(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004748
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】半導体ワークピース用熱処理装置、及び高精度温度測定方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/26 20060101AFI20250107BHJP
G01J 5/00 20220101ALI20250107BHJP
F27D 11/08 20060101ALI20250107BHJP
F27D 21/00 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
H01L21/26 T
G01J5/00 101C
F27D11/08 Z
F27D21/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024085968
(22)【出願日】2024-05-28
(31)【優先権主張番号】202310762006.1
(32)【優先日】2023-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520111187
【氏名又は名称】ベイジン イータウン セミコンダクター テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Beijing E-Town Semiconductor Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 8 Building, No. 28 Jinghai Er Rd., Economic and Technical Development Zone, 100176 Beijing, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェンヤン ワン
(72)【発明者】
【氏名】チアンミン チー
(72)【発明者】
【氏名】ウェンイー リー
【テーマコード(参考)】
2G066
4K056
4K063
【Fターム(参考)】
2G066AC01
2G066AC11
2G066AC20
4K056AA09
4K056BB05
4K056CA18
4K056FA12
4K063AA05
4K063BA12
4K063CA03
4K063FA81
(57)【要約】 (修正有)
【課題】半導体ワークピース用熱処理装置、及び高精度温度測定方法の提供。
【解決手段】熱処理装置は、加熱素子と、上蓋板及び下蓋板と、上蓋板、下蓋板及び反応チャンバー本体により画定される反応チャンバーと、ワークピース支持素子と、上蓋板の一端に位置する赤外線エミッタと、上蓋板の他端に位置する反射型赤外線センサ及び下蓋板の他端に位置する透過型赤外線センサと、を備え、赤外線エミッタ及び反射型赤外線センサは、上蓋板の反応チャンバーに面する側に位置し、透過型赤外線センサは、下蓋板の反応チャンバーに面する側に位置し、赤外線エミッタは、反応チャンバー本体の一端の側壁に位置し、反射型赤外線センサ及び透過型赤外線センサは、反応チャンバー本体の他端の側壁に位置する。熱処理装置は、半導体ワークピースの表面の温度を精度よく測定することができ、異なる部位について温度を制御することができ、温度制御精度を向上できる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ワークピース用熱処理装置であって、
前記半導体ワークピースを加熱するための1つ又は複数の加熱素子と、
上蓋板及び下蓋板と、
前記上蓋板、下蓋板及び反応チャンバー本体により画定される反応チャンバーと、
前記半導体ワークピースを支持するためのワークピース支持素子と、
前記上蓋板の第1端に位置する少なくとも1つの赤外線エミッタと、
前記上蓋板の第2端に位置する少なくとも1つの反射型赤外線センサ、及び前記下蓋板の第2端に位置する少なくとも1つの透過型赤外線センサと、を備え、ここで、前記第1端と前記第2端とは対向しており、
前記少なくとも1つの赤外線エミッタ及び前記少なくとも1つの反射型赤外線センサは、それぞれ、前記上蓋板の前記反応チャンバーに面する側に位置し、前記少なくとも1つの透過型赤外線センサは、前記下蓋板の前記反応チャンバーに面する側に位置し、
前記少なくとも1つの赤外線エミッタは、前記反応チャンバー本体の第1端の側壁に位置し、前記少なくとも1つの反射型赤外線センサ及び前記少なくとも1つの透過型赤外線センサは、前記反応チャンバー本体の第2端の側壁に位置する、
ことを特徴とする半導体ワークピース用熱処理装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの赤外線エミッタは、2.3ミクロン及び2.7ミクロンのうちの一方又は両方の波長の赤外線放射を放射する、
請求項1に記載の半導体ワークピース用熱処理装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの赤外線エミッタと、前記少なくとも1つの反射型赤外線センサと、前記少なくとも1つの透過型赤外線センサとは、同数である、
請求項1又は請求項2に記載の半導体ワークピース用熱処理装置。
【請求項4】
前記赤外線エミッタと、対応する透過型赤外線センサとは、同一の直線上にある、
請求項1又は請求項2に記載の半導体ワークピース用熱処理装置。
【請求項5】
前記上蓋板及び下蓋板は、それぞれ、高水酸基石英製蓋板である、
請求項1又は請求項2に記載の半導体ワークピース用熱処理装置。
【請求項6】
前記赤外線エミッタ、前記反射型赤外線センサ、及び前記透過型赤外線センサは、それぞれ反応チャンバー本体の縦軸となす角が等しく、前記角は、30~60°が好ましく、45°が最も好ましい、
請求項1又は請求項2に記載の半導体ワークピース用熱処理装置。
【請求項7】
400~750℃の範囲内の半導体ワークピースの温度を精度良く測定可能である、
請求項1又は請求項2に記載の半導体ワークピース用熱処理装置。
【請求項8】
半導体ワークピース用高精度温度測定方法であって、
熱処理装置の反応チャンバー内のワークピース支持素子上に半導体ワークピースを配置するステップと、
上蓋板及び下蓋板を設置するステップと、
少なくとも1つの赤外線エミッタによって、前記上蓋板の前記反応チャンバーに面する側で前記半導体ワークピースへ赤外線放射を放射するステップと、
少なくとも1つの反射型赤外線センサによって、前記半導体ワークピースの表面で反射された第1部分の赤外線放射量をそれぞれ受光して測定し、少なくとも1つの透過型赤外線センサによって、透過された第2部分の赤外線放射量をそれぞれ受光して測定するステップと、
同一の部位における第1部分の赤外線放射量及び第2部分の赤外線放射量に基づいて、当該部位における前記半導体ワークピースの反射率及び透過率を決定し、前記反射率及び透過率によって前記半導体ワークピースの放射率を算出するステップと、
前記放射率に基づいて同一の部位における前記半導体ワークピースの表面の温度を算出するステップと、を含む、
ことを特徴とする半導体ワークピース用の高精度温度測定方法。
【請求項9】
前記半導体ワークピースの温度は400℃~750℃の範囲内である、
請求項8に記載の高精度温度測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体加工の技術分野に関し、特に、半導体ワークピースの熱処理分野に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、半導体ワークピースの熱処理プロセスでは、約400℃~1200℃の加熱温度が必要とされる。急速熱処理プロセスでは、通常、ライトアレイを使用して両面加熱方式で半導体ワークピースを熱処理する。熱処理プロセスでは、ワークピースの温度を確実かつ精度よく測定することが非常に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、半導体ワークピース用熱処理装置、及び高精度温度測定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一態様によれば、半導体ワークピース用熱処理装置を提供し、該熱処理装置は、
前記半導体ワークピースを加熱するための1つ又は複数の加熱素子と、
上蓋板及び下蓋板と、
前記上蓋板、下蓋板及び反応チャンバー本体により画定される反応チャンバーと、
前記半導体ワークピースを支持するためのワークピース支持素子と、
前記上蓋板の第1端に位置する少なくとも1つの赤外線エミッタと、
前記上蓋板の第2端に位置する少なくとも1つの反射型赤外線センサ、及び前記下蓋板の第2端に位置する少なくとも1つの透過型赤外線センサと、を備え、ここで、前記第1端と前記第2端とは対向しており、
前記少なくとも1つの赤外線エミッタ及び前記少なくとも1つの反射型赤外線センサは、それぞれ、前記上蓋板の前記反応チャンバーに面する側に位置し、前記少なくとも1つの透過型赤外線センサは、前記下蓋板の前記反応チャンバーに面する側に位置し、
前記少なくとも1つの赤外線エミッタは、前記反応チャンバー本体の第1端の側壁に位置し、前記少なくとも1つの反射型赤外線センサ及び前記少なくとも1つの透過型赤外線センサは、前記反応チャンバー本体の第2端の側壁に位置する。
【0005】
本開示の別の態様によれば、半導体ワークピース用高精度温度測定方法を提供し、該方法は、
熱処理装置の反応チャンバー内のワークピース支持素子上に半導体ワークピースを配置するステップと、
上蓋板及び下蓋板を設置するステップと、
少なくとも1つの赤外線エミッタによって、前記上蓋板の前記半導体ワークピースに面する側で前記半導体ワークピースへ赤外線放射を放射するステップと、
少なくとも1つの反射型赤外線センサによって、前記半導体ワークピースの表面で反射された第1部分の赤外線放射量をそれぞれ受光して測定し、少なくとも1つの透過型赤外線センサによって、透過された第2部分の赤外線放射量をそれぞれ受光して測定するステップと、
同一の部位にある第1部分の赤外線放射量及び第2部分の赤外線放射量に基づいて、当該部位における前記半導体ワークピースの反射率及び透過率を決定し、前記反射率及び透過率によって前記半導体ワークピースの放射率を算出するステップと、
前記放射率に基づいて同一の部位における前記半導体ワークピースの表面の温度を算出するステップと、を含む。
【0006】
この部分に記載の内容は、本開示の実施例の重要な特徴を特定することを意図したものではなく、また、本開示の範囲を限定することを意図したものではないことを理解されたい。本開示の他の特徴は、以下の明細書から容易に理解される。
【0007】
図面は、本技術的手段をよりよく理解するためのものであって、本開示を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施例に係る熱処理装置の上面図である。
【
図2】本開示の一実施例に係る熱処理装置の断面図である。
【
図3】本開示の一実施例に係る熱処理装置におけるライトモジュールのパーティションを示す模式図である。
【
図4】本開示の一実施例に係る熱処理装置における赤外線エミッタ、反射型赤外線センサ、及び透過型赤外線センサの位置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本開示の例示的な実施例を説明し、説明において理解を助けるために本開示の実施例の様々な詳細を含めるが、これらは単に例示的なものとみなされるべきである。したがって、当業者は、本開示の範囲及び精神から逸脱することなく、本明細書に記載された実施例に様々な変更及び修正を加えることができることを認識すべきである。同様に、以下の説明では、周知の機能及び構造の説明は、明確化及び簡潔化のために省略されている。
【0010】
本開示で説明される半導体ワークピースの熱処理プロセスは、例えば急速熱アニーリングプロセスであってもよい。ウェーハなどの半導体ワークピース上の異なる材料(例えば、Si、SiO2、SiNなど)は異なる光吸収係数を有するため、片面放射法を使用して半導体ワークピースの表面を加熱すると、パターン効果(pattern effect)が発生し、したがって、パターン効果によるウェーハの加熱ムラの問題を軽減するために、通常、両面加熱の方法が使用される。
【0011】
一方、急速熱アニーリングプロセスにおいて、半導体ワークピースの温度測定には非接触測定方法が使用される。ウェーハの両面加熱に使用される加熱素子(例えば、ライトモジュール)の設置によって、半導体ワークピースが加熱素子の放射によって完全に覆われるが、加熱素子から放射された光が半導体ワークピースで反射及び透過すると、非接触測定方法による半導体ワークピースの温度測定を妨げてしまう。この影響は、ウェーハの放射率が低い場合に特に顕著になる。
【0012】
半導体ワークピースは、通常のワークピース温度で赤外線帯域において通常、透明性を有し、顕著な黒体放射を放射しない。従来の放射測定方法では、750℃未満の温度では、ワークピースから放射された測定可能な黒体放射は誤差が大きいため、半導体ワークピースの温度測定が困難であった。
【0013】
熱処理装置
【0014】
本開示の一態様によれば、半導体ワークピース用熱処理装置を提供し、該熱処理装置は、
半導体ワークピースを加熱するための1つ又は複数の加熱素子と、
上蓋板及び下蓋板と、
前記上蓋板、下蓋板及び反応チャンバー本体により画定される反応チャンバーと、
前記半導体ワークピースを支持するためのワークピース支持素子と、
前記上蓋板の第1端に位置する少なくとも1つの赤外線エミッタと、
前記上蓋板の第2端に位置する少なくとも1つの反射型赤外線センサ、及び前記下蓋板の第2端に位置する少なくとも1つの透過型赤外線センサと、を備え、ここで、前記第1端と前記第2端とは対向しており、
前記少なくとも1つの赤外線エミッタ及び前記少なくとも1つの反射型赤外線センサは、それぞれ、前記上蓋板の前記半導体ワークピースに面する側に位置し、前記少なくとも1つの透過型赤外線センサは、前記下蓋板の前記反応チャンバーに面する側に位置し、
前記少なくとも1つの赤外線エミッタは、前記反応チャンバー本体の第1端の側壁に位置し、前記少なくとも1つの反射型赤外線センサ及び前記少なくとも1つの透過型赤外線センサは、前記反応チャンバー本体の第2端の側壁に位置する。
【0015】
具体的には、
図1及び
図2に示すように、本開示の一実施例に係る熱処理装置は、天板1、底板11、上部加熱ライトモジュール3、下部加熱ライトモジュール12、上蓋板4、下蓋板13、反応チャンバー本体5、ワークピース支持素子(例えば、石英支持板9、及びエジェクタピン8)、上蓋板4の内側の両端に設けられた赤外線エミッタ6以及び反射型赤外線センサ2、下蓋板の内側に設けられた透過型赤外線センサ10、並びに反応チャンバードア14を備える。
【0016】
上記の赤外線エミッタ6、反射型赤外線センサ2、及び透過型赤外線センサ10は、それぞれ1つ又は複数であり、例えば、
図1に示すように、それぞれ、赤外線エミッタ(601、602、603、604、605)、反射型赤外線センサ(201、202、203、204、205)、及び透過型赤外線センサ(1001、1002、1003、1004、1005)を含む。
【0017】
具体的には、本発明の上蓋板及び下蓋板は、いずれも高水酸基石英製の蓋板を採用することができ、それにより、加熱ライトモジュールから発射された波長2.7μmの赤外光が完全にフィルタリングされ、加熱ライトモジュールによる放射が半導体ワークピースの温度に与える影響が低減される。
【0018】
本発明の熱処理装置では、上蓋板4の半導体ワークピースの内側に面する端部に少なくとも1つの赤外線エミッタ6が設けられており、この赤外線エミッタ6は、波長2.3μm及び/又は2.7μmの赤外光を半導体ワークピースに放射することができる。1つの具体的な実施形態によれば、5つの赤外線エミッタ601、602、603、604、605が設けられてもよい。
【0019】
以上の構造に基づいて、高水酸基石英材料製の上蓋板により、加熱ライトモジュールによる波長2.7μmの赤外光がフィルタリングされるため、反応チャンバー内の波長2.7μmの赤外光が赤外線エミッタ及びワークピースによる熱放射のみに由来し、これは、半導体ワークピースの温度をより精度よく制御することに有利であり、特に、半導体ワークピースの放射率が低い作業条件での半導体ワークピースの温度を測定することができる。
【0020】
現在の熱処理装置の仕様では、2つの温度検出点を使用し、プログラムシミュレーションによって4つの温度ゾーンの構成を制御するが、温度測定及び制御されるゾーンは、より高度なプロセスの場合の、半導体ワークピース(たとえば、ウェーハ)の温度制御に対するニーズを満たすことができない。
図1及び
図3を参照すると、本発明では、5組の温度測定ユニット(赤外線エミッタ、反射型赤外線センサ、及び透過型赤外線センサを含む。)が使用され、プログラムシミュレーションにより7つの温度ゾーンを制御してウェーハを加熱することが可能となる。
【0021】
さらに、
図3に示すうように、頂部ライトモジュール及び底部ライトモジュールは、それぞれ、7つの小組に分けられ、ドア側とウェーハとの間の反応チャンバーは2つの等しい空間に分けられ、ウェーハに近い側の領域は、5つの温度測定部位T1~T5に分けられる。
【0022】
さらに、
図4に示すように、半導体ワークピース7の縦軸(又は、反応チャンバーの縦軸)に対して、赤外線エミッタ6(α)、反射型赤外線センサ2(β)、及び透過型赤外線センサ10(γ)は、それぞれこの縦軸に対する角度が、それぞれ30°~60°であってもよく、例えば、いずれも45°であってもよい。ここで、赤外線エミッタ6と透過型赤外線センサ10とは、同一の直線上にある。
【0023】
上記の赤外線エミッタ、反射型赤外線センサ、及び透過型赤外線センサは、共同で加熱チューブによる影響のない半導体ワークピース放射率測定システムを構成し、ひいては半導体ワークピースの温度を精度良く測定し、特に、400℃~750℃の範囲の温度を精度良く測定することに有利である。
【0024】
高精度温度測定方法
【0025】
本発明の別の態様によれば、半導体ワークピース用高精度温度測定方法を提供し、該方法は、
熱処理装置の反応チャンバー内のワークピース支持素子上に半導体ワークピースを配置するステップと、
上蓋板及び下蓋板を設置するステップと、
少なくとも1つの赤外線エミッタによって、前記上蓋板の前記半導体ワークピースに面する側で前記半導体ワークピースへ赤外線放射を放射するステップと、
少なくとも1つの反射型赤外線センサによって、前記半導体ワークピースの表面で反射された第1部分の赤外線放射量をそれぞれ受光して測定し、少なくとも1つの透過型赤外線センサによって、透過された第2部分の赤外線放射量をそれぞれ受光して測定するステップと、
同一の部位における第1部分の赤外線放射量及び第2部分の赤外線放射量に基づいて、当該部位における前記半導体ワークピースの反射率及び透過率を決定し、前記反射率及び透過率によって前記半導体ワークピースの放射率を算出するステップと、
前記放射率に基づいて同一の部位における前記半導体ワークピースの表面の温度を算出するステップと、を含む。
【0026】
1つの具体的な実施例によれば、本発明の高精度温度測定方法は、高水酸基石英材料製の上蓋板4及び下蓋板14を設置し、加熱ライトモジュールから放射された波長2.7μmの赤外光をフィルタリングするステップと、さらに高水酸基石英材料製の上蓋板の内側に波長2.7μmの赤外線エミッタ6を設置し、ウェーハ7へ波長2.7μmの赤外光を放射するステップと、この赤外光に対応する反射及び透過方向において波長2.7μmの反射型赤外線センサ2及び波長2.7μmの透過型赤外線センサ10を設置するステップと、を含む。反射型赤外線センサ2は、波長2.7μmの赤外光に対するウェーハの反射率を測定することができ、透過型赤外線センサ10は、波長2.7μmの赤外光に対するウェーハの透過率を測定することができる。赤外線エミッタ6、反射型赤外線センサ2、及び透過型赤外線センサ10は、共同で加熱ライトモジュールによる影響のないウェーハ放射率測定システムを構成し、これにより、ウェーハの表面の温度が算出され得る。
【0027】
さらに、下蓋板13のウェーハから離れる外側で反応チャンバーの底部に設置された2つの透過型赤外線センサ(高温計)10は、さらに2.3μm波長で作動し、ウェーハの放射率が低い作業条件以外のウェーハの背面の温度を測定する。
【0028】
具体的に、赤外線エミッタ6から放射される波長2.7μmの赤外光は、チョッパーによって変調されてパルス光となり、波長2.7μmのパルス光が半導体ワークピース(ウェーハ)7上に照射されると、反射された部分は、2.7μmの反射型赤外線センサ2により受光され、透過された部分は、2.7μmの透過型赤外線センサ9により受光される。以下の式(1)に基づいて算出する。
【0029】
【0030】
物体の放射率、反射率、透過率の和は1とし、2.7μmの反射型赤外線センサ2及び2.7μmの透過型赤外線センサ10によってウェーハのリアルタイムな反射率ρ及び透過率τが決定され、ウェーハの放射率εが算出される。反射率ρは、反射型赤外線センサによって検出された反射光の強度と赤外線エミッタによって放射された赤外光の強度との比であり、透過率τは、透過型赤外線センサによって検出された透過光の強度と赤外線エミッタによって放射された赤外光の強度との比である。
【0031】
また、上記の反射型赤外線センサ2及び反射型赤外線センサ10は、ウェーハの上面及び下面から熱放射される赤外光を受光することもでき、放射光は、赤外線エミッタ6から放射される光と周波数を区別され得る。以下の黒体放射の式(2)に従う。
【0032】
【0033】
ウェーハの表面と背面の温度を算出する。ここで、Iwaferは、受光されたウェーハの赤外熱放射、hはプランク定数、cは光速、kはボルツマン定数、λは放射波長、εはウェーハの放射率である。
【0034】
ウェーハが急速熱処理チャンバーに入って加熱され始めると、2.7μmの赤外線エミッタ6、2.7μmの反射型赤外線センサ2、2.7μmの透過型赤外線センサ9は、ウェーハの反射率、放射率、及び透過率を持続的に測定する。この測定により得られた温度測定結果により、250~400℃のウェーハの温度範囲で参照温度を提供することができ、このとき、ウェーハの温度の上昇状態をリアルタイムで監視することができる。プロセスの温度が400~750℃になると、2.7μmの赤外線エミッタ6、2.7μmの反射型赤外線センサ2、2.7μmの透過型赤外線センサ9は、ウェーハの温度を正確に算出することができ、ウェーハの温度の閉ループ制御に役立つ。ウェーハのプロセス温度が750℃よりも高くなると、上記の2.7μmの赤外線エミッタ6、2.7μmの反射型赤外線センサ2、2.7μmの透過型赤外線センサは、従来の方法によりウェーハの温度を測定することができる。
【0035】
本発明の上記の方法によれば、半導体ワークピースの放射率が低く(<0.3)、半導体ワークピースの放射率が急激に変化する(例えば、ウェーハ上にポリシリコン層が存在し、加熱時に相転移が起こる)などのような作業条件における熱処理装置の温度測定及び制御の安定性を向上させることができる。また、半導体ワークピースの温度の測定範囲を250℃まで低くすることができる。
【0036】
好ましくは、上記の半導体ワークピースについて正確に測定可能な温度は、400℃~750℃の範囲内である。
【0037】
図3を参照すると、本発明の熱処理装置は、上下に配置された2組の加熱ライトアレイ、すなわち、頂部ライトモジュールと底部ライトモジュールを備え、各加熱ライトアレイは、それぞれ4組に分けられ(明るい灰色から濃い灰色まで示されている)、また、反応チャンバーのドア側からウェーハまでの空間は対称な2つの部分に分けられ、反応チャンバーの中央からウェーハの中央までの領域は、5つの温度測定領域T1~T5に分けられる。
【0038】
一例として、本発明の方法によれば、複数の赤外線エミッタを設置し、また、複数の反射型赤外線センサ及び複数の透過型赤外線センサを設置してもよい。このようにして、温度測定部位が増え、測定可能な温度の範囲が広がり、ひいては温度測定精度を向上させることができる。測定された半導体ワークピースの様々な部位の温度に応じて、当該部位に対応するライトモジュールを個別に制御することができ、それによって、精密な温度制御を実現し、温度制御の偏差を±1℃以内にすることができる。
【0039】
ステップを並べ替えたり、追加したり、削除したりして、上記のプロセスのさまざまな形式を使用できることを理解されたい。例えば、本開示に記載の各ステップは、本開示で開示される技術的解決手段の所望の結果が達成できる限り、並行して、順次に、又は異なる順序で実行することができるが、ここでは制限はない。
【0040】
上記の特定の実施形態は、本開示の範囲を限定するものではない。設計要件及び他の要因に応じて、様々な修正、組み合わせ、サブ組み合わせ及び置換が可能であることは、当業者には理解される。本開示の原理内で行われたあらゆる修正、同等の置換や改良等は、すべて本開示の保護範囲に含まれるものとする。