられる場合、用語「置換された」には、有機化合物の許容可能な全ての置換基が含まれる。広い態様においては、許容可能な置換基には、有機化合物の環式及び非環式、分岐鎖及び非分岐鎖、炭素環式及び複素環式、芳香族性及び非芳香族性の置換基が含まれる。例証的な置換基としては、例えば下記に記載するものが挙げられる。許容され得る置換基は1つ以上あり得、適切な有機化合物に対して同じであっても異なっていてもよい。本発明の目的に関して、ヘテロ原子(例:窒素)は、水素置換基及び/又は該ヘテロ原子の原子価を満たす任意の許容可能な本明細書に記載の有機化合物の置換基を有し得る。本発明は、有機化合物の許容され得る置換基に関していかなる意味でも限定を意図しない。同様に、「置換され」又は「で置換された」という用語には、このような置換が置換される原子及び該置換基の許容可能な原子価に従うものであり、置換によって安定な化合物(例えば、自発的に変換、例えば、転位、環化、脱離することのない化合物)に帰着することを条件とするとの含意を有する。さらに一定の態様においては、明らかに矛盾が示されない限り、個々の置換基は場合によりさらに置換され得る(つまり、さらに置換されていても置換されていなくてもよい)ことが企図される。
【0028】
様々な用語の定義において、「R」~「R11」は、本明細書において、様々な特定の置換基を表す一般的な記号として使用される。これらの記号は、任意の置換基であり得、本明細書に開示の置換基に限定されず、一例において一定の置換基であると定義されるとき、別の例において別の置換基として定義されてもよい。
【0029】
本明細書において用いられる場合、「R」、「R」、「R」…「R」(式中、nは整数である)は、独立して、上記に挙げた1つ以上の基を含み得る。例えば、Rが直鎖アルキル基である場合、アルキル基の水素原子の1つは、場合により、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキル基、ハロゲンなどによって置換されていてもよい。選択されている基に応じて、第1の基は第2の基に組み込まれていてもよく、又は、第1の基は第2の基に懸垂(すなわち、結合)していてもよい。例えば、句「アミノ基を含むアルキル基」において、アミノ基は、アルキル基の主鎖内に結合される場合がある。場合により、アミノ基はアルキル基の主鎖に結合していてもよい。選択されている基の性質により、第1の基が第2の基に組み込まれるか又は結合するかが決定される。
【0030】
本明細書において用いられる場合、用語「アルキル」は、炭素数1~60の分岐鎖又は非分岐鎖の飽和炭化水素基であり、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、エイコシル、テトラコシルなどが挙げられる。該アルキル基は環状でも非環状でもよい。該アルキル基は分岐鎖状でも非分岐鎖状でもよい。該アルキル基はまた、置換されていても置換されていなくてもよい。例えば該アルキル基は、特に限定するものではないが、本明細書に記載されるような置換されているアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アミノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シリル、スルホ-オキソ(Sulfo-oxo)又はメルカプトを含む1つ以上の基で置換されていてもよい。
【0031】
本明細書において用いられる場合、用語「アリール」は、任意の炭素系芳香族基を含有する炭素原子数5~60の基であり、特に限定するものではないが、ベンゼン、ナフタレン、フェニル、ビフェニル、フェノキシベンゼン、アントリル、フェナントレニルなどを含む基である。用語「アリール」には「ヘテロアリール」も含まれ、「ヘテロアリール」は、1つのヘテロ原子が芳香族基の環内に組み込まれた芳香族基を含む基として定義される。ヘテロ原子の例としては、特に限定するものではないが、窒素、酸素、イオウ及びリンが挙げられる。同様に、用語「非ヘテロアリール」も、用語「アリール」に含まれ、ヘテロ原子を含有しない芳香族基を含有する基と定義される。アリール基は、置換されていても置換されていなくてもよい。アリール基は、特に限定するものではないが、本明細書に記載されるようなアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボニル、アジド、ニトロ、シリル、スルホ-オキソ(sulfo-oxo)、又はメルカプトを含む1つ以上の基で置換されていてもよい。
【0032】
本明細書において用いられる場合、用語「アミン」又は「アミノ」は、式-NRによって表され、式中、R及びRは、独立して水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール又はヘテロアリール基から選択することができる。
【0033】
本発明の化合物は「場合により置換された」部分を含有し得る。一般的に、用語「置換(された)」は、用語「場合により」に先行されていてもいなくても、指定された部分の1つ以上の水素が適切な置換基と置換されていることを意味する。他に示されない限り、「場合により置換された」基は、その基のそれぞれの置換可能位置に適切な置換基を有することができ、任意の所与の構造の1つ以上の位置が特定の群から選択される1つ以上の置換基で置換可能であるとき、置換基は全ての位置で同じであっても異なってもよい。本発明で構想される置換基の組合せは、安定又は化学的に可能な化合物の形成に帰着する組合せであることが好ましい。さらに、一定の態様においては、明らかに矛盾が示されない限り、個々の置換基が場合によりさらに置換されていてもよい(つまり、さらに置換されていても置換されていなくてもよい)ことが企図される。
【0034】
化合物の構造は、次の式で表され得る。
【0035】
【化4】
【0036】
この式は、次の式と同じであると理解される。
【0037】
【化5】

[式中、nは通常、整数である。すなわち、Rは、5つの独立した置換基Ra(1)、Ra(2)、Ra(3)、Ra(4)、Ra(5)を表すと理解される。「独立した置換基」は、R置換基がそれぞれ独立して定義し得ることを意味する。例えば、一例において、Rn(a)がハロゲンである場合、Ra(m)は必ずしもその例においてハロゲンである必要はない。]
【0038】
本明細書に開示される化合物は、所望の特性を示すことができ、適切な配位子の選択により調整する発光スペクトル及び/又は吸収スペクトルを有することができる。また、本発明は、本明細書に具体的に記載されるいずれか1種以上の化合物、構造或いはその部分を除外することができる。
【0039】
本発明の化合物は、本明細書に提供される実施例に記載の方法を含むがこれらに限定されない様々な方法で調製することができる。
【0040】
以上の概要及び以下の詳細な説明は、単に例示的及び説明的なものであり、本発明を限定するものではないことに留意されたい。
【0041】
本出願は、以下の具体的実施形態及びその中に含まれる実施例を参照することにより、より容易に理解され得る。
【0042】
本発明の化合物、装置及び/又は方法を開示及び記載する前に、特に明記しない限り、特定の合成方法(別途示される)或いは特定の試薬(別途示される)に限定されず、したがって当然のことながら変動し得ることが理解されるべきである。また、本明細書で使用される用語は、特別な態様を記述する目的のためのものに過ぎず、限定を意図するものではないことが理解されるべきである。本明細書の記載の方法及び材料と同様又は等価の方法及び材料はいずれも本発明の実施又は試験に使用することができるが、例示的方法及び材料を本明細書に記載する。合成例中の全ての原料及び溶媒は、特に明示がない限り商業的に入手することができ、溶媒はさらに処理せずにそのまま使用した。
【0043】
本発明の基板は、典型的な有機光エレクトロニクスデバイスで使用される任意の基板を選択でき、ガラス又は透明なプラスチック基板であり得、シリコンやステンレス鋼などの不透明な材料の基板であってもよく、柔軟なPIフィルムであり得る。異なる基板は、異なる機械的強度、熱安定性、透明性、表面平滑性、防水性を備え、基板の性質に応じて使用方向が異なる。正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層の材料として、OLED装置に用いられる公知の材料の中から任意の材料を選択して使用することができ、本発明はこれに対して特に限定されない。
【0044】
[合成実施例]
以下の化合物合成、成分、デバイス、又は方法の例は、業界に一般的なアプローチを提供することのみを目的としており、特許の保護範囲を限定することを意図したものではない。特許に記載されているデータ(量、温度など)は可能な限り正確であるが、多少の誤差がある場合がある。特に明示がない限り、計量は別個に行われ、温度は℃又は常温、圧力は常圧に近いものとする。
【0045】
以下の実施例において、新規化合物の製造方法を提供するが、かかる化合物の調製はこの方法に限定されない。この専門技術分野において、本発明で保護を求める化合物は修飾、調製が容易であるため、以下に列挙する方法やその他の方法で調製することができる。以下の例は単なる実施例であり、この特許の保護範囲を限定することを意図したものではない。温度、触媒、濃度、反応物、及び反応プロセスを変更でき、異なる反応物について異なる条件を選択して前記化合物を調整するために用いられる。
【0046】
H NMR(500 MHz)、H NMR(400 MHz)、13C NMR(126 MHz)スペクトルは、ANANCE III (500M)核磁気共鳴分光計で測定された。特に明示がない限り、核磁気は均しくDMSO-d又は0.1% TMSを含むCDClを溶媒として使用した。H NMRスペクトルがCDClを溶媒として使用する場合、TMS(δ=0.00ppm)を内部標準として使用する。DMSO-dを溶媒として使用する場合、TMS(δ=0.00ppm)又は残留DMSOピーク(δ=2.50ppm)或いは残留水のピーク(δ=3.33ppm)を内部標準として使用する。13C NMRスペクトルにおいて、CDCl(δ=77.00ppm)若しくはDMSO-d(δ=39.52ppm)を内部標準として使用する。HPLC-MSは、Agilent 6210 TOF LC/MS 質量分析計で測定され、HRMSスペクトルはAgilent 6210 TOF LC/MS液体クロマトグラフ飛行時間型質量分析計で測定された。
1H NMRスペクトルデータ:s = singlet,d = doublet,t = triplet,q = quartet,p = quintet,m = multiplet,br = broad.
【0047】
(実施例1:中間体(dPh-tBuNH)の合成経路)
【化6】
【0048】
中間体(dBr-tBuNH)の合成:
p-tert-ブチルアニリン(15.0g、100mmol、1.0当量)を反応フラスコに加え、ジクロロメタン(150mL)に溶かし、N-ブロモスクシンイミド(37.7g、210mmol、2.1当量)を加え、室温で48時間反応させた後反応を停止させた。有機相を分離し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて赤色液体25.6gを収率84%で得た。構造特性評価は実行されず次工程にそのまま用いられた。
【0049】
中間体(dBr-tBuNO)の合成:
dBr-tBuNH(5g、16.3mmol、1.0当量)を反応フラスコに加え、N-メチルピロリドン(50mL)に溶かし、水素化ナトリウム(1.96g、49mmol、3.0当量)、o-フルオロニトロベンゼン(3.45g、24.5mmol、1.5当量)を加え、室温で48時間反応させた後反応を停止させた。有機相を分離し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて黄色固体5.08gを収率73%で得た。構造特性評価は実行されず次工程にそのまま用いられた。
【0050】
中間体(dBr-tBu2NH)の合成:
dBr-tBuNO(4.8g、11.2mmol、1.0当量)、塩化第一スズ(10.1g、44.8mmol、4.0当量)を反応フラスコに加え、酢酸エチル(50mL)及びエタノール(50mL)を加えた。78℃の油中で24時間反応させた後反応を停止させ、室温まで冷却し、有機相を分離し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて白色固体3.43gを収率82%で得た。構造特性評価は実行されず次工程にそのまま用いられた。
【0051】
中間体(dPh-tBuNH)の合成:
dBr- tBu2NH(3.2g、8mmol,1.0当量)、フェニルボロン酸(2.93g、24mmol、3.0当量)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(185mg、0.16mmol、0.02当量)、炭酸カリウム(2.8g、20mmol、2.5当量)、ジオキサン(40mL)及び水(15mL)を反応フラスコに加えた。90℃で24時間反応させた後反応を停止させ、室温まで冷却し、有機相を分離し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて白色固体2.66gを収率84%で得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 1.35 (s, 9H), 4.44 (s, 2H), 5.57 (s, 1H), 6.05 (dd, J = 8.0, 1.5 Hz, 1H), 6.12 (td, J = 7.5, 1.5Hz, 1H), 6.25 (td, J = 7.5, 1.5 Hz, 1H), 6.31 (dd, J = 7.5, 1.5 Hz, 1H), 7.16 - 7.20(m, 2H), 7.23 - 7.26 (m, 4H), 7.28 (s, 2H), 7.41 - 7.43 (m, 4H).
【0052】
(実施例2:Pt1の合成経路)
【化7】
【0053】
中間体(M1-OMe)の合成:
4-(tert-ブチル)-2-クロロピリジン(20.6g、121.2mmol、1.2当量)、2-メトキシカルバゾール(20g、101mmol、1.0当量)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(925mg、1.01mmol、3mol%)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィン)ビフェニル(904mg、3.03mmol、3mol%)及びナトリウムtert-ブトキシド(19.41g、202mmol、2.0当量)を反応フラスコに加え、トルエン(200mL)を添加した。110℃で48時間反応させた後反応を停止させ、室温まで冷却し、有機相を分離し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて白色固体32.71gを収率98%で得た。構造特性評価は実行されず次工程にそのまま用いられた。
【0054】
中間体(M1-OH)の合成:
M1-OMe、臭化水素(80.91g、990mmol、10.0当量)を反応フラスコに加えた。120℃で24時間反応させた後反応を停止させ、室温まで冷却し、有機相を分離し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて白色固体30.6gを収率97%で得た。構造特性評価は実行されず次工程にそのまま用いられた。
【0055】
中間体(M1-Cl)の合成:
M1-OH(5g、15.8mmol、1.0当量)、3-クロロ-5-ブロモ-tert-ブチルベンゼン(4.3g、17.4mmol、1.1当量)、2-ピコリン酸(390mg、3.16mmol、20mmol%)、ヨウ化銅(301mg、1.58mmol、10mmol%)及びリン酸カリウム(522mg、2.46mmol、2.0当量)を反応フラスコに加え、ジメチルスルホキシド(50mL)を添加した。100℃で12時間反応させた後反応を停止させ、室温まで冷却し、有機相を分離し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて白色固体6.94gを収率91%で得た。
【0056】
【化8】
【0057】
中間体(LNH-Pt1)の合成:
dPh-tBuNH(400mg、1.02mmol、1.0当量)を反応フラスコに加え、M1-Cl(492mg、1.02mmol、1.0当量)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(28mg、0.03mmol、3mol%)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィン)ビフェニル(19mg、0.06mmol、6mol%)及びナトリウムtert-ブトキシド(167mg、1.74mmol、2.0当量)を添加し、さらにトルエン(5mL)を添加した。100℃で17時間反応させた後反応を停止させ、室温まで冷却し、有機相を分離し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて白色固体760mgを収率89%で得た。構造特性評価は実行されず次工程にそのまま用いられた。
【0058】
配位子(L-Pt1)の合成:
LNH- Pt1(730mg、0.87mmol、1.0当量)を反応フラスコに加え、さらにヘキサフルオロリン酸アンモニウム(284mg、1.74mmol、2.0当量)、オルトギ酸トリエチル(5mL)を添加した。80℃で8時間反応させた後反応を停止させ、室温まで冷却し、有機相を分離し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて白色固体320mgを収率39%で得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.27 (s, 9H), 1.29 (s, 9H), 1.43 (s, 9H), 6.81 (t, J = 2.0 Hz, 1H), 6.95 (t, J = 1.5 Hz, 1H), 7.08 - 8211; 7.13 (m, 6H), 7.13 - 7.16 (m, 5H), 7.34 - 7.35 (m, 1H), 7.45 -7.49 (m, 5H), 7.51 - 7.57 (m, 2H), 7.65 - 7.69 (m, 2H), 7.72 (s, 2H), 7.76 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 8.27 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 8.35 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 8.58 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 10.24 (s, 1H).
【0059】
Pt1の合成:
L-Pt1(200mg、0.2mmol、1.0当量)、ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)白金(II)(79mg、0.21mmol、1.05当量)及び酢酸ナトリウム(50mg、0.60mmol、3.0当量)を反応フラスコに加え、ジエチレングリコールジメチルエーテル(10mL)を添加した。120℃で72時間反応させた後反応を停止させ、室温まで冷却し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて黄色固体172mgを収率83%で得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 1.22 (s, 9H), 1.41 (s, 9H), 1.42 (s, 9H), 6.51 - 6.68 (m, 3H), 6.85 - 7.23 (m, 9H), 7.31 - 7.69 (m, 9H), 7.82 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.91 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 8.04 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.12 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 8.19 (d, J = 3.5 Hz, 1H), 8.93 (d, J = 6.5Hz, 1H).
【0060】
(実施例3:Pt2の合成経路)
【化9】
【0061】
中間体(M2-Cl)の合成:
M1-OH(8.0g、25.3mmol、1.0当量)、m-クロロブロモベンゼン(5.34g、27.8mmol、1.1当量)、2-ピコリン酸(623mg、5.06mmol、20mmol%)、ヨウ化銅(481mg、2.53mmol、10mmol%)及びリン酸カリウム(10.74g、50.6mmol、2.0当量)を反応フラスコに加え、ジメチルスルホキシド(80mL)を添加した。100℃で12時間反応させた後反応を停止させ、室温まで冷却し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて白色固体6.94gを収率93%で得た。構造特性評価は実行されず次工程にそのまま用いられた。
【0062】
【化10】
【0063】
中間体(LNH-Pt2)の合成:
dPh-tBuNH(5 g,12.7mmol、1.0当量)を反応フラスコに加え、M2-Cl(5.43mg、12.7mmol、1.0当量)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(349mg、0.38mmol、3mol%)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィン)ビフェニル(230mg、0.76mmol、6mol%)及びナトリウムtert-ブトキシド(2.44g、25.4mmol、2.0当量)を添加し、さらにトルエン(50mL)を添加した。100℃で9時間反応させた後反応を停止させ、室温まで冷却し、有機相を分離し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて白色固体8.85gを収率87%で得た。構造特性評価は実行されず次工程にそのまま用いられた。
【0064】
配位子(L-Pt2)の合成:
LNH-Pt2(4.19g、5.4mmol、1.0当量)を反応フラスコに加え、さらにヘキサフルオロリン酸アンモニウム(1.76g、10.8mmol、2.0当量)、オルトギ酸トリエチル(20mL)を添加した。80℃で7時間反応させた後反応を停止させ、室温まで冷却し、有機相を分離し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて白色固体3.67gを収率72%で得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 1.30 (s, 9H), 1.45 (s, 9H), 6.98 (t, J = 2.5 Hz, 1H), 7.11 - 7.19 (m, 12H), 7.36 - 7.42 (m, 2H), 7.47 - 7.59 (m, 6H), 7.69 - 7.79 (m, 6H), 8.29 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 8.37 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 8.60 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 10.27 (s, 1H).
【0065】
Pt2の合成:
L-Pt2(500mg、0.53mmol、1.0当量)、ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)白金(II)(194mg、0.56mmol、1.05当量)及び酢酸ナトリウム(130mg、1.59 mmol、3.0当量)を反応フラスコに加え、ジエチレングリコールジメチルエーテル(10mL)を添加した。120℃で72時間反応させた後反応を停止させ、室温まで冷却し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて淡黄色固体173mgを収率33%で得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.20 (s, 9H), 1.41 (s, 9H), 6.29 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 6.35 - 7.19 (m, 11H), 7.21 - 7.25 (m, 2H), 7.31 (d, J = 8.5Hz, 2H), 7.39 - 7.65 (m, 6H), 7.80 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.89 - 7.92 (m, 2H), 7.99 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.12 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 9.09 (d, J = 6.0 Hz, 1H).
【0066】
(実施例4:Pt3の合成経路)
【化11】
【0067】
中間体(M3-OH)の合成:
4-(tert-ブチル)-2-ブロモピリジン(20.6g、46.7mmol、1.1当量)、2-ブロモカルバゾール(10.43g、42.4mmol、1.0当量)、ヨウ化銅(807mg、4.24mmol、10mol%)、N-メチルイミダゾール(696mg、8.48mmol、20mol%)及びリチウムtert-ブトキシド(6.78g、84.8mmol、2.0当量)を反応フラスコに加え、トルエン(80mL)を添加した。120℃で48時間反応させた後反応を停止させ、室温まで冷却し、有機相を分離し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて白色固体14.5gを収率90%で得た。構造特性評価は実行されず次工程にそのまま用いられた。
【0068】
【化12】
【0069】
中間体(A3)の合成:
A1(20g、82.9mmol、1.0当量)、A2(24.7g、133mmol、1.6当量)、n-ブチルリチウム(40mL、99.48mmol、1.2当量)、N-メチルイミダゾール(696mg、8.48mmol、20mol%)及びリチウムtert-ブトキシド(6.78g、84.8mmol、2.0 当量)を反応フラスコに加え、テトラヒドロフラン(200mL)を添加した。室温で24時間反応させた後反応を停止させ、室温まで冷却し、有機相を分離し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけてA3を白色固体13.4g(収率75%)として得た。構造特性評価は実行されず次工程にそのまま用いられた。
【0070】
中間体(diPr-Cl-OMe)の合成:
A3(7.81g、27.1mmol、1.2当量)を反応フラスコに加え、A4(5.0g、22.6mmol、1.0当量)、1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(330mg、0.45mmol、2mol%)、水酸化ナトリウム(1.81g、45.2mmol、2.0当量)を添加し、さらにジオキサン(50mL)及び水(10mL)を添加した。100℃で24時間反応させた後反応を停止させ、室温まで冷却し、有機相を分離し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけてdiPr-Cl-OMeを白色固体4.79g(収率70%)として得た。構造特性評価は実行されず次工程にそのまま用いられた。
【0071】
中間体(diPr-Cl-OH)の合成:
diPr-Cl-OMe(6.93g、22.9 mmol、1.0当量)を反応フラスコに加え、三臭化ホウ素(11.48g、45.8mmol、2.0当量)を添加し、さらにジクロロメタン(10mL)を添加した。室温で8時間反応させた後反応を停止させ、室温まで冷却し、有機相を分離し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけてdiPr-Cl-OHを白色固体4.5g(収率81%)として得た。構造特性評価は実行されず次工程にそのまま用いられた。
【0072】
中間体(M3-Cl)の合成:
diPr-Cl-OH(4.5g、15.6mmol、1.5当量)、M3-Br(3.94g、10.4mmol、1.0当量)、2-ピコリン酸(256mg、2.08mmol、20mmol%)、ヨウ化銅(198mg、1.04mmol、10mmol%)及びリン酸カリウム(4.42g、20.8mmol、2.0当量)を反応フラスコに加え、ジメチルスルホキシド(50mL)を添加した。110℃で12時間反応させた後反応を停止させ、室温まで冷却し、有機相を分離し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけてM3-Cを白色固体4.45g(収率73%)として得た。構造特性評価は実行されず次工程にそのまま用いられた。
【0073】
【化13】
【0074】
中間体(LNH-Pt3)の合成:
dPh-tBuNH(5.5g、1.4mmol、1.0当量)を反応フラスコに加え、M3-Cl(8.22g、14mmol、1.0当量)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(384mg、0.42mmol、3mol%)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィン)ビフェニル(250mg、0.84mmol、6mol%)及びナトリウムtert-ブトキシド(2.7g、28mmol、2.0当量)を添加し、さらにトルエン(100mL)を添加した。100℃で12時間反応させた後反応を停止させ、室温まで冷却し、有機相を分離し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて白色固体9.24gを収率70%で得た。構造特性評価は実行されず次工程にそのまま用いられた。
【0075】
配位子(L-Pt3)の合成:
LNH-Pt3(13.6g、14.4mmol、1.0当量)を反応フラスコに加えてからヘキサフルオロリン酸アンモニウム(4.7g、28.8mmol、2.0当量)を添加し、さらにオルトギ酸トリエチル(50mL)を添加した。80℃で10時間反応させた後反応を停止させ、室温まで冷却し、有機相を分離し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて白色固体8.42gを収率61%で得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 0.87 (d, J = 6.9 Hz, 6H), 1.06 (d, J = 6.9 Hz, 6H), 1.28 (s, 9H), 1.44 (s, 9H), 2.39 - 2.45 (m, 2H), 7.02 (dd, J = 2.5, 1.5 Hz, 1H), 7.04 - 7.07 (m, 2H), 7.10 - 7.14 (m, 4H), 7.18 - 7.23 (m, 8H), 7.32 - 7.36 (m, 2H), 7.42 (t, J = 2.0 Hz, 1H), 7.43 - 7.46 (m,2H), 7.48 - 7.50 (m, 2H), 7.53 - 7.57 (m, 1H), 7.59 - 7.62 (m, 1H), 7.69 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.73 - 7.76 (m, 4H), 8.25 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 8.34 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 8.55 (d, J = 5.5 Hz, 1H), 10.28 (s, 1H).
【0076】
Pt3の合成:
L-Pt3(5.0g、4.5mmol、1.0当量)、ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)白金(II)(1.64g、4.72mmol、1.05当量)及び酢酸ナトリウム(1.11g、13.5mmol、3.0当量)を反応フラスコに加え、ジエチレングリコールジメチルエーテル(50mL)を添加した。120℃で72時間反応させた後反応を停止させ、室温まで冷却し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけてPt3を淡黄色固体3.61g(収率70%)として得た。NMRにより生成物であることを確認した。
【0077】
(実施例5:Pt4の合成経路)
【化14】
【0078】
中間体(LNH-Pt4)の合成:
dPh-CN-NH(500mg、1.38mmol、1.2当量)を反応フラスコに加え、M1-Br(861mg、1.38mmol、1.0当量)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(37mg、0.04mmol、3mol%)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィン)ビフェニル(33mg、0.08mmol、6mol%)及びナトリウムtert-ブトキシド(265mg、2.76mmol、2.0当量)を添加し、さらにトルエン(5mL)を添加した。110℃で12時間反応させた後反応を停止させ、室温まで冷却し、有機相を分離し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて白色固体726mgを収率65%で得た。構造特性評価は実行されず次工程にそのまま用いられた。
【0079】
配位子(L-Pt4)の合成:
LNH-Pt4(726mg、0.90mmol、1.0当量)を反応フラスコに加えてからヘキサフルオロリン酸アンモニウム(293mg、1.80mmol、2.0当量)を添加し、さらにオルトギ酸トリエチル(5mL)を添加した。80℃で11時間反応させた後反応を停止させ、室温まで冷却し、有機相を分離し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて白色固体342mgを収率56%で得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 1.28 (s, 9H), 1.30 (s, 9H), 6.85 (t, J = 2.0 Hz, 1H), 6.93 (t, J = 2.0 Hz, 1H), 7.14 - 7.19 (m, 11H), 7.36 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.46 - 7.49 (m, 4H), 7.54 - 7.58 (m, 3H), 7.66 - 7.70 (m, 2H), 7.75 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 8.27 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.34 - 8.36 (m, 3H), 8.58 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 10.31 (s, 1H).
【0080】
Pt4の合成:
L-Pt4(150mg、0.16mmol、1.0当量)、ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)白金(II)(59mg、0.17mmol、1.05当量)及び酢酸ナトリウム(40mg、0.48mmol、3.0 当量)を反応フラスコに加えてからジエチレングリコールジメチルエーテル(10mL)を添加した。120℃で72時間反応させた後反応を停止させ、室温まで冷却し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて淡黄色固体96mgを収率60%で得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 1.34 (s, 9H), 1.42 (s, 9H), 5.99 - 6.83 (m, 6H), 6.87 - 7.70 (m, 14H), 7.80 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 8.08 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 8.12 - 8.34 (m, 3H), 8.40 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.80 (d, J = 6.0 Hz, 1H).
【0081】
(実施例6:Pt5の合成経路)
【化15】
【0082】
中間体(LNH- Pt5)の合成:
dPh-tBuNH(5.0g、12.7mmol、1.2当量)を反応フラスコに加え、M2-Br(6.0g、12.7mmol、1.0当量)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(349mg、0.40mmol、3mol%)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィン)ビフェニル(230mg、0.80mmol、6mol%)及びナトリウムtert-ブトキシド(2.44mg、25.4mmol、2.0当量)を添加し、さらにトルエン(5mL)を添加した。110℃で11時間反応させた後反応を停止させ、室温まで冷却し、有機相を分離し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて白色固体5.97gを収率60%で得た。構造特性評価は実行されず次工程にそのまま用いられた。
【0083】
配位子(L-Pt5)の合成:
LNH-Pt5(7.84g、10.0mmol、1.0当量)を反応フラスコに加えてからヘキサフルオロリン酸アンモニウム(3.26mg、20.0mmol、2.0当量)を添加し、さらにオルトギ酸トリエチル(20mL)を添加した。75℃で5時間反応させた後反応を停止させ、室温まで冷却し、有機相を分離し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて白色固体3.08mgを収率52%で得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 1.30 (s, 9H), 1.45 (s, 9H), 6.97 (t, J = 2.0 Hz, 1H), 7.10 - 7.19 (m, 13H), 7.41 (dd, J = 8.5, 3.5Hz, 1H), 7.46 - 7.51 (m, 3H), 7.52 - 7.59 (m, 2H), 7.67 - 7.71 (m, 2H), 7.72 - 7.74 (m, 3H), 8.37 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 8.59 (d, J = 4.5Hz, 1H), 10.26 (s, 1H).
【0084】
Pt5の合成:
L-Pt5(5.64g、6.0mmol、1.0当量)、ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)白金(II)(1.96g、6.3mmol、1.05当量)及び酢酸ナトリウム(1.48mg、18mmol、3.0当量)を反応フラスコに加え、ジエチレングリコールジメチルエーテル(10mL)を添加した。120℃で72時間反応させた後反応を停止させ、室温まで冷却し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて淡黄色固体1.30gを収率34%で得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.20 (s, 9H), 1.41 (s, 9H), 6.19 - 7.18 (m, 15H), 7.22 - 7.24 (m, 2H), 7.31 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.48 (d, J = 8.5Hz, 2H), 7.80 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.92 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.99 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 9.09 (d, J = 6.0 Hz, 1H).
【0085】
(実施例7:Pt6の合成)
化合物Pt1の合成工程及び反応条件を参考にしてPt6を合成し、目的生成物を黄色固体(562mg)として収率75%で得た。分子量[M+H]:994.1。
【0086】
(実施例8:Pt7の合成)
化合物Pt1の合成工程及び反応条件を参考にしてPt7を合成し、目的生成物を黄色固体(624mg)として収率58%で得た。分子量[M+H]:1212.5。
【0087】
(実施例9:Pt8の合成)
化合物Pt1の合成工程及び反応条件を参考にしてPt8を合成し、目的生成物を黄色固体(661mg)として収率72%で得た。分子量[M+H]:1216.5。
【0088】
(実施例10:Pt9の合成)
化合物Pt1の合成工程及び反応条件を参考にしてPt9を合成し、目的生成物を黄色固体(484mg)として収率66%で得た。分子量[M+H]:1218.5。
【0089】
(実施例11:Pt10の合成)
化合物Pt1の合成工程及び反応条件を参考にしてPt10を合成し、目的生成物を黄色固体(455mg)として収率69%で得た。分子量[M+H]:1219.5。
【0090】
(実施例12:Pt11の合成)
化合物Pt1の合成工程及び反応条件を参考にしてPt11を合成し、目的生成物を黄色固体(410mg)として収率67%で得た。分子量[M+H]:1045.2。
【0091】
(実施例13:Pt12の合成)
化合物Pt1の合成工程及び反応条件を参考にしてPt12を合成し、目的生成物を黄色固体(369mg)として収率58%で得た。分子量[M+H]:989.1。
【0092】
(実施例14:Pt13の合成)
化合物Pt1の合成工程及び反応条件を参考にしてPt13を合成し、目的生成物を黄色固体(492mg)として収率82%で得た。分子量[M+H]:1149.4。
【0093】
(実施例15:Pt14の合成)
化合物Pt1の合成工程及び反応条件を参考にしてPt14を合成し、目的生成物を黄色固体(471mg)として収率80%で得た。分子量[M+H]:1006.1。
【0094】
(実施例16:Pt15の合成)
化合物Pt1の合成工程及び反応条件を参考にしてPt15を合成し、目的生成物を黄色固体(596mg)として収率74%で得た。分子量[M+H]:993.1。
【0095】
(実施例17:Pt16の合成)
化合物Pt1の合成工程及び反応条件を参考にしてPt16を合成し、目的生成物を黄色固体(615mg)として収率68%で得た。分子量[M+H]:995.1。
【0096】
(実施例18:Pt17の合成)
化合物Pt1の合成工程及び反応条件を参考にしてPt17を合成し、目的生成物を黄色固体(582mg)として収率66%で得た。分子量[M+H]:1213.5。
【0097】
(実施例19:Pt18の合成)
化合物Pt1の合成工程及び反応条件を参考にしてPt18を合成し、目的生成物を黄色固体(471mg)として収率76%で得た。分子量[M+H]:1217.6。
【0098】
(実施例20:Pt19の合成)
化合物Pt1の合成工程及び反応条件を参考にしてPt19を合成し、目的生成物を黄色固体(596mg)として収率78%で得た。分子量[M+H]:1218.6。
【0099】
(実施例21:Pt20の合成)
化合物Pt1の合成工程及び反応条件を参考にしてPt20を合成し、目的生成物を黄色固体(597mg)として収率72%で得た。分子量[M+H]:1275.7。
【0100】
(実施例22:Pt21の合成)
化合物Pt1の合成工程及び反応条件を参考にしてPt21を合成し、目的生成物を黄色固体(576mg)として収率74%で得た。分子量[M+H]:1010.1。
【0101】
(実施例23:Pt22の合成)
化合物Pt1の合成工程及び反応条件を参考にしてPt22を合成し、目的生成物を黄色固体(615mg)として収率68%で得た。分子量[M+H]:1228.6。
【0102】
(実施例24:Pt23の合成)
化合物Pt1の合成工程及び反応条件を参考にしてPt23を合成し、目的生成物を黄色固体(592mg)として収率66%で得た。分子量[M+H]:1232.6。
【0103】
(実施例25:Pt24の合成)
化合物Pt1の合成工程及び反応条件を参考にしてPt24を合成し、目的生成物を黄色固体(571mg)として収率76%で得た。分子量[M+H]:1234.6。
【0104】
(実施例26:Pt25の合成)
化合物Pt1の合成工程及び反応条件を参考にしてPt25を合成し、目的生成物を黄色固体(596mg)として収率78%で得た。分子量[M+H]:1235.6。
【0105】
(実施例27:Pt26の合成)
化合物Pt1の合成工程及び反応条件を参考にしてPt26を合成し、目的生成物を黄色固体(597mg)として収率72%で得た。分子量[M+H]:1003.1。
【0106】
(実施例28:Pt27の合成)
化合物Pt1の合成工程及び反応条件を参考にしてPt27を合成し、目的生成物を黄色固体(696mg)として収率74%で得た。分子量[M+H]:1005.1。
【0107】
(実施例29:Pt28の合成)
化合物Pt1の合成工程及び反応条件を参考にしてPt28を合成し、目的生成物を黄色固体(615mg)として収率68%で得た。分子量[M+H]:1061.3。
【0108】
(実施例30:Pt34の合成)
化合物Pt1の合成工程及び反応条件を参考にしてPt34を合成し、目的生成物を黄色固体(582mg)として収率66%で得た。分子量[M+H]:1025.4。
【0109】
(実施例31:Pt39の合成)
化合物Pt1の合成工程及び反応条件を参考にしてPt39を合成し、目的生成物を黄色固体(471mg)として収率76%で得た。分子量[M+H]:1235.6。
【0110】
【表1】
【0111】
表1から分かるように、本発明により提供される金属錯体は、いずれも青色及び濃青色の発光領域にあり、半値幅が狭く、良好な青色燐光材料である。
【0112】
OLEDデバイスの製造
デバイスの実施例の参考製法として、本発明は、2mm×2mmの発光面積を有するITOガラスの表面又は陽極上にp型ドーピング材料を蒸着又はp型ドーピング材料を1%~50%の濃度で正孔注入材料と共蒸着して5~100nmの正孔注入層(HIL)、5~200nmの正孔輸送層(HTL)を形成し、その後正孔輸送層に10~100nmの発光層(EML)(本発明の化合物を含有してもよい)を形成し、20~200nmの電子輸送層(ETL)及び50~200nmの陰極を形成する。必要に応じてHTLとEML層の間に電子ブロック層(EBL)を追加し、ETLと陰極との間に電子注入層(EIL)を追加して、OLEDデバイスを製造する。標準方法で前記OLEDをテストする。本発明に係るデバイス材料は、特に断りのない限り、公知の合成方法により得ることができる。
【0113】
好ましい実施形態において、本発明により提供されるデバイス例1の構造:ITO/P-4(10nm)/NPD (60nm)/HTH-85(5nm)/白金(II)錯体:HTH-85:ETH-45(25nm)(Pt1:HTH-85:ETH-45の質量比は10:60:30)/ETH-5(5nm)/ET-14(40nm)/LiQ(1nm)/Al(100nm)。
【0114】
デバイス例1に似る構造を用いてデバイス例2~デバイス例30及び比較例1をそれぞれ調製したが、唯一の相違点はPt2、Pt3、Pt4、Pt5、Pt-6、Pt7、Pt8、Pt9、Pt10、Pt11、Pt12、Pt13、Pt14、Pt15、Pt16、Pt17、Pt18、Pt19、Pt20、Pt21、Pt22、Pt23、Pt24、Pt25、Pt26、Pt27、Pt28、Pt34、Pt39、R1でデバイス例1内のPt1を置き換えたことである。標準方法により上記で調製した比較例及び各デバイス例の発光特性をテストしたデータを表2に示す。かかわるデバイスの構造式は、次の通りであり、式中、P-4はHATCN、ET-14はBPyTPである。
【0115】
【化16】
【0116】
【表2】
【0117】
表2から分かるように、比較例1と比較して、本願で調製したデバイス例1~デバイス例30は、駆動電圧、電流効率及びデバイス寿命の点で良好なデバイス性能を示す。各デバイス例の性能の向上は、本発明の特定の化合物材料のより優れた電子輸送能力に基づいている。これを発光層材料として電子デバイスに製造すると、駆動電圧を下げると共に電流効率及びデバイス寿命を向上させることができることが分かる。なお、本発明により製造されたデバイスは、いずれも濃青色光デバイスで、CIEy値は均しく0.20未満である。本発明により提供される化合物は、一定の商業的な応用価値を有することを示している。
【0118】
好ましい実施形態において、本発明によって提供されるデバイス例31の構造:ITO/P-4(10nm)/NPD(60nm)/HTH-85(5nm)/白金(II)錯体:ホウ素含有化合物:HTH-85:ETH-45 (25nm)(Pt1:BN1-8:HTH-85:ETH-45の質量比は10:1:59:30)/ETH-5(5nm)/ET-14 (40nm)/LiQ(1nm)/Al(100nm)。
【0119】
デバイス例31に似る構造を用いてデバイス例32~デバイス例38をそれぞれ製造したが、唯一の相違点は、表3に列挙された化合物でデバイス例23内の白金(II)錯体及びホウ素含有化合物を置き換えたことである。デバイス構造及び発光特性のデータを表3に示す。
【0120】
【表3】
【0121】
表3から分かるように、本発明の化合物を増感材料、ホウ素含有化合物を発光材料としてデバイスに応用すると、各デバイスの性能も大幅に向上し、本発明により提供される化合物が一定の商業的な応用価値を有することを示している。なお、ホウ素含有化合物を添加した後デバイス構造を増感すると、CIEy値をさらに下げることで、デバイスの発光色の純度をさらに向上させることができる。
【0122】
出願人は、以上の述べるものは本発明のいずれかの好ましい実施例のみであって、本発明の保護範囲に限定されることないことを宣言し、当該技術を熟知する者なら誰でも本発明で開示された技術的範囲内で容易に想到できる変化又は置換は本発明の保護範囲及び開示範囲内に収まることは当業者には明らかになるであろう。
【0123】
(付記)
(付記1)
四座シクロメタル化白金(II)錯体であって、以下に示す化学構造式のいずれか1つから選択され、式中、「D」は重水素を表し、「Ph」はフェニル基を表すことを特徴とする、四座シクロメタル化白金(II)錯体。
【化17-1】

【化17-2】
【0124】
(付記2)
電子デバイスにおける付記1に記載の四座シクロメタル化白金(II)錯体の応用。
【0125】
(付記3)
前記電子デバイスとしては、有機エレクトロルミネッセンスデバイス、有機集積回路、有機電界効果トランジスタ、有機薄膜トランジスタ、有機発光トランジスタ、有機太陽電池、有機光検出器、有機光受容体、有機電場消光素子、発光電気化学セル及び有機レーザーダイオードが挙げられることを特徴とする、付記2に記載の応用。
【0126】
(付記4)
有機エレクトロルミネッセンスデバイスであって、陰極、陽極及び前記陽極と前記陰極の間に介在する有機機能層を含み、前記有機機能層は付記1に記載の四座シクロメタル化白金(II)錯体を含有することを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【0127】
(付記5)
有機エレクトロルミネッセンスデバイスであって、前記有機機能層は、発光層を含み、前記発光層中には付記1に記載の四座シクロメタル化白金(II)錯体が含有されることを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【0128】
(付記6)
前記発光層中には蛍光ドーピング材料も含有し、前記蛍光ドーピング材料は式(BN1)~式(BN5)で表される化合物のいずれか1種以上から選択されることを特徴とする、付記5に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【化18】

[式中、Xは、O、S、Se又はNR300であり、
、X、X、Xは、それぞれ独立して、O、S、Se又はNで表され、
~Rは、それぞれ独立して、一、二、三、四置換又は無置換を表す。R~Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、N、C1-C30アルキル基、C6-C60アリール基からなる群から選択され、前記R~R11は、それぞれ独立して、水素、重水素、N、C1-C30アルキル基、C6-C60アリール基からなる群を表す。]
【0129】
(付記7)
前記R、R、R、Rは、それぞれ独立して、置換又は非置換のジフェニルアミン、置換又は非置換のカルバゾリル基から選択され、前記置換は複数回の置換であってもよく、置換基を含む場合、前記置換基は重水素、C1-C30アルキル基、C6-C30アリール基から選択されることを特徴とする、付記6に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【0130】
(付記8)
前記R~R、R10~R11は、それぞれ独立して、水素、C1-C30アルキル基、C6-C60アリール基からなる群から選択されることを特徴とする、付記6に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【0131】
(付記9)
前記蛍光ドーピング材料は、以下に示す化学構造式のいずれか1つから選択され、式中、Phはフェニル基を表し、D4及びD5はそれぞれ4個及び5個の重水素原子で置換されていることを意味することを特徴とする、付記6に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【化19-1】

【化19-2】

【化19-3】

【化19-4】

【化19-5】

【化19-6】

【化19-7】
【0132】
(付記10)
有機光エレクトロニクスデバイスであって、基板層と、前記基板上にある第1電極と、前記第1電極の上にある有機発光機能層と、前記有機発光機能層の上にある第2電極とを備え、前記有機発光機能層は付記1に記載の四座シクロメタル化白金(II)錯体を含有することを特徴とする、有機光エレクトロニクスデバイス。
【0133】
(付記11)
前記有機発光機能層中には、式(BN1)~式(BN5)で表される化合物のいずれか1種以上を有する蛍光ドーピング材料も含有されることを特徴とする、付記10に記載の有機光エレクトロニクスデバイス。
【化20】

[式中、Xは、O、S、Se又はNR300であり、
、X、X、Xは、それぞれ独立して、O、S、Se又はNで表され、
~Rは、それぞれ独立して、一、二、三、四置換又は無置換を表す。R~Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、N、C1-C30アルキル基、C6-C60アリール基からなる群から選択され、前記R~R11は、それぞれ独立して、水素、重水素、N、C1-C30アルキル基、C6-C60アリール基からなる群を表す。]
【0134】
(付記12)
組成物であって、付記1に記載の四座シクロメタル化白金(II)錯体を含有することを特徴とする、組成物。
【0135】
(付記13)
製剤であって、付記1に記載の四座シクロメタル化白金(II)錯体を含有することを特徴とする、製剤。
【0136】
(付記14)
ディスプレイ又は照明装置であって、付記4~9のいずれか一つに記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイスの1種以上を含むことを特徴とする、ディスプレイ又は照明装置。
【外国語明細書】