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特開2025-4770小物体の複合体のレーザービーム走査のリアルタイムシミュレーション
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  • 特開-小物体の複合体のレーザービーム走査のリアルタイムシミュレーション 図1
  • 特開-小物体の複合体のレーザービーム走査のリアルタイムシミュレーション 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004770
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】小物体の複合体のレーザービーム走査のリアルタイムシミュレーション
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/497 20060101AFI20250107BHJP
【FI】
G01S7/497
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024101795
(22)【出願日】2024-06-25
(31)【優先権主張番号】10 2023 116 778.2
(32)【優先日】2023-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】10 2023 117 887.3
(32)【優先日】2023-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】506012213
【氏名又は名称】ディスペース ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】dSPACE GmbH
【住所又は居所原語表記】Rathenaustr.26,D-33102 Paderborn, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ブロデール
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン エッシュ
(72)【発明者】
【氏名】エリック キューン
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AB14
5J084BA03
5J084EA19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】小物体の複合体のレーザービーム走査のリアルタイムシミュレーションを行う。
【解決手段】小物体の複合体のモノリシック3Dモデルを含む仮想環境と、レーザービームを用いて距離測定を行うセンサのシミュレーションのためのセンサシミュレーション部と、を含む。センサシミュレーション部は、レーザービームのシミュレーションのためのレイキャスティングルーチンとノイズ減衰ルーチンとを含む。ノイズ減衰ルーチンは、3Dモデルの表面でのレーザービームの入射角を算定し、複数の強度分布を含むデータベースから、算定された入射角に対応付けられる強度分布を選択する。小物体の複合体へのレーザービームの侵入深度に依存して、各強度分布からレーザービームの反射の強度成分を読み出す。ノイズ減衰ルーチンは、選択された強度分布を考慮して、複数の小物体でのレーザービームの複数の反射をシミュレートするためにノイズ減衰距離測定を計算する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小物体(8)の複合体のレーザービーム走査のリアルタイムシミュレーションを行う装置であって、前記装置は、
前記小物体(8)の複合体のモノリシック3Dモデル(5)を含む仮想環境と、
レーザービームを用いて距離測定を行うセンサをシミュレートするように構成されたセンサシミュレーション部と、
を備え、前記センサシミュレーション部は、
-前記センサから出るレーザービームの、前記仮想環境の表面での入射点(16)を計算し、前記入射点から前記センサまでのユークリッド距離の算定に基づいて、前記センサによって実行される距離測定をシミュレートするように構成されたレイキャスティングルーチンと、
-複数の強度分布(2)を含むデータベース(20)であって、前記複数の強度分布(2)からの各強度分布(2)がレーザービームの1つの入射角θに対応付けられており、前記小物体の複合体へのレーザービームの侵入深度Dに依存して、前記複数の強度分布(2)からの各強度分布(2)からレーザービームの反射の強度成分を読み出すことができるデータベース(20)と、
-前記3Dモデルの表面(10)でのレーザービームの入射角θを算定し、前記複数の強度分布(2)から、算定された入射角θに対応付けられる強度分布(2)を選択し、前記ユークリッド距離および選択された前記強度分布(2)を考慮してノイズ減衰距離測定を計算するように構成されたノイズ減衰ルーチンと、
を含み、
前記センサシミュレーション部は、レーザービームの入射点(16)が前記3Dモデル(5)の表面に位置している場合に、複数の小物体(8)でのレーザービームの複数の反射(16)をシミュレートするために前記ノイズ減衰ルーチンを呼び出すように構成されている、
装置。
【請求項2】
前記小物体(8)の複合体は、植生要素、特に、穂の複合体すなわち穀物畑、または草の複合体すなわち牧草地、または葉の複合体すなわち葉の茂った植物もしくは藪もしくは針葉樹である、
請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記小物体(8)は、レーザービームのビーム直径と同等のオーダーまたは前記レーザービームのビーム直径よりも小さなオーダーにあり、これにより、レーザービームが前記小物体(8)の複合体内へ侵入し、侵入深度Dが増大するにつれて前記複数の小物体(8)での反射により強度を失う、
請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記複合体の3Dモデル(5)は、個々の小物体(8)のモデリングを含まない、
請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
前記3Dモデル(5)は、前記複合体を包絡する表面(10)である、
請求項4記載の装置。
【請求項6】
各強度分布(2)は、それぞれ異なる侵入深度(D)に、複数の反射に対して特徴的なそれぞれ1つの量を対応付けるものであり、
各複数の反射は、個々の小物体(8)を分解する前記複合体の微細粒子3Dモデル(6)における、複数のビーム(12)によってモデリングされ高分解能でシミュレートされたレーザービームの複数の入射点(16)に対応する、
請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記センサシミュレーション部は、前記入射点(16)の数を考慮して強度成分を算定するように構成されている、
請求項6記載の装置。
【請求項8】
各強度分布(2)は、前記入射角θのほか、少なくとも1つの別のパラメータに対応付けられており、
前記ノイズ減衰ルーチンは、前記複数の強度分布から、前記算定された入射角θと前記少なくとも1つの別のパラメータとに対応付けられる強度分布(2)を選択するように構成されており、
特に、前記少なくとも1つの別のパラメータは、次のパラメータ、すなわち、植生の種類、レーザービームの拡大角、植物の密度、列間隔、植生の高さ、成熟度のうちの1つである、
請求項2記載の装置。
【請求項9】
前記センサシミュレーション部は、テストにかけられている、センサ信号を評価する制御システム、特にLIDARシステム(Light Detection and Ranging)にセンサの存在を模倣させるために、前記センサの合成センサ信号を生成するように構成されている、
請求項1から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
小物体(8)の複合体のレーザービーム走査のリアルタイムシミュレーションを行う方法であって、前記方法は、
前記小物体(8)の複合体のモノリシック3Dモデル(5)を含む仮想環境において、レイキャスティングルーチンにより、レーザービームを用いて距離測定を行うセンサのセンサシミュレーションを実行するステップであって、前記レイキャスティングルーチンは、前記センサ(4)から出るレーザービームの、前記仮想環境内の表面での入射点(16)を計算し、前記入射点(16)から前記センサ(4)までのユークリッド距離の算定に基づいて、前記センサ(4)により実行される距離測定をシミュレートするように構成されているステップと、
前記3Dモデル(5)の表面(10)でのレーザービームの入射角θを算定するステップと、
複数の強度分布(2)を含むデータベース(20)から、前記入射角θに対応付けられる強度分布(2)を選択するステップであって、前記複数の強度分布(2)からの各強度分布(2)がレーザービームの1つの入射角θに対応付けられており、前記小物体(8)の複合体へのレーザービームの侵入深度(D)に依存して、前記複数の強度分布(2)からの各強度分布(2)からレーザービームの反射の強度成分を読み出すことができるステップと、
複数の小物体(8)でのレーザービームの複数の反射(16)をシミュレートするために、前記ユークリッド距離および選択された前記強度分布(2)を考慮してノイズ減衰距離測定を計算するステップと、
を含む方法。
【請求項11】
前記方法は、
ノイズ減衰距離測定に基づいて前記センサ(4)の合成センサ信号を計算するステップと、
前記合成センサ信号を、テストにかけられている、センサ信号を評価する制御システム、特にLIDARシステム(Light Detection and Ranging)に供給するステップと、
を含む、
請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、
前記仮想環境内の小物体(8)の複合体の、個々の小物体を分解する微細粒子3Dモデル(6)を用意するステップと、
前記微細粒子3Dモデル(6)において、前記小物体(8)の表面への複数のビーム(12)の入射点(16)を反復計算するステップであって、前記複数のビーム(12)は、全体として、複数の入射角θに対して、拡開されたビーム直径を有する扇状のレーザービームをシミュレートしているステップと、
前記微細粒子3Dモデル(6)へのビームの侵入深度に依存して、前記入射点(16)を計数することにより、強度分布(2)を作成するステップと、
を含む、
請求項10または11記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
LIDARセンサ(LIDAR=Light Detection and Ranging)は、通常は近赤外領域にある低い波長の光信号を用いて環境を走査するセンサである。LIDARセンサは、光信号の反射を検出し、その往復走行時間を測定することによって、自身の環境の3次元像を高分解能で作成することができる。こうした特性は、人間による制御なしで未知の環境内を移動可能であってそのために自身の環境を知覚しなければならない高度に自動化された車両における使用にとってLIDARを興味深いものとする。多くのLIDARセンサは、環境を走査するために、反射に基づいて環境を表現する点群が計算されるよう高い周波数で変化する空間方向へ放射される配向されたレーザービームを使用する。
【0002】
数年来、セーフティクリティカル電子制御システムをその量産前に仮想環境においてテストすることが一般的となっている。被検査物の構成に応じて、この種のテスト方法は、例えば、Software in the Loop(SIL)、Hardware in the Loop(HIL)またはVehicle in the Loop(VIL)として知られている。仮想環境は、シミュレーションコンピュータにおいてリアルタイムで計算され、当該仮想環境に適合するセンサ信号を計算して被検査物すなわちテストにかけられている制御システムへと供給するセンサシミュレーション部を含んでおり、これにより、制御システムがセンサ信号を適正に評価し、これに対して適切に応答するかどうかを検査することができる。
【0003】
LIDARシステムのテストのために、LIDARの機能を模倣し、所与のLIDARセンサのセンサ信号を合成によって生成可能な相応のセンサシミュレーション装置を市販にて入手することができる。特に、配向されたレーザービームで動作するLIDARセンサのシミュレーションでは、当該シミュレーションのためにレイキャスティング法を利用することが有用である。なぜなら、レイキャスティング法はいわば実際のセンサの自然な動作方式に対応しているからである。この場合、レーザービームは、仮想環境において、仮想環境内の仮想物体の表面でのレーザービームの入射点を計算するために、シミュレートされたセンサから出る仮想環境内の単一の直線によってモデリング可能である。ここで、入射点は、レーザービームのシミュレートされた反射源としてモデリングされる。
【0004】
当該方法は、レーザービームがビーム断面積を有さない理想的な幾何学ビームとして近似可能である限り、満足のいく結果を提供することができる。これは、一般的には、レーザービームが、少なくとも1次近似においてビーム断面積を少なくとも1オーダー超える寸法を有する物体と相互作用するケースである。このような物体の例は、建築物、標識、車両、人間および地面である。仮想環境が小物体の複合体を含む場合、当該方法には問題が生じる。「小物体の複合体」とは、それぞれ少なくとも1つの空間方向においてレーザービームのビーム直径と同等のオーダーまたは当該レーザービームのビーム直径よりも小さいオーダーにある物体の狭い範囲での局所的な集積体を意味する。特に、植生要素がこのような複合体を形成することが多い。つまり、例えば、穀物畑は穂の複合体となり、牧草地は草(および場合により他の植物)の複合体となり、葉の茂った植物、藪もしくは針葉樹は葉の複合体となる。レーザービームがこのような小物体と衝突すると、ビーム断面積は無視できないものとなる。一般に、小物体はビーム強度の一部のみを反射し、レーザービームの別の部分は当該小物体を通過する。よって、小物体の複合体へ入射するレーザービームは複合体内へ侵入し、種々の小物体との複数の衝突に起因して、侵入深度が増すにつれて強度を失う。この場合、LIDARセンサは、良好に画定された唯一の反射の代わりに、それぞれ異なる往復走行時間を有する種々の小物体での複数の反射から合成された、時間的に歪んだ反射信号を記録する。
【0005】
古典的なレイキャスティングまたはレイトレーシングによるこのような反射過程を物理的に妥当な形式でシミュレートするためには、拡開されたレーザービームを十分に分解するために数千個のビームを考慮するレイキャスティングモデルと組み合わされた、個々の小物体を詳細にモデリングする高分解能の3Dモデルが必要である。このようなシミュレーションは、ハードリアルタイムにおいて十分に迅速に容認可能なコストで実行することができない。
【0006】
コンピュータグラフィックスに関して、レイキャスティングまたはレイトレーシングに基づく物理的に正確なシミュレーションの計算コストが高すぎる場合に、リアルタイムで実行される歪んだ光反射の確実なシミュレーションのために確率論的手法を使用することが基本的に知られている。例として、専門論文“Simulation of Realistic Water on 3D Game Scene”(Xiang Xu, Kun Zou, Procedia Engineering 29, 2012)には、漣立つ水面での反射のリアルタイムシミュレーションを行う方法が記載されている。
【0007】
センサシミュレーションの専門分野からのさらなる例は、専門論文“A 3-D Model for Millimeter-Wave Propagation Through Vegetation Media Using Ray-Tracing”(Nuno R. Leonor et al., IEEE Transactions on Antennas and Propagation 67(6), 2019)に記載されている。当該論文には、葉によって形成された微細構造の背景の手前にある植生要素のレーダーエコーの妥当なシミュレーションを行う際の問題について記載されている。しかし、位置固定された点状の散乱中心に基づく提案の解決手段のアプローチは、配向されて強くコリメートされるレーザービームによって動作するLIDARのシミュレーションには適用できない。
【0008】
制御システムをテストによってミュレーションするための車両用イメージングセンサのシミュレーションの従来技術における一般的な導入が、専門論文“Development of Full Speed Range ACC with SiVIC, a virtual platform for ADAS Prototyping, Test and Evaluation”(Dominique Gruyer et al., IEEE Intelligent Vehicles Symposium, 2013)に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これらの背景から、本発明の課題は、小物体の複合体のレーザービーム走査のコンピュータシミュレーションを加速することであり、特に十分に加速して、レーザービームを用いて距離測定を行うセンサの動作速度におけるハードリアルタイムでのシミュレーションを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
課題を解決するために、小物体の複合体のレーザービーム走査のリアルタイムシミュレーションを行う装置が提案される。当該装置は、仮想環境と、当該仮想環境の部分としての、小物体の複合体のモノリシック3Dモデルと、を含む。
【0011】
モノリシック3Dモデルは、有利には、小物体のオーダーにある構造を有さず、特に個々の小物体のモデリングを含まないように構成されている。特に有利には、複合体の3Dモデルは、複合体を包絡する表面のみによって、当該複合体をモデリングする。例えば、穀物畑、すなわち物理世界での穂の複合体は、穀物畑を包絡する直方体状のバウンディングボックスのみによってモデリング可能である。バウンディングボックスには、もちろん視覚化のために穀物畑に適合するテクスチャを設けることができるが、個々の穂をシミュレートする3次元構造は含まれない。
【0012】
当該装置はさらに、レーザービームを用いて距離測定を行うセンサのシミュレーションのために構成されたセンサシミュレーション部も含む。当該センサシミュレーション部は、センサから出るレーザービームの、仮想環境内の表面での入射点を計算し、当該入射点からセンサまでのユークリッド距離を計算し、当該ユークリッド距離に基づいて、センサによって実行される距離測定をシミュレートし、特に合成センサ信号を生成するように構成されたレイキャスティングルーチンを含む。合成センサ信号は、制御システムにテストによってセンサの存在を模倣させるために、テストにかけられている、センサ信号を評価する制御システム、例えばLIDARシステムへ供給可能である。
【0013】
さらに、センサシミュレーション部の一部は、複数の強度分布が格納されたデータベースである。複数の強度分布からの各強度分布が、レーザービームの1つの入射角に対応付けられている。強度分布は、レーザービームの反射の強度成分が、小物体の複合体へのレーザービームの侵入深度に依存して、複数の強度分布からの各強度分布から読み出し可能であるように構成されている。
【0014】
さらに、センサシミュレーション部は、3Dモデルの表面でのレーザービームの入射角を算定し、複数の強度分布から、算定された入射角に対応付けられる強度分布を選択するように構成された、ノイズ減衰ルーチンを含む。ノイズ減衰ルーチンは、ユークリッド距離および選択された強度分布を考慮してノイズ減衰距離測定を計算する。換言すれば、ノイズ減衰ルーチンは、強度分布に格納されたデータにアクセスし、このデータに基づいて、それぞれ異なる往復走行時間で、複合体内へ侵入するレーザービームの、複合体の複数の小物体での複数の反射をシミュレートする。
【0015】
センサシミュレーション部は、シミュレートされたレーザービームと小物体の複合体の3Dモデルの表面との衝突を記録するように、また、レーザービームの入射点が3Dモデルの表面上にある場合にノイズ減衰ルーチンを呼び出すように構成されている。
【0016】
レーザービームの可能な入射角の数は無限である。したがって、もちろん、可能な各入射角に1つの強度分布を対応付けることは不可能である。したがって、本発明の特徴である「複数の強度分布から、算定された入射角に対応付けられる強度分布を選択する」ことは、データベースに格納されている有限の数の強度分布から、対応付けられる入射角が算定された入射角に十分に類似する1つの強度分布、特に可能な限り類似する1つの強度分布が選択されることであると理解されるべきである。本発明の発展段階では、選択された強度分布を補間してデータベース内で隣接する別の強度分布を形成することにより、算定された入射角への選択された強度分布の適応化を行うことも可能である。
【0017】
強度分布に基づくセンサシミュレーション部によるノイズ減衰距離測定の計算は、様々に構成することができる。本発明の簡単な一構成では、それぞれ異なる侵入深度の反射の強度成分が強度分布から容易に読み出され、直接に使用される。すなわち、シミュレートされたセンサによって検出される応答信号は複数の反射から成り、ここで、個々の各反射の空間距離は、算定されたユークリッド距離と強度分布に格納されたその侵入深度との和から成っている。
【0018】
当該構成の欠点は、非現実的なセンサシミュレーションがもたらされうることである。なぜなら、入射角が一致した場合に応答信号が反復されるからである。こうした欠点は、レーザービームの入射角が不変であるとのシミュレーションシナリオにおいて特に問題となる。一例として、高度角を変更することなくLIDARシステムのレーザービームを穀物畑全体にわたって円形軌道で掃引することのできる、高度に自動化された農業機械のシミュレーションが挙げられる。穀物畑の3Dモデルがバウンディングボックスとしてモデリングされていれば、この場合にも一定の入射角が生じるので、シミュレートされたセンサは走査のたびに正確に同じ応答信号を検出するはずである。
【0019】
したがって、有利な一構成では、ノイズ減衰ルーチンは、ノイズ減衰距離測定を計算する際に乱数発生器を適用して、ノイズ減衰距離測定を相互に変化させるように構成されている。特に有利には、ノイズ減衰ルーチンは、強度分布を、レーザービームの個々の反射に対して複合体内へのそれぞれ異なる侵入深度に関する確率を読み出すことができ、これに基づいてノイズ減衰距離測定を計算することのできる確率分布として解釈するように構成されている。例として、ノイズ減衰ルーチンは、固定にもしくは可変に設定された数のレーザービームの反射をシミュレートするように構成可能である。この場合、ノイズ減衰ルーチンは、入射角に対応付けられる強度分布にアクセスし、強度分布の設定の統計分布に対応する乱数が生成されるように乱数発生器をコンフィギュレーションする。続いて、ノイズ減衰ルーチンは、コンフィギュレーションされた乱数発生器を使用して、設定された数の反射からの各反射に複合体内への1つの侵入深度を対応付け、このようにして計算されたレーザービームの反射から得られるノイズ減衰距離測定をシミュレートする。
【0020】
強度分布の作成は、現実において実行される測定に基づくものであってよいが、有利には、個々の小物体を分解する小物体の複合体の微細粒子3Dモデルに基づいて行われ、これにより、微細粒子3Dモデルによって、複合体内へ侵入するレーザービームの入射点をレイキャスティングに基づいて位置計算することが可能となる。微細粒子3Dモデルでは、それぞれ異なる入射角で複合体内へ入射するレーザービームの高分解能のレイキャスティングが反復実行される。レーザービームは、全体として、拡開された、すなわちゼロとは異なるビーム直径を有する、扇状のレーザービームをシミュレートする複数のビームによってモデリングされる。
【0021】
強度分布が対応付けられるべき各入射角に対して対応するレイキャスティングが実行され、このレイキャスティングに基づいて微細粒子3Dモデル内の小物体の表面への複数のビームの入射点が計算される。次いで、微細粒子3Dモデルへのビームの侵入深度に依存して入射点を計数することによって、各強度分布の作成が行われる。換言すれば、強度分布は、横軸に侵入深度インターバルがプロットされ、縦軸に、それぞれのレイキャスティングのうち、それぞれのインターバルにある侵入深度において小物体の表面へと入射し、この入射点で反射を生じさせたビームの数を特徴付ける量がプロットされるように構成される。
【0022】
最も簡単なケースで、全ての反射に対して均一な輝度が仮定される場合、侵入深度に対応するレーザービームの反射の強度は、それぞれの入射点の数に比例する。しかし、本発明の発展段階では、例えば材料特性または入射点が存在する表面の大きさもしくは作用面積を考慮して、各反射に個々の輝度を対応付けることも可能である。
【0023】
本発明の発展段階では、複数の強度分布からの各強度分布が、入射角のほか、少なくとも1つの別のパラメータに対応付けられている。ここでの別のパラメータは、レーザービームの反射に影響を及ぼす別の物理量、例えば、植生の種類、レーザービームの拡大角、植物の密度、列間隔、植生の高さ、または成熟度であってよい。ここで、ノイズ減衰ルーチンは、複数の強度分布から、算定された入射角と少なくとも1つの別のパラメータとに対応付けられる強度分布を選択するように構成されている。
【0024】
本発明を以下に図面に即して詳細に説明する。図面は大幅に概略化されている。幾何学的寸法および要素の数は、部分的には、より良好な視覚化のために現実に即さない状態で示したところがある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】微細粒子3Dモデルに基づく強度分布の作成を示す概略図である。
図2】強度分布に基づいて複数の反射をシミュレートするためのセンサシミュレーションの動作方式を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1の図には、入射角θに対応付けられる強度分布2の作成が概略的に示されている。LIDARシステムのテストのためにコンピュータベースのシミュレーション装置上で実行される仮想環境は、シミュレートされたLIDARセンサ4と、小物体8の複合体の微細粒子3Dモデル6と、を含む。微細粒子3Dモデル6は、個々の小物体8を分解し、すなわち個々の小物体8の詳細な3Dモデリングを含み、さらに、複合体の外側境界を規定する、複合体を包絡する表面10を含む。
【0027】
LIDARセンサをシミュレートするセンサシミュレーション部は、レイキャスティングルーチンを含む。レイキャスティングルーチンは、全体として拡開されたビーム直径を有する扇状のレーザービームの高分解能のシミュレーションを生じさせる複数のビーム12により、高分解能でレーザービームをモデリングする。各ビーム12は、仮想環境の3次元空間を通ってガイドされる直線である。ビーム12は、仮想環境内のシミュレートされたLIDARセンサ4の座標と空間的に同一の共通の原点から扇状に出ている。レーザービームの光軸14は複合体6の包絡面10に入射角θで入射しており、センサシミュレーション部がこの入射角θを算定するように構成されている。各ビーム12に対して、レイキャスティングルーチンが、仮想環境の表面での入射点16の存在を検査する。
【0028】
入射点16が小物体8の表面に位置する各ビーム12に、包絡面10での対応するそれぞれのビーム12の貫通点からそれぞれの入射点16までの距離として定義される侵入深度Dが対応付けられている。
【0029】
強度分布2を作成するために、全ての入射点16が1回計算された後、複合体内にある全ての入射点16、すなわち表面10に包絡された全ての入射点16が算定され、表面10に包絡された各入射点16に対して侵入深度Dが計算される。侵入深度Dの分布はヒストグラム18としてプロットされる。完成したヒストグラム18は、横軸に複数の侵入深度インターバルD1,D2,D3,…,DNを示し、縦軸に侵入深度Dがそれぞれのインターバル内にある入射点16の数を示す。ヒストグラム18にプロットされる数を補間することにより、ヒストグラム18が強度分布2へと変換され、当該強度分布2がデータベース20内で入射角θに一義的に対応付けられるようにデータベース20に格納される。当該過程は、それぞれ異なる入射角θに対応付けられた、可能な入射角θのパラメータ空間を十分な密度でラスタライズする複数の強度分布2をデータベース20に充填するために、それぞれ異なる入射角θで多重に反復される。強度分布2によってラスタライズされるパラメータ空間は、入射角θのほか、レーザービームの反射に影響を及ぼす別のパラメータを含むことができ、この別のパラメータは強度分布2を作成する際に相応に変更され、データベース20内の強度分布2がこれに対応付けられる。
【0030】
3次元の仮想環境では、θは方位角θと高度角θとから成る空間角度であり、強度分布2はデータベース20内で相応に対応付けられるべきものである。上述した強度分布2の作成においては、簡単化のために、各入射点16が、シミュレートされたセンサ4によって測定された応答信号の時間分散強度に対し、全ての入射点16について等しい、設定された1つの寄与分を達成するものとした。しかし、もちろん同様に、各入射点16に個別の強度を対応付けることも可能である。後者のケースでは、ヒストグラム18を作成する際に、対応付けられる各強度に応じて個々の入射点16が異なって重み付けされる。
【0031】
図2の図には、データベース20の製造後に実行されるリアルタイムシミュレーション中のセンサシミュレーションの動作方式が示されている。センサシミュレーション部のレイキャスティングルーチンは、高分解能のビーム束の代わりに、シミュレートされたセンサ4から出るLIDARセンサのレーザービームを表現しているけれども当該レーザービームのビーム直径は考慮していない単一のビーム12のみを計算する。小物体8の複合体の微細粒子3Dモデル6は、包絡面10のみを含むシンプルモノリシック3Dモデル5によって置換されている。よって、小物体8の複合体は、リアルタイムシミュレーション中、多面体によって、例えばバウンディングボックスによってモデリングされ、小物体8を分解しない。
【0032】
センサシミュレーション部は、例えば円形レーザービームによる環境の走査をシミュレートするために、シミュレーション中にレイキャスティングルーチンを周期的に呼び出し、ビーム12を仮想環境の変化する空間方向へ配向することにより、LIDARセンサの動作方式をシミュレートする。ビーム12の入射点が包絡面10上にある場合ごとに、センサシミュレーション部がノイズ減衰ルーチンを呼び出す。ノイズ減衰ルーチンは、包絡面10でのビーム12の入射角θを算定し、データベース20から、適合する強度分布2、すなわち、その方位角θおよびその高度角θ(およびデータベース20における強度分布2に対応付けられている別のパラメータ)に関して算定された入射角θに最も類似している強度分布2を呼び出す。ノイズ減衰ルーチンは、呼び出された強度分布2を算定された入射角θへと適応化するために、呼び出された強度分布2をデータベース内で隣接する少なくとも1つの強度分布で補間することに基づいて、呼び出された強度分布2の補正を行う。ノイズ減衰ルーチンは、このようにして補正された強度分布2を、入射角θで小物体8の複合体内へ入射するレーザービームの個々の所与の反射の侵入深度Dの確率分布として解釈する。ノイズ減衰ルーチンが、シミュレートされるべき各反射に対して乱数発生器を呼び出し、この乱数発生器が強度分布2を適用しながらそれぞれの反射に1つずつ侵入深度を対応付けることにより、設定された数のシミュレートされるべきレーザービームの反射にそれぞれ1つずつ侵入深度Dが対応付けられ、これにより、複数の反射に対して、強度分布2に対応する侵入深度Dの統計分布が得られる。
【0033】
シミュレートされたセンサ4が動作している仮想環境は2つのクラスの3D物体を含み、センサシミュレーション部はこの2つのクラスを区別するように構成されている。第1のクラスは、レーザービームが侵入できないコンパクトな物体を記述する。このような物体の例は、建築物、車両、道路標識および人間である。ビーム12の入射点が第1のクラスの物体上にある場合、センサシミュレーション部はノイズ減衰ルーチンを呼び出さず、シミュレートされたセンサ4から入射点までのユークリッド距離のみに基づいて距離測定をシミュレートし、シミュレートされたセンサ4の測定距離としてユークリッド距離を使用する(センサ4の測定精度のシミュレートのためには場合によりわずかに誤っていることもある)。
【0034】
第2のクラスは、レーザービームが貫通可能な小物体の複合体を記述する。入射点16が第2のクラスの物体上にある場合、センサシミュレーション部は、上述したのと同様にセンサ4からの入射点16までのユークリッド距離の計算を実行するが、測定距離としてユークリッド距離を使用しない。その代わりに、センサシミュレーション部は、上述したように、それぞれ異なる侵入深度Dを有する複数の入射点を計算するために、ノイズ減衰ルーチンを呼び出す。複数の侵入深度に基づいて、ノイズ減衰ルーチンは、それぞれ異なる小物体8でのレーザービームの複数の反射に応じて複数の距離測定から成るノイズ減衰距離測定を計算する。ノイズ減衰ルーチンによって乱数発生器に基づいて計算された各入射点16に対して、それぞれユークリッド距離とそれぞれの入射点16の個々の侵入深度Dとの和から得られる固有の測定距離が計算される。このようにして計算された全ての距離測定値の全体から、ノイズ減衰ルーチンがノイズ減衰距離測定を行う。ノイズ減衰距離測定の計算の際には、ノイズ減衰関数、特にそれぞれ異なる侵入深度Dから生じるそれぞれ異なる往復走行時間も考慮され、時間的に歪んだレーザービームの応答信号がシミュレートされる。
【0035】
ノイズ減衰ルーチンはノイズ減衰距離測定をセンサシミュレーション部へ出力する。センサシミュレーション部は、当該ノイズ減衰距離測定に基づいて、対応するノイズ減衰距離測定に基づく物理的なLIDARセンサが出力するような現実のセンサ信号をシミュレートする合成センサ信号を計算し、この合成センサ信号をシミュレーション装置のインタフェースへ出力する。当該インタフェースには、センサ信号を処理するように構成された、テストにかけられている制御システムを接続することができる。
【0036】
本発明は、単一のビーム12のみを使用する単純なレイキャスティング法と包絡面10のみを含む単純な3Dモデル5とを適用して、小物体の複合体でのレーザービームの多重反射を現実に近い状態でシミュレートすることを可能にする。ここでのシミュレーションは、このような簡単化により、容認できるコストで、また物理的なLIDARセンサの動作速度におけるハードリアルタイムで実行可能であり、したがって、制御システムのテストおよび開発に使用可能である。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-07-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小物体(8)の複合体のレーザービーム走査のリアルタイムシミュレーションを行う装置であって、前記装置は、
前記小物体(8)の複合体のモノリシック3Dモデル(5)を含む仮想環境と、
レーザービームを用いて距離測定を行うセンサをシミュレートするように構成されたセンサシミュレーション部と、
を備え、前記センサシミュレーション部は、
-前記センサから出るレーザービームの、前記仮想環境の表面での入射点(16)を計算し、前記入射点から前記センサまでのユークリッド距離の算定に基づいて、前記センサによって実行される距離測定をシミュレートするように構成されたレイキャスティングルーチンと、
-複数の強度分布(2)を含むデータベース(20)であって、前記複数の強度分布(2)からの各強度分布(2)がレーザービームの1つの入射角θに対応付けられており、前記小物体の複合体へのレーザービームの侵入深度Dに依存して、前記複数の強度分布(2)からの各強度分布(2)からレーザービームの反射の強度成分を読み出すことができるデータベース(20)と、
-前記3Dモデルの表面(10)でのレーザービームの入射角θを算定し、前記複数の強度分布(2)から、算定された入射角θに対応付けられる強度分布(2)を選択し、前記ユークリッド距離および選択された前記強度分布(2)を考慮してノイズ減衰距離測定を計算するように構成されたノイズ減衰ルーチンと、
を含み、
前記センサシミュレーション部は、レーザービームの入射点(16)が前記3Dモデル(5)の表面に位置している場合に、複数の小物体(8)でのレーザービームの複数の反射(16)をシミュレートするために前記ノイズ減衰ルーチンを呼び出すように構成されている、
装置。
【請求項2】
前記小物体(8)の複合体は、植生要素、特に、穂の複合体すなわち穀物畑、または草の複合体すなわち牧草地、または葉の複合体すなわち葉の茂った植物もしくは藪もしくは針葉樹である、
請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記小物体(8)は、レーザービームのビーム直径と同等のオーダーまたは前記レーザービームのビーム直径よりも小さなオーダーにあり、これにより、レーザービームが前記小物体(8)の複合体内へ侵入し、侵入深度Dが増大するにつれて前記複数の小物体(8)での反射により強度を失う、
請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記複合体の3Dモデル(5)は、個々の小物体(8)のモデリングを含まない、
請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記3Dモデル(5)は、前記複合体を包絡する表面(10)である、
請求項4記載の装置。
【請求項6】
各強度分布(2)は、それぞれ異なる侵入深度(D)に、複数の反射に対して特徴的なそれぞれ1つの量を対応付けるものであり、
各複数の反射は、個々の小物体(8)を分解する前記複合体の微細粒子3Dモデル(6)における、複数のビーム(12)によってモデリングされ高分解能でシミュレートされたレーザービームの複数の入射点(16)に対応する、
請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記センサシミュレーション部は、前記入射点(16)の数を考慮して強度成分を算定するように構成されている、
請求項6記載の装置。
【請求項8】
各強度分布(2)は、前記入射角θのほか、少なくとも1つの別のパラメータに対応付けられており、
前記ノイズ減衰ルーチンは、前記複数の強度分布から、前記算定された入射角θと前記少なくとも1つの別のパラメータとに対応付けられる強度分布(2)を選択するように構成されており、
特に、前記少なくとも1つの別のパラメータは、次のパラメータ、すなわち、植生の種類、レーザービームの拡大角、植物の密度、列間隔、植生の高さ、成熟度のうちの1つである、
請求項2記載の装置。
【請求項9】
前記センサシミュレーション部は、テストにかけられている、センサ信号を評価する制御システム、特にLIDARシステム(Light Detection and Ranging)にセンサの存在を模倣させるために、前記センサの合成センサ信号を生成するように構成されている、
請求項1記載の装置。
【請求項10】
小物体(8)の複合体のレーザービーム走査のリアルタイムシミュレーションを行う方法であって、前記方法は、
前記小物体(8)の複合体のモノリシック3Dモデル(5)を含む仮想環境において、レイキャスティングルーチンにより、レーザービームを用いて距離測定を行うセンサのセンサシミュレーションを実行するステップであって、前記レイキャスティングルーチンは、前記センサ(4)から出るレーザービームの、前記仮想環境内の表面での入射点(16)を計算し、前記入射点(16)から前記センサ(4)までのユークリッド距離の算定に基づいて、前記センサ(4)により実行される距離測定をシミュレートするように構成されているステップと、
前記3Dモデル(5)の表面(10)でのレーザービームの入射角θを算定するステップと、
複数の強度分布(2)を含むデータベース(20)から、前記入射角θに対応付けられる強度分布(2)を選択するステップであって、前記複数の強度分布(2)からの各強度分布(2)がレーザービームの1つの入射角θに対応付けられており、前記小物体(8)の複合体へのレーザービームの侵入深度(D)に依存して、前記複数の強度分布(2)からの各強度分布(2)からレーザービームの反射の強度成分を読み出すことができるステップと、
複数の小物体(8)でのレーザービームの複数の反射(16)をシミュレートするために、前記ユークリッド距離および選択された前記強度分布(2)を考慮してノイズ減衰距離測定を計算するステップと、
を含む方法。
【請求項11】
前記方法は、
ノイズ減衰距離測定に基づいて前記センサ(4)の合成センサ信号を計算するステップと、
前記合成センサ信号を、テストにかけられている、センサ信号を評価する制御システム、特にLIDARシステム(Light Detection and Ranging)に供給するステップと、
を含む、
請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、
前記仮想環境内の小物体(8)の複合体の、個々の小物体を分解する微細粒子3Dモデル(6)を用意するステップと、
前記微細粒子3Dモデル(6)において、前記小物体(8)の表面への複数のビーム(12)の入射点(16)を反復計算するステップであって、前記複数のビーム(12)は、全体として、複数の入射角θに対して、拡開されたビーム直径を有する扇状のレーザービームをシミュレートしているステップと、
前記微細粒子3Dモデル(6)へのビームの侵入深度に依存して、前記入射点(16)を計数することにより、強度分布(2)を作成するステップと、
を含む、
請求項10記載の方法。
【外国語明細書】