(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004806
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】透明容器の外観検査装置、外観検査システム及び外観検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/90 20060101AFI20250108BHJP
【FI】
G01N21/90 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104639
(22)【出願日】2023-06-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】506225949
【氏名又は名称】株式会社ヴイ・エス・テクノロジ-
(74)【代理人】
【識別番号】100167645
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 一弘
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 浩一
(72)【発明者】
【氏名】酒井 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】菊池 俊守
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA12
2G051AB11
2G051BA08
2G051BA20
2G051BB07
2G051CA03
2G051CA06
2G051CB01
2G051DA08
(57)【要約】
【課題】 透明または半透明容器の加飾状態を精緻に検査できる検査システムを提供する。
【解決手段】 透明または半透明な材質からなる容器周面に施された加飾状態の検査装置である。容器を載置して回転する容器載置手段と、容器載置手段と、撮像手段との間に配置され、容器周面に照明光を照射する照明手段と、容器の開口部から容器内部に挿入され、容器の被検査面を透過する照射光を遮光する遮光手段と、容器被検査面及び前記遮光手段からの反射光を受光して検査画像を取得する撮像手段と、検査画像の良否を判定する画像処理装置とを備える検査システムである。照明手段の照明光はRGB波長成分から選択された2つの波長成分で構成され、遮光手段からの反射光は前記照明光のRGB波長成分のいずれかと同一である。照明手段は同軸落射照明を容器と撮像手段の間に配置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明または半透明な材質からなる容器周面に施された加飾状態の検査装置であって、
前記容器を載置して前記容器を軸線の周りに回転する容器載置手段と、
前記容器載置手段と、撮像手段との間に配置され、前記容器周面に照明光を照射する照明手段と、
前記容器の開口部から容器内部に挿入され、前記容器の被検査面を透過する照射光を遮光する遮光手段と、
前記容器被検査面及び前記遮光手段からの反射光を受光して検査画像を取得する撮像手段と、
前記検査画像の良否を判定する画像処理装置とを備え、
前記照明手段の照明光はRGB波長成分から選択された2つ以上の波長成分で構成され、前記遮光手段からの反射光は前記照明光のRGB波長成分のいずれかと同一であることを特徴とする透明または半透明な材質からなる容器周面に施された加飾状態の検査装置。
【請求項2】
前記照明手段は、RGB光源とハーフミラーを筐体に内設する同軸落射照明であることを特徴とする請求項1に記載する透明または半透明な材質からなる容器周面に施された加飾状態の検査装置。
【請求項3】
透明または半透明な材質からなる容器周面に施された加飾状態の検査システムであって、
前記加飾状態の検査システムは、検査部、検査制御部及びシステム制御部で構成され、
前記検査部は、前記容器を載置して前記容器を軸線の周りに回転する容器載置手段と、
前記容器載置手段を搬送する搬送手段と、
前記容器載置手段と撮像手段との間に配置され、前記容器周面に照明光を照射する照明手段と、
前記容器の開口部から容器内部に挿入され、前記容器の被検査面を透過する照射光を遮光する遮光手段と、
前記容器被検査面及び前記遮光手段からの反射光を受光して検査画像を取得する撮像手段と、を備え、
前記検査制御部は、前記照明手段を制御する照明制御部及び前記遮光手段を制御する遮光制御部と、
前記撮像手段が取得した検査画像を画像処理する画像処理手段と、
前記画像処理手段により作成された処理画像に基づき検査画像の判定を行う判定部とを備え、
前記照明手段の照明光はRGB波長成分から選択された2つ以上の波長成分で構成され、前記遮光手段からの反射光は前記照明光のRGB波長成分のいずれかと同一であることを特徴とする透明または半透明な材質からなる容器周面に施された加飾状態の検査システム。
【請求項4】
前記照明手段は、RGB光源とハーフミラーを筐体に内設する同軸落射照明であることを特徴とする請求項3に記載する透明または半透明な材質からなる容器周面に施された加飾状態の検査システム。
【請求項5】
透明または半透明な材質からなる容器周面に施された加飾状態の検査方法であって、
加飾態様に基づいて照明手段の照射光波長を選択し、前記照射光波長と同一の反射光波長を生じる着色部材または発光部材からなる遮光手段を選択する検査条件設定ステップと、
加飾を施された被検査面及び前記遮光手段からの反射光を受光して検査画像を取得する検査画像取得ステップと、
取得した検査画像からプレーン画像を作成するプレーン画像抽出ステップと、
プレーン画像の補正を行う前処理ステップと、
補正されたプレーン画像から特徴抽出を行う特徴抽出ステップと、
特徴抽出した検査画像の補正を行う後処理ステップと、
補正された検査画像をブロブ解析するブロブ解析ステップと、
ブロブ解析した検査画像に基づき検査画像の合否を判定する検査画像判定ステップと、
からなる透明または半透明な材質からなるワーク周面に施された加飾状態の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、周面に加飾を施された透明または半透明な材質からなる容器の加飾状態検査装置、検査システム及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
透明または半透明な材質からなる容器は内容物の状態を確認できるため飲用容器として採用されている。容器には、内容物、商品名等の品種表示が容器外面に印刷されると共に、外観デザインや機能等の価値を付与するための加飾処理が行われている。しかしながら、透明または半透明な材質からなる容器に施された印刷、着色、塗装などの加飾状態の検査では、検査対象面の反対側にある加飾状態の映り込みが検査に影響を与え、精緻な検査が行えないという課題がある。
【0003】
特許文献1には、容器内部に遮光部材を挿入して他方の外側面からの光を遮って容器表面の加飾状態を検査する表面検査装置が開示されている。しかしながら、遮光のみでは容器表面の加飾状態を精緻に検査することはできない。例えば、複数色による加飾、金銀等の反射率の異なる金属色による加飾が混在した場合には表面加飾を浮き立たせて加飾状態を精緻に検査することがより困難となる課題がある。
特許文献2には、光透過性成形体の微量の異物の付着や熱による変質などにより発生する変色や色ムラを画像データのRGB成分の光量値で構成される色空間データ群1を色相と彩度で構成される色空間群2へ変換し、色空間群2の色相を回転させて色空間データ群3に変換し、色空間群3をRGBの色成分で交際された色空間データ群4に変換し、色空間データ群を構成するRGB色成分の選択した色成分の光量値を残りの色成分の光量値を用いて補正する外観検査装置が開示されている。しかしながら、加飾状態を精緻に検査することについては開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3236048号公報
【特許文献2】特開2013-210227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明は、透明または半透明な材質からなる容器に施された加飾状態の検査において、検査対象面の反対側にある加飾からの反射光が検査に影響を与えることなく、検査対象面の加飾状態のみを精緻に検査できる検査装置、検査システム及び検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の課題は、以下の態様(1)乃至(5)により解決できる。具体的には、
【0007】
(態様1) 透明または半透明な材質からなる容器周面に施された加飾状態の検査装置であって、前記容器を載置して前記容器を軸線の周りに回転する容器載置手段と、前記容器載置手段と、撮像手段との間に配置され、前記容器周面に照明光を照射する照明手段と、前記容器の開口部から容器内部に挿入され、前記容器の被検査面を透過する照射光を遮光する遮光手段と、前記容器被検査面及び前記遮光手段からの反射光を受光して検査画像を取得する撮像手段と、前記検査画像の良否を判定する画像処理装置とを備え、前記照明手段の照明光はRGB波長成分から選択された2つ以上の波長成分で構成され、前記遮光手段からの反射光は前記照明光のRGB波長成分のいずれかと同一であることを特徴とする透明または半透明な材質からなる容器周面に施された加飾状態の検査装置である。
照明手段が容器周面に照射する照明光RGB波長成分と、遮光手段からの反射光波長成分を照明光RGB波長成分のいずれかと同一とすることで、容器周面に施された加飾状態を浮き立たせた検査画像を取得できる。加飾状態を浮き立たせた検査画像により加飾状態検査を精緻に行えるからである。
【0008】
(態様2) 前記照明手段は、RGB光源とハーフミラーを筐体に内設する同軸落射照明であることを特徴とする態様1に記載する透明または半透明な材質からなる容器周面に施された加飾状態の検査装置である。
照明手段として同軸落射照明を採用することで、撮像手段の撮像方向と同軸上から照明光を容器周面に照射できるからである。
【0009】
(態様3) 透明または半透明な材質からなる容器周面に施された加飾状態の検査システムであって、前記加飾状態の検査システムは、検査部、検査制御部及びシステム制御部で構成され、前記検査部は、前記容器を載置して前記容器を軸線の周りに回転する容器載置手段と、前記容器載置手段を搬送する搬送手段と、前記容器載置手段と撮像手段との間に配置され、前記容器周面に照明光を照射する照明手段と、前記容器の開口部から容器内部に挿入され、前記容器の被検査面を透過する照射光を遮光する遮光手段と、前記容器被検査面及び前記遮光手段からの反射光を受光して検査画像を取得する撮像手段と、を備え、前記検査制御部は、前記照明手段を制御する照明制御部及び前記遮光手段を制御する遮光制御部と、前記撮像手段が取得した検査画像を画像処理する画像処理手段と、前記画像処理手段により作成された処理画像に基づき検査画像の判定を行う判定部とを備え、前記照明手段の照明光はRGB波長成分から選択された2つ以上の波長成分で構成され、前記遮光手段からの反射光は前記照明光のRGB波長成分のいずれかと同一であることを特徴とする透明または半透明な材質からなる容器周面に施された加飾状態の検査システムである。
照明手段が容器周面に照射する照明光RGB波長成分と、遮光手段からの反射光波長成分を照明光RGB波長成分のいずれかと同一とすることで、容器周面に施された加飾状態を浮き立たせた検査画像を取得できる。加飾状態を浮き立たせた検査画像により加飾状態検査を精緻に行える加飾状態の検査システムを提供できるからである。
【0010】
(態様4) 前記照明手段は、RGB光源とハーフミラーを筐体に内設する同軸落射照明であることを特徴とする態様3に記載する透明または半透明な材質からなる容器周面に施された加飾状態の検査システムである。
照明手段として同軸落射照明を採用することで、撮像手段の撮像方向と同軸上から照明光を容器周面に照射できる加飾状態の検査システムを提供できるからである。
【0011】
(態様5) 透明または半透明な材質からなる容器周面に施された加飾状態の検査方法であって、加飾態様に基づいて照明手段の照射光波長を選択し、前記照射光波長と同一の反射光波長を生じる着色部材または発光部材からなる遮光手段を選択する検査条件設定ステップと、加飾を施された被検査面及び前記遮光手段からの反射光を受光して検査画像を取得する検査画像取得ステップと、取得した検査画像からプレーン画像を作成するプレーン画像抽出ステップと、プレーン画像の補正を行う前処理ステップと、補正されたプレーン画像から特徴抽出を行う特徴抽出ステップと、特徴抽出した検査画像の補正を行う後処理ステップと、補正された検査画像をブロブ解析するブロブ解析ステップと、ブロブ解析した検査画像に基づき検査画像の合否を判定する検査画像判定ステップと、からなる透明または半透明な材質からなるワーク周面に施された加飾状態の検査方法である。
【発明の効果】
【0012】
本願発明によれば、透明または半透明な材質からなる容器に施された加飾状態の検査を検査対象面の反対側にある加飾からの反射光が検査に影響を与えることなく、検査対象面の加飾状態のみを精緻に検査できる検査装置、検査システム及び検査方法を提供することができる。
また、照明手段が容器周面に照射する照明光RGB波長成分と、遮光手段からの反射光波長成分を照明光RGB波長成分のいずれかと同一とすることで、容器周面に施された加飾状態を浮き立たせた検査画像を取得できため、加飾状態検査を精緻に行える。
さらに、照明光RGB波長成分と遮光手段からの反射光波長成分を加飾状態に合わせて組み合わせることで、複数色による加飾状態、金属色が混ざる加飾状態を精緻よく検査できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本願発明の加飾状態印刷検査装置の1つの実施態様を示す構成図である。
【
図2】本願発明の加飾状態検査システムの検査部の1つの実施態様を示す構成図である。
【
図3】本願発明の加飾状態検査システムの検査フローを説明するフロー図である。
【
図4】本願発明の加飾状態検査方法による加飾状態(黒色文字)の検出可否を示す説明図である。
【
図5】本願発明の加飾状態検査方法による加飾状態(白色文字)の検出可否を示す説明図である。
【
図6】本願発明の加飾状態検査方法による加飾状態(金属色の金文字)の検出可否を示す説明図である。
【
図7】本願発明の加飾状態検査方法による加飾状態(金属色の銀文字)の検出可否を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本願発明を実施するための形態を
図1~
図3に基づいて説明する。ただし、
図1~
図3は実施形態の一例であり、これに限定されるものではない。
【0015】
A.加飾状態検査装置
1.加飾状態検査装置の構成
図1は、本願発明の加飾状態検査装置100の1つの実施態様を例示する構成図である。
図1に示すように、本願発明の加飾状態検査装置100は、検査対象となる透明または半透明な材質からなる容器1(以下、単に「容器」という。)、容器1を載置する載置台2と容器1を軸線Xの周りに回転する回転支持体3からなる容器載置手段と、容器周面に照明光を照射する照明手段8と、容器の開口部から容器内部に挿入され、容器の被検査面を透過する照射光を遮光する遮光手段4と、容器被検査面及び遮光手段からの反射光を受光して検査画像を取得する撮像手段9と、検査画像の良否を判定する画像処理装置40で構成されている。なお、照明手段は、容器載置手段2と撮像手段9との間に配置されている。以下、構成要素ごとに説明する。
【0016】
(1)容器
本願発明の加飾状態検査装置100の検査対象となる容器1としては、外周面に印刷、着色、塗装、凹凸などの加飾が施された透明または半透明の材質からなる容器であれば特に制限されない。具体的には、筒体(例、缶、瓶などの飲料容器)がある。透明または半透明の材質からなる容器は、検査対象面の反対側にある加飾状態の映り込みが検査に影響を与えるからである。
【0017】
(2)容器載置手段
容器載置手段は、容器1を載置する載置台2と容器1を軸線Xの周りに360°回転する回転支持体3からなる。容器載置手段により容器全周面の検査を行うことができる。
【0018】
(3)照明手段
照明手段8は、光源6と、ハーフミラー7を内設する筐体からなる同軸落射照明を採用する。同軸落射照明を採用することで、ハーフミラー7を介して撮像手段9の撮像方向と同軸上から照明光が容器周面に照射される。
光源6は、R(波長域が610nm~780nm)、G(波長域が500nm~570nm)、B(波長域が460nm~500nm)で構成され、RGBの3波長を独立に調光可能なLED照明である。加飾が複数色で構成される場合や反射率の異なる金属色が混在する場合は、RGB光源それぞれの出射光量を調整することで加飾状態の検査を精緻に行えるからである。光源6の形態としては、面照明、環状照明、スポット照明のいずれでも適宜選択できる。
容器周面に照射する照明光は、RGB波長成分から選択された2つの波長成分で構成される(例、RB,RG,BG)。一方、遮光手段の反射光波長成分は照明光波長成分のいずれか1つと同一である(R、G、Bのいずれか1つ)。照明手段が容器周面に照射する照明光RGB波長成分と、遮光手段からの反射光波長成分を照明光RGB波長成分のいずれかと同一とすることで容器周面に施された加飾状態を鮮明に撮像手段9へ取り込むことができ、容器周面に施された加飾状態を浮き立たせた検査画像を取得できる。加飾状態を浮き立たせた検査画像により加飾状態検査を精緻に行える。
【0019】
(4)遮光手段
遮光手段4は、検査対象となる容器検査面を透過する照明光を遮光して容器検査面の反対側(背景)の加飾の映り込みを防ぐ役割と、遮光手段4からの反射光波長成分を照明光波長成分の1つと同一とすることで容器周面に施された加飾状態を鮮明に撮像手段9へ取り込む役割を担う。遮光手段4は、駆動アーム5により容器の開口部から容器内部に挿入する。
遮光手段4の態様としては、照明手段から照射される照明光波長成分のいずれか1つと同一の反射光波長成分を生ずる着色部材または発光部材で構成される。
着色部材としては、反射率が小さい着色材が好適である。発光部材としては、LED光源を配設した面照明を採用できる。着色部材及び発光部材の形状は棒状、平板状、円柱形状などを採用できる。
【0020】
(4)撮像手段
撮像手段9は、反射光を光電変換して映像信号とする集積回路(IC:integrated circuits)を用いた撮像素子、具体的には、多数のホトダイオードを平面状のシリコン基板に並べたものが使われ、転送には電荷結合素子(CCD:charge-coupled device)または相補型金属酸化膜半導体(CMOS (シーモス) :complementary metal oxide semiconductor)等の集積回路が使われる。および、検査ワークの像を固体撮像素子の撮像面に結像させる光学系、固体撮像素子の出力を信号処理して画素ごとの輝度値を得る信号処理回路等で構成されている。ラインスキャンカメラを好適に用いることができる。撮像をRGB成分に分解処理を行うため、カラーラインスキャンカメラが好適である。
【0021】
(5)画像処理装置
画像処理装置40は、画像取得部41、画像処理部42、判定部43及びCPU44を備える。画像取得部41は、撮像手段9による映像信号を画像として取得する。画像処理部42は、画像取得部41が取得した画像を検査画像に画像処理する。判定部43は、画像処理した検査画像から容器1に施された加飾状態の良否を判定する。CPU44は、画像処理手段、撮像手段9及び照明手段8を制御する。画像処理を実行する処理プログラムやプログラム実行時に必要な情報を記憶する画像記憶部(図示せず)を備えることもできる。
【0022】
B.加飾状態検査システム
1.加飾状態検査システムの構成
図2は、本願発明の加飾状態の検査システム200の1つの実施態様を例示する構成図である。
図2に示すように、本願発明の加飾状態の検査システム200は、検査部10、検査制御部20、システム制御部30で構成されている。
以下、検査部10、検査制御部20、システム制御部30の順で説明する。
【0023】
(1)検査部
図2に示すように、本願発明の加飾状態の検査システム200を構成する検査部10は、容器周面に施された加飾状態を画像データとして取得する役割を担う。
検査部10は、容器周面に照明光を照射する照明手段8と、容器周面を透過する照明光を遮光する遮光手段4、容器周面及び遮光手段4からの反射光を映像信号に変換する撮像手段9を備える。遮光手段4は、上下に可動する遮光手段保持具5に保持され、容器開口部から容器内部に挿入される。容器1は、回転駆動する支持体3を備える載置台2に載置され、軸線Xの周りを回転する。回転角度に合わせて連続的に撮影トリガー信号が出て、撮像手段9が容器1の全周面を撮像し検査画像を取得する。
【0024】
(1-1)容器
本願発明の加飾状態の検査システム200の検査対象となる容器1としては、外周面に印刷、着色、塗装、凹凸などの加飾が施された透明または半透明の材質からなる容器であれば特に制限されない。具体的には、筒体(例、缶、瓶などの飲料容器)がある。透明または半透明の材質からなる容器は、検査対象面の反対側にある加飾状態の映り込みが検査に影響を与えるからである。
【0025】
(1-2)照明手段
本願発明の加飾状態の検査システム200の照明手段8は、光源6と、ハーフミラー7を内設する筐体からなる同軸落射照明を採用する。同軸落射照明を採用することで、ハーフミラー7を介して撮像手段9の撮像方向と同軸上から照明光が容器周面に照射される。
光源6は、R(波長域が610nm~780nm)、G(波長域が500nm~570nm)、B(波長域が460nm~500nm)で構成され、RGBの3波長を独立に調光可能なLED照明である。加飾が複数色で構成される場合や反射率の異なる金属色が混在する場合は、RGB光源それぞれの出射光量を調整することで加飾状態の検査を精緻に行えるからである。光源6の形態としては、面照明、環状照明、スポット照明のいずれでも適宜選択できる。
容器周面に照射する照明光は、RGB波長成分から選択された2つの波長成分で構成される(例、RB,RG,BG)。一方、遮光手段の反射光波長成分は照明光波長成分のいずれか1つと同一である(R、G、Bのいずれか1つ)。照明手段が容器周面に照射する照明光RGB波長成分と、遮光手段からの反射光波長成分を照明光RGB波長成分のいずれかと同一とすることで容器周面に施された加飾状態を鮮明に撮像手段9へ取り込むことができ、容器周面に施された加飾状態を浮き立たせた検査画像を取得できる。加飾状態を浮き立たせた検査画像により加飾状態検査を精緻に行える。
【0026】
(1-3)遮光手段
本願発明の加飾状態の検査システム200の遮光手段4は、検査対象となる容器検査面を透過する照明光を遮光して容器検査面の反対側(背景)の加飾の映り込みを防ぐ役割と、遮光手段4からの反射光波長成分を照明光波長成分の1つと同一とすることで容器周面に施された加飾状態を鮮明に撮像手段9へ取り込む役割を担う。遮光手段4は、駆動アーム5により容器の開口部から容器内部に挿入する。
遮光手段4の態様としては、照明手段から照射される照明光波長成分のいずれか1つと同一の反射光波長成分を生ずる着色部材または発光部材で構成される。
着色部材としては、反射率が小さい着色材が好適である。発光部材としては、LED光源を配設した面照明を採用できる。着色部材及び発光部材の形状は棒状、平板状、円柱形状などを採用できる。
【0027】
(1-4)撮像手段
本願発明の加飾状態の検査システム100の撮像手段9は、反射光を光電変換して映像信号とする集積回路(IC:integrated circuits)を用いた撮像素子、具体的には、多数のホトダイオードを平面状のシリコン基板に並べたものが使われ、転送には電荷結合素子(CCD:charge-coupled device)または相補型金属酸化膜半導体(CMOS (シーモス) :complementary metal oxide semiconductor)等の集積回路が使われる。および、検査ワークの像を固体撮像素子の撮像面に結像させる光学系、固体撮像素子の出力を信号処理して画素ごとの輝度値を得る信号処理回路等で構成されている。ラインスキャンカメラを好適に用いることができる。撮像をRGB成分に分解処理を行うため、カラーラインスキャンカメラが好適である。
【0028】
(2)検査制御部
本願発明の加飾状態の検査システム100の検査制御部20は、撮像手段9による映像信号を画像として取得する画像取得部23と、画像取得部23が取得した画像を検査画像に画像処理する画像処理部24、画像処理を実行する処理プログラムやプログラム実行時に必要な情報を記憶する画像記憶部26と、画像処理した検査画像から容器1に施された加飾状態の良否を判定する判定部25、照明手段8を制御する照明制御部22及び遮光手段4を制御する遮光制御部21を備える。
【0029】
(2-1)画像取得部
画像取得部23は、撮像手段9が容器1から取得した映像信号を画像として取得し、画像処理部24へ伝達する役割を担う。また、カメラリンク(Camera Link)、USB(Universal Serial Bus)、CXP(CoaXPress(登録商標))、ギガビットイーサネット(GigE)等の汎用通信インターフェースを介して撮像手段31の撮像のタイミング等の動作を制御する機能も有する。
【0030】
(2-2)画像処理部
画像処理部24は、画像取得部23からの画像情報に対して各種の画像処理をして検査画像を作成する役割を担う。
【0031】
(2-3)画像記憶部
画像記憶部26は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備える。ROMは、CPUによって実行される検査方法プログラム等各種プログラムやこれらプログラムの実行時に必要な情報を格納する。ROMに格納された各種プログラムや情報は、RAMにロードされて実行される。
【0032】
(2-4)判定部
判定部25は、容器に施された加飾状態の良否を判断する役割を担う。具体的には、検査画像と基準画像とを比較して良否を判定する。
【0033】
(2-5)照明制御部
照明制御部22は、照明手段8が容器1へ照射する照明光の選択、照明光の照度を制御する。
【0034】
(2-6)遮光手段制御部
遮光手段制御部21は、遮光手段4の容器1への挿入、遮光手段4が発光部材である場合は、発光部材の出射光を選択する。
【0035】
(3)システム制御部
本願発明の加飾状態の検査システム100のシステム制御部30は、本願発明の加飾状態の検査システム100の全体を制御する役割を担う。プログラム制御されたCPU(Central Processing Unit)31、搬送手段36を制御する搬送制御部32、搬送手段制御プログラム及びシステム制御プログラム並びに容器1の外面に施される画像情報を記憶して格納する情報記憶部33、入出力用の各種インターフェースである入力装置34、表示装置35により構成される。画像情報は入力装置34から入力される。加飾状態の検査システム100の稼働状況は表示装置35にから出力される。
【0036】
(3-1)情報記憶部
情報記憶部33は、搬送手段制御プログラム及びシステム制御プログラム並びに画像情報を記憶し格納する役割を担う。ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備える。
画像情報の形式は、検査部10が取り扱うことのできる形式であれば特に限定されない。例えば、ページ記述言語(page description language)がある。
【0037】
(3-2)搬送制御部
搬送制御部32は、容器1を等間隔で並べて搬送する搬送手段36を制御する。また、容器1は、検査部10において回転支持体3上で検査される。検査を終えた容器1は搬送手段36で搬送される。
【0038】
C.加飾状態検査方法
図3は、本願発明の加飾状態検査システムの検査フローを説明するフロー図である。
本願発明の加飾状態検査システムは、以下の手順で加飾状態の検査を行う。
【0039】
(1)検査条件設定
容器周面の加飾状態の態様(例えば、色彩、色相、質感、凹凸)から照明手段から容器に照射する照明光の波長成分及び遮光手段の波長成分を設定する(S11)。
具体的には、照明手段8から照射する照明光の波長成分が加飾状態の態様を検出できる適切な波長成分となるように照明手段の光源を構成するRGB波長成分から2つの波長成分を選択し、それぞれの出力を調整する。また、遮光手段4からの反射光の波長成分が照明手段の波長成分のいずれかと同一になるように色の遮光材を選択する。また、遮光材が発色材である場合は発色材の光源を構成するRGB波長成分の1つを選択し、出力を調整する。
【0040】
(2)検査画像取得
検査画像取得部23は、撮像手段9が容器周面及び遮光手段からの反射光を受光した電子信号から検査画像を取得する(S12)。
【0041】
(3)画像処理
画像処理部24は、画像取得部23が取得した検査画像を判定するための画像処理を行う。画像処理は、プレーン画像抽出(S13)、前処理(S14)、特徴抽出(S15)、後処理(S16)、ブロブ解析(S17)の順で行う。
【0042】
(3-1)プレーン画像抽出
プレーン画像抽出処理(S13)は、検査画像の諧調(赤、緑、青、色相、彩度、明度(L)、明度(V)で構成される。)のいずれか1つを抽出する処理である。例えば、RGB画像から赤(R)プレーンを抽出する処理がある。
プレーン画像抽出処理(S13)の態様は、検査画像の態様により適切に選択することができる。
【0043】
(3-2)前処理
前処理(S14)は、特徴量抽出処理(S15)の精度を上げるための処理である。具体的には、位置補正、画像演算、LUT補正、輝度補正、ぼかし処理などをプレーン抽出画像の態様に合わせて適宜選択して行う。
【0044】
(3-3)特徴量抽出
特徴量抽出処理(S15)は、プレーン画像から特徴のある線や濃度境界域を抽出する処理である。具体的には、関心領域(ROI: Region of Interest)、MASK処理、基準差分、二値化、文字認識(OCR)解析を適宜選択して行う。
【0045】
(3-4)後処理
後処理(S16)は、ブロブ解析処理(S17)の精度を上げるための処理である。具体的には、穴埋め、特徴連結、特徴演算、ノイズ除去を特徴抽出画像の態様に合わせて適宜選択して行う。
【0046】
(3-5)ブロブ解析
ブロブ解析処理(S16)は、後処理(S16)された検査画像を検査画像判定(S17)に供するために行う解析処理である。具体的には、形状特徴解析、文字列解析、距離解析を後処理画像の態様に合わせて適宜選択して行う。
【0047】
(4)検査画像判定
判定部25は、検査画像と基準画像を比較して容器に施された加飾状態の良否を判定する(S18)。判定結果は表示装置35に出力される。
【実施例0048】
図4~
図7は、加飾状態(文字)を変えて、照明手段が照射する照明光の波長成分と遮光材からの反射光の波長成分の組み合わせによる本願発明の加飾状態検査方法を行った場合の加飾状態(文字)の検出可否を示す説明図である。
<実施例1>
図4は、加飾状態(文字色が黒)を照明光の波長成分(RB)、遮光材の反射光波長成分(B)とする設定で、本願発明の加飾状態検査方法を行った場合の加飾状態の検出可否を示す説明図である。
照明光波長成分(B)と遮光材の反射光波長成分(B)の組み合わせで加飾状態を検出することができる。
【0049】
<実施例2>
図5は、加飾状態(文字色が白)を照明光の波長成分(RB)、遮光材の反射光波長成分(B)とする設定と、照明光の波長成分(RB)、遮光材の反射光波長成分(G)とする設定で、本願発明の加飾状態検査方法を行った場合の加飾状態の検出可否を示す説明図である。
照明光波長成分(R)と遮光材の反射光波長成分(B)または(G)の組み合わせで加飾状態を検出することができる。
【0050】
<実施例3>
図6は、加飾状態(文字色が金属色である金)を照明光の波長成分(RB)、遮光材の反射光波長成分(B)とする設定と、照明光の波長成分(BG)、遮光材の反射光波長成分(R)(G)とする設定で、本願発明の加飾状態検査方法を行った場合の加飾状態の検出可否を示す説明図である。
照明光波長成分(RB)と遮光材の反射光波長成分(B)または照明光波長成分(GB)と反射光波長成分(G)の組み合わせで加飾状態を検出することができる。
【0051】
<実施例4>
図7は、加飾状態(文字色が金属色である銀)を照明光の波長成分(RB)、遮光材の反射光波長成分(B)または(R)とする設定で、本願発明の加飾状態検査方法を行った場合の加飾状態の検出可否を示す説明図である。
照明光波長成分(R)と遮光材の反射光波長成分(R)の組み合わせで加飾状態を検出することができる。